JP2004205462A - 付着物除去装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】導電率計の測定電極に付着した付着物を容易に除去可能な付着物除去装置の提供を課題とする。
【解決手段】付着物除去装置1は、シャフト4の一端にブラシ2、他端に弁体3をそれぞれ有するシャフト部5と、補給水が流通する補給水流通管6とを主に有する。そして、クーリングタワーの冷却水内に設置された導電率計101の測定電極104の表面に付着した付着物を除去する場合、補給水管を接続部10を介して付着物除去装置1に接続し、補給水が補給水流通管6内に流入されると、水圧で弁体3が押され、ブラシ2が測定電極104を通過し、その際、測定電極104との摩擦を利用して付着物を除去できる。
【選択図】 図4
【解決手段】付着物除去装置1は、シャフト4の一端にブラシ2、他端に弁体3をそれぞれ有するシャフト部5と、補給水が流通する補給水流通管6とを主に有する。そして、クーリングタワーの冷却水内に設置された導電率計101の測定電極104の表面に付着した付着物を除去する場合、補給水管を接続部10を介して付着物除去装置1に接続し、補給水が補給水流通管6内に流入されると、水圧で弁体3が押され、ブラシ2が測定電極104を通過し、その際、測定電極104との摩擦を利用して付着物を除去できる。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、付着物除去装置に関するものであり、特にクーリングタワー内の冷却水の水質管理に使用される導電率計の測定電極に付着した付着物を除去可能な付着物除去装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、水冷式冷凍空調装置等の機器はクーリングタワーを備え、冷却水を循環させて再使用している場合が多い。そして、このクーリングタワーでは、使用により徐々に水が蒸発するため、冷却水中に吸収された大気中の有害ガスや不純物、および補給水中に含まれる不純物等が濃縮され、機器の腐食や、スケールおよびスライムの配管等への付着などが生じやすくなる。そのため、新たに補給水を供給して冷却水の一部をクーリングタワーの外へ放出(いわゆるブロー)し、冷却水中の不純物濃度を一定以下に保持している。現在では、連続的に冷却水の導電率を測定し、導電率センサーの信号に対応して自動的に補給水の給水および強制ブローを行う自動ブロー管理により水質を管理することが一般的である。
【0003】
以上の従来技術は、公然に実施されているものであり、出願人は、この従来技術が記載された文献を、本願出願時においては知見していない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したクーリングタワー内の冷却水の過濃縮が起こると、導電率計のセンサー(測定電極)の表面にスケール等が付着し、センサーの抵抗値が実際の値より低く表示されることがあった。そのため、ブロー管理が正常に行われず、冷却水の汚染が促進される場合がある。そこで、クーリングタワーの運転を停止し、ブラシやウエス等を用いて作業者らが一乃至二ヶ月毎に測定電極の清掃を行う必要があり、人手による清掃は手間および経費が多大にかかった。
【0005】
そこで本発明は、上記実情に鑑み、測定電極に付着した付着物を容易に除去可能な付着物除去装置の提供を課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明にかかる付着物除去装置は、溜水中に設置され、前記溜水の導電率を測定する導電率計の測定電極に付着した付着物を除去する付着物除去装置であって、前記測定電極に接触する除去部を有し、前記除去部との摩擦を利用して前記測定電極の表面に付着した前記付着物を除去する除去手段と、前記除去部を少なくとも前記測定電極に接触する接触位置、および前記測定電極から離間した離間位置との間で変位させる変位手段とを具備するものである。
【0007】
ここで、溜水とはクーリングタワー内の冷却水、ボイラーの缶水、冷凍機械室内の冷却水等、さらに、湖および沼等の水が例示される。また、付着物とはスケール、スライム、土砂および泥等の測定電極の感度を損なうものが挙げられる。
【0008】
そして、除去手段とはブラシおよびスポンジ等の除去部との摩擦を利用して導電率計の測定電極表面に付着する付着物を除去するものである。また、除去部を変位させる駆動手段は油圧および空気圧等を利用する機械式およびモータ等を利用する電動式等様々な公知の手段を適用することが可能である。
【0009】
したがって、請求項1の発明の付着物除去装置によれば、溜水中に水質を管理するための導電率計が没入されている状態で、除去部を導電率計の測定電極に接触しない離間位置にして付着物除去装置を設置する。このとき、除去部は測定電極に接触しないため、溜水の導電率の計測を妨げることがない。そして、変位手段により所定間隔で、あるいは無作為的に、除去部を測定電極に接触する接触位置に変位させることにより、除去部と測定電極との摩擦により測定電極に付着した付着物が取除かれる。これにより、導電率計を溜水に没入した状態で測定電極の清掃をすることが可能となる。
【0010】
請求項2の発明にかかる付着物除去装置は、請求項1に記載の付着物除去装置において、前記変位手段は、前記除去部を少なくとも前記接触位置および前記離間位置の間で往復運動させるものである。
【0011】
ここで、往復運動とは、往復直線運動、または回転を伴う往復運動をいう。
【0012】
したがって、請求項2の発明の付着物除去装置によれば、請求項1の発明の付着物除去装置の作用に加え、除去部を離間位置および接触位置の間を変位させると共に、除去部と測定電極との摩擦により付着物を除去する。これにより、除去部に比較的単調な往復運動をさせることによって、複雑な機構を有することなく、測定電極の清掃が可能となる。
【0013】
