JP2004204705A - ターボポンプ - Google Patents
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Abstract
【課題】停止時におけるポンプ内の流通抵抗を低減する。
【解決手段】複数枚のブレード8gがインペラ8b内を通り抜ける流体から力を受け得る第1ポジション(実線の位置)と、第1ポジションに比べてインペラ8b内を通り抜ける流体から受ける力が小さくなる第2ポジション(破線の位置)とが設定することができるようにする。これにより、ポンプを停止させたときに、複数枚のブレード8gを第2ポジションとすることで停止時にポンプ内の流通抵抗を確実に低減することでき得る。
【選択図】 図2
【解決手段】複数枚のブレード8gがインペラ8b内を通り抜ける流体から力を受け得る第1ポジション(実線の位置)と、第1ポジションに比べてインペラ8b内を通り抜ける流体から受ける力が小さくなる第2ポジション(破線の位置)とが設定することができるようにする。これにより、ポンプを停止させたときに、複数枚のブレード8gを第2ポジションとすることで停止時にポンプ内の流通抵抗を確実に低減することでき得る。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数枚の羽根を有する羽根車をケーシング内で回転させることにより流体にエネルギを与えるターボポンプ(JIS B0131 番号101等参照)に関するもので、エンジン冷却水を循環させる水ポンプに適用して有効である。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
車両走行用エンジンでは、通常、エンジンから動力を得て稼動する水ポンプにてエンジン冷却水をラジエータや暖房用のヒータに循環させている。
【0003】
ところで、近年、車両燃費の向上、及び排出ガスと共にエンジンから排出される有害物質を低減するために、信号待ちや渋滞時にエンジンを停止させる、いわゆるアイドリングストップ(エコラン)運転を自動的に行う車両の開発が行われている。
【0004】
しかし、エンジン冷却水(温水)をヒータに循環させるポンプ手段として、エンジンから動力を得て稼動する水ポンプ(以下、メカポンプと呼ぶ。)のみでは、アイドリングストップ運転が開始されてエンジンが停止すると同時にヒータへのエンジン冷却水の供給が停止して暖房が停止してしまう。
【0005】
そこで、発明者は、アイドリングストップ運転が開始されてエンジンが停止した後も引き続き暖房を行うべく、メカポンプに加えて、電動モータにて稼動されるターボポンプ方式の水ポンプ(以下、電気ポンプと呼ぶ。)を備える車両用暖房装置を考案したが、以下に述べる問題が新たに発生した。
【0006】
すなわち、発明者が考案した車両用暖房装置では、電気ポンプを停止させてメカポンプにてエンジン冷却水を循環させるとき、つまりエンジンが稼動しているときには、メカポンプにて循環させられるエンジン冷却水が電気ポンプ内を流れるので、電気ポンプ内の羽根車が大きな通水抵抗となってしまい、必要な循環流量を確保することが難しいといった問題が発生した。
【0007】
なお、この問題を解決する手段として、電気ポンプを迂回するバイパス回路を設け、逆止弁や切替弁等のバルブによりエンジン冷却水流れを制御するといった手段が考えられるが、この手段では、冷却水回路をが複雑になるので、車両用暖房装置の製造原価上昇を招いてしまう。
【0008】
本発明は、上記点に鑑み、第1には、従来と異なる新規なターボポンプを提供し、第2には、停止時におけるポンプ内の流通抵抗を低減することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、複数枚の羽根(8g)を有する羽根車(8b)をケーシング(8c)内で回転させることにより流体にエネルギを与えるターボポンプであって、複数枚の羽根(8g)は、羽根車(8b)内を通り抜ける流体から力を受け得る第1ポジションと、第1ポジションに比べて羽根車(8b)内を通り抜ける流体から受ける力が小さくなる第2ポジションとが設定することができるように構成されていることを特徴とする。
【0010】
これにより、停止時におけるポンプ内の流通抵抗を低減することでき得る。
【0011】
