JP2004200272A - 半導体装置の製造方法および半導体製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】CoWP無電解メッキ液の溶存酸素による酸化を防止して、Co(III)錯体により安定な構造を維持してコバルトを還元析出させ易くするとともに、無電解メッキ液の長寿命化を図る。
【解決手段】基板に銅もしくは銅合金で形成された第2配線25上のみに、無電解メッキにより銅の拡散を防止するバリア膜32を第2配線25上に選択的に形成する工程を備えた半導体装置の製造方法であって、上記無電解メッキ(例えばCoWP無電解メッキ)は、窒素もしくは不活性ガス雰囲気中で保存されているもので、溶液中の溶存酸素を除去したメッキ溶液を用いて行う。
【選択図】 図1
【解決手段】基板に銅もしくは銅合金で形成された第2配線25上のみに、無電解メッキにより銅の拡散を防止するバリア膜32を第2配線25上に選択的に形成する工程を備えた半導体装置の製造方法であって、上記無電解メッキ(例えばCoWP無電解メッキ)は、窒素もしくは不活性ガス雰囲気中で保存されているもので、溶液中の溶存酸素を除去したメッキ溶液を用いて行う。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置の製造方法および半導体製造装置に関し、詳しくは触媒金属を用いて銅もしくは銅合金からなる配線のバリア層を形成する半導体装置の製造方法およびそのバリア層を形成する無電解メッキを行う半導体製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体基板上に形成する高密度集積回路の微細配線は、主にアルミニウム系合金が用いられていた。しかしながら、半導体装置をさらに高速化するためには、配線用材料として、アルミニウム系合金よりも比抵抗の低い銅や銀等を用いる必要が生じている。特に、銅は比抵抗が1.8μΩcmと低く、半導体装置の高速化に有利な上に、エレクトロマイグレーション耐性がアルミニウム系合金に比べて一桁程度高いため、次世代の半導体装置の配線材料として期待されている。
【0003】
半導体装置に銅配線を適用した場合、銅の拡散防止膜である窒化シリコン膜と銅との界面におけるエレクトロマイグレーション耐性が弱く、また、窒化シリコン膜自体が高誘電率であるため、RC遅延(抵抗Rと容量Cによる配線の遅延)が大きくなるという問題を有している。そこで、RC遅延の改善し、エレクトロマイグレーション耐性に優れていて、銅の拡散防止性に優れている材料としてコバルトタングステンリン(CoWP)が提案されている。さらに、CoWPは、無電解めっきにより選択的に銅配線上のみに成膜できるという特徴も有する。(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
以下に、銅配線上へのCoWP無電解メッキ成膜方法および原理について簡単に説明する。無電解メッキ法により、CoWPを銅配線上に選択的に成膜させるためには、無電解メッキを開始するための触媒層が必要となる。ところが、銅は触媒活性度が低いため、CoWPを析出させるための十分な触媒として働かない。そこで、一般的にパラジウム(Pd)などの触媒金属層を銅表面に置換メッキにより形成する方法が用いられている。
【0005】
置換メッキは、異種金属のイオン化傾向の相違を利用するものである。銅はパラジウムに比べ電気化学的に卑な金属であるから、例えば塩化パラジウムの塩酸溶液中に銅を浸すと、銅の溶解に伴って放出される電子が、溶液中の貴金属であるパラジウムイオンに転移し、卑金属の銅表面上にパラジウムが析出される。必然的に金属ではない絶縁膜の表面ではパラジウムの置換反応は起こらないため、パラジウム触媒層は銅表面上のみに形成されることになる。引き続きこのパラジウム層を触媒として、銅配線上にのみ無電解メッキ反応を開始させてCoWPによるバリアメタル層を形成する。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−230220号公報(第3−4頁、図1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記CoWP無電解メッキ液は、主にコバルト金属源、錯化剤、還元剤から構成されている。メッキ液中には、コバルト(Co)の錯イオンが形成され、Co(II)錯体構造として存在する。しかしながら、Co(II)錯体は、メッキ液周囲の酸素、メッキ液中の溶存酸素により酸化され、Co(III)錯体に変化しやすい。Co(III)錯体は、Co(II)錯体よりも結晶場安定エネルギーが大きいため、安定な構造を維持しコバルトとして還元析出しにくい。よって、酸化によるCo(III)の増加は、CoWP無電解メッキ液の寿命を短命化するといった問題がある。また、窒素バブリングを導入することでメッキ液中の溶存酸素を除去してCo(II)錯体の酸化防止対策を行うこともできる。しかし、メッキ液がアンモニウム系の組成で構成されているような場合、メッキ液が例えば60℃以上に加温されていたりすると、窒素バブリングがアンモニアの揮発を促進させ、水素イオン指数(pH)を不安定にするといった問題も発生する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するためになされた半導体装置の製造方法および半導体製造装置である。
【0009】
本発明の半導体装置の製造方法は、基板に銅もしくは銅合金で形成された配線上のみに、無電解メッキにより銅の拡散を防止するバリア膜を前記配線上に選択的に形成する工程を備えた半導体装置の製造方法であって、前記無電解メッキは、窒素もしくは不活性ガス雰囲気中で保存されているもので溶液中の溶存酸素を除去したメッキ溶液を用いて行う。
【0010】
上記半導体装置の製造方法では、窒素もしくは不活性ガス雰囲気中で保存されているもので溶液中の溶存酸素を除去したメッキ溶液を用いて無電解メッキを行うことにより、銅もしくは銅合金で形成された配線上のみに銅の拡散を防止するバリア膜を形成することから、無電解メッキ液中の成分が酸化されることによる無電解メッキ液の短寿命化が防止でき、無電解メッキ液の寿命が長くなる。例えばCoWP無電解メッキ液では、液中のCo(II)錯体は、メッキ液周囲の酸素、メッキ液中の溶存酸素により酸化され、Co(III)錯体に変化しやすい性質を有するが、本発明の半導体装置の製造方法では、無電解メッキ液中に酸素が溶け込まないため、酸化によるCo(III)の増加が抑制され、CoWP無電解メッキ液の寿命が延びる。
【0011】
本発明の第1半導体製造装置は、メッキ液槽中に貯えられた無電解メッキ液に、銅および銅合金からなる配線が形成された基板を浸漬することにより無電解メッキを行う半導体製造装置において、前記無電解メッキ液は液中の溶存酸素が除去されたものからなり、前記メッキ液槽は、内部が窒素もしくは不活性ガス雰囲気に保持されたチャンバ内に設置されているものからなる。
【0012】
上記第1半導体製造装置では、メッキ液槽は、内部が窒素もしくは不活性ガス雰囲気に保持されたチャンバ内に設置されていることから、液中の溶存酸素が除去された無電解メッキ液中には溶存酸素がない。このため、無電解メッキ液中の成分が酸化されることによる無電解メッキ液の短寿命化が防止でき、無電解メッキ液の寿命が長くなる。例えばCoWP無電解メッキ液では、液中のCo(II)錯体は、メッキ液周囲の酸素、メッキ液中の溶存酸素により酸化され、Co(III)錯体に変化しやすい性質を有するが、本発明の半導体製造装置では、無電解メッキ液中に酸素が溶け込まないため、酸化によるCo(III)の増加が抑制され、CoWP無電解メッキ液の寿命が延びる。
【0013】
本発明の第2半導体製造装置は、無電解メッキ液を回動自在なステージ上に設置された銅および銅合金からなる導電体が形成された基板上に滴下し、回転塗布するもしくはパドル処理することで前記基板表面の全面に前記滴下した無電解メッキ液を行き渡らせて無電解メッキを行う半導体製造装置において、前記無電解メッキ液は液中の溶存酸素が除去されたものからなり、前記無電解メッキ液を貯蔵するもので、内部が窒素もしくは不活性ガス雰囲気に保持されている容器を備えたものからなる。