請求項3の発明にかかる付着物除去装置は、請求項1または請求項2に記載の付着物除去装置において、前記変位手段は、前記溜水に補給される補給水および前記溜水より抽出された抽出水のいずれか一方の流水の水圧が利用され、前記除去手段は、一端に前記除去部を有し、他端に前記水圧を受ける弁体を有するシャフト部を備え、前記シャフト部を内包し、内部に前記流水が流通可能な空間が形成された筒状を呈するケーシングと、前記ケーシング内に配設され、前記シャフト部の前記除去部を前記離間位置に付勢する付勢手段と、前記流水を供給する供給部と前記ケーシングの一端を水密にして接続する接続部とを具備し、前記水圧を利用して前記弁体を押圧し、前記付勢手段に抗して前記離間位置から前記接触位置に前記除去部を変位させるものである。
【0014】
ここで、補給水の水圧を利用するのはクーリングタワー内の冷却水中に没入して導電率計を設置し、導電率を測定して水質管理を行う場合が想定され、溜水より抽出される抽出水の水圧を利用するのはクーリングタワーに送流される冷却水循環水から冷却水を抽出し、その抽出水の導電率を測定し水質監視を行う場合、および冷凍機械室内の冷却水中に導電率計を設置して導電率を測定し水質監視を行う場合等が想定される。
【0015】
また、付勢手段とはスプリングおよび弾性ゴム等をシャフトが貫通するように一本設けたり、シャフトの外周に数本取付けるなどしてブラシ等の除去部を離間位置に付勢するものが例示される。
【0016】
したがって、請求項3の発明の付着物除去装置によれば、請求項1または請求項2の発明の付着物除去装置の作用に加え、変位手段としては溜水に補給される補給水や抽出された抽出水の水圧が利用される。なお、係る水は最低でも一日に数回は供給されるため、その度に除去部が変位し、付着物が除去される。
【0017】
請求項4の発明にかかる付着物除去装置は、請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の付着物除去装置において、前記ケーシングは、前記シャフト部の前記除去部および前記弁体の間に設けられ、前記空間を流通する前記流水を堰止める堰止部と、前記堰止部によって堰止められた前記流水を、前記測定電極から離間する方向へ流出させる流出手段とをさらに具備するである。
【0018】
ここで、流出手段とは、ケーシングの側面に複数の孔を内部空間に連通するように穿設し、ケーシングの外部に放出された流水が測定電極方向に流入しないようにケーシングの外周に壁を作ったり、ケーシングの側面に測定電極と逆方向に曲折した放出管を貫設すること等が例示される。
【0019】
したがって、請求項4の発明の付着物除去装置によれば、請求項1乃至請求項3のいずれか一つの発明の付着物除去装置の作用に加え、ケーシング内を流通する流水が堰止部に堰止められるため、測定電極付近に直接流入することがない。さらに、ケーシング内に流入された流水は測定電極から離間する方向に流出されるため、測定電極付近の水が部分的に過希釈されることはない。また、ケーシング内に流入した流水を外部に放出できるため、ケーシング内に流水が溜まり、供給部等へ逆流することがない。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態である付着物除去装置1について図1乃至図5に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態である付着物除去装置1の使用状態を示す説明図であり、図2は付着物除去装置1の構成を示す斜視図であり、図3は離間位置Aにあるブラシ2を示す断面図であり、図4は測定電極との接触位置Bにあるブラシ2を示す断面図であり、図5は係止位置Cにあるブラシ2を示す断面図である。なお、図1に示すように、本実施形態では、クーリングタワーTの水槽内の冷却水Cに没入して設置された導電率計101の測定電極104表面に付着した付着物を、補給水Sの水圧を利用して除去するものを例示している。
【0021】
付着物除去装置1は、図2および図3に示すように、シャフト4の一端にブラシ2、他端に断面凸字形状の円形短柱形状を呈する弁体3が取付けられたシャフト部5と、円筒形状を呈しシャフト部5を内包し、補給水Sが流通する補給水流通管6と、補給水流通管6の一端に盲蓋状に嵌設されている係止部7と、一端が弁体3に接続され、さらに他端が係止部7に接続されたスプリング8と、一端が閉塞され、補給水流通管6より径の大きい円筒形状を呈する流出方向案内部9と、補給水流通管6の一端から延設され、補給水管Pと接続される接続部10と、補給水流通管6と連結部11を介して連結され、導電率計101に取付けられる取付部12とから主に構成される。そして、補給水Sが補給されない時は、ブラシ2は図3に示す離間位置Aに配置されている。
【0022】
また、導電率計101としては、図2に示すように四電極方式のものが本実施形態において利用され、円筒状の中空部103を有し、略直方体形状を呈する導電率計本体102と、円筒状の中空部103の内側面に突設された四つの測定電極104と、冷却水ブロー調節器本体(図示しない)に接続されている電極ケーブル105とから主に構成されている。一方、クーリングタワーTは図1に示すように電磁弁Vを備える補給水管Pおよびブロー管Bを有し、水冷式冷凍機の冷却水が循環し、下部の水槽に溜まっている。そして、係る冷却水Cの水質は、連続して導電率を計測し、冷却水ブロー調節器を用いて管理されている。すなわち、冷却水Cが濃縮され導電率計101で計測された導電率が予め設定した基準値を上回ると、電磁弁Vが開放され、補給水Sが水槽内に新たに補給され、これによりブロー管Bから汚れた冷却水Cがブローダウンされ、冷却水C中の不純物濃度を希釈する自動ブロー管理が行われる。そして、付着物除去装置1は、図2に示すように導電率計本体102が取付部12に内包された状態で取付けられ、補給水Sの水圧によってブラシ2が中空部103を貫通し、測定電極104表面に付着した付着物を除去するものである。
【0023】
