JP2004203648A - KTaO3単結晶およびその製造方法 - Google Patents
KTaO3単結晶およびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004203648A JP2004203648A JP2002372895A JP2002372895A JP2004203648A JP 2004203648 A JP2004203648 A JP 2004203648A JP 2002372895 A JP2002372895 A JP 2002372895A JP 2002372895 A JP2002372895 A JP 2002372895A JP 2004203648 A JP2004203648 A JP 2004203648A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- single crystal
- ktao
- density
- crystal
- preparation
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Landscapes
- Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)
Abstract
【課題】内部にクラックや散乱体が無い事はもちろんのこと、着色や歪のない大型のKTaO3単結晶およびその製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】セルフフラックスにより製造され、原料として高純度のK2CO3とTa2O5を用い、K2CO3とTa2O5の比が(K/(K+Ta))(53%〜65%)の出発組成で溶融し、溶融後の高温での冷却速度が2℃/hr以下に制御し密度が7.00g/cm3以上の単結晶を製造することを特徴とするKTaO3単結晶およびその製造方法である。
【選択図】なし
【解決手段】セルフフラックスにより製造され、原料として高純度のK2CO3とTa2O5を用い、K2CO3とTa2O5の比が(K/(K+Ta))(53%〜65%)の出発組成で溶融し、溶融後の高温での冷却速度が2℃/hr以下に制御し密度が7.00g/cm3以上の単結晶を製造することを特徴とするKTaO3単結晶およびその製造方法である。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学素子の材料となりうるKTaO3単結晶に関する。
【0002】
【従来の技術】
KTaO3は、結晶構造がペロブスカイト構造をもち、且つ、融点から低温まで、構造相転移を持たないことが特徴とされている。また、KNbO3と全率固溶することが知られており、KTaxNb1-xO3のx=0.65近傍で、大きな電気光学効果を示すことから注目を集めている。(W.R.WILCOX 他:Journal of American Ceramic Society 1966 Vol.49, No.8, 415)
最近、光通信分野では、高速に動作するスイッチ素子が求められ、多くのデバイスが提案されつつある。そのなかで、KTaO3は自身は電気光学効果は持たないが、KNbO3との混晶であるKNbxTa1-xO3組成の薄膜をKTaO3基板上に形成し、大きな電気光学効果を持つ導波路を形成できる可能性があることから,有望な高速動作スイッチ素子として期待できる。また、このKTaO3基板にY系高温超伝導薄膜を成長させると抵抗率-温度曲線が通常用いられているSrTiO3基板より向上していることが報告されており今後、超伝導用基板としても注目されつつある。(内藤 他:応用物理 第71巻 第5号(2002)536)
KTaO3単結晶の製造方法として、セルフフラックス法が有効であることは知られており、シードを用いるTSSG法ないし、徐冷して坩堝内に自然核発生から結晶を成長させる方法がしられている(特許出願公告 昭43-4658)。しかし、できた結晶の品質については詳細な記述がなく、近年注目されつつあるデバイス用に使用できるかは不明であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
KTaO3単結晶のような酸化物単結晶の製造においては、特に大型結晶として工業的に生産することを目的とした先行例はすくなく、現状では製造方法が確立されているとは言いがたい。
【0004】
大型の結晶を育成すると白濁や光散乱体が内在したり、黄色に着色したりする問題がある。デバイスに使用される結晶としては、内部にクラックや散乱体が無い事はもちろんのこと、着色や歪も問題となりデバイス用としては不十分であった。
【0005】
このような問題の解決のために、本発明においては、良好な性状を有する単結晶を製造できる製造方法ならびに単結晶を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、密度が7.00g/cm3以上であることを特徴とするKTaO3単結晶である。
