JPH105825A - 超硬合金製複合ロール - Google Patents
超硬合金製複合ロールInfo
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- JPH105825A JPH105825A JP15866096A JP15866096A JPH105825A JP H105825 A JPH105825 A JP H105825A JP 15866096 A JP15866096 A JP 15866096A JP 15866096 A JP15866096 A JP 15866096A JP H105825 A JPH105825 A JP H105825A
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Abstract
亀裂性が著しく向上した超硬合金製複合ロールを提供す
る。 【解決手段】 溶製の鋼系材からなる内層の外周に、
超硬焼結合金からなる外層を形成した胴部構成用の複合
スリーブを、軸材に嵌合固定してなり、かつ前記複合ス
リーブは、回転軸と直角の断面における「外層の断面積
/内層の断面積」の比が0.7以下であることを特徴と
する超硬合金製複合ロール。
Description
の外周に、耐摩耗性に優れた超硬焼結合金の外層を形成
した複合スリーブを軸材に嵌合固定した超硬合金製複合
ロールに関する。
る胴部表面において、摩耗が少ないこと、肌荒れが生じ
にくいこと、亀裂や欠けが発生しないこと等が要求され
る。これらの目的のため、例えば特公昭58−8724
9号公報には、鋳造法によりロール外層材質を高合金化
した鋳造複合ロールが記載されている。しかし、鋳造法
で高合金成分材を形成すると、合金中に存在する炭化物
が不均一に分布しやすく微視的に偏摩耗の原因となる問
題がある。
り外層を形成した複合ロールを得る試みが行われてい
る。例えば特開昭58−128525号公報には、超硬
合金粉末を内層の外周に焼結すると同時に拡散接合させ
た複合スリーブを軸材に焼嵌めた超硬合金製複合ロール
が記載されている。
耗性に優れる反面、衝撃や引張応力に対しては弱いとい
う欠点がある。上記従来の超硬合金製複合ロールにおい
ては、この欠点を補うことが考慮されていないため、圧
延圧力、熱応力、圧延異常に伴う過大な応力等を受ける
ことにより、外層に亀裂の発生あるいは亀裂の進展が起
こりやすい問題がある。
たものであり、耐摩耗性、耐肌荒れ性を損なうことな
く、耐亀裂性が著しく向上した超硬合金製複合ロールを
提供せんとするものである。
の外層を耐摩耗性、耐肌荒れ性に優れた超硬焼結合金で
形成するとともに、外層に常時大きな圧縮応力を付与さ
せると亀裂は抑止できるという知見に基づいてなされた
ものである。実際の圧延事象を解析追求した結果、外層
に100MPa以上の圧縮応力を付与させると亀裂の抑
止効果が得られることが分かった。そして、常時この圧
縮応力を付与させるためには複合スリーブにおける「外
層の断面積/内層の断面積」の比を最適化することによ
り達成されることを見いだした。
は、溶製の鋼系材からなる内層の外周に、超硬焼結合金
からなる外層を形成した胴部構成用の複合スリーブを、
軸材に嵌合固定してなり、かつ前記複合スリーブは、回
転軸と直角の断面における「外層の断面積/内層の断面
積」の比が0.7以下である。より好ましい複合スリー
ブの回転軸と直角の断面における「外層の断面積/内層
の断面積」の比は0.6以下である。
内層は鋳鋼、鍛鋼、黒鉛鋳鋼、炭素鋼及び合金炭素鋼の
いずれかからなる。また、外層は周期律表のIVa〜V
Ia族の元素の炭化物、窒化物及び炭窒化物の硬質粒子
の少なくとも1種または2種以上を60〜90重量%
と、残部実質的にFe、Ni、Co、Cr、Mo及びW
の少なくとも1種または2種以上の金属粉末とからなる
混合粉末を焼結してなる。
め、冷嵌め、圧入等により軸材に嵌合固定される。好ま
しくは、焼嵌め率0.4/1000〜1.2/1000
で軸材に焼嵌める、また、焼嵌め率0.1/1000〜
0.4/1000で、キー止め固定を併用して軸材に焼
嵌める。
焼結法により外層の上記超硬合金の混合粉末を焼結させ
ると同時に内層に拡散接合させて製作する。また、軸材
は鋳鋼、鍛鋼、鋳鉄等の金属製軸材からなり特に限定さ
れない。
ロールの回転軸方向の断面図である。図2は、図1の複
合ロール胴部における回転軸と直角方向の断面図であ
