JP2004194683A - 箸の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】箸1の製造方法は、原材料として、表面に第1塗布層3が形成された、箸として使用可能な箸本体2、すなわち既存の箸を用いる。この製造方法は、始めに、箸本体2の箸先部4の上方、または、箸本体2の箸先部4の上方および上部部分に、マスキング5を施す。そして、箸先部4の素地が表われるように、その箸先部4の、第1塗布層3を含む表面を削る。次いで、箸先部4に、第2塗布材を塗布して、第2塗布層6を形成する。最後に、マスキング5を除去することで、箸1が製造される。
【選択図】 図6
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、箸として使用可能な箸、例えば既存の箸を用いて、箸を製造する箸の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、箸は、ユーザーのニーズに応じて、あるいは流行に合わせて、種々の塗装とかデザインなどが施された箸が、製造されそして販売されていた。そして、この塗装とかデザインなどを施すために、箸の木地に、合成樹脂塗料、みつろう、漆等の塗布材が塗布されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記従来の箸においては、種々の塗装とかデザインなどが施された箸の中には、ユーザーに受け入れられない等の理由により、売れ残りが生じ、処分に苦慮するものもあった。
【0004】
この発明は、上記した従来の問題点を解決し得るものであり、その目的とするところは、既存の箸の塗装とかデザインなどを簡単に変更することができ、各種の塗装とかデザインなどが施された箸を容易に製造することができる、箸の製造方法を提供することにある。
【0005】
また、他の目的は、人に安心感を与える箸を容易に製造することができる、箸の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る箸の製造方法は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る箸の製造方法は、表面に第1塗布層が形成された、箸として使用可能な箸本体を用いた、箸の製造方法である。この製造方法は、次の工程からなる。
〈第1工程〉 前記箸本体の長手方向の一部となる加工対象部に隣接する部分、または、その隣接する部分から前記加工対象部の少なくとも一部に渡る部分に、マスキングを施す。
〈第2工程〉 前記加工対象部の素地が表われるように、その加工対象部の、前記第1塗布層を含む表面を削る。
〈第3工程〉 前記加工対象部に、第2塗布材を塗布して、第2塗布層を形成する。
〈第4工程〉 前記マスキングを除去する。
【0007】
この箸の製造方法においては、箸として使用可能な箸本体、すなわち既存の箸を用いる。そして、この箸本体は、表面に第1塗布層が形成されている。このように、箸本体には、すでに、第1塗布層によって種々の塗装とかデザインなどが施されている。そして、箸本体の長手方向の一部となる加工対象部は、第2工程において、素地が表われるように、第1塗布層を含む表面が削られ、その削られた加工対象部に、第3工程において、第2塗布材が塗布される。こうして、この箸は、加工対象部に、第2塗布材の塗布により第2塗布層が形成され、加工対象部以外の部分には、既存の第1塗布層が残される(もっとも、この既存の第1塗布層の上に、新たな塗装とかデザインなどが付加された状態で、前記既存の第1塗布層が残される場合もある。)。また、この製造方法においては、第1工程において、加工対象部に隣接する部分、または、その隣接する部分から加工対象部の少なくとも一部に渡る部分にマスキングが施されるため、その後の、第2工程における加工対象部の表面削り、および第3工程における加工対象部への第2塗布材の塗布を、それほど注意することなく行うことができる。なお、この製造方法は、上記各工程の前後に、乾燥等の他の工程が入ることを否定するものではない。また、箸本体は、表面に第1塗布層が形成されているが、この第1塗布層の下層に、下地等の他の塗布層等が形成されていてもよい。
【0008】
また、請求項2に記載の発明に係る箸の製造方法のように、請求項1に記載の製造方法において、前記加工対象部は、箸先部または/および箸頭部からなり、前記第2工程(前記加工対象部の表面の削り)は、先端切りおよび周面削りの両工程からなるのが望ましい。こうして、加工対象部の表面の削りを、先端切り工程と周面削り工程とに分けて行うことで、この加工対象部の削りが確実かつ容易に行われる。なお、先端切りと周面削りの両工程の順序は、どちらが先であっても構わない。
