図1は、本発明の実施の一形態の摩擦撹拌接合装置21を示す正面図であり、図2は摩擦撹拌接合装置21を図1の右方から見た側面図である。本実施の形態においては、図1の紙面に垂直な方向を第1方向A1,A2(「A1,A2」を総括して「A」と記載する)とし、図1の左右方向を第2方向B1,B2(「B1,B2」を総括して「B」と記載する)とし、図1の上下方向を第3方向C1,C2(「C1,C2」を総括して「C」と記載する)とする。また第3方向一方C1を上方といい、第3方向他方C2を下方という場合がある。第1〜第3方向A〜Cは、相互に直交する。本実施の形態の摩擦撹拌接合装置21は、第3方向Cに延びる基準軸線L1を有し、接合装置本体22と、移動体23と、基台24と、押圧手段25と、変位駆動手段26とを含む。
接合装置本体22は、基準軸線L1に沿って延びる長手板状の取付台31と、取付台31の第3方向一方C1の端部である長手方向一端部にボルト部材32によって固定され、取付台31から第1方向一方A1へ突出し、取付台31に垂直な取付面33を有するブラケット34と、前記取付台31の第3方向他方C2の端部である長手方向他端部にボルト部材35によって固定される保持体36と、保持体36に固定されるケーシング37と、ケーシング37を貫通するツール保持具38と、前記ブラケット34およびツール保持具38の間に配置され、前記取付台31にボルト部材39によって固定される回転駆動手段40と、前記ツール保持具38と回転駆動手段40との間に介在される変速手段41とを含む。
ケーシング37には、基準軸線L1に沿って延びる貫通孔45が形成される。ケーシング37の内周部には、基準軸線L1に沿って一対の軸受手段46a,46bが設けられ、これら軸受手段46a,46bによってツール保持具38が支持される。この軸受手段46a、46bは、ツール保持具38を、基準軸線L1に沿う変位を阻止した状態で、基準軸線L1まわりに回転自在に支持する。ツール保持具38の第3方向他方C2の端部である一端部には、接合ツール47が保持される。接合ツール47は、その軸線L11が基準軸線L1と共通となるように設けられる。
回転駆動手段40は、誘導モータまたはサーボモータによって実現される。回転駆動手段40は、基準軸線L1と共通な軸線L12を有する駆動出力軸48を含む。この駆動出力軸48は、モータ本体49からツール保持具38に向かって突出する。この駆動出力軸48は、前記変速手段41に連結される。変速手段41は、接合ツール47の回転速度を可変な状態で、回転駆動手段40の回転動力をツール保持具38に伝達する。これによってツール保持具38が回転し、したがって接合ツール44が回転する。
移動体23は、基準軸線L1に沿って延びる長手板状の基板61と、基板61の一表面上に、基板61に積重して固定される長手板状の補強部材62と、基板61および補強部材62の第3方向一方C1の端部である長手方向一端部にボルト部材63によって固定され、基板61および補助部材62に垂直な取付面64を有するブラケット65と、前記基板61の第3方向他方C2の端部である長手方向他端部に垂直に固定される端板68と、端板68の遊端部付近に設けられるストッパ69と、前記補強部材62上に設けられ、ブラケット65から端板68にわたって基準軸線L1に平行に延びる一対の平行な案内レール70と、各案内レール70に沿って移動自在に装着される上下一対の可動取付け部材71a,71bとを含む。
前記基板61および補強部材62によって、可動台75が構成される。補強部材62は、基板61の第1方向一方A1側である前記接合装置本体22が設けられる側の表面部に、固定される。前記ブラケット65および端板68は、補強部材62の前記接合装置本体22が設けられる側の表面から突出して設けられる。
各可動取付部材71a,71bには、前記接合装置本体22の取付台31が固定され、これによって接合装置本体22が、各案内レール70に沿って、したがって基準軸線L1に沿って、可動台75に対してスライド変位自在に設けられる。
前記ストッパ69は、端板68の前記遊端部付近に形成される図示しないねじ孔に螺着されるボルト部材76と、このボルト部材76の頭部77と端板68との間に螺着される固定用ナット部材78とを有する。ボルト部材76の前記端板68から突出する部分の突出量ΔLによって接合装置本体22の下限位置が設定される。すなわち前記ボルト部材76の端板68から突出する部分の上端部には、接合装置本体22の取付台31の第3方向他方C2に臨む端面が当接し、取付台31の前記案内レールに沿う下方への変位が阻止され、接合ツール47が不所望に下方に変位して損傷してしまうなどの不具合が防がれる。
移動体23のブラケット65の前記取付面64には、押圧源81が固定される。押圧源81は、複動空気圧シリンダによって実現される。押圧源81のロッド82は、基準軸線L1と共通な一直線上に軸線L13を有する。押圧源81のロッド82は、移動体23のブラケット65から下方に突出して設けられる。押圧源81のロッド82は、連結体91を介して、前記接合装置本体22のブラケット34に連結される。
押圧源81には、圧縮空気供給源92から一対の押圧流路93,94を介して、圧縮空気が供給される。前記押圧手段25は、押圧源81、圧縮空気供給源92および押圧流路93,94を含んで構成される。押圧源81は、シリンダチューブ506がピストン507に仕切られて2つの圧力室508,509が形成され、ピストン507にはロッド82が設けられている。
圧縮空気供給源92と押圧源82との間には、電磁切換弁505が介在され、圧縮空気供給源92に接続される供給流路510と、一方の圧力室508に接続される一方の押圧流路93および他方の圧力室509に接続される他方の押圧流路94との接続状態が切り換えられる。電磁切換弁505は、供給流路510と一方の押圧流路93を接続するとともに、他方の押圧流路94を大気開放する伸長駆動状態と、供給流路510と他方の押圧流路94を接続するとともに、一方の押圧流路93を大気開放する縮退駆動状態とに、接続状態を切り換える。また圧縮空気供給源92と電磁切換弁505との間には二次側圧力を調整する電空比例弁511が介在され、押圧源81に供給される圧縮空気の圧力を調整することができる。
被接合物95の各被接合部材95a,95bを摩擦撹拌接合する際には、接合ツール47の先端部分が被接合物95に接触した状態で、電磁切換弁505が伸長駆動状態に切り換えられ、圧縮空気供給源92からの圧縮空気が、一方の押圧流路93を介して、押圧源81に供給され、かつ他方の押圧流路94が大気に開放される。これによってロッド82が伸長し、接合ツール47が略一定の押圧力で被接合物95を押圧する。また摩擦撹拌接合を終了する際には、電磁切換弁505が縮退駆動状態に切り換えられ、圧縮空気供給源92からの圧縮空気が、他方の押圧流路94を介して、押圧源81に供給され、かつ一方の押圧流路93が大気に開放される。これによってロッド82が縮退し、可動台75に対して接合装置本体22全体が上方へ変位して、接合ツール47が被接合物95から退避する。
被接合物95は、複数(本実施の形態では2つ)の被接合部材95a,95bを含んで構成される。本実施の形態において、複数の被接合部材95a,95bを含んで構成されるとは、突合せ継手を形成するために各被接合部材95a,95bの端面同士を突き合わせる場合と、重ね継手を形成するために各被接合部材95a,95bをそれらの厚み方向に積重する場合とを含む。
摩擦撹拌接合装置21は、接合ツール47の前記先端部分が被接合物95に押付けられ、この状態で、回転駆動手段40によって接合ツール47が回転駆動されることによって、被接合物95を摩擦熱によって加熱し、被接合物95に接合ツール47を没入させて、被接合物95を固相撹拌して各被接合部材95a,95bを相互に接合する。
