JP2004195518A - 連続熱間圧延方法 - Google Patents

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Kentaro Yamauchi
健太郎 山内
Toshiki Hiruta
敏樹 蛭田
Hideo Kijima
秀夫 木島
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Abstract

【課題】接合するシートバー本数を増やした場合でも板クラウンを管理範囲内に収めることができ、生産能率の向上も図ることができる連続熱間圧延方法を提供する。
【解決手段】仕上圧延機のスタンドに組み込む少なくとも1本のワークロールに、少なくとも表層が超硬合金からなるロールを用いる。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粗圧延機と仕上圧延機との間で先行シートバーの後端部と後行シートバーの先端部を接合し、連続的に仕上圧延する連続熱間圧延方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱間圧延とは、金属材料を数100〜千数100℃に加熱した後、熱間圧延ライン上に抽出し、圧延機に組み込んだ一対のロールで挟圧しつつそのロールを回転させることで、薄く延ばすことをいう。従来の熱間圧延ラインでは、所定の温度に加熱されたスラブ状の被圧延材に粗圧延を施してシートバー状の被圧延材(以下、単にシートバー)となし、仕上圧延機に1本ずつシートバーを供給している。
【0003】
このような1本ずつ供給されるシートバーに仕上圧延を施す従来の熱間圧延方法では、噛み込みや尻抜けの不良によるラインの停止が避けられないという欠点や仕上圧延後の被圧延材製品の先端、後端部の形状不良に伴い、同部の切捨てによる歩留の低下が著しい等の欠点があった。
このため、粗圧延機と仕上圧延機との間で先行シートバーの後端と後行シートバーの先端部を接合し、仕上圧延を連続して行うことを可能とした連続熱間圧延方法が開発され、図7に示すような連続熱間圧延ラインが稼動している(例えば、特許文献1)。
【0004】
連続熱間圧延ラインにおいては、粗圧延機20と仕上圧延機50との間に接合装置90が配置され、該接合装置90にて先行シートバーの後端部と後行シートバーの先端部を接合し、接合したシートバーを仕上圧延機50に供給して仕上圧延を行えるように構成されている。尚、連続熱間圧延ラインでは、従来の1本ずつの熱間圧延も行なうことができる。その際は、シートバーを接合せずに通過させるようにしている。ところで、1本ずつ供給されるシートバーに仕上圧延を施す従来の熱間圧延ラインにて、ワークロールの磨耗や表面の荒れを抑制することを目的として、仕上圧延機の少なくとも1スタンドのワークロールに表層が超硬合金からなるロールを用い、仕上圧延を行うことが開示されている(特許文献2)。
【0005】
一方、連続熱間圧延を行う場合には、多くの場合、仕上圧延機50のスタンドに組み込むワークロール51に鋼系ハイスロールを使用していた。一般的な鋼系ハイスロールは、例えば、特許文献3に開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特許3103260号公報
【特許文献2】
特開2001−321804号公報
【特許文献3】
特開平9−78186号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一般的な鋼系ハイスロールを仕上圧延機の全スタンドの上下ワークロールとして組み込んで連続熱間圧延を行った場合には、先行シートバーの後端部と後行シートバーの先端部が接合された長尺のシートバーが仕上圧延機に供給されるため、仕上圧延の圧延外時間(以下、インターバルという)がゼロになることに起因して、仕上圧延機のワークロールのサーマルクラウンが仕上圧延の進行に伴って急激に増大しつづけ、被圧延材の板クラウンを所定の管理範囲内に収めることができなくなる場合があった。
【0008】