【0009】
また、請求項3に記載の発明に係る箸の製造方法は、表面に第1塗布層が形成された、箸として使用可能な箸本体を用いた、箸の製造方法である。この製造方法は、次の工程からなる。
〈前工程〉 前記箸本体の箸先部または/および箸頭部からなる加工対象部の先端の素地が表われるように、先端切りにより、前記第1塗布層を含む表面を削る。
〈第1工程〉 前記加工対象部に隣接する部分、または、その隣接する部分から前記加工対象部の少なくとも一部に渡る部分に、マスキングを施す。
〈第2工程〉 前記加工対象部の周面の素地が表われるように、周面削りにより、前記第1塗布層を含む表面を削る。
〈第3工程〉 前記加工対象部に、第2塗布材を塗布して、第2塗布層を形成する。
〈第4工程〉 前記マスキングを除去する。
【0010】
この箸の製造方法は、請求項2に記載の製造方法と比較すると、先端切りを、マスキングの前に前工程として行っているが、請求項2に記載の製造方法と同様の作用を成す。すなわち、加工対象部となる箸先部または/および箸頭部の表面の削りを、先端切り工程と周面削り工程とに分けて行うことで、この加工対象部の削りが確実かつ容易に行われる。そして、その削られた加工対象部に、第2塗布材が塗布される。こうして、箸は、加工対象部に、第2塗布材の塗布により第2塗布層が形成され、加工対象部以外の部分には、既存の第1塗布層が残される(もっとも、この既存の第1塗布層の上に、新たな塗装とかデザインなどが付加された状態で、前記既存の第1塗布層が残される場合もある。)。また、この製造方法においては、第1工程において、加工対象部に隣接する部分、または、その隣接する部分から前記加工対象部の少なくとも一部に渡る部分にマスキングが施されるため、その後の、第2工程における加工対象部の周面削り、および第3工程における加工対象部への第2塗布材の塗布を、それほど注意することなく行うことができる。なお、この製造方法は、上記各工程の前後に、乾燥等の他の工程が入ることを否定するものではない。また、箸本体は、表面に第1塗布層が形成されているが、この第1塗布層の下層に、下地等の他の塗布層等が形成されていてもよい。
【0011】
また、請求項4に記載の発明に係る箸の製造方法のように、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の製造方法において、前記加工対象部は、箸先部からなり、前記第1塗布層を形成する塗布材は、合成樹脂塗料からなり、そして、前記第2塗布材は、みつろう、みつろうワックス、イボタろう、柿渋、セラック、植物性の乾性油、または、本漆、あるいは、本漆を主体とした人体に有害な成分を含まない漆、もしくはそれら漆に鉄分等の無害な顔料を混入させた漆からなってもよい。こうして、この箸は、人の口に触れる箸先部に、みつろう、みつろうワックス、イボタろう、柿渋、セラック、植物性の乾性油、または、本漆、あるいは、本漆を主体とした人体に有害な成分を含まない漆、もしくはそれら漆に鉄分等の無害な顔料を混入させた漆からなる第2塗布層が形成される。そして、箸先部以外の部分には、合成樹脂塗料からなる既存の第1塗布層が残される(もっとも、この合成樹脂塗料からなる既存の第1塗布層の上に、新たな塗装とかデザインなどが付加された状態で、前記合成樹脂塗料からなる既存の第1塗布層が残される場合もある。)。
【0012】
また、請求項5に記載の発明に係る箸の製造方法は、表面に合成樹脂塗料からなる第1塗布層が形成された、箸として使用可能な箸本体を用いた、箸の製造方法である。この製造方法は、始めに、前記箸本体の箸先部の素地が表われるように、その箸先部の、前記第1塗布層を含む表面を削る。その後、前記箸先部に、みつろう、みつろうワックス、イボタろう、柿渋、セラック、植物性の乾性油、または、本漆、あるいは、本漆を主体とした人体に有害な成分を含まない漆、もしくはそれら漆に鉄分等の無害な顔料を混入させた漆からなる、第2塗布材を塗布して、第2塗布層を形成する。
【0013】
