JP2004204603A - 削岩ヘッドおよび削岩装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた作業効率で、しかも削孔の形成状態にかかわらず該削孔の内壁面に段差部を形成することができる汎用性に優れた削岩ヘッドおよび削岩装置を提供する。
【解決手段】ヘッド本体102に対してコイルバネ123の付勢力に抗して外力を与えてコイルバネ123を圧縮させる場合を除き、コイルバネ123の付勢力によりヘッド可動部材112,114が削孔3の中心軸を中心として径方向において互いに近接した状態、つまり縮径状態となっている。したがって、拡径ヘッド100を如何なる向きに配置したとしても、所定以上の外力を印加しない限りヘッド可動部材112,114が窓121から突出することはなく、任意の削孔3に対して拡径工程を実行することができ、汎用性を大幅に高めることができる。
【選択図】 図11
【解決手段】ヘッド本体102に対してコイルバネ123の付勢力に抗して外力を与えてコイルバネ123を圧縮させる場合を除き、コイルバネ123の付勢力によりヘッド可動部材112,114が削孔3の中心軸を中心として径方向において互いに近接した状態、つまり縮径状態となっている。したがって、拡径ヘッド100を如何なる向きに配置したとしても、所定以上の外力を印加しない限りヘッド可動部材112,114が窓121から突出することはなく、任意の削孔3に対して拡径工程を実行することができ、汎用性を大幅に高めることができる。
【選択図】 図11
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、岩盤やコンクリートなどの地盤表面から所定の削孔形成方向に形成された削孔内に挿入された状態で、前記削孔の中心軸を回転中心とする回転駆動力を受けて前記地盤を削岩する削岩ヘッドおよび削岩装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
心抜き作業の短時間化および低コスト化を図るという理由、また拡径式のロックボルトやロックアンカーなどを施工する場合に引抜抵抗を高めるという理由などから、本願出願人は削孔の一部を径方向にさらに拡大削岩して削孔の内壁面に段差部を形成することを提案している(特許文献1参照)。この特許文献1に記載の技術では、従来より周知の削岩装置を用いて地盤に削孔を形成した後、削孔を形成する際に使用した深堀ビットの代わりに拡径ヘッドをロッドに装着して削孔の一部を径方向に拡大削岩して削孔内部を部分的に拡径している。
【0003】
【特許文献1】
特許第3323492号公報 (段落番号〔0014〕〜〔0025〕)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特許文献1に記載の装置を用いた場合、地盤に対して鉛直方向に形成された削孔に対しては段差部を形成することができるものの、傾斜地盤、壁状に切り立った地盤、トンネルの天井面(いわゆる「天井地盤」)などに削孔を形成することは困難である。というのも、従来の拡径ヘッドでは、拡径用の削岩ビットが取付けられたヘッド可動部材は自重により径方向の中心側に移動して削孔内に挿入可能となっているため、仮に傾斜地盤などの地盤に形成された削孔に拡径ヘッドを挿入しようとしても自重によりヘッド可動部材の一部または全部が径方向の外側に移動してしまい、拡径ヘッドの挿入が不可能となるからである。したがって、上記実施形態の適用対象が鉛直方向に削孔を形成する場合に制限されてしまう。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、優れた作業効率で、しかも削孔の形成状態にかかわらず該削孔の内壁面に段差部を形成することができる汎用性に優れた削岩ヘッドおよび削岩装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明にかかる削岩ヘッドは、地盤表面から所定の削孔形成方向に形成された削孔内に挿入された状態で、削孔の中心軸を回転中心とする回転駆動力を受けて地盤を削岩する削岩ヘッドであって、上記目的を達成するため、回転駆動力を受けるヘッド本体と、削孔形成方向と鋭角をなす方向においてヘッド本体に対してスライド自在に設けられ、削孔形成方向におけるヘッド本体の移動にともなって削孔の中心軸を中心として径方向において互いに接近・離間移動する複数のヘッド可動部材と、ヘッド本体に対して削孔形成方向に相対的に移動自在に設けられた先端部材と、先端部材とヘッド本体との間に設けられて、複数のヘッド可動部材が互いに近接する方向にヘッド本体が移動するように先端部材に対してヘッド本体を付勢する付勢手段とを備え、各ヘッド可動部材には削孔内壁面を向いた側面に拡径用削岩ビットが取り付けられており、ヘッド本体を付勢手段による付勢力に抗して削孔形成方向に移動させることによって複数のヘッド可動部材を互いに離間移動させながら、拡径用削岩ビットにより削孔内壁面を削岩して削孔の一部を径方向に拡大させることを特徴としている。
【0007】
また、この発明にかかる削岩装置は、地盤表面から所定の削孔形成方向に形成された削孔の一部を径方向に削岩して削孔径を部分的に拡大させる削岩装置であって、上記目的を達成するため、請求項1記載の削岩ヘッドと、削孔の中心軸を回転中心とする回転駆動力を削岩ヘッドに与える回転駆動部とを備えたことを特徴としている。
【0008】
このように構成された発明(削岩ヘッドおよび削岩装置)では、先端部材がヘッド本体に対して削孔形成方向に相対的に移動自在に設けられるとともに、付勢手段によって先端部材に対してヘッド本体が所定方向、つまり複数のヘッド可動部材が互いに近接する方向に付勢されている。したがって、削孔が如何なる状態に形成されたとしても、削孔に削岩ヘッドを挿入する際の複数のヘッド可動部材が互いに近接した状態となっており、削岩ヘッドを削孔にスムーズに挿入することができる。また、その挿入後にヘッド本体を付勢手段による付勢力に抗して削孔形成方向に移動させると、複数のヘッド可動部材が互いに離間移動して削孔の一部を径方向に拡大させることが可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
A.削岩装置および削孔形成方法について
図1は本発明にかかる削岩装置の一実施形態を示す図である。また図2は図1の削岩装置の部分拡大図である。さらに図3は図1の削岩装置に装備されたヘッド位置決め機構の構成および動作を示す図である。この削岩装置はロックオーガ、クローラードリルまたはロータドリル等と称されるものであり、図1に示すように、基本的には、地盤GLと直接接触する無限軌道式(キャタピラ式)の走行装置11を備えた本体部1と、地盤GLに対して削孔を形成する削岩機2とで構成される。これらの構成要素のうち本体部1は、上記走行装置11と、該走行装置11の駆動機構(不図示)等を収納したエンジンルーム12と、削岩機2の運転操作機構(不図示)が設けられた運転室13(キャビン)とを備えている。
【0010】
また、削岩機2は、その先端部に後述する深堀ビットおよび本発明にかかる削岩ヘッドに相当する拡径ヘッドを着脱自在となっているロッド22を支持案内するガイドセル21と、ロッド22に回転及び打撃作用を与えるドリフタ23と、ロッド22を所定の進退軸22aに沿って進退移動させる例えばチェーン機構を有する進退機構24と、ガイドセル21の下端部近傍に取り付けられてロッド22の下部側を支持案内するセントラライザ25とを備えており、該セントラライザ25の下部にはフード機構26が設けられている。このように、本実施形態ではドリフタ23が本発明の「回転駆動部」として機能する。
【0011】
また、この削岩装置の特有の構成として、後述する拡径ヘッドを有するとともに、ロッド22の進退軸22a上と、この進退軸22aから離れた退避位置との間で該拡径ヘッドを往復移動させるヘッド位置決め機構27が削岩機2に設けられている。なお、ヘッド位置決め機構27の構成および動作、ならびに本発明にかかる削岩ヘッドたる拡径ヘッドについては後で詳述する。
【0012】
また、削岩機2には、ガイドセル21を上下方向にスライドさせるセルスライドシリンダ28が備えられ、該セルスライドシリンダ28の中間部はブーム15によって本体部1に連結されている。つまり、削岩機2は、このブーム15を介して本体部1に連結支持されている。
【0013】
このブーム15はその下側に配置されたブームリフトシリンダ16により、また、セルスライドシリンダ28はブーム15との間に配設されたセルリフトシリンダ17により、それぞれ前後方向に揺動できるようになっており、この両シリンダ16、17を駆動することによって、削岩機2のロッド22の前後方向における傾斜角度を調整することができる。また、ブーム15とセルスライドシリンダ28との間には、セルスイングシリンダ(図示省略)が介設されており、このセルスイングシリンダを駆動することによって、削岩機2のロッド22の左右方向における傾斜角度を調整することができるようになっている。
【0014】
さらにガイドセル21の下端側にはフードパット27が取り付けられ、このフードパット27の下端部には下方に突出する爪29、29が設けられている。尚、フード機構26は、このフードパット27に取り付けられている。
【0015】
次に、図2および図3を参照しつつヘッド位置決め機構27の構成および動作について説明する。図3は図2のA−A線矢視図であり、図中の実線は拡径ヘッド100をロッド22の進退軸22a上に位置決めした状態を示す一方、2点鎖線は拡径ヘッド100を進退軸22aから離れた退避位置に位置決めした状態を示している。このようにヘッド位置決め機構27は拡径ヘッド100を進退軸22a上と退避位置との間で往復移動可能となっている。
【0016】
このヘッド位置決め機構27は、2つのアームサポート271によりガイドセル21の側方部に固着されている。また、各アームサポート271の一方端部がボルトなどの締結部材によりガイドセル21に固定されるとともに、その他方端部でスイングアーム272をα方向に揺動自在に支持している。これらのスイングアーム272の先端にはハンドル273が架け渡されるとともに、スイングアーム272の間にベースシャフト274がガイドセル21とほぼ平行に配置固定されている。そして、図示を省略する駆動機構からの駆動力によりスイングアーム272がα方向に揺動して次のように構成されたクランプ機構部および該クランプ機構により把持された拡径ヘッド100を進退軸22a上と退避位置との間で往復移動させる。
【0017】
