JP2004196973A - 感圧接着剤組成物の製造方法、及び得られた組成物を用いた疑似接着可能な記録用紙 - Google Patents
感圧接着剤組成物の製造方法、及び得られた組成物を用いた疑似接着可能な記録用紙 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】感圧接着剤組成物の混合安定性を向上させる方法と共に、品質の安定した疑似接着可能な記録用紙を提供する。
【解決手段】接着剤基剤と、無機物系及び有機物系の微小粒子を主成分として混合してなる感圧接着剤組成物の製造方法、及び、この方法によって得られた組成物を用いた記録用紙。上記方法の特徴は、無機物系及び有機物系の微小粒子を混合して水分散液とした後に接着剤基剤へ混合する点にある。
【選択図】 なし
【解決手段】接着剤基剤と、無機物系及び有機物系の微小粒子を主成分として混合してなる感圧接着剤組成物の製造方法、及び、この方法によって得られた組成物を用いた記録用紙。上記方法の特徴は、無機物系及び有機物系の微小粒子を混合して水分散液とした後に接着剤基剤へ混合する点にある。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は感圧接着剤組成物及び及びそれを用いた記録用紙に関し、特に、通常では接着せず、一定の条件で圧着された際に再剥離可能に接着する情報記録面を有する、疑似接着可能な記録用紙に好適な感圧接着剤組成物の製造方法、及び、該方法によって得られた組成物を用いた記録用紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、疑似接着性能を有する層を設けた基材シートの疑似接着性能を有する層の表面に、各種の隠蔽又は秘匿する必要のある情報等を印刷・印字した後、該記録した層同士を対向させて加圧し、疑似接着させることによって、必要な時に再剥離可能な情報隠蔽シートとすることが行われており、親展はがきや配送伝票用として利用されている。
【0003】
疑似接着性能を有する層の表面に情報を記録する方法としては、例えば、地模様や定型情報をオフセット印刷等によって記録し、個別の可変情報をコンピューターに接続した電子写真方式あるいはインクジェット方式等の高速ノンインパクトプリンターによって印字する方法があり、この方法は高速処理が可能であることから広く利用されている。
【0004】
これらの疑似接着性シートとしては、基材シートの少なくとも一面に、非剥離性接着剤基剤とその接着剤基剤に対して非親和性を示す微粒状充填剤とからなる接着剤組成物の層を設けたことを特徴とする情報担体用シート;非剥離性接着剤基剤と、その接着剤基剤に対して非親和性を示す微粒状充填剤、或いは、更に水溶性高分子を配合した接着剤組成物の層を設けたことを特徴とする情報担体用シート;アクリル酸エステルと水溶性樹脂エマルジョンを主成分として含むアクリル樹脂エマルジョンと、平均粒径が1〜20μmの親水性微小粒子を基本成分として含有することを特徴とする感圧接着剤組成物を設けた感圧疑似接着シート;アクリル酸エステルとアクリロニトリルをモノマー成分として含むアクリル樹脂エマルジョンと、平均粒子径が1〜20μmの微小粒子を基本成分として含有することを特徴とする感圧接着剤組成物を塗布した記録用シート等の発明が開示されている(例えば特許文献1〜4参照)。
【0005】
また、感圧接着剤層が第4級アンモニウム基を有するカチオン性化合物を固形分重量の1〜50重量%含有することを特徴とする圧着記録用紙や、再剥離性接着剤層を備えた親展ハガキ用紙において、接着剤としてカチオン性の接着剤を用いたことを特徴とする親展ハガキ用紙等の発明も知られている(例えば特許文献5及び6参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平4−59395号公報
【特許文献2】
特開平5−331439号公報
【特許文献3】
特開平11−236544号公報
【特許文献4】
特開平9−263743号公報
【特許文献5】
特開平9−39378号公報
【特許文献6】
特開平11−321160号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
これらの疑似接着可能な記録用紙は、いずれも、感圧接着剤組成物中に接着剤基剤と微粒状充填剤若しくは微小粒子を必須成分として含有するが、本発明者等の検討によれば、何れの場合にも、得られる感圧接着剤組成物の性状が不安定である為に、この感圧接着剤組成物を塗布して得られる疑似接着記録用紙の剥離性が不安定になる欠点があった。
従って本発明の第1の目的は、微小粒子の分散安定性が良好な感圧接着剤組成物の製造方法を提供することにある。
本発明の第2の目的は、安定して良好な疑似接着性を有する、疑似接着可能な記録用紙を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記の諸目的は、接着剤基剤、無機物系微小粒子及び有機物系の微小粒子を主成分として混合してなる感圧接着剤組成物の製造方法において、前記無機物系の微小粒子及び有機物系の微小粒子を混合して水分散液とした後に、該水分散液を接着剤基剤に混合することを特徴とする感圧接着剤組成物の製造方法、及びこの製造方法によって得られた感圧接着剤組成物を用いた記録用紙によって達成された。上記方法により、感圧接着剤組成物の微小粒子が凝集はもとより沈降も起こさず、分散安定性が向上し、感圧接着剤組成物を高濃度で調整することも可能となる。本発明においては、微小粒子の分散液の液温を5〜40℃に調節することが好ましい。また、本発明の感圧接着剤組成物の性能は、当該感圧接着剤組成物を基材シートの表面に塗布し、23℃、50%RHの環境下において、加圧接着後、7日間放置した後の接着力変化(放置後の接着力/放置前の接着力)を2.0倍以下とすることにより保証することが出来る。