JP2004206249A - 情報書込装置と情報が書込まれた電子制御装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】組立工程を搬送されてゆく製品に組付けられ製品と共に搬送されてゆく電子制御装置に、多量の情報を書込めると共に、通信品質が良好で信頼できる書込技術を提供する。
【解決手段】情報書込装置10は携帯可能なハンディタイプであり、車両1の内部に配置されてエンジンECU2a、ABS−ECU2bに制御プログラムの書込みを行う。情報書込装置10は、通信ケーブル6によってエンジンECU2a、ABS−ECU2bに接続され、電源ケーブル5によってバッテリ3に接続されている。情報書込装置10は車両1に組み付けられたバッテリ3から駆動エネルギを取得する。バーコードリーダ12は製品詳細情報バーコード表30に表示されたバーコードを読み取って、データを情報書込装置10に送信する。情報書込装置10は送信されたデータに基づいて、制御プログラムの抽出をする。
【選択図】 図1
【解決手段】情報書込装置10は携帯可能なハンディタイプであり、車両1の内部に配置されてエンジンECU2a、ABS−ECU2bに制御プログラムの書込みを行う。情報書込装置10は、通信ケーブル6によってエンジンECU2a、ABS−ECU2bに接続され、電源ケーブル5によってバッテリ3に接続されている。情報書込装置10は車両1に組み付けられたバッテリ3から駆動エネルギを取得する。バーコードリーダ12は製品詳細情報バーコード表30に表示されたバーコードを読み取って、データを情報書込装置10に送信する。情報書込装置10は送信されたデータに基づいて、制御プログラムの抽出をする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子制御装置に情報を書込む装置と情報が書込まれた電子制御装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】多くの製品組立工場では、未完成製品を加工工程から次の加工工程に搬送しながら製品を完成させていく。このとき、多種類の製品を混在させた状態で製品群を次々に生産することが多い。多くの製品がコンピュータで構成されている電子制御装置を利用している。例えば、自動車にはエンジン制御用の電子制御装置や自動変速機制御用の電子制御装置が組込まれ、電子レンジにはマグネトロン制御用の電子制御装置が組込まれる。電子制御装置が意図した制御を実現するためには、電子制御装置に制御プログラムや各種のデータを記憶させておく必要がある。多種類の製品を混在させた状態で電子制御装置が組込まれた製品群を次々に生産する場合、生産する製品に対応した電子制御装置を組付ける必要がある。
生産する製品に対応する電子制御装置を組付ける場合、2種類の方法が存在する。第1の方法は、生産する製品に対応する電子制御装置を選択して製品に組付ける。例えば、製品AとBを生産する場合、製品Aのための電子制御装置aと製品Bのための電子制御装置bを用意しておき、製品Aには電子制御装置aを選択して組付け製品Bには電子制御装置bを選択して組付ける。この場合、予め用意しておく必要がある電子制御装置の種類数が増えてしまう。そこで第2の方法が考えられた。第2の方法では、ハードウエアが共通な電子制御装置については、制御プログラムや制御用データが相違していても共通種類と扱ってしまう。先の例であれば、製品Aのための電子制御装置aと製品Bのための電子制御装置bのハードウエアが共通であるかぎり、製品Aのための電子制御装置と製品Bのための電子制御装置を区別せず、ハードウエアが共通な電子制御装置のうちの任意のものを製品Aに組付け、任意のものを製品Bに組付ける。組付けた後に、製品Aに組付けられた電子制御装置には製品Aに必要な制御プログラムや制御用データを書込み、製品Bに組付けられた電子制御装置には製品Bに必要な制御プログラムや制御用データを書込む。この方法によると、製品組立工場で管理する必要のある電子制御装置の種類数が低減され、在庫を確保しておくのに必要とされるコストが低下する。
例えば、製品A〜Fの6種類を生産し、製品A〜Cの電子制御装置のハードウエアが共通であり、製品D〜Fの電子制御装置のハードウエアが共通である場合、第1の組立て方法によると6種類の電子制御装置の在庫管理をしなければならないのに対し、第2の組立て方法によると2種類の電子制御装置の在庫管理をすれば足りる。
複数の車種や、電子制御装置で制御する部品の複数種類に対して、ハードウエアが共通の電子制御装置を用いる技術が特許文献1に記載されている。この技術では、制御プログラムや制御用データが書込まれていない電子制御装置を在庫しておき、車両に組付けてから車種や制御対象部品に対応した制御プログラムや制御用データを書込む。
製品に組付けられた電子制御装置に制御プログラムや制御用データ等の情報を書込む技術が特許文献2に帰されている。この技術では、加工工程から次の加工工程に搬送される製品に組付けられた電子制御装置と、制御プログラムや制御用データ等の情報を書込む装置をケーブルで接続し、搬送中の電子制御装置にケーブルを介して当該電子制御装置に書込むべき情報を送信して搬送中の電子制御装置に必要な情報を書込む。制御プログラムや制御用データ等の情報を送信して電子制御装置に情報を書込む装置は、組立ラインに隣接する位置に固定されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−132527号公報
【特許文献2】
特開2000−237936号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】固定されている情報書込み装置と製品をケーブルで接続した状態で製品を搬送する場合、情報の書込み処理の間に製品が移動することから、その移動に追従できるだけの長さを有するケーブルを利用しなければならない。近年の電子制御装置は、複雑な制御プログラムと膨大なデータを利用することが多く、情報の書込み処理に要する時間が長くなりがちであり、ケーブル長も長くならざるを得ない。
長いケーブルを利用して情報を送信する場合、ノイズが混入しやすく通信の信頼性が低下する。また、汎用されている通信プロトコルであるCAN通信では、製品内に設けられているケーブルの長さに書込み用ケーブルの長さを加算したケーブルの全長が通信品質に大きく影響し、通信品質を確保するためにケーブル全長が制約されている。現状では、製品内に設けられているケーブルの長さが長くなっており、書込み用ケーブルの長さを十分に確保することができない。
現状では、許容される長さのケーブルで追従できる時間内に多量の情報を書込むことができず、情報量を減らすか、通信品質の低下を覚悟してケーブル長を延ばすか、あるいは書込み中の製品の搬送速度を低下(場合によっては停止させる)させることによって、上記の問題に対処している。情報量を減らせば電子制御装置の性能が低下し、ケーブル長を延ばせば通信エラーが増大し、製品搬送速度を低下させれば生産性が低下する。現状では有効な対策がない。
【0005】
固定された情報書込み装置から、搬送される製品に組付けられている電子制御装置に、無線通信で書込情報を送信すれば、ケーブル長に伴う問題はなくなる。
しかしながら、無線通信の通信品質は有線通信のそれよりも悪く、高い信頼性が要求される場合には有効とはいえない。また無線通信の通信速度は遅く、無線通信方式では実用的な時間の中で通信を完了させられない場合も多い。
【0006】
以上の問題点に鑑み、本発明では、組立工程を搬送されてゆく製品に組付けられているために製品と共に搬送されてゆく電子制御装置に、多量の情報を書込めると共に、通信品質が良好で信頼できる書込技術を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段と作用と効果】本発明では、組立工程を搬送されてゆく製品に組付けられているために製品と共に搬送されてゆく電子制御装置に情報を書込む新たな装置を創作した。