このクランプ機構部はスイングアーム272の揺動移動に応じて回動するベースシャフト274に取付けられている。すなわち、ベースシャフト274には、4本のクランプ片275が揺動支点276周りにβ方向に揺動自在に軸支されたクランプベース277が固着されている。これら4本のクランプ片275は互いに対向したクランプ対をロッド22の進退軸方向Xに並列させたものであり、油圧シリンダ278のロッド278を伸張させることで各クランプ対は拡径ヘッド100を把持する(同図の実線)一方、逆に油圧シリンダ278のロッド278を後退させることで各クランプ対による拡径ヘッド100の把持を解除可能となっている(同図の1点鎖線)。
【0018】
次に、上記ように構成された削岩装置による削孔形成方法について図4ないし図7を参照しつつ詳述する。図4は図1の削岩装置による削孔形成手順を示すフローチャートである。また、図5は図1の削岩装置による削孔形成手順を示す動作模式図である。なお、ここでは地盤GLに対して鉛直方向に削孔を形成する場合について説明することとし、図5の左手側が鉛直下方側となっている。
【0019】
この削孔形成方法では、まず上記のように構成された削岩装置を削孔予定位置の近傍に移動させる。そして、ロッド22の先端部に深堀ビット200を取付け、ロッド22の進退軸22aが削孔の中心軸と一致するように削岩機2の姿勢を調整する(ステップS1:ロッド位置決め工程)。このとき、予めヘッド位置決め機構27のクランプ片275により拡径ヘッド100を把持しつつ、退避位置に位置決めしている。これにより、ロッド22への深堀ビット200の装着作業が容易となるとともに、拡径ヘッド100がロッド22と干渉するのを防止することができる。なお、ここでは、深堀ビット200を取付けた後で削岩機2の姿勢制御を行っているが、この順序は逆であってもよいことはいうまでもない。また、予め深堀ビット200をロッド22の先端部に取付けた状態で削岩装置を削孔形成位置の近傍に移動させるようにしてもよい。
【0020】
上記のようにロッド22の位置決めが完了すると、次にロッド22に対してドリフタ23によりロッド22の長手方向Xに打撃振動を与えるとともに、ロッド22を回転させる。そして、図5(a)に示すように、ロッド22を介して深堀ビット200に対して回転打撃力を与えながら、その深堀ビットを地盤GL内部に送り込んで地盤GLに削孔3を形成する(ステップS2)。なお、同図中の符号3aは削孔3の中心軸(削孔中心軸)を示しており、この実施形態ではロッド22の進退軸22aと一致させている。
【0021】
そして、深堀ビット200を削孔3から引上げる前に、ドリフタ23によりロッド22を逆回転させるとともに深堀ビット200を削孔3の内底面に打撃する(ステップS3)。これにより、ロッド22に対する深堀ビット200の締結力が弱まり、次の交換作業を効率的に行うことができる。
【0022】
この交換作業では、ロッド22を後退させて深堀ビット200を地盤GLの上方位置まで引上げる(ステップS4)。このとき、上記したように事前にロッド22に対する深堀ビット200の締結力を弱めているため、その引上げ時にロッド22の先端部から深堀ビット200が脱落している可能性がある。そこで、この実施形態では、ステップS5でロッド22の先端部に深堀ビット200が残存していることを確認し、もし残存していない場合には回収処理(1)を実行する(ステップS6)。
【0023】
図6は回収処理(1)を示すフローチャートである。ここでは、ロッド22を回転させながら削孔3の内底面に向けて降下させる(ステップS6a)。そして、ロッド22の先端部が深堀ビット200に達すると、ロッド22の先端部が深堀ビット200のネジ部と螺合して深堀ビット200の取付けが行われる(ステップS6b)。この実施形態では、後で説明するように、深堀ビット200の上方部にテーパ部が設けられており、上記のようにして降下してくるロッド22をネジ部に案内して螺合を確実に行うことが可能となっている。
【0024】
深堀ビット200の取付けが完了すると、ロッド22を削孔3から引上げる(ステップS6c)。これにより、削孔3に落下した深堀ビット200が削孔3から回収される。
【0025】
図4に戻って削孔形成方法の説明を続ける。次のステップS7では、削孔3から引上げられた深堀ビット200を取外す。この実施形態では、予めロッド22に対する深堀ビット200の締結力を事前に弱めているため、削岩機2を移動させることなく現状姿勢、つまりロッド22の進退軸22aを削孔3の中心軸3aと一致させた状態のまま作業者による手動操作により深堀ビット200を容易に取外すことができる。そして、深堀ビット200の取外しが完了すると、図5(b)に示すように、ヘッド位置決め機構27を作動させて拡径ヘッド100を進退軸22a上に位置決めする。その後、ロッド22を回転させながら削孔3側(図5の左手側)に前進させることによりロッド22の先端部に拡径ヘッド100を装着する。こうして、拡径ヘッド100への交換を実行する。なお、交換作業が完了すると、ヘッド位置決め機構27のクランプ片275を退避位置に移動させて待機させる。
【0026】
そして、拡径ヘッド100を用いて削孔3の一部を径方向にさらに拡大削岩して削孔3の内壁面に段差部を形成する(ステップS8)。すなわち、図5(c)に示すように、ロッド22の進退軸22aが深堀ビット200により形成した削孔3の中心軸3aと一致した状態のままロッド22を削孔3の所定位置、つまり拡径予定位置に位置決めした後に該拡径ヘッド100により削孔3の部分拡径を行っている。
【0027】
段差部の形成が完了すると、深堀ビット200の場合と同様に、逆回転打撃を与えてロッド22に対する拡径ヘッド100の締結力を弱める(ステップS9)。そして、ロッド22を後退させて拡径ヘッド100を地盤GLの上方位置まで引上げる(ステップS10)。このとき、上記したように事前にロッド22に対する拡径ヘッド100の締結力を弱めているため、その引上げ時にロッド22の先端部から拡径ヘッド100が脱落している可能性がある。そこで、この実施形態では、ステップS11でロッド22の先端部に拡径ヘッド100が残存していることを確認し、もし残存していない場合には回収処理(2)を実行する(ステップS12)。なお、この回収処理(2)は回収処理(1)とほぼ同様にして削孔3内に落下した拡径ヘッド100の回収を行う。すなわち、図7に示すように、ロッド22を回転させながら削孔3の内底面に向けて降下させて(ステップS12a)、ロッド22の先端部に拡径ヘッド100を取付ける(ステップS12b)。その後、ロッド22を削孔3から引上げる(ステップS12c)。これにより、削孔3に落下した拡径ヘッド100が削孔3から回収される。
【0028】
なお、削孔3から引上げられた拡径ヘッド100をヘッド位置決め機構27と対応する位置に位置決めした後、クランプ片275をロッド22の進退軸22a上に移動させるとともに各グリップ対275を揺動させて拡径ヘッド100を把持する。そして、ロッド22をさらに逆回転させつつ後退させてロッド22と拡径ヘッド100との螺合を解除し、ロッド22を拡径ヘッド100から後退させる。その後で、把持した状態のままヘッド位置決め機構27のクランプ片275を退避位置に移動させることで拡径ヘッド100を退避位置に移動待機させる。
【0029】
以上のように、この実施形態によれば、削孔形成から段差部形成まで一貫してロッド22の進退軸22aを削孔中心軸3aと一致させているため、深堀ビット200から拡径ヘッド100に交換した際にもロッド22と削孔3との位置関係が変動するのを防止することができる。そして、このようにロッド22の進退軸22aと削孔中心軸3aとが一致した状態のまま、拡径ヘッド100を装着したロッド22が削孔中心軸3aに沿って地盤に進行することとなり、削孔3への拡径ヘッド100の挿入を容易に、しかも確実に行うことができ、作業効率の向上を図ることができる。
【0030】
また、この実施形態では、ヘッド位置決め機構27により本発明の「削岩ヘッド」に相当する拡径ヘッド100がロッド22の進退軸22a上と退避位置との間で移動可能となっているため、拡径ヘッド100を使用しない段階(ステップS1〜S7)では拡径ヘッド100を退避位置に退避させてロッド22との干渉を防止することができる一方、拡径ヘッド100が必要となった際には該拡径ヘッド100を進退軸22a上に位置決めしてロッド22への装着を容易に、しかも確実なものとすることができる。
【0031】
さらに、本実施形態では、地盤GLに対して鉛直方向に形成された削孔3に段差部を形成しているが、拡径ヘッド100として後で詳述するような構成を有する拡径ヘッド(本発明の削岩ヘッド)を用いているため、削孔3の形状状態を問わずに任意の削孔3に段差部を形成することができる。すなわち、鉛直形成された削孔3のみならず、傾斜地盤や天井地盤などに形成された削孔3についても該削孔3の一部を径方向に拡大させることができる。この点に関しては、後の「C.拡径ヘッド100について」の項で詳述する。
【0032】
B.深堀ビット200について
ところで、深堀ビット200については、従来より多用されているものを採用してもよいが、回収処理(1)において削孔3に落下した深堀ビット200のロッド22への取付けをより確実にするためには、深堀ビット200を図8に示すように構成するのが望ましい。
【0033】
図8は、上記した削孔形成方法に適した深堀ビットの一実施形態を示す断面図である。この深堀ビット200が従来より多用されている深堀ビットと大きく相違している点は、ロッド22と螺合するネジ部201の上方部にロッド22をネジ部201に案内するためのテーパ部202が設けられている点であり、その他の構成は基本的に従来技術と同一である。このように、テーパ部202を設けることによりロッド22の進退軸22aが深堀ビット200の中心軸200aと若干ずれていたとしても、テーパ部202によりロッド22をネジ部201に案内することができる。したがって、ロッド22への深堀ビット200の取付を確実に行うことができる。
【0034】
C.拡径ヘッド100について
図9はこの発明にかかる削孔ヘッドの一実施形態を示す図であり、同図(a)は正面から見たときの部分断面図であり、同図(b)は側面から見たときの部分断面図であり、同図(c)は同図(a)のB−B線断面図であり、いずれも拡径状態を示している。また、図10は図9の拡径ヘッドの部分図である。さらに、図11は図9に示す拡径ヘッドによる拡径工程を模式的に示す図である。
【0035】
