JP2004190449A - デッキ材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】上板部11a、下板部11b及び両板部11の間に適宜間隔に配される壁部12により区画される空間1aが得られるよう押し出し成形され、被係止部材2に対してビス3を板部11及び空間1aを貫いた状態で係止されるデッキ材1であって、ビス3が貫く空間1aの押し出し方向に直交する断面の面積を、ビス3が貫かない空間1aの押し出し方向に直交する断面の面積とほぼ同一とし、かつ、上板部11aの係止に係る部分の厚さ寸法を係止に係らない部分の厚さ寸法より大きくとったデッキ材1である。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物のバルコニー、ベランダ等に敷設されるデッキ材に関する。
【0002】
【背景の技術】
従来のデッキ材としては、例えば樹脂製の中空のデッキ材であって、上板部、下板部及び該両板部の間に適宜間隔に配される壁部により区画される空間が得られるよう押し出し成形され、被係止部材に対して側面を取付金物で固定するものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−280144号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなデッキ材においては、被係止部材に対して固定するのに必ず取付金物を用いて行う相当に煩雑な作業が必要となり、また、高価な取付金物を用いたのでは、材料費の低減が十分に図れないという問題がある。
そこで、かかる問題を解消し得るデッキ材の固定方法として、上板部の上から釘又はビスを直接打ち込んで被係止部材に固定することが考えられる。
しかしながら、この方法では、釘又はビスが上板部を打ち抜く可能性が大きいことが経験的に知られている。
そこで、釘又はビスの上板部打ち抜きを防止するため、上板部全体を厚くするか、少なくとも釘又はビスの固定部周辺の壁部の間隔を小さくするかして、補強することも考えられる。
しかしながら、これらの方法でも、釘又はビスの補強用に部材を追加する必要があるため、材料費の低減が十分に図れないという問題が依然として解消されない。また、釘又はビスの固定部周辺の壁部の間隔を小さくとる方法では、上板部、下板部及び壁部により形成される押し出し方向に直交する断面の面積が局部的に偏って配分されることとなり、押し出し成形を行うに際しての材料供給上のバランスを調整するために押し出し成形のスピードがその分遅くなってしまう。
そこで、本発明の課題は、釘又はビスが上板部を打ち抜く不都合を回避しながら、材料の節約を図ることができ、また、押し出し成形のスピードが遅くならないデッキ材を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明に係るデッキ材1は、例えば図2に示すように、上板部11a、下板部11b及び両板部11の間に適宜間隔に配される壁部12により区画される空間1aが得られるよう押し出し成形され、被係止部材2に対して釘又はビス3を板部11及び空間1aを貫いた状態で係止されるデッキ材1であって、釘又はビス3が貫く空間1aの押し出し方向に直交する断面の面積を、釘又はビス3が貫かない空間1aの押し出し方向に直交する断面の面積とほぼ同一とし、かつ、上板部11aの係止に係る部分の厚さ寸法を係止に係らない部分の厚さ寸法より大きくとったことを特徴としている。
請求項1に記載の発明によれば、釘又はビス3が貫く空間1aの断面積を釘又はビス3が貫かない空間1aの断面積と等しくしながら、上板部11aの係止に係る部分を厚さ寸法を大きくとって補強したので、釘又はビス3が上板部11aを打ち抜く不都合を回避しながら、材料の節約を図ることができ、また、押し出し成形のスピードが遅くならない。
したがって、これによれば、製造コストの低減効果が確実かつ十分に得られることとなる。
【0006】
また、請求項2に記載の発明は、図4に示すように、請求項1に記載のデッキ材5において、上板部11a、下板部11b及び壁部62により形成される押し出し方向に直交する断面を、複数の壁部62のそれぞれの上端部が上板部11aに集合する集合部63を有するトラス形として、この集合部63を用いて上板部11aの係止に係る部分の厚さ寸法を大きくとったことを特徴としている。