この装置は、携帯可能なケースを備えており、当該ケース内に、複数種類の書込用情報を記憶している情報記憶装置と、書込対象の電子制御装置に書込むべき書込用情報の種類を特定する情報に基づいて情報記憶装置に記憶されている複数種類の書込用情報のなかから特定された種類の書込用情報を読出して書込対象の電子制御装置に書込む手段とを収容している。この装置はさらに、書込対象の電子制御装置と前記した書込手段をケーブルで接続する接続手段を備えている。
【0008】
本情報書込装置は、携帯可能なケースを備えており、当該ケース内には電子制御装置に書込むための複数種類の書込用情報を記憶している情報記憶装置が収容されている。書込用情報とは、主として電子制御装置を作動させる制御プログラムや制御用データのことをいう。また、情報記憶装置とは、情報書込装置に内蔵されるもの(半導体メモリ、磁気ディスク等)の他、通常は情報書込装置から独立した状態で存在しており、情報書込装置を使用する際に嵌め込まれたり、外付けされたりして用いられるもの(光ディスク、光磁気ディスク、メモリカード等)を含んでいう。ここでは外付けされる場合も「収容されている」というものとするが、情報書込装置と共に携帯可能な状態(装置に近接した状態)で外付けされる必要がある。
携帯可能なケースには、書込対象の電子制御装置に書込むべき書込用情報の種類を特定する情報に基づいて、前記情報記憶装置に記憶されている複数種類の書込用情報のなかから、特定された種類の書込用情報を読出して書込対象の電子制御装置に書込む手段も収容されている。
本情報書込装置では、情報記憶装置と書込手段とが携帯可能なケースに収容される。そのため本情報書込装置は、電子制御装置が組み付けられる製品の内部、製品の上、あるいは、製品の脇等に配置され、組立ラインを搬送されてゆく電子制御装置と共に搬送されて情報を書込むことができる。したがって、製品の外部からケーブルを引き入れて情報を書き込む必要がなくなり、ケーブル長の制約に伴う書込み可能な情報量の制約の問題もなく、一方、ケーブル長の伸長に伴う通信品質の低下のおそれもない。また、本情報書込装置では、書込手段が接続手段によって書込対象の電子制御装置とケーブルで接続される。したがって、情報記憶装置から製品内に設けられたケーブルを介して書込みを行うことができ、無線通信の場合のように、書込み可能な情報量が制約されることがない上に、通信品質が低下することもない。
以上のように、本情報書込装置によれば、組立工程を搬送されてゆく製品に組み付けられているために製品と共に搬送される電子制御装置に、多量の情報を書込めると共に、通信品質を確実に担保して書込みを行うことができる。
【0009】
製品に組み付けられる各部品(電子制御装置や電子制御装置によって制御される対象となる部品も含む)の種類を示す情報は、製品の組立工程において組立作業の確認等の目的で一般的に広く用いられている。したがって、電子制御装置の種類を示す情報及び/又は電子制御装置によって制御する対象物の種類を示す情報に基づいて、書込対象の電子制御装置に書込むべき書込用情報の種類が特定されることが好ましい。
従来から一般的に用いられている情報を有効に活用して書込みを行うことが可能となる。
【0010】
書込対象の電子制御装置に書込むべき書込用情報の種類を特定する情報が送信装置から送信されるときがある。例えば、書込対象の電子制御装置に書込むべき書込用情報の種類を特定する情報がバーコードで表示されており、バーコードリーダが送信装置となって情報書込装置に送信される場合がある。あるいは、書込対象の電子制御装置に書込むべき書込用情報の種類を特定する情報が製品組立工場に設置された無線送信設備に格納されており、その無線送信設備から情報が送信される場合がある。このような場合は、情報書込装置に書込対象の電子制御装置に書込むべき書込用情報の種類を特定する情報を受信する手段が付加されていることが好ましい。
書込対象の電子制御装置に書込むべき書込用情報の種類を特定する情報の情報量は、制御プログラムや制御用データの情報量に比して著しく規模が小さいため、既存の装置や機器によっても確実に送受信することができる。また、既存の装置や機器を用いることができるため、コストも小さくて済む。
【0011】
本発明では、製品に組付けられており、製品の制御に必要な情報が書込まれている電子制御装置を製造する方法も創作した。
この製造方法は、電子制御装置を製品に組付ける工程と、製品に組付けられた電子制御装置に情報を書込む装置を製品と共に移動可能に配置する工程と、前記情報書込装置と電子制御装置をケーブルで接続する工程と、製品と、その製品に組付けられた電子制御装置にケーブルで接続された情報書込装置を共に搬送する工程と、搬送中の電子制御装置に搬送中の情報書込装置からケーブルを介して、製品の制御に必要な情報を書込む工程とを有することを特徴とする。
本製造方法によれば、書込み可能な情報量と通信品質とを共に担保して信頼性の高い書込みを行い、高品質な電子制御装置を製造することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】下記に説明する実施例の主要な特徴を列記する。
(形態1)情報書込装置に備えられている情報記憶装置は、製品に組付けられるべき全ての電子制御装置の種類に対応する書込用情報を記憶している。
(形態2)情報書込装置にはバーコードリーダが接続され、情報書込装置はバーコードリーダから送信される書込用情報の種類を特定する情報を受信する。あるいは、無線送信装置から送信される書込用情報の種類を特定する情報を、付属の無線アンテナで受信する。
(形態3)情報書込装置は、製品の内部、製品の上、あるいは、製品の脇等に配置されて書込みを行う。
【0013】
【実施例】本発明の第1の実施例を、図1から図7を参照して詳細に説明をする。本実施例では、自動車(製品)の生産に本発明を適用した例によって説明をする。図1は、車両(部品の組み付けが途中の段階の自動車)に組み付けられたECU(電子制御装置)に制御プログラム(書込用情報)を書込むために車両の内部に情報書込装置を配置した例を模式的に示す図である。また、図2は、車両の内部の接続配列を模式的に示す図である。
図1に示すように、車両1には、制御プログラムが書込まれる前のエンジンECU2a、ABS−ECU2bと、バッテリ3が組み付けられている。情報書込装置10はエンジンECU2a、ABS−ECU2bとバッテリ3に接続されている。情報書込装置10は携帯可能なハンディタイプであり、車両1の内部に配置されてエンジンECU2a、ABS−ECU2bに制御プログラムの書込みを行う。情報書込装置10は車両1に組み付けられたバッテリ3から駆動エネルギを取得する。情報書込装置10にはバーコードリーダ12が接続されている。バーコードリーダ12は製品詳細情報バーコード表30に表示されたバーコードを読み取って、データを情報書込装置10に送信する。なお、製品詳細情報バーコード表30は、組立工程において製品に組み付ける部品を識別するために、従来から一般的に用いられているものである。
【0014】
図2に示すように、情報書込装置10は、コネクタ4aによって電源ケーブル5と連結され、コネクタ4bによって通信ケーブル6に連結されている。コネクタ4a,4bは車両に設けられ、電源端子と通信用端子を兼ね備えている。情報書込装置10が電源ケーブル5や通信ケーブル6に連結されるのはプログラム書込みの実施時のみで、それ以外の時には取り外すことができる。電源ケーブル5は情報書込装置10の他にも、エンジンECU2a、ABS−ECU2b(及び図示されていないその他の各ECU)をバッテリ3と接続する。通信ケーブル6は車内LANを構成するバスケーブルであり、情報書込装置10とエンジンECU2a、ABS−ECU2bを接続する。また、エンジンECU2a、ABS−ECU2b(及び図示されていないその他の各ECU)は通信ケーブル6によって相互に有機的に結ばれている。
情報書込装置10はケーブル14によってバーコードリーダ12と接続されている。
【0015】
次に、図3を参照して、情報書込装置10の内部構成の説明をする。情報書込装置10は、携帯可能な本体ケース内に、電源部102、制御部104、記憶装置106、通信部110を収容している。
電源部102は、コネクタ4aを介して電源ケーブル5に連結されており、図1及び図2で示したバッテリ3から供給される電源を駆動可能な電圧に変換して情報書込装置10内に供給する。
