JP2004198444A - 感光性銀フィルム及びそれを用いた画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の感光性銀ペーストと同等の特性を有し、従来の感光性銀ペーストに較べて塗布工程、乾燥工程が不要で工程短縮が可能となり、取扱い作業性に優れた感光性銀フィルムを提供すること。
【解決手段】基板フィルムの片面に、下記の感光性銀ペースト(1)を塗布、乾燥して得られる感光性銀フィルム上に離型フィルムを有することを特徴とする3層構成の感光性銀フィルム。
感光性銀ペースト(1)
アルカリ可溶性樹脂(A)100重量部、不飽和二重結合を有する架橋性モノマー(B)40〜150重量部、光重合開始剤(C)15〜60重量部、銀粉(D)400〜1500重量部、ガラスフリット(E)1〜60重量部及び有機溶剤(F)50〜250重量部を含む感光性銀ペースト。
【解決手段】基板フィルムの片面に、下記の感光性銀ペースト(1)を塗布、乾燥して得られる感光性銀フィルム上に離型フィルムを有することを特徴とする3層構成の感光性銀フィルム。
感光性銀ペースト(1)
アルカリ可溶性樹脂(A)100重量部、不飽和二重結合を有する架橋性モノマー(B)40〜150重量部、光重合開始剤(C)15〜60重量部、銀粉(D)400〜1500重量部、ガラスフリット(E)1〜60重量部及び有機溶剤(F)50〜250重量部を含む感光性銀ペースト。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光性銀フィルム及びそれを用いた画像表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、プラズマディスプレイパネル、液晶表示装置等の画像表示装置、サーマルヘッド等の各種電子部品においては、微細な電極をパターン形成する必要があり、例えばスクリーン印刷、蒸着、スパッタリングやメッキ等の方法で形成した導電性膜をフォトリソグラフィー法によりエッチングしてパターン形成する方法や、導電粒子入りのペーストをスクリーンによる印刷等の方法で作成したパターンを乾燥、焼成することによって電極とすることが行われている。
【0003】
これらの方法のうちエッチングによってパターン形成する方法では高精度なパターン形成が可能であるが、エッチング工程を有することからコスト高になるといった欠点があった。一方のスクリーン印刷は、画像表示装置の大画面化に対応する基板へのパターン形成方法としては比較的低コストなことから経済的には有利であるが、50μm以下の微細パターンの形成にはスクリーン版の精度の点から限界があった。このような理由から、従来の電極パターン形成法の問題点を解決して高精度な微細電極パターンを形成するための感光性銀ペーストが、画像表示装置の電極形成に提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、感光性銀ペーストは、使用時にガラス基板等の基板に塗布した後、加熱乾燥する工程があり、乾燥時に発生する溶剤を除去する装置、更にガラス基板等の基板に塗布する装置等が必要となり、感光性銀ペーストの使用者側から従来の感光性銀ペーストの特性を維持しながら感光性銀ペーストより、工程短縮が可能で、取扱い作業性に優れた感光性銀フィルムが求められている。
【0004】
【特許文献1】
特許公開2001−100405
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の感光性銀ペーストと同様の高精度な微細パターンを高感度で形成できる特性を有し、従来の感光性銀ペーストに較べて塗布工程、乾燥工程が不要で工程短縮が可能となり、取扱い作業性に優れた感光性銀フィルム及びそれを用いた画像表示装置を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
[1] 基板フィルムの片面に、下記の感光性銀ペースト(1)を塗布、乾燥して得られる感光性銀フィルム上に離型フィルムを有することを特徴とする3層構成の感光性銀フィルム、
感光性銀ペースト(1)
アルカリ可溶性樹脂(A)100重量部、不飽和二重結合を有する架橋性モノマー(B)40〜150重量部、光重合開始剤(C)15〜60重量部、銀粉(D)400〜1500重量部、ガラスフリット(E)1〜60重量部及び有機溶剤(F)50〜250重量部を含む感光性銀ペースト。
[2] 第[1]項記載の感光性銀フィルムを用いてなることを特徴とする画像表示装置、
である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられるアルカリ可溶性樹脂(A)は、通常のアルカリ性現像液により現像できるアルカリ可溶の特性を有しておれば特に限定しない。