この拡径ヘッド100は、図9に示すように、削岩機2のロッド22に着脱可能なヘッド本体102を備えており、ロッド22の先端部に装着された状態で削岩機2のドリフタ23から回転駆動力のみ、あるいは回転駆動力とともに打撃振動力を受けるように構成されている。また、この実施形態では、ヘッド本体102はフランジロッド104にテーパジャック106を装着して形成されているが、これらを一体的に形成してもよいことは言うまでもない。
【0036】
また、このフランジロッド104の上方部にテーパ部104aが設けられており、深堀ビット200のテーパ部202と同様の作用効果を奏する。すなわち、テーパ部104aを設けることによりロッド22の進退軸22aが拡径ヘッド100の中心軸と若干ずれていたとしても、テーパ部104aによりロッド22をネジ部104bに案内することができる。したがって、ロッド22への拡径ヘッド100の取付を確実に行うことができる。
【0037】
また、テーパジャック106は深堀ビット200により形成された削孔3に挿入可能なサイズの厚肉プレートで構成されており、その両面の一方側端部には削孔形成方向Xに対して鋭角(+α)をなすようにガイド溝108が設けられるとともに、その両面の他方側端部には削孔形成方向Xに対して鋭角(−α)をなすようにガイド溝110が設けられている。
【0038】
そして、ヘッド本体102の一方側端側でガイド溝108に沿ってヘッド可動部材112が(+α)方向に沿ってスライド自在に設けられるとともに、他方側端側でガイド溝110に沿ってヘッド可動部材114が(−α)方向に沿ってスライド自在に設けられている。このため、これらのヘッド可動部材112,114はヘッド本体102を削孔形成方向Xに移動させることによって削孔3の中心軸を中心として径方向において互いに接近・離間移動可能となっている。また、各ヘッド可動部材112,114には、削孔内壁面を向いた側面に削岩ビット116が取り付けられている。なお、これらの削岩ビット116は後述するように削孔3の内壁面を部分的に削岩して削孔径を拡大する、つまり削孔内部を部分的に拡径する拡径ビットとして機能する。
【0039】
また、このヘッド本体102の(+X)方向端部には、リング117に対して連結されたスリット118と、ビット支持体120とを相互に螺合して一体化した先端部材122がX方向に移動自在に取り付けられる。すなわち、リング117とスリット118との間にヘッド可動部材112、114を介在させた状態でリング117の下面とスリット118の上面とが例えば溶接により相互に連結されてヘッド可動部材112、114の出退用の窓121を形成している。
【0040】
そして、先端部材122の内部空間では、テーパジャック106の面法線方向に内部空間の内径と同一、あるいは若干短いブロック126がスプリングピン127によってテーパジャック106に取り付けられている。したがって、その内部空間からテーパジャック106側を見ると、先端部124とブロック126とで十字形が形成され、その十字形状の各端部がビット支持体120の内壁面を摺動自在となっている。このため、ヘッド本体102がビット支持体120の内壁面によりX方向に案内されながら、X方向に移動自在となっている。
【0041】
さらに、その先端部材122の内部空間にコイルバネ123が配置されており、その付勢力によりテーパジャック106が(−X)方向に付勢されている。ただし、上記したようにヘッド可動部材112、114がリング117とスリット118との間に配置されているため、図11(a)に示すように、テーパジャック106の(+X)方向端部、つまり先端部124が(−X)方向に移動したとしてもヘッド可動部材112、114を介してリング117により係止され、それ以上の(−X)方向の移動が規制される。
【0042】
一方、フランジロッド104に対して上記とは逆向き、つまり(+X)方向でしかもコイルバネ123の付勢力よりも大きな外力が加わると、その付勢力に抗してテーパジャック106が(+X)方向に移動し、これに応じてヘッド可動部材112、114が径方向に相互に離間移動し、窓121から突出することとなる(図11(b)参照)。
【0043】
この先端部材122の先端には、複数の深堀用ビット128が削孔内底面を向けた状態で固着されており、後述するようにしてヘッド本体102に回転打撃力が与えられると、削孔内底面をさらに削岩可能となっている。
【0044】
また、先端部材122の(−X)方向端部には、図9(b)に示すように、ヘッド可動部材112,114を挟み込むように、2つの突起部130が設けられている。各突起部130はX方向においてヘッド可動部材112,114よりも若干長くなっており、上記したようにリング117と溶接されて窓121を形成している。
【0045】
なお、この実施形態では、ヘッド本体102およびビット支持体120には、それぞれ貫通孔132,134がそれぞれ設けられており、貫通孔132,134を介して削孔3内部に向けて圧縮空気を供給して後述する段差部を形成する際に発生する粉塵や被削物などを削孔3から排出可能としている。
【0046】
次に、上記のように構成された拡径ヘッド100を用いて削孔3の一部を径方向に拡大させて削孔3の内壁面に段差部を形成する動作(拡径工程)について図11を参照しつつ説明する。まず、削孔工程の実行によって地盤GLに向けて下方向(+X)に形成された削孔3に拡径ヘッド100を挿入し、先端部材122を削孔底部に載置して削孔径を拡大する拡径予定位置、つまり段差部形成位置にヘッド可動部材112,114を配置する。このとき、ヘッド可動部材112,114は自重とコイルバネ123によって相互に近接した状態となっている。
【0047】
次に、削岩機のドリフタ23の作動を開始して拡径ヘッド100に回転力を与えながら、コイルバネ123の付勢力に抗しながらヘッド本体102および先端部材122を一体的に削孔形成方向(+X)に送り込んでいく。このとき、圧縮空気の送給も同時に開始して貫通孔132,134を介して削孔3内部に向けて圧縮空気を送り込んでいる。
【0048】
すると、上記送り込み動作に応じて、ヘッド可動部材112,114が削孔3の中心軸を中心として径方向において互いに離間移動し、同図(b)に示すように削岩ビット116が削孔内壁面と接触して段差部形成位置での岩盤の削岩が開始される。さらに、ヘッド本体102および先端部材122を一体的に削孔形成方向(+X)に送り込み、この送り込み動作に応じてヘッド可動部材112,114が削孔内壁面を削岩しながら、削孔3の中心軸を中心として径方向において互いにさらに離間移動していく。これによって、削孔径が拡大されて段差部30が形成される。
【0049】
こうして、所望深さ、例えば15mm〜20mm程度だけ削孔3の一部を削岩して段差部30が形成されると、ドリフタ23の作動を停止させ、拡径ヘッド100を削孔3から引上げるようにしてもよいが、同図(c)に示すように、ドリフタ23とともにドリフタ23をさらに作動させて回転打撃力をヘッド本体102に与えると、段差部30をさらに(+X)方向に拡張することができる。すなわち、回転打撃力が加えられることで先端部材122に取り付けれた深堀用ビット128が削孔3の内底面をさらに削岩して削孔3をさらに掘り下げる。また、これと並行して、拡径状態のヘッド可動部材112,114に取り付けられた削岩ビット116が段差部30の(+X)方向端部をさらに削岩していき、その結果、段差部30が(+X)方向に拡張される。
【0050】
そして、段差部30が所望のサイズに達すると、ドリフタ23を停止するとともに、圧縮空気の供給も停止して削岩動作を停止させる。そして、それに続いて、ヘッド本体102および先端部材122を一体的に(−X)方向に引上げてヘッド可動部材112,114を削孔3の中心軸を中心として径方向において互いに近接移動させて削孔3内に戻した後、さらに、ヘッド本体102および先端部材122を一体的に(−X)方向に引上げてロッド22(図9)を削孔3から取り除く。
【0051】
このように、この実施形態によれば、ヘッド可動部材112,114のサイズに限定されることなく、所望サイズの段差部30を形成することが可能となっている。また、ヘッド本体102に対してコイルバネ123の付勢力に抗して外力を与えてコイルバネ123を圧縮させる場合を除き、コイルバネ123の付勢力によりヘッド可動部材112,114が削孔3の中心軸を中心として径方向において互いに近接した状態、つまり縮径状態となっている(図11(a))。したがって、拡径ヘッド100を如何なる向きに配置したとしても、所定以上の外力を印加しない限りヘッド可動部材112,114が窓121から突出することはなく、任意の削孔3に対して拡径工程を実行することができ、汎用性を大幅に高めることができる。
【0052】
図12はこの発明にかかる削孔ヘッドの他の実施形態を示す図であり、同図(a)は正面から見たときの部分断面図であり、同図(b)は側面から見たときの部分断面図であり、同図(c)は同図(a)のC−C線断面図であり、いずれも拡径状態を示している。また、図13は図12に示す拡径ヘッドによる拡径工程を模式的に示す図である。
【0053】
この拡径ヘッド100は、図12に示すように、削岩機2のロッド22に着脱可能なヘッド本体102を備えており、ロッド22の先端部に装着された状態で削岩機2のドリフタ23から回転駆動力のみ、あるいは回転駆動力とともに打撃振動力を受けるように構成されている。また、この実施形態では、ヘッド本体102はフランジロッド104にテーパジャック106を装着して形成されているが、これらを一体的に形成してもよいことは言うまでもない。
【0054】
また、先の実施形態(図10)と同様に、このフランジロッド104の上方部にテーパ部が設けられており、深堀ビット200のテーパ部202と同様の作用効果を奏する。
【0055】
そして、ヘッド本体102の一方側端側でガイド溝108に沿ってヘッド可動部材112が(+α)方向に沿ってスライド自在に設けられるとともに、他方側端側でガイド溝110に沿ってヘッド可動部材114が(−α)方向に沿ってスライド自在に設けられている。このため、これらのヘッド可動部材112,114はヘッド本体102を削孔形成方向Xに移動させることによって削孔3の中心軸を中心として径方向において互いに接近・離間移動可能となっている。また、各ヘッド可動部材112,114には、削孔内壁面を向いた側面に削岩ビット116が取り付けられている。なお、これらの削岩ビット116は後述するように削孔3の内壁面を部分的に削岩して削孔径を拡大する、つまり削孔内部を部分的に拡径する拡径ビットとして機能する。
【0056】