制御部104は後述する送信プログラムに従って、製品詳細情報伝達用通信部112から転送される製品詳細情報のデータを手掛かりとして、記憶装置106に記憶された制御プログラムから対応するプログラムを抽出し、抽出したプログラムをプログラム書込み用通信部114に転送する。
記憶装置106は、一の車種の車両に組み付けられ得る全ての種類のECUに対応する全ての種類の制御プログラムを予め記憶している(領域1062)。ここで、一の車種であってもECUによって制御される部品の種類は多数ある。また、一の種類の部品であっても品目や型式等が多数あり、それぞれの品目や型式等の部品を制御するECUの品番もそれぞれ異なっている。例えば一の車種にはエンジン等の多数の種類のECU制御の部品がある。また、エンジンだけでもその型式毎にECUの品番が異なっており、ECUの品番が異なれば制御プログラムの種類も異なる。このため、領域1062には多数の種類の制御プログラムを記憶しなければならない。また、領域1064には、対応する制御プログラムを抽出してECUに送信する手順が記述されている送信プログラムも記憶される。
したがって記憶装置106は、数十メガバイトから数百メガバイト程度(あるいは、それ以上)の容量を有することが好ましい。
表示部108は、情報書込装置10の動作状態等を表示することができるLED、液晶表示画面等の表示装置である。
通信部110は、製品詳細情報伝達用通信部112と、プログラム書込み用通信部114から構成されている。製品詳細情報伝達用通信部112は、バーコードリーダ12から送信される製品詳細情報のデータを入力し、制御部104に転送する。プログラム書込み用通信部114は、制御部104によって記憶装置106から転送される制御プログラムを、コネクタ4bを介して通信ケーブル6に出力し、エンジンECU2a、ABS−ECU2bに送信する。
【0016】
図4に、製品詳細情報バーコード表30に表示される製品詳細情報のバーコードを、アルファベットと数字に変換したコード例を示す。製品詳細の欄には、車種の他、エンジン、ABS、トランスミッション、オプション等、制御プログラムを書込む必要のあるECUによって制御される全ての種類の部品が示されている。詳細コードの欄には、バーコードが変換された車種を識別するコードや、各種類の部品の品目や型式等を識別するコードが示されている。この例では、2Hで識別される車種であり、BHで識別される型式のエンジンが組み付けられることを示す。オプション設定等の識別すべき品目や型式等が多い項目についてはデータ長が長い詳細コードが引き当てられるが、情報伝達時間を短縮するためにも最短のデータ長となるようなコード化がなされる。なお本実施例では、一の情報書込装置は一の車種に対応するものとされているため、車種の詳細コードは、情報書込装置を指定する機能も有する。
図5に、記憶装置106の領域1062に記憶される制御プログラムのプログラムコードの例を示す。ECU種類の欄には、各部品を制御するECUの種類の情報が示されている。プログラムコードの欄には、各ECUに書込むべき制御プログラムを特定するコードがHEX表示されている。上位2桁のナンバーが、上記の図4で示された詳細コードで識別される品目や型式等の部品を制御するECUの品番を特定しており、詳細コードと対応関係を有する。以下では、この上位2桁のナンバーを「ECUナンバー」という。例えば、エンジンECUの場合、ECUナンバー01が、上記の図4で示された詳細コードBHで識別される型式のエンジンを制御するエンジンECUの品番を特定している。このECUナンバーは予め各ECU内に記憶されている。また、下位3桁が当該ECUに書込むべき制御プログラムを特定しており、上位2桁のコードと対応関係を有する。以下では、この下位3桁のナンバーを「プログラムナンバー」という。例えば、ECUナンバー01で特定される品番のエンジンECUには、プログラムナンバーA3Hで特定される制御プログラムを書込むべきであるということを示している。
なお、サスペンションECUについてはプログラムコードの欄が空欄となっている。これは上記の詳細コードで識別される型式のサスペンションがECUで制御されるものではないため、サスペンションECUは組み付けられないことを示している。
以上のように、バーコード化された製品詳細情報により、情報書込装置10が指定され、情報書込装置10の制御部104は、車両1にどのような種類及び品目、型式の部品が組み付けられるのかを把握することができる。それに対応したプログラムコードのECUナンバーから、どのような種類及び品番のECUが組み付けられるのかを把握することができる。また、ECUナンバーに対応したプログラムナンバーにより、各ECUに書込むべき制御プログラムを記憶装置106から抽出することができる。
【0017】
次に、自動車の組立工程でのフローを図6のフローチャートに従って説明をする。ステップS2はECUを組み付ける工程である。ステップS2では、バッテリと、制御プログラムの書込みが必要な全てのECUを、車両に組み付ける。
【0018】
ステップS4からステップS10まではECU以外の部品を組み付けると共に、各ECUに制御プログラムを書込む工程である。ステップS4のフローと、ステップS6からステップS10のフローとが並行的に行われる。ステップS4では、ECU以外の部品を車両に組み付ける。通常は組付けるべき部品が複数あり、それぞれの部品はそれぞれ別のラインで組み付けられることが多いため、車両は複数のラインを跨って搬送されることとなる。各ラインで組付作業を行う間に、ステップS6では、車両の内部に情報書込装置を配置し、バッテリやECUと接続する。次に、ステップS8において、バーコード表のバーコードを読み取ったバーコードリーダが、製品詳細情報のデータを情報書込装置に送信し、データを受信した情報書込装置10から各ECUへ制御プログラムを送信して書込みを実施する。このようにECU以外の部品を車両に組み付ける作業とECUにプログラムを書込む処理とを並行的に行うことができるのは、情報書込装置が携帯可能であり、車両の内部に配置され車両と共に組立ラインを搬送されるためである。
ステップS8での書込み処理の詳細なフローを、図7のフローチャートに従って説明をする。
【0019】
まず、ステップS802では、バーコードリーダ12が読み取った製品詳細情報のデータを通信部110の製品詳細情報伝達用通信部112から入力し、制御部104へ転送する。
ステップS804で、制御部104は送信プログラムに従って、製品詳細情報のコード(図4を参照)を手掛かりとして書込みを行うべき全てのECUの種類と品番を特定する。ECUへの制御プログラムの書込みは、ECU毎に順次に実施される。
ステップS806で、制御部104は送信プログラムに従って、制御プログラムの書込みを行うために通信ケーブル6を占有することをコマンドで各ECUに伝達する。それと共に、最初に書込みを実施するECUに対して書込み開始要求を送信する。各ECUには予め固有のECUナンバーが記憶されているため自己が書込み対象となるのか否かが判断され、書込み対象となるECUから書込み開始要求応答が返信される。これによって、情報書込装置10と書込み対象ECUのみが通信ケーブル6を占有することが可能となる。
続くステップS808では、制御部104は送信プログラムに従って、書込対象ECUのプログラムコード中のプログラムナンバーを手掛かりにして記憶装置106の領域1062から対応する制御プログラムを抽出する。例えばエンジンECU(ECUナンバー01)が最初の書込み対象とされた場合、図5では、プログラムコード中のプログラムナンバーA3Hで特定されるプログラムを抽出する。そして、抽出したプログラムを通信部110のプログラム書込み用通信部114に転送する。プログラム書込み用通信部114は、記憶装置106から転送されたプログラムをコネクタ4bを介して通信ケーブル6に出力し、書込み対象ECUへ送信する。
