JP2004195391A - 非イオン性界面活性剤を含んだ有機化合物含有水の処理方法および処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】非イオン性界面活性剤を含む有機化合物含有水を効率よく電解処理する。
【解決手段】陽極1および陰極2に導電性ダイヤモンドを用いた電解装置によって、非イオン性界面活性剤を含んだ有機化合物含有水を該非イオン性界面活性剤の曇り点以上の温度で電解処理する。
【効果】電解処理時に界面活性剤と他の有機化合物を効果的に分解して無毒化できる。また電極は、通常の酸やアルカリに対する耐食性に優れ、酸条件からアルカリ条件の幅広いpH範囲で目的の有機物質のみを効率的に酸化分解処理でき、また長期間に渡って安定した処理効果が持続する。そして極めて高い電流効率とエネルギー効率で非イオン性界面活性剤を含む有機化合物含有排水を電気化学的に酸化分解して除去でき、経済的メリットが大きい。
【選択図】 図1
【解決手段】陽極1および陰極2に導電性ダイヤモンドを用いた電解装置によって、非イオン性界面活性剤を含んだ有機化合物含有水を該非イオン性界面活性剤の曇り点以上の温度で電解処理する。
【効果】電解処理時に界面活性剤と他の有機化合物を効果的に分解して無毒化できる。また電極は、通常の酸やアルカリに対する耐食性に優れ、酸条件からアルカリ条件の幅広いpH範囲で目的の有機物質のみを効率的に酸化分解処理でき、また長期間に渡って安定した処理効果が持続する。そして極めて高い電流効率とエネルギー効率で非イオン性界面活性剤を含む有機化合物含有排水を電気化学的に酸化分解して除去でき、経済的メリットが大きい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、界面活性剤を含有する有機化合物含有水の処理方法および処理装置に関する。特に電解処理技術を利用して、有害で悪臭を放つ副生成物を発生することなく、界面活性剤および有機化合物を二酸化炭素、水などの無機化合物まで完全に分解処理することができる水処理方法と処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
界面活性剤は、洗浄剤や分散剤として多くの産業分野で用いられており、工場排水中に他の有機物とともに含有されていることが多い。
工場排水の処理方法として、電気化学的な方法は、活性汚泥法などの生物分解処理や、オゾン酸化法などに比べて、操作性が容易であり装置がコンパクトになるという利点がある。このような観点から、白金や酸化鉛といった様々な陽極材料を活用した電解処理法が考案されている。しかしながら、工場排水には腐食性の強い物質を含んでいる場合も多く、白金や酸化鉛といった電極材料は容易に汚染されるという問題があった。また、白金電極では、0.1A/cm2程度の電流密度では安定に電解処理を行えるが、0.2A/cm2以上の電流密度では大幅に劣化が進行して寿命が短くなるという問題があった。
【0003】
ダイヤモンドは化学的安定性が高く、ホウ素や窒素をドープすることによって導電性を示すことから排水処理のための電極材料として期待されている。非特許文献1の論文(藤島ら)では、ホウ素をドープしたダイヤモンド電極の電位窓が極めて広く腐食性の強い水溶液中においても安定に動作することが報告されている。また、非特許文献2の論文(藤島ら)ではNOxがダイヤモンド陰極で効率よくアンモニアに還元されることが報告されている。また、イーストマンコダック社による特許文献1および特許文献2にはホウ素をドープしたダイヤモンドを陽極に用いて有機化合物を酸化分解できることが示唆されている。
【0004】
【非特許文献1】
藤嶋ら、「Electrochemistry」,Vol,67(1999)389
【非特許文献2】
藤嶋ら、「Journal of Electroanalytical Chemistry」,Vol,396(1995)233
【特許文献1】
特開平7−299467号公報
【特許文献2】
米国特許第5399247号明細書
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このようなダイヤモンド電極を用いた電解処理において、有機化合物排水中に界面活性剤が含まれている場合、全有機性炭素成分(TOC)の除去効率が非常に悪いという問題があった。また、電解処理中に発泡することが多く、極間抵抗の増大を招きエネルギー効率が大幅に悪化するという問題があった。さらに、電解貯槽内から界面活性剤を含有する有機化合物排水があふれるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、ダイヤモンドを電極に活用した電解処理において、界面活性剤を含有した有機化合物排水の分解効率とエネルギー効率に関して、実用化の観点から改良が望まれる課題を解決し、有機化合物を効率良く、二酸化炭素や水などの無機物まで完全分解して除去する新規な排水の処理方法および処理装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の非イオン性界面活性剤を含んだ有機化合物含有水の処理方法のうち請求項1記載の発明は、陰極および陽極に導電性ダイヤモンドを用いた電解装置によって、非イオン性界面活性剤を含んだ有機化合物含有排水を該非イオン性