JP2004189009A - トランクリッドの開閉機構 - Google Patents

トランクリッドの開閉機構 Download PDF

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Abstract

【課題】従来のものよりも操作性を向上させ、かつトランクリッドを全開位置にて安定して保持することができるトランクリッドの開閉機構を提供する。
【解決手段】本発明の開閉機構は、自動車に設けられたトランクルームの開口部を閉塞するトランクリッドの開閉機構であって、車体とトランクリッドとの間に設けられ、トラックリッドを開閉可能に支持するアーム10と、該アーム10の開方向への回動を付勢するばね20と、該ばね20の付勢力に抗してアーム10の開方向への回転速度を減速させる油圧式ダンパ30とを具備することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、自動車に設けられたトランクルームの開口部を閉塞するトランクリッドの開閉機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、トランクリッドを軽快に開放操作し得るように、車体とトランクリッドとの間に設けられ、トラックリッドを開閉可能に支持するアームと、トランクリッドの開方向への回動を付勢するばねとを備える開閉機構が知られている。また、ばねに代えて、ガススプリングを用いた開閉機構も知られている。
【0003】
ばねを用いた開閉機構では、ばねの付勢力とトランクリッドの自重による閉方向トルクとのバランスを、トランクリッドの操作性を損なわない程度に調整する必要があることから、概してばねの付勢力は、トランクリッドが開方向へ勢いよく回動しないように小さく設定されている。このため、トランクリッドが全開位置又はその付近にて安定して保持されず、ふらつく傾向があった。
【0004】
かかる問題を解消するため、車体とトランクリッドとの間に、トランクリッドを任意の回動位置に保持し得る摩擦ブレーキ機構を介装した開閉機構が提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。この開閉機構によれば、摩擦ブレーキ機構が、トランクリッドに作用するばねの付勢力とトランクリッドの自重による閉方向トルクとの合成トルクに抗して、トランクリッドを任意の回動位置に保持できるので、トランクリッドのふらつきをなくすことはできる。
【0005】
しかしながら、この開閉機構は、トランクリッドを支持するアームに摩擦材を常に圧接し、その摩擦抵抗によりトランクリッドのふらつきを抑制する構造であるため、トランクリッドの開閉に際し、トランクリッドに常時手を添えつつ相当の力で開閉させる必要があり、操作者の負担が大きい。また、アームや摩擦材の製作誤差、組立誤差は、トランクリッドの円滑な回動を妨げることに直結するので、高度な精度管理が要求される。
【0006】
一方、ガススプリングを用いた開閉機構では、トランクリッドを全開位置にて安定して保持することが可能である。しかしながら、一般にガススプリングは高価であり、製造コストが高くつくという問題がある。また、ガススプリングは温度が高くなる程トランクリッドを開放させる力が強くなる性質を有するため、夏場と冬場ではトランクリッドを閉めるときに加える力の大きさが変わり、特に夏の暑い時期には、トランクリッドを閉めるときにかなりの力を要するという欠点がある。さらに、長期間使用すると、ガスが抜けその開放力が低下してトランクリッドを完全に開放させることが困難になることもあった。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−1948号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、従来のものよりも操作性を向上させ、かつトランクリッドを全開位置にて安定して保持することができるトランクリッドの開閉機構を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明は、自動車に設けられたトランクルームの開口部を閉塞するトランクリッドの開閉機構であって、車体とトランクリッドとの間に設けられ、トラックリッドを開閉可能に支持するアームと、該アームの開方向への回動を付勢するばねと、該ばねの付勢力に抗して前記アームの開方向への回転速度を減速させる油圧式ダンパとを具備することを特徴とする前記開閉機構を提供する。