本発明の感圧接着剤組成物を塗布した疑似接着可能な記録用紙は、圧着後の剥離性が安定しており、良好な擬似接着性を有することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明における、接着剤基剤、無機物系の微小粒子及び有機物系の微小粒子を主成分として混合してなる感圧接着剤組成物の製造方法においては、無機物系の微小粒子及び有機物系の微小粒子を混合した水分散液を予め調製した後、その水分散液を接着剤基剤に混合することが重要である。尚、無機物系微小粒子及び有機物系微小粒子を混合した水分散液の調整方法としては、▲1▼有機物系微小粒子の水分散液に無機物系の微小粒子を更に添加して微小粒子の水分散液を調整する方法、▲2▼無機物系微小粒子の水分散液に有機物系の微小粒子を更に添加して微小粒子の水分散液を調整する方法、▲3▼無機物系微小粒子の分散液と有機物系微小粒子の分散液を個別に調整した後、これらの分散液を混合して微小粒子の分散液を調整する方法のいずれであっても良い。
【0010】
無機物系の微小粒子及び有機物系の微小粒子を混合して水分散液とすることにより、微小粒子の接着剤基剤への分散安定性が向上し、微小粒子の沈降が起こり難く、また、凝集物等の生じない安定した品質の感圧接着剤組成物を得ることができる。更に感圧接着剤組成物の高濃度化が可能となり、感圧接着剤組成物を塗布する際の乾燥負荷の軽減が可能となる。
【0011】
これに対し、微小粒子分散液に接着剤基剤を混合する方法では、接着剤基剤が凝集して凝集物を含有する感圧接着剤組成物となりやすくなるために、この感圧接着剤組成物を塗布した疑似接着可能な情報記録用紙は、加圧時に安定した接着力を発現できなくなる。また、無機系微小粒子の分散液と有機物系微小粒子の分散液を個別に調整した後、接着剤基剤に個別に添加して混合し、感圧接着剤組成物とする混合方法の場合には、混合性は良好であるものの、高濃度化が困難となる上、微小粒子の沈降が生じやすい塗料となる。更に、接着剤基剤に微小粒子を粉末のまま添加する方法では、微小粒子の分散が十分に行われないため、凝集物の残った感圧接着剤組成物となる。
【0012】
本発明の製造方法においては、微小粒子の分散液の液温を5〜40℃にすることが好ましい。特に、無機物系微小粒子の水分散液に有機物系の微小粒子を更に添加して微小粒子の水分散液を調整する場合には、選択する無機物系微小粒子の種類によっては水分散液の液温が40℃を超えることがあるために注意が必要である。無機物系微小粒子の分散液の液温が40℃を超えると、例えば、有機物系微小粒子としてデンプン粒子を添加する場合、デンプン粒子が膨潤し始めるために分散液の粘度が著しく上昇して送液等でトラブルを生じ易くなる上、この感圧接着剤を塗布した情報記録用紙では、加圧時の接着力が不安定となるので好ましくない。無機物系微小粒子の液温が40℃を越えた場合には、水等の添加や冷却によって液温を40℃以下にした後に有機物系の微小粒子を添加する。尚、同様の理由により、微小粒子の分散液の液温を40℃以下で用いることが好ましい。
【0013】
本発明において疑似接着可能な感圧接着剤組成物に用いられる接着剤基剤としては、メチルメタクリレート等のアクリル系モノマーを重合した天然ゴムラテックス、スチレン−ブタジエン共重合ラテックス、エチレン−酢酸ビニル樹脂エマルジョン、アクリル樹脂エマルジョン等の公知のエマルジョンを、単独で若しくは併用して利用することができる。
【0014】
本発明においては、圧着時の接着力の調整及び用紙巻取り時や積み重ね時のブロッキング対策として、平均粒子径が1〜30μmの微小粒子を接着剤基剤100重量部(乾燥重量部、以下同じ)に対して50〜350重量部添加し、好ましくは、100〜250重量部添加する。平均粒子径が1μmに満たない微小粒子を使用した場合にはブロッキングし易くなり、30μmを超える場合には塗工層からの脱落がし易くなる等の問題がある。
【0015】
また、1〜30μmの微小粒子の使用量が、樹脂エマルジョン100重量部に対して50重量部未満では再剥離性能が劣り、350重量部を超えると圧着時の接着力が得にくくなり、親展はがき等に加工した際に剥がれやすく、はがき郵送途中等に剥離してしまう懸念がある。尚、ここでいう平均粒子径とは、通常1個の粒子の大きさの平均値を表すが、例えばシリカのような微細な粒子が集団を形成し、あたかも1個の粒子のような挙動を示す場合には、この集団(2次粒子)の平均の大きさを意味する。
【0016】
本発明の感圧接着剤組成物に用いられる微小粒子は、例えば、有機物系微小粒子として、デンプン粒子、セルロース微粉末、メラミン系樹脂粒子、尿素系樹脂粒子、スチレン系樹脂粒子、アクリル系樹脂粒子等の公知の微小粒子、無機物系微小粒子としては、シリカ、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン等の公知の微小粒子の中から適宜選択して使用することができる。本発明においては、有機物系微小粒子と無機物系微小粒子それぞれ1種以上、計2種以上の微小粒子を選択して添加することが好ましい。
【0017】
有機物系微小粒子は適度なクッション性を有するので、これを添加することによって接着させるための加圧時の接着力を制御することができると共に、接着した記録用紙の接着力が経時で変化することを防止する効果がある。一方、無機物系微小粒子は、接着力のコントロールに寄与する他、そのインク吸収特性により、オフセット印刷や高速ノンインパクトプリンター等による情報記録適性を向上させる効果がある。
【0018】
本発明の感圧接着剤組成物には、印刷加工時や可変情報を記録する際の感圧接着剤層の脱落を防止するために、スチレン−ブタジエン共重合ラテックス、アクリル樹脂系エマルジョン、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン、ウレタン樹脂系エマルジョン等の合成バインダーや、(変性)デンプン水溶液、(変性)ポリビニルアルコール水溶液、カゼイン水溶液、カルボキシメチルセルロース水溶液等の水溶性のバインダーを、5〜150重量部添加することが好ましい。
