JP2004196865A - ポリウレタン樹脂およびその製造方法、さらに当該樹脂を用いた印刷インキ - Google Patents
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Abstract
【構成】分子内に酸基を有するポリウレタン樹脂を、アルコール系有機溶媒中で鎖延長剤としてエポキシ化合物を添加、反応することを特徴とするポリウレタン樹脂、およびその製造方法、さらにそれを用いた印刷インキ。
【選択図】 なし
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、酸基を有するポリウレタン樹脂を、アルコール系溶媒中でエポキシ樹脂と反応して得られるポリウレタン樹脂の製造方法及び、それを使用した印刷インキに関する。本発明のポリウレタン樹脂は、プラスチックフィルム、プラスチックシートへの濡れ性、接着性、ラミネート性能に優れ、インキ、塗料、接着剤、特にグラビア印刷、あるいはフレキソ印刷インキ分野に有用である。
【0002】
【従来の技術】
近年、食品、医療、化粧品、日用雑貨などの多くの包装資材として、経済性、利便性、美粧性あるいは機能性から、各種複合化されたプラスチックフィルムを使用した包装資材が使用されている。このようなプラスチックフィルムを使用した包装材の製造に際して、使用されるプラスチックフィルムが持つ包装材としての特性のほか、意匠性、メッセージ性を意図して、グラビア印刷やフレキソ印刷が施されているが、かかる印刷インキ用バインダーとして、優れた接着性、乾燥性、耐久性からポリウレタン樹脂が多用されている。(特開昭62−153367号公報、特開昭63−194035号公報、特開平6−49404号公報、特開平6−100817号公報など)
また、ポリウレタン樹脂はその優れた機械的性質、耐摩耗性、耐薬品性、接着性などの特性を活かして、ゴムとプラスチックスの境界分野を埋める樹脂として、印刷インキの他、塗料、接着剤、人工皮革などの幅広い用途分野に浸透している。しかしながら、ポリウレタン樹脂中に芳香族系、ケトン系、エステル系などの揮発性有機溶剤を含んでおり、環境保全、省資源、安全性といった社会ニーズが高まりから、芳香族溶剤を使用しない、あるいは水性化への方向で検討がなされ、例えば印刷インキでは特開平9−328646のように芳香族の有機溶剤を使用しない印刷インキ組成物が提案されている。しかしながら、ポリウレタン樹脂製造上の制約、つまり樹脂の溶解性や樹脂製造段階でイソシアネートとの反応を回避するためにエステル系やケトン系溶剤の使用が必要とされてきた。
【0003】
特開平6−100817号公報、特開平5−222330号公報では、溶媒中のアルコールが75重量%以上である組成であるバインダー組成物を提案している。しかしながら、フレキソ印刷は可能だがラミネート強度は充分といえるものではなかった。印刷インキ用ウレタン樹脂では特開平7-324179号公報、特開平8−224850号公報に記載されているが如く、優れたラミネート適性と溶解性を確保するために数千から数十万の高分子量なポリウレタン樹脂が好適である。従前のポリウレタン樹脂の製造方法では、かかる高分子量なポリウレタン樹脂を製造する上で、イソシアネートと有機溶媒との副反応を回避するためプレポリマーを非プロトン性有機溶媒下に合成した後、ウレア基への溶解性、粘度調整を目的にアルコールを添加しポリアミン化合物による鎖延長反応を行い、所望のポリウレタン樹脂が合成されており、かかる合成方法ではアルコール含有率が高く、かつ優れたラミネート適性を確保するための高分子量なポリウレタン樹脂を両立することは困難であった。
【0004】
【特許文献1】
特開平7-324179号公報
【特許文献2】
特開平8−224850号公報
【特許文献3】
特開平9−328646号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ポリウレタン樹脂の製造において、有機溶媒がアルコール単独もしくは、有機溶媒の70重量%以上がアルコールであり、かつフィルムへの濡れ性、接着性、ラミネート適性に優れたポリウレタン樹脂を提供することを目的とする。
【0006】
【産業上の利用分野】