請求項2に記載の本発明は、前記油圧式ダンパは、前記アームの開方向への回転速度のみを減速させる一方向性のものであることを特徴とする請求項1に記載の開閉機構を提供する。
請求項3に記載の本発明は、前記油圧式ダンパは、オイルが充填される空間を2つの室に区画し、前記アームの回動に伴い揺動してオイルを押圧するベーンと、少なくとも前記アームが全閉位置から全開位置付近に至るまでの前記ベーンの揺動範囲に、該ベーンに押圧されるオイルが前記各室間を移動する際に通過し得るように形成される溝とを具備する回転ダンパからなることを特徴とする請求項1に記載の開閉機構を提供する。
請求項4に記載の本発明は、前記溝は、前記ベーンが一方向へ揺動していくに従って徐々にオイルの圧力が高まるように形成されていることを特徴とする請求項3に記載の開閉機構を提供する。
請求項5に記載の本発明は、前記回転ダンパは、オイルが充填される空間を仕切る隔壁部又は前記ベーンに、オイルが通過可能な通路と、該通路を通過するオイルを一方向にだけ流す逆止弁とを備えて構成される弁機構が設けられていることを特徴とする請求項3又は4に記載の開閉機構を提供する。
請求項6に記載の本発明は、前記ばねは、開方向へ回動する前記アームが全閉位置から全閉位置付近に至るまでの回動角度範囲及び全開位置付近から全開位置に至るまでの回動角度範囲においては、トランクリッドの自重による負荷モーメントよりも大きく、全閉位置付近から全開位置付近に至るまでの回動角度範囲においては、トランクリッドの自重による負荷モーメントよりも小さい付勢力を発揮するものであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の開閉機構を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき更に詳しく説明する。
図1乃至図3は、本発明の一の実施の形態に係る開閉機構の要部を示す図であり、図1は平面図、図2は左側面図、図3は右側面図である。これらの図に示したように、本実施形態に係る開閉機構は、アーム10、ばね20及び油圧式ダンパ30を有して構成される。
【0011】
アーム10は、自動車の車体60とトランクリッド70との間に設けられ、トラックリッド70を開閉可能に支持する働きをするものである(図5参照)。本実施形態におけるアーム10は、自動車の車体60に固定されるブラケット40に回転自由に支持された支軸50に基端部10aが支持されると共に、先端部10bがトランクリッド70に固定されることにより、車体60とトランクリッド70との間に設けられている(図1及び図5参照)。そして、トランクリッド70は、このアーム10を介して車体60に連結され、このアーム10によって開閉可能に支持されている。なお、アーム10は、その基端部10aを支持する支軸50と係合し、アーム10が回動すると、それに伴って支軸50が回転するようになっている。
【0012】
ばね20は、アーム10の開方向への回動を付勢する働きをするものである。ばね20としては、従来公知の開閉機構にも採用されているトーションバーを用いることもできる。本実施形態におけるばね20は、コイルばねからなり、筒状のコイル部20cが支軸50の一方の端部50a側を包囲するように配置され、一端20aが支軸50の一方の端部50aに形成された係止溝に嵌合されると共に、他端20bがブラケット40に固定されている(図1及び図2参照)。このばね20は、アーム10の閉方向への回動に伴う支軸50の回転によりねじられ、それによりアーム10の開方向への回動を付勢する力を蓄えるように設けられている。
【0013】
図6は、トランクリッド70の回動位置と、トランクリッド70に作用するばね20の付勢力(T)及びばね20の付勢力(T)とトランクリッド70の負荷モーメント(M)との合成トルク(T−M)との関係を示すグラフである。このグラフに示されたように、ばね20としては、開方向へ回動するアーム10が全閉位置Oから全閉位置付近Pに至るまでの回動角度範囲及び全開位置付近Qから全開位置Rに至るまでの回動角度範囲においては、トランクリッド70の自重による負荷モーメント(M)よりも大きく、全閉位置付近Pから全開位置付近Qに至るまでの回動角度範囲においては、トランクリッド70の自重による負荷モーメント(M)よりも小さい付勢力(T)を発揮するものであることが好ましい。
