JP2004192842A - 表示装置 - Google Patents

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Keiichi Kagami
慶一 鏡
Mitsuhiro Kashiwabara
充宏 柏原
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Abstract

【課題】有機電界発光素子の発光効率および発光強度の低下を抑制することが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】陽極13と陰極15との間に高分子系の有機電界発光材料からなる発光層14bを有する有機層14が挟持されており、陰極15が、有機層14側に設けられた電子注入導電層15aと、電子注入導電層15a上に設けられた保護導電層15bとを有する表示装置であって、電子注入導電層15aがアルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくとも一方の酸化物で形成されていることを特徴とする表示装置である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示装置に関し、特に、自発光型の有機電界発光素子(有機EL素子)を備えた表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
軽量で高効率のフラットパネルディスプレイがコンピューターやテレビジョンの画面表示用として盛んに研究、開発されている。
ブラウン管(CRT)は輝度が高く、色再現性が良いため、現在もっともポピュラーなディスプレイとして使用されているが、重量が重く、場所を取りかつ消費電力が高いという問題がある。
【0003】
そこで、軽量で薄型のディスプレイとして、液晶ディスプレイが商品化され、普及し始めているが、視野角が狭く、高速画素信号に対しての十分な応答性能が得られない等の問題が生じている。特に大画面化に関しては、製造が困難であり、またコストが高い等の問題もある。
これに代わるものとして、発光ダイオードを用いたディスプレイの可能性があるが、やはり製造コストが高く、また一つの基板上に発光ダイオードのマトリックス構造を形成することは難しい。
【0004】
上記の諸課題を解決する可能性のあるフラットパネルディスプレイとして、最近注目されているのが、有機EL素子を備えた表示装置(有機ELディスプレイ)である。
すなわち、発光材料に有機化合物を用いた有機EL素子により、自発光で、応答速度が高速であり、視野角依存性のないフラットパネルディスプレイの実現が期待されている。
【0005】
現在、発光材料として、主に低分子系の有機EL材料が用いられており、低分子系の有機EL素子を備えた表示装置の例が報告されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−43980号公報
【0007】
上記のような低分子系の有機EL素子では、真空蒸着法により発光層を含む有機層が形成されているが、このような有機EL素子を備えた表示装置としては、現在のところ13インチが最大であり、それ以上になると蒸着斑などが生じて、生産が困難となっていた。
【0008】
そこで、この蒸着斑を解決するために、発光材料として高分子系の有機EL材料を用い、インクジェットプリンティング技術により有機EL素子を形成した例が報告されている(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
【特許文献2】
特開平10−153967号公報
【0010】
上記のような高分子系の有機EL素子を備えた表示装置では、有機EL素子が形成される基板側、すなわち下面側から発光光を取り出す下面発光型の例が種々報告されている(例えば、特許文献3参照)。
【0011】
【特許文献3】
特表2000−517468号公報
【0012】
ここで、高分子系有機EL素子を備えた、下面発光型の表示装置の一般的な構成について説明する。
図2に示すように、この表示装置は、例えばガラス基板等からなる基板12上に有機EL素子11が設けられている。
この有機EL素子11は陽極13と陰極15との間に有機層14が挟持されており、基板12上に陽極13、有機層14および陰極15が下層より順に積層された構成となっている。
【0013】