また、この実施形態では、テーパジャック106の一部に凹部を形成するとともに、その凹部に係止ボール140を遊嵌するとともに、その係止ボール140をコイルバネ142で外向きに付勢している。ここでは、凹部の出口径が係止ボール140の外径よりも小さく、係止ボール140が凹部から脱落するのを防止しながら、しかもコイルバネ142の付勢力で係止ボール140の一部が凹部から突出するように構成している。したがって、係止ボール140の突出面に対してコイルバネ142の付勢力によりも大きな外力が加わると、コイルバネ142の付勢力に抗しながら係止ボール140が凹部内に押し遣られる。一方、係止ボール140の突出面への外力印加がなくなると、係止ボール140が再び突出することとなり、図13(a)に示すようにヘッド可動部材112,114の移動を規制し、ヘッド可動部材112,114を削孔3の中心軸を中心として径方向において互いに近接した状態に維持することが可能となっている。
【0057】
また、このヘッド本体102の(+X)方向端部には、スリット118とビット支持体120を相互に螺合して一体化した先端部材122がX方向に移動自在に取り付けられるとともに、その先端部材122の(−X)方向端部が、例えば図13(a)に示すように、テーパジャック106の(+X)方向端部、つまり先端部124により係止可能となっている。また、先端部材122の内部空間では、テーパジャック106の面法線方向に内部空間の内径と同一、あるいは若干短いブロック126がスプリングピン127によってテーパジャック106に取り付けられている。したがって、その内部空間からテーパジャック106側を見ると、先端部124とブロック126とで十字形が形成され、その十字形状の各端部がビット支持体120の内壁面を摺動自在となっている。このため、ヘッド本体102がビット支持体120の内壁面によりX方向に案内されながら、X方向に移動自在となっている。
【0058】
また、その先端部材122の内部空間にコイルバネ123が配置されており、その付勢力によりテーパジャック106が(−X)方向に付勢されている。
【0059】
この先端部材122の先端には、複数の深堀用ビット128が削孔内底面を向けた状態で固着されており、後述するようにしてヘッド本体102に回転打撃力が与えられると、削孔内底面をさらに削岩可能となっている。
【0060】
また、先端部材122の(−X)方向端部には、図12(b)に示すように、ヘッド可動部材112,114を挟み込むように、2つの突起部130が設けられている。各突起部130はX方向においてヘッド可動部材112,114よりも若干長くなっており、拡径状態において、ヘッド可動部材112,114がヘッド本体102と先端部材122とで挟み込まれるのを防止し、拡径状態から縮径状態(図13(a))に戻すのを容易としている。
【0061】
なお、この実施形態では、ヘッド本体102およびビット支持体120には、それぞれ貫通孔132,134がそれぞれ設けられており、貫通孔132,134を介して削孔3内部に向けて圧縮空気を供給して後述する段差部を形成する際に発生する粉塵や被削物などを削孔3から排出可能としている。
【0062】
次に、上記のように構成された拡径ヘッド100を用いて削孔3の一部を径方向に拡大させて削孔3の内壁面に段差部を形成する動作(拡径工程)について図13を参照しつつ説明する。まず、図13(a)に示すように、削孔工程の実行によって天井地盤GLに向けて上方向(+X)に形成された削孔3に拡径ヘッド100を挿入し、先端部材122を削孔底部に載置して削孔径を拡大する拡径予定位置、つまり段差部形成位置にヘッド可動部材112,114を配置する。このとき、ヘッド可動部材112,114は係止ボール140とコイルバネ142とで構成された係止手段により係止されており、その自重によって(−X)方向に移動してくるのを阻止して縮径状態に維持している。
【0063】
次に、削岩機2のドリフタ23の作動を開始して拡径ヘッド100に回転力を与えながら、コイルバネ123、142の付勢力に抗しながらヘッド本体102および先端部材122を一体的に削孔形成方向(+X)に送り込んでいく。このとき、圧縮空気の送給も同時に開始して貫通孔132,134を介して削孔3内部に向けて圧縮空気を送り込んでいる。
【0064】
すると、上記送り込み動作に応じて、ヘッド可動部材112,114がまず係止ボール140を凹部に押し遣りながら削孔3の中心軸を中心として径方向において互いに離間移動し、その係止ボール140を通過すると、さらに離間移動して、同図(b)に示すように削岩ビット116が削孔内壁面と接触して段差部形成位置での岩盤の削岩が開始される。なお、ヘッド可動部材112,114の通過と同時に係止ボール140はコイルバネ142の付勢力により再び凹部から突出する。
【0065】
さらに、ヘッド本体102および先端部材122を一体的に削孔形成方向(+X)に送り込み、この送り込み動作に応じてヘッド可動部材112,114が削孔内壁面を削岩しながら、削孔3の中心軸を中心として径方向において互いにさらに離間移動していく。これによって、削孔径が拡大されて段差部30が形成される。
【0066】
こうして、所望深さ、例えば15mm〜20mm程度だけ削孔3の一部を削岩して段差部30が形成されると、ドリフタ23の作動を停止させ、拡径ヘッド100を削孔3から引き下げるようにしてもよいが、同図(c)に示すように、ドリフタ23とともにドリフタ23をさらに作動させて回転打撃力をヘッド本体102に与えると、段差部30をさらに(+X)方向に拡張することができる。すなわち、回転打撃力が加えられることで先端部材122に取り付けれた深堀用ビット128が削孔3の内底面をさらに削岩して削孔3をさらに掘り下げる。また、これと並行して、拡径状態のヘッド可動部材112,114に取り付けられた削岩ビット116が段差部30の(+X)方向端部をさらに削岩していき、その結果、段差部30が(+X)方向に拡張される。
【0067】
そして、段差部30が所望のサイズに達すると、ドリフタ23を停止するとともに、圧縮空気の供給も停止して削岩動作を停止させる。そして、それに続いて、ヘッド本体102および先端部材122を一体的に(−X)方向に引き下げてヘッド可動部材112,114を削孔3の中心軸を中心として径方向において互いに近接移動させて削孔3内に戻した後、係止ボール140によりヘッド可動部材112,114を係止した状態(同図(a))のまま、さらにヘッド本体102および先端部材122を一体的に(−X)方向に引き下げてロッド22(図12)を削孔3から取り除く。
【0068】
このように、この実施形態によれば、ヘッド可動部材112,114のサイズに限定されることなく、所望サイズの段差部30を形成することが可能となっている。また、係止手段によりヘッド可動部材112,114が自由に移動するのを防止するとともに、必要に応じて所定以上の外力を加える事でヘッド可動部材112,114を削孔3の中心軸を中心として径方向において互いにさらに離間移動させて削岩するように構成しているので、先の実施形態と同様に、任意の削孔3に対して拡径工程を実行することができ、汎用性を大幅に高めることができる。
【0069】
なお、本発明はした実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、図11に示すように地盤GLに向けて下方向(+X)に形成された削孔3に段差部30を形成する場合と、図13に示すように地盤GLに向けて上方向(+X)に形成された削孔3に段差部30を形成する場合とについて説明したが、傾斜地盤に対して削孔を設ける場合も全く同様である。すなわち、本発明にかかる削岩ヘッドおよび削岩装置によれば、任意の地盤に対して形成された削孔について該削孔の一部を径方向にさらに拡大削岩して削孔の内壁面に段差部を形成することができる。
【0070】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、先端部材をヘッド本体に対して削孔形成方向に相対的に移動自在に設けるとともに、付勢手段によって先端部材に対してヘッド本体を、複数のヘッド可動部材が互いに近接する方向に付勢しているので、削孔が如何なる状態に形成されたとしても、削孔に削岩ヘッドを挿入する際に複数のヘッド可動部材が互いに近接した状態となり、削岩ヘッドを削孔にスムーズに挿入することができる。したがって、削孔状態にかかわらず該削孔の内壁面に段差部を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかる削岩装置の一実施形態を示す全体構成図である。
【図2】図1の削岩装置の部分拡大図(拡径ヘッドのセッター機構)である。
【図3】図2のA−A線矢視図である。
【図4】図1の削岩装置による削孔形成手順を示すフローチャートである。
【図5】図1の削岩装置による削孔形成手順を示す動作模式図である。
【図6】削孔内に落下した深堀ビットを回収する回収処理を示すフローチャートである。
【図7】削孔内に落下した拡径ヘッドを回収する回収処理を示すフローチャートである。
【図8】深堀ビットの一実施形態を示す図である。
【図9】この発明にかかる削孔ヘッドの一の実施形態を示す図である。
【図10】図9の拡径ヘッドの部分図である。
【図11】図9に示す拡径ヘッドによる拡径工程を模式的に示す図である。
【図12】この発明にかかる削孔ヘッドの他の実施形態を示す図である。
【図13】図12に示す拡径ヘッドによる拡径工程を模式的に示す図である。
【符号の説明】
3…削孔
3a…削孔中心軸
23…ドリフタ(回転駆動部)
30…段差部
100…拡径ヘッド(削岩ヘッド)
GL…地盤
X…削孔形成方向
【発明の属する技術分野】
この発明は、岩盤やコンクリートなどの地盤表面から所定の削孔形成方向に形成された削孔内に挿入された状態で、前記削孔の中心軸を回転中心とする回転駆動力を受けて前記地盤を削岩する削岩ヘッドおよび削岩装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
心抜き作業の短時間化および低コスト化を図るという理由、また拡径式のロックボルトやロックアンカーなどを施工する場合に引抜抵抗を高めるという理由などから、本願出願人は削孔の一部を径方向にさらに拡大削岩して削孔の内壁面に段差部を形成することを提案している(特許文献1参照)。この特許文献1に記載の技術では、従来より周知の削岩装置を用いて地盤に削孔を形成した後、削孔を形成する際に使用した深堀ビットの代わりに拡径ヘッドをロッドに装着して削孔の一部を径方向に拡大削岩して削孔内部を部分的に拡径している。
【0003】
【特許文献1】
