JP2004197788A - 手動変速操作終了時の変速比に変速される車輌用変速装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】無段変速機をシフトレバーの如き操作端によるアップシフトまたはダウンシフト指令中アップシフトまたはダウンシフトが続く変速様式にすると、運転者が操作端を操作することにより得られた変速状態に満足して操作を解除しても変速作動の慣性により最終的に得られる変速は行き過ぎた状態となることに対処する。
【解決手段】変速制御に操作端の操作が解除された後惰性で変化した変速比を操作解除の瞬間の変速比まで戻す変速比過変修正制御を組み込む。
【選択図】 図1
【解決手段】変速制御に操作端の操作が解除された後惰性で変化した変速比を操作解除の瞬間の変速比まで戻す変速比過変修正制御を組み込む。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車輌用変速装置に係り、特に無段変速機を用いた車輌用変速装置に係る。
【0002】
【従来の技術】
駆動軸の回転数に対する被動軸の回転数(変速比)を無段階に連続して変えることができる無段変速機がベルト式無段変速機やトロイダル式無段変速機として知られており、車輌用変速装置として用いられている。またかかる無段変速機を用いて車輌用変速装置を構成する場合、無段変速機をその変速比が自動変速手段により車輌の運転状態に応じて自動的に設定される自動変速モードと、その変速比が手動変速手段により運転者の意図するところに応じて手動的に設定される手動変速モードとの間に随時切り換えて作動させることが行われている。
【0003】
図3はそのような公知の車輌用変速装置を含む車輌駆動系の基本構成を示す概略図である。図に於いて、10はエンジンであり、直結クラッチ12を備えたトルクコンバータ14、歯車変速機構16、無段変速機(CVT)18、プロペラ軸20、差動歯車22、一対の車軸24を経て一対の駆動輪26を駆動するようになっている。エンジン10、トルクコンバータの直結クラッチ12、歯車変速機構14、無段変速機16の作動はマイクロコンピュータを備えた電子制御装置(ECU)28により制御されるようになっている。電子制御装置28には、図には示されていないアクセルペダルよりその踏み込み量に関する信号、車速センサ30より車速に関する信号、シフトレバーの如き操作端を備えた変速操作装置32より運転者による変速指令信号、その他の電子制御装置の作動に必要が情報を与える信号が供給されている。
【0004】
変速操作装置32は、図示の如くP、R、N、D、M、+、−の各シフト位置を備えたJ字型の溝と、これに沿って各シフト位置の間に手にて移動されるシフトレバー(図示せず)とを備えている。P、R、Nはそれぞれパーキング、リバース、ニュートラルのシフト位置である。シフトレバーがD位置にあるとき、無段変速機18は電子制御装置28の制御判断に従って所定の変速比を達成する状態に制御され、またシフトレバーがM位置にあるとき、無段変速機18は運転者によるシフトレバーの操作に従って所定の変速比を達成する状態に制御される。この場合、図示の公知例に於いては、シフトレバーは運転者がこれを手にて操作することによりM位置より+位置または−位置へ任意にシフトされるが、運転者がシフトレバーに加える力を解除すると、シフトレバーはばね力によりM位置に戻されるようになっている。そしてシフトレバーがM位置より+位置へシフトされる度に無段変速機は1段階だけアップシフトされ、またシフトレバーがM位置より−位置へシフトされる度に無段変速機は1段階だけダウンシフトされるようになっている。
【0005】
即ち、無段変速機18による変速は、自動変速モードにて作動されるときには、図4に示す如きCVT入力回転数を縦軸とし車速を横軸とする座標系で見て、例えば変速線A−B−Cの如き経過を経て無段階にアップシフトされ、また変速線C−Dの如き経過を経て無段階にダウンシフトされるが、手動変速モードにて作動されるときには、図にR1〜R9にて示す如く予め複数の変速段が設定され、シフトレバーがM位置より+位置または−位置へシフトされる度に、これらの予め設定された変速段の間で1段ずつアップシフト側またはダウンシフト側へ変速段が切換えられ、例えばアップシフトは変速線L−M−N−O−……−Pの如き経過を経て段階的に行われ、ダウンシフトは変速線P−Q−R−……−Sの如き経過を経て段階的に行われるようになっている。
