JP2004203724A - コージェライト多孔質焼結体及びこれを用いたセラミックスフィルタ - Google Patents

コージェライト多孔質焼結体及びこれを用いたセラミックスフィルタ Download PDF

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泰宏 田中
Katsuto Hashimoto
勝人 橋本
Masahito Nakanishi
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Abstract

【課題】コージェライト焼結体を、廃棄物などの高温燃焼ガス中のダスト(粉塵、煤塵)除去用のセラミックスフィルタとして用いる場合には、高温燃焼ガス中に含まれるHClガスやCa、Na等の腐食成分に対する耐食性を改善し、更には高温燃焼ガス中の塩素有機化合物の除去機能を付与する。
【解決手段】2MgO・2Al・5SiOを主結晶相とし、MgO・Al、3Al・2SiO、SiO、Alを副結晶相として含む多孔質焼結体で構成する。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はコージェライト多孔質焼結体並びに廃棄物などの高温の燃焼ガス(排ガスも含む)中に含まれているダスト(粉塵、煤塵)を補集し、さらにはダイオキシン類、コプラナーPCBをはじめとするポリクロロビフェニル類、クロロフェノール、クロロベンゼン等から成る塩素有機化合物を除去する機能を備えたセラミックスフィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、コージェライト多孔質焼結体は、2MgO・2Al・5SiO(コージェライト)を主結晶相とし、MgO・Al(スピネル)、3Al・2SiO、SiO(ムライト)を副結晶相として構成され、アルミナ等のセラミックス材料と比較して熱膨張率が室温から1000℃までの温度域で2〜2.5×10―6/℃程度と低く、高温での耐熱衝撃性に優れる材料であり、高温ガスフィルタ等の熱サイクルや熱衝撃を受ける材料として用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、予め再結晶化した溶融コージェライト結晶粒と焼成により合成されうる合成コージェライト質結晶、アルカリ金属酸化物、アルミナ及びシリカ形のガラス質で構成されたコージェライト多孔質結晶体が開示されており、このコージェライト多孔質結晶体は、熱膨張係数が低膨張で、高強度、高温時の熱サイクルを受ける環境下にも優れた耐久性、信頼性を有し、高温ガス用のフィルタ材料として用いられるものである。
【0004】
また、特許文献2ではコージェライト組成を構成するガラス粒子中にTiOを含有させることにより、コージェライト組成よりも熱膨張係数の高いMgO・Al(スピネル)、3Al・2SiO(ムライト)等の結晶の成長を抑えることができるために、熱膨張係数を低く抑えられ、これを熱交換機や高温ガスフィルタ等の熱サイクルや熱衝撃を受ける用途の材料として用いられることが開示されている。
【0005】
更に、近年では排ガス中のダストだけでなく、同時にダイオキシン類、コプラナーPCBをはじめとするポリクロロビフェニル類、クロロフェノール、クロロベンゼン等から成る塩素有機化合物の除去も要求されており、触媒担持や吸着剤の付与等、様々な例が示されていた。
【0006】
〔特許文献1〕特開平11−92215公報
〔特許文献2〕特開平11−349375号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特許文献1、2に示されたコージェライト多孔質焼結体を、廃棄物などの高温燃焼ガス中にふくまれるダスト(粉塵、煤塵)を除去するセラミックスフィルタとして用いた場合、高温での耐熱性、耐熱衝撃性については問題ないものの、高温燃焼ガス中に含まれるHClガスや焼却灰中のCa、Na成分に対しては、コージェライト多孔質焼結体中のSi、Mg等が反応を起こして腐食し、例えば、CaSiO、CaAlSiO、CaMgSiの物質が生成される。従って、コージェライト多孔質焼結体の一部の結晶構造が変化するため全体的に強度低下が起こるという問題点を有していた。
