本発明の実施の一形態について図1ないし図40に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明にかかる画像形成装置は、階調補正のために、画像形成手段によって異なる階調を配列した階調パターンを生成する場合に、階調パターンにおける上記画像形成手段の副走査方向に隣接する領域の濃度差を階調パターンの濃度がエッジ効果により影響を受けない所定値以内としている。
また、本発明にかかる画像形成装置は、階調パターンの下地分を補正することによりダイナミックレンジを拡大したり、階調パターン読取時の画像フィルタのサイズを階調パターンのディザマトリックスと同サイズにすることで、階調パターンの読取濃度をより適切として、画像形成装置の画像形成条件を適切に調整可能としている。
さらに本発明にかかる画像形成装置およびこれに用いられる画像処理方法は、既知のディザ値に対応した階調パターンを画像読取手段(画像情報入力手段)で読み取った読取値と、目標となる画像形成濃度に対応して決定された該画像読取手段の基準読取値とにより、画像形成手段の出力濃度と多値ディザ法におけるディザ値との関係性を求めることで、簡単かつ適切にγ特性を決定することを可能にする。
まず、本発明にかかる画像形成装置の構成について説明する。本発明にかかる画像形成装置としては、図2に示すように、上方にカラー画像読取部(画像読取手段、以下、単に画像読取部とする)110が配置され、下方にカラー画像形成部(以下、単に画像形成部とする)210が配置され、さらに図2には図示しない画像処理部2(後述)を備えているデジタルカラー複写機(以下、単に画像形成装置1とする)が挙げられる。
画像形成装置1本体において、画像読取部110が配置されている上方には、原稿台111、両面原稿自動送り装置(RADF:Reversing Automatic Document Feeder )112、および後述する操作パネル5が設けられている。
原稿台111は、画像形成装置1本体の上面に配置されている。一方、RADF112は、原稿台111の上面に、該原稿台111に対して開閉可能な状態で支持され、原稿台111面に対して所定の位置関係を有して装着されている。このRADF112は、原稿台111に対して、原稿の両面をそれぞれ自動的に配置させる両面搬送動作を実施するものである。
この両面搬送動作について説明すると、まず、原稿の一方の面が原稿台111の所定位置にて画像読取部110に対向するように、該原稿を原稿台111に向けて搬送する。次に、この一方の面について、画像読取部110による画像入力(画像読取)が終了した後に、他方の面が原稿台111の所定位置において画像読取部110に対向するように、該原稿を原稿台111に向けて搬送する。上記動作によって1枚の原稿における両面の画像入力が終了すれば、RADF112は、この原稿をRADF112に備えられている排紙部に排出し、次の原稿に対しても同様の両面搬送動作を実行する。なお、RADF112による上記原稿の搬送および表裏反転の動作は、画像形成装置1全体の動作に関連して制御される。
画像読取部110は、RADF112により原稿台111上に搬送されてきた原稿の画像情報を入力するために、原稿台111の下方に配置されており、該原稿台111の下面に沿って平行に往復移動する第1および第2の原稿走査体113・114、光学レンズ115、および光電変換素子であるCCD(Charge Coupled Device )116などを有している。
上記第1の原稿走査体113は、原稿画像表面を露光する露光ランプと、原稿からの反射光像を所定の方向に向かって変更する第1ミラーとを有し、原稿台111の下面に対して一定の距離を保ちながら所定の走査速度で平行に往復移動する。第2の原稿走査体114は、第1の原稿走査体113の第1ミラーにより偏向された原稿からの反射光像をさらに所定の方向に向かって偏向する第2および第3ミラーとを有し、第1の原稿走査体113と一定の速度関係を保って平行に往復移動する。
光学レンズ115は、第2の原稿走査体114の第3ミラーにより偏向された原稿からの反射光を縮小し、縮小された光像をCCD116上の所定位置に結像させる。CCD116は、結像された光像を順次光電変換して電気信号として出力する。
このCCD116は、原稿の表面上にある白黒画像あるいはカラー画像を読み取り、R(赤)・G(緑)・B(青)の各色成分に色分解したラインデータを出力することのできる3ラインのカラーCCDのラインセンサとなっている。このCCD116により電気信号(RGB信号など)に変換された原稿の画像情報は、さらに、後述する画像処理部2に転送され、上述した色補正処理などの画像処理が実施される。
画像読取部110の下方に配置されている画像形成部210は、画像形成装置1のほぼ中央に位置し、用紙トレイ251、給紙機構211、一対のレジストローラ212、画像形成ステーションPa〜Pd、転写搬送ベルト機構213、定着装置217、切り換えゲート218、排出ローラ219、排紙トレイ220、スイッチバック搬送経路221などを備えている。
用紙トレイ251は、画像形成部210の下方に配置され、記録媒体である用紙Pを収納している。給紙機構211も用紙トレイ251と同様、画像形成部210の下方に配置され、用紙トレイ251内に積載収容されている用紙Pを1枚ずつ分離して画像形成部210の画像形成ステーションPa〜Pdに向かって供給する。一対のレジストローラ212は、画像形成ステーションPa〜Pdにおける用紙Pが搬送される手前の位置に、用紙Pの搬送路を介して2つのローラが互いに対向配置してなっている。このレジストローラ212は、給紙された用紙Pを画像形成ステーションPa〜Pdに搬送する際のタイミングを制御する。なお、片面に画像が形成された用紙Pは、画像形成ステーションPa〜Pdの画像形成のタイミングに合わせて、該画像形成ステーションPa〜Pdに再供給される。
画像形成ステーションPa〜Pdは、搬送されてきた用紙Pに対して画像を形成する。転写搬送ベルト機構213は、画像形成ステーションPa〜Pdの下方に配置されており、駆動ローラ214と従動ローラ215との間に略平行に伸びるように張架された転写搬送ベルト216に用紙Pを静電吸着させて搬送する。なお、転写搬送ベルト機構213の詳細については後述する。
定着装置217は、転写搬送ベルト機構213の下流側(すなわち用紙搬送方向の下流側)に配置されており、用紙P上に転写形成されたトナー画像を用紙P上に定着させる。この定着装置217には一対の定着ローラが設けられており、この定着ローラ間のニップを通過した用紙Pは、搬送方向切り換えゲート218を経て、排出ローラ219により画像形成装置1の外壁に取り付けられている排紙トレイ220上に排出される。
上記切り換えゲート218は、定着後の用紙Pの搬送経路を、画像形成装置1へ用紙Pを排出する経路と、画像形成部210に向かって用紙Pを再供給する経路との間で選択的に切り換えるようになっている。この切り換えゲート218により再び画像形成ステーションPa〜Pdに向かうように搬送方向が切り換えられた用紙Pは、スイッチバック搬送経路221を介して表裏反転された後、画像形成ステーションPa〜Pdへ再度供給される。
転写搬送ベルト機構213の上方には、上述したように、該転写搬送ベルト216に近接して4つの画像形成ステーションPa〜Pdが併設されている。これら画像形成ステーションPa〜Pdは、用紙Pの搬送方向から見て上流側から、画像形成ステーションPa・Pb・Pc・Pdの順に並んで配置されており、それぞれ異なる色のトナーにより画像を形成する。
なお、用紙Pの搬送方向の上流側から、第1の画像形成ステーションPa・第2の画像形成ステーションPb・第3の画像形成ステーションPc・第4の画像形成ステーションPdとする。また、本実施の形態では、第1の画像形成ステーションPaが黒色(ブラック・K)のトナーにより画像を形成し、第2の画像形成ステーションPbがシアン(C)のトナーにより画像を形成し、第3の画像形成ステーションPcがマゼンタ(M)のトナーにより画像を形成し、第4の画像形成ステーションPdがイエロー(Y)のトナーにより画像を形成する。
転写搬送ベルト機構213は、転写搬送ベルト216、駆動ローラ214、従動ローラ215、用紙吸着用帯電器228、および除電器229などを備えている。この転写ベルト機構213は上述したように、画像形成ステーションPa〜Pdの下方に配置されており、駆動ローラ214と従動ローラ215との間に略平行に伸びるように転写搬送ベルト216を張架している。この転写搬送ベルト機構213の配置されている部位が用紙搬送路となる。
転写搬送ベルト216は駆動ローラ214および従動ローラ215によって略平行に支持され、駆動ローラ214によって回転駆動される。この回転駆動の方向としては、図2に示すように、転写搬送ベルト216における画像形成ステーションPa〜Pdに対向する側が、レジストローラ212側から定着装置217側へ移動するように駆動される(図中矢印Z)。このとき、上述したように給紙機構211から供給される用紙Pを担持し、この用紙Pを画像形成ステーションPa〜Pdへと順次搬送する。
転写搬送ベルト216は、用紙Pを安定して搬送するために用紙吸着用帯電器228によってその表面が帯電される。この用紙吸着用帯電器228は、第1の画像形成ステーションPaと給紙機構211との間、すなわち転写搬送ベルト216の回転方向の上流側に設けられている。これによって、給紙機構211から供給された用紙Pは、転写搬送ベルト216上の確実に吸着させた状態で第1の画像形成ステーションPaから第4の画像形成ステーションPdの間をずれることなく搬送される。
一方、転写搬送ベルト216の回転方向の下流側、すなわち第4の画像形成ステーションPdと定着装置217との間で駆動ローラ214のほぼ真上部には除電器229が設けられている。この除電器229には、転写搬送ベルト216に静電吸着されている用紙Pを転写搬送ベルト216から分離するために、交流電圧が印加されている。これによって、転写搬送ベルト216から用紙Pが剥離される。
各画像形成ステーションPa〜Pdは、実質的に同一の構成を有している。各画像形成ステーションPa・Pb・Pc・Pdは、転写搬送ベルト216に対向して配置され、該転写搬送ベルト216のベルトの回転方向と順方向(図2では矢印F方向)に回転駆動される感光体ドラム222a・222b・222cおよび222dをそれぞれ含んでいる。
各感光体ドラム222a〜222dの周辺には、帯電器223a・223b・223c・223d、現像装置224a・224b・224c・224d、転写器225a・225b・225c・225d、クリーニング装置226a・226b・226c・226dが、感光体ドラム222a〜222dの回転方向に沿ってこの順で配置されている。
帯電器223a・223b・223c・223dは、感光体ドラム222a〜222dをそれぞれ一様に帯電する。現像装置224a・224b・224c・224dは、感光体ドラム222a〜222d上に、後述するレーザビームスキャナユニット227a・227b・227c・227dにより形成された静電潜像をそれぞれ現像する。転写器225a・225b・225c・225dは、現像された感光体ドラム222a〜222d上のトナー像を用紙Pへ転写する。クリーニング装置226a・226b・226c・226dは、感光体ドラム222a〜222d上に残留するトナーを除去する。
各感光体ドラム222a〜222dの上方には、レーザビームスキャナユニット(以下LSUと略す)227a・227b・227c・227dがそれぞれ設けられている。LSU227a〜227dは、半導体レーザ素子(図示せず)、ポリゴンミラー(偏向装置)240a〜240d、fθ(走査)レンズ241a〜241dやミラー242a・242b・242c・242dおよび243a・243b・243c・243dなどを備えている。半導体レーザ素子は、前述した画像処理部2によって色補正などの画像処理が実施された出力データに応じて変調された光を発する。ポリゴンミラー240a〜240dは、半導体レーザ素子からのレーザビームを主走査方向に偏向させる。fθレンズ241a〜241dやミラー242a〜242dおよび243a〜243dなどは、ポリゴンミラー240a〜240dにより偏向されたレーザビームを感光体ドラム222a〜222d表面に結像させる。
LSU227aにはカラー原稿画像における黒(ブラック)成分像に対応する画像信号が入力され、LSU227bにはカラー原稿画像におけるシアン成分の像に対応する画像信号が入力され、LSU227cにはカラー原稿画像におけるマゼンタ成分の像に対応する画像信号が入力され、LSU227dにはカラー原稿画像におけるイエロー成分の像に対応する画像信号が入力される。
画像形成ステーションPa〜Pdにそれぞれ備えられている現像装置224a〜224dには、各画像形成ステーションPa〜Pdに入力される画像信号に対応する色のトナーが収容されている。具体的には、現像装置224aにはブラックのトナーが、現像装置224bにはシアンのトナーが、現像装置224cにはマゼンタのトナーが、現像装置224dにはイエローのトナーがそれぞれ収容されている。感光体ドラム222a〜222d上の静電潜像は、これら各色のトナーにより現像される。これにより、画像形成部210にて原稿画像の情報が各色のトナー像として再現される。
上記構成の画像形成装置1においては、用紙Pとしてカットシート状の紙が使用される。この用紙Pは、用紙トレイ251から送り出されて、給紙機構211における給紙搬送経路のガイド内に供給されると、その用紙Pの先端部分がセンサ(図示せず)にて検知され、このセンサから出力される検知信号に基づいて、一対のレジストローラ212により一旦停止される。
