JP2004206883A - プラズマディスプレイ及びプラズマディスプレイ用2層構造電極の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】前面板電極が黒に着色され、画面のコントラスト比を向上させることができる高精度な微細電極パターンの2層構造を有するプラズマディスプレイを提供すること。
【解決手段】基板の透明電極上に感光性黒ペースト(1)、更にその上に感光性銀ペースト(2)を塗布後焼成してなる2層構造の電極を有するプラズマディスプレイ。感光性黒ペースト(1)アルカリ可溶性樹脂、不飽和二重結合を有する架橋性モノマー、光重合開始剤、銀粉、ガラスフリット、有機溶剤、黒色無機顔料を含む感光性黒ペースト。感光性銀ペースト(2)アルカリ可溶性樹脂、不飽和二重結合を有する架橋性モノマー、光重合開始剤(C)、銀粉、ガラスフリット及び有機溶剤を含む感光性銀ペースト。
【解決手段】基板の透明電極上に感光性黒ペースト(1)、更にその上に感光性銀ペースト(2)を塗布後焼成してなる2層構造の電極を有するプラズマディスプレイ。感光性黒ペースト(1)アルカリ可溶性樹脂、不飽和二重結合を有する架橋性モノマー、光重合開始剤、銀粉、ガラスフリット、有機溶剤、黒色無機顔料を含む感光性黒ペースト。感光性銀ペースト(2)アルカリ可溶性樹脂、不飽和二重結合を有する架橋性モノマー、光重合開始剤(C)、銀粉、ガラスフリット及び有機溶剤を含む感光性銀ペースト。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマディスプレイ及びプラズマディスプレイ用2層構造電極の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、プラズマディスプレイパネル、液晶表示装置等の画像表示装置、サーマルヘッド等の各種電子部品においては、微細な電極をパターン形成する必要があり、例えばスクリーン印刷、蒸着、スパッタリングやメッキ等の方法で形成した導電性膜をフォトリソグラフィー法によりエッチングしてパターン形成する方法や、導電粒子入りのペーストをスクリーンによる印刷等の方法で作成したパターンを乾燥、焼成することによって電極とすることが行われている。
【0003】
これらの方法のうちエッチングによってパターン形成する方法では高精度なパターン形成が可能であるが、エッチング工程を有することからコスト高になるといった欠点があった。一方のスクリーン印刷は、画像表示装置の大画面化に対応する基板へのパターン形成方法としては比較的低コストなことから経済的には有利であるが、50μm以下の微細パターンの形成にはスクリーン版の精度の点から限界があった。このような理由から、従来の電極パターン形成法の問題点を解決して高精度な微細電極パターンを形成するための感光性導電ペーストが、プラズマディスプレイパネルの電極形成用として提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
特に、プラズマディスプレイパネルについては、電極が前面板、背面板の両方にあり前面板電極は透明電極の補助電極として使用されるため、画面に電極が見えるようになるので画面のコントラスト比を向上させるために、この電極の色を黒にすることが必要となる。画面のコントラスト比を向上させるために、透明電極上に形成された不透明電極を、黒色顔料を混合した第1の金属電極と、顔料を混合しない第1の金属電極より、比抵抗の小さい第2の金属電極との2層構造を有するプラズマディスプレイパネルが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。これには、コントラスト比を向上させることについては記載されているが、近年の小型化、高密度化等の要求に伴う高精度な微細電極パターンを形成することについては開示されておらず、小型化、高密度化等に伴う2層構造の高精度な微細電極パターンを有するプラズマディスプレイパネルが求められている。又上記の特許文献1には、1層で前面板用の電極を作成することが記載されているが、黒色無機顔料は絶縁性であり、黒色無機顔料を用いて作成した黒色感光性導電ペーストは導電性に難点があり、又黒色のペーストは光反応性に劣り、1層でパターン形成するにはパターン強度が低い傾向にあり、2層構造に適応できる感光性ペーストが要求されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−48645号公報(第2頁〜第13頁)
【特許文献2】
特開平4−272634号公報(第2頁〜第4頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前面板電極が黒に着色され、画面のコントラスト比を向上させることができる高精度な微細電極パターンの2層構造を有するプラズマディスプレイ及びプラズマディスプレイ用2層構造電極の製造方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
[1] 基板の透明電極上に下記の感光性黒ペースト(1)を塗布後、更にその上に下記の感光性銀ペースト(2)を塗布後焼成してなる2層構造の電極を有することを特徴とするプラズマディスプレイ。
感光性黒ペースト(1)
アルカリ可溶性樹脂(A)100重量部、不飽和二重結合を有する架橋性モノマー(B)40〜150重量部、光重合開始剤(C)15〜60重量部、銀粉(D)100〜500重量部、ガラスフリット(E)1〜60重量部、有機溶剤(F)50〜250重量部、黒色無機顔料(G)5〜300重量部を含む感光性黒ペースト。
感光性銀ペースト(2)
