JP2004203131A - トラニオン式リーフサスペンション装置 - Google Patents

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孝治 岩澤
Koji Tanaka
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Abstract

【課題】簡単な構造で高荷重に耐えられるトラニオン式リーフサスペンション装置を提供する。
【解決手段】シャシフレーム5にはトラニオンスペーサ16を介してトラニオンベース15が取付けられる。トラニオンベース15にはスプリングシャフト23を介してロアーサドル24が回転自在に支持される。ロアーサドル24にはリーフスプリング25が支持され、リーフスプリング25の前後端は後輪の前・後アクスル11,12に載っている。トラニオンスペーサ16の側面取付け板16aには前後にそれぞれサイドストッパ33が取付けられている。サイドストッパ33はトラニオンスペーサ16に対して摺動可能に形成され、かつ隙間にシム40を挟み込む隙間調節機構37が構成される。また、トラニオンスペーサ16の前後端にはバンプストッパ43が取付けられている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トラニオン式リーフサスペンション装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
トラックに使用されているトラニオン式リーフサスペンション装置には、シャシフレームの下部に、スプリングシャフトが付いたトラニオンベースを設置し、このシャシフレームの外側へ突き出るスプリングシャフトの端に、リーフスプリングの中央を支持するロアーサドルを回動自在に取付け、リーフスプリングの各端部を二軸式後輪の前側と後側のアクスルに載せた機構(トラニオンサスペンション機構)が用いられている。
【0003】
ところで、トラックでは、高荷重で使用されることがある。この場合、積載荷重が大きく、大きな径のタイヤを使用することがある。このような場合、タイヤの径に応じたトラニオンベースを設計、製作することを余儀なくされ、コスト的な負担が強いられる。そこで、近時ではトラニオンベースが共通に使用されるよう、トラニオンスペーサを介してトラニオンベースがシャシフレームに取付けられるようになった。
【0004】
ところが、このようなトラックは高荷重に耐えられる強度も必要となることがある。この場合、多くは別途、補強部材を用いて、シャシフレームを補強することが行われたり(例えば、特許文献1参照。)、シャシフレームにリーフスプリングの車幅方向の内側への撓みを規制するサイドストッパを取付けたりすることが行われる。
【0005】
【特許文献1】
実開平2−203号公報(第8−9図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、高荷重に耐えるようシャシフレームをその都度補強したり、車高に応じた外形のサイドストッパを用いたのでは、構造的に複雑でコスト的に高価になる問題がある。
【0007】
従って、本発明は簡単な構造で高荷重に耐えられるトラニオン式リーフサスペンション装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のトラニオン式リーフサスペンション装置では、トラニオンスペーサの前後部を、少なくともサイドストッパが取付く位置よりも延ばし、このトラニオンスペーサの前後両端部にサイドストッパを取付ける構成を採用した。同構成により、前後方向に延びるトラニオンスペーサにより、シャシフレームに対する取付け面が広くなるので、トラニオンスペーサを活用して、シャシフレームの剛性が高められる。
【0009】
しかも、トラニオンスペーサにサイドストッパが取付けられることによってサイドストッパはその都度、車高に応じて製作する必要もなくなり、簡単、かつコスト的に安価ですむ構造で、高荷重に耐えられる構造が実現される。
【0010】
請求項2に記載のトラニオン式リーフサスペンション装置では、上記目的に加え、サイドストッパとリーフスプリングとの隙間の調節が行えるよう隙間調節手段を設けた。
【0011】
請求項3に記載のトラニオン式リーフサスペンション装置では、上記目的に加え、高荷重に耐える安定した隙間の調節が行えるよう、隙間調節手段にはシムを用いたシム式隙間調節手段を採用した。
【0012】
請求項4に記載のトラニオン式リーフサスペンション装置では、さらに上記目的に加え、トラニオンスペーサを活用してアクスルの上方向への撓みを規制するバンプストッパを取付けた。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の一実施形態について、図1ないし図6を参照して説明する。
図1は、車両、例えば後輪二軸式のトラックのトラニオン式リーフサスペンション装置を示し、5は同トラックのシャシフレームを示している。シャシフレーム5は一対のサイドメンバ10(片側しか図示せず)とこれらサイドメンバ10の間に組付く複数のクロスメンバ10a(一本しか図示せず)とより構成される。そして図1(a)に示すようにシャシフレーム5の後方には、後輪の前側のアクスル11、後側のアクスル12が前後方向に並んで取付けられている。また、例えばアクスル11にはディファレンシャル13が設けてある。なお、本実施の形態で用いられるアクスルとは軸部と軸部を覆うアクスルハウジングを含む概念である。
