JP2004200354A - 配線板及びその製造方法、ならびに配線板用部材及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、配線板及びその製造方法、ならびに配線板用部材及びその製造方法に関し、特に、配線密度の高い配線板に適用して有効な技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子装置には、絶縁基板の表面、あるいは表面及び内部に配線(導体パターン)が設けられた配線板が用いられている。このとき、前記絶縁基板には、例えば、耐熱性、電気絶縁性、誘電特性、耐湿性、接着性、耐酸性、耐アルカリ性などの物理的、化学的特性がよい材料として、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂などの樹脂材料が多く用いられている。特に、前記エポキシ樹脂は、前記物理的、化学的特性のバランスがよく、かつ、低価格であるため、前記配線板の絶縁基板用の樹脂材料として広く一般に用いられている。また、前記ポリイミド樹脂は、耐熱性や耐湿性などが前記汎用エポキシ樹脂よりも優れているが、配線(銅箔)との接着性が汎用エポキシ樹脂よりも劣る、汎用エポキシ樹脂に比べて高価であるといったことから、特殊な用途の配線板に用いられることが多い。
【0003】
また、前記電子装置に用いる配線板は、例えば、半導体チップや、抵抗素子、容量素子などのチップ状素子、半導体パッケージといった電子部品を実装(はんだ付け)するときに、例えば、200℃以上に加熱する。そのため、前記絶縁基板には、前記物理的、化学的特性のほかに、200℃以上の高温領域での機械強度や寸法安定性などの機械的特性にも、十分に安定した特性が要求される。
【0004】
しかしながら、前記絶縁基板として、前記エポキシ樹脂や前記ポリイミド樹脂などの樹脂材料を単体で用いた場合には、はんだ付け温度などの高温領域での機械的特性が不十分であることが多い。そのため、前記絶縁基板には、ガラス布、ガラス不織布、紙、合成繊維布などの基材に前記樹脂材料を含浸させた積層板が用いられることが多い。
【0005】
前記積層板としては、一般に、ガラス布やガラス不織布などの基材にエポキシ樹脂を含浸させたガラス布基材エポキシ樹脂積層板(以下、ガラスエポキシ基板と称する)が用いられている。このとき、前記エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂などが用いられる。以下、前記各型のエポキシ樹脂をまとめて汎用エポキシ樹脂と称する。
【0006】
前記汎用エポキシ樹脂は、一般に、ガラス転移温度が150℃付近に見られ、図17に示すように、ガラス転移温度以上の温度領域では、貯蔵弾性率が急速に低下する。そのため、前記汎用エポキシ樹脂のみでは、例えば、前記はんだ付けをする温度での強度が不十分であるが、前記ガラス布(基材)が補強材の役割を果たし、前記配線板の変形を防ぐことができる。
【0007】
また、近年、環境問題対策の面から、前記配線板上に前記電子部品を実装するときに用いる接合材として、鉛を含まない接合材を用いるようになってきている。前記鉛を含まない接合材は、従来から用いられているSn−Pb系はんだなどの鉛を含む接合材に比べて融点が高い場合が多く、例えば、230℃から250℃に上昇する。
【0008】
前記はんだ付け温度が上昇することにより、前記汎用エポキシ樹脂の機械的特性の劣化が進むとともに、銅箔(配線)との接着性なども劣化し、配線のはがれや膨れ、クラックなどが生じやすくなる。
【0009】
そこで、近年では、前記汎用エポキシ樹脂の代わりに、前記汎用エポキシ樹脂と有機ケイ素化合物からなる樹脂材料(以下、ハイブリッド樹脂と称する)を用いる方法が提案されている(特開2000−109709号公報、特開2001−131517号公報、特開2001−288244号公報参照)。
【0010】
前記ハイブリッド樹脂は、硬化反応前の前記汎用エポキシ樹脂中で、例えば、下記化学式13
【化13】
で表される有機ケイ素化合物と水とを反応させてオリゴマー状有機ケイ素化合物を生成させた後、前記汎用エポキシ樹脂と前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を付加反応させ、硬化させた樹脂材料である。ここで、前記化学式13で表される有機ケイ素化合物において、Rは前記汎用エポキシ樹脂と付加反応を起こす官能基を含む有機基であり、R’はメチル基もしくはエチル基である。
【0011】
前記ハイブリッド樹脂は、動的粘弾性分析により貯蔵弾性率の温度変化を調べると、図17に示すように、150℃から200℃の間で低下しているが、はんだ付けをする温度の近傍での貯蔵弾性率は、前記汎用エポキシ樹脂のみで硬化させた樹脂材料に比べて約一桁大きい。そのため、はんだ付けの工程などの高温環境下で変形しにくくなる。
【0012】
また、前記汎用エポキシ樹脂のみで硬化させた樹脂材料と、前記汎用エポキシ樹脂を用いた前記ハイブリッド樹脂のそれぞれについて、動的粘弾性分析により弾性損失(tanδ)の温度変化を調べると、図18に示すように、前記ハイブリッド樹脂の弾性損失の温度プロファイルでピークを示す温度が、前記汎用エポキシ樹脂のみで硬化させた樹脂材料の場合に比べて高くなる。つまり、前記ハイブリッド樹脂は、ガラス転移温度が高くなり、例えば、はんだ付け温度の近傍のような高温領域での特性の劣化が少なくなる。そのため、はんだ付けの工程などの高温環境下における配線板の変形や、配線のはがれや膨れ、クラックの発生などを低減することができる。
【0013】
さらに、前記ハイブリッド樹脂は、前記汎用エポキシ樹脂を硬化させるときに用いる硬化剤で硬化させることができるため、製造が容易である。そのため、従来の汎用エポキシ樹脂に代わる樹脂材料として注目されている。
【0014】
また、前記配線板のうち、BGA(Ball Grid Array)やCSP(Chip Size/Scale Package)などの半導体装置において、半導体チップの外部電極と実装基板上の配線(端子)との整合、あるいはグリッド変換を行うためのインターポーザ、ICカードに搭載する電子モジュールなどに用いる配線板や、フレキシブル配線板では、前記ガラス布などの基材を設けると、屈曲性が低下する、あるいは薄型化が難しいといったことから、前記基材を設けない絶縁基板が用いられることが多い。このとき、前記絶縁基板としてエポキシ樹脂を用いると、前記配線板の製造時や、前記配線板を用いた電子装置の使用時の加熱で、前記絶縁基板が変形しやすくなる。そのため、前記フレキシブル配線板や前記インターポーザでは、前記絶縁基板として、ポリイミド樹脂などの熱可塑性樹脂を用いることが多い。
【0015】
また、例えば、前記ICカードに搭載する電子モジュールなどに用いる配線板では、熱硬化性樹脂の持つ耐熱性、低寸法変化、耐湿性の高さなどから、前記絶縁基板として、薄葉のガラスエポキシ基板が用いられるようになってきている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の技術では、前記配線板の絶縁基板用の樹脂材料として、前記汎用エポキシ樹脂、あるいは前記ハイブリッド樹脂を用いた場合、半導体チップやその他の電子部品を実装(はんだ付け)する温度の近傍では、図17に示したように、貯蔵弾性率が1桁以上小さくなる。そのため、前記はんだ付け温度の近傍での前記絶縁基板の変形を防ぐためには、ガラス布などの基材を設けなければならない。
【0017】
前記配線板のうち、前記絶縁基板の表面、もしくは表面と内部に2層以上の配線が設けられた配線板では、異なる層の配線を電気的に接続するためのめっきスルーホールやビアが必要であるため、前記絶縁基板、あるいは前記絶縁基板を構成する絶縁体材料にスルーホールやビア穴を形成しなければならない。
【0018】
また、前記絶縁基板として、前記ガラスエポキシ基板などの積層板を用いた場合、前記樹脂材料と前記基材の力学的特性(機械的物性)が異なるため、スルーホールやビア穴などの開口部の形成した時に、前記開口部内にガラス繊維が突出した状態で残ったり、開口部内の面の凹凸が大きくなったりする。
【0019】
従来の配線板の製造方法では、前記スルーホールや前記ビア穴を形成した後、デスミアやブラストなどの表面処理を行っているが、開口部内にガラス繊維が突出した状態で残ることが多い。そのため、例えば、電気銅めっきにより前記開口部内にめっきスルーホールやビアを形成したときに、前記めっきスルーホールやビアにピンホールやクラックが発生し、導通不良になりやすいという問題があった。
【0020】
また、前記ガラス布などの基材を設けた絶縁基板の場合、前記絶縁基板にめっきスルーホールやビアを形成したときに、前記めっきスルーホールや前記ビアを構成する導体が、前記基材に沿って前記絶縁基板内に成長するエレクトロマイグレーションを生ずるという問題があった。また、前記エレクトロマイグレーションが発生するため、めっきスルーホールやビアの密度を高くすることが難しく、配線の微細化、高密度化が難しくなってきているという問題があった。
【0021】
また、前記汎用エポキシ樹脂、あるいは前記ハイブリッド樹脂を用いた絶縁基板の場合、ガラス転移温度が、例えば、電子部品をはんだ付けする温度よりも低い。そのため、はんだ付けの工程では、前記樹脂材料がガラス転移をしており、機械的特性のほか、接着力などの特性も、室温付近での特性と比べて著しく変化している。そのため、前記樹脂材料の熱膨張による配線の断線、接着力の低下による配線のはがれや膨れが起こるという問題があった。
【0022】
また、前記インターポーザや前記フレキシブル基板などの、樹脂材料だけで構成した絶縁基板を用いた配線板では、前記絶縁基板としてポリイミド樹脂からなるテープ材料を用いることが多いが、前記ポリイミド樹脂はエポキシ樹脂に比べて高価である。そのため、配線板の製造コストが上昇するという問題があった。
【0023】
また、前記BGAやCSP、ICカードに搭載する電子装置に用いる配線板のように、極端な折り曲げや、繰り返しの折り曲げがない用途の配線板の絶縁基板では、近年、前記ポリイミド樹脂の代わりに薄葉のガラスエポキシ基板が用いられるようになってきている。しかしながら、ガラスエポキシ基板を用いることにより、外部接続端子を設けるための開口部やボンディング用の開口部を形成したときに、開口部内にガラス繊維が突出した状態で残ることが多い。そのため、外部接続端子の導通不良やボンディング不良が起こりやすいという問題があった。
【0024】
また、薄葉のガラスエポキシ基板の場合、ガラス布(基材)の凹凸が前記絶縁基板の表面の平坦性に影響するため、薄型化が難しいという問題があった。
【0025】
本発明の目的は、樹脂材料を用いた絶縁基板の表面、もしくは表面及び内部に配線を設けた配線板において、前記絶縁基板に補強用の基材を設けなくてもはんだ付け温度の近傍での配線板の変形を防ぐことが可能な技術を提供することにある。
【0026】
本発明の他の目的は、樹脂材料を用いた絶縁基板の表面、もしくは表面及び内部に配線を設けた配線板において、配線の高密度化が可能な技術を提供することにある。
【0027】
本発明の他の目的は、樹脂材料を用いた絶縁基板の表面、もしくは表面及び内部に配線を設けた配線板において、配線のはがれや膨れ、クラックを防ぐことが可能な技術を提供することにある。
【0028】
本発明の他の目的は、樹脂材料を用いた絶縁基板の表面に配線を設けた配線板を薄型化することが可能な技術を提供することにある。
【0029】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかになるであろう。
【0030】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明の概要を説明すれば、以下の通りである。
【0031】
(1)樹脂材料からなる絶縁基板の表面または内部、もしくは表面及び内部に配線(導体パターン)を設けた配線板において、前記絶縁基板は、エポキシ樹脂と、下記化学式14
【化14】
で表される有機ケイ素化合物(Rは前記エポキシ樹脂と付加反応を起こす官能基を有する有機基、R’はメチル基もしくはエチル基)と水との反応により生成するオリゴマー状有機ケイ素化合物と、前記エポキシ樹脂と前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を付加反応させて硬化させる硬化剤と、水素結合をしやすい官能基及び反応性不飽和結合を有する化合物との混合物を熱硬化させた樹脂材料でなる配線板である。
【0032】
前記(1)の手段によれば、前記樹脂材料の貯蔵弾性率は、例えば、前記配線板に電子部品をはんだ付け(実装)する温度領域でも、室温付近での貯蔵弾性率と比べてほとんど低下しない。すなわち、前記樹脂材料からなる絶縁基板は、前記はんだ付けをする温度領域でも十分な機械的特性が確保できる。そのため、従来のガラスエポキシ基板のように、ガラス布やガラス不織布などの基材を設けなくても、熱による前記配線板の変形を防ぐことができる。
【0033】
また、前記ガラス布やガラス不織布などの基材を設けなくてもよいため、従来のガラスエポキシ基板などで問題となっていたエレクトロマイグレーションが発生しない。そのため、めっきスルーホールやビアの間隔を小さくすることが容易になり、配線の高密度化、配線板の小型化が容易になる。
【0034】
また、前記樹脂材料は、従来の絶縁基板に用いられている樹脂材料に比べてガラス転移温度が高いため、前記はんだ付けをする温度領域での特性の低下が少ない。そのため、前記配線のはがれや膨れ、クラックの発生を低減することができる。
【0035】
また、前記(1)の手段において、前記水素結合をしやすい官能基及び前記反応性不飽和結合を有する化合物は、例えば、前記水素結合をしやすい官能基として、カルボニル基を有する化合物があげられる。
【0036】
またこのとき、前記水素結合をしやすい官能基及び前記反応性不飽和結合を有する化合物は、下記化学式15
【化15】
で表されるビスマレイミド化合物を用いることが好ましい。ここで、前記化学式15のAは、少なくとも2個の炭素原子を有する2価の有機基である。
【0037】
また、前記配線板としては、例えば、絶縁基板の一表面に配線を設けた片面配線板、絶縁基板の両面に配線を設けた両面配線板、絶縁基板の表面及び内部に3層以上の配線層を設けた多層配線板などがあげられる。
【0038】
(2)樹脂材料からなる絶縁基板の表面に導体膜を設けてなり、前記絶縁基板の表面に前記導体膜の不要な部分を除去した配線(導体パターン)が設けられた配線板の形成に用いる配線板用部材において、前記絶縁基板は、エポキシ樹脂と、下記化学式16
【化16】
で表される有機ケイ素化合物(Rは前記エポキシ樹脂と付加反応を起こす官能基を有する有機基、R’はメチル基もしくはエチル基)と水との反応により生成するオリゴマー状有機ケイ素化合物と、前記エポキシ樹脂と前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を付加反応させて硬化させる硬化剤と、水素結合をしやすい官能基及び反応性不飽和結合を有する化合物との混合物を熱硬化させた樹脂材料でなる配線板用部材である。
【0039】
前記(2)の手段によれば、前記樹脂材料の貯蔵弾性率は、例えば、前記配線板に電子部品をはんだ付け(実装)する温度領域でも、室温付近での貯蔵弾性率と比べてほとんど低下しない。すなわち、前記樹脂材料からなる絶縁基板は、前記はんだ付けをする温度領域でも十分な機械的特性が確保できる。そのため、従来のガラスエポキシ基板のように、ガラス布やガラス不織布などの基材を設けなくても、熱による前記絶縁基板の変形を防ぐことができる。
【0040】
また、前記ガラス布やガラス不織布などの基材を設けなくてもよいため、前記(2)の手段の配線板用部材を用いて形成した配線板では、スルーホールやビア穴を形成する工程、及びその後の表面処理の工程が容易になる。
【0041】
また、前記ガラス布やガラス不織布などの基材を設けなくてもよいため、前記(2)の手段の配線板用部材を用いて形成した配線板では、従来のガラスエポキシ基板を用いて形成した配線板などで問題となっていたエレクトロマイグレーションが発生しない。そのため、前記配線板用部材を用いて配線板を形成するときに、めっきスルーホールやビアの間隔を小さくすることが容易になり、配線の高密度化、配線板の小型化が容易になる。
【0042】
また、前記樹脂材料は、従来の絶縁基板に用いられている樹脂材料に比べてガラス転移温度が高いため、前記はんだ付けをする温度領域での特性の低下が少ない。そのため、前記(2)の手段の配線板用部材を用いて形成した配線板では、前記配線のはがれや膨れ、クラックの発生を低減することができる。
【0043】
また、前記(2)の配線板用部材は、例えば、絶縁基板の一表面に配線を設けた片面配線板、絶縁基板の両面に配線を設けた両面配線板、前記両面配線板上に、絶縁体層を介在させて配線層を設けた多層配線板の形成に用いられる。
【0044】
(3)樹脂材料からなる絶縁体層の表面に導体膜を設けてなり、前記絶縁体層を2層以上積層させた絶縁基板の表面または内部、もしくは表面及び内部に前記導体膜の不要な部分を除去した配線(導体パターン)が設けられた配線板の形成に用いる配線板用部材において、前記絶縁体層は、エポキシ樹脂と、下記化学式17
【化17】
で表される有機ケイ素化合物(Rは前記エポキシ樹脂と付加反応を起こす官能基を有する有機基、R’はメチル基もしくはエチル基)と水との反応により生成するオリゴマー状有機ケイ素化合物と、前記エポキシ樹脂と前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を付加反応させて硬化させる硬化剤と、水素結合をしやすい官能基及び反応性不飽和結合を有する化合物との混合物を半硬化状態にした樹脂材料でなる配線板用部材である。
【0045】
前記(3)の手段によれば、前記樹脂材料の貯蔵弾性率は、例えば、前記配線板に電子部品をはんだ付け(実装)する温度領域でも、室温付近での貯蔵弾性率と比べてほとんど低下しない。すなわち、前記樹脂材料からなる絶縁基板は、前記はんだ付けをする温度領域でも十分な機械的特性が確保できる。そのため、従来のガラスエポキシ基板のように、ガラス布やガラス不織布などの基材を設けなくても、熱による前記絶縁基板の変形を防ぐことができる。
【0046】
また、前記ガラス布やガラス不織布などの基材を設けなくてもよいため、前記(3)の手段の配線板用部材を用いて形成した配線板では、スルーホールやビア穴を形成する工程、及びその後の表面処理の工程が容易になる。
【0047】
また、前記ガラス布やガラス不織布などの基材を設けなくてもよいため、前記(3)の手段の配線板用部材を用いて形成した配線板では、従来のガラスエポキシ基板を用いて形成した配線板などで問題となっていたエレクトロマイグレーションが発生しない。そのため、前記配線板用部材を用いて配線板を形成するときに、めっきスルーホールやビアの間隔を小さくすることが容易になり、配線の高密度化、配線板の小型化が容易になる。
【0048】
また、前記樹脂材料は、従来の絶縁基板に用いられている樹脂材料に比べてガラス転移温度が高いため、前記はんだ付けをする温度領域での特性の低下が少ない。そのため、前記(3)の手段の配線板用部材を用いて形成した配線板では、前記配線のはがれや膨れ、クラックの発生を低減することができる。
【0049】
(4)板状に成形された樹脂材料でなり、前記樹脂材料を2層以上積層させた絶縁基板の表面または内部、もしくは表面及び内部に配線(導体パターン)が設けられた配線板の形成に用いる配線板用部材において、前記樹脂材料は、エポキシ樹脂と、下記化学式18