本発明は、有機溶媒中で、分子内に酸基を有するポリウレタン樹脂と、鎖延長してエポキシ化合物を添加、反応することにより得られるポリウレタン樹脂の製造方法及び、それを使用した印刷インキに関する。本発明のエポキシ樹脂により鎖延長して得られたポリウレタン樹脂は、ウレタン樹脂プラスチックフィルム、プラスチックシートへの濡れ性、接着性、ラミネート性能に優れ、インキ、塗料、接着剤、特にグラビア印刷、あるいはフレキソ印刷インキ分野に有用である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、分子内に酸基を持つポリウレタン樹脂を合成した後、アルコールを70重量%以上含む有機溶媒の存在下、エポキシ基とウレタン樹脂中の酸基との反応を行うことにより、ケトン系、エステル系、芳香族系の有機溶媒の使用を低減と、かつフィルム基材への優れた接着性、優れた顔料分散性、印刷物の外観品質(印刷効果)を有したポリウレタン樹脂が得られること、更にはポリウレタン樹脂が印刷インキに極めて有用であることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、分子内に酸基を有するポリウレタン樹脂を、アルコール系有機溶媒中で鎖延長剤としてエポキシ化合物を添加、反応することを特徴とするポリウレタン樹脂に関する。
また本発明は、エポキシ化合物が分子内に少なくとも2個以上のオキシシラン環を有することを特徴とする上記ポリウレタン樹脂に関する。
さらに本発明は、分子内に酸基を有するポリウレタン樹脂100重量部(固形分)当り、エポキシ化合物が0.5から20重量部(固形分)の範囲で添加、反応させることを特徴とする上記ポリウレタン樹脂に関する。
加えて本発明は、アルコール系有機溶媒の70重量%以上がアルコールであることを特徴とする上記ポリウレタン樹脂に関する。
さらに加えて本発明は、分子内に酸基を有するポリウレタン樹脂の酸価が1から50であることを特徴とする上記ポリウレタン樹脂に関する。
さらに加えて本発明は、上記ポリウレタン樹脂の製造方法に関する。
さらに加えて本発明は、上記製造方法によって得られたポリウレタン樹脂を含有する印刷インキ、および当該インキを用いてなる印刷物に関する。
【0008】
以下、本発明のポリウレタン樹脂の製造方法を説明する。
本発明に用いられるポリウレタン樹脂は、
工程(1):高分子ポリオール、酸基含有ポリオール、有機ジイソシアネートを重合し酸基を含有するポリウレタンプレポリマーを得る工程、
工程(2):酸基を含有するポリウレタン樹脂をアルコール系溶媒に溶解する工程
工程(3):酸基を含有するポリウレタン樹脂を鎖延長剤としてエポキシ樹脂を添加、反応させる工程
からなる。尚、工程(2)と工程(3)は同時に行うことが出来る。
【0009】(高分子ポリオール)
工程(1)使用する高分子ポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2―プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,4−ブチレンジオール、ジプロピレングリコールなどの低分子ジオール類を用いることができる。また、酸化エチレン、酸化プロピレン、テトラヒドロフラン等の重合体もしくは共重合体等のポリエーテルポリオール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,4−ブチレンジオール、ジプロピレングリコールなどの飽和または不飽和の低分子ジオール類またはn-ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテルなどのアルキルグリシジルエーテル類、バーサティック酸グリシジルエステルなどのモノカルボン酸グリシジルエステル類と、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、こはく酸、しゅう酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などのジカルボン酸類あるいはこれらの無水物やダイマー酸を脱水縮合または重合させて得られるポリエステルポリオール類;環状エステル化合物を開環重合して得られるポリカプロラクトンジオールなどのポリエステルポリオール類;低分子ジオールとカーボネイトとを反応させて得られるポリ−カーボネートポリオール類;ポリブタジエングリコール類;ビスフェノールA、ビスフェノールF、水添ビスフェノールAに酸化エチレンまたは酸化プロピレンを付加させて得られるグリコール類など、ポリウレタン樹脂の製造に通常用いられる高分子ポリオールを例示することができる。
【0010】(酸基を持つジオール)
また、高分子ポリオールの他、酸基を付与する成分として、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸等のジメチロールアルカン酸;グルタミン、アスパラギン、リジン、ジアミノプロピオン酸、オルニチン、ジアミノ安息香酸、ジアミノベンゼンスルホン酸等のジアミン型アミノ酸類;グリシン、アラニン、グルタミン酸、タウリン、アスパラギン酸、アミノ酪酸、バリン、アミノカプロン酸、アミノ安息香酸、アミノイソフタル酸、スルファミン酸などのモノアミン型アミノ酸類が使用することができる。