界面活性剤の曇り点以上の温度で電解処理することを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の非イオン性界面活性剤を含んだ有機化合物含有水の処理方法は、請求項1記載の発明において、電解処理に際し、非イオン性界面活性剤を含んだ有機化合物含有水を前記電解装置に通液しつつ電解処理することを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の非イオン性界面活性剤を含んだ有機化合物含有水の処理方法は、請求項2記載の発明において、非イオン性界面活性剤を含んだ有機化合物含有水を前記曇り点以上の温度に加熱した後、電解装置に通液することを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の非イオン性界面活性剤を含んだ有機化合物含有水の処理装置は、導電性ダイヤモンドを用いた陰極と、導電性ダイヤモンドを用いた陽極とを備える電解装置と、有機化合物含有水を貯水する電解貯槽と、該電解貯槽内の有機化合物含有水を電解装置に供給する送液管と、該送液管によって電解装置に送られた有機化合物含有水を前記電解貯槽に還流させる還流管と、前記送液管および還流管を通して前記有機化合物含有水を循環させるポンプと、電解装置の上流側に設けられ、前記有機化合物含有水を水に含まれる非イオン性界面活性剤の曇り点以上に加熱する加熱手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
すなわち本発明の処理方法によれば、非イオン性界面活性剤を含有する有機化合物排水を界面活性剤の曇り点以上の温度で電解処理するので、界面活性剤は水との水素結合が分断されて疎水性有機物として振る舞うようになり、他の有機化合物と同様に電解処理によって効果的に分解して無毒化することができる。なお、このような疎水性有機化合物は、ダイヤモンド電極のような疎水性電極によって優先的に電解処理される。界面活性剤が効果的に除去されることにより、電解処理時の発泡を極力少なくすることができ、電解処理効率の低下や電解貯槽から水があふれるのを防止できる。
また、本発明の処理装置によれば、上記方法を確実に実施することができる。
【0012】
上記のように処理すべき水は、電解処理時に上記の曇り点温度以上の温度を有していることが必要である。該温度は、非イオン性界面活性剤の種別によっても異なるため、処理すべき水に含まれる界面活性剤の種別によって水の処理時温度を定めればよい。なお、複数種の界面活性剤を含む場合には、分解処理したい界面活性剤の内で、最も高い温度の曇り点温度以上に水の処理温度を定めればよい。
【0013】
また、電極に用いられる導電性ダイヤモンドは、化学的安定性に優れ、通常の酸やアルカリによる腐食の心配がなく、酸条件からアルカリ条件の幅広いpH範囲を有する水処理に適用できて、かつ長期間に渡って安定した電解酸化処理効果が持続する。そして導電性ダイヤモンド電極は、従来の白金等の金属電極に比べると、電位窓が極めて広く水の電気分解による水素発生や酸素発生を抑えながら、目的の有機物質のみを効率的に酸化分解処理できる。なお、本発明においてダイヤモンドとしては結晶質に限らず非晶質のものも適用することができる。
【0014】
また、電解処理に際し、非イオン性界面活性剤を含んだ有機化合物含有水を前記電解装置に通液しつつ電解処理することができる。電解装置に通液しつつ電解処理する際には、処理すべき有機化合物含有水を上記曇り点以上の温度に加熱した後、電解装置へ通液するのが望ましい。
電解装置に対し上記のように通液処理を行うことにより、電解処理中に生成されたガスを速やかに電解装置内から除去することができ、ガスによる電解効率低下を避けることができる。なお、電解装置に対する通液に際しては、非イオン性界面活性剤を含んだ有機化合物含有水が電解装置に対し循環するように行うことができる。
【0015】
すなわち、本発明の方法により、極めて高い電流効率とエネルギー効率で非イオン性界面活性剤を含む有機化合物含有排水を電気化学的に酸化分解して除去できる。また、本発明の処理方法は、従来の白金系電極を用いた電解処理に比べて電解効率が良く、特に必要電極面積が少なくてすみ電解反応装置が小型化できる技術的特徴があり、経済的メリットが大きい。例えば高電流密度(1A/cm2以上)とすることができる。
【0016】
本発明で使用する導電性ダイヤモンド電極は、Ni、Ta、Ti、Mo、W、Zr等の導電性金属材料を基盤とし、これらの基盤の表面に導電性ダイヤモンド薄膜を析出させたものや、シリコンウエハ等の半導体材料を基盤とし、このウエハ表面に導電性ダイヤモンド薄膜を合成させたもの、さらに、基盤を用いない条件で板状に析出合成した導電性多結晶ダイヤモンドを挙げることができる。
【0017】
なお、導電性ダイヤモンド薄膜は、ダイヤモンド薄膜の合成の際にボロンまたは窒素の所定量をドープして導電性を付与したものであり、通常はボロンドープしたものが一般的である。これらのドープ量は、少なすぎると技術的意義が発生せず、多すぎてもドープ効果が飽和するため、ダイヤモンド薄膜の炭素量に対して、50〜10,000ppmの範囲のものが適している。
【0018】
本発明において、導電性ダイヤモンド電極は、通常は板状のものを使用するが、網目構造物を板状にしたものも使用できる。円筒状あるいは棒状としてもよい。