【0014】
上記第2半導体製造装置では、無電解メッキ液を貯蔵するもので、内部が窒素もしくは不活性ガス雰囲気に保持されている容器を備えたことから、液中の溶存酸素が除去された無電解メッキ液が酸素を溶存することのない状態でステージ上に載置された基板表面に滴下される。このため、無電解メッキ液中の成分が酸化されることによる無電解メッキ液の短寿命化が防止でき、無電解メッキ液の寿命が長くなる。例えばCoWP無電解メッキ液では、液中のCo(II)錯体は、メッキ液周囲の酸素、メッキ液中の溶存酸素により酸化され、Co(III)錯体に変化しやすい性質を有するが、本発明の半導体製造装置では、無電解メッキ液中に酸素が溶け込まないため、酸化によるCo(III)の増加が抑制され、CoWP無電解メッキ液の寿命が延びる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態を、図1の概略構成断面図によって説明する。図1では、一例として、多層配線構造を示す。
【0016】
図1に示すように、半導体基板(図示せず)上に第1絶縁膜11が形成され、その上に例えば窒化シリコン膜からなるエッチングストッパ12を介して配線層が形成される第2絶縁膜13が形成されている。この第2絶縁膜13には配線溝14が形成され、この配線溝14内には銅の拡散を防止するバリア層15を介して第1配線16が形成されている。
【0017】
上記第2絶縁膜13上には第1配線16を覆うように、例えば窒化シリコン膜からなるエッチングストッパ17を介して接続層が設けられる第3絶縁膜18が形成されている。さらに第3絶縁膜18上には、例えば窒化シリコン膜からなるエッチングストッパ19を介して配線層が設けられる第4絶縁膜20が形成されている。
【0018】
上記第3絶縁膜18には上記エッチングストッパ19、17を貫通する接続孔21が形成され、上記第4絶縁層20には配線溝22が形成されている。上記接続孔21は一部の配線溝22底部に接続されている。上記接続孔21および配線溝22には銅の拡散を防止するバリア層23を介して銅もしくは銅合金からなるプラグ24および第2配線25が形成されている。
【0019】
そして、置換メッキにより、銅もしくは銅合金で形成された第2配線25上のみに、触媒金属層31を例えばパラジウムで形成した後、触媒金属層31を利用した無電解メッキによりコバルトタングステンリン(CoWP)からなるバリア膜32を選択的に形成する。上記無電解メッキでは、無電解メッキ溶液中の溶存酸素を除去したものを用い、窒素雰囲気もしくは不活性ガス(例えば希ガス)雰囲気で、無電解メッキを行う。
【0020】
溶存酸素を除去した無電解メッキ溶液を得る方法としては、溶存酸素を除去した水を用い、無電解メッキ液(例えばCoWP無電解メッキ液)を調合する方法により作製する。溶存酸素を除去した水は、窒素バブリング、フォーミングガス(N2 +H2 (H2 は例えば4%未満))バブリング等で水中の溶存酸素を除去することで得られる。この場合、調合前の溶存酸素を除去した水や調合後の無電解メッキは、酸素雰囲気に曝されること無く保存されなければならない。例えば、常に窒素もしくは不活性ガス(例えば希ガス)雰囲気中で無電解メッキ溶液を保存、かつ、メッキ処理を行うようにする。このように無電解メッキ溶液中の溶存酸素を除去し、かつ、酸素雰囲気に曝さないようにすることでCo(II)錯体の酸化を防ぐことができる。
【0021】
また、水中の溶存酸素の除去方法は、窒素バブリングもしくはフォーミングガスバブリングを用いる方法がある他に、真空ポンプを用いてメッキ溶液を貯めておく雰囲気を脱気することによる、NH2 NH2 +O2 →2H2 O+N2 なる反応を利用するヒドラジンによる脱酸素方法を用いる、2Na2 SO3 +O2 →2Na2 SO4 なる反応を利用する亜硫酸ナトリウムによる脱酸素方法を用いる、等がある。
【0022】
これらの方法で溶存酸素を除去した水を用いて調合されたCoWP無電解メッキ液に含まれるCo(II)錯体濃度の経時変化を測定する。その結果を図2によって説明する。
【0023】
図2に示すように、大気23℃中で放置したCoWP無電解メッキ液中のCo(II)濃度は、6日間の放置で90%以上も減少していることがわかる。一方、溶存酸素を除去した水で調合し、かつ、23℃の窒素(N2 )雰囲気中で保存したCoWP無電解メッキ液は、Co(II)濃度に変化がほとんど無い。したがって、CoWP無電解メッキ液中のCo(II)錯体が酸化されてCo(III)錯体にならない分が、コバルト(Co)としての析出に寄与できるため、組成中のコバルトの使用効率が向上し、CoWP無電解メッキ液の寿命を長期化することが可能となる。そして、CoWP無電解メッキ液の寿命は、無電解メッキ液組成中の金属源であるコバルトの析出による減少と還元剤の消耗により決まってくるものとなる。
【0024】
一例として、溶存酸素を除去しない水により調合されたCoWP無電解メッキ液と、溶存酸素を除去した水により調合されたCoWP無電解メッキ液を用いて、無電解メッキ液の経時変化によるPd置換メッキ処理を施した銅配線上に成膜されるCoWP膜の成膜速度を測定した。その結果を、図3に示す。
【0025】
図3に示すように、溶存酸素を除去しない水により調合された溶存酸素を含む無電解メッキ液の成膜速度は、調合直後の同無電解メッキ液の成膜速度に対しておよそ20%程度となり非常に遅くなる。一方、溶存酸素を除去した無電解メッキ液の成膜速度は、調合直後の同無電解メッキ液の成膜速度に対して20%程度しか成膜速度が落ちていない。このため、十分な成膜速度、例えば50nm/min程度の成膜速度が得られる。このように、溶存酸素の除去を行っていないCoWP無電解メッキ液に比べ、溶存酸素を除去したCoWP無電解メッキ液は、調合から経過した時間に対する成膜レートの減少が明らかに小さくなっているので、その分、メッキ液の劣化(Co(III)増加)は無く、寿命の長期化に繋がっていることがわかる。
【0026】
なお、パラジウム置換メッキ、CoWP無電解メッキ条件は以下の通りである。パラジウム置換メッキは、パラジウムを20ppm含む硫酸パラジウム溶液(水素イオン指数:pH=1)を常温で用い、1分間浸漬して置換メッキ処理を行った。また、CoWP無電解メッキは、水素イオン指数:pH=9に調整し、液温を70℃に保持して、1分間の浸漬処理により無電解メッキを行った。
【0027】
ここで、本発明におけるCoWP無電解メッキ液組成とメッキ条件を記しておく。尚、無電解メッキにより形成するバリア膜32の材料は、CoWPに限らず、銅の拡散防止効果が増大するようなタングステンやモリブデンをコバルトやニッケルに添加した合金が挙げられる。また、無電解メッキで副次的に混入することになるリンやホウ素も成膜されたコバルトやニッケルの結晶を細かくし、銅の拡散効果の増大に寄与する。具体的には、CoP、CoB、CoW、CoMo、CoWP、CoWB、CoMoP、CoMoB等のコバルト系材料、NiP、NiB、NiW、NiMo、NiWP、NiWB、NiMoP、NiMoB等のニッケル系材料、またはCoNiBP、CoNiP、CoNiBのようなCoとNi両方が合金化されたもの、WとMo両方が合金化された組み合わせ等も挙げられる。
【0028】
それらを成膜するための無電解メッキ液の組成とメッキ条件も合わせて記しておく。まず、タングステン(W)、モリブデン(Mo)を含まないコバルト(Co)、ニッケル(Ni)合金の場合を以下に説明する。無電解メッキ液の組成は、塩化コバルト(塩化ニッケル):10g/L〜100g/L(硫酸コバルト、硫酸ニッケル、もしくはコバルト化合物とニッケル化合物の混合等)、グリシン:2g/L〜50g/L(クエン酸、酒石酸、コハク酸、りんご酸、マロン酸、ギ酸等のアンモニウム塩またはそれらの混合物等)、次亜燐酸アンモニウム:2g/L〜200g/L(ホルマリン、グリオキシル酸、ヒドラジン、水素化ホウ素アンモニウム、ジメチルアミンボラン(DMAB)等)およびテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)(pH調整用)である。メッキ条件は、液温を50℃〜95℃、水素イオン指数をpH=7〜12とする。
