JP2004193200A - 超格子熱電材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱電素子の高効率化を計る。
【解決手段】Si(111)面上に高品位のSi/CaF系超格子。Si(111)基板1上に、分子線エピタキシー法(MBE法)又はMOCVD法などにより成長した厚さ1.25nmの第1のCaF層2−1と、その上に成長した厚さ0.75nmのSi(111)層3―1と、同じく第2のCaF層2−2と、その上に成長した厚さ0.75nmのSi(111)層3―2と、の繰り返し構造が形成され、最終的に、厚さ0.75nmの第nのSi(111)層3―nと、同じく第n+1のCaF層2−(n+1)との積層構造を有している。超格子構造全体としてのn型不純物のキャリア濃度nは、1×1019cm−3から1×1020cm−3程度である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱電材料に関し、特に、熱電エネルギー変換に適した新しい熱電材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱電変換は、熱エネルギーと電気エネルギーとの間の直接変換であり、適切な材料を用いることにより、効率良く相互エネルギー変換を行うことができる。ゼーベック効果を用いて熱源から電力を取り出したり、ペルチェ効果を用いて材料に電流を流すことで加熱・冷却現象を起こしたりすることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
熱電変換材料の効率の良さを示す指標である無次元熱電性能指数ZTを向上させるための一手法として、超格子構造を用いる技術が提案されている。超格子構造を利用して性能指数を向上させる手法に適した材料系として、PbTe/Pb1−xEuTe、GaAs/AlAs、Si/Si1−xGe、Si/Ge、Bi/Pb1−xEuTe、PbTe/PbSe各超格子、Biナノ・ワイヤー・アレイなどが提案されているが、実用に耐え得る材料は未だに開発されていない。
【0004】
尚、材料の無次元熱電性能指数ZTは以下の式で与えられる。
ZT=SσT/κ
ここで、Sはゼーベック係数(S=−ΔV/ΔT:熱起電力を温度差で割ったもの)、Tは温度であり、ZはSσで定義される。σは電気伝導率、κは熱伝導率である。
本発明は、熱電特性の良好な超格子材料を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の一観点によれば、Si井戸層とCaF障壁層とを積層した超格子構造を有する超格子熱電材料が提供される。この場合、前記超格子構造はSi(111)面上に形成されるのが好ましい。
【0006】
また、Si(111)面上に形成されSi井戸層とCaF障壁層とを積層した超格子構造を有する超格子熱電材料であって、前記CaF層の厚さが、3原子層から6原子層までの間であり、前記Si層の厚さが0.2nmから2nmの間であることを特徴とする超格子熱電材料が提供される。
【0007】
Si(111)面上に形成されSi井戸層とCaF障壁層とを交互に積層すると、伝導帯に6つのデルタ谷のエネルギー縮退が解けることなく、バンド端において大きな電子状態密度が得られる。
【0008】
前記CaF層の厚さが3原子層である場合は、前記Si層の厚さが0.75nmから1.75nmの間が好ましく、1nm程度がより好ましい。前記CaF層の厚さが4原子層である場合は、前記Si層の厚さが0.5nmから1.75nmの間であるのが好ましく、0.75m程度がより好ましい。前記CaF層の厚さが5原子層の場合は、前記Si層の厚さが0.3nmから1.75nmの間であるのが好ましく、0.5nm程度であるのがより好ましい。
【0009】
本発明の他の観点によれば、Si(111)面上に形成されSi層とCaF層とを交互に積層した超格子構造であって、1012cm−2から1013cm−2までの間のシートキャリア濃度のn型不純物が、CaF層に変調ドーピングされていることを特徴とする超格子熱電材料が提供される。
【0010】
CaF層に、1012cm−2から1013cm−2までの間のシートキャリア濃度でn型不純物を変調ドーピングすると、不純物とSi層に形成されるキャリアとの間が離間されることにより、キャリアの不純物散乱が抑制される。また、超格子材料のフォノンの平均自由行程が超格子の周期(各層の層厚の和)により制限されるとすると、該n型超格子構造においては、少なくとも超格子の周期が5nm程度以下の場合には熱伝導率が充分抑制されることが期待される。この効果も該n型超格子構造の熱電性能指数の向上に寄与している。
【0011】
