JP2004188770A - センサの汚れ防止装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】設備コストの高騰を抑えた上で、センサの汚れをより確実に防止することができるようにする。
【解決手段】印刷装置10に設けられた用紙センサ90の検出面91の汚れを防止するものであり、前記印刷装置10が有する第1および第2インキローラ離接エアシリンダ51,52や、第1および第2胴入れエアシリンダ53,54、第1および第2版面洗浄装置着脱エアシリンダ55,56、さらにはインキ洗浄器着脱エアシリンダ57等の、印刷装置10に付設された各種の機器の作動用として設けられたコンプレッサ60から前記各機器へ供給される圧搾空気A1の内で使用済のものを前記用紙センサ90の検出面91に向けて噴射供給するように構成されている。
【選択図】 図6

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば印刷装置において印刷用紙の検出などに用いられるセンサの汚れを防止するためのセンサの汚れ防止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、特開2000−280452号公報に記載された、図7に示すような印刷装置100に使用される異物除去装置(汚れ防止装置)130が知られている。まず、印刷装置について説明すると、当該印刷装置100は、印刷ドラム111を介して印刷用紙Pに印刷処理を施す印刷部110と、この印刷部110に印刷用紙Pを供給する用紙供給部120とからなる基本構成を有している。
【0003】
用紙供給部120には駆動モータ121の正逆駆動で昇降する給紙台122が備えられ、用紙Pの束がこの給紙台122に載置されるようになっている。そして、印刷部110による印刷処理が実行されるに際しては、給紙台122の緩やかな上昇に同期した給紙手段123の動作で最上位の印刷用紙Pの1枚ずつが受渡搬送路124を介して印刷部110へ順次送り込まれるようになっている。
【0004】
前記受渡搬送路124には、当該受渡搬送路124を挟むように配設された、投光素子と受光素子との一組の光電素子からなるペーパーセンサ125が設けられ、このペーパーセンサ125によって受渡搬送路124を通過する印刷用紙Pが逐一検出されるようになっている。
【0005】
そして、前記異物除去装置130は、ペーパーセンサ125の表面に堆積した紙粉などの異物を除去することによって当該ペーパーセンサ125を常に清浄に保つ用に供されるものであり、用紙供給部120に設けられている。かかる異物除去装置130は、前記給紙台122の下面側に付設された蛇腹式の空気ポンプ131と、この空気ポンプ131の定置された下端部に接続される空気ホース132と、この空気ホース132の先端部に設けられた空気ノズル133とを備えている。空気ノズル133は、その空気噴射口が前記ペーパーセンサ125に対向するように配置されている。
【0006】
このような異物除去装置130によれば、印刷用紙Pの補給のために最上位に位置した給紙台122が下降する度に空気ポンプ131の縮長によって内部の空気が空気ホース132を通って排出され、空気ノズル133からペーパーセンサ125に向けて噴射されるため、ペーパーセンサ125の表面に堆積していた異物が給紙台122の下降の度に空気の噴射流によって除去され、これによってペーパーセンサ125の表面を清浄に保持することができる。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−280452号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来の異物除去装置130にあっては、用紙供給部120に空気ポンプ131等からなる異物除去装置130を新たに装備しなければならず、そのために設備コストが嵩むという問題点を有している。
【0009】
また、空気ノズル133からのペーパーセンサ125へ向けた空気流の噴射は、給紙台122の下降時のみであり、間欠的にしかペーパーセンサ125に空気流が供給されないため、異物除去装置130の異物除去効果は充分なものではないという場合もある。
【0010】
本発明は、上記のような問題点を解消するためになされたものであり、設備コストの高騰を抑えた上で、センサの汚れをより確実に防止することができるセンサの汚れ防止装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、印刷装置に設けられた所定のセンサの検出面の汚れを防止するセンサの汚れ防止装置であって、前記印刷装置が有する各種の機器の作動用として圧搾空気を供給する圧搾空気供給手段が備えられ、該圧搾空気供給手段から前記機器へ供給される圧搾空気の内で使用済のものを前記センサの検出面に向けて噴射供給するように構成されてなることを特徴とするものである。
【0012】
