JP2004193388A - 半導体素子の製造方法および製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】結晶の気相成長における成長特性を損なうことなく酸素濃度の低減が可能な半導体素子の製造方法および製造装置を提供する。
【解決手段】半導体層をエピタキシャル成長させる領域(成長基板5)の周辺部(たとえば、酸素トラップ材23)にp型ドーパント21を供給することにより、該半導体層への混入不純物(たとえば、酸素)を低減することを特徴とする半導体素子の製造方法。上記周辺部(たとえば、酸素トラップ材23)に選択的にp型ドーパント21を供給する材料供給源(p型ドーパントセル22)を有する半導体素子の製造装置。
【選択図】 図1
【解決手段】半導体層をエピタキシャル成長させる領域(成長基板5)の周辺部(たとえば、酸素トラップ材23)にp型ドーパント21を供給することにより、該半導体層への混入不純物(たとえば、酸素)を低減することを特徴とする半導体素子の製造方法。上記周辺部(たとえば、酸素トラップ材23)に選択的にp型ドーパント21を供給する材料供給源(p型ドーパントセル22)を有する半導体素子の製造装置。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子の製造方法および製造装置に関し、特に結晶品質の高い化合物半導体を含む半導体素子の製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体素子の製造技術の進歩はめざましく、特に半導体発光素子や高易動度電子素子に利用される化合物半導体の成長法が実用化されている。なかでも、分子線エピタキシー(Molecular Beam Epitaxy、以下MBEという)法等の気相成長は超薄膜の制御性や結晶品質、ドーピングの制御性などに優れているため、上記素子の製造方法としてもっとも注目され、量産技術としても既に実用化されている。
【0003】
従来のMBE装置の側断面概略図を図5に示す。従来のMBE装置は、ステンレス製の超高真空チェンバ1からなり、イオンポンプ(図示せず)やターボ分子ポンプ(図示せず)により真空排気されている。さらに成長室2には液体窒素3を流すためのクライオパネル4が設けられており、真空度をさらに向上することができる。成長室内には成長基板5を保持するための成長基板保持具6が設けられており、これには、成長温度を上げるための成長基板加熱ヒータ7と、結晶成長する半導体層の均一性を向上するための成長基板回転機構8が設けられていることが一般的である。また、成長基板に対向して半導体材料を充填した材料セル(たとえば、III族材料セル12、V族材料セル14、ドーパントセル16など)が設けられている。この材料セルは高温に加熱され、蒸発した材料が基板に到達し、所望の半導体結晶が形成される。ここで、分子線制御シャッタ9を開閉することにより、材料セルからの材料蒸発を制御することができる。
【0004】
上記のような、気相成長では、基板に到達された材料は高い確率で半導体層内に取り込まれるが、このようにして成長させた半導体結晶を半導体素子として用いる場合、該半導体結晶中に取り込まれた意図しない不純物の量に半導体素子の特性が大きく依存する。特に、半導体結晶中に取り込まれた酸素は、様々なかたちで半導体素子特性に影響を与えるため、この酸素の混入を極力抑制する必要がある。このために、真空排気能力の向上や、成長材料、装置材料の高純度化などを実施し、成長気相中の酸素濃度の低減を図る努力がなされている。
【0005】
かかる目的を達成するため、結晶の成長速度を最適化したり、特殊な面方位の基板を用いることが提案されている(たとえば、特許文献1参照。)。かかる方法により、酸素の濃度を2×1017cm-3程度まで低下させ、トランジスタの特性改善が可能となっている。
【0006】
【特許文献1】
特開平08−64614号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特に半導体レーザなどの光デバイスの高性能化のためには、結晶の気相成長における成長特性を損なうことなく、さらなる酸素濃度の低減することが必要とされている。
【0008】
そこで、本発明は、上記要請に応えるため、結晶の気相成長における成長特性を損なうことなくさらなる酸素濃度の低減が可能な半導体素子の製造方法および製造装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明にかかる半導体素子の製造方法は、半導体層をエピタキシャル成長させる領域の周辺部にp型ドーパントを供給することにより、該半導体層への混入不純物を低減することを特徴とする。本発明は、半導体結晶を成長する際にp型ドーパントを供給すると、p型ドーパントを供給しない場合に比べ酸素が半導体結晶中により取り込まれるという発明者が独自に見出したことに基づくものである。すなわち、本発明においては、所望の半導体結晶を成長する領域の周辺部にp型ドーパントを供給すると、かかるp型ドーパントによる酸素のトラップ効果により気相中の酸素濃度を低減するため、所望の半導体結晶中の酸素濃度を低減することができる。
【0010】
また、本発明にかかる半導体素子の製造方法において、周辺部にp型ドーパントと同時に半導体材料を同時に供給することにより、該半導体材料中に酸素をトラップしてより効果的に所望の半導体結晶中の酸素濃度を低減することができる。さらに、周辺部でp型半導体単結晶を成長させることにより該p型半導体単結晶内に酸素を取り込ませ、さらに効果的に所望の半導体結晶中の酸素濃度を低減することができる。
【0011】
また、本発明にかかる半導体素子の製造方法において、半導体材料の供給経路上において上記のトラップ効果を用いて半導体材料中の酸素濃度を低減することにより半導体結晶中の酸素濃度を低減することができる。
【0012】
さらに、本発明にかかる半導体素子の製造装置は、半導体層をエピタキシャル成長する領域の周辺部に選択的にp型ドーパントを供給する材料供給源を有する。また、本発明にかかる半導体素子の製造装置は、半導体材料の供給経路に不純物トラップ材を配置し、該不純物トラップ材上にp型ドーパントおよび半導体材料を供給する材料供給源を有する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる半導体素子の製造方法は、半導体層をエピタキシャル成長させる領域の周辺部にp型ドーパントを供給することにより、該半導体層への混入不純物を低減することを特徴とする。所望の半導体結晶を成長する領域の周辺部にp型ドーパントを供給することにより、p型ドーパントによる酸素のトラップ効果によって気相中の酸素濃度を低減するため、所望の半導体結晶中の酸素濃度を低減することができるからである。
