JP2004202370A - 水処理剤及びその使用方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】防菌・防藻効果、腐食抑制効果及びスケール付着抑制効果を有する様々な有効成分の溶解速度調節として、昇華性を示す溶解速度調節剤を用い、一定の使用期間中水冷式冷却塔システムのスライム・藻の発生、金属配管及び熱交換部分等への腐食・スケール付着を防止することができる水処理剤及びその使用方法の提供。
【解決手段】防菌・防藻剤及び腐食抑制剤及びスケール付着抑制剤から選択される1種又は2種以上の有効成分とカンフル、ナフタレン等の昇華性物質を混合し成型した水処理剤。
【選択図】 なし
【解決手段】防菌・防藻剤及び腐食抑制剤及びスケール付着抑制剤から選択される1種又は2種以上の有効成分とカンフル、ナフタレン等の昇華性物質を混合し成型した水処理剤。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は水冷式冷却塔システムの充填材等に付着するスライム及び藻の発生を防ぎ、さらに配管及び熱交換器部位に起きる腐食を防ぐとともに、カルシウム及びシリカを主体とするスケールが固着することを防止することができる腐食防止及びスケール付着抑制を目的とする技術に関わり、さらに詳しくは昇華性物質を溶解速度調節剤とする水処理剤及びその使用方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、水冷式冷却塔(クーリングタワー)は水の使用にともない、充填材付近等においてスライムの生成や藻の繁殖が生じる。この障害は機器の破損を引き起こす原因になり、同時にそれらは人体に有害なレジオネラ属菌の温床にもなりうる。また金属配管や熱交換器部分においては鉄及び銅の錆が発生し、配管内の流れを悪化させ、はなはだしい場合には配管及び熱交換器配管が腐食によって穴があき使用停止の状態となることが知られている。さらに水の濃縮にともない、カルシウム系化合物やシリカ系化合物が固着したスケールが生成し、配管内の水の流れを悪化させ、場合によっては配管の閉塞や熱交換器部分での高圧カットなどを引き起こす原因ともなる事が知られている。
それら障害を防止する方法として腐食抑制やスケール付着防止剤及び殺菌剤などを含有する一液型水処理剤が提案されている。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
【特許文献1】
特開平9−52090号公報 (第3頁、表1等)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
様々な効果を持つ液剤タイプの水処理剤は、水冷式冷却塔にある保有水中の薬剤濃度管理が比較的容易であるため多用されてきているが、それら濃度管理を正確に行うためには、逐次薬剤を滴下する専用の機器を購入する設備投資が必要となる。また専用の施用機器内への液剤の補給作業などを含めた維持管理等の作業手間も必要とし、空調のみを目的とする夏季限定使用者にとって、これら設備投資や専用機器の維持管理等の作業は面倒なものといえる。そこでこれらユーザーには薬剤管理が不要な1シーズンあたり1回の投入で済む固形型水処理剤が必要とされるが、一般に水冷式冷却塔に使用される防菌剤、防藻剤、腐食抑制剤及び/又はスケール付着抑制剤は、水への溶解性及び溶解速度が高く、これら成分を水中内で一定期間徐放化させる固形剤は知られていなかった。
本発明の課題は水中における有効成分の長期徐放化に優れ、かつ防菌、防藻、腐食抑制及び/又はスケール付着抑制効果に優れた総合水処理剤を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために溶解速度調節について種々検討したところ、昇華性物質を用いて固形製剤と成すことにより、長期徐放化に優れた水処理剤が得られることを見出し本発明を完成させた。かつ、各種成分を適宜配合することにより、防菌、防藻、防錆又は/及びスケール付着抑制効果に優れた総合水処理剤を完成させた。本発明は、防菌剤、防藻剤、腐食抑制剤及びスケール付着抑制剤から選択される1種又は2種以上の有効成分及び昇華性物質を含有することを特徴とする固形水処理剤に関するものである。また、この水処理剤を冷却塔に浸漬して使用するという簡便な処理方法により長期に亘って持続的な水冷式冷却塔の防菌、スライム・藻の繁殖抑制、腐食の抑制及び/又はスケール付着抑制方法に関するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の水処理剤に用いられる組成物は、上記防菌剤、防藻剤、腐食抑制剤及びスケール付着抑制剤から選択される1種又は2種以上の有効成分と昇華性物質を含有し、有効成分は1種または2種以上を任意の割合で混合することができる。有効成分の合計量は水処理剤100重量%に対して総量の下限が5重量%、上限が95重量%、好ましくは下限が10重量%、上限が90重量%、より好ましくは下限が20重量%、上限が80重量%であり、昇華性物質の総量は下限が5重量%、上限が95重量%との混合によって得られた組成物を成型することによって得られる。
