JP2004190638A - 燃料供給装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】燃料タンク1内には、正回転時に燃料ポンプとなり逆回転時にエアポンプとなる燃料・エア切換型ポンプ2を設ける。また、燃料吐出配管5には燃料吐出弁6を設け、空気吸込配管7には空気吸込弁8を設ける。そして、エンジンの運転時には、ポンプ2を燃料ポンプとして駆動し、燃料タンク1内の燃料をエンジンに供給する。また、エンジンの停止時には、ポンプ2をエアポンプとして駆動し、燃料タンク1、エバポパージ装置9等の内部圧力を上昇させることにより、この圧力を検出して気密性を診断する。これにより、燃料ポンプとエアポンプとを共通化して装置全体をコンパクトに形成でき、車両への搭載を円滑に行うことができる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車用エンジン等に燃料を供給するのに好適に用いられる燃料供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車等の車両に搭載される燃料供給装置は、例えば燃料タンク内に貯留したガソリン等の燃料を燃料ポンプによってエンジンの本体側に供給するものである。そして、このような燃料供給装置としては、例えば燃料タンク内で蒸発する燃料ガス(エバポガス)をエンジンの吸気側に放出するエバポパージ装置を装着したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−10777号公報
【0004】
この種の従来技術によるエバポパージ装置には、燃料タンクからエンジンの吸気管に至るエバポガスのパージ通路が設けられている。そして、パージ通路の途中には、活性炭等の吸着材が収容されたキャニスタと、該キャニスタとエンジンの吸気管との間でパージ通路を連通,遮断するパージ制御弁と、該パージ制御弁の開弁時にキャニスタ内に大気を導入する大気導入弁とが設けられている。この場合、パージ制御弁と大気導入弁とは、例えばエンジン制御用のコントロールユニット等に接続されている。
【0005】
そして、コントロールユニットは、エンジンの運転状態に応じてパージ制御弁と大気導入弁とを開,閉することにより、燃料タンク内で発生するエバポガスをキャニスタに一旦蓄えつつ、このエバポガスをエンジンの吸気管内に適切なタイミングで放出するものである。
【0006】
ここで、例えばパージ制御弁、大気導入弁等が故障したり、エバポガスのパージ通路等が損傷した場合には、コントロールユニットによりエバポガスの放出を停止した状態でも、エバポガスが大気中に漏れ出る虞れがある。
【0007】
このため、従来技術では、例えばエバポガスのパージ通路にエアポンプ、圧力センサ等を設け、パージ通路の気密性を診断する構成としている。この場合、エアポンプは、例えばキャニスタとパージ制御弁との間でパージ通路の途中部位に接続されている。
【0008】
そして、気密性の診断を行うときには、まずパージ制御弁と大気導入弁とを閉弁することにより、パージ通路を燃料タンクとパージ制御弁との間で閉塞し、この状態でエアポンプを作動させることにより、閉塞された通路内に空気を送込んで圧力を上昇させる。そして、コントロールユニットは、圧力センサを用いて通路内の圧力の変化を検出し、この圧力が短時間で大きく低下するときには、パージ通路に漏れがあるとして故障と診断するものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来技術では、パージ通路の気密性を診断するために、例えばパージ通路の途中にエアポンプ等を設ける構成としている。しかし、エバポパージ機能付きの燃料供給装置は、燃料タンク、燃料ポンプ、キャニスタ、パージ制御弁、大気導入弁等を含めて多数の部品により構成されている。
【0010】
このため、燃料供給装置に気密診断用のエアポンプを追加すると、装置全体の重量や寸法が大きくなり、車両等の小型、軽量化を妨げるばかりでなく、エアポンプにより燃料供給装置のコストアップを招くという問題がある。