本発明の他の観点によれば、Si(111)基板上に形成された構造体であって、Si層とCaF層とが前記基板面の法線方向に交互に積層されたn型超格子構造と、該n型超格子構造と前記法線方向に絶縁分離されて形成されたp型熱電材料を用いたp型熱電体構造と、を備えた構造体と、前記n型超格子構造と前記p型熱電体構造とを一端側で電気的に導通させる第1の導電層と、第1の導電層とは電気的には絶縁されているが熱的にコンタクトのある第1の熱浴層と、他端に形成され外部と絶縁する第2の熱浴層と、前記他端において前記n型超格子構造及び前記p型熱電体構造とをそれぞれ接続する一対の電極であって、前記n型超格子構造と接続される第1の電極と、前記p型熱電体構造と接続される第2の電極とを有する熱電素子が提供される。
【0012】
尚、前記p型熱電体構造として、前記基板面の法線方向に交互に積層したp型超格子構造を備えた構造体を用いることも可能である。さらに、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧を印加する電源を設ければ、加熱・冷却素子として機能する。さらに、前記熱電素子の冷却側の熱浴層と隣接又は近接して形成された半導体集積回路を設ければ、この集積回路を冷却することができる。また、上記構造によれば、熱電素子と集積回路とをモノリシックに集積化することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について説明する前に、発明者の行った考察について説明する。発明者は、以下に説明する技術的特徴を有している(111)配向のSi(量子井戸層)/CaF(障壁層)を含む超格子を用いると、熱電材料としてのメリットが生かせると考えた。
【0014】
1)(111)配向のSiを量子井戸に使うことにより、伝導帯にある6つのデルタ・バレーのエネルギー縮退が解けることなく、バンド端に大きな電子状態密度を作ることができる。従って、ある与えられたキャリア濃度でのゼーベック係数の値を大きくすることができる。
【0015】
2)超格子構造によってκphの値が小さくなる。ごく簡単なモデルを用いると、3次元結晶(固体)の格子による熱伝導率はκph=(CvL)/3で表される。ここで、Cは材料の比熱、vはフォノンの速度(音速)、Lはフォノンの平均自由行程である。従って、Lの値(バルクのSiでは室温で数十nm)が超格子をつくる層厚又は超格子の周期(以後、単に層厚と呼ぶ)よりも長いと、Lは層厚で制限される。すなわち、κ=(Cvd)/3である。ここでdは層厚である。提案された超格子熱電材料では、dはLに比べて1桁以上小さいため、κphもバルクSiでの値に比べて1桁以上小さくなると期待される。
【0016】
3)CaF障壁層とSiとの界面で障壁ポテンシャルの高さ(伝導帯の不連続値)が、2.3eVと非常に大きく、CaF障壁層の有効質量の値も1.0m0(mは、自由電子の質量)と大きいため、大きな量子閉じ込めの効果を得ることができる。
4)Si/CaF超格子系では、格子歪が非常に小さく(1%以下)、高品質の超格子を成長させることができる。
【0017】
5)Si/CaF超格子系では、Siの原子量(28.1)とCa、Fの原子量(それぞれ、40.1、19.0)の間に大きな違いがあるため、超格子構造にしたときに、フォノン散乱の確率を高くすることができる。従って、小さな熱伝導を実現することができる。
6)Si(111)面上に高品位のSi/CaF系超格子を成長することが可能である。
【0018】
上記の考察に基づき、本発明の第1の実施の形態による超格子熱電材料の構造例について図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態による超格子熱電材料の構造例である。図2は、図1に示す構造のエネルギーバンド図のうち伝導帯のエネルギーバンドを示す図である。
【0019】
図1に示すように、本実施の形態による超格子熱電材料は、Si(111)基板1上に、分子線エピタキシー法(MBE法)又はMOCVD法などにより成長した厚さ0.94〜1.57nmの第1のCaF層2−1と、その上に成長した厚さ0.5〜2.0nmのSi(111)層3―1と、同じく第2のCaF層2−2と、その上に成長した厚さ0.5〜2.0nmのSi(111)層3―2と、の繰り返し構造が形成され、最終的に、厚さ0.5〜2.0nmの第nのSi(111)層3―nと、同じく第n+1のCaF層2−(n+1)との積層構造を有している。超格子構造全体としてのn型不純物のキャリア濃度nは、1×1019 cm−3から1×1020 cm−3程度である。尚、Si(111)基板1の代わりに、Si(111)基板以外の材料にエピタキシャル成長させたSi(111)配向膜、或いは、他の材料でもその上に(111)配向したCaFが成長するものであればよい。
【0020】
図2に示すように、Si/CaF系超格子構造は、Si層により形成される量子井戸層とCaF層により形成される障壁層とを、交互に成長させた構造を有している。SiとCaFとの間の伝導帯のバンド不連続値は、前述の通り約2.3eVと高い値を示す。従って、電子がthermionicに障壁層を越える確率は室温においても非常に小さく、量子閉じ込めの効果が非常に大きい。
