JP2004197899A - ダイヤフラム内蔵遮断弁、燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】水等の液体がダイヤフラムや第1バネ着座部材に溜まることを抑制することができ、水等の液体に起因する塵埃付着、腐食といった不具合を抑制でき、更には水等の液体の凍結も抑制できる遮断弁及び燃料電池システムを提供する。
【解決手段】遮断弁のボディ32は、気体室37と入口ポート38と出口ポート36と弁口30とをもつ。ダイヤフラム52は主室61と副室62とを連通させる絞り孔52cをもつ。弁体要素33の回りに配設されるようにボディ32に保持されたリング形状の第1バネ着座部材54と、第1バネ部材54に装備されたバネ部材55とが設けられている。ダイヤフラム52は、当該一方の上面に存在する水等の液体を当該一方よりも下方に流下させるように案内する液体案内部100を有する。液体案内部を第1バネ着座部材54に設けても良い。
【選択図】図3
【解決手段】遮断弁のボディ32は、気体室37と入口ポート38と出口ポート36と弁口30とをもつ。ダイヤフラム52は主室61と副室62とを連通させる絞り孔52cをもつ。弁体要素33の回りに配設されるようにボディ32に保持されたリング形状の第1バネ着座部材54と、第1バネ部材54に装備されたバネ部材55とが設けられている。ダイヤフラム52は、当該一方の上面に存在する水等の液体を当該一方よりも下方に流下させるように案内する液体案内部100を有する。液体案内部を第1バネ着座部材54に設けても良い。
【選択図】図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイヤフラム内蔵遮断弁、ダイヤフラム内蔵遮断弁を備えた燃料電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ダイヤフラム内蔵遮断弁として、特許文献1には、入口ポート及び出口ポートをもつボディと、ボディ内において入口ポートと出口ポートとの間に昇降可能に設けられ弁口をもつ円筒形状の弁座金具と、弁口の周縁に上方から宛われて弁口を開閉する弁体と、弁体に一体的に設けられたダイヤフラムと、弁体及びダイヤフラムを保持する作動軸と、弁体が弁口を閉鎖する方向に弁体を付勢する付勢バネとを備えているものが開示されている。
【0003】
このものによれば、閉弁時には、付勢バネの付勢力により、弁体が弁口を閉鎖する方向に付勢されている。そして、ボディの入口ポートの気体の圧力がある程度上昇すると、入口ポートの気体の圧力により付勢バネの付勢力に抗してダイヤフラムが弁体と共に上方に張り出し変形する。この結果、弁口をもつ弁座金具がボディの底面から上方に突き出るように上昇する。このとき弁体により弁口は閉鎖されている。入口ポートの気体の圧力が更に上昇すると、ストッパにより弁座金具の上昇は停止されるものの、入口ポートの気体の圧力によりダイヤフラムが弁体と共に更に上方に張り出し変形する。この結果、弁座金具の弁口から弁体を離間させ、弁体を開弁させる。また、入口ポートの気体の圧力が低下すると、付勢バネの付勢力によりダイヤフラムが弁体と共に下方に変形し、弁座金具の弁口の周縁に弁体を当接させ、弁体を閉弁させる。
【0004】
また別のダイヤフラム内蔵遮断弁として、特許文献2には、燃料タンクの蒸発燃料が滞留する通路に繋がる入口ポート及びキャニスタに繋がる出口ポートをもつボディと、ボディ内において入口ポートと出口ポートとの間に設けられ弁口と、入口ポートを開閉する蓋状の弁板と、弁板と一体的に接合された膜状のダイヤフラムと、弁板が弁口を閉鎖する方向に弁板を付勢する付勢バネとを備えているものが開示されている。ダイヤフラムには、蒸発燃料の透過を抑える蛇腹状のバリヤ樹脂層が一体的に設けられている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−173819号公報
【特許文献2】特開2001−214818号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記した公報に係るダイヤフラム内蔵遮断弁によれば、結露等の影響で水がダイヤフラムの上面に溜まることがある。このようにダイヤフラムの上面に水が溜まることは、ダイヤフラムの作動に対して負荷となり、ダイヤフラムの円滑な作動性に影響を与える。更に水の影響でダイヤフラムに塵埃等が付着し易くなるおそれがある。
【0007】
殊に、燃料電池の場合には、発電反応により水が生成されるため、燃料電池から排出される酸化剤オフガス、燃料オフガスは、蒸気または水を含むことが多い。また、燃料電池システムでは、燃料電池の電解質膜が過剰に乾燥していると、高い発電性能が得られにくくなるため、燃料電池に供給される酸化剤ガス、燃料ガスを加湿させることがある。このため、燃料電池に供給される酸化剤ガス及び燃料ガス、更には、燃料電池から排出される酸化剤オフガス及び燃料オフガスは、蒸蒸気または水を含むことが多い。故に燃料電池システムに装備される遮断弁の内部には、水が溜まり易い。従って、遮断弁のボティ内に設けられているダイヤフラムの上面に水が溜まり易い。この場合、ダイヤフラムの作動に対して負荷となり、ダイヤフラムの円滑な作動性に影響を与える。更に水の影響でダイヤフラムに塵埃等が付着し易くなるおそれがある。バネ着座部材が設けられている場合においても同様に、水の影響でバネ着座部材に塵埃等が付着し易くなるおそれがある。バネ着座部材が金属製であるときには、腐食が誘発される問題もある。
【0008】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、水等の液体がダイヤフラムや第1バネ着座部材に溜まることを抑制することができ、水等の液体に起因する塵埃付着、腐食といった不具合を抑制でき、更には水等の液体の凍結も抑制できる遮断弁及び燃料電池システムを提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
(1)第1発明に係るダイヤフラム内蔵遮断弁(以下、単に遮断弁ともいう)は、蒸気及び液体のうち少なくとも一方が含まれ得る気体を通過させる通過形態とその通過を遮断させる遮断形態とに切替可能なダイヤフラム内蔵遮断弁であって、
蒸気及び液体のうち少なくとも一方が含まれ得る気体が流入可能な気体室と、気体室に連通して気体を気体室に流入させる入口ポートと、気体室に連通して気体室の気体を吐出させる出口ポートと、入口ポートと出口ポートとの間に設けられ気体室に対面する弁口とをもつボディと、
入口ポートに連通する主室と出口ポートに連通する副室とにボディの気体室を仕切るように配設され、主室と副室とを連通させる絞り孔をもつダイヤフラムと、
ダイヤフラムと一体的にボディ内に移動可能に設けられ移動に伴い弁口を開閉可能な弁体をもつ弁体要素と、
弁体要素の回りに位置するようにボディに保持されたリング形状の第1バネ着座部材と、
弁体要素を支えるように第1バネ着座部材に着座されたバネ部材とを具備するダイヤフラム内蔵遮断弁において、
ダイヤフラム及び第1バネ着座部材のうちの少なくとも一方は、当該一方の上面に存在する液体を当該一方から流下させるように案内する液体案内部を有することを特徴とするものである。
【0010】
本発明に係る遮断弁によれば、通過形態に切り替えられると、弁体が弁口から離間して弁体が開弁するため、蒸気及び液体のうち少なくとも一方が含まれ得る気体がボディの入口ポートを経て気体室に流入し、弁口及び出口ポートを経て遮断弁から排出される。また遮断弁が遮断形態に切り替えられると、弁体が弁口を閉鎖して弁体が閉弁するため、蒸気及び液体のうち少なくとも一方が含まれ得る気体がボディの入口ポートを経て気体室に流入することが阻止される。
【0011】
本発明に係る遮断弁によれば、ダイヤフラム及び第1バネ着座部材のうちの少なくとも一方は、当該一方の上面に存在する液体を当該一方から流下させるように案内する液体案内部を有する。このため水等の液体がダイヤフラムや第1バネ着座部材の上に溜まることが抑制される。
【0012】
(2)本発明に係る燃料電池システムは、燃料ガス及び酸化剤ガスにより発電する燃料電池と、
燃料ガスを燃料電池に供給する燃料ガス供給流路と、
酸化剤ガスを燃料電池に供給する酸化剤ガス供給流路と、
燃料電池の発電後の燃料オフガスを吐出させる燃料オフガス流路と、
燃料電池の発電後の酸化剤オフガスを吐出させる酸化剤オフガス流路とを有する燃料電池システムにおいて、
燃料オフガス流路、燃料ガス供給流路、酸化剤オフガス流路及び酸化剤ガス供給流路のうちの少なくとも一方に接続され、当該一方を流れる水蒸気または水が含まれ得る燃料オフガス、燃料ガス、酸化剤オフガス、酸化剤ガスのいずれかを通過させる通過形態とその通過を遮断させる遮断形態とに切替可能なダイヤフラム内蔵遮断弁が設けられており、
ダイヤフラム内蔵遮断弁は、
蒸気及び水のうち少なくとも一方が含まれ得る燃料オフガス、燃料ガス、酸化剤オフガス、酸化剤ガスが流入可能な気体室と、気体室に連通して前記ガスを気体室に流入させる入口ポートと、気体室に連通して気体室の前記ガスを吐出させる出口ポートと、入口ポートと出口ポートとの間に設けられ気体室に対面する弁口とをもつボディと、
入口ポートに連通する主室と出口ポートに連通する副室とにボディの前記気体室を仕切るように配設され、主室と副室とを連通させる絞り孔をもつダイヤフラムと、
ダイヤフラムと一体的にボディ内に移動可能に設けられ移動に伴い弁口を開閉可能な弁体をもつ弁体要素と、
弁体要素の回りに位置するようにボディに保持されたリング形状の第1バネ着座部材と、
弁体要素を支えるように第1バネ着座部材に着座されたバネ部材とを具備するダイヤフラム内蔵遮断弁において、
ダイヤフラム及び第1バネ着座部材のうちの少なくとも一方は、当該一方の上面に存在する液体を当該一方から流下させるように案内する液体案内部を有することを特徴とするものである。
【0013】
本発明に係る燃料電池システムによれば、遮断弁が通過形態に切り替えられると、遮断弁の弁体が弁口から離間して弁体が開弁するため、燃料オフガス、燃料ガス、酸化剤オフガス、酸化剤ガスのいずれかがボディの入口ポートを経て気体室に流入し、弁口、出口ポートを経て遮断弁から排出される。前記ガスには蒸気または水が含まれ得る。
【0014】
また、遮断弁が遮断形態に切り替えられると、遮断弁の弁体が弁口を閉鎖して弁体が閉弁するため、蒸気及び水のうち少なくとも一方が含まれ得る前記ガスがボディの入口ポートを経て気体室に流入することが阻止される。
【0015】
本発明に係る燃料電池システムによれば、ダイヤフラム及び第1バネ着座部材のうちの少なくとも一方は、当該一方の上面に存在する水を当該一方から流下させるように案内する液体案内部を有する。このため水がダイヤフラムや第1バネ着座部材の上に溜まることが抑制される。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明に係る遮断弁、燃料電池システムによれば、ダイヤフラムは、入口ポートに連通する主室と出口ポートに連通する副室とにボディの気体室を仕切るように配設されており、主室と副室とを連通させる絞り孔をもつ。絞り孔の数は1個でも、複数個でも良い。弁体要素はダイヤフラムと一体的に設けられており、弁口を開閉可能な弁体をもつ。第1バネ着座部材は、弁体要素の回りに配設されるようにリング形状をなしており、ボディに保持されている。バネ部材は、第1バネ着座部材に装備されており、好ましくは、コイルバネ、円錐コイルバネ、板バネ等の公知のバネで形成できる。
【0017】
本発明に係る遮断弁、燃料電池システムによれば、ダイヤフラム及び第1バネ着座部材のうちの少なくとも一方は、当該一方の上面に存在する水等の液体を当該一方から流下させるように案内する液体案内部を有する。このため水等の液体がダイヤフラムや第1バネ着座部材の上に溜まることが抑制される。
【0018】
好ましくは、液体案内部は、ダイヤフラムに設けられており、ダイヤフラムの絞り孔の周辺に形成されている形態を採用できる。この場合、ダイヤフラムの上面に存在する水等の液体は液体案内部により絞り孔に案内され、絞り孔からダイヤフラムの下方に吐出される。好ましくは、液体案内部は、ダイヤフラムを部分的にへこませた案内凹み部で形成されている形態を採用できる。この場合、水等の液体は案内凹み部により絞り孔に案内され、絞り孔からダイヤフラムの下方に良好に吐出される。上記した案内凹み部としては、ダイヤフラムの平面形状が円形状であるときには、ダイヤフラムの中心域に対して同心円状または実質的に同心円状に形成することができる。この場合、ダイヤフラムの同心円的な撓み変形を容易化しやすい利点が得られる。
【0019】