アルカリ可溶性樹脂(A)100重量部、不飽和二重結合を有する架橋性モノマー(B)40〜150重量部、光重合開始剤(C)15〜60重量部、銀粉(D)400〜1500重量部、ガラスフリット(E)1〜60重量部及び有機溶剤(F)50〜250重量部を含む感光性銀ペースト、
[2] 基板の透明電極上に下記の感光性黒ペースト(1)を塗布し、加熱乾燥し、更にその上に下記の感光性銀ペースト(2)を塗布し、乾燥後、フォトリソグラフィーでパターン形成後焼成することを特徴とするプラズマディスプレイ用2層構造電極の製造方法。
感光性黒ペースト(1)
アルカリ可溶性樹脂(A)100重量部、不飽和二重結合を有する架橋性モノマー(B)40〜150重量部、光重合開始剤(C)15〜60重量部、銀粉(D)100〜500重量部、ガラスフリット(E)1〜60重量部、有機溶剤(F)50〜250重量部、黒色無機顔料(G)5〜300重量部を含む感光性黒ペースト。
感光性銀ペースト(2)
アルカリ可溶性樹脂(A)100重量部、不飽和二重結合を有する架橋性モノマー(B)40〜150重量部、光重合開始剤(C)15〜60重量部、銀粉(D)400〜1500重量部、ガラスフリット(E)1〜60重量部及び有機溶剤(F)50〜250重量部を含む感光性銀ペースト、
である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられるアルカリ可溶性樹脂(A)は、通常のアルカリ性現像液により現像できるアルカリ可溶の特性を有しておれば特に限定しない。
その具体例としては、カルボン酸のような酸性基とエチレン性不飽和基を有するアクリル系共重合体が好適であり、酸性基成分としてはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸等が挙げられ、エチレン性不飽和基成分としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、nーブチルアクリレート、nーブチルメタクリレート、sec−ブチルアクリレート、sec−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタリレート等が挙げられる。
【0009】
本発明に用いられる不飽和二重結合を有する架橋性モノマー(B)は、少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有する化合物である。光照射によって光重合開始剤から発生したラジカルで反応し、アルカリ現像液への溶解性を低下させてパターンを形成するものである。その具体例としては、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシエチレングリコールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリセロールアクリレート、グリシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソボニルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトキシアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、2,2−ジメチロールプロパンジアクリレート、グリセロールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパンアクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロピレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロピレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリアクリレート、2,2,4−トリメチルー1,3−ペンタンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジメチルアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート及び上記のアクリレートをメタクリレートに置き換えたもの、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1−ビニルー2−ピロリドン等が挙げられる。これらの不飽和二重結合を有する架橋性モノマーは単独でも併用してもよい。
【0010】
不飽和二重結合を有する架橋性モノマー(B)の配合量は、感光性黒ペースト、感光性銀ペースト共に、アルカリ可溶性樹脂100重量部に対し40〜150重量部である。40重量部未満では架橋性に乏しく、解像度が悪くなり、150重量部を越えるとアルカリ可溶性が低下し、解像度が悪くなる。
【0011】