その具体例としては、カルボン酸のような酸性基とエチレン性不飽和基を有するアクリル系共重合体が好適であり、酸性基成分としてはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸等が挙げられ、エチレン性不飽和基成分としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、nーブチルアクリレート、nーブチルメタクリレート、sec−ブチルアクリレート、sec−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタリレート等が挙げられる。
【0008】
本発明に用いられる不飽和二重結合を有する架橋性モノマー(B)は、少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有する化合物である。光照射によって光重合開始剤から発生したラジカルで反応し、アルカリ現像液への溶解性を低下させてパターンを形成するものである。その具体例としては、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシエチレングリコールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリセロールアクリレート、グリシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソボニルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトキシアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、2,2−ジメチロールプロパンジアクリレート、グリセロールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパンアクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロピレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロピレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリアクリレート、2,2,4−トリメチルー1,3−ペンタンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジメチルアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート及び上記のアクリレートをメタクリレートに置き換えたもの、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1−ビニルー2−ピロリドン等が挙げられる。これらの不飽和二重結合を有する架橋性モノマーは単独でも併用してもよい。
【0009】
不飽和二重結合を有する架橋性モノマー(B)の配合量は、アルカリ可溶性樹脂100重量部に対し40〜150重量部である。40重量部未満では架橋性に乏しく、解像度が悪くなり、150重量部を越えるとアルカリ可溶性が低下し、解像度が悪くなる。
【0010】
本発明に用いられる光重合開始剤(C)は、光の照射により重合を開始させる化合物ならば、特に限定しない。具体例としては、ジメチルベンジルケタール、4−ジメチルアミノ安息香酸、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミン)ベンゾフェノン、α−アミノアセトフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニル−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジル−メトキシエチルアセタール、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2―アミルアントラキノン、β−クロロアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンゾスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンザルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシープロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、ナフタレンスルフォニルクロライド、キノリンスルフォニルクロライド、N−フェニルチオアクドリン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールスルフィド、トリフェニルフォスフィン、カンファーキノン等が挙げられ、これらのうちでは高感度のパターンが得られる点から、ジメチルベンジルケタール、4−ジメチルアミノ安息香酸、イソプロピルチオキサントンが好ましい。これらは単独でも併用してもよい。