【0014】
ここで、周辺部とは、半導体層をエピタキシャル成長させる領域の近傍領域であって、該周辺部にp型ドーパントを供給することにより酸素をトラップして該エピタキシャル成長領域における酸素濃度を低減することができる領域部を意味する。したがって、該周辺部は該エピタキシャル成長領域と同一反応場内(たとえば、同一チェンバ内)に存在することが必要であるが、必ずしも隣接している必要はない。また、p型ドーパントとは、作製しようとする所望の半導体に対してp型導電性を有する添加物をいい、本発明においては、ベリリウム(以下Beと表示する)、マグネシウム(以下Mg)または亜鉛(以下Zn)などのII族元素、炭素(以下C)などのIV族元素が好ましく用いられる。
【0015】
また、本発明にかかる半導体素子の製造方法においては、半導体層をエピタキシャル成長させる領域の周辺部にp型ドーパントおよび半導体材料を供給することにより、該半導体層への混入不純物を低減することが好ましい。上記構成により、周辺部の半導体材料に酸素がトラップされ、所望する半導体結晶中の酸素濃度をさらに低減することができるからである。
【0016】
さらに、本発明にかかる半導体素子の製造方法においては、半導体層をエピタキシャル成長させる領域の周辺部に不純物トラップ用単結晶基板を配置し、該不純物トラップ用単結晶基板上にp型ドーパントおよび半導体材料を供給してp型半導体単結晶を成長させることにより、該半導体層への混入不純物を低減することも好ましい。上記構成により、周辺部に形成されたp型半導体単結晶に酸素がトラップされ、所望する半導体結晶中の酸素濃度をさらに低減することができるからである。
【0017】
また、本発明にかかる半導体素子の製造方法においては、半導体層をエピタキシャル成長させる際、半導体材料の供給経路に不純物トラップ材を配置し、該不純物トラップ材上にp型ドーパントまたは、p型ドーパントおよび半導体材料を供給することにより、該半導体層への混入不純物を低減することも好ましい。さらに、半導体材料を不純物トラップ材に反射させて半導体層をエピタキシャル成長させる基板上に供給することも好ましい。いずれの場合にも、不純物トラップ材に酸素をトラップさせて、所望する半導体結晶中の酸素濃度をさらに低減することができるからである。ここで、半導体材料とは、半導体を構成するための材料をいう。たとえば、III族−V族化合物半導体の場合は、III族材料としてガリウム(以下Ga)、アルミニウム(以下Al)またはインジウム(以下In)などが、V族材料としてヒ素(以下As)またはリン(以下P)などが、ドーパントとしてBeまたはCなどが挙げられる。
【0018】
また、本発明にかかる半導体素子の製造方法においては、p型半導体層をエピタキシャル成長させることができるが、この場合は、p型半導体層をエピタキシャル成長させる際、該エピタキシャル成長領域の周辺部に該p型半導体層以上の濃度のp型ドーパントを供給することを特徴とする。かかる構成により、該エピタキシャル成長領域の周辺部において酸素をトラップして所望するp型半導体層中の酸素濃度を低減することができるからである。
【0019】
なお、本発明において、p型ドーパントは、作製しようとする所望の化合物半導体に対してp型導電性を有する添加物であれば特に制限無く、BeなどのII族元素、CなどのIV族元素が好ましく用いられるが、酸素をより取り込みやすい観点から、Beがより好ましい。また、混入不純物とは、p型ドーパントによってトラップされる不純物をいい、酸素、水素などが含まれる。本発明においては、混入不純物としての酸素の濃度を低下させることにより、半導体素子の特性が向上する利点がある。また、本発明にかかる半導体素子の製造方法は、上記p型ドーパントを供給することにより酸素をトラップして半導体結晶中の酸素濃度を低減する方法であれば特に制限はないが、半導体層の制御を向上させる観点から、分子線エピタキシー法であることが好ましい。
【0020】
本発明にかかる半導体素子の製造装置は、半導体層をエピタキシャル成長させる領域の周辺部に選択的にp型ドーパントを供給する材料供給源を有する。かかる構造を有する製造装置を用いることにより、半導体層をエピタキシャル成長させる領域の周辺部にp型ドーパントが供給することができ、該半導体層への混入不純物を低減することが可能となる。さらに、本発明にかかる半導体素子の製造装置においては、半導体層をエピタキシャル成長させる領域の周辺部に選択的にp型ドーパントおよび半導体材料を供給する材料供給源を有することが好ましい。かかる構造を有する製造装置を用いることにより、半導体層をエピタキシャル成長させる領域の周辺部にp型ドーパントおよび半導体材料を供給することができ、該半導体層への混入不純物を低減することが可能となる。
【0021】
また、本発明にかかる半導体素子の製造装置は、半導体層をエピタキシャル成長させる領域の周辺部に不純物トラップ用単結晶基板を配置する支持具を有し、かつ該不純物トラップ用単結晶基板上にp型ドーパントおよび半導体材料を供給する材料供給源を有することが好ましい。かかる構造を有する製造装置を用いることにより、半導体層をエピタキシャル成長させる領域の周辺部に不純物トラップ用単結晶基板を配置し、該不純物トラップ用単結晶基板上にp型ドーパントおよび半導体材料を供給してp型半導体単結晶を成長させることができ、該半導体層への混入不純物を低減することが可能となる。さらに、本発明にかかる半導体素子の製造装置においては、支持具は基板加熱機構を有することが好ましい。かかる構造を有する製造装置を用いることにより、上記周辺部のp型半導体単結晶の成長が容易になり、上記エピタキシャル成長領域の半導体層への混入不純物の低減が容易となる。
【0022】
また、本発明にかかる半導体素子の製造装置は、成長用半導体材料の供給経路に不純物トラップ材を配置し、該不純物トラップ材上にp型ドーパントおよび半導体材料を供給する材料供給源を有することが好ましい。かかる構造を有する製造装置を用いることにより、半導体層をエピタキシャル成長する際、半導体材料の供給経路に配置された不純物トラップ材上にp型ドーパントを供給することができ、該半導体層への混入不純物を低減することが可能となる。さらに、本発明にかかる半導体素子の製造装置において、不純物トラップ材が単結晶材料であることまたは半導体材料供給源と半導体層をエピタキシャル成長する基板とが、不純物トラップ材に対して反射位置にあることが、混入不純物の除去効率または装置設計上の観点から好ましい。