請求項2に記載の発明によれば、部材をほぼ均等に分散させ、押し出し成形のスピードを保ちつつ、釘又はビス3は複数の壁部で支持されることになり、デッキ材の強度が向上するので、省部材設計が可能となる。
【0007】
さらに、請求項3に記載の発明は、図3に示すように、請求項1に記載のデッキ材1において、壁部12の上端部を釘又はビス3が貫く空間1a側で壁部12の厚さ寸法を大きくとって上板部11aに連続するハンチ部14として、このハンチ部14を用いて上板部11aの係止に係る部分の厚さ寸法を大きくとったことを特徴としている。
請求項3に記載の発明によれば、押し出し成形の容易性を相当に顧慮することが可能となり、製造コストの低減効果がさらに確実かつ十分に得られることが可能となる。
【0008】
さらにまた、請求項4に記載の発明は、例えば図2に示すように、請求項1に記載のデッキ材1において、板状を呈する壁部12の上端部を釘又はビス3が貫く空間1a側に斜めに折り曲げて上板部11aに連続する折曲部13として、この折曲部13を用いて上板部11aの係止に係る部分の厚さ寸法を大きくとったことを特徴としている。
請求項4に記載の発明によれば、押し出し成形の容易性のみならず、材料の節約をも顧慮することが可能となり、製造コストの低減効果がさらに一層確実かつ十分に得られることが可能となる。
【0009】
また、請求項5に記載の発明は、図示しないが、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のデッキ材1において、セルロース系微粉粒と樹脂とを混合し、この混合材料を溶融させて押し出し成形してなる木質様部材であることを特徴としている。
請求項5に記載の発明によれば、デッキ材に防水性、防腐性や木質感を付与できる。
【0010】
また、請求項6に記載の発明は、図示しないが、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のデッキ材1において、上板部11aの上面には、押し出し成形によって釘又はビス3を打ち込むべき位置を示す溝が形成されていることを特徴としている。
請求項6に記載の発明によれば、現場作業者が釘又はビス3を打ち込むべき位置を容易に特定することが可能となり、コストの低減効果を担保することが可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
◎実施の形態1
この実施の形態1では、例えば図2に示すような、板状を呈する壁部12の上端部をビス3が貫く空間1a側に斜めに折り曲げて上板部11aに連続する折曲部13としてこれを用いて補強する場合について説明するが、これに限られるものではなく、例えば図3に示すような、壁部12の上端部をビス3が貫く空間1a側で壁部12の厚さ寸法を大きくとって上板部11aに連続するハンチ部14としてこれを用いて補強する場合でも、以下の説明が妥当する。
【0013】
図1は本発明の実施の形態1に係るデッキ材1の全体構成を示す斜視図、図2は同デッキ材1の部分構成を示す断面図である。
【0014】
なお、図1において、符号21は、デッキ材1における床荷重が分担される被係止部材2における荷重を独立に支える床束、符号22は、床束における荷重を支え地盤に伝える束石を示している。
【0015】
この実施の形態1において、デッキ材1は、図1及び図2に示すように、上に配される上板部11aと下に配される下板部11bの間に適宜間隔に配される壁部12とにより区画される空間1aが得られるよう押し出し成形されるものとして構成されている。
【0016】
また、このデッキ材1は、これらの図に示すように、被係止部材2に対してビス3を板部11及び空間1aを貫いた状態で係止されるものとして構成されている。
【0017】
ここで、デッキ材1は、図2に示すように、ビス3が貫く空間1aの押し出し方向に直交する断面の面積を、ビス3が貫かない空間1aの押し出し方向に直交する断面の面積とほぼ同一とし、かつ、上板部11aの係止に係る部分の厚さ寸法を係止に係らない部分の厚さ寸法より大きくとったものとして構成されている。
【0018】
すなわち、ビス3が貫く空間1aの断面積をビス3が貫かない空間1aの断面積とほぼ等しくしており、壁部12を余計に配することがないので、材料の節約を図ることが可能となっており、また、上板部11a、下板部11b及び壁部12により形成される押し出し方向に直交する断面の面積が局部的に偏って配分されることもないので、押し出し成形のスピードが遅くならないことが可能となっている。
