JP2004189536A - 塩素を含む酸素ガスの洗浄塔およびこれを有する純塩素の製造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の洗浄塔(1)は、金属材料で構成された内部部材(4)を備えた洗浄塔本体(10)に、塩素を含む酸素ガス(2)を供給すると共に洗浄水(3)を供給し、酸素ガス(2)を洗浄水(3)と接触させて洗浄する洗浄塔(1)であり、この金属材料で構成された内部部材(4)は酸素ガス(2)と接触する面がフッ素樹脂でコーティングされている。金属材料は、好ましくはチタン系金属材料である。反応塔で塩化水素および酸素を触媒の存在下に反応させて純塩素を製造するとともに、未反応酸素を酸素ガス(2)として回収し、塩化水素との反応に再利用する純塩素の製造装置において、酸素ガス(2)を反応塔に供給する前に洗浄するための洗浄塔(1)として用いることができる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、塩素を含む酸素ガスの洗浄塔およびこれを用いた純塩素の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
塩化水素(HCl)および酸素(O2)を原料とし、これらを触媒の存在下に反応させて塩素(Cl2)を製造する方法は知られている(特許文献1)。かかる方法によれば、目的の塩素の他に未反応塩化水素および未反応酸素を含む粗塩素ガスが得られる。未反応塩化水素は、得られた粗塩素ガスを洗浄水と接触させることで除去される。洗浄水と接触した後の粗塩素ガスは洗浄水からの水分を含むが、洗浄水と接触した後の粗塩素ガスを濃硫酸と接触させることで、かかる水分を除去して乾燥粗塩素ガスを得ることができる。得られた乾燥粗塩素ガスには未反応酸素が含まれるが、乾燥粗塩素ガスを冷却して塩素を液化し、気液分離することで、未反応酸素を酸素ガスとして分離して、酸素を含まない液状の純塩素として目的の塩素を得ることができる。分離された酸素ガスは、水分を含まない乾燥状態であり、また未液化の塩素も含まれている。
【0003】
分離された酸素ガスは、塩化水素の酸化に再利用することができる。粗塩素ガスを濃硫酸と接触させたときに僅かに混入した硫酸成分が酸素ガスに残留していると、触媒を被毒するので、酸素ガスは洗浄した後に再利用することが望ましい。
酸素ガスを洗浄するには洗浄水と接触させればよく、具体的には洗浄塔を用いて洗浄すればよい。
【0004】
洗浄塔としては、例えば図1に示すように、洗浄塔本体(10)内に塔底(11)から酸素ガス(2)を供給すると共に、塔頂(12)から洗浄水(3)を供給しながら、塔頂(12)から酸素ガス(2)を抜出す、いわゆる向流式の気液接触塔を用いることができる。かかる洗浄塔本体(10)は内部に、酸素ガスを洗浄水と効率よく接触させるための棚段(41)や、この棚段(41)に設けられた散気筒(42)、各棚段(41)から洗浄水を下に導くためのバイパス流路(43)、貯留部(44)などの内部部材が備えられている。また、散気筒(42)は、散気筒本体(42a)、塞板(42b)およびこれらを棚段(41)に固定する固定手段(42c)などの部材で構成されている。
【0005】
これらの内部部材は、塩素、酸素および水が共存する環境下での耐食性等に優れた材料で構成されている。かかる不活性な材料としては、セラミクス、無機ガラスなどの無機酸化物材料、フッ素樹脂などの樹脂材料、チタン系金属などの金属材料などが一般的に知られている。かかる材料のなかでも無機酸化物材料および樹脂材料などは強度に欠ける傾向にある。このため強度を要する内部部材、例えば棚段(41)や、散気筒を構成する塞板(42b)、固定手段(42c)などは、チタン系金属材料などの金属材料で構成されている。
【0006】
しかし、チタン系金属材料をそのまま内部部材に用いたのでは、洗浄水の供給が停止してしまうと、乾燥状態の酸素および塩素に曝されることになって、急激に酸化されたり、塩素によって腐食されて、耐久性が低下するおそれがあった。
【0007】
【特許文献1】特開2000−272906号公報
【特許文献2】特開平09−067103号公報
【特許文献3】特開平10−182104号公報
【特許文献4】特開平10−194705号公報
【特許文献5】特開平10−338502号公報