陽極13は、仕事関数が高く、光透過性に優れたITO(Indium Tin Oxide)等からなる透明電極膜で構成されており、有機層14は陽極13側に設けられた高分子系有機材料からなる正孔輸送層14aと、高分子系の有機EL材料からなる発光層14bとが順次積層された構成となっている。
【0014】
また、陰極15は有機層14側、すなわち発光層14b上に形成された電子注入導電層15aと電子注入導電層15a上に形成された保護導電層15bとで構成されている。
ここで、電子注入導電層15aは仕事関数の低いアルカリ金属またはアルカリ土類金属で形成されており、発光層14bに電子を注入する機能を有している。
また、保護導電層15bはアルミニウム(Al)や銀(Ag)等の導電性が良好でかつ光反射性を有する材料で形成されている。
【0015】
このような表示装置では、発光層14bで発光した発光光h’が下面側となる陽極13を直接透過するとともに、上面側に配置される保護導電層15bに反射された発光光h’も陽極13を透過することにより、基板12側から発光光h’を取り出す構成となっている。
【0016】
しかし、上述したような下面発光型の表示装置は、有機EL素子11としての発光効率および発光強度には優れているものの、高品質な画像表示を行うためにアクティブマトリックス方式を採用した場合、基板12には薄膜トランジスタ(Thin film Transistor(TFT))が形成されるため、画素の開口率を大きくし画面輝度を向上させることが困難である。
【0017】
そこで、図2を用いて説明した層構造の高分子系の有機EL素子を備えた表示装置において、基板12の逆側、すなわち陰極15側から発光光h’’を取り出す上面発光型の表示装置が提案されている。
このような上面発光型の表示装置では、陰極15側から発光光h’’を取り出すため、下面側に配置される陽極13は、例えば光反射性を有するクロム(Cr)で形成される。
【0018】
また、有機層14は下面発光型と同様の構成であり、高分子系の有機EL材料からなる発光層14bを有している。
そして、陰極15における電子注入導電層15aは、下面発光型と同様に仕事関数の低いアルカリ金属またはアルカリ土類金属で形成され、その上層に配置される保護導電層15bは、上面側から光を取り出すために光透過性を有するITO等の透明導電膜やマグネシウム銀合金等(MgAg合金)で形成される。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような高分子系の有機EL素子11を備えた上面発光型の表示装置では、高分子系の有機EL材料からなる発光層14bを有することから、低分子系の有機EL材料からなる場合と比較して、電子注入導電層15aから発光層14bへの電子注入効率を高める必要があり、電子注入導電層15aを一定以上の膜厚にする必要があった。
しかし、電子注入導電層15aはアルカリ金属またはアルカリ土類金属で形成されており、アルカリ金属またはアルカリ土類金属は膜厚が厚くなると光吸収性が大きくなることから、電子注入導電層15aの光透過性が悪くなり、有機EL素子11の発光効率および発光強度が低下するという問題が生じていた。
逆に、光透過性を十分に得るために電子注入導電層15aの膜厚を薄くした場合においても、発光層14bへの電子注入効果が十分に得られず、有機EL素子11の発光効率および発光強度が低下するという問題があった。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上述したような課題を解決するために、本発明の表示装置は、陽極と陰極との間に高分子系の有機電界発光材料からなる発光層を有する有機層が挟持されており、陰極が、有機層側に設けられた電子注入導電層と、電子注入導電層上に設けられた保護導電層とを有する表示装置であって、電子注入導電層がアルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくとも一方の酸化物で形成されていることを特徴としている。
【0021】
このような表示装置によれば、陰極における電子注入導電層がアルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくとも一方の酸化物で形成されている。
このようなアルカリ金属またはアルカリ土類金属の酸化物は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属と比較して高い光透過性を有し、かつアルカリ金属またはアルカリ土類金属と同等の電子注入効果を有する。