また、炭素粉末などにダイヤモンドをコーティングした粉末を電解液によって流動させて、流動床を構成することもできる。さらに、三次元構造の基質にダイヤモンド粉末を担持させ、高表面積を有する固定床を構成し、反応速度を大きくすることもできる。
【0019】
また本発明の陽極および陰極は、導電性ダイヤモンドを利用するものであるが、必ずしも両極が同一形状、同一素材であることが要求されるものではなく、両極で異なる形状、異なる素材からなるものであってもよい。また、両極における導電性ダイヤモンドは、全体が該ダイヤモンドで構成されている場合を除き、部分的に露出するものであってもよく、例えば少なくとも有機化合物含有水との反応面が導電性ダイヤモンドで構成されている電極が示される。
【0020】
この導電性ダイヤモンド電極を用いて行う電解処理は、導電性ダイヤモンド電極表面の電流密度を10〜100,000A/m2とし、有機物質を含む水をダイヤモンド電極面と平行方向に、通液線速度を10〜1,000m/hで接触処理させることが望ましい。
【0021】
本発明で処理対象となる水に含まれる非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルファニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールなどのエーテル系非イオン性界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル、ペンタエリストール脂肪酸部分エステル、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、グリセリンモノ脂肪酸エステルなどのエステル系非イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルなどのエーテル・エステル系非イオン性界面活性剤などを挙げることができる。ただし、本発明としては、非イオン界面活性剤が上記のものに限定されるものではない。
また、本発明で処理対象となる水に含まれる有機化合物としては、有機窒素化合物や有機塩素化合物が例示されるが、本発明としては有機化合物がこれらに限定されるものではない。
【0022】
なお、本発明の上記処理方法を実現する処理装置としては、例えば、導電性ダイヤモンドを用いた陰極と、導電性ダイヤモンドを用いた陽極とを備える電解装置と、有機化合物含有水を貯水する電解貯槽と、該電解貯槽内の有機化合物含有水を電解装置に供給する送液管と、該送液管によって電解装置に送られた有機化合物含有水を前記電解貯槽に還流させる還流管と、前記送液管および還流管を通して前記有機化合物含有水を循環させるポンプと、電解装置の上流側に設けられ、前記有機化合物含有水を水に含まれる非イオン性界面活性剤の曇り点以上に加熱する加熱手段とを備えるものが挙げられる。電解貯槽には、有機化合物含有水を混合するための混合手段を設けるのが望ましい。なお、上記加熱手段の構成は特に限定されず、ヒータ等を用いることができ、該加熱手段は上記送液管内の有機化合物含有水を加熱するように設置したり、電解貯槽内の有機化合物含有水を加熱するように設置することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の一実施形態を図1に基づいて説明する。
積層状多結晶導電性ダイヤモンド板で構成された2枚の陽極1および陰極2がセル3内で対向して配置されて電解反応槽が構成されている。上記陽極1および陰極2には直流電源5が接続されており、陽極1に電源5の正極が接続され、陰極2に電源5の負極が接続されている。上記電解反応槽と電源5とによって電解装置が構成されている。
【0024】
また、上記セル3の一端側(陽極1と陰極2との間)には送液管13が接続され、他端側に還流管15が接続されている。上記送液管13と還流管15は、上記電解反応槽で処理すべき非イオン性界面活性剤を含む有機化合物含有水を貯水するための電解貯槽10に接続されており、送液管13には、電解貯槽10から電解反応槽に向けて有機化合物含有水を送液するためのポンプ14が介設されている。
電解貯槽10では、その底部には、スターラ11が設置されており、電解反応槽10内には、該スターラ11からの磁力によって回転する回転体12が配置されている。上記スターラ11と回転体12とにより混合手段が構成されている。また、電解貯槽10には、有機化合物含有水を所望の温度に加熱するための加熱手段16が設置されている。
【0025】
次に、上記装置の動作について説明する。
電解貯槽10内には、非イオン性界面活性剤および有機窒素化合物を含む水を貯水し、ポンプ14を動作させて電解貯槽10内の水を送液管13を通して電解装置に送液する。水は電解貯槽10において加熱手段16によって加熱され昇温している。上記界面活性剤は、予め曇り点温度が判明しており、上記加熱手段16では、加熱された水の温度がこの曇り点温度以上となるように加熱調整する。加熱手段16に水の温度を測定する測定手段を設けることにより、上記温度調整を確実に行うことができる。水が上記曇り点温度以上に加熱されることにより非イオン性界面活性剤は水との水素結合が分断される。
【0026】
