JP2004190759A - 低温配管の支持構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】インバー製の低温配管3を支持する支持構造1における架台2は断面半円状の下部外殻14と上部外殻13を備え、配管3に発生する軸力及び軸力と直交方向の力を架台で拘束する第1拘束機構20に介装される第1断熱材21a,21b,22a,22b と、配管3に発生する軸方向回りの回転力を前記架台で拘束する第2拘束機構30に介装される第2断熱材34a,34b,35a,35b を、積層方向と積層方向に直交する方向の双方に約100MPa以上の圧縮強度を有する高強度積層断熱材で構成し、配管3と上下の外殻13,14との間の複数の空隙部に発泡充填される第1保冷用発泡断熱材41と、上下の外殻13,14の外周面を覆う第2保冷用発泡断熱材42とを設けた。
【選択図】 図6
Description
【発明の属する技術分野】本発明は、基礎構造に固定された架台により断熱材を介して低温配管を拘束支持する支持構造に関し、高強度積層断熱材と保冷用発泡断熱材とを適宜使い分けることで小形化を図ったものに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、LNG のような低温流体を輸送する配管(低温配管)は、通常SUS304などのオーステナイト系ステンレス鋼で作られて来た。このステンレス鋼は熱膨張が大きいため、配管の温度変化に対する膨張、収縮が大きくなる。そのため、この種の低温配管では、配管の膨張や収縮を吸収する為に、配管を平面視にてコ字状やU字状に迂回させた所謂「ループ管」が低温配管の経路の途中に適当間隔おきに複数設置される。
しかし、前記のループ管を設置するには、低温配管の溶接継手の数が増し、ループ管の材料費が増し、ループ管を配設するスペースが必要となり、ループ管内を流れる低温流体の圧力損失が大きくなる、等の問題がある。特に、トンネル内に敷設する低温配管の場合、トンネル内にループ管の為のスペースをとる必要があり、トンネルの掘削費用が非常に高価になる。
【0003】
そこで、特許文献1に示すように、最近では、LNG 用の低温配管に、小さな熱膨張率をもつインバーと称する36%Ni鋼を採用することが検討されている。この36%Ni鋼製の低温配管の熱膨張率は、SUS304の熱膨張率の約1/10程度の大きさであるため、ループ管が省略可能となる。しかし、この低温配管の場合には、低温配管を基礎構造に支持する支持構造を適当間隔おきに設け、この支持構造において、膨張や収縮により低温配管に発生する軸力、この軸力と直交方向の力を強力に拘束する必要がある。
【0004】
前記公報には、基礎構造に固定された架台により断熱材を介して低温配管を拘束支持する支持構造が記載されている。この支持構造では、架台は半円状断面の下部外殻および上部外殻を有し、配管に発生する軸力及び軸力と直交方向の力を架台で拘束する第1拘束機構と、配管に発生する軸方向回りの回転力を架台で拘束する第2拘束機構とが設けられている。
この第1、第2拘束機構に夫々断熱材ブロックが介装され、これら断熱材ブロックを介して力の伝達や拘束を行うようになっている。そして、これら断熱材ブロックは高強度発泡ウレタン樹脂や木質系の断熱材などの高強度断熱材で構成される。また、この支持構造においては、上下の外殻が外界へ露出する状態に構成される。
【特許文献1】特開平11−108249号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記公報の低温配管の支持構造においては、前記断熱材ブロックとして用いる高強度発泡ウレタン樹脂の圧縮強度は、最大でも10MPa程度であるから、断熱材ブロックのサイズは、断熱性能から決定するというよりも、圧縮強度から決定することになり、必要な圧縮強度を確保する為に断熱材ブロックを小形化することが難しく、発泡ウレタン樹脂等の断熱材ブロックを採用する限り、支持構造が大形化し、支持構造を小形化するには限界がある。
前記支持構造が大形化し断熱材ブロックが大形化すると、支持構造の上下の外殻や内部の諸部材も大型化し、支持構造の製作費が高価になる。また、低温配管の専有スペースも大きくなり、架台を介して基礎構造に作用する荷重も大きくなる。しかも、上下の外殻が外界へ露出する状態に構成されているため、上下の外殻を介して外界から低温配管側へ熱が伝達しやすく、その熱伝達を少なくする為に断熱材ブロックが大形化するという問題もある。
【0006】