【0023】
(実施形態1)
本発明の具体的な実施の形態について、図を用いて詳細に説明する。
【0024】
図1に本発明にかかる一の実施形態である半導体素子の製造装置の側断面概略図を示す。本装置には、所望の半導体層の結晶成長に必要な、III族材料セル12、V族材料セル14およびドーパントセル16が従来通り設置されているが、これらに加えて酸素トラップ用のp型ドーパント21の材料セル(p型ドーパントセル22)が設けられている。酸素トラップ用のp型ドーパントセル22は半導体層の結晶成長用の成長基板5が設置されている場所以外のところ(たとえば、酸素トラップ材23)に分子線が照射されるように設置されている。本実施形態においては、III族材料としてGa、Alまたは/およびIn、V材料としてAs、ドーパントとしてBeまたはC、酸素トラップ用のp型ドーパントとしてBeを用いた。なお、図1は断面概略図であるため、少数の材料セルしか描かれていないが、実際には複数の各種材料セルが設置されており複雑なヘテロ構造を成長することができる。
【0025】
成長基板5を保持する成長基板保持具6の周辺部には、酸素トラップ用のp型ドーパントセル22から照射された分子線が当るように、酸素トラップ材23が設置されている。この酸素トラップ材には、モリブデン(以下Mo)を用いたが、タンタル(以下Ta)などの高融点金属などの清浄度の高い金属元素を使用することが望ましい。また、上記酸素トラップ材23は、III族およびV族の分子線が照射される位置に設置されることが、より望ましい。
【0026】
次に、本装置を用いて、高純度の半導体層を成長させる方法を説明する。本装置に成長基板5を導入し、成長基板加熱ヒータ7で所望の成長温度になるように加熱する。さらに、結晶成長する半導体層の均一性を確保するために、成長基板回転機構8を用いて成長基板5を回転する。その後、所望の結晶組成がえられるように加熱された材料セルより半導体材料(III族材料11、V族材料13およびドーパント15、以下同じ)を照射する。同時に、酸素トラップ用のp型ドーパントセル22より酸素トラップ材23にp型ドーパント21を照射する。このとき、p型ドーパントは成長基板5の周辺にある酸素を酸素トラップ材23上で捕獲するため、気相中の酸素濃度が低下し、その結果、成長基板5上に成長した半導体層中の酸素濃度が低減した。なお、酸素トラップ材23上にIII族およびV族の材料も同時に照射することにより、該酸素トラップ材23上には、p型の半導体結晶が成長する。この結晶中にはより効率的に酸素が捕獲された。
【0027】
上記酸素トラップ用のp型ドーパントの照射量は、成長させる所望の半導体層がn型ないしノンドープ層の場合、比較的低濃度でよいが、所望の半導体層がp型の場合は、所望の半導体層のp型ドーパントより多くのp型ドーパントを酸素トラップ材23上に照射することが望ましい。これにより、酸素が酸素トラップ材23上に選択的に捕獲され、その結果、所望の半導体層中の酸素濃度を1×1016cm-3〜5×1016cm-3程度まで低下することができた。
【0028】
(実施形態2)
図2に本発明にかかる別の実施形態である半導体素子の製造装置の側断面概略図を示す。本装置の材料セル(III族材料セル12、V族材料セル14およびドーパントセル16)、酸素トラップ用のp型ドーパントセル22および成長基板5の構成は上記実施形態1と同様であるので、相違点に関して以下に説明する。本装置においては、所望の成長基板5を保持する成長基板保持具6の周辺部には、酸素トラップ用のp型ドーパントセル22から照射された分子線が当るように、酸素トラップ用単結晶基板24を装着できる酸素トラップ用単結晶基板保持具25が設置されている。かかる酸素トラップ用単結晶基板保持具25は、該酸素トラップ用単結晶基板24を加熱する酸素トラップ用単結晶基板加熱ヒータ26を有する。該酸素トラップ用単結晶基板24はIII族およびV族の分子線が照射される位置に設置される必要がある。この酸素トラップ用単結晶基板保持具25は、所望の成長基板5を保持する成長基板保持具6と一体であってもよい。
【0029】
次に、本装置を用いて、高純度の半導体層を成長する方法を説明する。本装置に成長基板5を導入し成長基板加熱ヒータ7で所望の成長温度になるように加熱する。さらに、結晶成長する半導体層の均一性を確保するために成長基板回転機構8を用いて成長基板5を回転する。これと同時に、酸素トラップ用単結晶基板24も酸素トラップ用単結晶基板加熱ヒータ26で加熱することにより、酸素トラップ用単結晶基板24の成長温度を所望の温度に設定することができる。
【0030】
その後、所望の結晶組成がえられるように加熱された材料セルより半導体材料を照射する。この時、同時に、酸素トラップ用のp型ドーパントセル22より酸素トラップ用単結晶基板24上にp型ドーパント21を照射する。このとき、p型ドーパントは成長基板5の周辺部にある酸素を酸素トラップ用単結晶基板24上に捕獲するため、気相中の酸素濃度が低下し、その結果、成長基板5上に成長した半導体層中の酸素濃度が低減した。
【0031】
酸素トラップ用単結晶基板24上には、p型の半導体単結晶が成長する。この単結晶中には実施態様1に比べより効率的に酸素が捕獲され、半導体層中の酸素濃度が1×1016cm-3〜3×1016cm-3程度まで低減した。
【0032】
(実施形態3)
図3に本発明にかかるまた別の実施形態である半導体素子の製造装置の側断面概略図を示す。本実施形態は、特にAsまたはPなどのV族材料中に酸素が含まれている場合に効果的である。
【0033】
本装置の材料セル(III族材料セル12、V族材料セル14およびドーパントセル16)、酸素トラップ用のp型ドーパントセル22および成長基板5の構成は上記実施形態1と同様であるので、相違点に関して以下に説明する。本装置においては、V族材料セル14と成長基板5の間に酸素トラップ用のp型ドーパントセル22から照射された分子線が当るように、酸素トラップ材27が設置されている。この酸素トラップ材27はV族分子線が通過できるように、空隙が設けてある。該酸素トラップ材は同時にIII族材料28も照射されるように配置すると、該酸素トラップ材上にp型半導体結晶が形成され該p型半導体結晶中に酸素が捕獲されることにより、さらに効果が増大する。上記p型ドーパントセル22とIII族材料セル29は、直接成長基板5に材料を照射しないように設置するのが望ましい。