本発明に用いられる光重合開始剤(C)は、光の照射により重合を開始させる化合物ならば、特に限定しない。具体例としては、ジメチルベンジルケタール、4−ジメチルアミノ安息香酸、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミン)ベンゾフェノン、α−アミノアセトフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニル−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジル−メトキシエチルアセタール、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2―アミルアントラキノン、β−クロロアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンゾスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンザルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシープロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、ナフタレンスルフォニルクロライド、キノリンスルフォニルクロライド、N−フェニルチオアクドリン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールスルフィド、トリフェニルフォスフィン、カンファーキノン等が挙げられ、これらのうちでは高感度のパターンが得られる点から、ジメチルベンジルケタール、4−ジメチルアミノ安息香酸、イソプロピルチオキサントンが好ましい。これらは単独でも併用してもよい。
【0012】
光重合開始剤(C)の配合量は、感光性黒ペースト、感光性銀ペースト共に、アルカリ可溶性樹脂100重量部に対し15〜60重量部である。15重量部未満では解像度が悪くなり、60重量部を越えると遮光保存時のペーストの保存性に問題がある。
【0013】
本発明に用いられる銀粉(D)は、特に限定しないが、光透過性を良好なものとするために球状のものが好ましい。又その粒径についてもパターン性、光透過性を良好なものとするためには0.1〜5μmの範囲のものが好ましい。
銀粉の配合量は、感光性黒ペーストにおいて、アルカリ可溶性樹脂100重量部に対して100〜500重量部である。100重量部未満では焼成後の導電性に劣り、500重量部を越えると光透過性が悪くなることによる光反応性の低下が起こる。感光性銀ペーストにおいて、アルカリ可溶性樹脂100重量部に対して400〜1500重量部である。400重量部未満では焼成後の導電性に劣り、1500重量部を越えると光透過性が悪くなることによる光反応性の低下が起こる。
【0014】
本発明に用いられるガラスフリット(E)は、基板界面での接着力向上効果の他、焼結助剤としても作用し焼成後に銀を焼結させるものである。本発明に用いるガラスフリットは、低融点での融着を行うために、酸化鉛を50%以上含むものが望ましく、又ガラスフリットの粒径は、光透過性を良好なものとするために0.1〜5μmの範囲のものが好ましい。ガラスフリットの配合量は、感光性黒ペースト、感光性銀ペースト共に、アルカリ可溶性樹脂100重量部に対し1〜60重量部である。1重量部未満では焼結できないため導電性が低く、60重量部を越えると遮光保存時でのペーストの粘度上昇が大きい。
【0015】
本発明に用いられる有機溶剤(F)は、ペーストを所望の粘度にしてスクリーン印刷等での作業性を向上させるために用いられるが、具体例としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール等のアルコール系溶剤、メトキシアルコール、エトキシアルコール等のセロソルブ系溶剤、メトキシエトキシエタノール、ジエトキシエタノール、ブトキシエトキシエタノール等のカルビトール系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシプロピオン酸メチル、乳酸エチル等のエステル系溶剤、メトキシエチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテート等のセロソルブアセテート系溶剤、メトキシエトキシエチルアセテート、ジエトキシエチルアセテート等のカルビトールアセテート系溶剤、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の非プロトン性アミド系溶剤、γ―ブチロラクトン等のラクトン系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、n−ヘプタン、n−ヘキサン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素系溶剤等の有機溶剤が挙げられる。
有機溶剤の配合量は、感光性黒ペースト、感光性銀ペースト共に、アルカリ可溶性樹脂100重量部に対して50〜250重量部である。50重量部未満であるとペーストの粘度が高すぎるため膜厚が厚くなり、250重量部を越えると粘度が低くなり過ぎ、膜厚が薄くなる。
【0016】
本発明に用いる黒色無機顔料(G)は、プラズマディスプレイの前面板用電極を黒色に着色し、プラズマディスプレイの画面のコントラスト比を向上させる。電極を黒くするための着色剤としては、有機・無機顔料、染料、カーボンブラック等があるが、電極を作成する際に400〜600℃の高温処理を行い有機分を全て焼成させるため、有機顔料は不適である。黒色無機顔料としては、黒色に着色できるものならば特に限定しない。具体例としては酸化マンガン、酸化クロム、酸化コバルト、酸化銅、酸化鉄、酸化ルテニウム等の金属酸化物等が挙げられる。これらは単独でも併用してもよい。
黒色無機顔料(G)の配合量は、アルカリ可溶性樹脂100重量部に対して5〜300重量部である。5重量部未満だと十分な黒色化ができず、300重量部を越えると導電性が極端に低下する。本発明での感光性黒ペースト、感光性銀ペーストには、上記成分に添加剤として、増感剤、分散剤、消泡剤、増粘剤、沈殿防止剤等を必要に応じて加えることが可能である。
【0017】