そこで、本願発明者等は、発泡ウレタン樹脂より大きな圧縮強度を有する断熱材ブロックを採用することも検討して来た。しかし、断熱材は圧縮強度が増す程、断熱性能が低下するうえ、断熱材ブロックを小形化する程、熱の伝達が生じやすくなるので、低温配管の支持構造の断熱性能を確保することが困難になる。
本発明の目的は、低温配管の支持構造を小形化し製作費を低減すること、断熱性能を確保すること、などである。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1の低温配管の支持構造は、基礎構造に固定された架台により断熱材を介して低温配管を拘束支持する支持構造において、前記架台は半円状断面の下部外殻および上部外殻を備え、前記配管に発生する軸力及び軸力と直交方向の力を架台で拘束する第1拘束機構に介装される第1断熱材と、配管に発生する軸方向回りの回転力を前記架台で拘束する第2拘束機構に介装される第2断熱材とを、積層方向と積層方向に直交する方向の双方に約100MPa以上の圧縮強度を有する高強度積層断熱材で構成し、前記配管と上下の外殻との間の複数の空隙部に発泡充填される第1保冷用発泡断熱材と、上下の外殻の外周面を覆う第2保冷用発泡断熱材とを設けたものである。
【0008】
配管に発生する軸力及び軸力と直交方向の力を架台で拘束する第1拘束機構に介装される第1断熱材と、配管に発生する軸方向回りの回転力を前記架台で拘束する第2拘束機構に介装される第2断熱材とを、積層方向と積層方向に直交する方向の双方に約100MPa以上の圧縮強度を有する高強度積層断熱材で構成したので、第1、第2断熱材を発泡ウレタン等で構成する場合に比較して、第1、第2断熱材を著しく小形化することができ、架台の上下の外殻およびその付属の部材を著しく小形化することができ、配管の専有スペースを格段に小さくすることができる。
ここで、第1、第2断熱材に約100MPa以上の圧縮強度を持たせることで、支持構造を十分に小形化することができるが、約100MPa未満の圧縮強度ではその小形化の効果を十分に発揮させることが難しい。
【0009】
前記のように支持構造を小形化する場合、また、第1、第2断熱材を高強度積層断熱材で構成する場合、それらを発泡ウレタン等で構成する場合に比較して、断熱性能がかなり低下することになる。しかし、配管と上下の外殻との間の複数の空隙部に発泡充填される第1保冷用発泡断熱材と、上下の外殻の外周面を覆う第2保冷用発泡断熱材とを設けるため、断熱性能の低下を確実に補うことができる。
【0010】
請求項2の低温配管の支持構造は、請求項1の発明において、前記第1拘束機構が、上下の外殻の内面側に軸方向に間隔をあけて固定的に設けられた複数の拘束部材と、複数の拘束部材の間で配管の外面に固定的に設けられた被拘束部材とを有するものである。配管に発生する軸力は、被拘束部材から第1断熱材に伝達されて上下の外殻に設けられた拘束部材で支持され、配管に発生する軸力と直交する方向の力は、第1断熱材を介して上下の外殻で支持される。このように、配管が上下の外殻に第1断熱材を介して接触し、配管に発生する力を拘束する構造にすることができる。
【0011】
請求項3の低温配管の支持構造は、請求項1又は2の発明において、前記第2拘束機構が、上下の外殻に周方向に間隔をあけて固定的に設けられた複数の回転拘束部材と、複数の回転拘束部材の間で配管の外面に固定的に設けられた被回転拘束部材とを有するものである。そのため、配管に発生する回転力は、配管に設けられた被回転拘束部材から第2断熱材を介して上下の外殻に設けられた回転拘束部材に伝達されて配管が回転拘束される。
【0012】
請求項4の低温配管の支持構造は、請求項1〜3の何れかにおいて、前記高強度積層断熱材が、複数の木板を接着性強化剤と共に積層し圧縮成形して硬化させた構造の木質基材積層硬化断熱材からなることを特徴とするものである。
複数の木板を接着性強化剤と共に積層し圧縮成形して硬化させた構造の木質基材積層硬化断熱材は、積層方向と積層方向に直交する方向の双方に約100MPa以上の圧縮強度を有し、必要な断熱性能を有する。
【0013】
請求項5の低温配管の支持構造は、請求項1〜3の何れかにおいて、前記高強度積層断熱材が、複数の織布又は不織布を接着性強化剤と共に積層し圧縮成形して硬化させた構造の繊維基材積層硬化断熱材からなることを特徴とするものである。繊維基材積層硬化断熱材は、積層方向と積層方向に直交する方向の双方に約100MPa以上の圧縮強度を有し、必要な断熱性能を有する。
【0014】