図6に、連続熱間圧延を行った場合の被圧延材(規格:SPHC)の板クラウンの推移を例示した。図6は、横軸に被圧延材長を取って、板クラウンの推移を、シートバーを10本接合した場合について示したものであり、被圧延材の板クラウンは、仕上圧延の進行に伴って小さくなっていることが分かる。これは、仕上圧延機のワークロールのサーマルクラウンが仕上圧延の進行に伴って増大したためであり、このとき、被圧延材の板クラウンは所定の管理範囲の下限である40μm を下回ってしまっている。ちなみに、図中矢印で示したシートバー接合部の前後100m程度の範囲では、被圧延材の温度が局部的に低いため、別の理由により、板クラウンの検出値に対し、信号処理側でマスキング処理を施した結果、出力がゼロになっているが、同範囲のクラウンは温度が低い分大き目であり、製品の品質保障上問題になるものではない。
【0009】
この図から、一般的な鋼系ハイスロールを仕上圧延機の全スタンドの上下ワークロールとして組み込んで連続熱間圧延を行った場合には、接合したシートバー10本のうちの5本目以降の被圧延材に、板クラウンが下限40μmを外れる部分が発生していることがわかる。被圧延材の板クラウンを所定の管理範囲内に収めることができなくなった場合には、その被圧延材製品が直接需要家に納入されるものであれば、需要家の要求する板クラウンの範囲を満足できないことになり、納入できなくなる。また、たとえその被圧延材が熱間圧延後にさらに冷間圧延を行い、冷延製品として需要家に納入するものであっても、熱間圧延後の被圧延材の板クラウンが過小なことに起因して、冷間圧延時に被圧延材の形状が過度の耳伸びとなり、通板上の障害になりやすい。
【0010】
そこで、板クラウンを管理範囲内に収めるには、接合できるシートバーの本数は図6のような場合4本が限界となり、それ以降はシートバーを接合するのは中断し、インターバルをいくらかの時間(数10〜数100秒)おいてから再び同じ本数程度別のシートバーを接合して連続熱間圧延を行うという操業形態をとらざるを得なくなっていたのである。このような操業形態で連続熱間圧延を行うと、サーマルクラウンをロール冷却水により冷却して収縮させるのに必要なインターバルの間、生産をストップすることにならざるをえないため、生産能率上問題となっていた。
【0011】
また、説明するまでもなく、接合するシートバー本数を増やして、連続熱間圧延を行うようにすれば、先端の噛み込みと後端の尻抜けの頻度低下に伴って被圧延材製品の歩留の低下を抑制できるとともに、ラインの停止頻度も低減でき、生産能率の向上にも繋がる。
本発明は上記従来技術の問題を解決すべくなされたものであり、接合するシートバー本数を増やした場合でも板クラウンを所定の管理範囲内に収めることができ、生産能率の向上も図ることができる連続熱間圧延方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の通りである。
1. 粗圧延機と仕上圧延機との間で先行シートバーの後端部と後行シートバーの先端部を接合し、接合したシートバーを前記仕上圧延機に供給して仕上圧延を行う連続熱間圧延方法において、前記仕上圧延機のスタンドに組み込む少なくとも1本のワークロールに、少なくとも表層が超硬合金からなるロールを用いることを特徴とする連続熱間圧延方法。
2. 前記ロールは、軸部材とその外側のスリーブ部材とを有し、該スリーブ部材が複数個の超硬合金成形体部材をロール軸方向に接合・一体化して形成されたものであることを特徴とする上記1.に記載の連続熱間圧延方法。
3. 前記ロールは、前記軸部材とその外側の前記スリーブ部材に加え、さらに両者の間に間挿材を配したものであることを特徴とする上記2.に記載の連続熱間圧延方法。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明においては、以下に詳細に説明するように、接合するシートバー本数を増やし、より大量に連続熱間圧延を行った場合でも、仕上圧延機のスタンドに組み込む少なくとも1本のワークロールに、少なくとも表層が超硬合金からなるロールを用いることにより、サーマルクラウンの増大を抑制できることから、仕上圧延機出側での被圧延材の板クラウンを管理範囲内に収めることができるようになる。
【0014】