基台24は、基台本体99と、基台本体99の第1方向一方A1の端部である遊端部に固定され、基準軸線L1に沿って延びる長手板状の支持板100と、支持板100に積重して固定され、支持板100よりも上方に突出する長手板状の基板101と、基板101の上方の端部である長手方向一端部に固定され、基板101から第1方向他方A2へ突出するブラケット102と、基板101の前記長手方向一端部に垂直に固定され、基板101から第1方向一方A1へ突出する端板103と、基板101の下方である長手方向他端部に垂直に固定され、基板101から第1方向一方A1へ突出する端板104と、基板101上に設けられ、基板101の長手方向両端部の端板103,104間にわたって基準軸線L1に平行に延びる一対の平行な案内レール105と、各案内レール105に沿ってスライド変位自在に装着される上下一対の可動取付部材106a,106bとを含む。
各可動取付部材106a,106bには、前記移動体23の可動台75が固定され、これによって移動体23が、各案内レール105に沿って、したがって基準軸線L1に沿って、基台本体99に対してスライド変位自在に設けられる。
変位駆動手段26は、基台本体99の上部に固定される変位駆動源111と、変位駆動源111の出力軸112に固定される第1回転輪113と、基準軸線L1に沿って延びるねじ棒114と、ねじ棒114の上方の端部である一端部に固定される第2回転輪115と、第1回転輪113と第2回転輪115とにわたって巻き掛けられる索条116と、前記ねじ棒114に螺合されるナット部材117とを含む。
変位駆動源111は、サーボモータによって実現される。変位駆動源111の出力軸112は、前記基台24のブラケット65から上方に突出し、この出力軸112の突出する部分に、前記第1回転輪113が固定される。
基台24の基板101の前記移動体23が設けられる側の表面には、基板101の長手方向両端部間の中間部に、基準軸線L1に沿って一対の軸受手段118a,118bが設けられる。軸受手段118a,118bは、前記ねじ棒114を回転自在に支持する。これらの軸受手段118a,118bのうち、下方に配置される軸受手段118bは、前記ねじ棒114を下方から支持する。この軸受手段118bによって、ねじ棒114が下方への変位が阻止された状態で、支持される。
ねじ棒114の上方の端部である一端部は、前記基台24の端板103から上方に突出し、このねじ棒114の突出する部分に、前記第2回転輪115が固定される。ねじ棒114およびナット部材117によって構成されるねじ駆動手段は、ボールねじである。
第1および第2回転輪113,115は、たとえば歯付プーリによって実現され、索条116は、たとえば歯付ベルトによって実現される。索条116は、第1回転輪113と第2回転輪115とにわたって巻き掛けられる。したがって変位駆動源111の回転動力は、第1回転輪113、索条116および第2回転輪115を介して、ねじ棒114に伝達される。
前記ナット部材117には、前記移動体23の可動台75が固定される。ナット部材117は、ねじ棒114が回転することによって、基準軸線L1に沿って変位し、基台本体99に対してスライド変位する。
図3は、摩擦撹拌接合装置21全体を示す斜視図である。摩擦撹拌接合装置21は、たとえば図3に破線で示される接合位置50に沿って、各被接合部材95a,95bを、摩擦撹拌接合するために用いられる。
摩擦撹拌接合装置21の基台24は、門形フレーム130に対して第2方向Bにスライド変位自在に設けられる移動体によって実現される。門形フレーム130は、第2方向Bに延びる第1支持体131と、第1支持体131の長手方向両端部に連なり、第3方向に延びる一対の第2支持体132a,132bとを含む。各第2支持体132a,132bは、第1方向Aに平行な一対の案内レール133a,133bに、スライド変位自在に装着され、したがって門形フレーム130は、第1方向Aにスライド変位自在に設けられる。
門形フレーム130は、図示しない第1方向スライド機構を介して、前記案内レール133a,133bに装着される。基台24は、図示しない第2方向スライド機構を介して、門形フレーム130に装着される。
各案内レール133a,133b間の中間には、定盤134が配置される。この定盤134および前記接合ツール47の間には、被接合物95が配置される。この被接合物95の各被接合部材95a,95bは、平坦な板状体であり、各被接合部材95a,95bは、端面同士を突き合わせた状態で定盤134に保持される。
図4は、変速手段41付近を拡大して示す図であり、図5は変速手段41を分解して示す分解斜視図である。変速手段41は、回転駆動手段40の駆動出力軸48からの回転動力が入力される入力軸141と、入力軸141に固定される入力輪142と、入力軸141と間隔をあけて平行に延びる従動軸143と、従動軸143に固定される従動輪144と、従動軸143にその従動軸143の軸線方向に順次的に配置されて固定される複数(本実施の形態では2つ)の変速輪145,146と、従動軸143と間隔をあけて平行に延びる変速出力軸147と、変速出力軸147にその変速出力軸147の軸線方向に順次的に配置されて固定される複数(本実施の形態では2つ)の出力輪148,149と、入力輪142と従動輪144とにわたって巻き掛けられる無端状の第1索条150と、複数の変速輪145,146のうちの1つと複数の出力輪148,149のうちの1つとに、選択的に巻き掛けられる第2索条151とを含む。
本実施の形態では、各変速輪145,146のうち、従動輪144に隣接して配置される変速輪145を第1変速輪145と表記し、残余の変速輪146を第2変速輪146と表記することがある。また各出力輪148,149のうち、入力輪142寄りに配置される出力輪148を第1出力輪148と表記し、残余の出力輪149を第2出力輪149と表記することがある。
回転駆動手段40の駆動出力軸48と変速手段41の入力軸141とは、一体に形成される。入力軸141の軸線は、基準軸線L1と同一または平行、本実施の形態では同一である。変速出力軸147の軸線は、基準軸線L1と同一または平行である。本実施の形態では、変速手段41の変速出力軸147と前記ツール保持具38とは、一体に形成され、変速出力軸147の軸線は、基準軸線L1と同一である。動力伝達輪である入力輪142、従動輪144、変速輪145,146および出力輪148,149は、歯付プーリによって実現される。第1および第2索条150,151は、歯付ベルトによって実現される。また本実施の形態において、後述の各動力伝達輪の外径は、各動力伝達輪のピッチ円直径を意味する。
各変速輪145,146は、外径D1,D2が相互に異なり、各出力輪148,149は、外径D3,D4が相互に異なる。各変速輪145,146と各出力輪148,149とは、対を成して設けられ、対を成す変速輪と出力輪とは、軸線方向に同一の位置に設けられる。第2索条151は、対を成す変速輪145および出力輪148間、または変速輪146および出力輪149間にわたって巻き掛けられる。対を成す第1変速輪145の外径D1および第1出力輪148の外径D3の和と、対を成す第2変速輪146の外径D2および第2出力輪149の外径D4の和とは、同一であり、さらにこれらと、入力輪142の外径D5および従動輪144の外径D6の和とは、同一である。
第2索条151が第1変速輪145と第1出力輪148とにわたって巻き掛けられたとき、回転速度比は1/1となる。第2索条151が第2変速輪146と第2出力輪149とにわたって巻き掛けられたとき、回転速度比は1/4となる。本実施の形態において、回転速度比とは、回転駆動手段40の出力回転速度と、接合ツール47の回転速度との比であり、分母が回転駆動手段40の出力回転速度に対応し、分子が接合ツール47の回転速度に対応する。