【0011】(イソシアネートの種類)
工程(1)で使用するイソシアネートとしては、芳香族、脂肪族または脂環族の各種公知のジイソシアネート類を使用することができる。例えば、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルへ基さめ値レンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネートやダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等を例示することができる。
【0012】
本特許で使用する、分子内に酸基を有するポリウレタン樹脂の酸価は、1から50、好ましくは5から20である。酸価が1を下回ると、エポキシ樹脂による反応性が乏しく鎖延長効果が小さくなるため、鎖延長後のポリウレタン樹脂の接着強度が劣る。酸価が50を超えると、工程(3)での粘度上昇を招く他、変性後のポリウレタン樹脂の耐水性が低下、ラミネート適性の低下を招く。
【0013】(イソシアネートと水酸基の比率)
工程(1)におけるイソシアネート基当量1に対して、水酸基当量が0.8から1.6の範囲、好ましくは、0.9から1.5である。0.8を下回ると、プレポリマーの分子量が小さくなり、最終的に得られるポリウレタン樹脂の分子量も小さく、印刷インキ用バインダーとしての性能が得られない。
【0014】(イソシアネート末端ウレタンプレポリマーの数平均分子量)
工程(1)で得られるイソシアネート末端ウレタンプレポリマーの数平均分子量は、800〜15000、より好ましくは1000〜6000である。800を下回ると接着性が低下する。15000を上回るとレベリング性、溶解性が低下する。
【0015】
工程(1)、工程(2)における公知の方法が行うことが出来る。工程(1)でのポリオールとポリイソシアネートを反応させて、ウレタンプレポリマーをつくるウレタン化反応は、反応の温度は120℃以下が好ましい。120℃を越えると、アロハネート反応が進行し所定の分子量と構造を有するウレタンプレポリマーが得られなくなる。ウレタン化反応は、触媒の存在下、もしくは非存在下、70〜110℃で2〜20時間行うのが好ましい。
【0016】
工程(1)の反応終了後、残余のイソシアネート基が存在した場合、工程(3)での副反応を回避する上で、工程(2)はアルコール系溶媒で溶解させると同時に、溶媒中のアルコールにより残余のイソシアネート基を消失させることが好ましい。
水酸基とイソシアネート基の反応の触媒としては公知の触媒を使用することができる。例えば3級アミン系化合物、有機金属系化合物等が挙げられる。
【0017】(アルコールの種類)
本発明の工程(2)で用いられるアルコール/非アルコール溶媒のアルコール溶媒として、炭素数1から5のモノアルコール、グリコールが使用できる。具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルが例示できる。エチルアルコール、プロピルアルコールが好ましい。
【0018】(アルコール/非アルコール溶媒)
本発明の工程(2)で用いられる有機溶媒中のアルコール比率は、全溶媒中に対して70重量%以上、好ましくは80重量%以上である。非アルコール溶媒が全溶媒中30重量%を超えると、フレキソ印刷時に使用する樹脂版を膨潤、劣化させる。
【0019】(非アルコールの種類)
本発明の工程(2)で用いられるアルコール/非アルコール溶媒の非アルコール溶媒として、特に限定されるものではないが酢酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン等のケトン類:シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン等の炭化水素類が例示できる。
【0020】(エポキシ反応条件)
工程(3)の酸基含有ポリウレタン樹脂とエポキシ樹脂との反応は、常温から120℃の範囲で行われる。
【0021】(エポキシ化合物)
本発明で使用するエポキシ化合物はモノアルキルアルコールもしくは多価アルキルアルコールのポリグリシジルエーテルからなる樹脂である。これらのエポキシ化合物のエポキシ当量は好ましくは100〜2000、特に好ましくは100〜1000である。