【0014】
一方、15は左右一対のトラニオンベース、16は左右一対のトラニオンスペーサである。これらのトラニオンスペーサ16は、いずれも図2に示すようにサイドメンバ10の側面に、例えば複数のボルト17およびナット17aで固定されてサイドメンバ10の下方へ突き出る側面取付け板16aと、この側面取付け板16aの内側からサイドメンバ10下面およびクロスメンバ10aにならって突き出る上面取付け板16bと、同じく取付け板16bの下側に並行に配置される下面取付け板16cとより箱形状に構成される。
【0015】
各トラニオンスペーサ16は、車体の前後方向に延びていて、前後方向に細長く延びる箱構造をなしている。上面取付け板16bは、サイドメンバ10の下面およびクロスメンバ10aの下面に固定、例えばボルト18およびナット18aで固定されていて、先の取付け板16aと共同して、強固にトラニオンスペーサ16をシャシフレーム5に組付けている。なお、16dは上面取付け板16bと下面取付け板16cとの間に組付けられた補強プレートを示す。
【0016】
これらトラニオンスペーサ16は、図1(a),(b)に示すように、アクスル11,12の間の前後略中間から前後に対して対称に延びるように組付けてある。そして、各トラニオンスペーサ16の前後略中間には、先のトラニオンベース15が位置するようにそれぞれ取付けられている。詳しくは図2に示すように、トラニオンベース15は、上部に断面L形状の取付け座15aが形成されていて、取付け座15aの水平方向の座面15bが下面取付け板16cの下面に、例えば複数のボルト19およびナット19aで固定され、取付け座15aの垂直方向の座面15cが側面取付け板16aの側面に、例えばボルト20およびナット20aで固定されている。
【0017】
各トラニオンベース15の略中央には、スプリングシャフト23がトラニオンベース15より車幅方向外側に突き出るように支持してある。そして、各突き出た突出端部23aには、ロアーサドル24が回動自在に取付けられている。そして、各ロアーサドル24の上部に形成されたスプリング受け面24aにはそれぞれリーフスプリング25が支持されている。
【0018】
リーフスプリング25は、シャシフレーム5の車軸方向外側に車体前後方向に沿って配置され、いずれも長さの異なるリーフスプリング片25aがクリップ26で束ねられて構成される。そして、図1(a),(b)に示すように各リーフスプリング25の中央が固定板部30を用いて、それぞれスプリング受け面24aに固定してある。また、自由端となる前後両端部は、それぞれ前・後のアクスル11,12の上部に載っていて、アクスル11,12に付く後輪(図示せず)から入力される衝撃を緩衝できるようにしている。つまり、トラニオンサスペンション機構31を構成している。
【0019】
各トラニオンスペーサ16は、少なくともサイドストッパの取付け位置、例えばリーフスプリング25の前後端部の地点まで延びている。そして、各リーフスプリング25の前後端部とそれぞれ対向する取付け板16aの地点には、サイドストッパ33が取付けられている。
【0020】
サイドストッパ33はいずれも、例えば図3に示されるようにリーフスプリング25と向き合う縦壁状の接触部33aと、接触部33aを支持するホルダ33bとを組合わせた構造が用いてある。具体的には、例えばホルダ33bには、トラニオンスペーサ16の側面取付け板16aの前面に、例えば複数のボルト35およびナット(図示せず)で締結される側面取付け板33cと、下面取付け板16cの下面に、例えば複数のボルト36およびナット36aで締結される下面取付け板33dとを略T字状に取着した構造が用いてある。そして、側面取付け板33cの前面に接触部33aが取着してある。なお、33eは補強部材である。
【0021】
各サイドストッパ33には、それぞれ、隙間調節手段、例えばシム式の隙間調節機構37が設けられている。この隙間調節機構37は図4に示すように、例えば各ボルト36が貫通する下面取付け板33dのボルト穴の径をボルト36の外形よりも大きな径に定めて、ボルト35をゆるめることによりサイドストッパ33全体を車幅方向、すなわちリーフスプリング25と接離する方向へ摺動可能とした構造(支持部)と、サイドストッパ33の側面取付け板33cとトラニオンスペーサ16の側面取付け板16aの間に挟み込まれるシム40を組合わせた構造が用いられている。これにより、サイドストッパ33のリーフスプリング25との隙間が規定量を越えたようなときは、図4に示すように、適当な隙間量になるようサイドストッパ33とトラニオンスペーサ16との間にシム40を複数挟み込んで固定すればよいようにしてある。なお、シム40は板厚の異なるものを用いてもよい。
【0022】
こうした隙間調節機構37により、サイドストッパ33の接触部33aとリーフスプリング25との間の隙間量が調節できる構造にしてある。つまり、この隙間量の調節により、図5に示されるように後輪の前側アクスル11に加わる荷重によりリーフスプリング25が仮想線で示すように撓むと,サイドストッパ33の接触部33aと当接して撓みが図3に示す規定量L以内に規制される構造にしてある。
【0023】
一方、トラニオンスペーサ16の側面取付け板16aの前後方向両端部には、それぞれ後輪の前・後アクスル11,12と対向する位置にバンプストッパ43が取付けられている。また、バンプストッパ43は、それぞれ前・後アクスル11,12と対向する位置に緩衝材44が取付けられている。これにより、図6に示されるように過大な後輪の後側アクスル12の上方向の動きをバンプストッパ43の規制により規定量L以内に抑えられる構造にしている。