さらに、付着物除去装置1の構成について図2および図3に基づいて詳しく説明する。取付部12は、導電率計本体102を挟持する二枚の挟持面13と、挟持面13を連結する連結面14と、連結部11が接続される接続面15とを有する。二枚の挟持面13は、導電率計本体102の断面形状と略同形状であり、相対する位置にネジ孔21がそれぞれ穿設されている。そして、連結面14の略中央には、電極ケーブル105が挿通可能な円形状を呈するケーブル孔16が穿設されている。また、接続面15には、導電率計本体102を挟持した際に中空部103の開口部と対応する位置に、ブラシ2が通過する通過孔17が穿設されている。そして、ケーブル孔16に電極ケーブル105を挿通し、取付部12に導電率計本体102が嵌入された状態で、ネジ18をネジ孔21に螺合することによって、二枚の挟持面13がネジ18を介して連結され、本実施形態の付着物除去装置1が導電率計101に取付けられる。このとき、付着物除去装置1の連結部11は、導電率計本体102の中空部103と対応する位置に配置されるため、ブラシ2はスムーズに中空部103に挿入される。
【0024】
そして、内部を補給水Sが流通する補給水流通管6は、一端に盲蓋状の係止部7が嵌設され、さらに連結部11を介して取付部12に連結され、他端から延設された接続部10によって補給水管Pと接続される。さらに、弁体3が係止部7に当接した際に弁体3によって塞がれない位置に、補給水Sが放出される放出孔19が四つ穿設され、さらに、流出方向案内部9が放出孔19を内包するように付設されている。このとき、開口端は接続部10の方に向いている。
【0025】
そして、シャフト部5はシャフト4が係止部7の中心を貫通し、ブラシ2は連結部11内に、弁体3は補給水流通管6内に位置する。そして、弁体3はスプリング8を介して係止体と連結され、測定電極104から離間する方向へスプリング8によって付勢されている。なお、ブラシ2の外径は、導電率計本体102の中空部103の内径と略同径であり、弁体3の外径は補給水流通管6の内径と略同径である。
【0026】
なお、本実施形態においてブラシ2が本発明における除去部、補給水流通管6が本発明におけるケーシング、係止部7が本発明における係止部および堰止部、スプリング8が本発明における付勢手段、放出孔19および流出方向案内部9が本発明における流出手段に相当する。また、冷却水Cが本発明における溜水、補給水管Pが本発明における補給部、補給水Sが本発明における流水に相当する。
【0027】
次に、付着物除去装置1の動作について図1乃至図5に基づいて説明する。付着物除去装置1は、図1に示すようにクーリングタワーTの水槽内の冷却水Cに没入して設置されている導電率計101に取付けられ、一端に補給水管Pが接続部10を介して接続されている。このとき、ブラシ2はスプリング8によって付勢され、図3に示す離間位置Aに配置されている。そして、自動ブロー管理を行うことによってクーリングタワーT内の冷却水Cの水質を調整している場合、導電率計101によって計測された導電率が、予め設定された基準値を上回ると、補給水管Pに取付けられた電磁弁Vが開放され、補給水Sが補給される。このとき、補給水管Pは、付着物除去装置1に接続されているため、補給水Sは補給水流通管6内に流入される。そして、流入された補給水Sの水圧によって弁体3が押圧されるため、シャフト部5が導電率計101の方へ押出され、ブラシ2は図4に示す接触位置Bを経て、図5に示す係止位置Cで係止する。このとき、弁体3が係止部7に当接し係止されているため、シャフト部5が係止され、ブラシ2は導電率計101の中空部103を貫通した係止位置Cに配置されている。付着物除去装置1は、ブラシ2の径が中空部103の内径と略一致するため、ブラシ2が離間位置Aから接触位置Bを経て係止位置Cまで移動する間に、測定電極104と接触し、測定電極104との摩擦により表面に付着した付着物を除去する。さらに、シャフト部5が係止された後も補給水Sは補給され続け、導電率が基準値以下になると電磁弁Vが閉塞され、補給が終了する。そして、補給水Sの補給が終了すると弁体3を押圧する水圧が無くなるため、スプリング8の付勢力によりシャフト部5は接触位置Bを経て離間位置Aに戻される。このときも、前述と同様にブラシ2が測定電極104を通過するため摩擦により付着物が除去される。すなわち、補給水Sの水圧およびスプリング8の付勢力によってシャフト部5は往復運動し、その際にブラシ2との摩擦により測定電極104に付着した付着物が除去される。なお、通常、補給水Sは一日に数十回程度は補給されることが多いため、その都度測定電極104の表面に付着した付着物を除去することができる。
【0028】
なお、係止部7は補給水流通管6に溶接されているため補給水流通管6内に流入した補給水Sは係止部7で堰止められる。すなわち、係止部7は堰止部としても作用し、中空部103に直接補給水Sが流入することがない。さらに、補給水流通管6は放出孔19を有し、外周に流出方向案内部9が付設されているため、補給水流通管6内に流入された補給水Sは、弁体3が係止部7に当接し係止すると放出孔19から補給水流通管6の外へ放出され、流出方向案内部9の内側面に沿って、測定電極104から離れる方向に流出される。そのため、測定電極104付近に多量に補給水Sが流入することがなく、測定電極104はほぼ均一に希釈された冷却水Cの導電率を計測することができる。
【0029】
また、連結部11には四つの円形孔20が穿設されており、ブラシ2が往復運動する際に連結部11内部の冷却水Cが流出するため、ブラシ2の往復運動に対する抵抗を低減できる。
【0030】
上記のように、本実施形態の付着物除去装置1は、クーリングタワーTの冷却水Cに没入して設置されている導電率計101に取りつけられているため、導電率計101を冷却水Cから引上げて、測定電極104の掃除を人手によってする必要がなくなり、経費が低減できる。
【0031】
さらに、冷却水Cに補給される補給水Sの水圧を利用してシャフト部5を変位させ測定電極104の掃除を行っている。すなわち、シャフト部5を変位させるために、モーター、空気圧、油圧等を利用した駆動機構を設けることなく、クーリングタワーTに既設されている補給水Sの水圧を利用してシャフト部5を変位させることができる。また、補給水Sが供給される度にブラシ2が測定電極104を通過し、測定電極104表面の付着物を除去することができる。
