JP2004201508A - 製パン方法 - Google Patents

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Rieko Hirose
理恵子 廣瀬
Takeshi Sato
健 佐藤
Mizuo Yajima
瑞夫 矢嶋
Shigeo Furuhashi
樹雄 古橋
Chiaki Arai
千秋 新井
Tomoko Shibata
朋子 柴田
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Abstract

【課題】日本国内産小麦から常法により得られた小麦粉を原材料として外国産小麦粉を用いて得られたパンと同等のパンを生産する。とくに外国産小麦粉を用いて得られたパンと同等のパンを生産する方法を提供する。
【解決する手段】上記日本国内産小麦粉にグルテンと食塩を含有させた混合物を原材料として、中種法を用いてパンを製造する。中種にグルテンと食塩の他にL−アスコルビン酸、イーストフード、生地改良剤からなる群から選ばれた一種または二種以上の物質を共存させててパンを製造してもよい。
この方法により日本国内産小麦粉を使用しても機械耐性の良い生地ができ、且つ、製品はボリュームのある柔らかい食感で老化の遅い美味しいパンを大量生産できるようになった。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する利用分野】
本発明は中種法によるパンの製造方法に関する。とくに日本国内産小麦から得られた小麦粉(以下、日本国内産小麦粉という)を原材料とする中種法によるパンの製造方法に関する。
【0002】
【従来技術および発明が解決しようとする課題】
パンの製造方法としては、大量生産型製パン機械装置を使用する大規模製パンに適している中種法が広く採用されている。
これらの方法では製パンの機械適性を補う為に、乳化剤や生地改良剤が多く使用されている。ところが近年消費者の意識の変革などにより、乳化剤や合成食品添加物の入ったパンを嫌う消費者が増える傾向にあり、できるだけ天然の素材で構成されるパンの要望が高まってきた。これに対して、小麦蛋白質のグリアジンを主成分とする分画物を小麦粉に含有させた原材料を使用する製パン方法も提案されている(特許文献1を参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−106816
【0004】
しかし、この製パン方法あるいはその他の公知の製パン方法はいずれも製パン性に適した外国産の小麦粉を主に使用した製パン方法であり、次に述べるような種々の理由により製パン機械装置を使用する製パン方法、特に大規模生産ラインに適した中種法による製パン方法では日本国内産小麦粉を使って満足のいく品質のパンを作ることが難しかった。
【0005】
日本国内では製パン適性を持った小麦の品種の開発努力がなされているが、一般的に日本国内産小麦は日本麺用に開発した品種が多い。日本麺用に適合した小麦から得られた小麦粉の品質は一般には蛋白質含量が少なく、しかも蛋白質の質(麩質)が弱いため、ミキシング耐性がなく、外国産小麦粉に比べて、製パンに適した十分な物性の生地が得られない。したがって日本国内産小麦粉は発酵耐性がなく、また発酵しづらいため、できあがった各種パン製品は発酵臭が少なく、風味が悪いという問題点がある。さらに、気泡膜が厚く、ボリュームがでず、食感が重く、老化が早くなるなどの欠点が指摘されている。さらに焼き色がくすんでしまう点も問題である。
さらに、日本国内産小麦粉を使用してパンを製造しようとすると、機械耐性のある生地ができず、その他、ホイロ出が悪く、発酵による生地温度の上昇がしづらいなどの問題点がある。