【0034】
次に、本装置を用いて、高純度の半導体層を成長する方法を説明する。本装置に成長基板5を導入し成長基板加熱ヒータ7で所望の成長温度になるように加熱する。さらに、結晶成長する半導体層の均一性を確保するために成長基板回転機構8を用いて成長基板5を回転する。
【0035】
その後、所望の結晶組成が得られるように加熱された材料セル(III族材料セル12、V族材料セル14およびドーパントセル16)より半導体材料を照射する。この時、同時に、酸素トラップ用のp型ドーパントセル22より酸素トラップ材27にp型ドーパント21を照射する。このとき、p型ドーパントは成長基板5の周辺部にある酸素を酸素トラップ材27上に捕獲するため、V族材料分子線中の酸素濃度が低下し、その結果、成長基板5上に成長した半導体層内の酸素濃度は1×1016cm-3〜5×1016cm-3程度まで低減した。
【0036】
なお、酸素トラップ材として半導体単結晶をもちいることも望ましい実施形態である。この場合には、該酸素トラップ材27上にはp型の半導体単結晶が成長される。この単結晶内にはより効率的に酸素が捕獲され、本発明の効果がより顕著に観測された。
【0037】
(実施形態4)
図4に本発明にかかるさらに別の実施形態である半導体素子の製造装置の側断面概略図を示す。本実施形態は、特にAsまたはPなどのV族材料中に酸素が含まれている場合に効果的である。
【0038】
本装置の材料セル(III族材料セル12、V族材料セル14およびドーパントセル16)および成長基板5の構成は、実施形態1と同様であるので相違点に関して説明する。本装置においては、V族材料13から放射されたV族分子線13Aが酸素トラップ材30に反射して成長基板5に照射されるように酸素トラップ材30が設置されている。該酸素トラップ材30は、同時にIII族材料11も照射されるように配置されるとさらに効果が増大する。またp型ドーパントセル22は、直接成長基板5にp型ドーパント21を照射しないように設置するのが望ましい。
【0039】
次に、本装置を用いて、高純度の半導体層を成長する方法を説明する。本装置に半導体層成長用の成長基板5を導入し成長基板加熱ヒータ7で所望の成長温度になるように加熱する、さらに結晶成長する半導体層の均一性を確保するために成長基板回転機構8を用いて成長基板5を回転する。
【0040】
その後、所望の結晶組成が得られるように加熱された材料セルより半導体材料を照射する。この時、同時に、酸素トラップ用のp型ドーパントセル22より酸素トラップ材30にp型ドーパント21を照射する。このとき、p型ドーパントは成長基板5の周辺部にある酸素を酸素トラップ材30上に捕獲するため、V族材料分子線中の酸素濃度が低下し、純度の上がったV族分子線13Aが、成長基板5に到達する。その結果、成長基板5上に成長した半導体層中の酸素濃度は1×1016cm-3〜5×1016cm-3程度まで低減した。
【0041】
なお、酸素トラップ材として半導体単結晶を用いることも望ましい実施形態である。この場合には、該酸素トラップ材30上にはp型の半導体単結晶が成長する。V族材料をIII族材料より過剰に供給することにより、余分のV族分子が、反射して成長基板5上に照射される。酸素トラップ材30である単結晶内には酸素が効率的に捕獲され、成長基板5上に成長した半導体層中の酸素濃度は顕著に低減した。
【0042】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明でなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。
【0043】
【発明の効果】
上記のように、本発明にかかる半導体素子の製造方法または製造装置においては、半導体層をエピタキシャル成長する領域の周辺部にp型ドーパントを供給することにより、結晶の気相成長における成長特性を損なうことなくさらなる酸素濃度の低減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる一の実施形態である半導体素子の製造装置の側断面概略図である。
【図2】本発明にかかる別の実施形態である半導体素子の製造装置の側断面概略図である。
【図3】本発明にかかるまた別の実施形態である半導体素子の製造装置の側断面概略図である。
【図4】本発明にかかるさらに別の実施形態である半導体素子の製造装置の側断面概略図である。
【図5】従来のMBE装置の側断面概略図である。
【符号の説明】
1 超高真空チェンバ、2 成長室、3 液体窒素、4 クライオパネル、5成長基板、6 成長基板保持具、7 成長基板加熱ヒータ、8 成長基板回転機構、9 分子線制御シャッタ、11,28 III族材料、12,29 III材料セル、13 V族材料、13A V族分子線、14 V族材料セル、15ドーパント、16 ドーパントセル、21 p型ドーパント、22 p型ドーパントセル、23,27,30 酸素トラップ材、24 酸素トラップ用単結晶基板、25 酸素トラップ用単結晶基板保持具、26 酸素トラップ用単結晶基板加熱ヒータ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子の製造方法および製造装置に関し、特に結晶品質の高い化合物半導体を含む半導体素子の製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体素子の製造技術の進歩はめざましく、特に半導体発光素子や高易動度電子素子に利用される化合物半導体の成長法が実用化されている。なかでも、分子線エピタキシー(Molecular Beam Epitaxy、以下MBEという)法等の気相成長は超薄膜の制御性や結晶品質、ドーピングの制御性などに優れているため、上記素子の製造方法としてもっとも注目され、量産技術としても既に実用化されている。
【0003】
従来のMBE装置の側断面概略図を図5に示す。従来のMBE装置は、ステンレス製の超高真空チェンバ1からなり、イオンポンプ(図示せず)やターボ分子ポンプ(図示せず)により真空排気されている。さらに成長室2には液体窒素3を流すためのクライオパネル4が設けられており、真空度をさらに向上することができる。成長室内には成長基板5を保持するための成長基板保持具6が設けられており、これには、成長温度を上げるための成長基板加熱ヒータ7と、結晶成長する半導体層の均一性を向上するための成長基板回転機構8が設けられていることが一般的である。また、成長基板に対向して半導体材料を充填した材料セル(たとえば、III族材料セル12、V族材料セル14、ドーパントセル16など)が設けられている。この材料セルは高温に加熱され、蒸発した材料が基板に到達し、所望の半導体結晶が形成される。ここで、分子線制御シャッタ9を開閉することにより、材料セルからの材料蒸発を制御することができる。