【0014】
すなわち、開方向へ回動するアーム10が全閉位置Oから全閉位置付近Pに至るまでの回動角度範囲において、ばね20の付勢力(T)がトランクリッド70の自重による負荷モーメント(M)よりも大きいと、合成トルク(T−M)は正の値となるため、トランクリッド70が全閉位置Oから全閉位置付近Pに至るまでの間は、トランクリッド70に外力を加えなくてもトランクリッド70を自動的に開放させることができる。
【0015】
また、開方向へ回動するアーム10が全開位置付近Qから全開位置Rに至るまでの回動角度範囲において、ばね20の付勢力(T)がトランクリッド70の自重による負荷モーメント(M)よりも大きいと、合成トルク(T−M)は正の値となるため、トランクリッド70が全開位置付近Qから全開位置Rに至るまでの間は、上記と同様に、トランクリッド70に外力を加えなくてもトランクリッド70を自動的に開放させることができる。さらにトランクリッド70が全開位置付近Qから全開位置Rに至るまでの間は、ばね20の付勢力(T)がトランクリッド70に強く作用するため、トランクリッド70を全開位置Rにて安定して保持することが可能となる。
【0016】
一方、開方向へ回動するアーム10が全閉位置付近Pから全開位置付近Qに至るまでの回動角度範囲において、ばね20の付勢力(T)がトランクリッド70の自重による負荷モーメント(M)よりも小さいと、合成トルク(T−M)は負の値となるため、トランクリッド70が全閉位置付近Pから全開位置付近Qに至るまでの間は、トランクリッド70に手を添えて開放させる必要があるが、そのトランクリッド70から手を離せば、トランクリッド70を自動的に閉方向へ回動させることが可能となる。
【0017】
なお、トランクリッド70(アーム10)の回動位置については、図5を参照されたい。
【0018】
油圧式ダンパ30は、ばね20の付勢力に抗してアーム10の開方向への回転速度を減速させる働きをするものである。ダンパとして油圧を用いたものを採用することの利点として、大きな制動力を発揮し得ること、長期間にわたり安定した制動特性が得られること等が挙げられる。本実施形態における油圧式ダンパ30は、ケーシング31内に設けられるロータ32と、該ロータ32とケーシング31との間に形成される空間を仕切る隔壁部33と、該隔壁部33に仕切られた空間に充填されるオイル(図示せず)と、該オイルが充填される空間を2つの室39a,39bに区画するベーン34とを具備する回転ダンパからなる(図4参照)。このように構成される回転ダンパは、小型でも大きな制動力を発揮することが可能であるため、設置スペースが小さくて済み、油圧式ダンパ30として好適である。
【0019】
ここで、ロータ32は、その軸心に沿って貫通する断面四角形の中空部32aを有し、この中空部32aに支軸50の他方の端部50b側が挿通され係合することにより、支軸50の回転に伴ってケーシング31内で回転するようになっている(図1及び図4参照)。また、ベーン34は、ロータ32の外周面からケーシング31の内周面に向かって突出し、その先端面34aがケーシング31の内周面に摺接するように、ロータ32と一体に成形され、オイルが充填された空間内において、ロータ32の回転に伴い揺動して、オイルを押圧する。
【0020】
また、油圧式ダンパ30としては、アーム10の開方向への回転速度のみを減速させる一方向性のものであることが好ましい。一方向性の油圧式ダンパ30によれば、アーム10が閉方向へ回動するときに、該アーム10に油圧式ダンパ30の制動力が作用しないことから、小さな力でトランクリッド70を閉めることができるので、操作性を高めることができる。
【0021】
このような理由から、油圧式ダンパ30として採用される回転ダンパとしては、ベーン34が一方向に揺動する場合にのみ制動力を発揮させる一方向性の弁機構を備えたものであることが好ましい。
【0022】