本発明の感光性黒ペースト、感光性銀ペーストは、構成成分のうち銀粉、ガラスフリットと黒色無機顔料を除いたものを、予めイエロールーム等の紫外線を遮断した部屋で秤量、配合した後、三本ロールや攪拌機にて均一なワニスを作成する。このワニスに銀粉、ガラスフリット、黒色無機顔料を配合しワニスと同じような条件で三本ロールや攪拌機にて混合してペーストとする。
【0018】
本発明の感光性黒ペースト、感光性銀ペーストを用いてプラズマディスプレイの前面板2層構造の電極パターンを形成する場合は、例えば透明電極上に、通常スクリーン印刷等の方法で感光性黒ペーストを5〜30μmの厚みで塗布する。次いで透明電極上の塗布膜を50〜120℃で5〜30分程度加熱乾燥した後、その上部に感光性銀ペーストをスクリーン印刷にて一面に一様に印刷し、乾燥し、フォトリソグラフィー法により所望のマスクを介して紫外線照射し、露光部分を光硬化させる。このときに用いられる光源は紫外線、電子線、X線等があるが、中でも紫外線が好ましい。通常高圧水銀灯が用いられる。通常の露光量は、生産性等を考慮して50〜1000(mJ/cm2)程度が好ましい。
【0019】
次に未露光部分をアルカリ現像液で溶解除去してパターン形成する。現像には浸漬法やスプレー法があるが、微細パターン形成には後者が用いられる。現像液には、通常アルカリ水溶液が用いられるが、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム等の金属アルカリ水溶液やテトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等の有機アルカリ水溶液を用いることもできる。通常のアルカリ水溶液の濃度は、0.1〜2重量%程度がよく用いられる。次に得られたパターンを空気中にて焼成して感光性有機成分であるアルカリ可溶性樹脂、架橋性モノマー、光重合開始剤を完全に酸化蒸発させる。温度条件としては400〜600℃で15〜120分間程度焼成し透明電極上に銀成分を融着焼き付けする。
【0020】
本発明の感光性黒ペースト、感光性銀ペーストを用いて電極パターンを形成した場合、焼成後の導電膜の厚み5〜15μmで最小線幅30μm程度の微細パターンを形成することができる。又それらを用いて信頼性が高く、高画像の画像表示装置を作製することができる。
【0021】
【実施例】
以下本発明を実施例で具体的に説明する。
上記の(A)〜(C)と(F)成分を用いてワニスを作成した。このワニス成分に、(D)銀粉、(E)ガラスフリットと(G)黒色無機顔料を上記の量だけ配合して感光性黒ペーストを作成した。
【0022】
上記の(A)〜(C)と(F)成分を用いてワニスを作成した。このワニス成分に、(D)銀粉と(E)ガラスフリットを上記の量だけ配合して感光性銀ペーストを作成した。得られたペーストの種々の特性を評価した。評価結果を表1に示す。
【0023】
<塗布、印刷>
感光性黒ペーストを325メッシュのスクリーンを用いてガラス板上(500mm角、3mm厚)に400mm角に塗布し、80℃で10分乾燥することによって厚さ10μmの印刷膜を得た。次に、この上に感光性銀ペーストを同様のスクリーンを用いて印刷、120℃で10分乾燥し、合計厚さ20μmの印刷膜を得た。
【0024】
<露光、現像>
上記で作成した塗布膜に10〜100μmのテストパターンを有するマスクを用いて50〜400(mJ/cm2)まで50(mJ/cm2)きざみの紫外線を照射した。その後0.5重量%の炭酸ナトリウム水溶液でスプレー現像して未露光部を除去水洗した。
【0025】
<焼成>
ガラス板上に印刷した塗布膜を大気中500℃で60分間焼成を行い、電極パターンを作成した。
<評価>
焼成塗布膜の膜厚、解像度、体積抵抗率、ペーストの保存安定性、黒色度を測定評価した。
焼成塗布膜の膜厚(以下、感光性黒ペーストによる膜厚を黒層膜厚、感光性銀ペーストによる膜厚を銀層膜厚という)は表面粗さ計にて測定した。膜厚については、感光性黒ペースト、感光性銀ペーストをそれぞれ単独でガラス板に印刷し、80℃で10分乾燥後の厚みが黒層、銀層がいずれも10μmとなるように作成し、大気中500℃で60分間焼成した後のものを測定した。
解像度は金属顕微鏡にて観察した。
導電性は、黒−銀2層電極の体積抵抗率を測定した。
ペーストの保存安定性は、23℃で遮光した状態で放置し、感光性黒ペーストと感光性銀ペーストの粘度が初期粘度に対して50%上昇するまでの日数で評価した。
感光性黒ペーストの焼成後黒色度は、感光性黒ペーストをガラス板上に塗布し紫外線を照射した後大気中500℃で60分間焼成し、得られた焼成塗布膜を、色差計でXYZ表色系のうちのY値を測定した値で表した。
【0026】
<実施例2〜5、比較例1〜22>
表1〜表4の組成に従い実施例1と同様の方法、操作で感光性黒ペースト、感光性銀ペーストを作成し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1〜表4に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】
【表4】
【0031】
【発明の効果】
本発明に従うと、感光性黒ペースト、感光性銀ペーストを基板上に塗布した後、フォトリソグラフィーで2層構造を有する電極パターンを形成することにより、焼成後の導電膜の厚さ5〜15μmで最小線幅30μm程度の低抵抗で導電性に優れた高精度な微細電極パターンを得ることができる。又黒色度はY値が10以下であり、コントラスト比を向上できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマディスプレイ及びプラズマディスプレイ用2層構造電極の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、プラズマディスプレイパネル、液晶表示装置等の画像表示装置、サーマルヘッド等の各種電子部品においては、微細な電極をパターン形成する必要があり、例えばスクリーン印刷、蒸着、スパッタリングやメッキ等の方法で形成した導電性膜をフォトリソグラフィー法によりエッチングしてパターン形成する方法や、導電粒子入りのペーストをスクリーンによる印刷等の方法で作成したパターンを乾燥、焼成することによって電極とすることが行われている。
