JP4124160B2 - 発熱体冷却装置および冷却加熱装置 - Google Patents

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Description

本発明は、発熱体を冷却する発熱体冷却装置および冷却加熱装置に関し、車両に搭載される内燃機関(エンジン)、電動モータ等の発熱体の冷却に適用して好適である。
従来、ポンプハウジング内に2つのポンプ室を有し、共通の駆動部により各ポンプ室内の翼を回転させるポンプが特許文献1にて知られている(以下、従来例と称す)。
従来例のポンプでは、ポンプハウジングに第1、第2ポンプ室を仕切る仕切り部が形成されている。そして、仕切り部を貫通し、各ポンプ室内の翼が配置される回転軸と、貫通部に配置されて両ポンプ室間のシールを行う軸封部材とが備えられている。
従来例では、図7に示すようにエンジンから吸熱した冷却水流れが前席熱交換器54に流れる前席側通路52と、後席熱交換器55に流れる後席側通路53とに分岐しており、前席側通路52には第1ポンプ室12cが配置され、後席側通路53には第2ポンプ室12dが配置されている。したがって、第1ポンプ室12c内の翼32と第2ポンプ室12d内の翼33を回転させて、前席側通路52および後席側通路53で冷却水を流すことができる。
特許第3014991号公報
従来例では、2つのポンプ室がほぼ同じ圧力の前席側通路52と後席側通路53に配置されているので、ポンプ室間の圧力差が生じず軸封部材のシール性能に問題が生じない。本発明者らは、後述の図1のようにハイブリッド車両に搭載されるエンジン24から吸熱した冷却水が空調用空気を加熱するヒータ25を有するヒータ回路22と、電動モータ17および電気機器15、18の冷却回路11にそれぞれポンプ室12c、12dを配置して各回路11、22の冷却水を循環することを検討した。ここで、ヒータ回路22内の冷却水は、第1ポンプ室12cの翼32に加え、エンジン24からの動力で駆動する機械駆動式ポンプ23によっても循環されるようになっている。
これによると、ヒータ回路22の圧力が電気機器冷却回路11の圧力よりも高くなるため、圧力差により第1ポンプ室12cと第2ポンプ室12dとの間をシールしている軸封部材に大きな力が掛かってしまう。このような状態で時間が経過すると、最悪の場合には軸封部材の変形、ひび割れなどが発生し、シール性能が低下して第1ポンプ室12c内の流体と第2ポンプ室内12dの流体が混ざってしまう場合があることが、本発明者らの検討により分かった。
本発明は、上記点に鑑み、第1、第2ポンプ室の翼と、第1、第2ポンプ室に位置する回転軸と、両ポンプ室間のシールを行う軸封部材とを有するポンプにより、圧力差のある2つの回路の流体を循環させる発熱体冷却装置において、ポンプ内の軸封部材のシール性能の低下を軽減することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、ポンプハウジング(12a)内を第1ポンプ室(12c)と第2ポンプ室(12d)とに仕切る仕切部材(12i)と、各ポンプ室(12c、12d)内に配置される翼(32、33)と、翼(32、33)が配置され、仕切部材(12i)を貫通する回転軸(31)と、仕切部材(12i)の貫通部に配置され、両ポンプ室(12c、12d)間のシールを行う軸封部材(34)とを有する第1ポンプ手段(12)と、第1発熱体(15、17、18)から吸熱し、第1放熱器(13)で放熱する流体が流れる第1冷却回路(11)と、第2発熱体(24)から吸熱し、ヒータ(25)で放熱する流体が流れるヒータ回路(22)と、ヒータ回路(22)に配置され、ヒータ回路(22)の流体を循環させる第2ポンプ手段(23)とを備え、
第1ポンプ室(12c)の翼(32)がヒータ回路(22)内の流体を循環し、第2ポンプ室(12d)の翼(33)が第1冷却回路(11)内の流体を循環し、第2ポンプ手段(23)から吐出される流体は、ヒータ(25)に流入した後に第1ポンプ室(12c)に流入するようになっていることを特徴としている。
ところで、第1ポンプ手段(12)と第2ポンプ手段(23)を同時に作動させる場合には、第2冷却回路(21)を流れる流体は、両ポンプ手段(12、23)から圧力を受けるため、第2冷却回路(21)に配置される第1ポンプ室(12c)は第2ポンプ室(12d)よりも圧力が高くなる。
しかし、本発明によると第1ポンプ室(12c)は第2放熱器(27)の下流側に配置されるため、第2ポンプ手段(23)が流体を流すために高めた流体圧力が第2放熱器(27)の通過時の圧損により低くなっている。したがって、第1ポンプ室(12c)と第2ポンプ室(12d)との圧力差を小さくできる。
これによると、両ポンプ室(12c、12d)間のシールを行う軸封部材(34)に掛かる力を小さくできるため、経時による軸封部材(34)の変形、ひび割れの発生を軽減できる。つまり、軸封部材(34)のシール性能の低下を軽減することができる。
なお、第2冷却回路(21)に第1ポンプ室(12c)を配置するのは、第2ポンプ手段(23)が停止しても、第2冷却回路(21)の冷却水を循環させるためである。
また、請求項2に記載の発明では、発熱体冷却装置において、ポンプハウジング(12a)内を第1ポンプ室(12c)と第2ポンプ室(12d)とに仕切る仕切部材(12i)と、各ポンプ室(12c、12d)内に配置される翼(32、33)と、翼(32、33)が配置され、仕切部材(12i)を貫通する回転軸(31)と、仕切部材(12i)の貫通部に配置され、両ポンプ室(12c、12d)間のシールを行う軸封部材(34)とを有する第1ポンプ手段(12)と、第1発熱体(15、17、18)から吸熱し、第1放熱器(13)で放熱する流体が流れる第1冷却回路(11)と、第2発熱体(24)から吸熱し、第2放熱器(27)で放熱する流体が流れる第2冷却回路(21)と、第2発熱体(24)から吸熱して高温状態となった流体が流れるとともに、流体により加熱対象を加熱するヒータ(25)を有するヒータ回路(22)と、第2冷却回路(21)に配置され、第2冷却回路(21)およびヒータ回路(22)に流体を循環させる第2ポンプ手段(23)とを備え、