【0029】
なお、次亜燐酸アンモニウムの代わりにホルマリン、グリオキシル酸、ヒドラジン等を用いた場合は膜中にリン(P)を含まない膜となる。また、水素化ホウ素アンモニウムやジメチルアミンボラン(DMAB)等を用いれば、リンの代わりにホウ素(B)を含む膜となる。さらに、DMABを用いた場合は、必要に応じてパラジウム等による触媒活性化処理を省略することも可能である。以下、無電解メッキ組成でも同様である。
【0030】
次に、タングステン(W)、モリブデン(Mo)を含むコバルト合金、ニッケル合金の場合を以下に説明する。無電解メッキ液の組成は、塩化コバルトあるいは塩化ニッケル:10g/L〜100g/L(硫酸コバルト、硫酸ニッケル、もしくはコバルト化合物とニッケル化合物の混合等)、タングステン酸アンモニウム:5g/L〜100g/L(モリブデン酸アンモニウム等、または、タングステン酸塩とモリブデン酸塩の混合等)、グリシン:2g/L〜50g/L(クエン酸、酒石酸、コハク酸、りんご酸、マロン酸、ギ酸等のアンモニウム塩またはそれらの混合等)、次亜燐酸アンモニウム:2g/L〜200g/L(ホルマリン、グリオキシル酸、ヒドラジン、水素化ホウ素アンモニウム、ジメチルアミンボラン(DMAB)等)およびTMAH(pH調整用)である。メッキ条件は、液温を50℃〜95℃、水素イオン指数をpH=8〜12とする。
【0031】
次に、CoPの場合を以下に説明する。無電解メッキ液の組成は、塩化コバルト:10g/L〜100g/L(硫酸コバルト等)、グリシン:2g/L〜50g/L(クエン酸、酒石酸、コハク酸、りんご酸、マロン酸、ギ酸等のアンモニウム塩またはそれらの混合)、次亜燐酸アンモニウム:2g/L〜200g/L(ホルマリン、グリオキシル酸、ヒドラジン、水素化ホウ素アンモニウム、ジメチルアミンボラン(DMAB)等)およびテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)(pH調整用)である。メッキ条件は、液温を50℃〜95℃、水素イオン指数をpH=7〜12とする。
【0032】
次に、CoWPあるいはCoMoP、NiWP、NiMoPの場合を以下に説明する。無電解メッキ液の組成は、塩化コバルトもしくは塩化ニッケル:10g/L〜100g/L(硫酸コバルト、硫酸ニッケル等)、グリシン:2g/L〜50g/L(クエン酸、酒石酸、コハク酸、りんご酸、マロン酸、ギ酸等のアンモニウム塩またはそれらの混合)、次亜燐酸アンモニウム:2g/L〜200g/L(ホルマリン、グリオキシル酸、ヒドラジン、水素化ホウ素アンモニウム、ジメチルアミンボラン(DMAB)等)およびTMAH(pH調整用)である。メッキ条件は、液温を50℃〜95℃、水素イオン指数をpH=8〜12とする。
【0033】
上記半導体装置の製造方法では、溶液中の溶存酸素を除去した無電解メッキ溶液を用いて、窒素もしくは不活性ガス雰囲気で無電解メッキにより、銅もしくは銅合金で形成された第2配線25上のみに銅の拡散を防止するバリア膜32を形成することから、無電解メッキ液中の成分が酸化されることによる無電解メッキ液の短寿命化が防止でき、無電解メッキ液の寿命が長くなる。例えばCoWP無電解メッキ液では、液中のCo(II)錯体は、メッキ液周囲の酸素、メッキ液中の溶存酸素により酸化され、Co(III)錯体に変化しやすい性質を有するが、本発明の半導体装置の製造方法では、無電解メッキ液中に酸素が溶け込まないため、酸化によるCo(III)の増加が抑制され、CoWP無電解メッキ液の寿命が延びる。
【0034】
また、本発明の製造方法における無電解メッキは、本発明の製造方法で用いるメッキ溶液に浸漬する方法、本発明の製造方法で用いるメッキ溶液をスピン塗布あるいはパドル(液盛り)処理する方法のいずれであってもよい。
【0035】
次に、本発明の第1半導体製造装置に係る一実施の形態を、図4の概略構成図によって説明する。図4では、一例として、溶存酸素を除去したCoWP無電解メッキ液を用いた浸漬式のCoWP無電解メッキ装置を示す。
【0036】
図4に示すように、半導体製造装置101には、室内を窒素もしくは不活性なガス(例えば希ガス)雰囲気とすることができる処理室111と、この処理室111に例えば矢印ア方向に開閉可能な隔壁112を介して接続されるもので室内を窒素もしくは不活性なガス(例えば希ガス)雰囲気とすることができる前室113が備えられている。すなわち、上記隔壁112は、処理室111および前室113の気密を個々に保持するものである。そして、処理室111には、窒素もしくは不活性なガス(例えば希ガス)を供給する配管114が接続され、また、室内のガスを排気するための配管115が接続されている。また、前室113には、窒素もしくは不活性なガス(例えば希ガス)を供給する配管116が接続され、また、室内のガスを排気するための配管117が接続されている。
【0037】
上記処理室111内には、メッキ溶液(例えば無電解メッキ液)131を貯めておくメッキ液槽120を備えている。このメッキ液槽120は第1槽121とメッキを行う第2槽122とからなり、例えば第1槽121側からオーバフローした置換メッキ溶液131が第2槽122側に貯められるようになっている。そして第2槽122の底部と第1槽121の底部には配管123が接続され、その配管123には、第2槽122側より第1槽121側にメッキ溶液131を輸送するポンプ124が接続され、さらにポンプ124と第1槽121との間に上記配管123にはメッキ溶液131中の不純物をろ過するフィルタ125が接続されている。
【0038】
上記半導体製造装置101では、窒素もしくは不活性ガス雰囲気にした前室113に収納されている基板151を、隔壁112を開けて、窒素もしくは不活性ガス雰囲気にされている処理室111に移送し、さらに第2槽122内のメッキ溶液131中に浸漬して基板151に置換メッキを施す。置換メッキが終了した後、基板151をメッキ溶液131より引き上げて再び前室113に戻す。破線で示した矢印は基板151の搬送経路の一例を示したものである。
【0039】
上記半導体製造装置101では、1枚もしくは多数枚のメッキを施す基板151を、第2槽122に貯えられたメッキ溶液131に浸漬する方式で無電解メッキを行う。浸漬方法は、基板151をフェースアップ、フェースダウンもしくは斜めに投入してもよい。
【0040】
上記第1半導体製造装置101では、メッキ液槽121は、内部が窒素もしくは不活性ガス雰囲気に保持された処理室(チャンバ)111内に設置されていることから、溶存酸素が除去されたメッキ溶液(例えば無電解メッキ液)131は酸素にさらされることはなく、したがって、メッキ溶液131中に酸素が取りこまれることはない。このため、メッキ溶液131中の成分が酸化されることによるメッキ溶液131の短寿命化が防止でき、メッキ溶液131の寿命が長くなる。例えばCoWP無電解メッキ液では、液中のCo(II)錯体は、メッキ液周囲の酸素、メッキ溶液131中の溶存酸素により酸化され、Co(III)錯体に変化しやすい性質を有するが、本発明の第1半導体製造装置101では、メッキ溶液131中に酸素が溶け込まないため、酸化によるCo(III)の増加が抑制され、メッキ溶液131の寿命が延びる。
【0041】
次に、本発明の第2半導体製造装置に係る一実施の形態を、図5の概略構成図によって説明する。図5では、一例として、溶存酸素を除去したCoWP無電解メッキ液を用いた回転塗布式のCoWP無電解メッキ装置を示す。
【0042】
