JP2004202893A - インクジェットヘッドの駆動制御方法、インクジェットプリンタの駆動制御方法およびインクジェットプリンタ - Google Patents
インクジェットヘッドの駆動制御方法、インクジェットプリンタの駆動制御方法およびインクジェットプリンタ Download PDFInfo
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Abstract
【課題】印字速度の低下を招くことなく、インクノズルの目詰まりを防止するためのインクメニスカスの振動を適切に行わせることのできるシリアル型のインクジェットプリンタを提案すること。
【解決手段】静電式インクジェットヘッド110が、ホームポジションから印字領域に移動する間に、当該インクジェットヘッド110の静電アクチュエータの振動板電極119および固定側電極121の間にインクメニスカス振動用の駆動電圧パルスkPwを印加して、インク液滴を吐出させることなく、インクノズル115のインクメニスカスを振動させ、インクノズル115の目詰まりを防止する。この駆動電圧パルスkPwを台形波形とし、当該駆動電圧パルスの立下り時間Pwdgを、インクジェットヘッドの固有周期Toの1.5倍以上にする。これにより、当該駆動電圧パルスの電圧設定範囲を広くでき、簡単かつ確実に、インク液滴を吐出させることなくインクメニスカスを振動させて目詰まりを防止できる。
【選択図】 図7
【解決手段】静電式インクジェットヘッド110が、ホームポジションから印字領域に移動する間に、当該インクジェットヘッド110の静電アクチュエータの振動板電極119および固定側電極121の間にインクメニスカス振動用の駆動電圧パルスkPwを印加して、インク液滴を吐出させることなく、インクノズル115のインクメニスカスを振動させ、インクノズル115の目詰まりを防止する。この駆動電圧パルスkPwを台形波形とし、当該駆動電圧パルスの立下り時間Pwdgを、インクジェットヘッドの固有周期Toの1.5倍以上にする。これにより、当該駆動電圧パルスの電圧設定範囲を広くでき、簡単かつ確実に、インク液滴を吐出させることなくインクメニスカスを振動させて目詰まりを防止できる。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、静電アクチュエータによりインクノズルからインク液滴を吐出する構成のインクジェットヘッドの駆動制御方法に関し、特に、インクノズルのインクによる目詰まりを効率良く防止可能なインクジェットヘッドの駆動制御方法に関するものである。
【0002】
また、本発明は、静電アクチュエータを備えたインクジェットヘッドを記録媒体に対して相対移動させながら印字を行うシリアル型のインクジェットプリンタにおいて、インクノズルのインクによる目詰まりを印字速度の低下を招くことなく防止可能なインクジェットプリンタの駆動制御方法、および当該駆動方法を採用したインクジェットプリンタに関するものである。
【0003】
【従来の技術】
インクジェットプリンタのインクジェットヘッドとしては、静電気力を利用してインクを貯留したインク室の容積を変化させて、インク室に連通しているインクノズルからインク液滴を吐出させる静電アクチュエータを備えたもの(以下、静電式インクジェットヘッドと呼ぶ場合もある。)が知られている。
【0004】
ここで、インクジェットヘッドにおいては、非印字時間が長くなると、インクノズル内のインク粘度が増加して、インクノズルの目詰まりが発生する惧れがある。また、目詰まりしないまでも、インク液滴の吐出が正常に行われず、印字画質が劣化するなどの弊害が発生する惧れがある。インクノズル内のインク粘度の増加に伴って発生する弊害を防止するために、従来においては、インクノズルのインクメニスカスを振動させて、インクノズルがインクにより目詰まりしないようにしている。
【0005】
静電アクチュエータを備えたインクジェットヘッドの場合には、静電アクチュエータの対向電極間に印加する駆動電圧パルスを制御することにより、インクノズルからインク液滴を吐出させることなく、インクノズルのインクメニスカスを振動させるようにしている。例えば、下記の特許文献1では、1画素分の印字を行うための印字用の駆動電圧パルスを印加する直前に、インクメニスカスを振動させる程度の駆動電圧パルスを印加することにより、インクノズルの目詰まりを防止している。
【0006】
しかしながら、1画素分の印字毎に、インクメニスカスを振動させるための駆動電圧パルスを印加する方法では、1画素分を印字するための駆動周期が長くなってしまい、印字速度の低下を招くことになる。印字速度の低下を招くことなく、インクメニスカスを振動させる方法は、例えば下記の特許文献2に開示されている。ここに開示されている方法では、シリアル型のインクジェットプリンタにおいて、インクジェットヘッドが印字領域に到るまでの加減速時に、インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスを静電アクチュエータの対向電極間に印加するようにしている。この方法では、印字動作に関係していないインクジェットヘッドの移動時間を利用してインクメニスカスを振動させて目詰まりを防止しているので、印字速度の低下を招くことがない。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−353865号公報
【特許文献2】
特開2000−255056号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、インクジェットプリンタの小型化・コンパクト化、および印字の高密度化の要求に伴い、静電アクチュエータを備えたインクジェットヘッドの小型化・コンパクト化および多ノズル化が要求されている。かかる要求を満たすためには、インクジェットヘッドに組み込まれている静電アクチュエータの小型化、コンパクト化を図る必要があり、それに伴って、その対向電極間のギャップも狭くなり、駆動制御も高精度に行う必要がある。すなわち、対向電極間に印加されるインクメニスカス振動用の駆動電圧パルスの波形、電圧値が僅かに変動しても、インク液滴が吐出してしまう場合や、インクメニスカスが充分に振動しない場合が発生する惧れが高くなる。
【0009】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、インクノズルの目詰まりを防止するためのインクメニスカスの振動を適切に行わせることのできるインクジェットヘッドの駆動制御方法を提案することにある。
【0010】
また、本発明の課題は、印字速度の低下を招くことなく、インクノズルの目詰まりを防止するためのインクメニスカスの振動を適切に行わせることのできるシリアル型のインクジェットプリンタの駆動制御方法、および当該駆動制御方法により駆動制御されるインクジェットプリンタを提案することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明のイクジェットヘッドの駆動制御方法は、
一定間隔で対向配置されている振動板電極および固定側電極を備えた静電アクチュエータを有しているインクジェットヘッドの駆動制御方法において、
前記静電アクチュエータの前記振動板電極および前記固定側電極の間に印字用の駆動電圧パルスを印加して、前記インクジェットヘッドのインクノズルからインク液滴を吐出させ、
前記静電アクチュエータの前記振動板電極および前記固定側電極の間にインクメニスカス振動用の駆動電圧パルスを印加して、インク液滴を吐出させることなく、前記インクノズルのインクメニスカスを振動させ、
前記インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスを台形波形とし、当該駆動電圧パルスの立下り時間を、前記インクジェットヘッドの固有周期の1.5倍以上にすることを特徴としている。
【0012】
本発明によれば、インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスの電圧設定範囲を広くすることが可能になるので、インク液滴を吐出させることなくインクメニスカスを振動させる動作を確実に行わせることが可能になる。
【0013】
ここで、立下り時間をインクジェットヘッドの固有周期の1.5倍以上にした場合には、一般的に、前記インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスの周波数が、前記印字用の駆動電圧パルスの周波数よりも低くなる。
【0014】
次に、本発明において、前記インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスにおける立ち上がり部分および電圧値が一定に保持されるホールド部分の時間幅を、前記印字用の駆動電圧パルスにおける対応する部分の時間幅よりも短い値とすることが望ましい。このようにすれば、振動板電極が固定側電極に全面当接してしまうことを確実に防止できるので、当該インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスの電圧値設定範囲を一層広げることが可能になる。
【0015】
また、本発明において、前記インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスの電圧値を、前記印字用の駆動電圧パルスの電圧値よりも低い値とすることが望ましい。
【0016】
さらに、本発明において、インクメニスカスの振動時に、振動板電極と固定側電極の間に残留電荷が発生することを抑制あるいは回避するためには、前記インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスを連続して印加する場合に、その電界方向を正逆交互に反転させることが望ましい。
【0017】
次に、本発明のインクジェットプリンタの駆動制御方法は、
一定間隔で対向配置されている振動板電極および固定側電極を備えた静電アクチュエータを有しているインクジェットヘッドを、記録媒体に対して相対移動させ、
前記インクジェットヘッドが、前記記録媒体に対する印字領域を移動する間は、前記静電アクチュエータの前記振動板電極および前記固定側電極の間に印字用の駆動電圧パルスを印加して、前記インクジェットヘッドのインクノズルからインク液滴を吐出させ、