【0011】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、燃料供給用や気密診断用のポンプに関連した部品点数を削減でき、装置全体をコンパクトに形成できると共に、コストダウンを実現できるようにした燃料供給装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために請求項1の発明は、内燃機関に供給する蒸発性の燃料を貯留する燃料タンクと、正回転または逆回転可能に形成され正回転するときに前記燃料タンク内の燃料を吸込んで前記内燃機関側に燃料を吐出し逆回転するときに前記燃料タンクの外部の空気を吸込んで前記燃料タンク内に空気を吐出するポンプ手段と、前記ポンプ手段が正回転したときに前記燃料タンク内の燃料を前記内燃機関に向けて吐出するのを許す燃料吐出弁と、前記ポンプ手段が逆回転したときに前記燃料タンクの外部の空気を前記燃料タンク内に吸込むのを許す空気吸込弁とからなる構成を採用している。
【0013】
このように構成することにより、ポンプ手段を正回転させたときには、ポンプ手段を燃料ポンプとして作動させることができる。そして、ポンプ手段により燃料タンク内の燃料を吸込み、この燃料を内燃機関に向けて吐出、供給できるので、内燃機関を運転することができる。
【0014】
また、内燃機関を停止したときには、ポンプ手段を逆回転させることによりエアポンプとして作動させることができる。そして、ポンプ手段により燃料タンクの外部の空気を吸込み、この空気を燃料タンク内に吐出することができる。これにより、例えば燃料タンク内の圧力をポンプ手段によって上昇させることができ、燃料タンクの気密診断等を行うことができる。
【0015】
従って、ポンプ手段によって燃料ポンプとエアポンプとを共通化できるから、例えば気密診断が必要な燃料供給装置等においては、燃料供給と気密診断とをそれぞれ行うために個別のポンプを設ける必要がなくなり、ポンプ等の部品点数を削減することができる。これにより、装置全体の重量や寸法を低減でき、そのコストダウンを促進できると共に、車両等に対して燃料供給装置をコンパクトに搭載することができる。
【0016】
また、請求項2の発明では、内燃機関を停止しているときにポンプ手段を逆回転し燃料タンクの圧力を上昇させて気密性を診断する診断手段を設ける構成としている。
【0017】
これにより、診断手段は、ポンプ手段によって燃料タンク内の圧力を上昇させることができ、その圧力の変化等を検出することにより燃料タンクの気密性を診断することができる。従って、燃料タンクの故障診断を確実に行うことができ、信頼性を高めることができる。
【0018】
また、請求項3の発明では、ポンプ手段を正回転させて内燃機関を運転しているときに連通状態となり燃料タンク内で蒸発する燃料ガスをキャニスタを介して前記内燃機関の吸気側に放出するエバポパージ装置を設け、前記内燃機関を停止しているときに前記ポンプ手段を逆回転させると共に該エバポパージ装置を外部から遮断し前記燃料タンクとエバポパージ装置内の圧力を上昇させて気密性を診断する診断手段を設ける構成としている。
【0019】
これにより、診断手段は、ポンプ手段によって燃料タンクとエバポパージ装置の内部圧力を上昇させることができ、これらの圧力変化等により気密性を診断することができる。従って、エバポパージ機能付き燃料供給装置の故障診断を確実に行うことができ、信頼性を高めることができる。
【0020】
また、請求項4の発明によると、ポンプ手段は燃料タンク内に配置する構成としている。これにより、燃料タンク内の空間を利用してポンプ手段の配置スペースを容易に確保でき、燃料タンクの外部に配置する部品の点数や配置スペースを少なくすることができる。しかも、ポンプ手段は、燃料ポンプとエアポンプとを兼用しているので、これらのポンプを燃料タンク内に個別に配置する場合と比較してタンク容積を十分に確保することができる。
【0021】
従って、燃料タンク、ポンプ手段やこれらに関連した配管等のレイアウト設計を効率よく行うことができる。また、燃料タンクの外側で他の部品の配置スペースを増やすことができるから、例えば車両等の限られた空間を有効に活用することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態による燃料供給装置を、添付図面に従って詳細に説明する。
【0023】
ここで、図1ないし図4は第1の実施の形態を示し、本実施の形態では、自動車等の車両に適用した場合を例に挙げて述べる。
【0024】