エポキシ化合物としては、分子内に1又は2個以上のオキシシラン環を有する樹脂である。オキシシラン環を分子内に2個以上有する化合物としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジβメチルグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、テトラヒドロキシフェニルメタンテトラグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ブロム化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、クロル化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテル、ノボラックグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールジグリシジルエーテル、エポキシウレタン樹脂等のグリシジルエーテル型;P−オキシ安息香酸グリシジルエーテル・エステル等のグリシジルエーテル・エステル型;フタル酸ジグリシジルエステル、テトラハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、アクリル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエステル等のグリシジルエステル型;グリシジルアニリン、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルイソシアヌレート、トリグリシジルアミノフェノール等のグリシジルアミン型;エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化大豆油等の線状脂肪族エポキシ化合物;3,4エポキシ−6メチルシクロヘキシルメチル−3,4エポキシ−6メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシシクロヘキサン)カルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンジエポキサイド、ジシクロペンタジエンオキサイド、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、リモネンジオキサイド等の脂環族エポキシ化合物などが挙げられる。
【0022】
なかでも、水溶性エポキシ化合物が好ましく、一例としては、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリチリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリグリシデルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグルシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレン/プロピレングリコールジグリシジルエーテル等各種のものが挙げられる。
【0023】(エポキシの硬化剤)
エポキシ樹脂の硬化剤としては、一般に使用されているエポキシ樹脂用硬化剤を使用することができる。例えば、次のものが挙げられる。
(1) アミン類:ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラスピロ〔5,5〕ウンデカン等の脂環式アミン類、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族アミン類、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン−7等の3級アミン及びその塩類。
(2) 酸無水物類:無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の芳香族酸無水物類、無水テトラヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリアルキルテトラヒドロフタル酸等の環状脂肪族酸無水物類。
(3) 多価フェノール類:カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン、ビスフェノールF、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビフェノール、フェノールノボラック類、クレゾールノボラック類,ビスフェノールA等の2価フェノールのノボラック化物類、トリスヒドロキシフェニルメタン類、アラルキルポリフェノール類、ジシクロペンタジエンポリフェノール類等。
(4) その他:2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール及び2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール系化合物及びそれらの塩類、アミンのBF3 錯体化合物、脂肪族スルホニウム塩及び芳香族スルホニウム塩等のブレンステッド酸塩類、ジシアンジアミド類、アジピン酸ジヒドラジッド及びフタル酸ジヒドラジッド等の有機酸ヒドラジッド類、レゾール類、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、トリメリット酸及びカルボキシル基含有ポリエステル等のポリカルボン酸類、トリフェニルホスフィン等の有機ホスフィン化合物類等である。これらのエポキシ樹脂用硬化剤は、単独で使用してもよいが、2種以上を併用して使用することも可能である。