そして、用紙Pは各画像形成ステーションPa〜Pdとタイミングをとって上記矢印Z方向に回転している転写搬送ベルト216上に送られる。このとき転写搬送ベルト216には上述したように用紙吸着用帯電器228により所定の帯電が施されているので、用紙Pは、各画像形成ステーションPa〜Pdを通過する間、安定して搬送供給される。
各画像形成ステーションPa〜Pdにおいては、ブラック・シアン・マゼンタ・イエロー各色のトナー像がそれぞれ形成され、転写搬送ベルト216により静電吸着されて搬送される用紙Pの支持面上で重ね合わせられる。第4の画像形成ステーションPdによる画像の転写が完了すると、用紙Pは、その先端部分から順次、除電器229により転写搬送ベルト216上から剥離され、定着装置217へと導かれる。最後に、トナー画像が定着された用紙Pは、用紙排出口(図示せず)から排紙トレイ220上へと排出される。
なお、上述の説明では、LSU227a〜227dによって、レーザビームを走査して露光することにより、感光体ドラム222a〜222d上へ光書き込みを行う。しかしながら、感光体ドラム222a〜222d上に光書き込みを実施する書き込み手段としては、LSU227a〜227dに限定されるものではない。
たとえば、他の書き込み手段としては、発光ダイオードアレイと結像レンズアレイからなる書き込み光学系(LED:Light Emitting Diodeヘッド)を用いてもよい。LEDヘッドはレーザビームスキャナユニットに比べてサイズも小さく、また可動部分がなく無音である。よって複数個の光書き込みユニットを必要とするタンデム方式のデジタルカラー画像形成装置などでは、好適に用いることができる。
上記画像形成装置1に備えられている画像処理部2について説明する。この画像処理部2は、図3に示すように、画像データ入力部40、画像データ処理部41、ハードディスク装置もしくはRAM(ランダムアクセスメモリ)などから構成される画像メモリ43、画像データ出力部42、中央処理装置(以下、CPUと略す)44、画像編集部45、外部インターフェイス部46および47、並びに画像判定部48から構成されている。
画像データ入力部40は、カラーCCD40a、シェーディング補正回路40b、ライン合わせ部40c、センサ色補正部40d、MTF補正部40e、およびγ補正部40fなどを備えている。
カラーCCD40aは、前述したように、白黒原稿あるいはカラー原稿画像を読み取り、RGBの色成分に色分解したラインデータを出力することのできる3ラインのカラーCCDであり、図2に示す画像読取部110における光電変換素子であるCCD116に相当する。
シェーディング補正回路40bは、カラーCCD40aにて読み取られたラインデータのライン画像レベルを補正するものである。ライン合わせ部40cは、カラーCCD40aにて読み取られた画像ラインデータのずれを補正するもので、ラインバッファなどから構成される。
センサ色補正部40dは、3ラインのカラーCCD40aから出力される各色のラインデータの色データを補正するものである。MTF補正部40eは、各画素の信号の変化にめりはりを持たせるように補正するものである。γ補正部40fは、画像の明暗を補正して視感度補正を行うものである。
画像データ処理部41は、モノクロデータ生成部41a、入力処理部41b、領域分離部41c、黒生成部41d、色補正回路41e、ズーム処理回路41f、空間フィルタ41g、および中間調処理部41hなどを備えている。
モノクロデータ生成部41aは、原稿が白黒原稿の場合、上記画像データ入力部40から入力されるカラー画像信号であるRGB信号よりモノクロデータを生成するものである。
入力処理部41bは、原稿がカラー原稿の場合、上記画像データ入力部40から入力されるカラー画像信号であるR・G・B信号を、画像形成ステーションPb・Pc・Pdに対応したCMY信号に変換し、また、併せて、クロック変換処理、およびAEヒストグラム処理も実施するものである。AEヒストグラム処理により、上記画像データ入力部40から入力されるカラー画像信号から、原稿における文字情報や絵情報を分離することができる。
領域分離部41cは、モノクロデータ生成部41aあるいは入力処理部41bから入力された画像データが、文字部なのか網点写真なのか、あるいは印画紙写真なのかをそれぞれ分離するものである。
黒生成部41dは、入力処理部41aから出力されるCMY信号に基づいて下色除去処理を行い黒生成するものであり、カラー画像形成時の黒の色データ(K信号)を生成するものである。色補正回路41eは、各色変換テーブルに基づいて、CMYの各カラー画像信号の各色を調整するものである。
ズーム処理回路41fは、設定されている倍率に基づいて入力された画像情報を倍率変換するものである。中間調処理部41hは、多値誤差拡散や多値ディザなどの階調性を表現するためのものである。
画像メモリ43は、中間調処理部41hによる中間調処理までが施された各色の画像データを一旦格納するものであり、画像データ処理部41からシリアル出力される8ビット4色(32ビット)の画像データを順次受け取り、バッファに一時貯えながら32ビットのデータから8ビット4色の画像データに変換して各色毎の画像データとして記憶管理する4基のハードディスク(回転記憶媒体)43a・43b・43c・43dを備えている。
また、画像メモリ43は、各画像形成ステーションPa・Pb・Pc・Pdの位置が異なるため、画像メモリ43の遅延バッファメモリ43e(半導体メモリ)に各色画像データを一旦記憶させ、それぞれ時間をずらすことにより、各LSU227a〜227dに画像データを送るタイミングを合わせ、色ずれを防ぐようになっている。さらに画像メモリ43には、複数の画像の合成を行うための画像合成メモリ(図示せず)も含まれている。
画像データ出力部42はレーザコントロールユニット(以下、LCUと略す)42aと、LSU42b・42c・42d・42eを備えている。
LCU42aは、中間調処理部41hからの各色の画像データに基づいてパルス幅変調を行うものである。LSU42b・42c・42d・42eは、LCU42aから出力される各色の画像信号に応じたパルス幅変調信号に基づいてレーザ記録を行う。これらLSU42b〜42eは、図2に示す画像形成部210におけるLSU227a〜227dに相当する。
CPU44は、画像データ入力部40、画像データ処理部41、画像メモリ43、画像データ出力部42、さらに後述する画像編集部45、および外部インターフェイス部46および47を所定のシーケンスに基づいてコントロールするものである。
画像編集部45は、画像データ入力部40、画像データ処理部41、あるいは後述する外部インターフェイス46および47を経て、一旦、画像メモリ43に記憶された画像データに対して所定の画像編集を施すためのものである。この画像データの編集作業は、画像メモリ43における画像合成用メモリを用いて行われる。
上記外部インターフェイス46は、画像形成装置1とは別に設けられた外部の画像入力処理手段である、たとえば、通信携帯端末、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラなどからの画像データを受け入れるための通信インターフェイス手段(画像情報入力手段)である。
なお、この外部インターフェイス46から入力される画像データも、一旦、画像データ処理部41に入力して色空間補正などを行うことが好ましい。これによって、画像形成装置1の画像記録部210で取り扱うことのできるデータレベルに変換した後、画像メモリ43のハードディスク43a〜43dに記憶管理されることになる。
さらに、上記外部インターフェイス47は、図示しないパーソナルコンピュータにより作成された画像データを入力するプリンタインターフェイスであり、またFAX受信した画像データを受け入れるための白黒またはカラーFAXインターフェイスである。この外部インターフェイス47から入力される画像データは、すでにCMYK信号であり、一旦、中間調処理部41hにより中間調処理を施して画像メモリ43のハードディスク43a〜43dに記憶管理されることになる。
画像判定部48は、領域分離のために、文字領域と写真領域とを分けるものであり、また、読取領域がカラー画像か白黒画像かを判定するためのものである。さらに、読取画像に含まれる各種パターンを照合して紙幣や有価証券のコピーを防止するためのものでもある。なお、読取領域がカラー画像か白黒画像かを判定するような場合には、プリスキャンが必要である。
上記画像形成装置1における装置全体の動作を制御する制御系について説明すると、図4に示すように、CPU44により装置全体の各部が動作管理されるようになっている。
図4に示す、画像データ入力部40、画像データ処理部41、画像データ出力部42、画像メモリ43、CPU44、および外部インターフェイス46の詳細については前述した通りである。濃度センサ140は、後述するように、感光体ドラム222a〜222d表面に形成された高濃度のトナーパッチの濃度を測定するためのものである。なお、外部インターフェイス46は、画像メモリ43と相互にデータのやりとりが可能となっており、さらに画像メモリ43を介してCPU44に接続されている。
CPU44は、その他、RADF112、画像読取部110、画像形成部210など画像形成装置1を構成する各駆動機構部をシーケンス制御により管理するとともに、各部へ制御信号を出力している。
さらにCPU44には、操作パネル5からなる操作基板ユニット48が相互通信可能な状態で接続されており、操作パネル5の操作に応じて操作者が設定入力した複写モード内容を示す制御信号をCPU44に転送して、画像形成装置1全体が設定されたモードに応じて動作するように制御している。
また、CPU44からは、後述する操作パネル5(図5参照)を含む画像形成装置1の各種動作状態を示す制御信号を操作基板ユニット49と相互通信可能な状態で接続されている。
操作パネル5を用いて使用者がコピーモード(複写モード)を設定すると、その内容を示す制御信号が、操作基板ユニット49からCPU44へと転送され、これにより、CPU44は、画像形成装置1全体を、設定されたモードに応じて動作するように制御する。
反対にCPU44からは、画像形成装置1の各種動作状態を示す制御信号が操作基板ユニット49へと転送されており、操作基板ユニット49側では、この制御信号により画像形成装置1が現在どのような状態にあるのか操作パネル5に設けられた後述するカラー表示のタッチパネル式液晶表示装置6に表示して使用者が認識できるようになっている。
次に操作パネル5について説明すると、操作パネル5は、図5に示すように、中央部分には、カラー表示のタッチパネル式液晶表示装置6(以降、カラーLCDと呼称する)が配置されており、その右側にテンキー8、スタートキー11、クリアキー9、および全解除キー10が配置されている。また、カラーLCD6の左側には、カラーLCD6の画面の明るさを調節するダイヤル7が配置されている。
カラーLCD6の右側に配置されたキー群のうち、テンキー8はカラーLCD6の画面における数値を入力するのに使用するキーであり、スタートキー11は画像形成動作の開始を指示するためのキーである。モード切り換えキー12は、画像形成動作をコピーモード・FAXモード・プリントモードの何れかモードから選択するためのキーである。
また、クリアキー9はカラーLCD6に表示される設定値をクリアしたり画像形成動作の中断を行うキーであり、全解除キー10は、画像形成条件の設定をデフォルト値に戻すためのキーである。なお、図5には図示しないが、操作パネル5には、実行中の画像形成動作を一次中断して他の複写を許容するためのキーである割込キーが設けられていてもよい。
上記カラーLCD6の画面には、後述するように、種々の画面が切り換えて表示される。これら画面中では、種々の条件を設定するタッチキーが配置されており、該タッチキーを指などで直接押圧操作(以下、単に操作と略す)することにより、各種の条件設定が可能になっている。また、操作のガイダンスや警告などもこのカラーLCD6に表示される。
上記カラーLCD6に表示される画面の概要について以下に説明する。画像形成装置1が待機状態であれば、カラーLCD6には、図6に示すような待機時画面601が表示されている。待機時画面601の上側には、メッセージ領域602および画像形成枚数表示領域603がある。メッセージ領域602には、使用者が操作パネル5を確実に操作できるように、操作手順を指示するメッセージが適宜表示される。画像形成枚数表示領域603には、画像形成する枚数がテンキー8により入力され、その枚数が置数されるようになっている。
待機時画面601の中央部左側には画像形成装置1の全体の装置外観を概略図として表示する外観図表示領域605がある。この外観図表示領域605では、装置本体、用紙トレイ、および装着されたオプション(RADF112・各種ソータ・大容量トレイ・多段デスクなど)が表示されている。用紙トレイには、セットされた用紙の種類、サイズおよび残量が表示されている。
待機時画面601の中央部右側には、仕上がり形態表示領域606があり、ここでは、画像形成された画像の仕上がり形態が概略図で図示されるようになっている。この仕上がり形態とは、選択された用紙に対して画像形成される画像の領域がどのようになるかを示すものであり、使用者がこれを確認することによってその誤操作を防止できるようになっている。なお、この仕上がり形態表示領域606では、タッチキーである条件キー(後述)で設定された条件のうち、図として表現可能な条件を適宜表示することができるようになっている。