【0004】
上記のような、気相成長では、基板に到達された材料は高い確率で半導体層内に取り込まれるが、このようにして成長させた半導体結晶を半導体素子として用いる場合、該半導体結晶中に取り込まれた意図しない不純物の量に半導体素子の特性が大きく依存する。特に、半導体結晶中に取り込まれた酸素は、様々なかたちで半導体素子特性に影響を与えるため、この酸素の混入を極力抑制する必要がある。このために、真空排気能力の向上や、成長材料、装置材料の高純度化などを実施し、成長気相中の酸素濃度の低減を図る努力がなされている。
【0005】
かかる目的を達成するため、結晶の成長速度を最適化したり、特殊な面方位の基板を用いることが提案されている(たとえば、特許文献1参照。)。かかる方法により、酸素の濃度を2×1017cm-3程度まで低下させ、トランジスタの特性改善が可能となっている。
【0006】
【特許文献1】
特開平08−64614号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特に半導体レーザなどの光デバイスの高性能化のためには、結晶の気相成長における成長特性を損なうことなく、さらなる酸素濃度の低減することが必要とされている。
【0008】
そこで、本発明は、上記要請に応えるため、結晶の気相成長における成長特性を損なうことなくさらなる酸素濃度の低減が可能な半導体素子の製造方法および製造装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明にかかる半導体素子の製造方法は、半導体層をエピタキシャル成長させる領域の周辺部にp型ドーパントを供給することにより、該半導体層への混入不純物を低減することを特徴とする。本発明は、半導体結晶を成長する際にp型ドーパントを供給すると、p型ドーパントを供給しない場合に比べ酸素が半導体結晶中により取り込まれるという発明者が独自に見出したことに基づくものである。すなわち、本発明においては、所望の半導体結晶を成長する領域の周辺部にp型ドーパントを供給すると、かかるp型ドーパントによる酸素のトラップ効果により気相中の酸素濃度を低減するため、所望の半導体結晶中の酸素濃度を低減することができる。
【0010】
また、本発明にかかる半導体素子の製造方法において、周辺部にp型ドーパントと同時に半導体材料を同時に供給することにより、該半導体材料中に酸素をトラップしてより効果的に所望の半導体結晶中の酸素濃度を低減することができる。さらに、周辺部でp型半導体単結晶を成長させることにより該p型半導体単結晶内に酸素を取り込ませ、さらに効果的に所望の半導体結晶中の酸素濃度を低減することができる。
【0011】
また、本発明にかかる半導体素子の製造方法において、半導体材料の供給経路上において上記のトラップ効果を用いて半導体材料中の酸素濃度を低減することにより半導体結晶中の酸素濃度を低減することができる。
【0012】
さらに、本発明にかかる半導体素子の製造装置は、半導体層をエピタキシャル成長する領域の周辺部に選択的にp型ドーパントを供給する材料供給源を有する。また、本発明にかかる半導体素子の製造装置は、半導体材料の供給経路に不純物トラップ材を配置し、該不純物トラップ材上にp型ドーパントおよび半導体材料を供給する材料供給源を有する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる半導体素子の製造方法は、半導体層をエピタキシャル成長させる領域の周辺部にp型ドーパントを供給することにより、該半導体層への混入不純物を低減することを特徴とする。所望の半導体結晶を成長する領域の周辺部にp型ドーパントを供給することにより、p型ドーパントによる酸素のトラップ効果によって気相中の酸素濃度を低減するため、所望の半導体結晶中の酸素濃度を低減することができるからである。
【0014】
ここで、周辺部とは、半導体層をエピタキシャル成長させる領域の近傍領域であって、該周辺部にp型ドーパントを供給することにより酸素をトラップして該エピタキシャル成長領域における酸素濃度を低減することができる領域部を意味する。したがって、該周辺部は該エピタキシャル成長領域と同一反応場内(たとえば、同一チェンバ内)に存在することが必要であるが、必ずしも隣接している必要はない。また、p型ドーパントとは、作製しようとする所望の半導体に対してp型導電性を有する添加物をいい、本発明においては、ベリリウム(以下Beと表示する)、マグネシウム(以下Mg)または亜鉛(以下Zn)などのII族元素、炭素(以下C)などのIV族元素が好ましく用いられる。
【0015】
また、本発明にかかる半導体素子の製造方法においては、半導体層をエピタキシャル成長させる領域の周辺部にp型ドーパントおよび半導体材料を供給することにより、該半導体層への混入不純物を低減することが好ましい。上記構成により、周辺部の半導体材料に酸素がトラップされ、所望する半導体結晶中の酸素濃度をさらに低減することができるからである。
【0016】
さらに、本発明にかかる半導体素子の製造方法においては、半導体層をエピタキシャル成長させる領域の周辺部に不純物トラップ用単結晶基板を配置し、該不純物トラップ用単結晶基板上にp型ドーパントおよび半導体材料を供給してp型半導体単結晶を成長させることにより、該半導体層への混入不純物を低減することも好ましい。上記構成により、周辺部に形成されたp型半導体単結晶に酸素がトラップされ、所望する半導体結晶中の酸素濃度をさらに低減することができるからである。
【0017】
また、本発明にかかる半導体素子の製造方法においては、半導体層をエピタキシャル成長させる際、半導体材料の供給経路に不純物トラップ材を配置し、該不純物トラップ材上にp型ドーパントまたは、p型ドーパントおよび半導体材料を供給することにより、該半導体層への混入不純物を低減することも好ましい。さらに、半導体材料を不純物トラップ材に反射させて半導体層をエピタキシャル成長させる基板上に供給することも好ましい。いずれの場合にも、不純物トラップ材に酸素をトラップさせて、所望する半導体結晶中の酸素濃度をさらに低減することができるからである。ここで、半導体材料とは、半導体を構成するための材料をいう。たとえば、III族−V族化合物半導体の場合は、III族材料としてガリウム(以下Ga)、アルミニウム(以下Al)またはインジウム(以下In)などが、V族材料としてヒ素(以下As)またはリン(以下P)などが、ドーパントとしてBeまたはCなどが挙げられる。