【0024】(インキの配合)
本発明のグラビア印刷インキは、例えば、上記製造方法で得られたグラビア印刷インキ用アルコール可溶性ウレタン樹脂と、着色剤と、アルコール系溶剤とを含有し、その他必要により充填剤、添加剤等を分散混合することにより得られる。
【0025】
着色剤としては、例えば、有機系顔料、無機系顔料、染料等の通常のインキにおいて使用される各種のものが使用できる。
【0026】
有機系顔料としては、例えば、カーミン6B、レーキレッドC、パーマネントレッド2B、ジスアゾイエロー、ピラゾロンオレンジ、カーミンFB、クロモフタルイエロー、クロモフタルレッド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ジオキサジンバイオレット、キナクリドンマゼンタ、キナクリドンレッド、インダンスロンブルー、ピリミジンイエロー、チオインジゴボルドー、チオインジゴマゼンタ、ペリレンレッド、ペリノンオレンジ、イソインドリノンイエロー、アニリンブラック、ジケトピロロピロールレッド、昼光蛍光顔料等が挙げられる。
【0027】
無機系顔料としては、例えば、カーボンブラック、アルミニウム粉、ブロンズ粉、クロムバーミリオン、黄鉛、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、群青、紺青、ベンガラ、黄色酸化鉄、鉄黒、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。
【0028】
染料としては、例えば、タートラジンレーキ、ローダン6Gレーキ、ビクトリアピュアブルーレーキ、アルカリブルーGトーナー、ブリリアントグリーンレーキ等が挙げられ、その他、コールタール等が挙げられる。なかでも、耐水性などの点から有機系顔料または無機系顔料を使用することが好ましい。
【0029】
また充填剤としては、通常のインキにおいて使用されものが挙げられ、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩;沈降性硫酸バリウム等の硫酸塩;シリカ、タルク等の珪酸塩等が挙げられ、これらは単独または2種以上を併用して使用することができる。
【0030】
添加剤としては、ワックス、顔料分散剤、消泡剤、その他各種のものが使用できる。
【0031】
本発明の印刷インキ中における各種原料成分の配合量としては、アルコール可溶性ウレタン樹脂(固形分として)5〜30重量%、着色剤20〜55重量%、アルコール系溶剤15〜75重量%、充填剤0〜20重量%、添加剤0〜10重量%の範囲が好ましく、なかでも、アルコ−ル可溶性ウレタン樹脂(固形分として)5〜20重量%、着色剤20〜50重量%、アルコール系溶剤12〜70重量%、充填剤5〜15重量%、添加剤0.01〜3重量%の範囲であることが特に好ましい。また、本発明のアルコ−ル可溶性ウレタン樹脂100重量部に対し20〜70重量部の範囲でニトロセルロースを併用することができる。
【0032】
また、本発明の印刷インキに用いる基材としては、例えば、紙等の吸収性基材、ポリエチレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等の非吸収性基材を使用できる。
【0033】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、更に具体的に説明する。以下において、部及び%は特に断りのない限り、全て重量基準であるものとする。
【0034】製造例1
工程(1):温度計、撹拌装置、還流冷却管を備えた4つ口フラスコに数平均分子量2000のポリオキシプロピレングリコール240.0部を加え、高真空下100℃、20分間加熱を行い、水分を除去した。乾燥窒素雰囲気中で50℃に冷却しジメチロールブタン酸8.0部、イソホロンジイソシアネート64.59部を加えた。発熱反応を利用して徐々に昇温し100℃、10時間保持した。得られた樹脂の残イソシアネート含有量は3.13%、数平均分子量は5600であった。
【0035】
工程(2):次に、イソプロピルアルコール800.38部を加え、80℃、4時間保持した。赤外分光光度計によりイソシアネートの吸収ピーク(2260cm−1)の消失を確認した。
【0036】
