JP2004195603A - 空圧式固着具打込機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】空圧式固着具打込機31のメインバルブ7は、メインシリンダ3の外側を長手方向にスライドする筒状体として形成され、静止位置にあるとき、メインシリンダ上部への加圧空気の供給を停止するように、メインシリンダ3に向けて延びる筒状のシール壁部9に接触する可撓性のリング状シール部材33がメインバルブ7に設けられ、シール部材33は、メインバルブ上端の外周部分に取付けられる取付け部35と、メインバルブ上端面から半径方向内方に延び出てシール壁部に接触するシール機能部37とを包含し、リザーバ6の加圧空気がシール機能部の外周面及び取付け部の外周面を押圧する力によって該シール機能部の半径方向内側の端面がシール壁部9に押圧される。
【選択図】 図5
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、メインシリンダに加圧空気を送ってメインピストンに連結されたドライバを駆動して釘やねじ等の固着具を打込対象物に打込む空圧式固着具打込機に関する。
【0002】
【従来の技術】
メインシリンダに加圧空気を送ってメインピストンに連結されたドライバを駆動して釘やねじ等の固着具を打込対象物に打込んだ後、メインピストン及びドライバの復帰のためにメインシリンダ内の加圧空気を外部へ排出する空圧式固着具打込機はよく知られており、建築現場等で多用されている。この固着具打込機において、メインピストンが打撃位置(下死点位置)から復帰するとき、メインシリンダ内の加圧空気が急激に排出され、この排出加圧空気は排気通路から大気へ放出されるとき騒音となる。特に、最近、供給する加圧空気の空気圧の上限の規制が緩和され、高圧(20Kgf/cm2以上)の加圧空気を使用できるようになり、小型で強力な空圧式固着具打込機が可能になった。高圧の加圧空気を利用すると騒音が大きくなり、小型の空圧式固着具打込機においてメインバルブから直接外部に排気すると更に騒音が大きくなり、作業者への影響が大きく、騒音の解消が課題となっている。この騒音を解消するため、出願人は既に、特願2002−233404号(特許文献1)において、メインシリンダからの排気をハンドルを通しハンドル端部の消音装置に案内して排気口から排気することを提案している。この排気のやり方は、騒音防止の点では好ましい結果を得ている。
【0003】
図1及び図2は、特許文献1に記載の空圧式固着具打込機の消音装置の部分を除いた主要部を示している。その固着具打込機1は、メインピストン2及びメインシリンダ3を収容するハウジング5を備え、ハウジング5には作業者が握るグリップを形成するハンドル17(1部だけ示す)が設けられ、ハンドル端部に、コンプレッサ等で圧縮された加圧空気の供給口が設けられる。ハウジング5内部には、加圧空気を溜めるリザーバ6が形成されて、メインシリンダ3の外側に加圧空気を満たしている。メインシリンダ3の外側には、メインシリンダ3の長手方向すなわち上下方向に移動可能にメインバルブ7が配置されている。メインバルブ7は、メインシリンダ3の外側を長手方向にスライドする筒状体として形成され、固着具を打込まない静止位置にあるとき、メインシリンダ3上部への加圧空気の供給を停止する。そのため、メインバルブ7の上部及び/又はハウジング5の内部の上部に形成されたメインシリンダ3に向けて延びる筒状のシール壁部9には相互に接触するシール手段を有する。
【0004】
メインバルブ7が下方に移動すると、メインシリンダ3の上端側からメインピストン2の上面に加圧空気が送り込まれる。これによって、ピストン2は、連結されたドライバ10とともにメインシリンダ3の内部を下方に急激に移動させられる。メインバルブ7を移動させるのは、トリガバルブ11である。トリガバルブ11には、リザーバ6の加圧空気が供給されていて、トリガレバー13を引かない静止位置では、メインバルブ7の下端側に形成されたメインバルブチャンバ14に加圧空気を送ってメインバルブ7を上方の静止位置に保つ。静止位置にあるとき、メインシリンダ3にはリザーバ6からの加圧空気は供給されず、メインピストン2は駆動されない。トリガレバー13を引くと、図2に図示のように、メインバルブチャンバ14の加圧空気がトリガバルブ11の内部を通って、排気ポート15に排出され、更に消音装置(図示せず)を通して外部に排出され、メインバルブ7を上方に押上げる力が無くなる。