外観図表示領域605の左上にはモード表示領域604がある。このモード表示領域604は、画像形成装置1の現在のモードが表示されるようになっている。このモードとしては、上述したように、モード切り換えキー12の操作によってコピーモード、FAXモード、およびプリンタモードの何れかが選択され、表示されるようになっている(図6ではコピーモード)。また、テンキー8を特定順に操作したときには、画像形成装置1のメンテナンスを行うサービスマンの設定用モードも表示可能となっている。
待機時画面601の下方には条件キー領域607がある。この条件キー領域607では、画像形成装置1の種々の条件設定をするためのタッチキーである条件キー610が配置されている。本実施の形態では、カラーモードを選択するカラー選択キー610a、画像形成時の濃度に関する設定を行うコピー濃度キー610b、用紙の種類やサイズを選択する用紙の種類/サイズキー610c、画像形成時の倍率を設定する拡大/縮小キー610dが設けられている。なお、条件キー610としてはこれらに限定されるものではない。
条件キー領域607の上部には設定内容表示領域608があり、条件キー610で選択された条件が個々の条件キー610に対応してその上部に表示されている。図6では、カラー選択キー610aの条件として「白黒」が表示されており、コピー濃度キー610bの条件として「自動(自動設定)」が表示されており、用紙の種類/サイズキー610cの条件として「普通紙/自動(自動設定)」が表示されており、拡大/縮小キー610dの条件として「100%(原寸)」が表示されている。
さらに、設定内容表示領域608と、外観図表示領域605および仕上がり形態表示領域606との間には選択条件表示領域609がある。ここには、条件キー610を操作した際に、該条件キー610に対応した種々の条件を選択できる選択キー611が表示される。
たとえば、図7に示すように、条件キー610のうちカラー選択キー610aが操作されたとすると、選択条件表示領域609には、選択キー611として、白黒キー611a、単色カラーキーとしてのシアンキー611b、マゼンタキー611c、およびイエローキー611d、並びにフルカラーキー611eが表示される。
このうち、白黒モードを選択するのであれば、図7に示すように白黒キー611aを操作する。これによって、白黒モードが選択されたことになるので、表示上、白黒キー611aはアクティブに表示されている。このアクティブ表示の手法については特に限定されるものではないが、たとえば、図7に示すように、キーの枠が二重になっている手法を挙げることができるが特に限定されるものではなく、他に枠を太線にしたりする手法が挙げられる。
画像形成装置1が待機状態から動作設定状態になると、カラーLCD6には、図8に示すように、動作設定初期画面621が表示される。この動作設定初期画面621では、図6に示す待機時画面601とは異なり、画像形成枚数表示領域603は閉じられて、仕上がり形態表示領域606、条件キー領域607、設定内容表示領域608、および選択条件表示領域609に代わって、動作の設定内容を表示するための動作設定内容領域622が表示される。モード表示領域604は、動作の設定をするモードであることを示している。
また、外観図表示領域605には、待機時画面601と同様に画像形成装置1の外観図が表示されている。この外観図は、選択された動作設定内容が実行されるときに、装置におけるどの機能を使用するのかを示すために用いられる。動作設定内容領域622には、動作の設定内容を選択するための設定内容キー623(γ特性キー623a、環境特性キー623b、AEキー623c、用紙搬送キー623d)、実行キー624および終了キー625が表示されている。
上記設定内容キー623のうち、γ特性キー623aは、画像データの濃度入力値をどのように変換して濃度出力値とするかを決めるものである。このγ特性キー623aの操作によって実行されるγ特性の設定については後述する。環境特性キー623bは、環境特性、特に、温湿度特性を考慮して画像条件の設定を行うか否かを設定するためのキーである。AEキー623cは、自動濃度が適切に働くように補正を行うためのキーである。用紙搬送キー623dは、用紙の搬送に関わる設定、たとえば整合ローラ(たとえば図2のレジストローラ212など)における用紙撓み量などを設定するためのキーである。
上記実行キー624は、設定内容キー623の何れかを操作してアクティブ表示にした後に、このキーを操作すると選択された設定内容の設定処理が開始される。上記終了キー625は、動作設定状態を終了させて待機状態にするためのキーである。
次に、上記操作パネル5を用いて、待機状態から動作設定状態への移行、並びに待機状態から画像形成動作状態への移行を実施するための操作方法について、図9および図10のフローチャートに基づいて説明する。
上記操作パネル5に待機時画面601が表示された待機状態(ステップ1、以降ステップをSと略す)で、テンキー8が特定順に操作されたか否かを判定する(S2)。テンキー8が特定順に操作されていなければ、次に、全解除キー10が操作されたか否かを判定し(S3)、全解除キー10(図9および図10ではACキーと略す)が操作されていれば、S1に戻り、再度、待機時画面601を表示する。S3で全解除キー10が操作されていなければ、次にテンキー8が操作されたか否かを判定し(S4)、テンキー8が操作されておれば、操作されたテンキー8に対応した数値を画像形成枚数表示領域603に置数し(S9)、S2に戻る。
S4でテンキー8が操作されていなければ、次に、クリアキー9が操作されたか否かを判定し(S5)、クリアキー9が操作されていなければ、画像形成枚数表示領域603に1を置数し(S10)、S2に戻る。S5で、クリアキー9が操作されていなければ、次に、条件キー610が操作されたか否かを判定し(S6)、条件キー610が操作されていれば、直前画面として、選択条件表示領域609に選択キー611が表示された画面(選択画面)が表示されていたか否かを判定する(S11)。選択キー611が表示されていれば、表示されている選択画面は、操作された条件キー610に対応したものであるか否かを判定する(S13)。
S13で選択画面が操作された条件キー610に対応したものであれば、現在表示している選択画面を閉じて、選択した条件を設定内容表示領域608に表示して(S14)、S2に戻る。S11で、直前画面に選択画面が表示されていなければ、操作された条件キーに対応した選択画面を表示して(S12)、S2に戻る。
S13で選択画面が操作された条件キー610に対応したものでなければ、現在表示している選択画面を閉じて選択した条件を設定内容表示領域608に表示した後、操作された条件キー610に対応した選択画面を表示し(S15)、S2に戻る。S6で条件キー610が操作されていなければ、次に、選択キー611が操作されたか否かを判定し(S7)、選択キー611が操作されていれば、操作された選択キー611をアクティブ表示して(S16)、S2に戻る。
S7で、選択キー611が選択されていなければ、次に、スタートキー11が操作されたか否かを判定(S8)、スタートキー11が操作されていれば、画像形成動作を実行し(S17)、画像形成動作が完了したら、S2に戻る。S8でスタートキー11が操作されていなければ、S2に戻る。
なお、S2で、テンキー8が特定順に操作されていれば、動作設定初期画面621にカラーLCD6の画面が切り替わる(S18)が、S18以降の動作設定については後述する。
上述したS1〜S17までの操作制御において、S6で条件キー610が操作された後の画面の変化の一事例について説明する。まず、図6に示す待機時画面601において、まず、条件キー610のうち白黒モードに設定されているカラー選択をフルカラーモードにする場合の操作について説明する。
条件キー領域607におけるカラー選択キー610aを操作すると、図7に示すように、選択条件表示領域609に、カラー選択の選択条件である白黒・単色カラー(シアン・マゼンタ・イエロー)およびフルカラーの各条件が、それぞれ選択キー611(611a〜611e、前述の説明を参照)として表示されている。
このとき、カラー選択キー610aの操作の前には、白黒の条件が選択されていたので、他の選択キー611を操作するまでは、選択キー611のうち白黒キー611aがアクティブに表示されている。選択キー611がアクティブ表示されているときには、設定内容表示領域608における条件表示枠(カラー選択キー610aの直上の表示枠)には、▲が表示されており、これによって現在条件の選択中であることを示す。
図11に示すように、選択条件表示領域609におけるカラー選択において、フルカラーキー611eを操作すると、このフルカラーキー611eがアクティブ表示される。次いで、再度、条件キー610であるカラー選択キー610aを操作すると、図12に示すように、選択条件表示領域609における選択キー611は閉じられて、アクティブ表示であったフルカラーキー611eの条件である「フルカラー」が、設定内容表示領域608のカラー選択キー610aの直上の表示枠に表示される。
また、図11の画面で再度、条件キー610の操作を行って、選択条件表示領域609の選択キー611を閉じる代わりに、他の条件キー610、たとえば用紙の種類/サイズキー610cを操作すると、図13に示すように、カラー選択のための選択キー611は閉じられ、設定内容表示領域608の表示枠に「フルカラー」が表示されて、用紙の種類/サイズキー610cの選択キー611が表示される。
このとき、用紙の種類/サイズキー610cに対応する設定内容表示領域608の表示枠には▲が表示されて、現在、用紙の種類/サイズの条件が選択中であることが表示される。なお、図13に表示されている選択キー611としては、用紙を選択するための選択キー611である、普通紙キー611f、OHPキー611g、およびコート紙キー611hと、用紙のサイズを選択する選択キー611である、A3キー611m、B4キー611n、A4キー611p、B5キー611qが表示されている。
次に、画像形成装置1が動作設定状態にある場合について説明すると、上述したように、S2で、テンキー8が特定順に操作されていれば、待機時画面601から動作設定初期画面621にカラーLCD6の画面が切り替わる(S18)。そして、動作設定内容領域622に表示されている実行キー624が操作されているか否かを判定して(S19)、実行キー624が操作されていれば、同じく動作設定内容領域622に表示されている選択された設定内容キー623の内容に対応した設定処理の実行を行う(S23)。
S19で実行キー624が操作されていなければ、次に、全解除キー10が操作されているか否かを判定し(S20)、全解除キー10が操作されていればS1に戻る。一方S20で全解除キー10が操作されていなければ、次に終了キー625が操作されているか否かを判定する(S21)。終了キー625が操作されていれば、全解除キー10を操作した場合と同様にS1に戻る。
S21で、終了キー625が操作されていなければ、次に、設定内容キー623が操作されたか否かを判定し(S22)、設定内容キー623が操作されていれば、操作された設定内容キー623をアクティブ表示とする(S24)。S22で、設定内容キー623が操作されていなければ、S19に戻り、実行キー624、全解除キー10、終了キー625、または設定内容キー623のうち何れかのキーの操作を待つ。
本実施の形態における画像形成装置1では、画像読取部110で読み取った原稿の画像を画像形成部210で適切に画像形成するためには、画像データの濃度入力値をどのように変換して濃度出力値とするかを決定する必要がある。これは、画像形成部210の作像特性が、画像形成部210毎に異なるためである。なお、濃度入力値に対する濃度出力値の関係は、一般にγ特性と呼称される。
上記γ特性の決定は、画像形成装置1を工場から出荷する前、または画像形成装置1の設置時に行われる。このγ特性の設定処理の手順について、図14および図15のフローチャートに基づいて説明する。
図14および図15に示すフローチャートは、図9および図10に示す操作方法のフローチャートにおける動作設定状態(S18〜S24)で、設定内容キー623のうち、γ特性キー623aを操作した場合の手順を示すものである。
まず、動作設定初期画面621が表示されている状態で、動作内容設定領域622のγ特性キー623aを操作すると、図8に示すようにγ特性キー623aがアクティブ表示される。その後、実行キー624を操作すると、γ特性の設定処理が実施される。
その後、図16に示すように、γ特性設定初期画面631が表示される(S50)。このγ特性設定初期画面631は、γ特性の設定を自動、すなわち画像形成装置1自身の判定により行うかを選択する自動キー632a、およびγ特性の設定を手動、すなわち使用者自身が判定するかを選択する手動キー632bからなるγ特性選択キー632が表示される。また、γ特性設定初期画面631には、前述した実行キー624および終了キー625も同時に表示される。
γ特性設定初期画面631において、実行キー624、終了キー625、自動キー632aおよび手動キー632bの何れかのキー操作を待つ(S51、S53、S54、S56、S51を結ぶループ)。S51で終了キー625の操作があれば、γ特性の設定処理を終了し、図9および図10のフローチャートにおけるS18に戻り、S18で動作設定初期画面621(図8参照)を表示する。S54で自動キー632aの操作があれば、自動キー632aをアクティブ表示にして(S57)、S51に戻る。S56で手動キー632bの操作があれば、手動キー632bをアクティブ表示にして(S58)、S51に戻る。S53で実行キー624の操作があれば、次に、自動のγ特性の設定(以下、適宜γ設定と略す)を選択しているか否かを判定する(S59)。