【0019】
更に、本発明の感圧接着剤組成物には、必要に応じて、帯電防止剤、界面活性剤、消泡剤、分散剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、各種染料等の助剤を添加することができる。
【0020】
本発明に使用される基材シートは、紙、布、不職布、紙の上に樹脂フィルムをラミネートしたシート、フィルムシート等の公知のものを使用することができる。特に、木材パルプを主体とし、これに合成繊維や無機質繊維を必要に応じて配合し、填料、紙力増強剤、サイズ剤、歩留り向上剤等を適宜添加して、長網抄紙機あるいはツインワイヤー抄紙機で抄紙することが好ましい。また、サイズプレスにてサイズ剤や表面強度向上剤を付与して乾燥し、カレンダーにて平滑処理してなる基材シートを用いることが好ましい。
【0021】
本発明の方法によって得られた感圧接着剤組成物の塗布量は、本発明の疑似接着可能な記録用紙の接着力を十分なものとするために、通常、基材シートの片面当たり2.5〜10g/m2(乾燥重量)であることが好ましく、特に3〜8g/m2であることが好ましい。基材シートへの感圧接着剤組成物の塗布は、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、キスコーター、バーコーター、カーテンコーター、グラビアコーター又はコンマコーター等の、従来公知の塗工装置を適宜選択して用い、行うことができる。
【0022】
【発明の効果】
本発明の製造方法により、接着剤基剤と微小粒子を必須成分として含む感圧接着剤組成物の分散安定性が良好となった。また、本発明で得られた感圧接着剤組成物を塗布した疑似接着可能な記録用紙は、接着力の発現性が十分であるだけでなく、接着後に時間が経過しても接着力の上昇が少ない等、良好な疑似接着性を有している。
【0023】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例によって更に詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。尚、以下において「%」及び「部」は、特に明示のない限り「重量%」及び「重量部」を表す。
【0024】
実施例1.
平均粒子径が14μmのデンプン粒子を用いて45%濃度の水分散液を調整し、水を添加した後、見かけの平均粒子径が1.4μmの合成シリカを、デンプン/合成シリカ=1/1(固形分比)となるように添加し分散して、液温26℃、濃度30%のデンプン/合成シリカ混合水分散液を調整した。この水分散液を、50%濃度のアクリル変性天然ゴムラテックスに、アクリル変性天然ゴム/デンプン/合成シリカ=100/100/100(乾燥重量部)となるように添加した。次いで、48%濃度のスチレン−ブタジエン共重合ラテックス20部(乾燥重量部)、及びその他の助剤10部(乾燥重量部)を混合し、更に水を添加して、濃度25%の感圧接着剤組成物を得た。
【0025】
得られた感圧接着剤組成物を200メッシュのろ布でろ化し、凝集物を確認したところ、凝集物は認められなかった。また、感圧接着剤組成物中の微小粒子の沈降の程度を静置1時間後に観察した結果、微小粒子の沈降は生じていなかった。
【0026】
更に、この感圧接着剤組成物を坪量が90g/m2の上質紙にエアナイフコーターで7g/m2となるように塗布し、疑似接着可能な記録用紙を得た。次いで、23℃、50%RHの環境下に24時間以上放置した後、ローラータイプのプレス機を用いて、線圧58kN/mで10m/分の通紙条件下で感圧接着剤組成物塗布面同士を加圧接着させた。2時間後に、引張り速度300mm/分の条件でT型剥離試験を行い、接着力を測定した結果、接着力は62N/mで、安定して圧着界面から剥離可能であった。
【0027】
また、接着した試料を、23℃、50%RHの環境下に7日間放置した後に測定した接着力は84N/mであり、7日間放置した後の接着力の変化(放置後の接着力/放置前の接着力)は、1.4倍であった。尚、接着力は、30〜100N/mが疑似接着用紙として好ましい範囲である。更に、7日間放置後の接着力の変化は、2倍以下であることが実用上好ましい範囲である。
【0028】
実施例2.
見かけの平均粒子径が8.5μmの合成シリカを用いて27%濃度の水分散液を調整した。この分散液の液温は41℃であった。次に、水を添加した後、平均粒子径が14μmのデンプン粒子を、デンプン/合成シリカ=1/1(固形分比)となるように添加、分散して、液温33℃、濃度32%のデンプン/合成シリカ混合水分散液を調整した。この分散液を、50%濃度のアクリル変性天然ゴムラテックスに、アクリル変性天然ゴム/デンプン/合成シリカ=100/100/100(乾燥重量部)となるように添加した。更に、48%濃度のスチレン−ブタジエン共重合ラテックス20部(乾燥重量部)、及びその他の助剤10部(乾燥重量部)を混合し、水を添加して濃度が25%の感圧接着剤組成物を得た。
【0029】
得られた感圧接着剤組成物を200メッシュのろ布でろ化して凝集物を確認したところ、凝集物は認められなかった。また、感圧接着剤組成物中の微小粒子の沈降の程度を静置1時間後に観察した結果、微小粒子の沈降は生じていなかった。
【0030】
更に、この感圧接着剤組成物を坪量が90g/m2の上質紙にエアナイフコーターで8.0g/m2となるように塗布して疑似接着可能な記録用紙を得た。次いで、23℃、50%RHの環境下に24時間以上放置した後、ローラータイプのプレス機を用いて、線圧58kN/mで10m/分の通紙条件下で感圧接着剤組成物塗布面同士を加圧接着させた。2時間後に、引張り速度300mm/分の条件でT型剥離試験を行い、接着力を測定した結果、接着力は51N/mで安定して圧着界面から剥離可能であった。また、接着した試料を、23℃、50%RHの環境下に7日間放置した後に測定した接着力は87N/mであり、7日間放置後の接着力の変化は1.7倍であった。
【0031】
実施例3.