ここで、サーマルクラウンとは、熱間圧延において、ワークロールが高温の被圧延材と接触することによって加熱される結果、熱膨張する部分のことを指し、該ワークロールがまだ一本の被圧延材も圧延する前の、ワークロールの初期プロフィール(胴長方向の輪郭)に比べ、熱膨張によってどれだけ出っ張ったか、その大きさのことを指して、サーマルクラウンと称することも多い。板クラウンとは、仕上圧延後の被圧延材である金属帯の幅方向端部に対して幅中央部がどれだけ出っ張っているか、その大きさのことを指す。
【0015】
本発明者らは、熱膨張の小さいロールはないか、と考え、上述の特許文献2の表層が超硬合金からなるロールを、連続熱間圧延の場合に用いることに想到し、本発明をなしたものである。
というのも、一般的な鋼系ハイスロールの熱伝導率を測定してみると、22W /mKであったものが、特許文献2に記載の、80mass%WC 20mass%Co の組成からなる超硬合金の場合、67W /mKであったことから、超硬合金ロールを用いて連続熱間圧延を行えば、鋼系ハイスロールに比べ、サーマルクラウンが30〜40% 程度以下に低減されると考えられたからである。
【0016】
仕上圧延機のワークロールへの入熱は、高温の被圧延材と接触するロール円周のごく一部である接触弧に相当する部分だけで行われるが、ワークロールからの抜熱は、冷却水との接触により、その短い接触弧に相当する部分を除いたロール円周の大部分で行われることから、加熱される時間よりも冷却される時間の方が圧倒的に長く、熱伝導率が大きい方がロールの表層、内部ともよく冷却されると考えられたのである。
【0017】
また、このような超硬合金ロールは、鋼系ハイスロールに比べてヤング率等の指標に代表される剛性が高く、表層が硬いことから、圧延荷重によりロール扁平する度合いが小さくなり、被圧延材との接触弧長がその分短くなり、その分高温の被圧延材からロールへの入熱も小さくなり、さらにサーマルクラウンの低減に寄与するものとも推測できた、という背景もある。
【0018】
本発明では、少なくとも表層が超硬合金からなるロール(超硬合金ロールという)を用いる。超硬合金は、WC、TaC 、TiC 等の超硬材料粉末にCo、Ni、Cr、Ti等の金属粉末のうちから選ばれる1種または2種以上を5〜50mass%添加した超硬材料混合粉末を焼結したものであり、超硬材料混合粉末としては、中でも、WCと、混合粉末全体に対し5〜50mass%のCoを添加した、超硬合金混合粉末を焼結したものとするのが、耐摩耗性、耐肌荒れ性などに優れかつ靭性も良好であるので望ましい。超硬合金ロール表層の硬度は、HV800以上が好ましい。ヤング率は340000MPa以上が好ましい。これら値の上限はとくに規定するものではないが、現代の技術で製造可能な超硬合金の硬度とヤング率を勘案すると、それぞれ最大でHV1200、570000MPaとするのが妥当である。
【0019】
本発明に使用する超硬合金ロールは、図1(a)に示すように、ロール全体が上記に列挙した成分組成の超硬合金2から成るのが最も好ましい。しかしながら、上記に列挙した成分組成の超硬合金、中でも、WCは非常に高価であるため、図1(b)に示すように、少なくとも圧延部表層を超硬合金2とするようにしてもよい。それには超硬合金の表層部材は円筒形状とし、それを5mass%Cr鍛鋼等の、比較的安価な、円柱形状の軸部材1に嵌め込むようにしてロールを製造するようにするのが好ましい。以降、円筒形状の表層部材のことをスリーブ部材と称することにする。
【0020】
スリーブ部材すなわち表層の超硬合金2の部分の厚さがあまりに薄くなると、被圧延材との接触による入熱が、鋼でできた軸部材1の内部まで浸透し、大きく熱膨張してしまう結果、結局、表層の超硬合金2の部分も大きく出っ張ってしまい、サーマルクラウンが大きくなってしまうため、表層の超硬合金2の部分の厚さは、25mm以上とすることが好ましい。ところで、スリーブ部材は図1(c)に示すように、複数個の超硬合金2の成形体部材をロール軸方向に接合・一体化して形成したものとし、これを軸部材1に嵌め込むようにして製造するのが好ましい。このようにすることにより、後述のとおり、スリーブ部材は材質均一で短時間に低労力かつ低コストで製造することができるからである。
【0021】