【0008】
また、上記生成物質は低融点であるために、フィルタを構成するコージライト多孔質焼結体が高温となった場合には、生成物質が最初に溶融し初め、これによりフィルタの細孔が閉塞され、フィルタの圧力損失が上昇するという問題点を有していた。
【0009】
また、上記高温燃焼ガス中の塩素有機化合物の除去においては、各種触媒を担持し、触媒との反応により無害化するフィルタの例が示されているものの、その触媒機能の低下が早いことや、触媒にダスト成分が付着し、排ガスと触媒との接触が妨げられること等の理由から、特に有効な手段を得るには至っていなかった。
【0010】
更には、上記高温燃焼ガス中の塩素有機化合物量を測定する手段として、厚生省が定めた「廃棄物処理におけるダイオキシン類測定標準法」等の手段があるが、排ガス中のダスト成分とガス成分を分けて採取するため装置が煩雑となるために、簡易的な測定手段が求められていた。
【0011】
本発明は上述の問題点に鑑みて案出されたものであり、廃棄物などの高温燃焼ガス中に含まれるHClガス及び焼却灰中のCa、Na成分等に対する耐食性改善と、排ガス中の塩素有機化合物の除去できる機能を付与できるとともに、硬度の低下を防止したコージェライト多孔質焼結体およびこれを用いたセラミックスフィルタを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明は上記課題に鑑み、2MgO・2Al・5SiOを主結晶相とし、MgO・Al、3Al・2SiO、SiO及びAlを副結晶相として含む多孔質焼結体で構成したことを特徴とする。
【0013】
また、前記多孔質焼結体をX線回折により分析して得られる2MgO・5SiO・2Al主結晶相の2θ=28〜30°付近のピーク強度を1としたとき、Al副結晶相の2θ=43〜44°付近のピーク強度が、0.1〜0.3であることを特徴とする。
【0014】
また、高温燃焼ガスの流入口及び排出口を備えたケーシング内に上記コージェライト多孔質焼結体を配置したセラミックスフィルタであることを特徴とする。
【0015】
また、上記コージェライト多孔質焼結体の表面にアルミナ及び/又は二酸化ケイ素を含有した多孔質膜を形成したことを特徴とする。
【0016】
また、上記アルミナは、X線回折により分析して得られるAl結晶相の主ピークが2θ=43.1〜67.4°である活性アルミナであることを特徴とする。
【0017】
また、上記二酸化ケイ素は、温度25℃、相対湿度85%空気中の吸湿率が50%以上であるシリカゲルであることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0019】
図1は本発明のコージェライト多孔質焼結体の多孔質体Aを説明するための一部断面の組織形態を模式的に示した図であり、主結晶相である2MgO・2Al・5SiO(コージェライト)1と副結晶相であるMgO・Al(スピネル)2、3Al・2SiO(ムライト)3、SiO4及びAl5と多孔質焼結体Aの空隙部分6を示している。
【0020】
図2に本発明のコージェライト多孔質焼結体をXRDにより分析した結果を示す。図では、白○が図1で1として示した2MgO・2Al・5SiO(コージェライト)結晶相を、黒□が図1で5として示した2Al(アルミナ)の結晶相を、白△がその他の2として示したMgO・Al(スピネル)、3として示した3Al・2SiO(ムライト)、4として示したSiOの結晶相のピークを示している。
【0021】
ここで2MgO・2Al・5SiO(コージェライト)の結晶を示すピークの中で一番高い強度を示しているピークが2θ=28〜30°付近にあることが分かる。また、従来までのコージェライト多孔質焼結体には、Al(アルミナ)の結晶を示すピークは存在しないが、本発明では、2θ=43〜44°付近を最高としてAl(アルミナ)の結晶のピークが存在する。
【0022】
このAl(アルミナ)の結晶は融点が高く、この結晶を存在させることで、高温燃焼ガス中に含まれるHClガスや焼却灰中のCa、Na成分に対してAl(アルミナ)結晶が溶融しにくいために、HClガスや焼却灰中のCa、Na成分が結びついた生成物ができず、強度を維持しながら腐食することを抑えるものである。
