JP2004204480A - 塗装alc板の補修方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】塗装ALC板の補修を、大掛りな設備や大きな手間をかけることなく行え、しかも、周囲の塗装面との違いが目立たないようにする。
【解決手段】ALC基材21の表面に無機塗装仕上げ膜22を有する塗装ALC板20のビス孔24などによる欠除部を補修材26で埋める工程(a)と、補修材26が埋められた欠除部24の表面から周囲の無機塗装仕上げ膜22までを覆って透明無機下地層42を塗工形成する工程(b)と、透明無機下地層42の上で透明無機下地層42よりも狭く欠除部24の表面よりも広い範囲に、無機塗装仕上げ膜22と実質的に同一の色彩意匠を有する有機エナメルフィルム44を貼着する工程(c)と、有機エナメルフィルム44の上で、有機エナメルフィルム44よりも広い範囲に、透明無機仕上げ層46を塗工形成する工程(d)とを含む。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗装ALC板の補修方法に関し、詳しくは、建築物の外装仕上げ材として利用され、表面に塗装仕上げが施された塗装ALC板に発生する欠除部を補修する方法を対象にしている。
【0002】
【従来の技術】
ALC板は、軽量気泡コンクリート板とも呼ばれ、住宅などの建築物の外装仕上げ材として広く利用されている。
一般的な外装仕上げ材となるALC板は、軽量気泡コンクリートからなる基材の表面に塗装仕上げを施して、外観意匠性を向上させた塗装ALC板が使用されている。工場などでALC板を生産する段階で、ALC板の表面に塗装仕上げ膜を形成しておけば、品質性能が良好な塗装ALC板を能率的に生産することができる。
【0003】
塗装ALC板を建築物に施工したとき、表面の一部に塗装仕上げが欠除する個所が発生する。
例えば、塗装ALC板を建築物の壁面にビス止めによって取り付ける場合、塗装ALC板の表面には、ビスの取付孔あるいはビス頭部が収容されるザグリ穴があけられる。ビスを取り付けたあと、ビス穴にはパテを詰めて埋める。その結果、塗装ALC板の表面には、元々の塗装色あるいは塗装模様とは異なるパテ表面が、点々と配置された状態になる。塗装ALC板の意匠性を大きく損なうことになる。そこで、パテを充填した上に、パテ部分の表面だけに補修塗装を施すことが行われている。
【0004】
また、塗装ALC板に欠け落ちが発生することもある。ALC板を構成する軽量気泡コンクリートは、比較的に脆い材料である。塗装ALC板を工場生産したあと、建築現場まで輸送したり使用するまで保管しておいたり、建築現場で壁面などの取付位置まで搬送したりする取扱い中に、ALC板の角が欠けることがある。塗装ALC板を施工したあとにおける各種の建築施工の際に、建材や工具が塗装ALC板に当たって、塗装ALC板の表面に穴があいたり塗膜が剥がれたりすることもある。このような場合、ALC板の欠け落ち部分にセメント材料を埋めたり、補修塗装したりして修復が行われる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来における塗装ALC板の補修方法では、補修部分とそれ以外の部分との間にどうしても色彩や意匠のズレが生じ易いという問題がある。
例えば、同じ塗料を使っても、パテの表面や補修セメントの表面と、軽量気泡コンクリートの表面とでは、塗料の発色が異なるため、補修個所だけが違った色目になったり表面の質感が違ったりし易い。また、工場段階における塗装と、現場塗装とでは、塗装装置や塗装条件、作業環境の差が大きいことからも、塗装仕上がりが大きく違ってきて、補修個所が目だってしまう。建築現場で工場段階と同等の塗装仕上げを行うには、大掛りな設備が必要になり、作業の手間が増える。しかも、装置や処理条件が同じであっても、微妙な仕上がりの違いが残ることになり易い。
【0006】
特に、塗装ALC板の塗装仕上げが、スパッタ模様などを形成する模様仕上げ塗装である場合、補修個所を周囲の塗装面と同じ模様が滑らかに連続するように仕上げるのは極めて困難である。