好ましくは、液体案内部は、第1バネ着座部材に設けられており、第1バネ着座部材を厚み方向に貫通する開口で形成されている形態を採用できる。この場合、第1バネ着座部材に溜まった水等の液体は、液体案内部により開口に案内され、開口から第1バネ着座部材の下方に吐出される。好ましくは、第1バネ着座部材は、ボディに係合するリング状の第1係合片と、第1係合片の内方に突出するように第1係合片に一体的に設けられ液体案内部となるリング状をなす第2係合片とを有する形態を採用できる。好ましくは、第2係合片は、仮想水平線に沿うか、あるいは、仮想水平線よりも第2係合片の周端が下側となるよう設定されている形態を採用できる。この場合、第2係合片は、仮想水平線に沿うか、あるいは、仮想水平線よりも第2係合片の周端が下側となるよう設定されているため、第2係合片上の水等の液体を第1バネ着座部材よりも下方に流下させるのに有利となる。
【0020】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図1〜図8を参照して説明する。本実施例に係る燃料電池システムは、図1に示すように、燃料ガス及び酸化剤としての空気により発電する燃料電池10と、燃料供給源11からの燃料ガス(一般的には水素含有ガス)を燃料電池10の燃料ガス吸入口10aに供給する燃料ガス供給流路12と、酸化剤ガスとしての空気(酸素含有ガス)を加湿器14を介して燃料電池10の空気吸入口10eに供給する酸化剤ガス供給流路としての空気供給流路13とを有する。燃料ガス供給流路12には、燃料電池の燃料ガス吸入口10aへの燃料ガスの流れを遮断可能な入口側の第1遮断弁2が設けられている。
【0021】
図1に示すように、燃料電池10のオフガス吐出口10dから空気オフガスを吐出する酸化剤オフガス流路としての空気オフガス流路16が設けられている。燃料電池10のオフガス吐出口10cから、発電後の燃料オフガスが燃料電池10外に吐出する燃料オフガス流路15が設けられている。燃料オフガス流路15には、燃料オフガスの流れを遮断させる出口側の第2遮断弁3が設けられている。燃料オフガス流路15の下流には下流流路17が設けられている。
【0022】
本実施例の特徴は第2遮断弁3の構造にある。第2遮断弁3は、通常時には閉弁されて遮断作用を発揮しており、燃料電池10の非運転時には閉弁し、燃料電池10の運転時には開弁する。第2遮断弁3は、図2に示すように、燃料電池10から吐出された発電後の燃料オフガスが流れる弁口30をもつ筒体31をもつボディ32と、弁口30を開閉可能な弁体要素33と、弁体要素33が弁口30を閉鎖する閉弁方向(下方向、矢印U2方向)に弁体要素33を付勢する付勢手段としての付勢バネ34と、弁体要素33を閉弁方向及び開弁方向に作動させる駆動部35とを備えている。
【0023】
ボディ32は金属または硬質樹脂で形成されており、縦軸形の筒体31をもつ第1ボディ32aと、第1ボディ32aに結合された第2ボディ32bとを有しており、更に、気体としての燃料オフガスが流入可能な気体室37と、燃料オフガスを気体室37に流入させる入口ポート38と、燃料オフガスを吐出させる出口ポート36とを有する。弁口30は縦方向に延びる中心線P1をもち、第1ボディ32aに連接された縦軸形の筒体31の一端(上端)に形成されている。弁体要素33は弁口30と同軸的に設けられており、筒体31の先端部(上端部)に着座可能とされている。筒体31のうち弁口30よりも下流は、下流流路17に連通する出口ポート36とされている。
【0024】
駆動部35は電磁吸引力に基づいて第2遮断弁3の開弁力を発生させるものであり、励磁電流が通電可能な巻線で形成されたソレノイド部40と、ソレノイド部40により包囲されソレノイド部40により励磁される固定鉄心41と、固定鉄心41に対して接近(矢印U1方向)または離間(矢印U2方向)するように弁口30の中心線P1に沿って移動する可動鉄心42とをもつ。可動鉄心42の一端部である下端部42dには、副弁体59が固定されている。副弁体59は弁口30に対向する位置に設けられており、ゴムや軟質樹脂等の弾性材料または金属で形成されている。副弁体59は弁口30の中心線P1に沿って移動可能とされている。
【0025】
ソレノイド部40に励磁電流が通電されて、固定鉄心41が励磁されると、可動鉄心42が一方向(矢印U1方向)に固定鉄心41に向けて移動する。ソレノイド部40に励磁電流が断電されて、固定鉄心41が消磁されると、可動鉄心42が他方向(矢印U2方向)に移動し、固定鉄心41から離間する。
【0026】
付勢手段としての付勢バネ34は、可動鉄心42の周囲を包囲するコイルバネ形状をなしており、可動鉄心42の外径方向に突出した突出座部42aと、第2遮断弁3のボディ32にシール部材46を介して固定された固定プレート44との間に介装されている。固定プレート44は、ソレノイド部40を保持する保持部40kによりボディ32に固定されており、付勢バネ34の保持性が確保されている。付勢バネ34は、通常の状態では、突出座部42aを介して可動鉄心42を他方向(下方向、矢印U2方向)に付勢している。つまり付勢バネ34は、副弁体59が副弁口58を閉鎖する方向(閉弁方向)に弁体要素33を付勢し、これにより弁体要素33が弁口30を閉鎖する方向(閉弁方向)に弁体要素33を付勢している。
【0027】
図3に示すように、ボディ32の第2ボディ32bから環状の延設部32eが形成されており、延設部32eに案内孔32fが形成されている。第2遮断弁3の弁体要素33は、案内孔32f内において弁口30の中心線P1に沿って移動可能に設けられている。この弁体要素33は、副弁体59に対面するように副弁体59の下方に配置された金属製の筒形状をなす弁体補助部材50と、弁体補助部材50の軸長方向の中間域に保持され円盤状をなす弁体51と、中心線P1の回りに配置されゴム等の弾性材料で形成された変形可能な膜状のダイヤフラム52と、中心線P1の回りに配置されリング形状をなすと共に弁体要素33に保持された金属製の第2バネ着座部材53と、中心線P1の回りに配置されリング形状をなすと共にボディ32に保持された第1バネ着座部材54と、第2バネ着座部材53と第1バネ着座部材54とに着座して保持され中心線P1の回りに配置され付勢手段としてのバネ部材55とを有する。バネ部材55は下部に向かうにつれて径大となる円錐コイル形状をなすが、これに限らず、円筒コイル形状でも、つつみ型コイル形状でも良い。
【0028】
弁体51は、弁体補助部材50の外周面50oよりも外径方向に延設されており、ゴムや軟質樹脂等の弾性材料を基材として形成されている。第1バネ着座部材54は金属または硬質樹脂で形成されており、第2ボディ32bの段部32xに着座されて固定されている。このように第1バネ着座部材54は第2ボディ32bに固定されているため、バネ部材55は第2バネ着座部材53を矢印U1方向に付勢して第2バネ着座部材53を持ち上げて支えており、これにより弁体要素33を支えて、弁体要素33の姿勢ひいては弁体51の姿勢を安定化させている。この結果、バネ部材55は下記の差圧ΔPが小さなときであっても、弁体51の開弁動作を高める機能を奏する。なおバネ部材55の付勢力は、付勢バネ34の付勢力よりも小さく設定されている。
【0029】
弁体要素33の弁体補助部材50には、前記した中心線P1方向(縦方向)に沿って延びる副弁口58が形成されている。副弁口58は、弁口30の開口面積よりも小さな開口面積を有する。
【0030】
弁体要素33の弁体補助部材50の他端部である下端部に形成された雄ねじ部50cに、金属製のワッシャ部材57を介してナット56(締結手段)の雌ねじ部56cを螺合し、これにより弁体補助部材50の段部50xに第2バネ着座部材53、ダイヤフラム52が係合した状態で同軸的に一体的に連結され、弁体要素33を形成している。このとき、第2バネ着座部材53、第1バネ着座部材54、ダイヤフラム52は、前記した中心線P1に対して同軸的配置とされている。この状態では、弁体補助部材50、第2バネ着座部材53、弁体51、ダイヤフラム52は一体的に動作できる。
【0031】
本実施例によれば、図3に示すように、弁体51の外径は、筒体31の外径とほぼ対応しており、且つ、弁口30の内径よりも大きく設定されている。弁体51は、弁口30の中心線P1に沿って移動して弁口30を閉鎖可能とされている。弁体51はゴムや軟質樹脂等の弾性材料を基材とするため、弾性変形するものであり、弁口30を良好にシールできる。
【0032】
ダイヤフラム52は、ボディ32内の気体室37を主室61と副室62とに仕切るように配設されている。ダイヤフラム52の厚肉リング状の外周部52dは、弁体51の外周よりも外方に延設されており、図3に示すように、第1ボディ32aと第2ボディ32bとで挟持固定されている。主室61は、燃料電池10のオフガス吐出口10cに連通する燃料オフガス流路15の上流流路15uに連通する。副室62は、副弁口58及び出口ポート36を介して下流流路17に連通する。
【0033】
ダイヤフラム52は、主室61及び副室62を連通させるように厚み方向に貫通する単数または複数個の径小の絞り孔52cをもつ。絞り孔52cは、主室61及び副室62間で差圧を発生させる。従って絞り孔52cの前後で、つまり主室61及び副室62で差圧ΔPを形成可能である。副弁口58の入口58aは副室62に連通可能である。副弁口58の出口58cは出口ポート36に対面する。この結果、副弁口58は副室62の室部分及び下流流路17に連通可能である。
【0034】
前記した副弁体59は、弁体要素33の副弁口58の入口58aを開閉可能とされている。図3に示すように、副弁体59は副弁口58を閉鎖するときには、副弁体59は、中心線P1方向に沿って移動して副弁口58の入口58aに着座する。第2遮断弁3のボディ32には、弁口30の上流から弁口30に向けて案内する水案内面65が形成されている。水案内面65は弁口30の周辺部30wに向けて上昇傾斜する面とされている。
【0035】
図3は第2遮断弁3の弁体要素33が弁口30を閉鎖している状況を示す。図3に示すように、弁体要素33が閉弁して弁口30を閉鎖しているときには、副弁体59が閉弁して副弁口58を閉鎖している。燃料電池10が運転されないときには、ソレノイド部40には励磁電流が通電されず、付勢バネ34の付勢力により可動鉄心42は他方向(下方向,矢印U2方向)に移動しているため、副弁体59が副弁口58を閉鎖しており、ひいては弁体要素33が閉弁して弁口30が閉鎖される。このように副弁口58及び弁口30が閉鎖されているときには、主室61及び副室62はダイヤフラム52の絞り孔52cを介して連通しているため、主室61の圧力をPAとし、副室62の圧力をPBとすると、圧力PAと圧力PBとはほぼ等圧とされる。なお、副弁口58及び弁口30が閉鎖されているとき、弁口30の下流の圧力つまり筒体31内の圧力をPCとすると、PA,PB>PCとされている。
【0036】
燃料電池10が運転されるときには、図略の制御装置により第1遮断弁2及び第2遮断弁3が開放される。第2遮断弁3を開放させるために、制御装置により第2遮断弁3の駆動部35のソレノイド部40に励磁電流が通電される。すると、第2遮断弁3の固定鉄心41が励磁され、付勢バネ34の付勢力に抗しつつ、可動鉄心42が突出座部42a及び副弁体59と共に一方向(上方向、矢印U1方向)に電磁吸引力により移動し、図4に示すように、副弁体59が開弁して副弁口58の入口58aが開放される。この場合には、ソレノイド部40の励磁に基づいて可動鉄心42と共に副弁体59が開放する開弁力をFUとすると、開弁力FUは付勢バネ34の付勢力FFよりも大きく設定されている(FU>FF)。
【0037】
上記したように図4に示すごとく弁体要素33が開弁して副弁口58が開放されると、副室62に貯留されていた気体としての燃料オフガスは、弁体要素33の副弁口58から矢印C1方向(図4参照)に流れ、副弁口58及び出口ポート36を経て下流側に吐出される。この場合、副弁体59が開弁して副弁口58から離間しているため、弁体要素33は開弁方向(上方向、矢印U1方向)に移動可能となる。
【0038】
上記したように副室62内の気体としての燃料オフガスが副弁口58から矢印C1方向(図4参照)に流れると、第2遮断弁3の副室62の圧力PBが低下し、絞り孔52cの絞り作用により、主室61の圧力PAと副室62の圧力PBとの差圧ΔP(ΔP=圧力PA−圧力PB)が増大する。これにより差圧ΔPを減少させる方向に、つまり、副室62の容積を小さくさせると共に主室61の容積を増加させるように、ダイヤフラム52が一方向(上方向,矢印U1方向)に撓み変形する。ダイヤフラム52は弁体51の外径よりも径大であり、ダイヤフラム52の受圧面積が大きいため、ダイヤフラム52を変形させる力が確保され、ダイヤフラム52を良好に変形させることができる。
【0039】
この結果、図5に示すように、ダイヤフラム52と一体的な弁体51が一方向(上方向、矢印U1方向)に移動して弁口30から離れ、弁口30を開放させる。このように第2遮断弁3の弁口30が開放されると、燃料電池10のオフガス吐出口10cから吐出された燃料オフガスは、燃料オフガス流路15の上流流路15uを経て、第2遮断弁3の弁口30から矢印E1方向(図5参照)に出口ポート36を経て下流流路17の側に流入し、燃料電池10のオフガス吐出口10cから吐出された燃料オフガス(蒸気または水を含み得る)を下流流路17を介して流すことができる。