【0021】
(111)面配向Si/CaF系超格子構造を、以下の指針に沿って設計した。まず、優れた熱電材料として条件は、(1)熱伝導率κが小さい、(2)抵抗率ρが小さい(導電率σが大きい)、そして(3)ゼーベック係数Sが大きいことである。
【0022】
すなわち、提案する超格子構造においては、CaF層は、超格子構造における障壁層として機能するため、電気伝導には寄与しない。しかしながら、有限の厚みを持っているため、熱伝導に寄与する。従って、Si量子井戸層間における電子のトンネリングが無視できる範囲内で、CaF層の厚みは薄ければ薄いほど好ましい。尚、CaF層の厚みは、3モノ・レイヤー(ML)程度あれば、障壁層として実用に耐えうるということが従来の共鳴トンネル構造の研究から知られている(例えば、渡辺正裕ら、TECHNICAL REPORT OF IEICE, ED99−316, SDM99−209 (2000−02), Si−CaF及びCdF−CaFヘテロ接合を用いたシリコン基板上共鳴トンネルダイオード、p.73−p.78)。本実施の形態による超格子熱電材料は、CaF層の厚みを0.94nm、1.25nm、1.56nm(それぞれ、3、4及び5ML)とした。また、Si層の厚みを、0.3nmから1.75nmまでの間で変化させた場合について調べた。
【0023】
次に、図1及び図2に示す超格子熱電材料のZT値について説明する。図3から図8までに、CaF層及びSi層の厚みと、不純物のドーピング濃度を変化させた場合のZT値の変化について示す。
【0024】
尚、以下、図3から図8までに示す図は、定緩和時間近似を用いて求めた無次元熱電性能指数ZTのキャリア濃度n依存性を示す図であり、室温(300K)における計算値である。計算に用いた条件は、熱伝導度κph=7.3 W/m・K、電子の易動度μ=1350cm/Vsである。超格子構造においては、フォノンの平均自由行程Lの大きさが層厚によって制限されるため、κphの値をバルク値に比べて著しく小さくすることができる、というのは前述の通りである。
【0025】
熱伝導度に関しては、Si/Ge超格子のκphの値に基づいて見積もった値を用い、電子易動度μは、バルクでの値を用いた。実際の超格子構造でのκphやμの値を見積もるには、より詳細なモデルの検討が必要である。Si/Ge超格子系に関する研究によれば、定緩和時間近似によるZTの計算値は、より詳細なモデルに基づいた計算結果や実験値にかなり近い(±30%以内)ことがわかっている。
【0026】
図3は、CaF層の厚みを3ML(0.94nm)で一定とし、Si層の厚みを0.5nm、0.75nm、1.0nm、1.25nm、1.5nm及び1.75nmとした場合の、ZT値のキャリア濃度n依存性を示す図である。図4は、図3の結果に基づき求められたZTの最大値のSiの厚みdSi依存である。
【0027】
図3に示すように、CaF層の厚みを3ML(0.94nm)で一定とした場合、ZT値はキャリア濃度が3から4×1019cm−3程度でZT値が最大値を取る。ZT値の最大値は、図4に示すようにdSiに依存し、dSi=1.0nmで最大のZT値1.50程度が得られる。
【0028】
図5は、CaF層の厚みを4ML(1.25nm)で一定とし、Si層の厚みを0.5nm、0.75nm、1.0nm、1.25nm、1.5nm及び1.75nmとした場合の、ZT値のキャリア濃度n依存性を示す図である。図6は、図5の結果に基づき求められたZTの最大値のSiの厚みdSi依存である。
【0029】
図5に示すように、CaF層の厚みを4ML(1.25nm)で一定とした場合も、ZT値はキャリア濃度は3から4×1019cm−3程度で最大値を取る同様の傾向の特性が得られることがわかる。ZT値の最大値は、図6に示すように、dSiに依存し、0.75nmで最大値ZT=1.55程度が得られる。
【0030】
図7は、CaF層の厚みを5ML(1.56nm)で一定とし、Si層の厚みを0.3nm、0.4nm、0.5nm、0.75nm、1.0nm、1.25nm、1.5nm及び1.75nmとした場合の、ZT値のキャリア濃度n依存性を示す図である。図8は、図7の結果に基づき求められたZTの最大値のSiの厚みdSi依存である。
【0031】
図7に示すように、CaF層の厚みを5ML(1.56nm)で一定とした場合も、キャリア濃度は、3から4×1019cm−3程度でZT値の最大値が得られることがわかる。ZT値の最大値に関しては、図8に示すように、dSiに依存し、0.50nmで最大値ZT=1.50程度が得られる。
【0032】