また本発明は、セルフラックス法を用いて、出発組成がK2CO3とTa2O5の比(K/(K+Ta))で53%〜65%の範囲にあり、高温での温度降下速度が毎時2℃以下にして密度が7.00g/cm3以上のKTaO3単結晶を得ることを特徴とするKTaO3単結晶の製造方法である。
さらに本発明は、成長後に熱処理を行なって、密度が7.00g/cm3以上であることが好ましい。
本発明によれば、着色、亀裂、光散乱体のない高品質の単結晶が得られる。
結晶の平面寸法が20mm×20mm以上であることが、このような効果が顕著に表れるので好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明者らはセルフフラックスの割合と温度降下速度を数々の条件に設定し結晶を成長させ、得られた結晶の評価を行なった。そして、驚くべきことに、良質な結晶としての密度がある一定値以上であることを発見し、本発明に至った。以下、詳細に説明する。
【0008】
高純度(99.99%)のK2CO3と、Ta2O5を混合して白金ルツボに充填し、その後1400℃に加熱、溶融し、1120℃までゆっくり冷却した。その後、室温まで冷却してルツボの中からKTaO3結晶を取り出した。この時高温での冷却速度が0.1℃/hrの場合はTSSG法で、それ以外は徐冷法で成長させた。
【0009】
原料のK2CO3とTa2O5の比と、1400℃から1120℃までの冷却速度を種々変えて育成した結晶について密度を測定し、かつその性状を調べた。その結果を表1に示す。得られた結晶は着色や散乱体、クラック、白濁などの欠陥が観測されるものもあり、その有無は密度が7g/cm3前後で変動がみられた。着色やインクルージョンが有るサンプルは密度が7.00g/cm3未満であり、これらがない良質なサンプルは密度が大きく7.00g/cm3以上であった。たとえば、サンプル番号1は、冷却速度を毎時1℃で育成した結晶で、やや薄茶色に着色していた。この結晶の光透過率を測定すると短波長での吸収が比較的大きかった。この結晶の密度を測定すると6.996g/cm3であった。この結晶を1000℃で10時間、大気中で熱処理したところ、着色はなくなり、透過率も高くなっていた。驚くべきことに、密度も7.009となっていた。密度の測定はアルキメデス法で、島津比重測定装置(SGM-300P)を使用した。このように成長後の密度が7.00g/cm3以上であれば、熱処理により着色をなくすことができるという効果が認められた。
【0010】
さらに表1より以下のことがわかる。密度が7.00g/cm3以上で品質の高い結晶となる。この密度を持つサンプルは原料の組成比で54〜61%が好ましいことがあきらかである。また、1400℃から1120℃までの冷却速度は2℃/hr以下であることが好ましい。冷却速度が5℃/hr以上では密度7.00g/cm3を超えるものは1つもなかった。表1より品質が良い密度7.00g/cm3以上のサンプルに着目して図1を作成すると、原料の組成比で53%〜65%で品質の良い結晶が製造できると推定できる。さらに、冷却速度について図2を作成すると、冷却速度に関しては毎時2℃以下あることが好ましいことが明らかである。
【0011】
【発明の効果】
本発明により、デバイス用の良質で大型結晶が容易に得られ品質の評価も容易に行なえるようになるため、工業的に効果は甚大である。
【0012】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】原料の組成比と密度との関係を示す図。
【図2】冷却速度と密度との関係を示す図。
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学素子の材料となりうるKTaO3単結晶に関する。
【0002】
【従来の技術】
KTaO3は、結晶構造がペロブスカイト構造をもち、且つ、融点から低温まで、構造相転移を持たないことが特徴とされている。また、KNbO3と全率固溶することが知られており、KTaxNb1-xO3のx=0.65近傍で、大きな電気光学効果を示すことから注目を集めている。(W.R.WILCOX 他:Journal of American Ceramic Society 1966 Vol.49, No.8, 415)
最近、光通信分野では、高速に動作するスイッチ素子が求められ、多くのデバイスが提案されつつある。そのなかで、KTaO3は自身は電気光学効果は持たないが、KNbO3との混晶であるKNbxTa1-xO3組成の薄膜をKTaO3基板上に形成し、大きな電気光学効果を持つ導波路を形成できる可能性があることから,有望な高速動作スイッチ素子として期待できる。また、このKTaO3基板にY系高温超伝導薄膜を成長させると抵抗率-温度曲線が通常用いられているSrTiO3基板より向上していることが報告されており今後、超伝導用基板としても注目されつつある。(内藤 他:応用物理 第71巻 第5号(2002)536)
KTaO3単結晶の製造方法として、セルフフラックス法が有効であることは知られており、シードを用いるTSSG法ないし、徐冷して坩堝内に自然核発生から結晶を成長させる方法がしられている(特許出願公告 昭43-4658)。しかし、できた結晶の品質については詳細な記述がなく、近年注目されつつあるデバイス用に使用できるかは不明であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