見かけの平均粒子系が3.9μmの合成シリカを用いて19%濃度の水分散液を調整した。また、平均粒子系が28μmのデンプン粒子を用いて45%濃度の水分散液を調整し、先に調整した合成シリカの水分散液と、デンプン/合成シリカ=1/1(固形分比)となるように混合して、液温32℃、濃度27%のデンプン/合成シリカ混合分散液を調整した。この分散液を、50%濃度のアクリル変性天然ゴムラテックスに、アクリル変性天然ゴム/デンプン/合成シリカ=100/100/100(乾燥重量部)となるように添加し、更に、48%濃度のスチレン−ブタジエン共重合ラテックス20部(乾燥重量部)、及びその他助剤10部(乾燥重量部)を混合し、更に水を添加して、濃度25%の感圧接着剤組成物を得た。
【0032】
得られた感圧接着剤組成物を200メッシュのろ布でろ化し、凝集物を確認したところ凝集物は認められなかった。また、感圧接着剤組成物中の微小粒子の沈降の程度を、静置1時間後に観察した結果、微小粒子の沈降は生じていなかった。
【0033】
更に、この感圧接着剤組成物を坪量が90g/m2の上質紙にエアナイフコーターで7.5g/m2となるように塗布し、疑似接着可能な記録用紙を得た。次いで、23℃、50%RHの環境下に24時間以上放置した後、ローラータイプのプレス機を用いて、線圧58kN/mで10m/分の通紙条件下で感圧接着剤組成物塗布面同士を加圧接着させた。2時間後に、引張り速度300mm/分の条件でT型剥離試験を行い、接着力を測定した結果、接着力は66N/mで安定して圧着界面から剥離可能であった。また、接着した試料を、23℃、50%RHの環境下に7日間放置した後に測定した接着力は93N/mであり、7日間放置後の接着力変化は1.4倍であった。
【0034】
比較例1.
実施例1と同様にして、液温26℃、濃度30%のデンプン/合成シリカ混合水分散液を調整した。この混合水分散液に、50%濃度のアクリル変性天然ゴムラテックスを、アクリル変性天然ゴム/デンプン/合成シリカ=100/100/100(乾燥重量部)となるように添加した。更に、48%濃度のスチレン−ブタジエン共重合ラテックス20部(乾燥重量部)、及びその他助剤10部(乾燥重量部)を混合し、更に水を添加して、濃度25%の感圧接着剤組成物を得た。
得られた感圧接着剤組成物を200メッシュのろ布でろ化して凝集物を確認したところ、凝集物が多量に認められた。また、感圧接着剤組成物中の微小粒子の沈降の程度を、静置1時間後に観察した結果、微小粒子及び凝集物の沈降が認められた。
【0035】
更に、この感圧接着剤組成物を坪量が90g/m2の上質紙にエアナイフコーターで7.5g/m2となるように塗布し、疑似接着可能な記録用紙を得た。次いで、23℃、50%RHの環境下に24時間以上放置した後、ローラータイプのプレス機を用いて、線圧58kN/mで10m/分の通紙条件下で感圧接着剤組成物塗布面同士を加圧接着させた。2時間後に、引張り速度300mm/分の条件でT型剥離試験を行って接着力を測定した結果、接着力は52N/mであったが、安定して剥離界面から剥離できず、剥離面には凝集物による大きな凸凹が観察された。また、接着した試料を、23℃、50%RHの環境下に7日間放置した後に測定した接着力は92N/mであり、7日間放置後の接着力変化は1.8倍であった。
【0036】
比較例2.
実施例3と同様にして、19%濃度の合成シリカの水分散液、及び、45%濃度のデンプンの水分散液を得た。次いで、50%濃度のアクリル変性天然ゴムラテックスに、アクリル変性天然ゴム/デンプン/合成シリカ=100/100/100(乾燥重量部)となるようにそれぞれを個別に添加した。更に、48%濃度のスチレンブタジエンラテックス10部(乾燥重量部)、及びその他助剤10部(乾燥重量部)を添加して混合し、更に水を添加して濃度25%の感圧接着剤組成物を得た。
得られた感圧接着剤組成物を200メッシュのろ布でろ化して凝集物を確認したところ、凝集物は認められなかった。しかしながら、静置1時間後に感圧接着剤組成物中の微小粒子の沈降の程度を観察した結果、微小粒子の沈降が認められた。
【0037】
更に、この感圧接着剤組成物を坪量が90g/m2の上質紙にエアナイフコーターで7.5g/m2となるように塗布し、疑似接着可能な記録用紙を得た。次いで、23℃、50%RHの環境下に24時間以上放置した後、ローラータイプのプレス機を用いて、線圧58kN/mで10m/分の通紙条件下で感圧接着剤組成物塗布面同士を加圧接着させた。2時間後に、引張り速度300mm/分の条件でT型剥離試験を行い、接着力を測定した結果接着力は64N/mであった。また、接着した試料を、23℃、50%RHの環境下に7日間放置した後に測定した接着力は95N/mであり、7日間放置後の接着力変化は1.5倍であった。
【0038】
実施例及び比較例の結果は表1に示した通りである。
【表1】
【発明の属する技術分野】
本発明は感圧接着剤組成物及び及びそれを用いた記録用紙に関し、特に、通常では接着せず、一定の条件で圧着された際に再剥離可能に接着する情報記録面を有する、疑似接着可能な記録用紙に好適な感圧接着剤組成物の製造方法、及び、該方法によって得られた組成物を用いた記録用紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、疑似接着性能を有する層を設けた基材シートの疑似接着性能を有する層の表面に、各種の隠蔽又は秘匿する必要のある情報等を印刷・印字した後、該記録した層同士を対向させて加圧し、疑似接着させることによって、必要な時に再剥離可能な情報隠蔽シートとすることが行われており、親展はがきや配送伝票用として利用されている。
【0003】
疑似接着性能を有する層の表面に情報を記録する方法としては、例えば、地模様や定型情報をオフセット印刷等によって記録し、個別の可変情報をコンピューターに接続した電子写真方式あるいはインクジェット方式等の高速ノンインパクトプリンターによって印字する方法があり、この方法は高速処理が可能であることから広く利用されている。