これらの問題点などがあるため日本国内産小麦粉を用いてパンを製造することが制限されているのが現状である。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決すること、すなわち日本国内産小麦粉を使用し、外国産小麦粉を使用したパンと較べて遜色ない品質のパンを製造することができる中種法による製パン方法を提供することを目的とする。とくに、既知の中種法を改良し、大規模生産型製パン機械装置を用いて、日本国内産小麦粉を使用し、外国産小麦粉を使用したパンと較べて遜色ない品質のパンを製造することができる中種法による製パン方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、とくに基本的な製パン方法として既知の中種法、すなわち、使用小麦粉の大部分(30〜100%)とイーストと水などを混捏した中種に、グルテンと食塩、さらにはこれらとアスコルビン酸、イーストフード、生地改良剤などを含有させて中種生地を調製することで、製パン用の生地に発酵耐性を付与し、中種発酵を十分に行うことができることを見出した。その後、該中種生地に残りの小麦粉とグルテン、残りの食塩、砂糖、油脂(中種に添加する場合もある)、その他の副原料、および水を加えて本捏ねし、生地を仕上げることにより、外国産小麦粉を使用した従来の中種製法の食パンと遜色ない品質のパンを製造できることを見出し、さらに研究を重ね、遂に本発明に達した。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の対象となる日本国内産小麦は、その品種の如何を問わず、どのような品種の小麦でもよい。例えば、ホクシン、農林61号、チクゴイズミなどが挙げられる。製粉方法もとくに限定されず、商業用に製粉したものを用いることができる。また、2種類以上をブレンドして使用することが可能である。さらに、これらに外国産小麦粉をブレンドすることも可能である。
【0009】
本発明の対象となるパンは、その種類の如何を問わない。例えば食パン、ロールパン、フランスパン、スイートドウ、バンズ、菓子パン、デニッシュペストリー、ライブレッド、中華まんじゅう、パン粉などが挙げられる。
【0010】
本発明でいう製パン機械装置とは、中種用ミキサー、第一醗酵室、本捏用ミキサー(ミキサーの型式は問わない)、各種リフト、分割機、丸め機、中間プルファー、モルダー、パンニング装置、ホイロ、オーブン、デパンナー、冷却コンベア、スライサー、包装機、およびシート状に流れてくる生地を整型するシートライン等をいう。
【0011】
本発明に用いるグルテンについて説明する。このグルテンの種類、製造方法、由来、製品形状は特に限定されない。気流乾燥品や酸またはアルカリ分散法の噴霧乾燥品などの、通常食品に用いるものを使用することができる。さらに、グルテンを酸および/またはアルカリ加水分解によって、乳化性、溶解性を改良したものや、酸、アルカリ、酵素による加水分解、および酸化剤、還元剤処理を組み合わせて乳化性、溶解性、分散性を改良したものや、酸加水分解による脱アミド後に酵素処理を施し起泡性を改良したものや、有機酸を用いてあらかじめグルテンを均一分散後に鉱酸により部分加水分解を行い析出する生成物を濾取したものなども使用することができる。
【0012】
グルテンを国内産小麦粉に添加する方法は既知の方法を使用できるのであり、とくに限定されない。例えば、小麦粉に予め混入しておく方法、中種混捏時に添加する方法、中種混捏時および本捏時に添加する方法などを挙げることができる。
グルテンを添加する量は、たとえば使用する小麦粉に対して0.1〜10重量%を挙げることができる。好ましくは混捏時に小麦粉に対して2〜4重量%の量を添加する方法である。とくに中種法を用いて製パンするときには、グルテンの添加量の50重量%以上を中種混捏時に添加することが好ましい。
【0013】
本発明に使用する食塩について説明する。この食塩の種類、製造方法、由来は特に限定されない。通常、製パンに用いるものを使用することができる。添加量は特に限定されないが、たとえば標準的な食パン配合であれば小麦粉に対して2重量%添加する。その全量または一部を中種調製時に添加することができる。好ましくは中種に全量を添加する方法である。この食塩を使用することにより、製パン用生地の改善をもたらすことができ、得られたパンの品質を向上させることができる。
【0014】
本発明でいうL−アスコルビン酸について説明する。このL−アスコルビン酸の種類、製造方法、由来は特に限定されない。通常、製パンに用いるものを使用することができ、さらに粉末での安定性を改善する目的で硬化油脂などで被覆したL−アスコルビン酸も用いることができる。添加量は特に限定されないが、本発明において、中種に酸化剤として、L−アスコルビン酸を添加する場合、標準的な添加量より多く添加したほうが中種生地の出来上がりが良好となる。上限は小麦粉の状態などにより異なるため、限定できないが、通常対小麦粉50〜100ppmの範囲が最も好ましい。