請求項2に記載の発明では、複数枚の羽根(8g)は、揺動可能に羽根車(8b)に組み付けられており、さらに、複数枚の羽根(8g)を第2ポジション側に揺動させる弾性力を複数枚の羽根(8g)に作用させるバネ手段(8j)を有することを特徴とする。
【0012】
これにより、ポンプを停止させたときに、複数枚の羽根(8g)を確実に第2ポジションとすることができるので、停止時にポンプ内の流通抵抗を確実に低減することでき得る。
【0013】
請求項3に記載の発明では、複数枚の羽根(8g)が羽根車(8b)内を通り抜ける流体から力を受けたときに、複数枚の羽根(8g)の位置を保持する可動域規制手段(8m)が設けられていることを特徴とする。
【0014】
これにより、複数枚の羽根(8g)が過度に揺動変位して、ポンプ稼働時にポンプ効率が悪化してしまうことを未然に防止でき得る。
【0015】
請求項4に記載の発明では、複数枚の羽根(8g)は、羽根車(8b)の回転軸側を中心として、回転軸と略直交する平面内で揺動することを特徴とするものである。
【0016】
請求項5に記載の発明では、複数枚の羽根(8g)は、回転軸と略平行な平面内で揺動することを特徴とするものである。
【0017】
因みに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0018】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
本実施形態は、本発明に係るターボポンプを車両用暖房装置に適用したものであって、図1は暖房用熱源をなすエンジン冷却水(温水)の回路図である。
【0019】
本実施形態に係る車両用暖房装置は、走行用のエンジン1で発生した廃熱を回収して温度が上昇したエンジン冷却水をヒータ2に循環させることにより、エンジン冷却水にて室内に吹き出す空気を加熱するものであり、ヒータ2は、通常、送風機3を備える空調ケーシング4内に収納されている。
【0020】
なお、ラジエータ5はエンジン冷却水と室外空気とを熱交換してエンジン冷却水を冷却する放熱器であり、サーモスタット6は、エンジン1から流出したエンジン冷却水をラジエータ5を迂回させて流す水量とラジエータ5に流す水量とを調節することによりエンジン冷却水の温度、つまりエンジン1の温度を所定温度範囲に保つ温度調整用バルブである。
【0021】
因みに、本実施形態に係るサーモスタット6は、ワックス材の体積変化を利用して機械的に弁体を作動させるものであるが、電気式のアクチュエータを用いたバルブを用いてよいことは言うまでもない。
【0022】
また、メカポンプ7はエンジン1から動力を得て稼動するターボ方式の水ポンプであり、電気ポンプ8は電動モータから動力を得て稼動するターボ方式の水ポンプであり、両ポンプは、羽根車(インペラ)の駆動源が異なるのみで、その他は同様な構造である。
【0023】
そこで、以下、電気ポンプ8を例に本実施形態に係るターボポンプについて説明する。なお、図2は電気ポンプ8の断面模式図であり、図3は図2のA矢視図であり、図4は図2のB−B断面図である。
【0024】
図2中、電動モータ8aはインペラ8bを回転させる駆動手段であり、インペラ8bと電動モータ8aとは、エンジン冷却水が流れるポンプケーシング8c側とモータケーシング8d側とを区画する隔壁8eを貫通するシャフト8fにて連結されている。
【0025】
なお、シャフト8fと隔壁8eとの隙間は、リップシールやOリング等のパッキンにて液密に密閉されている。
【0026】
また、インペラ8bは、図3に示すように、複数枚のブレード(羽根)8gを有してポンプケーシング8c内で回転する羽根車であり、各ブレード8gは、シャフト8fに固定された支軸8iを揺動中心として、シャフト8fの長手方向と直交する方向に揺動可能にシャフト8fに組み付けられている。
【0027】
また、シャフト8fの長手方向と直交する方向に拡がってシャフト8fと一体的に回転する第1プレート8hを挟んでブレード8gと反対側には、図4に示すように、バネ手段をなすコイルバネ8jが設けられており、このコイルバネ8jは、その一端側が第1プレート8hに固定され、他端側が第2プレート8k(図2参照)に固定されており、両プレート8h、8kはコイルバネ8jを挟んで対向している。
【0028】
そして、第2プレート8kはシャフト8fと一体的に回転し、第1プレート8hはシャフト8fに対して回転可能となっているため、第1プレート8hは、第2プレート8kと共に回転するコイルバネ8jにより引っ張られてシャフト8fと機械的に連動して回転する。
【0029】