【0023】
ここで、2θ=28〜30°付近の2MgO・2Al・5SiO(コージェライト)の結晶ピーク強度と、2θ=43〜44°付近のAl(アルミナ)の結晶のピーク強度比をとると0.1〜0.3とするのが好ましい。
【0024】
即ちこの2MgO・2Al・5SiO(コージェライト)の結晶の2θ=28〜30°付近のピーク強度とAl(アルミナ)の結晶の2θ=43〜44°付近のピーク強度の比が0.1より小さくなると、コージェライト多孔質焼結体組織中に存在するアルミナ結晶が少なくなり、コージェライト多孔質焼結体全体としての耐食性が低下する。また、0.3より大きいと、コージェライト多孔質焼結体組織中に存在するアルミナ結晶が多くなるため、熱膨張係数の高いアルミナの影響を受けコージェライト多孔質焼結体全体としての熱膨張係数が高くなり、耐熱性が低下してしまう。より好適な範囲としては0.15〜0.25である。
【0025】
また、本発明のコージェライト多孔質焼結体の化学組成はMgがMgO換算で10〜18質量%、SiがSiO換算で42〜62質量%、AlがAl換算で22〜44質量%とするのが好ましい。化学組成を上記範囲としたのは、それぞれが上限値及び下限値以外の範囲では、コージライト組成としてのバランスが崩れ、副結晶相として存在するコージェライトよりも熱膨張係数の高いMgO・Al(スピネル)、3Al・2SiO(ムライト)、SiOの結晶相が多くなるため、コージェライトの持つ高耐熱衝撃性の特性を阻害する恐れがあるためである。
【0026】
本発明のコージェライト多孔質焼結体の製造方法としては、まず焼成後にコージェライト組成とするためにタルク(3MgO・4SiO・HO)、カオリン(Al・2SiO・2HO)、ハイジライト(Al(OH))またはアルミナ(Al)の3種の1次原料を用いられる。そしてこれらの3種の1次原料をバインダとともに混合してスラリー化し、スプレードライヤーや転動造粒法等の各種造粒法により造粒した後、プレス成形法や冷間静水圧プレス成型法等の種々の成形方法を用いて成形し、酸化又は還元雰囲気中にて1300℃〜1450℃の温度域で焼成を行う。
【0027】
このとき、焼成後に主結晶相の2MgO・2Al・5SiO(コージェライト)中に副結晶相のAl(アルミナ)を存在させる方法として、1次原料のハイジライト(Al(OH))またはアルミナ(Al)の粒径の大きなものを使用する。具体的には平均粒径が30〜120μmのものを使用すれば、副結晶相のAl(アルミナ)をコージェライト多孔質焼結体の組織中に存在させることが可能となる。従来はより反応を促進させ、組織全体をコージェライト化させようとして、ハイジライト(Al(OH))またはアルミナ(Al)の平均粒径は30μmより小さなものを使用するが、本発明ではあえて30μm以上のものを使用することにより、焼成時に未反応のアルミナをコージェライト多孔質焼結体組織中に残留させることで特に耐食性の向上を図っている。
【0028】
また、平均粒径が120μmより大きな粒径のものを使用すると、コージェライト多孔質焼結体の組織中に副結晶相のAl(アルミナ)を残留させることは可能であるが、熱膨張係数の高いアルミナの特性がコージェライト多孔質焼結体全体の熱膨張係数に反映され、耐熱衝撃性等の低下を招くばかりか、あまりにも大きな粒径のものを使用すると、焼成時の降温中にアルミナとコージェライトの熱膨張差による応力が発生し、その影響で焼結体自体が破損してしまう恐れがある。上記ハイジライト(Al(OH))またはアルミナ(Al)粒径のより好適範囲としては平均粒径が40〜100μmである。
【0029】
なお、上述の平均粒径はレーザー回折散乱法で測定する。
【0030】
更にアルミナ以外の1次原料の平均粒径としては、タルク(3MgO・4SiO・HO)が30〜100μm、カオリン(Al・2SiO・2HO)が5〜30μm含有している。
【0031】
ここで、上記タルク、カオリンの粒径を上記範囲としたのは、下限値より小さいとコージェライト多孔質焼結体の平均細孔径が小さくなり、これを廃棄物などの高温燃焼ガス中のダスト除去を行う集塵用セラミックスフィルタとして用いた場合に、圧力損失の増大を招き、また上限値より大きいと平均細孔径が大きくなり、コージェライト多孔質焼結体の強度が著しく低下してしまうからである。