以上の結果を要約する。図3に示すように、(111)配向Si/CaF系超格子において、Si層の厚みが0.75nmであって、CaFの厚みが1.25nm=4MLである場合にZT値が最大に近づくことがわかる。Si層の厚みが0.75nm以下のときは、量子井戸間の電子のトンネル確率が増加するためにゼーベック係数が低下し、Si層の厚みが1.0nm以上のZTの低下は、超格子全体での電子状態密度が、超格子の周期(Si層1層の厚み+CaF層1層の厚み)の逆数に伴って低下するので、ある与えられたキャリア濃度におけるゼーベック係数が低下するためである。さらに、Si量子井戸層の厚みが薄すぎると、界面のラフネスなどに起因して電子の易動度μが低下しやすくなるため、厚みにも下限値がある。但し、現実に(111)配向Si/CaF系超格子を利用してn型熱電材料を製造した場合の層厚やキャリア濃度の最適値に関しては、超格子全体での熱伝導率の値や、最大可能ドーピング濃度、正確な電子の易動度の値、或いは電子散乱機構の詳細などにより変化するが、全体的な傾向としては大きく異ならない。
【0033】
また、図3、図5及び図7に示されたSi層とCaF層との厚み範囲内では、Si/CaFの繰り返し層構造を有する超格子構造において、ZT値が最大となるキャリア濃度は、3から4×1019cm−3程度であり、ほぼ一定の値を示すことがわかった。
【0034】
要するに、CaF層の厚さが3原子層である場合は、Si層の厚さが0.75nmから1.75nmの間が好ましく、1nm程度がより好ましい。CaF層の厚さが4原子層である場合は、Si層の厚さが0.5nmから1.75nmの間であるのが好ましく、0.75m程度がより好ましい。CaF層の厚さが5原子層の場合は、Si層の厚さが0.3nmから1.75nmの間であるのが好ましく、0.5nm程度であるのがより好ましい。但し、これらの構造パラメータに関しては、定緩和時間近似を用いて、与えられた易動度と熱伝導率とで得られる値であり、実際には、上記の数値範囲を外れている場合でも、一定のキャリア濃度で比較した場合にゼーベック係数の値がエンハンスするように、Si(111)基板上に障壁層と井戸層とを交互に積層した超格子構造体であれば本発明の範疇に入るものである。加えて、フォノンの平均自由行程Lが制限されることによって熱伝導率が小さくなるように、Si(111)基板上に障壁層と井戸層とを交互に積層した超格子構造体であれば、本発明の範疇に入るものである。
【0035】
以上のように、室温(300K)でのZT値は、従来のBiTe系熱電材料で得られる値であるZT=1を広い範囲で超えている。図3から図8までに示すように、1×1019cm−3から10×1019cm−3程度までの広いキャリア濃度範囲でZT値が1を越えており、本実施の形態による(111)配向Si/CaF系超格子系熱電材料が非常に有用な熱電材料であることがわかる。
【0036】
尚、上記結果は、n型素子に関する結果であるが、p型素子に関してもΔE=8.1eV程度と推定されるため、例えば、CaF層の厚みが3ML以上あれば、Siの層の厚みが非常に小さくても(0.5nm以下)、正孔の閉じ込め効果は非常に大きい考えられる。従って、p型素子を製造する場合においても、Si/CaF系超格子構造が効果的である。
【0037】
次に、ZTの温度依存性について説明する。ZT値の温度依存性については、Si/Ge系超格子に関する論文( T. Koga et. al., ”Carrier pocket engineering applied to ”strained” Si/Ge superlattices to design useful thermoelectric materials”, Appl. Phys. Letts. Vol.75, No.16, 18 Oct. 1999, pp.2438−2440)の結果から推定すると、400℃では室温での値の1.5倍程度になると考えられ、従って、Si/CaF系では、ZT値は400℃で、2程度の値となると考えられる。熱電冷却器が既存のコンプレッサー方式の冷却器と同等のエネルギー変換効率を得るためには、ZTが3以上の熱電材料の開発が必要とされている。つまり、Si/CaF系でのZT=2が実現されても、即、熱電冷却器が既存のコンプレッサー方式を置き換えることを意味するわけではないが、駆動部分を一切もたないことによる安定性など、熱電エネルギー変換の利点を考慮にいれると、エネルギー変換の分野において本実施の形態による熱電材料の与えるインパクトは非常に大きい。
【0038】