第1ポンプ室(12c)の翼(32)がヒータ回路(22)内の流体を循環し、第2ポンプ室(12d)の翼(33)が第1冷却回路(11)内の流体を循環し、第1ポンプ室(12c)がヒータ回路(22)においてヒータ(25)よりも流体流れ下流側の部位に配置されることを特徴としている。
ところで、第1冷却回路(11)、第2冷却回路(21)、ヒータ回路(22)の全てで流体を循環させる時には、第1ポンプ手段(12)、第2ポンプ手段(23)を同時に作動させる。この時、第1ポンプ手段(12)は第1冷却回路(11)とヒータ回路(22)の流体を循環し、第2ポンプ手段(23)は第2冷却回路(21)とヒータ回路(22)の流体を循環する。
この時、ヒータ回路(22)を流れる流体は、両ポンプ手段(12、23)から圧力を受けるため、ヒータ回路(22)に配置される第1ポンプ室(12c)は第2ポンプ室(12d)よりも圧力が高くなる。
しかし、本発明によると第1ポンプ室(12c)はヒータ(25)の下流側に配置されるため、第2ポンプ手段(23)が流体を流すために高めた流体圧力がヒータ(25)の通過時の圧損により低くなっている。したがって、第1ポンプ室(12c)と第2ポンプ室(12d)との圧力差を小さくできる。
これによると、両ポンプ室(12c、12d)間のシールを行う軸封部材(34)に掛かる力を小さくできるため、経時による軸封部材(34)の変形、ひび割れの発生を軽減できる。つまり、軸封部材(34)のシール性能の低下を軽減することができる。
なお、ヒータ回路(22)に第1ポンプ室(12c)を配置するのは、第2ポンプ手段(23)が停止しても、ヒータ回路(22)の冷却水を循環して、第2発熱体(24)および流体の余熱でヒータ(25)に加熱性能を発揮させるためである。
また、請求項3に記載の発明では、発熱体冷却装置において、ポンプハウジング(12a)内を第1ポンプ室(12c)と第2ポンプ室(12d)とに仕切る仕切部材(12i)と、各ポンプ室(12c、12d)内に配置される翼(32、33)と、翼(32、33)が配置され、仕切部材(12i)を貫通する回転軸(31)と、仕切部材(12i)の貫通部に配置され、両ポンプ室(12c、12d)間のシールを行う軸封部材(34)とを有する第1ポンプ手段(12)と、第1発熱体(15、17、18)から吸熱し、第1放熱器(13)で放熱する流体が流れる第1冷却回路(11)と、第1発熱体(15、17、18)から吸熱し、第2放熱器(27)で放熱する流体が流れる第2冷却回路(21)と、第2発熱体(24)から吸熱して高温状態となった流体が流れるとともに、流体により加熱対象を加熱するヒータ(25)を有するヒータ回路(22)と、第2冷却回路(21)に配置され、第2冷却回路(21)およびヒータ回路(22)に流体を循環させる第2ポンプ手段(23)とを備え、
第1ポンプ室(12c)の翼(32)がヒータ回路(22)内の流体を循環し、第2ポンプ室(12d)の翼(33)が第1冷却回路(11)内の流体を循環し、第2冷却回路(21)およびヒータ回路(22)には、第1冷却回路(11)よりも高温の流体が流れるようになっており、第2ポンプ室(12d)が第1冷却回路(11)において第1発熱体(15、17、18)よりも流体流れ下流側、かつ第1放熱器(13)よりも流体流れ上流側の部位に配置されることを特徴としている。
本発明では、第2冷却回路(21)および前記ヒータ回路(22)に、第1冷却回路(11)よりも高温の流体が流れるようになっているため、第1ポンプ室(12c)が配置されるヒータ回路(22)の流体と、第2ポンプ室(12d)が配置される第1冷却回路(11)の流体に温度差が生じてしまう。
しかし、請求項3では、第2ポンプ室(12d)が第1発熱体(15、17、18)よりも流体流れ下流側、かつ第1放熱器(13)よりも流体流れ上流側の部位、つまり第1発熱体(15、17、18)から吸熱後の第1冷却回路(11)において最も流体の温度が高い位置に配置される。したがって、第1ポンプ室(12c)と第2ポンプ室(12d)との温度差を小さくできる。
これによると、両ポンプ室(12c、12d)間のシールを行う軸封部材(34)に発生する温度差による熱応力を小さくできるため、経時による軸封部材(34)の変形、ひび割れの発生を軽減できる。つまり、軸封部材(34)のシール性能の低下を軽減することができる。
なお、ヒータ回路(22)に第1ポンプ室(12c)を配置するのは、第2ポンプ手段(23)が停止しても、ヒータ回路(22)の冷却水を循環して、第2発熱体(24)および流体の余熱でヒータ(25)に加熱性能を発揮させるためである。
また、請求項4に記載の発明のように、請求項3に記載の発熱体冷却装置において、第1ポンプ室(12c)をヒータ回路(25)において、ヒータ(25)よりも流体流れ下流側部位に配置すれば、請求項3で述べた軸封部材(34)に発生する熱応力を小さくできるとともに、請求項2と同様の理由により第1ポンプ室(12c)と第2ポンプ室(12d)との圧力差を小さくできる。
これらが相まって、経時による軸封部材(34)の変形、ひび割れの発生を軽減でき、軸封部材(34)のシール性能の低下をより軽減することができる。
なお、ヒータ(25)よりも流体流れ下流側部位は、ヒータ(25)で加熱対象を加熱、つまり加熱対象に放熱した流体が流れるため、より第1ポンプ室(12c)と第2ポンプ室(12d)との温度差を小さくできる。
