JP2004196352A - 気体透過防止膜被覆プラスチック容器の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被処理物であるプラスチック容器内のガスを排気する工程と、このガス排気を続行しながら、プラスチック容器内に上流側からオリフィスバッファ部を有するオリフィス部材およびバルブを介装した配管を通して原料ガスを供給する工程と、ガス排気を続行しながら、プラスチック容器内にプラズマを発生させて前記原料ガスを解離してプラスチック容器内面に気体透過防止被膜を形成する工程を含み、前記バルブを開けて前記オリフィス部材とバルブ間の主にオリフィスバッファ部で発生する高圧原料ガスを利用して前記原料ガスを前記プラスチック容器内に供給すると共に、その供給時点を前記ガス排気により前記プラスチック容器内のガス圧力が6Torr以下から成膜圧力の範囲に設定する。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、気体透過防止膜被覆プラスチック容器の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチック容器、例えばペットボトルは、外部からの酸素の透過、内部(例えば炭酸飲料水)からの二酸化炭素の透過を防止するためにその内面にDLC(Diamond Like Carbon)のような炭素膜をコーティングして気体透過防止膜被覆プラスチック容器を製造することが試みられている。
【0003】
このようなプラスチック容器内面に炭素膜をコーティングする方法としては、特開平8−53116号公報および特許第2788412号公報(特開平8−53117号公報)に高周波プラズマを用いる方法が開示されている。特開平9−272567号公報には、その応用的な方法として高周波プラズマを用いて炭素膜をフィルムにコーティングする方法が開示されている。特許第3072269(特開平10−226884号公報)には、特殊形状容器に対応する炭素膜のコーティング方法が、特許第3115252(特開平10−258825号公報)などには量産化技術として複数個の容器に同時にコーティングする方法が開示されている。また、プラスチック容器に炭素膜をコーティングする技術が開示された文献として、「K.Takemoto, et al, Proceedings of ADC/FCT '99,p285」、「E.Shimamura et al, 10th years IAPRI World Conference 1997,p251 」がある。
【0004】
ところで、高周波プラズマCVDによるプラスチック容器への炭素膜コーティングは次のような構造の炭素膜コーティング装置が用いられている。すなわち、この装置は筒状の本体およびこの本体の上端に取り付けられるキャップ部から構成され、プラスチック容器、例えばペットボトルの外形にほぼ沿った形の内形状を有すると共に真空容器を兼ねる外部電極と、この外部電極に連通されるガス排気管と、この排気管を通して前記外部電極の内部に挿入されるガス供給を兼ねる内部電極と、前記排気管に連通された粗引き排気ポンプと、前記排気管と前記粗引き排気ポンプの間に介装された粗引き排気バルブと、前記排気管に連通された成膜ガス排気ポンプと、前記排気管と前記成膜ガス排気ポンプの間に介装された成膜ガス排気バルブと、内部電極に成膜ガス、例えばアセチレンガスを供給するための成膜ガス供給源と、前記内部電極とこの原料ガス供給源との間に前記ガス供給源から順次介装されたマスフローコントローラおよび成膜ガス供給バルブと、前記外部電極に接続された高周波電源とを備えている。
【0005】
このような炭素膜コーティング装置による炭素膜の成膜工程を図4に示す粗引き排気バルブ、成膜ガス排気バルブ、成膜ガス供給バルブの開閉、マスフロー流量、実際のガス流入量および高周波電源のオン・オフのタイミング図を参照して説明する。
【0006】
まず、外部電極内にプラスチック容器、例えばペットボトルを収納する。粗引き排気ポンプを作動し、粗引き排気バルブを開とすることにより前記外部電極に収納したペットボトル内のガスを排気管を通して排気する。この粗引き排気ポンプの作動により前記ペットボトル内が成膜圧力に比べて低い到達真空度に至った後、粗引き排気ポンプを停止し、粗引き排気バルブを閉とする。ここで、『到達真空度』とは前記粗引き排気ポンプを備えた炭素膜コーティング装置で決められる。
【0007】