リザーバ6には加圧空気が供給されており、メインバルブ7には常時下方に押下げる力が作用しているため、メインバルブ7は下方に移動する。これにより、リザーバ6からメインシリンダ3にメインピストン2の上面側から加圧空気が送り込まれ、メインピストン2はメインシリンダ3の内部を下方に急激に移動させられ、ドライバ10が、ノーズ18にある釘等の固着具(図示せず)を木材等の打込対象物に打込む。図2の位置ではメインピストン2及びドライバ10は下死点にある。下死点にあるメインピストン2に隣接する位置のメインシリンダ3の外周には、リターンエアチャンバ19が形成されており、メインピストン2が下降するときの加圧空気がそこに溜められる。
【0005】
固着具を打込対象物に打込んだ後、作業者がトリガレバー13を釈放すると、リザーバ6の加圧空気がトリガバルブ11を通ってメインバルブチャンバ14に供給され、メインバルブ7を上方に移動させる。これによってメインシリンダ3へのリザーバ6からの加圧空気の供給が停止される。また、メインバルブ7が上方の静止位置近くに移動すると、O−リング21によるシールが解除されてメインシリンダ3の外側とメインバルブ7の内側の間に、メインピストン2の上面側に供給された加圧空気を排出するための排気通路22が形成される。この排気通路22は、リターンエアチャンバ19と、ハンドルへ延びる排気ポート15とに通じているが、静止位置に至る手前の時点ではメインバルブ7が完全に上方静止位置に復帰していないため、排気ポート15への連通は、第2O−リング23によって遮断されており、メインピストン2の上面側の加圧空気はリターンエアチャンバ19のみに流れる。メインバルブ7が更に上昇し、第2O−リング23によるシールが解除されメインピストン2上面側の加圧空気が排気ポート15へ流れると、ピストン2の上面側の圧力が低下するため、リターンエアチャンバ19の加圧空気がピストン2の下面側に作用して、メインピストン2とドライバ10を静止位置すなわち上死点に急激に復帰させる。メインシリンダ3からは加圧空気が急激に排出され、排出加圧空気は排気通路22及び排気ポート15を通って大気へ排出されて、打込みを終了する。
【0006】
【特許文献1】
特願2002−233404号明細書、図面及び要約書
【特許文献2】
特開2001−198850号公報
【特許文献3】
特開2002−127038号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1の固着具打込機において、静止位置にあるときリザーバ6の加圧空気をメインシリンダ3上部へ供給するのを停止するように、ハウジング5の内部の上部に形成されたメインシリンダ3に向けて延びる筒状のシール壁部9とメインバルブ7の上部とには相互に接触するシール手段を有する。図3及び図4は試作したシール手段の例を示す。図3において、シール壁部9の外周に弾性O−リング25が取付けられて、このO−リング25がメインバルブ7の上端部分26の内壁面に接触してシールを形成する。図4のやり方は、シール壁部9を外周面が直円筒を形成するように形成されており、弾性O−リングは設けられていない。他方、メインバルブの上端部分26には内側に、弾性O−リング27が取付けられている。これらのシール手段は、加圧空気が10Kgf/cm2程度の低圧のものでは問題無くシール機能を発揮する。しかし、30Kgf/cm2くらいの高圧の加圧空気がリザーバにある状態でメインバルブを発射位置に下動してシールを開放すると、使用する空気圧が高圧のため、メインバルブの傍を通ってメインシリンダに流入する加圧空気の速度が増大し、シール手段である、弾性のO−リング25(図3)が流入する加圧空気によってシール壁部9から脱落したり、弾性O−リング27(図4)が流入する加圧空気によってメインバルブ7の所定の位置から外れるように押し込まれたりすることがあった。所定の位置から外れたO−リングは、シール手段としての機能を失い、固着具打込機の機能も損なわれてしまう。従って、メインバルブのシール手段が高圧の加圧空気を使用してもそのシール機能を失わないことが望まれている。
【0008】