1は自動車等の車両に搭載される燃料タンクで、該燃料タンク1は、例えば樹脂材料、金属材料等により気密性を有する密閉容器として形成され、その内部には、例えばガソリン等からなる蒸発性の燃料が貯留されるものである。
【0025】
2は燃料タンク1内に設けられたポンプ手段としての燃料・エア切換型ポンプ(以下、切換型ポンプ2という)で、該切換型ポンプ2は、例えば汎用的な電動ポンプ等からなり、後述の如く吸込口または吐出口となる2個の流通ポート2A,2Bを有している。そして、切換型ポンプ2は、ブラケット3等を用いて燃料タンク1内に取付けられ、後述のコントロールユニット17に接続されている。
【0026】
ここで、切換型ポンプ2は、後述のエンジン本体18に燃料を供給する燃料ポンプと、エバポパージ装置9等の気密診断に用いるエアポンプとを共通化したものであり、燃料および空気の吸込,吐出動作が可能となっている。そして、切換型ポンプ2は、例えばコントロールユニット17から入力される駆動信号の極性等に応じて正方向または逆方向に回転駆動されるものである。
【0027】
この場合、切換型ポンプ2は、図2に示す如く、正方向に回転(正回転)されるときに燃料ポンプとして作動し、例えば下側の流通ポート2Aが燃料の吸込口となり、上側の流通ポート2Bが吐出口となる。このため、流通ポート2Aには、ポンプ2内に吸込まれる燃料を浄化する吸込フィルタ4が接続されている。そして、切換型ポンプ2が正回転しているときには、燃料タンク1内の燃料を流通ポート2Aに吸込み、この燃料を図2中の矢示Aに示す如く流通ポート2Bから燃料吐出配管5に吐出する。
【0028】
また、後述の気密診断処理を行うときには、切換型ポンプ2が逆回転されることによりエアポンプとして作動し、例えば流通ポート2Bが空気の吸込口となり、流通ポート2Aが吐出口となる。これにより、切換型ポンプ2は、燃料タンク1の外部の空気を後述の空気吸込配管7から流通ポート2Bに吸込み、この空気を矢示Bに示す如く流通ポート2Aから燃料タンク1内に吐出する。
【0029】
5は切換型ポンプ2の流通ポート2Bに接続された燃料吐出配管で、該燃料吐出配管5は、例えばブラケット3等を介して燃料タンク1の外部に突出し、その突出端側は、後述の燃料供給パイプ22に接続されている。そして、切換型ポンプ2が燃料ポンプとして作動するときには、その吐出燃料が燃料吐出配管5等を介してエンジン本体18の各噴射弁24に供給される。
【0030】
6は燃料吐出配管5に設けられた例えば逆止弁等からなる燃料吐出弁で、該燃料吐出弁6は、切換型ポンプ2が正回転したときに、ポンプ2から燃料吐出配管5を介してエンジン本体18側に燃料を吐出されるのを許すものである。また、燃料吐出弁6は、切換型ポンプ2がエアポンプとなって空気吸込配管7から空気を吸込むときに、この吸込動作によりエンジン本体18側の燃料が燃料吐出配管5に吸込まれて逆流するのを防止している。
【0031】
7は切換型ポンプ2の流通ポート2Bに燃料吐出配管5と並列に接続された空気吸込配管で、該空気吸込配管7は、例えばブラケット3等を介して燃料タンク1の外部に突出し、その突出端側は外部の空間に開口している。
【0032】
そして、切換型ポンプ2がエアポンプとして作動するときには、燃料タンク1の外部の空気が空気吸込配管7を介してタンク1内に送込まれる。このとき、後述のパージ制御弁13と大気導入弁15とは閉弁しているため、燃料タンク1、エバポパージ装置9等の気密診断を行うことができる。
【0033】
8は空気吸込配管7に設けられた例えば逆止弁等からなる空気吸込弁で、該空気吸込弁8は、切換型ポンプ2が逆回転しているときに、燃料タンク1の外部の空気が空気吸込配管7を介してタンク1内に吸込まれるのを許すものである。また、空気吸込弁8は、切換型ポンプ2が燃料ポンプとなって燃料吐出配管5から燃料を吐出するときに、この吐出燃料が空気吸込配管7を介して外部に流出するのを防止している。
【0034】
9は燃料タンク1と共に車両に搭載されるエバポパージ装置で、該エバポパージ装置9は、後述の配管10,12,14、キャニスタ11、パージ制御弁13、大気導入弁15等を含んで構成されている。
【0035】
そして、エバポパージ装置9は、後述の如くエンジンが予め定められた条件で運転されているときに、燃料タンク1とエンジン本体18の吸気管19との間を連通し、この連通状態では、燃料タンク1内で発生するエバポガスをキャニスタ11を介して吸気管19内に放出するものである。
【0036】