電解装置に送液された水は還流管15を通して電解装置から前記電解貯槽10へと返流される。また、電解反応槽では電源5によって通電され、陽極1と陰極2との間に電流が流れ、上記水の電解反応が生じる。該電解反応においては、界面活性剤が優先的に電解され、さらには水に含まれる有機化合物が電解処理される。なお、この電解反応槽では処理すべき水の通液処理がなされており、電解反応槽で発生したガスが速やかに電解反応槽の外部に除去される。電解処理がなされた水は、還流管15を通って電解貯槽10に還流する。
【0027】
電解貯槽10では、スターラ11の動作によって回転体12が電解貯槽10内で回転し、電解貯槽内の水を攪拌混合する。電解貯槽10内では、電解反応槽から還流した水と電解反応槽10に貯まっていた水とが混合され、有機化合物の含有量が均等化される。また、上記攪拌混合によって、電解反応槽から取り込まれ、電解貯槽10内の水中に含まれるガスが発散するのを促進する。そして電解貯槽10内からの水の送液、還流と電解反応槽での水の電解処理を繰り返し行うことによって電解反応槽10内の水の有機化合物含有量が次第に低下し、所望の水処理が達成される。
【0028】
【実施例】
以下に本発明の実施例を比較例と比較しつつ説明する。
実施例1
ボロンドープ法を用いて気相析出合成した積層状多結晶導電性ダイヤモンド板(5cm×5cm×0.05cm)2枚を電極に用い、極間距離1cmに設定して電解反応槽とした。なお、該ダイヤモンド板は、ダイヤモンド板の炭素量に対して、約8,000ppmのボロンがドープされている。曇り点が35℃であるポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル含有排水(TOC632mg/L、500mL)に硫酸ナトリウムを14,200mg/L添加して電解貯槽に入れた。電解貯槽内をスターラで攪拌しながら送液ポンプを用いて、電解反応槽に500ml/minの流速で循環処理した。電解反応槽の投入電気量は電流密度が0.2A/cm2(2000A/m2)となるように設定した。また、電解処理時の温度を60℃に設定した。電解処理を1時間継続して、電解反応槽出口水の水を採取して全有機体炭素(TOC)の分析を行ったところ表1の結果を得た。本発明の電解処理方法によって、TOCが効率良く除去できることが確認できた。
【0029】
【表1】
【0030】
比較例1−1
実施例1での電解処理に用いた電極をダイヤモンド電極の代わりに、白金メッキしたチタン板(5cm×5cm×0.05cm)を使用した以外は、実施例1と同様に電解処理を1時間継続した。その結果、表2の分析結果に示すように、TOCの低減効果は著しく悪くなった。
【0031】
【表2】
【0032】
比較例1−2
実施例1での電解処理温度を60℃の変わりに20℃に設定して電解処理を実施した以外は、実施例1と同じ条件で電解処理を行った。電解は実施例1と同様に1時間継続した。表3の分析結果に示すように、TOCの低減効果は実施例1に比べて著しく悪くなった。
【0033】
【表3】
【0034】
実施例2
実施例1と同様に、ボロンドープ法を用いて気相析出合成した積層状多結晶導電性ダイヤモンド板(5cm×5cm×0.05cm)2枚を電極に用い、極間距離1cmに設定して電解反応槽とした。曇り点が45℃のポリオキシエチレンセチルエーテルを含んだジメチルスルホキシド(DMSO)含有排水(TOC710mg/L、250mL)に硫酸ナトリウムを14,200mg/L添加して電解貯槽に入れた。電解貯槽内をスターラで攪拌しながら送液ポンプを用いて、電解反応槽に500ml/minの流速で循環処理した。電解反応槽の投入電気量は電流密度が0.2A/cm2(2000A/m2)となるように設定した。また、電解処理温度を60℃に設定した。電解処理を3時間継続して、電解反応槽出口の水を採取して全有機体炭素(TOC)の分析を行ったところ表4の結果を得た。本発明の電解処理方法によって、界面活性剤による泡立ちも極めて少なく、TOCが効率良く除去できることが確認できた。さらに、極間電圧も12Vで安定した電解処理を行うことができた。
【0035】
【表4】
【0036】
比較例2
実施例2での電解処理温度60℃の代わりに、25℃で電解処理した以外は、実施例2と同じ条件で電解処理を行った。電解は実施例2と同様に3時間継続したが、界面活性剤による泡立ちが大きく、電解貯槽から排水があふれるばかりか、極間電圧が60V以上に達することがあり、途中で電解処理を中断しながら処理をする必要があった。表5の分析結果に示すように、TOCの低減効果は等しく悪くなった。
【0037】
【表5】
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、陰極および陽極に導電性ダイヤモンドを用いた電解装置によって、非イオン性界面活性剤を含んだ有機化合物含有排水を該非イオン性界面活性剤の曇り点以上の温度で電解処理するので、非イオン性界面活性剤を含めて有機化合物を効率よく分解処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の処理方法に用いられる処理装置を説明する図である。
【符号の説明】
1 陽極
2 陰極
3 セル
5 電源
10 電解貯槽
11 スターラ
12 回転体
13 送液管
14 ポンプ
15 還流管