また、請求項5に記載の発明では、請求項2ないし4のいずれか1つに記載の発熱体冷却装置において、第1発熱体を少なくとも車両走行用のモータ(17)を含む電気機器(15、17、18)とし、第2発熱体を車両に搭載される内燃機関(24)とし、第2ポンプ手段を内燃機関(24)からの動力を受けて駆動する機械駆動式ポンプ(23)として、ヒータ(25)が車両の車室内へ流れる空調用空気を加熱すれば、具体的に請求項2ないし4に記載の効果を有する発熱体冷却装置を構成することができる。
なお、ヒータ通路(22)に第1ポンプ室(12c)を配置しているのは、内燃機関(24)が停止、つまり機械駆動式ポンプ(23)が停止した場合にヒータ回路(22)内の流体を循環して流体が持つ余熱を使用してヒータ(25)で空調用空気を加熱するためである。
また、請求項6に記載の発明では、冷却加熱装置において、ポンプハウジング(12a)内を第1ポンプ室(12c)と第2ポンプ室(12d)とに仕切る仕切部材(12i)と、各ポンプ室(12c、12d)内に配置される翼(32、33)と、翼(32、33)が配置され、仕切部材(12i)を貫通する回転軸(31)と、仕切部材(12i)の貫通部に配置され、両ポンプ室(12c、12d)間のシールを行う軸封部材(34)とを有する第1ポンプ手段(12)と、冷却手段(45)に吸熱されて低温状態となった流体が流れるとともに、流体により冷却対象を冷却するクーラ(47)を有する低温流体回路(46)と、発熱体(24)から吸熱し、放熱器(27)で放熱する流体が流れる冷却回路(21)と、発熱体(24)から吸熱して高温状態となった流体が流れるとともに、流体により加熱対象を加熱するヒータ(25)を有するヒータ回路(22)と、冷却回路(21)に配置され、冷却回路(21)およびヒータ回路(22)に流体を循環させる第2ポンプ手段(23)とを備え、
第1ポンプ室(12c)内の翼(32)がヒータ回路(22)の流体を循環し、第2ポンプ室(12d)内の翼(33)が低温流体回路(11)の流体を循環し、第1ポンプ室(12c)がヒータ回路(22)においてヒータ(25)よりも流体流れ下流側の部位に配置されることを特徴としている。
本発明では冷却回路(21)、ヒータ回路(22)、低温流体回路(46)の全てで流体を循環させる時には、第1ポンプ手段(12)、第2ポンプ手段(22)を同時に駆動する。この時、第1ポンプ手段(12)は第1冷却回路(11)とヒータ回路(22)の流体を流し、第2ポンプ手段(23)は第2冷却回路(21)とヒータ回路(22)の流体を流す。
この時、ヒータ回路(22)を流れる流体は、両ポンプ手段(12、23)から圧力を受けるため、ヒータ回路(22)に配置される第1ポンプ室(12c)は第2ポンプ室(12d)よりも圧力が高くなる。
しかし、本発明によると第1ポンプ室(12c)はヒータ(25)の下流側に配置されるため、第2ポンプ手段(23)が流体を流すために高めた流体圧力がヒータ(25)の通過時の圧損により低くなっている。したがって、第1ポンプ室(12c)と第2ポンプ室(12d)との圧力差を小さくできる。
これによると、両ポンプ室(12c、12d)間のシールを行う軸封部材(34)に掛かる力を小さくできるため、経時による軸封部材(34)の変形、ひび割れの発生を軽減できる。つまり、軸封部材(34)のシール性能の低下を軽減することができる。
なお、ヒータ回路(22)に第1ポンプ室(12c)を配置するのは、第2ポンプ手段(23)が停止しても、ヒータ回路(22)の冷却水を循環して、第2発熱体(24)および流体の余熱でヒータ(25)に加熱性能を発揮させるためである。
また、請求項7に記載の発明のように、請求項6に記載の冷却加熱装置を備えた車両用空調装置であって、圧縮機(42)により冷媒が閉回路内で循環する冷凍サイクル(41)を備え、
冷却手段を冷凍サイクル(41)に配置され、低温流体回路(46)の流体から吸熱して低圧の冷媒を蒸発させる熱交換器(45)とし、発熱体を車両に搭載される内燃機関(24)とし、第2ポンプ手段を内燃機関(24)からの動力を受けて駆動する機械駆動式ポンプ(23)として、請求項6で述べた効果を有し、クーラ(47)が車両の車室内へ流れる空調用空気を冷却し、さらにヒータ(25)が車両の車室内へ流れる空調用空気を加熱する車両用空調装置を具体的に構成してもよい。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
(第1実施形態)
図1は、本発明の発熱体冷却装置をエンジンと走行用モータの2つの走行駆動源を有するハイブリッド車両に適用した第1実施形態を示している。一般的に、走行用モータおよび走行用モータを動作させる電気機器の耐熱温度(誤作動なく作動可能な温度を指す)とエンジンの運転に適した温度には差がある。エンジンの運転に適した温度は約100℃、電気機器の耐熱温度は約65℃である。
したがって、第1実施形態の発熱体冷却装置には、第1発熱体である走行用モータ17、発電機18、インバータ15等の電気機器を冷却する第1冷却回路11(以下電気機器冷却回路と称す)と、第2発熱体であるエンジン24を冷却する第2冷却回路21(図1中太線部分、以下エンジン冷却回路と称す)が備えられている。冷却回路11、21には、それぞれ熱を移動させる熱媒体である冷却水が流れている。
まず、冷却水の流れに沿って電気機器冷却回路11を説明する。冷却水は電気機器冷却回路11に配置された第1ポンプ手段であるポンプ12により、電子機器冷却回路11内を循環する。このポンプ12の構造については後述する。
ポンプ12から吐出された冷却水は、第1放熱器である電気機器放熱器13へ流入する。電気機器放熱器13では、冷却水が送風機13aから送風される空気へ放熱、言い換えると冷却水が送風空気により冷却される。