図5に示すように、半導体製造装置103には、メッキを施す基板151を載置するもので回動可能なステージ171が備えられている。このステージ171には、例えば矢印ア方向に回動する回動軸172を介して、回動装置(例えばモータ)(図示せず)が接続されている。また、上記ステージ171上には、ステージ171に載置される基板151上にメッキ溶液131を供給するメッキ液供給装置180が備えられている。メッキ液供給装置180は、例えば溶存酸素を除去したメッキ溶液131を貯めておくメッキ液貯蔵槽181を備えている。このメッキ液貯蔵槽181は内部が窒素雰囲気もしくは不活性ガス(例えば希ガス)雰囲気となっている。例えば、図示はしないが、メッキ液貯蔵槽181には、窒素もしくは不活性ガス(例えば希ガス)を供給するガス供給源186が接続されている。したがって、メッキ液貯蔵槽181内に保存されるメッキ溶液131に酸素が溶けこむことはない。
【0043】
上記メッキ液貯蔵槽181には配管182を介してステージ171上に載置される基板151上にメッキ溶液131を供給するノズル173が接続されている。このノズル173は、例えば矢印イ方向に揺動するものであってもよい。さらに上記配管にはメッキ液貯蔵槽181側よりメッキ溶液131をノズル173方向に送給するポンプ184とメッキ溶液131中の不純物をろ過するフィルタ185が、メッキ液貯蔵槽181側より順に接続されている。なお、メッキ液貯蔵槽181側よりノズル173にメッキ溶液131を送給する手段としては、上記説明したようにポンプ184による方法の他に、例えばメッキ液貯蔵槽181の内部圧力をガス供給源186より供給されるガス圧を高めることにより、メッキ溶液131をノズル173へ圧送する方式を採用してもよい。この場合には、ポンプ184は不要になる。
【0044】
上記半導体製造装置103では、溶存酸素を除去したメッキ溶液131をメッキ液供給装置180によりステージ171上に載置されている基板151上に滴下して、スピンコートもしくはパドル(液盛り)処理によって、無電解メッキを施す。
【0045】
上記第2半導体製造装置103によれば、メッキ液貯蔵槽181内は窒素雰囲気もしくは不活性ガス(例えば希ガス)雰囲気となっているため、溶存酸素が除去されたメッキ溶液131は、酸素雰囲気に曝されること無く保存される。また、上記ステージ171に載置される基板151、上記ノズル173およびノズル173とステージ171との間の領域は内部が窒素もしくは不活性ガス雰囲気に保持された処理室161内に設置されていることから、溶存酸素が除去されたメッキ溶液131がステージ171上に載置された基板151表面に滴下されてもメッキ溶液131に酸素が溶存することはない。
【0046】
このため、メッキ溶液131中の成分が酸化されることによるメッキ溶液131の短寿命化が防止でき、メッキ溶液131の寿命が長くなる。例えばCoWP無電解メッキ液では、液中のCo(II)錯体は、メッキ液周囲の酸素、メッキ液中の溶存酸素により酸化され、Co(III)錯体に変化しやすい性質を有するが、本発明の第2半導体製造装置103では、メッキ溶液(無電解メッキ液)131中に酸素が溶け込まないため、酸化によるCo(III)の増加が抑制され、CoWP無電解メッキ液の寿命が延びる。
【0047】
また、上記第2半導体製造装置103は、少なくとも上記ステージ171に載置される基板151、上記ノズル173およびノズル173とステージ171との間の領域を内部に収納するもので、その内部を窒素雰囲気もしくは不活性ガス(例えば希ガス)雰囲気とする処理室(図示せず)が備えられていることが好ましい。このような処理室が設けられた半導体製造装置では、基板151上で無電解メッキ処理を行ったメッキ溶液131を回収して再利用することが可能になる。
【0048】
また、上記第1、第2半導体製造装置101、103において、メッキ溶液131は加熱する必要があるので、前記図4において、第1槽121内にはメッキ溶液131を加熱するヒータ(図示せず)が備えられていてもよい。また前記図5において、メッキ液貯蔵槽181内にはメッキ溶液131を加熱するヒータ(図示せず)が備えられていてもよい。さらに、水素イオン指数(pH)の調整、還元剤量等の調整を行う手段が設けられていることが望ましい。
【0049】
以上の溶存酸素を除去した水を用いてメッキ液を調合し、メッキ寿命を改善する方法および装置は、コバルト系の無電解メッキ液に限るものではない。上記説明したように、ニッケル系の無電解メッキ液、コバルト・ニッケル系の無電解メッキ液、タングステン・モリブデン系の無電解メッキ液にも適用することができる。
【0050】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明の半導体装置の製造方法によれば、窒素もしくは不活性ガス雰囲気中で保存されているもので溶液中の溶存酸素を除去したメッキ溶液を用いて無電解メッキを行うので、無電解メッキ液中の成分が酸化されることによる無電解メッキ液の短寿命化が防止でき、無電解メッキ液の寿命を延ばすことができる。例えばCoWP無電解メッキ液では、メッキ組成中に存在するコバルトとして還元析出可能なCo(II)錯体の使用効率を向上させることができる。
【0051】
上記第1半導体製造装置では、メッキ液槽は、内部が窒素もしくは不活性ガス雰囲気に保持されたチャンバ内に設置されていることから、液中の溶存酸素が除去された無電解メッキ液は保存中に酸素に曝されることがないので、無電解メッキ液中の成分が酸化されることによる無電解メッキ液の短寿命化が防止でき、無電解メッキ液の寿命を延ばすことができる。例えばCoWP無電解メッキ液では、メッキ組成中に存在するコバルトとして還元析出可能なCo(II)錯体の使用効率を向上させることができる。
【0052】
上記第2半導体製造装置では、前記無電解メッキ液を貯蔵するもので、内部が窒素もしくは不活性ガス雰囲気に保持されている容器を備えたことから、液中の溶存酸素が除去された無電解メッキ液は保存中に酸素に曝されることがないので、無電解メッキ液中の成分が酸化されることによる無電解メッキ液の短寿命化が防止でき、無電解メッキ液の寿命を延ばすことができる。例えばCoWP無電解メッキ液では、メッキ組成中に存在するコバルトとして還元析出可能なCo(II)錯体の使用効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態を示す概略構成断面である。
【図2】窒素バブリングの効果を説明する溶存酸素量とメッキ溶液の温度との関係図である。
【図3】窒素バブリングの効果を説明する溶存酸素量とメッキ溶液の温度との関係図である。
【図4】溶存酸素を除去したメッキ溶液を用いて無電解メッキを行う第1半導体製造装置の概略構成図である。
【図5】溶存酸素を除去したメッキ溶液を用いて無電解メッキを行う第2半導体製造装置の概略構成図である。
【符号の説明】
25…第2配線、32バリア膜
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置の製造方法および半導体製造装置に関し、詳しくは触媒金属を用いて銅もしくは銅合金からなる配線のバリア層を形成する半導体装置の製造方法およびそのバリア層を形成する無電解メッキを行う半導体製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体基板上に形成する高密度集積回路の微細配線は、主にアルミニウム系合金が用いられていた。しかしながら、半導体装置をさらに高速化するためには、配線用材料として、アルミニウム系合金よりも比抵抗の低い銅や銀等を用いる必要が生じている。特に、銅は比抵抗が1.8μΩcmと低く、半導体装置の高速化に有利な上に、エレクトロマイグレーション耐性がアルミニウム系合金に比べて一桁程度高いため、次世代の半導体装置の配線材料として期待されている。
【0003】