16 加熱手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、界面活性剤を含有する有機化合物含有水の処理方法および処理装置に関する。特に電解処理技術を利用して、有害で悪臭を放つ副生成物を発生することなく、界面活性剤および有機化合物を二酸化炭素、水などの無機化合物まで完全に分解処理することができる水処理方法と処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
界面活性剤は、洗浄剤や分散剤として多くの産業分野で用いられており、工場排水中に他の有機物とともに含有されていることが多い。
工場排水の処理方法として、電気化学的な方法は、活性汚泥法などの生物分解処理や、オゾン酸化法などに比べて、操作性が容易であり装置がコンパクトになるという利点がある。このような観点から、白金や酸化鉛といった様々な陽極材料を活用した電解処理法が考案されている。しかしながら、工場排水には腐食性の強い物質を含んでいる場合も多く、白金や酸化鉛といった電極材料は容易に汚染されるという問題があった。また、白金電極では、0.1A/cm2程度の電流密度では安定に電解処理を行えるが、0.2A/cm2以上の電流密度では大幅に劣化が進行して寿命が短くなるという問題があった。
【0003】
ダイヤモンドは化学的安定性が高く、ホウ素や窒素をドープすることによって導電性を示すことから排水処理のための電極材料として期待されている。非特許文献1の論文(藤島ら)では、ホウ素をドープしたダイヤモンド電極の電位窓が極めて広く腐食性の強い水溶液中においても安定に動作することが報告されている。また、非特許文献2の論文(藤島ら)ではNOxがダイヤモンド陰極で効率よくアンモニアに還元されることが報告されている。また、イーストマンコダック社による特許文献1および特許文献2にはホウ素をドープしたダイヤモンドを陽極に用いて有機化合物を酸化分解できることが示唆されている。
【0004】
【非特許文献1】
藤嶋ら、「Electrochemistry」,Vol,67(1999)389
【非特許文献2】
藤嶋ら、「Journal of Electroanalytical Chemistry」,Vol,396(1995)233
【特許文献1】
特開平7−299467号公報
【特許文献2】
米国特許第5399247号明細書
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このようなダイヤモンド電極を用いた電解処理において、有機化合物排水中に界面活性剤が含まれている場合、全有機性炭素成分(TOC)の除去効率が非常に悪いという問題があった。また、電解処理中に発泡することが多く、極間抵抗の増大を招きエネルギー効率が大幅に悪化するという問題があった。さらに、電解貯槽内から界面活性剤を含有する有機化合物排水があふれるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、ダイヤモンドを電極に活用した電解処理において、界面活性剤を含有した有機化合物排水の分解効率とエネルギー効率に関して、実用化の観点から改良が望まれる課題を解決し、有機化合物を効率良く、二酸化炭素や水などの無機物まで完全分解して除去する新規な排水の処理方法および処理装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の非イオン性界面活性剤を含んだ有機化合物含有水の処理方法のうち請求項1記載の発明は、陰極および陽極に導電性ダイヤモンドを用いた電解装置によって、非イオン性界面活性剤を含んだ有機化合物含有排水を該非イオン性界面活性剤の曇り点以上の温度で電解処理することを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の非イオン性界面活性剤を含んだ有機化合物含有水の処理方法は、請求項1記載の発明において、電解処理に際し、非イオン性界面活性剤を含んだ有機化合物含有水を前記電解装置に通液しつつ電解処理することを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の非イオン性界面活性剤を含んだ有機化合物含有水の処理方法は、請求項2記載の発明において、非イオン性界面活性剤を含んだ有機化合物含有水を前記曇り点以上の温度に加熱した後、電解装置に通液することを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の非イオン性界面活性剤を含んだ有機化合物含有水の処理装置は、導電性ダイヤモンドを用いた陰極と、導電性ダイヤモンドを用いた陽極とを備える電解装置と、有機化合物含有水を貯水する電解貯槽と、該電解貯槽内の有機化合物含有水を電解装置に供給する送液管と、該送液管によって電解装置に送られた有機化合物含有水を前記電解貯槽に還流させる還流管と、前記送液管および還流管を通して前記有機化合物含有水を循環させるポンプと、電解装置の上流側に設けられ、前記有機化合物含有水を水に含まれる非イオン性界面活性剤の曇り点以上に加熱する加熱手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