さらに、補修塗装を行った直後はそれほど違いが目立たなくても、補修塗装後に日射や風雨にさらされると、補修部分とその他の部分との耐候性の違いなどによって、補修部分と他の部分との間の色や質感の違いが大きくなることがある。本発明の課題は、前記したような塗装ALC板の補修を、大掛りな設備や大きな手間をかけることなく行え、しかも、周囲の塗装面との違いが目立たないようにできるようにする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる塗装ALC板の補修方法は、ALC基材の表面に無機塗装仕上げ膜を有する塗装ALC板の欠除部を補修する方法であって、前記欠除部を補修材で埋める工程(a)と、前記補修材が埋められた欠除部の表面から周囲の前記無機塗装仕上げ膜までを覆って透明無機下地層を塗工形成する工程(b)と、前記透明無機下地層の上で透明無機下地層よりも狭く前記欠除部の表面よりも広い範囲に、前記無機塗装仕上げ膜と実質的に同一の色彩意匠を有する有機エナメルフィルムを貼着する工程(c)と、前記有機エナメルフィルムの上で、有機エナメルフィルムよりも広い範囲に、透明無機仕上げ層を塗工形成する工程(d)とを含む。
【0008】
〔塗装ALC板〕
基本的には、通常の建築用途に利用されている塗装ALC板と同様の材料および構造を有するものが使用できる。
塗装ALC板の構造は、ALC(軽量気泡コンクリート)板からなる基材と、基材の表面に塗工形成された仕上げ塗膜とを有する。
ALC板は、コンクリート材料に軽量骨材を配合し気泡を導入したものである。気泡の導入は、発泡剤の配合や空気吹き込みなどで果たす。高温高圧のオートクレーブ養生を行う。
【0009】
仕上げ塗膜は、通常の建築用塗料を塗工し硬化させて形成する。塗料として、無機系塗料は、耐久性、耐候性などに優れている。水系塗料は、取扱いが容易であり、有機溶剤を大量に使用することの問題も解消できる。1液型塗料は、2液型塗料よりも使用し易い。無機クリヤー成分と有機エナメル塗料とを配合したものは、塗膜の伸びや柔軟性に優れる。
仕上げ塗膜は、全面を単色で仕上げるもののほか、複数色で塗り分けたり、下地色の上に別の色で模様や意匠を追加したりすることもできる。模様として、縞模様や格子模様のほか、スポット状の模様が規則的または不規則に配置されたものも採用できる。本発明の補修方法は、複雑な色彩意匠を有する仕上げ塗膜にも適用できる。
【0010】
塗装ALC板の形状は、一般的には平坦な矩形状をなしている。施工条件によっては、矩形以外の多角形や、円形、半円形、長円形などの曲線を含む形状も使用される。表面に段差や凹凸模様を有するものもある。柱の角部などに施工するには、断面L字形の塗装ALC板も用いられる。
塗装ALC板は、建築物の外壁仕上げ施工に用いられることが多い。外壁仕上げ以外にも、屋外の柱面の仕上げや屋根、テラスその他の屋外面、中庭の構造物などにも利用される。
〔欠除部〕
欠除部には、塗装ALC板を使用する上での要求によって積極的に加工されるものと、本来は必要とされないが取扱い中に不可避的に発生するものがある。
【0011】
塗装ALC板に加工される欠除部として、釘孔、ビス孔、配線孔、金具の挿通孔、他の建材の取付穴などがある。これらの欠除部は、塗装ALC板を建築物に取り付けて使用する上で、必要な構造である。塗装ALC板の生産段階で、予め、ビス穴などに相当する位置に穴を加工しておいたり、コンクリート成形型に穴部材を埋めこんでおいたりすることができる。このような欠除部の加工は、仕上げ塗膜の形成工程よりも、前である場合と後である場合とがある。
欠除部のうち、建築物に塗装ALC板を施工し、金具や他の建材を取り付けることで完全に埋められてしまい外観上は露出しない部分であれば、本発明による補修は必要ない場合がある。但し、欠除部の一部が露出したままになるようであれば、本発明による補修が有効である。
【0012】
次に、取扱い上で不可避的に発生する欠除部として、塗装ALC板の欠け落ちがある。塗装ALC板の製造後、輸送、保管、建築施工などの段階で、他物が当たったりして、塗装ALC板の一部が欠け落ちることがある。欠け落ち部が、施工後に外部に露出しない個所であれば、本発明の補修方法を適用せず、通常のパテやセメントで埋めるだけでもよい。パテやセメントで埋めただけでは外観意匠性が悪くなったり仕上げ品質が損なわれたりする個所に発生した欠除部を、本発明の補修方法で補修する。