前記インクジェットヘッドが、前記印字領域を外れた領域を移動する間は、前記静電アクチュエータの前記振動板電極および前記固定側電極の間に、インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスを印加して、インク液滴を吐出させることなく、前記インクノズルのインクメニスカスを振動させ、
前記インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスを台形波形とし、当該駆動電圧パルスの立下り時間を、前記インクジェットヘッドの固有周期の1.5倍以上にすることを特徴としている。
【0018】
この場合においても、前記インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスの周波数を、前記印字用の駆動電圧パルスの周波数よりも低い値とすることが望ましい。
【0019】
また、前記インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスにおける立ち上がり部分および電圧値が一定に保持されるホールド部分の時間幅を、前記印字用の駆動電圧パルスにおける対応する部分の時間幅よりも短い値とすることが望ましい。
【0020】
さらに、前記インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスの電圧値を、前記印字用の駆動電圧パルスの電圧値よりも低い値とすることが望ましい。
【0021】
また、前記インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスを連続して印加する場合には、その電界方向を正逆交互に反転させることが望ましい。
【0022】
一方、本発明は、上記のインクジェットプリンタの駆動制御方法を用いたインクジェットプリンタに関するものであり、本発明のインクジェットプリンタは、前記インクジェットヘッドを記録媒体に対して往復移動させるヘッドキャリッジと、
前記キャリッジの移動位置を検出する検出手段と、
前記検出手段による検出結果に基づき、前記静電アクチュエータの前記振動板電極および前記固定側電極の間に、前記印字用の駆動電圧パルスおよび前記インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスのいずれかを印加するインクジェットヘッド駆動制御装置とを有しており、
前記インクジェットヘッドは、前記インクノズルに連通していると共にインクを保持しているインク室を備え、当該インク室の一部が、面外方向に弾性変位可能な前記振動板電極により形成されていることを特徴としている。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した静電式インクジェットヘッドを備えたインクジェットプリンタの実施の形態を説明する。
【0024】
(インクジェットプリンタの全体構成)
図1は本実施の形態に係る静電式インクジェットヘッドを備えたインクジェットプリンタを示す概略構成図である。
【0025】
本実施の形態に係るインクジェットプリンタ100は、記録紙102を主走査方向Yに向けて搬送するプラテン103と、このプラテン103にインクノズル面が対峙しているインクジェットヘッド110と、このインクジェットヘッド110を副走査方向Xに向けて往復移動させるためのキャリッジ105と、インクジェットヘッド110の各インクノズルにインクを供給するインクタンク106とを有している。プラテン103から副走査方向Xに外れた位置には、ノズルキャップ107が配置されており、このノズルキャップ107はインクポンプ108を介して廃インク回収部109に連通している。
【0026】
インクジェットヘッド110のインクノズル面がノズルキャップ107に対峙した位置が、インクジェットヘッド110のホームポジションP0である。インクジェットヘッド110は、このホームポジションP0から、ほぼプラテン103の幅に対応する印字領域(P1からP2までの範囲)を包含する範囲を往復移動可能となっている。印字待機状態では、インクジェットヘッド110はホームポジションP0に位置し、例えば、ノズルキャップ107がインクノズル面に被せられ、インクノズルの乾燥、目詰まり等が防止される。また、当該ホームポジションP0においては、インクノズルから印字に関係の無いインク液滴の吐出が行われて、インクノズルの目詰まりが防止される。このようなインクジェットヘッド110の回復動作は公知である。
【0027】
しかるに、本実施の形態に係るインクジェットプリンタ100では、インクジェットヘッド110がホームポジションP0から印字領域の端P1に到る移動中に、インクノズルのインクメニスカスを振動させることにより、インクによる目詰まりを防止する駆動(かかる動作を、以下においては、空駆動と呼ぶこともある。)を行っている。インクジェットヘッド110の移動位置の検出は、一般的に行われる方法と同様の方法により行う。例えば、キャリッジ105を駆動するためのステッピングモータ(図示せず)のステップ数に基づき検出する。
【0028】
(静電式インクジェットヘッド)
図2は、静電式インクジェットヘッド110を示す概略構成図である。静電式インクジェットヘッド110は、半導体からなるキャビティ基板112、同じく半導体からなるノズル基板113、およびガラス製の電極基板114を積層することにより構成されている。ノズル基板113には複数のインクノズル115が形成されている。ノズル基板113とキャビティ基板112の間には、各インクノズル115に連通する独立したインク室116が区画形成されており、各インク室116は細いインクオリフィス117を介して共通インク室118に連通している。共通インク室118には外部から不図示のインク供給経路を介してインクが供給される。
【0029】
各インク室116の底壁部分は面外方向に振動可能な振動板電極119が形成されており、各振動板電極119が共通電極として機能する。各振動板電極119に対峙している電極基板114の表面部分には凹部120がそれぞれ形成され、各凹部120の底面には、振動板電極119に所定の間隔で対峙している個別電極121(固定側電極)が形成されている。各振動板電極119と、それぞれに対峙している個別電極121とにより静電アクチュエータが構成されている。
【0030】
この静電アクチュエータに駆動電圧パルスを印加、すなわち、各振動板電極119と個別電極121の間に駆動電圧パルスを印加することによって発生する静電気力を利用して、振動板電極119を振動させるようになっている。振動板電極119の振動によって、インク室116の容積が増減し、これによってインク室116内に発生するインク圧力の変動に基づき、インク室116に連通しているインクノズル115からインク液滴122が吐出する。
【0031】
本例の静電式インクジェットヘッド110は、例えば、ノズル基板113に一列に形成された64個のインクノズル115を備えており、これら64個のインクノズル115から選択的にインク液滴を吐出させることにより、所望の文字や画像を印刷することが可能となっている。
【0032】
なお、図示の静電式インクジェットヘッド110は、ノズル基板113の上面に設けたインクノズルからインク液滴を吐出させるフェイスエジェクトタイプであるが、本発明の制御対象となる静電式インクジェットヘッドは、インク液滴を基板の端部に設けたインクノズルから吐出させるエッジエジェクトタイプでもよい。
【0033】
(インクジェットプリンタの制御系)
図3は、インクジェットプリンタ100の制御系を示す概略ブロック図である。この図を参照して、静電式インクジェットヘッド110を備えたインクジェットプリンタ100の制御系を説明する。本実施の形態に係るインクジェットプリンタ100は、静電式インクジェットヘッド110を駆動制御するためのインクジェットヘッド駆動制御装置1を有しており、このインクジェットヘッド駆動制御装置1は、CPUを中心に構成されたインクジェットヘッド制御部2を備えている。CPU2aには外部装置3からバス3aを介して印刷情報が供給され、また、内部バス2bを介してROM4a、RAM4bおよびキャラクタジェネレータ4cが接続されている。
【0034】
インクジェットヘッド制御部2では、RAM4b内の記憶領域を作業領域として用いて、ROM4a内に格納されている制御プログラムを実行し、キャラクタージェネレータ4cから発生するキャラクター情報に基づき、インクジェットヘッド駆動用の制御信号を生成する。制御信号は論理ゲートアレイ5および駆動パルス発生回路6を介して、印刷情報に対応した駆動制御信号となって、コネクタ7を経由して、ヘッド基板8に形成されたヘッドドライバIC9に供給される。また、ヘッドドライバIC9には、印字用の駆動電圧パルス信号V3、インクメニスカス振動用の駆動電圧パルス信号kV3、制御信号LP、極性反転制御信号REVなども供給される。
【0035】
ヘッドドライバIC9では、供給された上記の各信号および電源回路10から供給される駆動電圧Vpに基づき、静電式インクジェットヘッド110の各振動板電極119、すなわち共通電極に印加すべき駆動電圧パルスをその共通出力端子COMから出力し、各インクノズル115に対応する個別電極121に印加すべき駆動電圧パルスを、各個別電極121に対応した個数の個別出力端子SEGから出力する。共通出力端子COMの出力と個別出力端子SEGの出力との電位差が各インクノズル115に対応した各振動板電極119と、それぞれに対峙している個別電極121の間に印加される。駆動時(インク液滴の吐出時、インクメニスカスの振動時)には指定された向きの駆動電位差波形を与え、非駆動時には駆動電位差を与えないようになっている。
【0036】
ここで、インクジェットヘッド制御部2は、インクジェットヘッド110が搭載されているキャリッジ105(図1参照)の位置を検出するための検出部11を備えており、ここからの検出信号に基づき、キャリッジ105の駆動を制御する。また、キャリッジ105に搭載されているインクジェットヘッド110が、ホームポジションP0から印字領域の端P1に到る移動中において、インクジェットヘッド110のインクノズル115のインクメニスカスを振動させて、インクノズル115のインクによる目詰まりを防止する空駆動を行うようになっている。
【0037】
図4は、ヘッドドライバIC9の内部構成の一例を示す概略ブロック図である。ヘッドドライバIC9は電源回路10から高電圧系の駆動電圧Vpおよび論理回路系の駆動電圧Vccが供給されて動作するCMOSの64ビット出力の高耐圧ドライバである。ヘッドドライバIC9は、供給された駆動制御信号に応じて、駆動電圧パルスとGND電位の一方を、インクジェットヘッド110の各インクノズル115に対応する対向電極間に印加する。