すなわち本発明の処理方法によれば、非イオン性界面活性剤を含有する有機化合物排水を界面活性剤の曇り点以上の温度で電解処理するので、界面活性剤は水との水素結合が分断されて疎水性有機物として振る舞うようになり、他の有機化合物と同様に電解処理によって効果的に分解して無毒化することができる。なお、このような疎水性有機化合物は、ダイヤモンド電極のような疎水性電極によって優先的に電解処理される。界面活性剤が効果的に除去されることにより、電解処理時の発泡を極力少なくすることができ、電解処理効率の低下や電解貯槽から水があふれるのを防止できる。
また、本発明の処理装置によれば、上記方法を確実に実施することができる。
【0012】
上記のように処理すべき水は、電解処理時に上記の曇り点温度以上の温度を有していることが必要である。該温度は、非イオン性界面活性剤の種別によっても異なるため、処理すべき水に含まれる界面活性剤の種別によって水の処理時温度を定めればよい。なお、複数種の界面活性剤を含む場合には、分解処理したい界面活性剤の内で、最も高い温度の曇り点温度以上に水の処理温度を定めればよい。
【0013】
また、電極に用いられる導電性ダイヤモンドは、化学的安定性に優れ、通常の酸やアルカリによる腐食の心配がなく、酸条件からアルカリ条件の幅広いpH範囲を有する水処理に適用できて、かつ長期間に渡って安定した電解酸化処理効果が持続する。そして導電性ダイヤモンド電極は、従来の白金等の金属電極に比べると、電位窓が極めて広く水の電気分解による水素発生や酸素発生を抑えながら、目的の有機物質のみを効率的に酸化分解処理できる。なお、本発明においてダイヤモンドとしては結晶質に限らず非晶質のものも適用することができる。
【0014】
また、電解処理に際し、非イオン性界面活性剤を含んだ有機化合物含有水を前記電解装置に通液しつつ電解処理することができる。電解装置に通液しつつ電解処理する際には、処理すべき有機化合物含有水を上記曇り点以上の温度に加熱した後、電解装置へ通液するのが望ましい。
電解装置に対し上記のように通液処理を行うことにより、電解処理中に生成されたガスを速やかに電解装置内から除去することができ、ガスによる電解効率低下を避けることができる。なお、電解装置に対する通液に際しては、非イオン性界面活性剤を含んだ有機化合物含有水が電解装置に対し循環するように行うことができる。
【0015】
すなわち、本発明の方法により、極めて高い電流効率とエネルギー効率で非イオン性界面活性剤を含む有機化合物含有排水を電気化学的に酸化分解して除去できる。また、本発明の処理方法は、従来の白金系電極を用いた電解処理に比べて電解効率が良く、特に必要電極面積が少なくてすみ電解反応装置が小型化できる技術的特徴があり、経済的メリットが大きい。例えば高電流密度(1A/cm2以上)とすることができる。
【0016】
本発明で使用する導電性ダイヤモンド電極は、Ni、Ta、Ti、Mo、W、Zr等の導電性金属材料を基盤とし、これらの基盤の表面に導電性ダイヤモンド薄膜を析出させたものや、シリコンウエハ等の半導体材料を基盤とし、このウエハ表面に導電性ダイヤモンド薄膜を合成させたもの、さらに、基盤を用いない条件で板状に析出合成した導電性多結晶ダイヤモンドを挙げることができる。
【0017】
なお、導電性ダイヤモンド薄膜は、ダイヤモンド薄膜の合成の際にボロンまたは窒素の所定量をドープして導電性を付与したものであり、通常はボロンドープしたものが一般的である。これらのドープ量は、少なすぎると技術的意義が発生せず、多すぎてもドープ効果が飽和するため、ダイヤモンド薄膜の炭素量に対して、50〜10,000ppmの範囲のものが適している。
【0018】
本発明において、導電性ダイヤモンド電極は、通常は板状のものを使用するが、網目構造物を板状にしたものも使用できる。円筒状あるいは棒状としてもよい。
また、炭素粉末などにダイヤモンドをコーティングした粉末を電解液によって流動させて、流動床を構成することもできる。さらに、三次元構造の基質にダイヤモンド粉末を担持させ、高表面積を有する固定床を構成し、反応速度を大きくすることもできる。
【0019】
また本発明の陽極および陰極は、導電性ダイヤモンドを利用するものであるが、必ずしも両極が同一形状、同一素材であることが要求されるものではなく、両極で異なる形状、異なる素材からなるものであってもよい。また、両極における導電性ダイヤモンドは、全体が該ダイヤモンドで構成されている場合を除き、部分的に露出するものであってもよく、例えば少なくとも有機化合物含有水との反応面が導電性ダイヤモンドで構成されている電極が示される。
【0020】
この導電性ダイヤモンド電極を用いて行う電解処理は、導電性ダイヤモンド電極表面の電流密度を10〜100,000A/m2とし、有機物質を含む水をダイヤモンド電極面と平行方向に、通液線速度を10〜1,000m/hで接触処理させることが望ましい。
【0021】
本発明で処理対象となる水に含まれる非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルファニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールなどのエーテル系非イオン性界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル、ペンタエリストール脂肪酸部分エステル、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、グリセリンモノ脂肪酸エステルなどのエステル系非イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルなどのエーテル・エステル系非イオン性界面活性剤などを挙げることができる。ただし、本発明としては、非イオン界面活性剤が上記のものに限定されるものではない。