欠け落ち部は、塗装ALC板の角部などに発生し易い。稜線部にも発生し易い。仕上げ塗膜の中央に穴状の欠け落ち部が発生することもある。溝状のひび割れや仕上げ塗膜の部分的な剥離も、欠け落ち部に含まれる。
【0013】
建築物が完成した後で、建築物の使用中に、不注意で物をぶつけたり、地震や事故が起こったりして、塗装ALC板に欠け落ちが発生することもある。
〔補修材〕
欠除部を埋めて、元の塗装ALC板と同じ表面形状に復元する。
通常の建築施工で利用されている穴埋め用あるいは隙間埋め用の補修材料が使用できる。
ビス孔や狭い溝などを埋めるのに、補修パテが使用できる。パテ材として、アクリルパテ、エポキシパテ、アクリルウレタンパテなどがある。パテ材には、施工面と同じ色に着色された着色パテもあるが、本発明では特定の色に着色しておく必要はない。
【0014】
欠け落ち部など、比較的に大きな欠除部を埋めるのに適し、また、強度や耐久性が要求される個所の欠除部に適した材料として、早強セメントがある。早強セメントは、通常の建築施工に使用されるセメント材料に比べて水和硬化が迅速に進み、比較的に短い時間で十分な使用強度が発揮されるものである。通常の建築施工に利用されている早強セメントと同様の材料からなるものが使用できる。早強セメントと欠け落ち部との接合力を増すために、欠け落ち部の表面にプライマー材を塗工してから早強セメントを施工することが有効である。プライマー材には、通常の早強セメント用のプライマーが使用できる。
【0015】
〔透明無機下地層〕
有機エナメルフィルムを補修材あるいは仕上げ塗膜と強力に接合する機能を果たす。透明無機仕上げ層との間に有機エナメルフィルムを挟み込んで、有機エナメルフィルムを保護したり経時的劣化を抑制したりする機能も果たす。
このような機能を果たすのに適した材料であれば、通常の建築用塗料や塗工材料が使用できる。仕上げ塗膜と同じ材料を使用することができる。但し、透明性を持たせるために、仕上げ塗膜における色彩模様を形成するための顔料などは使用しない。具体的な塗料として、水系1液無機透明塗料が使用できる。
【0016】
透明無機下地層の厚みは、前記機能が発揮できる範囲であればよく、通常は、0.01〜0.3mmの範囲に設定される。好ましくは0.02〜0.1mmである。
〔有機エナメルフィルム〕
表面が、無機塗装仕上げ膜と実質的に同一の色彩意匠を有している。
有機エナメルからなることで、自由な色彩意匠が容易に形成できる。柔軟性にも優れている。
有機エナメルフィルムは、有機塗料を塗工硬化させることで得られる。柔軟性のある塗膜を剥がせばフィルム状になる。有機塗料として、アクリルシリコン塗料が使用できる。アクリル塗料なども使用できる。
【0017】
有機エナメルフィルムの色彩意匠は、無機塗装仕上げ膜とできるだけ一致させることが望ましい。但し、建築物の外観上、目立たなければ、完全に一致させる必要はない。基本的には、無機塗装仕上げ膜と同じ塗装方法、塗装条件に設定すれば、色彩意匠を一致させ易い。例えば、2色スパッタ塗装の無機塗装仕上げ膜には、同じように、2色スパッタ塗装で塗工硬化させて得られる2色スパッタ塗膜フィルムが使用できる。
有機エナメルフィルムの貼着は、粘着剤や接着剤を用いることができる。貼着面になる透明無機下地層を塗工形成したあと乾燥硬化するまでのあいだに有機エナメルフィルムを貼り付けて透明無機下地層を乾燥硬化させれば、接着剤などを使用しなくても、有機エナメルフィルムを透明無機下地層に貼着できる。
【0018】
〔透明無機仕上げ層〕
有機エナメルフィルムを覆って保護する機能を果たす。
通常の建築分野で利用されている透明無機仕上げ塗料が使用できる。無機塗装仕上げ膜や透明無機下地層と共通する塗料を使用すれば、互いの一体性が良好であり、外観的にも違いが目立たなくなる。
無機成分を10〜50重量%含有する水系1液無機透明塗料が好ましい。