従動軸143は、取付台31の第2方向他方B2の端部である幅方向一端部にボルト部材161によって固定される長手板状の第1支持台162と、この第1支持台162上に設けられる長手板状の第2支持台163と、第2支持台163の上方および下方である長手方向両端部に垂直に固定される軸受手段164a,164bとによって、取付台31に支持される。
第1支持台162は、取付台31の第1方向一方A1側の表面部に固定され、取付台31の第2方向他方B2の端部である幅方向一端部から第2方向他方B2へ突出する。この第1支持台162には、取付台31の幅方向に平行な一対の案内レール165が固定される。各案内レール165は、第1支持台162の第1方向一方A1側の表面に設けられる。各案内レール165には、一対の可動取付部材166a,166bが装着される。各可動取付部材166a,166bは、第2支持台163に固定される。これによって第2支持台163が、案内レール165に沿って、したがって取付台31の幅方向に沿って第2方向Bへ、第1支持台162に対してスライド変位自在に設けられる。
軸受手段164a,164bは、第2支持台163の第1支持台162に臨む表面とは反対側の表面である第1方向一方A1側の表面から突出する。この軸受手段164a,164bは、従動軸143をその軸線L14まわりに回転自在に、かつ軸線L14に沿う変位を阻止した状態で支持する。従動軸143の軸線L14は、基準軸線L1に平行である。
第1および第2支持台162,163間で、かつ各案内レール165間の中間には、第2方向Bである取付台31の幅方向に延びるねじ棒167が設けられる。このねじ棒167は、各案内レール165間の中間部で、かつ第1支持台162の幅方向一端部に固定され、第1支持台162の取付台31が設けられる側の表面とは反対側の表面、換言すれば第1支持台162の第1方向一方A1側の表面から突出する軸受手段168に、その軸線まわりに回転自在に支持される。
ねじ棒167の第2方向一方B1の端部である長手方向一端部には、ナット部材169が螺合される。ねじ棒167およびナット部材169によってボールねじが構成される。ねじ棒167の第2方向他方B2の端部である長手方向他端部には、ハンドル170が固定される。ナット部材169には、第2支持台163が固定される。これによってハンドル170を回転させてねじ棒167をその軸線まわりに回転させることによって、ナット部材169がねじ棒167の軸線に沿って変位し、したがって第1支持台162に対して各案内レール165に沿って第2支持台163が変位する。
図6は、変速手段41を図4の上方から見た平面図であり、図7は変速手段41を図4の右方から見た側面図であり、図8は変速手段41の第1支持台162を示す図である。変速手段41は、カバー体173によって覆われる。変速手段41には、接合作業中における第1および第2支持台162,163の相互の変位を阻止するための固定手段175が設けられる。固定手段175は、第1方向Aである第1支持台162に対して垂直な方向に延びる一対のボルト部材176a,176bと、各ボルト部材176a,176bの長手方向一端部に螺合されるナット部材177a,177bと、各ボルト部材176a,176bの長手方向他端部に固定されるレバー178a,178bとを含む。
第1支持台162には、ねじ棒167の軸線に平行である第2方向Bへ延びる一対の溝179a,179bが形成される。各溝179a,179bは、第1支持台162の一表面から他表面にわたって貫通する。各溝179a,179bには、前記各ボルト部材176a,176bが、第2方向Bへ変位自在に挿通する。各ボルト部材176a,176bの前記長手方向一端部は、第1支持台162の第2支持台163に臨む表面から突出し、各ボルト部材176a,176bの前記長手方向他端部は、第1支持台162の第2支持台163に臨む表面とは反対側の表面から突出する。
各ボルト部材176a,176bは、長手方向他端部を、第1支持台162に係止することができるように構成されている。ナット部材177a,177bには、第2支持台163が固定される。各レバー178a,178bを回転させて各ボルト部材176a,176bをその軸線まわりに回転させることによって、各ナット部材177a,177bを各ボルト部材176a,176bの軸線に沿って変位させることができる。これによって各ボルト部材176a,176bと、各ナット部材177a,177bとによって、第1支持台162と第2支持台163とを締結することができるとともに、この締結を解除することができる。したがって第2支持台163を、第1支持台162に対する変位が阻止された固定状態と、第1支持台162に対してスライド変位可能な可動状態とに切り換えることができる。
図9は、第2索条151を巻き掛ける変速輪および出力輪を変更する手順を説明するための図であり、図9(1)は第2索条151が第1変速輪145と第1出力輪148とにわたって巻き掛けられた状態を示し、図9(2)は第1および第2索条150,151が緩んだ弛緩状態を示し、図9(3)は第2索条151を第1変速輪145および第1出力輪148の位置から第2変速輪146および第2出力輪149の位置に移動した状態を示し、図9(4)は第2索条151が第2変速輪146と第2出力輪149とにわたって巻き掛けられた状態を示し、図10は第2索条151を巻き掛ける変速輪および出力輪を変更する手順を説明するためのフローチャートである。
ステップa1で、第2索条151を巻き掛ける変速輪および出力輪の変更作業が開始されると、ステップa2に移る。ステップa2では、作業者によって、変速手段41を覆うカバー体173が開かれる。このとき第2索条151は、図9(1)に示されるように、第1変速輪145と第1出力輪148とにわたって巻き掛けられている。入力軸141および変速出力軸147の軸線と、従動軸143の軸線L14とは、巻き掛け間隔d1をあけて配置されており、第2索条151の巻き掛け状態は、第2索条151が緊張した緊張状態である。また第2支持台163は、第1支持台162に対して固定状態となっている。
次にステップa3では、作業者によって、第2支持台163が第1支持台162に対して可動状態とされ、ハンドル170が回転され、第2支持台163が案内レール165に沿って変位し、これによって従動軸143が入力軸141および変速出力軸147に近接する方向に変位する。こうして図9(2)に示されるように、入力軸141および変速出力軸147の軸線と、従動軸143の軸線L14とが、巻き掛け間隔d1よりも小さい弛緩間隔d2(d2<d1)をあけて配置される。これによって第2索条151の巻き掛け状態は、第2索条151が緩んだ弛緩状態となる。
次にステップa4では、作業者によって、図9(3)に示されるように、第2索条151が第1変速輪145および第1出力輪148の位置から第2変速輪146および第2出力輪149の位置に移動される。
次にステップa5では、作業者によって、ハンドル170が回転され、第2支持台163が案内レール165に沿って変位し、これによって従動軸143が入力軸141および変速出力軸147から離反する方向に変位する。こうして図9(4)に示されるように、入力軸141および変速出力軸147の軸線と、従動軸143の軸線L14とが、前記巻き掛け間隔d1をあけて配置される。これによって、第2索条151の巻き掛け状態は、緊張状態となる。この後、作業者によって、第2支持台163が第1支持台162に対して固定状態とされる。
次にステップa6で、作業者によってカバー体173が閉じられ、ステップa7で、第2索条151を巻き掛ける変速輪および出力輪の変更作業が終了される。