【0007】
成型方法としては、各成分の粉末混合物を加圧成型する方法、粉末混合物を押し出し造粒法等の方法により顆粒化した後加圧成型する方法、混合後又融解して又は融解後に混合して、更に射出や型への流し込み等の後冷却して成型する方法等が挙げられる。また、各成分を布等の担体に融着することもできる。成型に際しては、必要に応じて溶解剤、ゲル化剤、固化剤等を添加してから成型しても良い。成型体の形状としては、用途や必要とされる有効成分の溶解速度等の条件に応じて適宜成型することができ、粒状、球状、板状、円盤状、円錐状、円柱状、角柱状、筒状、穴明き円板状等の任意の形状でよい。好ましくは防菌剤、防藻剤、腐食抑制剤及びスケール付着抑制剤から選択される1種又は2種以上の有効成分と昇華性物質とを十分に攪拌・混合後に加圧成型することにより調製される。
【0008】
本発明に用いられる昇華性物質の例としてはパラジクロロベンゼン、カンフル、ナフタレン、ボルネオール、アダマンタン、シクロドデカン、トリイソプロピルトリオキサン、ジメトキシベンゼン及びクマリン等が挙げられるが、環境への負荷の面から非ハロゲン系の昇華性物質が望ましい。また冷却塔部材に対する影響が少なく、かつ臭気面から微臭及び無臭であるものが望ましい。トリイソプロピルトリオキサンが特に好ましいものとして例示できる。
本発明に用いられる防菌剤、防藻剤、腐食抑制剤及びスケール防止剤等の有効成分は粉末であれば何ら差し支えない。液状の場合はあらかじめ固体担体等を用いて粉末状又はゲル状にするか又は他の成分との混合時に添加することにより用いることができる。操作上、性能面で粉末状有効成分を用いることが望ましい。
【0009】
本発明に用いる防菌剤、防藻剤の有効成分物質としてはN−オクチルイソチアゾロン、安息香酸アルカリ金属塩、ヨードプロパルギルブチルカーバメート、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、硝酸銀等の銀イオンを有する無機塩、ピリジンチオール−1−オキシドナトリウム、チアベンダゾール、ベンゾイソチアゾロン等を例示することができ、腐食抑制剤としてはモリブデリン酸アルカリ金属塩、ベンゾトリアゾール等を例示することができ、スケール防止剤としてはアミノトリメチレンホスホン酸アルカリ金属塩、ホスホノブタントリカルボン酸アルカリ金属塩、アクリル酸系ポリマー、マレイン酸系ポリマー等を例示することができる。また腐食抑制剤及びスケール付着抑制剤としてはポリリン酸ナトリウム金属塩等のポリリン酸アルカリ金属塩を例示できる。
【0010】
本発明の固形水処理剤には、上記成分以外に必要に応じて各種添加剤例えば界面活性剤、着色剤、結合剤、香料、滑沢剤、固化剤、ゲル化剤、高分子担体、多孔質担体等の成分を配合してもよい。
こうして得られた成型体を、目的とする水系、例えば水冷式冷却塔の保有水中に設置・浸漬することによって、好適にスライムや藻或いはレジオネラ菌等の水生有害生物等の発生を抑制することができ、さらには金属の腐食及びスケールの付着を抑制することができる。設置については、例えば浸漬することで常時水系と接していても良く、また、流動水、還流水等を利用して間歇的に水系に接触させても良い。安定した溶出制御のためには保有水への浸漬がより望ましい。直接設置、浸漬等しても良く、また容器等に入れて設置、浸漬等しても良いが、回収の手間等を考慮すれば直接浸漬するほうが望ましい。昇華性物質を用いているため水系への有機物質等の負荷が少なく回収の手間が省ける。
【0011】
本発明の水処理剤は、各種冷却水系等に利用することができる。好ましくは、大部分の水が循環再利用されるような水系への適用が良い。また、その水系の一部が外気に開放されており、水の微粒子が飛散するような系への適用もできる。このような水系には、例えば、水冷式冷却系、例えば、クーリングタワー等が例示できる。
【0012】
【実施例】
以下に、本発明の水処理剤の処方例及び試験例等を示すが、本発明はこれらに限られるものではない。
処方例.