る。図1及び図2において、中空の溶製の鋼系材からな
る内層2の外周に、超硬合金からなる外層1が焼結と同
時に拡散接合された胴部構成用の複合スリーブは、軸受
部4の外径以上にて軸材3に焼嵌め固定されている。
熱間薄板仕上圧延用ロールを対象として、それぞれ実施
例及び比較例の超硬合金製複合ロールを製作したものを
示す。
μmのWC粉末85重量%、平均粒径1μmのCo粉末
10重量%、平均粒径1μmのNi粉末4重量%、平均
粒径1μmのCr粉末1重量%の混合粉末を焼結した超
硬焼結合金からなる。また、複合スリーブの内層は、実
施例1及び比較例1はSCM−440相当の鍛鋼、実施
例2及び比較例2は黒鉛鋳鋼を用いた。また、軸材はS
CM−440相当の合金鋼を用いた。
加工を施した。表2において、実施例1、2は初径から
廃却径まで、外層と内層の断面積比(外層の断面積÷内
層の断面積)が0.7以下となる。一方、比較例1、2
は初径の時点はその比が0.7を超え、廃却径までの途
中、圧延により複合スリーブの外径が小さくなった時点
でその比が0.7以下となる。
層表面に作用している円周方向の圧縮応力を検討した。
その結果を表3及び表4に示す。この圧縮応力は、複合
スリーブの外層が本来有していた円周方向の残留応力σ
11と、焼嵌めにより発生した円周方向の焼嵌め応力σ12
とを合成した応力σ15である。残留応力σ11は、各例と
同等の複合スリーブをそれぞれ別に製作し、歪ゲージを
貼付後その部分を40mm×40mm×40mmのブロックに切断し
て、開放法により測定した。焼嵌め応力σ12は、表2と
表3に示す諸元を基にし、一般的に知られている厚肉円
筒の計算式を用いて求めた。焼嵌め率は通常圧延用ロー
ルに採用されているものを用いたが、この焼嵌め率を変
えることによっても圧縮応力は若干変動する。
は外層が初径から廃却径までいかなる外径のときでも1
00MPaを超えた圧縮応力を有し、耐亀裂性が十分で
あることが分かる。また、比較例1、2のロールは圧延
により外径が小さくなって廃却径に近づくと100MP
a以上になるが、使用開始の初径近くでは100MPa
未満のため、耐亀裂性が十分といえない。
ものだが、さらに複合スリーブでは、内層が薄肉になる
と引張残留応力が増加して、圧延中に複合スリーブの内
面(焼嵌め面)から割損するか、または塑性変形により
焼嵌め率が低下することがある。このため、複合スリー
ブの内面に発生する円周方向の引張応力について検討を
加えた。
層の内面に作用している円周方向の引張応力の検討結果
を表4に併記する。この引張応力は、複合スリーブの内
層が本来有していた円周方向の残留応力σ21と、焼嵌め
により発生した円周方向の焼嵌め応力σ22と、使用中の
圧延荷重により加わる円周方向の圧延応力σ23と、同じ
く熱により加わる円周方向の熱応力σ24とを合成した応
力σ25である。残留応力σ21は、別に製作した各例と同
等の複合スリーブの内面を旋削加工して、ザックス法に
より測定した。焼嵌め応力σ22は、表2と表3に示す諸
元を基にし、前述同様計算により求めた。焼嵌め率も前
述同様である。
ら得た次の実験式により求めた。 σ23={3.6−0.6(r2/r1)}・{P/(π・r1・L)} σ23:圧延応力〔=合成応力〕(MPa) P :圧延荷重 (kN) r1 :複合スリーブの内面半径〔=焼嵌め面半径〕(mm) r2 :複合スリーブの外表面半径 (mm) L :複合スリーブの長さ〔=焼嵌め面の長さ〕(mm)
たときの一般的熱応力式を基にし、複合スリーブの内面
に対して外表面の温度が△T℃だけ高くなると仮定した
次式により求めた。 σ24={(α・E)/(1-ν)}・(△T/3)・{(2・r2+r1)/
(r2+r1)} σ24:熱応力〔=合成応力〕(MPa) α :複合スリーブの熱膨張係数=1.2×10-5 (1/℃) E :複合スリーブの弾性係数=21×104 (MPa) ν :複合スリーブのポアソン比=0.3 △T:複合スリーブの外面と内面の温度差=40 (℃) r1 :複合スリーブの内面半径〔=焼嵌め面半径〕(mm) r2 :複合スリーブの外表面半径 (mm)
は、鍛鋼であり引張強さは686MPaである。実施例
2と比較例2の複合スリーブの内層は、黒鉛鋳鋼であり
引張強さは490MPaである。これら内層の強さと、
複合スリーブ内面に発生する応力σ25とを比較すると、
本発明の実施例1、2のロールではいずれも、使用外層
がいかなる外径のときでも、発生する引張応力に比べて