【0032】
また、堰止部として作用する係止部7によって、補給水Sが測定電極104付近に直接流入しないため、測定電極104は部分的に過希釈された冷却水Cの導電率を計測することはなく、ほぼ均一に希釈された冷却水Cの導電率を計測することができるため、正確に水質管理を行うことができる。
【0033】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0034】
すなわち、ブラシ2を用いて測定電極104表面に付着した付着物を除去する付着物除去装置1を示したが、除去部はスポンジ等であってもよい。特に、形状の違う電極の場合など、スポンジが好適な場合がある。例えば、図6に示すような測定電極202を有し円柱形状を呈する電極本体201の場合、電極本体201が嵌通する中空部52を有し円筒形状を呈するスポンジ51からなる除去部を用いるのが好適である。
【0035】
また、補給水Sの水圧を利用してシャフト部5を離間位置Aから係止位置Cまで変位させ、スプリング8の付勢力を利用して離間位置Aに戻す往復運動において、測定電極104を通過する際に付着物を除去するものを示したが、往復運動の際に回転を伴うものであってもよい。これにより、測定電極104表面との摩擦が大きくなり、さらに付着物を除去できる。さらに、係止位置Cを接触位置Bに設定するものであってもよい。また、シャフト部5を変位させる駆動手段として、モーター等の電気的手段および油圧、空気圧等の機械的手段を利用してもよい。
【0036】
また、係止部7は堰止部を兼ねるものを示したが、別々に備えてもよい。例えば、一端が閉塞された補給水流通管6の内部に複数のピンを突設して弁体を係止するものであってもよい。
【0037】
また、補給水流通管6に放出孔19を穿設し、流出方向案内部9を付設して、測定電極から離れる方向に補給水Sを流出しているが、測定電極から離れる方向に曲折した流出管を放出孔19に嵌設してもよい。
【0038】
そして、スプリング8の付勢力を利用してシャフト部5を測定電極104から離れる方向へ付勢するものを示したが、シャフト部5が貫通するゴム体を補給水流通管6の内部に嵌設し、ゴムの弾性力を利用して付勢してもよい。
【0039】
また、クーリングタワーTの冷却水Cに没入して設置された導電率計101の測定電極104の表面に付着している付着物を、冷却水Cに補給される補給水Sの水圧を利用して除去するものを示したが、それ以外の設置場所にも適用できる。例えば、クーリングタワーから流出、あるいはクーリングタワーに流れる冷却水循環水から冷却水を抽出し、その抽出水中に導電率計を設置し水質監視を行う場合、抽出水の水圧を利用することができ、冷凍機械室内の冷却水中に導電率計を設置して導電率を測定し水質監視を行う場合は冷凍機械室に流入される冷却水循環水の水圧を利用することができる。
【0040】
【発明の効果】
以上のように、請求項1および請求項2の発明の付着物除去装置は、溜水中に導電率計が没入した状態で、測定電極表面に付着した付着物を除去することができる。したがって、導電率計を水中から引上げて人手によって測定電極を掃除する手間および経費を低減することができる。さらに、請求項2の発明の付着物除去装置は、除去部を変位させると共に付着物を除去することができ、一定の動きを繰り返す簡単な構造にできるため、安価に製造できる。
【0041】
請求項3の発明の付着物除去装置は、請求項1または請求項2の発明の付着物除去装置の効果に加え、溜水中に補給される補給水および溜水より抽出される抽出水のいずれか一方の流水の水圧を利用して除去部を変位させるため、既存の設備から駆動力を得られる。すなわち、モーター等の電気的駆動力および油圧、空気圧等の機械的駆動力等を付着物除去装置用に備える必要がない。したがって、種々の溜水中に設置されている導電率計の測定電極に対して設置することができる。
【0042】
請求項4の発明の付着物除去装置は、請求項1乃至請求項3のいずれか一つの発明の付着物除去装置の効果に加え、ケーシング内に流入した流水が堰止部によって堰止められ、測定電極付近に直接流入しない。さらに、ケーシング内に流入した流水は測定電極と逆方向に向かって放出される。したがって、測定電極付近が流水によって部分的に過希釈されることなく、導電率計は一様に希釈された溜水の導電率を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実地形態の付着物除去装置の使用状態を示す説明図である。
【図2】付着物除去装置の構成を示す斜視図である。
【図3】離間位置にある除去部を示す断面図である。
【図4】測定電極との接触位置にある除去部を示す断面図である。
【図5】係止位置にある除去部を示す断面図である。
【図6】付着物除去装置の除去部の別例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 付着物除去装置
2 ブラシ(除去部)
3 弁体
5 シャフト部
6 補給水流通管(ケーシング)
7 係止部(係止部、堰止部)
8 スプリング(付勢手段)
9 流出方向案内部(流出手段)
10 接続部
19 放出孔(流出手段)
C 冷却水(溜水)
P 補給水管(供給部)
S 補給水(流水)
A 離間位置
B 接触位置
【発明の属する技術分野】