次に、本発明の第2の実施の形態による超格子熱電材料について、図9を参照して説明する。図9は、図2に示すSi/CaF系超格子構造と同様のエネルギーバンド構造を有している。但し、n型の不純物をCaFバリア構造中、好ましくはCaF系バリア構造中の例えば厚み方向の中間近傍の1原子層にのみドーピングした、いわゆるアトミック・プレーナ・ドーピング構造を有している点に特徴がある。すなわち、図9に示すように、Si(111)基板11上に、不純物をアトミック・プレーナ・ドーピングした層PDL1を有するCaF層12−1と、Si層13−1と、アトミック・プレーナ・ドーピング層PDL2を有するCaF層12−2と、Si層13−2と、アトミック・プレーナ・ドーピング層PDL3を有するCaF層12−3と、Si層13−3と、・・・、アトミック・プレーナ・ドーピング層PDL−nを有するCaF層12−nと、Si層13−nと、アトミック・プレーナ・ドーピング層PDL−(n+1)を有するCaF層12−(n+1)とを有している。PDL層にドーピングする際のn型不純物の濃度としては、シートキャリア濃度として1012〜1013cm−2程度の値であるのが好ましい。
【0039】
上記構造において、キャリアである電子は電子親和力の大きいSi層中に局在し、大きな電子閉じ込め効果を発揮する。さらに、Siに対するn型不純物がCaF層中にSi層とは分離された状態でドーピングされるため、Si中の電子は不純物散乱の影響を受けにくく、Si中の電子の易動度が一層大きくなる。よって、熱電性能指数Zをより一層大きくすることができる。
【0040】
尚、Si/CaF系超格子でのドーピングに関しては、CaF自体がキャリアを放出するドーパント(キャリア供給層)として機能する可能性がある。つまり、PbTe/Pb1−xEuTe系超格子に関しては、この系でのバッファー層や基板に広く使われているBaF が正孔を放出し、PbTe量子井戸(或いはバルク)をp型にすることが知られている。CaFからキャリアが放出されるメカニズムとしては、CaFはCa2+ といったイオン結晶であり、過剰なCa2+が障壁層内に存在することにより、量子井戸に電子が放出(供給)されることになる。
【0041】
次に、本発明の第1又は第2の実施の形態による超格子熱電材料を応用した装置について、図10(A),(B)を参照して説明する。図10(A)は、本発明の第1又は第2の実施の形態によるSi/CaF系超格子構造を用いた超格子熱電材料を加熱冷却装置に応用した具体的な構造例を示す図であり、図10(B)は、発電装置に応用した具体的な構造例を示す図である。
【0042】
図10(A)に示すように、本実施の形態による加熱冷却装置は、一方向(図では左右方向)に積層されたSi/CaF系超格子構造が形成され、上記一方向に、ある距離だけ離れて配置された1対の超格子熱電材料23、25であって、第1導電型を有する第1の超格子熱電材料23(この例ではp型導電層)と、第1導電型とは異なる種類のキャリアを有する(第2導電型)第2の超格子熱電材料25(この例ではn型導電層)との一対の超格子熱電材料23、25と、一対の超格子熱電材料23、25間に形成された例えば絶縁材料24と、上記一方向と交差する方向(図では上下方向)の一端(下面)と他端(上面)とに第1の熱浴層Tと第2の熱浴層TH1とが形成されている。
【0043】
実際には、第1の熱浴層Tは、熱を良く伝える絶縁材料で形成され、上記絶縁材料24の一端と接している。第1の熱浴層Tcと、一対の超格子熱電材料23、25の一端との間には、それぞれ、第1の導電層(リード)21と第2の導電層(リード)27とが形成され、超格子熱電材料23、25の両側に引き出されている。第1の導電層(リード)21と第2の導電層(リード)27とが両側に引き出された位置に、それぞれ、第1の電極Eと第2の電極Eとが形成されている。熱浴層に用いられる材料としては、導電率は低く熱伝導率が高い材料が好ましく、例えば、ダイヤモンド、BN、又はCaFなどが好ましい。上記超格子熱電材料と同じ材料であるCaFを用いると、製造工程が簡単になるという利点がある。
【0044】
一対の超格子熱電材料23、25の他端側は、導電層TH1により電気的にも繋がっている。この導電層TH1は、熱を伝えやすい電気的絶縁材料TH2で覆われている。
【0045】
上記構造において、第2の電極Eに対して第1の電極Eに正の電圧を印加すると、第2の電極Eから第1の電極Eに向けて電子eが注入される(第1の電極Eから第2の電極Eに向けて電流Iが流れる)。その結果、第1の熱浴層Tが吸熱体、第2の熱浴層Tが発熱体として機能し、加熱素子又は冷却素子として動作させることができる。この際、ZT値の高いSi/CaF系超格子構造を用いるため、熱電エネルギー変換効率が高くなるという利点がある。尚、上記の例では、p型熱電材料23の材料として超格子材料を例にして説明したが、p型熱電材料であれば、超格子材料に限定されるものではない。
【0046】