また、第1プレート8hのうちブレード8g側には、図3に示すように、インペラ8bが回転してブレード8gがインペラ8b内を通り抜けるエンジン冷却水から力を受けたときに、ブレード8gに接触してブレード8gの位置、つまりブレード8gの角度を保持する可動域規制手段をなす円柱状のストッパ8mが一体化されている。
【0030】
次に、本実施形態に係るターボポンプの作動を述べる。
【0031】
シャフト8f、つまり駆動手段をなす電動モータ8aが停止しているときには、コイルバネ8jが図4の破線で示すように縮んでストッパ8mが図3の破線で示す位置となり、ブレード8gが図3の破線で示す状態(以下、この状態をブレード8gが第2ポジションにある言う。)となる。
【0032】
一方、シャフト8fが回転すると、第1プレート8hがコイルバネ8jを介して第2プレート8kに引っ張られて回転するので、コイルバネ8jは、少なくとも第1プレート8hを回転させるトルクと釣り合う程度の力が発生する程度まで伸びるので、第1プレート8hが第2プレート8kに対して相対的に回転する。
【0033】
また、ブレード8gはシャフト8fと一体的に回転するため、ブレード8gに作用する遠心力により、ブレード8gのうち支軸8iと反対側の端部を第1プレート8hの外径側に移動させようとする力がブレード8gに作用する。
【0034】
このとき、シャフト8fが回転して第1プレート8hが第2プレート8kに対して相対的に回転して、ストッパ8mは、図3の破線で示す位置から実線で示す位置側に移動するので、ストッパ8mの変位に追従するようにブレード8gが図3の実線で示す位置側に移動し始める。
【0035】
そして、ブレード8gが図3の実線で示す位置側に移動し始めると、ブレード8gがポンプケーシングc内に流入したエンジン冷却水に遠心力(運動エネルギ)を与え始めるため、流体を吸引吐出するポンピング作用が発生し始める。
【0036】
ポンピング作用が発生すると、エンジン冷却水に与えた遠心力の反作用として、ブレード8gが第2ポジションにあるときに比べてブレード8gがエンジン冷却水から受ける力が増大する。
【0037】
そして、コイルバネ8jの弾性力と第1プレート8hの慣性力及びブレード8gがインペラ8b内を通り抜けるエンジン冷却水から受ける力とが釣り合った位置(図3の実線で示す位置)で第1プレート8h及びブレード8gが回転し続ける。以下、ブレード8gが図3の実線で示す位置にあることをブレード8gが第1ポジションにあると言う。
【0038】
したがって、インペラ8bが電動モータ8aから駆動力を得て回転しているときは、コイルバネ8jは、ストッパ8mを介してブレード8gを第2ポジション(図3の破線の位置)側に揺動させる弾性力をブレード8gに作用させることとなる。
【0039】
次に、本実施形態に係る車両用暖房装置の概略作動及び本実施形態に係るターボポンプの作用効果を述べる。
【0040】
1.エンジン1が稼動しているとき
エンジン1が稼動しているときには、電動ポンプ8を停止させてメカポンプ7にてエンジン冷却水をヒータ2に循環させる。
【0041】
このとき、電気ポンプ8のブレード8gは第2ポジションにあるので、ポンプケーシング8c内をエンジン冷却水が流れる際にブレード8gが受ける力が、ブレード8gが第1ポジションにあるときに比べて小さくなり、エンジン冷却水が電気ポンプ8を流れる際の通水抵抗を小さくすることができる。
【0042】
2.エンジン1が停止しているとき
車速が0となった時から所定時間(例えば、5秒)が経過すると、エンジン1が停止してアイドルストップ運転に移行したたときに電動ポンプ8を稼動させる。
【0043】
このとき、メカポンプ7のブレードは第2ポジションにあるので、ポンプケーシング8cエンジン冷却水が流れる際にブレードが受ける力が、ブレードが第1ポジシにあるときに比べて小さくなり、エンジン冷却水がメカポンプを流れる際の通水抵抗を小さくすることができる。
【0044】
また、本実施形態では、コイルバネ8jを設けているので、ポンプを停止させたときに、複数枚のブレード8gを確実に第2ポジションとすることができ、停止時にポンプ内の流通抵抗を確実に低減することできる。
【0045】
また、ストッパ8mによりブレード8gの揺動変位を規制しているので、複数枚のブレード8gが過度に揺動変位して、ポンプ稼働時にポンプ効率が悪化してしまうことを未然に防止でき得る。
【0046】
(第2実施形態)