特許文献2(特開2001−198850号公報)には、メインシリンダの上部の外側をスライドする筒状メインバルブ(スライドスリーブ)の上端面から軸方向に延び出るシール部材を取付けて、そのシール部材をハウジング内面に軸方向に当接させてシールする構成が開示されている。軸方向の当接によってシールを形成する場合には、シール部材への軸方向への押圧力を、軸方向にスライドするメインバルブから得なければならず、メインバルブには、シールのための軸方向移動力を得る構成を付加せねばならない。また、特許文献3(特開2002−127038号公報)には、メインシリンダの上端側に軸方向に移動するポペットバルブ式のメインバルブ(ヘッドバルブ)が設けられ、メインバルブのシール部材がメインシリンダの上端面に軸方向に当接してシールする構成が開示されている。特許文献3のシール部材もメインシリンダの端面に軸方向に当接することによってシールを形成する。従って、シール部材への軸方向への押圧力を、軸方向にスライドするメインバルブから得なければならず、メインバルブには、シールのための軸方向力がなければならない。
【0009】
従って、本発明の目的は、高圧の加圧空気を使用しても、筒状に形成されてメインシリンダの外側をスライドするメインバルブがシール機能を維持し、メインバルブにはシールのために軸方向押圧力が必要とされない空圧式固着具打込機を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するため、本発明は、メインシリンダと、メインシリンダ内を往復動するように配置され、釘やねじ等の固着具を打込むドライバが連結されたメインピストンと、メインシリンダを外側から覆うように設けられて内部に加圧空気を溜めるリザーバを有するハウジングと、メインシリンダへの加圧空気の供給を阻止してメインピストンを静止位置に維持する静止位置と該メインシリンダに加圧空気を供給してメインピストンを発射位置に移動させる発射位置とを移動するメインバルブとを備え、メインシリンダに加圧空気を送ってメインピストンに連結されたドライバを駆動して釘やねじ等の固着具をノーズから打込対象物に打込む、空圧式固着具打込機を提供する。この空圧式固着具打込機は、メインバルブが、メインシリンダの外側を長手方向にスライドする筒状体として形成され、静止位置にあるとき、メインシリンダ上部への加圧空気の供給を停止するように、ハウジング内部の上部に形成されたメインシリンダに向けて延びる筒状のシール壁部に接触するシール手段を有し、該シール手段は、メインバルブの上端に取付けられた可撓性のリング状シール部材であり、該シール部材は、メインバルブ上端の外周部分に取付けられる取付け部と、該メインバルブ上端面から半径方向内方に延び出てシール壁部に接触するシール機能部とを包含し、該シール機能部は、メインバルブが静止位置にあるときリザーバの加圧空気がシール機能部の外周面及び取付け部の外周面を押圧する力によって該シール機能部の半径方向内側の端面がシール壁部に押圧される構成であることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、メインバルブの上端に取付けられた可撓性のリング状シール部材は、メインバルブ上端の外周部分に取付けられる取付け部と、メインバルブ上端面から半径方向内方に延び出てハウジング内面の筒状シール壁部に接触するシール機能部とを包含し、シール機能部は、メインバルブが静止位置にあるときリザーバの加圧空気がシール機能部の外周面及び取付け部の外周面を押圧する力によって該シール機能部の半径方向内側の端面がシール壁部に押圧される構成であるので、高圧の加圧空気を使用しても、シール機能部はメインバルブが静止位置にある状態ではシール壁部へのシールが加圧空気の押圧力によって得られ、軸方向押圧力が必要とせずに確実にシールを維持し、メインバルブが静止位置から発射位置に移動するときにも取付け部がメインバルブの外側にあるので、メインバルブの近傍を通る高速の加圧空気によってもシール部材がメインバルブの内側に巻き込まれることがなく、シール部材がメインバルブの所定の取付け位置からずれることはない。
【0012】
上記固着具打込機において、シール部材のシール機能部は、メインバルブが発射位置に下動するとき、シール機能部は、前記メインバルブが発射位置に下動するとき、容易に半径方向外方に拡径して前記半径方向内側の端面が前記シール壁部から離れ易い可撓性を有する。これによって、メインバルブがメインシリンダの外周に沿って下動するとき、シール機能部はシール壁部から離れ、メインバルブが下動するときのシール機能部の摩耗を減少し、シール部材全体の耐久性を向上する。更に、シール部材の取付け部の内面には、メインバルブ上端付近に形成された周方向突部に嵌合する周方向凹部が形成されている。