この箸の製造方法においては、箸として使用可能な箸本体、すなわち既存の箸を用いる。そして、この箸本体は、表面に合成樹脂塗料からなる第1塗布層が形成されている。このように、箸本体には、すでに、第1塗布層によって種々の塗装とかデザインなどが施されている。そして、箸先部は、素地が表われるように、第1塗布層を含む表面が削られ、その削られた箸先部に、みつろう、みつろうワックス、イボタろう、柿渋、セラック、植物性の乾性油、または、本漆、あるいは、本漆を主体とした人体に有害な成分を含まない漆、もしくはそれら漆に鉄分等の無害な顔料を混入させた漆が塗布される。こうして、この箸は、人の口に触れる箸先部に、みつろう、みつろうワックス、イボタろう、柿渋、セラック、植物性の乾性油、または、本漆、あるいは、本漆を主体とした人体に有害な成分を含まない漆、もしくはそれら漆に鉄分等の無害な顔料を混入させた漆からなる第2塗布層が形成される。そして、箸先部以外の部分には、合成樹脂塗料からなる既存の第1塗布層が残される(もっとも、この合成樹脂塗料からなる既存の第1塗布層の上に、新たな塗装とかデザインなどが付加された状態で、前記合成樹脂塗料からなる既存の第1塗布層が残される場合もある。)。なお、この製造方法は、上記各工程の前後に、乾燥、あるいはマスキング等の他の工程が入ることを否定するものではない。また、箸本体は、表面に第1塗布層が形成されているが、この第1塗布層の下層に、下地等の他の塗布層等が形成されていてもよい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に係る箸の製造方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1ないし図6は、本発明に係る箸の製造方法の一実施の形態を示す。図中符号1は、本発明に係る箸である。2は、箸として使用可能な箸本体、すなわち既存の箸である。
【0016】
ここで、箸本体2は、図1に示すように、表面に第1塗布層3が形成されている。そして、この第1塗布層3を形成する塗布材は、例えば合成樹脂塗料からなっている。ここにおいて、この箸本体2を用いた、箸1の製造方法は、箸本体2の長手方向の一部となる加工対象部としての箸先部4を加工する製造方法であって、次の工程からなる。
〈第1工程〉 前記加工対象部に隣接する部分、または、その隣接する部分から前記加工対象部の少なくとも一部に渡る部分、すなわち、前記箸本体2の箸先部4の上方、または、前記箸本体2の箸先部4の上方および上部部分に、マスキング5を施す(図2参照)。
〈第2工程〉 前記箸先部4の素地が表われるように、その箸先部4の、前記第1塗布層3を含む表面を削る(図3、図4参照)。具体的には、箸先部4の、前記第1塗布層3を含む表面を、マスキング5を含めて、詳細にはマスキング5の下部を含めて削る。
〈第3工程〉 前記箸先部4に、例えば、みつろう、みつろうワックス(みつろうに荏油を混ぜたもの)、イボタろう、柿渋、セラック、植物性の乾性油(例えば、亜麻仁油、桐油、荏油等)または、本漆(天然漆)、あるいは、本漆(天然漆)を主体とした人体に有害な成分を含まない漆(生漆、透漆、糊漆、絞漆、透漆に米糊あるいは卵白などを混ぜたもの等)、もしくはそれら漆(本漆、あるいは、本漆を主体とした人体に有害な成分を含まない漆)に鉄分等の無害な顔料を混入させた漆(黒漆、弁柄漆等)からなる第2塗布材を塗布して、第2塗布層6を形成する(図5参照)。
〈第4工程〉 前記マスキング5を除去する(図6参照)。
【0017】
そして、前記第2工程(箸先部4の表面の削り)は、詳細には、次の工程からなる。
〈第2−a工程〉 箸本体2の箸先部4の先端の素地が表われるように、喰先切り(先端切り)により、前記第1塗布層3を含む表面を削る(図3参照)。具体的には、箸先部4の先端を、例えば1mm程度、切り落とす。
〈第2−b工程〉 前記箸先部4の周面の素地が表われるように、周面削りにより、前記第1塗布層3を含む表面を削る(図4参照)。
【0018】
なお、前記マスキング5は、具体的には、テープからなり、このテープを貼ることでマスキング5が施されるが、その他の方法によりマスキング5を施してもよい。そして、第2−b工程の周面削りにおいては、箸本体2の断面形状に拘わり無く、断面形状が、四角等の角形状、丸形状、その他の形状となるように箸先部4の表面を削ってもよい。
【0019】