図11は、接合ツール47を拡大して示す断面図である。図12は、接合ツール47を拡大して示す斜視図である。接合ツール47は、円柱状の第1円柱部181と、第1円柱部181の下方に連なる円錐台状の円錐台部182と、円錐台部182の下方に連なる第1円柱部181よりも大径の円柱状の第2円柱部183と、第2円柱部183から下方へ先細状に突出する円錐台状の突出部184とを含む。
第1円柱部181、円錐台部182、第2円柱部183および突出部184は同軸である。円錐台部182の外周面は、第1円柱部181から第2円柱部183に進むにつれてその軸線から離反する方向に傾斜する。突出部184の基部185の外径D11は、第2円柱部183の外径D12よりも小さく、突出部184の先端部分186の外径D13は、突出部184の基部185の外径D11よりも小さい。突出部184の基部185から第2円柱部183の外周面にわたる第2円柱部183の底面によってショルダー部187が構成される。
摩擦撹拌接合するときは、接合ツール47を、基準軸線L1に沿って被接合物95に近接する方向である第3方向他方C2へ変位させ、突起部184が被接合物95に没入し、ショルダー部187が被接合物95に当接する。この状態で接合ツール47が予め定める回転方向Xへ回転することによって、突起部184の側面188と被接合物95との間に摩擦熱が生じ、かつショルダー部187と被接合物95との間に摩擦熱が生じる。この摩擦熱によって被接合物95の接合ツール47に当接する部分が軟化し、流動する。このように被接合物95を部分的に塑性流動させることによって、被接合物95を固相撹拌することができる。各被接合部材95a,95bが突き合わされる部分を撹拌することによって、この部分を一体化し、接合することができる。このように接合ツール47を回転して撹拌しながら、各被接合部材95a,95bが突き合わされる突合せ部である接合位置50に沿って、接合ツール47を被接合物95に対して相対的に移動方向Yへ変位させ、接合位置50に沿って、撹拌されて接合される接合領域501を形成し、突合せ継手を形成することができる。
図13は、接合ツール47の回転速度と接合ツール47に作用する負荷トルクとの関係を示すグラフを示す図である。表1は、各材質から成る各被接合部材95a,95bの接合に適した接合条件の一例と、その接合条件で各被接合部材95a,95bを接合したときに接合ツール47に作用する負荷トルクとの関係を示す。表1は、各被接合部材95a,95bの寸法である厚みが4mmのときの接合条件および負荷トルクを示す。
以下「回転速度」は接合ツール47の回転速度を意味し、「負荷トルク」は、接合ツール47を回転したときに接合ツール47に作用する負荷トルクを意味する。摩擦撹拌接合に適する接合条件は、被接合物95の材質および寸法によって異なる。接合条件は、接合ツール47の回転速度と、第1方向Aに沿う接合ツール47の移動速度である接合速度と、被接合物95に対する接合ツール47の押圧力であるツール荷重とを含む。
表1および図13に示されるように、各被接合部材95a,95bの厚みが同じであっても、各被接合部材95a,95bの材質によって、好適な回転速度および出力トルクが異なる。ここで出力トルクは、接合ツール47から被接合物に与えられるトルクであって、好適な出力トルクは、負荷トルク以上である。たとえば材質が6N01アルミニウムである場合、適する回転速度と、その場合の負荷トルクは、図13のグラフ上で領域201に入るような範囲であり、概略的に、回転速度が約700min−1以上約3200min−1以下で、負荷トルクが約25N・m以下(0N・mより大きい)である。また材質が5083アルミニウムである場合、適する回転速度と、その場合の負荷トルクは、図13のグラフ上で領域202に入るような範囲であり、概略的に、回転速度が約100min−1以上約900min−1以下で、トルクが約35N・m以上約80N・m以下である。このように、5083アルミニウムから成る各被接合部材95a,95bの接合に適した回転速度は、6N01アルミニウムから成る各被接合部材95a,95bの接合に適した回転速度に比べて低い。また5083アルミニウムから成る各被接合部材95a,95bを接合する場合の負荷トルクは、表1に示されるような接合条件で6N01アルミニウムから成る各被接合部材95a,95bを接合したときに接合ツール47に作用する負荷トルクに比べて3倍程度大きい。
また各被接合部材95a,95bの材質が同じであっても、各被接合部材95a,95bの厚みによって、好適な回転速度および出力トルクが異なる。各被接合部材95a,95bの厚みが大きくなると、各被接合部材95a,95bの接合に適した接合ツール47の回転速度は低くなり、接合ツール47に作用する負荷トルクは大きくなる。
各被接合部材95a,95bの厚みが大きくなると、これに合わせて接合ツール47の突出部184の突出量を大きくする。突出部184の突出量を大きくすると、突出部184の側面188と各被接合部材95a,95bとの接触面積が大きくなる。これによって固相撹拌の際に、突出部184に作用する反力が大きくなる。この反力によって突出部184が折れてしまわないように、突出部184の外径を大きくする必要がある。突出部184の外径を大きくすると、各被接合部材95a,95bに対する突出部184の側面188の相対速度が大きくなり、撹拌過剰となって空洞状の欠陥が発生するので、接合ツール47の回転速度を低下する必要がある。このとき接合ツール47の回転速度は、突出部184の側面188の周速度が一定となるように変化する必要がある。また接合ツール47の回転速度を低下すると、ショルダー部187と各被接合部材95a,95bとの間の摩擦熱が減少するので、各被接合部材95a,95bの流動性が低下し、これによって接合ツール47に作用する負荷トルクは大きくなる。
図14は、摩擦撹拌接合装置21のブロック図である。制御手段213は、門形フレーム130を第1方向Aに沿ってスライド変位駆動する第1方向駆動源211と、基台24を第2方向Bに沿ってスライド変位駆動する第2方向駆動源212と、回転駆動手段40と、変位駆動源111と、押圧手段25とを制御する。
図15は、摩擦撹拌接合装置21の詳細な動作を説明するためのタイミングチャートであり、図15(1)は、第1方向駆動源211の動作状態を示すグラフであり、図15(2)は、第2方向駆動源212の動作状態を示すグラフであり、図15(3)は、回転駆動手段40の回転速度を示すグラフであり、図15(4)は、変位駆動源111の動作状態を示すグラフであり、図15(5)は、ツール荷重を示すグラフである。図16は図14に示される制御手段213の動作を説明するためのフローチャートである。図17は、押圧手段25による押圧動作を説明するための図であり、図17(1)は、押圧源81の動作を示す回路図であり、図17(2)は、押圧源81における他方の圧力室509の圧力を示すグラフであり、図17(3)は、押圧源81における一方の圧力室508の圧力を示すグラフであり、図17(4)は、ツール荷重を示すグラフである。ステップb1において、被接合物95が定盤134の所定位置に搬送され、被接合物95が定盤134に保持されると、接合作業が開始され、ステップb2に移る。
ステップb2では、時刻t1において、図15(1)および図15(2)に示されるように第1方向駆動源211および第2方向駆動源212の駆動が開始され、第1方向駆動源211および第2方向駆動源212の働きによって、門形フレーム130が変位され、接合ツール47が、被接合物95に対して第1および第2方向A,Bへ、接合を開始する位置である開始位置上に向けて移動される。これによって時刻t2で、接合ツール47の軸線L11、したがって基準軸線L1上に、開始位置が配置され、門形フレーム130の変位が停止される。ステップb3で、接合ツール47が開始位置上に移動された時刻t2から図15(3)に示されるように回転駆動手段40による回転駆動が開始され、これによって接合ツール47の回転が開始される。