本発明は、付着物除去装置に関するものであり、特にクーリングタワー内の冷却水の水質管理に使用される導電率計の測定電極に付着した付着物を除去可能な付着物除去装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、水冷式冷凍空調装置等の機器はクーリングタワーを備え、冷却水を循環させて再使用している場合が多い。そして、このクーリングタワーでは、使用により徐々に水が蒸発するため、冷却水中に吸収された大気中の有害ガスや不純物、および補給水中に含まれる不純物等が濃縮され、機器の腐食や、スケールおよびスライムの配管等への付着などが生じやすくなる。そのため、新たに補給水を供給して冷却水の一部をクーリングタワーの外へ放出(いわゆるブロー)し、冷却水中の不純物濃度を一定以下に保持している。現在では、連続的に冷却水の導電率を測定し、導電率センサーの信号に対応して自動的に補給水の給水および強制ブローを行う自動ブロー管理により水質を管理することが一般的である。
【0003】
以上の従来技術は、公然に実施されているものであり、出願人は、この従来技術が記載された文献を、本願出願時においては知見していない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したクーリングタワー内の冷却水の過濃縮が起こると、導電率計のセンサー(測定電極)の表面にスケール等が付着し、センサーの抵抗値が実際の値より低く表示されることがあった。そのため、ブロー管理が正常に行われず、冷却水の汚染が促進される場合がある。そこで、クーリングタワーの運転を停止し、ブラシやウエス等を用いて作業者らが一乃至二ヶ月毎に測定電極の清掃を行う必要があり、人手による清掃は手間および経費が多大にかかった。
【0005】
そこで本発明は、上記実情に鑑み、測定電極に付着した付着物を容易に除去可能な付着物除去装置の提供を課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明にかかる付着物除去装置は、溜水中に設置され、前記溜水の導電率を測定する導電率計の測定電極に付着した付着物を除去する付着物除去装置であって、前記測定電極に接触する除去部を有し、前記除去部との摩擦を利用して前記測定電極の表面に付着した前記付着物を除去する除去手段と、前記除去部を少なくとも前記測定電極に接触する接触位置、および前記測定電極から離間した離間位置との間で変位させる変位手段とを具備するものである。
【0007】
ここで、溜水とはクーリングタワー内の冷却水、ボイラーの缶水、冷凍機械室内の冷却水等、さらに、湖および沼等の水が例示される。また、付着物とはスケール、スライム、土砂および泥等の測定電極の感度を損なうものが挙げられる。
【0008】
そして、除去手段とはブラシおよびスポンジ等の除去部との摩擦を利用して導電率計の測定電極表面に付着する付着物を除去するものである。また、除去部を変位させる駆動手段は油圧および空気圧等を利用する機械式およびモータ等を利用する電動式等様々な公知の手段を適用することが可能である。
【0009】
したがって、請求項1の発明の付着物除去装置によれば、溜水中に水質を管理するための導電率計が没入されている状態で、除去部を導電率計の測定電極に接触しない離間位置にして付着物除去装置を設置する。このとき、除去部は測定電極に接触しないため、溜水の導電率の計測を妨げることがない。そして、変位手段により所定間隔で、あるいは無作為的に、除去部を測定電極に接触する接触位置に変位させることにより、除去部と測定電極との摩擦により測定電極に付着した付着物が取除かれる。これにより、導電率計を溜水に没入した状態で測定電極の清掃をすることが可能となる。
【0010】
請求項2の発明にかかる付着物除去装置は、請求項1に記載の付着物除去装置において、前記変位手段は、前記除去部を少なくとも前記接触位置および前記離間位置の間で往復運動させるものである。
【0011】
ここで、往復運動とは、往復直線運動、または回転を伴う往復運動をいう。
【0012】
したがって、請求項2の発明の付着物除去装置によれば、請求項1の発明の付着物除去装置の作用に加え、除去部を離間位置および接触位置の間を変位させると共に、除去部と測定電極との摩擦により付着物を除去する。これにより、除去部に比較的単調な往復運動をさせることによって、複雑な機構を有することなく、測定電極の清掃が可能となる。
【0013】
請求項3の発明にかかる付着物除去装置は、請求項1または請求項2に記載の付着物除去装置において、前記変位手段は、前記溜水に補給される補給水および前記溜水より抽出された抽出水のいずれか一方の流水の水圧が利用され、前記除去手段は、一端に前記除去部を有し、他端に前記水圧を受ける弁体を有するシャフト部を備え、前記シャフト部を内包し、内部に前記流水が流通可能な空間が形成された筒状を呈するケーシングと、前記ケーシング内に配設され、前記シャフト部の前記除去部を前記離間位置に付勢する付勢手段と、前記流水を供給する供給部と前記ケーシングの一端を水密にして接続する接続部とを具備し、前記水圧を利用して前記弁体を押圧し、前記付勢手段に抗して前記離間位置から前記接触位置に前記除去部を変位させるものである。
【0014】
ここで、補給水の水圧を利用するのはクーリングタワー内の冷却水中に没入して導電率計を設置し、導電率を測定して水質管理を行う場合が想定され、溜水より抽出される抽出水の水圧を利用するのはクーリングタワーに送流される冷却水循環水から冷却水を抽出し、その抽出水の導電率を測定し水質監視を行う場合、および冷凍機械室内の冷却水中に導電率計を設置して導電率を測定し水質監視を行う場合等が想定される。
【0015】
また、付勢手段とはスプリングおよび弾性ゴム等をシャフトが貫通するように一本設けたり、シャフトの外周に数本取付けるなどしてブラシ等の除去部を離間位置に付勢するものが例示される。
【0016】
したがって、請求項3の発明の付着物除去装置によれば、請求項1または請求項2の発明の付着物除去装置の作用に加え、変位手段としては溜水に補給される補給水や抽出された抽出水の水圧が利用される。なお、係る水は最低でも一日に数回は供給されるため、その度に除去部が変位し、付着物が除去される。
【0017】
請求項4の発明にかかる付着物除去装置は、請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の付着物除去装置において、前記ケーシングは、前記シャフト部の前記除去部および前記弁体の間に設けられ、前記空間を流通する前記流水を堰止める堰止部と、前記堰止部によって堰止められた前記流水を、前記測定電極から離間する方向へ流出させる流出手段とをさらに具備するである。