(No.1)
ヘキサメタリン酸ナトリウム塩75gとトリイソプロピルトリオキサン25gとを混合することより得られた粉末を加圧成形して、直径50mm、重量60gの円盤状成型体を得た。
(No.2)
ヘキサメタリン酸ナトリウム塩55gとトリイソプロピルトリオキサン45gとを混合することより得られた粉末を加圧成形して、直径50mm、重量60gの円盤状成型体を得た。
【0013】
(No.3)
ヘキサメタリン酸ナトリウム塩40gとトリイソプロピルトリオキサン60gとを混合することより得られた粉末を加圧成形して、直径50mm、重量60gの円盤状成型体を得た。
(No.4)
ヘキサメタリン酸ナトリウム塩20gとトリイソプロピルトリオキサン80gとを混合することより得られた粉末を加圧成形して、直径50mm、重量60gの円盤状成型体を得た。
【0014】
(No.5)
ヨードプロパルギルブチルカーバメート20gとトリイソプロピルトリオキサン80gとを混合することより得られた粉末を加圧成形して、直径50mm、重量50gの円盤状成型体を得た。
(No.6)
ヨードプロパルギルブチルカーバメート10gとヘキサメタリン酸ナトリウム塩30gとトリイソプロピルトリオキサン60gとを混合することより得られた粉末を加圧成形して、直径50mm、重量70gの円盤状成型体を得た。
【0015】
試験例1.
上記処方例No.1〜4によって得られた成型体を用い、成型体各4ヶを50冷凍トンのクーリングタワー保有水に1ヶ月間浸漬し、1週間毎の保有水中の有効成分濃度を調べた。結果を表1.に示す。表中の成型体番号は処方例の番号を示し、成分量は保有水中の有効成分量でこの場合ヘキサメタリン酸ナトリウムの量を示す。
【0016】
【0017】
試験例2.
処方例No.3によって得られた成型体(No.3)を用い、この成型体4ヶを50冷凍トンのクーリングタワー保有水に2ヶ月間浸漬し、1週間毎の有効成分濃度と防錆効果及びスケール付着抑制効果を調べた。
防錆及びスケール付着抑制効果の有るものを○、無いものを×として表2.に示した。
【0018】
表2.有効成分濃度の経時変化及び防錆効果並びにスケール付着抑制効果
【0019】
試験例1の結果からわかるように、本発明による固形水処理剤は、溶解速度調節剤として昇華製物質を任意の割合で配合することにより、水中で一定の期間有効成分濃度を任意の一定の割合で放出させることが可能である。即ち、冷却塔内における水流や水量などの様々な条件が現場により異なったとしても、それぞれに対応した成型体等を供給することで、溶出性の制御を行うことができる。
試験例2の結果は、本発明の水処理剤が有効成分濃度を一定に保ち、長期に安定した効果を得られるものであることを示している。
【0020】
【発明の効果】
本発明の水処理剤により、水中における有効成分の長期徐放化に優れ、かつ防菌、防藻、腐食抑制及び/又はスケール付着抑制効果に優れた総合水処理剤を得ることができる。また、高価な水処理剤処理設備を設置等することなく、容易に施用することができ、複雑な施用装置を設置したのと同様の持続的安定した効果を得ることができる。本発明の水処理剤は、冷却水系等への施用後のメンテナンスも容易に行うことができ、使用後は回収の手間もなく、設備管理経費が削減できる等、種々の利点を有する。
【発明の属する技術分野】
本発明は水冷式冷却塔システムの充填材等に付着するスライム及び藻の発生を防ぎ、さらに配管及び熱交換器部位に起きる腐食を防ぐとともに、カルシウム及びシリカを主体とするスケールが固着することを防止することができる腐食防止及びスケール付着抑制を目的とする技術に関わり、さらに詳しくは昇華性物質を溶解速度調節剤とする水処理剤及びその使用方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、水冷式冷却塔(クーリングタワー)は水の使用にともない、充填材付近等においてスライムの生成や藻の繁殖が生じる。この障害は機器の破損を引き起こす原因になり、同時にそれらは人体に有害なレジオネラ属菌の温床にもなりうる。また金属配管や熱交換器部分においては鉄及び銅の錆が発生し、配管内の流れを悪化させ、はなはだしい場合には配管及び熱交換器配管が腐食によって穴があき使用停止の状態となることが知られている。さらに水の濃縮にともない、カルシウム系化合物やシリカ系化合物が固着したスケールが生成し、配管内の水の流れを悪化させ、場合によっては配管の閉塞や熱交換器部分での高圧カットなどを引き起こす原因ともなる事が知られている。