【0003】
これらの方法のうちエッチングによってパターン形成する方法では高精度なパターン形成が可能であるが、エッチング工程を有することからコスト高になるといった欠点があった。一方のスクリーン印刷は、画像表示装置の大画面化に対応する基板へのパターン形成方法としては比較的低コストなことから経済的には有利であるが、50μm以下の微細パターンの形成にはスクリーン版の精度の点から限界があった。このような理由から、従来の電極パターン形成法の問題点を解決して高精度な微細電極パターンを形成するための感光性導電ペーストが、プラズマディスプレイパネルの電極形成用として提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
特に、プラズマディスプレイパネルについては、電極が前面板、背面板の両方にあり前面板電極は透明電極の補助電極として使用されるため、画面に電極が見えるようになるので画面のコントラスト比を向上させるために、この電極の色を黒にすることが必要となる。画面のコントラスト比を向上させるために、透明電極上に形成された不透明電極を、黒色顔料を混合した第1の金属電極と、顔料を混合しない第1の金属電極より、比抵抗の小さい第2の金属電極との2層構造を有するプラズマディスプレイパネルが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。これには、コントラスト比を向上させることについては記載されているが、近年の小型化、高密度化等の要求に伴う高精度な微細電極パターンを形成することについては開示されておらず、小型化、高密度化等に伴う2層構造の高精度な微細電極パターンを有するプラズマディスプレイパネルが求められている。又上記の特許文献1には、1層で前面板用の電極を作成することが記載されているが、黒色無機顔料は絶縁性であり、黒色無機顔料を用いて作成した黒色感光性導電ペーストは導電性に難点があり、又黒色のペーストは光反応性に劣り、1層でパターン形成するにはパターン強度が低い傾向にあり、2層構造に適応できる感光性ペーストが要求されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−48645号公報(第2頁〜第13頁)
【特許文献2】
特開平4−272634号公報(第2頁〜第4頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前面板電極が黒に着色され、画面のコントラスト比を向上させることができる高精度な微細電極パターンの2層構造を有するプラズマディスプレイ及びプラズマディスプレイ用2層構造電極の製造方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
[1] 基板の透明電極上に下記の感光性黒ペースト(1)を塗布後、更にその上に下記の感光性銀ペースト(2)を塗布後焼成してなる2層構造の電極を有することを特徴とするプラズマディスプレイ。
感光性黒ペースト(1)
アルカリ可溶性樹脂(A)100重量部、不飽和二重結合を有する架橋性モノマー(B)40〜150重量部、光重合開始剤(C)15〜60重量部、銀粉(D)100〜500重量部、ガラスフリット(E)1〜60重量部、有機溶剤(F)50〜250重量部、黒色無機顔料(G)5〜300重量部を含む感光性黒ペースト。
感光性銀ペースト(2)
アルカリ可溶性樹脂(A)100重量部、不飽和二重結合を有する架橋性モノマー(B)40〜150重量部、光重合開始剤(C)15〜60重量部、銀粉(D)400〜1500重量部、ガラスフリット(E)1〜60重量部及び有機溶剤(F)50〜250重量部を含む感光性銀ペースト、
[2] 基板の透明電極上に下記の感光性黒ペースト(1)を塗布し、加熱乾燥し、更にその上に下記の感光性銀ペースト(2)を塗布し、乾燥後、フォトリソグラフィーでパターン形成後焼成することを特徴とするプラズマディスプレイ用2層構造電極の製造方法。
感光性黒ペースト(1)
アルカリ可溶性樹脂(A)100重量部、不飽和二重結合を有する架橋性モノマー(B)40〜150重量部、光重合開始剤(C)15〜60重量部、銀粉(D)100〜500重量部、ガラスフリット(E)1〜60重量部、有機溶剤(F)50〜250重量部、黒色無機顔料(G)5〜300重量部を含む感光性黒ペースト。
感光性銀ペースト(2)
アルカリ可溶性樹脂(A)100重量部、不飽和二重結合を有する架橋性モノマー(B)40〜150重量部、光重合開始剤(C)15〜60重量部、銀粉(D)400〜1500重量部、ガラスフリット(E)1〜60重量部及び有機溶剤(F)50〜250重量部を含む感光性銀ペースト、
である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられるアルカリ可溶性樹脂(A)は、通常のアルカリ性現像液により現像できるアルカリ可溶の特性を有しておれば特に限定しない。