【0038】
ヘッドドライバIC9における番号91は64ビットのシフトレジスタを示している。シフトレジスタ91は、シリアルデータとして論理ゲートアレイ5より送信された64ビット長のDI信号入力を、DI信号に同期する基本クロックパルスであるXSCLパルス信号入力によりデータをシフトアップし、シフトレジスタ91内のレジスタに格納するスタティクシフトレジスタとなっている。DI信号は、64個のインクノズルのそれぞれを選択するための選択情報をON/OFFにより示す制御信号であり、この信号がシリアルデータとして送信される。
【0039】
92は64ビットのラッチ回路であり、シフトレジスタ91内に格納された64ビットデータをラッチパルスLPによりラッチしてデータを格納し、格納されたデータを、64ビット反転回路93に信号出力するスタティクラッチである。ラッチ回路92では、シリアルデータのDI信号が各インクノズルの駆動を行なうための64セグメント出力を行うための64ビットのパラレル信号へと変換される。
【0040】
反転回路93では、ラッチ回路92から入力される信号と、REV信号との排他的論理和をレベルシフタ94へ出力する。レベルシフタ94は、反転回路93からの信号の電圧レベルをロジック系の電圧レベル(5Vレベルまたは3.3Vレベル)からヘッド駆動系の電圧レベル(0V〜45Vレベル)に変換するレベルインターフェイス回路である。
【0041】
SEGドライバ95は64チャンネルのトランスミッションゲート出力となっていて、レベルシフタ94の入力により、SEG1〜SEG64のセグメント出力に対して、駆動電圧パルス入力かまたはGND入力かの何れかを出力する。COMドライバは、REV入力に対して、駆動電圧パルス入力かまたはGND入力かの何れかをCOMへ出力する。
【0042】
XSCL、DI、LPとREVの各信号は、ロジック系の電圧レベルの信号であり、論理ゲートアレイ5よりヘッドドライバIC9に送信される信号である。
【0043】
このように、ヘッドドライバIC9を構成することにより、駆動するセグメント数(ノズル数)が増加した場合においても容易にヘッドの各インクノズルの駆動する駆動電圧パルスとGNDとを切り換え、かつ後述の正逆交互駆動を容易に実現することが可能となる。
【0044】
(通常の印字動作)
このように構成したインクジェットヘッド駆動制御装置1では、印字1画素を、連続した複数回のインク液滴を吐出することにより形成するように、静電式インクジェットヘッド110を駆動制御可能となっている。例えば最大3回のインク液滴を吐出することにより1画素を印字するように制御している。また、1画素印字期間におけるインク液滴の吐出回数を変更することにより、各画素の階調制御を行うことも可能となっている。
【0045】
図5には、外部装置3からの印字モード指令信号により1画素を最大3回のインク液滴の吐出により形成する印字モード(3ショット/画素モード)が指定された場合のタイミングチャートを示してある。図において、V3は、インクジェットヘッド制御部2の駆動パルス発生回路6からヘッドドライバIC9に供給される印字用の駆動電圧パルス信号である。LPおよびREVは上述のようにインクジェットヘッド制御部2の論理ゲートアレイ5からヘッドドライバIC9に供給される制御信号(ラッチパルス)および極性反転制御信号である。ドライバCOM出力は共通端子COMの出力であり、ドライバSEG出力は各個別端子SEGの出力である。COM−SEG電位差は、共通電極(振動板電極119)と個別電極121の間に発生する電位差(ノズル駆動電圧波形)である。なお、制御信号LPによって1画素印字期間が規定され、1画素を3ショットで形成するように制御される。
【0046】
また、ドライバCOM出力には、1画素印字期間T1、T2、T3・・・に現れる第1〜第3の印字用の駆動電圧パルスPw1、Pw2、Pw3のうち、第2の駆動電圧パルスPw2が現れ、それ以外はGNDに保持される。これに対して、ドライバSEG出力には、1画素を3回のインク液滴の吐出により形成する3ショット/画素による印字の場合には、第1および第3の駆動電圧パルスPw1、Pw3が現れ、1画素を2回のインク液滴の吐出により形成する2ショット/画素による印字の場合には第3の駆動電圧パルスPw3のみが現れ、1画素を1回のインク液滴の吐出により形成する1ショット/画素による印字の場合には第2および第3の駆動電圧パルスPw2およびPw3が現れる。
【0047】
この結果、振動板電極119と個別電極121の間に印加されるノズル駆動波形、すなわちCOM−SEG電位差が、逆方向、正方向および逆方向の順序で切り替わる。よって、3ショット/画素による印字の場合(1画素印字期間T1)には、逆駆動、正駆動および逆駆動による3回のインク液滴の吐出動作が行われ、2ショット/画素による印字の場合(1画素印字期間T2)には、第2および第3のインク液滴の吐出時点において正駆動および逆駆動の順序でインク液滴の吐出動作が行われ、1ショット/画素による印字の場合(1画素印字期間T3)には、第3のインク液滴の吐出時点において逆駆動によりインク液滴の吐出動作が行われる。
【0048】
また、極性反転信号REVによって連続するインク液滴の吐出動作時には、逆駆動および正駆動の順序、あるいはその逆の順序により、インクジェットヘッド110を正逆交互駆動しているので、振動板電極119と個別電極121の間に残留電荷が発生することを抑制あるいは回避できる。
【0049】
(インクメニスカス振動によるインクノズルの目詰まり防止動作)
図6には、インクジェットヘッド110がホームポジションP0から印字領域の一端を規定している位置P1に到る移動中に行われる空駆動を示すタイミングチャートである。この場合には、インクジェットヘッド制御部2の駆動パルス発生回路6からは、インクメニスカス振動用の駆動電圧パルス信号kV3が出力される。この場合においても、インクメニスカス振動用の各駆動電圧パルスkPw1、kPw2、kPw3・・・は、極性反転信号REVによて、正駆動および逆駆動が交互に行われるように、共通電極および個別電極に印加される。
【0050】
このように、インクジェットヘッド110が印字領域に到るまでの移動中に、各インクノズル115のインクメニスカスを振動させているので、印字速度の低下を招くことなく、インクノズルの目詰まりを防止できる。また、インクメニスカス振動時においても、正逆交互駆動によりインクメニスカスを振動させているので、振動板電極119と個別電極121の間の残留電荷が発生してしまうことを、確実に抑制あるいは回避できる。
【0051】
ここで、図7(a)、(b)にはインクメニスカス振動用の駆動電圧パルスkPwおよび印字用の駆動電圧パルスPwの各電圧波形を示してある。これらの図に示すように各駆動電圧パルスは台形波形であり、1周期分のパルス幅がPwig、Pwibであり、一定の勾配で立ち上がる充電部分のパルス幅がPwcg、Pwcbであり、立ち上がり後に一定電圧に保持されるホールド部分のパルス幅がPwhg、Pwhbであり、この後に一定の勾配で立ち下がる放電部分のパルス幅(立下り時間)がPwdg、Pwdbである。本例においては、インクメニスカス振動用の駆動パルスkPwの電圧波形が次の(1)〜(3)の条件を満足するように設定されている。
(1)インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスkPwの立下り時間、すなわち放電部分のパルス幅Pwdgは、インクジェットヘッドの固有周期Toの1.5倍以上の値である。例えば、インクジェットヘッドの固有周期の2倍の値に設定されている。ここで、Toとはインクジェットヘッドの固有周期であって、インク室とインクノズル等で構成されるインク流路のインクの音響定数であるイナータンスと、振動板やインク等のコンプライアンスにより主に決定される。このように設定すると、一般的には、インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスkPwの周期Pwigが、印字用の駆動電圧パルスPwの周期Pwibよりも長い値になる。換言すると、駆動電圧パルスkPwの駆動周波数は駆動電圧パルスPwの駆動周波数よりも低い値になる。
(2)インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスkPwにおける充電部分のパルス幅Pwcgとホールド部分のパルス幅Pwhgを合計したパルス長さPwgは、印字用の駆動電圧パルスPwの対応するパルス幅Pwbよりも短い値である。
(3)インクメニスカス振動用の駆動電圧パスルkPwの電圧値(kV3)は印字用の駆動電圧パルスPwの電圧値(V3)よりも低い値である。
【0052】
上記の条件(1)を満足することにより、インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスPwgの電圧値の設定範囲を広くできる。駆動電圧パルスkPwの電圧を徐々に高めていくと、或る電圧値を越えると、インクノズルからインク液滴が吐出することなり、インクメニスカス振動のみを行わせることが不可能になる。この電圧値を吐出限界電圧と呼ぶものとする。本発明者等は、パルス幅Pwgを一定として、放電部分のパルス幅Pwdgをインクジェットヘッドの固有周期Toよりも短い幅から2Toを越える幅に到るまで変更して、それぞれについての吐出限界電圧を測定した。
【0053】
この結果、図8(a)に示すように、従来において用いられているインクメニスカス振動用の駆動電圧パルス(放電部分のパルス幅が1μs)の場合の限界吐出電圧が18.0Vであるのに対して、放電部分のパルス幅Pwdgをインクジェットヘッドの固有周期Toの1.5倍以上にした場合には吐出限界電圧が19.0Vに上がり、固有周期Toの2倍にした場合には吐出限界電圧を19.5Vに上がることが確認された。
【0054】
図8(b)には、パルス幅Pwdgを2Toにした場合(実線I)と、Pwdgを1μsにした場合(破線II)とにおける、パルス長さPwgと限界吐出電圧との関係を示してある。図における斜線部分はインク液滴が吐出する領域である。
【0055】