一の書込み対象ECUに書込むべき全データの送信が完了すると、ステップS810において、制御部104は送信プログラムに従って、書込み対象ECUに書込み終了要求を送信する。書込み終了要求を受信した書込み対象ECUは、正常に書込みが終了した場合は正常終了応答を返信する。一方、ノイズによってプログラム送信中にデータが破壊されたり、上手く送信されなかった等、書込みが正常に終了しなかった場合は異常終了応答を返信する。情報書込装置10が書込み対象ECUからの終了応答を受信したら、通信ケーブル6の占有を一旦解除する。
ステップS812では、次に書込みの対象となるECUが存在するか否かが判断される。存在すると判断された場合(ステップS812でYES)はステップS806に戻って全てのECUへの書込みが終了まで一連の処理が繰り返し実施される。一方、次のECUが存在しないと判断された場合(ステップS812でNO)は、全てのECUへの書込み処理を終了する。
ステップS814では、書込みを行ったときの送信状態を確認する。前述の各ECUから返信された終了応答を確認することによって、プログラムの書込みが正常に行われたか否かを明らかにすることができる。この終了応答からはECUナンバーが明らかになるため、ECUナンバーを製品の詳細コードと照合することによって、プログラムを書込んだECUが製品詳細情報で挙げられているECUと矛盾しないか否かを明らかにすることもできる。例えば、エンジンECUから返信された終了応答からは、図5では、ECUナンバー01が明らかになるため、製品の詳細コード(図4ではBH)と照合して、矛盾がないか否かを明らかにすることができる。このようにして、一の車両に組み付けられるべきECUに書込むべきプログラムが確実に書込まれたか否かを確認することができる。また、書込み対象ECU以外の各ECUからも、送信状態のモニタ情報が伝達されている。通信ケーブル6は情報書込装置10と書込み対象ECUとで占有されるため当該ECU以外のECUは通信ケーブル6へデータの出力は禁止されているが、データを読むことは可能である。したがって、書込み対象ECU以外の全てのECUは送信状態をモニタすることができ、書込みが正常に行われたか否かのモニタ情報が伝達されている。さらには、車両に組み付けられていないECU(図5ではサスペンションECU)へ誤ってデータを送信した場合(通信ケーブル6の終端が空き状態となっているところにデータが送信されたような場合)には、正常な書込みが行われなかったという情報が伝達されている。これらの情報から書込みを行ったときの送信状態を確認することができる。
制御部104が正常に書込みが行われたと確認した場合は、ステップS816で正常終了とする。一方、少なくとも一部においても書込みが正常に行われなかったと確認した場合は、ステップS818で異常終了とする。異常終了が確認された場合は表示部108においてその旨が作業者に伝えられ、作業者は再度書込み処理を行う等の対策を取ることが可能となる。
【0020】
書込みが終了したら、図6のステップS10において、情報書込装置を車両から撤去する。このようにしてECU以外の部品組み付け及びプログラム書込み工程が終了する。
【0021】
最後に、ステップS12の検査工程が行われる。ステップS12では、完成した自動車の各種検査が行われ、検査をパスすれば製品としての自動車が完成することとなる。
【0022】
次に、本発明の第2の実施例を、図8を参照して説明をする。図8の基本的な構成は前述した図1と同様であるので、ここでは同一部分には同一記号を付すこととする。
情報書込装置20には無線アンテナ20aが付加されている。無線アンテナ20aが、外部設備32に格納されアンテナ32aから送信される無線の製品詳細情報のデータを受信し、無線レシーバである製品詳細情報伝達用通信部(図3を参照)からデータが情報書込装置20に入力される。
このように外部設備32が製品詳細情報を送信することで、車両1にバーコード表を取り付けたり、情報書込装置20にバーコードリーダを接続したりする必要がなくなり、車両周りの煩雑さを回避することができる。また、外部設備32から送信されるのは製品詳細情報のデータでありその情報量は制御プログラムの情報量に比して著しく少ないため、送受信されるデータの信頼性に問題があるという弊害も小さい。
【0023】
続いて、本発明の第3の実施例を、図9を参照して説明をする。図9の基本的な構成は前述した図8と同様であるので、ここでは同一部分には同一符号を付すこととする。
情報書込装置30には無線アンテナ30aが付加されている。無線アンテナ30aが車両1内に備えられた製品詳細情報発信タグ34から送信される無線の製品詳細情報のデータを受信し、無線レシーバである製品詳細情報伝達用通信部(図3を参照)からデータが情報書込装置30に入力される。
このように車両1内に製品詳細情報発信タグ34を備えることで、大掛りな装置を必要とせず製品詳細情報を得ることが可能となる。また、製品詳細情報の情報量は制御プログラムの情報量に比して著しく少ないため、発信タグにも十分に格納することができる。
【0024】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
・本実施例では、組立ラインを移動する車両に組み付けられたECUに制御プログラムの書込みを実施していたが、これに限るものではない。一のライン内で停止した状態の車両組み付けられたECUに、その停止した状態のまま書込みを実施することも可能である。
・本実施例では、一の情報書込装置は一の車種に対応するとされているが、これに限るものではない。一の情報書込装置は一のラインを流れる車種の全てに対応するものであってもよいし、あるいは、一の生産会社が生産する車種の全てに対応するものであってもよい。逆に、一の仕様の自動車にのみ対応するものとすることも可能である。また、情報記憶装置を入れ換えることによって車種や仕様に対応させるようにしてもよい。
・本実施例では、ECUによって制御される部品の種類を示す情報(詳細コード)に基づいて、書込み対象のECUの種類を示す情報(ECUナンバー)を特定し、ECUナンバーによって書込むべき制御プログラムを特定する情報(プログラムナンバー)を得ていた。しかしながら、制御プログラムを特定する情報を直接入力することで書き込むべき制御プログラムを特定してもよいし、あるいは、書込み対象のECUの種類を示す情報を入力することで書き込むべき制御プログラムを特定してもよい。
・本実施例では、バーコードリーダは情報書込装置とケーブル(有線)で接続されているが、無線で接続することも可能である。
・本実施例では、情報書込装置の駆動エネルギを車両に組み付けられたバッテリから取得しているが、情報書込装置内に電池等を内蔵することも可能である。
・本実施例では、書込み処理の送信確認(ステップS814)と終了確認(ステップS816、ステップS818)を全てのECUへの書込みが終了した後に行っていたが、これに限るものではない。各ECUの書込みが終了した時点で順次に行ってもよいし、所定の数のECUの書込みが終了した時点で行ってもよく、様々な手順で可能である。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両の内部に情報書込装置を配置した例を模式的に示す図である。
【図2】車両の内部の接続配列を模式的に示す図である。
【図3】情報書込装置の内部構成を示す図である。
【図4】製品詳細情報のバーコードを変換して、アルファベットと数字で表したコード例を示す図である。
【図5】制御プログラムのプログラムコードの例を示す図である。
【図6】自動車の組立工程でのフローを示すフローチャートである。
【図7】書込み処理の詳細なフローを示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施例を示す図である。
【図9】本発明の第3の実施例を示す図である。
【符号の説明】
1 :車両、
2a:エンジンECU、
2b:ABS−ECU、
3 :バッテリ、
4a,4b:コネクタ、
5 :電源ケーブル、
6 :通信ケーブル、
10:情報書込装置、
12:バーコードリーダ