【0032】
上述のようにして製造した本発明のコージェライト多孔質焼結体は従来のコージェライト多孔質焼結体と同等以上の特性を有している。例えば、多孔質体として有用な気孔率(アルキメデス法により測定)については30〜45%程度であり、平均細孔径(水銀圧入法による測定)についてはタルク、カオリン、ハイジライト又はアルミナの1次原料粒径によるが10〜200μmまでの調整が可能である。また、その他の特性としては、熱膨張係数(JIS R1618−1994に準拠して測定)は室温から800℃までで2.0〜3.0×10−6/℃、3点曲げ強度(JIS R1601−1995に準拠して測定)は10MPa以上、耐熱衝撃性(投下式水中急冷法により測定)は800℃以上の特性を有している。
【0033】
次に、図3に上述のようにして得られる本発明のコージェライト多孔質焼結体を用いたセラミックスフィルタ10を設置しているゴミ焼却炉用の集塵装置の一例を概略図として図3に示す。集塵装置はゴミ焼却炉にてゴミを燃焼した際に発生する排ガスを流し込む流入口12と排ガスをセラミックスフィルタ10に誘引するための誘引送風機を配設した流出口13とを備え、ケーシング11内に円筒状の本発明の一方端を封止した有底円筒状のセラミックスフィルタ10を複数本配設してある。そして流入口12から流れ込んだ排ガスを上記セラミックスフィルタ10に通過させることで、排ガス中に含まれる有害なダストを除去し、無害化したガスを流出口13より取り出すようになっている。更には、各セラミックスフィルタ10の他方端に形成した開口端部には気体を噴出させるための配管14がそれぞれ設けてあり、セラミックスフィルタ10の細孔内にダストが溜まり、セラミックスフィルタ10の圧力損失がある一定以上の値に達すると送気弁15が開き、ポンプ16より配管14内を排ガスの流れとは反対方向に空気を噴射して、セラミックスフィルタ10の細孔内に溜まったダストを吹き飛ばすことにより、セラミックスフィルタ10のダスト除去性能を初期に得られていた性能近くまで回復させるようになっている。
【0034】
このような構造のコージェライト多孔質焼結体をセラミックスフィルタとして用いた場合、コージェライト多孔質焼結体のもつ高い耐熱性と耐熱衝撃性に加え、上述の図1で示した2MgO・2Al・5SiO(コージェライト)を主結晶相とする組織中に、廃棄物等の高温燃焼ガス中に含まれるHClガスや焼却灰中のCa、Na成分等に対して高い耐食性を有しているAl(アルミナ)の結晶を存在させているために、従来と比較して耐食性が向上するものである。
【0035】
また、上記コージェライト多孔質焼結体の表面にアルミナ及び/又は二酸化ケイ素を含有した多孔質膜を形成することにより、排ガス中に含まれる塩素有機化合物の除去が可能となる。
【0036】
ここで、上記アルミナとしては、X線回折におけるAl結晶相の主ピークが2θ=43.1〜67.4°に存在するアルミナを用いるのが良い。この範囲のアルミナであれば、粒子中面に無数の細孔を有するアルミナとすることが可能であり、塩素有機化合物を吸着する吸着剤として機能する。上記範囲外のものは粒子中に細孔がほとんど存在しないため、吸着剤としては機能しない。上記範囲のアルミナは一般的に活性アルミナと呼ばれ、アルミナの形態としてはγ−アルミナ、δ−アルミナ、θ―アルミナが上記範囲に相当する。また、上記アルミナは水酸化アルミニウムを500〜1200℃の温度で加熱することにより得られる。
【0037】
この水酸化アルミニウムはハイジライト、Gibbsite、Boehmite、Bayerit等でも構わない。活性アルミナの粒子中のミクロ孔平均細孔径は20Å〜140Åであり、いずれも適用可能であるが、好適には30Å以上が望ましい。
【0038】
また、二酸化ケイ素については、温度25℃、相対湿度85%の空気中における吸湿率が50%以上のシリカゲルを用いるのが良く、吸湿率が50%未満では、塩素有機化合物の吸着性能が悪くなる。
【0039】
シリカゲル粒子中の細孔径や比表面積は製造方法により異なり、一般的にはミクロ孔平均細孔径20Å〜100Å程度のものが得られ、上記数値を満足していれば適用可能であるが、好適には約30Å以上が望ましい。