【化18】
で表される有機ケイ素化合物(Rは前記エポキシ樹脂と付加反応を起こす官能基を有する有機基、R’はメチル基もしくはエチル基)と水との反応により生成するオリゴマー状有機ケイ素化合物と、前記エポキシ樹脂と前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を付加反応させて硬化させる硬化剤と、水素結合をしやすい官能基及び反応性不飽和結合を有する化合物との混合物を半硬化状態にした樹脂材料でなる配線板用部材である。
【0050】
前記(4)の手段によれば、前記樹脂材料の貯蔵弾性率は、例えば、前記配線板に電子部品をはんだ付け(実装)する温度領域でも、室温付近での貯蔵弾性率と比べてほとんど低下しない。すなわち、前記樹脂材料からなる絶縁基板は、前記はんだ付けをする温度領域でも十分な機械的特性が確保できる。そのため、従来のガラスエポキシ基板のように、ガラス布やガラス不織布などの基材を設けなくても、熱による前記絶縁基板の変形を防ぐことができる。
【0051】
また、前記ガラス布やガラス不織布などの基材を設けなくてもよいため、前記(4)の手段の配線板用部材を用いて形成した配線板では、スルーホールやビア穴を形成する工程、及びその後の表面処理の工程が容易になる。
【0052】
また、前記ガラス布やガラス不織布などの基材を設けなくてもよいため、前記(4)の手段の配線板用部材を用いて形成した配線板では、従来のガラスエポキシ基板を用いて形成した配線板などで問題となっていたエレクトロマイグレーションが発生しない。そのため、前記配線板用部材を用いて配線板を形成するときに、めっきスルーホールやビアの間隔を小さくすることが容易になり、配線の高密度化、配線板の小型化が容易になる。
【0053】
また、前記樹脂材料は、従来の絶縁基板に用いられている樹脂材料に比べてガラス転移温度が高いため、前記はんだ付けをする温度領域での特性の低下が少ない。そのため、前記(4)の手段の配線板用部材を用いて形成した配線板では、前記配線のはがれや膨れ、クラックの発生を低減することができる。
【0054】
(5)樹脂材料からなる絶縁基板であり、前記絶縁基板の表面に配線(導体パターン)が設けられた配線板の形成に用いる配線板用部材において、前記絶縁基板は、エポキシ樹脂と、下記化学式19
【化19】
で表される有機ケイ素化合物(Rは前記エポキシ樹脂と付加反応を起こす官能基を有する有機基、R’はメチル基もしくはエチル基)と水との反応により生成するオリゴマー状有機ケイ素化合物と、前記エポキシ樹脂と前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を付加反応させて硬化させる硬化剤と、水素結合をしやすい官能基及び反応性不飽和結合を有する化合物との混合物を硬化させた樹脂材料でなる配線板用部材である。
【0055】
前記(5)の手段によれば、前記樹脂材料の貯蔵弾性率は、例えば、前記配線板に電子部品をはんだ付け(実装)する温度領域でも、室温付近での貯蔵弾性率と比べてほとんど低下しない。すなわち、前記樹脂材料からなる絶縁基板は、前記はんだ付けをする温度領域でも十分な機械的特性が確保できる。そのため、従来のガラスエポキシ基板のように、ガラス布やガラス不織布などの基材を設けなくても、熱による前記絶縁基板の変形を防ぐことができる。
【0056】
また、前記ガラス布やガラス不織布などの基材を設けなくてもよいため、前記(5)の手段の配線板用部材を用いて形成した配線板では、スルーホールやビア穴を形成する工程、及びその後の表面処理の工程が容易になる。
【0057】
また、前記ガラス布やガラス不織布などの基材を設けなくてもよいため、前記(5)の手段の配線板用部材を用いて形成した配線板では、従来のガラスエポキシ基板を用いて形成した配線板などで問題となっていたエレクトロマイグレーションが発生しない。そのため、前記配線板用部材を用いて配線板を形成するときに、めっきスルーホールやビアの間隔を小さくすることが容易になり、配線の高密度化、配線板の小型化が容易になる。
【0058】
また、前記樹脂材料は、従来の絶縁基板に用いられている樹脂材料に比べてガラス転移温度が高いため、前記はんだ付けをする温度領域での特性の低下が少ない。そのため、前記(5)の手段の配線板用部材を用いて形成した配線板では、前記配線のはがれや膨れ、クラックの発生を低減することができる。
【0059】
また、前記(5)の配線板用部材は、例えば、前記絶縁基板の表面に、接着剤を用いて導体膜を接着した後、前記導体膜の不要な部分を除去して配線(導体パターン)を形成する配線板に用いる。
【0060】
また、前記(2)から(5)までの手段において、前記水素結合をしやすい官能基及び前記反応性不飽和結合を有する化合物は、例えば、前記水素結合をしやすい官能基として、カルボニル基を有する化合物があげられる。
【0061】
またこのとき、前記水素結合をしやすい官能基及び前記反応性不飽和結合を有する化合物は、下記化学式20
【化20】
で表されるビスマレイミド化合物であることが好ましい。ここで、前記化学式20のビスマレイミド化合物において、Aは少なくとも2個の炭素原子を有する2価の有機基である。
【0062】
(6)樹脂材料を板状に成形した絶縁基板の表面に導体膜を形成する工程を備え、前記絶縁基板の表面に前記導体膜の不要な部分を除去した配線(導体パターン)が形成された配線板を製造するための配線板用部材の製造方法において、絶縁基板の表面に導体膜を形成する工程は、硬化反応前のエポキシ樹脂中に、下記化学式21
【化21】
で表される有機ケイ素化合物(Rは前記エポキシ樹脂と付加反応を起こす官能基を有する有機基、R’はメチル基もしくはエチル基)と水を混合して加熱処理を行い、オリゴマー状有機ケイ素化合物を生成させた後、前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を生成させたエポキシ樹脂中に、前記エポキシ樹脂と前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を付加反応させる硬化剤と、水素結合をしやすい官能基及び反応性不飽和結合を有する化合物とを混合した樹脂材料を板状に成形して半硬化状態にし、前記半硬化状態にした樹脂材料の表面に前記導体膜を張り合わせ、前記樹脂材料を完全硬化させる配線板用部材の製造方法である。
【0063】
前記(6)の手段によれば、完全硬化させた前記樹脂材料の貯蔵弾性率は、例えば、前記配線板に電子部品をはんだ付け(実装)する温度領域でも、室温付近での貯蔵弾性率と比べてほとんど低下しない。また、前記完全硬化させた樹脂材料は、電子部品をはんだ付けする温度領域に加熱したときの物理的・化学的特性の低下や変化が小さい。
【0064】
またこのとき、前記エポキシ樹脂は、従来から用いられている汎用エポキシ樹脂を用いることができる。また、前記樹脂材料は、従来のエポキシ樹脂のみで硬化させるときに用いる硬化剤で硬化させることができる。そのため、高温でも特性(物性)が安定した配線板を製造するための配線板用部材を容易に製造することができる。
【0065】
(7)樹脂材料からなる絶縁体層の表面に導体膜を形成する工程を備え、前記絶縁体層を2層以上積層した絶縁基板の表面または内部、もしくは表面及び内部に前記導体膜の不要な部分を除去した配線(導体パターン)が形成された配線板を製造するための配線板用部材の製造方法において、絶縁体層の表面に導体膜を形成する工程は、硬化反応前のエポキシ樹脂中に、下記化学式22
【化22】
で表される有機ケイ素化合物(Rは前記エポキシ樹脂と付加反応を起こす官能基を有する有機基、R’はメチル基もしくはエチル基)と水を混合して加熱処理を行い、オリゴマー状有機ケイ素化合物を生成させた後、前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を生成させたエポキシ樹脂中に、前記エポキシ樹脂と前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を付加反応させる硬化剤と、水素結合をしやすい官能基及び反応性不飽和結合を有する化合物とを混合した樹脂材料を板状に成形して半硬化状態にした絶縁体層の表面に、前記導体膜を張り合わせる配線板用部材の製造方法である。
【0066】
前記(7)の手段によれば、完全硬化させた前記樹脂材料の貯蔵弾性率は、例えば、前記配線板に電子部品をはんだ付け(実装)する温度領域でも、室温付近での貯蔵弾性率と比べてほとんど低下しない。また、前記完全硬化させた樹脂材料は、電子部品をはんだ付けする温度領域に加熱したときの物理的・化学的特性の低下や変化が小さい。
【0067】
またこのとき、前記エポキシ樹脂は、従来から用いられている汎用エポキシ樹脂を用いることができる。また、前記樹脂材料は、従来のエポキシ樹脂のみで硬化させるときに用いる硬化剤で硬化させることができる。そのため、高温でも特性(物性)が安定した配線板を製造するための配線板用部材を容易に製造することができる。
【0068】
(8)樹脂材料を板状に成形する工程を備え、前記樹脂材料を2層以上積層させた絶縁基板の表面または内部、もしくは表面及び内部に配線(導体パターン)が形成された配線板の製造に用いる配線板用部材の製造方法において、前記樹脂材料を板状に成形する工程は、硬化反応前のエポキシ樹脂中に、下記化学式23
【化23】
で表される有機ケイ素化合物(Rは前記エポキシ樹脂と付加反応を起こす官能基を有する有機基、R’はメチル基もしくはエチル基)と水を混合して加熱処理を行い、オリゴマー状有機ケイ素化合物を生成させた後、
前記エポキシ樹脂と前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を付加反応させて硬化させる硬化剤と、水素結合をしやすい官能基及び反応性不飽和結合を有する化合物との混合した樹脂材料を板状に成形して半硬化状態にする配線板用部材の製造方法である。
【0069】
前記(8)の手段によれば、完全硬化させた前記樹脂材料の貯蔵弾性率は、例えば、前記配線板に電子部品をはんだ付け(実装)する温度領域でも、室温付近での貯蔵弾性率と比べてほとんど低下しない。また、前記完全硬化させた樹脂材料は、電子部品をはんだ付けする温度領域に加熱したときの物理的・化学的特性の低下や変化が小さい。
【0070】
またこのとき、前記エポキシ樹脂は、従来から用いられている汎用エポキシ樹脂を用いることができる。また、前記樹脂材料は、従来のエポキシ樹脂のみで硬化させるときに用いる硬化剤で硬化させることができる。そのため、高温でも特性(物性)が安定した配線板を製造するための配線板用部材を容易に製造することができる。
【0071】
(9)樹脂材料を板状に成形して絶縁基板を形成する工程を備え、前記絶縁基板の表面に配線(導体パターン)が設けられた配線板の形成に用いる配線板用部材の製造方法において、前記絶縁基板を形成する工程は、硬化反応前のエポキシ樹脂中に、下記化学式24
【化24】
で表される有機ケイ素化合物(Rは前記エポキシ樹脂と付加反応を起こす官能基を有する有機基、R’はメチル基もしくはエチル基)と水を混合して加熱処理を行い、オリゴマー状有機ケイ素化合物を生成させた後、前記エポキシ樹脂と前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を付加反応させて硬化させる硬化剤と、水素結合をしやすい官能基及び反応性不飽和結合を有する化合物との混合した樹脂材料を板状に成形して硬化させる配線板用部材の製造方法である。
【0072】
前記(9)の手段によれば、完全硬化させた前記樹脂材料の貯蔵弾性率は、例えば、前記配線板に電子部品をはんだ付け(実装)する温度領域でも、室温付近での貯蔵弾性率と比べてほとんど低下しない。また、前記完全硬化させた樹脂材料は、電子部品をはんだ付けする温度領域に加熱したときの物理的・化学的特性の低下や変化が小さい。
【0073】
またこのとき、前記エポキシ樹脂は、従来から用いられている汎用エポキシ樹脂を用いることができる。また、前記樹脂材料は、従来のエポキシ樹脂のみで硬化させるときに用いる硬化剤で硬化させることができる。そのため、高温でも特性(物性)が安定した配線板を製造するための配線板用部材を容易に製造することができる。
【0074】
また、前記(6)から(9)までの手段において、前記水素結合をしやすい官能基及び前記反応性不飽和結合を有する化合物は、例えば、前記水素結合をしやすい官能基として、カルボニル基を有する化合物があげられる。
【0075】
またこのとき、前記水素結合をしやすい官能基及び前記反応性不飽和結合を有する化合物は、下記化学式25
【化25】
で表されるビスマレイミド化合物であることが好ましい。ここで、前記化学式20のビスマレイミド化合物において、Aは少なくとも2個の炭素原子を有する2価の有機基である。
【0076】
以下、本発明について、図面を参照して実施の形態(実施例)とともに詳細に説明する。
【0077】
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは、同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【0078】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
図1は、本発明による実施形態1の配線板の概略構成を示す模式図であり、図1(a)は配線基板の断面図、図1(b)は図1(a)の部分拡大断面図である。
【0079】
図1(a)及び図1(b)において、1は絶縁基板、1Aは絶縁基板の第1主面、1Bは絶縁基板の第2主面、1Cはスルーホール、2Aは第1配線、2Bは第2配線、2Cはめっきスルーホールである。また、図1(b)において、201は第1導体膜、202は第2導体膜、203は電気銅めっきである。
【0080】
本実施形態1の配線板は、図1(a)に示すように、絶縁基板1の第1主面1Aに第1配線2Aが設けられ、前記絶縁基板1の第2主面1Bに第2配線2Bが設けられた両面配線板である。このとき、前記第1配線2Aと前記第2配線2Bは、前記絶縁基板1に設けられた貫通穴(以下、スルーホールと称する)1Cに設けられためっきスルーホール2Cにより電気的に接続されている。
【0081】
また、前記第1配線2Aは、例えば、図1(b)に示すように、第1導体膜201の表面に電気銅めっき203が設けられている。同様に、前記第2配線2Bは、第2導体膜202の表面に電気銅めっき203が設けられている。また、前記電気銅めっき203は、前記絶縁基板1に設けられたスルーホール1Cにも設けられている。この、前記スルーホール1Cに設けられた電気銅めっき203が前記めっきスルーホール2Cである。
【0082】
また、本実施形態1の配線板では、前記絶縁基板1は、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂と、前記クレゾールノボラック型エポキシ樹脂中で、下記化学式26
【化26】
で表される有機ケイ素化合物と水とを反応させて生成したオリゴマー状有機ケイ素化合物との混合物に、前記クレゾールノボラック型エポキシ樹脂と前記オリゴマー状有機ケイ素化合物とを付加反応させて硬化させる硬化剤と、下記化学式27
【化27】
で表されるビス(4-マレイミドフェニル)メタン(以下、ビスマレイミド化合物と称する)とを混合させて熱硬化させた樹脂材料からなる。
【0083】
前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を生成するときには、例えば、硬化反応前の前記クレゾールノボラック型エポキシ樹脂中に、前記化学式26で表される有機ケイ素化合物及び水、ならびに加水分解触媒を混合した後、加熱して、前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を生成させる。このとき、前記水の混合量は、前記有機ケイ素化合物に対してモル比で0.02倍から3倍量にするのが好ましい。また、前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を生成するときには、例えば、60℃から160℃の温度で1時間から10時間加熱する。
【0084】
またこのとき、前記クレゾールノボラック型エポキシ樹脂中で前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を生成させると、前記オリゴマー状有機ケイ素化合物とともに水やアルコールなどの副生成物が生成する。前記副生成物は、前記樹脂材料を硬化させたときのボイドやクラックの原因となるが、前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を生成させる時の加熱処理で除去される。
【0085】
前記クレゾールノボラック型エポキシ樹脂中で前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を生成させた後、前記硬化剤と前記ビスマレイミド化合物を混合して熱硬化させる。このとき、前記ビスマレイミド化合物は、例えば、前記オリゴマー状有機ケイ素化合物90wt%に対して10wt%程度になる量を混合する。
【0086】
また、前記硬化剤は、前記クレゾールノボラック型エポキシ樹脂のみで硬化させるときに用いる硬化剤を用いることができ、本実施形態1では、カルボン酸無水物を用いる。またこのとき、前記硬化剤及び前記ビスマレイミド化合物を混合した樹脂材料は、前記クレゾールノボラック型エポキシ樹脂のみで硬化させるときと同じ条件で硬化させることができ、例えば、160℃から220℃の温度で、1時間から8時間加熱することにより硬化する。
【0087】
図2及び図3は、本実施形態1の配線板の絶縁基板に用いる樹脂材料の特性を説明するための模式図であり、図2は絶縁基板に用いる樹脂材料の貯蔵弾性率の温度変化を示すグラフ、図3は絶縁基板に用いる樹脂材料の弾性損失(tanδ)の温度変化を示すグラフである。なお、図2及び図3では、本実施形態1の絶縁基板に用いる樹脂材料の貯蔵弾性率及び弾性損失の温度変化を実線で示しており、比較する従来の樹脂材料の貯蔵弾性率及び弾性損失の温度変化を破線で示している。
【0088】
本実施形態1の配線板の絶縁基板に用いる樹脂材料の貯蔵弾性率の温度変化を、動的粘弾性分析により調べると、図2に示すように、150℃以上の温度領域で、前記貯蔵弾性率の低下が見られるが、常温(50℃付近)での貯蔵弾性率と高温(250℃付近)での貯蔵弾性率の差が小さい。
【0089】
本実施形態1の樹脂材料との比較のために、前記クレゾールノボラック型エポキシ樹脂とオリゴマー状有機ケイ素化合物とを混合して硬化させたハイブリッド樹脂、言い換えると、本実施形態1の樹脂材料において、前記ビスマレイミド化合物を混合しないで硬化させた樹脂の貯蔵弾性率の温度変化を調べると、図2に示すように、150℃以上で急速に低下する。このとき、前記クレゾールノボラック型エポキシ樹脂とオリゴマー状有機ケイ素化合物とを混合して硬化させたハイブリッド樹脂材料の場合、高温(250℃付近)の貯蔵弾性率は、常温(50℃付近)の貯蔵弾性率に比べて約1桁小さい。
【0090】
前記ハイブリッド樹脂の場合、前記オリゴマー状有機ケイ素化合物は、いくつかの分子が凝集した状態で前記クレゾールノボラック型エポキシ樹脂中に分散していると考えられている。そのため、巨視的には均一に分散しているように見えても、分子レベルで見たときには、前記オリゴマー状有機ケイ素化合物の分布にばらつきがあり、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂同士で付加反応を起こしている領域が多く、高温での貯蔵弾性率の低下につながっていると考えられる。