【発明の属する技術分野】本発明は、電子制御装置に情報を書込む装置と情報が書込まれた電子制御装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】多くの製品組立工場では、未完成製品を加工工程から次の加工工程に搬送しながら製品を完成させていく。このとき、多種類の製品を混在させた状態で製品群を次々に生産することが多い。多くの製品がコンピュータで構成されている電子制御装置を利用している。例えば、自動車にはエンジン制御用の電子制御装置や自動変速機制御用の電子制御装置が組込まれ、電子レンジにはマグネトロン制御用の電子制御装置が組込まれる。電子制御装置が意図した制御を実現するためには、電子制御装置に制御プログラムや各種のデータを記憶させておく必要がある。多種類の製品を混在させた状態で電子制御装置が組込まれた製品群を次々に生産する場合、生産する製品に対応した電子制御装置を組付ける必要がある。
生産する製品に対応する電子制御装置を組付ける場合、2種類の方法が存在する。第1の方法は、生産する製品に対応する電子制御装置を選択して製品に組付ける。例えば、製品AとBを生産する場合、製品Aのための電子制御装置aと製品Bのための電子制御装置bを用意しておき、製品Aには電子制御装置aを選択して組付け製品Bには電子制御装置bを選択して組付ける。この場合、予め用意しておく必要がある電子制御装置の種類数が増えてしまう。そこで第2の方法が考えられた。第2の方法では、ハードウエアが共通な電子制御装置については、制御プログラムや制御用データが相違していても共通種類と扱ってしまう。先の例であれば、製品Aのための電子制御装置aと製品Bのための電子制御装置bのハードウエアが共通であるかぎり、製品Aのための電子制御装置と製品Bのための電子制御装置を区別せず、ハードウエアが共通な電子制御装置のうちの任意のものを製品Aに組付け、任意のものを製品Bに組付ける。組付けた後に、製品Aに組付けられた電子制御装置には製品Aに必要な制御プログラムや制御用データを書込み、製品Bに組付けられた電子制御装置には製品Bに必要な制御プログラムや制御用データを書込む。この方法によると、製品組立工場で管理する必要のある電子制御装置の種類数が低減され、在庫を確保しておくのに必要とされるコストが低下する。
例えば、製品A〜Fの6種類を生産し、製品A〜Cの電子制御装置のハードウエアが共通であり、製品D〜Fの電子制御装置のハードウエアが共通である場合、第1の組立て方法によると6種類の電子制御装置の在庫管理をしなければならないのに対し、第2の組立て方法によると2種類の電子制御装置の在庫管理をすれば足りる。
複数の車種や、電子制御装置で制御する部品の複数種類に対して、ハードウエアが共通の電子制御装置を用いる技術が特許文献1に記載されている。この技術では、制御プログラムや制御用データが書込まれていない電子制御装置を在庫しておき、車両に組付けてから車種や制御対象部品に対応した制御プログラムや制御用データを書込む。
製品に組付けられた電子制御装置に制御プログラムや制御用データ等の情報を書込む技術が特許文献2に帰されている。この技術では、加工工程から次の加工工程に搬送される製品に組付けられた電子制御装置と、制御プログラムや制御用データ等の情報を書込む装置をケーブルで接続し、搬送中の電子制御装置にケーブルを介して当該電子制御装置に書込むべき情報を送信して搬送中の電子制御装置に必要な情報を書込む。制御プログラムや制御用データ等の情報を送信して電子制御装置に情報を書込む装置は、組立ラインに隣接する位置に固定されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−132527号公報
【特許文献2】
特開2000−237936号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】固定されている情報書込み装置と製品をケーブルで接続した状態で製品を搬送する場合、情報の書込み処理の間に製品が移動することから、その移動に追従できるだけの長さを有するケーブルを利用しなければならない。近年の電子制御装置は、複雑な制御プログラムと膨大なデータを利用することが多く、情報の書込み処理に要する時間が長くなりがちであり、ケーブル長も長くならざるを得ない。
長いケーブルを利用して情報を送信する場合、ノイズが混入しやすく通信の信頼性が低下する。また、汎用されている通信プロトコルであるCAN通信では、製品内に設けられているケーブルの長さに書込み用ケーブルの長さを加算したケーブルの全長が通信品質に大きく影響し、通信品質を確保するためにケーブル全長が制約されている。現状では、製品内に設けられているケーブルの長さが長くなっており、書込み用ケーブルの長さを十分に確保することができない。
現状では、許容される長さのケーブルで追従できる時間内に多量の情報を書込むことができず、情報量を減らすか、通信品質の低下を覚悟してケーブル長を延ばすか、あるいは書込み中の製品の搬送速度を低下(場合によっては停止させる)させることによって、上記の問題に対処している。情報量を減らせば電子制御装置の性能が低下し、ケーブル長を延ばせば通信エラーが増大し、製品搬送速度を低下させれば生産性が低下する。現状では有効な対策がない。
【0005】
固定された情報書込み装置から、搬送される製品に組付けられている電子制御装置に、無線通信で書込情報を送信すれば、ケーブル長に伴う問題はなくなる。
しかしながら、無線通信の通信品質は有線通信のそれよりも悪く、高い信頼性が要求される場合には有効とはいえない。また無線通信の通信速度は遅く、無線通信方式では実用的な時間の中で通信を完了させられない場合も多い。
【0006】
以上の問題点に鑑み、本発明では、組立工程を搬送されてゆく製品に組付けられているために製品と共に搬送されてゆく電子制御装置に、多量の情報を書込めると共に、通信品質が良好で信頼できる書込技術を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段と作用と効果】本発明では、組立工程を搬送されてゆく製品に組付けられているために製品と共に搬送されてゆく電子制御装置に情報を書込む新たな装置を創作した。
この装置は、携帯可能なケースを備えており、当該ケース内に、複数種類の書込用情報を記憶している情報記憶装置と、書込対象の電子制御装置に書込むべき書込用情報の種類を特定する情報に基づいて情報記憶装置に記憶されている複数種類の書込用情報のなかから特定された種類の書込用情報を読出して書込対象の電子制御装置に書込む手段とを収容している。この装置はさらに、書込対象の電子制御装置と前記した書込手段をケーブルで接続する接続手段を備えている。
【0008】
本情報書込装置は、携帯可能なケースを備えており、当該ケース内には電子制御装置に書込むための複数種類の書込用情報を記憶している情報記憶装置が収容されている。書込用情報とは、主として電子制御装置を作動させる制御プログラムや制御用データのことをいう。また、情報記憶装置とは、情報書込装置に内蔵されるもの(半導体メモリ、磁気ディスク等)の他、通常は情報書込装置から独立した状態で存在しており、情報書込装置を使用する際に嵌め込まれたり、外付けされたりして用いられるもの(光ディスク、光磁気ディスク、メモリカード等)を含んでいう。ここでは外付けされる場合も「収容されている」というものとするが、情報書込装置と共に携帯可能な状態(装置に近接した状態)で外付けされる必要がある。
携帯可能なケースには、書込対象の電子制御装置に書込むべき書込用情報の種類を特定する情報に基づいて、前記情報記憶装置に記憶されている複数種類の書込用情報のなかから、特定された種類の書込用情報を読出して書込対象の電子制御装置に書込む手段も収容されている。
本情報書込装置では、情報記憶装置と書込手段とが携帯可能なケースに収容される。そのため本情報書込装置は、電子制御装置が組み付けられる製品の内部、製品の上、あるいは、製品の脇等に配置され、組立ラインを搬送されてゆく電子制御装置と共に搬送されて情報を書込むことができる。したがって、製品の外部からケーブルを引き入れて情報を書き込む必要がなくなり、ケーブル長の制約に伴う書込み可能な情報量の制約の問題もなく、一方、ケーブル長の伸長に伴う通信品質の低下のおそれもない。また、本情報書込装置では、書込手段が接続手段によって書込対象の電子制御装置とケーブルで接続される。したがって、情報記憶装置から製品内に設けられたケーブルを介して書込みを行うことができ、無線通信の場合のように、書込み可能な情報量が制約されることがない上に、通信品質が低下することもない。