電気機器放熱器13で放熱した冷却水はインバータ15へ流れ、インバータ15の熱を吸熱する。インバータ15は周知のように車両電源の直流電圧を交流電圧に変換して、例えば走行用モータ17等に給電するとともに、交流電圧の周波数を変化させることによりモータ17等の回転数を制御するものである。なお、インバータ15は他の電子機器17、18よりも耐熱温度が低いため、電気機器放熱器13のすぐ下流に配置されており、放熱直後の低温状態の冷却水がインバータ15を冷却するようになっている。
インバータ15から吸熱した冷却水は、リザーバタンク16に流入する、リザーバタンク16は電気機器冷却回路11の余剰冷却水を溜めるものである。このリザーバタンク16から流出した冷却水は、走行用モータ17および発電機18へ流れ、走行用モータ17および発電機18から吸熱する。ここで、走行用モータ17は電力による駆動で車両を移動させるものであり、発電機18は主として走行用モータ13に給電する電気を発電するものである。
この走行用モータ17および発電機18から吸熱した冷却水は、再びポンプ12へ吸引、吐出されて電気機器冷却回路11を循環する。
次に、エンジン冷却回路21について説明すると、エンジン冷却回路21は周知のエンジン冷却回路と同様の構成であり、このエンジン冷却回路21にはエンジン24から動力を得て駆動する機械式ポンプ23が配置されている。
機械式ポンプ23から吐出された冷却水は、エンジン24へ流れてエンジン24の熱を吸熱する。エンジン24から吸熱した冷却水の流れは、ヒータ25へ向かうヒータ通路22と、エンジン放熱器27へ向かうエンジン冷却回路21とに分岐する。ヒータ通路22へ流れた冷却水は、ヒータ25にてブロワ26により車室内へ流れる空気を加熱、つまり車室内空気へ放熱した後に、エンジン冷却回路21におけるエンジン放熱器27と機械式ポンプ23との間の部位でエンジン冷却回路21に合流して、再び機械式ポンプ23へ吸引、吐出される。なお、本実施形態ではヒータ通路22において、ヒータ25の冷却水流れ下流側部位にポンプ12が配置されている。
一方、エンジン冷却回路21を流れた冷却水は、エンジン放熱器27にて送風機27aから送風される空気へ放熱する。なお、エンジン冷却回路21には冷却水が一定温度以上の場合には冷却水をエンジン放熱器27(エンジン冷却回路21)へ流し、冷却水が一定温度より低い場合には冷却水をエンジン放熱器27(エンジン冷却回路21)へは流さずにヒータ通路22のみを流すサーモスタット28が備えられている。
ところで、周知のように長時間駐車後のエンジン始動時などエンジン24、つまり冷却水の温度が低い場合にはエンジン24の運転効率(例えば、燃費)が低い。しかし、サーモスタット28により冷却水が一定温度より低い時は、冷却水がエンジン放熱器27で放熱しないため、エンジン24が速やかに運転効率の高い温度(以下暖機温度と称す)にまで温まる、つまりエンジン24の暖機時間を短くすることができる。一方、冷却水温度が所定温度よりも高い時は、エンジン24から吸熱した冷却水の熱をエンジン放熱器27で放熱させることができる。
次に、図2を使用してポンプ12の構造を説明すると、ポンプ12のケースであるホンプハウジング12a内には、駆動手段であるモータ部12bと第1、第2の2つのポンプ室12c、12dが配置されている。本実施形態では、第1ポンプ室12cはヒータ通路22に配置され、第2ポンプ室12dは電気機器冷却回路11に配置されている(図1参照)。
本実施形態のポンプ構造について、図2を使用してより詳細に説明すると、ポンプハウジング12a内の空間は、隔壁12hにより図2中の左右に分割されている。隔壁12hは、例えば、樹脂などの非磁性体を材料として成形されており、ポンプハウジング12aに固定されている。
図2中の左側の空間には、モータ部12bが配置されている。本実施形態のモータ部12bには、磁界発生手段であるコイル12eが配置されている。なお、12fはモータ部12bの駆動回路である。
図2中の右側の空間には、第1、第2ポンプ室12c、12dが配置されている。第1、第2ポンプ室12c、12dの間にはポンプ室仕切板12iが配置されている。このポンプ室仕切板12iには、回転軸31が回転可能に嵌合する孔が形成されている。さらに、第1、第2ポンプ室12c、12dには、それぞれ冷却水が流入する流入口12j、12m、冷却水が流出する流出口12k、12n、および回転軸31と一体の翼32、33が配置されている。第1ポンプ室12c内には翼32が配置されており、第2ポンプ室12d内には翼33が配置されている。
この翼32、33は、回転軸方向Rから流入する冷却水(矢印E、F)を回転軸31の回転方向(遠心方向)から流出させる(矢印G、H)、いわゆる遠心式ポンプと同様の翼形状をしている。なお、モータ部12b側に近い第2ポンプ室12dの翼33には、モータ部12bの周囲を囲む形状のマグネット部33aが形成されている。マグネット部33aには磁気を帯びた部材、例えば磁石が配置されている。
また、第1ポンプ室12cと第2ポンプ室12dとの間には、両ポンプ室12c、12d間のシールを行う軸封部材34が備えられている。この軸封部材としては、Oリング、特許文献1に記載のようなポンプ室の圧力差によりシール材を回転軸に圧接させるもの、特開2001−132634号公報、または特開2003−307224号公報に記載のようなリップ型シールなど、第1、第2ポンプ室12c、12d間のシールができるものであって、回転軸31が回転可能なものであればよい。
なお、12pはポンプ12を固定するためのブラケットである。また、本実施形態では、電子制御装置(ECU、図示せず)により、ポンプ12の回転数、送風機13a、27aおよびブロワ26の送風量などを制御している。さらに、温度センサ14、29などのセンサ信号もECUに入力される。
次に、上記構成において本実施形態のポンプ12の作動を説明すると、ECUからの信号がコネクタ12gを介して駆動回路12fに入力されると、コイル12eに電流が流れ磁界(磁力)が発生する。この磁力を翼33のマグネット部33aが受けると、回転軸31を軸として翼33が回転する。さらに、回転軸31と一体の翼32も回転する。