【0019】
しかも、上板部11aの係止に係る部分の厚さ寸法を係止に係らない部分の厚さ寸法より大きくとっており、上板部11aの係止に係る部分が確実かつ十分に補強されることとなっているので、ビス3が上板部11aを打ち抜く不都合を回避することも可能となっている。
【0020】
具体的には、このデッキ材1は、同図に示すように、板状を呈する壁部12の上端部をビス3が貫く空間1a側に斜めに折り曲げて上板部11aに連続する折曲部13として、この折曲部13を用いて上板部11aの係止に係る部分の厚さ寸法を大きくとっている。
【0021】
すなわち、このデッキ材1においては、上板部11aの係止に係る部分の厚さ寸法を大きくとるのに、上板部11aそれ自体の厚さ寸法を積極的に大きくとるという技術的手段を採用するのではなく、上板部11aそれ自体の厚さ寸法は変えないが、上板部11aに連続する壁部12の上端部を特別な態様である折曲部13として、上板部11aの厚さ寸法を結果的に大きくとるという技術的手段を採用するものである。
【0022】
すなわち、このようなデッキ材1によれば、押し出し成形の容易性のみならず、材料の節約に対しても十分に顧慮されることとなり、これにより、製造コストの低減効果がさらに一層確実かつ十分に得られることとなる。
【0023】
ところで、この実施の形態1におけるデッキ材1は、セルロース系微粉粒と樹脂とを混合し、この混合材料を溶融させて押し出し成形してなる木質様部材が用いられている。
具体的には、このデッキ材1としては、住宅廃材である木材を粉砕して得られた木粉及び食品包装等に用いられる樹脂包装部材を粉砕して得られた樹脂粉を押し出し成形してなる木質様部材が用いられている。
【0024】
ここで、組成が等しいもの同士がまとめて回収される場合が多いものを選択的に採用することとして、再利用をより容易に行うという観点からすれば、このような樹脂包装部材としては、例えばポリプロプレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PV)等により形成された容器(コンテナを含む)、トレイ等(シート状のものも含まれる。)を用いることが好ましい。
【0025】
また、本物の木材により近い手触りや風合いを出すとともに廃材の再利用率を向上させるという観点からすれば、このような木質様部材としては、樹脂包装部材としてポリプロピレン包装部材を用い、木粉が30〜65wt%含まれているものを用いることが好ましい。
【0026】
さらに、180℃以下では軟化が不十分で、木粉と均等に混ざりあわず、押し出し成形も行いにくいというポリプロピレンの特質を相当に顧慮しようとする観点からすれば、このような木質様部材としては、木粉とポリプロピレン包装部材による樹脂粉とを混練したものを、180〜200℃で押し出し成形されていることが好ましい。
【0027】
すなわち、このような木質様部材であるデッキ材1によれば、原料として廃材を用いることが可能となっており、これにより、資源の有効利用が図られることとなっている。
【0028】
以上説明したように、このようなデッキ材1によれば、図1及び図2に示すように、ビス3が貫く空間1aの断面積をビス3が貫かない空間1aの断面積と等しくしており、壁部12が配される間隔が小さく設定され、壁部12を余計に配することとなっていた従来のデッキ材と異なり、材料の節約を図ることが可能となっている。
【0029】
また、上板部11a、下板部11b及び壁部12により形成される押し出し方向に直交する断面の面積が局部的に偏って配分されることとなっていた従来のデッキ材と異なり、押し出し成形のスピードが遅くならないことが可能となっている。
【0030】
しかも、上板部11aの係止に係る部分の厚さ寸法を係止に係らない部分の厚さ寸法より大きくとっており、上板部11aの係止に係る部分が確実かつ十分に補強されることとなっているので、ビス3が上板部11aを打ち抜く不都合を回避することも可能となっている。
【0031】
◎実施の形態2
図4は本発明の実施の形態2に係るデッキ材5の部分構成を示す断面図である。なお、実施の形態1と同様な構成要素については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