【0006】
かかる自動変速モードや手動変速モードに関する制御態様やその間の切り換え制御について、如何にそれをより好適に行うかについて、従来より種々の提案がなされている。特に手動変速モードに於ける制御態様については、例えば、下記の特許文献1には、アップシフトスイッチが押されると、それが押されている間、それが解除されるまでアップシフトを行ない、またダウンシフトスイッチが押されると、それが押されている間、それが解除されるまでダウンシフトを行なうようにし、アップシフトやダウンシフトの変速幅に拘わらずスイッチの一度の操作で所望のアップシフトやダウンシフトが行えるようにする手動変速制御が提案されている。また下記の特許文献2には、同様に所望のアップシフトまたはダウンシフトが得られるまでアップ・ダウンスイッチを押すことによりアップシフトまたはダウンシフトを行わせ、その際スロットル開度或いはスロットル開度の変化率が大きいほどアップシフトまたはダウンシフトが速く行われるようにすることが提案されている。
【特許文献1】
特開平7−301321
【特許文献2】
特開平6−257665
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記の特許文献1または2に於ける如く、無段変速機の手動変速に、上記の図3にR1〜R9として例示したような複数の変速比を予め設定しておく代わりに、アップシフトスイッチまたはダウンシフトスイッチの如き変速用操作端の操作中アップシフトまたはダウンシフトが続けられるようにすれば、確かに操作端の一度の操作で大小に拘わらず任意の変速幅によるアップシフトはまたはダウンシフトを達成することが期待されるが、ベルト式或いはトロイダル式を問わず無段変速機の変速比の変更は本質的に或る零でない変化率を以って連続的に状態を変化させる物体の運動であり、それには必ず慣性が伴うので、運転者が操作端を操作することにより得られた変速状態に満足して操作を解除すると、その結果最終的に得られる変速比は運転者が満足した瞬間に於ける変速比を行き過ぎた値となる。
【0008】
本発明は、無段変速機を備えた車輌用変速装置の手動による無段階変速に於ける上記の問題に着目し、この点に於いて改良された車輌用変速装置を提供することを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するものとして、本発明は、無段変速機と、前記無段変速機の変速比を手動で設定する手動変速手段とを備え、前記手動変速手段の操作端がアップシフト側に操作されている間前記無段変速機の変速比が漸減され、前記手動変速手段の操作端がダウンシフト側に操作されている間前記無段変速機の変速比が漸増されるようになっている車輌用変速装置にして、前記操作端の操作が解除された後惰性で変化した変速比を操作解除の瞬間の変速比まで戻す変速比過変修正制御がされるようになっていることを特徴とする車輌用変速装置を提案するものである。
【0010】
【発明の作用及び効果】
上記の如く、車輌用変速装置が、無段変速機と、無段変速機の変速比を手動で設定する手動変速手段とを備え、手動変速手段の操作端がアップシフト側に操作されている間無段変速機の変速比が漸減され、手動変速手段の操作端がダウンシフト側に操作されている間無段変速機の変速比が漸増されるようになっている場合に、操作端の操作が解除された後惰性で変化した変速比を操作解除の瞬間の変速比まで戻す変速比過変修正制御がされるようになっていれば、運転者は所望の変速比が得られるまで変速用操作端を操作して変速装置をアップシフトまたはダウンシフトさせ、所望の変速比が得られと感じたところで操作端の操作を解除すれば、変速の緩急の如何にかかわらず、最終的に必ず所望と感じた変速比を得ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は本発明による車輌用自動変速装置の一つの実施の形態をその作動態様に於いて示すフローチャートである。かかるフローチャートによる車輌用変速装置の作動制御は、この技術の分野に於いては周知の通り、車輌のイグニションスイッチが閉じられることにより開始され、車輌の運転中数十ミリセカンド程度の周期にて繰り返し実行される。