この翼32、33の回転により、冷却水が流入口12j、12mからポンプ室12c、12d内に吸引され(矢印E、F)、回転軸31の回転方向(遠心方向)に位置する流出口12k、12nから吐出する(矢印G、H)。このようなポンプ12の作動により、電気機器冷却回路11の冷却水とヒータ通路22の冷却水を循環させている。
電気機器冷却回路11の冷却水は、走行用モータ17、発電機18、インバータ15から吸熱して、この熱を電子機器放熱器13で放熱する。これにより走行用モータ17、発電機18、インバータ15が作動による発熱で耐熱温度を超えてしまうことを防止している。なお、ECUはインバータ15の冷却水流れ上流の水温センサ14の検出温度がインバータ17の耐熱温度以上とならないように送風機13aの送風量(放熱器13への熱負荷)を制御している。
また、エンジン冷却回路21では、冷却水の温度が低くサーモスタット28が通路を閉じている場合には、冷却水がヒータ通路22のみを流れる。一方、冷却水の温度が高くサーモスタット28が通路を開いている場合には、冷却水がヒータ通路22とエンジン冷却回路21を流れる。これによりエンジン24が効率の悪い低温や、運転に最適な温度以上となることを防止している。なお、ECUはエンジン24の冷却水流れ上流の水温センサ29の検出温度がエンジン24の運転に最適な温度以上とならないように送風機27aの送風量(放熱器27への熱負荷)を制御している。
次に、第1実施形態による作用効果を列挙すると、(1)ヒータ通路22において、ポンプ12(第1ポンプ室12c)をより圧力の低い位置に配置したため、第1ポンプ室12cと第2ポンプ室12dの圧力差を小さくして軸封部材34のシール性能の低下を軽減することができる。
本実施形態では、エンジンが停止、つまり機械式ポンプ23が停止した場合でも、エンジン24および冷却水が持つ余熱を使用してヒータ25で空調用空気を加熱するために、ヒータ回路22に電動のポンプ12(第1ポンプ室12c)が配置されている。
したがって、電気機器冷却回路11、エンジン冷却回路21、ヒータ回路22の全てで冷却水を循環させる時には、ポンプ12、機械式ポンプ23を同時に駆動する。この時、ポンプ12は電気機器冷却回路11とヒータ回路22の冷却水を流し、機械式ポンプ23はエンジン冷却回路21とヒータ回路22の流体を流す。
この時、ヒータ回路22を流れる流体は、両方のポンプ12、23から圧力を受けるため、ヒータ回路22に配置される第1ポンプ室12cは第2ポンプ室12dよりも圧力が高くなる。
ここで、図3に第1ポンプ室12cが配置されるヒータ通路位置と軸封部材34に掛かる圧力との関係を示す。機械式ポンプ23により昇圧された冷却水は、エンジン24、ヒータ25、およびこれらの間をつないでいる配管などを通過する際に圧力を失っていく。したがって、図1中の点A(エンジン24通過直後)での圧力よりも、ヒータ回路22における最下流部位(図1中の点B)での圧力の方が低い。つまり、電気機器冷却回路11の冷却水との圧力差ΔPAよりもΔPBの方が値が小さくなっている。
なお、図3中のP21は、第1ポンプ室12cが配置されるエンジン冷却回路21(ヒータ通路22)に与えられる系統圧力(一例として88kPa)である。この系統圧力によりエンジン冷却回路21(ヒータ通路22)内の冷却水の沸点を上昇させている。また、図3中のP21は、第2ポンプ室12dが配置される電気機器冷却回路11に与えられる系統圧力(一例として29kPa)である。電気機器の耐熱温度は、一般的に冷却水の沸点よりも低いため電気機器冷却回路11の系統圧力は低くなる。
しかし、本実施形態によると第1ポンプ室12cがヒータ回路22において圧力が低い位置に配置される。したがって、第1ポンプ室12cと第2ポンプ室12dとの圧力差を最も小さくできる。
これによると、両ポンプ室12c、12d間のシールを行う軸封部材34に掛かる力を小さくできるため、経時による軸封部材34の変形、ひび割れの発生を軽減できる。つまり、軸封部材34のシール性能の低下を軽減することができる。
(2)電気機器冷却回路11において、ポンプ12をより温度の高い位置に配置したため、第1ポンプ室12cと第2ポンプ室12dの温度差を小さくして軸封部材34のシール性能の低下を軽減することができる。
ところで、前述したようにエンジン24の最適運転温度(約100℃)と電気機器の耐熱温度(約65℃)には差がある。つまり、エンジン冷却回路21およびヒータ回路22を流れる冷却水は、電気機器冷却回路11を流れる冷却水よりも温度が高い。
図4は、第1ポンプ室12cが配置されるヒータ通路位置と、冷却水温度との関係を示している。水温は、エンジン24での吸熱で上昇し、ヒータ25での放熱(加熱対象の加熱)により低下する。したがって、図1中の点A(エンジン24通過直後)での温度よりも、ヒータ回路22における最下流部位(図1中の点B)での温度の方が低い。つまり、電気機器冷却回路11の冷却水との温度差ΔTAよりもΔTBの方が値が小さくなっている。なお、図4中のT11は、第2ポンプ室12dが配置される電気機器冷却回路11の耐熱温度(約65℃)であり、エンジン冷却回路21の温度との比較のために記載している。
また、図5は第2ポンプ室12dが配置される電気機器冷却回路11位置と、冷却水温度との関係を示している。水温は、電気機器15、17、18での吸熱で上昇し、電気機器放熱器13での放熱により低下する。したがって、図1中の点D(電気機器15、17、18通過直後)での温度よりも、図1中の点D(電気機器放熱器13通過直後)での温度の方が低い。つまり、ヒータ通路22の冷却水との温度差ΔTCよりもΔTDの方が値が小さくなっている。なお、図5中のT22は、第1ポンプ室12cが配置されるヒータ通路22の温度(エンジン24の最適運転温度、約100℃)であり、電気機器冷却回路11の温度との比較のために記載している。