S59で、自動のγ設定をしていない、すなわち、手動のγ設定を選択していれば、以前に自動のγ設定を実行したか否かを判定する(S60)。S60で以前に自動のγ設定を実行していれば、S77(図15の3)に進む。S60で以前に自動のγ設定を実行していなければ、手動のγ設定が不可であることを報知して(S61)、S51に戻る。
S60で以前に自動のγ設定を実行したか否かを判定するのは、工場で画像形成装置1のγ特性を設定し判定する際に、自動のγ設定の前に手動設定でγ設定を行うことを防止し、自動で先に行うようにする。これによってγ特性の設定時間が長くなることを防止することができる。
また、帯電器223a〜223d、転写器225a〜225d、感光体ドラム222a〜222d、現像装置224a〜224d、あるいは高圧トランスなどといった画像形成ステーションPa〜Pdの構成手段の個々の特性にはバラツキがあり、これらの構成手段が交換されると、組み合わせが変わるために画像形成ステーションPa〜Pdの作像特性も変化する。
そのため、S60で、画像形成ステーションPa〜Pdの構成手段の交換以後に、自動γ設定を実行したか否かの判定をしてもよい。これによって画像形成ステーションPa〜Pdの構成手段の交換後のγ設定に際して、自動のγ設定の前に手動でγ設定を行うことを防止し、自動で先に行うようにする。これによってγ特性の設定時間が長くなることを防止することができる。
S59において自動のγ設定が選択されれば、その後、自動的にγ設定が実行される。この自動γ設定では、まず、画像形成ステーションPa〜Pdの調整が実行される(S62)。
この画像形成ステーションPa〜Pdの調整について説明する。まず、最初に、画像形成ステーションPa〜Pdのパラメータを適宜変更する調整を実施する。図17に示すように、画像形成装置1の前側をF、後側をRで表した場合に、たとえば、感光体ドラム222a〜222dにおける後側となる端部に、高濃度のトナーパッチ(以下、高濃度パッチと略す)141を形成する。
そしてパターン画像検出ユニットに設けられている光検出センサなどの濃度センサ140(図4参照)は高濃度パッチ141の濃度を検出し、画像データ処理部41へ出力させる。画像データ処理部41では、上記検出値を予め設定されている基準値と比較し、該検出値が所定範囲内の基準値となるように画像形成ステーションPa〜Pdのパラメータを算出する。
このように、S62では、高濃度パッチ141の濃度検出値と、検出した高濃度パッチ141に対応した画像形成ステーションPa〜Pdのパラメータ(所定のパラメータ値でパッチを作像している)とにより、全濃度域にわたって画像が適切に形成できる画像形成ステーションPa〜Pdのパラメータ値を求めている。ここで、高濃度パッチ141の検出によって全濃度域を代表させて画像形成ステーションPa〜Pdのパラメータ値を求めているのは、高濃度パッチ141は、環境などの諸条件が変動しても、中間濃度域や低濃度域のトナーパッチに比べて、より安定した濃度のトナーパッチを形成することができるためである。
なお、本実施の形態において、高濃度パッチ141の濃度検出値に基づいて調整される画像形成ステーションPa〜Pdのパラメータとは、現像バイアス電圧およびスコロトロン帯電器のグリッド電圧であるが、これに限らず、たとえば、特開平8−202092号公報に開示されている技術のように、帯電電位や書き込みレーザのパワーなどであってもよい。
また、本実施の形態では、画像形成ステーションPa〜Pdの調整に際して、感光体ドラム222a〜222d上に形成した高濃度パッチ141の濃度を検出しているが、これに限定されるものではなく、転写搬送ベルト216上に転写した高濃度パッチ141の濃度を検出するようにしてもよい。
S62で画像形成ステーションPa〜Pdのパラメータ調整が終了すれば、次に、図18に示すような、読取用階調パターンチャート(パターンチャート)の画像形成を開始する(S63)。次いで、この読取用階調パターンチャートをどのようにセットするかを報知する画面を、各種キーの操作を不能とした状態で表示する(S64)。
次に、読取用階調パターンチャートの画像形成が終了するのを待って(S65)、読取用階調パターンチャートの画像形成が終了すると、先にカラーLCD6に表示されている読取用階調パターンチャートのセット報知画面の各種キーの操作を可能とするように表示する(S66)。
S66でカラーLCD6に表示される画面は、図19に示すように、γ特性設定初期画面631から、γ特性設定第二画面641に変更される。このγ特性設定第二画面641は、読取用階調パターンチャートをセットするためのセット画面であり、γ特性設定初期画面631における実行キー624および終了キー625がそのまま表示されている。また、外観図表示領域605には画像形成装置1の装置外観図が表示されており、その横には、後述する読取用階調パターンチャートの配置状態を示すパターンチャートセット形態図も表示されている。
なお、S64でカラーLCD6に表示される画面は、基本的にγ特性設定第二画面641と同様であるが、各種キーの操作が不能になっているので、上記実行キー624や終了キー625などの各キーの枠が点線様に表示されるか、キーの色を淡く表示するかして、現状では操作不能であることを表示するようになっている。
次に、γ特性設定第二画面641において、終了キー625が操作されたか否かを判定する(S67)。終了キー625が操作されておれば、自動のγ設定を中止して(S68)、S50に戻り、γ特性設定初期画面631で何れかのキーが操作されるのを待つ。S67で終了キー625の操作がなければ、実行キー624が操作されているか否かを判定する(S69)。実行キー624の操作がなければS67に戻る一方、実行キー624の操作があれば、読取用階調パターンチャートのセット位置に読取用階調パターンチャート(用紙)がセットされているか否かを判定する(S70)。
S70で用紙のセットが検知されなければ、読取用階調パターンチャートをセットするように報知し(S71)、S67に戻る。S70で用紙のセットが検知されれば、読取用階調パターンチャートがセットされたものとして、この読取用階調パターンチャートに形成されている読取用の各階調パターンを読み込む(S72)。
読み込まれた各階調パターンの読み取り濃度と、各階調パターンに対応付けられたディザ値とにより、各画像形成ステーションPa〜Pdのγ特性の算出を開始する(S73)。γ特性の算出を開始して現在算出中であることを画面に表示し(S74)、γ特性の算出が完了するのを待って(S75)、算出が完了した時点で、算出した自動設定によるγ特性を画面に表示する(S76)。このS76ではγ特性の手動設定を行うために、手動設定のための画面を表示するようになっている。このようにγ特性の算出が完了すると、図20に示すような目視用階調パターンチャート(パターンチャート)200を画像形成する(図15におけるS77)。
なお、図20に示す目視用階調パターンーチャート200の階調数は、後に詳述する読取用階調パターンチャートの階調数よりも小さくなっている。
上記のように、本発明にかかる画像形成装置1では、まず最初の画像情報(第1の画像情報とする)に基づいて用紙上に読取用階調パターンチャートを形成し、その後、この読取用階調パターンチャートを第2の画像情報として読み取って調整情報(上記の場合はγ特性)を得て、画像処理部2により、この調整情報に基づいて画像処理条件を調整するようになっている。
しかしながら、上記のような自動的な階調性の判定だけでは、使用者の階調性に対する好みあるいは要望などは満たされないことになる。そこで、上記のような目視用階調パターンーチャート200を用いて階調性を判定することが好ましい。なお、上記読取用階調パターンチャートを第1の画像とした場合には、目視用階調パターンチャート200は第2の画像とする。
ここで、一般に、画像読取手段により階調性を判定する場合には、階調数が多い方がより正確な階調性の判定が可能になるが、使用者が階調性を判定する場合には、階調数が多過ぎると判定が煩雑化して正確な階調性の判定ができなくなる。逆に、階調数が少ないと使用者の判定には好適であるものの、画像読取手段においては正確な判定ができなくなる。
そこで、上記のように、目視用階調パターンーチャート200の階調数は、上記読取用階調パターンチャートの階調数よりも小さくする、すなわち読取用階調パターンチャートの階調数を目視用階調パターンチャート200の階調数よりも大きくすることで、より正確な階調性の判定を実現することが可能になる。
ここで、γ特性設定第二画面641においては、読取用階調パターンチャートの画像形成が終了する前に、該読取用階調パターンチャートに関するメッセージや該読取用階調パターンチャートをセットするための位置を表示するようになっている。つまり、画像形成が完了する前に、得られる読取用階調パターンチャートをどのようにセットするのかを使用者が把握できるようにしてある。
図19に示すように、外観図表示領域605に表示されている装置外観図には、どこに読取用階調パターンチャートをセットするか、セットすべき読取用階調パターンチャートの表裏方向や上下方向はどのようにすべきであるかなどの読取用階調パターンチャートに関わる情報が示される。
具体的には、RADF112(図2参照)の原稿セットトレイには、▼印が表示されており、これによって読取用階調パターンチャートのセット位置(セット情報)が示される。このときセットされる読取用階調パターンチャートは、階調パターンが形成されている面側が上になり、シアンの階調パターンが装置の後側であり、かつブラックの階調パターンが装置の前側になるようにセットされる。RADF112では、読取用階調パターンチャートの表裏を反転してコンタクトガラスに搬送することになるので、セットに際しては、階調パターンが形成された面が上向きになるように示されている。
ところで、RADF112による読取用階調パターンチャートの搬送では、搬送の最中に該読取用階調パターンチャートが汚れたり、ジャムしたりするおそれがある。そこで、図21に示すように、RADF112を使用せずに、コンタクトガラスに直接、読取用階調パターンチャートをセットするように報知してもよい。この場合、装置外観図には、両面自動原稿送り装置112が開放された状態が図示され、コンタクトガラスの部位に▼印が表示される。
このとき読取用階調パターンチャートのセット方向に関しては、コンタクトガラス上に原稿セット基準板のA3サイズに合わせてセットし、階調パターンの形成面側を下向きにし(すなわち裏面を上にセットする)、シアンの階調パターンが装置後側でブラックの階調パターンが装置前側になるようにセットされる。このセット形態は、パターンチャートセット形態図に表示される。
ここで、上述した過程において、カラーLCD6に表示される表示画面について説明する。S74におけるγ特性の算出中には、カラーLCD6は、図22に示すように、γ特性設定第二画面641からγ特性設定第三画面651が表示される。この画面では、γ特性算出中である旨がメッセージ領域602に表示され、各種キーは操作不能の状態になっている(前述したように、操作不能の状態では、各種キーは点線表示となっている)。
また、S75におけるγ特性の算出完了後には、カラーLCD6は、図23に示すように、γ特性設定第三画面651からγ特性設定第四画面661が表示される。この画面では、各色毎にγ特性が表示できるようにCMYK濃度キー662が設けられており、図23では、シアン濃度キー662a、マゼンタ濃度キー662b、イエロー濃度キー662c、およびブラック濃度キー662dの計4つのキーが含まれている。
このCMYK濃度キー662を操作することによって、操作したキーに対応した色のγ特性が、縦軸が画像形成濃度で横軸が調整点となっているγ特性グラフで表示される。なお、図23では、シアン濃度キー662aが操作されているので、シアンのγ特性がグラフで表示されている。
さらに図23に示すγ特性設定第四画面661では、算出した各色別のγ特性をグラフ表示すると同時に、使用者の好みに応じて、シアン・マゼンタ・イエローおよびブラックの各色相を調節できるようになっている。具体的には、上述したS77で得られた目視用階調パターンチャート200を使用者が目視しながら、上記各色の色相を調節できるようになっており、そのためにγ特性設定第四画面661には、濃度アップキー663a、濃度ダウンキー663b、調整点アップキー664aおよび調整点ダウンキー664bが設けられている。
濃度アップキー663aおよび濃度ダウンキー663bは、図23では、CMYK濃度キー662の下方に設けられており、CMYK濃度キー662で選択された色の濃度を調整するために用いられる。調整点アップキー664aおよび調整点ダウンキー664bは、γ特性グラフにおける横軸の調整点を移動させるために用いられるもので、図23ではγ特性グラフの下方に設けられている。
また、上記γ特性グラフの調整点と目視用階調パターンチャート200の階調パターンとは互いに対応している。そのため、調整点アップキー664aおよび調整点ダウンキー664bによって調整点を移動させることによって、目視用階調パターンチャート200を使用者が目視しながら、該目視用階調パターンチャート200における所望の階調パターンの濃度を使用者の好みに応じて変えることができるようになっている。
上記γ特性の手動設定について、図15のフローチャートに基づいて説明する。図15に示すように、S77で目視用階調パターンチャート200を形成した後に、S78、S79、S80、S81、S82、S83、S84でそれぞれ、終了キー625、実行キー624、CMYK濃度キー662、濃度アップキー663a、濃度ダウンキー663b、調整点アップキー664aおよび調整点ダウンキー664bの操作の有無を判定する。