半導体装置に銅配線を適用した場合、銅の拡散防止膜である窒化シリコン膜と銅との界面におけるエレクトロマイグレーション耐性が弱く、また、窒化シリコン膜自体が高誘電率であるため、RC遅延(抵抗Rと容量Cによる配線の遅延)が大きくなるという問題を有している。そこで、RC遅延の改善し、エレクトロマイグレーション耐性に優れていて、銅の拡散防止性に優れている材料としてコバルトタングステンリン(CoWP)が提案されている。さらに、CoWPは、無電解めっきにより選択的に銅配線上のみに成膜できるという特徴も有する。(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
以下に、銅配線上へのCoWP無電解メッキ成膜方法および原理について簡単に説明する。無電解メッキ法により、CoWPを銅配線上に選択的に成膜させるためには、無電解メッキを開始するための触媒層が必要となる。ところが、銅は触媒活性度が低いため、CoWPを析出させるための十分な触媒として働かない。そこで、一般的にパラジウム(Pd)などの触媒金属層を銅表面に置換メッキにより形成する方法が用いられている。
【0005】
置換メッキは、異種金属のイオン化傾向の相違を利用するものである。銅はパラジウムに比べ電気化学的に卑な金属であるから、例えば塩化パラジウムの塩酸溶液中に銅を浸すと、銅の溶解に伴って放出される電子が、溶液中の貴金属であるパラジウムイオンに転移し、卑金属の銅表面上にパラジウムが析出される。必然的に金属ではない絶縁膜の表面ではパラジウムの置換反応は起こらないため、パラジウム触媒層は銅表面上のみに形成されることになる。引き続きこのパラジウム層を触媒として、銅配線上にのみ無電解メッキ反応を開始させてCoWPによるバリアメタル層を形成する。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−230220号公報(第3−4頁、図1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記CoWP無電解メッキ液は、主にコバルト金属源、錯化剤、還元剤から構成されている。メッキ液中には、コバルト(Co)の錯イオンが形成され、Co(II)錯体構造として存在する。しかしながら、Co(II)錯体は、メッキ液周囲の酸素、メッキ液中の溶存酸素により酸化され、Co(III)錯体に変化しやすい。Co(III)錯体は、Co(II)錯体よりも結晶場安定エネルギーが大きいため、安定な構造を維持しコバルトとして還元析出しにくい。よって、酸化によるCo(III)の増加は、CoWP無電解メッキ液の寿命を短命化するといった問題がある。また、窒素バブリングを導入することでメッキ液中の溶存酸素を除去してCo(II)錯体の酸化防止対策を行うこともできる。しかし、メッキ液がアンモニウム系の組成で構成されているような場合、メッキ液が例えば60℃以上に加温されていたりすると、窒素バブリングがアンモニアの揮発を促進させ、水素イオン指数(pH)を不安定にするといった問題も発生する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するためになされた半導体装置の製造方法および半導体製造装置である。
【0009】
本発明の半導体装置の製造方法は、基板に銅もしくは銅合金で形成された配線上のみに、無電解メッキにより銅の拡散を防止するバリア膜を前記配線上に選択的に形成する工程を備えた半導体装置の製造方法であって、前記無電解メッキは、窒素もしくは不活性ガス雰囲気中で保存されているもので溶液中の溶存酸素を除去したメッキ溶液を用いて行う。
【0010】
上記半導体装置の製造方法では、窒素もしくは不活性ガス雰囲気中で保存されているもので溶液中の溶存酸素を除去したメッキ溶液を用いて無電解メッキを行うことにより、銅もしくは銅合金で形成された配線上のみに銅の拡散を防止するバリア膜を形成することから、無電解メッキ液中の成分が酸化されることによる無電解メッキ液の短寿命化が防止でき、無電解メッキ液の寿命が長くなる。例えばCoWP無電解メッキ液では、液中のCo(II)錯体は、メッキ液周囲の酸素、メッキ液中の溶存酸素により酸化され、Co(III)錯体に変化しやすい性質を有するが、本発明の半導体装置の製造方法では、無電解メッキ液中に酸素が溶け込まないため、酸化によるCo(III)の増加が抑制され、CoWP無電解メッキ液の寿命が延びる。
【0011】
本発明の第1半導体製造装置は、メッキ液槽中に貯えられた無電解メッキ液に、銅および銅合金からなる配線が形成された基板を浸漬することにより無電解メッキを行う半導体製造装置において、前記無電解メッキ液は液中の溶存酸素が除去されたものからなり、前記メッキ液槽は、内部が窒素もしくは不活性ガス雰囲気に保持されたチャンバ内に設置されているものからなる。
【0012】
上記第1半導体製造装置では、メッキ液槽は、内部が窒素もしくは不活性ガス雰囲気に保持されたチャンバ内に設置されていることから、液中の溶存酸素が除去された無電解メッキ液中には溶存酸素がない。このため、無電解メッキ液中の成分が酸化されることによる無電解メッキ液の短寿命化が防止でき、無電解メッキ液の寿命が長くなる。例えばCoWP無電解メッキ液では、液中のCo(II)錯体は、メッキ液周囲の酸素、メッキ液中の溶存酸素により酸化され、Co(III)錯体に変化しやすい性質を有するが、本発明の半導体製造装置では、無電解メッキ液中に酸素が溶け込まないため、酸化によるCo(III)の増加が抑制され、CoWP無電解メッキ液の寿命が延びる。
【0013】
本発明の第2半導体製造装置は、無電解メッキ液を回動自在なステージ上に設置された銅および銅合金からなる導電体が形成された基板上に滴下し、回転塗布するもしくはパドル処理することで前記基板表面の全面に前記滴下した無電解メッキ液を行き渡らせて無電解メッキを行う半導体製造装置において、前記無電解メッキ液は液中の溶存酸素が除去されたものからなり、前記無電解メッキ液を貯蔵するもので、内部が窒素もしくは不活性ガス雰囲気に保持されている容器を備えたものからなる。
【0014】
上記第2半導体製造装置では、無電解メッキ液を貯蔵するもので、内部が窒素もしくは不活性ガス雰囲気に保持されている容器を備えたことから、液中の溶存酸素が除去された無電解メッキ液が酸素を溶存することのない状態でステージ上に載置された基板表面に滴下される。このため、無電解メッキ液中の成分が酸化されることによる無電解メッキ液の短寿命化が防止でき、無電解メッキ液の寿命が長くなる。例えばCoWP無電解メッキ液では、液中のCo(II)錯体は、メッキ液周囲の酸素、メッキ液中の溶存酸素により酸化され、Co(III)錯体に変化しやすい性質を有するが、本発明の半導体製造装置では、無電解メッキ液中に酸素が溶け込まないため、酸化によるCo(III)の増加が抑制され、CoWP無電解メッキ液の寿命が延びる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態を、図1の概略構成断面図によって説明する。図1では、一例として、多層配線構造を示す。
【0016】
図1に示すように、半導体基板(図示せず)上に第1絶縁膜11が形成され、その上に例えば窒化シリコン膜からなるエッチングストッパ12を介して配線層が形成される第2絶縁膜13が形成されている。この第2絶縁膜13には配線溝14が形成され、この配線溝14内には銅の拡散を防止するバリア層15を介して第1配線16が形成されている。
【0017】
上記第2絶縁膜13上には第1配線16を覆うように、例えば窒化シリコン膜からなるエッチングストッパ17を介して接続層が設けられる第3絶縁膜18が形成されている。さらに第3絶縁膜18上には、例えば窒化シリコン膜からなるエッチングストッパ19を介して配線層が設けられる第4絶縁膜20が形成されている。
【0018】
上記第3絶縁膜18には上記エッチングストッパ19、17を貫通する接続孔21が形成され、上記第4絶縁層20には配線溝22が形成されている。上記接続孔21は一部の配線溝22底部に接続されている。上記接続孔21および配線溝22には銅の拡散を防止するバリア層23を介して銅もしくは銅合金からなるプラグ24および第2配線25が形成されている。