これにより、高分子系の有機EL発光材料からなる発光層への電子注入効果を得るために、電子注入導電層が十分な膜厚を有して形成されたとしても、高い光透過性を有することから、電子注入導電層での光吸収が抑制される。このため、表示素子の発光効率および発光強度の低下を抑制することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の表示装置に係る実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、ここでは上面発光型の表示装置を例にとって説明することとし、従来技術と同様の構成には同一の番号を付して説明する。
【0023】
図1に示すように、本実施形態における表示装置は、例えばガラス基板にTFTが形成されたTFT基板からなる基板12上に、有機EL素子11が設けられている。
この有機EL素子11は陽極13と陰極15との間に有機層14が挟持されており、基板12上に陽極13、有機層14および陰極15が下層より順に積層された構成となっている。
【0024】
陽極13は例えばCr等の光反射性の良好な金属膜からなり、基板12上にパターン形成されていることとする。
【0025】
また、有機層14は陽極13側から正孔輸送層14a、発光層14bを順次積層させた構成となっている。
正孔輸送層14aは、高分子系有機材料である、例えば下記式(1)に示す化合物Poly(3,4)−Ethylene Dioxy Thiophene(PEDOT)で形成されていることとする。
ここで、一般的に、高分子とは、繰り返し単位を有する分子量10000以上の化合物を指す。
なお、正孔輸送層14aとして、ここではPEDOTを用いることとしたが、本発明はこれに限定されず、他の高分子系有機材料であってもよい。
【化1】
Figure 2004192842
【0026】
また、発光層14bは、例えば下記式(2)に示すPoly[2−Methoxy−5−(2’−EthylHexyloxy)−1,4−PhenyleneVinylene](MEH−PPV)等の高分子系の有機EL材料で構成されていることとする。
なお、ここでは発光層14bがMEH−PPVで構成されることとしたが、本発明はこれに限定されず、下記式(3)に示すPoly[2−methoxy−5−(2’−ethylhexyloxy)−1−CyanoVinylenePhenylene](CN−PPV)、下記式(4)に示すPolyPhenyleneVinylene(PPV)、またはPPV系以外の高分子系の有機EL材料で構成されていてもよい。
【化2】
Figure 2004192842
【0027】
また、発光層14b上には陰極15が形成されており、陰極15は有機層14側から順に、電子注入導電層15aと保護導電層15bとが順次積層された構成とする。
電子注入導電層15aは、仕事関数の低いアルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくとも一方の酸化物で構成されており、ここでは例えば酸化カルシウム(CaO)で構成されていることとする。
【0028】
上記のアルカリ金属としては、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)等が挙げられ、アルカリ土類金属としては、Caの他に、マグネシウム(Mg)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)等が挙げられる。
電子注入導電層15aには上記金属の酸化物が好適に用いられる。また、上記金属の酸化物の混合物であってもよく、上記金属の合金の酸化物でもよい。
上述したようなアルカリ金属およびアルカリ土類金属は反応性が高く、酸化され易い傾向があるが、特にアルカリ金属はアルカリ土類金属と比較して、反応性が高く成膜が困難であることから、アルカリ土類金属の酸化物を用いる方が好ましい。
【0029】
ここでの酸化物とは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属が完全に酸化された状態であっても、部分的に酸化された状態であってもよい。ここで、部分的に酸化された状態とはCaOを例にとると、CaOとした場合、0<x<1で表される状態とする。
ただし、上記の金属の酸化率が高い方が光透過性を向上させることができるため、好ましい。
【0030】
この電子注入導電層15aの膜厚は、高分子系の有機EL材料からなる発光層14bへの電子注入効果が十分に得られる膜厚以上であり、かつ光透過性が十分に得られる膜厚以下で形成されることとする。