本実施形態では、第1ポンプ室12cをヒータ通路22における低温部位、つまりヒータ25の流体流れ下流側部位に配置し、第2ポンプ室12dを電気機器冷却回路11における高温部位、つまり電気機器15、17、18の流体流れ下流側かつ電気機器放熱器13の上流部位に配置している。したがって、第1ポンプ室12cと第2ポンプ室12dとの温度差を最も小さくできる。
これによると、両ポンプ室12c、12d間のシールを行う軸封部材34に温度差により発生する熱応力を小さくできるため、経時による軸封部材34の変形、ひび割れの発生を軽減できる。つまり、軸封部材34のシール性能の低下を軽減することができる。
(3)電気で駆動するポンプ12をヒータ通路22に配置したため、エンジン24の動力により駆動する機械式ポンプ23が停止していても、ヒータ通路22の冷却水を循環して冷却水およびエンジン24の余熱により、ヒータ25に加熱性能を発揮させることができる。
(4)ポンプ12はホンプハウジング12a内の2つのポンプ室12c、12dにそれぞれ配置される翼32、33を1つのモータ部12bで回転させて独立した電子機器冷却回路11とヒータ通路22の冷却水を循環させている。したがって、冷却回路11およびヒータ通路22にそれぞれポンプを配置した場合に比べてポンプ数を半減することができる。これにより、発熱体冷却装置全体としてのコストを低減することができる。
また、ポンプ数が半減したため、発熱体冷却装置としての搭載空間が減少、つまり搭載性を向上することができる。これにより、より狭い空間に発熱体冷却装置を配置することができる。
(5)電気機器冷却回路11の配管とヒータ回路22の配管がポンプ12に集約されるため、各回路11、22にポンプが配置されており、ポンプの位置が離れている場合に比べて配管を容易に組み付けることができる。
(6)仕切り板12hにより、モータ部12bを密封空間内に配置し、モータ部12bのコイル部eが発生する磁力により、仕切り板12hを介して翼33(マグネット部33a)を回転させている。このため、モータ部12bをより確実にシールされた密封空間内で駆動させることができる。これにより、水分に弱い電気部品を有するモータ部12bに冷却水が流入してモータ部12bが破損することを防止できる。
(第2実施形態)
本実施形態では図6に示すように、ポンプ12の第1ポンプ室12cがヒータ通路22に配置され、第2ポンプ室12dが低温流体回路である冷房冷水回路46に配置されている。エンジン冷却回路21、ヒータ通路22、ポンプ12の構成、およびヒータ通路22におけるポンプ12の配置場所は、第1実施形態と同様である。
まず、冷凍サイクル回路41について説明する。この冷凍サイクル回路41は、周知の冷凍サイクルを形成するものであって、圧縮機42はエンジン24等から動力を受けて回路41内の冷媒を吸引圧縮する。圧縮された冷媒は、放熱器43で送風機43aからの空気へ放熱する。放熱後の冷媒は、減圧器44で減圧され液相状態となって水冷媒熱交換器45に流入する。水冷媒熱交換器45では、冷房冷水回路46を流れる水の熱を冷凍サイクル回路41の冷媒が吸熱する。この吸熱により冷媒は蒸発して気相状態となる。蒸発後の冷媒は、再び圧縮機42で吸引圧縮される。
水冷媒熱交換器45で冷媒に吸熱(冷却)された水は、冷房冷水回路46に配置される第2ポンプ室12dにより、回路46内を循環している。冷却された水は冷却器47へ流入する。この冷却器47では、水がブロワ26により車室内空間へ流れる空気から吸熱する。いいかえると、車室内空間へ流れる空気が水により冷却される。
本実施形態では、冷却器47は請求項中のクーラに相当し、水冷媒熱交換器45は冷却手段に相当する。また、エンジン24は発熱体に相当する。
冷却器47およびヒータ25は、車室内へ流れる空気通路を形成する空調ケース49内に配置されている。そして、冷却器47で冷却された後にヒータ25を通過して加熱される空気と、ヒータ25をバイパスする空気の割合をエアミックスドア48により変化させて車室内へ吹出す空気の温度を変化させている。
これによると、ヒータ通路22において、ポンプ12をより圧力の低い位置に配置したため、第1ポンプ室12cと第2ポンプ室12dの圧力差を小さくして軸封部材34のシール性能の低下を軽減することができる。
本実施形態では、エンジンが停止、つまり機械式ポンプ23が停止した場合でも、エンジン24および冷却水が持つ余熱を使用してヒータ25で空調用空気を加熱するために、ヒータ回路22に電動のポンプ12(第1ポンプ室12c)が配置されている。
したがって、エンジン冷却回路21、ヒータ回路22、冷房冷水回路46の全てで冷却水を循環させる時には、ポンプ12、機械式ポンプ22を同時に駆動する。この時、ポンプ12はヒータ回路22と冷房冷水回路46の冷却水を流し、機械式ポンプ23はエンジン冷却回路21とヒータ回路22の流体を流す。この時、ヒータ回路22を流れる流体は、両方のポンプ12、23から圧力を受けるため、ヒータ回路22に配置される第1ポンプ室12cは第2ポンプ室12dよりも圧力が高くなる。
しかし、本実施形態によると第1ポンプ室12cがヒータ回路22において圧力が低い位置(図1、図3の点B)に配置される。したがって、第1ポンプ室12cと第2ポンプ室12dとの圧力差を最も小さくできる。これによると、両ポンプ室12c、12d間のシールを行う軸封部材34に掛かる力を小さくできるため、経時による軸封部材34の変形、ひび割れの発生を軽減できる。つまり、軸封部材34のシール性能の低下を軽減することができる。
また、ポンプ12がホンプハウジング12a内の2つのポンプ室12c、12dにそれぞれ配置される翼32、33を1つのモータ部12bで回転させて独立したヒータ通路22と冷房冷水回路46の冷却水を循環させている。したがって、ヒータ通路22および冷房冷水回路46にそれぞれポンプを配置した場合に比べてポンプ数を半減することができる。これにより、発熱体冷却装置全体としてのコストを低減することができる。