その具体例としては、カルボン酸のような酸性基とエチレン性不飽和基を有するアクリル系共重合体が好適であり、酸性基成分としてはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸等が挙げられ、エチレン性不飽和基成分としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、nーブチルアクリレート、nーブチルメタクリレート、sec−ブチルアクリレート、sec−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタリレート等が挙げられる。
【0009】
本発明に用いられる不飽和二重結合を有する架橋性モノマー(B)は、少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有する化合物である。光照射によって光重合開始剤から発生したラジカルで反応し、アルカリ現像液への溶解性を低下させてパターンを形成するものである。その具体例としては、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシエチレングリコールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリセロールアクリレート、グリシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソボニルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトキシアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、2,2−ジメチロールプロパンジアクリレート、グリセロールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパンアクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロピレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロピレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリアクリレート、2,2,4−トリメチルー1,3−ペンタンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジメチルアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート及び上記のアクリレートをメタクリレートに置き換えたもの、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1−ビニルー2−ピロリドン等が挙げられる。これらの不飽和二重結合を有する架橋性モノマーは単独でも併用してもよい。
【0010】
不飽和二重結合を有する架橋性モノマー(B)の配合量は、感光性黒ペースト、感光性銀ペースト共に、アルカリ可溶性樹脂100重量部に対し40〜150重量部である。40重量部未満では架橋性に乏しく、解像度が悪くなり、150重量部を越えるとアルカリ可溶性が低下し、解像度が悪くなる。
【0011】
本発明に用いられる光重合開始剤(C)は、光の照射により重合を開始させる化合物ならば、特に限定しない。具体例としては、ジメチルベンジルケタール、4−ジメチルアミノ安息香酸、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミン)ベンゾフェノン、α−アミノアセトフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニル−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジル−メトキシエチルアセタール、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2―アミルアントラキノン、β−クロロアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンゾスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンザルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシープロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、ナフタレンスルフォニルクロライド、キノリンスルフォニルクロライド、N−フェニルチオアクドリン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールスルフィド、トリフェニルフォスフィン、カンファーキノン等が挙げられ、これらのうちでは高感度のパターンが得られる点から、ジメチルベンジルケタール、4−ジメチルアミノ安息香酸、イソプロピルチオキサントンが好ましい。これらは単独でも併用してもよい。
【0012】
光重合開始剤(C)の配合量は、感光性黒ペースト、感光性銀ペースト共に、アルカリ可溶性樹脂100重量部に対し15〜60重量部である。15重量部未満では解像度が悪くなり、60重量部を越えると遮光保存時のペーストの保存性に問題がある。
【0013】
本発明に用いられる銀粉(D)は、特に限定しないが、光透過性を良好なものとするために球状のものが好ましい。又その粒径についてもパターン性、光透過性を良好なものとするためには0.1〜5μmの範囲のものが好ましい。