【0012】
制御が開始されると、ステップ1にて変速装置の作動が手動変速モードにあるか否かが判断される。答がノーであれば、一度の制御はそれにて終了する。答がイエスであれば制御はステップ2へ進む。
【0013】
ステップ2に於いては、変速を指令するシフトレバーの如き操作端によりアップシフト操作がなされているか否かが判断される。この場合の変速操作装置も図3の変速操作装置32の如く形成されていてよく、ただこの場合、変速操作装置は、図には示されていないシフトレバーが+位置に留まる間アップシフトが続けられるように構成される。即ち、答がイエスであれば制御はステップ3へ進み、無段変速機の変速比Rを漸減する制御が行われる。次いで制御はステップ4へ進み、ここでアップシフト操作がなされたことを示すフラグF1が1にセットされ、制御はステップ2に戻る。こうして操作端がアップシフト操作状態に留まる限り変速比Rの漸減が続けられる。(勿論、変速比の実際の減小が生ずるのは無段変速機が最大増速状態に達するまでである。)
【0014】
かくして或る期間アップシフトが行われ、運転者が所望の変速比が得られたと感じてアップシフト操作を解除すれば、ステップ2の答はノーに転じるので、それより制御はステップ5へ進む。ステップ5に於いては、フラグF1が1であるか否かが判断される。アップシフト操作が一度開始された後それが解除されて制御がステップ5に至ったときには、フラグF1は1であるので答はイエスであり、制御はステップ6へ進む。ステップ6に於いては、その瞬間の変速比RがRtとして保存される。次いで制御はステップ7へ進む。
【0015】
ステップ7に於いては、ステップ6にて保存されたRtを目標値として変速比をこの目標値に一致させる制御が行われる。これは運転者がアップシフト操作を解除した後に無段変速機がその変速作動の慣性により更に変速比を変えた分を打ち消す変速比の修正を行って変速比を最終的にRtの値に一致させるための制御作動である。この種の或る制御値をそれに対し設定された目標値に一致させる目標制御は、本発明に係る技術分野に於いてだけでなく種々の制御分野に於いて周知の技術であるので、ステップ7に於いて行われる変速比過減修正制御についての更なる詳細な説明は明細書の冗長化を避けるため省略する。尚、かかる変速比過減修正制御は、変速比の値が安定するまで、或はそれを見込んだ所定時間だけ行われるようになっていてよい。ステップ7に於ける制御が終了したときには、制御はステップ8へ進み、フラグF1を0にリセットしてこの回の制御を終了する。
【0016】
上記のフラグF1や後述のフラグF2の如きフラグは車輌運転の開始時に0にリセットされるので、このフローチャートによる制御が最初にステップ2至ったとき元々アップシフト操作中でなければ、フラグF1が0のまま制御はステップ5へ進むので、ステップ5の答はノーであり、制御はステップ9へ進み、ダウンシフト操作中であるか否かが判断される。答がイエスあれば制御はステップ10へ進み、変速比Rを漸増する制御が開始される。次いで、ステップ11にてフラグF2が1にセットされ、制御はステップ9へ戻る。こうしてシフトレバーの如き操作端がダウンシフト操作されていれば、その間、変速比Rを漸増するダウンシフトか行われる。(この場合にも、変速比の実際の増大が生ずるのは無段変速機が最大減速状態に達するまでである。)
【0017】
かくして或る期間ダウンシフトが行われ、運転者が所望の変速比が得られたと感じてダウンシフト操作を解除すれば、ステップ9の答はノーに転じるので、それより制御はステップ12へ進む。ステップ12に於いては、フラグF2が1であるか否かが判断される。ダウンシフト操作が一度開始された後それが解除されて制御がステップ12に至ったときには、フラグF2は1にセットされているので答はイエスであり、制御はステップ13へ進み、その瞬間の変速比RがRtとして保存される。次いで制御はステップ14へ進み、上述のステップ7に於けると同様の要領にて、ステップ13にて保存された変速比Rtを目標値とし、変速比の過増を修正する制御が行われる。この場合にも、変速比過増修正制御は、変速比の値が安定するまで、或はそれを見込んだ所定時間だけ行われるようになっていてよい。ステップ14に於ける制御が終了したときには、制御はステップ15へ進み、フラグF2を0にリセットしてこの回の制御を終了する。