10は燃料タンク1に接続されたタンク側配管で、該タンク側配管10は、一端側がタンク1内の空間に開口し、他端側がキャニスタ11に接続されている。
【0037】
11は例えば活性炭等の吸着材(図示せず)が収容されたキャニスタで、該キャニスタ11は、気密性を有する密閉容器により構成されている。そして、キャニスタ11は、燃料タンク1からタンク側配管10を介して流入するエバポガスを吸着材により吸着し、エバポガスを一時的に蓄えるものである。
【0038】
12はエンジン本体18の吸気管19にエバポガスを流入させるエンジン側配管で、該エンジン側配管12は、一端側がキャニスタ11に接続され、他端側が吸気管19に接続されている。
【0039】
13はエンジン側配管12の途中に設けられた電磁弁等からなるパージ制御弁で、該パージ制御弁13は、その流入ポートがキャニスタ11と接続され、その流出ポートがエンジンの吸気管19に接続されている。また、パージ制御弁13は、コントロールユニット17により開,閉され、エンジン側配管12を連通,遮断するものである。
【0040】
そして、パージ制御弁13の開弁時には、エンジンの運転中に吸気管19内に生じる負圧(吸気負圧)がエンジン側配管12、パージ制御弁13等を介してキャニスタ11側に加わることにより、燃料タンク1内のエバポガスがキャニスタ11等を介して吸気管19内に吸引、放出される。
【0041】
14はキャニスタ11に大気(大気圧)を導入するための大気導入用配管で、該大気導入用配管14は、その一端側が大気中に開口し、その他端側がキャニスタ11に接続されている。
【0042】
15は大気導入用配管14に設けられた電磁弁等からなる大気導入弁で、該大気導入弁15は、例えばコントロールユニット17により開,閉され、大気導入用配管14を連通,遮断する。そして、パージ制御弁13が開弁してキャニスタ11内にエンジン側の吸気負圧が加わるときには、大気導入弁15が開弁することにより、キャニスタ11内に大気導入用配管14を介して大気が導入される。
【0043】
また、パージ制御弁13と大気導入弁15とが閉弁したときには、燃料タンク1、タンク側配管10、キャニスタ11およびエンジン側配管12内の空間がエンジンの吸気管19や外部に対して遮断された密閉空間となる。このため、後述の気密診断処理では、この密閉空間内の圧力を切換型ポンプ2によって上昇させることにより、密閉空間の気密性を診断するものである。
【0044】
16は気密診断処理を行うために燃料タンク1等の圧力を検出する圧力センサで、該圧力センサ16は、パージ制御弁13と大気導入弁15とにより気密に保持された状態で閉塞される空間(即ち、燃料タンク1、タンク側配管10、キャニスタ11およびエンジン側配管12内の空間)の圧力を検出するものであり、本実施の形態では、例えばタンク側配管10に設けられている。そして、圧力センサ16は、コントロールユニット17に検出信号を出力するものである。
【0045】
17は車両に搭載される診断手段としてのコントロールユニットで、該コントロールユニット17は、例えばマイクロコンピュータ等からなり、後述の如くエンジン制御、エバポパージ制御、気密診断処理等を行うものである。また、コントロールユニット17の入力側には圧力センサ16等が接続され、その出力側には切換型ポンプ2、パージ制御弁13、大気導入弁15、噴射弁24等が接続されている。
【0046】
そして、エンジン制御を行うときには、例えばコントロールユニット17から切換型ポンプ2に所定の極性をもつ駆動信号が出力されることにより、切換型ポンプ2は、燃料ポンプとして噴射弁24等と一緒に駆動される。これにより、燃料タンク1内の燃料は、切換型ポンプ2によってエンジン本体18に供給され、噴射弁24からエンジンの各気筒(図示せず)に噴射される。
【0047】
また、コントロールユニット17は、エンジン制御と一緒にエバポパージ制御も行う。そして、このエバポパージ制御では、エンジンが所定の条件で運転されているとき(例えば、後述のスロットル弁21が全開状態と全閉状態とを除いた中間開度となっているとき)に、パージ制御弁13と大気導入弁15とを開弁し、これ以外の場合にはパージ制御弁13と大気導入弁15とを閉弁する。これにより、燃料タンク1内で発生するエバポガスは、キャニスタ11内に蓄えられ、エンジンの吸気管19に適切なタイミングで放出される。
【0048】