【0040】
活性アルミナおよびシリカゲルの粒子中に存在するミクロ孔平均細孔の好適径が30Å以上である理由は、ダイオキシン類、コプラナーPCBをはじめとするポリクロロビフェニル類、クロロフェノール、クロロベンゼン等から成る塩素有機化合物の分子径が約20Åであり、これらを効率的に吸着するためには約30Å以上のミクロ孔サイズが適切であるためである。
【0041】
更に、上記アルミナ及び二酸化ケイ素の粒径としては、10μmから100μmのものを用いるのが良く、上記多孔質膜の膜厚としては、0.1〜5mmが好適でより好適には0.5〜3mmである。
【0042】
ここでアルミナ及び二酸化ケイ素の粒径を10〜100μmとしたのは、10μm以下の粒径では、コージェライト多孔質体表面に多孔質膜を形成する際に、粒子がコージェライト多孔質体表面の気孔に入り込み、コージェライト多孔質体の気孔を閉塞してしまうため、フィルタの圧力損失が著しく上昇するために好ましくない。また、100μmより大きい粒子であると、塩素有機化合物を吸着できる表面積が小さくなり、吸着性能が低下するために好ましくない。
【0043】
また、膜厚を0.1〜5mmとしたのは、0.1mmより薄い膜厚では低い吸着性能しか得られないからであり、5mmより厚い膜厚は製造困難となる。より好適な膜厚は0.5〜3mmである。
【0044】
次に、上記多孔質膜の製造方法としては、無機バインダと上記アルミナ及び二酸化ケイ素からなる吸着剤粒子を混合させ、少量の水を加えて坏土状にした後、これをコージェライト多孔質焼結体からなるセラミックスフィルタ表面に塗布させ、100〜300℃の温度で乾燥させ形成する。また他の方法として、アルミナを用いる場合、水酸化アルミニウムと無機バインダとを混合させ、少量の水を加えて坏土状とし、これをコージェライト多孔質焼結体からなるセラミックスフィルタ表面に塗布して、500℃〜1200℃の温度で加熱処理して、水酸化アルミニウムを活性アルミナとして生成させると共に、セラミックスフィルタ表面に固着させる方法も適用可能である。
【0045】
なお、上記製造方法においては、アルミナ及び二酸化ケイ素からなる吸着剤は通常セラミックスの緻密体を形成する際に用いる1μm前後の微粒子ではなく、10〜100μmの粗粒子を用いているため、粒子間には隙間が生じ、多孔質膜を形成できる。また、上記無機バインダは微視的には粒子状であり、コージェライト多孔質焼結体からなるセラミックスフィルタ表面に塗布した際に、フィルタ表面の気孔に無機バインダが入り込み、気孔を閉塞するというようなことは起こりにくい。
【0046】
従って、セラミックスフィルタ表面に上記多孔質膜を形成した際にも、セラミックスフィルタ表面の気孔を完全に閉塞することがなく、フィルタとしての濾過機能が失われることはない。
【0047】
なお、本発明のコージェライト多孔質焼結体を用いたセラミックスフィルタとして、上記のような有底円筒形状のフィルタ形状を一例として述べたが、単なる円筒状やハニカム形状等、フィルタとして用いられる形状であればどのような形状でも対応可能であり、それらの形状には押出成形法や冷間静水圧プレス成形法、メカプレス成形法等の各種成形法を用いて成形することが可能である。
【0048】
また本発明のセラミックスフィルタは、高温燃焼ガス中の塩素有機化合物の除去に使用できるが、この除去機能を利用して排ガス中の塩素有機化合物の測定実施にも利用できる。
【0049】
更に、本発明は、上記実施の形態に示したものだけに限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲内で改良してもよいことは言うまでもない。
【0050】
【実施例】
以下、本発明を実施例で具体的に説明する。
【0051】
タルク、カオリン、アルミナの1次原料を用い、スプレードライヤー装置によりバインダーを添加した形で造粒し、冷間静水圧プレス成形法で成形し、切削加工を施した。その後、大気雰囲気にて1300〜1450℃の温度で焼成を行い外径φ60mm、厚さ10mmの円盤状成形体を得た。
【0052】
このとき、添加するタルク、カオリン、アルミナの比率は、コージェライトの理論組成であるMgO:13.7質量%、SiO:51.4質量%、Al:34.9質量%となるように調整した。