第1実施形態では、ブレード8gがシャフト8fの長手方向と直交する方向に揺動可能にシャフト8fに組み付けられていたが、本実施形態は、図5に示すように、ブレード8gをシャフト8fの長手方向と略平行な平面内で揺動することができるようにシャフト8fに組み付けたものである。
【0047】
なお、図5の実線で示される位置は第1ポジションであり、図5の破線で示される位置は第2ポジションである。
【0048】
ところで、本実施形態では、ブレード8gを第2ポジション側に移動させる弾性力をブレード8gに作用させるコイルバネ8jに相当するバネ手段を廃止するとともに、第1プレート8hには、インペラ8bが停止しているときに、ブレード8gの位置をシャフト8fの長手方向と直交する方向より第1ポジション側で保持するストッパ8n、及びインペラ8bが回転しているときに、ブレード8gの位置がシャフト8fの長手方向より第2ポジション側で保持されるようなストッパ8pを設けている。
【0049】
これにより、インペラ8bが回転し始めると、ブレード8gにブレード8gを第1ポジション側に移動させる流体圧が作用するので、インペラ8bが回転し始めると、速やかにブレード8gが第1ポジションとなる。
【0050】
逆に、インペラ8bが停止してエンジン冷却水がポンプケーシング8c内に流入すると、ブレード8gにブレード8gを第2ポジション側に移動させる流体圧が作用するので、エンジン冷却水がポンプケーシング8c内に流入し始めると、速やかにブレード8gが第2ポジションとなる。
【0051】
したがって、第1実施形態と同様に、エンジン冷却水がポンプケーシング8c内を流れる際の通水抵抗を小さくすることができる。
【0052】
なお、本実施形態はブレード8gを第2ポジション側に移動させる弾性力をブレード8gに作用させるバネ手段を否定するものではなく、バネ手段を設けてもよいことは言うまでもない。
【0053】
(その他の実施形態)
上述の実施形態におけるブレード8gは軸方向から見て略円弧状であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば軸方向から見て直線状であってもよい。
【0054】
また、上述の実施形態は遠心式のターボポンプ(JIS B0131 番号101等参照)であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば軸流式のターボポンプ(JIS B0131 番号101等参照)であってもよい。
【0055】
また、上述の実施形態では暖房装置に本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る暖房装置の温水回路図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る電気ポンプの断面模式図である。
【図3】図2のA矢視図である。
【図4】図2のB−B断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る電気ポンプの断面模式図である。
【符号の説明】
8b…インペラ、8g…ブレード8g、8f…シャフト、8m…ストッパ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数枚の羽根を有する羽根車をケーシング内で回転させることにより流体にエネルギを与えるターボポンプ(JIS B0131 番号101等参照)に関するもので、エンジン冷却水を循環させる水ポンプに適用して有効である。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
車両走行用エンジンでは、通常、エンジンから動力を得て稼動する水ポンプにてエンジン冷却水をラジエータや暖房用のヒータに循環させている。
【0003】
ところで、近年、車両燃費の向上、及び排出ガスと共にエンジンから排出される有害物質を低減するために、信号待ちや渋滞時にエンジンを停止させる、いわゆるアイドリングストップ(エコラン)運転を自動的に行う車両の開発が行われている。
【0004】
しかし、エンジン冷却水(温水)をヒータに循環させるポンプ手段として、エンジンから動力を得て稼動する水ポンプ(以下、メカポンプと呼ぶ。)のみでは、アイドリングストップ運転が開始されてエンジンが停止すると同時にヒータへのエンジン冷却水の供給が停止して暖房が停止してしまう。
【0005】