この図からも分かるように、インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスkPwの放電部分のパルス幅Pwdgをインクジェットヘッドの固有周期Toの1.5倍以上にすることにより、当該インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスの電圧設定幅を広げることができる。よって、インク液滴を吐出させることなくインクメニスカスを振動させることのできる電圧設定幅が広くなるので、回路設計および制御が容易になり、インク液滴を吐出させることなく確実にインクメニスカスを振動させることができる。
【0056】
次に、上記の条件(2)および(3)を満足することにより、振動板電極119が対向電極である個別電極121に全面的に当接してしまうことを確実に防止することができる。この結果、インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスkPwの電圧設定幅を一層広げることができる。
【0057】
ここで、図9を参照して上記の条件(1)について考察する。振動板電極119の全面が個別電極に全面的に当接しないような短いパルス幅Pwgを備えている本例のような駆動電圧パルスkPwの場合(図9(a)参照)には、図9(b)に示すように、インクノズル115のインクメニスカス位置が時間的に変動する。
【0058】
図9(c)には、メニスカス位置の時間的な変動に対して、駆動電圧パルスkPwの放電部分のパルス幅Pwdgを、例えば、1μs、0.75To、1.5Toと変化させた場合の振動板電極の変位をそれぞれ曲線a、b、cにより示してある。放電部分の長さを長くすると、振動板電極119と個別電極の間に作用する静電力の減少速度が遅くなるので、振動板電極119が初期状態に弾性復帰する復帰動作速度が遅くなる。すなわち、図9(c)における点Aの位置からの変位速度が低下する。この結果、インクメニスカスの位置がインク吐出方向に最大となる時点と、振動板電極119が圧力室側へ最大に変位する時点との間に位相差が生ずる。この位相差によってインク液滴の吐出が抑制され、吐出限界電圧が高くなるものと考えられる。
【0059】
また、インクメニスカス位置の変動と振動板電極の変動が共振状態になるのは、放電部分のパルス幅Pwdg=Toの場合であると考えられ、この状態に近いPwdg=0.75Toの場合には共振に近い状態になるので、限界吐出電圧が低下するものと考えられる。
【0060】
一方、パルス幅PwdgをToよりも短くしても限界吐出電圧を上げることが可能であると思われる。しかし、この場合には、振動板電極の変位量が増加して、インク液滴が吐出し易くなり、限界吐出電圧を上げることが困難であると考えられる。
【0061】
さらに、放電部分のパルス幅PwdgをToよりも長くすると、インクメニスカス振動、および振動板電極の振動を減衰させることができ、この点からも、吐出限界電圧を高めることが可能であると考えられる。
【0062】
次に、図10を参照して、上記の条件(2)について考察する。パルス長さPwgが長く、振動板電極119の全面が個別電極121に当接するような場合の駆動タイミングを考える。このようにパルス長さPwgが長い場合の駆動電圧パルス波形を図10(a)に示す。この場合のインクメニスカス位置の変動は図10(b)に示すようになる。この図における点線で示す曲線は、パルス通電が継続した場合、すなわち、パルス長さPwgが無限に長い場合を示し、実線は点線に対して振動板電極119の振動の位相タイミングが逆位相となるタイミングで放電を開始する場合のインクメニスカス位置の変動を示してある。図10(c)にはこの場合の振動板電極119の変位を示す曲線である。
【0063】
ここで、図10(b)に実線で示すようにインクメニスカスが振動する理由は、通電が切れて、振動板電極119が復帰することにより、インクノズルのメニスカスが振動板電極119と同じように振動するためである。振動板電極119が当接した状態から復帰するときに、インク圧力室116の排除体積が大きいので、図に示すようにインクノズル115の吐出側にメニスカスが大きく張り出し、インクが吐出し易い状態になる。このため、パルス長さPwgが長く、振動板電極119が当接するようになると、限界吐出電圧を高くすることが困難になると考えられる。
【0064】
(その他の実施の形態)
上記の実施の形態では、条件(1)〜(3)を満足するように、インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスの電圧波形を設定しているが、基本的には、条件(1)を満足するように電圧波形を設定した場合、あるいは、条件(1)および(2)を満足するように電圧波形を設定した場合においても、インク液滴を吐出させることなく充分なインクメニスカス振動を発生させることが可能である。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のインクジェットヘッドの駆動制御方法においては、静電式インクジェットヘッドの対向電極間に印加するインクメニスカス振動用の駆動電圧パルスとして、その放電部分である立下り期間がインクジェットヘッドの固有周期の1.5倍以上の電圧波形を用いている。この結果、インクメニスカス位置がインク吐出側に移動するタイミングに対して、振動板電極が初期状態に復帰する動作を遅延させることができる。これにより、インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスを高くしてもインク液滴の吐出を防止できる。従って、本発明によれば、インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスの電圧設定範囲を広げることができ、簡単かつ、確実に、インクによるインクノズルの目詰まりを防止できる。
【0066】
また、本発明のインクジェットプリンタの駆動制御方法においては、かかるインクメニスカス振動によるインクノズルの目詰まり防止のための空駆動を、インクジェットヘッドが印字領域に移動する間に行うようにしている。従って、印字速度の低下を招くことなく、確実に、インクによるインクノズルの目詰まりを防止できる。
【0067】
さらに、本発明のインクジェットプリンタは、印字速度の低下を招くことなく、インクによるインクノズルの目詰まりが確実に防止されるので、高速印字を高印字品位で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したシリアル型のインクジェットプリンタを示す概略構成図である。
【図2】図1のインクジェットプリンタの静電式インクジェットヘッドの構成例を示す概略断面図である。
【図3】図1のインクジェットプリンタの制御系を中心に示す概略ブロック図である。
【図4】図3におけるヘッドドライバICの内部構成を示す概略ブロック図である。
【図5】図1のインクジェットプリンタにおける1〜3ショット/画素による印字動作時における各部の信号波形を示すタイミングチャートである。
【図6】図1のインクジェットプリンタにおける空駆動時における各部の信号波形を示すタイミングチャートである。
【図7】図1のインクジェットプリンタにおけるインクメニスカス振動用の駆動電圧パルスの電圧波形、および印字用の駆動電圧パルスの電圧波形を示す波形図である。
【図8】図1のインクジェットプリンタにおける空駆動に用いるインクメニスカス振動用の駆動電圧パルスの作用効果を示す説明図である。
【図9】本発明によるインクメニスカス振動用の駆動電圧パスルにおける放電部分のパルス幅(Pwdg)増減による影響をを示すための説明図である。
【図10】本発明によるインクメニスカス振動用の駆動電圧パルスにおけるパルス長さ(Pwg)増減による影響を示すための説明図である。
【符号の説明】
1 インクジェットヘッド駆動制御装置、2 インクジェットヘッド制御部、6駆動パルス発生回路、8 ヘッド基板、9 ヘッドドライバIC、11 位置検出部、100 インクジェットプリンタ、105 キャリッジ、110 インクジェットヘッド、115 インクノズル、116 インク室、117 インクオリフィス、118 共通インク室、119 振動板電極、121 個別電極(固定側電極)、Po ホームポジション、P1、P2 印字領域の両端位置、V3 印字用の駆動電圧パルス信号、kV3 インクメニスカス振動用の駆動電圧パルス信号、kPw インクメニスカス振動用の駆動電圧パルス、Pwig 駆動電圧パルスkPwの周期、Pwg 駆動電圧パルスPwigにおける充電開始から立下り開始位置までのパルス長さ、Pwdg 駆動電圧パルスPwigにおける放電部分のパルス幅(立下がり時間)、LP 制御信号、REV 極性反転制御信号、T1〜T3 1画素印字期間
【発明の属する技術分野】
本発明は、静電アクチュエータによりインクノズルからインク液滴を吐出する構成のインクジェットヘッドの駆動制御方法に関し、特に、インクノズルのインクによる目詰まりを効率良く防止可能なインクジェットヘッドの駆動制御方法に関するものである。
【0002】
また、本発明は、静電アクチュエータを備えたインクジェットヘッドを記録媒体に対して相対移動させながら印字を行うシリアル型のインクジェットプリンタにおいて、インクノズルのインクによる目詰まりを印字速度の低下を招くことなく防止可能なインクジェットプリンタの駆動制御方法、および当該駆動方法を採用したインクジェットプリンタに関するものである。
【0003】
【従来の技術】
インクジェットプリンタのインクジェットヘッドとしては、静電気力を利用してインクを貯留したインク室の容積を変化させて、インク室に連通しているインクノズルからインク液滴を吐出させる静電アクチュエータを備えたもの(以下、静電式インクジェットヘッドと呼ぶ場合もある。)が知られている。
【0004】
ここで、インクジェットヘッドにおいては、非印字時間が長くなると、インクノズル内のインク粘度が増加して、インクノズルの目詰まりが発生する惧れがある。また、目詰まりしないまでも、インク液滴の吐出が正常に行われず、印字画質が劣化するなどの弊害が発生する惧れがある。インクノズル内のインク粘度の増加に伴って発生する弊害を防止するために、従来においては、インクノズルのインクメニスカスを振動させて、インクノズルがインクにより目詰まりしないようにしている。
【0005】
静電アクチュエータを備えたインクジェットヘッドの場合には、静電アクチュエータの対向電極間に印加する駆動電圧パルスを制御することにより、インクノズルからインク液滴を吐出させることなく、インクノズルのインクメニスカスを振動させるようにしている。例えば、下記の特許文献1では、1画素分の印字を行うための印字用の駆動電圧パルスを印加する直前に、インクメニスカスを振動させる程度の駆動電圧パルスを印加することにより、インクノズルの目詰まりを防止している。