請求項6の低温配管の支持構造は、請求項1〜5の何れかにおいて、前記配管と被拘束部材と被回転拘束部材を構成する鋼材料が、インバーであることを特徴とするものである。インバー製の配管とするため、配管の膨張、収縮が小さいため、配管の途中に膨張と収縮を吸収するためのループ管を設ける必要がない。また、配管に固定的に設ける被拘束部材と被回転拘束部材を配管と同じインバーで構成するため、それら部材を配管に溶接する場合に配管に悪影響を及ぼすことがない。
【0015】
請求項7の低温配管の支持構造は、請求項1〜6の何れかにおいて、前記架台の上下の外殻と拘束部材と回転拘束部材を構成する鋼材料が、ステンレス鋼であることを特徴とするものである。前記架台の上下の外殻と拘束部材と回転拘束部材にも冷熱が伝達されるため、低温下の強度、靱性に優れるステンレス鋼で構成するものとする。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。本実施形態は、LNGなどの低温流体を流す低温配管を支持する支持構造に本発明を適用した場合の例である。
図1〜9に示すように、この低温配管の支持構造1は、基礎構造に固定された架台2により断熱材を介して低温配管3(以下、配管という)を拘束支持する支持構造である。配管3はインバーと称される36%Ni鋼製の管であり、この配管3に溶接される諸部材もインバーと称される36%Ni鋼製である。
【0017】
架台2は、コンクリートの基礎構造に埋設状に固定される普通鋼製の固定構造11と、この固定構造11上に溶接されたSUS304製の脚部構造12と、この脚部構造12に溶接された半円状断面の下部外殻14と、配管3に被せた状態にして下部外殻14に溶接される半円状断面の上部外殻13を備えている。上下の外殻13,14とこれらに溶接される付属部材はSUS304製である。尚、架台2の脚部構造12が、コンクリートの基礎構造に固定された固定構造11ではなく、配管ラックに固定される場合もある。
【0018】
支持構造1は、前記の架台2と、膨張や収縮により配管3に発生する軸力及び軸力と直交方向の力を架台2で拘束する第1拘束機構20と、配管3に発生する軸方向回りの回転力を架台2で拘束する第2拘束機構30と、第1拘束機構20に介装される第1断熱材21a、21b、22a、22bと、第2拘束機構30に介装される第2断熱材34a、34b、35a、35bと、配管3と上下の外殻13,14との間の複数の空隙部に発泡充填される第1保冷用発泡断熱材41と、上下の外殻13、14の外周面を覆う第2保冷用発泡断熱材42とを有する。第1,第2断熱材21a〜22b,34a〜35bは、積層方向と積層方向に直交する方向の双方に約100MPa以上の圧縮強度を有する高強度積層断熱材で構成されている。
【0019】
第1拘束機構20は、下部外殻14の内面側に軸方向に間隔をあけて溶接された半環状の1対の拘束部材23,24と、これら拘束部材23,24に対応する位置で上部外殻13の内面側に溶接された半環状の1対の拘束部材25, 26と、上下の外殻13,14の内側において配管3の外周面に溶接にて固定された36%Ni鋼製の補強筒27と、前記の拘束部材23,24,25, 26の間で補強筒27の外周面に溶接された環状の被拘束部材28と、下側の拘束部材23,24と被拘束部材28との間に夫々挟着されたほぼ半環状(160度円弧状)の第1断熱材21b,22bと、上側の拘束部材25,26と被拘束部材28との間に夫々挟着されたほぼ半環状(160度円弧状)の第1断熱材21a, 22aとを有する。
【0020】
下側の拘束部材23,24は、半環状板23a, 24aとこの半環状板23a, 24aを補強する複数のリブ23b, 24bとを含む。上側の拘束部材25, 26は、半環状板25a, 26aとこの半環状板25a, 26aを補強する複数のリブ25b, 26bとを含む。半環状板23a, 24a,25a, 26aは補強筒27の外周面に接触しないように構成されている。被拘束部材28は、1対の環状板28aとこれら環状板28aを補強する複数のリブ28bを含み、これらは補強筒27に溶接されている。環状板28aとリブ28bは上下の外殻13,14に接触しないように構成されている。環状板28aとリブ28bは36%Ni鋼製である。
【0021】