次いで、成膜ガス供給バルブを開とし、マスフローコントローラの流量制御を行なった後、成膜ガス供給源から成膜ガス(例えばアセチレン)をマスフローコントローラおよび成膜ガス供給バルブを通して内部電極に供給し、前記ペットボトル内に位置する前記内部電極部分から成膜ガスを前記ペットボトル内に導入する。このとき、前記ペットボトル内の圧力が上昇するため、成膜ガス排気ポンプを作動し、成膜排気バルブを開とすることによりペットボトル内のガスを排気管を通して排気してそのペットボトル内を成膜圧力に維持する。同時に、高周波電源をオンして高周波電力を前記外部電極に供給することにより、前記外部電極と接地された前記内部電極との間、つまり前記ペットボトル内にプラズマを発生させる。前記成膜ガス(例えばアセチレン)は、前記プラズマによって解離、又は更にイオン化して、炭素膜を形成するための製膜種が生成され、この製膜種が前記ペットボトル内面に堆積し、炭素膜を形成する。炭素膜を所定の膜厚まで形成した後、高周波電力の供給を停止し、成膜ガス供給バルブを閉とし、成膜ガス排気ポンプを停止し、成膜ガス排気バルブを閉とするとともに、窒素、希ガス、又は空気等を外部電極(ペットボトル)内に供給し、この空間内を大気圧に戻す。この後、前記ペットボトルを外部電極から取り外す。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前述した方法によれば、到達真空度(0.01Torr以下)まで充分に粗引きするため、高いバリヤ性(例えばペットボトルの10倍以上)を有する炭素膜(気体透過防止膜)が被覆されたペットボトルを製造することが可能になる。
【0009】
しかしながら、到達真空度まで充分に粗引きすることにより排気開始から成膜開始までの時間が非常に長くかかるため、結果として成膜時間が長くなり、量産機、特にロータリー機に適用した場合、生産性の低下を招く。
【0010】
また、マスフローコントローラで成膜ガス(例えばアセチレン)の流量制御を行なうと、図4に示すようにペットボトルに供給されるアセチレンの実際のガス流入量が安定するのに時間を要するため、この要因によっても排気開始から成膜開始までの時間が長くなる。
【0011】
本発明は、プラスチック容器内面に高いバリヤ性を有する炭素膜のような気体透過防止膜を被覆した気体透過防止膜被覆プラスチック容器を量産的に製造し得る方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る気体透過防止膜被覆プラスチック容器の製造方法は、被処理物であるプラスチック容器内のガスを排気する工程と、このガス排気を続行しながら、前記プラスチック容器内に上流側からオリフィスバッファ部を有するオリフィス部材およびバルブを介装した配管を通して原料ガスを供給する工程と、前記ガス排気を続行しながら、前記プラスチック容器内にプラズマを発生させて前記原料ガスを解離して前記プラスチック容器内面に気体透過防止被膜を形成する工程を含む気体透過防止膜被覆プラスチック容器の製造方法であって、
前記バルブを開けて前記オリフィス部材とバルブ間の主にオリフィスバッファ部で発生する高圧原料ガスを利用して前記原料ガスを前記プラスチック容器内に供給すると共に、その供給時点を前記ガス排気により前記プラスチック容器内のガス圧力が6Torr以下から成膜圧力の範囲に設定することを特徴とするものである。
【0013】
本発明に係る気体透過防止膜被覆プラスチック容器の製造方法において、前記オリフィス部材のオリフィスバッファ部の容積およびオリフィス背圧を制御することにより、前記オリフィス部材のオリフィスバッファ部で発生する高圧原料ガス量を調節することが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明に係る気体透過防止膜被覆プラスチック容器の製造に用いられる気体透過防止膜被覆装置を示す概略断面図である。
【0016】
この気体透過防止膜被覆装置は、プラスチック容器、例えばペットボトルの外形にほぼ沿った形の内形状を有すると共に真空容器を兼ねる外部電極1を備える。この外部電極1は、上部外部電極1aと下部外部電極1bとからなり、上下に分割可能な構造になっている。誘電体材料からなるスペーサ2は、前記プラスチック容器が前記外部電極1に収納された時に少なくともその容器の口部および肩部と前記外部電極1の間に介在されている。
【0017】
ガス排気管3は、前記外部電極1の上部外部電極1a上にその開口部と連通するように取り付けられている。ガス供給を兼ねる棒状の内部電極4は、前記ガス排気管3を通して前記外部電極1およびスペーサ2の内部に挿入されている。なお、内部電極4は前記外部電極1およびガス排気管2に対して電気的に絶縁され、かつ接地されている。
【0018】