これによって、シール部材はメインバルブの上端側から、その上端部分を包囲するように押込むだけで取付けることができる。また、シール部材は、硬質ウレタン又は硬度90度のブタジエンアクリロニトリルゴム(NBR)から形成できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例に係る空圧式固着具打込機31について、図5を参照して説明する。図5において、図1〜図4の固着具打込機1と同じ部材については同じ符号が付されており、その機能も固着具打込機1のものと同じである。空圧式固着具打込機31は、メインシリンダ3と、メインシリンダ3内を往復動するように配置され、釘やねじ等の固着具を打込むドライバ10が連結されたメインピストン2と、メインシリンダ3を外側から覆うように設けられて内部に加圧空気を溜めるリザーバ6を有するハウジング5とを包含する。全体を図示していないが、ハウジング5には、作業者が握るグリップを形成し且つリザーバ6の加圧空気の供給口を有し内部にハウジング5のリザーバ6に連続するリザーバを形成し更にメインピストン2の復帰のときのメインシリンダ3から排出される排気を外部へ排出する消音装置を有するハンドル17が一体的に連結されている。ハンドル17の端部の供給口にはコンプレッサ等で圧縮された加圧空気が供給され、ハウジング5のリザーバ6に加圧空気を充満させている。
【0014】
メインシリンダ3の外側には、メインバルブ7がスライド可能に配置されている。メインバルブ7は、メインシリンダ3へ加圧空気を供給するのを阻止してメインピストン2を静止位置(上死点位置)に維持する、図5の静止位置と、メインシリンダ3に加圧空気を供給してメインピストン2をドライバ10とともに発射位置(下死点位置)に移動させる発射位置とを移動する。メインバルブ7は、メインシリンダ3の外側をメインシリンダ3の長手方向にスライドする筒状体として形成される。メインバルブ7の内径は、メインシリンダ3の外径より大きめに形成されて、メインシリンダ3とメインバルブ7との間に排気通路22を形成する。
【0015】
メインバルブ7は、トリガバルブ11によって制御される。トリガバルブ11は、メインバルブ7を静止位置に維持する静止位置と、メインバルブ7を発射位置に維持する発射位置とをとり、メインバルブ7を静止位置から発射位置へ移動させ、発射位置から静止位置に復帰させるようにメインバルブ7への加圧空気を制御する。メインシリンダ3の外周のメインバルブ7の一端(下端)に隣接する位置には、メインバルブチャンバ14が設けられる。トリガバルブ11が静止位置にあるときにはトリガバルブ11を通してリザーバ6の加圧空気がメインバルブチャンバ14に供給されメインバルブ7を静止位置(上方位置)に維持する。メインバルブ7の上端部には、シール手段であるリング状シール部材33が設けられている。このシール部材33の詳細については後述する。また、ハウジング5は上端部分が閉じており、その内部の上部には、メインシリンダ3の上端に向けて筒状のシール壁部9が延びている。メインバルブ7の上端部のリング状のシール部材33は、メインバルブ7が静止位置にあるとき、シール壁部9に密接してリザーバ6の加圧空気がメインシリンダ3に送られるのを阻止する。
【0016】
トリガレバー13を引いて、トリガバルブ11が発射位置をとると、メインバルブチャンバ14の加圧空気がトリガバルブ11を通してハンドル17の排気ポート15に排出され、メインバルブ7には押上げ力が作用しなくなる。メインバルブ7の他端側(上端側)には、リザーバ6の加圧空気による空気圧が作用しているので、メインバルブ7は、リザーバ6の加圧空気によって発射位置(下方位置)に移動させられる。これにより、シール部材33によるシールがなくなり、リザーバ6の加圧空気がメインシリンダ3の上方から中に導入されメインピストン2を発射位置に下動させる。このとき、リザーバ6の加圧空気はメインバルブ7の上端のシール部材33とハウジング5の上端の筒状のシール壁部9の間にできた隙間から急速にメインシリンダ3の上部に流入する。特に、リザーバ6の加圧空気の空気圧が高い場合には、その流入速度は高い。
【0017】