【0004】
これらの疑似接着性シートとしては、基材シートの少なくとも一面に、非剥離性接着剤基剤とその接着剤基剤に対して非親和性を示す微粒状充填剤とからなる接着剤組成物の層を設けたことを特徴とする情報担体用シート;非剥離性接着剤基剤と、その接着剤基剤に対して非親和性を示す微粒状充填剤、或いは、更に水溶性高分子を配合した接着剤組成物の層を設けたことを特徴とする情報担体用シート;アクリル酸エステルと水溶性樹脂エマルジョンを主成分として含むアクリル樹脂エマルジョンと、平均粒径が1〜20μmの親水性微小粒子を基本成分として含有することを特徴とする感圧接着剤組成物を設けた感圧疑似接着シート;アクリル酸エステルとアクリロニトリルをモノマー成分として含むアクリル樹脂エマルジョンと、平均粒子径が1〜20μmの微小粒子を基本成分として含有することを特徴とする感圧接着剤組成物を塗布した記録用シート等の発明が開示されている(例えば特許文献1〜4参照)。
【0005】
また、感圧接着剤層が第4級アンモニウム基を有するカチオン性化合物を固形分重量の1〜50重量%含有することを特徴とする圧着記録用紙や、再剥離性接着剤層を備えた親展ハガキ用紙において、接着剤としてカチオン性の接着剤を用いたことを特徴とする親展ハガキ用紙等の発明も知られている(例えば特許文献5及び6参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平4−59395号公報
【特許文献2】
特開平5−331439号公報
【特許文献3】
特開平11−236544号公報
【特許文献4】
特開平9−263743号公報
【特許文献5】
特開平9−39378号公報
【特許文献6】
特開平11−321160号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
これらの疑似接着可能な記録用紙は、いずれも、感圧接着剤組成物中に接着剤基剤と微粒状充填剤若しくは微小粒子を必須成分として含有するが、本発明者等の検討によれば、何れの場合にも、得られる感圧接着剤組成物の性状が不安定である為に、この感圧接着剤組成物を塗布して得られる疑似接着記録用紙の剥離性が不安定になる欠点があった。
従って本発明の第1の目的は、微小粒子の分散安定性が良好な感圧接着剤組成物の製造方法を提供することにある。
本発明の第2の目的は、安定して良好な疑似接着性を有する、疑似接着可能な記録用紙を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記の諸目的は、接着剤基剤、無機物系微小粒子及び有機物系の微小粒子を主成分として混合してなる感圧接着剤組成物の製造方法において、前記無機物系の微小粒子及び有機物系の微小粒子を混合して水分散液とした後に、該水分散液を接着剤基剤に混合することを特徴とする感圧接着剤組成物の製造方法、及びこの製造方法によって得られた感圧接着剤組成物を用いた記録用紙によって達成された。上記方法により、感圧接着剤組成物の微小粒子が凝集はもとより沈降も起こさず、分散安定性が向上し、感圧接着剤組成物を高濃度で調整することも可能となる。本発明においては、微小粒子の分散液の液温を5〜40℃に調節することが好ましい。また、本発明の感圧接着剤組成物の性能は、当該感圧接着剤組成物を基材シートの表面に塗布し、23℃、50%RHの環境下において、加圧接着後、7日間放置した後の接着力変化(放置後の接着力/放置前の接着力)を2.0倍以下とすることにより保証することが出来る。本発明の感圧接着剤組成物を塗布した疑似接着可能な記録用紙は、圧着後の剥離性が安定しており、良好な擬似接着性を有することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明における、接着剤基剤、無機物系の微小粒子及び有機物系の微小粒子を主成分として混合してなる感圧接着剤組成物の製造方法においては、無機物系の微小粒子及び有機物系の微小粒子を混合した水分散液を予め調製した後、その水分散液を接着剤基剤に混合することが重要である。尚、無機物系微小粒子及び有機物系微小粒子を混合した水分散液の調整方法としては、▲1▼有機物系微小粒子の水分散液に無機物系の微小粒子を更に添加して微小粒子の水分散液を調整する方法、▲2▼無機物系微小粒子の水分散液に有機物系の微小粒子を更に添加して微小粒子の水分散液を調整する方法、▲3▼無機物系微小粒子の分散液と有機物系微小粒子の分散液を個別に調整した後、これらの分散液を混合して微小粒子の分散液を調整する方法のいずれであっても良い。
【0010】
無機物系の微小粒子及び有機物系の微小粒子を混合して水分散液とすることにより、微小粒子の接着剤基剤への分散安定性が向上し、微小粒子の沈降が起こり難く、また、凝集物等の生じない安定した品質の感圧接着剤組成物を得ることができる。更に感圧接着剤組成物の高濃度化が可能となり、感圧接着剤組成物を塗布する際の乾燥負荷の軽減が可能となる。
【0011】
これに対し、微小粒子分散液に接着剤基剤を混合する方法では、接着剤基剤が凝集して凝集物を含有する感圧接着剤組成物となりやすくなるために、この感圧接着剤組成物を塗布した疑似接着可能な情報記録用紙は、加圧時に安定した接着力を発現できなくなる。また、無機系微小粒子の分散液と有機物系微小粒子の分散液を個別に調整した後、接着剤基剤に個別に添加して混合し、感圧接着剤組成物とする混合方法の場合には、混合性は良好であるものの、高濃度化が困難となる上、微小粒子の沈降が生じやすい塗料となる。更に、接着剤基剤に微小粒子を粉末のまま添加する方法では、微小粒子の分散が十分に行われないため、凝集物の残った感圧接着剤組成物となる。
【0012】