さらに、図1(d)に示すように、軸部材1と、複数個の超硬合金2の成形体部材をロール軸方向に接合・一体化して形成したスリーブ部材の間に例えば鋼製の緩衝材を間挿材4として間挿してもよい。緩衝材と称したが、最外層、緩衝材、軸部材の順に、ヤング率が小さくなるように緩衝材を選択するようにすると、スリーブを軸部材に焼きばめ、冷やしばめなどの方法によって嵌め込んでロールを製造した後に内部応力が発生してそのロールが破損したり、製造後のロールを圧延に供して圧延荷重が加わった場合でも、ロールが割損したりしにくくなるため好ましい。符号3は鋼製の側端リングであり、側端リング3は、軸部材1と、超硬合金2の成形体部材をロール軸方向に接合・一体化して形成したスリーブ、あるいはさらに、間挿材4を固定するための部材である。
【0022】
上記超硬合金のスリーブ部材の製造方法について、以下に述べる。
ロールの中心軸と交わる面で仮想的に分割される複数個の円筒状のスリーブ部材は、各1個1個を、超硬合金混合粉末をラバー成形してCIP (冷間等方加圧)により成形し、仮焼結後、各1個1個のスリーブ部材をロール軸方向に複数連ねて接触一体化した状態、あるいはさらに超硬合金粉末を接触部に間挿した状態で、HIP(熱間等方加圧)にて一体化するという方法で製造するようにするのが好ましい。この方法によれば、仮焼結工程における各1個1個のスリーブ部材が小型な分、仮焼結中の熱歪の発生が抑制され、均一な材質のスリーブ部材が製造できて、製造後ロールの内部応力や、圧延供用中の荷重に起因して割損しにくくなるとともに、小型な分、仮焼結後の冷却による熱収縮も小さくなって、HIPに向けて正確な寸法に機械加工する時間と労力とコストも小さくて済む。
【0023】
軸部材は、よく用いられる鋳鋼、鍛鋼、鋳鉄等の金属製とするのがよい。5mass%Cr鍛鋼等の材料が例である。軸部材と超硬合金のスリーブ部材を嵌め合わせてロールとするには、超硬合金のスリーブ部材を必要に応じて機械加工により研削、研磨等し、その空洞部に軸部材を冷し嵌め、あるいはスリーブ部材を軸部材に焼嵌め、などの方法で挿入・嵌合し、これらを固定すればよい。
【0024】
本発明において、連続熱間圧延を行う際に、超硬合金ロールを仕上圧延機のワークロールとして組み込むスタンドは、最終のF7スタンドとするのが最も好ましい。最終のF7スタンドで仕上圧延を施された被圧延材は、そのままで製品となるからである。但し、本発明はこれに限るものではなく、被圧延材の後端が抜けるとき絞り込みを起こしてロールに疵をつけ、後続の被圧延材に転写してしまう可能性の高い最終のF7スタンドではなく、1つ手前のF6スタンドに超硬合金ロールを適用してもよいし、圧延機の各部機械精度の管理を別途しっかり行って、F6とF7スタンドとか、あるいはさらに前のスタンドにも超硬合金ロールを適用してもよい。その際に、超硬合金ロールを上下いずれか一方のワークロールとして組み込んでもよい。超硬合金ロールを仕上圧延機の上下いずれか一方のワークロールとして組み込んで連続熱間圧延を行った場合でも、板クラウンが過度に小さくなるのを抑制する効果がある。仕上圧延機のF1からF7全てのスタンドに超硬合金ロールを適用しても何ら問題ない。
【0025】
なお、超硬合金ロールを組み込むスタンド数を増やすほど、ワークロールの肌荒れ防止による被圧延材の表面品質向上、前段ワークロールの表層金属疲労防止によるロール交換頻度低減、後段ワークロールの磨耗低減によるロール交換頻度低減、ライン稼働率の向上等、副次的な効果も得られるため一層好ましい。また、超硬合金ロールを粗圧延機のワークロールとして用いることも本発明は何らこれを妨げるものではない。
【0026】
【実施例】
図7に示した、連続熱間圧延ライン100に本発明を適用した。この連続熱間圧延ライン100の例では、粗圧延機20は、R1、R2、R3の3スタンドで構成され、仕上圧延機50は、F1〜F7の7スタンドで構成されている。これらの主要な各設備間には図示しない多数のテーブルローラが設置され、被圧延材が搬送される。この連続熱間圧延ライン100において、粗圧延機20と仕上圧延機50との間に配置された接合装置90によりシートバー80を接合し、接合された長尺のシートバーを仕上圧延機50に供給し、仕上圧延を行って熱延鋼帯81(規格:SPHC)を製造した。この熱延鋼帯81の板クラウンの管理範囲は40〜60μm である。板厚が1.2mmの熱延鋼帯81を製造するに当たり、低炭素鋼帯のスラブ82を用い、粗圧延でのパス数を7(=R1x3+R2x3+R1x1) とし、連続熱間圧延を行うに際し、仕上圧延機50のF1〜F7スタンドのワークロール51を表1〜4に示す4条件とし、それぞれ発明例1〜4とした。表中、鋼で示される部位には鋼系ハイスロールを用い、超硬で示される部位には超硬合金ロールを用いた。