この発明によれば、たとえセンサの検出面が粉塵の堆積で汚れても、圧搾空気供給手段からの圧搾空気がセンサの検出面に噴射供給されることにより堆積した粉塵が吹き飛ばされるため、センサの検出面は常に汚れが除去された清浄な状態になる。したがって、検出面が汚れていることにより被検出物を検出し得なくなるという不都合が解消され、印刷装置の正常な運転が確保される。
【0013】
そして、センサへ供給される圧搾空気は、印刷装置の各種の機器に作動用として供された後の使用済みとなったものが用いられるため、センサの汚れ防止用として専用の空気供給手段を採用する場合に比較し、部品コストおよび組み付けコストの低減化に貢献することができ、センサの汚れ防止を確保し得るようにした上で印刷装置の製造コストのコストダウンが達成される。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記圧搾空気供給手段は、コンプレッサによって構成されてなることを特徴とするものである。
【0015】
この発明によれば、印刷装置に付設された、各種の機器を駆動させるためのコンプレッサからは高圧の圧搾空気が供給されるため、かかるコンプレッサからの圧搾空気は、センサの汚れ防止用として好適である。
【0016】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、前記各種の機器は、供給される圧搾空気によるエアシリンダ装置の往復動作によって作動するように構成され、前記圧搾空気のセンサへの噴射供給は、前記エアシリンダ装置の作動タイミングに合わせた往動時および復動時にエアシリンダ装置から排出される排気によって行われるように構成されてなることを特徴とするものである。
【0017】
この発明によれば、印刷装置が有する各種の機器を作動させるためのエアシリンダ装置に圧搾空気が供給される都度、エアシリンダ装置が往動作あるいは復動作を行い、これらの動作で機器が所定の作動を行うとともに、往動作時および復動作時の双方においてエアシリンダ装置から排出される圧搾空気(排気)の気流によりセンサの検出面の汚れが吹き飛ばされ、これによって検出面は清浄化される。
【0018】
そして、各所のエアシリンダ装置は、印刷装置の運転時に所定のタイミングで駆動されるため、当該エアシリンダ装置の駆動の度にセンサの検出面に堆積した粉塵が吹き飛ばされ、これによってセンサの検出面を常に清浄化された状態に維持することができる。
【0019】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、前記エアシリンダ装置は、前記各種の機器の一つであるゴム胴を胴入れするために使用される胴入れエアシリンダであることを特徴とするものである。
【0020】
この発明においてゴム胴とは、印刷画像の刻印された版胴および周面に印刷用紙が付与される圧胴の双方の周面に当該ゴム胴の周面がそれぞれ当接するように配設されるブラケット胴のことであり、版胴から転写されたゴム胴周面の画像を、当該ゴム胴と圧胴間に挟持されて両者の回転で搬送される印刷用紙にさらに転写する用に供されるものである。
【0021】
また、ゴム胴の胴入れとは、版胴および圧胴の双方から離間状態のゴム胴を、版胴および圧胴の双方に当接させる操作のことである。これとは逆に版胴および圧胴の双方に当接しているゴム胴を両者から離間させる操作のことを胴抜きという。胴入れは、印刷処理の最初に必ず行われ、胴抜きは、印刷処理の最後に必ず行われる。その他、印刷処理の最中であっても、印刷状態をチェックするために印刷装置を一時的に停止させるときがあるが、このときにはまず胴抜きが行われて所定のチェックが行われてから胴入れが行われ、その後に印刷処理が再開される。
【0022】
そしてこの発明によれば、このゴム胴の胴入れ・胴抜きを行う胴入れエアシリンダが本発明に係るエアシリンダ装置として採用されているため、センサの検出面の汚れ防止処理に関して以下のような格別の作用効果を得ることができる。
【0023】
まず第1として、胴入れエアシリンダは、相当の重量物であるゴム胴を移動させるために使用されるものであるため、他のエアシリンダ装置に比較して大型のものが採用されている。したがって、かかる胴入れエアシリンダを作動させるためには、より多くの圧搾空気が必要となるため、これに応じてセンサの検出面に吹き付けるための使用済みの圧搾空気(排気)も大量になり、これによってセンサの検出面をより確実に清浄化処理することができる。
【0024】
ついで第2に、印刷装置による1ジョブの印刷処理(同一の版で予め設定された所定枚数の印刷用紙を対象として連続的に行われる1単位の印刷処理)において、印刷の初期にゴム胴の胴入れが必ず行われるとともに、印刷処理の完了時にゴム胴の胴抜き処理が必ず行われるため、これら胴入れおよび胴抜き操作時に胴入れエアシリンダから必ず排気が排出されることになる。したがって、センサの検出面は、1ジョブの印刷処理毎に必ず最低2回、胴入れエアシリンダからの排気によって自動的に清浄化処理されるため、長期間に亘ってセンサの検出面に排気が噴射供給されない事態が起るような不都合が生じることはない。
【0025】