また、L−アスコルビン酸を含むレモン果汁、アセロラ果汁やこれらの粉末も同様に用いることができる。なお、本発明ではL−アスコルビン酸を物質というときがある。
【0015】
本発明でいうイーストフードについて説明する。このイーストフードの種類、組成、製造方法は特に限定されない。通常、製パンに用いるものを使用することができる。イーストフードを構成する成分としては例えば、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウムなどのカルシウム塩、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、炭酸アンモニウムなどのアンモニウム塩、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムなどのマグネシウム塩、臭素酸カリウム、L-アスコルビン酸などの酸化剤、アミラーゼ、プロテアーゼなどの酵素剤、システインなどの還元剤および小麦粉、小麦澱粉などの分散剤などが挙げられる。添加量は特に限定されないが、たとえば標準的な食パン配合であれば小麦粉に対して約0.1〜1重量%添加する。その全量または一部を中種調製時に添加することができる。好ましくは中種に全量を添加する方法である。このイーストフードを使用することにより、製パン工程を安定させ、得られたパンの品質を向上させることができる。なお、本発明ではイーストフードを物質というときがある。
【0016】
本発明でいう生地改良剤について説明する。この生地改良剤の種類、組成、製造方法は特に限定されない。通常、製パンに用いるものを使用することができる。生地改良剤を構成する化合物としては例えば、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウムなどのカルシウム塩、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、炭酸アンモニウムなどのアンモニウム塩、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムなどのマグネシウム塩、臭素酸カリウム、L-アスコルビン酸などの酸化剤、アミラーゼ、プロテアーゼなどの酵素剤、モルトエキス、システイン、グルタチオン、無水フルクトースなどの還元剤やグルタチオンを多く含む死滅イーストないしイーストエキス、グリセリン脂肪酸エステルとその有機酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、レシチン、酵素処理レシチンなどの乳化剤および発酵乳、小麦粉、小麦澱粉、小麦グルテンなどの分散剤などが挙げられる。添加量は特に限定されないが、例えば標準的な食パン配合であれば小麦粉に対して約0.1〜5重量%添加する。その全量または一部を中種調製時に添加することができる。この生地改良剤を使用することにより、製パン工程を改善し、得られたパンの品質を向上させることができる。なお、本発明では生地改良剤を物質というときがある。
【0017】
また、食塩、イーストフード、生地改良剤を添加する方法には限定されない。例えば添加方法としてはグルテンと食塩、イーストフード、生地改良剤を混合したものを小麦粉に予め混入する方法、混捏時に添加する方法などを挙げることができ、また、別々にグルテンと食塩、イーストフード、生地改良剤をそれぞれ添加する方法などを挙げることができる。
【0018】
本発明に使用するオリゴ糖について説明する。このオリゴ糖は、いわゆるオリゴ糖をいい、糖鎖4〜6を中心とし、4糖以上を40%以上含有するオリゴ糖であり、その起源、生産方法には限定されない。そして、その特徴は、ある程度の資化性を持つことにより砂糖との一部置き換えも可能であることと、資化されずに残ったオリゴ糖が焼成後のパンの焼き色を明るく変化させることである。これにより日本国内産小麦粉特有のパンのくすみが改善される。オリゴ糖の添加量は特に限定はされないが、好ましくは小麦粉に対して、1〜20重量%の範囲である。
【0019】