第1断熱材21a, 21b, 22a, 22bは、断熱機能の他に、配管3の膨張や収縮により配管3に発生する軸力(軸方向の力)および軸力と直交方向の力を、架台2で拘束するために上下の外殻13,14に伝達する機能を果たすもので、下側の各第1断熱材21b, 22bは、補強筒27と下部外殻14と環状板28aと半環状板23a, 24aとに面接触している。上側の各第1断熱材21a, 22aは、補強筒27と上部外殻13と環状板28aと半環状板25a、26aとに面接触している。
【0022】
第1断熱材21a, 21b, 22a, 22bは、約100MPa以上の圧縮強度を有する高強度積層断熱材で構成されている。この高強度積層断熱材として、複数の2mm 程度の厚さの木板を合成樹脂製の接着性強化剤(例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、等々)と共に積層し圧縮成形して硬化させた構造の木質基材積層硬化断熱材を用いるものとする。この種の木質基材積層硬化断熱材の特性に関して、積層方向の圧縮強度が約200MPa以上、積層方向と直交する方向の圧縮強度が約100MPa以上である。
【0023】
但し、前記高強度積層断熱材として、複数の織布又は不織布を合成樹脂製の接着性強化剤(例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、等々)と共に積層し圧縮成形して硬化させた構造の繊維基材積層硬化断熱材を用いてもよい。織布又は不織布の繊維は、綿、ガラス繊維、又は炭素繊維などが採用される。この繊維基材積層硬化断熱材は、前記の木質基材積層硬化断熱材と同等の圧縮強度特性を有する。
【0024】
第2拘束機構30は、上下の外殻13,14の軸方向の両端側に夫々設けられる。各第2拘束機構30は、下部外殻14の下端付近部分に周方向に間隔をあけて配置され下部外殻14と半環状板23a, 24aに溶接された1対の回転拘束部材31a, 31bと、上部外殻13の上端付近部分に周方向に間隔をあけて配設され上部外殻13と半環状板25a, 26aに溶接された1対の回転拘束部材32a, 32bと、1対の回転拘束部材31a, 31bの中間に位置するように補強筒27の外面に溶接された被回転拘束部材33aと、1対の回転拘束部材32a, 32b の中間に位置するように補強筒27の外面に溶接された被回転拘束部材33bと、1対の回転拘束部材31a, 31bと被回転拘束部材33aの間に夫々挟着された1対の第2断熱材34a, 34bと、1対の回転拘束部材32a, 32bと被回転拘束部材33bの間に夫々挟着された1対の第2断熱材35a, 35bとを有する。
【0025】
1対の第2断熱材34a, 34bの各々は被回転拘束部材33aと回転拘束部材31a, 31bに面接触しており、1対の第2断熱材35a, 35bの各々は被回転拘束部材33bと回転拘束部材32a, 32bに面接触している。これら第2断熱材34a, 34b,35a, 35bも、前記の第1断熱材21a, 21b, 22a, 22bと同様に木質基材積層硬化断熱材で構成されているが、前記繊維基材積層硬化断熱材で構成してもよい。
【0026】
配管3と上下の外殻13,14との間には、複数の空隙部があり、これら空隙部に発泡充填された第1保冷用発泡断熱材41が設けられる。被拘束部材28の1対の環状板28aの間の複数の空隙部や上下の第1断熱材21a, 21b, 22a, 22b間の空隙部には、上下の外殻13,14に開けた小孔(図示略)から2液のウレタン発泡剤を注入することで発泡させる。上下の外殻13,14の両端部を仮の塞ぎ板で塞いだ状態にして、2液のウレタン発泡剤を注入することにより、配管3と上下の外殻13,14と半環状板23a, 24a, 25a, 26aとの間の複数の空隙部に発泡させる。
【0027】
更に、上下の外殻13,14の外周側を保冷する為に、上下の外殻13,14の外周面を覆う第2保冷用発泡断熱材42が設けられる。この第2保冷用発泡断熱材42は例えば厚さ約60〜100mm程度のウレタン発泡体で構成される。この第2保冷用発泡断熱材42は、配管3のその他の部分(支持構造1で支持されない部分)の外周面に装着される保冷材43と隙間なく接続され、必要に応じたバンド等により固定される。
【0028】
次に、上記の支持構造1の作用、効果について説明する。
膨張や収縮により配管3に軸力や軸力と直交する方向の力が発生すると、第1断熱材21a, 21b, 22a, 22bを介して第1拘束機構20で拘束支持される。配管3に回転力が発生すると、第2断熱材34a, 34b,35a, 35bを介して第2拘束機構30で拘束支持される。
【0029】