【0027】
超硬合金ロールは、図1(d)の構造を有するものを適用し、スリーブ部材は、タングステンカーバイド(WC)にCoを20mass% 添加した粉末を素材としてラバー成形してCIP (冷間等方加圧)により成形した円筒肉厚150mm×高さ(ロール軸方向長さ)400mmのWC-Co 合金の円筒状のスリーブ部材を、高さ方向(ロールの軸方向)に5個連ねてHIPにより接合し、まず、WCにCoを50mass% 添加した間挿材に焼嵌めし、さらにそれを、5mass%Cr 鍛鋼の軸部材に焼嵌めして製造した。いずれの発明例の場合でも、粗圧延機20のワークロールは鋼系ハイスロールとし、粗圧延機20のワークロールの圧延部寸法は外径1300mm×幅(ロールの軸方向長さ)2000mmとした。仕上圧延機50ワークロールの圧延部寸法は、外径840mm×幅(ロールの軸方向長さ)2000mmとした。
【0028】
発明例1〜4では、10本のシートバーを接合して連続熱間圧延を行い、被圧延材の板クラウンをそれぞれ仕上圧延機50の出側で測定した。その際に、超硬合金ロール適用スタンドではワークロール51にロール冷却水のみ供給し、鋼ロール適用スタンドではワークロール51にロール冷却水および圧延油を供給しつつ、連続熱間圧延を行なった。なお、接合したシートバーの寸法は全て厚さ30mm、幅1240mm、仕上圧延後の製品の寸法は全て厚さ1.2mm、幅1250mmとした。
(発明例1)
発明例1の場合には、仕上圧延機のF7スタンドの下ワークロールに超硬合金ロールを用い、その他のワークロールを鋼系ハイスロールとした。
【0029】
【表1】
Figure 2004195518
【0030】
発明例1の場合における被圧延材の板クラウンの推移を図2に示す。
発明例1の場合には、接合6本目まで被圧延材の板クラウンを許容範囲内とすることができていることがわかる。発明例1の場合には、7本目で、被圧延材の長さ方向の一部に板クラウンが下限40μmを外れる部分が発生した。
一方、図6に示した従来例の場合には、接合5本目で被圧延材の長さ方向の一部に板クラウンが下限40μmを外れる部分が発生しているので、仕上圧延機のスタンドに組み込むワークロールの1本に少なくとも表層が超硬合金からなるロールを用いた発明例1によれば、従来より接合するシートバー本数を増やした場合でも、板クラウンを許容範囲内に収めつつ連続熱間圧延を行うことができることがわかる。
(発明例2)
発明例2の場合には、仕上圧延機のF7スタンドの上および下のワークロールに超硬合金ロールを用い、その他のワークロールを鋼系ハイスロールとした。
【0031】
【表2】
Figure 2004195518
【0032】
発明例2の場合の板クラウンの推移を図3に示す。
発明例2の場合には、仕上圧延機のF7スタンドの上および下のワークロールに超硬合金ロールを用いたので、接合10本目まで被圧延材の板クラウンを許容範囲内とすることができていることがわかる。
(発明例3)
発明例3の場合には、仕上圧延機のF6スタンドの上および下のワークロールに超硬合金ロールを用い、その他のワークロールを鋼系ハイスロールとした。
【0033】
【表3】
Figure 2004195518
【0034】
発明例3の場合の板クラウンの推移を図4に示す。
発明例3の場合には、仕上圧延機のF6スタンドの上および下のワークロールに超硬合金ロールを用いたので、接合6本目まで被圧延材の板クラウンを許容範囲内に収めることができている。
(発明例4)
発明例4の場合には、仕上圧延機の全スタンドの上および下のワークロールに超硬合金ロールを用いた。
【0035】
【表4】
Figure 2004195518
【0036】
発明例4の場合の板クラウンの推移を図5に示す。
発明例4の場合には、仕上圧延機の全スタンドの上および下のワークロールに超硬合金ロールを用いたので、接合10本目まで被圧延材の板クラウンを許容範囲内とすることができていることがわかる。