時刻t3において、回転駆動手段40の駆動出力軸48の回転速度Vが所定の回転速度V1に到達すると、ステップb4で、図15(4)に示されるように、駆動出力軸48を一定の回転速度V1で回転しながら、変位駆動源111の回転駆動が開始される。これによって接合装置本体22、移動体23および押圧手段25が基台24に対してスライド変位して、接合ツール47が被接合物95に近接する方向に変位する。
時刻t4において、接合ツール47が被接合物95に対して所定の間隔をあけた位置で、接合装置本体22、移動体23および押圧手段25の基台24に対するスライド変位を停止し、ステップb5で図15(5)に示されるように、押圧手段25による押圧が開始される。時刻t4までは、電磁切換弁505が縮退駆動状態にあり、圧縮空気供給源92から押圧源81に、圧縮空気が供給されており、その圧力は、予め定める第1設定圧力P1である。このとき、ロッド82が最も縮退された状態にある。時刻t4から所定の第1時間T1が経過する時刻t4−1まで、電空比例弁511が二次圧を低下させるように操作され、押圧源81に供給される圧力が徐々に低下される。これによってロッド82が接合装置本体22の自重によって徐々に伸長される。このようにロッド82が伸長されることによって、接合ツール47の突出部184が被接合物95に没入される。このように突出部184が被接合物95に没入されるに従って、接合ツール47が被接合物95を押圧するツール荷重が徐々に増加する。
圧縮空気供給源92から供給される空気の圧力は、線520で示すように、一定の低下率で低下させてもよく、この場合、ツール荷重は、線525で示すように、一定の増加率で増加する。また供給する空気の圧力は、線521で示すように時刻が経過するに従って低下率が大きくなるように低下させてもよく、この場合、ツール荷重は、線526で示すように、時刻が経過するに従って増加率が大きくなるように増加する。また供給する空気の圧力は、線522で示すように時刻が経過するに従って低下率が小さくなるように低下させてもよく、この場合、ツール荷重は、線527で示すように、時刻が経過するに従って増加率が小さくなるように増加する。
時刻t4−1で、他方の圧力室509の圧力が大気圧に達すると、電空比例弁511の操作が停止され、この時刻t4−1から所定の第2時間T2が経過する時刻t4−2までの間、時刻t4−1における状態と同一の状態が保持される。この時点でのツール荷重は、接合装置本体22の自重と同じ第1ツール荷重F1である。
時刻t4−2で電磁切換弁505が伸長駆動状態に切り換えられ、時刻t4−2から所定の第3時間T3が経過する時刻t5まで、電空比例弁511が二次圧を増加させるように操作され、押圧源81に供給される圧力が徐々に増加される。これによって空気によってロッド82を伸長する方向に与えられる圧力が増加し、ツール荷重が徐々に増加する。
圧縮空気供給源92から供給される空気の圧力は、線530で示すように、一定の増加率で増加させてもよく、この場合、ツール荷重は、線535で示すように、一定の増加率で増加する。また供給する空気の圧力は、線531で示すように時刻が経過するに従って増加率が大きくなるように増加させてもよく、この場合、ツール荷重は、線536で示すように、時刻が経過するに従って増加率が大きくなるように増加する。また供給する空気の圧力は、線532で示すように時刻が経過するに従って増加率が小さくなるように低下させてもよく、この場合、ツール荷重は、線537で示すように、時刻が経過するに従って増加率が小さくなるように増加する。
このように時刻t4から時刻t5までの所定の時間Tの間に、ツール荷重が増加するように制御され、時刻t5では、ショルダー部187が被接合物95に好適な押圧力で弾発的に当接し、この時点でツール荷重が最も高くなる。この時刻t5からステップb6で、第1方向駆動源211の働きによって、門形フレーム130が第1方向Aに沿って移動され、したがって接合ツール47が第1方向Aに沿って移動される。この接合ツール47の移動時には、接合ツール47の回転速度および接合ツール47の被接合物95に対する押圧力は、一定となるように、回転駆動手段40および押圧手段25が制御される。
時刻t5から時刻t6までは、電磁切換弁505が伸長駆動状態にあり、圧縮空気供給源92から押圧源81に、圧縮空気が供給されており、その圧力は、予め定める第2設定圧力P2である。またツール荷重は、前記第1ツール荷重F1よりも大きい予め定める第2ツール荷重F2(F2>F1)である。
ステップb7では、接合ツール47が、接合を終了する位置である終了位置まで移動した時刻t6で、門形フレーム130の変位駆動が停止され、電磁切換弁505が縮退駆動状態に切り換えられ、押圧手段25による押圧が停止され、ツール荷重が0Nとなる。さらに変位駆動源111の回転駆動が開始される。これによって接合装置本体22、移動体23および押圧手段25が基台24に対してスライド変位して、接合ツール47が被接合物95から離反する方向に変位する。
接合装置本体22、移動体23および押圧手段25が完全に退避した時刻t7では、回転駆動手段40による回転駆動が停止される。そして時刻t8において回転駆動手段40が静止し、したがって接合ツール47が静止し、ステップb9で、接合作業が終了される。
このように本実施の形態では、接合ツール47を保持するツール保持具38を、回転駆動手段40によって、変速手段41を介して回転駆動し、これによって接合ツール47をその軸線L11と一致する基準軸線L1まわりに回転駆動し、被接合物95を固相撹拌して各被接合部材95a,95bを接合する。ツール保持具38とこれを回転駆動する回転駆動手段40との間には、変速手段41が介在され、ツール保持具38の回転速度を変更し、接合ツール47の回転速度を変更することができる。変速手段41によってツール保持具38の回転速度を変更すると、この回転速度の変更に伴って、ツール保持具38のトルクが変化し、接合ツール47の出力トルクが変化する。
このように変速手段41によって、接合ツール47の回転速度および出力トルクを変更することによって、回転駆動手段40の出力回転速度および出力回転動力を制御する場合に比べて、大きい回転速度範囲およびトルク範囲で、接合ツール47を回転駆動することができる。したがって装置の適用範囲を大きくし、利便性を高くすることができる。詳細に述べると、被接合物95を固相撹拌して各被接合部材95a,95bを接合するにあたって、被接合物95の撹拌に適した接合ツール47の回転速度は、被接合物95の材質および寸法によって異なる。またこのとき接合ツール47に作用する負荷トルクは、被接合物95の材質および寸法によって異なる。出力トルクが負荷トルクに比べて小さくなると、接合ツール47を回転することができず、撹拌できなくなる。したがって被接合物95の撹拌に適した接合ツール47の出力トルクは、被接合物95の材質および寸法によって異なる。変速手段41を設ければ、前述のように、大きい回転速度範囲および出力トルク範囲で、接合ツール47を回転駆動することができるので、多くの種類の材質から成る各被接合部材95a,95bの接合に好適に用いることができるとともに、大きな寸法範囲内にある各被接合部材95a,95bの接合に好適に用いることができる。このように装置の適用範囲を大きくすることができる。