以上のように、本情報書込装置によれば、組立工程を搬送されてゆく製品に組み付けられているために製品と共に搬送される電子制御装置に、多量の情報を書込めると共に、通信品質を確実に担保して書込みを行うことができる。
【0009】
製品に組み付けられる各部品(電子制御装置や電子制御装置によって制御される対象となる部品も含む)の種類を示す情報は、製品の組立工程において組立作業の確認等の目的で一般的に広く用いられている。したがって、電子制御装置の種類を示す情報及び/又は電子制御装置によって制御する対象物の種類を示す情報に基づいて、書込対象の電子制御装置に書込むべき書込用情報の種類が特定されることが好ましい。
従来から一般的に用いられている情報を有効に活用して書込みを行うことが可能となる。
【0010】
書込対象の電子制御装置に書込むべき書込用情報の種類を特定する情報が送信装置から送信されるときがある。例えば、書込対象の電子制御装置に書込むべき書込用情報の種類を特定する情報がバーコードで表示されており、バーコードリーダが送信装置となって情報書込装置に送信される場合がある。あるいは、書込対象の電子制御装置に書込むべき書込用情報の種類を特定する情報が製品組立工場に設置された無線送信設備に格納されており、その無線送信設備から情報が送信される場合がある。このような場合は、情報書込装置に書込対象の電子制御装置に書込むべき書込用情報の種類を特定する情報を受信する手段が付加されていることが好ましい。
書込対象の電子制御装置に書込むべき書込用情報の種類を特定する情報の情報量は、制御プログラムや制御用データの情報量に比して著しく規模が小さいため、既存の装置や機器によっても確実に送受信することができる。また、既存の装置や機器を用いることができるため、コストも小さくて済む。
【0011】
本発明では、製品に組付けられており、製品の制御に必要な情報が書込まれている電子制御装置を製造する方法も創作した。
この製造方法は、電子制御装置を製品に組付ける工程と、製品に組付けられた電子制御装置に情報を書込む装置を製品と共に移動可能に配置する工程と、前記情報書込装置と電子制御装置をケーブルで接続する工程と、製品と、その製品に組付けられた電子制御装置にケーブルで接続された情報書込装置を共に搬送する工程と、搬送中の電子制御装置に搬送中の情報書込装置からケーブルを介して、製品の制御に必要な情報を書込む工程とを有することを特徴とする。
本製造方法によれば、書込み可能な情報量と通信品質とを共に担保して信頼性の高い書込みを行い、高品質な電子制御装置を製造することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】下記に説明する実施例の主要な特徴を列記する。
(形態1)情報書込装置に備えられている情報記憶装置は、製品に組付けられるべき全ての電子制御装置の種類に対応する書込用情報を記憶している。
(形態2)情報書込装置にはバーコードリーダが接続され、情報書込装置はバーコードリーダから送信される書込用情報の種類を特定する情報を受信する。あるいは、無線送信装置から送信される書込用情報の種類を特定する情報を、付属の無線アンテナで受信する。
(形態3)情報書込装置は、製品の内部、製品の上、あるいは、製品の脇等に配置されて書込みを行う。
【0013】
【実施例】本発明の第1の実施例を、図1から図7を参照して詳細に説明をする。本実施例では、自動車(製品)の生産に本発明を適用した例によって説明をする。図1は、車両(部品の組み付けが途中の段階の自動車)に組み付けられたECU(電子制御装置)に制御プログラム(書込用情報)を書込むために車両の内部に情報書込装置を配置した例を模式的に示す図である。また、図2は、車両の内部の接続配列を模式的に示す図である。
図1に示すように、車両1には、制御プログラムが書込まれる前のエンジンECU2a、ABS−ECU2bと、バッテリ3が組み付けられている。情報書込装置10はエンジンECU2a、ABS−ECU2bとバッテリ3に接続されている。情報書込装置10は携帯可能なハンディタイプであり、車両1の内部に配置されてエンジンECU2a、ABS−ECU2bに制御プログラムの書込みを行う。情報書込装置10は車両1に組み付けられたバッテリ3から駆動エネルギを取得する。情報書込装置10にはバーコードリーダ12が接続されている。バーコードリーダ12は製品詳細情報バーコード表30に表示されたバーコードを読み取って、データを情報書込装置10に送信する。なお、製品詳細情報バーコード表30は、組立工程において製品に組み付ける部品を識別するために、従来から一般的に用いられているものである。
【0014】
図2に示すように、情報書込装置10は、コネクタ4aによって電源ケーブル5と連結され、コネクタ4bによって通信ケーブル6に連結されている。コネクタ4a,4bは車両に設けられ、電源端子と通信用端子を兼ね備えている。情報書込装置10が電源ケーブル5や通信ケーブル6に連結されるのはプログラム書込みの実施時のみで、それ以外の時には取り外すことができる。電源ケーブル5は情報書込装置10の他にも、エンジンECU2a、ABS−ECU2b(及び図示されていないその他の各ECU)をバッテリ3と接続する。通信ケーブル6は車内LANを構成するバスケーブルであり、情報書込装置10とエンジンECU2a、ABS−ECU2bを接続する。また、エンジンECU2a、ABS−ECU2b(及び図示されていないその他の各ECU)は通信ケーブル6によって相互に有機的に結ばれている。
情報書込装置10はケーブル14によってバーコードリーダ12と接続されている。
【0015】
次に、図3を参照して、情報書込装置10の内部構成の説明をする。情報書込装置10は、携帯可能な本体ケース内に、電源部102、制御部104、記憶装置106、通信部110を収容している。
電源部102は、コネクタ4aを介して電源ケーブル5に連結されており、図1及び図2で示したバッテリ3から供給される電源を駆動可能な電圧に変換して情報書込装置10内に供給する。
制御部104は後述する送信プログラムに従って、製品詳細情報伝達用通信部112から転送される製品詳細情報のデータを手掛かりとして、記憶装置106に記憶された制御プログラムから対応するプログラムを抽出し、抽出したプログラムをプログラム書込み用通信部114に転送する。
記憶装置106は、一の車種の車両に組み付けられ得る全ての種類のECUに対応する全ての種類の制御プログラムを予め記憶している(領域1062)。ここで、一の車種であってもECUによって制御される部品の種類は多数ある。また、一の種類の部品であっても品目や型式等が多数あり、それぞれの品目や型式等の部品を制御するECUの品番もそれぞれ異なっている。例えば一の車種にはエンジン等の多数の種類のECU制御の部品がある。また、エンジンだけでもその型式毎にECUの品番が異なっており、ECUの品番が異なれば制御プログラムの種類も異なる。このため、領域1062には多数の種類の制御プログラムを記憶しなければならない。また、領域1064には、対応する制御プログラムを抽出してECUに送信する手順が記述されている送信プログラムも記憶される。
したがって記憶装置106は、数十メガバイトから数百メガバイト程度(あるいは、それ以上)の容量を有することが好ましい。
表示部108は、情報書込装置10の動作状態等を表示することができるLED、液晶表示画面等の表示装置である。
通信部110は、製品詳細情報伝達用通信部112と、プログラム書込み用通信部114から構成されている。製品詳細情報伝達用通信部112は、バーコードリーダ12から送信される製品詳細情報のデータを入力し、制御部104に転送する。プログラム書込み用通信部114は、制御部104によって記憶装置106から転送される制御プログラムを、コネクタ4bを介して通信ケーブル6に出力し、エンジンECU2a、ABS−ECU2bに送信する。
【0016】