【0040】
車載用の燃料電池10等のように、燃料電池10の発電出力を高めるときには、大流量の燃料ガスを燃料電池10に供給するものである。この場合、大流量の燃料オフガスが燃料電池10のオフガス吐出口10cから吐出される。この点本実施例によれば、弁口30が開放されたときには、燃料オフガスは弁口30の外周の全周から下流流路17の側に流入することができるため、大流量の燃料オフガスを弁口30から排出させることができる利点が得られる。しかも燃料オフガスの大流量の排出性を確保できるものの、弁体51が一方向(上方向、矢印U1方向)に移動するストロークは小さくて済む。よって駆動部35による可動鉄心42の移動ストロークを短くでき、第2遮断弁3の小型化に貢献できる。
【0041】
燃料電池10の運転が長時間にわたり継続すると、弁口30の上流において筒体31付近の部位31rに水が過剰に貯まることがある。このように水が溜まると、燃料オフガスが流れる流路断面積が小さくなるおそれがある。これを避けるため本実施例によれば図2〜図5に示すように、弁口30の上流から弁口30の近傍に向けて水を案内する水案内面65がボディ32に形成されている。よって、弁口30の上流において水が仮に溜まったとしても、その水は燃料オフガスのガス圧によって水案内面65に沿って矢印W1方向に昇ることができ、弁口30に隣設する部位30wに到達することができる。このため弁口30が開放しているとき、燃料オフガスに含まれている水を部位30wに溜め、燃料オフガスと共に弁口30から出口ポート36の側に吐出させることができる。
【0042】
また本実施例によれば、閉弁方向に弁体要素33を付勢する付勢バネ34により第2遮断弁3は逆止性を発揮することができる。従って、燃料電池10の運転が停止し、燃料電池10内に残留した酸素及び燃料ガスが発電によって消費され、燃料電池10内の圧力が第2遮断弁3の下流の圧力よりも低下するような場合であっても、弁体要素33が閉弁状態に維持され、このため弁体要素33が開弁して弁口51が開放し発電が進んでしまうことを未然に防止できる。
【0043】
さて本実施例の要部構成について説明を加える。前述したように、燃料電池10から排出された燃料オフガスには蒸気や水を含むことが多い。このため燃料オフガスが通過する遮断弁3のボディ32の気体室37に水が存在することがある。また、燃料オフガスは発電反応で熱をもつ燃料電池10の内部を経ており暖かいため、燃料電池10の運転停止後であっても、遮断弁3のボディ32の気体室37に冷却に伴い結露水が気体室30内で発生することがある。このような事情から図6に示すようにダイヤフラム52の上面52uや第1バネ着座部材54の上面54uに水が溜まることがある。この場合、ダイヤフラム52に重量が負荷されたり、ダイヤフラム52の上面52uに塵埃等が付着し易くなるおそれがあり、ダイヤフラム52の作動性は確保されるものの、ダイヤフラム52の円滑な作動性が充分に得られないおそれがある。また、水の影響で第1バネ着座部材54の上面54uに塵埃等が付着し易くなり、バネ部材55の円滑な作動性が充分に得られないおそれがある。更に第1バネ着座部材54が金属製である場合には、第1バネ着座部材54が腐食するおそれもある。
【0044】
これらを避けるため本実施例によれば、図6、図7に示すように、ダイヤフラム52の上面52uに存在する水をダイヤフラム52よりも下方に流下させるように液体案内部としての案内凹み部100が絞り孔52cの周辺に形成されている。案内凹み部100は、ダイヤフラム52の絞り孔52cの周辺を部分的に下方に向けて凹ませて形成されており、図7(a)に示すように、中心線P1を包囲するリング溝形状をなしている。このためダイヤフラム52の上面52uに水がたまったときであっても、その水はダイヤフラム52の案内凹み部100を経て絞り孔52cに案内され易くなり、ひいては絞り孔52cからダイヤフラム52の下方に落下し易くなる。更に絞り孔52cはダイヤフラム52を部分的に下方に向けて凹ませて形成された案内凹み部100の底域に形成されているため、主室61の水蒸気が絞り孔52cを介して副室62に進入することを抑制するのに有利である。
【0045】
殊に、ダイヤフラム52が主室61と副室62との差圧により撓み変形するとき、撓み変形に伴いダイヤフラム52の上面52uの水は移動する頻度が確保されるため、案内凹み部100を経て絞り孔52cに到達して落下する頻度が増加する。また本実施例に係る遮断弁3が自動車等の車両、船舶、飛行機に代表される移動体に搭載されている場合には、移動体の移動に伴う慣性力、振動、傾斜を伴った停止等の影響で水がダイヤフラム52の上面52uにおいて移動する頻度が確保され、案内凹み部100を経て絞り孔52cに到達して落下する頻度が増加する。
【0046】
このため本実施例によれば、ダイヤフラム52の上面52uに残留した水が負荷として作用することを抑制でき、ダイヤフラム52の円滑な作動性が確保される。更にも寒冷地等であっても、ダイヤフラム52の上面52uに残留した水が凍結するおそれも回避または低減させることができる。更に図7(a)に示すように案内凹み部100は中心線P1を同心円的に包囲するリング形状をなしているため、ダイヤフラム52の同心円的な撓み変形性を向上させ得、ダイヤフラム32の撓み変形性を円滑にできる付随的効果も得られる。更に案内凹み部100に相当する分、ダイヤフラム52の撓み量自体も増加させることができる付随的効果も得られる。なお、必要に応じて、図7(b)に示すように、ダイヤフラム52の案内凹み部100において、これの周方向(M1方向)に沿って延設され水を絞り孔52cに向けて案内させるように傾斜した流下傾斜部102を流下案内部の一部としてを設けることもできる。
【0047】
また、図6に示すように、第1バネ着座部材54は、ボディ32の段部32xに係合するリング状の第1係合片54fと、第1係合片54fの内方に突出するように第1係合片54fに一体的に設けられたリング状をなす第2係合片54sとを有する。そして図8に示すように、第1バネ着座部材54には、第1バネ着座部材54を厚み方向に貫通する開口150が液体案内部として周方向(矢印M2方向)に間隔を隔てて形成されている。開口150は気体室37に対面しており、上下方向及び内周側に開放されている。このように開口150が第1バネ着座部材54に形成されているため、第1バネ着座部材54の上面54uに存在する水は、開口150から下方に排出され易くなる。殊に、遮断弁3が自動車等の車両、船舶、飛行機に代表される移動体に搭載されている場合には、移動体の移動に伴う慣性力、振動、傾斜を伴った停止等によって、水が第1バネ着座部材54の上面54uにおいて移動する頻度が確保されるため、開口150に到達して落下する頻度が増加する。この結果、第1バネ着座部材54の上面54uに水が残留することが回避または低減される。このため使用が長期にわたっても、第1バネ着座部材54に塵埃等が付着するおそれを抑制でき、バネ部材55の円滑な作動性を確保できる。第1バネ着座部材54が金属製である場合でも、これの腐食も抑えることができる。上記したように第1バネ着座部材54の上面54uに水が残留することが抑制されるため、寒冷地等であっても、第1バネ着座部材54に残留した水が凍結するおそれも回避または低減させることができる。なお、必要に応じて、図8(b)に示すように、第1バネ着座部材54の周方向(M2方向)に沿って延設され水を開口150に向けて案内させるように傾斜した流下傾斜部152を液体案内部の一部として設けることもできる。
【0048】
(第2実施例)
図9は第2実施例を示す。第2実施例は前記した実施例と基本的には同様の構成であり、基本的には同様の作用効果を奏する。図9に示すように、第1バネ着座部材54Bには、第1バネ着座部材54Bを厚み方向に貫通する貫通孔状の開口150Bが液体案内部として間隔を隔てて形成されている。このため第1バネ着座部材54Bの上面54uに存在する水は、開口150Bから下方に排出され易くなり、第1バネ着座部材54Bの上面54uに水が残留することが回避または低減される。このため第1バネ着座部材54Bが金属製である場合、これの腐食を抑えることができる。更に寒冷地等であっても、第1バネ着座部材54Bに残留した水が凍結するおそれも回避または低減させることができる。なお、必要に応じて、図9(b)に示すように、第1バネ着座部材54Bの周方向(M2方向)に沿って延設され水を開口150Bに向けて案内させるように傾斜した流下傾斜部152を液体案内部の一部として設けることもできる。
【0049】
(第3実施例)
図10は第3実施例を示す。第3実施例は前記した実施例と基本的には同様の構成であり、基本的には同様の作用効果を奏する。図10に示すように、第1バネ着座部材54Cは、ボディ32の段部32xに係合するリング状の第1係合片54fと、第1係合片54fの内方(矢印N1方向)に突出して気体室37の副室62に対面するように第1係合片54fに一体的に設けられたリング状をなす第2係合片54s1とを有する。第2係合片54s1は、仮想水平線N2(中心線P1に対する軸直角方向)に沿うか、あるいは、仮想水平線N2よりも第2係合片54s1の周端54pが下側となるよう設定されており、液体案内部を形成している。このため第1バネ着座部材54Cの上面54uに存在する水は第2係合片54s1から流下して下方に排出され易くなる。殊に本実施例に係る遮断弁3が車両等の移動体に搭載されているときには、移動体の移動に伴なう慣性力、振動、傾斜を伴い停止等の影響で、第1バネ着座部材54Cの上面54uに存在する水は第2係合片54s1から流下し、ダイヤフラム52の案内凹み部100を経て絞り孔52cから落下する頻度が増加する。
【0050】
この結果、第1バネ着座部材54Cの上面54uに水が残留することが回避または低減される。このため第1バネ着座部材54Cに塵埃等が付着するおそれを抑制でき、バネ部材55の円滑な作動性を確保でき、第1バネ着座部材54Cが金属製である場合、これの腐食も抑えることができる。更に寒冷地等であっても、第1バネ着座部材54Cに残留した水が凍結するおそれも回避または低減させることができる。液体案内部としての第2係合片54sは、第1バネ着座部材54Cの周方向に沿って連続して延設されている。なお図11に示す第4実施例に係る第1バネ着座部材54Dのように、液体案内部としての第2係合片54sを周方向(矢印M3方向)において間隔を隔てて複数個形成しても良い。
【0051】
(第5実施例)
図12は第5実施例を示す。本実施例は、気体としての燃料ガスを燃料電池10に供給する入口側の第1遮断弁2に適用したものである。図12は、燃料ガスを燃料電池10に供給する入口側の第1遮断弁2の内部構造を示す。入口側の第1遮断弁2は、出口側の第2遮断弁3と基本的には同様の構成であり、基本的には同様の作用効果を奏するため、共通する部位には共通の符号を付して説明を省略する。以下、異なる部分を中心として説明する。図12に示すように、入口側の第1遮断弁2は、ボディ32と、弁体補助部材50に保持され円盤状をなす弁体51と、ゴム等の弾性材料で形成された変形可能な膜状のダイヤフラム52と、ボディ32に保持されたリング形状をなす第1バネ着座部材54と、リング形状をなす第2バネ着座部材53と、第1バネ着座部材54と第2バネ着座部材53とに着座して保持されたバネ部材55とを有する。
【0052】
本実施例によれば、図12に示すように、入口側の第1遮断弁2のボディ32は、燃料供給源11側の燃料ガス供給流路12を構成する配管90が接続される入口開口32mと、燃料電池10の燃料ガス吸入口10a側の配管91が接続される出口開口32nとを有する。燃料ガス吸入口10a側の配管91には圧力センサ94が装備されている。
【0053】
入口側の第1遮断弁2の逆止構造について説明する。図12に示すように、逆止構造は、入口側の第1遮断弁2のボディ32に燃料ガス供給流路12及び弁口30に連通するように形成された弁口71aをもつリング状の弁座71と、弁口71aを開閉可能に閉鎖する逆止弁体72と、逆止弁体72をこれの閉弁方向(矢印X2方向)に付勢して逆止弁体72を弁座71に圧着させて閉弁させる付勢力を発揮する逆止バネ74とを有する。弁口71aの中心線P2に沿った断面(図12参照)において、弁口71aの中心線P2は、弁口30の中心線P1と交差する方向、殊に直交する方向とされている。逆止弁体72は、ゴムや樹脂などの弾性材料で形成されており、逆止弁体72の背面側に着座板73を有する。更に図12に示すように、着座部材80は、軸孔80pをもつボス部81と、ボス部81の外周側において厚み方向に貫通する複数個のガス透過口82とを有する。着座部材80は保持軸85の外周側に位置している。そして、保持軸85の先端部の雄ねじ部にナット部材87(締結部材)の雌ねじ部を螺着させることにより、逆止弁体72及び着座部材80は保持軸85の外周に一体的に保持されている。逆止弁体72、逆止バネ74、着座部材80及び保持軸85は、逆止弁構造を構成している。
【0054】