このように装置の適用範囲を大きくすることができるので、多くの種類の材質から成る各被接合部材95a,95bの接合および大きな寸法範囲内にある各被接合部材95a,95bの接合のために、被接合物95の材質および寸法にそれぞれ合わせて、複数台の装置を用意する必要がなくなる。また、多くの種類の材質から成る各被接合部材95a,95bの接合および大きな寸法範囲内にある各被接合部材95a,95bの接合を、1台の装置で実現するために、その1台の装置に、被接合物95の材質および寸法にそれぞれ合わせて、出力トルク特性が相互に異なる回転駆動手段40を複数、設ける必要がなく、装置の軽量化および小形化を達成することができる。
また本実施の形態では、入力軸141に固定される入力輪142と、従動軸143に設けられる従動輪144とにわたって、第1索条150が巻き掛けられ、回転駆動手段40の駆動出力軸48から入力軸141に入力される回転動力が、従動軸143に伝達される。この従動軸143に複数の変速輪145,146が固定され、変速出力軸147に複数の出力輪148,149が固定され、各変速輪145,146と各出力輪148,149とにわたって選択的に第2索条151が巻き掛けられ、従動軸143に伝達されて回転動力が変速出力軸147に伝達され、変速出力軸147からツール保持具38に出力することができる。各変速輪145,146は外径が異なるとともに、各出力輪148,149は外径が異なっており、第2索条151が巻き掛けられる変速輪145,146および出力輪148,149との組合わせによって、入力軸141に入力される回転速度に対して、変速出力軸から出力される回転速度が変化する。したがって第2索条を巻き掛ける変速輪145,146および出力輪148,149を選択することによって、ツール保持具38の回転速度を変更し、接合ツール47の回転速度を変更することができる。このように接合ツール47の回転速度の変更を実現することができる。
また変速手段41が、索条を用いる動力伝達機構を利用して実現されるので、回転駆動手段40と、ツール保持具38との間で、熱が移動することを抑制することができる。これによって撹拌時に、接合ツール47と被接合物95との摩擦によって生じる摩擦熱が、回転駆動手段40に移動することを防ぎ、回転駆動手段40の連続稼動時間を長くすることができる。また装置寿命を長くすることができる。
さらに本実施の形態では、変速出力軸147の軸線と従動軸143の軸線L14との間隔を変位調整して、第2索条151を緊張状態として、回転動力を好適に伝達することができる。また第2索条151を弛緩状態とし、第2索条151が巻き掛けられる変速輪および出力輪を変更することができるので、第2索条151の巻き掛け換えを容易に実行することができる。このように接合ツール47の回転速度の変更のための操作を容易に実行することができる。
さらに本実施の形態では、第2索条151は対を成す変速輪および出力輪間にわたって巻き掛けられる。各対の変速輪の外径と出力輪の外径との和が同一であり、第2索条151が巻き掛けられる変速輪および出力輪の組合わせに拘わらず、第2索条151を緊張状態としたときの変速出力軸147の軸線と従動軸143の軸線L14との距離がほぼ一定となる。これによって第2索条151が緊張状態にあるとき、変速出力軸147および従動軸143の位置をほぼ一定の位置に配置することができる。回転動力は、第2索条151が緊張状態となるときに伝達されるので、この状態では、変速出力軸147および従動軸143を大きな強度で安定して支持しなければならないが、前述のように変速出力軸147および従動軸143の位置をほぼ一定の位置とすることができ、簡単な構成で、これら変速出力軸147および従動軸143を大きな強度で安定して容易に支持することができる。また第2索条151の巻き掛け換えのために、従動軸143と変速出力軸147との変位調整間隔を小さくすることができ、構成を簡単にすることができる。
さらに本実施の形態では、ツール保持具38、回転駆動手段40および変速手段41は、可動台75に設けられ、この可動台75が、変位駆動手段26によってスライド変位駆動され、接合ツール47が基準軸線L1に沿ってスライド変位駆動される。これによって接合ツール47を、回転させた状態で、被接合物95に対して挿入および離脱させることができ、被接合物95の好適な固相撹拌を実現することができる。
またこの構成では、ツール保持具38を回転駆動手段40に対して基準軸線L1に沿って変位させる必要がなく、回転駆動手段40からツール保持具38への回転動力の伝達機構を容易にすることができる。特に、ツール保持具38を回転駆動手段40との間に変速手段41を介在させる構成においては、変速手段41の構成を容易にすることができる。
さらに本実施の形態では、ツール保持具38、回転駆動手段40および変速手段41が取付台31に設けられ、この取付台31が、接合ツール47を被接合物95に近づける方向へ、押圧手段25によって弾発的に押圧される。これによって接合ツール47を、被接合物95に近接および離反する方向へ弾発的に変位可能な状態に設けることができ、この接合ツール47を被接合物95に弾発的に接触させることができる。したがって被接合物95の寸法誤差を吸収して、接合ツール47と被接合物95とが固相撹拌に好適な相対位置関係に配置される状態で、被接合物95を撹拌することができる。
前述の実施の形態では、回転速度比が、接合ツール47の回転速度および回転駆動手段40の出力回転速度が同一である1/1と、接合ツール47の回転速度が回転駆動手段40の出力回転速度よりも低い1/4となるように、各動力伝達輪が選ばれた。これに対して、本発明の実施の他の形態では、前述の回転速度比のいずれか一方が、接合ツール47の回転速度が回転駆動手段40の出力回転速度よりも高いたとえば2/1となるように、各動力伝達輪が選ばれてもよい。
前述の実施の各形態では、変速手段41の動力伝達輪である入力輪142、従動輪144、変速輪145,146および出力輪148,149は、歯付プーリによって実現され、第1および第2索条150,151は、歯付ベルトによって実現されたが、本発明の実施のさらに他の形態では、変速手段41の、各動力伝達輪は、平プーリによって実現され、第1および第2索条150,151は、平ベルトによって実現されてもよい。この場合、各動力伝達輪の外径は、平ベルトに当接する外周面の直径である。
また本発明の実施のさらに他の形態では、各動力伝達輪は、Vプーリによって実現され、第1および第2索条150,151は、Vベルトによって実現されてもよい。この場合、各動力伝達輪の外径は、ピッチ円直径である。
また本発明の実施のさらに他の形態では、各動力伝達輪は、スプロケットホイールによって実現され、第1および第2索条150,151は、チェーンによって実現されてもよい。この場合、各動力伝達輪の外径は、ピッチ円直径である。
また前述の実施の各形態では、変速手段41は、巻掛け伝動を用いて実現されたが、本発明の実施のさらに他の形態では、変速手段41は、たとえば遊星歯車を始めとする歯車装置を用いて実現されてもよい。
また前述の実施の各形態では、変速手段41によって接合ツール47の回転速度および出力トルクを変更するが、本発明の実施のさらに他の形態では、前述のような変更に加えて、回転駆動手段40を制御することによって、接合ツール47の回転速度および出力トルクを変化させる。この実施の形態では、変速手段41によって、被接合物95の撹拌に適した接合ツール47の回転速度および出力トルクを実現した上で、回転駆動手段40を制御することによって、前記被接合物95により適した接合ツール47の回転速度および出力トルクを実現することができる。
図19は、本発明の実施のさらに他の形態の摩擦撹拌接合装置221を示す側面図である。本実施の形態の摩擦撹拌接合装置221は、図1〜図18に示す摩擦撹拌接合装置21と類似しており、対応する部分には同一の符号を付し、異なる点についてだけ説明して、同様の構成については説明を省略する。摩擦撹拌接合装置221は、前述の実施の形態の摩擦撹拌接合装置21における変速手段41に代えて、変速手段222を有する。変速手段222は、ツール保持具38と回転駆動手段40との間に介在される。