それら障害を防止する方法として腐食抑制やスケール付着防止剤及び殺菌剤などを含有する一液型水処理剤が提案されている。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
【特許文献1】
特開平9−52090号公報 (第3頁、表1等)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
様々な効果を持つ液剤タイプの水処理剤は、水冷式冷却塔にある保有水中の薬剤濃度管理が比較的容易であるため多用されてきているが、それら濃度管理を正確に行うためには、逐次薬剤を滴下する専用の機器を購入する設備投資が必要となる。また専用の施用機器内への液剤の補給作業などを含めた維持管理等の作業手間も必要とし、空調のみを目的とする夏季限定使用者にとって、これら設備投資や専用機器の維持管理等の作業は面倒なものといえる。そこでこれらユーザーには薬剤管理が不要な1シーズンあたり1回の投入で済む固形型水処理剤が必要とされるが、一般に水冷式冷却塔に使用される防菌剤、防藻剤、腐食抑制剤及び/又はスケール付着抑制剤は、水への溶解性及び溶解速度が高く、これら成分を水中内で一定期間徐放化させる固形剤は知られていなかった。
本発明の課題は水中における有効成分の長期徐放化に優れ、かつ防菌、防藻、腐食抑制及び/又はスケール付着抑制効果に優れた総合水処理剤を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために溶解速度調節について種々検討したところ、昇華性物質を用いて固形製剤と成すことにより、長期徐放化に優れた水処理剤が得られることを見出し本発明を完成させた。かつ、各種成分を適宜配合することにより、防菌、防藻、防錆又は/及びスケール付着抑制効果に優れた総合水処理剤を完成させた。本発明は、防菌剤、防藻剤、腐食抑制剤及びスケール付着抑制剤から選択される1種又は2種以上の有効成分及び昇華性物質を含有することを特徴とする固形水処理剤に関するものである。また、この水処理剤を冷却塔に浸漬して使用するという簡便な処理方法により長期に亘って持続的な水冷式冷却塔の防菌、スライム・藻の繁殖抑制、腐食の抑制及び/又はスケール付着抑制方法に関するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の水処理剤に用いられる組成物は、上記防菌剤、防藻剤、腐食抑制剤及びスケール付着抑制剤から選択される1種又は2種以上の有効成分と昇華性物質を含有し、有効成分は1種または2種以上を任意の割合で混合することができる。有効成分の合計量は水処理剤100重量%に対して総量の下限が5重量%、上限が95重量%、好ましくは下限が10重量%、上限が90重量%、より好ましくは下限が20重量%、上限が80重量%であり、昇華性物質の総量は下限が5重量%、上限が95重量%との混合によって得られた組成物を成型することによって得られる。
【0007】
成型方法としては、各成分の粉末混合物を加圧成型する方法、粉末混合物を押し出し造粒法等の方法により顆粒化した後加圧成型する方法、混合後又融解して又は融解後に混合して、更に射出や型への流し込み等の後冷却して成型する方法等が挙げられる。また、各成分を布等の担体に融着することもできる。成型に際しては、必要に応じて溶解剤、ゲル化剤、固化剤等を添加してから成型しても良い。成型体の形状としては、用途や必要とされる有効成分の溶解速度等の条件に応じて適宜成型することができ、粒状、球状、板状、円盤状、円錐状、円柱状、角柱状、筒状、穴明き円板状等の任意の形状でよい。好ましくは防菌剤、防藻剤、腐食抑制剤及びスケール付着抑制剤から選択される1種又は2種以上の有効成分と昇華性物質とを十分に攪拌・混合後に加圧成型することにより調製される。
【0008】