【0091】
一方、本実施形態1の樹脂材料のように、前記化学式27で表されるビスマレイミド化合物を混合すると、前記ビスマレイミド化合物の持つカルボニル基と前記オリゴマー状有機ケイ素化合物のヒドロキシ基(HO基)や、前記ヒドロキシ基の水素原子が炭素原子Rで置換されたアルコキシ基(RO基)とが水素結合をする。また、前記クレゾールノボラック型エポキシ樹脂と前記ビスマレイミド化合物との相溶性は、前記クレゾールノボラック型エポキシ樹脂と前記オリゴマー状有機ケイ素化合物との相溶性よりもよい。そのため、前記ビスマレイミド化合物を混合することにより、前記オリゴマー状有機ケイ素化合物が凝集しにくくなり、従来の前記ハイブリッド樹脂の場合に比べて前記オリゴマー状有機ケイ素化合物がより均一に分散すると考えられる。その結果、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂同士で付加反応を起こしている領域が少なくなり、高温でも貯蔵弾性率が低下しにくいと考えられる。
【0092】
また、前記化学式27で表されるビスマレイミド化合物は、反応性不飽和結合を有するため、熱硬化させたときに前記ビスマレイミド化合物同士が重合する。このとき、前記ビスマレイミド化合物の重合体が、前記クレゾールノボラック型エポキシ樹脂と前記オリゴマー状有機ケイ素化合物とによる前記橋かけ型構造体と絡み合ってIPN(相互侵入型網目構造)のような複雑なネットワークを形成することも考えられる。そのため、高温でも前記貯蔵弾性率が低下しにくいとも考えられる。
【0093】
前記配線板は、半導体チップや、抵抗素子、容量素子などのチップ状素子、半導体パッケージといった電子部品を実装した電子装置(電子モジュール)に用いられる。このとき、前記電子部品の外部端子(電極)と前記配線板の配線は、錫鉛合金、錫銀合金などの接合材を用いて電気的に接続する。そのため、前記配線板は、前記電子部品を実装するときに、例えば、220℃から250℃に加熱される。
【0094】
このとき、前記絶縁基板1の樹脂材料として、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂のみで硬化させた樹脂材料や、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂とオリゴマー状有機ケイ素化合物とを混合して硬化させた従来の樹脂材料を用いると、前記電子部品を実装するときの温度(接合温度)では前記絶縁基板1の機械的強度が小さくなり、前記配線板が変形してしまう。そのため、従来の配線板では、ガラス布などの基材を用いて補強する必要があった。
【0095】
しかしながら、本実施形態1の配線板の絶縁基板に用いる樹脂材料のように、高温(250℃付近)でも貯蔵弾性率がほとんど低下しない樹脂材料を用いることにより、前記電子部品を実装するときの温度でも、前記樹脂材料は変形しにくい。そのため、従来の配線板の絶縁基板のように、ガラス布などの基材を用いて補強しなくてもよくなる。
【0096】
また、前記絶縁基板1に、前記ガラス布などの基材を設けなくてもよくなるので、前記絶縁基板としてガラスエポキシ基板を用いた従来の配線板のように、ガラス布とエポキシ樹脂の界面に沿ってエレクトロマイグレーションが発生することはない。そのため、前記めっきスルーホール2Cの間隔を狭くすることが可能となり、配線の高密度化や、配線板の小型化が可能になる。
【0097】
また、本実施形態1の配線板の絶縁基板に用いる樹脂材料は、動的粘弾性分析により弾性損失(tanδ)の温度変化を調べると、図3に示すように、300℃以下にピーク(極大)が見られない。これは、300℃以下の温度領域でガラス転移を起こさないことを示している。すなわち、本実施形態1の配線板の絶縁基板に用いる樹脂材料の場合、従来のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂のみで硬化させた樹脂材料や、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂とオリゴマー状有機ケイ素化合物とを混合して硬化させた樹脂材料に、常温(50℃付近)と高温(250℃付近)での特性に極端な変化がないと考えられる。そのため、高温(250℃)に加熱しても、前記樹脂材料の接着性の低下は小さく、配線のはがれや膨れ、クラックなどが発生しにくくなる。
【0098】
図4及び図5は、本実施形態1の配線板の製造方法を説明するための模式図であり、図4(a)は配線板を製造するための配線板用部材を示す断面図、図4(b)は配線板用部材に開口部を形成する工程の断面図、図5はめっきスルーホールを形成する工程の断面図である。
【0099】
本実施形態1の配線板を製造するときには、まず、図4(a)に示したように、絶縁基板1の第1主面1Aに第1導体膜201が形成され、前記絶縁基板1の第1主面の裏面(第2主面)1Bに第2導体膜202が形成された配線板用部材を形成する。
【0100】
このとき、配線板用部材は、例えば、前記第1導体膜201の表面に、前記樹脂材料を塗布して板状に成形し、例えば、130℃で0.2時間加熱して半硬化状態にした後、前記第2導体膜202を張り合わせ、200℃で2時間加熱して前記樹脂材料を完全硬化させて形成する。またこのとき、前記手順に限らず、例えば、前記樹脂材料を板状に成形し、130℃で0.2時間加熱して半硬化状態にした後、前記第1導体膜201及び第2導体膜202を張り合わせ、200℃で2時間加熱して前記樹脂材料を完全硬化させて形成してもよい。
【0101】
次に、図4(b)に示すように、前記第1導体膜201、前記絶縁基板1、前記第2導体膜202を貫通するスルーホール1Cを形成する。このとき、前記スルーホール1Cは、例えば、金型による打ち抜き加工、炭酸ガスレーザによるレーザ加工、またはドリル加工により形成する。
【0102】
またこのとき、前記絶縁基板1には、ガラス布などの基材がないため、前記スルーホール1Cの形成が容易になる。また、前記ガラス布などの基材がないため、前記スルーホール1Cを形成した後の、デスミア等の表面処理が容易になる。
【0103】
次に、図5に示すように、前記第1導体膜201及び前記第2導体膜202の表面、及び前記スルーホール1Cの表面に、電気銅めっき203を形成する。このとき、前記絶縁基板1には、ガラス布などの基材がなく、従来のガラスエポキシ基板を用いた場合のように、前記スルーホール1C内にガラス繊維が突出して残るようなことがない。そのため、前記スルーホール1C内の電気銅めっき、すなわち、めっきスルーホール2Cにピンホールやクラックが発生しにくくなる。
【0104】
次に、前記第1導体膜201及び前記第2導体膜202、ならびにそれらの表面に形成された電気銅めっき203の不要な部分を除去し、図1(b)に示したような前記第1配線2A及び前記第2配線2Bを形成する。
【0105】
その後、図示及び詳細な説明は省略するが、前記第1配線2A及び前記第2配線2Bの表面に、たとえば、錫めっき、錫合金めっき、あるいはニッケルめっきを下地とした金めっきなどの機能めっきや、はんだ保護膜(ソルダレジスト)などの保護膜を形成する。
【0106】
以上説明したように、本実施形態1の配線板によれば、前記クレゾールノボラック型エポキシ樹脂と前記化学式26で表されるオリゴマー状有機ケイ素化合物との混合物に、前記硬化剤と前記化学式27で表されるビスマレイミド化合物を混合して硬化させた樹脂材料を用いることにより、はんだ付け温度などの200℃以上の温度領域での、前記絶縁基板の力学的特性(機械的特性)の低下を少なくすることができる。そのため、従来の配線板の絶縁基板のように、ガラス布などの基材を用いなくても、高温領域での前記絶縁基板の変形を防ぐことができる。
【0107】
また、前記ガラス布などの基材を設けなくてもよくなるため、前記絶縁基板の薄型化、軽量化が容易になる。
【0108】
また、前記ガラス布などの基材を設けなくてもよくなるため、前記絶縁基板にめっきスルーホールを形成したときに、ピンホールやクラックが発生するのを防ぐことができる。
【0109】
また、前記ガラス布などの基材を設けなくてもよくなるため、エレクトロマイグレーションの発生を防ぐことができ、配線の微細化、高密度化が容易になる。
【0110】
また、本実施形態1の配線板は、電子部品を実装して電子装置(電子モジュール)を形成するための配線板を例に挙げて説明したが、これに限らず、例えば、複数の電子装置(電子モジュール)間を接続するフレキシブル配線板の絶縁基板に前記樹脂材料を用いることもできる。このとき、前記絶縁基板1が、エポキシ樹脂を用いた樹脂材料であるため、従来のフレキシブル配線板で用いられているポリイミド樹脂よりも安価で製造することができる。そのため、前記配線板の製造コストを低減することができる。
【0111】
また、本実施形態1では、前記ビスマレイミド化合物として前記化学式27で表されるビス(4-マレイミドフェニル)メタンを用いたが、これに限らず、下記化学式28
【化28】
で表される一般的なビスマレイミド化合物を用いた樹脂材料でも、本実施形態1の絶縁基板と同様の効果を得られると考えられる。ここで、前記化学式28で表されるビスマレイミド化合物において、Aは、少なくとも2個の炭素原子を有する2価の有機基である。
【0112】
前記化学式28で表されるビスマレイミド化合物としては、例えば、ビス(4-マレイミドフェニル)エーテル、ビス(4-マレイミドフェニル)スルフォン、m-フェニレンビスマレイミド、p-フェニレンビスマレイミド、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、2,2-ビス[(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス[4-(2-トリフルオロメチル-4-マレイミドフェノキシ)フェニル]-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパンなどがあげられる。
【0113】
また、前記ビスマレイミド化合物が持つカルボニル基が、前記オリゴマー状有機ケイ素化合物と水素結合をすることにより、前記エポキシ樹脂中での前記オリゴマー状有機ケイ素化合物の分散性(相溶性)が向上すると考えた場合、前記ビスマレイミド化合物に限らず、例えば、カルボニル基、シアノ基、3級アミン構造を有する化合物を用いても、本実施形態1の配線板と同様の効果を得られると考えられる。
【0114】
また、前記エポキシ樹脂も、本実施形態1で説明したクレゾールノボラック型エポキシ樹脂に限らず、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂などの、従来から用いられているエポキシ樹脂を用いても、本実施形態1の配線板と同様の効果を得られると考えられる。
【0115】
また、前記有機ケイ素化合物に関しても、本実施形態1では、前記化学式26で表される化合物を用いたが、これに限らず、下記化学式29
【化29】
で表される一般的な有機ケイ素化合物を用いても、本実施形態1の配線板と同様の効果を得られると考えられる。このとき、前記化学式29で表される有機ケイ素化合物において、Rはエポキシ樹脂と付加反応を起こす官能基を有する有機基であり、R’はメチル基もしくはエチル基である。
【0116】
前記化学式29で表される有機ケイ素化合物としては、例えば、下記化学式30から化学式38に示すような化合物を用いることができる。
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
【化35】
【化36】
【化37】
【化38】
【0117】
また、前記エポキシ樹脂と前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を付加反応させる硬化剤としては、前記カルボン酸無水物のほかに、第1級、第2級、第3級のアミン系化合物、第4級アンモニウム塩、ジシアンジアミド、三フッ化ホウ素−アミンコンプレックス、有機酸ヒドラジド、イミダゾール系化合物、フェノール、クレゾール、キシリノールを基本骨格とする化合物及びその誘導体と重縮合物、チオコール系化合物などを用いることができる。
【0118】
また、前記化学式28で表されるビスマレイミド化合物を添加して硬化させる場合、重合開始剤も添加することにより、前記ビスマレイミド化合物同士のラジカル重合により、分子鎖が長くなる。そのため、前記ビスマレイミド化合物の重合体が前記橋かけ型構造体と絡み合ってIPN(相互侵入型網目構造)を形成し、前記貯蔵弾性率の低下を抑制することができると考えられる。
【0119】
このとき、前記重合開始剤としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、t-ブチルパーオキシベンゾエートなどを用いることができる。
【0120】
また、本実施形態1では、前記エポキシ樹脂と前記オリゴマー状有機ケイ素化合物の混合体に、前記ビスマレイミド化合物と硬化剤を添加した例で説明したが、用途に応じて、前記ビスマレイミド化合物と硬化剤のほかに、硬化促進剤、離型剤、カップリング剤、着色剤、可塑剤、希釈剤、可とう化剤、各種のゴム状物質、感光剤などを添加してもよいことは言うまでもない。
【0121】
(実施形態2)
図6及び図7は、本発明による実施形態2の配線板の概略構成を示す模式断面図である。
【0122】
図6及び図7において、101は第1絶縁体層、102は第2絶縁体層、2Aは第1配線、2Bは第2配線、2Cはめっきスルーホール、2Dは第3配線、2Eは第4配線、2Fは第5配線、2Gは第6配線、2Hはビア、CL1は第1配線層、CL2は第2配線層、CL3は第3配線層、CL4は第4配線層、CL5は第5配線層、CL6は第6配線層である。また、図8において、201は第1導体膜、202は第2導体膜、203は電気銅めっき、204は第3導体膜である。
【0123】
本実施形態2の配線板は、ビルドアップ法を用いて製造された多層配線板であり、図6に示すように、第1絶縁体層101の表面に前記第1配線層CL1の第1配線2A及び前記第2配線層CL2の第2配線2Bを設けたコア材上に、第2絶縁体層102を介在させて第3配線層CL3の配線2D、第4配線層CL4の配線2E、第5配線層CL5の配線2F、第6配線層CL6の配線2Gを設けている。
【0124】
このとき、前記第1配線2Aと前記第2配線2Bとは、例えば、図6に示したように、めっきスルーホール2Cにより電気的に接続されている。また、前記第1配線層CL1の配線2A、前記第3配線層CL3の配線2D、前記第5配線層CL5の配線2Fの間は、ビア2Hで電気的に接続されている。同様に、前記第2配線層CL2の配線2B、前記第4配線層CL4の配線2E、前記第6配線層CL6の配線2Gの間は、ビア2Hで電気的に接続されている。
【0125】
またこのとき、前記第1配線2Aは、図7に示すように、第1導体膜201の表面に電気銅めっき203が設けられている。同様に、前記第2配線2Bは第2導体膜202の表面に電気銅めっき203が設けられている。また、前記電気銅めっき203は、前記第1絶縁体層1に設けられた貫通穴(スルーホール)101Cにも設けられている。この、前記第1絶縁体層101のスルーホール101Cに設けられた電気銅めっき203が前記めっきスルーホール2Cである。
【0126】
また、前記第1配線2A上に、第2絶縁体層102を介在させて設けられた第3配線層CL3の第3配線2Dも、図7に示すように、第3導体膜204の表面に電気銅めっき203が設けられている。また、前記第1配線2Aと前記第3配線2Dは、前記第2絶縁体層102のビア穴に沿って設けられた電気銅めっき(ビア)2Hにより電気的に接続されている。また、他の配線層の配線も、同様の構成であるため、その説明は省略する。
【0127】
本実施形態2の配線板においても、前記第1絶縁体層101及び前記第2絶縁体層102として、前記実施形態1で説明した樹脂材料を用いることにより、前記第1絶縁体層101及び前記第2絶縁体層102に、ガラス布などの基材を設けなくてもよくなる。そのため、本実施形態2の配線板は、前記実施形態1の配線板と同様の効果を得ることができる。
【0128】
図8乃至図10は、本実施形態2の配線板の製造方法を説明するための模式図であり、図8(a)はコア材の断面図、図8(b)は配線板用部材の断面図、図9は配線板用部材をコア材に積層する工程の断面図、図10は配線を形成する工程の断面図である。
【0129】
本実施形態2の配線板を製造するときには、まず、図8(a)に示すように、第1絶縁体層101の第1主面に第1配線層CL1の第1配線2Aが形成され、前記絶縁基板の第2主面に第2配線層CL2の第2配線2Bが形成されたコア材を形成する。前記コア材の形成方法は、前記実施形態1で説明した配線板の形成方法と同じであるため、説明は省略する。また、前記コア材を形成する場合には、必要に応じて、図8(a)に示したように、スルーホール内に樹脂3を埋め込んでおく。
【0130】
次に、図8(b)に示すように、第2絶縁体層102の表面に第3導体膜204が形成された配線板用部材を形成する。このとき、前記配線板用部材は、例えば、前記コア材上に接着して前記第3配線層CL3の配線2Dを形成するための部材である。
【0131】
前記配線板部材は、例えば、硬化反応前のエポキシ樹脂とオリゴマー状有機ケイ素化合物との混合体に、前記実施形態1で説明したようなビスマレイミド化合物と硬化剤を添加した樹脂材料を、銅箔などの前記第3導体膜204の表面に塗布し、成形して前記第2絶縁体層102を形成する。このとき、前記第2絶縁体層102は、前記樹脂材料を、例えば、150℃で0.15時間加熱して、硬化反応が中間段階まで進んだ状態(半硬化状態)にしておく。
【0132】
次に、前記コア材上に前記配線板部材を張り合わせ、前記第2絶縁体層102を完全硬化させた後、図9に示すように、前記第3導体膜204及び前記第2絶縁体層102を貫通して前記第1配線層CL1の配線2Aに達する開口部(ビア穴)VHを形成する。このとき、前記第2絶縁体層102は、例えば、180℃で1時間加熱した後、200℃で2時間加熱して完全硬化させる。また、前記ビア穴VHは、例えば、炭酸ガスレーザを照射するレーザ加工により形成する。
【0133】
このとき、前記配線板用部材の前記第2絶縁体層102は、ガラス布などの基材が設けられていないため、従来のガラスエポキシ基板を用いたときのように、ビア穴VH内にガラス繊維が残るようなことはない。そのため、前記ビア穴VHを形成した後の表面処理が容易になる。
【0134】
次に、前記第3導体膜204の表面及び前記ビア穴VH内に電気銅めっき203を形成し、図10に示すように、前記第3導体膜204及び前記電気銅めっき203の不要な部分を除去して、前記第3配線層CL3の第3配線2Dを形成する。
【0135】
また、前記第4配線層CL4の第4配線2E、前記第5配線層CL5の第5配線2Fと、前記第6配線層の第6配線2Gは、前記第3配線2Dと同じ方法で形成できるため、その説明は省略する。
【0136】
またこのとき、前記第3配線2Dと前記第4配線2Eは、一度の工程で形成してもよい。また、前記第5配線2Fと前記第6配線2Gも、一度の工程で形成してもよい。
【0137】
本実施形態2の配線板も、前記実施形態1で説明した配線板と同様に、前記絶縁基板1の樹脂材料は、エポキシ樹脂とオリゴマー状有機ケイ素化合物とによる橋かけ型構造体に前記ビスマレイミド化合物が含まれているので、例えば、電子部品を実装(はんだ付け)するときの温度でも、貯蔵弾性率の低下はほとんど見られない。そのため、前記第1絶縁体層101及び前記第2絶縁体層102にガラス布などの基材を設けなくても、はんだ付け温度の近傍で前記配線板が変形するのを防ぐことができる。