また、コントロールユニット17は、例えばエンジンが停止したときに、燃料タンク1、タンク側配管10、キャニスタ11、エンジン側配管12、パージ制御弁13および大気導入弁15を診断対象として、これらの部品の気密診断を行う。そして、この気密診断処理では、パージ制御弁13と大気導入弁15とを閉弁し、例えばエンジン制御の場合と逆の極性をもつ駆動信号を切換型ポンプ2に出力することにより、切換型ポンプ2をエアポンプとして駆動する。これにより、燃料タンク1内の圧力が切換型ポンプ2によって上昇するので、コントロールユニット17は、この圧力を圧力センサ16によって検出することにより、気密性が保持されているか否かを判定し、各部品の故障診断を行うものである。
【0049】
一方、図1において、18は車両に搭載された内燃機関としてのエンジン本体、19は該エンジン本体18の各気筒に外気を吸入空気として吸込む吸気管で、該吸気管19は、その一端側がエンジン本体18の各気筒に接続されている。また、吸気管19の他端側には、吸入空気を清浄化するエアクリーナ20が設けられ、吸気管19の途中部位には、エンジン本体18の吸入空気量を制御するスロットル弁21が設けられている。また、22は燃料タンク1内の燃料をエンジン本体18側に供給する燃料供給パイプで、該燃料供給パイプ22は、その一端側が燃料吐出配管5に接続され、その他端側は、エンジン本体18に設けられた他の燃料供給パイプ23に接続されている。そして、燃料供給パイプ23には、エンジンの各気筒に燃料を噴射する複数の噴射弁24が設けられている。
【0050】
本実施の形態による燃料供給装置は上述の如き構成を有するもので、次に図3を参照しつつ、その作動について説明する。
【0051】
まず、ステップ1では、エンジンが運転中であるか否かを判定し、「YES」と判定したときには、ステップ2で切換型ポンプ2に正回転用の駆動信号を出力することにより、切換型ポンプ2を図4に示す如く正回転させ、燃料ポンプとして作動させる。これにより、燃料タンク1内の燃料が切換型ポンプ2によってエンジン本体18側に供給されるので、ステップ3では、噴射弁24による燃料噴射制御等を含めて各種のエンジン制御を行うことができる。
【0052】
また、ステップ4では、エバポパージ制御を行うことにより、エンジンの運転状態に応じてパージ制御弁13と大気導入弁15とを開,閉する。これにより、例えば車両の運転者がスロットル弁21を中間開度に保持しているとき等には、燃料タンク1内で発生するエバポガスがエバポパージ装置9を介して吸気管19内に放出される。この場合、エバポガスは、スロットル弁21よりもエンジン本体18に近い位置で吸気管19内の吸入負圧を受けることにより、外部に漏れることなく各気筒に吸込まれ、吸入空気と一緒に燃焼される。
【0053】
一方、ステップ1で「NO」と判定したときには、エンジンの運転が停止したので、ステップ5では、気密診断処理を行うためにパージ制御弁13と大気導入弁15を両方とも閉弁し、燃料タンク1、エバポパージ装置9等を外部に対して遮断する。
【0054】
次に、ステップ6では、切換型ポンプ2に逆回転用の駆動信号を出力することにより、例えば切換型ポンプ2を所定の時間だけエアポンプとして作動させ、燃料タンク1の外部の空気を切換型ポンプ2によって燃料タンク1内に送込む。これにより、気密状態に保持されている燃料タンク1内の圧力は、図4に示す如く、所定の判定値Pよりも高い圧力に上昇する。
【0055】
次に、ステップ7では、圧力センサ16により検出した燃料タンク1内の圧力を読込み、ステップ8では、例えば切換型ポンプ2の始動時を基準とした所定の時間t内に圧力の検出値が判定値Pよりも低下するか否かを判定する。
【0056】
そして、ステップ8で「YES」と判定したときには、例えば図4中に仮想線で示す如く、燃料タンク1内の圧力が短時間で低下したので、例えば燃料タンク1、タンク側配管10、キャニスタ11、エンジン側配管12、パージ制御弁13、大気導入弁15等のうちいずれかの部品が故障または損傷することにより、その気密性が低下したものと診断する。
【0057】
そこで、この場合には、ステップ9で所定の故障対策処理を行った後に、ステップ10で気密診断処理を終了する。これにより、エバポパージ機能付き燃料供給装置の故障診断と、その故障対策とを確実に行うことができ、装置の信頼性を高めることができる。
【0058】