透明無機仕上げ層は、その機能上、有機エナメルフィルムよりも広い範囲に形成される。透明無機仕上げ層は、厚いほうが保護機能や耐久性が向上できる。厚過ぎると表面に盛り上がって目立つ。通常は、無機塗装仕上げ膜の表面から透明無機仕上げ層の最上面までの厚みを0.1〜0.5mmに設定する。
【0019】
【発明の実施の形態】
〔ビス穴の補修〕
図1、2に示す実施形態は、パテで埋めたビス穴の補修である。
<塗装ALC板>
図1に示すように、塗装ALC板20は、ALC(軽量気泡コンクリート)板からなる基材21と、基材21の表面に塗装された仕上げ塗膜22とを備える。塗装ALC板20の具体例として、縦60cm×横180cmの矩形で厚み5cmの基材21に、仕上げ塗膜22として、フィラーやシーラーを塗工したあと、アクリルシリコン樹脂に着色顔料を配合した着色塗料を、2色スパッタ塗装で塗装硬化させ、さらに、水系1液無機透明塗料〔日本ペイント社製、オーデパワー600セラクリヤー、無機成分の含有量30%〕を塗装硬化させた。仕上げ塗膜22の厚みは0.1mmとなる。
【0020】
図2に示すように、2色スパッタ塗装では、小さなスポット状の模様がランダムに配置された意匠模様を呈する。
塗装ALC板20は、建築物の外壁の外装仕上げに利用される。
<ビス孔>
図1に示すように、外壁の基本構造材である鋼材10の外面に、塗装ALC板20を並べて配置し、ビス(ネジ釘)30で鋼材10に固定する。外壁を塗装ALC板20で仕上げることで、ALC板の取付施工後に外壁全面に塗装仕上げ作業を行う必要がなくなる。その結果、施工時間の短縮が図れ、建築コストも低減できる。
【0021】
ビス取付個所では、塗装ALC板20に、予めドリル等でビス孔24が貫通加工される。ビス孔24の上部は、ビス30の頭部形状にしたがって拡げられたザグリ部になっている。ビス30の頭部は、ビス孔24の途中までねじ込まれ、ビス孔24の上方部分はあいている。
<パテ補修>
ビス孔24の上部には、アクリルパテなどのパテ材26を充填している。柔軟な練り状態で充填されたパテ材26は、充填後に硬化して、ビス孔24を埋める。パテ材26によって、ビス孔24から壁内に雨水などが侵入することを防止し、ビス30の腐食を防止することができる。パテ材26の表面は、塗装ALC板20の仕上げ塗膜22の表面とほぼ同一面になっている。
【0022】
図2(a)に示すように、平面形状が円形をなすパテ材26の色は、周囲の仕上げ塗膜22の色とは異なっている。また、仕上げ塗膜22のようなスポット状模様も有さない。外観上、パテ材26の部分のみが大きく目立つことになる。
<仕上げ補修>
図1に示すように、パテ材26の上に、透明無機下地層42、有機エナメルフィルム44、および、透明無機仕上げ層46を形成する。
透明無機下地層42の材料は、仕上げ塗膜22に使用された水系1液無機透明塗料と同様の塗料が使用できる。但し、2色スパッタ塗装の必要はなく、透明塗料である。
【0023】
透明無機下地層42は、パテ材26の外径よりも広い外径で、一部が仕上げ塗膜22の上面をも覆う状態で、ほぼ円形に塗工形成される。例えば、パテ材26の外径10mmに対して、透明無機下地層42の外径を20mmに設定する。透明無機下地層42の厚みは約0.05mmである。透明無機下地層42は透明であるから、下方のパテ材26および仕上げ塗膜22が透けて見える状態である。有機エナメルフィルム44は、アクリルシリコン塗料(日本ペイント社製、オーデパワー410)を所定の厚みで塗工して硬化させて、厚み約0.05mmのフィルム状に形成したアクリルシリコン塗膜フィルムである。このとき、塗装色を、前記した仕上げ塗膜22と同じになるように設定する。すなわち、全体の色彩および2色スパッタ塗装によるスポット状模様の大きさや配置パターンを同じにする。仕上げ塗膜22の塗装作業を行う工場などで、仕上げ塗膜22の塗装条件に合わせて、有機エナメルフィルム44の塗工形成を行えばよい。
【0024】
有機エナメルフィルム44の外径は、透明無機下地層42よりも小さく、パテ材26の上面外径よりも大きい。具体的には、15mmの円形に設定できる。