【0138】
また、前記第1絶縁体層101及び前記第2絶縁体層102に、前記基材を設けなくてもよいため、前記スルーホールめっき2Cを形成するためのスルーホール1Cや、前記ビア2Hを形成するためのビア穴を形成したときに、前記スルーホール1C及び前記ビア穴VHの内部に異物が残らない。そのため、従来のガラス布などの基材を用いた配線板のように、前記めっきスルーホール2Cやビア2Hに、ピンホールやクラックなどのめっき不良が起こりにくくなる。そのため、導通信頼性の高い配線板を得ることができる。
【0139】
また、前記第1絶縁体層101及び前記第2絶縁体層102に、前記基材を設けなくてもよいので、従来のガラスエポキシ基板を用いた配線板で問題となっていたエレクトロマイグレーションは発生しない。そのため、めっきスルーホール2Cやビア2Hの間隔を小さくすることが容易になり、配線の高密度化、配線板の小型化ができる。
【0140】
また、前記コア材上に配線層を形成するときに用いる配線板用部材の第2絶縁体層102に、前記第1絶縁体層1と同じ樹脂材料を用いることにより、前記第2絶縁体層102にも前記基材を設けなくてよくなる。そのため、前記多層配線板の薄型化が容易になる。
【0141】
以上説明したように、本実施形態2の配線板によれば、前記実施形態1の配線板と同様で、前記第1絶縁体層101及び前記第2絶縁体層102にガラス布などの基材を設けなくても、はんだ付け温度の近傍で前記配線板が変形するのを防ぐことができる。
【0142】
また、前記第1絶縁体層101及び前記第2絶縁体層102に前記基材を設けなくてもよいため、前記第1絶縁体層101及び第2絶縁体層102に開口部を形成する工程や、開口部を形成した後の表面処理の工程が容易になる。
【0143】
また、前記第1絶縁体層101及び前記第2絶縁体層102に前記基材を設けなくてもよいため、めっきスルーホール2Cやビア2Hにピンホールやクラックが発生するのを低減することができる。
【0144】
また、前記第1絶縁体層101及び前記第2絶縁体層102に前記基材を設けなくてもよいので、エレクトロマイグレーションによる導通不良が起こりにくい。そのため、めっきスルーホール2Cやビア2Hの間隔を小さくすることが容易になり、配線の高密度化、配線板の小型化が容易になる。
【0145】
また、本実施形態2の配線板も、電子部品を実装して電子装置(電子モジュール)を形成するための配線板に限らず、例えば、複数の電子装置(電子モジュール)間を接続するフレキシブル配線板の絶縁基板に前記樹脂材料を用いることもできる。
【0146】
また、繰り返しの説明は省略するが、本実施形態2の配線板の場合も、前記実施形態1の配線板と同様で、前記エポキシ樹脂、前記有機ケイ素化合物、前記ビスマレイミド化合物は、用途に応じて種々選択することができる。
【0147】
また、本実施形態2では、図6に示したように、コア材の両面に第3配線層CL3、第4配線層CL4、第5配線層CL5、第6配線層CL6を設けた多層配線板を例に挙げて説明したが、これに限らず、前記コア材を用いない多層配線板であってもよい。その場合には、例えば、図8(a)に示したような、両面配線板を形成した後、図8(b)に示したような配線板用部材を用いて、前記第1絶縁体層101の第1主面1A上、もしくは第2主面1B上に、順次配線層を積層していけばよい。
【0148】
また、前記多層配線板の製造方法としては、本実施形態2で説明したようなビルドアップ法に限らず、例えば、図8(b)に示したような配線板用部材を用いて導体膜の不要な部分を除去して配線(導体パターン)を形成し、前記第2絶縁体層102に、前記ビア2Hの代わりになる導体のポスト(接続柱)を形成したものを複数枚準備しておき、それらを積層し、一括して前記第2絶縁体層102を完全硬化させてもよい。
【0149】
(実施形態3)
図11は、本発明による実施形態3の配線板の概略構成を示す模式断面図である。図11において、1は絶縁基板、1Dは外部接続端子を形成するための開口部、2は配線である。
【0150】
本実施形態3の配線板は、例えば、BGAやCSPなどの半導体装置に用いられるインターポーザであって、図11に示すように、絶縁基板1と、前記絶縁基板1の表面に設けられた配線2により構成されている。また、前記絶縁基板1には、例えば、ボール状の外部接続端子を形成するための開口部1Dが設けられている。
【0151】
本実施形態3の配線板においても、前記絶縁基板1として、前記実施形態1で説明した樹脂材料を用いることにより、前記絶縁基板1に、ガラス布などの基材を設けなくてもよくなる。そのため、本実施形態3の配線板は、前記実施形態1の配線板と同様の効果を得ることができる。
【0152】
図12は、本実施形態3の配線板の製造方法を説明するための模式図であり、図12(a)は配線板材料の断面図、図12(b)は外部接続端子を形成するための開口部を形成する工程の断面図である。
【0153】
本実施形態3の配線板を製造するときには、まず、図12(a)に示すような、絶縁基板1の表面に導体膜2が形成された配線板用部材を形成する。
【0154】
前記配線板用部材の絶縁基板1は、例えば、硬化反応前のエポキシ樹脂中で、オリゴマー状有機ケイ素化合物を生成させた後、前記実施形態1で説明したようなビスマレイミド化合物と硬化剤を混合した樹脂材料を、銅箔などの前記導体膜2の表面に塗布して成形し、例えば、220℃で1時間加熱して完全硬化させて形成する。
【0155】
次に、図12(b)に示すように、前記配線板用部材の絶縁基板1に、外部接続端子を形成するための開口部1Dを形成する。このとき、前記開口部1Dは、例えば、炭酸ガスレーザや紫外線レーザなどを照射するレーザ加工により形成する。
【0156】
次に、図示は省略するが、前記導体膜2の不要な部分を除去して、図11に示したような配線2を形成する。このとき、前記配線2は、例えば、サブトラクティブ法やセミアディティブ法で形成する。
【0157】
その後、図示は省略するが、前記配線2の表面に、錫めっき、錫合金めっき、あるいはニッケルめっきを下地とした金めっきなどの機能めっきや、はんだ保護膜(ソルダレジスト)などの保護膜を形成すると、本実施形態3の配線板(インターポーザ)が得られる。
【0158】
図13は、本実施形態3の配線板を用いた半導体装置の概略構成を示す模式断面図である。
【0159】
本実施形態3の配線板を用いて半導体装置を形成するときには、まず、図13に示すように、前記配線板上に半導体チップ4を配置し、前記半導体チップ4の外部電極401と前記配線2とを、接合材5により電気的に接続する。その後、前記配線板と前記半導体チップ4の間に、エポキシ樹脂などの封止絶縁体6を流し込んで前記配線2と前記半導体チップの外部電極401の接続部を封止し、前記絶縁基板1の開口部1Dに、例えば、はんだなどの接合材を用いてボール状の外部接続端子7を形成する。
【0160】
本実施形態3の配線板は、前記半導体チップの外部電極401と前記配線2を接続する工程や、前記外部接続端子7を形成する工程で、例えば、220℃から250℃に加熱される。このとき、従来のエポキシ樹脂や、エポキシ樹脂とオリゴマー状有機ケイ素化合物からなるハイブリッド樹脂を用いた絶縁基板では、加熱したときに変形しやすくなるため、ガラス布などの基材を設ける必要がある。しかしながら、前記半導体装置に用いるインターポーザの場合、薄型化、軽量化の要求が高く、前記ガラス布などの基材を用いたガラスエポキシ基板の代わりに、高価なポリイミド樹脂からなる絶縁基板が多く用いられている。
【0161】
そこで、本実施形態3の配線板のように、前記エポキシ樹脂で前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を生成させた後、前記ビスマレイミド化合物を混合して熱硬化させた樹脂材料からなる絶縁基板を用いると、220℃から250℃に加熱した場合でも貯蔵弾性率などの機械的特性の低下がほとんどないので、ガラス布などの基材を設けなくても、前記配線板の変形を防ぐことができる。
【0162】
また、本実施形態3の配線板の絶縁基板1として用いる樹脂材料は、主成分がエポキシ樹脂であり、エポキシ樹脂のみで硬化させる場合と同じ硬化剤、同じ条件で硬化させることができる。そのため、薄くて変形しにくい配線板を容易に、かつ比較的安価に製造することができる。
【0163】
以上説明したように、本実施形態3の配線板によれば、前記実施形態1の配線板と同様に、ガラス布などの基材を設けなくても、はんだ付け温度の近傍で前記配線板が変形するのを防ぐことができる。
【0164】
また、前記絶縁基板1に前記基材を設けなくてもよいため、前記絶縁基板1の薄型化が可能になり、前記配線板を薄型化することができる。
【0165】
また、前記絶縁基板1に前記基材を設けなくてもよいため、前記絶縁基板1に開口部を形成するときなどの加工が容易になる。
【0166】
また、エポキシ樹脂を用いた絶縁基板1を薄型化することが可能であるため、ポリイミド樹脂を用いた配線板に比べて、製造コストを低減することができる。
【0167】
また、繰り返しの説明は省略するが、本実施形態3の配線板においても、前記エポキシ樹脂、前記有機ケイ素化合物、前記ビスマレイミド化合物は、用途に応じて選択することができる。
【0168】
図14は、前記実施形態3の変形例を示す模式断面図である。
【0169】
前記実施形態3では、図13に示したような、BGA型の半導体装置を製造するときに用いる配線板(インターポーザ)を例にあげて説明したが、これに限らず、例えば、図14に示すような、COF型の半導体装置に用いる配線板であってもよいことは言うまでもない。この場合、前記絶縁基板1には、外部接続端子を形成するための開口部は不要である。また、前記配線2の一端は、図14に示したように、前記封止絶縁体6で封止される領域の外側に突出している。COF型の半導体装置の場合、この前記封止絶縁体6から突出した部分を、前記実施形態1及び実施形態2で説明したような配線板の配線(端子)と接続する。
【0170】
(実施形態4)
図15は、本発明による実施形態4の配線板の概略構成を示す模式図であり、図15(a)は配線板の平面図、図15(b)は図15(a)のA−A’線での断面図である。
【0171】
本実施形態4の配線板は、例えば、接触型のICカードに搭載される半導体装置(モジュール)に用いる配線板であって、図15(a)及び図15(b)に示すように、絶縁基板1の表面に、外部端子として用いる導体パターン2が設けられている。また、前記絶縁基板1には、半導体チップを実装するための開口部1Eと、半導体チップの外部電極と導体パターン2を接続するための開口部1Fが設けられている。
【0172】
このとき、前記絶縁基板1は、前記実施形態1で説明した樹脂材料を用いているものとする。
【0173】
また、図では省略しているが、前記配線板は、実際には、テープ状の絶縁基板1上に、図15(a)で示したようなパターンが繰り返し設けられている。
【0174】
図16は、本実施形態4の配線板を用いた半導体装置の概略構成を示す模式断面図である。
【0175】
本実施形態4の配線板を用いた半導体装置は、図16に示すように、前記絶縁基板1に設けられた、前記半導体チップを実装するための開口部1E内にて、前記導体パターン2と半導体チップ4が接着剤8で接着され、前記半導体チップ4の外部電極(図示しない)と前記導体パターン2は、ボンディングワイヤ9により電気的に接続されている。
【0176】
従来、図15(a)及び図15(b)に示したような配線板では、前記絶縁基板1に、例えば、ガラスエポキシ基板を用いている。そのため、前記絶縁基板1に、前記各開口部1E,1Fを形成したときに、前記各開口部1E,1F内にガラス繊維が残ることが多い。このとき、前記半導体チップの外部電極と導体パターン2を接続するための開口部1Fにガラス繊維が残っていると、前記ボンディングワイヤ9と前記導体パターン2を接続するときに接続不良を起こしやすい。
【0177】
そこで、本実施形態4の配線板のように、前記エポキシ樹脂で前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を生成させた後、前記ビスマレイミド化合物を混合して熱硬化させた樹脂材料からなる絶縁基板を用いると、ガラス布などの基材が不要であるため、ボンディングワイヤ9と導体パターン2の接続不良を低減することができる。
【0178】
以上説明したように、本実施形態4の配線板によれば、前記エポキシ樹脂で前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を生成させた後、前記ビスマレイミド化合物を混合して熱硬化させた樹脂材料からなる絶縁基板を用いることにより、ガラス布などの基材が不要になるため、前記絶縁基板に開口部を形成したときに、開口部内に基材が残ることがない。そのため、前記開口部内に残った基材による導通不良を低減することができる。
【0179】
以上、本発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々変更可能であることはもちろんである。
【0180】
【発明の効果】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、以下の通りである。
【0181】
(1)樹脂材料を用いた絶縁基板の表面、もしくは表面及び内部に配線を設けた配線板において、前記絶縁基板に補強用の基材を設けなくてもはんだ付け温度の近傍での配線板の変形を防ぐことできる。
【0182】
(2)樹脂材料を用いた絶縁基板の表面、もしくは表面及び内部に配線を設けた配線板において、配線の高密度化が容易になる。
【0183】
(3)樹脂材料を用いた絶縁基板の表面、もしくは表面及び内部に配線を設けた配線板において、配線のはがれや膨れ、クラックを防ぐことができる。
【0184】
(4)樹脂材料を用いた絶縁基板の表面に配線を設けた配線板を薄型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による実施形態1の配線板の概略構成を示す模式図であり、図1(a)は配線板の断面図、図1(b)は図1(a)の部分拡大断面図である。
【図2】本実施形態1の配線板の作用効果を説明するための模式図であり、貯蔵弾性率の温度変化を示すグラフである。
【図3】本実施形態1の配線板の作用効果を説明するための模式図であり、弾性損失(tanδ)の温度変化を示すグラフである。
【図4】本実施形態1の配線板の製造方法を説明するための模式図であり、図4(a)は配線板用部材の断面図、図4(b)はスルーホールを形成する工程の断面図である。
【図5】本実施形態1の配線板の製造方法を説明するための模式図であり、めっきスルーホールを形成する工程の断面図である。
【図6】本発明による実施形態2の配線板の概略構成を示す模式断面図である。
【図7】本実施形態2の配線板の概略構成を示す模式図であり、図7の部分拡大断面図である。
【図8】本実施形態2の配線板の製造方法を説明するための模式図であり、図8(a)はコア材の断面図、図8(b)は配線板材料の断面図である。
【図9】本実施形態2の配線板の製造方法を説明するための模式図であり、ビア穴を形成する工程の断面図である。
【図10】本実施形態2の配線板の製造方法を説明するための模式図であり、配線を形成する工程の断面図である。
【図11】本発明による実施形態3の配線板の概略構成を示す模式断面図である。
【図12】本実施形態3の配線板の製造方法を説明するための模式図であり、図12(a)は配線板材料の断面図、図12(b)は開口部を形成する工程の断面図である。
【図13】本実施形態3の配線板を用いた半導体装置の概略構成を示す模式断面図である。
【図14】前記実施形態3の配線板の変形例を説明するための模式断面図である。
【図15】本発明による実施形態4の配線板の概略構成を示す模式図であり、図15(a)は配線板の平面図、図15(b)は図15(a)のA−A’線での断面図である。
【図16】本実施形態4の配線板を用いた半導体装置の概略構成を示す模式断面図である。
【図17】従来の樹脂材料の貯蔵弾性率の温度変化を示すグラフである。
【図18】従来の樹脂材料の弾性損失(tanδ)の温度変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1…絶縁基板、101…第1絶縁体層、102…第2絶縁体層、1C…スルーホール、2…配線、2A…第1配線、2B…第2配線、2C…めっきスルーホール、2D…第3配線、2E…第4配線、2F…第5配線、2G…第6配線、2H…ビア、201…第1導体膜、202…第2導体膜、203…電気銅めっき、204…第3導体膜、3…埋め込み樹脂、4…半導体チップ、401…半導体チップの外部電極、5…接合材、6…封止絶縁体、7…外部接続端子、8…接着剤、9…ボンディングワイヤ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、配線板及びその製造方法、ならびに配線板用部材及びその製造方法に関し、特に、配線密度の高い配線板に適用して有効な技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子装置には、絶縁基板の表面、あるいは表面及び内部に配線(導体パターン)が設けられた配線板が用いられている。このとき、前記絶縁基板には、例えば、耐熱性、電気絶縁性、誘電特性、耐湿性、接着性、耐酸性、耐アルカリ性などの物理的、化学的特性がよい材料として、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂などの樹脂材料が多く用いられている。特に、前記エポキシ樹脂は、前記物理的、化学的特性のバランスがよく、かつ、低価格であるため、前記配線板の絶縁基板用の樹脂材料として広く一般に用いられている。また、前記ポリイミド樹脂は、耐熱性や耐湿性などが前記汎用エポキシ樹脂よりも優れているが、配線(銅箔)との接着性が汎用エポキシ樹脂よりも劣る、汎用エポキシ樹脂に比べて高価であるといったことから、特殊な用途の配線板に用いられることが多い。
【0003】
また、前記電子装置に用いる配線板は、例えば、半導体チップや、抵抗素子、容量素子などのチップ状素子、半導体パッケージといった電子部品を実装(はんだ付け)するときに、例えば、200℃以上に加熱する。そのため、前記絶縁基板には、前記物理的、化学的特性のほかに、200℃以上の高温領域での機械強度や寸法安定性などの機械的特性にも、十分に安定した特性が要求される。
【0004】
しかしながら、前記絶縁基板として、前記エポキシ樹脂や前記ポリイミド樹脂などの樹脂材料を単体で用いた場合には、はんだ付け温度などの高温領域での機械的特性が不十分であることが多い。そのため、前記絶縁基板には、ガラス布、ガラス不織布、紙、合成繊維布などの基材に前記樹脂材料を含浸させた積層板が用いられることが多い。
【0005】
前記積層板としては、一般に、ガラス布やガラス不織布などの基材にエポキシ樹脂を含浸させたガラス布基材エポキシ樹脂積層板(以下、ガラスエポキシ基板と称する)が用いられている。このとき、前記エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂などが用いられる。以下、前記各型のエポキシ樹脂をまとめて汎用エポキシ樹脂と称する。
【0006】
前記汎用エポキシ樹脂は、一般に、ガラス転移温度が150℃付近に見られ、図17に示すように、ガラス転移温度以上の温度領域では、貯蔵弾性率が急速に低下する。そのため、前記汎用エポキシ樹脂のみでは、例えば、前記はんだ付けをする温度での強度が不十分であるが、前記ガラス布(基材)が補強材の役割を果たし、前記配線板の変形を防ぐことができる。