本実施例によれば、遮断弁2の開放時には、第1実施例の場合と同様に駆動部35の駆動に伴い弁体51が開弁し、弁口30が開放する。すると、燃料ガス供給流路12から供給される燃料ガスの圧力に逆止弁体72が矢印X1方向に押されて、弁口71aが開放される。このとき着座部材80をボディ32に固定させたまま、逆止弁体72は保持軸85と共に開弁方向(矢印X1方向)に後退する。
【0055】
ところで、燃料ガス供給流路12から供給される燃料ガスの圧力が事情により設定圧よりも低下することがある。この点本実施例によれば、燃料ガス供給流路12から供給される燃料ガスの圧力が設定圧よりも低下したとき、逆止バネ74の付勢力により逆止弁体72を第2弁座71に圧着させて自動的に且つ強制的に閉弁させる(図12参照)。このため燃料ガスの圧力が設定圧よりも低下したときであっても、燃料電池10の内部の燃料ガスが燃料ガス吸入口10aから逆流することが抑えられる。
【0056】
さて本実施例においても、第1実施例に係る図6〜図11を準用することができ、図6〜図11を用いて説明した作用効果が得られる。図6〜図11において説明すると、ダイヤフラム52の上面52uに水がたまったときであっても、その水はダイヤフラム52の案内凹み部100を経て絞り孔52cに案内され易くなり、ひいては絞り孔52cからダイヤフラム52の下方に落下する。このためダイヤフラム52の上面52uに水等が残留することが抑制され、ダイヤフラム52の円滑な作動性が確保される。更にも寒冷地等であっても、ダイヤフラム52の上面52uに残留した水が凍結するおそれも回避または低減させることができる。更に案内凹み部100は中心線P1を包囲するリング形状をなしているため、ダイヤフラム52の同心円的な撓み変形性を向上させ得る付随的効果も得られる。更にダイヤフラム52の撓み量自体も増加させることができる付随的効果も得られる。
【0057】
また、図8に示すように、第1バネ着座部材54には、第1バネ着座部材54を厚み方向に貫通する開口150が液体案内部として形成されている。開口150は上下方向及び内周側に開放されている。このように開口150が第1バネ着座部材54に形成されているため、第1バネ着座部材54の上面54uに存在する水は開口150から下方に排出され易くなり、第1バネ着座部材54の上面54uに水が残留することが回避または低減される。このため第1バネ着座部材54の腐食を抑えることができる。更に寒冷地等であっても、第1バネ着座部材54に残留した水が凍結するおそれも回避または低減させることができる。
【0058】
(第5実施例)
図13は第6実施例を示す。本実施例は燃料電池10の出口側の第2遮断弁3に適用したものである。第3実施例は前記した第1実施例と基本的には同様の構成であり、基本的には同様の作用効果を奏する。以下、第1実施例と異なる部分を中心として説明する。図13は弁口30が開放している状態を示す。図13に示すように、弁口30は気体室37の底面37sに形成されている。弁口30から水の排出性を確保するためである。このように弁口30が気体室37の底面37sに形成されているため、駆動部35と弁口30との距離が大きくなる。そこで本実施例によれば、図13に示すように、弁体51に繋がる弁体補助部材50は、軸長が長くされ、弁口30付近まで到達している。即ち、弁体補助部材50は、中心線P1に沿って直状に延びる副弁口58をもつ中空筒形状をなす金属製または硬質樹脂製の第1弁体補助部材510と、第1弁体補助部材510の外周を包囲するように第1弁体補助部材510に同軸的に嵌合された中空筒形状をなす第2弁体補助部材520とをもつ。第2弁体補助部材520は、筒部521と、筒部521から径外方向に延設されたリング状の第1フランジ部522と、筒部521から径外方向に延設されたリング状の第2フランジ部523とをもつ。第1フランジ部522は、鍔状で広面積化しているため、膜状で広面積のダイヤフラム52の中央域を良好に保持できる。第2フランジ部523は、鍔状で広面積化しているため、広面積の弁体51を安定的に保持でき、弁体51による弁口30のシール性を向上させ得る。このように本実施例に係る弁体補助部材50によれば、筒部521の外径を抑えつつ、第1フランジ部522及び第2フランジ部523の外径を大きくしているため、弁体補助部材50の軽量化、応答性の向上を図りつつ、ダイヤフラム52及び弁体51の保持性を向上させることができる。更に図13に示すように変位規制部材80がボディ32に設けられている。変位規制部材80は、弁体補助部材50の下端部511を案内するリング形状の案内部82を有する。このため弁体51の開弁時及び閉弁時に、弁体補助部材50の下端部511が弁口30の径方向(矢印D方向)に変位することを抑制することができる。この結果、弁体51の閉弁時における位置ずれが抑制され、弁体51が弁口30を閉鎖する際のシール性を一層良好になし得る。
【0059】
更に弁口30は、弁口30を包囲するリング形状の隆起部32yを介して底面37sよりも微量量隆起している。このため、万一、弁口30の周囲に存在する微小量の水が凍結するようなときであっても、水の凍結に起因して弁体51が底面37sに付着されることが抑制され、弁体51の作動性を良好に確保することができる。本実施例においても、前記した図6〜図11を準用することができ、図6〜図11を用いて説明した作用効果が得られ、ダイヤフラム52及び第1バネ着座部材54に水が残留することを抑制することができる。
【0060】
(その他)
上記した第1実施例によれば、第2遮断弁3は、燃料電池10の燃料オフガス流路15に設けられているが、これに限らず、燃料電池10から吐出される酸化剤オフガスとしての空気オフガスを通過させる空気オフガス流路16に設けても良い。あるいは、酸化剤ガスとしての空気を燃料電池10に供給する空気供給流路13に設けても良い。更には燃料電池システムに限らず、水等の液体や蒸気と共に気体が流れる他の機器システム(水蒸気システム等)に使用しても良い。
【0061】
上記した第1実施例においては、弁体51は、ゴムや軟質樹脂等の弾性材料を基材として形成されているが、金属で形成されていても良い。付勢バネ34、バネ部材55は場合によっては板バネ、皿バネ等の公知のバネとしても良い。上記した第1実施例においては、電磁吸引力により可動鉄心42ひいては弁体51を開弁動作させることにしているが、これに限らず、電磁反発力により可動鉄心42ひいては弁体51を開弁動作させることにしても良い。燃料電池システムで用いる燃料電池10は車両等の移動体搭載用でも、定置用でも良い。その他、本発明は上記した実施例のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できるものである。発明の実施の形態、実施例に記載の語句は一部であっても、請求項に記載できるものである。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係るダイヤフラム内蔵式遮断弁、本発明に係る燃料電池システムによれば、ダイヤフラム及び第1バネ着座部材のうちの少なくとも一方は、当該一方の上面に存在する水等の液体を当該一方から流下させるように案内する液体案内部を有する。このため水等の液体がダイヤフラムの上面や第1バネ着座部材の上面に溜まることが抑制され、ひいては水等の液体に起因する塵埃等の付着、腐食、劣化等も抑制される。従って、ダイヤフラムの作動性、第1バネ着座部材に着座しているバネ部材の作動性を良好に確保することができる。仮に、寒冷地等で使用したとしても、水等の液体がダイヤフラムや第1バネ着座部材上で凍結することを低減または回避できるため、ダイヤフラムの作動性、第1バネ着座部材に着座しているバネ部材の円滑な作動性を確保するのに有利となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】燃料電池システムを示す全体図である。
【図2】燃料電池システムに使用されている出口側の第2遮断弁が閉弁している状態の概念を模式的に示す全体の断面図である。
【図3】燃料電池システムに使用されている出口側の第2遮断弁が閉弁している状態の概念を模式的に示す要部の断面図である。
【図4】燃料電池システムに使用されている出口側の第2遮断弁の弁口が閉弁していると共に、副弁口が開弁している状態の概念を模式的に示す要部の断面図である。
【図5】燃料電池システムに使用されている出口側の第2遮断弁の弁口が開弁していると共に、副弁口が開弁している状態の概念を模式的に示す要部の断面図である。
【図6】ダイヤフラム及び第1バネ着座部材付近の要部の概念を示す拡大断面図である。
【図7】(a)はダイヤフラムの平面図であり、(b)はダイヤフラムの周方向に沿って切断した部分断面図である。
【図8】(a)は第1バネ着座部材の平面図であり、(b)は第1バネ着座部材の周方向に沿って切断した部分断面図である。
【図9】第2実施例に係り、(a)は第1バネ着座部材の平面図であり、(b)は第1バネ着座部材の周方向に沿って切断した部分断面図である。
【図10】第3実施例に係り、ダイヤフラム及び第1バネ着座部材付近の要部の概念を示す拡大断面図である。
【図11】第4実施例に係り、第1バネ着座部材の平面図である。
【図12】第5実施例に係り、燃料電池システムに使用されている入口側の第1遮断弁が閉弁している状態の要部の概念を示す断面図である。
【図13】第6実施例に係り、燃料電池システムに使用されている出口側の第2遮断弁が開弁している状態を示す要部の概念を示す断面図である。
【符号の説明】
図中、10は燃料電池、12は燃料ガス供給流路、13は空気供給流路(酸化剤ガス供給流路)、15は燃料オフガス流路、16は空気オフガス流路(酸化剤オフガス流路)、2は第1遮断弁、3は第2遮断弁、15は燃料オフガス流路、17は下流流路、30は弁口、33は弁体要素、34は付勢バネ、35は駆動部、36は出口ポート、37は気体室、38は入口ポート、40はソレノイド部、41は固定鉄心、42は可動鉄心、52はダイヤフラム、52cは絞り孔、53は第2バネ着座部材、54は第1バネ着座部材、54fは第1係合片、54sは第2係合片、54pは周端、55はバネ部材、58は副弁口、59は副弁体、61は主室、62は副室、100は案内凹み部(液体案内部)、150は開口(液体案内部)を示す。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイヤフラム内蔵遮断弁、ダイヤフラム内蔵遮断弁を備えた燃料電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ダイヤフラム内蔵遮断弁として、特許文献1には、入口ポート及び出口ポートをもつボディと、ボディ内において入口ポートと出口ポートとの間に昇降可能に設けられ弁口をもつ円筒形状の弁座金具と、弁口の周縁に上方から宛われて弁口を開閉する弁体と、弁体に一体的に設けられたダイヤフラムと、弁体及びダイヤフラムを保持する作動軸と、弁体が弁口を閉鎖する方向に弁体を付勢する付勢バネとを備えているものが開示されている。
【0003】
このものによれば、閉弁時には、付勢バネの付勢力により、弁体が弁口を閉鎖する方向に付勢されている。そして、ボディの入口ポートの気体の圧力がある程度上昇すると、入口ポートの気体の圧力により付勢バネの付勢力に抗してダイヤフラムが弁体と共に上方に張り出し変形する。この結果、弁口をもつ弁座金具がボディの底面から上方に突き出るように上昇する。このとき弁体により弁口は閉鎖されている。入口ポートの気体の圧力が更に上昇すると、ストッパにより弁座金具の上昇は停止されるものの、入口ポートの気体の圧力によりダイヤフラムが弁体と共に更に上方に張り出し変形する。この結果、弁座金具の弁口から弁体を離間させ、弁体を開弁させる。また、入口ポートの気体の圧力が低下すると、付勢バネの付勢力によりダイヤフラムが弁体と共に下方に変形し、弁座金具の弁口の周縁に弁体を当接させ、弁体を閉弁させる。
【0004】
また別のダイヤフラム内蔵遮断弁として、特許文献2には、燃料タンクの蒸発燃料が滞留する通路に繋がる入口ポート及びキャニスタに繋がる出口ポートをもつボディと、ボディ内において入口ポートと出口ポートとの間に設けられ弁口と、入口ポートを開閉する蓋状の弁板と、弁板と一体的に接合された膜状のダイヤフラムと、弁板が弁口を閉鎖する方向に弁板を付勢する付勢バネとを備えているものが開示されている。ダイヤフラムには、蒸発燃料の透過を抑える蛇腹状のバリヤ樹脂層が一体的に設けられている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−173819号公報
【特許文献2】特開2001−214818号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記した公報に係るダイヤフラム内蔵遮断弁によれば、結露等の影響で水がダイヤフラムの上面に溜まることがある。このようにダイヤフラムの上面に水が溜まることは、ダイヤフラムの作動に対して負荷となり、ダイヤフラムの円滑な作動性に影響を与える。更に水の影響でダイヤフラムに塵埃等が付着し易くなるおそれがある。