有機エナメルフィルム44は、大きなシート状で作製したあと、所定の円形に切り抜いておけばよい。有機エナメルフィルム44を、1枚のシートに、多数の円形部分が、切断容易なミシン目などで接合された状態で供給し、使用時に個々に分離することもできる。
有機エナメルフィルム44は、完全に硬化する前の透明無機下地層42の上に載せれば、透明無機下地層42が接着剤の代わりになって、有機エナメルフィルム44をパテ材26の上に接合させる。
【0025】
図2(b)に示すように、有機エナメルフィルム44の表面と、周囲の仕上げ塗膜22の表面とは、同じ色で同じスポット状の模様を有しているので、互いの境界が判然としないほど一体的につながったような外観を呈する。
透明無機仕上げ層46は、有機エナメルフィルム44の上に塗工される。透明無機仕上げ層46は、有機エナメルフィルム44を完全に覆うように形成される。透明無機仕上げ層46の厚みは0.05mmに設定できる。
透明無機仕上げ層46の材料は、仕上げ塗膜22に使用された水系1液無機透明塗料と同様の塗料が使用できる。但し、2色スパッタ塗装の必要はなく、完全な透明塗料である。
【0026】
透明無機仕上げ層46が硬化すれば、パテ部分の補修作業は完了する。
図2(b)に示すように、パテ材26は有機エナメルフィルム44で完全に覆われて外観上は全く露出しない。透明無機下地層42と透明無機仕上げ層46とは透明であるから外観的には見えない。有機エナメルフィルム44の色彩模様と仕上げ塗膜22の色彩模様とが一体的に連続して見え、外観的にはパテ材26あるいはビス孔24の存在が全く目立たなくなる。
透明無機下地層42および透明無機仕上げ層46は、仕上げ塗膜22と同等の耐久性や耐候性を有しているので、透明無機下地層42で塗装ALC板20に接着され、透明無機仕上げ層46で保護された有機エナメルフィルム44も、長期間にわたって良好な耐久性および耐候性を維持できる。有機エナメルフィルム44の色彩および模様は、仕上げ塗膜22の色彩模様と同等の品質性能を発揮する。経時的な退色などの変化があっても、仕上げ塗膜22と同じように進行するので、有機エナメルフィルム44の変化だけが目立つことはない。
【0027】
〔欠け落ちの補修〕
図3、4に示す実施形態は、角の欠け落ち部分の補修である。基本的な作業手順は前記ビス孔の補修と共通する点が多いので、相違点を主に説明する。
図3に示すように、塗装ALC板20は、製造後の輸送や保管の際に、搬送機械や床に当たったり、積み重ねた状態で偏った荷重が加わったりして、角部に欠け落ち28が発生することがある。角部でなく、外周辺の途中が欠けることもある。塗装ALC板20の表面に金具が落下して、仕上げ塗膜22に穴があくこともある。このような塗装ALC板20に発生する欠損部分を補修する。
【0028】
図4に示すように、塗装ALC板20の欠け落ち部28を、早強セメント29で埋める。早強セメント29として、クリオン社製の早強セメントが使用できる。早強セメント29は、仕上げ塗膜22の表面とほぼ同一面になるまで埋める。早強セメント29が硬化したあと、早強セメント29の上面に、表面を平滑にするための下地調整材41を塗工形成する。下地調整材41が硬化した後、下地調整材41の上面から周囲の仕上げ塗膜22の一部にかけて、透明無機下地層42を塗工形成する。透明無機下地層42の材料は前記実施形態と同じであり、厚みは0.05mmに設定する。
【0029】
透明無機下地層42の上に、前記同様の有機エナメルフィルム44を貼り付ける。有機エナメルフィルム44は、欠け落ち部28すなわち早強セメント29の外形よりも少し広い形状に切り取られたものである。欠け落ち部28の形状は決まっていないので、ある程度の大きさに形成された有機エナメルフィルム44を、欠け落ち部28の上面に重ねて、少し大きな形になるように切り取ればよい。有機エナメルフィルム44の上に透明無機仕上げ層46を塗工形成する。透明無機仕上げ層46は、有機エナメルフィルム44の全体を覆って形成される。厚みは0.05mmに設定される。
【0030】