【0007】
また、近年、環境問題対策の面から、前記配線板上に前記電子部品を実装するときに用いる接合材として、鉛を含まない接合材を用いるようになってきている。前記鉛を含まない接合材は、従来から用いられているSn−Pb系はんだなどの鉛を含む接合材に比べて融点が高い場合が多く、例えば、230℃から250℃に上昇する。
【0008】
前記はんだ付け温度が上昇することにより、前記汎用エポキシ樹脂の機械的特性の劣化が進むとともに、銅箔(配線)との接着性なども劣化し、配線のはがれや膨れ、クラックなどが生じやすくなる。
【0009】
そこで、近年では、前記汎用エポキシ樹脂の代わりに、前記汎用エポキシ樹脂と有機ケイ素化合物からなる樹脂材料(以下、ハイブリッド樹脂と称する)を用いる方法が提案されている(特開2000−109709号公報、特開2001−131517号公報、特開2001−288244号公報参照)。
【0010】
前記ハイブリッド樹脂は、硬化反応前の前記汎用エポキシ樹脂中で、例えば、下記化学式13
【化13】
で表される有機ケイ素化合物と水とを反応させてオリゴマー状有機ケイ素化合物を生成させた後、前記汎用エポキシ樹脂と前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を付加反応させ、硬化させた樹脂材料である。ここで、前記化学式13で表される有機ケイ素化合物において、Rは前記汎用エポキシ樹脂と付加反応を起こす官能基を含む有機基であり、R’はメチル基もしくはエチル基である。
【0011】
前記ハイブリッド樹脂は、動的粘弾性分析により貯蔵弾性率の温度変化を調べると、図17に示すように、150℃から200℃の間で低下しているが、はんだ付けをする温度の近傍での貯蔵弾性率は、前記汎用エポキシ樹脂のみで硬化させた樹脂材料に比べて約一桁大きい。そのため、はんだ付けの工程などの高温環境下で変形しにくくなる。
【0012】
また、前記汎用エポキシ樹脂のみで硬化させた樹脂材料と、前記汎用エポキシ樹脂を用いた前記ハイブリッド樹脂のそれぞれについて、動的粘弾性分析により弾性損失(tanδ)の温度変化を調べると、図18に示すように、前記ハイブリッド樹脂の弾性損失の温度プロファイルでピークを示す温度が、前記汎用エポキシ樹脂のみで硬化させた樹脂材料の場合に比べて高くなる。つまり、前記ハイブリッド樹脂は、ガラス転移温度が高くなり、例えば、はんだ付け温度の近傍のような高温領域での特性の劣化が少なくなる。そのため、はんだ付けの工程などの高温環境下における配線板の変形や、配線のはがれや膨れ、クラックの発生などを低減することができる。
【0013】
さらに、前記ハイブリッド樹脂は、前記汎用エポキシ樹脂を硬化させるときに用いる硬化剤で硬化させることができるため、製造が容易である。そのため、従来の汎用エポキシ樹脂に代わる樹脂材料として注目されている。
【0014】
また、前記配線板のうち、BGA(Ball Grid Array)やCSP(Chip Size/Scale Package)などの半導体装置において、半導体チップの外部電極と実装基板上の配線(端子)との整合、あるいはグリッド変換を行うためのインターポーザ、ICカードに搭載する電子モジュールなどに用いる配線板や、フレキシブル配線板では、前記ガラス布などの基材を設けると、屈曲性が低下する、あるいは薄型化が難しいといったことから、前記基材を設けない絶縁基板が用いられることが多い。このとき、前記絶縁基板としてエポキシ樹脂を用いると、前記配線板の製造時や、前記配線板を用いた電子装置の使用時の加熱で、前記絶縁基板が変形しやすくなる。そのため、前記フレキシブル配線板や前記インターポーザでは、前記絶縁基板として、ポリイミド樹脂などの熱可塑性樹脂を用いることが多い。
【0015】
また、例えば、前記ICカードに搭載する電子モジュールなどに用いる配線板では、熱硬化性樹脂の持つ耐熱性、低寸法変化、耐湿性の高さなどから、前記絶縁基板として、薄葉のガラスエポキシ基板が用いられるようになってきている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の技術では、前記配線板の絶縁基板用の樹脂材料として、前記汎用エポキシ樹脂、あるいは前記ハイブリッド樹脂を用いた場合、半導体チップやその他の電子部品を実装(はんだ付け)する温度の近傍では、図17に示したように、貯蔵弾性率が1桁以上小さくなる。そのため、前記はんだ付け温度の近傍での前記絶縁基板の変形を防ぐためには、ガラス布などの基材を設けなければならない。
【0017】
前記配線板のうち、前記絶縁基板の表面、もしくは表面と内部に2層以上の配線が設けられた配線板では、異なる層の配線を電気的に接続するためのめっきスルーホールやビアが必要であるため、前記絶縁基板、あるいは前記絶縁基板を構成する絶縁体材料にスルーホールやビア穴を形成しなければならない。
【0018】
また、前記絶縁基板として、前記ガラスエポキシ基板などの積層板を用いた場合、前記樹脂材料と前記基材の力学的特性(機械的物性)が異なるため、スルーホールやビア穴などの開口部の形成した時に、前記開口部内にガラス繊維が突出した状態で残ったり、開口部内の面の凹凸が大きくなったりする。
【0019】
従来の配線板の製造方法では、前記スルーホールや前記ビア穴を形成した後、デスミアやブラストなどの表面処理を行っているが、開口部内にガラス繊維が突出した状態で残ることが多い。そのため、例えば、電気銅めっきにより前記開口部内にめっきスルーホールやビアを形成したときに、前記めっきスルーホールやビアにピンホールやクラックが発生し、導通不良になりやすいという問題があった。
【0020】
また、前記ガラス布などの基材を設けた絶縁基板の場合、前記絶縁基板にめっきスルーホールやビアを形成したときに、前記めっきスルーホールや前記ビアを構成する導体が、前記基材に沿って前記絶縁基板内に成長するエレクトロマイグレーションを生ずるという問題があった。また、前記エレクトロマイグレーションが発生するため、めっきスルーホールやビアの密度を高くすることが難しく、配線の微細化、高密度化が難しくなってきているという問題があった。
【0021】
また、前記汎用エポキシ樹脂、あるいは前記ハイブリッド樹脂を用いた絶縁基板の場合、ガラス転移温度が、例えば、電子部品をはんだ付けする温度よりも低い。そのため、はんだ付けの工程では、前記樹脂材料がガラス転移をしており、機械的特性のほか、接着力などの特性も、室温付近での特性と比べて著しく変化している。そのため、前記樹脂材料の熱膨張による配線の断線、接着力の低下による配線のはがれや膨れが起こるという問題があった。
【0022】
また、前記インターポーザや前記フレキシブル基板などの、樹脂材料だけで構成した絶縁基板を用いた配線板では、前記絶縁基板としてポリイミド樹脂からなるテープ材料を用いることが多いが、前記ポリイミド樹脂はエポキシ樹脂に比べて高価である。そのため、配線板の製造コストが上昇するという問題があった。
【0023】
また、前記BGAやCSP、ICカードに搭載する電子装置に用いる配線板のように、極端な折り曲げや、繰り返しの折り曲げがない用途の配線板の絶縁基板では、近年、前記ポリイミド樹脂の代わりに薄葉のガラスエポキシ基板が用いられるようになってきている。しかしながら、ガラスエポキシ基板を用いることにより、外部接続端子を設けるための開口部やボンディング用の開口部を形成したときに、開口部内にガラス繊維が突出した状態で残ることが多い。そのため、外部接続端子の導通不良やボンディング不良が起こりやすいという問題があった。
【0024】
また、薄葉のガラスエポキシ基板の場合、ガラス布(基材)の凹凸が前記絶縁基板の表面の平坦性に影響するため、薄型化が難しいという問題があった。
【0025】
本発明の目的は、樹脂材料を用いた絶縁基板の表面、もしくは表面及び内部に配線を設けた配線板において、前記絶縁基板に補強用の基材を設けなくてもはんだ付け温度の近傍での配線板の変形を防ぐことが可能な技術を提供することにある。
【0026】
本発明の他の目的は、樹脂材料を用いた絶縁基板の表面、もしくは表面及び内部に配線を設けた配線板において、配線の高密度化が可能な技術を提供することにある。
【0027】
本発明の他の目的は、樹脂材料を用いた絶縁基板の表面、もしくは表面及び内部に配線を設けた配線板において、配線のはがれや膨れ、クラックを防ぐことが可能な技術を提供することにある。
【0028】
本発明の他の目的は、樹脂材料を用いた絶縁基板の表面に配線を設けた配線板を薄型化することが可能な技術を提供することにある。
【0029】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかになるであろう。
【0030】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明の概要を説明すれば、以下の通りである。
【0031】
(1)樹脂材料からなる絶縁基板の表面または内部、もしくは表面及び内部に配線(導体パターン)を設けた配線板において、前記絶縁基板は、エポキシ樹脂と、下記化学式14
【化14】
で表される有機ケイ素化合物(Rは前記エポキシ樹脂と付加反応を起こす官能基を有する有機基、R’はメチル基もしくはエチル基)と水との反応により生成するオリゴマー状有機ケイ素化合物と、前記エポキシ樹脂と前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を付加反応させて硬化させる硬化剤と、水素結合をしやすい官能基及び反応性不飽和結合を有する化合物との混合物を熱硬化させた樹脂材料でなる配線板である。
【0032】
前記(1)の手段によれば、前記樹脂材料の貯蔵弾性率は、例えば、前記配線板に電子部品をはんだ付け(実装)する温度領域でも、室温付近での貯蔵弾性率と比べてほとんど低下しない。すなわち、前記樹脂材料からなる絶縁基板は、前記はんだ付けをする温度領域でも十分な機械的特性が確保できる。そのため、従来のガラスエポキシ基板のように、ガラス布やガラス不織布などの基材を設けなくても、熱による前記配線板の変形を防ぐことができる。
【0033】
また、前記ガラス布やガラス不織布などの基材を設けなくてもよいため、従来のガラスエポキシ基板などで問題となっていたエレクトロマイグレーションが発生しない。そのため、めっきスルーホールやビアの間隔を小さくすることが容易になり、配線の高密度化、配線板の小型化が容易になる。
【0034】
また、前記樹脂材料は、従来の絶縁基板に用いられている樹脂材料に比べてガラス転移温度が高いため、前記はんだ付けをする温度領域での特性の低下が少ない。そのため、前記配線のはがれや膨れ、クラックの発生を低減することができる。
【0035】
また、前記(1)の手段において、前記水素結合をしやすい官能基及び前記反応性不飽和結合を有する化合物は、例えば、前記水素結合をしやすい官能基として、カルボニル基を有する化合物があげられる。
【0036】
またこのとき、前記水素結合をしやすい官能基及び前記反応性不飽和結合を有する化合物は、下記化学式15
【化15】
で表されるビスマレイミド化合物を用いることが好ましい。ここで、前記化学式15のAは、少なくとも2個の炭素原子を有する2価の有機基である。
【0037】
また、前記配線板としては、例えば、絶縁基板の一表面に配線を設けた片面配線板、絶縁基板の両面に配線を設けた両面配線板、絶縁基板の表面及び内部に3層以上の配線層を設けた多層配線板などがあげられる。
【0038】
(2)樹脂材料からなる絶縁基板の表面に導体膜を設けてなり、前記絶縁基板の表面に前記導体膜の不要な部分を除去した配線(導体パターン)が設けられた配線板の形成に用いる配線板用部材において、前記絶縁基板は、エポキシ樹脂と、下記化学式16
【化16】
で表される有機ケイ素化合物(Rは前記エポキシ樹脂と付加反応を起こす官能基を有する有機基、R’はメチル基もしくはエチル基)と水との反応により生成するオリゴマー状有機ケイ素化合物と、前記エポキシ樹脂と前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を付加反応させて硬化させる硬化剤と、水素結合をしやすい官能基及び反応性不飽和結合を有する化合物との混合物を熱硬化させた樹脂材料でなる配線板用部材である。
【0039】
前記(2)の手段によれば、前記樹脂材料の貯蔵弾性率は、例えば、前記配線板に電子部品をはんだ付け(実装)する温度領域でも、室温付近での貯蔵弾性率と比べてほとんど低下しない。すなわち、前記樹脂材料からなる絶縁基板は、前記はんだ付けをする温度領域でも十分な機械的特性が確保できる。そのため、従来のガラスエポキシ基板のように、ガラス布やガラス不織布などの基材を設けなくても、熱による前記絶縁基板の変形を防ぐことができる。
【0040】
また、前記ガラス布やガラス不織布などの基材を設けなくてもよいため、前記(2)の手段の配線板用部材を用いて形成した配線板では、スルーホールやビア穴を形成する工程、及びその後の表面処理の工程が容易になる。
【0041】
また、前記ガラス布やガラス不織布などの基材を設けなくてもよいため、前記(2)の手段の配線板用部材を用いて形成した配線板では、従来のガラスエポキシ基板を用いて形成した配線板などで問題となっていたエレクトロマイグレーションが発生しない。そのため、前記配線板用部材を用いて配線板を形成するときに、めっきスルーホールやビアの間隔を小さくすることが容易になり、配線の高密度化、配線板の小型化が容易になる。
【0042】
また、前記樹脂材料は、従来の絶縁基板に用いられている樹脂材料に比べてガラス転移温度が高いため、前記はんだ付けをする温度領域での特性の低下が少ない。そのため、前記(2)の手段の配線板用部材を用いて形成した配線板では、前記配線のはがれや膨れ、クラックの発生を低減することができる。
【0043】
また、前記(2)の配線板用部材は、例えば、絶縁基板の一表面に配線を設けた片面配線板、絶縁基板の両面に配線を設けた両面配線板、前記両面配線板上に、絶縁体層を介在させて配線層を設けた多層配線板の形成に用いられる。
【0044】
(3)樹脂材料からなる絶縁体層の表面に導体膜を設けてなり、前記絶縁体層を2層以上積層させた絶縁基板の表面または内部、もしくは表面及び内部に前記導体膜の不要な部分を除去した配線(導体パターン)が設けられた配線板の形成に用いる配線板用部材において、前記絶縁体層は、エポキシ樹脂と、下記化学式17
【化17】
で表される有機ケイ素化合物(Rは前記エポキシ樹脂と付加反応を起こす官能基を有する有機基、R’はメチル基もしくはエチル基)と水との反応により生成するオリゴマー状有機ケイ素化合物と、前記エポキシ樹脂と前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を付加反応させて硬化させる硬化剤と、水素結合をしやすい官能基及び反応性不飽和結合を有する化合物との混合物を半硬化状態にした樹脂材料でなる配線板用部材である。
【0045】
前記(3)の手段によれば、前記樹脂材料の貯蔵弾性率は、例えば、前記配線板に電子部品をはんだ付け(実装)する温度領域でも、室温付近での貯蔵弾性率と比べてほとんど低下しない。すなわち、前記樹脂材料からなる絶縁基板は、前記はんだ付けをする温度領域でも十分な機械的特性が確保できる。そのため、従来のガラスエポキシ基板のように、ガラス布やガラス不織布などの基材を設けなくても、熱による前記絶縁基板の変形を防ぐことができる。
【0046】
また、前記ガラス布やガラス不織布などの基材を設けなくてもよいため、前記(3)の手段の配線板用部材を用いて形成した配線板では、スルーホールやビア穴を形成する工程、及びその後の表面処理の工程が容易になる。
【0047】
また、前記ガラス布やガラス不織布などの基材を設けなくてもよいため、前記(3)の手段の配線板用部材を用いて形成した配線板では、従来のガラスエポキシ基板を用いて形成した配線板などで問題となっていたエレクトロマイグレーションが発生しない。そのため、前記配線板用部材を用いて配線板を形成するときに、めっきスルーホールやビアの間隔を小さくすることが容易になり、配線の高密度化、配線板の小型化が容易になる。
【0048】
また、前記樹脂材料は、従来の絶縁基板に用いられている樹脂材料に比べてガラス転移温度が高いため、前記はんだ付けをする温度領域での特性の低下が少ない。そのため、前記(3)の手段の配線板用部材を用いて形成した配線板では、前記配線のはがれや膨れ、クラックの発生を低減することができる。
【0049】
(4)板状に成形された樹脂材料でなり、前記樹脂材料を2層以上積層させた絶縁基板の表面または内部、もしくは表面及び内部に配線(導体パターン)が設けられた配線板の形成に用いる配線板用部材において、前記樹脂材料は、エポキシ樹脂と、下記化学式18
【化18】
で表される有機ケイ素化合物(Rは前記エポキシ樹脂と付加反応を起こす官能基を有する有機基、R’はメチル基もしくはエチル基)と水との反応により生成するオリゴマー状有機ケイ素化合物と、前記エポキシ樹脂と前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を付加反応させて硬化させる硬化剤と、水素結合をしやすい官能基及び反応性不飽和結合を有する化合物との混合物を半硬化状態にした樹脂材料でなる配線板用部材である。
【0050】
前記(4)の手段によれば、前記樹脂材料の貯蔵弾性率は、例えば、前記配線板に電子部品をはんだ付け(実装)する温度領域でも、室温付近での貯蔵弾性率と比べてほとんど低下しない。すなわち、前記樹脂材料からなる絶縁基板は、前記はんだ付けをする温度領域でも十分な機械的特性が確保できる。そのため、従来のガラスエポキシ基板のように、ガラス布やガラス不織布などの基材を設けなくても、熱による前記絶縁基板の変形を防ぐことができる。
【0051】
また、前記ガラス布やガラス不織布などの基材を設けなくてもよいため、前記(4)の手段の配線板用部材を用いて形成した配線板では、スルーホールやビア穴を形成する工程、及びその後の表面処理の工程が容易になる。
【0052】
また、前記ガラス布やガラス不織布などの基材を設けなくてもよいため、前記(4)の手段の配線板用部材を用いて形成した配線板では、従来のガラスエポキシ基板を用いて形成した配線板などで問題となっていたエレクトロマイグレーションが発生しない。そのため、前記配線板用部材を用いて配線板を形成するときに、めっきスルーホールやビアの間隔を小さくすることが容易になり、配線の高密度化、配線板の小型化が容易になる。
【0053】
また、前記樹脂材料は、従来の絶縁基板に用いられている樹脂材料に比べてガラス転移温度が高いため、前記はんだ付けをする温度領域での特性の低下が少ない。そのため、前記(4)の手段の配線板用部材を用いて形成した配線板では、前記配線のはがれや膨れ、クラックの発生を低減することができる。
【0054】
(5)樹脂材料からなる絶縁基板であり、前記絶縁基板の表面に配線(導体パターン)が設けられた配線板の形成に用いる配線板用部材において、前記絶縁基板は、エポキシ樹脂と、下記化学式19
【化19】
で表される有機ケイ素化合物(Rは前記エポキシ樹脂と付加反応を起こす官能基を有する有機基、R’はメチル基もしくはエチル基)と水との反応により生成するオリゴマー状有機ケイ素化合物と、前記エポキシ樹脂と前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を付加反応させて硬化させる硬化剤と、水素結合をしやすい官能基及び反応性不飽和結合を有する化合物との混合物を硬化させた樹脂材料でなる配線板用部材である。
【0055】