本実施形態における油圧式ダンパ30としての回転ダンパは、かかる一方向性の弁機構として、ベーン34を周方向に貫通し、オイルが通過可能な通路35と、該通路35を通過するオイルを一方向にだけ流す逆止弁36とを備えて構成されるものが採用されている(図4参照)。ここで、通路35は、ベーン34により区画された2つの室39a,39bのうちの一方(以下「圧力室」という。)39aに開口する大孔部35aと、該大孔部35aよりも小さい孔からなり、ベーン34により区画された2つの室39a,39bのうちの他方(以下「非圧力室」という。)39bに開口する小孔部35bとを有して構成される。また、逆止弁36は、大孔部35aの内径よりも小さく、小孔部35bの内径よりも大きい直径を有する球体からなり、大孔部35a内に移動可能に設けられている。また、大孔部35aには、逆止弁36の脱落を防止するためのストッパ37が設けられている。なお、本実施形態では、ベーン34に弁機構が設けられているが、ベーン34に代えて、オイルが充填される空間を仕切る隔壁部33に弁機構を設けても良い。
【0023】
かかる弁機構によれば、オイルが大孔部35a側から通路35内に流入すると、逆止弁36がその圧力を受けて移動し、大孔部35aと小孔部35bの境界部に当接する。これにより、通路35が閉鎖されるので、該通路35を通じたオイルの移動が阻止される。一方、オイルが小孔部35b側から通路35内に流入したときには、逆止弁36がその圧力を受けて上記とは逆方向に移動して大孔部35aと小孔部35bの境界部から離間する。これにより、通路35は開放されるので、オイルは該通路35を通じて非圧力室39bから圧力室39aへ移動することが可能となる。
【0024】
また、油圧式ダンパ30として採用される回転ダンパとしては、ベーン34に押圧されるオイルが各室39a,39b間を移動する際に通過し得るように形成される溝38を備えたものであることが好ましい。そして、この溝38は、少なくともアーム10が全閉位置Oから全開位置付近Qに至るまでのベーン34の揺動範囲に形成されることが好ましい。
【0025】
この溝38がないとすると、圧力室39a内のオイルがベーン34に押圧されたときに、そのオイルは、逆止弁36の働きによりベーン34に形成された通路35を通過することができないため、ベーン34とケーシング31との間に形成される僅かな隙間等を通じて非圧力室39bへ移動することとなる。従って、その際にベーン34に対してオイルの大きな圧力が加えられることになり、アーム10の回動を緩慢なものとさせる制動力が発生することになる。しかし、この溝38を設けることにより、圧力室39a内のオイルは、逆止弁36の働きによりベーン34に形成された通路35を通過することができなくても、この溝38を通じて非圧力室39bへ移動することができるため、その際にベーン34に対して加えられるオイルの圧力は小さいものとなる。
【0026】
従って、この溝38が、アーム10が全閉位置Oから全開位置付近Qに至るまでのベーン34の揺動範囲に形成されることにより、アーム10が全閉位置Oから全開位置付近Qに至るまでの間は、上記原理により、該アーム10に作用する油圧式ダンパ30の制動力を、アーム10の回動に影響を与えない程度に小さくすることが可能となる。
【0027】
また、アーム10が全開位置付近Qから全開位置Rに至るまでのベーン34の揺動範囲には、かかる溝38を形成しないことにより、アーム10が全開位置付近Qから全開位置Rに至るまでの間は、上記原理により、油圧式ダンパ30に大きな制動力を発揮させて、上記したばね20の付勢力に抗して、開方向へ回動するアーム10の回転速度を減速せしめることが可能となる。
【0028】
また、上記溝38は、ベーン34が一方向へ揺動していくに従って徐々にオイルの圧力が高まるように形成されていることが好ましい。すなわち、溝38は、その幅若しくは深さのいずれか一方又はそれらの両方が、ベーン34が一方向へ揺動していくに従って次第に小さくなるように形成されることが好ましい。かかる形状の溝38によれば、ベーン34が一方向へ揺動していくに従って徐々にオイルの圧力を高めることが可能となり、また、該ベーン34が逆方向へ揺動していくに従って徐々にオイルの圧力を低下させることが可能となるため、アーム10の回動乃至トランクリッド70の開閉動作をより円滑なものとすることができる。
【0029】