【0018】
図2に、上記の要領によるアップシフトをおよびダウンシフトの例が、CVT入力回転数を縦軸とし車速を横軸とする図4の座標系と同じ座標系にて示されている。今、車輌の運転状態がA点にあり、無段変速機は手動変速モードによってA点に対応する変速比Raに設定されているとする。かかる運転状態より始まって、運転者がシフトレバーを操作して変速装置に対しアップシフトを指令したとする。アップシフト操作が続けられている間、変速比は漸減して行く。暫時の経過の後、車輌の運転状態が変速比RbtであるBt点に達したところで、運転者がアップシフトはここまででよいと判断し、シフトレバーによるアップシフト操作を解除したとする。しかし無段変速機のアップシフト作動はその作動の慣性により瞬間的には停止せず、従来技術のままでは、アップシフト作動が実際に停止するのは変速比がRbsまで増大したBs点となる。
【0019】
これに対し、図1のフローチャートによる制御が行われるときには、運転者がアップシフト指令を解除した時点に於ける変速比Rbtがステップ6に於いて変速比目標値Rtとして保存され、ステップ7に於いてRtを目標値として変速比をこれに一致させる変速比過減修正制御が行われる。尚、ステップ7に於ける変速比過減修正制御は車輌の作動点がBsに至るのを待って開始される必要はなく、作動点がBtを過ぎたとき直ちに開始されてよい。
【0020】
ダウンシフトの場合も同様であり、車輌の運転状態がC点にあり、変速比がRcである状態から始まって、シフトレバーのダウンシフト操作により変速装置のダウンシフトされるとき、変速比がRdtとなったDt点にて運転者がダウンシフト操作を解除したときにも、上記のフローチャートのステップ13および14による制御が行われなければ、無段変速機のダウンシフトは変速比がRdsとなるDs点まで進行するところ、ステップ13および14の制御により無段変速機をDt点にもたらすことができる。
【0021】
以上に於いては本発明を一つの実施の形態について詳細に説明したが、かかる実施の形態について本発明の範囲内にて種々の変更が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による車輌用変速装置の一つの実施の形態をその作動の形態に於いて示すフローチャート。
【図2】図1に示すフローチャートによる車輌用変速装置の作動の要点をCVT入口回転数を縦軸とし車速を横軸とする座標系に於いて示す線図。
【図3】本発明による改良の対象となる車輌用変速装置を含む車輌駆動系の公知の基本構成を示す概略図。
【図4】図3に示す公知の車輌用変速装置の公知の変速作動態様をCVT入口回転数を縦軸とし車速を横軸とする座標系に於いて示す線図。
【符号の説明】
10…エンジン、12…直結クラッチ、14…トルクコンバータ、16…歯車変速機構、18…無段変速機(CVT)、20…プロペラ軸、22…差動歯車、24…車軸、26…駆動輪、28…電子制御装置(ECU)、30…車速センサ、32…変速操作装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、車輌用変速装置に係り、特に無段変速機を用いた車輌用変速装置に係る。
【0002】
【従来の技術】
駆動軸の回転数に対する被動軸の回転数(変速比)を無段階に連続して変えることができる無段変速機がベルト式無段変速機やトロイダル式無段変速機として知られており、車輌用変速装置として用いられている。またかかる無段変速機を用いて車輌用変速装置を構成する場合、無段変速機をその変速比が自動変速手段により車輌の運転状態に応じて自動的に設定される自動変速モードと、その変速比が手動変速手段により運転者の意図するところに応じて手動的に設定される手動変速モードとの間に随時切り換えて作動させることが行われている。