光重合開始剤(C)の配合量は、アルカリ可溶性樹脂100重量部に対し15〜60重量部である。15重量部未満では解像度が悪くなり、60重量部を越えると遮光保存時のフィルムの保存性に問題がある。
【0011】
本発明に用いられる銀粉(D)は、特に限定しないが、光透過性を良好なものとするために球状のものが好ましい。又その粒径についてもパターン性、光透過性を良好なものとするためには0.1〜5μmの範囲のものが好ましい。銀粉の配合量は、アルカリ可溶性樹脂100重量部に対して400〜1500重量部である。400重量部未満では焼成後の導電性に劣り、1500重量部を越えると光透過性が悪くなることによる光反応性の低下が起こる。
【0012】
本発明に用いられるガラスフリット(E)は、基板界面での接着力向上効果の他、焼結助剤としても作用し焼成後に銀を焼結させるものである。本発明に用いるガラスフリットは、低融点での融着を行うために、酸化鉛を50%以上含むものが望ましく、又ガラスフリットの粒径は、光透過性を良好なものとするために0.1〜5μmの範囲のものが好ましい。ガラスフリットの配合量は、アルカリ可溶性樹脂100重量部に対し1〜60重量部である。1重量部未満では焼結できないため導電性が低く、60重量部を越えると遮光保存時でのフィルムの保存性に問題がある。
【0013】
本発明に用いられる有機溶剤(F)は、ペーストを所望の粘度にして、得られるフィルムの膜厚の均一化、基板フィルムに塗布するときの作業性を向上させるために用いられるが、具体例としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール等のアルコール系溶剤、メトキシアルコール、エトキシアルコール等のセロソルブ系溶剤、メトキシエトキシエタノール、ジエトキシエタノール、ブトキシエトキシエタノール等のカルビトール系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシプロピオン酸メチル、乳酸エチル等のエステル系溶剤、メトキシエチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテート等のセロソルブアセテート系溶剤、メトキシエトキシエチルアセテート、ジエトキシエチルアセテート等のカルビトールアセテート系溶剤、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の非プロトン性アミド系溶剤、γ―ブチロラクトン等のラクトン系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、n−ヘプタン、n−ヘキサン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素系溶剤等の有機溶剤が挙げられる。
有機溶剤の配合量は、アルカリ可溶性樹脂100重量部に対して50〜250重量部である。50重量部未満であるとペーストの粘度が高すぎるため膜厚が厚くなり、250重量部を越えると粘度が低くなり過ぎ、膜厚が薄くなる。
【0014】
更に上記成分に添加剤として、重合禁止剤、重合抑制剤、チキソ剤、レベリング剤、増感剤、分散剤、消泡剤、増粘剤、沈殿防止剤等を必要に応じて加えることが可能である。
【0015】
本発明に用いる基板フィルム、離型フィルムは、使用している溶剤に耐性があれば特に限定しないが、材質としてポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ナイロン、ポリウレタン、ポリイミド等が挙げられ、これらの材質を単独又は2種以上組み合わせて作成したフィルムが挙げられる。これらのうち、特に耐熱性、柔軟性の点からポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
【0016】
本発明に用いられる感光性銀ペーストは、構成成分のうち銀粉とガラスフリットを除いた成分を、予めイエロールーム等の紫外線を遮断した部屋で秤量、配合した後、三本ロールや攪拌機にて均一なワニスとし、このワニスに銀粉、ガラスフリットを配合しワニスと同条件で三本ロールや攪拌機にて混合すれば得られる。
【0017】
次に、例えばポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムという)等の基板フィルムの片面に感光性銀ペーストを塗布して塗膜を形成後、塗膜の表面がべたつかず、簡単に離型フィルムが剥離でき、塗膜の変質を生じない範囲内で乾燥した後、感光性銀フィルム上に離型フィルムを圧着することにより3層構成の感光性銀フィルムを得ることができる。乾燥温度としては、塗膜の表面及び裏面がべたつかず、簡単に基板フィルム、離型フィルムが剥離でき、感光性銀フィルムの変質が生じない範囲内で乾燥できれば、特に限定しないが、60〜250℃が好ましい。60℃未満だとペーストの裏面のみならず表面の乾燥が十分でなく塗膜表面のべたつきが残ってしまい、基板フィルム、離型フィルムが剥離せず、250℃を越えると感光性銀フィルムの変質が起こり、パターンが十分形成されないおそれがあり好ましくない。