そこで、発明者は、アイドリングストップ運転が開始されてエンジンが停止した後も引き続き暖房を行うべく、メカポンプに加えて、電動モータにて稼動されるターボポンプ方式の水ポンプ(以下、電気ポンプと呼ぶ。)を備える車両用暖房装置を考案したが、以下に述べる問題が新たに発生した。
【0006】
すなわち、発明者が考案した車両用暖房装置では、電気ポンプを停止させてメカポンプにてエンジン冷却水を循環させるとき、つまりエンジンが稼動しているときには、メカポンプにて循環させられるエンジン冷却水が電気ポンプ内を流れるので、電気ポンプ内の羽根車が大きな通水抵抗となってしまい、必要な循環流量を確保することが難しいといった問題が発生した。
【0007】
なお、この問題を解決する手段として、電気ポンプを迂回するバイパス回路を設け、逆止弁や切替弁等のバルブによりエンジン冷却水流れを制御するといった手段が考えられるが、この手段では、冷却水回路をが複雑になるので、車両用暖房装置の製造原価上昇を招いてしまう。
【0008】
本発明は、上記点に鑑み、第1には、従来と異なる新規なターボポンプを提供し、第2には、停止時におけるポンプ内の流通抵抗を低減することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、複数枚の羽根(8g)を有する羽根車(8b)をケーシング(8c)内で回転させることにより流体にエネルギを与えるターボポンプであって、複数枚の羽根(8g)は、羽根車(8b)内を通り抜ける流体から力を受け得る第1ポジションと、第1ポジションに比べて羽根車(8b)内を通り抜ける流体から受ける力が小さくなる第2ポジションとが設定することができるように構成されていることを特徴とする。
【0010】
これにより、停止時におけるポンプ内の流通抵抗を低減することでき得る。
【0011】
請求項2に記載の発明では、複数枚の羽根(8g)は、揺動可能に羽根車(8b)に組み付けられており、さらに、複数枚の羽根(8g)を第2ポジション側に揺動させる弾性力を複数枚の羽根(8g)に作用させるバネ手段(8j)を有することを特徴とする。
【0012】
これにより、ポンプを停止させたときに、複数枚の羽根(8g)を確実に第2ポジションとすることができるので、停止時にポンプ内の流通抵抗を確実に低減することでき得る。
【0013】
請求項3に記載の発明では、複数枚の羽根(8g)が羽根車(8b)内を通り抜ける流体から力を受けたときに、複数枚の羽根(8g)の位置を保持する可動域規制手段(8m)が設けられていることを特徴とする。
【0014】
これにより、複数枚の羽根(8g)が過度に揺動変位して、ポンプ稼働時にポンプ効率が悪化してしまうことを未然に防止でき得る。
【0015】
請求項4に記載の発明では、複数枚の羽根(8g)は、羽根車(8b)の回転軸側を中心として、回転軸と略直交する平面内で揺動することを特徴とするものである。
【0016】
請求項5に記載の発明では、複数枚の羽根(8g)は、回転軸と略平行な平面内で揺動することを特徴とするものである。
【0017】
因みに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0018】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
本実施形態は、本発明に係るターボポンプを車両用暖房装置に適用したものであって、図1は暖房用熱源をなすエンジン冷却水(温水)の回路図である。
【0019】
本実施形態に係る車両用暖房装置は、走行用のエンジン1で発生した廃熱を回収して温度が上昇したエンジン冷却水をヒータ2に循環させることにより、エンジン冷却水にて室内に吹き出す空気を加熱するものであり、ヒータ2は、通常、送風機3を備える空調ケーシング4内に収納されている。
【0020】
なお、ラジエータ5はエンジン冷却水と室外空気とを熱交換してエンジン冷却水を冷却する放熱器であり、サーモスタット6は、エンジン1から流出したエンジン冷却水をラジエータ5を迂回させて流す水量とラジエータ5に流す水量とを調節することによりエンジン冷却水の温度、つまりエンジン1の温度を所定温度範囲に保つ温度調整用バルブである。
【0021】
因みに、本実施形態に係るサーモスタット6は、ワックス材の体積変化を利用して機械的に弁体を作動させるものであるが、電気式のアクチュエータを用いたバルブを用いてよいことは言うまでもない。
【0022】