本発明において、メインバルブ7の上端部に、シール手段であるリング状シール部材33が取付けられている。シール部材33は、ハウジング5の閉じた上端部分の内側に、メインシリンダ3の上端に向けて延びる筒状のシール壁部9に接触してシールする。シール壁部9が対向する、メインシリンダ3の上端の外周部分には、ハウジング5にメインシリンダ上端を支持するための、リング形状の支持部材34が固定されてメインシリンダ3の上端部分を形成し、加圧空気の入口を形成している。支持部材34は、外周側から見て、櫛型又は凹凸形状に形成されており、外周方向に形成された多数の凹形状部分の隙間からリザーバ6の加圧空気をメインシリンダ3に導入する。支持部材34はまた、メインバルブ7の静止位置と発射位置との間のスライドをガイドしており、更に、メインバルブ7の内側のO−リング21と協働して、排気通路22への排出路を開閉する。
【0018】
図5のメインバルブ7の上端付近を拡大した図6を参照する。シール部材33は、可撓性のリング形状の部材で形成される。例えば、シール部材33は、硬質ウレタン又は硬度90度のブタジエンアクリロニトリルゴム(NBR)の一体成形部品から形成でき、弾性を有する。シール部材33は、メインバルブ7の上端の外周部分に取付けられる取付け部35と、メインバルブ7の上端面に位置しその端面から半径方向内方に延び出てシール壁部9の外面に接触するシール機能部37とを包含する。シール機能部37は、メインバルブ7が静止位置にあるときリザーバ6の加圧空気がシール機能部37の外周面及び取付け部の外周面を押圧する力によってシール機能部37の半径方向内側の端面がシール壁部9に押圧される構成である。すなわち、シール機能部37は、取付け部35と一体に形成され、シール機能部37の外面を半径方向内側に押圧する加圧空気の力(矢印38参照)と取付け部35の外面を押圧する加圧空気の力(矢印38)を、シール機能部37の半径方向内側の端面がシール壁部9に押圧する力とするように形成されている。これによって、シール機能部37は、シール壁部9へのシールが高圧の加圧空気の押圧力によって得られ、軸方向押圧力が必要とせずに確実にシールを維持できる。
【0019】
シール機能部37は、メインバルブ7が発射位置に下動するとき、容易に半径方向外方に拡径してシール機能部37の半径方向内側の端面がシール壁部9から離れ易い可撓性を有する。図7において、メインバルブ7が発射位置に下動し始めると、リザーバ6の加圧空気がメインバルブ7の上端のシール部材33とハウジング5の上端の筒状のシール壁部9の間にできた隙間から矢印39に示すように、急速にメインシリンダ3の上部に流入する。特に、リザーバ6の加圧空気の空気圧が高い場合には、その流入速度は高い。高い流速の加圧空気によって、シール機能部37にはシール壁部9との間に巻き込まれる力が作用するが、シール機能部37は、容易に半径方向外方に拡径し易い可撓性を有し且つ外周面側には拡径を拘束する部材がないので、矢印41に示すように、半径方向内側の端面がシール壁部9から離れ易く、シール壁部9との摩擦を少なくできる。シール機能部37にその可撓性を得るためには、例えば、前記の硬質ウレタン又は硬度90度のブタジエンアクリロニトリルゴム(NBR)で形成するのが好ましい。これによって、メインバルブ7が下動するとき、シール機能部37はシール壁部9から離れることができ、シール機能部の摩耗を減少し、シール部材全体の耐久性を向上する。
【0020】
図6において、取付け部35は、メインバルブ7の上端部分の外周に取付けられる。メインバルブ7の上端部分の外周には、周方向に突部42が形成されている。取付け部35の内面には、メインバルブ上端付近の周方向突部42に嵌合する周方向凹部43が形成されている。これによって、シール部材33は、メインバルブ7の上端側から、その上端部分を包囲するように押込しむだけで取付けることができる。取付け部35は、メインバルブ7の外側にあって、シール機能部37も一体に連結されているので、メインバルブ7が静止位置から発射位置に移動するときに、メインバルブ7の近傍を高速の加圧空気が通っても、シール部材33は、メインバルブ7の内側に巻き込まれることはなく、また、シール部材33がメインバルブ7の所定の取付け位置からずれることはない。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、高圧の加圧空気を使用しても、シール機能部はメインバルブが静止位置にある状態ではシール壁部へのシールが加圧空気の押圧力によって得られ、軸方向押圧力が必要とせずに確実にシールを維持でき、メインバルブが静止位置から発射位置に移動するときにも取付け部がメインバルブの外側にあるので、メインバルブの近傍を通る高速の加圧空気によってもシール部材がメインバルブの内側に巻き込まれることがなく、シール部材がメインバルブの所定の取付け位置からずれることはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を理解するための参考例である、特願2002−233404号に開示された空圧式固着具打込機の正面断面図である。