前記(5)の手段によれば、前記樹脂材料の貯蔵弾性率は、例えば、前記配線板に電子部品をはんだ付け(実装)する温度領域でも、室温付近での貯蔵弾性率と比べてほとんど低下しない。すなわち、前記樹脂材料からなる絶縁基板は、前記はんだ付けをする温度領域でも十分な機械的特性が確保できる。そのため、従来のガラスエポキシ基板のように、ガラス布やガラス不織布などの基材を設けなくても、熱による前記絶縁基板の変形を防ぐことができる。
【0056】
また、前記ガラス布やガラス不織布などの基材を設けなくてもよいため、前記(5)の手段の配線板用部材を用いて形成した配線板では、スルーホールやビア穴を形成する工程、及びその後の表面処理の工程が容易になる。
【0057】
また、前記ガラス布やガラス不織布などの基材を設けなくてもよいため、前記(5)の手段の配線板用部材を用いて形成した配線板では、従来のガラスエポキシ基板を用いて形成した配線板などで問題となっていたエレクトロマイグレーションが発生しない。そのため、前記配線板用部材を用いて配線板を形成するときに、めっきスルーホールやビアの間隔を小さくすることが容易になり、配線の高密度化、配線板の小型化が容易になる。
【0058】
また、前記樹脂材料は、従来の絶縁基板に用いられている樹脂材料に比べてガラス転移温度が高いため、前記はんだ付けをする温度領域での特性の低下が少ない。そのため、前記(5)の手段の配線板用部材を用いて形成した配線板では、前記配線のはがれや膨れ、クラックの発生を低減することができる。
【0059】
また、前記(5)の配線板用部材は、例えば、前記絶縁基板の表面に、接着剤を用いて導体膜を接着した後、前記導体膜の不要な部分を除去して配線(導体パターン)を形成する配線板に用いる。
【0060】
また、前記(2)から(5)までの手段において、前記水素結合をしやすい官能基及び前記反応性不飽和結合を有する化合物は、例えば、前記水素結合をしやすい官能基として、カルボニル基を有する化合物があげられる。
【0061】
またこのとき、前記水素結合をしやすい官能基及び前記反応性不飽和結合を有する化合物は、下記化学式20
【化20】
で表されるビスマレイミド化合物であることが好ましい。ここで、前記化学式20のビスマレイミド化合物において、Aは少なくとも2個の炭素原子を有する2価の有機基である。
【0062】
(6)樹脂材料を板状に成形した絶縁基板の表面に導体膜を形成する工程を備え、前記絶縁基板の表面に前記導体膜の不要な部分を除去した配線(導体パターン)が形成された配線板を製造するための配線板用部材の製造方法において、絶縁基板の表面に導体膜を形成する工程は、硬化反応前のエポキシ樹脂中に、下記化学式21
【化21】
で表される有機ケイ素化合物(Rは前記エポキシ樹脂と付加反応を起こす官能基を有する有機基、R’はメチル基もしくはエチル基)と水を混合して加熱処理を行い、オリゴマー状有機ケイ素化合物を生成させた後、前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を生成させたエポキシ樹脂中に、前記エポキシ樹脂と前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を付加反応させる硬化剤と、水素結合をしやすい官能基及び反応性不飽和結合を有する化合物とを混合した樹脂材料を板状に成形して半硬化状態にし、前記半硬化状態にした樹脂材料の表面に前記導体膜を張り合わせ、前記樹脂材料を完全硬化させる配線板用部材の製造方法である。
【0063】
前記(6)の手段によれば、完全硬化させた前記樹脂材料の貯蔵弾性率は、例えば、前記配線板に電子部品をはんだ付け(実装)する温度領域でも、室温付近での貯蔵弾性率と比べてほとんど低下しない。また、前記完全硬化させた樹脂材料は、電子部品をはんだ付けする温度領域に加熱したときの物理的・化学的特性の低下や変化が小さい。
【0064】
またこのとき、前記エポキシ樹脂は、従来から用いられている汎用エポキシ樹脂を用いることができる。また、前記樹脂材料は、従来のエポキシ樹脂のみで硬化させるときに用いる硬化剤で硬化させることができる。そのため、高温でも特性(物性)が安定した配線板を製造するための配線板用部材を容易に製造することができる。
【0065】
(7)樹脂材料からなる絶縁体層の表面に導体膜を形成する工程を備え、前記絶縁体層を2層以上積層した絶縁基板の表面または内部、もしくは表面及び内部に前記導体膜の不要な部分を除去した配線(導体パターン)が形成された配線板を製造するための配線板用部材の製造方法において、絶縁体層の表面に導体膜を形成する工程は、硬化反応前のエポキシ樹脂中に、下記化学式22
【化22】
で表される有機ケイ素化合物(Rは前記エポキシ樹脂と付加反応を起こす官能基を有する有機基、R’はメチル基もしくはエチル基)と水を混合して加熱処理を行い、オリゴマー状有機ケイ素化合物を生成させた後、前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を生成させたエポキシ樹脂中に、前記エポキシ樹脂と前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を付加反応させる硬化剤と、水素結合をしやすい官能基及び反応性不飽和結合を有する化合物とを混合した樹脂材料を板状に成形して半硬化状態にした絶縁体層の表面に、前記導体膜を張り合わせる配線板用部材の製造方法である。
【0066】
前記(7)の手段によれば、完全硬化させた前記樹脂材料の貯蔵弾性率は、例えば、前記配線板に電子部品をはんだ付け(実装)する温度領域でも、室温付近での貯蔵弾性率と比べてほとんど低下しない。また、前記完全硬化させた樹脂材料は、電子部品をはんだ付けする温度領域に加熱したときの物理的・化学的特性の低下や変化が小さい。
【0067】
またこのとき、前記エポキシ樹脂は、従来から用いられている汎用エポキシ樹脂を用いることができる。また、前記樹脂材料は、従来のエポキシ樹脂のみで硬化させるときに用いる硬化剤で硬化させることができる。そのため、高温でも特性(物性)が安定した配線板を製造するための配線板用部材を容易に製造することができる。
【0068】
(8)樹脂材料を板状に成形する工程を備え、前記樹脂材料を2層以上積層させた絶縁基板の表面または内部、もしくは表面及び内部に配線(導体パターン)が形成された配線板の製造に用いる配線板用部材の製造方法において、前記樹脂材料を板状に成形する工程は、硬化反応前のエポキシ樹脂中に、下記化学式23
【化23】
で表される有機ケイ素化合物(Rは前記エポキシ樹脂と付加反応を起こす官能基を有する有機基、R’はメチル基もしくはエチル基)と水を混合して加熱処理を行い、オリゴマー状有機ケイ素化合物を生成させた後、
前記エポキシ樹脂と前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を付加反応させて硬化させる硬化剤と、水素結合をしやすい官能基及び反応性不飽和結合を有する化合物との混合した樹脂材料を板状に成形して半硬化状態にする配線板用部材の製造方法である。
【0069】
前記(8)の手段によれば、完全硬化させた前記樹脂材料の貯蔵弾性率は、例えば、前記配線板に電子部品をはんだ付け(実装)する温度領域でも、室温付近での貯蔵弾性率と比べてほとんど低下しない。また、前記完全硬化させた樹脂材料は、電子部品をはんだ付けする温度領域に加熱したときの物理的・化学的特性の低下や変化が小さい。
【0070】
またこのとき、前記エポキシ樹脂は、従来から用いられている汎用エポキシ樹脂を用いることができる。また、前記樹脂材料は、従来のエポキシ樹脂のみで硬化させるときに用いる硬化剤で硬化させることができる。そのため、高温でも特性(物性)が安定した配線板を製造するための配線板用部材を容易に製造することができる。
【0071】
(9)樹脂材料を板状に成形して絶縁基板を形成する工程を備え、前記絶縁基板の表面に配線(導体パターン)が設けられた配線板の形成に用いる配線板用部材の製造方法において、前記絶縁基板を形成する工程は、硬化反応前のエポキシ樹脂中に、下記化学式24
【化24】
で表される有機ケイ素化合物(Rは前記エポキシ樹脂と付加反応を起こす官能基を有する有機基、R’はメチル基もしくはエチル基)と水を混合して加熱処理を行い、オリゴマー状有機ケイ素化合物を生成させた後、前記エポキシ樹脂と前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を付加反応させて硬化させる硬化剤と、水素結合をしやすい官能基及び反応性不飽和結合を有する化合物との混合した樹脂材料を板状に成形して硬化させる配線板用部材の製造方法である。
【0072】
前記(9)の手段によれば、完全硬化させた前記樹脂材料の貯蔵弾性率は、例えば、前記配線板に電子部品をはんだ付け(実装)する温度領域でも、室温付近での貯蔵弾性率と比べてほとんど低下しない。また、前記完全硬化させた樹脂材料は、電子部品をはんだ付けする温度領域に加熱したときの物理的・化学的特性の低下や変化が小さい。
【0073】
またこのとき、前記エポキシ樹脂は、従来から用いられている汎用エポキシ樹脂を用いることができる。また、前記樹脂材料は、従来のエポキシ樹脂のみで硬化させるときに用いる硬化剤で硬化させることができる。そのため、高温でも特性(物性)が安定した配線板を製造するための配線板用部材を容易に製造することができる。
【0074】
また、前記(6)から(9)までの手段において、前記水素結合をしやすい官能基及び前記反応性不飽和結合を有する化合物は、例えば、前記水素結合をしやすい官能基として、カルボニル基を有する化合物があげられる。
【0075】
またこのとき、前記水素結合をしやすい官能基及び前記反応性不飽和結合を有する化合物は、下記化学式25
【化25】
で表されるビスマレイミド化合物であることが好ましい。ここで、前記化学式20のビスマレイミド化合物において、Aは少なくとも2個の炭素原子を有する2価の有機基である。
【0076】
以下、本発明について、図面を参照して実施の形態(実施例)とともに詳細に説明する。
【0077】
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは、同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【0078】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
図1は、本発明による実施形態1の配線板の概略構成を示す模式図であり、図1(a)は配線基板の断面図、図1(b)は図1(a)の部分拡大断面図である。
【0079】
図1(a)及び図1(b)において、1は絶縁基板、1Aは絶縁基板の第1主面、1Bは絶縁基板の第2主面、1Cはスルーホール、2Aは第1配線、2Bは第2配線、2Cはめっきスルーホールである。また、図1(b)において、201は第1導体膜、202は第2導体膜、203は電気銅めっきである。
【0080】
本実施形態1の配線板は、図1(a)に示すように、絶縁基板1の第1主面1Aに第1配線2Aが設けられ、前記絶縁基板1の第2主面1Bに第2配線2Bが設けられた両面配線板である。このとき、前記第1配線2Aと前記第2配線2Bは、前記絶縁基板1に設けられた貫通穴(以下、スルーホールと称する)1Cに設けられためっきスルーホール2Cにより電気的に接続されている。
【0081】
また、前記第1配線2Aは、例えば、図1(b)に示すように、第1導体膜201の表面に電気銅めっき203が設けられている。同様に、前記第2配線2Bは、第2導体膜202の表面に電気銅めっき203が設けられている。また、前記電気銅めっき203は、前記絶縁基板1に設けられたスルーホール1Cにも設けられている。この、前記スルーホール1Cに設けられた電気銅めっき203が前記めっきスルーホール2Cである。
【0082】
また、本実施形態1の配線板では、前記絶縁基板1は、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂と、前記クレゾールノボラック型エポキシ樹脂中で、下記化学式26
【化26】
で表される有機ケイ素化合物と水とを反応させて生成したオリゴマー状有機ケイ素化合物との混合物に、前記クレゾールノボラック型エポキシ樹脂と前記オリゴマー状有機ケイ素化合物とを付加反応させて硬化させる硬化剤と、下記化学式27
【化27】
で表されるビス(4-マレイミドフェニル)メタン(以下、ビスマレイミド化合物と称する)とを混合させて熱硬化させた樹脂材料からなる。
【0083】
前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を生成するときには、例えば、硬化反応前の前記クレゾールノボラック型エポキシ樹脂中に、前記化学式26で表される有機ケイ素化合物及び水、ならびに加水分解触媒を混合した後、加熱して、前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を生成させる。このとき、前記水の混合量は、前記有機ケイ素化合物に対してモル比で0.02倍から3倍量にするのが好ましい。また、前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を生成するときには、例えば、60℃から160℃の温度で1時間から10時間加熱する。
【0084】
またこのとき、前記クレゾールノボラック型エポキシ樹脂中で前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を生成させると、前記オリゴマー状有機ケイ素化合物とともに水やアルコールなどの副生成物が生成する。前記副生成物は、前記樹脂材料を硬化させたときのボイドやクラックの原因となるが、前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を生成させる時の加熱処理で除去される。
【0085】
前記クレゾールノボラック型エポキシ樹脂中で前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を生成させた後、前記硬化剤と前記ビスマレイミド化合物を混合して熱硬化させる。このとき、前記ビスマレイミド化合物は、例えば、前記オリゴマー状有機ケイ素化合物90wt%に対して10wt%程度になる量を混合する。
【0086】
また、前記硬化剤は、前記クレゾールノボラック型エポキシ樹脂のみで硬化させるときに用いる硬化剤を用いることができ、本実施形態1では、カルボン酸無水物を用いる。またこのとき、前記硬化剤及び前記ビスマレイミド化合物を混合した樹脂材料は、前記クレゾールノボラック型エポキシ樹脂のみで硬化させるときと同じ条件で硬化させることができ、例えば、160℃から220℃の温度で、1時間から8時間加熱することにより硬化する。
【0087】
図2及び図3は、本実施形態1の配線板の絶縁基板に用いる樹脂材料の特性を説明するための模式図であり、図2は絶縁基板に用いる樹脂材料の貯蔵弾性率の温度変化を示すグラフ、図3は絶縁基板に用いる樹脂材料の弾性損失(tanδ)の温度変化を示すグラフである。なお、図2及び図3では、本実施形態1の絶縁基板に用いる樹脂材料の貯蔵弾性率及び弾性損失の温度変化を実線で示しており、比較する従来の樹脂材料の貯蔵弾性率及び弾性損失の温度変化を破線で示している。
【0088】
本実施形態1の配線板の絶縁基板に用いる樹脂材料の貯蔵弾性率の温度変化を、動的粘弾性分析により調べると、図2に示すように、150℃以上の温度領域で、前記貯蔵弾性率の低下が見られるが、常温(50℃付近)での貯蔵弾性率と高温(250℃付近)での貯蔵弾性率の差が小さい。
【0089】
本実施形態1の樹脂材料との比較のために、前記クレゾールノボラック型エポキシ樹脂とオリゴマー状有機ケイ素化合物とを混合して硬化させたハイブリッド樹脂、言い換えると、本実施形態1の樹脂材料において、前記ビスマレイミド化合物を混合しないで硬化させた樹脂の貯蔵弾性率の温度変化を調べると、図2に示すように、150℃以上で急速に低下する。このとき、前記クレゾールノボラック型エポキシ樹脂とオリゴマー状有機ケイ素化合物とを混合して硬化させたハイブリッド樹脂材料の場合、高温(250℃付近)の貯蔵弾性率は、常温(50℃付近)の貯蔵弾性率に比べて約1桁小さい。
【0090】
前記ハイブリッド樹脂の場合、前記オリゴマー状有機ケイ素化合物は、いくつかの分子が凝集した状態で前記クレゾールノボラック型エポキシ樹脂中に分散していると考えられている。そのため、巨視的には均一に分散しているように見えても、分子レベルで見たときには、前記オリゴマー状有機ケイ素化合物の分布にばらつきがあり、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂同士で付加反応を起こしている領域が多く、高温での貯蔵弾性率の低下につながっていると考えられる。
【0091】
一方、本実施形態1の樹脂材料のように、前記化学式27で表されるビスマレイミド化合物を混合すると、前記ビスマレイミド化合物の持つカルボニル基と前記オリゴマー状有機ケイ素化合物のヒドロキシ基(HO基)や、前記ヒドロキシ基の水素原子が炭素原子Rで置換されたアルコキシ基(RO基)とが水素結合をする。また、前記クレゾールノボラック型エポキシ樹脂と前記ビスマレイミド化合物との相溶性は、前記クレゾールノボラック型エポキシ樹脂と前記オリゴマー状有機ケイ素化合物との相溶性よりもよい。そのため、前記ビスマレイミド化合物を混合することにより、前記オリゴマー状有機ケイ素化合物が凝集しにくくなり、従来の前記ハイブリッド樹脂の場合に比べて前記オリゴマー状有機ケイ素化合物がより均一に分散すると考えられる。その結果、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂同士で付加反応を起こしている領域が少なくなり、高温でも貯蔵弾性率が低下しにくいと考えられる。
【0092】
また、前記化学式27で表されるビスマレイミド化合物は、反応性不飽和結合を有するため、熱硬化させたときに前記ビスマレイミド化合物同士が重合する。このとき、前記ビスマレイミド化合物の重合体が、前記クレゾールノボラック型エポキシ樹脂と前記オリゴマー状有機ケイ素化合物とによる前記橋かけ型構造体と絡み合ってIPN(相互侵入型網目構造)のような複雑なネットワークを形成することも考えられる。そのため、高温でも前記貯蔵弾性率が低下しにくいとも考えられる。
【0093】
前記配線板は、半導体チップや、抵抗素子、容量素子などのチップ状素子、半導体パッケージといった電子部品を実装した電子装置(電子モジュール)に用いられる。このとき、前記電子部品の外部端子(電極)と前記配線板の配線は、錫鉛合金、錫銀合金などの接合材を用いて電気的に接続する。そのため、前記配線板は、前記電子部品を実装するときに、例えば、220℃から250℃に加熱される。
【0094】
このとき、前記絶縁基板1の樹脂材料として、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂のみで硬化させた樹脂材料や、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂とオリゴマー状有機ケイ素化合物とを混合して硬化させた従来の樹脂材料を用いると、前記電子部品を実装するときの温度(接合温度)では前記絶縁基板1の機械的強度が小さくなり、前記配線板が変形してしまう。そのため、従来の配線板では、ガラス布などの基材を用いて補強する必要があった。
【0095】
しかしながら、本実施形態1の配線板の絶縁基板に用いる樹脂材料のように、高温(250℃付近)でも貯蔵弾性率がほとんど低下しない樹脂材料を用いることにより、前記電子部品を実装するときの温度でも、前記樹脂材料は変形しにくい。そのため、従来の配線板の絶縁基板のように、ガラス布などの基材を用いて補強しなくてもよくなる。