【0003】
図3はそのような公知の車輌用変速装置を含む車輌駆動系の基本構成を示す概略図である。図に於いて、10はエンジンであり、直結クラッチ12を備えたトルクコンバータ14、歯車変速機構16、無段変速機(CVT)18、プロペラ軸20、差動歯車22、一対の車軸24を経て一対の駆動輪26を駆動するようになっている。エンジン10、トルクコンバータの直結クラッチ12、歯車変速機構14、無段変速機16の作動はマイクロコンピュータを備えた電子制御装置(ECU)28により制御されるようになっている。電子制御装置28には、図には示されていないアクセルペダルよりその踏み込み量に関する信号、車速センサ30より車速に関する信号、シフトレバーの如き操作端を備えた変速操作装置32より運転者による変速指令信号、その他の電子制御装置の作動に必要が情報を与える信号が供給されている。
【0004】
変速操作装置32は、図示の如くP、R、N、D、M、+、−の各シフト位置を備えたJ字型の溝と、これに沿って各シフト位置の間に手にて移動されるシフトレバー(図示せず)とを備えている。P、R、Nはそれぞれパーキング、リバース、ニュートラルのシフト位置である。シフトレバーがD位置にあるとき、無段変速機18は電子制御装置28の制御判断に従って所定の変速比を達成する状態に制御され、またシフトレバーがM位置にあるとき、無段変速機18は運転者によるシフトレバーの操作に従って所定の変速比を達成する状態に制御される。この場合、図示の公知例に於いては、シフトレバーは運転者がこれを手にて操作することによりM位置より+位置または−位置へ任意にシフトされるが、運転者がシフトレバーに加える力を解除すると、シフトレバーはばね力によりM位置に戻されるようになっている。そしてシフトレバーがM位置より+位置へシフトされる度に無段変速機は1段階だけアップシフトされ、またシフトレバーがM位置より−位置へシフトされる度に無段変速機は1段階だけダウンシフトされるようになっている。
【0005】
即ち、無段変速機18による変速は、自動変速モードにて作動されるときには、図4に示す如きCVT入力回転数を縦軸とし車速を横軸とする座標系で見て、例えば変速線A−B−Cの如き経過を経て無段階にアップシフトされ、また変速線C−Dの如き経過を経て無段階にダウンシフトされるが、手動変速モードにて作動されるときには、図にR1〜R9にて示す如く予め複数の変速段が設定され、シフトレバーがM位置より+位置または−位置へシフトされる度に、これらの予め設定された変速段の間で1段ずつアップシフト側またはダウンシフト側へ変速段が切換えられ、例えばアップシフトは変速線L−M−N−O−……−Pの如き経過を経て段階的に行われ、ダウンシフトは変速線P−Q−R−……−Sの如き経過を経て段階的に行われるようになっている。
【0006】
かかる自動変速モードや手動変速モードに関する制御態様やその間の切り換え制御について、如何にそれをより好適に行うかについて、従来より種々の提案がなされている。特に手動変速モードに於ける制御態様については、例えば、下記の特許文献1には、アップシフトスイッチが押されると、それが押されている間、それが解除されるまでアップシフトを行ない、またダウンシフトスイッチが押されると、それが押されている間、それが解除されるまでダウンシフトを行なうようにし、アップシフトやダウンシフトの変速幅に拘わらずスイッチの一度の操作で所望のアップシフトやダウンシフトが行えるようにする手動変速制御が提案されている。また下記の特許文献2には、同様に所望のアップシフトまたはダウンシフトが得られるまでアップ・ダウンスイッチを押すことによりアップシフトまたはダウンシフトを行わせ、その際スロットル開度或いはスロットル開度の変化率が大きいほどアップシフトまたはダウンシフトが速く行われるようにすることが提案されている。
【特許文献1】
特開平7−301321
【特許文献2】
特開平6−257665