銀粉の配合量は、感光性黒ペーストにおいて、アルカリ可溶性樹脂100重量部に対して100〜500重量部である。100重量部未満では焼成後の導電性に劣り、500重量部を越えると光透過性が悪くなることによる光反応性の低下が起こる。感光性銀ペーストにおいて、アルカリ可溶性樹脂100重量部に対して400〜1500重量部である。400重量部未満では焼成後の導電性に劣り、1500重量部を越えると光透過性が悪くなることによる光反応性の低下が起こる。
【0014】
本発明に用いられるガラスフリット(E)は、基板界面での接着力向上効果の他、焼結助剤としても作用し焼成後に銀を焼結させるものである。本発明に用いるガラスフリットは、低融点での融着を行うために、酸化鉛を50%以上含むものが望ましく、又ガラスフリットの粒径は、光透過性を良好なものとするために0.1〜5μmの範囲のものが好ましい。ガラスフリットの配合量は、感光性黒ペースト、感光性銀ペースト共に、アルカリ可溶性樹脂100重量部に対し1〜60重量部である。1重量部未満では焼結できないため導電性が低く、60重量部を越えると遮光保存時でのペーストの粘度上昇が大きい。
【0015】
本発明に用いられる有機溶剤(F)は、ペーストを所望の粘度にしてスクリーン印刷等での作業性を向上させるために用いられるが、具体例としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール等のアルコール系溶剤、メトキシアルコール、エトキシアルコール等のセロソルブ系溶剤、メトキシエトキシエタノール、ジエトキシエタノール、ブトキシエトキシエタノール等のカルビトール系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシプロピオン酸メチル、乳酸エチル等のエステル系溶剤、メトキシエチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテート等のセロソルブアセテート系溶剤、メトキシエトキシエチルアセテート、ジエトキシエチルアセテート等のカルビトールアセテート系溶剤、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の非プロトン性アミド系溶剤、γ―ブチロラクトン等のラクトン系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、n−ヘプタン、n−ヘキサン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素系溶剤等の有機溶剤が挙げられる。
有機溶剤の配合量は、感光性黒ペースト、感光性銀ペースト共に、アルカリ可溶性樹脂100重量部に対して50〜250重量部である。50重量部未満であるとペーストの粘度が高すぎるため膜厚が厚くなり、250重量部を越えると粘度が低くなり過ぎ、膜厚が薄くなる。
【0016】
本発明に用いる黒色無機顔料(G)は、プラズマディスプレイの前面板用電極を黒色に着色し、プラズマディスプレイの画面のコントラスト比を向上させる。電極を黒くするための着色剤としては、有機・無機顔料、染料、カーボンブラック等があるが、電極を作成する際に400〜600℃の高温処理を行い有機分を全て焼成させるため、有機顔料は不適である。黒色無機顔料としては、黒色に着色できるものならば特に限定しない。具体例としては酸化マンガン、酸化クロム、酸化コバルト、酸化銅、酸化鉄、酸化ルテニウム等の金属酸化物等が挙げられる。これらは単独でも併用してもよい。
黒色無機顔料(G)の配合量は、アルカリ可溶性樹脂100重量部に対して5〜300重量部である。5重量部未満だと十分な黒色化ができず、300重量部を越えると導電性が極端に低下する。本発明での感光性黒ペースト、感光性銀ペーストには、上記成分に添加剤として、増感剤、分散剤、消泡剤、増粘剤、沈殿防止剤等を必要に応じて加えることが可能である。
【0017】
本発明の感光性黒ペースト、感光性銀ペーストは、構成成分のうち銀粉、ガラスフリットと黒色無機顔料を除いたものを、予めイエロールーム等の紫外線を遮断した部屋で秤量、配合した後、三本ロールや攪拌機にて均一なワニスを作成する。このワニスに銀粉、ガラスフリット、黒色無機顔料を配合しワニスと同じような条件で三本ロールや攪拌機にて混合してペーストとする。
【0018】
本発明の感光性黒ペースト、感光性銀ペーストを用いてプラズマディスプレイの前面板2層構造の電極パターンを形成する場合は、例えば透明電極上に、通常スクリーン印刷等の方法で感光性黒ペーストを5〜30μmの厚みで塗布する。次いで透明電極上の塗布膜を50〜120℃で5〜30分程度加熱乾燥した後、その上部に感光性銀ペーストをスクリーン印刷にて一面に一様に印刷し、乾燥し、フォトリソグラフィー法により所望のマスクを介して紫外線照射し、露光部分を光硬化させる。このときに用いられる光源は紫外線、電子線、X線等があるが、中でも紫外線が好ましい。通常高圧水銀灯が用いられる。通常の露光量は、生産性等を考慮して50〜1000(mJ/cm2)程度が好ましい。
【0019】
次に未露光部分をアルカリ現像液で溶解除去してパターン形成する。現像には浸漬法やスプレー法があるが、微細パターン形成には後者が用いられる。現像液には、通常アルカリ水溶液が用いられるが、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム等の金属アルカリ水溶液やテトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等の有機アルカリ水溶液を用いることもできる。通常のアルカリ水溶液の濃度は、0.1〜2重量%程度がよく用いられる。次に得られたパターンを空気中にて焼成して感光性有機成分であるアルカリ可溶性樹脂、架橋性モノマー、光重合開始剤を完全に酸化蒸発させる。温度条件としては400〜600℃で15〜120分間程度焼成し透明電極上に銀成分を融着焼き付けする。