【0096】
また、前記絶縁基板1に、前記ガラス布などの基材を設けなくてもよくなるので、前記絶縁基板としてガラスエポキシ基板を用いた従来の配線板のように、ガラス布とエポキシ樹脂の界面に沿ってエレクトロマイグレーションが発生することはない。そのため、前記めっきスルーホール2Cの間隔を狭くすることが可能となり、配線の高密度化や、配線板の小型化が可能になる。
【0097】
また、本実施形態1の配線板の絶縁基板に用いる樹脂材料は、動的粘弾性分析により弾性損失(tanδ)の温度変化を調べると、図3に示すように、300℃以下にピーク(極大)が見られない。これは、300℃以下の温度領域でガラス転移を起こさないことを示している。すなわち、本実施形態1の配線板の絶縁基板に用いる樹脂材料の場合、従来のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂のみで硬化させた樹脂材料や、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂とオリゴマー状有機ケイ素化合物とを混合して硬化させた樹脂材料に、常温(50℃付近)と高温(250℃付近)での特性に極端な変化がないと考えられる。そのため、高温(250℃)に加熱しても、前記樹脂材料の接着性の低下は小さく、配線のはがれや膨れ、クラックなどが発生しにくくなる。
【0098】
図4及び図5は、本実施形態1の配線板の製造方法を説明するための模式図であり、図4(a)は配線板を製造するための配線板用部材を示す断面図、図4(b)は配線板用部材に開口部を形成する工程の断面図、図5はめっきスルーホールを形成する工程の断面図である。
【0099】
本実施形態1の配線板を製造するときには、まず、図4(a)に示したように、絶縁基板1の第1主面1Aに第1導体膜201が形成され、前記絶縁基板1の第1主面の裏面(第2主面)1Bに第2導体膜202が形成された配線板用部材を形成する。
【0100】
このとき、配線板用部材は、例えば、前記第1導体膜201の表面に、前記樹脂材料を塗布して板状に成形し、例えば、130℃で0.2時間加熱して半硬化状態にした後、前記第2導体膜202を張り合わせ、200℃で2時間加熱して前記樹脂材料を完全硬化させて形成する。またこのとき、前記手順に限らず、例えば、前記樹脂材料を板状に成形し、130℃で0.2時間加熱して半硬化状態にした後、前記第1導体膜201及び第2導体膜202を張り合わせ、200℃で2時間加熱して前記樹脂材料を完全硬化させて形成してもよい。
【0101】
次に、図4(b)に示すように、前記第1導体膜201、前記絶縁基板1、前記第2導体膜202を貫通するスルーホール1Cを形成する。このとき、前記スルーホール1Cは、例えば、金型による打ち抜き加工、炭酸ガスレーザによるレーザ加工、またはドリル加工により形成する。
【0102】
またこのとき、前記絶縁基板1には、ガラス布などの基材がないため、前記スルーホール1Cの形成が容易になる。また、前記ガラス布などの基材がないため、前記スルーホール1Cを形成した後の、デスミア等の表面処理が容易になる。
【0103】
次に、図5に示すように、前記第1導体膜201及び前記第2導体膜202の表面、及び前記スルーホール1Cの表面に、電気銅めっき203を形成する。このとき、前記絶縁基板1には、ガラス布などの基材がなく、従来のガラスエポキシ基板を用いた場合のように、前記スルーホール1C内にガラス繊維が突出して残るようなことがない。そのため、前記スルーホール1C内の電気銅めっき、すなわち、めっきスルーホール2Cにピンホールやクラックが発生しにくくなる。
【0104】
次に、前記第1導体膜201及び前記第2導体膜202、ならびにそれらの表面に形成された電気銅めっき203の不要な部分を除去し、図1(b)に示したような前記第1配線2A及び前記第2配線2Bを形成する。
【0105】
その後、図示及び詳細な説明は省略するが、前記第1配線2A及び前記第2配線2Bの表面に、たとえば、錫めっき、錫合金めっき、あるいはニッケルめっきを下地とした金めっきなどの機能めっきや、はんだ保護膜(ソルダレジスト)などの保護膜を形成する。
【0106】
以上説明したように、本実施形態1の配線板によれば、前記クレゾールノボラック型エポキシ樹脂と前記化学式26で表されるオリゴマー状有機ケイ素化合物との混合物に、前記硬化剤と前記化学式27で表されるビスマレイミド化合物を混合して硬化させた樹脂材料を用いることにより、はんだ付け温度などの200℃以上の温度領域での、前記絶縁基板の力学的特性(機械的特性)の低下を少なくすることができる。そのため、従来の配線板の絶縁基板のように、ガラス布などの基材を用いなくても、高温領域での前記絶縁基板の変形を防ぐことができる。
【0107】
また、前記ガラス布などの基材を設けなくてもよくなるため、前記絶縁基板の薄型化、軽量化が容易になる。
【0108】
また、前記ガラス布などの基材を設けなくてもよくなるため、前記絶縁基板にめっきスルーホールを形成したときに、ピンホールやクラックが発生するのを防ぐことができる。
【0109】
また、前記ガラス布などの基材を設けなくてもよくなるため、エレクトロマイグレーションの発生を防ぐことができ、配線の微細化、高密度化が容易になる。
【0110】
また、本実施形態1の配線板は、電子部品を実装して電子装置(電子モジュール)を形成するための配線板を例に挙げて説明したが、これに限らず、例えば、複数の電子装置(電子モジュール)間を接続するフレキシブル配線板の絶縁基板に前記樹脂材料を用いることもできる。このとき、前記絶縁基板1が、エポキシ樹脂を用いた樹脂材料であるため、従来のフレキシブル配線板で用いられているポリイミド樹脂よりも安価で製造することができる。そのため、前記配線板の製造コストを低減することができる。
【0111】
また、本実施形態1では、前記ビスマレイミド化合物として前記化学式27で表されるビス(4-マレイミドフェニル)メタンを用いたが、これに限らず、下記化学式28
【化28】
で表される一般的なビスマレイミド化合物を用いた樹脂材料でも、本実施形態1の絶縁基板と同様の効果を得られると考えられる。ここで、前記化学式28で表されるビスマレイミド化合物において、Aは、少なくとも2個の炭素原子を有する2価の有機基である。
【0112】
前記化学式28で表されるビスマレイミド化合物としては、例えば、ビス(4-マレイミドフェニル)エーテル、ビス(4-マレイミドフェニル)スルフォン、m-フェニレンビスマレイミド、p-フェニレンビスマレイミド、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、2,2-ビス[(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス[4-(2-トリフルオロメチル-4-マレイミドフェノキシ)フェニル]-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパンなどがあげられる。
【0113】
また、前記ビスマレイミド化合物が持つカルボニル基が、前記オリゴマー状有機ケイ素化合物と水素結合をすることにより、前記エポキシ樹脂中での前記オリゴマー状有機ケイ素化合物の分散性(相溶性)が向上すると考えた場合、前記ビスマレイミド化合物に限らず、例えば、カルボニル基、シアノ基、3級アミン構造を有する化合物を用いても、本実施形態1の配線板と同様の効果を得られると考えられる。
【0114】
また、前記エポキシ樹脂も、本実施形態1で説明したクレゾールノボラック型エポキシ樹脂に限らず、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂などの、従来から用いられているエポキシ樹脂を用いても、本実施形態1の配線板と同様の効果を得られると考えられる。
【0115】
また、前記有機ケイ素化合物に関しても、本実施形態1では、前記化学式26で表される化合物を用いたが、これに限らず、下記化学式29
【化29】
で表される一般的な有機ケイ素化合物を用いても、本実施形態1の配線板と同様の効果を得られると考えられる。このとき、前記化学式29で表される有機ケイ素化合物において、Rはエポキシ樹脂と付加反応を起こす官能基を有する有機基であり、R’はメチル基もしくはエチル基である。
【0116】
前記化学式29で表される有機ケイ素化合物としては、例えば、下記化学式30から化学式38に示すような化合物を用いることができる。
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
【化35】
【化36】
【化37】
【化38】
【0117】
また、前記エポキシ樹脂と前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を付加反応させる硬化剤としては、前記カルボン酸無水物のほかに、第1級、第2級、第3級のアミン系化合物、第4級アンモニウム塩、ジシアンジアミド、三フッ化ホウ素−アミンコンプレックス、有機酸ヒドラジド、イミダゾール系化合物、フェノール、クレゾール、キシリノールを基本骨格とする化合物及びその誘導体と重縮合物、チオコール系化合物などを用いることができる。
【0118】
また、前記化学式28で表されるビスマレイミド化合物を添加して硬化させる場合、重合開始剤も添加することにより、前記ビスマレイミド化合物同士のラジカル重合により、分子鎖が長くなる。そのため、前記ビスマレイミド化合物の重合体が前記橋かけ型構造体と絡み合ってIPN(相互侵入型網目構造)を形成し、前記貯蔵弾性率の低下を抑制することができると考えられる。
【0119】
このとき、前記重合開始剤としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、t-ブチルパーオキシベンゾエートなどを用いることができる。
【0120】
また、本実施形態1では、前記エポキシ樹脂と前記オリゴマー状有機ケイ素化合物の混合体に、前記ビスマレイミド化合物と硬化剤を添加した例で説明したが、用途に応じて、前記ビスマレイミド化合物と硬化剤のほかに、硬化促進剤、離型剤、カップリング剤、着色剤、可塑剤、希釈剤、可とう化剤、各種のゴム状物質、感光剤などを添加してもよいことは言うまでもない。
【0121】
(実施形態2)
図6及び図7は、本発明による実施形態2の配線板の概略構成を示す模式断面図である。
【0122】
図6及び図7において、101は第1絶縁体層、102は第2絶縁体層、2Aは第1配線、2Bは第2配線、2Cはめっきスルーホール、2Dは第3配線、2Eは第4配線、2Fは第5配線、2Gは第6配線、2Hはビア、CL1は第1配線層、CL2は第2配線層、CL3は第3配線層、CL4は第4配線層、CL5は第5配線層、CL6は第6配線層である。また、図8において、201は第1導体膜、202は第2導体膜、203は電気銅めっき、204は第3導体膜である。
【0123】
本実施形態2の配線板は、ビルドアップ法を用いて製造された多層配線板であり、図6に示すように、第1絶縁体層101の表面に前記第1配線層CL1の第1配線2A及び前記第2配線層CL2の第2配線2Bを設けたコア材上に、第2絶縁体層102を介在させて第3配線層CL3の配線2D、第4配線層CL4の配線2E、第5配線層CL5の配線2F、第6配線層CL6の配線2Gを設けている。
【0124】
このとき、前記第1配線2Aと前記第2配線2Bとは、例えば、図6に示したように、めっきスルーホール2Cにより電気的に接続されている。また、前記第1配線層CL1の配線2A、前記第3配線層CL3の配線2D、前記第5配線層CL5の配線2Fの間は、ビア2Hで電気的に接続されている。同様に、前記第2配線層CL2の配線2B、前記第4配線層CL4の配線2E、前記第6配線層CL6の配線2Gの間は、ビア2Hで電気的に接続されている。
【0125】
またこのとき、前記第1配線2Aは、図7に示すように、第1導体膜201の表面に電気銅めっき203が設けられている。同様に、前記第2配線2Bは第2導体膜202の表面に電気銅めっき203が設けられている。また、前記電気銅めっき203は、前記第1絶縁体層1に設けられた貫通穴(スルーホール)101Cにも設けられている。この、前記第1絶縁体層101のスルーホール101Cに設けられた電気銅めっき203が前記めっきスルーホール2Cである。
【0126】
また、前記第1配線2A上に、第2絶縁体層102を介在させて設けられた第3配線層CL3の第3配線2Dも、図7に示すように、第3導体膜204の表面に電気銅めっき203が設けられている。また、前記第1配線2Aと前記第3配線2Dは、前記第2絶縁体層102のビア穴に沿って設けられた電気銅めっき(ビア)2Hにより電気的に接続されている。また、他の配線層の配線も、同様の構成であるため、その説明は省略する。
【0127】
本実施形態2の配線板においても、前記第1絶縁体層101及び前記第2絶縁体層102として、前記実施形態1で説明した樹脂材料を用いることにより、前記第1絶縁体層101及び前記第2絶縁体層102に、ガラス布などの基材を設けなくてもよくなる。そのため、本実施形態2の配線板は、前記実施形態1の配線板と同様の効果を得ることができる。
【0128】
図8乃至図10は、本実施形態2の配線板の製造方法を説明するための模式図であり、図8(a)はコア材の断面図、図8(b)は配線板用部材の断面図、図9は配線板用部材をコア材に積層する工程の断面図、図10は配線を形成する工程の断面図である。
【0129】
本実施形態2の配線板を製造するときには、まず、図8(a)に示すように、第1絶縁体層101の第1主面に第1配線層CL1の第1配線2Aが形成され、前記絶縁基板の第2主面に第2配線層CL2の第2配線2Bが形成されたコア材を形成する。前記コア材の形成方法は、前記実施形態1で説明した配線板の形成方法と同じであるため、説明は省略する。また、前記コア材を形成する場合には、必要に応じて、図8(a)に示したように、スルーホール内に樹脂3を埋め込んでおく。
【0130】
次に、図8(b)に示すように、第2絶縁体層102の表面に第3導体膜204が形成された配線板用部材を形成する。このとき、前記配線板用部材は、例えば、前記コア材上に接着して前記第3配線層CL3の配線2Dを形成するための部材である。
【0131】
前記配線板部材は、例えば、硬化反応前のエポキシ樹脂とオリゴマー状有機ケイ素化合物との混合体に、前記実施形態1で説明したようなビスマレイミド化合物と硬化剤を添加した樹脂材料を、銅箔などの前記第3導体膜204の表面に塗布し、成形して前記第2絶縁体層102を形成する。このとき、前記第2絶縁体層102は、前記樹脂材料を、例えば、150℃で0.15時間加熱して、硬化反応が中間段階まで進んだ状態(半硬化状態)にしておく。
【0132】
次に、前記コア材上に前記配線板部材を張り合わせ、前記第2絶縁体層102を完全硬化させた後、図9に示すように、前記第3導体膜204及び前記第2絶縁体層102を貫通して前記第1配線層CL1の配線2Aに達する開口部(ビア穴)VHを形成する。このとき、前記第2絶縁体層102は、例えば、180℃で1時間加熱した後、200℃で2時間加熱して完全硬化させる。また、前記ビア穴VHは、例えば、炭酸ガスレーザを照射するレーザ加工により形成する。
【0133】
このとき、前記配線板用部材の前記第2絶縁体層102は、ガラス布などの基材が設けられていないため、従来のガラスエポキシ基板を用いたときのように、ビア穴VH内にガラス繊維が残るようなことはない。そのため、前記ビア穴VHを形成した後の表面処理が容易になる。
【0134】
次に、前記第3導体膜204の表面及び前記ビア穴VH内に電気銅めっき203を形成し、図10に示すように、前記第3導体膜204及び前記電気銅めっき203の不要な部分を除去して、前記第3配線層CL3の第3配線2Dを形成する。
【0135】
また、前記第4配線層CL4の第4配線2E、前記第5配線層CL5の第5配線2Fと、前記第6配線層の第6配線2Gは、前記第3配線2Dと同じ方法で形成できるため、その説明は省略する。
【0136】
またこのとき、前記第3配線2Dと前記第4配線2Eは、一度の工程で形成してもよい。また、前記第5配線2Fと前記第6配線2Gも、一度の工程で形成してもよい。
【0137】
本実施形態2の配線板も、前記実施形態1で説明した配線板と同様に、前記絶縁基板1の樹脂材料は、エポキシ樹脂とオリゴマー状有機ケイ素化合物とによる橋かけ型構造体に前記ビスマレイミド化合物が含まれているので、例えば、電子部品を実装(はんだ付け)するときの温度でも、貯蔵弾性率の低下はほとんど見られない。そのため、前記第1絶縁体層101及び前記第2絶縁体層102にガラス布などの基材を設けなくても、はんだ付け温度の近傍で前記配線板が変形するのを防ぐことができる。
【0138】
また、前記第1絶縁体層101及び前記第2絶縁体層102に、前記基材を設けなくてもよいため、前記スルーホールめっき2Cを形成するためのスルーホール1Cや、前記ビア2Hを形成するためのビア穴を形成したときに、前記スルーホール1C及び前記ビア穴VHの内部に異物が残らない。そのため、従来のガラス布などの基材を用いた配線板のように、前記めっきスルーホール2Cやビア2Hに、ピンホールやクラックなどのめっき不良が起こりにくくなる。そのため、導通信頼性の高い配線板を得ることができる。
【0139】
また、前記第1絶縁体層101及び前記第2絶縁体層102に、前記基材を設けなくてもよいので、従来のガラスエポキシ基板を用いた配線板で問題となっていたエレクトロマイグレーションは発生しない。そのため、めっきスルーホール2Cやビア2Hの間隔を小さくすることが容易になり、配線の高密度化、配線板の小型化ができる。
【0140】
また、前記コア材上に配線層を形成するときに用いる配線板用部材の第2絶縁体層102に、前記第1絶縁体層1と同じ樹脂材料を用いることにより、前記第2絶縁体層102にも前記基材を設けなくてよくなる。そのため、前記多層配線板の薄型化が容易になる。
【0141】
以上説明したように、本実施形態2の配線板によれば、前記実施形態1の配線板と同様で、前記第1絶縁体層101及び前記第2絶縁体層102にガラス布などの基材を設けなくても、はんだ付け温度の近傍で前記配線板が変形するのを防ぐことができる。
【0142】
また、前記第1絶縁体層101及び前記第2絶縁体層102に前記基材を設けなくてもよいため、前記第1絶縁体層101及び第2絶縁体層102に開口部を形成する工程や、開口部を形成した後の表面処理の工程が容易になる。
【0143】
また、前記第1絶縁体層101及び前記第2絶縁体層102に前記基材を設けなくてもよいため、めっきスルーホール2Cやビア2Hにピンホールやクラックが発生するのを低減することができる。
【0144】
また、前記第1絶縁体層101及び前記第2絶縁体層102に前記基材を設けなくてもよいので、エレクトロマイグレーションによる導通不良が起こりにくい。そのため、めっきスルーホール2Cやビア2Hの間隔を小さくすることが容易になり、配線の高密度化、配線板の小型化が容易になる。
【0145】
また、本実施形態2の配線板も、電子部品を実装して電子装置(電子モジュール)を形成するための配線板に限らず、例えば、複数の電子装置(電子モジュール)間を接続するフレキシブル配線板の絶縁基板に前記樹脂材料を用いることもできる。
【0146】
また、繰り返しの説明は省略するが、本実施形態2の配線板の場合も、前記実施形態1の配線板と同様で、前記エポキシ樹脂、前記有機ケイ素化合物、前記ビスマレイミド化合物は、用途に応じて種々選択することができる。
【0147】