【0018】
本発明の感光性銀フィルムを用いて、プラズマディスプレイの電極パターンを形成する場合は、例えば、まず離型フィルムを剥離してガラス基板上に感光性銀フィルムをラミネーターで貼り付ける。ラミネート条件としては、ロール温度60〜250℃、送り速度は0.01〜10m/分が好ましい。
次にPETフィルムを剥離して、フォトリソグラフィー法により所望のマスクを介して紫外線照射し、露光部分を光硬化させる。このときに用いられる光源は紫外線、電子線、X線等があるが、特に紫外線が好ましい。通常高圧水銀灯が用いられる。通常の露光量は生産性等を考慮して、20〜1000(mJ/cm2)程度が好ましい。
【0019】
次に未露光部分をアルカリ現像液で溶解除去してパターン形成する。現像は浸漬法やスプレー法があるが、微細パターン形成にはスプレー法が用いられる。通常現像液にはアルカリ水溶液が用いられるが、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム等の金属アルカリ水溶液やテトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等の有機アルカリ水溶液を用いることもできる。アルカリ水溶液の濃度は0.1〜2重量%程度がよく用いられる。得られたパターンを大気中で焼成して、感光性有機成分であるアルカリ可溶性樹脂、架橋性モノマー、光重合開始剤を完全に酸化蒸発させる。焼成条件としては、400〜600℃で15〜120分間焼成しガラス基板に銀成分を融着焼き付けする。
【0020】
本発明の感光性銀フィルムを用いて、電極パターンを形成した場合、焼成後の導電膜の厚み5〜15μmで最小線幅30μm程度の微細パターンを形成することができる。これを用いることにより信頼性が高く、高画像の画像表示装置を作成することができる。画像表示装置の製造方法は、従来の公知の方法を用いることができる。
【0021】
【実施例】
以下本発明を実施例で具体的に説明する。
実施例1
感光性銀ペーストの作成
上記の(A)〜(C)と(F)成分を用いてワニスを作成した。このワニス成分に、(D)銀粉と(E)ガラスフリットを上記の量だけ配合して感光性銀ペーストを作成した。
得られたペーストの種々の特性を評価した。評価結果を表1に示す。
【0022】
<塗布>
上記ペーストを基板フィルム上に200×400mmの大きさにロールコーターを用いて塗布した後、80℃で20分間乾燥(以下、フィルム作成条件(℃/20分)という)し、離形フィルムを貼り付け、基板フィルム、離形フィルムで挟まれた乾燥後膜厚10μmの3層構成の感光性銀フィルムを得た。
【0023】
<露光、現像>
上記で作成した3層構成の感光性銀フィルムの離形フィルムを剥離し、100×100mmのガラス板にラミネーターを用いて貼り付けた。ラミネートの条件は、ロール温度150℃、送り速度0.3m/分で行った。基板フィルムを剥離した後、この感光性銀フィルムに、10〜100μmのテストパターンを有するマスクを用いて50〜400(mJ/cm2)まで50(mJ/cm2)きざみの紫外線を照射した。その後0.5重量%の炭酸ナトリウム水溶液でスプレー現像して未露光部を除去水洗しパターンを形成した。
【0024】
<焼成>
上記ガラス基板を大気中500℃で60分間焼成を行い、電極パターンを作成した。
<評価>
解像度、焼成後膜厚、導電性を測定し評価した。解像度は金属顕微鏡にて観察し、焼成後膜厚は表面粗さ計にて測定した。導電性に関しては、黒−銀2層電極の体積抵抗率を測定した。
保存安定性については、作成した感光性銀フィルムを常温遮光の状態で保存し、30日ごとにパターンを作成してパターン作成可能な場合を○、現像不能又はパターンが流れるものについては×とした。
タック性については、上記の3層構成の感光性銀フィルムから離形フィルムを剥離して、剥離面とガラス板をラミネートした後、基板フィルムを剥離し、その剥離面のタック性を調べた。比較例11では、実施例1と同一の組成でペーストを作成し、このペーストをガラス板にスクリーン版にて印刷し、80℃で20分乾燥し、常温に戻してタック性を調べた。いずれの場合にも触って手につかない場合を○、手につく場合を×とした。
【0025】
実施例2〜5、比較例1〜10
表1、表2の組成に従い実施例1と同様の方法、操作で感光性銀フィルムを作成し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1、表2に示す。
比較例11
実施例1と同一の組成でペーストを作成し、フィルムにせずに250メッシュ(200mm×400mm)のスクリーン版にてガラス板に印刷し、80℃で20分にて乾燥後、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【発明の効果】