S78で終了キー625の操作があれば、γ特性の手動設定がなされたか否かを判定し(S85)、手動設定がなければ、γ特性の設定処理を終了する。これによって、図9および図10のフローチャートにおけるS23が終了することになり、それゆえ、S18に戻ることになる。
S85で手動設定がなされておれば、次にγ特性の目標濃度(γ特性グラフにおける所定の調整点の画像形成濃度)をこの手動設定値と置き換えるか否かを選択する旨を画面に表示し(S86)、実行キー624の操作があるか否かを判定する(S87)。実行キー624の操作があれば、目標濃度をこの手動設定値で置き換えて(S89)、γ特性の設定処理を終了する。一方、S87で実行キー624の操作がなければ、次に、終了キー625の操作があるか否かを判定する(S88)。終了キー625の操作があれば、γ特性の設定処理を終了する。S88で終了キー625の操作がなければ、S87の直前に戻って、実行キー624または終了キー625の操作を待つ。
S79で、実行キー624の操作があれば、画面で調整されたγ特性に基づいて再度、目視用階調パターンチャート200を画像形成し(S90)、S78に戻る。S80で、CMYK濃度キー662の操作があれば、操作されたCMYK濃度キー662をアクティブ表示し(S91)、その後、操作されたCMYK濃度キー662に対応した色のγ特性をグラフに表示して(S92)、S78に戻る。
S81で濃度アップキー663aが操作されれば、γ特性グラフにおいてアクティブ表示されている調整点の濃度を1目盛り上げて(S93)、アップダウンキー操作可能/不能表示切り換え処理(後述)を実行した(S94)後に、S78の直前に戻る。
S82で濃度ダウンキー663bの操作があれば、アクティブ表示されている調整点の濃度を1目盛り下げて(S95)、アップダウンキー操作可能/不能表示切り換え処理を実行した(S94)後に、S78に戻る。
S83で調整点アップキー664aの操作があれば、アクティブな調整点を現在の調整点より1つ上に移動し(S96)、アップダウンキー操作可能/不能表示切り換え処理を実行した(S94)後に、S78の直前に戻る。
S84で調整点ダウンキー664bの操作があれば、次いで調整点ダウンキー664bは操作不能表示か否かを判定し(S97)、アクティブな調整点を現在の調整点より1つ下に移動し(S98)、アップダウンキー操作可能/不能表示切り換え処理を実行した(S94)後に、S78に戻る。
なお、S97で調整点ダウンキー664bが操作不能表示であるか否かを判定しているのは、S76で表示される画面(図23に示すような画面)では、アクティブな調整点が調整点1であるので、この状態で調整点ダウンキー664bの操作を行っても、これより下の調整点がなく、移動させることができないようにするためである。
ここで、上記アップダウンキー操作可能/不能表示切り換え処理について、図24のフローチャートに基づいて説明する。
このアップダウンキー操作可能/不能表示切り換え処理は、濃度アップキー663a、濃度ダウンキー663b、調整点アップキー664aおよび調整点ダウンキー664bの操作により、画像形成濃度または調整点が上限値となったときに濃度または調整点をアップさせるキー(以下、アップキーとする)を操作不能に表示し、画像形成濃度または調整点が下限値となったときに濃度または調整点をダウンさせるキー(以下、ダウンキーとする)を操作不能に表示するための処理である。
また、アップダウンキー操作感応/不能表示切り換え処理では、アップキーまたはダウンキーの一方が操作不能表示のときに、操作可能な他方のキーを操作した場合に、操作不能キーの操作不能表示状態を解除して操作可能状態にするようにもなっている。
アップダウンキー操作可能/不能表示切り換え処理が開始されると、アップキーまたはダウンキーの操作後にアップキーで操作する対象が上限値となっているか否かを判定する(S100)。上限値となっていれば、アップキーを操作不能にして(S101)、アップダウンキー操作可能/不能切り換え処理を終了する。S100で上限値となっていなければ、次に、アップキーまたはダウンキーの操作後にアップキーで操作する対象が上限値となっているか否かを判定し(S102)、下限値となっていれば、ダウンキーを操作不能にし(S103)、アップダウンキー操作可能/不能表示切り換え処理を終了する。S102で、キー操作直後のダウンキーの操作対象の値が下限値でなければ、次に、アップキーまたはダウンキーにおいて、操作直前のこれらキーの操作対象の値が上限値か否かを判定する(S104)。上限値であれば、操作キーがダウンキーか否かを判定し(S105)、ダウンキーであれば、アップキーの操作不能表示を解除して操作可能に表示する(S106)。これによってアップダウンキー操作可能/不能表示切り換え処理を終了する。S105で操作キーがダウンキーでなければ、アップダウンキー操作可能/不能表示切り換え処理を終了する。
S104で、アップキーまたはダウンキーの操作直前のこれらキーの操作対象の値が上限値でなければ、次に、アップキーまたはダウンキーにおいて、操作直前のこれらキーの操作対象の値が下限値か否かを判定する(S107)。下限値であれば、操作キーはアップキーであるか否かを判定する(S108)。操作キーがアップキーであれば、ダウンキーの操作不能表示を解除して操作可能に表示し(S109)、アップダウンキー操作能/不能表示切り換え処理を終了し、操作キーがアップキーでなければ、そのまま、アップダウンキー操作可能/不能表示切り換え処理を終了する。
次に、γ特性の上記手動設定についてより具体的に説明する。たとえば、最初、図23に示すようにシアンのγ特性グラフが表示されており、その後、目視用階調パターンチャート200の目視確認により、マゼンタの調整点10の濃度を上げたいとする。このとき、図23に示すγ特性設定第四画面661におけるCMYK濃度キー622のうちマゼンタ濃度キー662bを操作して、図25に示すように、マゼンタのγ特性グラフを表示させる。
次に、マゼンタの調整点10の濃度を向上させたいので、図25に示す画面(γ特性設定第四画面661)において、調整点アップキー664aを操作しててアクティブな調整点を調整点10の位置に移動させる(図26参照)。次に、図26に示すように、濃度アップキー663aを操作して、調整点10の画像形成濃度を上げる(図27参照)。その結果、図27に示すように、マゼンタの調整点10における濃度が使用者の目視確認によって適当な濃度に再調整されることになる。このようにして、各色および各調整点の濃度を調整点別に手動で調整することができる。
つまり、上記γ特性設定第四画面661に表示される濃度アップキー663a、濃度ダウンキー663b、調整点アップキー664aおよび調整点ダウンキー664b、並びに、このγ特性設定第四画面661で設定された内容を実行する実行キー624は、画像情報を手動で入力する手動入力手段であり、これら手動入力手段と上記画像読取部110(画像読取手段)とによって、本発明にかかる画像形成装置1における画像情報入力手段が構成される。
なお、上記手動調整により調整できる範囲は予め規定されていることが好ましい。つまり、ある調整点には、調整上限値および調整下限値が設けられており、それ以上には濃度を変更できないようになっていることが好ましい。この場合、調整点の上限値は、その上の調整点の現濃度よりも所定量小さい値となっている。一方、調整点の下限値は、その下の調整点の現濃度よりも所定量大きい値となっている。上限値および下限値をこのように設定しているのは、調整点間で所定以下の濃度差となり、多階調が適切に表現できなくなることを防止するとともに、下の調整点の濃度が上の調整点の濃度を超えることがないようにするためである。
たとえば、図28に示すように、調整点10における調整下限値および調整上限値について見てみると、調整点上限値は、高濃度側隣接調整点(調整点11)の濃度よりも所定量小さい値に設定されており、調整点下限値は、低濃度隣接調整点(調整点9)の濃度よりも所定量大きい値に設定されている。それゆえ、隣接する調整点である調整点11または調整点9の濃度と調整点10の濃度との逆転は生じず、その結果、画像形成の階調性が確保できる。
このように、本発明にかかる画像形成装置1では、γ特性を単に自動で設定するだけでなく、使用者が目視用階調パターンチャート200を用いることによって、特定の濃度域で特定の色相を強くしたり、弱くしたりすることが可能になる。その結果、より使用者の要求に応じた色補正を実施することができる。
なお、本実施の形態では図示しなかったが、γ特性の全領域にわたって特定の色相を強めたければ、γ特性グラフにおける濃度値を全調整点にわたって上下にシフトさせるキーを設けて、色相調整を行ってもよい。また、数個の連続した調整点をまとめて調整するようにして、調整の手間を省くようにしてもよい。
また、本実施の形態では、S89において実行キー624の操作があれば、目標濃度を手動設定値で置き換えるようにしているが、手動設定した濃度値を、目標濃度値として元来記憶している目標濃度とは別に記憶し、状況に応じて何れか一方を用いてγ特性を設定してもよい。
上記元来記憶している目標濃度は、使用者の好みが考慮されていない標準的なものであるが、手動設定した濃度値を目標濃度値として置き換えたものは、手動調整により使用者の好みが反映された値となっている。そのため、これら各目標濃度値の使い分けは次のようになる。
まず、画像形成装置1の工場出荷時には、使用者が限定されないので使用者の好みを考慮する必要はなく、標準的な目標濃度値で調整する。その後、画像形成装置が使用者に手元に届き、設置される際には、使用者の好みが考慮され反映される必要があるので、手動設定した濃度値を目標濃度値として置き換えて使用する。この場合、読取用階調パターンチャートを使用してγ特性を設定する際に、すでに使用者の好みを反映した目標濃度値を使用することになる。そのため、目視用階調パターンチャート200を見て使用者の好みに応じてγ特性の手動調整を実施する手間を省くことができる。
また、使用者側で、他の部門に画像形成装置1を移動させた場合には、当初設定された目標濃度値は、前の部門の使用者の好みを反映したものであり、新たな部門の好みとは異なることになる。そこで、画像形成装置1の設置場所を移動させたような場合には、元の標準的な目標濃度を使用するように選択できるようにしておけばよい。
次に、読取用階調パターンチャートについて説明する。図18に示すように、上記読取用階調パターンチャート100には、CMYK4色に対応させて、それぞれ1列に16個ずつ2列の異なる濃度で、32個の階調パターン101…がたとえばA3サイズの用紙上に形成される。
この読取用階調パターンチャート100における濃度が低い側(淡い側)の端部には、用紙の下地濃度を測定するための下地濃度測定部102が設けられている。また後述するが、二列並んでいる各色の階調パターン101…の濃度は、左側の列が薄く、右側の列が濃くなっている。また、読取用階調パターンチャート100をセットする際に、カラーLCD6に表示されるセット方向との対応付けがより簡素となるように、各色および濃淡の方向(濃度の変化方向)は階調パターン101…とともに形成される。
また、上記読取用階調パターンチャート100は、前述した第1の画像情報であるパターン情報に基づいて画像形成される。このパターン情報は、パターン情報生成手段によって適宜生成されてもよいし、ディザ値および画像形成位置情報などと対応付けられて、画像メモリ43におけるハードディスク43a〜43d(図3参照)に格納されていてもよい。
上記読取用階調パターンチャート100の画像形成に際しては、まず、ハードディスク43a〜43dから読み出した階調パターン101…のパターン情報を、画像データバスを介して、LCU42aに転送する。そして、このLCU42aの制御により、各色のLSU42b、42c、42d、および42eにより感光体ドラム222a〜222d(図2参照)上に静電潜像を形成し、前述した作像固定により、1枚の用紙上に、パターン情報に対応した位置に、該パターン情報に対応したディザ値で個々の階調パターン101…を形成する。
ところで、静電式の画像形成ステーションPa〜Pdの画像形成に関する特性の中には、静電潜像の電位が急激に変化する部位が本来の濃度よりも高濃度になるという現象がある。具体的には、線画または面画の静電潜像の境界部位では、強い静電的な電場が作用する。一方、面画における中央など境界部位以外の部位のような広い面積の静電潜像においては電場が弱くなり、現像プロセスで現像されにくくなる。そのため、特に面画において境界部位が中央よりも高濃度になってしまうことがある。これを一般的にエッジ効果と呼称する。
換言すれば、このエッジ効果とは、面画の画像の端部(境界部位)では、電位差が大きくなるため電界が強調されて高くなり易く、逆に面画の中央では、電位差が大きくないため電界が低くなり易いことにより発生する現象である。したがって、面画である階調パターン101…を形成する場合、このエッジ効果により、階調パターン101の縁部は濃度が本来の濃度よりも高くなるけれども、画像形成の主走査方向に比べて、副走査方向の方が、濃度が高くなる領域が広くなってしまう。
なお、画像形成の副走査方向とは、画像形成部210における感光体ドラム222a〜222dの回転方向に沿った方向であり、主走査方向とは、感光体ドラム222a〜222dの回転方向に沿った方向(副走査方向)に直交する方向である。
上記エッジ効果は、上述したように、濃度差が急激に大きくなる部分、すなわち感光体ドラム222a〜222d上の静電潜像の電位差がある位置を境界として大きく異なっている部分には、その境界に電界が集中し、現像の際にトナーを必要以上に集めてしまうために生じる。