図5に示す板クラウンの推移から見ると、仕上圧延機の全スタンドの上および下のワークロールに超硬合金ロールを適用した場合には、接合するシートバー本数を10本より増やしたとしても、被圧延材の板クラウンを許容範囲内に収めつつ連続熱間圧延を行うことができそうである。
【0037】
ちなみに、図2〜図6において、矢印で示した板クラウン非検出箇所は、被圧延材の温度が局部的に低いため製品の強度が低下するという別の理由により信号処理側でマスキング処理を施した結果、見えなくなっているが、そのことは、同部の板のクラウンは、他の部分に比べ温度が低い分局部的に大きくなる、という理由により、測定結果の大勢に影響を与えるものではない。
【0038】
なお、以上の説明では、熱延鋼帯を対象とする場合を例に挙げたが、本発明はこれに限るものではなく、被圧延材とすべき対象材は、銅、アルミ、ほかの金属であってもよい。ちなみに熱延鋼帯とは、JIS G 3193等に規定される通り、厚さ1.2mm以上で幅が600mm以上の帯状に長い薄板状の鋼材のことを指し、平鋼よりも幅広(具体的には幅500mm 超)の鋼材を意味する。また、鋼帯は厚鋼板と一部製品厚、製品幅ともラップする領域があるが、鋼帯と厚鋼板とは、前者が圧延後に巻き取られるのに対し後者は巻き取られないという違いがある。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、接合するシートバー本数を増やして仕上圧延を行った場合でも、仕上圧延機のワークロールに生じるサーマルクラウンの成長を抑制できるから、板クラウンを管理範囲内に収めつつ仕上圧延を行うことができる。また、生産能率の向上も図れるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用するロールについて図解するための図である。
【図2】本発明の効果を例示する板クラウンの推移図である。
【図3】本発明の効果を例示する板クラウンの他の推移図である。
【図4】本発明の効果を例示する板クラウンのまた別の推移図である。
【図5】本発明の効果を例示する板クラウンのさらに別の推移図である。
【図6】従来技術の問題点を図解する板クラウンの推移図である。
【図7】連続熱間圧延ラインの概要を示す図である。
【符号の説明】
1 軸部材
2 超硬合金
3 側端リング
4 間挿材
10 加熱炉
20 粗圧延機
30 クロップシャ
40 デスケーリング装置
50 仕上圧延機
51 ワークロール
60 冷却ゾーン
70 コイラー
80 シートバー
81 金属帯(仕上圧延後の被圧延材)
82 スラブ
90 接合装置
100 連続熱間圧延ライン

Claims (3)

  1. 粗圧延機と仕上圧延機との間で先行シートバーの後端部と後行シートバーの先端部を接合し、接合したシートバーを前記仕上圧延機に供給して仕上圧延を行う連続熱間圧延方法において、前記仕上圧延機のスタンドに組み込む少なくとも1本のワークロールに、少なくとも表層が超硬合金からなるロールを用いることを特徴とする連続熱間圧延方法。
  2. 前記ロールは、軸部材とその外側のスリーブ部材とを有し、該スリーブ部材が複数個の超硬合金成形体部材をロール軸方向に接合・一体化して形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の連続熱間圧延方法。
  3. 前記ロールは、前記軸部材とその外側の前記スリーブ部材に加え、さらに両者の間に間挿材を配したものであることを特徴とする請求項2に記載の連続熱間圧延方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008049347A (ja) * 2006-08-22 2008-03-06 Jfe Steel Kk 超硬合金ワークロールを用いた熱間圧延方法及び連続熱間圧延方法

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JP2008049347A (ja) * 2006-08-22 2008-03-06 Jfe Steel Kk 超硬合金ワークロールを用いた熱間圧延方法及び連続熱間圧延方法

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