【特許文献6】特開平11−180701号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明者は、塩素を含む酸素ガスの洗浄水による洗浄に使用され、洗浄水の供給が停止しても内部部材の耐久性が低下することのない洗浄塔を開発するべく鋭意検討した結果、金属材料で構成された内部部材の酸素ガスや洗浄水と接触する面をフッ素樹脂でコーティングしておけば、洗浄水の供給が停止しても、塩素や酸素ガスによって内部部材が酸化されたり腐食することがなく、耐久性が低下しないことを見出し、本発明に至った。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、金属材料で構成された内部部材(4)が備えられた洗浄塔本体(10)に、塩素を含む酸素ガス(2)を供給すると共に洗浄水(3)を供給し、洗浄塔本体(10)内で前記酸素ガス(2)を前記洗浄水(3)と接触させて洗浄する洗浄塔(1)であり、
前記金属材料で構成された内部部材(4)は酸素ガス(2)と接触する面がフッ素樹脂でコーティングされていることを特徴とする洗浄塔(1)を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の洗浄塔(1)の本体(10)には、酸素ガス(2)が供給される。酸素ガス(2)は、酸素を主成分とするガスである。酸素ガスは、飽和水蒸気圧に相当する量の水分を含んでいてもよいが、実質的に水分を含まない、具体的には水分の含有量がモル分率で例えば0.1%以下での乾燥状態の酸素ガスであってもよい。
【0011】
酸素ガス(2)は、塩素を含む。塩素の含有量は、モル分率で通常1%以上であり、通常は30%以下、好ましくは3%以上15%以下である。酸素ガスは、塩素のほかに窒素、アルゴン、二酸化炭素、一酸化炭素などの不活性ガスを含んでいてもよい。不活性ガスを含む場合、その含有量はモル分率で通常60%以下程度である。酸素ガスの温度は通常0℃以上100℃以下である。酸素ガスの圧力は絶対圧力で通常0.1MPa以上2MPa以下程度である。酸素ガス(2)は通常、洗浄塔本体の塔底部(11)に取り付けられた配管(51)を通じて、塔底部(11)に供給される。
【0012】
洗浄塔本体(10)内に供給される洗浄水(3)としては通常、純水が用いられる。洗浄水の供給量は、酸素ガス(2)の供給量1m3(0.1MPa、25℃における体積)あたり通常0.05kg以上2kg以下程度である。洗浄水(3)の温度は通常0℃以上100℃以下である。かかる洗浄水(3)は通常、洗浄塔本体の塔頂部(12)に取り付けられた配管(52)を通じて、塔頂部から洗浄塔本体(10)内に供給される。
【0013】
洗浄塔本体(10)内に供給された酸素ガス(2)と洗浄水(3)とは、洗浄塔本体(10)内で接触する。図1に示す洗浄塔(1)では、洗浄塔本体(10)内に内部部材(4)として棚段(41)を備え、更にこの棚段(41)に固定された散気筒(42)を備えていて、各棚段(41)の上部に洗浄水(31)を貯めると共に、各棚段(41)の下方から散気筒(42)を通して酸素ガス(2)をこの洗浄水(31)に通気させることで、酸素ガス(2)と洗浄水(3)とを接触させている。
【0014】
棚段(41)は、洗浄塔本体(10)の内部を複数の区画に仕切るものである。棚段(41)は1段でもよいが、通常は酸素ガス(2)と洗浄水(3)とが十分に接触するように、2段以上取り付けられていることが好ましいが、あまり数が多くても設置が困難となることから、通常は10段以下程度である。かかる棚段(41)は強度の点で、通常は金属材料で構成されている。
【0015】
散気筒(42)は、例えば図2に示すように、円筒形状で多孔質材料からなる筒本体(42a)と、この筒本体(42a)の空洞部(42a')の上部を塞ぐ塞板(42b)と、これら筒本体(42a)および塞板(42b)を棚段(41)に固定する固定手段(42c)とを備えている。
【0016】
例えば図3に示すように、固定手段(42c)によって棚段(41)に固定された筒本体(42a)の外周面は、棚段(41)の上部に貯められた洗浄水(31)に浸漬される。筒本体の空洞部(42a')は、棚段(41)に設けられた孔(41a)を通じて、棚段(41)の下方と連なっており、空洞部(42a')には、下方から酸素ガス(2)が流入する。筒本体(42a)の上面は塞板(42b)で塞がれているので、空洞部(42a')に流入した酸素ガス(2)は多孔質材料の筒本体(42a)を通過する。筒本体(42a)を通過した酸素ガス(2)は、気泡状となって洗浄水(31)中に導かれる。洗浄水(31)中に導かれた酸素ガス(2)は、洗浄水(31)と接触する。塞板(42b)を構成する材料としては、強度の点で通常は金属材料が用いられる。なお、筒本体(42a)を構成する多孔質材料として通常は、多孔質セラミクスなどが用いられる。