【0006】
しかしながら、1画素分の印字毎に、インクメニスカスを振動させるための駆動電圧パルスを印加する方法では、1画素分を印字するための駆動周期が長くなってしまい、印字速度の低下を招くことになる。印字速度の低下を招くことなく、インクメニスカスを振動させる方法は、例えば下記の特許文献2に開示されている。ここに開示されている方法では、シリアル型のインクジェットプリンタにおいて、インクジェットヘッドが印字領域に到るまでの加減速時に、インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスを静電アクチュエータの対向電極間に印加するようにしている。この方法では、印字動作に関係していないインクジェットヘッドの移動時間を利用してインクメニスカスを振動させて目詰まりを防止しているので、印字速度の低下を招くことがない。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−353865号公報
【特許文献2】
特開2000−255056号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、インクジェットプリンタの小型化・コンパクト化、および印字の高密度化の要求に伴い、静電アクチュエータを備えたインクジェットヘッドの小型化・コンパクト化および多ノズル化が要求されている。かかる要求を満たすためには、インクジェットヘッドに組み込まれている静電アクチュエータの小型化、コンパクト化を図る必要があり、それに伴って、その対向電極間のギャップも狭くなり、駆動制御も高精度に行う必要がある。すなわち、対向電極間に印加されるインクメニスカス振動用の駆動電圧パルスの波形、電圧値が僅かに変動しても、インク液滴が吐出してしまう場合や、インクメニスカスが充分に振動しない場合が発生する惧れが高くなる。
【0009】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、インクノズルの目詰まりを防止するためのインクメニスカスの振動を適切に行わせることのできるインクジェットヘッドの駆動制御方法を提案することにある。
【0010】
また、本発明の課題は、印字速度の低下を招くことなく、インクノズルの目詰まりを防止するためのインクメニスカスの振動を適切に行わせることのできるシリアル型のインクジェットプリンタの駆動制御方法、および当該駆動制御方法により駆動制御されるインクジェットプリンタを提案することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明のイクジェットヘッドの駆動制御方法は、
一定間隔で対向配置されている振動板電極および固定側電極を備えた静電アクチュエータを有しているインクジェットヘッドの駆動制御方法において、
前記静電アクチュエータの前記振動板電極および前記固定側電極の間に印字用の駆動電圧パルスを印加して、前記インクジェットヘッドのインクノズルからインク液滴を吐出させ、
前記静電アクチュエータの前記振動板電極および前記固定側電極の間にインクメニスカス振動用の駆動電圧パルスを印加して、インク液滴を吐出させることなく、前記インクノズルのインクメニスカスを振動させ、
前記インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスを台形波形とし、当該駆動電圧パルスの立下り時間を、前記インクジェットヘッドの固有周期の1.5倍以上にすることを特徴としている。
【0012】
本発明によれば、インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスの電圧設定範囲を広くすることが可能になるので、インク液滴を吐出させることなくインクメニスカスを振動させる動作を確実に行わせることが可能になる。
【0013】
ここで、立下り時間をインクジェットヘッドの固有周期の1.5倍以上にした場合には、一般的に、前記インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスの周波数が、前記印字用の駆動電圧パルスの周波数よりも低くなる。
【0014】
次に、本発明において、前記インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスにおける立ち上がり部分および電圧値が一定に保持されるホールド部分の時間幅を、前記印字用の駆動電圧パルスにおける対応する部分の時間幅よりも短い値とすることが望ましい。このようにすれば、振動板電極が固定側電極に全面当接してしまうことを確実に防止できるので、当該インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスの電圧値設定範囲を一層広げることが可能になる。
【0015】
また、本発明において、前記インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスの電圧値を、前記印字用の駆動電圧パルスの電圧値よりも低い値とすることが望ましい。
【0016】
さらに、本発明において、インクメニスカスの振動時に、振動板電極と固定側電極の間に残留電荷が発生することを抑制あるいは回避するためには、前記インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスを連続して印加する場合に、その電界方向を正逆交互に反転させることが望ましい。
【0017】
次に、本発明のインクジェットプリンタの駆動制御方法は、
一定間隔で対向配置されている振動板電極および固定側電極を備えた静電アクチュエータを有しているインクジェットヘッドを、記録媒体に対して相対移動させ、
前記インクジェットヘッドが、前記記録媒体に対する印字領域を移動する間は、前記静電アクチュエータの前記振動板電極および前記固定側電極の間に印字用の駆動電圧パルスを印加して、前記インクジェットヘッドのインクノズルからインク液滴を吐出させ、
前記インクジェットヘッドが、前記印字領域を外れた領域を移動する間は、前記静電アクチュエータの前記振動板電極および前記固定側電極の間に、インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスを印加して、インク液滴を吐出させることなく、前記インクノズルのインクメニスカスを振動させ、
前記インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスを台形波形とし、当該駆動電圧パルスの立下り時間を、前記インクジェットヘッドの固有周期の1.5倍以上にすることを特徴としている。
【0018】
この場合においても、前記インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスの周波数を、前記印字用の駆動電圧パルスの周波数よりも低い値とすることが望ましい。
【0019】
また、前記インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスにおける立ち上がり部分および電圧値が一定に保持されるホールド部分の時間幅を、前記印字用の駆動電圧パルスにおける対応する部分の時間幅よりも短い値とすることが望ましい。
【0020】
さらに、前記インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスの電圧値を、前記印字用の駆動電圧パルスの電圧値よりも低い値とすることが望ましい。
【0021】
また、前記インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスを連続して印加する場合には、その電界方向を正逆交互に反転させることが望ましい。
【0022】
一方、本発明は、上記のインクジェットプリンタの駆動制御方法を用いたインクジェットプリンタに関するものであり、本発明のインクジェットプリンタは、前記インクジェットヘッドを記録媒体に対して往復移動させるヘッドキャリッジと、
前記キャリッジの移動位置を検出する検出手段と、
前記検出手段による検出結果に基づき、前記静電アクチュエータの前記振動板電極および前記固定側電極の間に、前記印字用の駆動電圧パルスおよび前記インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスのいずれかを印加するインクジェットヘッド駆動制御装置とを有しており、
前記インクジェットヘッドは、前記インクノズルに連通していると共にインクを保持しているインク室を備え、当該インク室の一部が、面外方向に弾性変位可能な前記振動板電極により形成されていることを特徴としている。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した静電式インクジェットヘッドを備えたインクジェットプリンタの実施の形態を説明する。
【0024】
(インクジェットプリンタの全体構成)
図1は本実施の形態に係る静電式インクジェットヘッドを備えたインクジェットプリンタを示す概略構成図である。
【0025】
本実施の形態に係るインクジェットプリンタ100は、記録紙102を主走査方向Yに向けて搬送するプラテン103と、このプラテン103にインクノズル面が対峙しているインクジェットヘッド110と、このインクジェットヘッド110を副走査方向Xに向けて往復移動させるためのキャリッジ105と、インクジェットヘッド110の各インクノズルにインクを供給するインクタンク106とを有している。プラテン103から副走査方向Xに外れた位置には、ノズルキャップ107が配置されており、このノズルキャップ107はインクポンプ108を介して廃インク回収部109に連通している。
【0026】
インクジェットヘッド110のインクノズル面がノズルキャップ107に対峙した位置が、インクジェットヘッド110のホームポジションP0である。インクジェットヘッド110は、このホームポジションP0から、ほぼプラテン103の幅に対応する印字領域(P1からP2までの範囲)を包含する範囲を往復移動可能となっている。印字待機状態では、インクジェットヘッド110はホームポジションP0に位置し、例えば、ノズルキャップ107がインクノズル面に被せられ、インクノズルの乾燥、目詰まり等が防止される。また、当該ホームポジションP0においては、インクノズルから印字に関係の無いインク液滴の吐出が行われて、インクノズルの目詰まりが防止される。このようなインクジェットヘッド110の回復動作は公知である。