図10(B)に示すように、本実施の形態による発電装置は、一方向(図では左右方向)に積層された一対のSi/CaF系超格子構造33、35が、ある距離だけ離されて配置されている。この一対の超格子熱電材料33、35は、第1導電型を有する第1の超格子熱電材料33(この例ではp型導電層)と、第1導電型とは異なる種類のキャリアを有する(第2導電型)第2の超格子熱電材料35(この例ではn型導電層)とから成る。一対の超格子熱電材料33、35間に、例えば絶縁材料34が配置されている。上記一方向と交差する方向(図では上下方向)の一端(下面)と他端(上面)とに第1の熱浴層Tと第2の熱浴層TH1とが形成されている。実際には、第1の熱浴層Tは、熱を良く伝える絶縁材料で形成され、上記絶縁材料34の一端と接している。第1の熱浴層Tcと、一対の超格子熱電材料33、35の一端との間には、それぞれ、第1の導電層(リード)31と第2の導電層(リード)37とが形成され、超格子熱電材料33、35の両側に引き出されている。第1の導電層(リード)31と第2の導電層(リード)37とが両側に引き出された位置に、それぞれ、第1の電極Eと第2の電極Eとが形成されている。
【0047】
一対の超格子熱電材料33、35の他端側は、導電層TH1により電気的に繋がっている。この導電層TH1側上に、熱を伝えやすい電気的絶縁材料TH2で覆われている。
【0048】
上記構造において、少なくとも、第1の熱浴層Tと第2の熱浴層TH1の間に温度差を与えると、熱起電力が発生し、例えばTH1>Tの温度差が与えられると熱電素子中の各所での電位がV1>V2=V3>V4の状態となり、第1の電極Eと第2の電極Eとの間に起電力が生じる。従って、図10(B)の構造を発電装置として応用することができる。この際、ZT値の高いSi/CaF系超格子構造を用いるため、発電効率が高くなるという利点がある。尚、上記の例では、p型熱電材料35の材料として超格子材料を例にして説明したが、p型熱電材料であれば、超格子材料に限定されるものではない。
【0049】
次に、本発明の第4の実施の形態による熱電素子の応用例について図11を参照して説明する。図11に示す装置は、Si基板に形成された半導体集積回路IC41と、半導体集積回路IC41に隣接又は近接して形成された冷却装置とを有する。冷却装置は、上記第3の実施の形態による冷却装置を応用した装置である。
【0050】
図11に示すように、本実施の形態による半導体集積回路装置に用いられる冷却装置は、図10(A)に示す冷却素子を応用した装置である。冷却装置は、半導体基板Si−subに形成され、一方向(図では数字が正常に見える状態で上下方向)に積層されたSi/CaF系超格子構造が形成され、上記一方向に、ある距離だけ離れて配置された1対の超格子熱電材料23、25であって、第1導電型を有する第1の超格子熱電材料23(この例ではp型導電層)と、第1導電型とは異なる種類のキャリアを有する(第2導電型)第2の超格子熱電材料25(この例ではn型導電層)との一対の超格子熱電材料23、25と、一対の超格子熱電材料23、25間に形成された例えば絶縁材料24と、上記一方向と交差する方向(図では左右方向)の一端(左側面)と他端(右側面)とに第1の熱浴層Tと第2の熱浴層TH1とが形成されている。図10の構造と同様に、実際には、第1の熱浴層Tは、熱を良く伝える絶縁材料で形成され、上記絶縁材料24の一端と接している。第1の熱浴層Tcと、一対の超格子熱電材料23、25の一端との間には、それぞれ、第1の導電層(リード)21と第2の導電層(リード)27とが形成され、超格子熱電材料23、25の両側に引き出されている。第1の導電層(リード)21と第2の導電層(リード)27とが両側に引き出された位置に、それぞれ、第1の電極Eと第2の電極Eとが形成されている。一対の超格子熱電材料23、25の他端側は、導電層TH1により電気的にも繋がっている。この導電層TH1は、実際には、熱を伝えやすい電気的絶縁材料TH2で覆われている。
【0051】
上記構造において、第2の電極Eに対して第1の電極Eに正の電圧を印加すると、第2の電極Eから第1の電極Eに向けて電子eが注入される(第1の電極Eから第2の電極Eに向けて電流Iが流れる)。その結果、第1の熱浴層Tが吸熱体、第2の熱浴層TH1が発熱体として機能し、集積回路Ic41を冷却することができる。尚、p型超格子熱電材料45の代わりに、一般的なp型熱電材料を用いることも可能である。
【0052】
尚、上記構造において、例えば半導体集積回路IC41の電源と、冷却素子の電源とを共通にすることも可能である。例えば、半導体集積回路IC41の電源電圧を高くし高速化を図った場合に、同じ高電源電圧を用いて冷却素子による冷却力を高めることで、半導体集積回路IC41から発生する多くの熱を効率良く冷却することができるという利点がある。
【0053】
次に、本発明の第5の実施の形態による熱電素子の応用例について図12を参照して説明する。図12に示す熱電素子は、例えばSi(111)基板上に、基板面の法線方向に積層されたp型のSi/CaF系超格子構造と、同じく基板の面内方向に積層されたn型のSi/CaF系超格子構造とが、絶縁膜などによりに基板面の法線方向に関して互いに分離され基板の法線方向に積層された島状に形成された積層構造53を有している。尚、p型のSi/CaF系超格子構造は、超格子構造を用いずに、一般的なp型熱電材料を用いても良い。
【0054】