【0019】
そして、置換メッキにより、銅もしくは銅合金で形成された第2配線25上のみに、触媒金属層31を例えばパラジウムで形成した後、触媒金属層31を利用した無電解メッキによりコバルトタングステンリン(CoWP)からなるバリア膜32を選択的に形成する。上記無電解メッキでは、無電解メッキ溶液中の溶存酸素を除去したものを用い、窒素雰囲気もしくは不活性ガス(例えば希ガス)雰囲気で、無電解メッキを行う。
【0020】
溶存酸素を除去した無電解メッキ溶液を得る方法としては、溶存酸素を除去した水を用い、無電解メッキ液(例えばCoWP無電解メッキ液)を調合する方法により作製する。溶存酸素を除去した水は、窒素バブリング、フォーミングガス(N2 +H2 (H2 は例えば4%未満))バブリング等で水中の溶存酸素を除去することで得られる。この場合、調合前の溶存酸素を除去した水や調合後の無電解メッキは、酸素雰囲気に曝されること無く保存されなければならない。例えば、常に窒素もしくは不活性ガス(例えば希ガス)雰囲気中で無電解メッキ溶液を保存、かつ、メッキ処理を行うようにする。このように無電解メッキ溶液中の溶存酸素を除去し、かつ、酸素雰囲気に曝さないようにすることでCo(II)錯体の酸化を防ぐことができる。
【0021】
また、水中の溶存酸素の除去方法は、窒素バブリングもしくはフォーミングガスバブリングを用いる方法がある他に、真空ポンプを用いてメッキ溶液を貯めておく雰囲気を脱気することによる、NH2 NH2 +O2 →2H2 O+N2 なる反応を利用するヒドラジンによる脱酸素方法を用いる、2Na2 SO3 +O2 →2Na2 SO4 なる反応を利用する亜硫酸ナトリウムによる脱酸素方法を用いる、等がある。
【0022】
これらの方法で溶存酸素を除去した水を用いて調合されたCoWP無電解メッキ液に含まれるCo(II)錯体濃度の経時変化を測定する。その結果を図2によって説明する。
【0023】
図2に示すように、大気23℃中で放置したCoWP無電解メッキ液中のCo(II)濃度は、6日間の放置で90%以上も減少していることがわかる。一方、溶存酸素を除去した水で調合し、かつ、23℃の窒素(N2 )雰囲気中で保存したCoWP無電解メッキ液は、Co(II)濃度に変化がほとんど無い。したがって、CoWP無電解メッキ液中のCo(II)錯体が酸化されてCo(III)錯体にならない分が、コバルト(Co)としての析出に寄与できるため、組成中のコバルトの使用効率が向上し、CoWP無電解メッキ液の寿命を長期化することが可能となる。そして、CoWP無電解メッキ液の寿命は、無電解メッキ液組成中の金属源であるコバルトの析出による減少と還元剤の消耗により決まってくるものとなる。
【0024】
一例として、溶存酸素を除去しない水により調合されたCoWP無電解メッキ液と、溶存酸素を除去した水により調合されたCoWP無電解メッキ液を用いて、無電解メッキ液の経時変化によるPd置換メッキ処理を施した銅配線上に成膜されるCoWP膜の成膜速度を測定した。その結果を、図3に示す。
【0025】
図3に示すように、溶存酸素を除去しない水により調合された溶存酸素を含む無電解メッキ液の成膜速度は、調合直後の同無電解メッキ液の成膜速度に対しておよそ20%程度となり非常に遅くなる。一方、溶存酸素を除去した無電解メッキ液の成膜速度は、調合直後の同無電解メッキ液の成膜速度に対して20%程度しか成膜速度が落ちていない。このため、十分な成膜速度、例えば50nm/min程度の成膜速度が得られる。このように、溶存酸素の除去を行っていないCoWP無電解メッキ液に比べ、溶存酸素を除去したCoWP無電解メッキ液は、調合から経過した時間に対する成膜レートの減少が明らかに小さくなっているので、その分、メッキ液の劣化(Co(III)増加)は無く、寿命の長期化に繋がっていることがわかる。
【0026】
なお、パラジウム置換メッキ、CoWP無電解メッキ条件は以下の通りである。パラジウム置換メッキは、パラジウムを20ppm含む硫酸パラジウム溶液(水素イオン指数:pH=1)を常温で用い、1分間浸漬して置換メッキ処理を行った。また、CoWP無電解メッキは、水素イオン指数:pH=9に調整し、液温を70℃に保持して、1分間の浸漬処理により無電解メッキを行った。
【0027】
ここで、本発明におけるCoWP無電解メッキ液組成とメッキ条件を記しておく。尚、無電解メッキにより形成するバリア膜32の材料は、CoWPに限らず、銅の拡散防止効果が増大するようなタングステンやモリブデンをコバルトやニッケルに添加した合金が挙げられる。また、無電解メッキで副次的に混入することになるリンやホウ素も成膜されたコバルトやニッケルの結晶を細かくし、銅の拡散効果の増大に寄与する。具体的には、CoP、CoB、CoW、CoMo、CoWP、CoWB、CoMoP、CoMoB等のコバルト系材料、NiP、NiB、NiW、NiMo、NiWP、NiWB、NiMoP、NiMoB等のニッケル系材料、またはCoNiBP、CoNiP、CoNiBのようなCoとNi両方が合金化されたもの、WとMo両方が合金化された組み合わせ等も挙げられる。
【0028】
それらを成膜するための無電解メッキ液の組成とメッキ条件も合わせて記しておく。まず、タングステン(W)、モリブデン(Mo)を含まないコバルト(Co)、ニッケル(Ni)合金の場合を以下に説明する。無電解メッキ液の組成は、塩化コバルト(塩化ニッケル):10g/L〜100g/L(硫酸コバルト、硫酸ニッケル、もしくはコバルト化合物とニッケル化合物の混合等)、グリシン:2g/L〜50g/L(クエン酸、酒石酸、コハク酸、りんご酸、マロン酸、ギ酸等のアンモニウム塩またはそれらの混合物等)、次亜燐酸アンモニウム:2g/L〜200g/L(ホルマリン、グリオキシル酸、ヒドラジン、水素化ホウ素アンモニウム、ジメチルアミンボラン(DMAB)等)およびテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)(pH調整用)である。メッキ条件は、液温を50℃〜95℃、水素イオン指数をpH=7〜12とする。
【0029】
なお、次亜燐酸アンモニウムの代わりにホルマリン、グリオキシル酸、ヒドラジン等を用いた場合は膜中にリン(P)を含まない膜となる。また、水素化ホウ素アンモニウムやジメチルアミンボラン(DMAB)等を用いれば、リンの代わりにホウ素(B)を含む膜となる。さらに、DMABを用いた場合は、必要に応じてパラジウム等による触媒活性化処理を省略することも可能である。以下、無電解メッキ組成でも同様である。
【0030】
次に、タングステン(W)、モリブデン(Mo)を含むコバルト合金、ニッケル合金の場合を以下に説明する。無電解メッキ液の組成は、塩化コバルトあるいは塩化ニッケル:10g/L〜100g/L(硫酸コバルト、硫酸ニッケル、もしくはコバルト化合物とニッケル化合物の混合等)、タングステン酸アンモニウム:5g/L〜100g/L(モリブデン酸アンモニウム等、または、タングステン酸塩とモリブデン酸塩の混合等)、グリシン:2g/L〜50g/L(クエン酸、酒石酸、コハク酸、りんご酸、マロン酸、ギ酸等のアンモニウム塩またはそれらの混合等)、次亜燐酸アンモニウム:2g/L〜200g/L(ホルマリン、グリオキシル酸、ヒドラジン、水素化ホウ素アンモニウム、ジメチルアミンボラン(DMAB)等)およびTMAH(pH調整用)である。メッキ条件は、液温を50℃〜95℃、水素イオン指数をpH=8〜12とする。
【0031】
次に、CoPの場合を以下に説明する。無電解メッキ液の組成は、塩化コバルト:10g/L〜100g/L(硫酸コバルト等)、グリシン:2g/L〜50g/L(クエン酸、酒石酸、コハク酸、りんご酸、マロン酸、ギ酸等のアンモニウム塩またはそれらの混合)、次亜燐酸アンモニウム:2g/L〜200g/L(ホルマリン、グリオキシル酸、ヒドラジン、水素化ホウ素アンモニウム、ジメチルアミンボラン(DMAB)等)およびテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)(pH調整用)である。メッキ条件は、液温を50℃〜95℃、水素イオン指数をpH=7〜12とする。