【0018】
ここで、流出手段とは、ケーシングの側面に複数の孔を内部空間に連通するように穿設し、ケーシングの外部に放出された流水が測定電極方向に流入しないようにケーシングの外周に壁を作ったり、ケーシングの側面に測定電極と逆方向に曲折した放出管を貫設すること等が例示される。
【0019】
したがって、請求項4の発明の付着物除去装置によれば、請求項1乃至請求項3のいずれか一つの発明の付着物除去装置の作用に加え、ケーシング内を流通する流水が堰止部に堰止められるため、測定電極付近に直接流入することがない。さらに、ケーシング内に流入された流水は測定電極から離間する方向に流出されるため、測定電極付近の水が部分的に過希釈されることはない。また、ケーシング内に流入した流水を外部に放出できるため、ケーシング内に流水が溜まり、供給部等へ逆流することがない。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態である付着物除去装置1について図1乃至図5に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態である付着物除去装置1の使用状態を示す説明図であり、図2は付着物除去装置1の構成を示す斜視図であり、図3は離間位置Aにあるブラシ2を示す断面図であり、図4は測定電極との接触位置Bにあるブラシ2を示す断面図であり、図5は係止位置Cにあるブラシ2を示す断面図である。なお、図1に示すように、本実施形態では、クーリングタワーTの水槽内の冷却水Cに没入して設置された導電率計101の測定電極104表面に付着した付着物を、補給水Sの水圧を利用して除去するものを例示している。
【0021】
付着物除去装置1は、図2および図3に示すように、シャフト4の一端にブラシ2、他端に断面凸字形状の円形短柱形状を呈する弁体3が取付けられたシャフト部5と、円筒形状を呈しシャフト部5を内包し、補給水Sが流通する補給水流通管6と、補給水流通管6の一端に盲蓋状に嵌設されている係止部7と、一端が弁体3に接続され、さらに他端が係止部7に接続されたスプリング8と、一端が閉塞され、補給水流通管6より径の大きい円筒形状を呈する流出方向案内部9と、補給水流通管6の一端から延設され、補給水管Pと接続される接続部10と、補給水流通管6と連結部11を介して連結され、導電率計101に取付けられる取付部12とから主に構成される。そして、補給水Sが補給されない時は、ブラシ2は図3に示す離間位置Aに配置されている。
【0022】
また、導電率計101としては、図2に示すように四電極方式のものが本実施形態において利用され、円筒状の中空部103を有し、略直方体形状を呈する導電率計本体102と、円筒状の中空部103の内側面に突設された四つの測定電極104と、冷却水ブロー調節器本体(図示しない)に接続されている電極ケーブル105とから主に構成されている。一方、クーリングタワーTは図1に示すように電磁弁Vを備える補給水管Pおよびブロー管Bを有し、水冷式冷凍機の冷却水が循環し、下部の水槽に溜まっている。そして、係る冷却水Cの水質は、連続して導電率を計測し、冷却水ブロー調節器を用いて管理されている。すなわち、冷却水Cが濃縮され導電率計101で計測された導電率が予め設定した基準値を上回ると、電磁弁Vが開放され、補給水Sが水槽内に新たに補給され、これによりブロー管Bから汚れた冷却水Cがブローダウンされ、冷却水C中の不純物濃度を希釈する自動ブロー管理が行われる。そして、付着物除去装置1は、図2に示すように導電率計本体102が取付部12に内包された状態で取付けられ、補給水Sの水圧によってブラシ2が中空部103を貫通し、測定電極104表面に付着した付着物を除去するものである。
【0023】
さらに、付着物除去装置1の構成について図2および図3に基づいて詳しく説明する。取付部12は、導電率計本体102を挟持する二枚の挟持面13と、挟持面13を連結する連結面14と、連結部11が接続される接続面15とを有する。二枚の挟持面13は、導電率計本体102の断面形状と略同形状であり、相対する位置にネジ孔21がそれぞれ穿設されている。そして、連結面14の略中央には、電極ケーブル105が挿通可能な円形状を呈するケーブル孔16が穿設されている。また、接続面15には、導電率計本体102を挟持した際に中空部103の開口部と対応する位置に、ブラシ2が通過する通過孔17が穿設されている。そして、ケーブル孔16に電極ケーブル105を挿通し、取付部12に導電率計本体102が嵌入された状態で、ネジ18をネジ孔21に螺合することによって、二枚の挟持面13がネジ18を介して連結され、本実施形態の付着物除去装置1が導電率計101に取付けられる。このとき、付着物除去装置1の連結部11は、導電率計本体102の中空部103と対応する位置に配置されるため、ブラシ2はスムーズに中空部103に挿入される。
【0024】
そして、内部を補給水Sが流通する補給水流通管6は、一端に盲蓋状の係止部7が嵌設され、さらに連結部11を介して取付部12に連結され、他端から延設された接続部10によって補給水管Pと接続される。さらに、弁体3が係止部7に当接した際に弁体3によって塞がれない位置に、補給水Sが放出される放出孔19が四つ穿設され、さらに、流出方向案内部9が放出孔19を内包するように付設されている。このとき、開口端は接続部10の方に向いている。
【0025】
そして、シャフト部5はシャフト4が係止部7の中心を貫通し、ブラシ2は連結部11内に、弁体3は補給水流通管6内に位置する。そして、弁体3はスプリング8を介して係止体と連結され、測定電極104から離間する方向へスプリング8によって付勢されている。なお、ブラシ2の外径は、導電率計本体102の中空部103の内径と略同径であり、弁体3の外径は補給水流通管6の内径と略同径である。
【0026】