【0007】
殊に、燃料電池の場合には、発電反応により水が生成されるため、燃料電池から排出される酸化剤オフガス、燃料オフガスは、蒸気または水を含むことが多い。また、燃料電池システムでは、燃料電池の電解質膜が過剰に乾燥していると、高い発電性能が得られにくくなるため、燃料電池に供給される酸化剤ガス、燃料ガスを加湿させることがある。このため、燃料電池に供給される酸化剤ガス及び燃料ガス、更には、燃料電池から排出される酸化剤オフガス及び燃料オフガスは、蒸蒸気または水を含むことが多い。故に燃料電池システムに装備される遮断弁の内部には、水が溜まり易い。従って、遮断弁のボティ内に設けられているダイヤフラムの上面に水が溜まり易い。この場合、ダイヤフラムの作動に対して負荷となり、ダイヤフラムの円滑な作動性に影響を与える。更に水の影響でダイヤフラムに塵埃等が付着し易くなるおそれがある。バネ着座部材が設けられている場合においても同様に、水の影響でバネ着座部材に塵埃等が付着し易くなるおそれがある。バネ着座部材が金属製であるときには、腐食が誘発される問題もある。
【0008】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、水等の液体がダイヤフラムや第1バネ着座部材に溜まることを抑制することができ、水等の液体に起因する塵埃付着、腐食といった不具合を抑制でき、更には水等の液体の凍結も抑制できる遮断弁及び燃料電池システムを提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
(1)第1発明に係るダイヤフラム内蔵遮断弁(以下、単に遮断弁ともいう)は、蒸気及び液体のうち少なくとも一方が含まれ得る気体を通過させる通過形態とその通過を遮断させる遮断形態とに切替可能なダイヤフラム内蔵遮断弁であって、
蒸気及び液体のうち少なくとも一方が含まれ得る気体が流入可能な気体室と、気体室に連通して気体を気体室に流入させる入口ポートと、気体室に連通して気体室の気体を吐出させる出口ポートと、入口ポートと出口ポートとの間に設けられ気体室に対面する弁口とをもつボディと、
入口ポートに連通する主室と出口ポートに連通する副室とにボディの気体室を仕切るように配設され、主室と副室とを連通させる絞り孔をもつダイヤフラムと、
ダイヤフラムと一体的にボディ内に移動可能に設けられ移動に伴い弁口を開閉可能な弁体をもつ弁体要素と、
弁体要素の回りに位置するようにボディに保持されたリング形状の第1バネ着座部材と、
弁体要素を支えるように第1バネ着座部材に着座されたバネ部材とを具備するダイヤフラム内蔵遮断弁において、
ダイヤフラム及び第1バネ着座部材のうちの少なくとも一方は、当該一方の上面に存在する液体を当該一方から流下させるように案内する液体案内部を有することを特徴とするものである。
【0010】
本発明に係る遮断弁によれば、通過形態に切り替えられると、弁体が弁口から離間して弁体が開弁するため、蒸気及び液体のうち少なくとも一方が含まれ得る気体がボディの入口ポートを経て気体室に流入し、弁口及び出口ポートを経て遮断弁から排出される。また遮断弁が遮断形態に切り替えられると、弁体が弁口を閉鎖して弁体が閉弁するため、蒸気及び液体のうち少なくとも一方が含まれ得る気体がボディの入口ポートを経て気体室に流入することが阻止される。
【0011】
本発明に係る遮断弁によれば、ダイヤフラム及び第1バネ着座部材のうちの少なくとも一方は、当該一方の上面に存在する液体を当該一方から流下させるように案内する液体案内部を有する。このため水等の液体がダイヤフラムや第1バネ着座部材の上に溜まることが抑制される。
【0012】
(2)本発明に係る燃料電池システムは、燃料ガス及び酸化剤ガスにより発電する燃料電池と、
燃料ガスを燃料電池に供給する燃料ガス供給流路と、
酸化剤ガスを燃料電池に供給する酸化剤ガス供給流路と、
燃料電池の発電後の燃料オフガスを吐出させる燃料オフガス流路と、
燃料電池の発電後の酸化剤オフガスを吐出させる酸化剤オフガス流路とを有する燃料電池システムにおいて、
燃料オフガス流路、燃料ガス供給流路、酸化剤オフガス流路及び酸化剤ガス供給流路のうちの少なくとも一方に接続され、当該一方を流れる水蒸気または水が含まれ得る燃料オフガス、燃料ガス、酸化剤オフガス、酸化剤ガスのいずれかを通過させる通過形態とその通過を遮断させる遮断形態とに切替可能なダイヤフラム内蔵遮断弁が設けられており、
ダイヤフラム内蔵遮断弁は、
蒸気及び水のうち少なくとも一方が含まれ得る燃料オフガス、燃料ガス、酸化剤オフガス、酸化剤ガスが流入可能な気体室と、気体室に連通して前記ガスを気体室に流入させる入口ポートと、気体室に連通して気体室の前記ガスを吐出させる出口ポートと、入口ポートと出口ポートとの間に設けられ気体室に対面する弁口とをもつボディと、
入口ポートに連通する主室と出口ポートに連通する副室とにボディの前記気体室を仕切るように配設され、主室と副室とを連通させる絞り孔をもつダイヤフラムと、
ダイヤフラムと一体的にボディ内に移動可能に設けられ移動に伴い弁口を開閉可能な弁体をもつ弁体要素と、
弁体要素の回りに位置するようにボディに保持されたリング形状の第1バネ着座部材と、
弁体要素を支えるように第1バネ着座部材に着座されたバネ部材とを具備するダイヤフラム内蔵遮断弁において、
ダイヤフラム及び第1バネ着座部材のうちの少なくとも一方は、当該一方の上面に存在する液体を当該一方から流下させるように案内する液体案内部を有することを特徴とするものである。
【0013】
本発明に係る燃料電池システムによれば、遮断弁が通過形態に切り替えられると、遮断弁の弁体が弁口から離間して弁体が開弁するため、燃料オフガス、燃料ガス、酸化剤オフガス、酸化剤ガスのいずれかがボディの入口ポートを経て気体室に流入し、弁口、出口ポートを経て遮断弁から排出される。前記ガスには蒸気または水が含まれ得る。
【0014】
また、遮断弁が遮断形態に切り替えられると、遮断弁の弁体が弁口を閉鎖して弁体が閉弁するため、蒸気及び水のうち少なくとも一方が含まれ得る前記ガスがボディの入口ポートを経て気体室に流入することが阻止される。
【0015】
本発明に係る燃料電池システムによれば、ダイヤフラム及び第1バネ着座部材のうちの少なくとも一方は、当該一方の上面に存在する水を当該一方から流下させるように案内する液体案内部を有する。このため水がダイヤフラムや第1バネ着座部材の上に溜まることが抑制される。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明に係る遮断弁、燃料電池システムによれば、ダイヤフラムは、入口ポートに連通する主室と出口ポートに連通する副室とにボディの気体室を仕切るように配設されており、主室と副室とを連通させる絞り孔をもつ。絞り孔の数は1個でも、複数個でも良い。弁体要素はダイヤフラムと一体的に設けられており、弁口を開閉可能な弁体をもつ。第1バネ着座部材は、弁体要素の回りに配設されるようにリング形状をなしており、ボディに保持されている。バネ部材は、第1バネ着座部材に装備されており、好ましくは、コイルバネ、円錐コイルバネ、板バネ等の公知のバネで形成できる。
【0017】
本発明に係る遮断弁、燃料電池システムによれば、ダイヤフラム及び第1バネ着座部材のうちの少なくとも一方は、当該一方の上面に存在する水等の液体を当該一方から流下させるように案内する液体案内部を有する。このため水等の液体がダイヤフラムや第1バネ着座部材の上に溜まることが抑制される。
【0018】
好ましくは、液体案内部は、ダイヤフラムに設けられており、ダイヤフラムの絞り孔の周辺に形成されている形態を採用できる。この場合、ダイヤフラムの上面に存在する水等の液体は液体案内部により絞り孔に案内され、絞り孔からダイヤフラムの下方に吐出される。好ましくは、液体案内部は、ダイヤフラムを部分的にへこませた案内凹み部で形成されている形態を採用できる。この場合、水等の液体は案内凹み部により絞り孔に案内され、絞り孔からダイヤフラムの下方に良好に吐出される。上記した案内凹み部としては、ダイヤフラムの平面形状が円形状であるときには、ダイヤフラムの中心域に対して同心円状または実質的に同心円状に形成することができる。この場合、ダイヤフラムの同心円的な撓み変形を容易化しやすい利点が得られる。
【0019】
好ましくは、液体案内部は、第1バネ着座部材に設けられており、第1バネ着座部材を厚み方向に貫通する開口で形成されている形態を採用できる。この場合、第1バネ着座部材に溜まった水等の液体は、液体案内部により開口に案内され、開口から第1バネ着座部材の下方に吐出される。好ましくは、第1バネ着座部材は、ボディに係合するリング状の第1係合片と、第1係合片の内方に突出するように第1係合片に一体的に設けられ液体案内部となるリング状をなす第2係合片とを有する形態を採用できる。好ましくは、第2係合片は、仮想水平線に沿うか、あるいは、仮想水平線よりも第2係合片の周端が下側となるよう設定されている形態を採用できる。この場合、第2係合片は、仮想水平線に沿うか、あるいは、仮想水平線よりも第2係合片の周端が下側となるよう設定されているため、第2係合片上の水等の液体を第1バネ着座部材よりも下方に流下させるのに有利となる。
【0020】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図1〜図8を参照して説明する。本実施例に係る燃料電池システムは、図1に示すように、燃料ガス及び酸化剤としての空気により発電する燃料電池10と、燃料供給源11からの燃料ガス(一般的には水素含有ガス)を燃料電池10の燃料ガス吸入口10aに供給する燃料ガス供給流路12と、酸化剤ガスとしての空気(酸素含有ガス)を加湿器14を介して燃料電池10の空気吸入口10eに供給する酸化剤ガス供給流路としての空気供給流路13とを有する。燃料ガス供給流路12には、燃料電池の燃料ガス吸入口10aへの燃料ガスの流れを遮断可能な入口側の第1遮断弁2が設けられている。
【0021】
図1に示すように、燃料電池10のオフガス吐出口10dから空気オフガスを吐出する酸化剤オフガス流路としての空気オフガス流路16が設けられている。燃料電池10のオフガス吐出口10cから、発電後の燃料オフガスが燃料電池10外に吐出する燃料オフガス流路15が設けられている。燃料オフガス流路15には、燃料オフガスの流れを遮断させる出口側の第2遮断弁3が設けられている。燃料オフガス流路15の下流には下流流路17が設けられている。
【0022】
本実施例の特徴は第2遮断弁3の構造にある。第2遮断弁3は、通常時には閉弁されて遮断作用を発揮しており、燃料電池10の非運転時には閉弁し、燃料電池10の運転時には開弁する。第2遮断弁3は、図2に示すように、燃料電池10から吐出された発電後の燃料オフガスが流れる弁口30をもつ筒体31をもつボディ32と、弁口30を開閉可能な弁体要素33と、弁体要素33が弁口30を閉鎖する閉弁方向(下方向、矢印U2方向)に弁体要素33を付勢する付勢手段としての付勢バネ34と、弁体要素33を閉弁方向及び開弁方向に作動させる駆動部35とを備えている。
【0023】
ボディ32は金属または硬質樹脂で形成されており、縦軸形の筒体31をもつ第1ボディ32aと、第1ボディ32aに結合された第2ボディ32bとを有しており、更に、気体としての燃料オフガスが流入可能な気体室37と、燃料オフガスを気体室37に流入させる入口ポート38と、燃料オフガスを吐出させる出口ポート36とを有する。弁口30は縦方向に延びる中心線P1をもち、第1ボディ32aに連接された縦軸形の筒体31の一端(上端)に形成されている。弁体要素33は弁口30と同軸的に設けられており、筒体31の先端部(上端部)に着座可能とされている。筒体31のうち弁口30よりも下流は、下流流路17に連通する出口ポート36とされている。
【0024】
駆動部35は電磁吸引力に基づいて第2遮断弁3の開弁力を発生させるものであり、励磁電流が通電可能な巻線で形成されたソレノイド部40と、ソレノイド部40により包囲されソレノイド部40により励磁される固定鉄心41と、固定鉄心41に対して接近(矢印U1方向)または離間(矢印U2方向)するように弁口30の中心線P1に沿って移動する可動鉄心42とをもつ。可動鉄心42の一端部である下端部42dには、副弁体59が固定されている。副弁体59は弁口30に対向する位置に設けられており、ゴムや軟質樹脂等の弾性材料または金属で形成されている。副弁体59は弁口30の中心線P1に沿って移動可能とされている。
【0025】
ソレノイド部40に励磁電流が通電されて、固定鉄心41が励磁されると、可動鉄心42が一方向(矢印U1方向)に固定鉄心41に向けて移動する。ソレノイド部40に励磁電流が断電されて、固定鉄心41が消磁されると、可動鉄心42が他方向(矢印U2方向)に移動し、固定鉄心41から離間する。
【0026】