図4に、製品詳細情報バーコード表30に表示される製品詳細情報のバーコードを、アルファベットと数字に変換したコード例を示す。製品詳細の欄には、車種の他、エンジン、ABS、トランスミッション、オプション等、制御プログラムを書込む必要のあるECUによって制御される全ての種類の部品が示されている。詳細コードの欄には、バーコードが変換された車種を識別するコードや、各種類の部品の品目や型式等を識別するコードが示されている。この例では、2Hで識別される車種であり、BHで識別される型式のエンジンが組み付けられることを示す。オプション設定等の識別すべき品目や型式等が多い項目についてはデータ長が長い詳細コードが引き当てられるが、情報伝達時間を短縮するためにも最短のデータ長となるようなコード化がなされる。なお本実施例では、一の情報書込装置は一の車種に対応するものとされているため、車種の詳細コードは、情報書込装置を指定する機能も有する。
図5に、記憶装置106の領域1062に記憶される制御プログラムのプログラムコードの例を示す。ECU種類の欄には、各部品を制御するECUの種類の情報が示されている。プログラムコードの欄には、各ECUに書込むべき制御プログラムを特定するコードがHEX表示されている。上位2桁のナンバーが、上記の図4で示された詳細コードで識別される品目や型式等の部品を制御するECUの品番を特定しており、詳細コードと対応関係を有する。以下では、この上位2桁のナンバーを「ECUナンバー」という。例えば、エンジンECUの場合、ECUナンバー01が、上記の図4で示された詳細コードBHで識別される型式のエンジンを制御するエンジンECUの品番を特定している。このECUナンバーは予め各ECU内に記憶されている。また、下位3桁が当該ECUに書込むべき制御プログラムを特定しており、上位2桁のコードと対応関係を有する。以下では、この下位3桁のナンバーを「プログラムナンバー」という。例えば、ECUナンバー01で特定される品番のエンジンECUには、プログラムナンバーA3Hで特定される制御プログラムを書込むべきであるということを示している。
なお、サスペンションECUについてはプログラムコードの欄が空欄となっている。これは上記の詳細コードで識別される型式のサスペンションがECUで制御されるものではないため、サスペンションECUは組み付けられないことを示している。
以上のように、バーコード化された製品詳細情報により、情報書込装置10が指定され、情報書込装置10の制御部104は、車両1にどのような種類及び品目、型式の部品が組み付けられるのかを把握することができる。それに対応したプログラムコードのECUナンバーから、どのような種類及び品番のECUが組み付けられるのかを把握することができる。また、ECUナンバーに対応したプログラムナンバーにより、各ECUに書込むべき制御プログラムを記憶装置106から抽出することができる。
【0017】
次に、自動車の組立工程でのフローを図6のフローチャートに従って説明をする。ステップS2はECUを組み付ける工程である。ステップS2では、バッテリと、制御プログラムの書込みが必要な全てのECUを、車両に組み付ける。
【0018】
ステップS4からステップS10まではECU以外の部品を組み付けると共に、各ECUに制御プログラムを書込む工程である。ステップS4のフローと、ステップS6からステップS10のフローとが並行的に行われる。ステップS4では、ECU以外の部品を車両に組み付ける。通常は組付けるべき部品が複数あり、それぞれの部品はそれぞれ別のラインで組み付けられることが多いため、車両は複数のラインを跨って搬送されることとなる。各ラインで組付作業を行う間に、ステップS6では、車両の内部に情報書込装置を配置し、バッテリやECUと接続する。次に、ステップS8において、バーコード表のバーコードを読み取ったバーコードリーダが、製品詳細情報のデータを情報書込装置に送信し、データを受信した情報書込装置10から各ECUへ制御プログラムを送信して書込みを実施する。このようにECU以外の部品を車両に組み付ける作業とECUにプログラムを書込む処理とを並行的に行うことができるのは、情報書込装置が携帯可能であり、車両の内部に配置され車両と共に組立ラインを搬送されるためである。
ステップS8での書込み処理の詳細なフローを、図7のフローチャートに従って説明をする。
【0019】
まず、ステップS802では、バーコードリーダ12が読み取った製品詳細情報のデータを通信部110の製品詳細情報伝達用通信部112から入力し、制御部104へ転送する。
ステップS804で、制御部104は送信プログラムに従って、製品詳細情報のコード(図4を参照)を手掛かりとして書込みを行うべき全てのECUの種類と品番を特定する。ECUへの制御プログラムの書込みは、ECU毎に順次に実施される。
ステップS806で、制御部104は送信プログラムに従って、制御プログラムの書込みを行うために通信ケーブル6を占有することをコマンドで各ECUに伝達する。それと共に、最初に書込みを実施するECUに対して書込み開始要求を送信する。各ECUには予め固有のECUナンバーが記憶されているため自己が書込み対象となるのか否かが判断され、書込み対象となるECUから書込み開始要求応答が返信される。これによって、情報書込装置10と書込み対象ECUのみが通信ケーブル6を占有することが可能となる。
続くステップS808では、制御部104は送信プログラムに従って、書込対象ECUのプログラムコード中のプログラムナンバーを手掛かりにして記憶装置106の領域1062から対応する制御プログラムを抽出する。例えばエンジンECU(ECUナンバー01)が最初の書込み対象とされた場合、図5では、プログラムコード中のプログラムナンバーA3Hで特定されるプログラムを抽出する。そして、抽出したプログラムを通信部110のプログラム書込み用通信部114に転送する。プログラム書込み用通信部114は、記憶装置106から転送されたプログラムをコネクタ4bを介して通信ケーブル6に出力し、書込み対象ECUへ送信する。
一の書込み対象ECUに書込むべき全データの送信が完了すると、ステップS810において、制御部104は送信プログラムに従って、書込み対象ECUに書込み終了要求を送信する。書込み終了要求を受信した書込み対象ECUは、正常に書込みが終了した場合は正常終了応答を返信する。一方、ノイズによってプログラム送信中にデータが破壊されたり、上手く送信されなかった等、書込みが正常に終了しなかった場合は異常終了応答を返信する。情報書込装置10が書込み対象ECUからの終了応答を受信したら、通信ケーブル6の占有を一旦解除する。
ステップS812では、次に書込みの対象となるECUが存在するか否かが判断される。存在すると判断された場合(ステップS812でYES)はステップS806に戻って全てのECUへの書込みが終了まで一連の処理が繰り返し実施される。一方、次のECUが存在しないと判断された場合(ステップS812でNO)は、全てのECUへの書込み処理を終了する。
ステップS814では、書込みを行ったときの送信状態を確認する。前述の各ECUから返信された終了応答を確認することによって、プログラムの書込みが正常に行われたか否かを明らかにすることができる。この終了応答からはECUナンバーが明らかになるため、ECUナンバーを製品の詳細コードと照合することによって、プログラムを書込んだECUが製品詳細情報で挙げられているECUと矛盾しないか否かを明らかにすることもできる。例えば、エンジンECUから返信された終了応答からは、図5では、ECUナンバー01が明らかになるため、製品の詳細コード(図4ではBH)と照合して、矛盾がないか否かを明らかにすることができる。このようにして、一の車両に組み付けられるべきECUに書込むべきプログラムが確実に書込まれたか否かを確認することができる。また、書込み対象ECU以外の各ECUからも、送信状態のモニタ情報が伝達されている。通信ケーブル6は情報書込装置10と書込み対象ECUとで占有されるため当該ECU以外のECUは通信ケーブル6へデータの出力は禁止されているが、データを読むことは可能である。したがって、書込み対象ECU以外の全てのECUは送信状態をモニタすることができ、書込みが正常に行われたか否かのモニタ情報が伝達されている。さらには、車両に組み付けられていないECU(図5ではサスペンションECU)へ誤ってデータを送信した場合(通信ケーブル6の終端が空き状態となっているところにデータが送信されたような場合)には、正常な書込みが行われなかったという情報が伝達されている。これらの情報から書込みを行ったときの送信状態を確認することができる。