具体的には5nm〜50nmが好ましく、20nm〜30nmであれば、さらに好ましい。
【0031】
また、電子注入導電層15a上には、例えばMg:Agが10:1で構成されるMgAg合金からなる保護導電層15bが形成されている。
ここでの保護導電層15bは、良好な導電性を示し、かつ光透過性も有する導電性材料で構成されている。また、保護導電層15bは上記電子注入導電層15aの反応性が高いことから、その腐食を防ぐための保護膜としての機能も有している。
【0032】
ここでは、保護導電層15bにMgAg合金が用いられることとしたが、本発明はこれに限定されず、導電性が良好で光透過性を有し、かつ電子注入導電層15aの腐食を防止可能な材質であればよく、ITO、酸化亜鉛、インジウム亜鉛酸化物等の導電性酸化物、アルミニウム(Al)であってもよい。
ただし、本実施形態の表示装置では、陰極15側から発光光hを取り出すことから、保護導電層15bは光透過性に優れた材料であることが好ましく、上記の導電性酸化物、MgAg合金を用いることが好ましい。
【0033】
上記のような構成の有機EL素子11は、陽極13と陰極15における保護導電層15bとの間で発光層14bから生じた発光光hを共振させる共振器構造をとる。この共振器構造によって共振波長の光だけを増強し、ピークが高く幅の狭いスペクトルを有する光を取り出せるようにすることで、出射する光の色再現範囲を拡大し得るようにしている。
【0034】
このような共振器構造における共振波長を適正化するため、上述した保護導電層15bは2層であってもよく、この場合には、例えば電子注入導電層15a上にMgAg合金層を形成し、MgAg合金層上にITO層を形成して、保護導電層15bとする。
【0035】
このような表示装置の製造方法としては、まず、TFT基板からなる基板12上にCrからなる陽極13をパターン形成した後、陽極13表面の清浄化処理を行う。
次に、スピンコーター等により例えばPEDOT懸濁液を陽極13上に塗付した後、加熱乾燥して正孔輸送層14aを形成する。
【0036】
続いて、スピンコーター等により正孔輸送層14a上に、例えばMEH−PPV溶液を塗付した後、乾燥させて、溶媒の除去を行い、発光層14bを形成する。
【0037】
その後、真空蒸着法により例えばアルカリ土類金属であるCaを発光層14b上に蒸着した後、微量の酸素(O)、例えば1ppmのOを含有する窒素ガス等の不活性ガスを導入し、真空を解除した状態で保持し、Caの酸化処理を行うことで、CaOからなる電子注入導電層15aを形成する。
【0038】
なお、ここではCaを蒸着した後、微量のOを含有する不活性ガスに曝すことでCaの酸化処理を行うこととしたが、本発明はこれに限定されず、大気中の水分の影響を防ぐことができれば、Caを蒸着した後、大気中に曝してCaO層を形成してもよい。
また、CaOをそのまま蒸着させてもよく、また、反応性スパッタリングによりCaとOとを反応させて、CaO層を形成してもよい。
【0039】
次に、電子注入導電層15a上に、例えばMgとAgの比率が10:1となるように共蒸着を行い、MgAg合金膜からなる保護導電層15bを形成することで、基板12上に有機EL素子11を形成する。
その後、封止用ガラスからなる基板(図示省略)を保護導電層15b上に載置し、封止用樹脂により有機EL素子11を封止して、表示装置を得る。
【0040】
このような表示装置によれば、陰極15における電子注入導電層15aがアルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくとも一方の酸化物で形成されている。
このようなアルカリ金属またはアルカリ土類金属の酸化物は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属と比較して、高い光透過性を有し、かつアルカリ金属またはアルカリ土類金属と同様の電子注入効果を有する。
【0041】
これにより、電子注入導電層15aが高分子系の有機EL材料からなる発光層14bへの電子注入効果を得るために十分な膜厚を有して形成されたとしても、高い光透過性を有することから、電子注入導電層15aでの光吸収が抑制される。
したがって、有機EL素子11の発光効率および発光強度の低下を抑制することができ、光取り出し効率に優れた有機ELディスプレイを得ることができる。
また、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の酸化処理は、特に新規な設備を必要としないため、生産性にも優れている。