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記の特許文献1または2に於ける如く、無段変速機の手動変速に、上記の図3にR1〜R9として例示したような複数の変速比を予め設定しておく代わりに、アップシフトスイッチまたはダウンシフトスイッチの如き変速用操作端の操作中アップシフトまたはダウンシフトが続けられるようにすれば、確かに操作端の一度の操作で大小に拘わらず任意の変速幅によるアップシフトはまたはダウンシフトを達成することが期待されるが、ベルト式或いはトロイダル式を問わず無段変速機の変速比の変更は本質的に或る零でない変化率を以って連続的に状態を変化させる物体の運動であり、それには必ず慣性が伴うので、運転者が操作端を操作することにより得られた変速状態に満足して操作を解除すると、その結果最終的に得られる変速比は運転者が満足した瞬間に於ける変速比を行き過ぎた値となる。
【0008】
本発明は、無段変速機を備えた車輌用変速装置の手動による無段階変速に於ける上記の問題に着目し、この点に於いて改良された車輌用変速装置を提供することを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するものとして、本発明は、無段変速機と、前記無段変速機の変速比を手動で設定する手動変速手段とを備え、前記手動変速手段の操作端がアップシフト側に操作されている間前記無段変速機の変速比が漸減され、前記手動変速手段の操作端がダウンシフト側に操作されている間前記無段変速機の変速比が漸増されるようになっている車輌用変速装置にして、前記操作端の操作が解除された後惰性で変化した変速比を操作解除の瞬間の変速比まで戻す変速比過変修正制御がされるようになっていることを特徴とする車輌用変速装置を提案するものである。
【0010】
【発明の作用及び効果】
上記の如く、車輌用変速装置が、無段変速機と、無段変速機の変速比を手動で設定する手動変速手段とを備え、手動変速手段の操作端がアップシフト側に操作されている間無段変速機の変速比が漸減され、手動変速手段の操作端がダウンシフト側に操作されている間無段変速機の変速比が漸増されるようになっている場合に、操作端の操作が解除された後惰性で変化した変速比を操作解除の瞬間の変速比まで戻す変速比過変修正制御がされるようになっていれば、運転者は所望の変速比が得られるまで変速用操作端を操作して変速装置をアップシフトまたはダウンシフトさせ、所望の変速比が得られと感じたところで操作端の操作を解除すれば、変速の緩急の如何にかかわらず、最終的に必ず所望と感じた変速比を得ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は本発明による車輌用自動変速装置の一つの実施の形態をその作動態様に於いて示すフローチャートである。かかるフローチャートによる車輌用変速装置の作動制御は、この技術の分野に於いては周知の通り、車輌のイグニションスイッチが閉じられることにより開始され、車輌の運転中数十ミリセカンド程度の周期にて繰り返し実行される。
【0012】
制御が開始されると、ステップ1にて変速装置の作動が手動変速モードにあるか否かが判断される。答がノーであれば、一度の制御はそれにて終了する。答がイエスであれば制御はステップ2へ進む。
【0013】
ステップ2に於いては、変速を指令するシフトレバーの如き操作端によりアップシフト操作がなされているか否かが判断される。この場合の変速操作装置も図3の変速操作装置32の如く形成されていてよく、ただこの場合、変速操作装置は、図には示されていないシフトレバーが+位置に留まる間アップシフトが続けられるように構成される。即ち、答がイエスであれば制御はステップ3へ進み、無段変速機の変速比Rを漸減する制御が行われる。次いで制御はステップ4へ進み、ここでアップシフト操作がなされたことを示すフラグF1が1にセットされ、制御はステップ2に戻る。こうして操作端がアップシフト操作状態に留まる限り変速比Rの漸減が続けられる。(勿論、変速比の実際の減小が生ずるのは無段変速機が最大増速状態に達するまでである。)
【0014】