また、ステップ8で「NO」と判定したときには、図4中に実線で示す如く、燃料タンク1等の気密性が保持されているので、各部品を正常と診断し、ステップ9を行うことなく、ステップ10で終了する。
【0059】
かくして、本実施の形態によれば、燃料・エア切換型ポンプ2を、その回転方向に応じて燃料ポンプまたはエアポンプとして駆動し、これに伴って燃料吐出弁6と空気吸込弁8とを設ける構成としたので、エンジンの運転時には、切換型ポンプ2を燃料ポンプとして作動させることができ、このとき空気吸込弁8は、切換型ポンプ2の吐出燃料が空気吸込配管7を介して外部に流出するのを確実に防止することができる。これにより、燃料タンク1内の燃料をエンジン本体18に向けて安定的に供給でき、エンジンを良好に運転することができる。
【0060】
また、エンジンを停止したときには、切換型ポンプ2をエアポンプとして作動させることにより、気密診断処理を行うことができ、このとき燃料吐出弁6は、切換型ポンプ2が空気を吸込むことによりエンジン本体18側の燃料が燃料吐出配管5を逆流するのを確実に防止することができる。
【0061】
そして、気密診断処理では、燃料タンク1、エバポパージ装置9等の内部圧力を切換型ポンプ2によって上昇させることができ、この状態で圧力の変化を検出することにより、燃料タンク1、エバポパージ装置9等の気密性を確実に診断することができる。
【0062】
従って、例えば汎用的なポンプ、逆止弁等を用いて燃料・エア切換型のポンプ2を容易に構成でき、燃料ポンプとエアポンプとを共通化できると共に、この切換型ポンプ2に対して正回転用または逆回転用の駆動信号を入力するだけで、ポンプの作動状態を安定的に切換えることができる。
【0063】
これにより、燃料供給装置には、燃料供給と気密診断とをそれぞれ行うために個別のポンプを設ける必要がなくなり、ポンプ等の部品点数を削減することができる。そして、装置全体の重量や寸法を低減でき、そのコストダウンを促進できると共に、車両等に対してエバポパージ機能付きの燃料供給装置をコンパクトに搭載することができる。
【0064】
また、この燃料・エア切換型ポンプ2を燃料タンク1内に配置したので、タンク1内の空間を利用して切換型ポンプ2の配置スペースを容易に確保でき、燃料タンク1の外部に配置する部品の点数や配置スペースを少なくすることができる。しかも、切換型ポンプ2は、燃料ポンプとエアポンプとを兼用しているので、これらのポンプを燃料タンク1内に個別に配置する場合と比較してタンク容積を十分に確保することができる。
【0065】
従って、車両の設計時には、燃料タンク1を利用して切換型ポンプ2等のレイアウト設計を効率よく行うことができる。また、ポンプ2等を燃料タンク1内に収容することにより、タンク1の外側で他の部品の配置スペースを増やすことができ、車両の限られた空間を有効に活用することができる。
【0066】
次に、図5は本発明による第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、ポンプ手段を燃料タンクの外部に配置する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0067】
31はポンプ手段としての燃料・エア切換型ポンプ(以下、切換型ポンプ31という)で、該切換型ポンプ31は、第1の実施の形態とほぼ同様に、2個の流通ポート31A,31Bを有し、コントロールユニット17により正回転または逆回転されるものである。
【0068】
しかし、切換型ポンプ31は燃料タンク1の外部に配置され、例えば下側の流通ポート31Aには、燃料タンク1内に延びると共に先端側に吸込フィルタ4が取付けられたタンク接続用配管32が接続されている。
【0069】
また、上側の流通ポート31Bには、第1の実施の形態とほぼ同様に、エンジン本体18側に接続された燃料吐出配管33と、燃料タンク1の外部の空間に開口する空気吸込配管34とが並列に接続され、燃料吐出配管33には燃料吐出弁6が設けられると共に、空気吸込配管34には空気吸込弁8が設けられている。
【0070】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、例えば燃料タンク1の構造や配管32〜34の引回し等を考慮して、切換型ポンプ31を燃料タンク1の外部に配置でき、設計自由度を高めることができる。
【0071】