【0042】
なお、本実施形態では上面発光型の表示装置を例にとり説明したが、本発明はこれに限定されず、陽極13側と陰極15側との両方から発光光hを取り出す両面発光型の表示装置、また、陽極13側から発光光hを取り出す下面発光型の表示装置にも適用可能である。
【0043】
両面発光型の表示装置では、陽極13にITO膜等の光透過性を有する導電膜を用いることで、発光層14bで生じた発光光hが下面側となる陽極13を透過し、上面側となる陰極15を発光光hが透過する際、電子注入導電層15aでの光吸収が抑制される。
また、下面発光型の表示装置では、保護導電層15bに光反射性を有する導電膜を用い、陽極13に光透過性を有する導電膜を用いることにより、発光層14bで生じた発光光hが直接陽極13を透過するとともに、発光光hが保護導電層15bに反射される前後に電子注入導電層15aを透過する際、電子注入導電層15aでの光吸収が抑制される。
【0044】
したがって、両面発光型および下面発光型の表示装置であっても、発光効率および発光強度の低下を抑制することができる。
ただし、上面発光型の表示装置であれば、基板12に形成されるTFTの影響を受けることなく、画面輝度を向上させることができるため、より好ましい。
【0045】
また、本実施形態では、基板12上に陽極13が設けられた構成の表示装置について説明したが、基板12上に陰極15の保護導電層15bが設けられ、陰極15側が下面側となる構成、すなわち図1を用いて説明した有機EL素子11が図面上上下反対となるように形成された表示装置であっても本発明は適用可能である。
【0046】
この場合においても、陰極15側のみから光を取り出す下面発光型、陽極13側と陰極15側の両方から光を取り出す両面発光型、陽極13側のみから光を取り出す上面発光型の表示装置に本発明を適用することができる。
下面発光型の場合には、陽極13に光反射性を有する導電膜を用い、保護導電層15bに光透過性を有する導電膜を用いることで、発光光hが直接または陽極13に反射されて陰極15を透過する際、電子注入層15aでの光吸収が抑制される。
【0047】
また、両面発光型の場合には、陽極13と保護導電層15bとに光透過性を有する導電膜を用いることで、発光層14bで生じた発光光hが上面側となる陽極13を透過し、下面側となる陰極15を発光光hが透過する際、電子注入層15aでの光吸収が抑制される。
【0048】
さらに上面発光型の場合には、陽極13に光透過性を有する導電膜を用い、保護導電層15bに光反射性を有する導電膜を用いることで、発光層14bで生じた発光光hが上面側となる陽極13を透過するとともに、発光光h’が下面側となる保護導電層15bに反射される前後で電子注入導電層15aを透過する際、電子注入導電層15aでの光吸収が抑制される。
【0049】
したがって、陰極15が下面側となるように構成された表示装置であっても、本発明を適用することにより、電子注入導電層15aでの光吸収を抑制することができ、発光効率および発光強度の低下を抑制することができる。
【0050】
【実施例】
次に、実施例を用いて本発明の表示装置を具体的に説明する。
上記の実施形態で説明した上面発光型の表示装置(実施例1)を作成し、従来の上面発光型の表示装置(比較例1)および下面発光型の表示装置(比較例2)に対するその発光効率と発光強度を比較した。
【0051】
(実施例1)
本発明の表示装置を次のような製造方法で製造した。
まず、図1に示すように、基板12上にCrからなる陽極13をパターン形成した後、UVオゾン洗浄機を用いて、陽極13表面の清浄化処理を行った。
次に、スピンコーターによりPEDOT懸濁液を陽極13上に塗付し、120℃で10分間加熱することで、乾燥させて膜厚60nmの正孔輸送層14aを形成した。
【0052】
続いて、スピンコーターにより正孔輸送層14a上に、MEH−PPV溶液を塗付し、ホットプレートを用いて70℃で2時間乾燥した後、さらに減圧オーブンで1時間の溶媒除去を行って、膜厚80nmの発光層14bを形成した。
【0053】
その後、真空蒸着法によりCaを発光層14b上に30nm蒸着した後、真空蒸着装置のチャンバ内に1ppmの酸素を含有する窒素ガスを導入し、真空を解除した状態で10分間保持し、Caの酸化処理を行って、CaOからなる電子注入導電層15aを形成した。
【0054】
次に、電子注入導電層15a上に、MgとAgの比率が10:1となるように共蒸着を行い、MgAg合金膜からなる膜厚10nmの保護導電層15bを形成し、有機EL素子11を得た。