Si(111)基板の法線方向に近接して形成されたp型のSi/CaF系超格子構造と絶縁膜とn型のSi/CaF系超格子構造とを一組として、この一組が、例えば基板面の法線方向に延在する電極EからE(一方にE、E、Eが、他方にE、E、Eが形成されている。)までのそれぞれにより組毎に接続されている。この積層構造53の両側に形成された上記電極EからEまでの電極に接して、絶縁膜51、52がそれぞれ形成されている。この絶縁膜52、51のそれぞれに接して、第1の熱浴層Tと第2の熱浴層Tとが形成されている。
【0055】
さらに、第1の熱浴層T側に冷却対象物55が設置され、第2の熱浴層Tには一般的には放熱板が設置されるか冷却水(図示せず)が流される。または、第2の熱浴層Tに接して加熱対象物を設置しても良い(この場合には、一般的に第1の熱浴層Tには吸熱板等が設置される)。この状態で、電極に図に示す方向に電流Iが流れるように電圧を印加すると、対象物55を効率良く冷却することができる。尚、図12に示す第5の実施の形態による素子を、熱電発電に利用することも可能であることは自明であろう。
【0056】
以上、上記各実施の形態による熱電素子構造を用いると、熱電素子の効率が高くなるという利点がある。効率の高い熱電素子構造を用いることにより、例えば、ごみ焼却施設からの廃熱、或いは自動車のエンジンからの廃熱を取り出し、それを高い効率で電気エネルギーに変換することが可能となる。
また、熱電冷却の原理を応用することで、駆動部分のない極めて安定な冷却装置を製造することができ、例えば、携帯用冷蔵庫にも応用が可能となる。
【0057】
本実施の形態によるSi/CaF超格子は、Siをベースにした材料であり、Si基板上に作成することができるため、既存の半導体装置との統合が容易となる。例えば、微細加工技術により作製されたLSI(大規模集積回路)は、サブミクロン・サイズの微細構造の複雑な組み合わせにより形成されており、形成された電気回路を流れる電流パスも複雑である。また、LSIの高速化に伴い、微細構造中を流れる電流に起因して発熱が生じるため、LSI設計において、回路動作中の素子内の熱分布や熱流分布までをも考慮した構造設計が望まれる。
【0058】
本発明の各実施の形態において説明した熱電材料は、このようなLSIなどの集積回路中に作り込むことも可能であり、素子内の熱分布、熱流分布を積極的に制御する素子としても利用できる。
【0059】
以上、実施の形態に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。その他、種々の変更、改良、組み合わせが可能なことは当業者に自明であろう。例えば、Si/CaF系超格子構造に代えて、Si/SiO系超格子構造を用いることも可能である。
【0060】
【発明の効果】
本発明の超格子熱電材料によれば、熱電素子の高効率化が可能になる。また、熱電冷却の原理を応用すれば、駆動部分のない非常に安定な冷却装置を作ることができる。Si/CaF系超格子は、Siをベースにした材料であるので、既存の半導体産業との統合が容易であるという利点があり、LSIから発生する熱を効率良く吸収することができるため、熱電素子をLSI中に作り込むことにより、素子内の熱分布、熱流分布を積極的に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による超格子熱電材料の構造例である。
【図2】図2は、図1に示す構造のエネルギーバンド図のうち伝導帯のエネルギーバンドを示す図である。
【図3】CaF層の厚みを3ML(0.94nm)で一定とし、Si層の厚みを0.5nm、0.75nm、1.0nm、1.25nm、1.5nm及び1.75nmとした場合の、ZT値のキャリア濃度n依存性を示す図である。
【図4】図3の結果に基づき求められたZTの最大値のSiの厚みdSi依存である。
【図5】CaF層の厚みを4ML(1.25nm)で一定とし、Si層の厚みを0.5nm、0.75nm、1.0nm、1.25nm、1.5nm及び1.75nmとした場合の、ZT値のキャリア濃度n依存性を示す図である。
【図6】図4の結果に基づき求められたZTの最大値のSiの厚みdSi依存である。
【図7】CaF層の厚みを5ML(1.56nm)で一定とし、Si層の厚みを0.3nm、0.4nm、0.5nm、0.75nm、1.0nm、1.25nm、1.5nm及び1.75nmとした場合の、ZT値のキャリア濃度n依存性を示す図である。
【図8】図7の結果に基づき求められたZTの最大値のSiの厚みdSi依存である。
【図9】本発明の第2の実施の形態による超格子熱電材料のエネルギーバンド構造を示す図である。