かくして或る期間アップシフトが行われ、運転者が所望の変速比が得られたと感じてアップシフト操作を解除すれば、ステップ2の答はノーに転じるので、それより制御はステップ5へ進む。ステップ5に於いては、フラグF1が1であるか否かが判断される。アップシフト操作が一度開始された後それが解除されて制御がステップ5に至ったときには、フラグF1は1であるので答はイエスであり、制御はステップ6へ進む。ステップ6に於いては、その瞬間の変速比RがRtとして保存される。次いで制御はステップ7へ進む。
【0015】
ステップ7に於いては、ステップ6にて保存されたRtを目標値として変速比をこの目標値に一致させる制御が行われる。これは運転者がアップシフト操作を解除した後に無段変速機がその変速作動の慣性により更に変速比を変えた分を打ち消す変速比の修正を行って変速比を最終的にRtの値に一致させるための制御作動である。この種の或る制御値をそれに対し設定された目標値に一致させる目標制御は、本発明に係る技術分野に於いてだけでなく種々の制御分野に於いて周知の技術であるので、ステップ7に於いて行われる変速比過減修正制御についての更なる詳細な説明は明細書の冗長化を避けるため省略する。尚、かかる変速比過減修正制御は、変速比の値が安定するまで、或はそれを見込んだ所定時間だけ行われるようになっていてよい。ステップ7に於ける制御が終了したときには、制御はステップ8へ進み、フラグF1を0にリセットしてこの回の制御を終了する。
【0016】
上記のフラグF1や後述のフラグF2の如きフラグは車輌運転の開始時に0にリセットされるので、このフローチャートによる制御が最初にステップ2至ったとき元々アップシフト操作中でなければ、フラグF1が0のまま制御はステップ5へ進むので、ステップ5の答はノーであり、制御はステップ9へ進み、ダウンシフト操作中であるか否かが判断される。答がイエスあれば制御はステップ10へ進み、変速比Rを漸増する制御が開始される。次いで、ステップ11にてフラグF2が1にセットされ、制御はステップ9へ戻る。こうしてシフトレバーの如き操作端がダウンシフト操作されていれば、その間、変速比Rを漸増するダウンシフトか行われる。(この場合にも、変速比の実際の増大が生ずるのは無段変速機が最大減速状態に達するまでである。)
【0017】
かくして或る期間ダウンシフトが行われ、運転者が所望の変速比が得られたと感じてダウンシフト操作を解除すれば、ステップ9の答はノーに転じるので、それより制御はステップ12へ進む。ステップ12に於いては、フラグF2が1であるか否かが判断される。ダウンシフト操作が一度開始された後それが解除されて制御がステップ12に至ったときには、フラグF2は1にセットされているので答はイエスであり、制御はステップ13へ進み、その瞬間の変速比RがRtとして保存される。次いで制御はステップ14へ進み、上述のステップ7に於けると同様の要領にて、ステップ13にて保存された変速比Rtを目標値とし、変速比の過増を修正する制御が行われる。この場合にも、変速比過増修正制御は、変速比の値が安定するまで、或はそれを見込んだ所定時間だけ行われるようになっていてよい。ステップ14に於ける制御が終了したときには、制御はステップ15へ進み、フラグF2を0にリセットしてこの回の制御を終了する。
【0018】
図2に、上記の要領によるアップシフトをおよびダウンシフトの例が、CVT入力回転数を縦軸とし車速を横軸とする図4の座標系と同じ座標系にて示されている。今、車輌の運転状態がA点にあり、無段変速機は手動変速モードによってA点に対応する変速比Raに設定されているとする。かかる運転状態より始まって、運転者がシフトレバーを操作して変速装置に対しアップシフトを指令したとする。アップシフト操作が続けられている間、変速比は漸減して行く。暫時の経過の後、車輌の運転状態が変速比RbtであるBt点に達したところで、運転者がアップシフトはここまででよいと判断し、シフトレバーによるアップシフト操作を解除したとする。しかし無段変速機のアップシフト作動はその作動の慣性により瞬間的には停止せず、従来技術のままでは、アップシフト作動が実際に停止するのは変速比がRbsまで増大したBs点となる。
【0019】