本発明に従うと、焼成後の導電膜の厚さ5〜15μmで最小線幅30μm程度の低抵抗で導電性に優れた高精度な微細電極パターンを高感度で形成できる特性を有する感光性銀フィルムを得ることができる。又フィルム状のため、従来の感光性銀ペーストに較べて塗布工程、乾燥工程が不要で工程短縮が可能となり、取扱い作業性に優れている。
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光性銀フィルム及びそれを用いた画像表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、プラズマディスプレイパネル、液晶表示装置等の画像表示装置、サーマルヘッド等の各種電子部品においては、微細な電極をパターン形成する必要があり、例えばスクリーン印刷、蒸着、スパッタリングやメッキ等の方法で形成した導電性膜をフォトリソグラフィー法によりエッチングしてパターン形成する方法や、導電粒子入りのペーストをスクリーンによる印刷等の方法で作成したパターンを乾燥、焼成することによって電極とすることが行われている。
【0003】
これらの方法のうちエッチングによってパターン形成する方法では高精度なパターン形成が可能であるが、エッチング工程を有することからコスト高になるといった欠点があった。一方のスクリーン印刷は、画像表示装置の大画面化に対応する基板へのパターン形成方法としては比較的低コストなことから経済的には有利であるが、50μm以下の微細パターンの形成にはスクリーン版の精度の点から限界があった。このような理由から、従来の電極パターン形成法の問題点を解決して高精度な微細電極パターンを形成するための感光性銀ペーストが、画像表示装置の電極形成に提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、感光性銀ペーストは、使用時にガラス基板等の基板に塗布した後、加熱乾燥する工程があり、乾燥時に発生する溶剤を除去する装置、更にガラス基板等の基板に塗布する装置等が必要となり、感光性銀ペーストの使用者側から従来の感光性銀ペーストの特性を維持しながら感光性銀ペーストより、工程短縮が可能で、取扱い作業性に優れた感光性銀フィルムが求められている。
【0004】
【特許文献1】
特許公開2001−100405
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の感光性銀ペーストと同様の高精度な微細パターンを高感度で形成できる特性を有し、従来の感光性銀ペーストに較べて塗布工程、乾燥工程が不要で工程短縮が可能となり、取扱い作業性に優れた感光性銀フィルム及びそれを用いた画像表示装置を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
[1] 基板フィルムの片面に、下記の感光性銀ペースト(1)を塗布、乾燥して得られる感光性銀フィルム上に離型フィルムを有することを特徴とする3層構成の感光性銀フィルム、
感光性銀ペースト(1)
アルカリ可溶性樹脂(A)100重量部、不飽和二重結合を有する架橋性モノマー(B)40〜150重量部、光重合開始剤(C)15〜60重量部、銀粉(D)400〜1500重量部、ガラスフリット(E)1〜60重量部及び有機溶剤(F)50〜250重量部を含む感光性銀ペースト。
[2] 第[1]項記載の感光性銀フィルムを用いてなることを特徴とする画像表示装置、
である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられるアルカリ可溶性樹脂(A)は、通常のアルカリ性現像液により現像できるアルカリ可溶の特性を有しておれば特に限定しない。
その具体例としては、カルボン酸のような酸性基とエチレン性不飽和基を有するアクリル系共重合体が好適であり、酸性基成分としてはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸等が挙げられ、エチレン性不飽和基成分としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、nーブチルアクリレート、nーブチルメタクリレート、sec−ブチルアクリレート、sec−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタリレート等が挙げられる。
【0008】