本発明に使用するでん粉分解酵素の種類、製造方法、由来などは特に限定されず、例えばカビ由来、バクテリア由来、穀物由来、大豆由来などのα−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、β−アミラーゼ等を挙げることができる。また、酵素活性を有するモルトエキスおよびその粉末品を使用することができる。小麦粉にでん粉分解酵素を含有させることで、老化抑制の点が優れたパンを製造することができる。添加量は特に限定はされないが、好ましくは市販酵素製剤、例えばカビ由来のα−アミラーゼ製剤として、小麦粉に対して、1〜1000ppmの範囲である。なお、本発明では酵素を物質というときがある
【0020】
本発明に使用する酸化酵素の種類、製造方法、由来などは特に限定されない。例えばカビ由来のグルコースオキシダーゼ、ヘキソースオキシダーゼ、大豆由来のパーオキシダーゼ等があげられる。添加量は特に限定はされないが、好ましくは市販酵素製剤として、小麦粉に対して、1〜1000ppmの範囲である。
【0021】
本発明に使用するヘミセルラーゼの種類、製造方法、由来などは特に限定されない。好ましくはカビ由来のものが用いられる。添加量は特に限定はされないが、好ましくは市販酵素製剤として、小麦粉に対して、1〜1000ppmの範囲である。
小麦粉にでん粉分解酵素、酸化酵素およびヘミセルラーゼからなる群より選ばれる一種または二種以上の酵素(物質)を含有させることで、老化抑制、機械耐性の点がより優れたパンを製造することができる。
【0022】
また、酵素として、でん粉分解酵素、酸化酵素、ヘミセルラーゼ以外に、セルラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、リポキシゲナーゼ、トランスグルタミナーゼなども含むこともできる。さらに酵素活性を有する大豆粉を使用することもできる。
【0023】
オリゴ糖を国内産小麦粉に添加する方法は既知の方法を使用できるのであり、とくに限定されない。例えば、小麦粉に予め混入しておく方法、中種混捏時に添加する方法、中種混捏時および本捏時に添加する方法などを挙げることができる。
また、でん粉分解酵素、酸化酵素およびヘミセルラーゼを添加する方法には限定されない。例えば添加方法としてはグルテンとでん粉分解酵素、酸化酵素およびヘミセルラーゼを混合したものを小麦粉に予め混入する方法、混捏時に添加する方法、本種又は中種に添加する方法などを挙げることができ、また、別々にグルテンとでん粉分解酵素、酸化酵素およびヘミセルラーゼをそれぞれ異なる工程で添加する方法などを挙げることができる。
【0024】
本発明の製パン方法においては、グルテン、食塩、アスコルビン酸、イーストフード、生地改良剤、オリゴ糖、でん粉分解酵素、酸化酵素およびヘミセルラーゼ以外の成分およびこれらに含まれる成分をさらに含有させることができる。例えば、グリアジン、グルテニン、小麦アルブミン、小麦グロブリン、乳アルブミン、卵白、カゼインなどの動植物性蛋白質類およびその分解物、グルテンなどの分解物、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、酵素処理レシチンなどの乳化剤類、ペクチン、グアガム、キサンタンガム、タマリンド種子ガム、寒天、コンニャクマンナン、カラギーナン、アラビノキシラン、アラビノガラクタン、水溶性ヘミセルロース、アラビアガムなどの増粘多糖類、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酢酸、プロピオン酸、炭酸、燐酸などの酸類及びナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどその塩類、砂糖、麦芽糖、トレハロースや本発明でクレームされたオリゴ糖以外のオリゴ糖、還元糖、サイクロデキストリンなどの糖類、ポリオール類、油脂、粉末油脂などの油脂類、ビタミンC、システイン、シスチン、無水フルクトースなどの還元剤類、グリシン、アラニンなどのアミノ酸類、澱粉及び化工澱粉類、デキストリンなどを挙げることができる。
【0025】
これらの成分は予め、グルテン、食塩、L−アスコルビン酸、イーストフード、生地改良剤、オリゴ糖、でん粉分解酵素、酸化酵素およびヘミセルラーゼなどに混合して添加することができる。
【0026】
本発明ではグルテンと食塩とを含有する日本国内産小麦粉を主原料とし、必要に応じて上記各成分を必要な量だけ添加して、中種法を用いてパンを製造する。また、本発明ではグルテンと食塩以外の上記各成分を適宜選択して必要な量だけあらかじめ混合させておき、必要なときにその混合物を上記主原料に添加してもよい。