図4では、塗装ALC板20の側端で、下地調整材41、透明無機下地層42、有機エナメルフィルム44および透明無機仕上げ層46が切り取られたような形態になっている。これは、各層を塗工したり貼着したりする際に、塗装ALC板20の側端に合わせてもよいし、塗装ALC板20の側端から少しはみ出す程度まで形成したあと、はみ出した部分を切り取ったり削り取ったりしてもよい。塗装ALC板20の側端に型板を配置して塗工を行うこともできる。
【0031】
【発明の効果】
本発明にかかる塗装ALC板の補修方法は、補修材で埋められた欠除部の露出面を、透明無機下地層、有機エナメルフィルム、および、透明無機仕上げ層を順次重ねて覆う。
塗装ALC板の仕上げ塗膜と同じ色彩意匠に形成された有機エナメルフィルムによって、補修部分とそれ以外の部分との外観意匠が連続して一体化し、補修部分が目立たなくなる。
しかも、有機エナメルフィルムだけでは耐久性や耐候性に問題があるが、透明無機下地層および透明無機仕上げ層で有機エナメルフィルムを確実に保護することができ、補修部分とそれ以外の部分との間に、耐久性や耐候性の点でも違いが少なくなる。
【0032】
補修個所とその周囲の仕上げ塗膜とは同じように経時変化するので、施工当初だけでなく、長期間にわたって、補修部分とそれ以外の部分とにおける外観意匠の違いが目立たない。
その結果、塗装ALC板による建築物の外壁仕上げなどの品質性能あるいは商品価値を大いに高めることができ、塗装ALC板施工の需要拡大にも貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を表すビス取付個所の断面図
【図2】補修前(a)および補修後(b)の上面図
【図3】角の欠け落ち部を示す要部斜視図
【図4】補修状態の断面図
【符号の説明】
10 鋼材
20 塗装ALC板
21 ALC基材
22 仕上げ塗膜
24 ビス取付孔
26 パテ
28 欠け落ち部
29 早強セメント
30 取付ビス
41 下地調整材
42 透明無機下地層
44 有機エナメルフィルム
46 透明無機仕上げ層

Claims (5)

  1. ALC基材の表面に無機塗装仕上げ膜を有する塗装ALC板の欠除部を補修する方法であって、
    前記欠除部を補修材で埋める工程(a)と、
    前記補修材が埋められた欠除部の表面から周囲の前記無機塗装仕上げ膜までを覆って透明無機下地層を塗工形成する工程(b)と、
    前記透明無機下地層の上で透明無機下地層よりも狭く前記欠除部の表面よりも広い範囲に、前記無機塗装仕上げ膜と実質的に同一の色彩意匠を有する有機エナメルフィルムを貼着する工程(c)と、
    前記有機エナメルフィルムの上で、有機エナメルフィルムよりも広い範囲に、透明無機仕上げ層を塗工形成する工程(d)と
    を含む塗装ALC板の補修方法。
  2. 前記欠除部が、前記塗装ALC板の取付用ビス穴であり、
    前記工程(a)が、補修材として補修パテを用いる
    請求項1に記載の塗装ALC板の補修方法。
  3. 前記欠除部が、前記塗装ALC板の欠け落ち部であり、
    前記工程(a)が、前記欠け落ち部にプライマー材を塗工する工程(a-1)と、工程(a-1)の後で前記欠け落ち部を早強セメントで埋める工程(a-2)と、工程(a-2)の後で早強セメントの表面に下地調製材を塗工する工程(a-3)とを含む
    請求項1に記載の塗装ALC板の補修方法。
  4. 前記工程(b)が、前記透明無機下地層として、水系1液無機透明塗料を塗工し、
    前記工程(c)が、前記有機エナメルフィルムとして、アクリルシリコン塗料を塗工硬化させて得られるアクリルシリコン塗膜フィルムを用い、
    前記工程(d)が、前記透明無機仕上げ層として、無機成分を10〜50重量%含有する水系1液無機透明塗料を塗工する
    請求項1〜3の何れかに記載の塗装ALC板の補修方法。
  5. 前記無機塗装仕上げ膜が、2色スパッタ塗装膜であり、
    前記工程(c)が、前記有機エナメルフィルムとして、有機エナメル塗料を2色スパッタ塗装で塗工硬化させて得られる2色スパッタ塗膜フィルムを用いる
    請求項1〜4の何れかに記載の塗装ALC板の補修方法。
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