上記のように構成される本実施形態の開閉機構によれば、トランクリッド70のロックを解除すると、上記したばね20の作用により、アーム10が開方向に回動して、トランクリッド70が全閉位置Oから全閉位置付近Pまで自動的に開く(図5参照)。この際、油圧式ダンパ30としての回転ダンパは、アーム10が開方向へ回動するのに伴いベーン34が一方向へ揺動して圧力室39a内のオイルを押圧することになるが、上記したように、圧力室39a内のオイルは、逆止弁36の働きによりベーン34に形成された通路35を通過することができなくても、溝38を通じて非圧力室39bへ移動することができるため、その際にベーン34に対して加えられるオイルの圧力は小さいものとなる。従って、トランクリッド70は、油圧式ダンパ30が発揮する小さな制動力の影響を受けることなく開動作する。
【0030】
トランクリッド70を全閉位置付近Pから全開位置付近Qまで開けるときには、トランクリッド70に手を添えて持ち上げるようにトランクリッド70を開動作させる必要があるが、上記したように、この際に油圧式ダンパ30が発揮する制動力はトランクリッド70の開動作に影響を与えない程度の小さいものであるため、操作する者に大きな負担を掛けずに、ばね20の付勢力(T)とトランクリッド70の負荷モーメント(M)の合成トルク(T−M)に相当する力でトランクリッド70を開動作させることができる。
【0031】
トランクリッド70に手を添えて、トランクリッド70を全開位置付近Qまで開けていくと、全開位置付近Qから全開位置Rに至るまでは、上記したばね20の作用により、添えていた手を離してもトランクリッド70は全開位置Rに到達するまで自動的に開く。この際、トランクリッド70は、ばね20の強い付勢力(T)により勢いよく跳ね上がろうとするが、油圧式ダンパ30の作用によりばね20の付勢力(T)に抗してアーム10の開方向への回転速度を減速せしめることで、トランクリッド70の開動作を緩慢なものとすることができる。すなわち、油圧式ダンパ30としての回転ダンパには、アーム10が全開位置付近Qから全開位置Rに至るまでのベーン34の揺動範囲に、溝38が存在しないか又は存在してもその溝38は非常に小さく形成されたものであるから、かかる回転ダンパは、アーム10が全開位置付近Qから全開位置Rに至るまでの間は、上記したように大きな制動力を発揮して、開方向へ回動するアーム10の回転速度を減速せしめるので、トランクリッド70の開動作は緩慢なものとなる。
【0032】
そして、全開位置Rまで開けられたトランクリッド70は、ばね20の強い付勢力(T)により全開位置Rにてふらつくことなく安定して保持される。
【0033】
全開位置Rに存するトランクリッド70を閉じるときには、トランクリッド70に手を添えて下方向に押し下げる必要があるが、この際、本実施形態に係る油圧式ダンパ30としての回転ダンパは、一方向性の弁機構を備えて構成されるため、閉動作するトランクリッド70に対して、かかる回転ダンパの発揮する制動力は作用しない。
【0034】
すなわち、油圧式ダンパ30としての回転ダンパは、トランクリッド70を閉方向へ回動させると、アーム10が閉方向へ回動するのに伴いベーン34が上記とは逆方向へ揺動して非圧力室39b内のオイルを押圧することになる。非圧力室39b内のオイルは、小孔部35b側から通路35内に流入し、その圧力を受けて逆止弁36が大孔部35a内で移動して大孔部35aと小孔部35bの境界部から離間する。これにより、通路35は開放され、オイルは該通路35を通じて非圧力室39bから圧力室39aへ移動することが可能となるので、ベーン34に対して加えられるオイルの圧力は小さいものとなる。従って、トランクリッド70は、油圧式ダンパ30が発揮する小さな制動力の影響を受けることなく閉動作することとなる。よって、操作する者は、小さい力でトランクリッド70を全開位置Rから閉方向に回動させることができる。
【0035】
また、本実施形態では、ばね20として、アーム10が全閉位置付近Pから全開位置付近Qに至るまでの回動角度範囲においては、トランクリッド70の自重による負荷モーメント(M)よりも小さい付勢力(T)を発揮するものが採用されていることから、トランクリッド70を全開位置Rから全開位置付近Qまで押し下げたならば、その後は、トランクリッド70から手を離して外力を加えなくても、トランクリッド70が全閉位置付近Pに至るまで、トランクリッド70を自動的に閉方向へ回動させることができる。
【0036】
そして、トランクリッド70を全閉位置付近Pから全閉位置Oまで閉動作させるときは、トランクリッド70に手を添えて外力を加えることになるが、この際にトランクリッド70に作用するのは、ばね20の付勢力(T)のみであり、また、閉方向へ回動するトランクリッド70の慣性も働くため、操作する者の負担を非常に小さくすることができる。