その後、封止用ガラスからなる基板(図示省略)を保護導電層15b上に載置し、エポキシ樹脂からなる封止用樹脂により有機EL素子11を封止した。
このようにして、本発明の表示装置を製造した。
【0055】
(比較例1)
また、上記の実施例に対する比較例として、電子注入導電層15aのCaの酸化処理を行わずに、Caを蒸着した層を電子注入導電層15aとし、他の工程は同様に行うことで、表示装置を製造した。
【0056】
(比較例2)
また、従来の下面発光型の表示装置を次のような方法で製造した。
この表示装置は、実施例における陽極13について、光反射性を有するCr膜の代わりに、光透過性を有するITO膜を用い、同じ膜厚で形成する工程以外は、実施例と同様に発光層14bまでを形成した。
【0057】
その後、真空蒸着法によりCaを発光層14b上に30nm蒸着して電子注入導電層15aを形成し、電子注入導電層15a上にAlからなる導電性材料を100nmの膜厚で蒸着して、保護導電層15bを形成した。
その後、実施例と同様に封止用ガラスからなる基板(図示省略)を保護導電層15b上に載置し、エポキシ樹脂からなる封止用樹脂により有機EL素子11を封止して表示装置を製造した。
【0058】
表1に上記実施例および比較例1、2で得られた表示装置の発光効率および発光強度を示す。
【表1】
Figure 2004192842
【0059】
表1に示すように、本実施例の上面発光型の表示装置は、電子注入導電層15aにアルカリ土類金属であるCaの酸化物を用いることで、電子注入導電層15aにCaを用いた比較例1の上面発光型の表示装置と比較して、発光効率および発光強度が顕著に向上することが認められた。
また、比較例2における、発光効率および発光強度に優れた従来の下面発光型の表示装置と比較しても、ほぼ同等の発光効率および発光強度を示すことが認められた。
【0060】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明の表示装置によれば、陰極における電子注入導電層がアルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくとも一方の酸化物で形成されていることから、アルカリ金属またはアルカリ土類金属と比較して高い光透過性を有し、かつアルカリ金属またはアルカリ土類金属と同等の電子注入効果を有する。
これにより、高分子有機EL材料からなる発光層への電子注入効果を得るために電子注入導電層が十分な膜厚を有して形成されたとしても、高い光透過性を有することから、電子注入導電層での光吸収が抑制される。
したがって、表示素子の発光効率および発光強度の低下を抑制することができ、光取り出し効率の高い表示装置を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表示装置に係る実施の形態を説明するための断面図である。
【図2】従来の技術における表示装置を説明するための断面図である。
【符号の説明】
11…有機EL素子、12…基板、13…陽極、14…有機層、14b…発光層、15…陰極、15a…電子注入導電層、15b…保護導電層

Claims (3)

  1. 陽極と陰極との間に高分子系の有機電界発光材料からなる発光層を有する有機層が挟持されており、前記陰極が、前記有機層側に設けられた電子注入導電層と、当該電子注入導電層上に設けられた保護導電層とを有する表示装置であって、
    前記電子注入導電層がアルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくとも一方の酸化物で形成されている
    ことを特徴とする表示装置。
  2. 前記電子注入導電層の膜厚が5nm以上50nm以下であることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
  3. 基板上に前記陽極、前記有機層および前記陰極が下層より順に積層されており、
    前記発光層で生じた発光光が前記陰極側から取り出される
    ことを特徴とする請求項1記載の表示装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006164905A (ja) * 2004-12-10 2006-06-22 Dainippon Screen Mfg Co Ltd 有機el表示装置を製造するための塗布装置
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