【0027】
また、本発明においては、中種調製時のミキシングを通常より長めにすることができ、結果として中種の発酵耐性を付与させることができる。ミキシング時間は使用する小麦粉、グルテンなどの材料、それらの配合量によって変動するのであって一概に規定することができず、得られるパンの品質が優れる程度に長くミキシングを行う。さらに充分なミキシングを行って中種生地を調製すると、製パン用の生地に発酵耐性を付与し、中種発酵を十分に行うことができる。また、中種発酵を促進させるため、中種の捏ね上げ温度を高めにしたり、イースト量を多くしたり、中種発酵の発酵槽温度を高めにすることで、より風味を増し、内相が細かく、柔らかく、老化も抑制することができ、より好ましい。
【0028】
この際、捏ね上げ温度は27℃±1℃、イーストは通常の1.2から1.5倍、中種発酵槽の温度は28℃±1℃とすることが最も好ましい。
【0029】
ホイロ条件として、温度・湿度条件は従来法と大きく変化させる必要はないが、ホイロ出は抑えめとし、焼成時に釜伸びさせることで、内相がより縦目に伸び、食感が改善され、好ましい。
【0030】
以下に実施例、比較例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されない。実施例中、特に断らない限り、%は重量基準である。
【0031】
【実施例1〜2および比較例1〜3】
各種製パン機械装置(ミキサー、分割機、丸め機、モルダー、ホイロ、オーブン)を使用して、製パン試験を行った。
【0032】
また、表1、2記載の配合原料を用い、表3記載の工程に基づいて、製パン試験を行った。
【0033】
(表1)
Figure 2004201508
*北海道産ホクシン100%使用、蛋白質9.8%、灰分0.38%
**MCP INGREDIENTS社製、フラッシュドライグルテン
***オリエンタル酵母工業株式会社製、ニューオリコフード
***理研ビタミン株式会社製、MM100
【0034】
(表2)
Figure 2004201508
【0035】
*:北海道産ホクシン100%使用、蛋白質9.8%、灰分0.38%
**:MGP INGREDIENTS社製、フラッシュドライグルテン
***:DANISCO CULTOR社製、GRINDAMYL(登録商標)A1000
****:DANISCO CULTOR社製、GRINDAMYL(登録商標)H121
*****:DANISCO CULTOR社製、GRINDAMYL(登録商標)S757
******:昭和産業株式会社製、マルデックPH400
【0036】
(表3)
工程および条件
Figure 2004201508
Figure 2004201508
【0037】
製パン試験で、製パン工程における機械耐性を比較するため、丸め機およびモルダー部の工程時で生地の状態を観察した。観察結果を表4に示す。
【0038】
(表4)
工程ごとの機械体制の観察結果
Figure 2004201508
【0039】
製パン試験で焼成した山型食パンについて、焼成直後に焼減率、体積と高さを測定し(表5)、プルマン型食パンについて、冷却後にケービングの観察(表6)、食味試験(表7)、物性測定(表8)を行った。なお、体積および高さは3次元体積計測器を用いて測定した。
【0040】
(表5)
Figure 2004201508
【0041】
機械耐性の観察結果(表4)から本発明品(実施例1、2)は、比較例2より優れた、比較例3と比較して同程度の機械耐性を有していた。表5から、本発明品(実施例1、2)は比較例2より体積、高さが大きく、製品として優れ、比較例3と同程度の体積、高さであり、製品として遜色がなかった。
【0042】
(表6) プルマン型食パンのケービング
Figure 2004201508
*プルマン型食パンn=12における両側面(24面)中でケービングが観察された数
【0043】
表6からわかるように、比較例3はケービングが発生したのに対し、本発明品(実施例1、2)は、ケービングが発生しなかった。
【0044】
製造翌日の食パンをスライスし、試料として行った食味試験の結果を下記(表7および総合評価コメント)に示す。