付勢手段としての付勢バネ34は、可動鉄心42の周囲を包囲するコイルバネ形状をなしており、可動鉄心42の外径方向に突出した突出座部42aと、第2遮断弁3のボディ32にシール部材46を介して固定された固定プレート44との間に介装されている。固定プレート44は、ソレノイド部40を保持する保持部40kによりボディ32に固定されており、付勢バネ34の保持性が確保されている。付勢バネ34は、通常の状態では、突出座部42aを介して可動鉄心42を他方向(下方向、矢印U2方向)に付勢している。つまり付勢バネ34は、副弁体59が副弁口58を閉鎖する方向(閉弁方向)に弁体要素33を付勢し、これにより弁体要素33が弁口30を閉鎖する方向(閉弁方向)に弁体要素33を付勢している。
【0027】
図3に示すように、ボディ32の第2ボディ32bから環状の延設部32eが形成されており、延設部32eに案内孔32fが形成されている。第2遮断弁3の弁体要素33は、案内孔32f内において弁口30の中心線P1に沿って移動可能に設けられている。この弁体要素33は、副弁体59に対面するように副弁体59の下方に配置された金属製の筒形状をなす弁体補助部材50と、弁体補助部材50の軸長方向の中間域に保持され円盤状をなす弁体51と、中心線P1の回りに配置されゴム等の弾性材料で形成された変形可能な膜状のダイヤフラム52と、中心線P1の回りに配置されリング形状をなすと共に弁体要素33に保持された金属製の第2バネ着座部材53と、中心線P1の回りに配置されリング形状をなすと共にボディ32に保持された第1バネ着座部材54と、第2バネ着座部材53と第1バネ着座部材54とに着座して保持され中心線P1の回りに配置され付勢手段としてのバネ部材55とを有する。バネ部材55は下部に向かうにつれて径大となる円錐コイル形状をなすが、これに限らず、円筒コイル形状でも、つつみ型コイル形状でも良い。
【0028】
弁体51は、弁体補助部材50の外周面50oよりも外径方向に延設されており、ゴムや軟質樹脂等の弾性材料を基材として形成されている。第1バネ着座部材54は金属または硬質樹脂で形成されており、第2ボディ32bの段部32xに着座されて固定されている。このように第1バネ着座部材54は第2ボディ32bに固定されているため、バネ部材55は第2バネ着座部材53を矢印U1方向に付勢して第2バネ着座部材53を持ち上げて支えており、これにより弁体要素33を支えて、弁体要素33の姿勢ひいては弁体51の姿勢を安定化させている。この結果、バネ部材55は下記の差圧ΔPが小さなときであっても、弁体51の開弁動作を高める機能を奏する。なおバネ部材55の付勢力は、付勢バネ34の付勢力よりも小さく設定されている。
【0029】
弁体要素33の弁体補助部材50には、前記した中心線P1方向(縦方向)に沿って延びる副弁口58が形成されている。副弁口58は、弁口30の開口面積よりも小さな開口面積を有する。
【0030】
弁体要素33の弁体補助部材50の他端部である下端部に形成された雄ねじ部50cに、金属製のワッシャ部材57を介してナット56(締結手段)の雌ねじ部56cを螺合し、これにより弁体補助部材50の段部50xに第2バネ着座部材53、ダイヤフラム52が係合した状態で同軸的に一体的に連結され、弁体要素33を形成している。このとき、第2バネ着座部材53、第1バネ着座部材54、ダイヤフラム52は、前記した中心線P1に対して同軸的配置とされている。この状態では、弁体補助部材50、第2バネ着座部材53、弁体51、ダイヤフラム52は一体的に動作できる。
【0031】
本実施例によれば、図3に示すように、弁体51の外径は、筒体31の外径とほぼ対応しており、且つ、弁口30の内径よりも大きく設定されている。弁体51は、弁口30の中心線P1に沿って移動して弁口30を閉鎖可能とされている。弁体51はゴムや軟質樹脂等の弾性材料を基材とするため、弾性変形するものであり、弁口30を良好にシールできる。
【0032】
ダイヤフラム52は、ボディ32内の気体室37を主室61と副室62とに仕切るように配設されている。ダイヤフラム52の厚肉リング状の外周部52dは、弁体51の外周よりも外方に延設されており、図3に示すように、第1ボディ32aと第2ボディ32bとで挟持固定されている。主室61は、燃料電池10のオフガス吐出口10cに連通する燃料オフガス流路15の上流流路15uに連通する。副室62は、副弁口58及び出口ポート36を介して下流流路17に連通する。
【0033】
ダイヤフラム52は、主室61及び副室62を連通させるように厚み方向に貫通する単数または複数個の径小の絞り孔52cをもつ。絞り孔52cは、主室61及び副室62間で差圧を発生させる。従って絞り孔52cの前後で、つまり主室61及び副室62で差圧ΔPを形成可能である。副弁口58の入口58aは副室62に連通可能である。副弁口58の出口58cは出口ポート36に対面する。この結果、副弁口58は副室62の室部分及び下流流路17に連通可能である。
【0034】
前記した副弁体59は、弁体要素33の副弁口58の入口58aを開閉可能とされている。図3に示すように、副弁体59は副弁口58を閉鎖するときには、副弁体59は、中心線P1方向に沿って移動して副弁口58の入口58aに着座する。第2遮断弁3のボディ32には、弁口30の上流から弁口30に向けて案内する水案内面65が形成されている。水案内面65は弁口30の周辺部30wに向けて上昇傾斜する面とされている。
【0035】
図3は第2遮断弁3の弁体要素33が弁口30を閉鎖している状況を示す。図3に示すように、弁体要素33が閉弁して弁口30を閉鎖しているときには、副弁体59が閉弁して副弁口58を閉鎖している。燃料電池10が運転されないときには、ソレノイド部40には励磁電流が通電されず、付勢バネ34の付勢力により可動鉄心42は他方向(下方向,矢印U2方向)に移動しているため、副弁体59が副弁口58を閉鎖しており、ひいては弁体要素33が閉弁して弁口30が閉鎖される。このように副弁口58及び弁口30が閉鎖されているときには、主室61及び副室62はダイヤフラム52の絞り孔52cを介して連通しているため、主室61の圧力をPAとし、副室62の圧力をPBとすると、圧力PAと圧力PBとはほぼ等圧とされる。なお、副弁口58及び弁口30が閉鎖されているとき、弁口30の下流の圧力つまり筒体31内の圧力をPCとすると、PA,PB>PCとされている。
【0036】
燃料電池10が運転されるときには、図略の制御装置により第1遮断弁2及び第2遮断弁3が開放される。第2遮断弁3を開放させるために、制御装置により第2遮断弁3の駆動部35のソレノイド部40に励磁電流が通電される。すると、第2遮断弁3の固定鉄心41が励磁され、付勢バネ34の付勢力に抗しつつ、可動鉄心42が突出座部42a及び副弁体59と共に一方向(上方向、矢印U1方向)に電磁吸引力により移動し、図4に示すように、副弁体59が開弁して副弁口58の入口58aが開放される。この場合には、ソレノイド部40の励磁に基づいて可動鉄心42と共に副弁体59が開放する開弁力をFUとすると、開弁力FUは付勢バネ34の付勢力FFよりも大きく設定されている(FU>FF)。
【0037】
上記したように図4に示すごとく弁体要素33が開弁して副弁口58が開放されると、副室62に貯留されていた気体としての燃料オフガスは、弁体要素33の副弁口58から矢印C1方向(図4参照)に流れ、副弁口58及び出口ポート36を経て下流側に吐出される。この場合、副弁体59が開弁して副弁口58から離間しているため、弁体要素33は開弁方向(上方向、矢印U1方向)に移動可能となる。
【0038】
上記したように副室62内の気体としての燃料オフガスが副弁口58から矢印C1方向(図4参照)に流れると、第2遮断弁3の副室62の圧力PBが低下し、絞り孔52cの絞り作用により、主室61の圧力PAと副室62の圧力PBとの差圧ΔP(ΔP=圧力PA−圧力PB)が増大する。これにより差圧ΔPを減少させる方向に、つまり、副室62の容積を小さくさせると共に主室61の容積を増加させるように、ダイヤフラム52が一方向(上方向,矢印U1方向)に撓み変形する。ダイヤフラム52は弁体51の外径よりも径大であり、ダイヤフラム52の受圧面積が大きいため、ダイヤフラム52を変形させる力が確保され、ダイヤフラム52を良好に変形させることができる。
【0039】
この結果、図5に示すように、ダイヤフラム52と一体的な弁体51が一方向(上方向、矢印U1方向)に移動して弁口30から離れ、弁口30を開放させる。このように第2遮断弁3の弁口30が開放されると、燃料電池10のオフガス吐出口10cから吐出された燃料オフガスは、燃料オフガス流路15の上流流路15uを経て、第2遮断弁3の弁口30から矢印E1方向(図5参照)に出口ポート36を経て下流流路17の側に流入し、燃料電池10のオフガス吐出口10cから吐出された燃料オフガス(蒸気または水を含み得る)を下流流路17を介して流すことができる。
【0040】
車載用の燃料電池10等のように、燃料電池10の発電出力を高めるときには、大流量の燃料ガスを燃料電池10に供給するものである。この場合、大流量の燃料オフガスが燃料電池10のオフガス吐出口10cから吐出される。この点本実施例によれば、弁口30が開放されたときには、燃料オフガスは弁口30の外周の全周から下流流路17の側に流入することができるため、大流量の燃料オフガスを弁口30から排出させることができる利点が得られる。しかも燃料オフガスの大流量の排出性を確保できるものの、弁体51が一方向(上方向、矢印U1方向)に移動するストロークは小さくて済む。よって駆動部35による可動鉄心42の移動ストロークを短くでき、第2遮断弁3の小型化に貢献できる。
【0041】
燃料電池10の運転が長時間にわたり継続すると、弁口30の上流において筒体31付近の部位31rに水が過剰に貯まることがある。このように水が溜まると、燃料オフガスが流れる流路断面積が小さくなるおそれがある。これを避けるため本実施例によれば図2〜図5に示すように、弁口30の上流から弁口30の近傍に向けて水を案内する水案内面65がボディ32に形成されている。よって、弁口30の上流において水が仮に溜まったとしても、その水は燃料オフガスのガス圧によって水案内面65に沿って矢印W1方向に昇ることができ、弁口30に隣設する部位30wに到達することができる。このため弁口30が開放しているとき、燃料オフガスに含まれている水を部位30wに溜め、燃料オフガスと共に弁口30から出口ポート36の側に吐出させることができる。
【0042】
また本実施例によれば、閉弁方向に弁体要素33を付勢する付勢バネ34により第2遮断弁3は逆止性を発揮することができる。従って、燃料電池10の運転が停止し、燃料電池10内に残留した酸素及び燃料ガスが発電によって消費され、燃料電池10内の圧力が第2遮断弁3の下流の圧力よりも低下するような場合であっても、弁体要素33が閉弁状態に維持され、このため弁体要素33が開弁して弁口51が開放し発電が進んでしまうことを未然に防止できる。
【0043】
さて本実施例の要部構成について説明を加える。前述したように、燃料電池10から排出された燃料オフガスには蒸気や水を含むことが多い。このため燃料オフガスが通過する遮断弁3のボディ32の気体室37に水が存在することがある。また、燃料オフガスは発電反応で熱をもつ燃料電池10の内部を経ており暖かいため、燃料電池10の運転停止後であっても、遮断弁3のボディ32の気体室37に冷却に伴い結露水が気体室30内で発生することがある。このような事情から図6に示すようにダイヤフラム52の上面52uや第1バネ着座部材54の上面54uに水が溜まることがある。この場合、ダイヤフラム52に重量が負荷されたり、ダイヤフラム52の上面52uに塵埃等が付着し易くなるおそれがあり、ダイヤフラム52の作動性は確保されるものの、ダイヤフラム52の円滑な作動性が充分に得られないおそれがある。また、水の影響で第1バネ着座部材54の上面54uに塵埃等が付着し易くなり、バネ部材55の円滑な作動性が充分に得られないおそれがある。更に第1バネ着座部材54が金属製である場合には、第1バネ着座部材54が腐食するおそれもある。
【0044】
これらを避けるため本実施例によれば、図6、図7に示すように、ダイヤフラム52の上面52uに存在する水をダイヤフラム52よりも下方に流下させるように液体案内部としての案内凹み部100が絞り孔52cの周辺に形成されている。案内凹み部100は、ダイヤフラム52の絞り孔52cの周辺を部分的に下方に向けて凹ませて形成されており、図7(a)に示すように、中心線P1を包囲するリング溝形状をなしている。このためダイヤフラム52の上面52uに水がたまったときであっても、その水はダイヤフラム52の案内凹み部100を経て絞り孔52cに案内され易くなり、ひいては絞り孔52cからダイヤフラム52の下方に落下し易くなる。更に絞り孔52cはダイヤフラム52を部分的に下方に向けて凹ませて形成された案内凹み部100の底域に形成されているため、主室61の水蒸気が絞り孔52cを介して副室62に進入することを抑制するのに有利である。
【0045】