また、ポンプ数が半減したため、車両用空調装置としての搭載空間が減少、つまり搭載性を向上することができる。これにより、より狭い空間に車両用空調装置を配置することができる。
また、ヒータ回路22の配管と冷房冷水回路46の配管がポンプ12に集約されるため、各回路22、46にポンプが配置されており、ポンプの位置が離れている場合に比べて配管を容易に組み付けることができる。
また、ポンプ12は電気により駆動するため、エンジン停止時に圧縮機42が停止しても冷房冷水回路46内の水を循環させて、水が持つ熱容量により冷却器47において車室内へ流れる空気からの吸熱能力を発揮することができる。また、電気で駆動するポンプ12をヒータ通路22に配置したため、エンジン24の動力により駆動する機械式ポンプ23が停止していても、ヒータ通路22の冷却水を循環して冷却水およびエンジン24の余熱により、ヒータ25に加熱性能を発揮させることができる。
なお、本実施形態においても第1実施形態で述べた作用効果(6)を発揮することができる。
(他の実施形態)
上述の実施形態では、電気機器が発電機18とインバータ15の例を示したが、電気機器は電圧を変換する変圧器であるDC−DCコンバータなど作動により発熱する機器であればよい。また、モータの回転数を切り換える変速ギヤなど電気機器による駆動で発熱する発熱体から吸熱してもよい。
また、上述の実施形態では、車両の発熱源を冷却する例を示したが、本発明は車両などの移動体に搭載される発熱源に限らず、定置固定された発熱源を冷却流体で冷却する2つの冷却回路の冷却水をポンプ12で循環しても効果を発揮することができる。なお、冷却流体で冷却される発熱源としては、冷凍サイクル放熱器、乾燥剤吸着発熱など物理変化による発熱や、燃焼器や燃料電池などの化学反応による発熱や、二次電池や電気部品の各種変換ロス等の発熱など様々である。
また、上述の実施形態では、電子機器が冷却回路11において直列的に配置されていたが、耐熱温度が近い機器を並列的に配置してもよい。
また、上述の実施形態では、ポンプ12の翼32、33が軸方向Rからの流体を遠心方向へ流す遠心式の形状であったが、遠心方向からの流体を遠心方向へながす貫流式の形状であってもよい。
また、上述の実施形態では、モータ部12bが隔壁12hにより密封された空間に配置され、隔壁12hを介して翼33を回転させた例を示した。しかし、隔壁12hを貫通する回転軸に翼32、33を一体結合し、回転軸にポンプ室とモータ空間との間をシールする軸封手段(シール部材)を配置してモータ部12b(モータ空間)への冷却水の進入を防ぐものであってもよい。
本発明の第1実施形態に係る発熱体冷却装置を示す模式図である。 第1実施形態のポンプの構造を示す模式図である。 図1のヒータ通路における位置とシール部にかかる圧力との関係を示す図である。 図1のヒータ通路における位置と冷却水の温度との関係を示す図である。 図1の電気機器冷却回路における位置と冷却水の温度との関係を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る車両用空調装置を示す模式図である。 特許文献1に係るポンプを熱交換器へ流れる冷却水の循環に使用した従来例を示す回路図である。
符号の説明
11…電気機器冷却回路(第1冷却回路)、12…ポンプ(第1ポンプ手段)、
12a…ポンプハウジング、12c…第1ポンプ室、12d…第2ポンプ室、
12i…ポンプ室仕切板(仕切部材)、13…電気機器放熱器(第1放熱器)、
15…インバータ(第1発熱体、電気機器)、17…走行用モータ(第1発熱体)、
18…発電機(第1発熱体、電気機器)、
21…エンジン冷却回路(第1冷却回路、冷却回路)、
23…機械駆動式ポンプ(第2ポンプ手段)、
24…エンジン(第2発熱体、発熱体、内燃機関)、25…ヒータ、
27…エンジン放熱器(第2放熱器、放熱器)、31…回転軸、
32、33…翼、34…軸封部材。

Claims (7)

  1. ポンプハウジング(12a)内を第1ポンプ室(12c)と第2ポンプ室(12d)とに仕切る仕切部材(12i)と、各ポンプ室(12c、12d)内に配置される翼(32、33)と、前記翼(32、33)が配置され、前記仕切部材(12i)を貫通する回転軸(31)と、前記仕切部材(12i)の貫通部に配置され、前記両ポンプ室(12c、12d)間のシールを行う軸封部材(34)とを有する第1ポンプ手段(12)と、
    第1発熱体(15、17、18)から吸熱し、第1放熱器(13)で放熱する流体が流れる第1冷却回路(11)と、
    第2発熱体(24)から吸熱し、ヒータ(25)で放熱する流体が流れるヒータ回路(22)と、
    前記ヒータ回路(22)に配置され、前記ヒータ回路(22)の流体を循環させる第2ポンプ手段(23)とを備え、
    前記第1ポンプ室(12c)の前記翼(32)が前記ヒータ回路(22)内の前記流体を循環し、
    前記第2ポンプ室(12d)の前記翼(33)が前記第1冷却回路(11)内の前記流体を循環し、
    前記第2ポンプ手段(23)から吐出される前記流体は、前記ヒータ(25)に流入した後に前記第1ポンプ室(12c)に流入するようになっていることを特徴とする発熱体冷却装置。
  2. ポンプハウジング(12a)内を第1ポンプ室(12c)と第2ポンプ室(12d)とに仕切る仕切部材(12i)と、各ポンプ室(12c、12d)内に配置される翼(32、33)と、前記翼(32、33)が配置され、前記仕切部材(12i)を貫通する回転軸(31)と、前記仕切部材(12i)の貫通部に配置され、前記両ポンプ室(12c、12d)間のシールを行う軸封部材(34)とを有する第1ポンプ手段(12)と、