本発明の製造方法においては、微小粒子の分散液の液温を5〜40℃にすることが好ましい。特に、無機物系微小粒子の水分散液に有機物系の微小粒子を更に添加して微小粒子の水分散液を調整する場合には、選択する無機物系微小粒子の種類によっては水分散液の液温が40℃を超えることがあるために注意が必要である。無機物系微小粒子の分散液の液温が40℃を超えると、例えば、有機物系微小粒子としてデンプン粒子を添加する場合、デンプン粒子が膨潤し始めるために分散液の粘度が著しく上昇して送液等でトラブルを生じ易くなる上、この感圧接着剤を塗布した情報記録用紙では、加圧時の接着力が不安定となるので好ましくない。無機物系微小粒子の液温が40℃を越えた場合には、水等の添加や冷却によって液温を40℃以下にした後に有機物系の微小粒子を添加する。尚、同様の理由により、微小粒子の分散液の液温を40℃以下で用いることが好ましい。
【0013】
本発明において疑似接着可能な感圧接着剤組成物に用いられる接着剤基剤としては、メチルメタクリレート等のアクリル系モノマーを重合した天然ゴムラテックス、スチレン−ブタジエン共重合ラテックス、エチレン−酢酸ビニル樹脂エマルジョン、アクリル樹脂エマルジョン等の公知のエマルジョンを、単独で若しくは併用して利用することができる。
【0014】
本発明においては、圧着時の接着力の調整及び用紙巻取り時や積み重ね時のブロッキング対策として、平均粒子径が1〜30μmの微小粒子を接着剤基剤100重量部(乾燥重量部、以下同じ)に対して50〜350重量部添加し、好ましくは、100〜250重量部添加する。平均粒子径が1μmに満たない微小粒子を使用した場合にはブロッキングし易くなり、30μmを超える場合には塗工層からの脱落がし易くなる等の問題がある。
【0015】
また、1〜30μmの微小粒子の使用量が、樹脂エマルジョン100重量部に対して50重量部未満では再剥離性能が劣り、350重量部を超えると圧着時の接着力が得にくくなり、親展はがき等に加工した際に剥がれやすく、はがき郵送途中等に剥離してしまう懸念がある。尚、ここでいう平均粒子径とは、通常1個の粒子の大きさの平均値を表すが、例えばシリカのような微細な粒子が集団を形成し、あたかも1個の粒子のような挙動を示す場合には、この集団(2次粒子)の平均の大きさを意味する。
【0016】
本発明の感圧接着剤組成物に用いられる微小粒子は、例えば、有機物系微小粒子として、デンプン粒子、セルロース微粉末、メラミン系樹脂粒子、尿素系樹脂粒子、スチレン系樹脂粒子、アクリル系樹脂粒子等の公知の微小粒子、無機物系微小粒子としては、シリカ、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン等の公知の微小粒子の中から適宜選択して使用することができる。本発明においては、有機物系微小粒子と無機物系微小粒子それぞれ1種以上、計2種以上の微小粒子を選択して添加することが好ましい。
【0017】
有機物系微小粒子は適度なクッション性を有するので、これを添加することによって接着させるための加圧時の接着力を制御することができると共に、接着した記録用紙の接着力が経時で変化することを防止する効果がある。一方、無機物系微小粒子は、接着力のコントロールに寄与する他、そのインク吸収特性により、オフセット印刷や高速ノンインパクトプリンター等による情報記録適性を向上させる効果がある。
【0018】
本発明の感圧接着剤組成物には、印刷加工時や可変情報を記録する際の感圧接着剤層の脱落を防止するために、スチレン−ブタジエン共重合ラテックス、アクリル樹脂系エマルジョン、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン、ウレタン樹脂系エマルジョン等の合成バインダーや、(変性)デンプン水溶液、(変性)ポリビニルアルコール水溶液、カゼイン水溶液、カルボキシメチルセルロース水溶液等の水溶性のバインダーを、5〜150重量部添加することが好ましい。
【0019】
更に、本発明の感圧接着剤組成物には、必要に応じて、帯電防止剤、界面活性剤、消泡剤、分散剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、各種染料等の助剤を添加することができる。
【0020】
本発明に使用される基材シートは、紙、布、不職布、紙の上に樹脂フィルムをラミネートしたシート、フィルムシート等の公知のものを使用することができる。特に、木材パルプを主体とし、これに合成繊維や無機質繊維を必要に応じて配合し、填料、紙力増強剤、サイズ剤、歩留り向上剤等を適宜添加して、長網抄紙機あるいはツインワイヤー抄紙機で抄紙することが好ましい。また、サイズプレスにてサイズ剤や表面強度向上剤を付与して乾燥し、カレンダーにて平滑処理してなる基材シートを用いることが好ましい。
【0021】
本発明の方法によって得られた感圧接着剤組成物の塗布量は、本発明の疑似接着可能な記録用紙の接着力を十分なものとするために、通常、基材シートの片面当たり2.5〜10g/m2(乾燥重量)であることが好ましく、特に3〜8g/m2であることが好ましい。基材シートへの感圧接着剤組成物の塗布は、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、キスコーター、バーコーター、カーテンコーター、グラビアコーター又はコンマコーター等の、従来公知の塗工装置を適宜選択して用い、行うことができる。
【0022】
【発明の効果】
本発明の製造方法により、接着剤基剤と微小粒子を必須成分として含む感圧接着剤組成物の分散安定性が良好となった。また、本発明で得られた感圧接着剤組成物を塗布した疑似接着可能な記録用紙は、接着力の発現性が十分であるだけでなく、接着後に時間が経過しても接着力の上昇が少ない等、良好な疑似接着性を有している。
【0023】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例によって更に詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。尚、以下において「%」及び「部」は、特に明示のない限り「重量%」及び「重量部」を表す。
【0024】
実施例1.