KTaO3単結晶のような酸化物単結晶の製造においては、特に大型結晶として工業的に生産することを目的とした先行例はすくなく、現状では製造方法が確立されているとは言いがたい。
【0004】
大型の結晶を育成すると白濁や光散乱体が内在したり、黄色に着色したりする問題がある。デバイスに使用される結晶としては、内部にクラックや散乱体が無い事はもちろんのこと、着色や歪も問題となりデバイス用としては不十分であった。
【0005】
このような問題の解決のために、本発明においては、良好な性状を有する単結晶を製造できる製造方法ならびに単結晶を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、密度が7.00g/cm3以上であることを特徴とするKTaO3単結晶である。
また本発明は、セルフラックス法を用いて、出発組成がK2CO3とTa2O5の比(K/(K+Ta))で53%〜65%の範囲にあり、高温での温度降下速度が毎時2℃以下にして密度が7.00g/cm3以上のKTaO3単結晶を得ることを特徴とするKTaO3単結晶の製造方法である。
さらに本発明は、成長後に熱処理を行なって、密度が7.00g/cm3以上であることが好ましい。
本発明によれば、着色、亀裂、光散乱体のない高品質の単結晶が得られる。
結晶の平面寸法が20mm×20mm以上であることが、このような効果が顕著に表れるので好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明者らはセルフフラックスの割合と温度降下速度を数々の条件に設定し結晶を成長させ、得られた結晶の評価を行なった。そして、驚くべきことに、良質な結晶としての密度がある一定値以上であることを発見し、本発明に至った。以下、詳細に説明する。
【0008】
高純度(99.99%)のK2CO3と、Ta2O5を混合して白金ルツボに充填し、その後1400℃に加熱、溶融し、1120℃までゆっくり冷却した。その後、室温まで冷却してルツボの中からKTaO3結晶を取り出した。この時高温での冷却速度が0.1℃/hrの場合はTSSG法で、それ以外は徐冷法で成長させた。
【0009】
原料のK2CO3とTa2O5の比と、1400℃から1120℃までの冷却速度を種々変えて育成した結晶について密度を測定し、かつその性状を調べた。その結果を表1に示す。得られた結晶は着色や散乱体、クラック、白濁などの欠陥が観測されるものもあり、その有無は密度が7g/cm3前後で変動がみられた。着色やインクルージョンが有るサンプルは密度が7.00g/cm3未満であり、これらがない良質なサンプルは密度が大きく7.00g/cm3以上であった。たとえば、サンプル番号1は、冷却速度を毎時1℃で育成した結晶で、やや薄茶色に着色していた。この結晶の光透過率を測定すると短波長での吸収が比較的大きかった。この結晶の密度を測定すると6.996g/cm3であった。この結晶を1000℃で10時間、大気中で熱処理したところ、着色はなくなり、透過率も高くなっていた。驚くべきことに、密度も7.009となっていた。密度の測定はアルキメデス法で、島津比重測定装置(SGM-300P)を使用した。このように成長後の密度が7.00g/cm3以上であれば、熱処理により着色をなくすことができるという効果が認められた。
【0010】
さらに表1より以下のことがわかる。密度が7.00g/cm3以上で品質の高い結晶となる。この密度を持つサンプルは原料の組成比で54〜61%が好ましいことがあきらかである。また、1400℃から1120℃までの冷却速度は2℃/hr以下であることが好ましい。冷却速度が5℃/hr以上では密度7.00g/cm3を超えるものは1つもなかった。表1より品質が良い密度7.00g/cm3以上のサンプルに着目して図1を作成すると、原料の組成比で53%〜65%で品質の良い結晶が製造できると推定できる。さらに、冷却速度について図2を作成すると、冷却速度に関しては毎時2℃以下あることが好ましいことが明らかである。
【0011】
【発明の効果】
本発明により、デバイス用の良質で大型結晶が容易に得られ品質の評価も容易に行なえるようになるため、工業的に効果は甚大である。
【0012】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】原料の組成比と密度との関係を示す図。
【図2】冷却速度と密度との関係を示す図。
Claims (3)
- 密度が7.00g/cm3以上であることを特徴とするKTaO3単結晶。
- セルフフラックス法を用い、原料としてK2CO3とTa2O5の比(K/(K+Ta))が53%〜65%の出発組成で結晶成長をさせ、かつ温度降下速度を毎時2℃以下にすることにより密度が7.00g/cm3以上のKTaO3単結晶を得ることを特徴とするKTaO3単結晶の製造方法。