【0053】
また、アルミナの平均粒径をいくつか振りテストピースを作製し、テストピース毎のXRD分析結果から、コージェライトとアルミナのピーク強度比を算出した。
【0054】
それらのテストピースを用いて、まず、800℃に加熱した後、水中にて急冷却する耐熱衝撃試験を実施し、その後テストピースを乾燥させ温度90℃に加熱したHCl溶液(濃度20体積%)に150時間浸漬し、その重量減少率を測定するHCl浸漬試験を実施した。
【0055】
なお、上記試験(以下HCl浸漬試験と記載)は、HCl溶液がテストピースの気孔を含めた全表面に接触するために、各テストピースの気孔率が違えばその結果(重量減少率)に影響する。よって、各テストピースの気孔率は30%としてある。
【0056】
結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
Figure 2004203724
【0058】
表より本発明範囲外の1、2については、XRD分析によりアルミナの結晶相が検出されず、コージェライト結晶中にアルミナ結晶が存在しないために耐食性に劣る結果となった。
【0059】
また、本発明範囲外の6、7についてはコージェライト多孔質焼結体中にアルミナ結晶は存在しているものの、1次原料のアルミナ粒径が大きくコージライト結晶中のアルミナ結晶の量が多すぎるために焼結体全体の熱膨張係数が大きくなり、耐熱衝撃試験中に破損してしまった。
【0060】
それと比較して、本発明の範囲内である3〜5のテストピースにおいては、耐熱衝撃試験における破損はなかった。また、HCl浸漬試験においても、アルミナ結晶相のないNo.1、2のテストピースに比べて重量減少率が少なく、良好な結果を示すことが確認された。
【0061】
特に、アルミナの平均粒径が40〜100μmの範囲内にあるNo.4、5についてはHCl浸積試験における重量減少率が他より少なく、より好ましい結果となった。
【0062】
また、本発明の範囲内であるNo.3〜6のテストピース上にφ12、厚さ1mmの焼却灰を成形したタブレットを載せ、温度1000℃で50時間キープした炉の中で、焼却灰中のCa等への耐食性を確認する耐食試験を実施した。
【0063】
試験後、テストピース断面の焼却灰を取り除き、XRD分析により表面の分析を行ったところ、焼却灰中のCa成分等と反応した場合に生成されるCaSiO、CaAlSiO、CaMgSi等の化合物は検出されず、焼却灰に対して良好な耐食性を示すことが確認された。
【0064】
(実施例2)
次に上記実施例1に用いた試料No.4のテストピースと同様の試料をいくつか作成し、その試料に塩素有機化合物を吸着させるための多孔質膜を形成した。
【0065】
上記多孔質膜を構成する吸着剤としては、活性アルミナ、シリカゲルを用いており、これを無機接着剤と混合させ少量の水を加えて坏土状に調整し、テストピース表面に塗布した後、100〜300℃の温度で乾燥させた。
【0066】
次に、実際に塩素有機化合物を含んだ150℃前後の温度の排ガスをゴミ焼却炉から採取して、それを上記テストピース21に通過させる試験を実施した。試験は図4に示すケーシング23を備えた試験装置20にて実施し、吸引ポンプ24により、排ガス22を等速吸引により、3Nmのガス量を吸引させ実施した。
【0067】
そして上記テストピースから塩素有機化合物(ダイオキシン類)を一般的によく用いられているソックスレー抽出法により抽出した。
【0068】
次に、この測定結果と従来から用いられている厚生省が定めた「廃棄物処理におけるダイオキシン類測定標準法」(以下従来法と記載)を用いて上記と同じ3Nmの排ガス量中の塩素有機化合物の量を測定して、本発明のセラミックスフィルタで採取・抽出した塩素有機化合物量と比較した。
【0069】
その結果、本発明のセラミックスフィルタからの塩素有機化合物の抽出量と、従来法にて採取後、抽出した塩素有機化合物の抽出量はほぼ同等であった。
【0070】
以上の結果から、本発明のセラミックスフィルタを用いることにより、排ガス中の塩素有機化合物の除去が可能であり、この除去機能を利用して簡易的ではあるが、塩素有機化合物の量を測定できることが確認できた。