【0027】
しかるに、本実施の形態に係るインクジェットプリンタ100では、インクジェットヘッド110がホームポジションP0から印字領域の端P1に到る移動中に、インクノズルのインクメニスカスを振動させることにより、インクによる目詰まりを防止する駆動(かかる動作を、以下においては、空駆動と呼ぶこともある。)を行っている。インクジェットヘッド110の移動位置の検出は、一般的に行われる方法と同様の方法により行う。例えば、キャリッジ105を駆動するためのステッピングモータ(図示せず)のステップ数に基づき検出する。
【0028】
(静電式インクジェットヘッド)
図2は、静電式インクジェットヘッド110を示す概略構成図である。静電式インクジェットヘッド110は、半導体からなるキャビティ基板112、同じく半導体からなるノズル基板113、およびガラス製の電極基板114を積層することにより構成されている。ノズル基板113には複数のインクノズル115が形成されている。ノズル基板113とキャビティ基板112の間には、各インクノズル115に連通する独立したインク室116が区画形成されており、各インク室116は細いインクオリフィス117を介して共通インク室118に連通している。共通インク室118には外部から不図示のインク供給経路を介してインクが供給される。
【0029】
各インク室116の底壁部分は面外方向に振動可能な振動板電極119が形成されており、各振動板電極119が共通電極として機能する。各振動板電極119に対峙している電極基板114の表面部分には凹部120がそれぞれ形成され、各凹部120の底面には、振動板電極119に所定の間隔で対峙している個別電極121(固定側電極)が形成されている。各振動板電極119と、それぞれに対峙している個別電極121とにより静電アクチュエータが構成されている。
【0030】
この静電アクチュエータに駆動電圧パルスを印加、すなわち、各振動板電極119と個別電極121の間に駆動電圧パルスを印加することによって発生する静電気力を利用して、振動板電極119を振動させるようになっている。振動板電極119の振動によって、インク室116の容積が増減し、これによってインク室116内に発生するインク圧力の変動に基づき、インク室116に連通しているインクノズル115からインク液滴122が吐出する。
【0031】
本例の静電式インクジェットヘッド110は、例えば、ノズル基板113に一列に形成された64個のインクノズル115を備えており、これら64個のインクノズル115から選択的にインク液滴を吐出させることにより、所望の文字や画像を印刷することが可能となっている。
【0032】
なお、図示の静電式インクジェットヘッド110は、ノズル基板113の上面に設けたインクノズルからインク液滴を吐出させるフェイスエジェクトタイプであるが、本発明の制御対象となる静電式インクジェットヘッドは、インク液滴を基板の端部に設けたインクノズルから吐出させるエッジエジェクトタイプでもよい。
【0033】
(インクジェットプリンタの制御系)
図3は、インクジェットプリンタ100の制御系を示す概略ブロック図である。この図を参照して、静電式インクジェットヘッド110を備えたインクジェットプリンタ100の制御系を説明する。本実施の形態に係るインクジェットプリンタ100は、静電式インクジェットヘッド110を駆動制御するためのインクジェットヘッド駆動制御装置1を有しており、このインクジェットヘッド駆動制御装置1は、CPUを中心に構成されたインクジェットヘッド制御部2を備えている。CPU2aには外部装置3からバス3aを介して印刷情報が供給され、また、内部バス2bを介してROM4a、RAM4bおよびキャラクタジェネレータ4cが接続されている。
【0034】
インクジェットヘッド制御部2では、RAM4b内の記憶領域を作業領域として用いて、ROM4a内に格納されている制御プログラムを実行し、キャラクタージェネレータ4cから発生するキャラクター情報に基づき、インクジェットヘッド駆動用の制御信号を生成する。制御信号は論理ゲートアレイ5および駆動パルス発生回路6を介して、印刷情報に対応した駆動制御信号となって、コネクタ7を経由して、ヘッド基板8に形成されたヘッドドライバIC9に供給される。また、ヘッドドライバIC9には、印字用の駆動電圧パルス信号V3、インクメニスカス振動用の駆動電圧パルス信号kV3、制御信号LP、極性反転制御信号REVなども供給される。
【0035】
ヘッドドライバIC9では、供給された上記の各信号および電源回路10から供給される駆動電圧Vpに基づき、静電式インクジェットヘッド110の各振動板電極119、すなわち共通電極に印加すべき駆動電圧パルスをその共通出力端子COMから出力し、各インクノズル115に対応する個別電極121に印加すべき駆動電圧パルスを、各個別電極121に対応した個数の個別出力端子SEGから出力する。共通出力端子COMの出力と個別出力端子SEGの出力との電位差が各インクノズル115に対応した各振動板電極119と、それぞれに対峙している個別電極121の間に印加される。駆動時(インク液滴の吐出時、インクメニスカスの振動時)には指定された向きの駆動電位差波形を与え、非駆動時には駆動電位差を与えないようになっている。
【0036】
ここで、インクジェットヘッド制御部2は、インクジェットヘッド110が搭載されているキャリッジ105(図1参照)の位置を検出するための検出部11を備えており、ここからの検出信号に基づき、キャリッジ105の駆動を制御する。また、キャリッジ105に搭載されているインクジェットヘッド110が、ホームポジションP0から印字領域の端P1に到る移動中において、インクジェットヘッド110のインクノズル115のインクメニスカスを振動させて、インクノズル115のインクによる目詰まりを防止する空駆動を行うようになっている。
【0037】
図4は、ヘッドドライバIC9の内部構成の一例を示す概略ブロック図である。ヘッドドライバIC9は電源回路10から高電圧系の駆動電圧Vpおよび論理回路系の駆動電圧Vccが供給されて動作するCMOSの64ビット出力の高耐圧ドライバである。ヘッドドライバIC9は、供給された駆動制御信号に応じて、駆動電圧パルスとGND電位の一方を、インクジェットヘッド110の各インクノズル115に対応する対向電極間に印加する。
【0038】
ヘッドドライバIC9における番号91は64ビットのシフトレジスタを示している。シフトレジスタ91は、シリアルデータとして論理ゲートアレイ5より送信された64ビット長のDI信号入力を、DI信号に同期する基本クロックパルスであるXSCLパルス信号入力によりデータをシフトアップし、シフトレジスタ91内のレジスタに格納するスタティクシフトレジスタとなっている。DI信号は、64個のインクノズルのそれぞれを選択するための選択情報をON/OFFにより示す制御信号であり、この信号がシリアルデータとして送信される。
【0039】
92は64ビットのラッチ回路であり、シフトレジスタ91内に格納された64ビットデータをラッチパルスLPによりラッチしてデータを格納し、格納されたデータを、64ビット反転回路93に信号出力するスタティクラッチである。ラッチ回路92では、シリアルデータのDI信号が各インクノズルの駆動を行なうための64セグメント出力を行うための64ビットのパラレル信号へと変換される。
【0040】
反転回路93では、ラッチ回路92から入力される信号と、REV信号との排他的論理和をレベルシフタ94へ出力する。レベルシフタ94は、反転回路93からの信号の電圧レベルをロジック系の電圧レベル(5Vレベルまたは3.3Vレベル)からヘッド駆動系の電圧レベル(0V〜45Vレベル)に変換するレベルインターフェイス回路である。
【0041】
SEGドライバ95は64チャンネルのトランスミッションゲート出力となっていて、レベルシフタ94の入力により、SEG1〜SEG64のセグメント出力に対して、駆動電圧パルス入力かまたはGND入力かの何れかを出力する。COMドライバは、REV入力に対して、駆動電圧パルス入力かまたはGND入力かの何れかをCOMへ出力する。
【0042】
XSCL、DI、LPとREVの各信号は、ロジック系の電圧レベルの信号であり、論理ゲートアレイ5よりヘッドドライバIC9に送信される信号である。
【0043】
このように、ヘッドドライバIC9を構成することにより、駆動するセグメント数(ノズル数)が増加した場合においても容易にヘッドの各インクノズルの駆動する駆動電圧パルスとGNDとを切り換え、かつ後述の正逆交互駆動を容易に実現することが可能となる。
【0044】
(通常の印字動作)
このように構成したインクジェットヘッド駆動制御装置1では、印字1画素を、連続した複数回のインク液滴を吐出することにより形成するように、静電式インクジェットヘッド110を駆動制御可能となっている。例えば最大3回のインク液滴を吐出することにより1画素を印字するように制御している。また、1画素印字期間におけるインク液滴の吐出回数を変更することにより、各画素の階調制御を行うことも可能となっている。
【0045】
図5には、外部装置3からの印字モード指令信号により1画素を最大3回のインク液滴の吐出により形成する印字モード(3ショット/画素モード)が指定された場合のタイミングチャートを示してある。図において、V3は、インクジェットヘッド制御部2の駆動パルス発生回路6からヘッドドライバIC9に供給される印字用の駆動電圧パルス信号である。LPおよびREVは上述のようにインクジェットヘッド制御部2の論理ゲートアレイ5からヘッドドライバIC9に供給される制御信号(ラッチパルス)および極性反転制御信号である。ドライバCOM出力は共通端子COMの出力であり、ドライバSEG出力は各個別端子SEGの出力である。COM−SEG電位差は、共通電極(振動板電極119)と個別電極121の間に発生する電位差(ノズル駆動電圧波形)である。なお、制御信号LPによって1画素印字期間が規定され、1画素を3ショットで形成するように制御される。
【0046】