この箸1の製造方法によると、原材料として、箸として使用可能な箸本体2、すなわち既存の箸を用いる。そして、この箸本体2は、表面に第1塗布層3が形成されている。このように、箸本体2には、すでに、第1塗布層3によって種々の塗装とかデザインなどが施されている。この箸本体2の箸先部4は、第2工程(詳細には、第2−a工程および第2−b工程)において、箸先部4の素地が表われるように、第1塗布層3を含む表面が削られる。そして、その削られた箸先部4に、第3工程において、第2塗布材が塗布される。こうして、この箸1は、箸先部4に、第2塗布材の塗布により第2塗布層6が形成され、箸先部4以外の部分には、既存の第1塗布層3が残される(もっとも、この第1塗布層3の上に、例えばクリヤラッカーとか漆(透漆等)などの新たな塗布材を重ね塗りしても構わない。)。また、この製造方法においては、第1工程において、箸先部4の上方、または、箸先部4の上方および上部部分にマスキング5が施されるため、その後の、第2工程における箸先部4の表面削り、および第3工程における箸先部4への第2塗布材の塗布を、それほど注意することなく行うことができ、しかも、仕上がりの美しい箸を効率良く生産することができる。このように、この箸1の製造方法によれば、既存の箸(箸本体2)を用いて、箸先部4以外の部分に種々の塗装とかデザインなどが施された既存の第1塗布層3を残し、マスキング5を施した後に箸先部4を加工してその箸先部4に第2塗布層6を形成することで、既存の箸(箸本体2)の塗装とかデザインなどを簡単に変更することができ、各種の塗装とかデザインなどが施された箸1を容易に製造することができる。しかも、箸先部4の表面の削り(第2工程)を、喰先切り(第2−a工程)と周面削り(第2−b工程)とに分けて行うことで、この箸先部4の削りを確実かつ容易に行うことができる。
【0020】
そして、箸本体2における第1塗布層3を形成する塗布材は、合成樹脂塗料からなり、加工後の箸1においては、箸先部4以外の部分に、この合成樹脂塗料からなる第1塗布層3が残される。このように、箸先部4以外の部分に、合成樹脂塗料からなる既存の第1塗布層3が残されることで、この合成樹脂塗料による塗装とかデザインなどをこの箸に反映させることができる。また、第3工程においては、箸先部4に、みつろう、みつろうワックス、イボタろう、柿渋、セラック、植物性の乾性油、または、本漆、あるいは、本漆を主体とした人体に有害な成分を含まない漆、もしくはそれら漆に鉄分等の無害な顔料を混入させた漆からなる第2塗布層6が形成される。このように、既存の箸(箸本体2)の箸先部4を加工して、人の口に触れる箸先部4に、みつろう、みつろうワックス、イボタろう、柿渋、セラック、植物性の乾性油、または、本漆あるいは本漆を主体とした人体に有害な成分を含まない漆、もしくはそれら漆に鉄分等の無害な顔料を混入させた漆からなる第2塗布層6を形成することで、人に安心感を与える箸1を容易に製造することができる。
【0021】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、箸本体2は、箸として使用可能な箸であれば、売れ残りなどの在庫の箸に限定されるわけではなく、新たに製造された箸であってもよい。
【0022】
また、加工対象部は、箸先部4でなくとも、図7に示すように、箸頭部7(図示実施の形態においては、箸頭および持ち手部)であってもよく、また図8に示すように、箸本体2の中間部8(図示実施の形態においては、持ち手部の一部)であってもよい。さらに、加工対象部は、1ヵ所に限ることなく、図9に示すように、2ヵ所(図示実施の形態においては、箸先部4および箸頭部7)であってもよく、また、3ヵ所以上であってもよい。そして、このように加工対象部が複数ヵ所に渡る場合には、第2塗布層を形成する第2塗布材は、各ヵ所で、同一の塗布材からなっていてもよいが、異種の塗布材からなっていてもよい。また、図8および図9に示す箸1にあっては、第1塗布層3と第2塗布層6の境界ラインが、周方向において、直線ではなく、波形の模様となるように形成されており、このように、境界ラインが各種の模様を形成するように、加工対象部の表面を削り、そして、その加工対象部に第2塗布材を塗布してもよい。
【0023】
また、箸本体2は、表面に第1塗布層3が形成されているが、この第1塗布層3の下層に、下地等の他の塗布層が形成されていてもよいし、紙、布、その他の装飾材が付着されていてもよい。
【0024】
また、第1塗布層3を形成する塗布材は、合成樹脂塗料でなくとも、みつろう、みつろうワックス、イボタろう、柿渋、セラック、植物性の乾性油、漆等の天然塗布材、その他の塗布材であってもよい。
【0025】
また、上述の各工程は、その工程順に進められるが、例えば、第3工程と第4工程との間に乾燥工程が入る等、上述の各工程の前後に、他の工程が入ってもよい。
【0026】