【0071】
【発明の効果】
本発明の構成によれば、2MgO・2Al・5SiOを主結晶相とし、MgO・Al、3Al・2SiO、SiO及びAlを副結晶相として含む多孔質焼結体で構成することにより、高融点のAl結晶の存在で、高温燃焼ガス中に含まれるHClガスや焼却灰中のCa、Na成分に対してAl(アルミナ)結晶が溶融しにくいために、HClガスや焼却灰中のCa、Na成分が結びついた生成物ができず、強度を維持しながら腐食することを抑えることができるコージェライト多孔質焼結体を提供することができる。
【0072】
また、高温燃焼ガスの流入口及び排出口を備えたケーシング内に、上記コージェライト多孔質焼結体を用いたセラミックスフィルタを配置することにより、高温燃焼ガス中に含まれるHClガスや焼却灰中のCa、Na成分に対して、上記コージェライト焼結体中に存在するAl(アルミナ)結晶が溶融しにくいために、HClガスや焼却灰中のCa、Na成分が結びついた生成物ができず、セラミックスフィルタの強度を維持し、かつ腐食することを抑えながら排ガス中のダスト(粉塵、煤塵)を補集することが可能となる。
【0073】
また、上記コージェライト多孔質焼結体の表面にアルミナ及び/又は二酸化ケイ素を含有した多孔質膜を形成し、上記アルミナをX線回折により分析して得られるAl結晶相の主ピークが2θ=43.1〜67.4°である活性アルミナとし、上記二酸化ケイ素を温度25℃、相対湿度85%のとき、空気中の吸湿率が50%以上のシリカゲルとしたことにより、より簡易的に上記高温燃焼ガス中の塩素有機化合物を除去することが可能となるとともに、従来用いられていた塩素有機化合物の測定手段と比較して、測定装置を簡単な構造とできるために、簡易的に測定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るコージェライト多孔質焼結体を示す断面模式図である。
【図2】本発明に係るコージェライト多孔質焼結体のX線回折における結晶ピークを示すスペクトル図である。
【図3】本発明に係るコージェライト多孔質焼結体を用いたセラミックスフィルタを設置したゴミ焼却炉用集塵装置を示す概略図である。
【図4】本発明に係るコージェライト多孔質焼結体を用いたセラミックスフィルタの塩素有機化合物の採取試験装置の概略図である。
【符号の説明】
1 MgAlSi10(コージェライト)結晶
2 MgAl(スピネル)結晶
3 AlSi13(ムライト)結晶
4 SiO結晶
5 Al結晶
6 多孔質焼結体空隙部位
10 セラミックスフィルタ
11 ケーシング
12 排ガス流入口
13 排ガス流出口
14 配管
15 送気弁
16 ポンプ
20 試験装置
21 セラミックスフィルタ
22 排ガス
23 ケーシング
24 吸引ポンプ

Claims (6)

  1. 2MgO・2Al・5SiOを主結晶相とし、MgO・Al、3Al・2SiO、SiO及びAlを副結晶相として含む多孔質焼結体で構成したことを特徴とするコージェライト多孔質焼結体。
  2. 前記多孔質焼結体をX線回折により分析して得られるMgAlSi10主結晶相の2θ=28〜30°付近のピーク強度を1としたとき、Al副結晶相の2θ=43〜44°付近のピーク強度が、0.1〜0.3であることを特徴とする請求項1に記載のコージェライト多孔質焼結体。
  3. 高温燃焼ガスの流入口及び排出口を備えたケーシング内に請求項1又は2記載のコージェライト多孔質焼結体を配置してなるセラミックスフィルタ。
  4. 上記コージェライト多孔質焼結体の表面にアルミナ及び/又は二酸化ケイ素を含有した多孔質膜を形成したことを特徴とする請求項3に記載のセラミックスフィルタ。
  5. 上記アルミナは、X線回折により分析して得られるAl結晶相の主ピークが2θ=43.1〜67.4°である活性アルミナであることを特徴とする請求項4に記載のセラミックスフィルタ。
  6. 上記二酸化ケイ素は、温度25℃、相対湿度85%のとき、空気中の吸湿率が50%以上であるシリカゲルであることを特徴とする請求項4に記載のセラミックスフィルタ。
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