特許第3323492号公報 (段落番号〔0014〕〜〔0025〕)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特許文献1に記載の装置を用いた場合、地盤に対して鉛直方向に形成された削孔に対しては段差部を形成することができるものの、傾斜地盤、壁状に切り立った地盤、トンネルの天井面(いわゆる「天井地盤」)などに削孔を形成することは困難である。というのも、従来の拡径ヘッドでは、拡径用の削岩ビットが取付けられたヘッド可動部材は自重により径方向の中心側に移動して削孔内に挿入可能となっているため、仮に傾斜地盤などの地盤に形成された削孔に拡径ヘッドを挿入しようとしても自重によりヘッド可動部材の一部または全部が径方向の外側に移動してしまい、拡径ヘッドの挿入が不可能となるからである。したがって、上記実施形態の適用対象が鉛直方向に削孔を形成する場合に制限されてしまう。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、優れた作業効率で、しかも削孔の形成状態にかかわらず該削孔の内壁面に段差部を形成することができる汎用性に優れた削岩ヘッドおよび削岩装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明にかかる削岩ヘッドは、地盤表面から所定の削孔形成方向に形成された削孔内に挿入された状態で、削孔の中心軸を回転中心とする回転駆動力を受けて地盤を削岩する削岩ヘッドであって、上記目的を達成するため、回転駆動力を受けるヘッド本体と、削孔形成方向と鋭角をなす方向においてヘッド本体に対してスライド自在に設けられ、削孔形成方向におけるヘッド本体の移動にともなって削孔の中心軸を中心として径方向において互いに接近・離間移動する複数のヘッド可動部材と、ヘッド本体に対して削孔形成方向に相対的に移動自在に設けられた先端部材と、先端部材とヘッド本体との間に設けられて、複数のヘッド可動部材が互いに近接する方向にヘッド本体が移動するように先端部材に対してヘッド本体を付勢する付勢手段とを備え、各ヘッド可動部材には削孔内壁面を向いた側面に拡径用削岩ビットが取り付けられており、ヘッド本体を付勢手段による付勢力に抗して削孔形成方向に移動させることによって複数のヘッド可動部材を互いに離間移動させながら、拡径用削岩ビットにより削孔内壁面を削岩して削孔の一部を径方向に拡大させることを特徴としている。
【0007】
また、この発明にかかる削岩装置は、地盤表面から所定の削孔形成方向に形成された削孔の一部を径方向に削岩して削孔径を部分的に拡大させる削岩装置であって、上記目的を達成するため、請求項1記載の削岩ヘッドと、削孔の中心軸を回転中心とする回転駆動力を削岩ヘッドに与える回転駆動部とを備えたことを特徴としている。
【0008】
このように構成された発明(削岩ヘッドおよび削岩装置)では、先端部材がヘッド本体に対して削孔形成方向に相対的に移動自在に設けられるとともに、付勢手段によって先端部材に対してヘッド本体が所定方向、つまり複数のヘッド可動部材が互いに近接する方向に付勢されている。したがって、削孔が如何なる状態に形成されたとしても、削孔に削岩ヘッドを挿入する際の複数のヘッド可動部材が互いに近接した状態となっており、削岩ヘッドを削孔にスムーズに挿入することができる。また、その挿入後にヘッド本体を付勢手段による付勢力に抗して削孔形成方向に移動させると、複数のヘッド可動部材が互いに離間移動して削孔の一部を径方向に拡大させることが可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
A.削岩装置および削孔形成方法について
図1は本発明にかかる削岩装置の一実施形態を示す図である。また図2は図1の削岩装置の部分拡大図である。さらに図3は図1の削岩装置に装備されたヘッド位置決め機構の構成および動作を示す図である。この削岩装置はロックオーガ、クローラードリルまたはロータドリル等と称されるものであり、図1に示すように、基本的には、地盤GLと直接接触する無限軌道式(キャタピラ式)の走行装置11を備えた本体部1と、地盤GLに対して削孔を形成する削岩機2とで構成される。これらの構成要素のうち本体部1は、上記走行装置11と、該走行装置11の駆動機構(不図示)等を収納したエンジンルーム12と、削岩機2の運転操作機構(不図示)が設けられた運転室13(キャビン)とを備えている。
【0010】
また、削岩機2は、その先端部に後述する深堀ビットおよび本発明にかかる削岩ヘッドに相当する拡径ヘッドを着脱自在となっているロッド22を支持案内するガイドセル21と、ロッド22に回転及び打撃作用を与えるドリフタ23と、ロッド22を所定の進退軸22aに沿って進退移動させる例えばチェーン機構を有する進退機構24と、ガイドセル21の下端部近傍に取り付けられてロッド22の下部側を支持案内するセントラライザ25とを備えており、該セントラライザ25の下部にはフード機構26が設けられている。このように、本実施形態ではドリフタ23が本発明の「回転駆動部」として機能する。
【0011】
また、この削岩装置の特有の構成として、後述する拡径ヘッドを有するとともに、ロッド22の進退軸22a上と、この進退軸22aから離れた退避位置との間で該拡径ヘッドを往復移動させるヘッド位置決め機構27が削岩機2に設けられている。なお、ヘッド位置決め機構27の構成および動作、ならびに本発明にかかる削岩ヘッドたる拡径ヘッドについては後で詳述する。
【0012】
また、削岩機2には、ガイドセル21を上下方向にスライドさせるセルスライドシリンダ28が備えられ、該セルスライドシリンダ28の中間部はブーム15によって本体部1に連結されている。つまり、削岩機2は、このブーム15を介して本体部1に連結支持されている。
【0013】
このブーム15はその下側に配置されたブームリフトシリンダ16により、また、セルスライドシリンダ28はブーム15との間に配設されたセルリフトシリンダ17により、それぞれ前後方向に揺動できるようになっており、この両シリンダ16、17を駆動することによって、削岩機2のロッド22の前後方向における傾斜角度を調整することができる。また、ブーム15とセルスライドシリンダ28との間には、セルスイングシリンダ(図示省略)が介設されており、このセルスイングシリンダを駆動することによって、削岩機2のロッド22の左右方向における傾斜角度を調整することができるようになっている。
【0014】
さらにガイドセル21の下端側にはフードパット27が取り付けられ、このフードパット27の下端部には下方に突出する爪29、29が設けられている。尚、フード機構26は、このフードパット27に取り付けられている。
【0015】
次に、図2および図3を参照しつつヘッド位置決め機構27の構成および動作について説明する。図3は図2のA−A線矢視図であり、図中の実線は拡径ヘッド100をロッド22の進退軸22a上に位置決めした状態を示す一方、2点鎖線は拡径ヘッド100を進退軸22aから離れた退避位置に位置決めした状態を示している。このようにヘッド位置決め機構27は拡径ヘッド100を進退軸22a上と退避位置との間で往復移動可能となっている。
【0016】
このヘッド位置決め機構27は、2つのアームサポート271によりガイドセル21の側方部に固着されている。また、各アームサポート271の一方端部がボルトなどの締結部材によりガイドセル21に固定されるとともに、その他方端部でスイングアーム272をα方向に揺動自在に支持している。これらのスイングアーム272の先端にはハンドル273が架け渡されるとともに、スイングアーム272の間にベースシャフト274がガイドセル21とほぼ平行に配置固定されている。そして、図示を省略する駆動機構からの駆動力によりスイングアーム272がα方向に揺動して次のように構成されたクランプ機構部および該クランプ機構により把持された拡径ヘッド100を進退軸22a上と退避位置との間で往復移動させる。
【0017】
このクランプ機構部はスイングアーム272の揺動移動に応じて回動するベースシャフト274に取付けられている。すなわち、ベースシャフト274には、4本のクランプ片275が揺動支点276周りにβ方向に揺動自在に軸支されたクランプベース277が固着されている。これら4本のクランプ片275は互いに対向したクランプ対をロッド22の進退軸方向Xに並列させたものであり、油圧シリンダ278のロッド278を伸張させることで各クランプ対は拡径ヘッド100を把持する(同図の実線)一方、逆に油圧シリンダ278のロッド278を後退させることで各クランプ対による拡径ヘッド100の把持を解除可能となっている(同図の1点鎖線)。
【0018】
次に、上記ように構成された削岩装置による削孔形成方法について図4ないし図7を参照しつつ詳述する。図4は図1の削岩装置による削孔形成手順を示すフローチャートである。また、図5は図1の削岩装置による削孔形成手順を示す動作模式図である。なお、ここでは地盤GLに対して鉛直方向に削孔を形成する場合について説明することとし、図5の左手側が鉛直下方側となっている。
【0019】
この削孔形成方法では、まず上記のように構成された削岩装置を削孔予定位置の近傍に移動させる。そして、ロッド22の先端部に深堀ビット200を取付け、ロッド22の進退軸22aが削孔の中心軸と一致するように削岩機2の姿勢を調整する(ステップS1:ロッド位置決め工程)。このとき、予めヘッド位置決め機構27のクランプ片275により拡径ヘッド100を把持しつつ、退避位置に位置決めしている。これにより、ロッド22への深堀ビット200の装着作業が容易となるとともに、拡径ヘッド100がロッド22と干渉するのを防止することができる。なお、ここでは、深堀ビット200を取付けた後で削岩機2の姿勢制御を行っているが、この順序は逆であってもよいことはいうまでもない。また、予め深堀ビット200をロッド22の先端部に取付けた状態で削岩装置を削孔形成位置の近傍に移動させるようにしてもよい。
【0020】
上記のようにロッド22の位置決めが完了すると、次にロッド22に対してドリフタ23によりロッド22の長手方向Xに打撃振動を与えるとともに、ロッド22を回転させる。そして、図5(a)に示すように、ロッド22を介して深堀ビット200に対して回転打撃力を与えながら、その深堀ビットを地盤GL内部に送り込んで地盤GLに削孔3を形成する(ステップS2)。なお、同図中の符号3aは削孔3の中心軸(削孔中心軸)を示しており、この実施形態ではロッド22の進退軸22aと一致させている。
【0021】
そして、深堀ビット200を削孔3から引上げる前に、ドリフタ23によりロッド22を逆回転させるとともに深堀ビット200を削孔3の内底面に打撃する(ステップS3)。これにより、ロッド22に対する深堀ビット200の締結力が弱まり、次の交換作業を効率的に行うことができる。
【0022】