粗引き排気ポンプ5は、前記ガス排気管3に配管6および分岐配管7aを通して連結されている。粗引き排気バルブ8は、前記分岐配管7aに介装されている。成膜ガス排気ポンプ9は、前記ガス排気管3に前記配管6および分岐配管7bを通して連結されている。成膜ガス排気バルブ10は、前記分岐配管7bに介装されている。容量式圧力計11は、前記ガス排気管3に取り付けられている。
【0019】
成膜ガス供給源、例えばアセチレンボンベ12は、前記内部電極4の上端に配管13を通して連結されている。オリフィス背圧調整用レギュレータ14、フィルタ15、オリフィス部材16および成膜ガス供給バルブ17は、前記配管13に前記アセチレンボンベ11側(上流側)から順次介装されている。前記オリフィス部材16は、上下に前記配管13が連結される開口を有する筐体18と、この筐体18内に配置されるオリフィス19とから構成されている。なお、前記オリフィス19の下流側の前記筐体18空間はオリフィスバッファ部20として機能する。図示しない高周波電源は、前記外部電極1の上部外部電極1aに接続されている。
【0020】
次に、前述した図1の気体透過防止膜被覆装置を用いて図2に示す粗引き排気バルブ、成膜ガス排気バルブ、成膜ガス供給バルブの開閉、チャンバ(ペットボトル)へのガス流入量および高周波電源のオン・オフのタイミング図に従って炭素膜の成膜による気体透過防止膜被覆プラスチック容器(気体透過防止膜被覆ペットボトル)の製造を説明する。
【0021】
まず、下部外部電極1bを下降させて上部外部電極1aの底部を開放し、この上部外部電極1aの底部からプラスチック容器(例えばペットボトルB)を挿入し、下部外部電極1bを前記上部外部電極1aの底部に取り付けることにより外部電極1およびスペーサ2内にペットボトルBを収納する。
【0022】
次いで、粗引き排気ポンプ5を作動し、粗引き排気バルブ7を開とすることにより前記外部電極1およびスペーサ2に収納したペットボトルB内のガスをガス排気管3、配管6および分岐配管7aを通して排気する。この粗引き排気ポンプ45作動により前記ペットボトルB内のガス圧力が6Torr以下から成膜圧力(例えば0.1〜5Torr)成膜圧力の範囲、例えば成膜圧力に到達した時点で、図2に示すように前記粗引き排気ポンプ5を停止し、粗引き排気バルブ8を閉とする。この粗引き排気バルブ8の閉動作の直ぐ後に配管13に介装された成膜ガス供給バルブ17を開とし、アセチレンボンベ12からアセチレンを前記配管13を通して内部電極4に供給し、その下端から前記ペットボトルB内に供給する。このとき、前記配管13に介装されたオリフィス背圧調整用レギュレータ14を予め一定の背圧に設定した後に前記成膜ガス供給バルブ17を開くことによって、前記レギュレータ14の下流側の配管13に介装されたオリフィス部材16のオリフィスバッファ部20に主に滞留されたアセチレンが瞬時に排出されるため、高圧で多量のアセチレンが前記ペットボトルB内に供給される。前記成膜ガス供給バルブ17を開動作と同時に成膜排気バルブ10を開とし、予め作動された成膜ガス排気ポンプ9により前記ペットボトルB内のガスをガス排気管3、配管6および分岐配管7bを通して排気する。
【0023】
前記成膜ガス排気ポンプ9の作動および前記アセチレンの供給において、ペットボトルB内のガスが十分に置換された時点で、高周波電源をONして高周波電力を前記外部電極1に印加することにより、前記外部電極1と接地された前記内部電極4との間、つまり前記ペットボトルB内にプラズマを発生させる。前記アセチレンは、前記プラズマによって解離、又は更にイオン化して、炭素膜を形成するための製膜種が生成され、この製膜種が前記ペットボトルB内面に堆積し、炭素膜を形成する。炭素膜を所定の膜厚まで形成した後、高周波電力の供給を停止し、成膜ガス供給バルブ17を閉とし、成膜ガス排気ポンプ9を停止し、成膜ガス排気バルブ10を閉とするとともに、窒素、希ガス、又は空気等をペットボトルB内に供給し、この空間内を大気圧に戻す。この後、前記ペットボトルBを外部電極1から取り外す。
【0024】
なお、成膜ガスとしてはアセチレンのほかに、例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等のアルカン類;エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ブタジエン等のアルケン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、インデン、ナフタリン、フェナントレン等の芳香族炭化水素類;シクロプロパン、シクロヘキサン等のシクロパラフィン類;シクロペンテン、シクロヘキセン等のシクロオレフィン類;メチルアルコール、エチルアルコール等の含酸素炭化水素類等を用いることができる。