また、階調パターン101の副走査方向に関していえば、先に現像される縁部の方が後で現像される縁部よりも、その濃度が高くなる領域が広くなる傾向にある。たとえば、図29に示すように、現像が先に行われる方向(すなわち副走査方向)を矢印P方向として、下地濃度測定部102、および濃度1の階調パターン101a、濃度2の階調パターン101b、ないし濃度Nの階調パターン101nがこの順で現像されていくとする。なお、副走査方向に直交する方向である主走査方向については、図29では矢印Q方向とする。
なお、濃度1から濃度Nに向かうに伴って階調パターン101…の濃度が増大するようになっている。また、図30に示すように、上記P方向は、感光体ドラム222a〜222dの回転方向であり、この表面に形成されている静電潜像が対向配置されている現像ローラ2241a〜2241dによって現像される。したがって、感光体ドラム222a〜222dの回転に伴って、主走査方向に沿った一定幅の領域(現像幅)が副走査方向に徐々に現像されていくことになる。
このとき、図29の下方のグラフからもわかる通り、濃度1の階調パターン101aにおける下地濃度測定部102に隣接する側の縁部の方が、濃度2の階調パターン101bに隣接する側の縁部よりも高濃度領域が広くなっている。濃度2の階調パターン101bおよび濃度Nの階調パターン101nについても同様である。
つまり、下地濃度測定部102に続いて、濃度の低い(淡い)階調パターン101から濃度の高い(濃い)階調パターン101がこの順で形成される場合、階調パターン101の副走査方向の先に現像される縁部側(すなわち境界部位)が副走査方向の後に現像される縁部側よりも濃度の高くなる領域が広くなってしまう。また、階調パターン101の副走査方向の後に現像される縁部側の方が、主走査方向の縁部よりも濃度の高くなる領域が広くなってしまう。このように、階調パターン101の濃度の高くなる領域の濃度と、階調パターン101の本来の濃度との濃度差は、階調パターン101の縁部での濃度差が大きいほど大きくなる。
さらに、図31に示すように、たとえば濃度1の階調パターン101aと濃度2の階調パターン101bとの間に、白または黒からなる境界部103を設けて各階調パターン101…を区分した場合であっても、境界部103または境界部103と隣接する階調パターン101との濃度差により、該階調パターン101の濃度差が高くなってしまう部位が生じる。
上記のように、一つの階調パターン101に本来の濃度よりも高い濃度の箇所があると、階調パターン101の濃度を読み取って、現像バイアスやグリッドなどの画像形成ステーションPa〜Pdのパラメータを調整したり、またはγ特性などを設定する際に不都合が生じる。
たとえばCCD116などの画像読取手段(画像情報入力手段)が読取用階調パターンチャート100を読み取る場合には、一つの階調パターン101に対して複数箇所を読み取り、その読取値を平均して最終的な読取値を出力している。これは、CCD116における個々の受光素子部およびCCD116全体の読取精度(入力精度)、並びに画像形成ステーションPa〜Pdにおける画像形成の濃度精度などのバラツキなどに対応するためである。
さらに、読取用階調パターンチャート100では、濃度の異なる階調パターン101…の数が多いほど、画像形成ステーションPa〜Pdにおけるパラメータ調整やγ特性などの決定はより有利になる。
ここで、一つの階調パターン101に本来の濃度よりも高い濃度の箇所があると、上記最終的な読取値にバラツキが生じてしまう。そこで、階調パターン101を大きく形成すれば、本来の濃度よりも高い濃度の箇所の領域は相対的に小さくなるため、理論上は上記のような不都合が生じない。しかしながら実際には、一つの階調パターン101内における本来の濃度の箇所の領域を大とするように、一つの階調パターンのサイズを大きくすると、一枚の用紙上に十分な数の階調パターン101…を形成できなくなり、画像形成ステーションPa〜Pdの形成濃度の変動(つまり画像形成精度)、および用紙特性のバラツキなどにより階調パターン101…の濃度に変動が生じて、階調パターン101…の濃度の読み取りが不正確になってしまう。
さらに画像形成ステーションPa〜Pdの画像形成に関する特性として、トナー濃度の補給追従性がある。つまり、一般的に、現像装置224a〜224dのトナー濃度は代表した特定の箇所の濃度に基づいて決定されており、さらにこの濃度に基づいて新たにトナーを補給するか否かが決定されている。そのため、主走査方向に並んでいる階調パターン101の列毎で、階調パターン101の副走査方向に高濃度の箇所が連続して存在しているとすれば、高濃度の箇所が連続した主走査方向の階調パターン101の列では、トナー濃度が本来値より低下しているにも関わらず、他の高濃度の箇所が連続しない主走査方向の階調パターン101の列では、トナー濃度は適切になっているという状態が生じてしまう。
逆に、連続した高濃度の箇所のために、トナーの補給が行われて、本来よりも高いトナー濃度値を示す箇所が生じ、その部分では、現像される階調パターン101の濃度は本来の濃度よりも高くなる場合がある。さらに、CMYKの各画像形成ステーションPa〜Pdに関しては、読取用階調パターンチャート100の形成濃度が、本来の濃度となっている色の部分と本来の濃度となっていない色の部分とに分かれることになり、各色間のバランスを適切に設定できなくなる。
そこで本発明にかかる画像形成装置1では、画像形成の副走査方向に隣接する各階調パターン101・101の静電潜像における境界部位での電位差による電界の強調を回避するように、各階調パターン101の画像情報が、予め画像形成部210の画像形成特性を考慮して決められており、これがハードディスク43a〜43dなどに記憶されている。
具体的には、本発明における読取用階調パターンチャート100は、図18および図1に示すように、CMYKの各色別に、副走査方向の一列につき16個の階調パターン101を主走査方向に二列ずつ形成しており、さらに、副走査方向に沿って、階調パターン101が低濃度から高濃度側へとなるように配列するとともに、互いに最も濃度が近い階調パターン101・101同士が主走査方向に複数隣接して配置するようになっている。
なお、図1では、各階調パターン101中に記入されている数字は、階調パターン101の濃度値の順を示しており、この場合、数字が小さければ濃度が低い(淡い)ことを示している。
上記読取用階調パターンチャート100における階調パターン101…の濃度は、副走査方向側に低濃度から高濃度となっているとともに、主走査方向に、近い濃度の階調パターン101が隣接しているが、具体的な濃度の順序は、主走査方向に濃度が隣り合った階調パターン101・101が配置されるようになっており、副走査方向に隣接した階調パターン101に次の濃度の各階調パターン101が配置されるようになっている。
つまり、濃度の淡い方からみると、たとえばシアンにおいては、下地濃度測定部102に次いで濃度1および2の階調パターンが主走査方向に隣接して配置され、濃度が高くなる副走査方向側に、濃度3および4の各階調パターンが配置されるようになっている。換言すれば、上記読取用階調パターンチャート100においては、階調パターン101…の濃度の順序は千鳥状になっている。
上記読取用階調パターンチャート100における階調パターン101の配置が上記のようになっていれば、該読取用階調パターンチャート100の画像形成時に、副走査方向に濃度差の大きな階調パターン101が並ぶことがない。そのため、エッジ効果による影響(本来の濃度となる面積が狭くなること)をより小さくすることができる。加えて、副走査方向に、濃度のより近い高濃度の階調パターン101が連続していないので、トナーの補給追従性に対して好適に対応することができる。
また、上記読取用階調パターンチャート100は、画像形成の副走査方向に隣接している階調パターン101が直接接触するように配置されている。これによって、副走査方向に並んだ階調パターン101・101間には、白や黒からなる境界部103が設けられない。そのため、これら境界部103によるエッジ効果の影響も回避することができる。
ここで、図1に示すような読取用階調パターンチャート100では、下地濃度測定部102と濃度1の階調パターン101または濃度2の階調パターン101との濃度差はさほど大きくはない。しかしながら、このような濃度1および2とは非常に淡い濃度域であるため、高濃度の階調パターン101に比べてエッジ効果によって本来の濃度との差が大きくなるおそれがある。同様に、濃度31の階調パターン101および濃度32の階調パターン101と下地との濃度差は非常に大きいので、エッジ効果が顕著に現れるおそれがある。
それゆえ、副走査方向の端部となる階調パターン101に隣接させて、該端部となる階調パターン101に近い濃度を有するダミーパターンを形成することが好ましい。これによって、たとえば、図32に示すように、読取用階調パターンチャート100における濃度1および2の階調パターン101・101、並びに濃度31および32の階調パターン101・101と下地(下地濃度測定部102)との間にダミーの階調パターン(以下、ダミーパターンと称する)131が配置される。
このダミーパターン131は、濃度1および2、または濃度31および32の階調パターン101に濃度の近いものか同一の濃度のものであればよいが、高濃度の階調パターン101の隣にダミーパターン131を配置する際には、トナーの補給追従性を考慮して、該ダミーパターン131の濃度を少し低めにすることが好ましい。この高濃度の階調パターン101のダミーパターン131で、トナーの補給追従性を考慮するのは、読取用階調パターンチャート100を複数種形成したり、高濃度側が先に現像される側である場合には必要である。
たとえば図32では、濃度の淡い側である濃度1および2の階調パターン101に隣接するダミーパターン131は濃度が同一のもの(濃度1および2)であるが、濃度の濃い側である濃度31および32の階調パターン101に隣接するダミーパターン131は、濃度が若干低めである濃度29および30となっている。
また、階調パターン101の副走査方向への配置については、図1や図32に示すように、濃度の順を1番毎に飛ばして並べる配置に限定されるものではなく、エッジ効果やトナーの追従性の影響がない範囲内の濃度差であれば、図33に示すように、ランダムに配置してもよいし、図34に示すように、階調パターン101の主走査方向の列が二列ではなく三列とした上でランダムに配置してもよい。
つまり、上記読取用階調パターンチャート100は、上記画像形成の副走査方向に沿って、階調パターン101が低濃度から高濃度側へ配列するとともに、互いに最も濃度が近い階調パターン101・101同士が主走査方向に複数隣接して配置するようにすればよい。
エッジ効果やトナーの補給追従性は、画像形成ステーションPa〜Pdの現像装置224a〜224dの現像方式、現像バイアス値、感光体ドラム222a〜222dの帯電電位、トナーを静電潜像に供給する現像ローラ2241a〜2241dの径および現像ローラ2241a〜2241dの回転速度、あるいは二成分方式の現像であれば、デベ中へのトナー補給方法、デベ中のトナー濃度を均一化するための撹拌性能、デベ中のトナー濃度を検出するトナー濃度センサーの位置、トナー濃度センサーからトナー補給信号が出力されるまでの間のデベ中のトナー濃度の変化値などにより、様々に変化する。
そのため、個々の画像形成ステーションPa〜Pdや現像装置224a〜224dの実際の特性を基に、副走査方向の階調パターン101・101間の濃度差によって、エッジ効果の影響やトナーの補給追従性の影響が抑制できるように、事前に階調パターン101のパターン情報(ディザ値および位置情報を含む)とを決定しておけばよい。
上記読取用階調パターンチャート100における各階調パターン101および下地(下地濃度測定部102は、CCD116の各素子で読み取られて、その読取値が画像メモリ43におけるハードディスク43a〜43dなどの記憶手段に格納されるようになっている。一つの階調パターン101は、副走査方向にn個、主走査方向にm個読み取られているとすると、図35に模式的に示すように、読み取られた部位をAとすれば、A11、A1n、Am1、Amnの4点で囲まれた領域内が全読み取り領域となる。
このうち、Acd、Aek、Abl、Aijで囲まれた領域が本来の濃度の領域(本来濃度領域101αとする)となり、その周囲に、エッジ効果により高濃度となっている領域に対応した領域(図中斜線部、高濃度領域101βとする)が存在する。つまり、一つの階調パターン101には、エッジ効果により高濃度となっている領域が含まれる。
そのためより正確な読取値を得るために、一つの階調パターン101全体の読取値から読取値が大きく異なる高濃度領域101βを算出して、この高濃度領域101β以外の本来濃度領域101αの読取値から、読取値を所定数サンプリングしてその平均値をとり、対応する階調パターン101の読取値を決定することが好ましい。このサンプリングの所定数は特に限定されるものではないが、本実施の形態では、たとえば16(主走査方向)×16(副走査方向)の256点となっている。
ところで、階調パターン101は、前述したように既知のディザ値によって形成されるが、この階調パターン101のディザ値のディザマトリクスサイズに対して、上記読取値をどのようにサンプリングするかによって、読取値が不要にばらつくことを防止することができる。
たとえば、画像形成装置1における画像形成部210の画像形成密度が600dpiであり、画像読取部110の解像度が600dpiに対応しており、図36(a)に示すように、1つの画素201は1ドットD(図中では、D1 ・D2 ・D3 ・D4 )が縦横に2個ずつ並んだ2×2のディザマトリクスで構成されるものとする。このとき、画像形成部210における書き込みレーザ(LSU42b、42c、42d、および42e)の1ドットの大きさとCCD116の一つの素子で読み取れる大きさとが同一であるので、1つの画素201を2×2のディザマトリクスとした場合には、CCD116の一つの素子の読み取り領域は画素201の1/4に相当する。