この交換作業では、ロッド22を後退させて深堀ビット200を地盤GLの上方位置まで引上げる(ステップS4)。このとき、上記したように事前にロッド22に対する深堀ビット200の締結力を弱めているため、その引上げ時にロッド22の先端部から深堀ビット200が脱落している可能性がある。そこで、この実施形態では、ステップS5でロッド22の先端部に深堀ビット200が残存していることを確認し、もし残存していない場合には回収処理(1)を実行する(ステップS6)。
【0023】
図6は回収処理(1)を示すフローチャートである。ここでは、ロッド22を回転させながら削孔3の内底面に向けて降下させる(ステップS6a)。そして、ロッド22の先端部が深堀ビット200に達すると、ロッド22の先端部が深堀ビット200のネジ部と螺合して深堀ビット200の取付けが行われる(ステップS6b)。この実施形態では、後で説明するように、深堀ビット200の上方部にテーパ部が設けられており、上記のようにして降下してくるロッド22をネジ部に案内して螺合を確実に行うことが可能となっている。
【0024】
深堀ビット200の取付けが完了すると、ロッド22を削孔3から引上げる(ステップS6c)。これにより、削孔3に落下した深堀ビット200が削孔3から回収される。
【0025】
図4に戻って削孔形成方法の説明を続ける。次のステップS7では、削孔3から引上げられた深堀ビット200を取外す。この実施形態では、予めロッド22に対する深堀ビット200の締結力を事前に弱めているため、削岩機2を移動させることなく現状姿勢、つまりロッド22の進退軸22aを削孔3の中心軸3aと一致させた状態のまま作業者による手動操作により深堀ビット200を容易に取外すことができる。そして、深堀ビット200の取外しが完了すると、図5(b)に示すように、ヘッド位置決め機構27を作動させて拡径ヘッド100を進退軸22a上に位置決めする。その後、ロッド22を回転させながら削孔3側(図5の左手側)に前進させることによりロッド22の先端部に拡径ヘッド100を装着する。こうして、拡径ヘッド100への交換を実行する。なお、交換作業が完了すると、ヘッド位置決め機構27のクランプ片275を退避位置に移動させて待機させる。
【0026】
そして、拡径ヘッド100を用いて削孔3の一部を径方向にさらに拡大削岩して削孔3の内壁面に段差部を形成する(ステップS8)。すなわち、図5(c)に示すように、ロッド22の進退軸22aが深堀ビット200により形成した削孔3の中心軸3aと一致した状態のままロッド22を削孔3の所定位置、つまり拡径予定位置に位置決めした後に該拡径ヘッド100により削孔3の部分拡径を行っている。
【0027】
段差部の形成が完了すると、深堀ビット200の場合と同様に、逆回転打撃を与えてロッド22に対する拡径ヘッド100の締結力を弱める(ステップS9)。そして、ロッド22を後退させて拡径ヘッド100を地盤GLの上方位置まで引上げる(ステップS10)。このとき、上記したように事前にロッド22に対する拡径ヘッド100の締結力を弱めているため、その引上げ時にロッド22の先端部から拡径ヘッド100が脱落している可能性がある。そこで、この実施形態では、ステップS11でロッド22の先端部に拡径ヘッド100が残存していることを確認し、もし残存していない場合には回収処理(2)を実行する(ステップS12)。なお、この回収処理(2)は回収処理(1)とほぼ同様にして削孔3内に落下した拡径ヘッド100の回収を行う。すなわち、図7に示すように、ロッド22を回転させながら削孔3の内底面に向けて降下させて(ステップS12a)、ロッド22の先端部に拡径ヘッド100を取付ける(ステップS12b)。その後、ロッド22を削孔3から引上げる(ステップS12c)。これにより、削孔3に落下した拡径ヘッド100が削孔3から回収される。
【0028】
なお、削孔3から引上げられた拡径ヘッド100をヘッド位置決め機構27と対応する位置に位置決めした後、クランプ片275をロッド22の進退軸22a上に移動させるとともに各グリップ対275を揺動させて拡径ヘッド100を把持する。そして、ロッド22をさらに逆回転させつつ後退させてロッド22と拡径ヘッド100との螺合を解除し、ロッド22を拡径ヘッド100から後退させる。その後で、把持した状態のままヘッド位置決め機構27のクランプ片275を退避位置に移動させることで拡径ヘッド100を退避位置に移動待機させる。
【0029】
以上のように、この実施形態によれば、削孔形成から段差部形成まで一貫してロッド22の進退軸22aを削孔中心軸3aと一致させているため、深堀ビット200から拡径ヘッド100に交換した際にもロッド22と削孔3との位置関係が変動するのを防止することができる。そして、このようにロッド22の進退軸22aと削孔中心軸3aとが一致した状態のまま、拡径ヘッド100を装着したロッド22が削孔中心軸3aに沿って地盤に進行することとなり、削孔3への拡径ヘッド100の挿入を容易に、しかも確実に行うことができ、作業効率の向上を図ることができる。
【0030】
また、この実施形態では、ヘッド位置決め機構27により本発明の「削岩ヘッド」に相当する拡径ヘッド100がロッド22の進退軸22a上と退避位置との間で移動可能となっているため、拡径ヘッド100を使用しない段階(ステップS1〜S7)では拡径ヘッド100を退避位置に退避させてロッド22との干渉を防止することができる一方、拡径ヘッド100が必要となった際には該拡径ヘッド100を進退軸22a上に位置決めしてロッド22への装着を容易に、しかも確実なものとすることができる。
【0031】
さらに、本実施形態では、地盤GLに対して鉛直方向に形成された削孔3に段差部を形成しているが、拡径ヘッド100として後で詳述するような構成を有する拡径ヘッド(本発明の削岩ヘッド)を用いているため、削孔3の形状状態を問わずに任意の削孔3に段差部を形成することができる。すなわち、鉛直形成された削孔3のみならず、傾斜地盤や天井地盤などに形成された削孔3についても該削孔3の一部を径方向に拡大させることができる。この点に関しては、後の「C.拡径ヘッド100について」の項で詳述する。
【0032】
B.深堀ビット200について
ところで、深堀ビット200については、従来より多用されているものを採用してもよいが、回収処理(1)において削孔3に落下した深堀ビット200のロッド22への取付けをより確実にするためには、深堀ビット200を図8に示すように構成するのが望ましい。
【0033】
図8は、上記した削孔形成方法に適した深堀ビットの一実施形態を示す断面図である。この深堀ビット200が従来より多用されている深堀ビットと大きく相違している点は、ロッド22と螺合するネジ部201の上方部にロッド22をネジ部201に案内するためのテーパ部202が設けられている点であり、その他の構成は基本的に従来技術と同一である。このように、テーパ部202を設けることによりロッド22の進退軸22aが深堀ビット200の中心軸200aと若干ずれていたとしても、テーパ部202によりロッド22をネジ部201に案内することができる。したがって、ロッド22への深堀ビット200の取付を確実に行うことができる。
【0034】
C.拡径ヘッド100について
図9はこの発明にかかる削孔ヘッドの一実施形態を示す図であり、同図(a)は正面から見たときの部分断面図であり、同図(b)は側面から見たときの部分断面図であり、同図(c)は同図(a)のB−B線断面図であり、いずれも拡径状態を示している。また、図10は図9の拡径ヘッドの部分図である。さらに、図11は図9に示す拡径ヘッドによる拡径工程を模式的に示す図である。
【0035】
この拡径ヘッド100は、図9に示すように、削岩機2のロッド22に着脱可能なヘッド本体102を備えており、ロッド22の先端部に装着された状態で削岩機2のドリフタ23から回転駆動力のみ、あるいは回転駆動力とともに打撃振動力を受けるように構成されている。また、この実施形態では、ヘッド本体102はフランジロッド104にテーパジャック106を装着して形成されているが、これらを一体的に形成してもよいことは言うまでもない。
【0036】
また、このフランジロッド104の上方部にテーパ部104aが設けられており、深堀ビット200のテーパ部202と同様の作用効果を奏する。すなわち、テーパ部104aを設けることによりロッド22の進退軸22aが拡径ヘッド100の中心軸と若干ずれていたとしても、テーパ部104aによりロッド22をネジ部104bに案内することができる。したがって、ロッド22への拡径ヘッド100の取付を確実に行うことができる。
【0037】
また、テーパジャック106は深堀ビット200により形成された削孔3に挿入可能なサイズの厚肉プレートで構成されており、その両面の一方側端部には削孔形成方向Xに対して鋭角(+α)をなすようにガイド溝108が設けられるとともに、その両面の他方側端部には削孔形成方向Xに対して鋭角(−α)をなすようにガイド溝110が設けられている。
【0038】
そして、ヘッド本体102の一方側端側でガイド溝108に沿ってヘッド可動部材112が(+α)方向に沿ってスライド自在に設けられるとともに、他方側端側でガイド溝110に沿ってヘッド可動部材114が(−α)方向に沿ってスライド自在に設けられている。このため、これらのヘッド可動部材112,114はヘッド本体102を削孔形成方向Xに移動させることによって削孔3の中心軸を中心として径方向において互いに接近・離間移動可能となっている。また、各ヘッド可動部材112,114には、削孔内壁面を向いた側面に削岩ビット116が取り付けられている。なお、これらの削岩ビット116は後述するように削孔3の内壁面を部分的に削岩して削孔径を拡大する、つまり削孔内部を部分的に拡径する拡径ビットとして機能する。
【0039】
また、このヘッド本体102の(+X)方向端部には、リング117に対して連結されたスリット118と、ビット支持体120とを相互に螺合して一体化した先端部材122がX方向に移動自在に取り付けられる。すなわち、リング117とスリット118との間にヘッド可動部材112、114を介在させた状態でリング117の下面とスリット118の上面とが例えば溶接により相互に連結されてヘッド可動部材112、114の出退用の窓121を形成している。
【0040】
そして、先端部材122の内部空間では、テーパジャック106の面法線方向に内部空間の内径と同一、あるいは若干短いブロック126がスプリングピン127によってテーパジャック106に取り付けられている。したがって、その内部空間からテーパジャック106側を見ると、先端部124とブロック126とで十字形が形成され、その十字形状の各端部がビット支持体120の内壁面を摺動自在となっている。このため、ヘッド本体102がビット支持体120の内壁面によりX方向に案内されながら、X方向に移動自在となっている。