- 熱処理を行なって、密度を7.00g/cm3以上にすることを特徴とする請求項2に記載のKTaO3単結晶の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002372895A JP2004203648A (ja) | 2002-12-24 | 2002-12-24 | KTaO3単結晶およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002372895A JP2004203648A (ja) | 2002-12-24 | 2002-12-24 | KTaO3単結晶およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004203648A true JP2004203648A (ja) | 2004-07-22 |
Family
ID=32811368
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002372895A Withdrawn JP2004203648A (ja) | 2002-12-24 | 2002-12-24 | KTaO3単結晶およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004203648A (ja) |
-
2002
- 2002-12-24 JP JP2002372895A patent/JP2004203648A/ja not_active Withdrawn
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Furukawa et al. | The correlation of MgO-doped near-stoichiometric LiNbO3 composition to the defect structure | |
CN102251281B (zh) | 采用液相生长法的ZnO单晶的制造方法 | |
JP2002293693A (ja) | テルビウム・アルミニウム・ガーネット単結晶及びその製造方法 | |
KR20100015670A (ko) | Mg 함유 ZnO계 혼정 단결정, 그의 적층체 및 그들의 제조방법 | |
JP5337011B2 (ja) | 磁気光学素子用酸化テルビウム結晶 | |
CN108425152B (zh) | 偏硼酸锶双折射晶体及制备方法和用途 | |
CN115504480B (zh) | 化合物硼酸锌钡和硼酸锌钡双折射晶体及其制备方法和用途 | |
JP2004203648A (ja) | KTaO3単結晶およびその製造方法 | |
JP2011190138A (ja) | 電気磁気効果単結晶の製造方法 | |
JP4067845B2 (ja) | マグネシウムニオブ酸リチウム単結晶およびその製造方法 | |
Tsai et al. | Zone-levelling Czochralski growth of MgO-doped near-stoichiometric lithium niobate single crystals | |
Chen et al. | Growth of lead molybdate crystals by vertical Bridgman method | |
CN1044498C (zh) | 一种富碲碲化铅材料的制备方法 | |
Nakano et al. | Flux growth of LiNdP4O12 single crystals | |
CA1302848C (en) | Process for making homogeneous lithium niobate | |
JPS63301525A (ja) | Bsoウエハの製造方法 | |
Ni et al. | Near-stoichiometric LiNbO3 single-crystal growth by metal strip-heated zone melting technique | |
JP2000313698A (ja) | ランガサイト型結晶の処理方法 | |
RU2103425C1 (ru) | Способ выращивания монокристаллов тетрабората стронция | |
JPH05270992A (ja) | 光損傷のないニオブ酸リチウム単結晶 | |
JP3906359B2 (ja) | P形半導体SrCu2O2単結晶の製造方法 | |
JP3724509B2 (ja) | 光用LiTaO3単結晶およびその製造方法 | |
JPS63195198A (ja) | ニオブ酸リチウム単結晶薄膜の製造方法 | |
UA138827U (uk) | СПОСІБ ОТРИМАННЯ ЗНЕБАРВЛЕНИХ КРИСТАЛІВ PbMoO<sub>4</sub> | |
CN114645315A (zh) | 一种准相位匹配器件ppktp用ktp晶体及其制备方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050715 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070903 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20080404 |