したがって、図36(b)に示すように、CCD116の素子の読取値をそのまま階調パターン101の読取値とすると、CCD116と画素201との相対位置によっては、読取値が大きく異なってしまう。そこで、本実施の形態では、これを防止するために、画像メモリ43などの記憶手段に格納されたCCD116の各素子での読取値に基づいて、隣接する4個のCCD116の素子の読取値を階調パターン101の読取値とするように計算する。
つまり、図36(b)に示すように、CCD116で読み取られた階調パターンの各領域の読取値のうち、副走査方向および主走査方向それぞれ2個ずつ隣接する領域の読取値を足し合わせて1/4とし、これをCCD116の素子の読取値とする。具体的には、D1 +D2 =D12、D1 +D3 =D13、D2 +D4 =D24、D3 +D4 =D34のそれぞれが1/4である。
この場合、階調パターン101のディザマトリクスと同サイズの画像フィルタを介して階調パターン101を読み取っていくことになるので、このような読み取り動作を、一般に、「CCD116の読取値に画像フィルタを介して読み取る」という。これによって、CCD116の素子の読取値が素子と画素201との相対関係で大きく異なることがないので、適切な読取値を得ることができる。
また、一般の原稿を読み取る際には、基準白板をCCD116で読み取った値を基にCCD116の読取値に対して白レベルを決定することによって出力値を決定するというシェーディング補正を実施している。ここで、読取用階調パターンチャート100を読み取る際に、基準白板の読取値を基にすると、階調パターン101が形成された下地が上記基準白板より白度の高いものであった場合には、白レベルを適切に決定できないという問題が生じる。
そこで、本実施の形態では、CCD116で読み取った読取値のうち、下地の読取値の出力値をゼロ値に対応するように処理する。これによって白レベルを適切に決定することが可能になる。この下地の読取値をゼロ値に対応させる処理としては、具体的には、次のような手法が挙げられる。
まず、基準白板の白度が読取用階調パターンチャート100の下地に比べて十分に高くなるように設定されてある場合には、CCD116で読み取った値を差し引いて階調パターン101の読取値とすればよい。これに対して、基準白板の白度が読取用階調パターンチャート100の下地の白度よりも低い場合には、たとえば、図37のグラフb1 に示すように、「階調パターン1」の読取値(図中CCD出力値)がゼロ値よりも低くなるので、CCD116の読取値に使用できない階調パターン101の読取値が含まれることになる。
そこで、CCD116による階調パターン101の読み取りの際に、原稿(階調パターンチャート100)に対して照射されるランプ光量を下げたり、CCD116の読取ゲインを小さくするなどして、CCD116の読取値が実際よりも小さくなるように読み取る読取値低下動作を実施する。また、このとき、基準白板のCCD116による読取値は、該CCD116の読取値を、上記のような読取値低下動作の実施前の読取値(すなわち元の読取値)を用いる。
このように、基準白板の白度が下地の白度よりも低い場合には、CCD116で読み取った読取用階調パターンチャート100の下地濃度が、該CCD116の読取値(CCD出力値)のゼロ値よりも大きくなるように、すなわちCCD116で下地を読み取った際に下地濃度がCCD116の出力値として得られるように、上記のような読取値低下動作を実施する。
その結果得られるCCD116の読取値、すなわちCCD116の出力値は図37のグラフb3 に示すように、下地濃度がゼロ値よりも大きくなっている。その後、画像処理部2によって、図37に示すように、読取値の全体を下地の読取値分(図中矢印B)だけシフトすればよい。これによって基準白板の白度が読取用階調パターンチャート100の下地濃度の白度よりも低い場合でも、CCD116によって下地濃度を読み取ることが可能になる。その結果、下地に対する階調パターン101の入力濃度をより適切なものにして、より安定して階調パターン101を読み取ることができる。
図37では、縦軸がCCD116からの出力を示し、横軸が階調パターン101の濃度順位を示す。また、グラフb1 は、基準白板よりも下地の白度が高い場合にCCD116の読取値が小さくなるようにせずに下地を読み取った値を示す。また、グラフb2 は、上記グラフb3 をシフトして下地の読取値をゼロ値に設定したグラフを示す。
上述した例では、白レベルを適切に決定する処理として、CCD116の出力レベルに白レベルの基準を設定した読取値を得る処理方法を示したが、これに限定されるものではなく、たとえば、個々のCCD116の出力レベルから白レベルを求めることもできる。
たとえば、下地に対応したCCD116の出力レベルをScとし、各階調パターン101のCCD116の出力レベルをTcとすると、図40に示すように、各階調パターンの出力レベルTcにCCD116の出力レベルScが上積みされていることになる。ここで、出力される階調数の最大値をnとして、上記Scにこのnを当てはめたと仮定した場合に、上記下地の白レベル分の補正値Snは次式から得られる。
Sn=n−{(n−Tc)/(n−Sc)}×n
なお、上記階調数nは画像形成装置1が形成可能な階調数の最大値であって、特定の数値に限定されるものではない。たとえば、本実施の形態では、256階調の画像形成を想定しているので、上記階調数の最大値nはn=255(階調数256の場合0〜255階調であるので)となる。
このようにして、階調パターン101におけるディザ値と階調パターン101における読取値との関係性が、図38に示すようなほぼ直線として得られる。なお、図38では、横軸が階調パターン101のディザ値であり、0〜1020までとなっている(途中の任意の値を、xiで表す)。また縦軸が階調パターンの読取値である(任意の値をyiとする)。さらに図中の×印は、読取用階調パターン101に用いられた各32種のディザ値に対応した読取値である。このように、図38に示す階調パターン101のディザ値および読取値の関係性を決定する。
また、表1に示すように、該関係性とは別に標準の階調パターンチャート(ディザ値で画像形成していなくてもよく、標準の濃度を示す標準濃度のパターンチャートであればよい)をCCD116で読み取ったときの入力濃度の読取値、すなわち目標読取値(目標入力値、なお、図15のフローチャートおよびその説明では目標濃度と呼称している)と、この目標読取値に白レベルを規定して256段階の階調にしたCCD116の出力値、すなわち読取基準値(入力基準値)との関係を、実験などにより事前に決定しておく。
この表1に示す目標読取値とCCD116の読取基準値との関係性は、関係性テーブル(対応テーブル)として画像形成装置1の各種記憶手段に格納しておく。この関係性テーブルは、基準のγ特性の関係性に比べてメモリ容量が小さくて済み、かつ常に最適のγ特性を簡単に求めることができるものである。上記読取基準値は、画像形成部210への入力値となる。より詳しくは、図3に示した画像データ処理部41への入力値となる。また、目標読取値と読取基準値との関係性テーブル中の値は、たとえば10組分程度であればよい。
γ特性の決定には、上記関係性テーブルにおける読取基準値(CCD116の出力値)に対応した目標読取値に対して、図38に示した関係性、つまり画像形成部210により形成された読取用階調パターンチャートを読み取って、得られた関係性から、階調パターン101のディザ値がどのようになるかを求める。
すなわち、表1における目標読取値とCCD116の出力値との関係から、任意の目標読取値を、図38における階調パターン101の読取値から階調パターン101のディザ値方向にたどって、図38における略直線関係から最も近いディザ値を求め、これを目標読取値と対応関係にあるCCD116の出力値(画像形成部210への入力値に同じ)と関連付けると、図39に示すような曲線の関係が得られる。
図39では、縦軸がディザ値であり(最大1020)、横軸がCCD116の出力値(最大255、すなわち256階調)となっており、この関係性から、画像形成部210における第2の画像情報と濃度に関する入力値および出力値の関係、すなわちγ特性を適宜決定するという画像処理条件の調整が可能になる。
なお、本実施の形態では、目標読取値と読取基準値との関係性テーブルを予め決めておき、記憶手段に記憶させているが、標準濃度チャートをγ特性を設定する対象の画像形成装置に読み取らせた値を読取基準値とし、この各値に、標準濃度チャートの濃度を入力することで、目標読取値と読取基準値との関係性テーブルを作成するようにしてもよい。
ここで、上述した実施の形態では、階調パターン101のディザ値を、画像形成部210で階調パターンチャートを形成して画像読取部110で読み取った際に、該画像読取部110の読み取りバラツキ、および画像形成部210での画像形成にバラツキが発生する場合があり得る。
つまり、読取用階調パターンチャート100が画像形成部210で画像形成されたときの階調パターンの濃度は、該画像形成部210の濃度における画像形成精度によってばらつくとともに、同じ読取用階調パターンチャート100を画像読取部110で読み取ったときの読取値も画像読取部110の濃度の読取精度によってばらつく。この双方のばらつきのために、読取用階調パターンチャート100における本来高濃度側となる方の階調パターン101が、読取値として低い値(低濃度側に対応した値)となる逆転が生じてしまう。
したがって、上記各バラツキにより逆転現象が生じている値を画像形成条件の調整に対して使用すると、該調整が適切に実施できなくなるので、処理上採用しない。ところが、このため読取用階調パターンチャート100が無駄になる場合がある。
そこで、上記画像形成部210においては、画像読取部110の読取精度、および、画像形成部210における濃度についての画像形成精度の双方に基づいて、上記読取用階調パターンチャート100における高濃度側の階調パターン101の上記画像読取部110の読取値が、低濃度側の階調パターン101における上記画像読取部110の読取値よりも大きくなるように各階調パターン101を形成するようになっていることが好ましい。
具体的には、たとえば画像読取部110の読取精度のバラツキ、および画像形成部210における濃度についての画像形成精度のバラツキを適宜、精度情報として生成するか、または事前にバラツキの分布などを精度情報として記憶手段に記憶させておく。そして、各々異なる階調パターン101に対応した画像読取部110の読取値が異なるように、上記精度情報に基づいて事前に階調パターン101を形成するためのディザ値を決定しておく。これによって、読取用階調パターンチャート100における階調パターン101の読取値が逆転しないので、読取値をγ特性の決定に好適に用いることができる。
このように、本発明にかかる画像処理方法では、既知の異なるディザ値に対応する複数種の階調パターン101…を有する読取用階調パターンチャート100を形成する第1の行程と、上記読取用階調パターンチャートをCCD116により読み取って、その読取値と上記ディザ値との関係性を記憶する第2の行程と、標準のパターンチャートをCCD116で読み取って得られる入力濃度の目標読取値に対応して決定されている読取基準値と、上記第2の行程で記憶された読取値とに基づいて、CCD116の入力濃度と上記ディザ値との関係性を求める第3の行程とを有している。
これによって、読取基準値と実際の読取値とに基づいて得られる入力濃度と、画像形成時におけるディザ値との関係性を適宜求めることになる。そのため、基準のγ特性の関係性を記憶手段に記憶していなくても、常に最適のγ特性を簡単に求めることができる。
さらに、上記画像処理方法においては、上記第3の行程で決定した入力濃度とディザ値との関係性に基づいて、目視用階調パターンチャート200を形成する第4の行程と、該目視用階調パターンチャート200を目視して上記関係性を手動調整する第5の行程と、上記第5の行程で調整した上記関係性により得られる上記目標値に対応した値を上記読取基準値とする第6の行程とを有している。
これによって、使用者の目視によって判定される目視用階調パターンチャートの濃度を画像処理に加味することができる。そのため、簡単かつ適切にγ特性を決定することができる。
なお、上述した実施の形態においては、画像読取部と画像形成部とを一体的に構成してなる画像形成装置についてのγ特性の決定を説明したが、画像読取部と画像形成部とが独立して設けられた装置、すなわち原稿画像の読み取り機能のみを有するスキャナ装置と画像データに基づいて画像形成する機能のみを有するプリンタ装置とを、ネットワーク上で接続して使用する場合にも適用することが可能である。また、単にプリンタ装置をスキャナ装置で補正する場合にも適用させることがでる。
さらに階調パターンのエッジ効果の影響およびトナーの補給追従性の影響を抑制する手法に関しても、読取用階調パターンチャートだけではなく、目視用階調パターンチャートにも適用することができる。目視用階調パターンチャートへの適用は、目視した際に階調間の濃度が実際とは異なって認識されるのを防止するためのものである。
また、上述の画像形成装置、画像処理方法は、以下のような構成であってもよい。