制御部104が正常に書込みが行われたと確認した場合は、ステップS816で正常終了とする。一方、少なくとも一部においても書込みが正常に行われなかったと確認した場合は、ステップS818で異常終了とする。異常終了が確認された場合は表示部108においてその旨が作業者に伝えられ、作業者は再度書込み処理を行う等の対策を取ることが可能となる。
【0020】
書込みが終了したら、図6のステップS10において、情報書込装置を車両から撤去する。このようにしてECU以外の部品組み付け及びプログラム書込み工程が終了する。
【0021】
最後に、ステップS12の検査工程が行われる。ステップS12では、完成した自動車の各種検査が行われ、検査をパスすれば製品としての自動車が完成することとなる。
【0022】
次に、本発明の第2の実施例を、図8を参照して説明をする。図8の基本的な構成は前述した図1と同様であるので、ここでは同一部分には同一記号を付すこととする。
情報書込装置20には無線アンテナ20aが付加されている。無線アンテナ20aが、外部設備32に格納されアンテナ32aから送信される無線の製品詳細情報のデータを受信し、無線レシーバである製品詳細情報伝達用通信部(図3を参照)からデータが情報書込装置20に入力される。
このように外部設備32が製品詳細情報を送信することで、車両1にバーコード表を取り付けたり、情報書込装置20にバーコードリーダを接続したりする必要がなくなり、車両周りの煩雑さを回避することができる。また、外部設備32から送信されるのは製品詳細情報のデータでありその情報量は制御プログラムの情報量に比して著しく少ないため、送受信されるデータの信頼性に問題があるという弊害も小さい。
【0023】
続いて、本発明の第3の実施例を、図9を参照して説明をする。図9の基本的な構成は前述した図8と同様であるので、ここでは同一部分には同一符号を付すこととする。
情報書込装置30には無線アンテナ30aが付加されている。無線アンテナ30aが車両1内に備えられた製品詳細情報発信タグ34から送信される無線の製品詳細情報のデータを受信し、無線レシーバである製品詳細情報伝達用通信部(図3を参照)からデータが情報書込装置30に入力される。
このように車両1内に製品詳細情報発信タグ34を備えることで、大掛りな装置を必要とせず製品詳細情報を得ることが可能となる。また、製品詳細情報の情報量は制御プログラムの情報量に比して著しく少ないため、発信タグにも十分に格納することができる。
【0024】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
・本実施例では、組立ラインを移動する車両に組み付けられたECUに制御プログラムの書込みを実施していたが、これに限るものではない。一のライン内で停止した状態の車両組み付けられたECUに、その停止した状態のまま書込みを実施することも可能である。
・本実施例では、一の情報書込装置は一の車種に対応するとされているが、これに限るものではない。一の情報書込装置は一のラインを流れる車種の全てに対応するものであってもよいし、あるいは、一の生産会社が生産する車種の全てに対応するものであってもよい。逆に、一の仕様の自動車にのみ対応するものとすることも可能である。また、情報記憶装置を入れ換えることによって車種や仕様に対応させるようにしてもよい。
・本実施例では、ECUによって制御される部品の種類を示す情報(詳細コード)に基づいて、書込み対象のECUの種類を示す情報(ECUナンバー)を特定し、ECUナンバーによって書込むべき制御プログラムを特定する情報(プログラムナンバー)を得ていた。しかしながら、制御プログラムを特定する情報を直接入力することで書き込むべき制御プログラムを特定してもよいし、あるいは、書込み対象のECUの種類を示す情報を入力することで書き込むべき制御プログラムを特定してもよい。
・本実施例では、バーコードリーダは情報書込装置とケーブル(有線)で接続されているが、無線で接続することも可能である。
・本実施例では、情報書込装置の駆動エネルギを車両に組み付けられたバッテリから取得しているが、情報書込装置内に電池等を内蔵することも可能である。
・本実施例では、書込み処理の送信確認(ステップS814)と終了確認(ステップS816、ステップS818)を全てのECUへの書込みが終了した後に行っていたが、これに限るものではない。各ECUの書込みが終了した時点で順次に行ってもよいし、所定の数のECUの書込みが終了した時点で行ってもよく、様々な手順で可能である。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両の内部に情報書込装置を配置した例を模式的に示す図である。
【図2】車両の内部の接続配列を模式的に示す図である。
【図3】情報書込装置の内部構成を示す図である。
【図4】製品詳細情報のバーコードを変換して、アルファベットと数字で表したコード例を示す図である。
【図5】制御プログラムのプログラムコードの例を示す図である。
【図6】自動車の組立工程でのフローを示すフローチャートである。
【図7】書込み処理の詳細なフローを示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施例を示す図である。
【図9】本発明の第3の実施例を示す図である。
【符号の説明】
1 :車両、
2a:エンジンECU、
2b:ABS−ECU、
3 :バッテリ、
4a,4b:コネクタ、
5 :電源ケーブル、
6 :通信ケーブル、
10:情報書込装置、
12:バーコードリーダ
Claims (4)
- 電子制御装置に情報を書込む装置であって、
携帯可能なケースと、
当該ケース内に収容されており、複数種類の書込用情報を記憶している情報記憶装置と、
当該ケース内に収容されており、書込対象の電子制御装置に書込むべき書込用情報の種類を特定する情報に基づいて、前記情報記憶装置に記憶されている複数種類の書込用情報のなかから、特定された種類の書込用情報を読出して書込対象の電子制御装置に書込む手段と、
書込対象の電子制御装置と前記書込手段とをケーブルで接続する接続手段と、
を備えていることを特徴とする電子制御装置に情報を書込む装置。 - 書込対象の電子制御装置の種類を示す情報及び/又は書込対象の電子制御装置によって制御する対象物の種類を示す情報に基づいて、書込対象の電子制御装置に書込むべき書込用情報の種類を特定する手段を備え、同手段が前記ケース内に収容されていることを特徴とする請求項1の情報書込装置。
- 書込対象の電子制御装置に書込むべき書込用情報の種類を特定する情報を受信する手段が付加されていることを特徴とする請求項1又は2の情報書込装置。
- 製品に組付けられており、製品の制御に必要な情報が書込まれている電子制御装置を製造する方法であって、
電子制御装置を製品に組付ける工程と、
製品に組付けられた電子制御装置に情報を書込む装置を製品と共に移動可能に配置する工程と、
前記情報書込装置と電子制御装置をケーブルで接続する工程と、
製品と、その製品に組付けられた電子制御装置にケーブルで接続された情報書込装置を共に搬送する工程と、
搬送中の電子制御装置に搬送中の情報書込装置からケーブルを介して、製品の制御に必要な情報を書込む工程と、
を有することを特徴とする情報が書込まれた電子制御装置の製造方法。
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JP2002372288A JP2004206249A (ja) | 2002-12-24 | 2002-12-24 | 情報書込装置と情報が書込まれた電子制御装置の製造方法 |
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