本発明に用いられる昇華性物質の例としてはパラジクロロベンゼン、カンフル、ナフタレン、ボルネオール、アダマンタン、シクロドデカン、トリイソプロピルトリオキサン、ジメトキシベンゼン及びクマリン等が挙げられるが、環境への負荷の面から非ハロゲン系の昇華性物質が望ましい。また冷却塔部材に対する影響が少なく、かつ臭気面から微臭及び無臭であるものが望ましい。トリイソプロピルトリオキサンが特に好ましいものとして例示できる。
本発明に用いられる防菌剤、防藻剤、腐食抑制剤及びスケール防止剤等の有効成分は粉末であれば何ら差し支えない。液状の場合はあらかじめ固体担体等を用いて粉末状又はゲル状にするか又は他の成分との混合時に添加することにより用いることができる。操作上、性能面で粉末状有効成分を用いることが望ましい。
【0009】
本発明に用いる防菌剤、防藻剤の有効成分物質としてはN−オクチルイソチアゾロン、安息香酸アルカリ金属塩、ヨードプロパルギルブチルカーバメート、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、硝酸銀等の銀イオンを有する無機塩、ピリジンチオール−1−オキシドナトリウム、チアベンダゾール、ベンゾイソチアゾロン等を例示することができ、腐食抑制剤としてはモリブデリン酸アルカリ金属塩、ベンゾトリアゾール等を例示することができ、スケール防止剤としてはアミノトリメチレンホスホン酸アルカリ金属塩、ホスホノブタントリカルボン酸アルカリ金属塩、アクリル酸系ポリマー、マレイン酸系ポリマー等を例示することができる。また腐食抑制剤及びスケール付着抑制剤としてはポリリン酸ナトリウム金属塩等のポリリン酸アルカリ金属塩を例示できる。
【0010】
本発明の固形水処理剤には、上記成分以外に必要に応じて各種添加剤例えば界面活性剤、着色剤、結合剤、香料、滑沢剤、固化剤、ゲル化剤、高分子担体、多孔質担体等の成分を配合してもよい。
こうして得られた成型体を、目的とする水系、例えば水冷式冷却塔の保有水中に設置・浸漬することによって、好適にスライムや藻或いはレジオネラ菌等の水生有害生物等の発生を抑制することができ、さらには金属の腐食及びスケールの付着を抑制することができる。設置については、例えば浸漬することで常時水系と接していても良く、また、流動水、還流水等を利用して間歇的に水系に接触させても良い。安定した溶出制御のためには保有水への浸漬がより望ましい。直接設置、浸漬等しても良く、また容器等に入れて設置、浸漬等しても良いが、回収の手間等を考慮すれば直接浸漬するほうが望ましい。昇華性物質を用いているため水系への有機物質等の負荷が少なく回収の手間が省ける。
【0011】
本発明の水処理剤は、各種冷却水系等に利用することができる。好ましくは、大部分の水が循環再利用されるような水系への適用が良い。また、その水系の一部が外気に開放されており、水の微粒子が飛散するような系への適用もできる。このような水系には、例えば、水冷式冷却系、例えば、クーリングタワー等が例示できる。
【0012】
【実施例】
以下に、本発明の水処理剤の処方例及び試験例等を示すが、本発明はこれらに限られるものではない。
処方例.
(No.1)
ヘキサメタリン酸ナトリウム塩75gとトリイソプロピルトリオキサン25gとを混合することより得られた粉末を加圧成形して、直径50mm、重量60gの円盤状成型体を得た。
(No.2)
ヘキサメタリン酸ナトリウム塩55gとトリイソプロピルトリオキサン45gとを混合することより得られた粉末を加圧成形して、直径50mm、重量60gの円盤状成型体を得た。
【0013】
(No.3)
ヘキサメタリン酸ナトリウム塩40gとトリイソプロピルトリオキサン60gとを混合することより得られた粉末を加圧成形して、直径50mm、重量60gの円盤状成型体を得た。
(No.4)
ヘキサメタリン酸ナトリウム塩20gとトリイソプロピルトリオキサン80gとを混合することより得られた粉末を加圧成形して、直径50mm、重量60gの円盤状成型体を得た。
【0014】
(No.5)
ヨードプロパルギルブチルカーバメート20gとトリイソプロピルトリオキサン80gとを混合することより得られた粉末を加圧成形して、直径50mm、重量50gの円盤状成型体を得た。
(No.6)
ヨードプロパルギルブチルカーバメート10gとヘキサメタリン酸ナトリウム塩30gとトリイソプロピルトリオキサン60gとを混合することより得られた粉末を加圧成形して、直径50mm、重量70gの円盤状成型体を得た。
【0015】
試験例1.