【0018】
また、本発明にかかる半導体素子の製造方法においては、p型半導体層をエピタキシャル成長させることができるが、この場合は、p型半導体層をエピタキシャル成長させる際、該エピタキシャル成長領域の周辺部に該p型半導体層以上の濃度のp型ドーパントを供給することを特徴とする。かかる構成により、該エピタキシャル成長領域の周辺部において酸素をトラップして所望するp型半導体層中の酸素濃度を低減することができるからである。
【0019】
なお、本発明において、p型ドーパントは、作製しようとする所望の化合物半導体に対してp型導電性を有する添加物であれば特に制限無く、BeなどのII族元素、CなどのIV族元素が好ましく用いられるが、酸素をより取り込みやすい観点から、Beがより好ましい。また、混入不純物とは、p型ドーパントによってトラップされる不純物をいい、酸素、水素などが含まれる。本発明においては、混入不純物としての酸素の濃度を低下させることにより、半導体素子の特性が向上する利点がある。また、本発明にかかる半導体素子の製造方法は、上記p型ドーパントを供給することにより酸素をトラップして半導体結晶中の酸素濃度を低減する方法であれば特に制限はないが、半導体層の制御を向上させる観点から、分子線エピタキシー法であることが好ましい。
【0020】
本発明にかかる半導体素子の製造装置は、半導体層をエピタキシャル成長させる領域の周辺部に選択的にp型ドーパントを供給する材料供給源を有する。かかる構造を有する製造装置を用いることにより、半導体層をエピタキシャル成長させる領域の周辺部にp型ドーパントが供給することができ、該半導体層への混入不純物を低減することが可能となる。さらに、本発明にかかる半導体素子の製造装置においては、半導体層をエピタキシャル成長させる領域の周辺部に選択的にp型ドーパントおよび半導体材料を供給する材料供給源を有することが好ましい。かかる構造を有する製造装置を用いることにより、半導体層をエピタキシャル成長させる領域の周辺部にp型ドーパントおよび半導体材料を供給することができ、該半導体層への混入不純物を低減することが可能となる。
【0021】
また、本発明にかかる半導体素子の製造装置は、半導体層をエピタキシャル成長させる領域の周辺部に不純物トラップ用単結晶基板を配置する支持具を有し、かつ該不純物トラップ用単結晶基板上にp型ドーパントおよび半導体材料を供給する材料供給源を有することが好ましい。かかる構造を有する製造装置を用いることにより、半導体層をエピタキシャル成長させる領域の周辺部に不純物トラップ用単結晶基板を配置し、該不純物トラップ用単結晶基板上にp型ドーパントおよび半導体材料を供給してp型半導体単結晶を成長させることができ、該半導体層への混入不純物を低減することが可能となる。さらに、本発明にかかる半導体素子の製造装置においては、支持具は基板加熱機構を有することが好ましい。かかる構造を有する製造装置を用いることにより、上記周辺部のp型半導体単結晶の成長が容易になり、上記エピタキシャル成長領域の半導体層への混入不純物の低減が容易となる。
【0022】
また、本発明にかかる半導体素子の製造装置は、成長用半導体材料の供給経路に不純物トラップ材を配置し、該不純物トラップ材上にp型ドーパントおよび半導体材料を供給する材料供給源を有することが好ましい。かかる構造を有する製造装置を用いることにより、半導体層をエピタキシャル成長する際、半導体材料の供給経路に配置された不純物トラップ材上にp型ドーパントを供給することができ、該半導体層への混入不純物を低減することが可能となる。さらに、本発明にかかる半導体素子の製造装置において、不純物トラップ材が単結晶材料であることまたは半導体材料供給源と半導体層をエピタキシャル成長する基板とが、不純物トラップ材に対して反射位置にあることが、混入不純物の除去効率または装置設計上の観点から好ましい。
【0023】
(実施形態1)
本発明の具体的な実施の形態について、図を用いて詳細に説明する。
【0024】
図1に本発明にかかる一の実施形態である半導体素子の製造装置の側断面概略図を示す。本装置には、所望の半導体層の結晶成長に必要な、III族材料セル12、V族材料セル14およびドーパントセル16が従来通り設置されているが、これらに加えて酸素トラップ用のp型ドーパント21の材料セル(p型ドーパントセル22)が設けられている。酸素トラップ用のp型ドーパントセル22は半導体層の結晶成長用の成長基板5が設置されている場所以外のところ(たとえば、酸素トラップ材23)に分子線が照射されるように設置されている。本実施形態においては、III族材料としてGa、Alまたは/およびIn、V材料としてAs、ドーパントとしてBeまたはC、酸素トラップ用のp型ドーパントとしてBeを用いた。なお、図1は断面概略図であるため、少数の材料セルしか描かれていないが、実際には複数の各種材料セルが設置されており複雑なヘテロ構造を成長することができる。
【0025】
成長基板5を保持する成長基板保持具6の周辺部には、酸素トラップ用のp型ドーパントセル22から照射された分子線が当るように、酸素トラップ材23が設置されている。この酸素トラップ材には、モリブデン(以下Mo)を用いたが、タンタル(以下Ta)などの高融点金属などの清浄度の高い金属元素を使用することが望ましい。また、上記酸素トラップ材23は、III族およびV族の分子線が照射される位置に設置されることが、より望ましい。
【0026】
次に、本装置を用いて、高純度の半導体層を成長させる方法を説明する。本装置に成長基板5を導入し、成長基板加熱ヒータ7で所望の成長温度になるように加熱する。さらに、結晶成長する半導体層の均一性を確保するために、成長基板回転機構8を用いて成長基板5を回転する。その後、所望の結晶組成がえられるように加熱された材料セルより半導体材料(III族材料11、V族材料13およびドーパント15、以下同じ)を照射する。同時に、酸素トラップ用のp型ドーパントセル22より酸素トラップ材23にp型ドーパント21を照射する。このとき、p型ドーパントは成長基板5の周辺にある酸素を酸素トラップ材23上で捕獲するため、気相中の酸素濃度が低下し、その結果、成長基板5上に成長した半導体層中の酸素濃度が低減した。なお、酸素トラップ材23上にIII族およびV族の材料も同時に照射することにより、該酸素トラップ材23上には、p型の半導体結晶が成長する。この結晶中にはより効率的に酸素が捕獲された。