殊に、ダイヤフラム52が主室61と副室62との差圧により撓み変形するとき、撓み変形に伴いダイヤフラム52の上面52uの水は移動する頻度が確保されるため、案内凹み部100を経て絞り孔52cに到達して落下する頻度が増加する。また本実施例に係る遮断弁3が自動車等の車両、船舶、飛行機に代表される移動体に搭載されている場合には、移動体の移動に伴う慣性力、振動、傾斜を伴った停止等の影響で水がダイヤフラム52の上面52uにおいて移動する頻度が確保され、案内凹み部100を経て絞り孔52cに到達して落下する頻度が増加する。
【0046】
このため本実施例によれば、ダイヤフラム52の上面52uに残留した水が負荷として作用することを抑制でき、ダイヤフラム52の円滑な作動性が確保される。更にも寒冷地等であっても、ダイヤフラム52の上面52uに残留した水が凍結するおそれも回避または低減させることができる。更に図7(a)に示すように案内凹み部100は中心線P1を同心円的に包囲するリング形状をなしているため、ダイヤフラム52の同心円的な撓み変形性を向上させ得、ダイヤフラム32の撓み変形性を円滑にできる付随的効果も得られる。更に案内凹み部100に相当する分、ダイヤフラム52の撓み量自体も増加させることができる付随的効果も得られる。なお、必要に応じて、図7(b)に示すように、ダイヤフラム52の案内凹み部100において、これの周方向(M1方向)に沿って延設され水を絞り孔52cに向けて案内させるように傾斜した流下傾斜部102を流下案内部の一部としてを設けることもできる。
【0047】
また、図6に示すように、第1バネ着座部材54は、ボディ32の段部32xに係合するリング状の第1係合片54fと、第1係合片54fの内方に突出するように第1係合片54fに一体的に設けられたリング状をなす第2係合片54sとを有する。そして図8に示すように、第1バネ着座部材54には、第1バネ着座部材54を厚み方向に貫通する開口150が液体案内部として周方向(矢印M2方向)に間隔を隔てて形成されている。開口150は気体室37に対面しており、上下方向及び内周側に開放されている。このように開口150が第1バネ着座部材54に形成されているため、第1バネ着座部材54の上面54uに存在する水は、開口150から下方に排出され易くなる。殊に、遮断弁3が自動車等の車両、船舶、飛行機に代表される移動体に搭載されている場合には、移動体の移動に伴う慣性力、振動、傾斜を伴った停止等によって、水が第1バネ着座部材54の上面54uにおいて移動する頻度が確保されるため、開口150に到達して落下する頻度が増加する。この結果、第1バネ着座部材54の上面54uに水が残留することが回避または低減される。このため使用が長期にわたっても、第1バネ着座部材54に塵埃等が付着するおそれを抑制でき、バネ部材55の円滑な作動性を確保できる。第1バネ着座部材54が金属製である場合でも、これの腐食も抑えることができる。上記したように第1バネ着座部材54の上面54uに水が残留することが抑制されるため、寒冷地等であっても、第1バネ着座部材54に残留した水が凍結するおそれも回避または低減させることができる。なお、必要に応じて、図8(b)に示すように、第1バネ着座部材54の周方向(M2方向)に沿って延設され水を開口150に向けて案内させるように傾斜した流下傾斜部152を液体案内部の一部として設けることもできる。
【0048】
(第2実施例)
図9は第2実施例を示す。第2実施例は前記した実施例と基本的には同様の構成であり、基本的には同様の作用効果を奏する。図9に示すように、第1バネ着座部材54Bには、第1バネ着座部材54Bを厚み方向に貫通する貫通孔状の開口150Bが液体案内部として間隔を隔てて形成されている。このため第1バネ着座部材54Bの上面54uに存在する水は、開口150Bから下方に排出され易くなり、第1バネ着座部材54Bの上面54uに水が残留することが回避または低減される。このため第1バネ着座部材54Bが金属製である場合、これの腐食を抑えることができる。更に寒冷地等であっても、第1バネ着座部材54Bに残留した水が凍結するおそれも回避または低減させることができる。なお、必要に応じて、図9(b)に示すように、第1バネ着座部材54Bの周方向(M2方向)に沿って延設され水を開口150Bに向けて案内させるように傾斜した流下傾斜部152を液体案内部の一部として設けることもできる。
【0049】
(第3実施例)
図10は第3実施例を示す。第3実施例は前記した実施例と基本的には同様の構成であり、基本的には同様の作用効果を奏する。図10に示すように、第1バネ着座部材54Cは、ボディ32の段部32xに係合するリング状の第1係合片54fと、第1係合片54fの内方(矢印N1方向)に突出して気体室37の副室62に対面するように第1係合片54fに一体的に設けられたリング状をなす第2係合片54s1とを有する。第2係合片54s1は、仮想水平線N2(中心線P1に対する軸直角方向)に沿うか、あるいは、仮想水平線N2よりも第2係合片54s1の周端54pが下側となるよう設定されており、液体案内部を形成している。このため第1バネ着座部材54Cの上面54uに存在する水は第2係合片54s1から流下して下方に排出され易くなる。殊に本実施例に係る遮断弁3が車両等の移動体に搭載されているときには、移動体の移動に伴なう慣性力、振動、傾斜を伴い停止等の影響で、第1バネ着座部材54Cの上面54uに存在する水は第2係合片54s1から流下し、ダイヤフラム52の案内凹み部100を経て絞り孔52cから落下する頻度が増加する。
【0050】
この結果、第1バネ着座部材54Cの上面54uに水が残留することが回避または低減される。このため第1バネ着座部材54Cに塵埃等が付着するおそれを抑制でき、バネ部材55の円滑な作動性を確保でき、第1バネ着座部材54Cが金属製である場合、これの腐食も抑えることができる。更に寒冷地等であっても、第1バネ着座部材54Cに残留した水が凍結するおそれも回避または低減させることができる。液体案内部としての第2係合片54sは、第1バネ着座部材54Cの周方向に沿って連続して延設されている。なお図11に示す第4実施例に係る第1バネ着座部材54Dのように、液体案内部としての第2係合片54sを周方向(矢印M3方向)において間隔を隔てて複数個形成しても良い。
【0051】
(第5実施例)
図12は第5実施例を示す。本実施例は、気体としての燃料ガスを燃料電池10に供給する入口側の第1遮断弁2に適用したものである。図12は、燃料ガスを燃料電池10に供給する入口側の第1遮断弁2の内部構造を示す。入口側の第1遮断弁2は、出口側の第2遮断弁3と基本的には同様の構成であり、基本的には同様の作用効果を奏するため、共通する部位には共通の符号を付して説明を省略する。以下、異なる部分を中心として説明する。図12に示すように、入口側の第1遮断弁2は、ボディ32と、弁体補助部材50に保持され円盤状をなす弁体51と、ゴム等の弾性材料で形成された変形可能な膜状のダイヤフラム52と、ボディ32に保持されたリング形状をなす第1バネ着座部材54と、リング形状をなす第2バネ着座部材53と、第1バネ着座部材54と第2バネ着座部材53とに着座して保持されたバネ部材55とを有する。
【0052】
本実施例によれば、図12に示すように、入口側の第1遮断弁2のボディ32は、燃料供給源11側の燃料ガス供給流路12を構成する配管90が接続される入口開口32mと、燃料電池10の燃料ガス吸入口10a側の配管91が接続される出口開口32nとを有する。燃料ガス吸入口10a側の配管91には圧力センサ94が装備されている。
【0053】
入口側の第1遮断弁2の逆止構造について説明する。図12に示すように、逆止構造は、入口側の第1遮断弁2のボディ32に燃料ガス供給流路12及び弁口30に連通するように形成された弁口71aをもつリング状の弁座71と、弁口71aを開閉可能に閉鎖する逆止弁体72と、逆止弁体72をこれの閉弁方向(矢印X2方向)に付勢して逆止弁体72を弁座71に圧着させて閉弁させる付勢力を発揮する逆止バネ74とを有する。弁口71aの中心線P2に沿った断面(図12参照)において、弁口71aの中心線P2は、弁口30の中心線P1と交差する方向、殊に直交する方向とされている。逆止弁体72は、ゴムや樹脂などの弾性材料で形成されており、逆止弁体72の背面側に着座板73を有する。更に図12に示すように、着座部材80は、軸孔80pをもつボス部81と、ボス部81の外周側において厚み方向に貫通する複数個のガス透過口82とを有する。着座部材80は保持軸85の外周側に位置している。そして、保持軸85の先端部の雄ねじ部にナット部材87(締結部材)の雌ねじ部を螺着させることにより、逆止弁体72及び着座部材80は保持軸85の外周に一体的に保持されている。逆止弁体72、逆止バネ74、着座部材80及び保持軸85は、逆止弁構造を構成している。
【0054】
本実施例によれば、遮断弁2の開放時には、第1実施例の場合と同様に駆動部35の駆動に伴い弁体51が開弁し、弁口30が開放する。すると、燃料ガス供給流路12から供給される燃料ガスの圧力に逆止弁体72が矢印X1方向に押されて、弁口71aが開放される。このとき着座部材80をボディ32に固定させたまま、逆止弁体72は保持軸85と共に開弁方向(矢印X1方向)に後退する。
【0055】
ところで、燃料ガス供給流路12から供給される燃料ガスの圧力が事情により設定圧よりも低下することがある。この点本実施例によれば、燃料ガス供給流路12から供給される燃料ガスの圧力が設定圧よりも低下したとき、逆止バネ74の付勢力により逆止弁体72を第2弁座71に圧着させて自動的に且つ強制的に閉弁させる(図12参照)。このため燃料ガスの圧力が設定圧よりも低下したときであっても、燃料電池10の内部の燃料ガスが燃料ガス吸入口10aから逆流することが抑えられる。
【0056】
さて本実施例においても、第1実施例に係る図6〜図11を準用することができ、図6〜図11を用いて説明した作用効果が得られる。図6〜図11において説明すると、ダイヤフラム52の上面52uに水がたまったときであっても、その水はダイヤフラム52の案内凹み部100を経て絞り孔52cに案内され易くなり、ひいては絞り孔52cからダイヤフラム52の下方に落下する。このためダイヤフラム52の上面52uに水等が残留することが抑制され、ダイヤフラム52の円滑な作動性が確保される。更にも寒冷地等であっても、ダイヤフラム52の上面52uに残留した水が凍結するおそれも回避または低減させることができる。更に案内凹み部100は中心線P1を包囲するリング形状をなしているため、ダイヤフラム52の同心円的な撓み変形性を向上させ得る付随的効果も得られる。更にダイヤフラム52の撓み量自体も増加させることができる付随的効果も得られる。
【0057】
また、図8に示すように、第1バネ着座部材54には、第1バネ着座部材54を厚み方向に貫通する開口150が液体案内部として形成されている。開口150は上下方向及び内周側に開放されている。このように開口150が第1バネ着座部材54に形成されているため、第1バネ着座部材54の上面54uに存在する水は開口150から下方に排出され易くなり、第1バネ着座部材54の上面54uに水が残留することが回避または低減される。このため第1バネ着座部材54の腐食を抑えることができる。更に寒冷地等であっても、第1バネ着座部材54に残留した水が凍結するおそれも回避または低減させることができる。
【0058】
(第5実施例)
図13は第6実施例を示す。本実施例は燃料電池10の出口側の第2遮断弁3に適用したものである。第3実施例は前記した第1実施例と基本的には同様の構成であり、基本的には同様の作用効果を奏する。以下、第1実施例と異なる部分を中心として説明する。図13は弁口30が開放している状態を示す。図13に示すように、弁口30は気体室37の底面37sに形成されている。弁口30から水の排出性を確保するためである。このように弁口30が気体室37の底面37sに形成されているため、駆動部35と弁口30との距離が大きくなる。そこで本実施例によれば、図13に示すように、弁体51に繋がる弁体補助部材50は、軸長が長くされ、弁口30付近まで到達している。即ち、弁体補助部材50は、中心線P1に沿って直状に延びる副弁口58をもつ中空筒形状をなす金属製または硬質樹脂製の第1弁体補助部材510と、第1弁体補助部材510の外周を包囲するように第1弁体補助部材510に同軸的に嵌合された中空筒形状をなす第2弁体補助部材520とをもつ。第2弁体補助部材520は、筒部521と、筒部521から径外方向に延設されたリング状の第1フランジ部522と、筒部521から径外方向に延設されたリング状の第2フランジ部523とをもつ。第1フランジ部522は、鍔状で広面積化しているため、膜状で広面積のダイヤフラム52の中央域を良好に保持できる。第2フランジ部523は、鍔状で広面積化しているため、広面積の弁体51を安定的に保持でき、弁体51による弁口30のシール性を向上させ得る。このように本実施例に係る弁体補助部材50によれば、筒部521の外径を抑えつつ、第1フランジ部522及び第2フランジ部523の外径を大きくしているため、弁体補助部材50の軽量化、応答性の向上を図りつつ、ダイヤフラム52及び弁体51の保持性を向上させることができる。更に図13に示すように変位規制部材80がボディ32に設けられている。変位規制部材80は、弁体補助部材50の下端部511を案内するリング形状の案内部82を有する。このため弁体51の開弁時及び閉弁時に、弁体補助部材50の下端部511が弁口30の径方向(矢印D方向)に変位することを抑制することができる。この結果、弁体51の閉弁時における位置ずれが抑制され、弁体51が弁口30を閉鎖する際のシール性を一層良好になし得る。