【0037】
図7は、本発明の他の実施の形態に係る開閉機構の要部を示す平面図である。この図に示したように、本実施形態に係る開閉機構は、上記実施形態と同様に、アーム10、ばね20及び油圧式ダンパ30を有して構成されるが、ばね20として、コイルばねに代えて、渦巻きばねを採用した点で、上記実施形態と相違する。
【0038】
本実施形態の開閉機構によっても、上記実施形態において採用したコイルばねと同様の機能を果たし得る渦巻きばねをばねとして採用することにより、上記実施形態に係る開閉機構と同様の作用効果を奏することが可能である。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、従来のものよりも操作性を向上させ、かつトランクリッドを全開位置にて安定して保持することができるトランクリッドの開閉機構を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一の実施の形態に係る開閉機構の要部を示す平面図である。
【図2】図2は、上記の実施の形態に係る開閉機構の要部を示す左側面図である。
【図3】図3は、上記の実施の形態に係る開閉機構の要部を示す右側面図である。
【図4】図4は、上記の実施の形態において採用した油圧式ダンパの内部構造を示す図であり、(a)は縦断面図、(b)は(a)のA−A部断面図である。
【図5】図5は、上記の実施の形態に係る開閉機構の作用を説明するための図である。
【図6】図6は、トランクリッドの回動位置と、トランクリッドに作用するばねの付勢力及びばねの付勢力とトランクリッドの負荷モーメントとの合成トルクとの関係を示すグラフである。
【図7】図7は、本発明の他の実施の形態に係る開閉機構の要部を示す平面図である。
【符号の説明】
10 アーム
20 ばね
30 油圧式ダンパ
31 ケーシング
32 ロータ
33 隔壁部
34 ベーン
35 通路
35a 大孔部
35b 小孔部
36 逆止弁
37 ストッパ
38 溝
39a 圧力室
39b 非圧力室
40 ブラケット
50 支軸
60 車体
70 トランクリッド

Claims (6)

  1. 自動車に設けられたトランクルームの開口部を閉塞するトランクリッドの開閉機構であって、車体とトランクリッドとの間に設けられ、トラックリッドを開閉可能に支持するアームと、該アームの開方向への回動を付勢するばねと、該ばねの付勢力に抗して前記アームの開方向への回転速度を減速させる油圧式ダンパとを具備することを特徴とする前記開閉機構。
  2. 前記油圧式ダンパは、前記アームの開方向への回転速度のみを減速させる一方向性のものであることを特徴とする請求項1に記載の開閉機構。
  3. 前記油圧式ダンパは、オイルが充填される空間を2つの室に区画し、前記アームの回動に伴い揺動してオイルを押圧するベーンと、少なくとも前記アームが全閉位置から全開位置付近に至るまでの前記ベーンの揺動範囲に、該ベーンに押圧されるオイルが前記各室間を移動する際に通過し得るように形成される溝とを具備する回転ダンパからなることを特徴とする請求項1に記載の開閉機構。
  4. 前記溝は、前記ベーンが一方向へ揺動していくに従って徐々にオイルの圧力が高まるように形成されていることを特徴とする請求項3に記載の開閉機構。
  5. 前記回転ダンパは、オイルが充填される空間を仕切る隔壁部又は前記ベーンに、オイルが通過可能な通路と、該通路を通過するオイルを一方向にだけ流す逆止弁とを備えて構成される弁機構が設けられていることを特徴とする請求項3又は4に記載の開閉機構。
  6. 前記ばねは、開方向へ回動する前記アームが全閉位置から全閉位置付近に至るまでの回動角度範囲及び全開位置付近から全開位置に至るまでの回動角度範囲においては、トランクリッドの自重による負荷モーメントよりも大きく、全閉位置付近から全開位置付近に至るまでの回動角度範囲においては、トランクリッドの自重による負荷モーメントよりも小さい付勢力を発揮するものであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の開閉機構。
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