【0032】
次に、CoWPあるいはCoMoP、NiWP、NiMoPの場合を以下に説明する。無電解メッキ液の組成は、塩化コバルトもしくは塩化ニッケル:10g/L〜100g/L(硫酸コバルト、硫酸ニッケル等)、グリシン:2g/L〜50g/L(クエン酸、酒石酸、コハク酸、りんご酸、マロン酸、ギ酸等のアンモニウム塩またはそれらの混合)、次亜燐酸アンモニウム:2g/L〜200g/L(ホルマリン、グリオキシル酸、ヒドラジン、水素化ホウ素アンモニウム、ジメチルアミンボラン(DMAB)等)およびTMAH(pH調整用)である。メッキ条件は、液温を50℃〜95℃、水素イオン指数をpH=8〜12とする。
【0033】
上記半導体装置の製造方法では、溶液中の溶存酸素を除去した無電解メッキ溶液を用いて、窒素もしくは不活性ガス雰囲気で無電解メッキにより、銅もしくは銅合金で形成された第2配線25上のみに銅の拡散を防止するバリア膜32を形成することから、無電解メッキ液中の成分が酸化されることによる無電解メッキ液の短寿命化が防止でき、無電解メッキ液の寿命が長くなる。例えばCoWP無電解メッキ液では、液中のCo(II)錯体は、メッキ液周囲の酸素、メッキ液中の溶存酸素により酸化され、Co(III)錯体に変化しやすい性質を有するが、本発明の半導体装置の製造方法では、無電解メッキ液中に酸素が溶け込まないため、酸化によるCo(III)の増加が抑制され、CoWP無電解メッキ液の寿命が延びる。
【0034】
また、本発明の製造方法における無電解メッキは、本発明の製造方法で用いるメッキ溶液に浸漬する方法、本発明の製造方法で用いるメッキ溶液をスピン塗布あるいはパドル(液盛り)処理する方法のいずれであってもよい。
【0035】
次に、本発明の第1半導体製造装置に係る一実施の形態を、図4の概略構成図によって説明する。図4では、一例として、溶存酸素を除去したCoWP無電解メッキ液を用いた浸漬式のCoWP無電解メッキ装置を示す。
【0036】
図4に示すように、半導体製造装置101には、室内を窒素もしくは不活性なガス(例えば希ガス)雰囲気とすることができる処理室111と、この処理室111に例えば矢印ア方向に開閉可能な隔壁112を介して接続されるもので室内を窒素もしくは不活性なガス(例えば希ガス)雰囲気とすることができる前室113が備えられている。すなわち、上記隔壁112は、処理室111および前室113の気密を個々に保持するものである。そして、処理室111には、窒素もしくは不活性なガス(例えば希ガス)を供給する配管114が接続され、また、室内のガスを排気するための配管115が接続されている。また、前室113には、窒素もしくは不活性なガス(例えば希ガス)を供給する配管116が接続され、また、室内のガスを排気するための配管117が接続されている。
【0037】
上記処理室111内には、メッキ溶液(例えば無電解メッキ液)131を貯めておくメッキ液槽120を備えている。このメッキ液槽120は第1槽121とメッキを行う第2槽122とからなり、例えば第1槽121側からオーバフローした置換メッキ溶液131が第2槽122側に貯められるようになっている。そして第2槽122の底部と第1槽121の底部には配管123が接続され、その配管123には、第2槽122側より第1槽121側にメッキ溶液131を輸送するポンプ124が接続され、さらにポンプ124と第1槽121との間に上記配管123にはメッキ溶液131中の不純物をろ過するフィルタ125が接続されている。
【0038】
上記半導体製造装置101では、窒素もしくは不活性ガス雰囲気にした前室113に収納されている基板151を、隔壁112を開けて、窒素もしくは不活性ガス雰囲気にされている処理室111に移送し、さらに第2槽122内のメッキ溶液131中に浸漬して基板151に置換メッキを施す。置換メッキが終了した後、基板151をメッキ溶液131より引き上げて再び前室113に戻す。破線で示した矢印は基板151の搬送経路の一例を示したものである。
【0039】
上記半導体製造装置101では、1枚もしくは多数枚のメッキを施す基板151を、第2槽122に貯えられたメッキ溶液131に浸漬する方式で無電解メッキを行う。浸漬方法は、基板151をフェースアップ、フェースダウンもしくは斜めに投入してもよい。
【0040】
上記第1半導体製造装置101では、メッキ液槽121は、内部が窒素もしくは不活性ガス雰囲気に保持された処理室(チャンバ)111内に設置されていることから、溶存酸素が除去されたメッキ溶液(例えば無電解メッキ液)131は酸素にさらされることはなく、したがって、メッキ溶液131中に酸素が取りこまれることはない。このため、メッキ溶液131中の成分が酸化されることによるメッキ溶液131の短寿命化が防止でき、メッキ溶液131の寿命が長くなる。例えばCoWP無電解メッキ液では、液中のCo(II)錯体は、メッキ液周囲の酸素、メッキ溶液131中の溶存酸素により酸化され、Co(III)錯体に変化しやすい性質を有するが、本発明の第1半導体製造装置101では、メッキ溶液131中に酸素が溶け込まないため、酸化によるCo(III)の増加が抑制され、メッキ溶液131の寿命が延びる。
【0041】
次に、本発明の第2半導体製造装置に係る一実施の形態を、図5の概略構成図によって説明する。図5では、一例として、溶存酸素を除去したCoWP無電解メッキ液を用いた回転塗布式のCoWP無電解メッキ装置を示す。
【0042】
図5に示すように、半導体製造装置103には、メッキを施す基板151を載置するもので回動可能なステージ171が備えられている。このステージ171には、例えば矢印ア方向に回動する回動軸172を介して、回動装置(例えばモータ)(図示せず)が接続されている。また、上記ステージ171上には、ステージ171に載置される基板151上にメッキ溶液131を供給するメッキ液供給装置180が備えられている。メッキ液供給装置180は、例えば溶存酸素を除去したメッキ溶液131を貯めておくメッキ液貯蔵槽181を備えている。このメッキ液貯蔵槽181は内部が窒素雰囲気もしくは不活性ガス(例えば希ガス)雰囲気となっている。例えば、図示はしないが、メッキ液貯蔵槽181には、窒素もしくは不活性ガス(例えば希ガス)を供給するガス供給源186が接続されている。したがって、メッキ液貯蔵槽181内に保存されるメッキ溶液131に酸素が溶けこむことはない。
【0043】
上記メッキ液貯蔵槽181には配管182を介してステージ171上に載置される基板151上にメッキ溶液131を供給するノズル173が接続されている。このノズル173は、例えば矢印イ方向に揺動するものであってもよい。さらに上記配管にはメッキ液貯蔵槽181側よりメッキ溶液131をノズル173方向に送給するポンプ184とメッキ溶液131中の不純物をろ過するフィルタ185が、メッキ液貯蔵槽181側より順に接続されている。なお、メッキ液貯蔵槽181側よりノズル173にメッキ溶液131を送給する手段としては、上記説明したようにポンプ184による方法の他に、例えばメッキ液貯蔵槽181の内部圧力をガス供給源186より供給されるガス圧を高めることにより、メッキ溶液131をノズル173へ圧送する方式を採用してもよい。この場合には、ポンプ184は不要になる。
【0044】
上記半導体製造装置103では、溶存酸素を除去したメッキ溶液131をメッキ液供給装置180によりステージ171上に載置されている基板151上に滴下して、スピンコートもしくはパドル(液盛り)処理によって、無電解メッキを施す。
【0045】