本発明に用いられる不飽和二重結合を有する架橋性モノマー(B)は、少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有する化合物である。光照射によって光重合開始剤から発生したラジカルで反応し、アルカリ現像液への溶解性を低下させてパターンを形成するものである。その具体例としては、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシエチレングリコールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリセロールアクリレート、グリシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソボニルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトキシアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、2,2−ジメチロールプロパンジアクリレート、グリセロールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパンアクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロピレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロピレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリアクリレート、2,2,4−トリメチルー1,3−ペンタンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジメチルアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート及び上記のアクリレートをメタクリレートに置き換えたもの、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1−ビニルー2−ピロリドン等が挙げられる。これらの不飽和二重結合を有する架橋性モノマーは単独でも併用してもよい。
【0009】
不飽和二重結合を有する架橋性モノマー(B)の配合量は、アルカリ可溶性樹脂100重量部に対し40〜150重量部である。40重量部未満では架橋性に乏しく、解像度が悪くなり、150重量部を越えるとアルカリ可溶性が低下し、解像度が悪くなる。
【0010】
本発明に用いられる光重合開始剤(C)は、光の照射により重合を開始させる化合物ならば、特に限定しない。具体例としては、ジメチルベンジルケタール、4−ジメチルアミノ安息香酸、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミン)ベンゾフェノン、α−アミノアセトフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニル−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジル−メトキシエチルアセタール、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2―アミルアントラキノン、β−クロロアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンゾスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンザルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシープロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、ナフタレンスルフォニルクロライド、キノリンスルフォニルクロライド、N−フェニルチオアクドリン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールスルフィド、トリフェニルフォスフィン、カンファーキノン等が挙げられ、これらのうちでは高感度のパターンが得られる点から、ジメチルベンジルケタール、4−ジメチルアミノ安息香酸、イソプロピルチオキサントンが好ましい。これらは単独でも併用してもよい。
光重合開始剤(C)の配合量は、アルカリ可溶性樹脂100重量部に対し15〜60重量部である。15重量部未満では解像度が悪くなり、60重量部を越えると遮光保存時のフィルムの保存性に問題がある。
【0011】
本発明に用いられる銀粉(D)は、特に限定しないが、光透過性を良好なものとするために球状のものが好ましい。又その粒径についてもパターン性、光透過性を良好なものとするためには0.1〜5μmの範囲のものが好ましい。銀粉の配合量は、アルカリ可溶性樹脂100重量部に対して400〜1500重量部である。400重量部未満では焼成後の導電性に劣り、1500重量部を越えると光透過性が悪くなることによる光反応性の低下が起こる。
【0012】
本発明に用いられるガラスフリット(E)は、基板界面での接着力向上効果の他、焼結助剤としても作用し焼成後に銀を焼結させるものである。本発明に用いるガラスフリットは、低融点での融着を行うために、酸化鉛を50%以上含むものが望ましく、又ガラスフリットの粒径は、光透過性を良好なものとするために0.1〜5μmの範囲のものが好ましい。ガラスフリットの配合量は、アルカリ可溶性樹脂100重量部に対し1〜60重量部である。1重量部未満では焼結できないため導電性が低く、60重量部を越えると遮光保存時でのフィルムの保存性に問題がある。