大きい強さを有するので、割損に対して安全である。一
方、比較例1、2のロールでは、使用により外径が小さ
くなって廃却径近くになると、残留応力が小さくなるこ
とにより内面の合成応力σ25が小さくなり、割損や内面
の塑性変形の危険がなくなるが、外径が大きい使用開始
の初径近くでは、残留応力σ21が大きいことにより合成
応力σ25が引張強さ以上またはそれに近くなり、割損や
内面の塑性変形の危険がある。
リーブの回転軸と直角の断面における「外層の断面積/
内層の断面積」の比を0.7以下にすることにより、複
合スリーブの外層はいかなる外径の時点で圧延に供され
ても、常に100MPa以上の圧縮応力が付与された状
態になるため、異常圧延等により外層表面に亀裂が発生
しても、圧縮応力により打ち消されるので亀裂の進展が
阻止される。また、複合スリーブの割損も起こらないも
のが得られた。
構成用の複合スリーブの外層に超硬焼結合金を用いるこ
とにより、耐摩耗性、耐肌荒れ性に優れると共に、外層
と内層の断面積比を特定の範囲にして、外層に所望の圧
縮応力を付与しておくことにより耐亀裂性、耐割損性に
優れたものが得られる。
断面図である。
である。
Claims (7)
- 【請求項1】 溶製の鋼系材からなる内層の外周に、超
硬焼結合金からなる外層を形成した胴部構成用の複合ス
リーブを、軸材に嵌合固定してなり、かつ前記複合スリ
ーブは、回転軸と直角の断面における「外層の断面積/
内層の断面積」の比が0.7以下であることを特徴とす
る超硬合金製複合ロール。 - 【請求項2】 前記内層が鋳鋼、鍛鋼、黒鉛鋳鋼、炭素
鋼及び合金炭素鋼のいずれかからなることを特徴とする
請求項1に記載の超硬合金製複合ロール。 - 【請求項3】 前記外層が周期律表のIVa〜VIa族
の元素の炭化物、窒化物及び炭窒化物の硬質粒子の少な
くとも1種または2種以上を60〜90重量%と、残部
実質的にFe、Ni、Co、Cr、Mo及びWの少なく
とも1種または2種以上の金属粉末とからなる混合粉末
を焼結してなることを特徴とする請求項1又は2に記載
の超硬合金製複合ロール。 - 【請求項4】 前記複合スリーブを焼嵌め率0.4/1
000〜1.2/1000で軸材に嵌合固定したことを
特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の超硬合金製
複合ロール。 - 【請求項5】 前記複合スリーブを焼嵌め率0.1/1
000〜0.4/1000で軸材に嵌合固定する際、キ
ー止め固定を併用したことを特徴とする請求項1〜3の
いずれかに記載の超硬合金製複合ロール。 - 【請求項6】 熱間薄板圧延機用ロールに用いられるこ
とを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の超硬合
金製複合ロール。 - 【請求項7】 条鋼及び平鋼等の熱間圧延機用ロールに
用いられることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに
記載の超硬合金製複合ロール。
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---|---|---|---|
JP15866096A JP3649361B2 (ja) | 1996-06-19 | 1996-06-19 | 超硬合金製複合ロール |
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JPH105825A true JPH105825A (ja) | 1998-01-13 |
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Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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CN114427058A (zh) * | 2022-01-06 | 2022-05-03 | 四川神工钨钢刀具有限公司 | 一种硬质合金及其制造方法 |
-
1996
- 1996-06-19 JP JP15866096A patent/JP3649361B2/ja not_active Expired - Fee Related
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