上記第2半導体製造装置103によれば、メッキ液貯蔵槽181内は窒素雰囲気もしくは不活性ガス(例えば希ガス)雰囲気となっているため、溶存酸素が除去されたメッキ溶液131は、酸素雰囲気に曝されること無く保存される。また、上記ステージ171に載置される基板151、上記ノズル173およびノズル173とステージ171との間の領域は内部が窒素もしくは不活性ガス雰囲気に保持された処理室161内に設置されていることから、溶存酸素が除去されたメッキ溶液131がステージ171上に載置された基板151表面に滴下されてもメッキ溶液131に酸素が溶存することはない。
【0046】
このため、メッキ溶液131中の成分が酸化されることによるメッキ溶液131の短寿命化が防止でき、メッキ溶液131の寿命が長くなる。例えばCoWP無電解メッキ液では、液中のCo(II)錯体は、メッキ液周囲の酸素、メッキ液中の溶存酸素により酸化され、Co(III)錯体に変化しやすい性質を有するが、本発明の第2半導体製造装置103では、メッキ溶液(無電解メッキ液)131中に酸素が溶け込まないため、酸化によるCo(III)の増加が抑制され、CoWP無電解メッキ液の寿命が延びる。
【0047】
また、上記第2半導体製造装置103は、少なくとも上記ステージ171に載置される基板151、上記ノズル173およびノズル173とステージ171との間の領域を内部に収納するもので、その内部を窒素雰囲気もしくは不活性ガス(例えば希ガス)雰囲気とする処理室(図示せず)が備えられていることが好ましい。このような処理室が設けられた半導体製造装置では、基板151上で無電解メッキ処理を行ったメッキ溶液131を回収して再利用することが可能になる。
【0048】
また、上記第1、第2半導体製造装置101、103において、メッキ溶液131は加熱する必要があるので、前記図4において、第1槽121内にはメッキ溶液131を加熱するヒータ(図示せず)が備えられていてもよい。また前記図5において、メッキ液貯蔵槽181内にはメッキ溶液131を加熱するヒータ(図示せず)が備えられていてもよい。さらに、水素イオン指数(pH)の調整、還元剤量等の調整を行う手段が設けられていることが望ましい。
【0049】
以上の溶存酸素を除去した水を用いてメッキ液を調合し、メッキ寿命を改善する方法および装置は、コバルト系の無電解メッキ液に限るものではない。上記説明したように、ニッケル系の無電解メッキ液、コバルト・ニッケル系の無電解メッキ液、タングステン・モリブデン系の無電解メッキ液にも適用することができる。
【0050】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明の半導体装置の製造方法によれば、窒素もしくは不活性ガス雰囲気中で保存されているもので溶液中の溶存酸素を除去したメッキ溶液を用いて無電解メッキを行うので、無電解メッキ液中の成分が酸化されることによる無電解メッキ液の短寿命化が防止でき、無電解メッキ液の寿命を延ばすことができる。例えばCoWP無電解メッキ液では、メッキ組成中に存在するコバルトとして還元析出可能なCo(II)錯体の使用効率を向上させることができる。
【0051】
上記第1半導体製造装置では、メッキ液槽は、内部が窒素もしくは不活性ガス雰囲気に保持されたチャンバ内に設置されていることから、液中の溶存酸素が除去された無電解メッキ液は保存中に酸素に曝されることがないので、無電解メッキ液中の成分が酸化されることによる無電解メッキ液の短寿命化が防止でき、無電解メッキ液の寿命を延ばすことができる。例えばCoWP無電解メッキ液では、メッキ組成中に存在するコバルトとして還元析出可能なCo(II)錯体の使用効率を向上させることができる。
【0052】
上記第2半導体製造装置では、前記無電解メッキ液を貯蔵するもので、内部が窒素もしくは不活性ガス雰囲気に保持されている容器を備えたことから、液中の溶存酸素が除去された無電解メッキ液は保存中に酸素に曝されることがないので、無電解メッキ液中の成分が酸化されることによる無電解メッキ液の短寿命化が防止でき、無電解メッキ液の寿命を延ばすことができる。例えばCoWP無電解メッキ液では、メッキ組成中に存在するコバルトとして還元析出可能なCo(II)錯体の使用効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態を示す概略構成断面である。
【図2】窒素バブリングの効果を説明する溶存酸素量とメッキ溶液の温度との関係図である。
【図3】窒素バブリングの効果を説明する溶存酸素量とメッキ溶液の温度との関係図である。
【図4】溶存酸素を除去したメッキ溶液を用いて無電解メッキを行う第1半導体製造装置の概略構成図である。
【図5】溶存酸素を除去したメッキ溶液を用いて無電解メッキを行う第2半導体製造装置の概略構成図である。
【符号の説明】
25…第2配線、32バリア膜
Claims (8)
- 基板に銅もしくは銅合金で形成された配線上のみに、無電解メッキにより銅の拡散を防止するバリア膜を前記配線上に選択的に形成する工程を備えた半導体装置の製造方法であって、
前記無電解メッキは、窒素もしくは不活性ガス雰囲気中で保存されているもので溶液中の溶存酸素を除去したメッキ溶液を用いて行う
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 前記溶液中の溶存酸素の除去を、窒素バブリングもしくはフォーミングガスバブリングにより行う
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。 - 前記溶液中の溶存酸素を除去したメッキ溶液は、溶存酸素を除去した水と無電解メッキ液を調合することにより作製される
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。 - 前記溶存酸素を除去した水は、窒素バブリング、フォーミングガスバブリング、真空雰囲気にさらすことによる脱気、亜硫酸ナトリウムもしくはヒドラジンを用いた除去により作製される
ことを特徴とする請求項3記載の半導体装置の製造方法。 - 前記バリア膜をコバルト合金もしくはニッケル合金で形成する
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。 - メッキ液槽中に貯えられた無電解メッキ液に、銅および銅合金からなる配線が形成された基板を浸漬することにより無電解メッキを行う半導体製造装置において、
前記無電解メッキ液は液中の溶存酸素が除去されたものからなり、
前記メッキ液槽は、内部が窒素もしくは不活性ガス雰囲気に保持されたものからなる
ことを特徴とする半導体製造装置。 - 無電解メッキ液を回動自在なステージ上に設置された銅および銅合金からなる導電体が形成された基板上に滴下し、回転塗布するもしくはパドル処理することで前記基板表面の全面に前記滴下した無電解メッキ液を行き渡らせて無電解メッキを行う半導体製造装置において、
前記無電解メッキ液は液中の溶存酸素が除去されたものからなり、
前記無電解メッキ液を貯蔵するもので、内部が窒素もしくは不活性ガス雰囲気に保持されている容器を備えた
ことを特徴とする半導体製造装置。 - 前記無電解メッキ液が滴下される部分および前記ステージは、内部が窒素もしくは不活性ガス雰囲気に保持されたチャンバ内に設置されている
ことを特徴とする請求項7記載の半導体製造装置。
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JP2010067837A (ja) * | 2008-09-11 | 2010-03-25 | Tokyo Electron Ltd | キャップメタル形成方法 |
-
2002
- 2002-12-17 JP JP2002364779A patent/JP2004200272A/ja active Pending
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JP4660579B2 (ja) * | 2008-09-11 | 2011-03-30 | 東京エレクトロン株式会社 | キャップメタル形成方法 |
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