【0020】
本発明の感光性黒ペースト、感光性銀ペーストを用いて電極パターンを形成した場合、焼成後の導電膜の厚み5〜15μmで最小線幅30μm程度の微細パターンを形成することができる。又それらを用いて信頼性が高く、高画像の画像表示装置を作製することができる。
【0021】
【実施例】
以下本発明を実施例で具体的に説明する。
上記の(A)〜(C)と(F)成分を用いてワニスを作成した。このワニス成分に、(D)銀粉、(E)ガラスフリットと(G)黒色無機顔料を上記の量だけ配合して感光性黒ペーストを作成した。
【0022】
上記の(A)〜(C)と(F)成分を用いてワニスを作成した。このワニス成分に、(D)銀粉と(E)ガラスフリットを上記の量だけ配合して感光性銀ペーストを作成した。得られたペーストの種々の特性を評価した。評価結果を表1に示す。
【0023】
<塗布、印刷>
感光性黒ペーストを325メッシュのスクリーンを用いてガラス板上(500mm角、3mm厚)に400mm角に塗布し、80℃で10分乾燥することによって厚さ10μmの印刷膜を得た。次に、この上に感光性銀ペーストを同様のスクリーンを用いて印刷、120℃で10分乾燥し、合計厚さ20μmの印刷膜を得た。
【0024】
<露光、現像>
上記で作成した塗布膜に10〜100μmのテストパターンを有するマスクを用いて50〜400(mJ/cm2)まで50(mJ/cm2)きざみの紫外線を照射した。その後0.5重量%の炭酸ナトリウム水溶液でスプレー現像して未露光部を除去水洗した。
【0025】
<焼成>
ガラス板上に印刷した塗布膜を大気中500℃で60分間焼成を行い、電極パターンを作成した。
<評価>
焼成塗布膜の膜厚、解像度、体積抵抗率、ペーストの保存安定性、黒色度を測定評価した。
焼成塗布膜の膜厚(以下、感光性黒ペーストによる膜厚を黒層膜厚、感光性銀ペーストによる膜厚を銀層膜厚という)は表面粗さ計にて測定した。膜厚については、感光性黒ペースト、感光性銀ペーストをそれぞれ単独でガラス板に印刷し、80℃で10分乾燥後の厚みが黒層、銀層がいずれも10μmとなるように作成し、大気中500℃で60分間焼成した後のものを測定した。
解像度は金属顕微鏡にて観察した。
導電性は、黒−銀2層電極の体積抵抗率を測定した。
ペーストの保存安定性は、23℃で遮光した状態で放置し、感光性黒ペーストと感光性銀ペーストの粘度が初期粘度に対して50%上昇するまでの日数で評価した。
感光性黒ペーストの焼成後黒色度は、感光性黒ペーストをガラス板上に塗布し紫外線を照射した後大気中500℃で60分間焼成し、得られた焼成塗布膜を、色差計でXYZ表色系のうちのY値を測定した値で表した。
【0026】
<実施例2〜5、比較例1〜22>
表1〜表4の組成に従い実施例1と同様の方法、操作で感光性黒ペースト、感光性銀ペーストを作成し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1〜表4に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】
【表4】
【0031】
【発明の効果】
本発明に従うと、感光性黒ペースト、感光性銀ペーストを基板上に塗布した後、フォトリソグラフィーで2層構造を有する電極パターンを形成することにより、焼成後の導電膜の厚さ5〜15μmで最小線幅30μm程度の低抵抗で導電性に優れた高精度な微細電極パターンを得ることができる。又黒色度はY値が10以下であり、コントラスト比を向上できる。
Claims (2)
- 基板の透明電極上に下記の感光性黒ペースト(1)を塗布後、更にその上に下記の感光性銀ペースト(2)を塗布後焼成してなる2層構造の電極を有することを特徴とするプラズマディスプレイ。
感光性黒ペースト(1)
アルカリ可溶性樹脂(A)100重量部、不飽和二重結合を有する架橋性モノマー(B)40〜150重量部、光重合開始剤(C)15〜60重量部、銀粉(D)100〜500重量部、ガラスフリット(E)1〜60重量部、有機溶剤(F)50〜250重量部、黒色無機顔料(G)5〜300重量部を含む感光性黒ペースト。
感光性銀ペースト(2)
アルカリ可溶性樹脂(A)100重量部、不飽和二重結合を有する架橋性モノマー(B)40〜150重量部、光重合開始剤(C)15〜60重量部、銀粉(D)400〜1500重量部、ガラスフリット(E)1〜60重量部及び有機溶剤(F)50〜250重量部を含む感光性銀ペースト。 - 基板の透明電極上に下記の感光性黒ペースト(1)を塗布し、加熱乾燥し、更にその上に下記の感光性銀ペースト(2)を塗布し、乾燥後、フォトリソグラフィーでパターン形成後焼成することを特徴とするプラズマディスプレイ用2層構造電極の製造方法。
感光性黒ペースト(1)
アルカリ可溶性樹脂(A)100重量部、不飽和二重結合を有する架橋性モノマー(B)40〜150重量部、光重合開始剤(C)15〜60重量部、銀粉(D)100〜500重量部、ガラスフリット(E)1〜60重量部、有機溶剤(F)50〜250重量部、黒色無機顔料(G)5〜300重量部を含む感光性黒ペースト。
感光性銀ペースト(2)
アルカリ可溶性樹脂(A)100重量部、不飽和二重結合を有する架橋性モノマー(B)40〜150重量部、光重合開始剤(C)15〜60重量部、銀粉(D)400〜1500重量部、ガラスフリット(E)1〜60重量部及び有機溶剤(F)50〜250重量部を含む感光性銀ペースト。
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