【0013】
本発明に用いられる有機溶剤(F)は、ペーストを所望の粘度にして、得られるフィルムの膜厚の均一化、基板フィルムに塗布するときの作業性を向上させるために用いられるが、具体例としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール等のアルコール系溶剤、メトキシアルコール、エトキシアルコール等のセロソルブ系溶剤、メトキシエトキシエタノール、ジエトキシエタノール、ブトキシエトキシエタノール等のカルビトール系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシプロピオン酸メチル、乳酸エチル等のエステル系溶剤、メトキシエチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテート等のセロソルブアセテート系溶剤、メトキシエトキシエチルアセテート、ジエトキシエチルアセテート等のカルビトールアセテート系溶剤、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の非プロトン性アミド系溶剤、γ―ブチロラクトン等のラクトン系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、n−ヘプタン、n−ヘキサン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素系溶剤等の有機溶剤が挙げられる。
有機溶剤の配合量は、アルカリ可溶性樹脂100重量部に対して50〜250重量部である。50重量部未満であるとペーストの粘度が高すぎるため膜厚が厚くなり、250重量部を越えると粘度が低くなり過ぎ、膜厚が薄くなる。
【0014】
更に上記成分に添加剤として、重合禁止剤、重合抑制剤、チキソ剤、レベリング剤、増感剤、分散剤、消泡剤、増粘剤、沈殿防止剤等を必要に応じて加えることが可能である。
【0015】
本発明に用いる基板フィルム、離型フィルムは、使用している溶剤に耐性があれば特に限定しないが、材質としてポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ナイロン、ポリウレタン、ポリイミド等が挙げられ、これらの材質を単独又は2種以上組み合わせて作成したフィルムが挙げられる。これらのうち、特に耐熱性、柔軟性の点からポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
【0016】
本発明に用いられる感光性銀ペーストは、構成成分のうち銀粉とガラスフリットを除いた成分を、予めイエロールーム等の紫外線を遮断した部屋で秤量、配合した後、三本ロールや攪拌機にて均一なワニスとし、このワニスに銀粉、ガラスフリットを配合しワニスと同条件で三本ロールや攪拌機にて混合すれば得られる。
【0017】
次に、例えばポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムという)等の基板フィルムの片面に感光性銀ペーストを塗布して塗膜を形成後、塗膜の表面がべたつかず、簡単に離型フィルムが剥離でき、塗膜の変質を生じない範囲内で乾燥した後、感光性銀フィルム上に離型フィルムを圧着することにより3層構成の感光性銀フィルムを得ることができる。乾燥温度としては、塗膜の表面及び裏面がべたつかず、簡単に基板フィルム、離型フィルムが剥離でき、感光性銀フィルムの変質が生じない範囲内で乾燥できれば、特に限定しないが、60〜250℃が好ましい。60℃未満だとペーストの裏面のみならず表面の乾燥が十分でなく塗膜表面のべたつきが残ってしまい、基板フィルム、離型フィルムが剥離せず、250℃を越えると感光性銀フィルムの変質が起こり、パターンが十分形成されないおそれがあり好ましくない。
【0018】
本発明の感光性銀フィルムを用いて、プラズマディスプレイの電極パターンを形成する場合は、例えば、まず離型フィルムを剥離してガラス基板上に感光性銀フィルムをラミネーターで貼り付ける。ラミネート条件としては、ロール温度60〜250℃、送り速度は0.01〜10m/分が好ましい。
次にPETフィルムを剥離して、フォトリソグラフィー法により所望のマスクを介して紫外線照射し、露光部分を光硬化させる。このときに用いられる光源は紫外線、電子線、X線等があるが、特に紫外線が好ましい。通常高圧水銀灯が用いられる。通常の露光量は生産性等を考慮して、20〜1000(mJ/cm2)程度が好ましい。
【0019】