また、本発明で処理対象となる水に含まれる有機化合物としては、有機窒素化合物や有機塩素化合物が例示されるが、本発明としては有機化合物がこれらに限定されるものではない。
【0022】
なお、本発明の上記処理方法を実現する処理装置としては、例えば、導電性ダイヤモンドを用いた陰極と、導電性ダイヤモンドを用いた陽極とを備える電解装置と、有機化合物含有水を貯水する電解貯槽と、該電解貯槽内の有機化合物含有水を電解装置に供給する送液管と、該送液管によって電解装置に送られた有機化合物含有水を前記電解貯槽に還流させる還流管と、前記送液管および還流管を通して前記有機化合物含有水を循環させるポンプと、電解装置の上流側に設けられ、前記有機化合物含有水を水に含まれる非イオン性界面活性剤の曇り点以上に加熱する加熱手段とを備えるものが挙げられる。電解貯槽には、有機化合物含有水を混合するための混合手段を設けるのが望ましい。なお、上記加熱手段の構成は特に限定されず、ヒータ等を用いることができ、該加熱手段は上記送液管内の有機化合物含有水を加熱するように設置したり、電解貯槽内の有機化合物含有水を加熱するように設置することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の一実施形態を図1に基づいて説明する。
積層状多結晶導電性ダイヤモンド板で構成された2枚の陽極1および陰極2がセル3内で対向して配置されて電解反応槽が構成されている。上記陽極1および陰極2には直流電源5が接続されており、陽極1に電源5の正極が接続され、陰極2に電源5の負極が接続されている。上記電解反応槽と電源5とによって電解装置が構成されている。
【0024】
また、上記セル3の一端側(陽極1と陰極2との間)には送液管13が接続され、他端側に還流管15が接続されている。上記送液管13と還流管15は、上記電解反応槽で処理すべき非イオン性界面活性剤を含む有機化合物含有水を貯水するための電解貯槽10に接続されており、送液管13には、電解貯槽10から電解反応槽に向けて有機化合物含有水を送液するためのポンプ14が介設されている。
電解貯槽10では、その底部には、スターラ11が設置されており、電解反応槽10内には、該スターラ11からの磁力によって回転する回転体12が配置されている。上記スターラ11と回転体12とにより混合手段が構成されている。また、電解貯槽10には、有機化合物含有水を所望の温度に加熱するための加熱手段16が設置されている。
【0025】
次に、上記装置の動作について説明する。
電解貯槽10内には、非イオン性界面活性剤および有機窒素化合物を含む水を貯水し、ポンプ14を動作させて電解貯槽10内の水を送液管13を通して電解装置に送液する。水は電解貯槽10において加熱手段16によって加熱され昇温している。上記界面活性剤は、予め曇り点温度が判明しており、上記加熱手段16では、加熱された水の温度がこの曇り点温度以上となるように加熱調整する。加熱手段16に水の温度を測定する測定手段を設けることにより、上記温度調整を確実に行うことができる。水が上記曇り点温度以上に加熱されることにより非イオン性界面活性剤は水との水素結合が分断される。
【0026】
電解装置に送液された水は還流管15を通して電解装置から前記電解貯槽10へと返流される。また、電解反応槽では電源5によって通電され、陽極1と陰極2との間に電流が流れ、上記水の電解反応が生じる。該電解反応においては、界面活性剤が優先的に電解され、さらには水に含まれる有機化合物が電解処理される。なお、この電解反応槽では処理すべき水の通液処理がなされており、電解反応槽で発生したガスが速やかに電解反応槽の外部に除去される。電解処理がなされた水は、還流管15を通って電解貯槽10に還流する。
【0027】
電解貯槽10では、スターラ11の動作によって回転体12が電解貯槽10内で回転し、電解貯槽内の水を攪拌混合する。電解貯槽10内では、電解反応槽から還流した水と電解反応槽10に貯まっていた水とが混合され、有機化合物の含有量が均等化される。また、上記攪拌混合によって、電解反応槽から取り込まれ、電解貯槽10内の水中に含まれるガスが発散するのを促進する。そして電解貯槽10内からの水の送液、還流と電解反応槽での水の電解処理を繰り返し行うことによって電解反応槽10内の水の有機化合物含有量が次第に低下し、所望の水処理が達成される。
【0028】
【実施例】
以下に本発明の実施例を比較例と比較しつつ説明する。
実施例1