これに対し、図1のフローチャートによる制御が行われるときには、運転者がアップシフト指令を解除した時点に於ける変速比Rbtがステップ6に於いて変速比目標値Rtとして保存され、ステップ7に於いてRtを目標値として変速比をこれに一致させる変速比過減修正制御が行われる。尚、ステップ7に於ける変速比過減修正制御は車輌の作動点がBsに至るのを待って開始される必要はなく、作動点がBtを過ぎたとき直ちに開始されてよい。
【0020】
ダウンシフトの場合も同様であり、車輌の運転状態がC点にあり、変速比がRcである状態から始まって、シフトレバーのダウンシフト操作により変速装置のダウンシフトされるとき、変速比がRdtとなったDt点にて運転者がダウンシフト操作を解除したときにも、上記のフローチャートのステップ13および14による制御が行われなければ、無段変速機のダウンシフトは変速比がRdsとなるDs点まで進行するところ、ステップ13および14の制御により無段変速機をDt点にもたらすことができる。
【0021】
以上に於いては本発明を一つの実施の形態について詳細に説明したが、かかる実施の形態について本発明の範囲内にて種々の変更が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による車輌用変速装置の一つの実施の形態をその作動の形態に於いて示すフローチャート。
【図2】図1に示すフローチャートによる車輌用変速装置の作動の要点をCVT入口回転数を縦軸とし車速を横軸とする座標系に於いて示す線図。
【図3】本発明による改良の対象となる車輌用変速装置を含む車輌駆動系の公知の基本構成を示す概略図。
【図4】図3に示す公知の車輌用変速装置の公知の変速作動態様をCVT入口回転数を縦軸とし車速を横軸とする座標系に於いて示す線図。
【符号の説明】
10…エンジン、12…直結クラッチ、14…トルクコンバータ、16…歯車変速機構、18…無段変速機(CVT)、20…プロペラ軸、22…差動歯車、24…車軸、26…駆動輪、28…電子制御装置(ECU)、30…車速センサ、32…変速操作装置
Claims (1)
- 無段変速機と、前記無段変速機の変速比を手動で設定する手動変速手段とを備え、前記手動変速手段の操作端がアップシフト側に操作されている間前記無段変速機の変速比が漸減され、前記手動変速手段の操作端がダウンシフト側に操作されている間前記無段変速機の変速比が漸増されるようになっている車輌用変速装置にして、前記操作端の操作が解除された後惰性で変化した変速比を操作解除の瞬間の変速比まで戻す変速比過変修正制御がされるようになっていることを特徴とする車輌用変速装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002364891A JP2004197788A (ja) | 2002-12-17 | 2002-12-17 | 手動変速操作終了時の変速比に変速される車輌用変速装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002364891A JP2004197788A (ja) | 2002-12-17 | 2002-12-17 | 手動変速操作終了時の変速比に変速される車輌用変速装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004197788A true JP2004197788A (ja) | 2004-07-15 |
Family
ID=32762590
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002364891A Pending JP2004197788A (ja) | 2002-12-17 | 2002-12-17 | 手動変速操作終了時の変速比に変速される車輌用変速装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004197788A (ja) |
-
2002
- 2002-12-17 JP JP2002364891A patent/JP2004197788A/ja active Pending
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