【0017】
かかる筒本体(42a)および塞板(42b)は、固定手段(42c)によって棚段(41)に固定されている。固定手段(42c)としては、例えばボルト、ナットなどが挙げられる。固定手段(42c)を構成する材料としては、強度の点で通常は金属材料が用いられる。
【0018】
各棚段(41)には、上部に貯められた洗浄水(31)のバイパス流路(43)が設けられていて、各棚段(41)の上部に貯められた洗浄水(31)がオーバーフローすると、その下の貯留部(44)に一旦貯留された後、貯留部の下の棚段(41)や塔底部(11)に流下するように構成されている。バイパス流路(43)および貯留部(44)は、強度の点で、通常は金属材料で構成されている。
【0019】
洗浄水(3)と接触した後の酸素ガス(2)は、洗浄塔本体の塔頂部(12)に達したのち、塔頂部(12)に取り付けられた配管(53)を通って外部に導かれる。また、洗浄塔本体の塔底部(11)に達した洗浄水(3')は、塔底部(11)に取り付けられた配管(54)を通って外部に排出される。
【0020】
かかる洗浄塔(1)では、棚段(41)、散気筒(42)、バイパス流路(43)、貯留部(44)が洗浄塔本体(10)内に備えられた内部部材(4)である。本発明の洗浄塔(1)では、これらの内部部材(4)のうち、例えば棚段(41)や、散気筒(42)を構成する塞板(42b)および固定手段(42c)などが金属材料で構成されている。またバイパス流路(43)、貯留部(44)などが金属材料で構成されていてもよい。かかる金属材料としては、例えばチタン、チタン−パラジウム合金などのチタン系金属材料が好ましい。
【0021】
本発明の洗浄塔(1)では、洗浄塔本体(10)内に備えられた内部部材(4)のうち、金属材料で構成された内部部材の酸素ガスと接触する面がフッ素樹脂でコーティングされている。フッ素樹脂としては、例えばポリ四フッ化エチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などが挙げられる。金属材料で構成された内部部材は、酸素ガスと接触する面がフッ素樹脂でコーティングされていればよく、接触しない面を含めて内部部材の全面がコーティングされていてもよい。
【0022】
内部部材(4)をフッ素樹脂でコーティングするには、通常と同様の方法でコーティングすればよく、例えばフッ素樹脂の溶融温度以上の温度に内部部材を加熱し、その表面にフッ素樹脂の粒子を接触させればよい。フッ素樹脂の粒子を接触させるには、通常はフッ素樹脂粒子を吹き付ければよい。フッ素樹脂の粒子の粒子径は通常、0.1μm以上0.2mm以下程度であり、内部部材の大きさ、形状などによって適宜選択される。フッ素樹脂の粒子は加熱された内部部材の表面に接触することで溶融し、表面に密着してフッ素樹脂からなる被膜が形成される。
コーティングにより形成される被膜の厚みは通常0.01mm以上2mm以下程度である。0.01mm未満であると、被覆が破れ易くなったり、ピンホールが生じ易くなる傾向にあり、好ましくなく、2mmを超えると、それに見合った効果が得られ難くなって費用の点で不利である。
【0023】
内部部材(4)の表面へのフッ素樹脂のコーティングは、内部部材(4)を洗浄塔本体(10)内に備えた状態で行われてもよいが、コーティング作業が容易である点で、洗浄塔本体(10)の外で行われることが好ましい。表面にフッ素樹脂をコーティングした後の内部部材は、洗浄塔本体(10)内に搬入されて、備え付けられる。
【0024】
なお、洗浄塔本体(10)は通常、円筒形であり、強度の点で金属材料で構成されている。洗浄塔本体を構成する金属材料は、チタン系材料であってもよいが、費用、施工の容易さの点で、通常は炭素鋼などの鉄鋼材料で構成されている。また、その内面は全面に亙ってフッ素樹脂でコーティングされていてもよいが、例えばフッ素樹脂シートで密着することなくライニングされていてもよい。洗浄塔本体は通常、円筒形であるので、フッ素樹脂シートにより容易にライニングすることができる。ライニングに用いられるフッ素樹脂シートの厚みは通常1mm以上6mm以下程度である。