また、ドライバCOM出力には、1画素印字期間T1、T2、T3・・・に現れる第1〜第3の印字用の駆動電圧パルスPw1、Pw2、Pw3のうち、第2の駆動電圧パルスPw2が現れ、それ以外はGNDに保持される。これに対して、ドライバSEG出力には、1画素を3回のインク液滴の吐出により形成する3ショット/画素による印字の場合には、第1および第3の駆動電圧パルスPw1、Pw3が現れ、1画素を2回のインク液滴の吐出により形成する2ショット/画素による印字の場合には第3の駆動電圧パルスPw3のみが現れ、1画素を1回のインク液滴の吐出により形成する1ショット/画素による印字の場合には第2および第3の駆動電圧パルスPw2およびPw3が現れる。
【0047】
この結果、振動板電極119と個別電極121の間に印加されるノズル駆動波形、すなわちCOM−SEG電位差が、逆方向、正方向および逆方向の順序で切り替わる。よって、3ショット/画素による印字の場合(1画素印字期間T1)には、逆駆動、正駆動および逆駆動による3回のインク液滴の吐出動作が行われ、2ショット/画素による印字の場合(1画素印字期間T2)には、第2および第3のインク液滴の吐出時点において正駆動および逆駆動の順序でインク液滴の吐出動作が行われ、1ショット/画素による印字の場合(1画素印字期間T3)には、第3のインク液滴の吐出時点において逆駆動によりインク液滴の吐出動作が行われる。
【0048】
また、極性反転信号REVによって連続するインク液滴の吐出動作時には、逆駆動および正駆動の順序、あるいはその逆の順序により、インクジェットヘッド110を正逆交互駆動しているので、振動板電極119と個別電極121の間に残留電荷が発生することを抑制あるいは回避できる。
【0049】
(インクメニスカス振動によるインクノズルの目詰まり防止動作)
図6には、インクジェットヘッド110がホームポジションP0から印字領域の一端を規定している位置P1に到る移動中に行われる空駆動を示すタイミングチャートである。この場合には、インクジェットヘッド制御部2の駆動パルス発生回路6からは、インクメニスカス振動用の駆動電圧パルス信号kV3が出力される。この場合においても、インクメニスカス振動用の各駆動電圧パルスkPw1、kPw2、kPw3・・・は、極性反転信号REVによて、正駆動および逆駆動が交互に行われるように、共通電極および個別電極に印加される。
【0050】
このように、インクジェットヘッド110が印字領域に到るまでの移動中に、各インクノズル115のインクメニスカスを振動させているので、印字速度の低下を招くことなく、インクノズルの目詰まりを防止できる。また、インクメニスカス振動時においても、正逆交互駆動によりインクメニスカスを振動させているので、振動板電極119と個別電極121の間の残留電荷が発生してしまうことを、確実に抑制あるいは回避できる。
【0051】
ここで、図7(a)、(b)にはインクメニスカス振動用の駆動電圧パルスkPwおよび印字用の駆動電圧パルスPwの各電圧波形を示してある。これらの図に示すように各駆動電圧パルスは台形波形であり、1周期分のパルス幅がPwig、Pwibであり、一定の勾配で立ち上がる充電部分のパルス幅がPwcg、Pwcbであり、立ち上がり後に一定電圧に保持されるホールド部分のパルス幅がPwhg、Pwhbであり、この後に一定の勾配で立ち下がる放電部分のパルス幅(立下り時間)がPwdg、Pwdbである。本例においては、インクメニスカス振動用の駆動パルスkPwの電圧波形が次の(1)〜(3)の条件を満足するように設定されている。
(1)インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスkPwの立下り時間、すなわち放電部分のパルス幅Pwdgは、インクジェットヘッドの固有周期Toの1.5倍以上の値である。例えば、インクジェットヘッドの固有周期の2倍の値に設定されている。ここで、Toとはインクジェットヘッドの固有周期であって、インク室とインクノズル等で構成されるインク流路のインクの音響定数であるイナータンスと、振動板やインク等のコンプライアンスにより主に決定される。このように設定すると、一般的には、インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスkPwの周期Pwigが、印字用の駆動電圧パルスPwの周期Pwibよりも長い値になる。換言すると、駆動電圧パルスkPwの駆動周波数は駆動電圧パルスPwの駆動周波数よりも低い値になる。
(2)インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスkPwにおける充電部分のパルス幅Pwcgとホールド部分のパルス幅Pwhgを合計したパルス長さPwgは、印字用の駆動電圧パルスPwの対応するパルス幅Pwbよりも短い値である。
(3)インクメニスカス振動用の駆動電圧パスルkPwの電圧値(kV3)は印字用の駆動電圧パルスPwの電圧値(V3)よりも低い値である。
【0052】
上記の条件(1)を満足することにより、インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスPwgの電圧値の設定範囲を広くできる。駆動電圧パルスkPwの電圧を徐々に高めていくと、或る電圧値を越えると、インクノズルからインク液滴が吐出することなり、インクメニスカス振動のみを行わせることが不可能になる。この電圧値を吐出限界電圧と呼ぶものとする。本発明者等は、パルス幅Pwgを一定として、放電部分のパルス幅Pwdgをインクジェットヘッドの固有周期Toよりも短い幅から2Toを越える幅に到るまで変更して、それぞれについての吐出限界電圧を測定した。
【0053】
この結果、図8(a)に示すように、従来において用いられているインクメニスカス振動用の駆動電圧パルス(放電部分のパルス幅が1μs)の場合の限界吐出電圧が18.0Vであるのに対して、放電部分のパルス幅Pwdgをインクジェットヘッドの固有周期Toの1.5倍以上にした場合には吐出限界電圧が19.0Vに上がり、固有周期Toの2倍にした場合には吐出限界電圧を19.5Vに上がることが確認された。
【0054】
図8(b)には、パルス幅Pwdgを2Toにした場合(実線I)と、Pwdgを1μsにした場合(破線II)とにおける、パルス長さPwgと限界吐出電圧との関係を示してある。図における斜線部分はインク液滴が吐出する領域である。
【0055】
この図からも分かるように、インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスkPwの放電部分のパルス幅Pwdgをインクジェットヘッドの固有周期Toの1.5倍以上にすることにより、当該インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスの電圧設定幅を広げることができる。よって、インク液滴を吐出させることなくインクメニスカスを振動させることのできる電圧設定幅が広くなるので、回路設計および制御が容易になり、インク液滴を吐出させることなく確実にインクメニスカスを振動させることができる。
【0056】
次に、上記の条件(2)および(3)を満足することにより、振動板電極119が対向電極である個別電極121に全面的に当接してしまうことを確実に防止することができる。この結果、インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスkPwの電圧設定幅を一層広げることができる。
【0057】
ここで、図9を参照して上記の条件(1)について考察する。振動板電極119の全面が個別電極に全面的に当接しないような短いパルス幅Pwgを備えている本例のような駆動電圧パルスkPwの場合(図9(a)参照)には、図9(b)に示すように、インクノズル115のインクメニスカス位置が時間的に変動する。
【0058】
図9(c)には、メニスカス位置の時間的な変動に対して、駆動電圧パルスkPwの放電部分のパルス幅Pwdgを、例えば、1μs、0.75To、1.5Toと変化させた場合の振動板電極の変位をそれぞれ曲線a、b、cにより示してある。放電部分の長さを長くすると、振動板電極119と個別電極の間に作用する静電力の減少速度が遅くなるので、振動板電極119が初期状態に弾性復帰する復帰動作速度が遅くなる。すなわち、図9(c)における点Aの位置からの変位速度が低下する。この結果、インクメニスカスの位置がインク吐出方向に最大となる時点と、振動板電極119が圧力室側へ最大に変位する時点との間に位相差が生ずる。この位相差によってインク液滴の吐出が抑制され、吐出限界電圧が高くなるものと考えられる。
【0059】
また、インクメニスカス位置の変動と振動板電極の変動が共振状態になるのは、放電部分のパルス幅Pwdg=Toの場合であると考えられ、この状態に近いPwdg=0.75Toの場合には共振に近い状態になるので、限界吐出電圧が低下するものと考えられる。
【0060】
一方、パルス幅PwdgをToよりも短くしても限界吐出電圧を上げることが可能であると思われる。しかし、この場合には、振動板電極の変位量が増加して、インク液滴が吐出し易くなり、限界吐出電圧を上げることが困難であると考えられる。
【0061】
さらに、放電部分のパルス幅PwdgをToよりも長くすると、インクメニスカス振動、および振動板電極の振動を減衰させることができ、この点からも、吐出限界電圧を高めることが可能であると考えられる。
【0062】
次に、図10を参照して、上記の条件(2)について考察する。パルス長さPwgが長く、振動板電極119の全面が個別電極121に当接するような場合の駆動タイミングを考える。このようにパルス長さPwgが長い場合の駆動電圧パルス波形を図10(a)に示す。この場合のインクメニスカス位置の変動は図10(b)に示すようになる。この図における点線で示す曲線は、パルス通電が継続した場合、すなわち、パルス長さPwgが無限に長い場合を示し、実線は点線に対して振動板電極119の振動の位相タイミングが逆位相となるタイミングで放電を開始する場合のインクメニスカス位置の変動を示してある。図10(c)にはこの場合の振動板電極119の変位を示す曲線である。
【0063】
ここで、図10(b)に実線で示すようにインクメニスカスが振動する理由は、通電が切れて、振動板電極119が復帰することにより、インクノズルのメニスカスが振動板電極119と同じように振動するためである。振動板電極119が当接した状態から復帰するときに、インク圧力室116の排除体積が大きいので、図に示すようにインクノズル115の吐出側にメニスカスが大きく張り出し、インクが吐出し易い状態になる。このため、パルス長さPwgが長く、振動板電極119が当接するようになると、限界吐出電圧を高くすることが困難になると考えられる。
【0064】
(その他の実施の形態)