【0025】
以上、本発明の実施形態によればプラスチック容器(例えばペットボトルB)内のガス圧力が6Torr以下から成膜圧力(例えば0.1〜5Torr)成膜圧力の範囲に到達した時点で、成膜ガス(例えばアセチレンガス)を配管13を通してペットボトルB内に供給することによって、前述した図4に示す到達真空度に達した時点で成膜ガスを供給する従来法に比べて排気開始から成膜開始までの時間を短縮することができる。
【0026】
また、成膜ガスの供給に際して前記配管13に介装されたオリフィス背圧調整用レギュレータ14を予め一定の背圧に設定し後に成膜ガス供給バルブ17を開いて、前記レギュレータ14の下流側の配管13に介装されたオリフィス部材16のオリフィスバッファ部20に主に滞留されたアセチレンを瞬時に排出し、高圧で多量のアセチレンを前記ペットボトルB内に供給することによって、ペットボトルB内のガスを置換できる。
【0027】
さらに、オリフィス部材16のオリフィスバッファ部20に主に滞留されたアセチレンを瞬時に排出し、高圧で多量のアセチレンを前記ペットボトルB内に供給する際、図2に示すようにアセチレンのチャンバ(ペットボトル)へのガス流入量が短時間で安定する。具体的には、アセチレン流量を60sccmにするためにオリフィス部材16のオリフィス18の径を100μmとすると、図3に示すように0.5秒間以下の極めて短時間でアセチレンのガス流入量が安定する。このようにガス流入量を短時間で安定化することによっても排気開始から成膜開始までの時間を短くできる。
【0028】
したがって、量産機、特にロータリー機に適用した場合、気体透過防止膜被覆プラスチック容器(例えば気体透過防止膜被覆ペットボトル)の製造効率を向上できる。また、ペットボトルB内のガスを短時間でアセチレンにより置換できるため、高いバリヤ性(例えばペットボトルの10倍以上)を有する炭素膜(気体透過防止膜)が被覆されたペットボトルを製造することが可能になる。
【0029】
また、オリフィス部材はマスフローコントローラに比べてコストが約1桁安価であるため、低価格の装置を実現できる有益を有する。
【0030】
なお、前記オリフィス部材のオリフィスバッファ部の容積およびオリフィス背圧調整用レギュレータによるオリフィス背圧を制御することにより、前記オリフィス部材のオリフィスバッファ部から適切な高圧原料ガス量をプラスチック容器(ペットボトル)内に供給することが可能になり、排気開始から成膜開始までの時間をより短縮できると共に、より高いバリヤ性を有する炭素膜(気体透過防止膜)をペットボトル内面に被覆することができる。
【0031】
(実施例1)
前述した図1の気体透過防止膜被覆装置を用いて図2に示す粗引き排気バルブ、成膜ガス排気バルブ、成膜ガス供給バルブの開閉、チャンバ(ペットボトル)へのガス流入量および高周波電源のオン・オフのタイミング図に従って炭素膜を成膜して気体透過防止膜被覆ペットボトルを製造する実施形態において、ペットボトルB内のガス圧が成膜圧力に達した時点で、配管13に介装されたオリフィス背圧調整用レギュレータ14を予め一定の背圧に設定した後に成膜ガス供給バルブ17を開くことにより前記レギュレータ14の下流側の配管13に介装されたオリフィス部材16のオリフィスバッファ部20に主に滞留されたアセチレンを瞬時に排出して高圧で多量のアセチレンをペットボトルB内に供給した後、高周波電源をオンして高周波電力を外部電極1に印加することにより、前記外部電極1と接地された内部電極4との間、つまり前記ペットボトルB内にプラズマを発生させ、前記ペットボトルB内面に堆積して炭素膜を形成することにより気体透過防止膜被覆ペットボトルを製造した。
【0032】
得られた各気体透過防止膜被覆ペットボトルのバリヤ性を調べた。その結果、前述した図4に示す粗引き排気バルブ、成膜ガス排気バルブ、成膜ガス供給バルブの開閉、マスフロー流量および高周波電源のオン・オフのタイミング図に従って炭素膜の成膜して製造した従来の気体透過防止膜被覆ペットボトルと遜色のない高い酸素バリヤ性を有することが確認された。
【0033】
また、本発明方法は従来法に比べて排気開始から成膜開始までの時間を5秒間短縮することができた。
【0034】
なお、本発明においてアセチレンの供給開始時期をペットボトル内のガス圧力が6Torr以下から成膜圧力(例えば0.1〜5Torr)の範囲に到達した時点とすることによって、ペットボトル内(成膜チャンバ)もしくはアセチレンガスの供給系での爆発を回避できる。