【0059】
更に弁口30は、弁口30を包囲するリング形状の隆起部32yを介して底面37sよりも微量量隆起している。このため、万一、弁口30の周囲に存在する微小量の水が凍結するようなときであっても、水の凍結に起因して弁体51が底面37sに付着されることが抑制され、弁体51の作動性を良好に確保することができる。本実施例においても、前記した図6〜図11を準用することができ、図6〜図11を用いて説明した作用効果が得られ、ダイヤフラム52及び第1バネ着座部材54に水が残留することを抑制することができる。
【0060】
(その他)
上記した第1実施例によれば、第2遮断弁3は、燃料電池10の燃料オフガス流路15に設けられているが、これに限らず、燃料電池10から吐出される酸化剤オフガスとしての空気オフガスを通過させる空気オフガス流路16に設けても良い。あるいは、酸化剤ガスとしての空気を燃料電池10に供給する空気供給流路13に設けても良い。更には燃料電池システムに限らず、水等の液体や蒸気と共に気体が流れる他の機器システム(水蒸気システム等)に使用しても良い。
【0061】
上記した第1実施例においては、弁体51は、ゴムや軟質樹脂等の弾性材料を基材として形成されているが、金属で形成されていても良い。付勢バネ34、バネ部材55は場合によっては板バネ、皿バネ等の公知のバネとしても良い。上記した第1実施例においては、電磁吸引力により可動鉄心42ひいては弁体51を開弁動作させることにしているが、これに限らず、電磁反発力により可動鉄心42ひいては弁体51を開弁動作させることにしても良い。燃料電池システムで用いる燃料電池10は車両等の移動体搭載用でも、定置用でも良い。その他、本発明は上記した実施例のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できるものである。発明の実施の形態、実施例に記載の語句は一部であっても、請求項に記載できるものである。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係るダイヤフラム内蔵式遮断弁、本発明に係る燃料電池システムによれば、ダイヤフラム及び第1バネ着座部材のうちの少なくとも一方は、当該一方の上面に存在する水等の液体を当該一方から流下させるように案内する液体案内部を有する。このため水等の液体がダイヤフラムの上面や第1バネ着座部材の上面に溜まることが抑制され、ひいては水等の液体に起因する塵埃等の付着、腐食、劣化等も抑制される。従って、ダイヤフラムの作動性、第1バネ着座部材に着座しているバネ部材の作動性を良好に確保することができる。仮に、寒冷地等で使用したとしても、水等の液体がダイヤフラムや第1バネ着座部材上で凍結することを低減または回避できるため、ダイヤフラムの作動性、第1バネ着座部材に着座しているバネ部材の円滑な作動性を確保するのに有利となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】燃料電池システムを示す全体図である。
【図2】燃料電池システムに使用されている出口側の第2遮断弁が閉弁している状態の概念を模式的に示す全体の断面図である。
【図3】燃料電池システムに使用されている出口側の第2遮断弁が閉弁している状態の概念を模式的に示す要部の断面図である。
【図4】燃料電池システムに使用されている出口側の第2遮断弁の弁口が閉弁していると共に、副弁口が開弁している状態の概念を模式的に示す要部の断面図である。
【図5】燃料電池システムに使用されている出口側の第2遮断弁の弁口が開弁していると共に、副弁口が開弁している状態の概念を模式的に示す要部の断面図である。
【図6】ダイヤフラム及び第1バネ着座部材付近の要部の概念を示す拡大断面図である。
【図7】(a)はダイヤフラムの平面図であり、(b)はダイヤフラムの周方向に沿って切断した部分断面図である。
【図8】(a)は第1バネ着座部材の平面図であり、(b)は第1バネ着座部材の周方向に沿って切断した部分断面図である。
【図9】第2実施例に係り、(a)は第1バネ着座部材の平面図であり、(b)は第1バネ着座部材の周方向に沿って切断した部分断面図である。
【図10】第3実施例に係り、ダイヤフラム及び第1バネ着座部材付近の要部の概念を示す拡大断面図である。
【図11】第4実施例に係り、第1バネ着座部材の平面図である。
【図12】第5実施例に係り、燃料電池システムに使用されている入口側の第1遮断弁が閉弁している状態の要部の概念を示す断面図である。
【図13】第6実施例に係り、燃料電池システムに使用されている出口側の第2遮断弁が開弁している状態を示す要部の概念を示す断面図である。
【符号の説明】
図中、10は燃料電池、12は燃料ガス供給流路、13は空気供給流路(酸化剤ガス供給流路)、15は燃料オフガス流路、16は空気オフガス流路(酸化剤オフガス流路)、2は第1遮断弁、3は第2遮断弁、15は燃料オフガス流路、17は下流流路、30は弁口、33は弁体要素、34は付勢バネ、35は駆動部、36は出口ポート、37は気体室、38は入口ポート、40はソレノイド部、41は固定鉄心、42は可動鉄心、52はダイヤフラム、52cは絞り孔、53は第2バネ着座部材、54は第1バネ着座部材、54fは第1係合片、54sは第2係合片、54pは周端、55はバネ部材、58は副弁口、59は副弁体、61は主室、62は副室、100は案内凹み部(液体案内部)、150は開口(液体案内部)を示す。
Claims (6)
- 蒸気及び液体のうち少なくとも一方が含まれ得る気体を通過させる通過形態とその通過を遮断させる遮断形態とに切替可能なダイヤフラム内蔵遮断弁であって、
蒸気及び液体のうち少なくとも一方が含まれ得る気体が流入可能な気体室と、前記気体室に連通して前記気体を前記気体室に流入させる入口ポートと、前記気体室に連通して前記気体室の前記気体を吐出させる出口ポートと、前記入口ポートと前記出口ポートとの間に設けられ前記気体室に対面する弁口とをもつボディと、
前記入口ポートに連通する主室と前記出口ポートに連通する副室とに前記ボディの前記気体室を仕切るように配設され、前記主室と前記副室とを連通させる絞り孔をもつダイヤフラムと、
前記ダイヤフラムと一体的に前記ボディ内に移動可能に設けられ移動に伴い前記弁口を開閉可能な弁体をもつ弁体要素と、
前記弁体要素の回りに位置するように前記ボディに保持されたリング形状の第1バネ着座部材と、
前記弁体要素を支えるように前記第1バネ着座部材に着座されたバネ部材とを具備するダイヤフラム内蔵遮断弁において、
前記ダイヤフラム及び前記第1バネ着座部材のうちの少なくとも一方は、当該一方の上面に存在する液体を当該一方から流下させるように案内する液体案内部を有することを特徴とするダイヤフラム内蔵遮断弁。 - 請求項1において、前記液体案内部は、前記ダイヤフラムに設けられており、前記ダイヤフラムの前記絞り孔の周辺に形成されていることを特徴とするダイヤフラム内蔵遮断弁。
- 請求項1または請求項2において、前記液体案内部は、前記ダイヤフラムを部分的にへこませた案内凹み部で形成されていることを特徴とするダイヤフラム内蔵遮断弁。
- 請求項1〜請求項3のうちのいずれか一項において、前記液体案内部は、前記第1バネ着座部材に設けられており、前記第1バネ着座部材を厚み方向に貫通する開口で形成されていることを特徴とするダイヤフラム内蔵遮断弁。
- 請求項1〜請求項4のうちのいずれか一項において、前記液体案内部は前記第1バネ着座部材に設けられており、前記第1バネ着座部材は、前記ボディに係合するリング状の第1係合片と、前記第1係合片の内方に突出するように前記第1係合片に一体的に設けられ前記液体案内部となるリング状をなす第2係合片とを有しており、前記第2係合片は、仮想水平線に沿うか、あるいは、仮想水平線よりも前記第2係合片の周端が下側となるよう設定されて前記液体案内部を形成していることを特徴とするダイヤフラム内蔵遮断弁。
- 燃料ガス及び酸化剤ガスにより発電する燃料電池と、
燃料ガスを前記燃料電池に供給する燃料ガス供給流路と、
酸化剤ガスを前記燃料電池に供給する酸化剤ガス供給流路と、
前記燃料電池の発電後の燃料オフガスを吐出させる燃料オフガス流路と、
前記燃料電池の発電後の酸化剤オフガスを吐出させる酸化剤オフガス流路とを有する燃料電池システムにおいて、
前記燃料オフガス流路、前記燃料ガス供給流路、前記酸化剤オフガス流路及び前記酸化剤ガス供給流路のうちの少なくとも一方に接続され、当該一方を流れる水蒸気または水が含まれ得る燃料オフガス、燃料ガス、酸化剤オフガス、酸化剤ガスのいずれかを通過させる通過形態とその通過を遮断させる遮断形態とに切替可能なダイヤフラム内蔵遮断弁が設けられており、
前記ダイヤフラム内蔵遮断弁は、
蒸気及び水のうち少なくとも一方が含まれ得る燃料オフガス、燃料ガス、酸化剤オフガス、酸化剤ガスが流入可能な気体室と、前記気体室に連通して前記ガスを前記気体室に流入させる入口ポートと、前記気体室に連通して前記気体室の前記ガスを吐出させる出口ポートと、前記入口ポートと前記出口ポートとの間に設けられ前記気体室に対面する弁口とをもつボディと、
前記入口ポートに連通する主室と前記出口ポートに連通する副室とに前記ボディの前記気体室を仕切るように配設され、前記主室と前記副室とを連通させる絞り孔をもつダイヤフラムと、
前記ダイヤフラムと一体的にボディ内に移動可能に設けられ移動に伴い前記弁口を開閉可能な弁体をもつ弁体要素と、
前記弁体要素の回りに位置するように前記ボディに保持されたリング形状の第1バネ着座部材と、
前記弁体要素を支えるように前記第1バネ着座部材に着座されたバネ部材とを具備するダイヤフラム内蔵遮断弁において、
前記ダイヤフラム及び前記第1バネ着座部材のうちの少なくとも一方は、当該一方の上面に存在する液体を当該一方から流下させるように案内する液体案内部を有することを特徴とする燃料電池システム。
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JP2002369852A JP2004197899A (ja) | 2002-12-20 | 2002-12-20 | ダイヤフラム内蔵遮断弁、燃料電池システム |
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JP2002369852A JP2004197899A (ja) | 2002-12-20 | 2002-12-20 | ダイヤフラム内蔵遮断弁、燃料電池システム |
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ID=32765952
Family Applications (1)
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JP2002369852A Pending JP2004197899A (ja) | 2002-12-20 | 2002-12-20 | ダイヤフラム内蔵遮断弁、燃料電池システム |
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Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009070641A (ja) * | 2007-09-12 | 2009-04-02 | Honda Motor Co Ltd | 燃料電池システム |
KR100903672B1 (ko) * | 2007-10-25 | 2009-06-18 | 플러스파운틴(주) | 수중용 솔레노이드밸브 |
JP2011058583A (ja) * | 2009-09-11 | 2011-03-24 | Keihin Corp | 弁装置 |
KR102057102B1 (ko) * | 2018-08-06 | 2019-12-18 | 한진동 | 스팀 트랩 밸브 |
CN112189108A (zh) * | 2018-06-04 | 2021-01-05 | 株式会社不二工机 | 流路切换阀 |
CN116093375A (zh) * | 2022-12-14 | 2023-05-09 | 大连理工大学 | 一种基于氢空调压装置的燃料电池空气系统和氢气系统 |
-
2002
- 2002-12-20 JP JP2002369852A patent/JP2004197899A/ja active Pending
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