また、メカポンプ7はエンジン1から動力を得て稼動するターボ方式の水ポンプであり、電気ポンプ8は電動モータから動力を得て稼動するターボ方式の水ポンプであり、両ポンプは、羽根車(インペラ)の駆動源が異なるのみで、その他は同様な構造である。
【0023】
そこで、以下、電気ポンプ8を例に本実施形態に係るターボポンプについて説明する。なお、図2は電気ポンプ8の断面模式図であり、図3は図2のA矢視図であり、図4は図2のB−B断面図である。
【0024】
図2中、電動モータ8aはインペラ8bを回転させる駆動手段であり、インペラ8bと電動モータ8aとは、エンジン冷却水が流れるポンプケーシング8c側とモータケーシング8d側とを区画する隔壁8eを貫通するシャフト8fにて連結されている。
【0025】
なお、シャフト8fと隔壁8eとの隙間は、リップシールやOリング等のパッキンにて液密に密閉されている。
【0026】
また、インペラ8bは、図3に示すように、複数枚のブレード(羽根)8gを有してポンプケーシング8c内で回転する羽根車であり、各ブレード8gは、シャフト8fに固定された支軸8iを揺動中心として、シャフト8fの長手方向と直交する方向に揺動可能にシャフト8fに組み付けられている。
【0027】
また、シャフト8fの長手方向と直交する方向に拡がってシャフト8fと一体的に回転する第1プレート8hを挟んでブレード8gと反対側には、図4に示すように、バネ手段をなすコイルバネ8jが設けられており、このコイルバネ8jは、その一端側が第1プレート8hに固定され、他端側が第2プレート8k(図2参照)に固定されており、両プレート8h、8kはコイルバネ8jを挟んで対向している。
【0028】
そして、第2プレート8kはシャフト8fと一体的に回転し、第1プレート8hはシャフト8fに対して回転可能となっているため、第1プレート8hは、第2プレート8kと共に回転するコイルバネ8jにより引っ張られてシャフト8fと機械的に連動して回転する。
【0029】
また、第1プレート8hのうちブレード8g側には、図3に示すように、インペラ8bが回転してブレード8gがインペラ8b内を通り抜けるエンジン冷却水から力を受けたときに、ブレード8gに接触してブレード8gの位置、つまりブレード8gの角度を保持する可動域規制手段をなす円柱状のストッパ8mが一体化されている。
【0030】
次に、本実施形態に係るターボポンプの作動を述べる。
【0031】
シャフト8f、つまり駆動手段をなす電動モータ8aが停止しているときには、コイルバネ8jが図4の破線で示すように縮んでストッパ8mが図3の破線で示す位置となり、ブレード8gが図3の破線で示す状態(以下、この状態をブレード8gが第2ポジションにある言う。)となる。
【0032】
一方、シャフト8fが回転すると、第1プレート8hがコイルバネ8jを介して第2プレート8kに引っ張られて回転するので、コイルバネ8jは、少なくとも第1プレート8hを回転させるトルクと釣り合う程度の力が発生する程度まで伸びるので、第1プレート8hが第2プレート8kに対して相対的に回転する。
【0033】
また、ブレード8gはシャフト8fと一体的に回転するため、ブレード8gに作用する遠心力により、ブレード8gのうち支軸8iと反対側の端部を第1プレート8hの外径側に移動させようとする力がブレード8gに作用する。
【0034】
このとき、シャフト8fが回転して第1プレート8hが第2プレート8kに対して相対的に回転して、ストッパ8mは、図3の破線で示す位置から実線で示す位置側に移動するので、ストッパ8mの変位に追従するようにブレード8gが図3の実線で示す位置側に移動し始める。
【0035】
そして、ブレード8gが図3の実線で示す位置側に移動し始めると、ブレード8gがポンプケーシングc内に流入したエンジン冷却水に遠心力(運動エネルギ)を与え始めるため、流体を吸引吐出するポンピング作用が発生し始める。
【0036】
ポンピング作用が発生すると、エンジン冷却水に与えた遠心力の反作用として、ブレード8gが第2ポジションにあるときに比べてブレード8gがエンジン冷却水から受ける力が増大する。
【0037】
そして、コイルバネ8jの弾性力と第1プレート8hの慣性力及びブレード8gがインペラ8b内を通り抜けるエンジン冷却水から受ける力とが釣り合った位置(図3の実線で示す位置)で第1プレート8h及びブレード8gが回転し続ける。以下、ブレード8gが図3の実線で示す位置にあることをブレード8gが第1ポジションにあると言う。