上記処方例No.1〜4によって得られた成型体を用い、成型体各4ヶを50冷凍トンのクーリングタワー保有水に1ヶ月間浸漬し、1週間毎の保有水中の有効成分濃度を調べた。結果を表1.に示す。表中の成型体番号は処方例の番号を示し、成分量は保有水中の有効成分量でこの場合ヘキサメタリン酸ナトリウムの量を示す。
【0016】
【0017】
試験例2.
処方例No.3によって得られた成型体(No.3)を用い、この成型体4ヶを50冷凍トンのクーリングタワー保有水に2ヶ月間浸漬し、1週間毎の有効成分濃度と防錆効果及びスケール付着抑制効果を調べた。
防錆及びスケール付着抑制効果の有るものを○、無いものを×として表2.に示した。
【0018】
表2.有効成分濃度の経時変化及び防錆効果並びにスケール付着抑制効果
【0019】
試験例1の結果からわかるように、本発明による固形水処理剤は、溶解速度調節剤として昇華製物質を任意の割合で配合することにより、水中で一定の期間有効成分濃度を任意の一定の割合で放出させることが可能である。即ち、冷却塔内における水流や水量などの様々な条件が現場により異なったとしても、それぞれに対応した成型体等を供給することで、溶出性の制御を行うことができる。
試験例2の結果は、本発明の水処理剤が有効成分濃度を一定に保ち、長期に安定した効果を得られるものであることを示している。
【0020】
【発明の効果】
本発明の水処理剤により、水中における有効成分の長期徐放化に優れ、かつ防菌、防藻、腐食抑制及び/又はスケール付着抑制効果に優れた総合水処理剤を得ることができる。また、高価な水処理剤処理設備を設置等することなく、容易に施用することができ、複雑な施用装置を設置したのと同様の持続的安定した効果を得ることができる。本発明の水処理剤は、冷却水系等への施用後のメンテナンスも容易に行うことができ、使用後は回収の手間もなく、設備管理経費が削減できる等、種々の利点を有する。
Claims (4)
- 防菌剤、防藻剤、腐食抑制剤及びスケール付着抑制剤から選択される1種又は2種以上の有効成分及び昇華性物質を含有することを特徴とする固形水処理剤。
- 昇華性物質がカンフル、ボルネオール、アダマンタン、シクロドデカン及びトリイソプロピルトリオキサンから選択される1種又は2種類以上の昇華性物質である請求項1記載の水処理剤。
- 有効成分がポリリン酸アルカリ金属塩であることを特徴とする請求項1又は2に記載の水処理剤。
- 請求項1乃至3いずれか1項記載の水処理剤を冷却塔の保有水中に浸漬して使用することを特徴とする水冷式冷却塔の防菌、スライム・藻の繁殖抑制、腐食の抑制及び/又はスケール付着抑制方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002374604A JP2004202370A (ja) | 2002-12-25 | 2002-12-25 | 水処理剤及びその使用方法 |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004202370A true JP2004202370A (ja) | 2004-07-22 |
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JP (1) | JP2004202370A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006061904A (ja) | 2004-07-28 | 2006-03-09 | Nippon Soda Co Ltd | 汚泥用防臭組成物 |
CN102363538A (zh) * | 2010-12-07 | 2012-02-29 | 新疆德蓝股份有限公司 | 一种用于低硬度循环冷却水的复合缓蚀阻垢剂的制备 |
CN103803721A (zh) * | 2014-03-11 | 2014-05-21 | 兰州格瑞缓蚀技术研究所 | 制盐专用防垢剂及其制备 |
US9301919B2 (en) * | 2005-12-22 | 2016-04-05 | Oakwood Laboratories, Llc | Sublimable sustained release delivery system and method of making same |
JP2018202302A (ja) * | 2017-06-01 | 2018-12-27 | Bs—1グローバルシステムズ株式会社 | 水循環装置及び洗浄方法 |
CN110510719A (zh) * | 2018-05-21 | 2019-11-29 | 湖北文理学院 | 一种利用香樟叶处理酚醛树脂废水的工艺 |
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2002
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