なお、前記各実施の形態では、燃料吐出弁6、空気吸込弁8として逆止弁を用いる構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図6に示す変形例のように構成してもよい。この場合、燃料吐出弁6′は、例えば常開の電磁式開閉弁等により形成され、空気吸込弁8′は、常閉の電磁式開閉弁等により形成されている。そして、切換型ポンプ2が燃料ポンプとして駆動されるときに、燃料吐出弁6′と空気吸込弁8′とは、コントロールユニット17から切換信号が入力されないので、燃料吐出位置(イ)に保持され、燃料吐出弁6′が開弁し、空気吸込弁8′が閉弁した状態となる。また、切換型ポンプ2がエアポンプとして駆動されるときには、コントロールユニット17から切換信号が入力されることにより、燃料吐出弁6′と空気吸込弁8′とはエア吸込位置(ロ)に切換えられ、燃料吐出弁6′が閉弁し、空気吸込弁8′が開弁した状態となるものである。
【0072】
また、実施の形態では、配管5,7,32,33,34等を用いる構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、これらの配管に代えて、例えば燃料供給装置を構成する部品の内部空間、隙間、溝、穴等を燃料または空気の通路として用いる構成としてもよい。
【0073】
また、実施の形態では、圧力センサ16をタンク側配管10に設ける構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、圧力センサは、燃料タンク1、タンク側配管10、キャニスタ11およびエンジン側配管12内の圧力を検出できる任意の部位に設けてよいものである。
【0074】
また、実施の形態では、燃料供給装置を自動車等の車両に適用する場合を例に挙げて述べた。しかし、本発明はこれに限らず、各種の燃料供給装置等に適用できるのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による燃料供給装置を示す全体構成図である。
【図2】図1中の切換型ポンプ、燃料吐出弁、空気吸込弁等の接続関係を示す回路図である。
【図3】コントロールユニットによる制御処理を示す流れ図である。
【図4】エンジン、パージ制御弁、大気導入弁およびポンプの作動状態と、燃料タンク内の圧力とを示す特性線図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態による燃料供給装置を示す全体構成図である。
【図6】本発明の変形例による燃料供給装置を示す回路図である。
【符号の説明】
1 燃料タンク
2,31 燃料・エア切換型ポンプ(ポンプ手段)
2A,2B, 流通ポート
6,6′ 燃料吐出弁
8,8′ 空気吸込弁
9 エバポパージ装置
11 キャニスタ
17 コントロールユニット(診断手段)
18 エンジン本体(内燃機関)
19 吸気管
Claims (4)
- 内燃機関に供給する蒸発性の燃料を貯留する燃料タンクと、
正回転または逆回転可能に形成され正回転するときに前記燃料タンク内の燃料を吸込んで前記内燃機関側に燃料を吐出し逆回転するときに前記燃料タンクの外部の空気を吸込んで前記燃料タンク内に空気を吐出するポンプ手段と、
前記ポンプ手段が正回転したときに前記燃料タンク内の燃料を前記内燃機関に向けて吐出するのを許す燃料吐出弁と、
前記ポンプ手段が逆回転したときに前記燃料タンクの外部の空気を前記燃料タンク内に吸込むのを許す空気吸込弁とから構成してなる燃料供給装置。 - 前記内燃機関を停止しているときに前記ポンプ手段を逆回転し前記燃料タンクの圧力を上昇させて気密性を診断する診断手段を設けてなる請求項1に記載の燃料供給装置。
- 前記ポンプ手段を正回転させて前記内燃機関を運転しているときに連通状態となり前記燃料タンク内で蒸発する燃料ガスをキャニスタを介して前記内燃機関の吸気側に放出するエバポパージ装置を設け、
前記内燃機関を停止しているときに前記ポンプ手段を逆回転させると共に該エバポパージ装置を外部から遮断し前記燃料タンクとエバポパージ装置内の圧力を上昇させて気密性を診断する診断手段を設けてなる請求項1に記載の燃料供給装置。 - 前記ポンプ手段は前記燃料タンク内に配置してなる請求項1,2または3に記載の燃料供給装置。
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