【0027】
上記酸素トラップ用のp型ドーパントの照射量は、成長させる所望の半導体層がn型ないしノンドープ層の場合、比較的低濃度でよいが、所望の半導体層がp型の場合は、所望の半導体層のp型ドーパントより多くのp型ドーパントを酸素トラップ材23上に照射することが望ましい。これにより、酸素が酸素トラップ材23上に選択的に捕獲され、その結果、所望の半導体層中の酸素濃度を1×1016cm-3〜5×1016cm-3程度まで低下することができた。
【0028】
(実施形態2)
図2に本発明にかかる別の実施形態である半導体素子の製造装置の側断面概略図を示す。本装置の材料セル(III族材料セル12、V族材料セル14およびドーパントセル16)、酸素トラップ用のp型ドーパントセル22および成長基板5の構成は上記実施形態1と同様であるので、相違点に関して以下に説明する。本装置においては、所望の成長基板5を保持する成長基板保持具6の周辺部には、酸素トラップ用のp型ドーパントセル22から照射された分子線が当るように、酸素トラップ用単結晶基板24を装着できる酸素トラップ用単結晶基板保持具25が設置されている。かかる酸素トラップ用単結晶基板保持具25は、該酸素トラップ用単結晶基板24を加熱する酸素トラップ用単結晶基板加熱ヒータ26を有する。該酸素トラップ用単結晶基板24はIII族およびV族の分子線が照射される位置に設置される必要がある。この酸素トラップ用単結晶基板保持具25は、所望の成長基板5を保持する成長基板保持具6と一体であってもよい。
【0029】
次に、本装置を用いて、高純度の半導体層を成長する方法を説明する。本装置に成長基板5を導入し成長基板加熱ヒータ7で所望の成長温度になるように加熱する。さらに、結晶成長する半導体層の均一性を確保するために成長基板回転機構8を用いて成長基板5を回転する。これと同時に、酸素トラップ用単結晶基板24も酸素トラップ用単結晶基板加熱ヒータ26で加熱することにより、酸素トラップ用単結晶基板24の成長温度を所望の温度に設定することができる。
【0030】
その後、所望の結晶組成がえられるように加熱された材料セルより半導体材料を照射する。この時、同時に、酸素トラップ用のp型ドーパントセル22より酸素トラップ用単結晶基板24上にp型ドーパント21を照射する。このとき、p型ドーパントは成長基板5の周辺部にある酸素を酸素トラップ用単結晶基板24上に捕獲するため、気相中の酸素濃度が低下し、その結果、成長基板5上に成長した半導体層中の酸素濃度が低減した。
【0031】
酸素トラップ用単結晶基板24上には、p型の半導体単結晶が成長する。この単結晶中には実施態様1に比べより効率的に酸素が捕獲され、半導体層中の酸素濃度が1×1016cm-3〜3×1016cm-3程度まで低減した。
【0032】
(実施形態3)
図3に本発明にかかるまた別の実施形態である半導体素子の製造装置の側断面概略図を示す。本実施形態は、特にAsまたはPなどのV族材料中に酸素が含まれている場合に効果的である。
【0033】
本装置の材料セル(III族材料セル12、V族材料セル14およびドーパントセル16)、酸素トラップ用のp型ドーパントセル22および成長基板5の構成は上記実施形態1と同様であるので、相違点に関して以下に説明する。本装置においては、V族材料セル14と成長基板5の間に酸素トラップ用のp型ドーパントセル22から照射された分子線が当るように、酸素トラップ材27が設置されている。この酸素トラップ材27はV族分子線が通過できるように、空隙が設けてある。該酸素トラップ材は同時にIII族材料28も照射されるように配置すると、該酸素トラップ材上にp型半導体結晶が形成され該p型半導体結晶中に酸素が捕獲されることにより、さらに効果が増大する。上記p型ドーパントセル22とIII族材料セル29は、直接成長基板5に材料を照射しないように設置するのが望ましい。
【0034】
次に、本装置を用いて、高純度の半導体層を成長する方法を説明する。本装置に成長基板5を導入し成長基板加熱ヒータ7で所望の成長温度になるように加熱する。さらに、結晶成長する半導体層の均一性を確保するために成長基板回転機構8を用いて成長基板5を回転する。
【0035】
その後、所望の結晶組成が得られるように加熱された材料セル(III族材料セル12、V族材料セル14およびドーパントセル16)より半導体材料を照射する。この時、同時に、酸素トラップ用のp型ドーパントセル22より酸素トラップ材27にp型ドーパント21を照射する。このとき、p型ドーパントは成長基板5の周辺部にある酸素を酸素トラップ材27上に捕獲するため、V族材料分子線中の酸素濃度が低下し、その結果、成長基板5上に成長した半導体層内の酸素濃度は1×1016cm-3〜5×1016cm-3程度まで低減した。
【0036】
なお、酸素トラップ材として半導体単結晶をもちいることも望ましい実施形態である。この場合には、該酸素トラップ材27上にはp型の半導体単結晶が成長される。この単結晶内にはより効率的に酸素が捕獲され、本発明の効果がより顕著に観測された。
【0037】
(実施形態4)
図4に本発明にかかるさらに別の実施形態である半導体素子の製造装置の側断面概略図を示す。本実施形態は、特にAsまたはPなどのV族材料中に酸素が含まれている場合に効果的である。
【0038】
本装置の材料セル(III族材料セル12、V族材料セル14およびドーパントセル16)および成長基板5の構成は、実施形態1と同様であるので相違点に関して説明する。本装置においては、V族材料13から放射されたV族分子線13Aが酸素トラップ材30に反射して成長基板5に照射されるように酸素トラップ材30が設置されている。該酸素トラップ材30は、同時にIII族材料11も照射されるように配置されるとさらに効果が増大する。またp型ドーパントセル22は、直接成長基板5にp型ドーパント21を照射しないように設置するのが望ましい。
【0039】
次に、本装置を用いて、高純度の半導体層を成長する方法を説明する。本装置に半導体層成長用の成長基板5を導入し成長基板加熱ヒータ7で所望の成長温度になるように加熱する、さらに結晶成長する半導体層の均一性を確保するために成長基板回転機構8を用いて成長基板5を回転する。
【0040】
その後、所望の結晶組成が得られるように加熱された材料セルより半導体材料を照射する。この時、同時に、酸素トラップ用のp型ドーパントセル22より酸素トラップ材30にp型ドーパント21を照射する。このとき、p型ドーパントは成長基板5の周辺部にある酸素を酸素トラップ材30上に捕獲するため、V族材料分子線中の酸素濃度が低下し、純度の上がったV族分子線13Aが、成長基板5に到達する。その結果、成長基板5上に成長した半導体層中の酸素濃度は1×1016cm-3〜5×1016cm-3程度まで低減した。