配管3に発生する軸力及び軸力と直交方向の力を架台2で拘束する第1拘束機構20に介装される第1断熱材21a, 21b, 22a, 22bと、配管3に発生する軸方向回りの回転力を架台2で拘束する第2拘束機構30に介装される第2断熱材34a, 34b,35a, 35bを、約100MPa以上の圧縮強度を有する高強度積層断熱材で構成したので、第1、第2断熱材21a〜22b,34a〜35bを発泡ウレタン等で構成する場合に比較して、第1、第2断熱材21a〜22b,34a〜35bを著しく小形化することができ、架台2の上下の外殻13,14およびその付属の部材を著しく小形化することができ、配管3の専有スペースを格段に小さくすることができる。
【0030】
このように支持構造1が小形化すると、また、第1、第2断熱材21a〜22b,34a〜35bを高強度積層断熱材で構成すると、それらを発泡ウレタン等で構成する場合に比較して、断熱性能がかなり低下することになる。しかし、配管3と上下の外殻13,14との間の複数の空隙部に発泡充填される第1保冷用発泡断熱材41と、上下の外殻13,14の外周面を覆う第2保冷用発泡断熱材42とを設けるため、断熱性能の低下を確実に補うことができる。
【0031】
ここで、前記実施形態を部分的に変更する例について追加的に説明する。
1〕前記実施形態では、第2拘束機構30を上下の外殻13,14の両端側に夫々設けたが、何れか片方に設けてもよい。
2〕前記第1断熱材21a,21b,22a,22bは、前記のような半環状(約160度円弧状)のもの以外に、夫々、一体又は分離された複数の断熱材からなる構造にしてもよい。
3〕前記低温配管3はLNGを輸送する配管であるが、LNGに限らずLPGを輸送する配管でもよい。また、配管3を構成する鋼種は、インバーと称される36%Ni鋼に限定されず、30〜45%のNiを含むFe−Ni系の合金鋼であってもよい。
4〕その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であることは勿論である。
【0032】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、配管に発生する軸力及び軸力と直交方向の力を架台で拘束する第1拘束機構に介装される第1断熱材と、配管に発生する軸方向回りの回転力を前記架台で拘束する第2拘束機構に介装される第2断熱材を、積層方向と積層方向に直交する方向の双方に約100MPa以上の圧縮強度を有する高強度積層断熱材で構成したので、第1、第2断熱材を発泡ウレタン等で構成する場合に比較して、第1、第2断熱材を著しく小形化することができ、架台の上下の外殻およびその付属の部材を著しく小形化することができ、配管の専有スペースを格段に小さくすることができる。
【0033】
前記のように支持構造が小形化すると、また、第1、第2断熱材を高強度積層断熱材で構成すると、それらを発泡ウレタン等で構成する場合に比較して、断熱性能がかなり低下することになる。しかし、配管と上下の外殻との間の複数の空隙部に発泡充填される第1保冷用発泡断熱材と、上下の外殻の外周面を覆う第2保冷用発泡断熱材とを設けるため、断熱性能の低下を確実に補うことができる。
【0034】
請求項2の発明によれば、配管に発生する軸力は、被拘束部材から第1断熱材に伝達されて上下の外殻に設けられた拘束部材で支持され、配管に発生する軸力と直交する方向の力は、第1断熱材を介して上下の外殻で支持される。このように、配管が上下の外殻に第1断熱材を介して接触し、配管に発生する力を拘束する構造にすることができる。
【0035】
請求項3の発明によれば、配管に発生する回転力は、配管に設けられた被回転拘束部材から第2断熱材を介して上下の外殻に設けられた回転拘束部材に伝達されて配管が回転拘束される。
請求項4の発明によれば、前記高強度積層断熱材が複数の木板を接着性強化剤と共に積層し圧縮成形して硬化させた構造の木質基材積層硬化断熱材で構成されるが、この木質基材積層硬化断熱材は、積層方向と積層方向に直交する方向の双方に約100MPa以上の圧縮強度を有し、必要な断熱性能を有する。
【0036】
請求項5の発明によれば、前記高強度積層断熱材が、複数の織布又は不織布を接着性強化剤と共に積層し圧縮成形して硬化させた構造の繊維基材積層硬化断熱材で構成されるが、この繊維基材積層硬化断熱材は、積層方向と積層方向に直交する方向の双方に約100MPa以上の圧縮強度を有し、必要な断熱性能を有する。
【0037】