工程(4):次に、両末端にエポキシ基を有するエポキシ当量384のポリオキシプロピレングリコールジグリシジルエーテル10.37部を加え、70℃、4時間反応後、固形分30%、粘度1400cps.(25℃)のポリウレタン樹脂溶液(a―1)を得た。
【0037】製造例2
工程(1):製造例1と同様な装置を使用し、数平均分子量700のポリオキシテトラメチレングリコール210.0部を加え、高真空下100℃、20分間加熱を行い、水分を除去した。乾燥窒素雰囲気中で50℃に冷却し、ジメチロールブタン酸0.89部、イソホロンジイソシアネート96.53部を加えた。発熱反応を利用して徐々に昇温し100℃、10時間保持した。得られた樹脂の残イソシアネート含有量は2.82%、数平均分子量1200であった。
【0038】
工程(2):次に、イソプロピルアルコール751.99部を加え、80℃で4時間保持した。赤外分光光度計によりイソシアネートの吸収ピーク(2260cm−1)の消失を確認した。
【0039】
工程(3):次に、両末端にエポキシ基を有するエポキシ当量384のポリオキシプロピレングリコールジグリシジルエーテル3.46部を加え、70℃、4時間反応後、固形分30%、粘度2100CPS.(25℃)のポリウレタン樹脂溶液(a―2)を得た。
【0040】製造例3
工程(1):製造例1と同様な装置を使用し、数平均分子量2000のポリオキシテトラメチレングリコール280.0部を加え、高真空下100℃、20分間加熱を行い、水分を除去した。乾燥窒素雰囲気中で50℃に冷却しジメチロールブタン酸8.30部、イソホロンジイソシアネート36.16部を加えた。発熱反応を利用して徐々に昇温し100℃、10時間保持した。得られた樹脂の残イソシアネート含有量は0%、数平均分子量5100であった。
【0041】
工程(2):次に、イソプロピルアルコール560.69部と酢酸n−プロピル149.56部を加え、80℃で4時間保持した。
【0042】
工程(3):次に、エポキシ当量902のポリオキシプロピレングリコールジグリシジルエーテル25.26部を加え、70℃、4時間反応後、固形分30%、粘度1500cps.(25℃)のポリウレタン樹脂溶液(a―3)を得た。
【0043】製造例4
工程(1):製造例1と同様な装置を使用し、数平均分子量700のポリオキシプロピレングリコール210.0部を加え、高真空下100℃、20分間加熱を行い、水分を除去した。乾燥窒素雰囲気中で50℃に冷却しジメチロールブタン酸1.33部、イソホロンジイソシアネート136.1部を加えた。発熱反応を利用して徐々に昇温し100℃、10時間保持した。得られた樹脂の残イソシアネート含有量は7.33%、数平均分子量は1400であった。
【0044】
工程(2):次に、イソプロピルアルコール941.74部を加え、80℃で4時間保持した。赤外分光光度計によりイソシアネートの吸収ピーク(2260cm−1)の消失を確認した。
【0045】
工程(4):次に、エポキシ当量902のポリオキシプロピレングリコールジグリシジルエーテル4.06部を加え、70℃、4時間反応後、固形分30%、粘度2400cps.(25℃)のポリウレタン樹脂溶液(a―4)を得た。
【0046】比較製造例1
工程(1):製造例1と同様な装置を使用し、数平均分子量2000のポリオキシプロピレングリコール240.0部を加え、高真空下100℃、20分間加熱を行い、水分を除去した。乾燥窒素雰囲気中で50℃に冷却しジメチロールブタン酸8.0部、イソホロンジイソシアネート64.59部を加えた。発熱反応を利用して徐々に昇温し100℃、10時間保持した。得られた樹脂の残イソシアネート含有量は3.13%、数平均分子量は5600であった。
【0047】
工程(2):イソプロピルアルコール776.19部を加え、80℃で4時間保持した。赤外分光光度計によりイソシアネートの吸収ピーク(2260cm−1)の消失を確認した。
【0048】
工程(3):次に、片末端にエポキシ基を有するエポキシ当量902のラウリルアルコールポリエチレンオキサイドグリシジルエーテル24.35部を加え、70℃、4時間反応後、固形分30%、粘度230cps.(25℃)のポリウレタン樹脂溶液(b−1)を得た。
【0049】比較製造例2
工程(1):製造例1と同様な装置を使用し、数平均分子量2000のポリオキシプロピレングリコール280.0部を加え、高真空下100℃、20分間加熱を行い、水分を除去した。乾燥窒素雰囲気中で50℃に冷却しイソホロンジイソシアネート47.93部を加えた。発熱反応を利用して徐々に昇温し100℃、10時間保持した。得られた樹脂の残イソシアネート含有量は1.93%、数平均分子量5800であった。
【0050】
工程(2):次に、イソプロピルアルコール795.52部を加え、80℃で4時間保持した。赤外分光光度計によりイソシアネートの吸収ピーク(2260cm−1)の消失を確認した。