上記の実施の形態では、条件(1)〜(3)を満足するように、インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスの電圧波形を設定しているが、基本的には、条件(1)を満足するように電圧波形を設定した場合、あるいは、条件(1)および(2)を満足するように電圧波形を設定した場合においても、インク液滴を吐出させることなく充分なインクメニスカス振動を発生させることが可能である。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のインクジェットヘッドの駆動制御方法においては、静電式インクジェットヘッドの対向電極間に印加するインクメニスカス振動用の駆動電圧パルスとして、その放電部分である立下り期間がインクジェットヘッドの固有周期の1.5倍以上の電圧波形を用いている。この結果、インクメニスカス位置がインク吐出側に移動するタイミングに対して、振動板電極が初期状態に復帰する動作を遅延させることができる。これにより、インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスを高くしてもインク液滴の吐出を防止できる。従って、本発明によれば、インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスの電圧設定範囲を広げることができ、簡単かつ、確実に、インクによるインクノズルの目詰まりを防止できる。
【0066】
また、本発明のインクジェットプリンタの駆動制御方法においては、かかるインクメニスカス振動によるインクノズルの目詰まり防止のための空駆動を、インクジェットヘッドが印字領域に移動する間に行うようにしている。従って、印字速度の低下を招くことなく、確実に、インクによるインクノズルの目詰まりを防止できる。
【0067】
さらに、本発明のインクジェットプリンタは、印字速度の低下を招くことなく、インクによるインクノズルの目詰まりが確実に防止されるので、高速印字を高印字品位で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したシリアル型のインクジェットプリンタを示す概略構成図である。
【図2】図1のインクジェットプリンタの静電式インクジェットヘッドの構成例を示す概略断面図である。
【図3】図1のインクジェットプリンタの制御系を中心に示す概略ブロック図である。
【図4】図3におけるヘッドドライバICの内部構成を示す概略ブロック図である。
【図5】図1のインクジェットプリンタにおける1〜3ショット/画素による印字動作時における各部の信号波形を示すタイミングチャートである。
【図6】図1のインクジェットプリンタにおける空駆動時における各部の信号波形を示すタイミングチャートである。
【図7】図1のインクジェットプリンタにおけるインクメニスカス振動用の駆動電圧パルスの電圧波形、および印字用の駆動電圧パルスの電圧波形を示す波形図である。
【図8】図1のインクジェットプリンタにおける空駆動に用いるインクメニスカス振動用の駆動電圧パルスの作用効果を示す説明図である。
【図9】本発明によるインクメニスカス振動用の駆動電圧パスルにおける放電部分のパルス幅(Pwdg)増減による影響をを示すための説明図である。
【図10】本発明によるインクメニスカス振動用の駆動電圧パルスにおけるパルス長さ(Pwg)増減による影響を示すための説明図である。
【符号の説明】
1 インクジェットヘッド駆動制御装置、2 インクジェットヘッド制御部、6駆動パルス発生回路、8 ヘッド基板、9 ヘッドドライバIC、11 位置検出部、100 インクジェットプリンタ、105 キャリッジ、110 インクジェットヘッド、115 インクノズル、116 インク室、117 インクオリフィス、118 共通インク室、119 振動板電極、121 個別電極(固定側電極)、Po ホームポジション、P1、P2 印字領域の両端位置、V3 印字用の駆動電圧パルス信号、kV3 インクメニスカス振動用の駆動電圧パルス信号、kPw インクメニスカス振動用の駆動電圧パルス、Pwig 駆動電圧パルスkPwの周期、Pwg 駆動電圧パルスPwigにおける充電開始から立下り開始位置までのパルス長さ、Pwdg 駆動電圧パルスPwigにおける放電部分のパルス幅(立下がり時間)、LP 制御信号、REV 極性反転制御信号、T1〜T3 1画素印字期間
Claims (11)
- 一定間隔で対向配置されている振動板電極および固定側電極を備えた静電アクチュエータを有しているインクジェットヘッドの駆動制御方法において、
前記静電アクチュエータの前記振動板電極および前記固定側電極の間に印字用の駆動電圧パルスを印加して、前記インクジェットヘッドのインクノズルからインク液滴を吐出させ、
前記静電アクチュエータの前記振動板電極および前記固定側電極の間にインクメニスカス振動用の駆動電圧パルスを印加して、インク液滴を吐出させることなく、前記インクノズルのインクメニスカスを振動させ、
前記インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスを台形波形とし、当該駆動電圧パルスの立下り時間を、前記インクジェットヘッドの固有周期の1.5倍以上にすることを特徴とするインクジェットヘッドの駆動制御方法。 - 請求項1において、
前記インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスの周波数を、前記印字用の駆動電圧パルスの周波数よりも低い値としたことを特徴とするインクジェットヘッドの駆動制御方法。 - 請求項1または2において、
前記インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスにおける立ち上がり部分および電圧値が一定に保持されるホールド部分の時間幅を、前記印字用の駆動電圧パルスにおける対応する部分の時間幅よりも短い値としたことを特徴とするインクジェットヘッドの駆動制御方法。 - 請求項1、2または3において、
前記インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスの電圧値を、前記印字用の駆動電圧パルスの電圧値よりも低い値としたことを特徴とするインクジェットヘッドの駆動制御方法。 - 請求項1、2、3または4において、
前記インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスを連続して印加する場合には、その電界方向を正逆交互に反転させることを特徴とするインクジェットヘッドの駆動制御方法。 - 一定間隔で対向配置されている振動板電極および固定側電極を備えた静電アクチュエータを有しているインクジェットヘッドを、記録媒体に対して相対移動させ、
前記インクジェットヘッドが、前記記録媒体に対する印字領域を移動する間は、前記静電アクチュエータの前記振動板電極および前記固定側電極の間に印字用の駆動電圧パルスを印加して、前記インクジェットヘッドのインクノズルからインク液滴を吐出させ、
前記インクジェットヘッドが、前記印字領域を外れた領域を移動する間は、前記静電アクチュエータの前記振動板電極および前記固定側電極の間に、インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスを印加して、インク液滴を吐出させることなく、前記インクノズルのインクメニスカスを振動させ、
前記インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスを台形波形とし、当該駆動電圧パルスの立下り時間を、前記インクジェットヘッドの固有周期の1.5倍以上にすることを特徴とするインクジェットプリンタの駆動制御方法。 - 請求項6において、
前記インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスの周波数を、前記印字用の駆動電圧パルスの周波数よりも低い値としたことを特徴とするインクジェットプリンタの駆動制御方法。 - 請求項6または7において、
前記インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスにおける電圧値が一定に保持されるホールド部分の時間幅を、前記印字用の駆動電圧パルスにおけるホールド部分の時間幅よりも短い値としたことを特徴とするインクジェットプリンタの駆動制御方法。 - 請求項6、7または8において、
前記インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスの電圧値を、前記印字用の駆動電圧パルスの電圧値よりも低い値としたことを特徴とするインクジェットプリンタの駆動制御方法。 - 請求項6、7、8または9において、
前記インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスを連続して印加する場合には、その電界方向を正逆交互に反転させることを特徴とするインクジェットプリンタの駆動制御方法。 - 請求項6ないし10のうちのいずれかの項に記載の駆動制御方法を用いたインクジェットプリンタであって、
前記インクジェットヘッドを記録媒体に対して往復移動させるヘッドキャリッジと、
前記キャリッジの移動位置を検出する検出手段と、
前記検出手段による検出結果に基づき、前記静電アクチュエータの前記振動板電極および前記固定側電極の間に、前記印字用の駆動電圧パルスおよび前記インクメニスカス振動用の駆動電圧パルスのいずれかを印加するインクジェットヘッド駆動制御装置とを有しており、
前記インクジェットヘッドは、前記インクノズルに連通していると共にインクを保持しているインク室を備え、当該インク室の一部が、面外方向に弾性変位可能な前記振動板電極により形成されていることを特徴とするインクジェットプリンタ。
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JP2019059130A (ja) * | 2017-09-27 | 2019-04-18 | ブラザー工業株式会社 | 液体吐出装置 |
-
2002
- 2002-12-25 JP JP2002375565A patent/JP2004202893A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
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