また、本実施形態2では、図6に示したように、コア材の両面に第3配線層CL3、第4配線層CL4、第5配線層CL5、第6配線層CL6を設けた多層配線板を例に挙げて説明したが、これに限らず、前記コア材を用いない多層配線板であってもよい。その場合には、例えば、図8(a)に示したような、両面配線板を形成した後、図8(b)に示したような配線板用部材を用いて、前記第1絶縁体層101の第1主面1A上、もしくは第2主面1B上に、順次配線層を積層していけばよい。
【0148】
また、前記多層配線板の製造方法としては、本実施形態2で説明したようなビルドアップ法に限らず、例えば、図8(b)に示したような配線板用部材を用いて導体膜の不要な部分を除去して配線(導体パターン)を形成し、前記第2絶縁体層102に、前記ビア2Hの代わりになる導体のポスト(接続柱)を形成したものを複数枚準備しておき、それらを積層し、一括して前記第2絶縁体層102を完全硬化させてもよい。
【0149】
(実施形態3)
図11は、本発明による実施形態3の配線板の概略構成を示す模式断面図である。図11において、1は絶縁基板、1Dは外部接続端子を形成するための開口部、2は配線である。
【0150】
本実施形態3の配線板は、例えば、BGAやCSPなどの半導体装置に用いられるインターポーザであって、図11に示すように、絶縁基板1と、前記絶縁基板1の表面に設けられた配線2により構成されている。また、前記絶縁基板1には、例えば、ボール状の外部接続端子を形成するための開口部1Dが設けられている。
【0151】
本実施形態3の配線板においても、前記絶縁基板1として、前記実施形態1で説明した樹脂材料を用いることにより、前記絶縁基板1に、ガラス布などの基材を設けなくてもよくなる。そのため、本実施形態3の配線板は、前記実施形態1の配線板と同様の効果を得ることができる。
【0152】
図12は、本実施形態3の配線板の製造方法を説明するための模式図であり、図12(a)は配線板材料の断面図、図12(b)は外部接続端子を形成するための開口部を形成する工程の断面図である。
【0153】
本実施形態3の配線板を製造するときには、まず、図12(a)に示すような、絶縁基板1の表面に導体膜2が形成された配線板用部材を形成する。
【0154】
前記配線板用部材の絶縁基板1は、例えば、硬化反応前のエポキシ樹脂中で、オリゴマー状有機ケイ素化合物を生成させた後、前記実施形態1で説明したようなビスマレイミド化合物と硬化剤を混合した樹脂材料を、銅箔などの前記導体膜2の表面に塗布して成形し、例えば、220℃で1時間加熱して完全硬化させて形成する。
【0155】
次に、図12(b)に示すように、前記配線板用部材の絶縁基板1に、外部接続端子を形成するための開口部1Dを形成する。このとき、前記開口部1Dは、例えば、炭酸ガスレーザや紫外線レーザなどを照射するレーザ加工により形成する。
【0156】
次に、図示は省略するが、前記導体膜2の不要な部分を除去して、図11に示したような配線2を形成する。このとき、前記配線2は、例えば、サブトラクティブ法やセミアディティブ法で形成する。
【0157】
その後、図示は省略するが、前記配線2の表面に、錫めっき、錫合金めっき、あるいはニッケルめっきを下地とした金めっきなどの機能めっきや、はんだ保護膜(ソルダレジスト)などの保護膜を形成すると、本実施形態3の配線板(インターポーザ)が得られる。
【0158】
図13は、本実施形態3の配線板を用いた半導体装置の概略構成を示す模式断面図である。
【0159】
本実施形態3の配線板を用いて半導体装置を形成するときには、まず、図13に示すように、前記配線板上に半導体チップ4を配置し、前記半導体チップ4の外部電極401と前記配線2とを、接合材5により電気的に接続する。その後、前記配線板と前記半導体チップ4の間に、エポキシ樹脂などの封止絶縁体6を流し込んで前記配線2と前記半導体チップの外部電極401の接続部を封止し、前記絶縁基板1の開口部1Dに、例えば、はんだなどの接合材を用いてボール状の外部接続端子7を形成する。
【0160】
本実施形態3の配線板は、前記半導体チップの外部電極401と前記配線2を接続する工程や、前記外部接続端子7を形成する工程で、例えば、220℃から250℃に加熱される。このとき、従来のエポキシ樹脂や、エポキシ樹脂とオリゴマー状有機ケイ素化合物からなるハイブリッド樹脂を用いた絶縁基板では、加熱したときに変形しやすくなるため、ガラス布などの基材を設ける必要がある。しかしながら、前記半導体装置に用いるインターポーザの場合、薄型化、軽量化の要求が高く、前記ガラス布などの基材を用いたガラスエポキシ基板の代わりに、高価なポリイミド樹脂からなる絶縁基板が多く用いられている。
【0161】
そこで、本実施形態3の配線板のように、前記エポキシ樹脂で前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を生成させた後、前記ビスマレイミド化合物を混合して熱硬化させた樹脂材料からなる絶縁基板を用いると、220℃から250℃に加熱した場合でも貯蔵弾性率などの機械的特性の低下がほとんどないので、ガラス布などの基材を設けなくても、前記配線板の変形を防ぐことができる。
【0162】
また、本実施形態3の配線板の絶縁基板1として用いる樹脂材料は、主成分がエポキシ樹脂であり、エポキシ樹脂のみで硬化させる場合と同じ硬化剤、同じ条件で硬化させることができる。そのため、薄くて変形しにくい配線板を容易に、かつ比較的安価に製造することができる。
【0163】
以上説明したように、本実施形態3の配線板によれば、前記実施形態1の配線板と同様に、ガラス布などの基材を設けなくても、はんだ付け温度の近傍で前記配線板が変形するのを防ぐことができる。
【0164】
また、前記絶縁基板1に前記基材を設けなくてもよいため、前記絶縁基板1の薄型化が可能になり、前記配線板を薄型化することができる。
【0165】
また、前記絶縁基板1に前記基材を設けなくてもよいため、前記絶縁基板1に開口部を形成するときなどの加工が容易になる。
【0166】
また、エポキシ樹脂を用いた絶縁基板1を薄型化することが可能であるため、ポリイミド樹脂を用いた配線板に比べて、製造コストを低減することができる。
【0167】
また、繰り返しの説明は省略するが、本実施形態3の配線板においても、前記エポキシ樹脂、前記有機ケイ素化合物、前記ビスマレイミド化合物は、用途に応じて選択することができる。
【0168】
図14は、前記実施形態3の変形例を示す模式断面図である。
【0169】
前記実施形態3では、図13に示したような、BGA型の半導体装置を製造するときに用いる配線板(インターポーザ)を例にあげて説明したが、これに限らず、例えば、図14に示すような、COF型の半導体装置に用いる配線板であってもよいことは言うまでもない。この場合、前記絶縁基板1には、外部接続端子を形成するための開口部は不要である。また、前記配線2の一端は、図14に示したように、前記封止絶縁体6で封止される領域の外側に突出している。COF型の半導体装置の場合、この前記封止絶縁体6から突出した部分を、前記実施形態1及び実施形態2で説明したような配線板の配線(端子)と接続する。
【0170】
(実施形態4)
図15は、本発明による実施形態4の配線板の概略構成を示す模式図であり、図15(a)は配線板の平面図、図15(b)は図15(a)のA−A’線での断面図である。
【0171】
本実施形態4の配線板は、例えば、接触型のICカードに搭載される半導体装置(モジュール)に用いる配線板であって、図15(a)及び図15(b)に示すように、絶縁基板1の表面に、外部端子として用いる導体パターン2が設けられている。また、前記絶縁基板1には、半導体チップを実装するための開口部1Eと、半導体チップの外部電極と導体パターン2を接続するための開口部1Fが設けられている。
【0172】
このとき、前記絶縁基板1は、前記実施形態1で説明した樹脂材料を用いているものとする。
【0173】
また、図では省略しているが、前記配線板は、実際には、テープ状の絶縁基板1上に、図15(a)で示したようなパターンが繰り返し設けられている。
【0174】
図16は、本実施形態4の配線板を用いた半導体装置の概略構成を示す模式断面図である。
【0175】
本実施形態4の配線板を用いた半導体装置は、図16に示すように、前記絶縁基板1に設けられた、前記半導体チップを実装するための開口部1E内にて、前記導体パターン2と半導体チップ4が接着剤8で接着され、前記半導体チップ4の外部電極(図示しない)と前記導体パターン2は、ボンディングワイヤ9により電気的に接続されている。
【0176】
従来、図15(a)及び図15(b)に示したような配線板では、前記絶縁基板1に、例えば、ガラスエポキシ基板を用いている。そのため、前記絶縁基板1に、前記各開口部1E,1Fを形成したときに、前記各開口部1E,1F内にガラス繊維が残ることが多い。このとき、前記半導体チップの外部電極と導体パターン2を接続するための開口部1Fにガラス繊維が残っていると、前記ボンディングワイヤ9と前記導体パターン2を接続するときに接続不良を起こしやすい。
【0177】
そこで、本実施形態4の配線板のように、前記エポキシ樹脂で前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を生成させた後、前記ビスマレイミド化合物を混合して熱硬化させた樹脂材料からなる絶縁基板を用いると、ガラス布などの基材が不要であるため、ボンディングワイヤ9と導体パターン2の接続不良を低減することができる。
【0178】
以上説明したように、本実施形態4の配線板によれば、前記エポキシ樹脂で前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を生成させた後、前記ビスマレイミド化合物を混合して熱硬化させた樹脂材料からなる絶縁基板を用いることにより、ガラス布などの基材が不要になるため、前記絶縁基板に開口部を形成したときに、開口部内に基材が残ることがない。そのため、前記開口部内に残った基材による導通不良を低減することができる。
【0179】
以上、本発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々変更可能であることはもちろんである。
【0180】
【発明の効果】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、以下の通りである。
【0181】
(1)樹脂材料を用いた絶縁基板の表面、もしくは表面及び内部に配線を設けた配線板において、前記絶縁基板に補強用の基材を設けなくてもはんだ付け温度の近傍での配線板の変形を防ぐことできる。
【0182】
(2)樹脂材料を用いた絶縁基板の表面、もしくは表面及び内部に配線を設けた配線板において、配線の高密度化が容易になる。
【0183】
(3)樹脂材料を用いた絶縁基板の表面、もしくは表面及び内部に配線を設けた配線板において、配線のはがれや膨れ、クラックを防ぐことができる。
【0184】
(4)樹脂材料を用いた絶縁基板の表面に配線を設けた配線板を薄型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による実施形態1の配線板の概略構成を示す模式図であり、図1(a)は配線板の断面図、図1(b)は図1(a)の部分拡大断面図である。
【図2】本実施形態1の配線板の作用効果を説明するための模式図であり、貯蔵弾性率の温度変化を示すグラフである。
【図3】本実施形態1の配線板の作用効果を説明するための模式図であり、弾性損失(tanδ)の温度変化を示すグラフである。
【図4】本実施形態1の配線板の製造方法を説明するための模式図であり、図4(a)は配線板用部材の断面図、図4(b)はスルーホールを形成する工程の断面図である。
【図5】本実施形態1の配線板の製造方法を説明するための模式図であり、めっきスルーホールを形成する工程の断面図である。
【図6】本発明による実施形態2の配線板の概略構成を示す模式断面図である。
【図7】本実施形態2の配線板の概略構成を示す模式図であり、図7の部分拡大断面図である。
【図8】本実施形態2の配線板の製造方法を説明するための模式図であり、図8(a)はコア材の断面図、図8(b)は配線板材料の断面図である。
【図9】本実施形態2の配線板の製造方法を説明するための模式図であり、ビア穴を形成する工程の断面図である。
【図10】本実施形態2の配線板の製造方法を説明するための模式図であり、配線を形成する工程の断面図である。
【図11】本発明による実施形態3の配線板の概略構成を示す模式断面図である。
【図12】本実施形態3の配線板の製造方法を説明するための模式図であり、図12(a)は配線板材料の断面図、図12(b)は開口部を形成する工程の断面図である。
【図13】本実施形態3の配線板を用いた半導体装置の概略構成を示す模式断面図である。
【図14】前記実施形態3の配線板の変形例を説明するための模式断面図である。
【図15】本発明による実施形態4の配線板の概略構成を示す模式図であり、図15(a)は配線板の平面図、図15(b)は図15(a)のA−A’線での断面図である。
【図16】本実施形態4の配線板を用いた半導体装置の概略構成を示す模式断面図である。
【図17】従来の樹脂材料の貯蔵弾性率の温度変化を示すグラフである。
【図18】従来の樹脂材料の弾性損失(tanδ)の温度変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1…絶縁基板、101…第1絶縁体層、102…第2絶縁体層、1C…スルーホール、2…配線、2A…第1配線、2B…第2配線、2C…めっきスルーホール、2D…第3配線、2E…第4配線、2F…第5配線、2G…第6配線、2H…ビア、201…第1導体膜、202…第2導体膜、203…電気銅めっき、204…第3導体膜、3…埋め込み樹脂、4…半導体チップ、401…半導体チップの外部電極、5…接合材、6…封止絶縁体、7…外部接続端子、8…接着剤、9…ボンディングワイヤ。
Claims (15)
- 前記水素結合をしやすい官能基及び前記反応性不飽和結合を有する化合物は、前記水素結合をしやすい官能基として、カルボニル基を有することを特徴とする請求項1に記載の配線板。
- 樹脂材料からなる絶縁基板の表面に導体膜を設けてなり、前記絶縁基板の表面に前記導体膜の不要な部分を除去した配線(導体パターン)が設けられた配線板の形成に用いる配線板用部材において、
前記絶縁基板は、エポキシ樹脂と、
下記化学式3
前記エポキシ樹脂と前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を付加反応させて硬化させる硬化剤と、
水素結合をしやすい官能基及び反応性不飽和結合を有する化合物との混合物を熱硬化させた樹脂材料でなることを特徴とする配線板用部材。 - 樹脂材料からなる絶縁体層の表面に導体膜を設けてなり、前記絶縁体層を2層以上積層させた絶縁基板の表面または内部、もしくは表面及び内部に前記導体膜の不要な部分を除去した配線(導体パターン)が設けられた配線板の形成に用いる配線板用部材において、
前記絶縁体層は、エポキシ樹脂と、
下記化学式4
前記エポキシ樹脂と前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を付加反応させて硬化させる硬化剤と、
水素結合をしやすい官能基及び反応性不飽和結合を有する化合物との混合物を半硬化状態にした樹脂材料でなることを特徴とする配線板用部材。 - 板状に成形された樹脂材料でなり、前記樹脂材料を2層以上積層させた絶縁基板の表面または内部、もしくは表面及び内部に配線(導体パターン)が設けられた配線板の形成に用いる配線板用部材において、
前記樹脂材料は、エポキシ樹脂と、
下記化学式5
前記エポキシ樹脂と前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を付加反応させて硬化させる硬化剤と、
水素結合をしやすい官能基及び反応性不飽和結合を有する化合物との混合物を半硬化状態にした樹脂材料でなることを特徴とする配線板用部材。 - 前記水素結合をしやすい官能基及び前記反応性不飽和結合を有する化合物は、前記水素結合をしやすい官能基として、カルボニル基を有することを特徴とする請求項4乃至請求項7のいずれか1項に記載の配線板用部材。
- 樹脂材料を板状に成形した絶縁基板の表面に導体膜を形成する工程を備え、前記絶縁基板の表面に前記導体膜の不要な部分を除去した配線(導体パターン)が形成された配線板を製造するための配線板用部材の製造方法において、
絶縁基板の表面に導体膜を形成する工程は、硬化反応前のエポキシ樹脂中に、
下記化学式8
前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を生成させたエポキシ樹脂中に、前記エポキシ樹脂と前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を付加反応させる硬化剤と、水素結合をしやすい官能基及び反応性不飽和結合を有する化合物とを混合した樹脂材料を板状に成形して半硬化状態にし、
前記半硬化状態にした樹脂材料の表面に前記導体膜を張り合わせ、
前記樹脂材料を完全硬化させることを特徴とする配線板用部材の製造方法。 - 樹脂材料からなる絶縁体層の表面に導体膜を形成する工程を備え、前記絶縁体層を2層以上積層した絶縁基板の表面または内部、もしくは表面及び内部に前記導体膜の不要な部分を除去した配線(導体パターン)が形成された配線板を製造するための配線板用部材の製造方法において、
絶縁体層の表面に導体膜を形成する工程は、硬化反応前のエポキシ樹脂中に、
下記化学式9
前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を生成させたエポキシ樹脂中に、前記エポキシ樹脂と前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を付加反応させる硬化剤と、水素結合をしやすい官能基及び反応性不飽和結合を有する化合物とを混合した樹脂材料を板状に成形して半硬化状態にした絶縁体層の表面に、前記導体膜を張り合わせることを特徴とする配線板用部材の製造方法。 - 樹脂材料を板状に成形する工程を備え、前記樹脂材料を2層以上積層させた絶縁基板の表面または内部、もしくは表面及び内部に配線(導体パターン)が形成された配線板の製造に用いる配線板用部材の製造方法において、
前記樹脂材料を板状に成形する工程は、硬化反応前のエポキシ樹脂中に、
下記化学式10
前記エポキシ樹脂と前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を付加反応させて硬化させる硬化剤と、水素結合をしやすい官能基及び反応性不飽和結合を有する化合物との混合した樹脂材料を板状に成形して半硬化状態にすることを特徴とする配線板用部材の製造方法。 - 樹脂材料を板状に成形して絶縁基板を形成する工程を備え、前記絶縁基板の表面に配線(導体パターン)が設けられた配線板の形成に用いる配線板用部材の製造方法において、
前記絶縁基板を形成する工程は、硬化反応前のエポキシ樹脂中に、
下記化学式11
前記エポキシ樹脂と前記オリゴマー状有機ケイ素化合物を付加反応させて硬化させる硬化剤と、水素結合をしやすい官能基及び反応性不飽和結合を有する化合物との混合した樹脂材料を板状に成形して硬化させることを特徴とする配線板用部材の製造方法。 - 前記水素結合をしやすい官能基及び前記反応性不飽和結合を有する化合物として、カルボニル基を有する化合物を混合することを特徴とする請求項10乃至請求項13のいずれか1項に記載の配線板用部材の製造方法。
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