請求項6の発明によれば、配管と被拘束部材と被回転拘束部材を構成する鋼材料が、インバーであるため、配管の膨張、収縮が小さいから、配管の途中に膨張と収縮を吸収するためのループ管を設ける必要がない。また、配管に固定的に設ける被拘束部材と被回転拘束部材を配管と同じインバーで構成するため、それら部材を配管に溶接する場合に配管に悪影響を及ぼすことがない。
【0038】
請求項7の発明によれば、前記架台の上下の外殻と拘束部材と回転拘束部材を構成する鋼材料が、ステンレス鋼であるため、架台の上下の外殻と拘束部材と回転拘束部材に冷熱が伝達された場合にも、低温下の強度、靱性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る低温配管の支持構造における配管の要部側面図である。
【図2】図1のII−II 線断面図である。
【図3】図1のIII−III 線断面図である。
【図4】架台の断面図である。
【図5】図4のV矢視図である。
【図6】低温配管の支持構造の縦断面図である。
【図7】図6のVII−VII 線断面図である。
【図8】図6のVIII−VIII 線断面図である。
【図9】図6のIX−IX 線断面図である。
【符号の説明】
1 低温配管の支持機構
2 架台
3 配管
13 上部外殻
14 下部外殻
20 第1拘束機構
21a, 21b, 22a, 22b 第1断熱材
23,24,25, 26 拘束部材
27 補強筒
28 被拘束部材
30 第2拘束機構
31a, 32a 回転拘束部材
33a, 33b 被回転拘束部材
34a, 34b,35a, 35b 第2断熱材
41 第1保冷用発泡断熱材
42 第2保冷用発泡断熱材
43 保冷材
Claims (7)
- 基礎構造に固定された架台により断熱材を介して低温配管を拘束支持する支持構造において、
前記架台は半円状断面の下部外殻および上部外殻を備え、
前記配管に発生する軸力及び軸力と直交方向の力を架台で拘束する第1拘束機構に介装される第1断熱材と、配管に発生する軸方向回りの回転力を前記架台で拘束する第2拘束機構に介装される第2断熱材とを、積層方向と積層方向に直交する方向の双方に約100MPa以上の圧縮強度を有する高強度積層断熱材で構成し、
前記配管と上下の外殻との間の複数の空隙部に発泡充填される第1保冷用発泡断熱材と、上下の外殻の外周面を覆う第2保冷用発泡断熱材とを設けたことを特徴とする低温配管の支持構造。 - 前記第1拘束機構は、上下の外殻の内面側に軸方向に間隔をあけて固定的に設けられた複数の拘束部材と、複数の拘束部材の間で配管の外面に固定的に設けられた被拘束部材とを有することを特徴とする請求項1に記載の低温配管の支持構造。
- 前記第2拘束機構は、上下の外殻に周方向に間隔をあけて固定的に設けられた複数の回転拘束部材と、複数の回転拘束部材の間で配管の外面に固定的に設けられた被回転拘束部材とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の低温配管の支持構造。
- 前記高強度積層断熱材が、複数の木板を接着性強化剤と共に積層し圧縮成形して硬化させた構造の木質基材積層硬化断熱材からなることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の低温配管の支持構造。
- 前記高強度積層断熱材が、複数の織布又は不織布を接着性強化剤と共に積層し圧縮成形して硬化させた構造の繊維基材積層硬化断熱材からなることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の低温配管の支持構造。
- 前記配管と被拘束部材と被回転拘束部材を構成する鋼材料が、インバーであることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の低温配管の支持構造。
- 前記架台の上下の外殻と拘束部材と回転拘束部材を構成する鋼材料が、ステンレス鋼であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の低温配管の支持構造。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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- 2002-12-10 JP JP2002358081A patent/JP2004190759A/ja active Pending
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