評価方法は次のとおりである。評価項目は食パン内相の柔らかさ、しっとり感、口溶け感、風味とし、8名の専門パネラーが上記各項目を5段階評点法(よい(5)、ややよい(4)、普通(3)、やや悪い(2)、悪い(1))で評価し、併せて外観、内相、食感などに基づき総合評価した。対照品は無添加品、すなわち比較例3より乳化剤を除き、イーストフードの代わりにアスコルビン酸0.001%添加して得られた食パンとし、この食パンの評価値を普通(3)とした。
結果は、パネル8名の平均値で示した。
【0045】
(表7) 食味試験
Figure 2004201508
【0046】
総合評価
実施例1
外観:比較例3と比較すると多少色がくすんでいる。
内相:特に問題はなく、比較例3と遜色ない。
食感:口溶けが良く、柔らかい。発酵による風味良好。
【0047】
実施例2
外観:比較例3と遜色ない
内相:特に問題はなく、比較例3と遜色ない。
食感:口溶けが良く、柔らかい。発酵による風味良好。
【0048】
比較例1
外観:焼成していないので評価できない。
内相:焼成していないので評価できない。
食感:焼成していないので評価できない。
【0049】
比較例2
外観:比較例3と比較すると色がくすんでいる。
内相:比較例3に比較すると膜が厚く、マル目。
食感:比較例3に比較すると硬く、口溶けが悪い。発酵による風味が少ない。
【0050】
比較例3
外観:特に問題なし
内相:すだちは均一であるが、細かく、マル目で勢いがない。手触りは柔らかいが、復元性に乏しい。
食感:柔らかいが、口溶けが悪く、口の中でダンゴになる。乳化剤由来と思われる酸臭のような異臭が感じられ、小麦粉の風味が弱い。
【0051】
老化度の評価としてプルマン型食パンの物性測定を行った。すなわち、内相の圧縮応力の経時的変化を表8に示す。包装された試料は、温度22〜26℃の条件の中に保存し、食パンの均一な内相から、25mm×25mm×25mmの大きさの試料を12個調製し、これらを測定に使用した。圧縮応力は数字が小さい方が柔らかく、老化が抑制されていることを示す。
【0052】
(表8)
Figure 2004201508
【0053】
表8にみるとおり、本発明品(実施例1、2)は国内産小麦を使用した従来法(比較例2)に比べて、より内相を柔らかくし、老化(硬さ)を抑えており、さらに、本発明品(実施例1、2)は、外国産小麦を使用した従来法(比較例3)に比べて、同程度に内相を柔らかくし、老化を抑制していた。
【0054】
なお、内相の圧縮応力の測定は下記の条件により行った。
装置:山電社製、RE-3305
プランジャー:直径40mmの円筒形
圧縮率:試料の厚さの70%
圧縮スピード:1mm/s
計測:圧縮率50%における圧縮応力(N/m
【0055】
以上の結果から分かるよう、本発明品は、製パン工程での機械耐性、焼減率、比容積、ケービング、食味試験、物性とも全てにおいて、外国産小麦を使用した従来品と比較して、同等の品質となった。
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、日本国内産小麦粉を使用して外国産小麦粉を用いて得られたパンと同等のパン、すなわち、ボリュームのある柔らかい食感で老化の遅い、美味しいパンを提供できた。これはグルテンおよび食塩とL−アスコルビン酸、イーストフード、生地改良剤と中種の調製方法の改良により、日本国内産小麦粉を使用しても機械耐性の良い生地ができ、且つ、製品はボリュームのある柔らかい食感で老化の遅い美味しいパンとなった。本発明により日本国内産小麦粉を使用した製パンの大量生産を可能にした。

Claims (3)

  1. 中種に1)グルテンと2)食塩、または1)グルテンと2)食塩と3)L−アスコルビン酸、イーストフード、生地改良剤からなる群から選ばれた一種または二種以上の物質を含有させることを特徴とする中種法による日本国内産小麦粉を用いた製パン方法。
  2. 中種にさらに糖鎖4〜6を中心とし、4糖以上の含有率が40%以上のオリゴ糖を含有させた請求項1記載の製パン方法。
  3. 小麦粉にさらにでん粉分解酵素、酸化酵素およびヘミセルラーゼからなる群から選ばれた一種または二種以上の酵素を含ませる請求項1または2記載の製パン方法。
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