ボロンドープ法を用いて気相析出合成した積層状多結晶導電性ダイヤモンド板(5cm×5cm×0.05cm)2枚を電極に用い、極間距離1cmに設定して電解反応槽とした。なお、該ダイヤモンド板は、ダイヤモンド板の炭素量に対して、約8,000ppmのボロンがドープされている。曇り点が35℃であるポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル含有排水(TOC632mg/L、500mL)に硫酸ナトリウムを14,200mg/L添加して電解貯槽に入れた。電解貯槽内をスターラで攪拌しながら送液ポンプを用いて、電解反応槽に500ml/minの流速で循環処理した。電解反応槽の投入電気量は電流密度が0.2A/cm2(2000A/m2)となるように設定した。また、電解処理時の温度を60℃に設定した。電解処理を1時間継続して、電解反応槽出口水の水を採取して全有機体炭素(TOC)の分析を行ったところ表1の結果を得た。本発明の電解処理方法によって、TOCが効率良く除去できることが確認できた。
【0029】
【表1】
【0030】
比較例1−1
実施例1での電解処理に用いた電極をダイヤモンド電極の代わりに、白金メッキしたチタン板(5cm×5cm×0.05cm)を使用した以外は、実施例1と同様に電解処理を1時間継続した。その結果、表2の分析結果に示すように、TOCの低減効果は著しく悪くなった。
【0031】
【表2】
【0032】
比較例1−2
実施例1での電解処理温度を60℃の変わりに20℃に設定して電解処理を実施した以外は、実施例1と同じ条件で電解処理を行った。電解は実施例1と同様に1時間継続した。表3の分析結果に示すように、TOCの低減効果は実施例1に比べて著しく悪くなった。
【0033】
【表3】
【0034】
実施例2
実施例1と同様に、ボロンドープ法を用いて気相析出合成した積層状多結晶導電性ダイヤモンド板(5cm×5cm×0.05cm)2枚を電極に用い、極間距離1cmに設定して電解反応槽とした。曇り点が45℃のポリオキシエチレンセチルエーテルを含んだジメチルスルホキシド(DMSO)含有排水(TOC710mg/L、250mL)に硫酸ナトリウムを14,200mg/L添加して電解貯槽に入れた。電解貯槽内をスターラで攪拌しながら送液ポンプを用いて、電解反応槽に500ml/minの流速で循環処理した。電解反応槽の投入電気量は電流密度が0.2A/cm2(2000A/m2)となるように設定した。また、電解処理温度を60℃に設定した。電解処理を3時間継続して、電解反応槽出口の水を採取して全有機体炭素(TOC)の分析を行ったところ表4の結果を得た。本発明の電解処理方法によって、界面活性剤による泡立ちも極めて少なく、TOCが効率良く除去できることが確認できた。さらに、極間電圧も12Vで安定した電解処理を行うことができた。
【0035】
【表4】
【0036】
比較例2
実施例2での電解処理温度60℃の代わりに、25℃で電解処理した以外は、実施例2と同じ条件で電解処理を行った。電解は実施例2と同様に3時間継続したが、界面活性剤による泡立ちが大きく、電解貯槽から排水があふれるばかりか、極間電圧が60V以上に達することがあり、途中で電解処理を中断しながら処理をする必要があった。表5の分析結果に示すように、TOCの低減効果は等しく悪くなった。
【0037】
【表5】
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、陰極および陽極に導電性ダイヤモンドを用いた電解装置によって、非イオン性界面活性剤を含んだ有機化合物含有排水を該非イオン性界面活性剤の曇り点以上の温度で電解処理するので、非イオン性界面活性剤を含めて有機化合物を効率よく分解処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の処理方法に用いられる処理装置を説明する図である。
【符号の説明】
1 陽極
2 陰極
3 セル
5 電源
10 電解貯槽
11 スターラ
12 回転体
13 送液管
14 ポンプ
15 還流管
16 加熱手段
Claims (4)
- 陰極および陽極に導電性ダイヤモンドを用いた電解装置によって、非イオン性界面活性剤を含んだ有機化合物含有水を該非イオン性界面活性剤の曇り点以上の温度で電解処理することを特徴とする非イオン性界面活性剤を含んだ有機化合物含有水の処理方法。
- 電解処理に際し、非イオン性界面活性剤を含んだ有機化合物含有水を前記電解装置に通液しつつ電解処理することを特徴とする請求項1記載の非イオン性界面活性剤を含んだ有機化合物含有水の処理方法。
- 非イオン性界面活性剤を含んだ有機化合物含有水を前記曇り点以上の温度に加熱した後、電解装置に通液することを特徴とする請求項2記載の非イオン性界面活性剤を含んだ有機化合物含有水の処理方法。
- 導電性ダイヤモンドを用いた陰極と、導電性ダイヤモンドを用いた陽極とを備える電解装置と、有機化合物含有水を貯水する電解貯槽と、該電解貯槽内の有機化合物含有水を電解装置に供給する送液管と、該送液管によって電解装置に送られた有機化合物含有水を前記電解貯槽に還流させる還流管と、前記送液管および還流管を通して前記有機化合物含有水を循環させるポンプと、電解装置の上流側に設けられ、前記有機化合物含有水を水に含まれる非イオン性界面活性剤の曇り点以上に加熱する加熱手段とを備えることを特徴とする非イオン性界面活性剤を含んだ有機化合物含有水の処理装置。
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-
2002
- 2002-12-19 JP JP2002368283A patent/JP2004195391A/ja active Pending
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