【図10】図10(A)は、本発明の第1又は第2の実施の形態によるSi/CaF系超格子構造を用いた超格子熱電材料を加熱冷却装置に応用した具体的な構造例を示す図であり、図10(B)は、発電装置に応用した具体的な構造例を示す図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態による装置を示す図であり、本発明の第3の実施の形態による熱電素子の応用例であり、Si基板に形成された半導体集積回路ICと、それに隣接又は近接して形成された冷却装置とを有する装置を示す図である。
【図12】本発明の第5の実施の形態による熱電素子の応用例である冷却装置を示す図である。
【符号の説明】
1…Si(111)基板、2−1…第1のCaF層、3―1…第1のSi(111)層、2−2…第2のCaF層、3―2…第2のSi(111)層、21…第1の導電層、23…第1導電型(p型)超格子熱電材料、24…絶縁材料、25…第2導電型(n型)超格子熱電材料、T…第1の熱浴層、TH1、TH2…第2の熱浴層、27…第2(n型)の導電層、E…第1の電極、E…第2の電極。

Claims (12)

  1. Si井戸層とCaF障壁層とを積層した超格子構造を有する超格子熱電材料。
  2. 前記超格子構造がSi(111)面上に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の超格子熱電材料。
  3. Si(111)面上に形成されSi井戸層とCaF障壁層とを積層した超格子構造を有する超格子熱電材料であって、前記CaF層の厚さが、3原子層から6原子層までの間であり、前記Si層の厚さが0.2nmから2nmの間であることを特徴とする超格子熱電材料。
  4. 該超格子構造にn型不純物がドーピングされ、そのキャリア濃度が、1019cm−3から1020cm−3までの間であることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の超格子熱電材料。
  5. Si(111)面上に形成されSi層とCaF層とを交互に積層した超格子構造であって、1012cm−2から1013cm−2までの間のシートキャリア濃度のn型不純物を、CaF層に変調ドーピングしたことを特徴とする超格子熱電材料。
  6. Si(111)基板上に形成された構造体であって、Si層とCaF層とが前記基板面の法線方向に交互に積層されたn型超格子構造と、該n型超格子構造と前記法線方向に絶縁分離されて形成されたp型熱電材料を用いたp型熱電体構造と、を備えた構造体と、
    前記n型超格子構造と前記p型熱電体構造とを一端側で電気的に導通させる第1の導電層と、第1の導電層とは電気的には絶縁されているが熱的にコンタクトのある第1の熱浴層と、他端において前記n型超格子構造及び前記p型熱電体構造とそれぞれ接続する一対の電極であって、前記n型超格子構造と接続される第1の電極と、前記p型熱電体構造と接続される第2の電極と、
    前記他端に形成され第1、第2の電極とは電気的には絶縁されているが熱的にはコンタクトのある第2の熱浴層と、
    を有する熱電素子。
  7. さらに、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電源又は電流源を有し、さらに、前記熱浴層を加熱又は冷却されるべき負荷を有する請求項6に記載の熱電素子。
  8. さらに、前記第1の電極と前記第2の電極との間に繋がれた電気的負荷を有し、さらに、前記第1の熱浴層と第2の熱浴層の間に温度差をかけるための熱源又は冷却器を有する請求項6に記載の熱電素子。
  9. 請求項7に記載の熱電素子に加えて、さらに、前記熱電素子の冷却側の熱浴層と隣接又は近接して形成された半導体集積回路を含む半導体装置。
  10. Si(111)基板に形成され、前記基板の法線方向に積層されたn型のSi/CaF系超格子構造とp型熱電材料を用いたp型熱電体構造とが、前記基板面の法線方向に互いに分離された状態で交互に積層され、かつ、島状に形成された積層体構造と、
    前記基板の法線方向に隣接して形成された前記p型熱電体構造とn型のSi/CaF系超格子構造との組に共通し、一端と他端とにそれぞれ接して形成された電極であって、島状の前記積層構造の前記一端側と前記他端側とに前記組毎に交互に形成された複数の電極と、
    前記電極の両側にそれぞれ設けられた第1及び第2の熱浴層と
    を有する熱電素子。
  11. Si(111)基板上に、障壁層であるCaF層と井戸層であるSi層とが交互に積層された超格子構造体であって、
    ある与えられたキャリア密度でのゼーベック係数がエンハンスするように、前記障壁層と前記井戸層とが、前記井戸層間のキャリアのトンネル確率が無視できる範囲内で薄く形成されていることを特徴とする超格子熱電材料。
  12. フォノンの平均自由行程が制限され、熱伝導率が小さくなるように設計された、Si(111)基板上に、障壁層であるCaF層と井戸層であるSi層とが交互に積層された超格子熱電材料。
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