【0025】
かかる本発明の洗浄塔(1)は、塩素を含み、乾燥状態にある酸素ガス(2)を洗浄水(3)で洗浄するものであるが、洗浄塔本体(10)内の内部部材は、その表面がフッ素樹脂でコーティングされているので、洗浄水(3)の供給が停止して、洗浄塔本体(10)に乾燥状態の酸素ガス(2)だけが供給されることとなっても、乾燥状態にある酸素ガス(2)や、この酸素ガス(2)に含まれる塩素によって急速に酸化されたり、腐食することがなく、内部部材(4)の耐久性が低下することがない。
【0026】
かかる本発明の洗浄塔(1)は、例えば図4に示すような、塩化水素(21)および酸素(22)を触媒の存在下に反応させて純塩素(25)を製造するとともに、未反応酸素を酸素ガス(2)として回収し、反応塔(B)に供給して、塩化水素との反応に再利用する純塩素の製造装置(A)において、酸素ガス(2)を反応塔(B)に供給する前に洗浄するための洗浄塔(1)として用いることができる。
【0027】
図4に示す純塩素の製造装置(A)は、本発明の洗浄塔(1)と、
塩化水素(21)および酸素(22)を触媒(B1)の存在下に反応させて未反応塩化水素および未反応酸素を含む粗塩素ガス(23)を得る反応塔(B)と、
この反応塔(B)で得た粗塩素ガス(23)を吸収水(C1)と接触させて粗塩素ガス(23)に含まれる未反応塩化水素を前記吸収水(C1)に吸収させて除去する吸収塔(C)と、
この吸収塔(C)で未反応塩化水素を除去された後の粗塩素ガス(23')を濃硫酸(D1)と接触させて乾燥粗塩素ガス(24)を得る乾燥塔(D)と、
この乾燥塔(D)で得た乾燥粗塩素ガス(24)を冷却して塩素を液化し、未反応酸素を酸素ガス(2)として分離して、液状の純塩素(25)を得る塩素精製装置(E)とを有している。塩素精製装置(E)で分離された酸素ガス(2)には、未液化の塩素が含まれているが、図4に示す純塩素の製造装置(A)では、かかる酸素ガス(2)は、洗浄塔(1)で洗浄された後に反応塔(B)に供給されるように構成されていて、未反応酸素を回収して、反応塔(B)での塩化水素との反応に再利用することができる。
【0028】
反応塔(B)内には、触媒(B1)が充填されている。反応塔の塔頂部から反応塔内に供給された塩化水素(21)および酸素(22)は、触媒(B1)と接触しながら反応式(1)
【化1】
に従って反応して塩素が生成する。触媒(B1)は、塩化水素および酸素を反応させる反応に用いられるものであり、例えば担体に金属ルテニウムまたはルテニウム化合物が担持された触媒、酸化ルテニウム、ルテニウムと他の金属との複合酸化物、金属ルテニウムの粉末などの固体触媒が用いられる(特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6)。かかる反応の反応収率は通常70%〜95%程度であるので、反応塔(B)の塔底部からは、目的の塩素のほかに、未反応塩化水素および未反応酸素を含む粗塩素ガス(23)が得られる。
【0029】
得られた粗塩素ガス(23)は、吸収塔(C)に送られ、塔底部から吸収塔(C)内に供給される。吸収塔(C)の頭頂部からは吸収水(C1)が供給されている。吸収水(C1)としては、純水の他、希塩酸などを用いることができる。粗塩素ガス(23)が吸収水(C1)と接触することで、粗塩素ガス(23)に含まれる未反応塩化水素が吸収水(C1)に吸収される。未反応塩化水素を吸収した後の吸収水(C1')は、塔底部から塩酸(塩化水素水)として排出される。
【0030】
吸収水に未反応塩化水素を吸収された後の粗塩素ガス(23')には、反応塔(B)で副生した水の他、吸収塔(C)で吸収水(C1)と接触することで持ち込まれた水分が含まれているが、かかる水分は乾燥塔(D)で濃硫酸(D1)と接触することで除去される。かかる粗塩素ガス(23')は、乾燥塔(D)の塔底部から乾燥塔(D)内に供給される。乾燥塔(D)には、頭頂部から濃硫酸が供給されている。粗塩素ガス(23')は乾燥塔(D)内で濃硫酸(D1)と接触して乾燥されるので、頭頂部からは、乾燥粗塩素ガス(24)が得られる。乾燥粗塩素ガスには未反応酸素が含まれている。濃硫酸は粗塩素ガス(23')と接触することで水分を吸収して希硫酸(D1')となって、塔底部から排出される。
【0031】