平均粒子径が14μmのデンプン粒子を用いて45%濃度の水分散液を調整し、水を添加した後、見かけの平均粒子径が1.4μmの合成シリカを、デンプン/合成シリカ=1/1(固形分比)となるように添加し分散して、液温26℃、濃度30%のデンプン/合成シリカ混合水分散液を調整した。この水分散液を、50%濃度のアクリル変性天然ゴムラテックスに、アクリル変性天然ゴム/デンプン/合成シリカ=100/100/100(乾燥重量部)となるように添加した。次いで、48%濃度のスチレン−ブタジエン共重合ラテックス20部(乾燥重量部)、及びその他の助剤10部(乾燥重量部)を混合し、更に水を添加して、濃度25%の感圧接着剤組成物を得た。
【0025】
得られた感圧接着剤組成物を200メッシュのろ布でろ化し、凝集物を確認したところ、凝集物は認められなかった。また、感圧接着剤組成物中の微小粒子の沈降の程度を静置1時間後に観察した結果、微小粒子の沈降は生じていなかった。
【0026】
更に、この感圧接着剤組成物を坪量が90g/m2の上質紙にエアナイフコーターで7g/m2となるように塗布し、疑似接着可能な記録用紙を得た。次いで、23℃、50%RHの環境下に24時間以上放置した後、ローラータイプのプレス機を用いて、線圧58kN/mで10m/分の通紙条件下で感圧接着剤組成物塗布面同士を加圧接着させた。2時間後に、引張り速度300mm/分の条件でT型剥離試験を行い、接着力を測定した結果、接着力は62N/mで、安定して圧着界面から剥離可能であった。
【0027】
また、接着した試料を、23℃、50%RHの環境下に7日間放置した後に測定した接着力は84N/mであり、7日間放置した後の接着力の変化(放置後の接着力/放置前の接着力)は、1.4倍であった。尚、接着力は、30〜100N/mが疑似接着用紙として好ましい範囲である。更に、7日間放置後の接着力の変化は、2倍以下であることが実用上好ましい範囲である。
【0028】
実施例2.
見かけの平均粒子径が8.5μmの合成シリカを用いて27%濃度の水分散液を調整した。この分散液の液温は41℃であった。次に、水を添加した後、平均粒子径が14μmのデンプン粒子を、デンプン/合成シリカ=1/1(固形分比)となるように添加、分散して、液温33℃、濃度32%のデンプン/合成シリカ混合水分散液を調整した。この分散液を、50%濃度のアクリル変性天然ゴムラテックスに、アクリル変性天然ゴム/デンプン/合成シリカ=100/100/100(乾燥重量部)となるように添加した。更に、48%濃度のスチレン−ブタジエン共重合ラテックス20部(乾燥重量部)、及びその他の助剤10部(乾燥重量部)を混合し、水を添加して濃度が25%の感圧接着剤組成物を得た。
【0029】
得られた感圧接着剤組成物を200メッシュのろ布でろ化して凝集物を確認したところ、凝集物は認められなかった。また、感圧接着剤組成物中の微小粒子の沈降の程度を静置1時間後に観察した結果、微小粒子の沈降は生じていなかった。
【0030】
更に、この感圧接着剤組成物を坪量が90g/m2の上質紙にエアナイフコーターで8.0g/m2となるように塗布して疑似接着可能な記録用紙を得た。次いで、23℃、50%RHの環境下に24時間以上放置した後、ローラータイプのプレス機を用いて、線圧58kN/mで10m/分の通紙条件下で感圧接着剤組成物塗布面同士を加圧接着させた。2時間後に、引張り速度300mm/分の条件でT型剥離試験を行い、接着力を測定した結果、接着力は51N/mで安定して圧着界面から剥離可能であった。また、接着した試料を、23℃、50%RHの環境下に7日間放置した後に測定した接着力は87N/mであり、7日間放置後の接着力の変化は1.7倍であった。
【0031】
実施例3.