次に未露光部分をアルカリ現像液で溶解除去してパターン形成する。現像は浸漬法やスプレー法があるが、微細パターン形成にはスプレー法が用いられる。通常現像液にはアルカリ水溶液が用いられるが、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム等の金属アルカリ水溶液やテトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等の有機アルカリ水溶液を用いることもできる。アルカリ水溶液の濃度は0.1〜2重量%程度がよく用いられる。得られたパターンを大気中で焼成して、感光性有機成分であるアルカリ可溶性樹脂、架橋性モノマー、光重合開始剤を完全に酸化蒸発させる。焼成条件としては、400〜600℃で15〜120分間焼成しガラス基板に銀成分を融着焼き付けする。
【0020】
本発明の感光性銀フィルムを用いて、電極パターンを形成した場合、焼成後の導電膜の厚み5〜15μmで最小線幅30μm程度の微細パターンを形成することができる。これを用いることにより信頼性が高く、高画像の画像表示装置を作成することができる。画像表示装置の製造方法は、従来の公知の方法を用いることができる。
【0021】
【実施例】
以下本発明を実施例で具体的に説明する。
実施例1
感光性銀ペーストの作成
上記の(A)〜(C)と(F)成分を用いてワニスを作成した。このワニス成分に、(D)銀粉と(E)ガラスフリットを上記の量だけ配合して感光性銀ペーストを作成した。
得られたペーストの種々の特性を評価した。評価結果を表1に示す。
【0022】
<塗布>
上記ペーストを基板フィルム上に200×400mmの大きさにロールコーターを用いて塗布した後、80℃で20分間乾燥(以下、フィルム作成条件(℃/20分)という)し、離形フィルムを貼り付け、基板フィルム、離形フィルムで挟まれた乾燥後膜厚10μmの3層構成の感光性銀フィルムを得た。
【0023】
<露光、現像>
上記で作成した3層構成の感光性銀フィルムの離形フィルムを剥離し、100×100mmのガラス板にラミネーターを用いて貼り付けた。ラミネートの条件は、ロール温度150℃、送り速度0.3m/分で行った。基板フィルムを剥離した後、この感光性銀フィルムに、10〜100μmのテストパターンを有するマスクを用いて50〜400(mJ/cm2)まで50(mJ/cm2)きざみの紫外線を照射した。その後0.5重量%の炭酸ナトリウム水溶液でスプレー現像して未露光部を除去水洗しパターンを形成した。
【0024】
<焼成>
上記ガラス基板を大気中500℃で60分間焼成を行い、電極パターンを作成した。
<評価>
解像度、焼成後膜厚、導電性を測定し評価した。解像度は金属顕微鏡にて観察し、焼成後膜厚は表面粗さ計にて測定した。導電性に関しては、黒−銀2層電極の体積抵抗率を測定した。
保存安定性については、作成した感光性銀フィルムを常温遮光の状態で保存し、30日ごとにパターンを作成してパターン作成可能な場合を○、現像不能又はパターンが流れるものについては×とした。
タック性については、上記の3層構成の感光性銀フィルムから離形フィルムを剥離して、剥離面とガラス板をラミネートした後、基板フィルムを剥離し、その剥離面のタック性を調べた。比較例11では、実施例1と同一の組成でペーストを作成し、このペーストをガラス板にスクリーン版にて印刷し、80℃で20分乾燥し、常温に戻してタック性を調べた。いずれの場合にも触って手につかない場合を○、手につく場合を×とした。
【0025】
実施例2〜5、比較例1〜10
表1、表2の組成に従い実施例1と同様の方法、操作で感光性銀フィルムを作成し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1、表2に示す。
比較例11
実施例1と同一の組成でペーストを作成し、フィルムにせずに250メッシュ(200mm×400mm)のスクリーン版にてガラス板に印刷し、80℃で20分にて乾燥後、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【発明の効果】
本発明に従うと、焼成後の導電膜の厚さ5〜15μmで最小線幅30μm程度の低抵抗で導電性に優れた高精度な微細電極パターンを高感度で形成できる特性を有する感光性銀フィルムを得ることができる。又フィルム状のため、従来の感光性銀ペーストに較べて塗布工程、乾燥工程が不要で工程短縮が可能となり、取扱い作業性に優れている。
Claims (2)
- 基板フィルムの片面に、下記の感光性銀ペースト(1)を塗布、乾燥して得られる感光性銀フィルム上に離型フィルムを有することを特徴とする3層構成の感光性銀フィルム。
感光性銀ペースト(1)
アルカリ可溶性樹脂(A)100重量部、不飽和二重結合を有する架橋性モノマー(B)40〜150重量部、光重合開始剤(C)15〜60重量部、銀粉(D)400〜1500重量部、ガラスフリット(E)1〜60重量部及び有機溶剤(F)50〜250重量部を含む感光性銀ペースト。 - 請求項1記載の感光性銀フィルムを用いてなることを特徴とする画像表示装置。
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