すなわち、上述の画像形成装置を、第1の画像情報に基づいて感光体上に静電潜像を形成することによって記録材上に画像を形成する画像形成手段と、記録材上に形成された上記画像に基づいた第2の画像情報を入力する画像情報入力手段と、上記画像が異なる階調パターンを配列したパターンチャートである場合に、上記第2の画像情報を処理して、画像処理条件を調整する画像処理手段とを備えている画像形成装置において、さらに、画像形成手段が上記パターンチャートを形成する場合に、上記画像形成手段の副走査方向に隣接する各階調パターンの静電潜像における境界部位での電位差の違いによる電界の強調を回避するように、各階調パターンを形成する構成である、と表現することもできる。
上記構成によれば、パターンチャートを形成してこれを画像情報入力手段に入力することによって階調性を適切なものに補正する際に、副走査方向に隣接する階調パターンの濃度差を所定値より小さくしたパターンチャートを形成している。そのため、エッジ効果の発生やトナーの補給追従性による階調パターンの濃度の不均一性を回避することができるので、パターンチャートにおける個々の階調パターンの全体の濃度が均一なものとなる。その結果、階調パターンを安定して読み取ることができるので、画像形成条件を確実かつ適切に調整することができる。
上記画像形成装置においては、上記画像形成手段が、該画像形成手段の副走査方向に隣接している各階調パターンが直接接触するように、パターンチャートを形成することが好ましい。
上記構成によれば、階調パターン間に白表示や黒表示の境界部が設けられないため、階調パターンと境界部との間におけるエッジ効果の発生を防止することができる。そのため、階調パターンの全体の濃度をより均一なものとして、階調パターンの入力安定性をより一層向上させることができる。
上記画像形成装置においては、さらに、上記画像形成手段が、上記パターンチャートにおける上記副走査方向の端部となる階調パターンに隣接させて、該端部となる階調パターンと同一または近い濃度を有するダミーパターンを形成することが好ましい。
上記構成によれば、パターンチャートにおける副走査方向の端部にダミーパターンを形成しているので、パターンチャートを形成する記録材の下地と階調パターンとの間の濃度差をダミーパターンで緩和することができる。その結果、特に副走査方向端部の階調パターンにエッジ効果が発生することをより確実に回避することができる。
上記画像形成装置においては、さらに、上記画像形成手段が、該画像形成手段の副走査方向に沿って、階調パターンが低濃度から高濃度となるとともに、互いに最も濃度が近い複数の階調パターンが主走査方向に並ぶように、パターンチャートを形成することが好ましい。
上記構成によれば、画像形成手段によりパターンチャートを形成する際に、パターンチャートが現像される方向により濃度の高い階調パターンが連続することがない。そのため、パターンチャート形成時におけるトナーの補給追従性による階調パターンの濃度不均一性の発生を良好に回避することができる。
また、上述の画像形成装置を、第1の画像情報に基づいて記録材上に画像を形成する画像形成手段と、記録材上に形成された上記画像を読み取って第2の画像情報とする画像読取手段と、上記画像が異なる階調パターンを配列したパターンチャートである場合に、上記第2の画像情報を処理して、画像処理条件を調整する画像処理手段とを備えている画像形成装置において、上記画像処理手段は、パターンチャートが形成される記録材の下地の色を基準として、第2の画像情報を画像処理して、画像処理条件を調整する構成である、と表現することもできる。
上記構成によれば、シェーディング補正時に、パターンチャートを形成する記録材の下地の色を考慮した上で画像処理を実施することになる。そのため、下地に対する階調パターンの入力濃度をより適切なものにすることが可能になり、その結果、階調パターンを安定して読み取ることができるので、画像形成条件を確実かつ適切に調整することができる。
上記画像形成装置においては、さらに、上記画像処理手段が、画像読取手段によるパターンチャートの読み取りの際に、該パターンチャートに照射される光量を低下させるか、または画像読取手段の読取ゲインを小さくすることにより得られた読取値に基づいて第2の画像情報を画像処理することが好ましい。
上記構成によれば、画像読取手段によるパターンチャート(階調パターン)の読取値が実際よりも小さくなるように読み取られることになる。そのため、シェーディング補正時に、基準白板の白度がパターンチャートの下地濃度の白度よりも低い場合でも、画像読取手段によって下地濃度を読み取ることが可能になる。その結果、基準白板の白度が上記下地濃度の白度よりも低いような場合であっても、下地に対する階調パターンの入力濃度をより適切なものにして、安定して階調パターンを読み取ることができる。
また、上述の画像形成装置を、第1の画像情報に基づいて記録材上に画像を形成する画像形成手段と、記録材上に形成された上記画像を読み取って第2の画像情報とする画像読取手段と、上記画像が異なる階調パターンを配列したパターンチャートである場合に、上記第2の画像情報を処理して、画像処理条件を調整する画像処理手段とを備えている画像形成装置において、上記パターンチャートを形成するための第1の画像情報は、ディザマトリクスによるディザ値を加えることによって多階調化されたものであり、上記画像読取手段は、上記ディザマトリクスと同サイズの画像フィルタを介して、該パターンチャートを読み取る構成である、と表現することもできる。
上記構成によれば、画像情報のディザマトリクスと同サイズの画像フィルタを介して、該パターンチャートを読み取っているので、階調パターンと画像読取手段との空間周波数の間で干渉が生じてモアレが発生するという問題点を機械的手段を用いることなく防止することができる。そのため装置の複雑化を回避した上で、容易に階調パターンの読み取り精度を向上させることができる。
また、上述の画像形成装置を、第1の画像情報に基づいて記録材上に画像を形成する画像形成手段と、記録材上に形成された上記画像を読み取って第2の画像情報とする画像読取手段と、上記画像が異なる階調パターンを配列したパターンチャートである場合に、上記第2の画像情報を処理して、画像処理条件を調整する画像処理手段とを備えている画像形成装置において、上記画像形成手段は、上記画像読取手段の入力精度、および画像形成手段における濃度についての画像形成精度の双方に基づいて、上記パターンチャートにおける高濃度側の階調パターンにおける上記画像読取手段の出力値を、低濃度側の階調パターンにおける上記画像読取手段の出力値よりも大きくするように該パターンチャートを形成する構成である、と表現することもできる。
上記構成によれば、上記画像形成手段の濃度における画像形成精度および画像読取手段の濃度の入力精度の双方に基づいて画像形成することになるので、これら画像形成精度および入力精度に発生するバラツキを考慮した上でパターンチャートを形成することができる。その結果、パターンチャートに発生し易い、本来高濃度側となる方の階調パターンが低濃度側に対応した値となる逆転現象の発生を回避して、パターンチャートの無駄な形成を防止するとともに、より正確な画像形成条件の調整が可能になる。
また、上述の画像形成装置を、ディザマトリクスによるディザ値を加えることによって多階調化された第1の画像情報に基づいて記録材上に画像を形成する画像形成手段と、記録材上に形成された上記画像を読み取って第2の画像情報とする画像読取手段と、上記画像が異なる階調パターンを配列したパターンチャートである場合に、上記第2の画像情報を処理するとともに、画像処理条件を調整する画像処理手段とを備えている画像形成装置において、上記画像処理手段は、画像読取手段の読取濃度の目標読取値と該目標読取値に対応して決定されている上記画像読取手段の読取基準値との関係性と、上記パターンチャートを上記画像読取手段により読み取ることにより得られる実読取値と上記ディザ値との関係性とに基づいて、上記画像形成手段の入力濃度と上記ディザ値との関係性を求める画像処理を実施する構成である、と表現することもできる。
また、上述の画像処理方法を、画像情報に基づいて画像形成手段により画像形成する画像形成装置に用いられる画像処理方法において、既知の異なるディザ値に対応する複数種の階調パターンを読取用パターンチャートとして、画像形成手段により記録材上に形成する第1の行程と、画像読取手段により上記読取用パターンチャートを直接読み取って入力し、その入力値と上記ディザ値との関係性を記憶する第2の行程と、画像読取手段の入力濃度の目標値に対応して決定されている読取基準値と、上記第2の行程で記憶された読取値とに基づいて、画像形成手段の入力濃度と上記ディザ値との関係性を求める第3の行程とを含む方法である、と表現することもできる。
上記構成または方法によれば、読取基準値と実際の読取値とに基づいて得られる入力濃度と、画像形成時におけるディザ値との関係性を適宜求めることになる。そのため、基準のγ特性の関係性を記憶手段に記憶していなくても、メモリ容量が小さくて済む、γ特性の濃度の目標入力値と入力基準値との対応テーブルを持っていればよく、常に最適のγ特性を簡単に求めることができる。
上記画像処理方法においては、さらに、上記第3の行程で決定した入力濃度とディザ値との関係性に基づいて、目視用パターンチャートを記録材上に形成する第4の行程と、上記目視用パターンチャートを目視して上記関係性を手動調整する第5の行程と、上記第5の行程で調整した上記関係性により得られる上記目標値に対応した値を、上記読取基準値とする第6の行程とを有することが好ましい。
上記方法によれば、読取用パターンチャートだけでなく使用者の目視によって判定される目視用パターンチャートの濃度を画像処理に加味することができる。そのため、簡単かつ適切にγ特性を決定することができる。
上記処理方法においては、さらに、上記第6の行程で得られた読取基準値および上記第3の行程の入力濃度の目標入力値に対応して決定されている読取基準値のうちの何れか一方を、上記第3の行程の読取基準値として使用することが好ましい。
上記方法によれば、標準的な読取基準値(第3の行程で決定された値)と使用者の好みを加味した読取基準値(第6の行程で得られた値)との二種類の読取基準値を適宜使い分けることになる。そのため、たとえば、画像形成装置を工場から出荷する際には、使用者の好みを考慮する必要がないので、標準的な読取基準値を使用し、また、該装置を使用者の手元で設置する場合には使用者の好みを加味した読取基準値を設定し、さらには、使用者側で装置を移動させたような場合には、元の標準的な読取基準値を使用するように、その状況に応じて読取基準値を適切なものとすることができる。その結果、設定の簡易化を図ることが可能になる。
また、上述の画像処理方法を、第1の画像情報に基づいて記録材上に第1の画像を形成し、該第1の画像を画像読取手段により読み取って得られる情報に基づいて記録材上に第2の画像を形成した後、該第2の画像から目視で得られる情報を手動入力手段により入力することで画像処理条件を調整する画像処理方法において、上記第1の画像が有する階調数を、第2の画像が有する階調数よりも大きくする構成である、と表現することもできる。
一般に、画像読取手段により階調性を判定する場合には、階調数が多い方がより正確な階調性の判定が可能になるが、使用者が階調性を目視で判定する場合には、階調数が多過ぎると判定が煩雑化して正確な階調性の判定ができなくなる。逆に、階調数が少ないと使用者の判定には好適であるものの、画像読取手段においては正確な判定ができなくなる。これに対して、上記方法によれば、第1の画像の階調数が第2の画像の階調数よりも大きくなっているので、より正確な階調性の判定を実現することができる。
すなわち、上記方法によれば、第1の画像の階調数が第2の画像の階調数よりも大きくなっているので、より正確な階調性の判定を実現することができるとともに、使用者が目視して画像形成条件を調整する際に、階調性が増加したり、近接した階調のために目視判別が難しくなるような事態を回避することができる。
上述の構成によって、本発明の目的である、階調パターンを形成してこれを画像読取手段に読み取らせることによって、階調性を適切なものに補正する画像形成装置において、エッジ効果やトナーの補給追従性を加味した上で階調パターンのチャートを形成することによって、階調パターンの読取濃度をより適切なものとすることで、画像形成条件を確実かつ適切に調整可能とする画像形成装置を提供することができる。
また、上述の構成によって、本発明の他の目的である、上記階調パターンを読み取る際に、該階調パターンが形成されている用紙の下地分を補正することによって階調パターンの読取濃度をより適切なものとすることで、画像形成条件を確実かつ適切に調整可能とする画像形成装置を提供することができる。
また、上述の構成によって、本発明のさらに他の目的である、上記階調パターンを読み取る際に、機械的手段を用いて装置構成を複雑化させることなく、容易に階調パターンの読み取り精度を向上させることができる画像形成装置を提供することができる。
また、上述の構成によって、本発明のさらに他の目的である、上記階調パターンを読み取って入力濃度とディザ値との関係性を求めることで、簡単かつ適切にγ特性を決定することを可能にする画像形成装置およびこれに用いられる画像処理方法を提供することができる。
また、単に、階調パターンを読み取って、基準のγ特性のカーブを補正するだけの従来技術(上述の(1)および(7)の技術)が知られている。ここで、画像の階調補正に関しては、画像読取手段で読み取るための読取用階調パターンチャート以外に、目視用階調パターンチャートを用いる場合がある。この目視用階調パターンチャートは、目視した際に階調間の濃度が実際とは異なって認識されるのを防止するためのものである。しかしながら、上記従来の各技術には、読取用階調パターンの数と目視用階調パターンの数とをどのように設定するかについては言及されていない。