【0051】
工程(3):エポキシ樹脂を加えず、70℃、4時間反応後、固形分30%、粘度170cps.(25℃)のポリウレタン樹脂溶液(b―2)を得た。
【0052】
実施例1(印刷インキの製造)
製造例1で得た樹脂溶液(a−1)200部 、酸化チタン400部、 イソプロピルアルコール200部の混合物を卓上サンドミルで顔料分散しインキベ−スを得た。次に、製造例1で得た樹脂溶液(a−1)100部を加え、イソプロピルアルコールにてザーンカップ#4で22秒の印刷インキ(a−1インキ)を作成した。得られた印刷インキにイソプロピルアルコールを用いて希釈し、ザーンカップ#3-18秒に印刷粘度に調整、富士機械社製グラビア印刷機(版:ヘリオ175線/インチ)にてポリエチレンテレフタレートフイルム(以下、PET)、コロナ処理二軸延伸ポリプロピレンフィルム(以下、OPP)、ナイロンフィルム(以下、NY)に印刷して、再溶解性、テープ接着性、ラミネート強度を評価した。更に、印刷インキ(a−1インキ)をザーンカップ#4−18秒に調整し、ウィンドミラー社製フレキソ印刷機(アニロックス800線/インチ)にてOPPフィルムに印刷し、レベリング性を評価した。評価結果を表1に示す。
【0053】
実施例2〜4(印刷インキの製造)
実施例1と同様にして、樹脂溶液(a−2)、(a−3)、(a−4)を使用し、インキ(a−2インキ)、(a−3インキ)(a−4インキ)を作成、評価を行った。
【0054】
比較例1,2(印刷インキの製造)
実施例1と同様にして、ポリウレタン樹脂溶液(b−1)(b−2)を使用し、インキ(b−1インキ)(b−2インキ)を作成、評価を行った。
【0055】
テープ接着性評価:印刷物のテープ剥離試験を行い、印刷皮膜の外観より接着性を目視判定した。
◎:印刷皮膜が全く剥がれない。
○:印刷皮膜の20%以下が剥がれる。
△:印刷皮膜の20%〜50%が剥がれる。
×:印刷皮膜の50%以上が剥がれる。
【0056】
再溶解性評価:OPPフィルムに印刷後、版を30分間停止し版上でインキを乾燥させた。その後、版を1分間空転後、PETフィルムに印刷し、画像の再現性からインキの再溶解性を評価した。
○:10秒以内で画像が回復し、良好な再溶解性を示した。
△:10から20秒で画像が回復し、良好な再溶解性を示した。
×:画像の再現に20秒以上を要した。
【0057】
ラミネート強度:OPPフィルムへの印刷物はイミン系接着剤を用いて、またPETフィルムへの印刷物にはイソシアネート系接着剤を用いて、押し出しラミネート機によりポリエチレンをラミネート加工した。1日の養生後、ラミネート強度(g/15mm巾当り)を測定した。
【0058】
転移性:印刷初期と10分後のベタ部の濃度比較を行い、インキの転移性を評価した。
○:10分後の印刷物濃度は、印刷初期の濃度に対して100から95%の範囲であった。
△:10分後の印刷物濃度は、印刷初期の濃度に対して90+−5%の範囲であった。
×:10分後の印刷物濃度は、印刷初期の濃度に対して85%以下であった。
【0059】
【表1】
【0060】
【発明の効果】
実施例、比較例より明らかなように本発明のポリウレタン樹脂は非アルコール系溶媒の含有量がゼロ、もしくは30%未満であり、更に本発明のポリウレタン樹脂液を含有する印刷インキは、グラビア印刷、フレキソ印刷での印刷が可能で、プラスチックフィルムへの接着性に優れる。
Claims (8)
- 分子内に酸基を有するポリウレタン樹脂を、アルコール系有機溶媒中で鎖延長剤としてエポキシ化合物を添加、反応することを特徴とするポリウレタン樹脂。
- エポキシ化合物が分子内に少なくとも2個以上のオキシシラン環を有することを特徴とする請求項1記載のポリウレタン樹脂。
- 分子内に酸基を有するポリウレタン樹脂100重量部(固形分)当り、エポキシ化合物が0.5から20重量部(固形分)の範囲で添加、反応させることを特徴とする請求項1または2記載のポリウレタン樹脂。
- アルコール系有機溶媒の70重量%以上がアルコールであることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のポリウレタン樹脂。
- 分子内に酸基を有するポリウレタン樹脂の酸価が1から50であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載のポリウレタン樹脂。
- 請求項1〜5いずれか記載のポリウレタン樹脂の製造方法。
- 請求項6記載の製造方法によって得られたポリウレタン樹脂を含有する印刷インキ。
- 請求項7記載の印刷インキを用いてなる印刷物。
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