【0041】
さらに、その先端部材122の内部空間にコイルバネ123が配置されており、その付勢力によりテーパジャック106が(−X)方向に付勢されている。ただし、上記したようにヘッド可動部材112、114がリング117とスリット118との間に配置されているため、図11(a)に示すように、テーパジャック106の(+X)方向端部、つまり先端部124が(−X)方向に移動したとしてもヘッド可動部材112、114を介してリング117により係止され、それ以上の(−X)方向の移動が規制される。
【0042】
一方、フランジロッド104に対して上記とは逆向き、つまり(+X)方向でしかもコイルバネ123の付勢力よりも大きな外力が加わると、その付勢力に抗してテーパジャック106が(+X)方向に移動し、これに応じてヘッド可動部材112、114が径方向に相互に離間移動し、窓121から突出することとなる(図11(b)参照)。
【0043】
この先端部材122の先端には、複数の深堀用ビット128が削孔内底面を向けた状態で固着されており、後述するようにしてヘッド本体102に回転打撃力が与えられると、削孔内底面をさらに削岩可能となっている。
【0044】
また、先端部材122の(−X)方向端部には、図9(b)に示すように、ヘッド可動部材112,114を挟み込むように、2つの突起部130が設けられている。各突起部130はX方向においてヘッド可動部材112,114よりも若干長くなっており、上記したようにリング117と溶接されて窓121を形成している。
【0045】
なお、この実施形態では、ヘッド本体102およびビット支持体120には、それぞれ貫通孔132,134がそれぞれ設けられており、貫通孔132,134を介して削孔3内部に向けて圧縮空気を供給して後述する段差部を形成する際に発生する粉塵や被削物などを削孔3から排出可能としている。
【0046】
次に、上記のように構成された拡径ヘッド100を用いて削孔3の一部を径方向に拡大させて削孔3の内壁面に段差部を形成する動作(拡径工程)について図11を参照しつつ説明する。まず、削孔工程の実行によって地盤GLに向けて下方向(+X)に形成された削孔3に拡径ヘッド100を挿入し、先端部材122を削孔底部に載置して削孔径を拡大する拡径予定位置、つまり段差部形成位置にヘッド可動部材112,114を配置する。このとき、ヘッド可動部材112,114は自重とコイルバネ123によって相互に近接した状態となっている。
【0047】
次に、削岩機のドリフタ23の作動を開始して拡径ヘッド100に回転力を与えながら、コイルバネ123の付勢力に抗しながらヘッド本体102および先端部材122を一体的に削孔形成方向(+X)に送り込んでいく。このとき、圧縮空気の送給も同時に開始して貫通孔132,134を介して削孔3内部に向けて圧縮空気を送り込んでいる。
【0048】
すると、上記送り込み動作に応じて、ヘッド可動部材112,114が削孔3の中心軸を中心として径方向において互いに離間移動し、同図(b)に示すように削岩ビット116が削孔内壁面と接触して段差部形成位置での岩盤の削岩が開始される。さらに、ヘッド本体102および先端部材122を一体的に削孔形成方向(+X)に送り込み、この送り込み動作に応じてヘッド可動部材112,114が削孔内壁面を削岩しながら、削孔3の中心軸を中心として径方向において互いにさらに離間移動していく。これによって、削孔径が拡大されて段差部30が形成される。
【0049】
こうして、所望深さ、例えば15mm〜20mm程度だけ削孔3の一部を削岩して段差部30が形成されると、ドリフタ23の作動を停止させ、拡径ヘッド100を削孔3から引上げるようにしてもよいが、同図(c)に示すように、ドリフタ23とともにドリフタ23をさらに作動させて回転打撃力をヘッド本体102に与えると、段差部30をさらに(+X)方向に拡張することができる。すなわち、回転打撃力が加えられることで先端部材122に取り付けれた深堀用ビット128が削孔3の内底面をさらに削岩して削孔3をさらに掘り下げる。また、これと並行して、拡径状態のヘッド可動部材112,114に取り付けられた削岩ビット116が段差部30の(+X)方向端部をさらに削岩していき、その結果、段差部30が(+X)方向に拡張される。
【0050】
そして、段差部30が所望のサイズに達すると、ドリフタ23を停止するとともに、圧縮空気の供給も停止して削岩動作を停止させる。そして、それに続いて、ヘッド本体102および先端部材122を一体的に(−X)方向に引上げてヘッド可動部材112,114を削孔3の中心軸を中心として径方向において互いに近接移動させて削孔3内に戻した後、さらに、ヘッド本体102および先端部材122を一体的に(−X)方向に引上げてロッド22(図9)を削孔3から取り除く。
【0051】
このように、この実施形態によれば、ヘッド可動部材112,114のサイズに限定されることなく、所望サイズの段差部30を形成することが可能となっている。また、ヘッド本体102に対してコイルバネ123の付勢力に抗して外力を与えてコイルバネ123を圧縮させる場合を除き、コイルバネ123の付勢力によりヘッド可動部材112,114が削孔3の中心軸を中心として径方向において互いに近接した状態、つまり縮径状態となっている(図11(a))。したがって、拡径ヘッド100を如何なる向きに配置したとしても、所定以上の外力を印加しない限りヘッド可動部材112,114が窓121から突出することはなく、任意の削孔3に対して拡径工程を実行することができ、汎用性を大幅に高めることができる。
【0052】
図12はこの発明にかかる削孔ヘッドの他の実施形態を示す図であり、同図(a)は正面から見たときの部分断面図であり、同図(b)は側面から見たときの部分断面図であり、同図(c)は同図(a)のC−C線断面図であり、いずれも拡径状態を示している。また、図13は図12に示す拡径ヘッドによる拡径工程を模式的に示す図である。
【0053】
この拡径ヘッド100は、図12に示すように、削岩機2のロッド22に着脱可能なヘッド本体102を備えており、ロッド22の先端部に装着された状態で削岩機2のドリフタ23から回転駆動力のみ、あるいは回転駆動力とともに打撃振動力を受けるように構成されている。また、この実施形態では、ヘッド本体102はフランジロッド104にテーパジャック106を装着して形成されているが、これらを一体的に形成してもよいことは言うまでもない。
【0054】
また、先の実施形態(図10)と同様に、このフランジロッド104の上方部にテーパ部が設けられており、深堀ビット200のテーパ部202と同様の作用効果を奏する。
【0055】
そして、ヘッド本体102の一方側端側でガイド溝108に沿ってヘッド可動部材112が(+α)方向に沿ってスライド自在に設けられるとともに、他方側端側でガイド溝110に沿ってヘッド可動部材114が(−α)方向に沿ってスライド自在に設けられている。このため、これらのヘッド可動部材112,114はヘッド本体102を削孔形成方向Xに移動させることによって削孔3の中心軸を中心として径方向において互いに接近・離間移動可能となっている。また、各ヘッド可動部材112,114には、削孔内壁面を向いた側面に削岩ビット116が取り付けられている。なお、これらの削岩ビット116は後述するように削孔3の内壁面を部分的に削岩して削孔径を拡大する、つまり削孔内部を部分的に拡径する拡径ビットとして機能する。
【0056】
また、この実施形態では、テーパジャック106の一部に凹部を形成するとともに、その凹部に係止ボール140を遊嵌するとともに、その係止ボール140をコイルバネ142で外向きに付勢している。ここでは、凹部の出口径が係止ボール140の外径よりも小さく、係止ボール140が凹部から脱落するのを防止しながら、しかもコイルバネ142の付勢力で係止ボール140の一部が凹部から突出するように構成している。したがって、係止ボール140の突出面に対してコイルバネ142の付勢力によりも大きな外力が加わると、コイルバネ142の付勢力に抗しながら係止ボール140が凹部内に押し遣られる。一方、係止ボール140の突出面への外力印加がなくなると、係止ボール140が再び突出することとなり、図13(a)に示すようにヘッド可動部材112,114の移動を規制し、ヘッド可動部材112,114を削孔3の中心軸を中心として径方向において互いに近接した状態に維持することが可能となっている。
【0057】
また、このヘッド本体102の(+X)方向端部には、スリット118とビット支持体120を相互に螺合して一体化した先端部材122がX方向に移動自在に取り付けられるとともに、その先端部材122の(−X)方向端部が、例えば図13(a)に示すように、テーパジャック106の(+X)方向端部、つまり先端部124により係止可能となっている。また、先端部材122の内部空間では、テーパジャック106の面法線方向に内部空間の内径と同一、あるいは若干短いブロック126がスプリングピン127によってテーパジャック106に取り付けられている。したがって、その内部空間からテーパジャック106側を見ると、先端部124とブロック126とで十字形が形成され、その十字形状の各端部がビット支持体120の内壁面を摺動自在となっている。このため、ヘッド本体102がビット支持体120の内壁面によりX方向に案内されながら、X方向に移動自在となっている。
【0058】
また、その先端部材122の内部空間にコイルバネ123が配置されており、その付勢力によりテーパジャック106が(−X)方向に付勢されている。
【0059】
この先端部材122の先端には、複数の深堀用ビット128が削孔内底面を向けた状態で固着されており、後述するようにしてヘッド本体102に回転打撃力が与えられると、削孔内底面をさらに削岩可能となっている。
【0060】
また、先端部材122の(−X)方向端部には、図12(b)に示すように、ヘッド可動部材112,114を挟み込むように、2つの突起部130が設けられている。各突起部130はX方向においてヘッド可動部材112,114よりも若干長くなっており、拡径状態において、ヘッド可動部材112,114がヘッド本体102と先端部材122とで挟み込まれるのを防止し、拡径状態から縮径状態(図13(a))に戻すのを容易としている。
【0061】
なお、この実施形態では、ヘッド本体102およびビット支持体120には、それぞれ貫通孔132,134がそれぞれ設けられており、貫通孔132,134を介して削孔3内部に向けて圧縮空気を供給して後述する段差部を形成する際に発生する粉塵や被削物などを削孔3から排出可能としている。