【0024】
このようにトラニオンスペーサ16の前後方向両端部をサイドストッパ33が配置される地点まで延ばした構造を用いると、高荷重の車両のためにトラニオンスペーサ16を組付けるだけで、シャシフレーム5に対する取付け面が広くなるので、共通部品となるトラニオンスペーサ16を活用してシャシフレーム5の剛性を高めることができる。しかも、トラニオンスペーサ16にサイドストッパ33が取付く構成により、サイドストッパ33は高荷重車の都度、車高に応じて製作する必要はなく、簡単で、かつ安価なコストで高荷重に耐えられる車両を実現することができる。
【0025】
しかも、隙間調節機構37により高荷重によるサイドストッパ33の接触部33aとリーフスプリング25との隙間の変化や部品精度および組み立て精度による隙間の誤差を適正に調節することができる。特にシム40を挟み込んで隙間量を保つシム式は、高荷重に耐えるので信頼性が高い。そのうえ、トラニオンスペーサ16にバンプストッパ43を設ける構造により、サイドストッパ33と同様、高荷重車毎に部品を製作しなくてすみ、さらにコストの低減を図ることができる。
【0026】
なお、本実施の形態では、隙間調節機構においてサイドストッパの下面取付け板に径の大きなボルト穴が設けられる構造を挙げたが、トラニオンスペーサの下面取付け板に設けられてもよく、径の大きな穴に限らず長孔でもよい。また他の手段で隙間を調節するようにしてもよい。また、実施形態ではサイドストッパが配置される地点までトラニオンスペーサを延ばした例を挙げたが、それ以上延ばしてもよい。
【0027】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、トラニオンスペーサのシャシフレームに対する取付け面が広くなるので、シャシフレームの剛性を高めることができ、さらにサイドストッパはトラニオンスペーサに取付けられるため、高荷重車両毎に製作する必要がなくなるので、簡単でかつ安価なコストで高荷重に耐えられる車両を実現することができる。
【0028】
請求項2に記載の発明によれば、上記効果に加えて、サイドストッパとリーフスプリングとの間の隙間を適正に調節することができる。
【0029】
請求項3に記載の発明によれば、上記効果に加えて、トラニオンスペーサとサイドストッパとの間にシムを挟み込んで隙間量を保つので、高荷重に耐えることができ、信頼性が向上する。
【0030】
請求項4に記載の発明によれば、上記効果に加えて、バンプストッパを高荷重車両毎に製作する必要がないので、コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明の一実施形態に係るトラニオン式リーフサスペンション装置の平面図。
(b)同じく正面図。
【図2】図1(b)中、A−A線に沿う断面図。
【図3】サイドストッパの構造を示す斜視図。
【図4】隙間調節機構の構造を示す斜視図。
【図5】サイドストッパがリーフスプリングの撓みを規制する状態を示す平面図。
【図6】図1(b)中、B−B線に沿う断面図。
【符号の説明】
5…シャシフレーム
11…後輪前側アクスル
12…後輪後側アクスル
15…トラニオンベース
16…トラニオンスペーサ
23…スプリングシャフト
24…ロワーサドル
25…リーフスプリング
31…トラニオンサスペンション機構
33…サイドストッパ(支持部)
37…隙間調節機構(シム式隙間調節手段)
40…シム
43…バンプストッパ。

Claims (4)

  1. 車体前後方向に延びるシャシフレームの下部に、トラニオンスペーサを介してトラニオンベースを設置し、同トラニオンベースに、シャシフレームの外側に突き出るスプリングシャフトを介してロアーサドルを回動自在に支持し、同ロアーサドルで車体前後方向に延びるリーフスプリングを支持し、該リーフスプリングの各端部を二軸後輪の前側アクスルおよび後側アクスルに載せてなるトラニオンサスペンション機構と、前記リーフスプリングの前後部と向き合うように前記シャシフレームに取付けられた一対のサイドストッパとを有して構成されるトラニオン式リーフサスペンション装置において、
    前記トラニオンスペーサは、少なくとも前記サイドストッパが取付く地点まで前後両端部が延びるように構成され、
    当該トラニオンスペーサの前後両端部に前記サイドストッパを取付けたことを特徴とするトラニオン式リーフサスペンション装置。
  2. 請求項1に記載のトラニオン式リーフサスペンション装置において、前記サイドストッパと前記リーフスプリングとの間の隙間を調節する隙間調節手段を具備することを特徴とするトラニオン式リーフサスペンション装置。
  3. 請求項2に記載のトラニオン式リーフサスペンション装置において、前記隙間調節手段は、前記サイドストッパを前記トラニオンスペーサに対して車幅方向に摺動可能に支持する支持部と、前記サイドストッパと前記トラニオンスペーサとの間に挟み込まれて隙間量を所定量に規定するシムとを有してなるシム式隙間調節手段であることを特徴とするトラニオン式リーフサスペンション装置。
  4. 請求項1に記載のトラニオン式リーフサスペンション装置において、前記トラニオンスペーサは、前記アクスルの挙動を規制するバンプストッパを有して構成されることを特徴とするトラニオン式リーフサスペンション装置。
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