見かけの平均粒子系が3.9μmの合成シリカを用いて19%濃度の水分散液を調整した。また、平均粒子系が28μmのデンプン粒子を用いて45%濃度の水分散液を調整し、先に調整した合成シリカの水分散液と、デンプン/合成シリカ=1/1(固形分比)となるように混合して、液温32℃、濃度27%のデンプン/合成シリカ混合分散液を調整した。この分散液を、50%濃度のアクリル変性天然ゴムラテックスに、アクリル変性天然ゴム/デンプン/合成シリカ=100/100/100(乾燥重量部)となるように添加し、更に、48%濃度のスチレン−ブタジエン共重合ラテックス20部(乾燥重量部)、及びその他助剤10部(乾燥重量部)を混合し、更に水を添加して、濃度25%の感圧接着剤組成物を得た。
【0032】
得られた感圧接着剤組成物を200メッシュのろ布でろ化し、凝集物を確認したところ凝集物は認められなかった。また、感圧接着剤組成物中の微小粒子の沈降の程度を、静置1時間後に観察した結果、微小粒子の沈降は生じていなかった。
【0033】
更に、この感圧接着剤組成物を坪量が90g/m2の上質紙にエアナイフコーターで7.5g/m2となるように塗布し、疑似接着可能な記録用紙を得た。次いで、23℃、50%RHの環境下に24時間以上放置した後、ローラータイプのプレス機を用いて、線圧58kN/mで10m/分の通紙条件下で感圧接着剤組成物塗布面同士を加圧接着させた。2時間後に、引張り速度300mm/分の条件でT型剥離試験を行い、接着力を測定した結果、接着力は66N/mで安定して圧着界面から剥離可能であった。また、接着した試料を、23℃、50%RHの環境下に7日間放置した後に測定した接着力は93N/mであり、7日間放置後の接着力変化は1.4倍であった。
【0034】
比較例1.
実施例1と同様にして、液温26℃、濃度30%のデンプン/合成シリカ混合水分散液を調整した。この混合水分散液に、50%濃度のアクリル変性天然ゴムラテックスを、アクリル変性天然ゴム/デンプン/合成シリカ=100/100/100(乾燥重量部)となるように添加した。更に、48%濃度のスチレン−ブタジエン共重合ラテックス20部(乾燥重量部)、及びその他助剤10部(乾燥重量部)を混合し、更に水を添加して、濃度25%の感圧接着剤組成物を得た。
得られた感圧接着剤組成物を200メッシュのろ布でろ化して凝集物を確認したところ、凝集物が多量に認められた。また、感圧接着剤組成物中の微小粒子の沈降の程度を、静置1時間後に観察した結果、微小粒子及び凝集物の沈降が認められた。
【0035】
更に、この感圧接着剤組成物を坪量が90g/m2の上質紙にエアナイフコーターで7.5g/m2となるように塗布し、疑似接着可能な記録用紙を得た。次いで、23℃、50%RHの環境下に24時間以上放置した後、ローラータイプのプレス機を用いて、線圧58kN/mで10m/分の通紙条件下で感圧接着剤組成物塗布面同士を加圧接着させた。2時間後に、引張り速度300mm/分の条件でT型剥離試験を行って接着力を測定した結果、接着力は52N/mであったが、安定して剥離界面から剥離できず、剥離面には凝集物による大きな凸凹が観察された。また、接着した試料を、23℃、50%RHの環境下に7日間放置した後に測定した接着力は92N/mであり、7日間放置後の接着力変化は1.8倍であった。
【0036】
比較例2.
実施例3と同様にして、19%濃度の合成シリカの水分散液、及び、45%濃度のデンプンの水分散液を得た。次いで、50%濃度のアクリル変性天然ゴムラテックスに、アクリル変性天然ゴム/デンプン/合成シリカ=100/100/100(乾燥重量部)となるようにそれぞれを個別に添加した。更に、48%濃度のスチレンブタジエンラテックス10部(乾燥重量部)、及びその他助剤10部(乾燥重量部)を添加して混合し、更に水を添加して濃度25%の感圧接着剤組成物を得た。
得られた感圧接着剤組成物を200メッシュのろ布でろ化して凝集物を確認したところ、凝集物は認められなかった。しかしながら、静置1時間後に感圧接着剤組成物中の微小粒子の沈降の程度を観察した結果、微小粒子の沈降が認められた。
【0037】
更に、この感圧接着剤組成物を坪量が90g/m2の上質紙にエアナイフコーターで7.5g/m2となるように塗布し、疑似接着可能な記録用紙を得た。次いで、23℃、50%RHの環境下に24時間以上放置した後、ローラータイプのプレス機を用いて、線圧58kN/mで10m/分の通紙条件下で感圧接着剤組成物塗布面同士を加圧接着させた。2時間後に、引張り速度300mm/分の条件でT型剥離試験を行い、接着力を測定した結果接着力は64N/mであった。また、接着した試料を、23℃、50%RHの環境下に7日間放置した後に測定した接着力は95N/mであり、7日間放置後の接着力変化は1.5倍であった。
【0038】
実施例及び比較例の結果は表1に示した通りである。
【表1】
Claims (3)
- 接着剤基剤、無機物系微小粒子及び有機物系の微小粒子を主成分として混合してなる感圧接着剤組成物の製造方法において、前記無機物系の微小粒子及び有機物系の微小粒子を混合して水分散液とした後に、該水分散液を接着剤基剤に混合することを特徴とする感圧接着剤組成物の製造方法。
- 前記微小粒子の水分散液の液温が、5〜40℃であることを特徴とする請求項1に記載された感圧接着剤組成物の製造方法。
- 請求項1または2に記載された製造方法によって製造した感圧接着剤組成物を、基材シートの少なくとも片面に塗布してなる疑似接着可能な記録用紙であって、23℃、50%RHの環境下において、加圧接着後7日間放置後の接着力変化(放置後の接着力/放置前の接着力)が2.0倍以下であることを特徴とする疑似接着可能な記録用紙。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002367714A JP2004196973A (ja) | 2002-12-19 | 2002-12-19 | 感圧接着剤組成物の製造方法、及び得られた組成物を用いた疑似接着可能な記録用紙 |
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JP2006213814A (ja) * | 2005-02-03 | 2006-08-17 | Emulsion Technology Co Ltd | 接着剤組成物 |
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2002
- 2002-12-19 JP JP2002367714A patent/JP2004196973A/ja active Pending
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