【0062】
次に、上記のように構成された拡径ヘッド100を用いて削孔3の一部を径方向に拡大させて削孔3の内壁面に段差部を形成する動作(拡径工程)について図13を参照しつつ説明する。まず、図13(a)に示すように、削孔工程の実行によって天井地盤GLに向けて上方向(+X)に形成された削孔3に拡径ヘッド100を挿入し、先端部材122を削孔底部に載置して削孔径を拡大する拡径予定位置、つまり段差部形成位置にヘッド可動部材112,114を配置する。このとき、ヘッド可動部材112,114は係止ボール140とコイルバネ142とで構成された係止手段により係止されており、その自重によって(−X)方向に移動してくるのを阻止して縮径状態に維持している。
【0063】
次に、削岩機2のドリフタ23の作動を開始して拡径ヘッド100に回転力を与えながら、コイルバネ123、142の付勢力に抗しながらヘッド本体102および先端部材122を一体的に削孔形成方向(+X)に送り込んでいく。このとき、圧縮空気の送給も同時に開始して貫通孔132,134を介して削孔3内部に向けて圧縮空気を送り込んでいる。
【0064】
すると、上記送り込み動作に応じて、ヘッド可動部材112,114がまず係止ボール140を凹部に押し遣りながら削孔3の中心軸を中心として径方向において互いに離間移動し、その係止ボール140を通過すると、さらに離間移動して、同図(b)に示すように削岩ビット116が削孔内壁面と接触して段差部形成位置での岩盤の削岩が開始される。なお、ヘッド可動部材112,114の通過と同時に係止ボール140はコイルバネ142の付勢力により再び凹部から突出する。
【0065】
さらに、ヘッド本体102および先端部材122を一体的に削孔形成方向(+X)に送り込み、この送り込み動作に応じてヘッド可動部材112,114が削孔内壁面を削岩しながら、削孔3の中心軸を中心として径方向において互いにさらに離間移動していく。これによって、削孔径が拡大されて段差部30が形成される。
【0066】
こうして、所望深さ、例えば15mm〜20mm程度だけ削孔3の一部を削岩して段差部30が形成されると、ドリフタ23の作動を停止させ、拡径ヘッド100を削孔3から引き下げるようにしてもよいが、同図(c)に示すように、ドリフタ23とともにドリフタ23をさらに作動させて回転打撃力をヘッド本体102に与えると、段差部30をさらに(+X)方向に拡張することができる。すなわち、回転打撃力が加えられることで先端部材122に取り付けれた深堀用ビット128が削孔3の内底面をさらに削岩して削孔3をさらに掘り下げる。また、これと並行して、拡径状態のヘッド可動部材112,114に取り付けられた削岩ビット116が段差部30の(+X)方向端部をさらに削岩していき、その結果、段差部30が(+X)方向に拡張される。
【0067】
そして、段差部30が所望のサイズに達すると、ドリフタ23を停止するとともに、圧縮空気の供給も停止して削岩動作を停止させる。そして、それに続いて、ヘッド本体102および先端部材122を一体的に(−X)方向に引き下げてヘッド可動部材112,114を削孔3の中心軸を中心として径方向において互いに近接移動させて削孔3内に戻した後、係止ボール140によりヘッド可動部材112,114を係止した状態(同図(a))のまま、さらにヘッド本体102および先端部材122を一体的に(−X)方向に引き下げてロッド22(図12)を削孔3から取り除く。
【0068】
このように、この実施形態によれば、ヘッド可動部材112,114のサイズに限定されることなく、所望サイズの段差部30を形成することが可能となっている。また、係止手段によりヘッド可動部材112,114が自由に移動するのを防止するとともに、必要に応じて所定以上の外力を加える事でヘッド可動部材112,114を削孔3の中心軸を中心として径方向において互いにさらに離間移動させて削岩するように構成しているので、先の実施形態と同様に、任意の削孔3に対して拡径工程を実行することができ、汎用性を大幅に高めることができる。
【0069】
なお、本発明はした実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、図11に示すように地盤GLに向けて下方向(+X)に形成された削孔3に段差部30を形成する場合と、図13に示すように地盤GLに向けて上方向(+X)に形成された削孔3に段差部30を形成する場合とについて説明したが、傾斜地盤に対して削孔を設ける場合も全く同様である。すなわち、本発明にかかる削岩ヘッドおよび削岩装置によれば、任意の地盤に対して形成された削孔について該削孔の一部を径方向にさらに拡大削岩して削孔の内壁面に段差部を形成することができる。
【0070】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、先端部材をヘッド本体に対して削孔形成方向に相対的に移動自在に設けるとともに、付勢手段によって先端部材に対してヘッド本体を、複数のヘッド可動部材が互いに近接する方向に付勢しているので、削孔が如何なる状態に形成されたとしても、削孔に削岩ヘッドを挿入する際に複数のヘッド可動部材が互いに近接した状態となり、削岩ヘッドを削孔にスムーズに挿入することができる。したがって、削孔状態にかかわらず該削孔の内壁面に段差部を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかる削岩装置の一実施形態を示す全体構成図である。
【図2】図1の削岩装置の部分拡大図(拡径ヘッドのセッター機構)である。
【図3】図2のA−A線矢視図である。
【図4】図1の削岩装置による削孔形成手順を示すフローチャートである。
【図5】図1の削岩装置による削孔形成手順を示す動作模式図である。
【図6】削孔内に落下した深堀ビットを回収する回収処理を示すフローチャートである。
【図7】削孔内に落下した拡径ヘッドを回収する回収処理を示すフローチャートである。
【図8】深堀ビットの一実施形態を示す図である。
【図9】この発明にかかる削孔ヘッドの一の実施形態を示す図である。
【図10】図9の拡径ヘッドの部分図である。
【図11】図9に示す拡径ヘッドによる拡径工程を模式的に示す図である。
【図12】この発明にかかる削孔ヘッドの他の実施形態を示す図である。
【図13】図12に示す拡径ヘッドによる拡径工程を模式的に示す図である。
【符号の説明】
3…削孔
3a…削孔中心軸
23…ドリフタ(回転駆動部)
30…段差部
100…拡径ヘッド(削岩ヘッド)
GL…地盤
X…削孔形成方向
Claims (2)
- 地盤表面から所定の削孔形成方向に形成された削孔内に挿入された状態で、前記削孔の中心軸を回転中心とする回転駆動力を受けて前記地盤を削岩する削岩ヘッドであって、
回転駆動力を受けるヘッド本体と、
前記削孔形成方向と鋭角をなす方向において前記ヘッド本体に対してスライド自在に設けられ、前記削孔形成方向における前記ヘッド本体の移動にともなって前記削孔の中心軸を中心として径方向において互いに接近・離間移動する複数のヘッド可動部材と、
前記ヘッド本体に対して前記削孔形成方向に相対的に移動自在に設けられた先端部材と、
前記先端部材と前記ヘッド本体との間に設けられて、前記複数のヘッド可動部材が互いに近接する方向に前記ヘッド本体が移動するように前記先端部材に対して前記ヘッド本体を付勢する付勢手段とを備え、
各ヘッド可動部材には前記削孔内壁面を向いた側面に拡径用削岩ビットが取り付けられており、前記付勢手段による付勢力に抗して前記ヘッド本体を前記削孔形成方向に移動させることによって前記複数のヘッド可動部材を互いに離間移動させながら、前記拡径用削岩ビットにより前記削孔内壁面を削岩して前記削孔の一部を径方向に拡大させることを特徴とする削岩ヘッド。 - 地盤表面から所定の削孔形成方向に形成された削孔の一部を径方向に削岩して削孔径を部分的に拡大させる削岩装置であって、
請求項1記載の削岩ヘッドと、
前記削孔の中心軸を回転中心とする回転駆動力を前記削岩ヘッドに与える回転駆動部と
を備えたことを特徴とする削岩装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002376771A JP2004204603A (ja) | 2002-12-26 | 2002-12-26 | 削岩ヘッドおよび削岩装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002376771A JP2004204603A (ja) | 2002-12-26 | 2002-12-26 | 削岩ヘッドおよび削岩装置 |
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JP2004204603A true JP2004204603A (ja) | 2004-07-22 |
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Family Applications (1)
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JP2002376771A Withdrawn JP2004204603A (ja) | 2002-12-26 | 2002-12-26 | 削岩ヘッドおよび削岩装置 |
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JP (1) | JP2004204603A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN113276289A (zh) * | 2021-05-24 | 2021-08-20 | 福建晋工机械有限公司 | 钻孔劈裂一体机及多功能挖掘机 |
-
2002
- 2002-12-26 JP JP2002376771A patent/JP2004204603A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN113276289A (zh) * | 2021-05-24 | 2021-08-20 | 福建晋工机械有限公司 | 钻孔劈裂一体机及多功能挖掘机 |
CN113276289B (zh) * | 2021-05-24 | 2022-10-04 | 福建晋工机械有限公司 | 钻孔劈裂一体机及多功能挖掘机 |
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