なお、本実施形態においてブラシ2が本発明における除去部、補給水流通管6が本発明におけるケーシング、係止部7が本発明における係止部および堰止部、スプリング8が本発明における付勢手段、放出孔19および流出方向案内部9が本発明における流出手段に相当する。また、冷却水Cが本発明における溜水、補給水管Pが本発明における補給部、補給水Sが本発明における流水に相当する。
【0027】
次に、付着物除去装置1の動作について図1乃至図5に基づいて説明する。付着物除去装置1は、図1に示すようにクーリングタワーTの水槽内の冷却水Cに没入して設置されている導電率計101に取付けられ、一端に補給水管Pが接続部10を介して接続されている。このとき、ブラシ2はスプリング8によって付勢され、図3に示す離間位置Aに配置されている。そして、自動ブロー管理を行うことによってクーリングタワーT内の冷却水Cの水質を調整している場合、導電率計101によって計測された導電率が、予め設定された基準値を上回ると、補給水管Pに取付けられた電磁弁Vが開放され、補給水Sが補給される。このとき、補給水管Pは、付着物除去装置1に接続されているため、補給水Sは補給水流通管6内に流入される。そして、流入された補給水Sの水圧によって弁体3が押圧されるため、シャフト部5が導電率計101の方へ押出され、ブラシ2は図4に示す接触位置Bを経て、図5に示す係止位置Cで係止する。このとき、弁体3が係止部7に当接し係止されているため、シャフト部5が係止され、ブラシ2は導電率計101の中空部103を貫通した係止位置Cに配置されている。付着物除去装置1は、ブラシ2の径が中空部103の内径と略一致するため、ブラシ2が離間位置Aから接触位置Bを経て係止位置Cまで移動する間に、測定電極104と接触し、測定電極104との摩擦により表面に付着した付着物を除去する。さらに、シャフト部5が係止された後も補給水Sは補給され続け、導電率が基準値以下になると電磁弁Vが閉塞され、補給が終了する。そして、補給水Sの補給が終了すると弁体3を押圧する水圧が無くなるため、スプリング8の付勢力によりシャフト部5は接触位置Bを経て離間位置Aに戻される。このときも、前述と同様にブラシ2が測定電極104を通過するため摩擦により付着物が除去される。すなわち、補給水Sの水圧およびスプリング8の付勢力によってシャフト部5は往復運動し、その際にブラシ2との摩擦により測定電極104に付着した付着物が除去される。なお、通常、補給水Sは一日に数十回程度は補給されることが多いため、その都度測定電極104の表面に付着した付着物を除去することができる。
【0028】
なお、係止部7は補給水流通管6に溶接されているため補給水流通管6内に流入した補給水Sは係止部7で堰止められる。すなわち、係止部7は堰止部としても作用し、中空部103に直接補給水Sが流入することがない。さらに、補給水流通管6は放出孔19を有し、外周に流出方向案内部9が付設されているため、補給水流通管6内に流入された補給水Sは、弁体3が係止部7に当接し係止すると放出孔19から補給水流通管6の外へ放出され、流出方向案内部9の内側面に沿って、測定電極104から離れる方向に流出される。そのため、測定電極104付近に多量に補給水Sが流入することがなく、測定電極104はほぼ均一に希釈された冷却水Cの導電率を計測することができる。
【0029】
また、連結部11には四つの円形孔20が穿設されており、ブラシ2が往復運動する際に連結部11内部の冷却水Cが流出するため、ブラシ2の往復運動に対する抵抗を低減できる。
【0030】
上記のように、本実施形態の付着物除去装置1は、クーリングタワーTの冷却水Cに没入して設置されている導電率計101に取りつけられているため、導電率計101を冷却水Cから引上げて、測定電極104の掃除を人手によってする必要がなくなり、経費が低減できる。
【0031】
さらに、冷却水Cに補給される補給水Sの水圧を利用してシャフト部5を変位させ測定電極104の掃除を行っている。すなわち、シャフト部5を変位させるために、モーター、空気圧、油圧等を利用した駆動機構を設けることなく、クーリングタワーTに既設されている補給水Sの水圧を利用してシャフト部5を変位させることができる。また、補給水Sが供給される度にブラシ2が測定電極104を通過し、測定電極104表面の付着物を除去することができる。
【0032】
また、堰止部として作用する係止部7によって、補給水Sが測定電極104付近に直接流入しないため、測定電極104は部分的に過希釈された冷却水Cの導電率を計測することはなく、ほぼ均一に希釈された冷却水Cの導電率を計測することができるため、正確に水質管理を行うことができる。
【0033】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0034】
すなわち、ブラシ2を用いて測定電極104表面に付着した付着物を除去する付着物除去装置1を示したが、除去部はスポンジ等であってもよい。特に、形状の違う電極の場合など、スポンジが好適な場合がある。例えば、図6に示すような測定電極202を有し円柱形状を呈する電極本体201の場合、電極本体201が嵌通する中空部52を有し円筒形状を呈するスポンジ51からなる除去部を用いるのが好適である。
【0035】
また、補給水Sの水圧を利用してシャフト部5を離間位置Aから係止位置Cまで変位させ、スプリング8の付勢力を利用して離間位置Aに戻す往復運動において、測定電極104を通過する際に付着物を除去するものを示したが、往復運動の際に回転を伴うものであってもよい。これにより、測定電極104表面との摩擦が大きくなり、さらに付着物を除去できる。さらに、係止位置Cを接触位置Bに設定するものであってもよい。また、シャフト部5を変位させる駆動手段として、モーター等の電気的手段および油圧、空気圧等の機械的手段を利用してもよい。
【0036】
また、係止部7は堰止部を兼ねるものを示したが、別々に備えてもよい。例えば、一端が閉塞された補給水流通管6の内部に複数のピンを突設して弁体を係止するものであってもよい。
【0037】