図20は、変速手段222付近を拡大して示す断面図であり、図21は図20の切断面線S21−S21から見た断面図であり、図22は変速手段222を分解して示す分解斜視図である。変速手段222は、カバー体223によって覆われる。変速手段222は、回転駆動手段40の駆動出力軸48からの回転動力が入力される入力軸224と、入力軸224に固定される入力輪225と、入力軸224と間隔をあけて平行に延びる従動軸226と、従動軸226に固定される第1および第2輪227,228と、従動軸226と間隔をあけて平行に延びる変速出力軸229と、変速出力軸229に固定される出力輪230と、入力輪225と第1輪227とにわたって巻き掛けられる第1結合状態の第1索条231aと、入力輪225と第2輪228とにわたって巻き掛けられる第2結合状態の第1索条231bと、出力輪230と第2輪228とにわたって巻き掛けられる第1結合状態の第2索条232aと、出力軸230と第1輪227とにわたって巻き掛けられる第2結合状態の第2索条232bとを含む。
本発明において、請求項では、第1および第2結合状態の第1索条231a,231bを総括して第1索条と記載し、第1および第2結合状態の第2索条232a,232bを総括して第2索条と記載している。
回転駆動手段40の駆動出力軸48と変速手段222の入力軸224とは、一体に形成される。入力軸224の軸線は、基準軸線L1と同一または平行、本実施の形態では同一である。変速出力軸229の軸線は、基準軸線L1と同一または平行である。本実施の形態では、変速手段222の変速出力軸229と前記ツール保持具38とは、一体に形成され、変速出力軸229の軸線は、基準軸線L1と同一である。入力軸224と変速出力軸229とは、相互に独立して回転可能である。
動力伝達輪である入力輪225、第1および第2輪227,228、ならびに出力輪230は、歯付プーリによって実現される。第1および第2結合状態の第1索条231a,231bならびに第1および第2結合状態の第2索条232a,232bは、歯付ベルトによって実現される。第1および第2結合状態の第1索条231a,231bは周方向の長さが相互に異なる。第1および第2結合状態の第2索条232a,232bは周方向の長さが相互に異なる。本実施の形態において、後述の各動力伝達輪の外径は、各動力伝達輪のピッチ円直径を意味する。
従動軸226は、第1および第2支持台236,237と、一対の軸受手段238a,238bとによって、取付台31に支持される。本実施の形態では、第2支持台237と、一対の軸受手段238a,238bと、従動軸226と、第1および第2輪227,228とを含んで、動力伝達手段241が構成される。
第1支持台236は、長手板状の部材であり、取付台31の第2方向他方B2の端部である幅方向一端部にボルト部材239によって固定される。この第1支持台236は、取付台31の第1方向一方A1側の表面部に固定され、取付台31の前記幅方向一端部から第2方向他方B2へ突出する。第2支持台237は、長手板状の部材であり、第1支持台236に関して第1方向一方A1側に設けられる。
各軸受手段238a,238bは、第2支持台237の前記第1支持台236に臨む表面とは反対側の表面である第1方向一方A1側の表面から突出する。この軸受手段238a,238bは、従動軸226をその軸線L14まわりに回転自在に、かつ軸線L14に沿う変位を阻止した状態で支持する。従動軸226の軸線L14は、仮想一平面内で基準軸線L1に平行である。
第1支持台236の幅方向一端部、すなわち第1支持台236の第2方向他方B2の端部には、第1支持台236の長手方向、すなわち第3方向Cに、間隔をあけて一対の側板246a,246bが設けられる。各側板246a,246bは、第1支持台236の取付台31が設けられる側の表面、換言すれば第1支持台236の第1方向一方A1側の表面から突出する。各側板246a,246bには、一対の取付用挿通孔247a〜247dがそれぞれ設けられるとともに、調整用挿通孔248a,248bがそれぞれ設けられる。
各側板246a,246bの各取付用挿通孔247a〜247dには、取付用ボルト部材250a〜250dがそれぞれ挿通される。これらの取付用ボルト部材250a〜250dによって、各側板246a,246bは、第1支持台236に取付けられる。第1支持台236の幅方向一端部には、取付用ねじ孔249a〜249dが予め形成されており、前記各取付用ボルト部材250a〜250dは、各側板246a,246bの各取付用挿通孔247a〜247dを挿通した状態で、各取付用ねじ孔249a〜249dが形成される第1支持台236に螺着される。
各側板246a,246bの各調整用挿通孔248a,248bには、調整用ボルト部材252a,252bがそれぞれ挿通される。各調整用ボルト部材252a,252bは、その軸線が第2方向Bに延び、軸線まわりに回転自在に前記各側板246a,246bに支持される。第2支持台237の幅方向両端部には、一対の調整用ねじ孔251a〜251dがそれぞれ予め形成されており、各調整用ボルト部材252a,252bは、各側板246a,246bの各調整用挿通孔248a,248bを挿通した状態で、調整用ねじ孔251a〜251dが形成される第2支持台237に螺着される。
第1支持台236には、1または複数(本実施の形態では4つ)の溝256a〜256dが形成される。各溝256a〜256dは、第1支持台236の上方および下方である長手方向両端部に、一対ずつそれぞれ設けられる。各溝256a〜256dは、第2方向Bに延びる。各溝256は、第1支持台236の一表面から他表面にわたって貫通する。各溝256には、固定用ボルト部材258a〜258bが、第2方向Bへ変位自在に挿通する。
各固定用ボルト部材258a〜258dの前記長手方向一端部は、第1支持台236の第2支持台237に臨む表面から突出し、各固定用ボルト部材258a〜258dの前記長手方向他端部は、第1支持台236の第2支持台163に臨む表面とは反対側の表面から突出する。各固定用ボルト部材258a〜258dは、各溝256a〜256dを挿通した状態で、第2支持台237に螺着される。
各固定用ボルト部材258a〜258dを、その軸線まわりに回転させることによって、第1支持台236と第2支持台237とを締結することができるとともに、この締結を解除することができる。したがって第2支持台237を、第1支持台236に対する変位が阻止された固定状態と、第1支持台236に対してスライド変位可能な可動状態とに切換えることができる。さらに各固定用ボルト部材258a〜258dを、第2支持台237から取外すことによって、第2支持台237を、第1支持台236に対して離脱された離脱状態にすることができる。
図23は、変速手段222付近を拡大して示す断面図であり、図24は図23の切断面線S24−S24から見た断面図である。前述の図20および図21をも参照して、動力伝達手段241は、前述のように構成されるので、第1輪227が入力輪225および出力輪230のいずれか一方(本実施の形態では、入力輪225)と動力伝達可能に結合されるとともに第2輪228が入力輪225および出力輪230のいずれか他方(本実施の形態では、出力輪230)と動力伝達可能に結合される第1結合状態と、第1輪227が入力輪225および出力輪230の前記他方と動力伝達可能に結合されるとともに第2輪228が入力輪225および出力輪230の前記一方と動力伝達可能に結合される第2結合状態とに切換えることができる。