【0032】
この実施の形態2に係るデッキ材5は、実施の形態1とほぼ同様であるが、同図に示すように、実施の形態1と異なり、上板部11a、下板部11b及び壁部62により形成される押し出し方向に直交する断面を複数の壁部62のそれぞれの上端部が上板部11aに集合する集合部63を有するトラス形としている。
【0033】
ここで、デッキ材1は、同図に示すように、この集合部63を用いて上板部11aの係止に係る部分の厚さ寸法を大きくとったものとして構成されている。
【0034】
すなわち、このようなデッキ材1によっても、ビス3が貫く空間1aの断面積をビス3が貫かない空間1aの断面積と等しくしているので、実施の形態1と同様、材料の節約を図ることが可能となっており、また、押し出し成形のスピードが遅くならないことが可能となっている。
加えて、ビス3が複数の壁部62で支持されることになり、デッキ材5の強度が向上するので、省部材設計が可能となっている。
【0035】
しかも、上板部11aの係止に係る部分の厚さ寸法を係止に係らない部分の厚さ寸法より大きくとっているので、実施の形態1と同様、ビス3が上板部11aを打ち抜く不都合を回避することも可能となっている。
【0036】
【発明の効果】
本発明に係るデッキ材によれば、釘又はビスが上板部を打ち抜く不都合を回避しながら、材料の節約を図ることができ、また、押し出し成形のスピードが遅くならないという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係るデッキ材の全体構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るデッキ材の部分構成を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係るデッキ材の他の部分構成を示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係るデッキ材の部分構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 デッキ材
1a 空間
2 被係止部材
3 ビス
5 デッキ材
11 板部
11a 上板部
11b 下板部
12 壁部
13 折曲部
14 ハンチ部
21 床束
22 束石
62 壁部
63 集合部
Claims (6)
- 上板部、下板部及び該両板部の間に適宜間隔に配される壁部により区画される空間が得られるよう押し出し成形され、被係止部材に対して釘又はビスを該板部及び該空間を貫いた状態で係止されるデッキ材であって、
前記釘又はビスが貫く前記空間の押し出し方向に直交する断面の面積を、該釘又はビスが貫かない前記空間の押し出し方向に直交する断面の面積とほぼ同一とし、かつ、前記上板部の係止に係る部分の厚さ寸法を係止に係らない部分の厚さ寸法より大きくとったことを特徴とするデッキ材。 - 前記上板部、下板部及び壁部により形成される押し出し方向に直交する断面を、複数の前記壁部のそれぞれの上端部が前記上板部に集合する集合部を有するトラス形として、この集合部を用いて該上板部の係止に係る部分の厚さ寸法を大きくとったことを特徴とする請求項1に記載のデッキ材。
- 前記壁部の上端部を前記釘又はビスが貫く前記空間側で該壁部の厚さ寸法を大きくとって前記上板部に連続するハンチ部として、このハンチ部を用いて該上板部の係止に係る部分の厚さ寸法を大きくとったことを特徴とする請求項1に記載のデッキ材。
- 板状を呈する前記壁部の上端部を前記釘又はビスが貫く前記空間側に斜めに折り曲げて前記上板部に連続する折曲部として、この折曲部を用いて該上板部の係止に係る部分の厚さ寸法を大きくとったことを特徴とする請求項1に記載のデッキ材。
- セルロース系微粉粒と樹脂とを混合し、この混合材料を溶融させて押し出し成形してなる木質様部材であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のデッキ材。
- 前記上板部の上面には、押し出し成形によって前記釘又はビスを打ち込むべき位置を示す溝が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のデッキ材。
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