    第1発熱体(15、17、18)から吸熱し、第1放熱器(13)で放熱する流体が流れる第1冷却回路(11)と、
    第2発熱体(24)から吸熱し、第2放熱器(27)で放熱する流体が流れる第2冷却回路(21)と、
    前記第2発熱体(24)から吸熱して高温状態となった流体が流れるとともに、前記流体により加熱対象を加熱するヒータ(25)を有するヒータ回路(22)と、
    前記第2冷却回路(21)に配置され、前記第2冷却回路(21)および前記ヒータ回路(22)に流体を循環させる第2ポンプ手段(23)とを備え、
    前記第1ポンプ室(12c)の前記翼(32)が前記ヒータ回路(22)内の前記流体を循環し、
    前記第2ポンプ室(12d)の前記翼(33)が前記第1冷却回路(11)内の前記流体を循環し、
    前記第1ポンプ室(12c)は、前記ヒータ回路(22)において前記ヒータ(25)よりも流体流れ下流側の部位に配置されることを特徴とする発熱体冷却装置。
  3. ポンプハウジング(12a)内を第1ポンプ室(12c)と第2ポンプ室(12d)とに仕切る仕切部材(12i)と、各ポンプ室(12c、12d)内に配置される翼(32、33)と、前記翼(32、33)が配置され、前記仕切部材(12i)を貫通する回転軸(31)と、前記仕切部材(12i)の貫通部に配置され、前記両ポンプ室(12c、12d)間のシールを行う軸封部材(34)とを有する第1ポンプ手段(12)と、
    第1発熱体(15、17、18)から吸熱し、第1放熱器(13)で放熱する流体が流れる第1冷却回路(11)と、
    前記第1発熱体(15、17、18)から吸熱し、第2放熱器(27)で放熱する流体が流れる第2冷却回路(21)と、
    前記第2発熱体(24)から吸熱して高温状態となった流体が流れるとともに、前記流体により加熱対象を加熱するヒータ(25)を有するヒータ回路(22)と、
    前記第2冷却回路(21)に配置され、前記第2冷却回路(21)および前記ヒータ回路(22)に流体を循環させる第2ポンプ手段(23)とを備え、
    前記第1ポンプ室(12c)の前記翼(32)が前記ヒータ回路(22)内の前記流体を循環し、
    前記第2ポンプ室(12d)の前記翼(33)が前記第1冷却回路(11)内の前記流体を循環し、
    前記第2冷却回路(21)および前記ヒータ回路(22)には、前記第1冷却回路(11)よりも高温の前記流体が流れるようになっており、
    前記第2ポンプ室(12d)は、前記第1冷却回路(11)において前記第1発熱体(15、17、18)よりも流体流れ下流側、かつ前記第1放熱器(13)よりも流体流れ上流側の部位に配置されることを特徴とする発熱体冷却装置。
  4. 前記第1ポンプ室(12c)は、前記ヒータ回路(25)において前記ヒータ(25)よりも流体流れ下流側部位に配置されることを特徴とする請求項3に記載の発熱体冷却装置。
  5. 前記第1発熱体は、車両に搭載される電気機器(15、17、18)であり、
    前記第2発熱体は、車両に搭載される内燃機関(24)であり、
    前記第2ポンプ手段は、前記内燃機関(24)からの動力を受けて駆動する機械駆動式ポンプ(23)であり、
    前記ヒータ(25)が前記車両の車室内へ流れる空調用空気を加熱することを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1つに記載の発熱体冷却装置。
  6. ポンプハウジング(12a)内を第1ポンプ室(12c)と第2ポンプ室(12d)とに仕切る仕切部材(12i)と、各ポンプ室(12c、12d)内に配置される翼(32、33)と、前記翼(32、33)が配置され、前記仕切部材(12i)を貫通する回転軸(31)と、前記仕切部材(12i)の貫通部に配置され、前記両ポンプ室(12c、12d)間のシールを行う軸封部材(34)とを有する第1ポンプ手段(12)と、
    冷却手段(45)に吸熱されて低温状態となった流体が流れるとともに、前記流体により冷却対象を冷却するクーラ(47)を有する低温流体回路(46)と、
    発熱体(24)から吸熱し、放熱器(27)で放熱する流体が流れる冷却回路(21)と、
    前記発熱体(24)から吸熱して高温状態となった流体が流れるとともに、前記流体により加熱対象を加熱するヒータ(25)を有するヒータ回路(22)と、
    前記冷却回路(21)に配置され、前記冷却回路(21)および前記ヒータ回路(22)に流体を循環させる第2ポンプ手段(23)とを備え、
    前記第1ポンプ室(12c)の前記翼(32)が前記ヒータ回路(22)の前記流体を循環し、
    前記第2ポンプ室(12d)の前記翼(33)が前記低温流体回路(11)の前記流体を循環し、
    前記第1ポンプ室(12c)は、前記ヒータ回路(22)において前記ヒータ(25)よりも流体流れ下流側の部位に配置されることを特徴とする冷却加熱装置。
  7. 請求項6に記載の冷却加熱装置を備えた車両用空調装置であって、
    圧縮機(42)により冷媒が閉回路内で循環する冷凍サイクル(41)を備え、
    前記冷却手段は、前記冷凍サイクル(41)に配置され、前記低温流体回路(46)の前記流体から吸熱して低圧の冷媒を蒸発させる熱交換器(45)であり、
    前記発熱体は、車両に搭載される内燃機関(24)であり、
    前記第2ポンプ手段は、前記内燃機関(24)からの動力を受けて駆動する機械駆動式ポンプ(23)であり、
    前記クーラ(47)が前記車両の車室内へ流れる空調用空気を冷却し、
    さらに、前記ヒータ(25)が前記車両の車室内へ流れる空調用空気を加熱することを特徴とする車両用空調装置。
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