【0038】
したがって、インペラ8bが電動モータ8aから駆動力を得て回転しているときは、コイルバネ8jは、ストッパ8mを介してブレード8gを第2ポジション(図3の破線の位置)側に揺動させる弾性力をブレード8gに作用させることとなる。
【0039】
次に、本実施形態に係る車両用暖房装置の概略作動及び本実施形態に係るターボポンプの作用効果を述べる。
【0040】
1.エンジン1が稼動しているとき
エンジン1が稼動しているときには、電動ポンプ8を停止させてメカポンプ7にてエンジン冷却水をヒータ2に循環させる。
【0041】
このとき、電気ポンプ8のブレード8gは第2ポジションにあるので、ポンプケーシング8c内をエンジン冷却水が流れる際にブレード8gが受ける力が、ブレード8gが第1ポジションにあるときに比べて小さくなり、エンジン冷却水が電気ポンプ8を流れる際の通水抵抗を小さくすることができる。
【0042】
2.エンジン1が停止しているとき
車速が0となった時から所定時間(例えば、5秒)が経過すると、エンジン1が停止してアイドルストップ運転に移行したたときに電動ポンプ8を稼動させる。
【0043】
このとき、メカポンプ7のブレードは第2ポジションにあるので、ポンプケーシング8cエンジン冷却水が流れる際にブレードが受ける力が、ブレードが第1ポジシにあるときに比べて小さくなり、エンジン冷却水がメカポンプを流れる際の通水抵抗を小さくすることができる。
【0044】
また、本実施形態では、コイルバネ8jを設けているので、ポンプを停止させたときに、複数枚のブレード8gを確実に第2ポジションとすることができ、停止時にポンプ内の流通抵抗を確実に低減することできる。
【0045】
また、ストッパ8mによりブレード8gの揺動変位を規制しているので、複数枚のブレード8gが過度に揺動変位して、ポンプ稼働時にポンプ効率が悪化してしまうことを未然に防止でき得る。
【0046】
(第2実施形態)
第1実施形態では、ブレード8gがシャフト8fの長手方向と直交する方向に揺動可能にシャフト8fに組み付けられていたが、本実施形態は、図5に示すように、ブレード8gをシャフト8fの長手方向と略平行な平面内で揺動することができるようにシャフト8fに組み付けたものである。
【0047】
なお、図5の実線で示される位置は第1ポジションであり、図5の破線で示される位置は第2ポジションである。
【0048】
ところで、本実施形態では、ブレード8gを第2ポジション側に移動させる弾性力をブレード8gに作用させるコイルバネ8jに相当するバネ手段を廃止するとともに、第1プレート8hには、インペラ8bが停止しているときに、ブレード8gの位置をシャフト8fの長手方向と直交する方向より第1ポジション側で保持するストッパ8n、及びインペラ8bが回転しているときに、ブレード8gの位置がシャフト8fの長手方向より第2ポジション側で保持されるようなストッパ8pを設けている。
【0049】
これにより、インペラ8bが回転し始めると、ブレード8gにブレード8gを第1ポジション側に移動させる流体圧が作用するので、インペラ8bが回転し始めると、速やかにブレード8gが第1ポジションとなる。
【0050】
逆に、インペラ8bが停止してエンジン冷却水がポンプケーシング8c内に流入すると、ブレード8gにブレード8gを第2ポジション側に移動させる流体圧が作用するので、エンジン冷却水がポンプケーシング8c内に流入し始めると、速やかにブレード8gが第2ポジションとなる。
【0051】
したがって、第1実施形態と同様に、エンジン冷却水がポンプケーシング8c内を流れる際の通水抵抗を小さくすることができる。
【0052】
なお、本実施形態はブレード8gを第2ポジション側に移動させる弾性力をブレード8gに作用させるバネ手段を否定するものではなく、バネ手段を設けてもよいことは言うまでもない。
【0053】
(その他の実施形態)
上述の実施形態におけるブレード8gは軸方向から見て略円弧状であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば軸方向から見て直線状であってもよい。
【0054】
また、上述の実施形態は遠心式のターボポンプ(JIS B0131 番号101等参照)であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば軸流式のターボポンプ(JIS B0131 番号101等参照)であってもよい。
【0055】