【図2】図1の空圧式固着具打込機の発射状態の正面断面図である。
【図3】本発明以前のメインバルブのシール手段を示すメインバルブ上端付近の拡大断面図である。
【図4】本発明以前の、図3のものと違うメインバルブのシール手段を示すメインバルブ上端付近の拡大断面図である。
【図5】本発明の実施例に係る空圧式固着具打込機の主要部を切欠いた部分正面断面図である。
【図6】図5の固着具打込機のメインバルブ上端付近を拡大した断面図である。
【図7】図5の固着具打込機のシール部材のシール機能部が拡径する様子を示す図である。
【符号の説明】
1 空圧式固着具打込機
2 メインピストン
3 メインシリンダ
5 ハウジング
6 リザーバ
7 メインバルブ
9 シール壁部
10 ドライバ
11 トリガバルブ
13 トリガレバー
14 メインバルブチャンバ
15 排気ポート
17 ハンドル
18 ノーズ
19 リターンエアチャンバ
21 O−リング
22 排気通路
23 第2O−リング
25 弾性O−リング
26 上端部分
27 弾性O−リング
31 本発明の空圧式固着具打込機
33 リング状シール部材
34 支持部材
35 取付け部
37 シール機能部
42 周方向突部
43 周方向凹部
Claims (5)
- メインシリンダと、メインシリンダ内を往復動するように配置され、釘やねじ等の固着具を打込むドライバが連結されたメインピストンと、前記メインシリンダを外側から覆うように設けられて内部に加圧空気を溜めるリザーバを有するハウジングと、前記メインシリンダへの加圧空気の供給を阻止して前記メインピストンを静止位置に維持する静止位置と該メインシリンダに加圧空気を供給して前記メインピストンを発射位置に移動させる発射位置とを移動するメインバルブとを備え、前記メインシリンダに加圧空気を送ってメインピストンに連結されたドライバを駆動して釘やねじ等の固着具をノーズから打込対象物に打込む、空圧式固着具打込機において、
前記メインバルブは、前記メインシリンダの外側を長手方向にスライドする筒状体として形成され、前記静止位置にあるとき、前記メインシリンダ上部への加圧空気の供給を停止するように、前記ハウジング内部の上部に形成されたメインシリンダに向けて延びる筒状のシール壁部に接触するシール手段を有し、
該シール手段は、前記メインバルブの上端に取付けられた可撓性のリング状シール部材であり、該シール部材は、前記メインバルブ上端の外周部分に取付けられる取付け部と、該メインバルブ上端面から半径方向内方に延び出て前記シール壁部に接触するシール機能部とを包含し、該シール機能部は、前記メインバルブが静止位置にあるとき前記リザーバの加圧空気が前記シール機能部の外周面及び前記取付け部の外周面を押圧する力によって該シール機能部の半径方向内側の端面が前記シール壁部に押圧される構成である
ことを特徴とする空圧式固着具打込機。 - 請求項1に記載の打込機において、前記シール機能部は、前記メインバルブが発射位置に下動するとき、容易に半径方向外方に拡径して前記半径方向内側の端面が前記シール壁部から離れ易い可撓性を有することを特徴とする打込機。
- 請求項2に記載の打込機において、前記シール部材の取付け部の内面には、前記メインバルブ上端付近に形成された周方向突部に嵌合する周方向凹部が形成されていることを特徴とする打込機。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の打込機において、前記シール部材は、硬質ウレタンから成ることを特徴とする打込機。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の打込機において、前記シール部材は、硬度90度のブタジエンアクリロニトリルゴムから成ることを特徴とする打込機。
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JP2006055939A (ja) * | 2004-08-19 | 2006-03-02 | Max Co Ltd | 圧縮空気釘打機のメインバルブ機構 |
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