【0035】
すなわち、アセチレンの爆発範囲は大気圧(760Torr)で2.5%〜82%である。
【0036】
始めに、大気排気中の成膜チャンバ中にアセチレンが流れ込む際の爆発を考察する。空気中にアセチレンが混合したときの爆発限界は、2.5%であり、このときのアセチレン分圧は19Torrである。したがって、空気が大気圧であっても、アセチレンの供給時点でのその分圧が19Torr以下であれば、チャンバ内で爆発が起きることはない。
【0037】
次に、アセチレンの供給ラインに成膜チャンバ側から大気が逆流した場合の爆発を考察する。アセチレン中に空気が混合するときの爆発限界はアセチレン82%であり、このときの空気分圧は8%である。したがって、アセチレンの供給ラインを1気圧としたとき、その中に8%以下、つまり61Torr以下の圧力でなら、空気が逆流しても爆発しない。
【0038】
本発明の第1、第2の実施形態において、アセチレン供給量を定常状態で成膜圧力(たとえば0.1〜5Torr)になる流量にすると、質量流量は下式で求められる。
【0039】
Q=(p・V)/0.76
ここで、Q:質量流量(sccm)で、例えば130sccm、
P:成膜圧力(Torrr)で、例えば0.1Torr,
V:排気ポンプおよび排気ラインで決まる排気速度(L/min)で、例えば1000L/min。
【0040】
この場合、成膜圧力は爆発限界である19Torrよりも低いので、大気吸引中にこの流量でアセチレンを流しても爆発しない。
一方、万が一大気がアセチレンの供給ラインに逆流したときのことを考慮して、前記大気の圧力が61Torr以下になってから、前記質量流量を流し始めることにした。実際には、安全ファクターを10として、6Torrを安全上限圧力とすることによって、大気がアセチレンの供給ラインに逆流しても爆発が起こるのを回避できる。
【0041】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、プラスチック容器内面に高いバリヤ性を有する炭素膜のような気体透過防止膜を被覆した気体透過防止膜被覆プラスチック容器を量産的に製造しえる方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る気体透過防止膜被覆プラスチック容器の製造に用いられる気体透過防止膜被覆装置を示す概略断面図。
【図2】本発明の実施形態に係る気体透過防止膜被覆プラスチック容器の製造における粗引き排気バルブ、成膜ガス排気バルブ、成膜ガス供給バルブの開閉、チャンバへのガス流入量および高周波電源のオン・オフのタイミング図。
【図3】オリフィス径が100μmのオリフィス部材からアセチレンを供給した際の時間と流量変化の関係を示す特性図。
【図4】従来の気体透過防止膜被覆プラスチック容器の製造における粗引き排気バルブ、成膜ガス排気バルブ、成膜ガス供給バルブの開閉、マスフロー流量および高周波電源のオン・オフのタイミング図。
【符号の説明】
1…外部電極、3…ガス排気管、4…内部電極、5…粗引き排気ポンプ、9…成膜ガス排気ポンプ、12…アセチレンボンベ、14…オリフィス背圧調整用レギュレータ、16…オリフィス部材、17…成膜ガス供給バルブ、20…オリフィスバッファ部、B…ペットボトル。
Claims (2)
- 被処理物であるプラスチック容器内のガスを排気する工程と、このガス排気を続行しながら、前記プラスチック容器内に上流側からオリフィスバッファ部を有するオリフィス部材およびバルブを介装した配管を通して原料ガスを供給する工程と、前記ガス排気を続行しながら、前記プラスチック容器内にプラズマを発生させて前記原料ガスを解離して前記プラスチック容器内面に気体透過防止被膜を形成する工程を含む気体透過防止膜被覆プラスチック容器の製造方法であって、
前記バルブを開けて前記オリフィス部材とバルブ間の主にオリフィスバッファ部で発生する高圧原料ガスを利用して前記原料ガスを前記プラスチック容器内に供給すると共に、その供給時点を前記ガス排気により前記プラスチック容器内のガス圧力が6Torr以下から成膜圧力の範囲に設定することを特徴とする気体透過防止膜被覆プラスチック容器の製造方法。 - 前記オリフィス部材のオリフィスバッファ部の容積およびオリフィス背圧を制御することにより、前記オリフィス部材のオリフィスバッファ部で発生する高圧原料ガス量を調節することを特徴とする請求項1記載の気体透過防止膜被覆プラスチック容器の製造方法。
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