【0041】
なお、酸素トラップ材として半導体単結晶を用いることも望ましい実施形態である。この場合には、該酸素トラップ材30上にはp型の半導体単結晶が成長する。V族材料をIII族材料より過剰に供給することにより、余分のV族分子が、反射して成長基板5上に照射される。酸素トラップ材30である単結晶内には酸素が効率的に捕獲され、成長基板5上に成長した半導体層中の酸素濃度は顕著に低減した。
【0042】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明でなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。
【0043】
【発明の効果】
上記のように、本発明にかかる半導体素子の製造方法または製造装置においては、半導体層をエピタキシャル成長する領域の周辺部にp型ドーパントを供給することにより、結晶の気相成長における成長特性を損なうことなくさらなる酸素濃度の低減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる一の実施形態である半導体素子の製造装置の側断面概略図である。
【図2】本発明にかかる別の実施形態である半導体素子の製造装置の側断面概略図である。
【図3】本発明にかかるまた別の実施形態である半導体素子の製造装置の側断面概略図である。
【図4】本発明にかかるさらに別の実施形態である半導体素子の製造装置の側断面概略図である。
【図5】従来のMBE装置の側断面概略図である。
【符号の説明】
1 超高真空チェンバ、2 成長室、3 液体窒素、4 クライオパネル、5成長基板、6 成長基板保持具、7 成長基板加熱ヒータ、8 成長基板回転機構、9 分子線制御シャッタ、11,28 III族材料、12,29 III材料セル、13 V族材料、13A V族分子線、14 V族材料セル、15ドーパント、16 ドーパントセル、21 p型ドーパント、22 p型ドーパントセル、23,27,30 酸素トラップ材、24 酸素トラップ用単結晶基板、25 酸素トラップ用単結晶基板保持具、26 酸素トラップ用単結晶基板加熱ヒータ。
Claims (18)
- 半導体層をエピタキシャル成長させる領域の周辺部にp型ドーパントを供給することにより、該半導体層への混入不純物を低減することを特徴とする半導体素子の製造方法。
- 半導体層をエピタキシャル成長させる領域の周辺部にp型ドーパントおよび半導体材料を供給することにより、該半導体層への混入不純物を低減することを特徴とする半導体素子の製造方法。
- 半導体層をエピタキシャル成長させる領域の周辺部に不純物トラップ用単結晶基板を配置し、該不純物トラップ用単結晶基板上にp型ドーパントおよび半導体材料を供給してp型半導体単結晶を成長させることにより、該半導体層への混入不純物を低減することを特徴とする半導体素子の製造方法。
- 半導体層をエピタキシャル成長させる際、半導体材料の供給経路に不純物トラップ材を配置し、該不純物トラップ材上にp型ドーパントを供給することにより、該半導体層への混入不純物を低減することを特徴とする半導体素子の製造方法。
- 半導体層をエピタキシャル成長させる際、半導体材料の供給経路に不純物トラップ材を配置し、該不純物トラップ材上にp型ドーパントおよび半導体材料を供給してp型半導体結晶を成長させることにより、該半導体層への混入不純物を低減することを特徴とする半導体素子の製造方法。
- 不純物トラップ材が単結晶材料であり、該不純物トラップ材にp型半導体単結晶を成長させることにより、該半導体層への混入不純物を低減することを特徴とする請求項5に記載の半導体素子の製造方法。
- 半導体材料を不純物トラップ材に反射させて半導体層をエピタキシャル成長する基板上に供給することを特徴とする請求項4〜請求項6のいずれかに記載の半導体素子の製造方法。
- p型半導体層をエピタキシャル成長させる際、該エピタキシャル成長領域の周辺部に該p型半導体層以上の濃度のp型ドーパントを供給することを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の半導体素子の製造方法。
- p型ドーパントがベリリウムであることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の半導体素子の製造方法。
- 混入不純物が酸素であることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかに記載の半導体素子の製造方法。
- 分子線エピタキシー法であることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれかに記載の半導体素子の製造方法。
- 半導体層をエピタキシャル成長させる領域の周辺部に選択的にp型ドーパントを供給する材料供給源を有する半導体素子の製造装置。
- 半導体層をエピタキシャル成長させる領域の周辺部に選択的にp型ドーパントおよび半導体材料を供給する材料供給源を有する半導体素子の製造装置。
- 半導体層をエピタキシャル成長させる領域の周辺部に不純物トラップ用単結晶基板を配置する支持具を有し、かつ該不純物トラップ用単結晶基板上にp型ドーパントおよび半導体材料を供給する材料供給源を有する半導体素子の製造装置。
- 支持具が基板加熱機構を有することを特徴とする請求項14に記載の半導体素子の製造装置。
- 半導体材料の供給経路に不純物トラップ材を配置し、該不純物トラップ材上にp型ドーパントおよび半導体材料を供給する材料供給源を有する半導体素子の製造装置。
- 不純物トラップ材が単結晶材料であることを特徴とする請求項16に記載の半導体素子の製造装置。
- 半導体材料供給源と半導体層をエピタキシャル成長する基板とが、不純物トラップ材に対して反射位置にあることを特徴とする請求項16または請求項17に記載の半導体素子の製造装置。
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- 2002-12-12 JP JP2002360435A patent/JP2004193388A/ja not_active Withdrawn
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