また、補給水流通管6に放出孔19を穿設し、流出方向案内部9を付設して、測定電極から離れる方向に補給水Sを流出しているが、測定電極から離れる方向に曲折した流出管を放出孔19に嵌設してもよい。
【0038】
そして、スプリング8の付勢力を利用してシャフト部5を測定電極104から離れる方向へ付勢するものを示したが、シャフト部5が貫通するゴム体を補給水流通管6の内部に嵌設し、ゴムの弾性力を利用して付勢してもよい。
【0039】
また、クーリングタワーTの冷却水Cに没入して設置された導電率計101の測定電極104の表面に付着している付着物を、冷却水Cに補給される補給水Sの水圧を利用して除去するものを示したが、それ以外の設置場所にも適用できる。例えば、クーリングタワーから流出、あるいはクーリングタワーに流れる冷却水循環水から冷却水を抽出し、その抽出水中に導電率計を設置し水質監視を行う場合、抽出水の水圧を利用することができ、冷凍機械室内の冷却水中に導電率計を設置して導電率を測定し水質監視を行う場合は冷凍機械室に流入される冷却水循環水の水圧を利用することができる。
【0040】
【発明の効果】
以上のように、請求項1および請求項2の発明の付着物除去装置は、溜水中に導電率計が没入した状態で、測定電極表面に付着した付着物を除去することができる。したがって、導電率計を水中から引上げて人手によって測定電極を掃除する手間および経費を低減することができる。さらに、請求項2の発明の付着物除去装置は、除去部を変位させると共に付着物を除去することができ、一定の動きを繰り返す簡単な構造にできるため、安価に製造できる。
【0041】
請求項3の発明の付着物除去装置は、請求項1または請求項2の発明の付着物除去装置の効果に加え、溜水中に補給される補給水および溜水より抽出される抽出水のいずれか一方の流水の水圧を利用して除去部を変位させるため、既存の設備から駆動力を得られる。すなわち、モーター等の電気的駆動力および油圧、空気圧等の機械的駆動力等を付着物除去装置用に備える必要がない。したがって、種々の溜水中に設置されている導電率計の測定電極に対して設置することができる。
【0042】
請求項4の発明の付着物除去装置は、請求項1乃至請求項3のいずれか一つの発明の付着物除去装置の効果に加え、ケーシング内に流入した流水が堰止部によって堰止められ、測定電極付近に直接流入しない。さらに、ケーシング内に流入した流水は測定電極と逆方向に向かって放出される。したがって、測定電極付近が流水によって部分的に過希釈されることなく、導電率計は一様に希釈された溜水の導電率を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実地形態の付着物除去装置の使用状態を示す説明図である。
【図2】付着物除去装置の構成を示す斜視図である。
【図3】離間位置にある除去部を示す断面図である。
【図4】測定電極との接触位置にある除去部を示す断面図である。
【図5】係止位置にある除去部を示す断面図である。
【図6】付着物除去装置の除去部の別例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 付着物除去装置
2 ブラシ(除去部)
3 弁体
5 シャフト部
6 補給水流通管(ケーシング)
7 係止部(係止部、堰止部)
8 スプリング(付勢手段)
9 流出方向案内部(流出手段)
10 接続部
19 放出孔(流出手段)
C 冷却水(溜水)
P 補給水管(供給部)
S 補給水(流水)
A 離間位置
B 接触位置
Claims (4)
- 溜水中に設置され、前記溜水の導電率を測定する導電率計の測定電極に付着した付着物を除去する付着物除去装置であって、
前記測定電極に接触する除去部を有し、前記除去部との摩擦を利用して前記測定電極の表面に付着した前記付着物を除去する除去手段と、
前記除去部を少なくとも前記測定電極に接触する接触位置、および前記測定電極から離間した離間位置との間で変位させる変位手段と
を具備することを特徴とする付着物除去装置。 - 前記変位手段は、
前記除去部を少なくとも前記接触位置および前記離間位置の間で往復運動させることを特徴とする請求項1に記載の付着物除去装置。 - 前記変位手段は、
前記溜水に補給される補給水および前記溜水より抽出された抽出水のいずれか一方の流水の水圧が利用され、
前記除去手段は、
一端に前記除去部を有し、他端に前記水圧を受ける弁体を有するシャフト部を備え、
前記シャフト部を内包し、内部に前記流水が流通可能な空間が形成された筒状を呈するケーシングと、
前記ケーシング内に配設され、前記シャフト部の前記除去部を前記離間位置に付勢する付勢手段と、
前記流水を供給する供給部と前記ケーシングの一端を水密にして接続する接続部とを具備し、
前記水圧を利用して前記弁体を押圧し、前記付勢手段に抗して前記離間位置から前記接触位置に前記除去部を変位させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の付着物除去装置。 - 前記ケーシングは、
前記シャフト部の前記除去部および前記弁体の間に設けられ、前記空間を流通する前記流水を堰止める堰止部と、
前記堰止部によって堰止められた前記流水を、前記測定電極から離間する方向へ流出させる流出手段と
をさらに具備することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の付着物除去装置。
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JP2018136167A (ja) * | 2017-02-21 | 2018-08-30 | ソニー株式会社 | 電気的測定用カートリッジ、電気的測定装置及び電気的測定方法 |
KR20190138432A (ko) * | 2018-06-05 | 2019-12-13 | 목포대학교산학협력단 | 자동세척기능을 갖는 염도 측정 장치 |
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