また、第2−a工程の喰先切り(先端切り)と、第2−b工程の周面削りとは、その順序を逆にしても構わない。また、この第2−a工程の喰先切りを、前工程として、第1工程の前に行ってもよい。
【0027】
また、マスキング5は、仕上がりを美しくするためにはあるのが好ましいが、必ずしも必要とされるわけではない。すなわち、第1工程と第4工程を省いて箸1を製造してもよい。
【0028】
また、第2塗布層6を形成する第2塗布材は、天然塗布材としての、みつろう、みつろうワックス、イボタろう、柿渋、セラック、植物性の乾性油、または、本漆、あるいは、本漆を主体とした人体に有害な成分を含まない漆、もしくはそれら漆に鉄分等の無害な顔料を混入させた漆でなくとも、それ以外の天然塗布材であってもよく、また、合成樹脂塗料、その他の塗布材であってもよい。また、前記無害な顔料は、鉄分に限られるものではない。
【0029】
また、第1塗布層3および/または第2塗布層6の上に、異種もしくは同種の素材からなる他の塗布材の塗布、あるいは金属粉等の付着により、新たな塗装とかデザインなどが付加されても構わない。さらに、第1塗布層3および/または第2塗布層6の上が、例えば、螺鈿細工とか彫刻とかあるいはその他の手法によりデザインされて加飾されてもよい。
【0030】
【発明の効果】
以上、詳述したところから明らかなように、この発明に係る箸の製造方法によれば、次の効果がある。
【0031】
請求項1に記載された箸の製造方法によれば、既存の箸を用いて、その長手方向の一部となる加工対象部以外の部分に種々の塗装とかデザインなどが施された既存の第1塗布層を残し(既存の第1塗布層の上に、新たな塗装とかデザインなどを付加した状態で、前記既存の第1塗布層を残す場合も含む。)、加工対象部を加工してその加工対象部に第2塗布層を形成することで、既存の箸の塗装とかデザインなどを簡単に変更することができ、各種の塗装とかデザインなどが施された箸を容易に製造することができる。しかも、マスキングを施すことで、加工対象部の表面削り、および加工対象部への第2塗布材の塗布を、それほど注意することなく行うことができ、しかも、仕上がりの美しい箸を効率良く生産することができる。
【0032】
また、請求項2に記載された箸の製造方法によれば、請求項1の効果に加えて、加工対象部となる箸先部または/および箸頭部の表面の削りを、先端切り工程と周面削り工程とに分けて行うことで、この加工対象部の削りを確実かつ容易に行うことができる。
【0033】
また、請求項3に記載された箸の製造方法によれば、既存の箸を用いて、加工対象部となる箸先部または/および箸頭部以外の部分に種々の塗装とかデザインなどが施された既存の第1塗布層を残し(既存の第1塗布層の上に、新たな塗装とかデザインなどを付加した状態で、前記既存の第1塗布層を残す場合も含む。)、加工対象部を加工してその加工対象部に第2塗布層を形成することで、既存の箸の塗装とかデザインなどを簡単に変更することができ、各種の塗装とかデザインなどが施された箸を容易に製造することができる。しかも、マスキングを施すことで、加工対象部の周面削り、および加工対象部への第2塗布材の塗布を、それほど注意することなく行うことができ、しかも、仕上がりの美しい箸を効率良く生産することができる。さらに、加工対象部の表面の削りを、先端切り工程と周面削り工程とに分けて行うことで、この加工対象部の削りを確実かつ容易に行うことができる。
【0034】
また、請求項4に記載された箸の製造方法によれば、請求項1ないし3のいずれか1項の効果に加えて、既存の箸の箸先部を加工して、人の口に触れる箸先部に、みつろう、みつろうワックス、イボタろう、柿渋、セラック、植物性の乾性油、または、本漆、あるいは、本漆を主体とした人体に有害な成分を含まない漆、もしくはそれら漆に鉄分等の無害な顔料を混入させた漆からなる第2塗布層を形成することで、人に安心感を与える箸を容易に製造することができる。そして、箸先部以外の部分には、合成樹脂塗料からなる既存の第1塗布層が残されることで(合成樹脂塗料からなる既存の第1塗布層の上に、新たな塗装とかデザインなどが付加された状態で、前記合成樹脂塗料からなる既存の第1塗布層が残される場合も含む。)、この合成樹脂塗料による塗装とかデザインなどをこの箸に反映させることができる。
【0035】