また、上述の実施形態では暖房装置に本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る暖房装置の温水回路図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る電気ポンプの断面模式図である。
【図3】図2のA矢視図である。
【図4】図2のB−B断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る電気ポンプの断面模式図である。
【符号の説明】
8b…インペラ、8g…ブレード8g、8f…シャフト、8m…ストッパ。
Claims (5)
- 複数枚の羽根(8g)を有する羽根車(8b)をケーシング(8c)内で回転させることにより流体にエネルギを与えるターボポンプであって、
前記複数枚の羽根(8g)は、前記羽根車(8b)内を通り抜ける流体から力を受け得る第1ポジションと、前記第1ポジションに比べて前記羽根車(8b)内を通り抜ける流体から受ける力が小さくなる第2ポジションとが設定することができるように構成されていることを特徴とするターボポンプ。 - 前記複数枚の羽根(8g)は、揺動可能に前記羽根車(8b)に組み付けられており、
さらに、前記複数枚の羽根(8g)を前記第2ポジション側に揺動させる弾性力を前記複数枚の羽根(8g)に作用させるバネ手段(8j)を有することを特徴とする請求項1に記載のターボポンプ。 - 前記複数枚の羽根(8g)が前記羽根車(8b)内を通り抜ける流体から力を受けたときに、前記複数枚の羽根(8g)の位置を保持する可動域規制手段(8m)が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のターボポンプ。
- 前記複数枚の羽根(8g)は、前記羽根車(8b)の回転軸側を中心として、前記回転軸と略直交する平面内で揺動することを特徴とする請求項2又は3に記載のターボポンプ。
- 前記複数枚の羽根(8g)は、前記回転軸と略平行な平面内で揺動することを特徴とする請求項2又は3に記載のターボポンプ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002371648A JP2004204705A (ja) | 2002-12-24 | 2002-12-24 | ターボポンプ |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002371648A JP2004204705A (ja) | 2002-12-24 | 2002-12-24 | ターボポンプ |
Publications (1)
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Family
ID=32810483
Family Applications (1)
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Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004204705A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008082268A (ja) * | 2006-09-28 | 2008-04-10 | Nippon Densan Corp | 遠心ポンプ |
JP2016200104A (ja) * | 2015-04-14 | 2016-12-01 | 富士通株式会社 | ポンプ、冷却装置及び電子機器 |
CN107702271A (zh) * | 2017-08-30 | 2018-02-16 | 青岛海尔空调器有限总公司 | 空调及其过冷管组的故障检测和处理方法 |
-
2002
- 2002-12-24 JP JP2002371648A patent/JP2004204705A/ja not_active Withdrawn
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JP2016200104A (ja) * | 2015-04-14 | 2016-12-01 | 富士通株式会社 | ポンプ、冷却装置及び電子機器 |
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