乾燥塔(D)で水分を除去された後の乾燥粗塩素ガス(24)を塩素精製装置(E)で精製することで液状の純塩素(25)を得ることができる。塩素精製装置(E)は、冷却器(E1)と気液分離塔(E2)とを備えている。冷却器(E1)で、塩素の液化温度以下の温度まで乾燥粗塩素ガス(24)を冷却することで、乾燥粗塩素ガス(24)中の塩素成分が液化する。未反応酸素はガス状のままである。その後、気液分離塔(E2)で気液分離する。未反応酸素は、気液分離により、酸素ガス(2)として得ることができる。この酸素ガス(2)は通常、未液化の塩素を含む。液相は、目的の純塩素(25)が液化されたものである。
【0032】
塩素精製装置(E)で得られた酸素ガス(2)は、本発明の洗浄塔(1)に送られ、洗浄される。洗浄塔(1)で洗浄された後の酸素ガス(2)は反応塔(B)に供給される。洗浄後の洗浄水(3')は塔底部から排出される。
【0033】
かかる製造装置(A)によれば、塩素精製装置(E)で分離された酸素ガス(2)に乾燥塔(D)からの硫酸成分が僅かに混入していても、洗浄塔(1)で酸素ガス(2)を洗浄することで、この硫酸成分が除去されてから、反応塔(B)に供給されるので、触媒(B1)の活性を低下させることがない。また、洗浄塔(1)として本発明の洗浄塔(1)を用いているので、かかる洗浄塔(1)に供給される洗浄水(3)が停止してしまっても、洗浄塔本体(10)内の内部部材(4)の耐久性が低下するおそれもない。
【0034】
【発明の効果】
本発明の洗浄塔は、塩素を含む酸素ガスの洗浄水による洗浄に使用され、洗浄水の供給が停止しても、洗浄塔本体内に備えられた内部部材の耐久性が低下することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の洗浄塔の一例を模式的に示す断面図である。
【図2】図1に示す洗浄塔に用いた散気筒の一例を示す模式図であり、散気筒を分解して各構成要素を示す図である。
【図3】図1に示す洗浄塔に用いた散気筒の一例を模式に示す縦断面図である。
【図4】本発明の洗浄塔を用いた純塩素の製造装置の一例を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1:洗浄塔 10:洗浄塔本体
2:酸素ガス
3、3'、31:洗浄水
4:内部部材
41:棚段 41a:孔
42:散気筒 42a:散気筒本体 42a':空洞部 42b:塞板
42c:固定手段
43:バイパス流路
44:貯留部
51、52、53、54:配管
A:純塩素製造装置
B:反応塔 B1:触媒
C:吸収塔 C1:吸収水 C1':塩酸
D:乾燥塔 D1:濃硫酸 D1':希硫酸
E:塩素精製装置 E1:冷却器 E2:気液分離塔
21:塩化水素 22:酸素 23、23':粗塩素ガス
24:乾燥粗塩素ガス 25:純塩素
Claims (3)
- 金属材料で構成された内部部材が備えられた洗浄塔本体に、塩素を含む酸素ガスを供給すると共に洗浄水を供給し、前記洗浄塔本体内で前記酸素ガスを前記洗浄水と接触させて洗浄する洗浄塔であり、前記金属材料で構成された内部部材は酸素ガスと接触する面がフッ素樹脂でコーティングされていることを特徴とする洗浄塔。
- 金属材料がチタン系金属材料である請求項1に記載の洗浄塔。
- 請求項1に記載の洗浄塔と、塩化水素および酸素を触媒の存在下に反応させて未反応塩化水素および未反応酸素を含む粗塩素ガスを得る反応塔と、前記反応塔で得た粗塩素ガスを吸収水と接触させて粗塩素ガスに含まれる未反応塩化水素を前記吸収水に吸収させて除去する吸収塔と、前記吸収塔で未反応塩化水素を除去された後の粗塩素ガスを濃硫酸と接触させて乾燥粗塩素ガスを得る乾燥塔と、前記乾燥塔で得た乾燥粗塩素ガスを冷却して塩素を液化し、未反応酸素を酸素ガスとして分離して、液状の純塩素を得る塩素精製装置とを有し、前記塩素精製装置で分離された酸素ガスが、前記洗浄塔で洗浄された後に反応塔に供給されるように構成されている純塩素の製造装置。
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- 2002-12-11 JP JP2002359106A patent/JP4311005B2/ja not_active Expired - Lifetime
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