また、請求項5に記載された箸の製造方法によれば、既存の箸を用いて、その箸先部以外の部分に種々の塗装とかデザインなどが施された既存の第1塗布層を残し(既存の第1塗布層の上に、新たな塗装とかデザインなどを付加した状態で、前記既存の第1塗布層を残す場合も含む。)、箸先部を加工してその箸先部に第2塗布層を形成することで、既存の箸の塗装とかデザインなどを簡単に変更することができ、各種の塗装とかデザインなどが施された箸を容易に製造することができる。しかも、人の口に触れる箸先部に、第2塗布層、すなわち、みつろう、みつろうワックス、イボタろう、柿渋、セラック、植物性の乾性油、または、本漆、あるいは、本漆を主体とした人体に有害な成分を含まない漆、もしくはそれら漆に鉄分等の無害な顔料を混入させた漆からなる第2塗布層を形成することで、人に安心感を与える箸を容易に製造することができる。そして、箸先部以外の部分には、既存の第1塗布層、すなわち、合成樹脂塗料からなる塗布層が残されることで(合成樹脂塗料からなる既存の第1塗布層の上に、新たな塗装とかデザインなどが付加された状態で、前記合成樹脂塗料からなる既存の第1塗布層が残される場合も含む。)、この合成樹脂塗料による塗装とかデザインなどをこの箸に反映させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る箸の製造方法の一実施の形態の、箸本体を示す正面図である。
【図2】同じく、第1工程を示す断面図である。
【図3】同じく、第2−a工程を示す断面図である。
【図4】同じく、第2−b工程を示す断面図である。
【図5】同じく、第3工程を示す断面図である。
【図6】同じく、第4工程を示す断面図である。
【図7】この発明に係る箸の製造方法の第一の変形例を示す、正面図である。
【図8】この発明に係る箸の製造方法の第二の変形例を示す、正面図である。
【図9】この発明に係る箸の製造方法の第三の変形例を示す、正面図である。
【符号の説明】
1 箸
2 箸本体
3 第1塗布層
4 箸先部(加工対象部)
5 マスキング
6 第2塗布層
7 箸頭部(加工対象部)
8 中間部(加工対象部)
Claims (5)
- 表面に第1塗布層が形成された、箸として使用可能な箸本体を用いた、箸の製造方法であって、
前記箸本体の長手方向の一部となる加工対象部に隣接する部分、または、その隣接する部分から前記加工対象部の少なくとも一部に渡る部分に、マスキングを施し、
前記加工対象部の素地が表われるように、その加工対象部の、前記第1塗布層を含む表面を削り、
前記加工対象部に、第2塗布材を塗布して、第2塗布層を形成し、
前記マスキングを除去することを特徴とする、箸の製造方法。 - 前記加工対象部は、箸先部または/および箸頭部からなり、その箸先部または/および箸頭部の表面の削りは、先端切りおよび周面削りの両工程からなることを特徴とする請求項1に記載の、箸の製造方法。
- 表面に第1塗布層が形成された、箸として使用可能な箸本体を用いた、箸の製造方法であって、
前記箸本体の箸先部または/および箸頭部からなる加工対象部の先端の素地が表われるように、先端切りにより、前記第1塗布層を含む表面を削り、
前記加工対象部に隣接する部分、または、その隣接する部分から前記加工対象部の少なくとも一部に渡る部分に、マスキングを施し、
前記加工対象部の周面の素地が表われるように、周面削りにより、前記第1塗布層を含む表面を削り、
前記加工対象部に、第2塗布材を塗布して、第2塗布層を形成し、
前記マスキングを除去することを特徴とする、箸の製造方法。 - 前記加工対象部は、箸先部からなり、
前記第1塗布層を形成する塗布材は、合成樹脂塗料からなり、そして、
前記第2塗布材は、みつろう、みつろうワックス、イボタろう、柿渋、セラック、植物性の乾性油、または、本漆、あるいは、本漆を主体とした人体に有害な成分を含まない漆、もしくはそれら漆に鉄分等の無害な顔料を混入させた漆からなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の、箸の製造方法。 - 表面に合成樹脂塗料からなる第1塗布層が形成された、箸として使用可能な箸本体を用いた、箸の製造方法であって、
前記箸本体の箸先部の素地が表われるように、その箸先部の、前記第1塗布層を含む表面を削り、
前記箸先部に、みつろう、みつろうワックス、イボタろう、柿渋、セラック、植物性の乾性油、または、本漆、あるいは、本漆を主体とした人体に有害な成分を含まない漆、もしくはそれら漆に鉄分等の無害な顔料を混入させた漆からなる、第2塗布材を塗布して、第2塗布層を形成することを特徴とする、箸の製造方法。
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