第1結合状態において、入力輪225と第1輪227とは、軸線方向に同一の位置に設けられ、出力輪230と第2輪228とは、軸線方向に同一の位置に設けられる。第2結合状態において、入力輪225と第2輪228とは、軸線方向に同一の位置に設けられ、出力輪230と第1輪227とは、軸線方向に同一の位置に設けられる。
入力輪225の外径をD21、出力輪225の外径をD22、第1および第2輪227,228の外径をD23,D24とするとき、第1結合状態における入力輪225および出力輪230の回転速度比i1および第2結合状態における入力輪225および出力輪230の回転速度比i2は、次式(1),(2)のようになる。
i1=(D21/D23)・(D24/D22) …(1)
i2=(D21/D24)・(D23/D22) …(2)
本実施の形態においては、入力輪225の外径D21は、出力輪225の外径D22の1/2倍に選ばれ、第1輪227の外径D23は、第2輪228の外径D24の2倍に選ばれ、しかも入力輪225の外径D11と第2輪228の外径D24とは同一に選ばれる。したがって第1結合状態における入力輪225および出力輪230の回転速度比i1は、1/4となる。第2結合状態における入力輪225および出力輪230の回転速度比i2は、1/1となる。本実施の形態において、回転速度比は、入力輪225の回転速度に対する出力輪230の回転速度である。
図25は、動力伝達手段241を第1結合状態から第2結合状態に切換える手順を説明するための図であり、図26は図25に続く手順を説明するための図である。図25(1)は第1結合状態を示す。動力伝達手段241の第1結合状態においては、図25(1)に示すように、第1結合状態の第1および第2索条231a,232aの巻き掛け状態は、第1結合状態の第1および第2索条231a,232aが緊張した緊張状態である。図25(2)は第1結合状態の第1および第2索条231a,232aが緩んだ弛緩状態を示す。図26(1)は動力伝達手段241が離脱された状態を示す。図26(2)は第2結合状態を示す。動力伝達手段241の第2結合状態においては、図26(2)に示すように、第2結合状態の第1および第2索条231b,232bの巻き掛け状態は、第2結合状態の第1および第2索条231b,232bが緊張した緊張状態である。
動力伝達手段241を第1結合状態から第2結合状態に切換える切換え作業が開始されると、作業者によって、変速手段222を覆うカバー体223が開かれる。次に作業者によって、固定用ボルト258a〜258dが回転されて緩められ、第2支持台237が第1支持台236に対して可動状態とされる。すなわち動力伝達手段241が第1支持台236に対して可動状態とされる。
この後、作業者によって、調整用ボルト部材252a,252bが回転されて緩められ、第2支持台237、したがって動力伝達手段241が第1支持台236に対して第2方向に変位し、従動軸226が入力軸224および変速出力軸229に近接する方向に変位する。このようにして、入力軸224および変速出力軸229の軸線と、従動軸226の軸線L14とが、第1結合状態における巻き掛け間隔d11よりも小さい弛緩間隔d12(d12<d11)をあけて配置される。第1結合状態の第1および第2索条231a,232aの巻き掛け状態は、図25(2)に示されるように、第1結合状態の第1および第2索条231a,232aが緩んだ弛緩状態となる。
本実施の形態において、第1結合状態における巻き掛け間隔d11は、第1結合状態における入力軸224および変速出力軸229の軸線と、従動軸226の軸線L14との距離をいう。後述の第2結合状態における巻き掛け間隔d13は、第2結合状態における入力軸224および変速出力軸229の軸線と、従動軸226の軸線L14との距離をいう。
次に、作業者によって、調整用ボルト部材252a,252bがさらに回転されて緩められ、調整用ボルト部材252a,252bが第2支持台237から離脱される。この後、作業者によって、固定用ボルト部材258a〜258dが回転されて緩められ、固定用ボルト部材258a〜258dが第2支持台237から離脱される。これによって図26(1)に示すように、第2支持台237、したがって動力伝達手段241が第1支持台236から離脱される。
次に、作業者によって、入力軸224と変速出力軸229との間の隙間を介して、第1結合状態の第1および第2索条231a,232aが入力輪225および出力輪230から取外される。この後、作業者によって、入力軸224と変速出力軸229との間の隙間を介して、第2結合状態の第1および第2索条231b,232bが入力輪225および出力輪230に取付けられる。また作業者によって、動力伝達手段241が上下反転される。動力伝達手段241は、上下反転された状態で、第2結合状態の第1および第2索条231b,232bが取付けられる。このように第2結合状態の第1および第2索条231b,232bが取付けられた状態で、動力伝達手段241は、第1支持台236に取付けられる。
次に、作業者によって、固定用ボルト部材258a〜258dが回転されて第2支持台237に螺着される。このとき第2支持台237、したがって動力伝達手段241は、第1支持台236に対して可動状態とされる。この後、作業者によって、調整用ボルト部材252a,252bが回転されて締められ、第2支持台237、したがって動力伝達手段241が第1支持台236に対して第2方向に変位し、従動軸226が入力軸224および変速出力軸229から離反する方向に変位する。このようにして、入力軸224および変速出力軸229の軸線と、従動軸226の軸線L14とが、第2結合状態における巻き掛け間隔d13をあけて配置される。第2結合状態の第1および第2索条231b,232bの巻き掛け状態は、図26(2)に示されるように、第2結合状態の第1および第2索条が緊張した緊張状態となる。
次に、作業者によって、固定用ボルト部材258a〜258dがさらに回転されて締められ、第2支持台237が第1支持台236に対して固定状態とされる。この後、作業者によってカバー体223が閉じられ、動力伝達手段241を第1結合状態から第2結合状態に切換える切換え作業が終了される。
本実施の形態によれば、回転駆動手段40の回転動力は、入力輪225に入力され、この回転動力は動力伝達手段241によって出力輪230に伝達され、出力輪230からツール保持具38に出力される。前記動力伝達手段241は、第1および第2輪227,228とを有し、第1輪227が入力輪225と動力伝達可能に結合されるとともに第2輪228が出力輪230と動力伝達可能に結合される第1結合状態と、第1輪227が出力輪230と動力伝達可能に結合されるとともに第2輪228が入力輪225と動力伝達可能に結合される第2結合状態とに切換え可能である。第1および第2輪227,228は、変速輪として働くとともに、入力輪225と動力伝達可能に結合されるとき従動輪として働く。
この動力伝達手段241では、第1結合状態における入力輪225および出力輪230の回転速度比と第2結合状態における入力輪225および出力輪230の回転速度比とが相互に異なるので、入力輪225の回転速度が予め定める値のままであっても、第1結合状態と第2結合状態との切換えによって、ツール保持具38の回転速度を変更し、接合ツール47の回転速度を変更することができる。このように接合ツール47の回転速度の変更を実現することができる。
本実施の形態では、動力伝達手段241は、巻掛け伝動による構成によって実現されるが、本発明の実施のさらに他の形態では、歯車列を有する構成によって実現されてもよく、たとえば第1輪227が入力輪225および出力輪230のいずれか一方に噛合し、第2輪228が入力輪225および出力輪230のいずれか他方に噛合する構成、あるいは、第1または第2輪227,228と入力輪225または出力輪230との間に、1または複数のアイドル歯車が介在される構成によって実現されてもよい。