さらに第3として、印刷処理の途中で印刷状態をチェックするために印刷装置を一時的に停止させることが一般的に行われるが、その一時停止が行われる都度、ゴム胴の胴抜きおよび胴入れ操作が実行される。しかも通常1日に数回のジョブが行われるため、全体としては1日当り多くの頻度でセンサの検出面の清浄化処理が施されることになる。
【0026】
このように、胴入れエアシリンダを本発明に係るエアシリンダ装置として採用することにより、その容量の多さによって1動作当りの排気の量が他のエアシリンダ装置に比べて多くなり、これによってセンサの検出面に対する排気による清浄化処理がより良好に行われるとともに、1ジョブの印刷処理において胴入れエアシリンダは必ず作動されるため、センサの検出面が定期的に且つ毎日多くの頻度で必ず清浄化処理されることになるという優れた作用効果を得ることができる。
【0027】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明において、前記センサは、印刷処理に供される印刷用紙を検出するための用紙センサであることを特徴とするものである。
【0028】
この発明によれば、用紙センサは、印刷処理に供される用紙の近傍に設けられているのが一般的であり、移動している用紙から発生する粉塵(紙粉)が検出面に堆積し易くなっているが、かかる用紙センサの検出面に圧搾空気が供給されることにより、当該用紙センサは、汚れ易い検出面が常に清浄化され、誤検出が確実に防止し得る状態になる。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明に係るセンサの汚れ防止装置を説明するに先立って、まず、汚れ防止装置が適用される印刷装置につきその概略を説明する。図1は、本発明に係るセンサの汚れ防止装置が適用される印刷装置の一実施形態を模式的に示す説明図である。
【0030】
まず、図1に示すように、印刷装置10は、多数枚の印刷用紙Pが積層されてなる給紙パイル21から印刷用紙Pを1枚ずつ取り出す給紙部20と、この給紙部20から送り込まれた印刷用紙Pに印刷処理を施す印刷処理部30と、この印刷処理部30で印刷処理されて形成した印刷済用紙P1を送出して排紙パイル43を形成させる排紙部40とを備えた基本構成を有している。
【0031】
前記給紙部20には、給紙パイル21の最上位から引き取られた印刷用紙Pを1枚ずつ搬送するフィーダーボード22と、このフィーダーボード22にて搬送された印刷用紙Pを摘持して所定の軸回りに揺動しながら当該印刷用紙Pを下流側へ向かわせるスイング23と、このスイング23の下流側で当該印刷用紙Pを受け取って印刷処理部30へ向かわせる給紙胴24とが設けられている。
【0032】
フィーダーボード22の下流端部の適所には、印刷用紙Pの下流側端縁が当止することによりフィーダーボード22上の印刷用紙Pの位置決めを行う位置決め針22aが突設され、スイング23は、この位置決め針22aによる位置決め状態の印刷用紙Pを摘持することにより、印刷用紙Pに対する摘持位置が一定になるようにしている。
【0033】
前記給紙胴24は、図1の紙面と直交する方向に延びる軸回りに時計方向へ駆動回動するようになっている。かかる給紙胴24の下方位置の適所には、給紙胴24の周面に対向するように円弧状に形成された扁平・幅狭を呈する少なくとも一対のペーパーガイド25(本実施形態では3本(図5参照))が設けられ、スイング23により送り込まれた印刷用紙Pは、このペーパーガイド25によって垂れ下がるのが防止されつつ略半周されたのち印刷処理部30へ引き渡されるようになっている。
【0034】
前記印刷処理部30は、周面に印刷用の画像が刻印された一対の版胴31と、各版胴31に対応してその下部に面同士がそれぞれ互いに接触するように配設された一対のゴム胴32と、斜め上方でこれら一対のゴム胴32に周面がそれぞれ当接するとともに、図1における右方の斜め下部位置の周面が前記給紙胴24の周面に対向するように配設された圧胴33とを備えて構成されている。
【0035】
各版胴31の左右の斜め上方位置には、版胴31へインキを供給するインカー34がそれぞれ一対で設けられ、これらのインカー34からのインキが所定の軸回りに反時計方向へ回転している版胴31に供給されるようになっている。そして、周面の当接回転により版胴31の周面からゴム胴32の周面に転写されたインキは、圧胴33の軸回りの反時計方向へ向かう回転に誘導されてその周面で共回りしている印刷用紙Pに転写され、これによって印刷用紙Pに印刷処理が施されるようになっている。
【0036】
前記排紙部40は、圧胴33の下部で周面が圧胴33の周面に当接するように配設されて軸回りに時計方向へ回転する排紙胴41と、この排紙胴41の周面の略下半分を覆うように配設されたガイド板42とを備えて構成されている。ガイド板42は、その下流端が排紙パイル43の形成される位置に臨むように寸法設定されている。したがって圧胴33の回転で排紙胴41の周面に供給された印刷済用紙P1は、排紙胴41の軸回りの時計方向への回転によってガイド板42に案内されつつガイド板42の下流端から順次排出され、排紙パイル43が形成される。
【0037】
ついで、印刷装置10内に備えられた各種のエアシリンダ装置について図2を基に説明する。図2は、図1に示す印刷装置が有するエアシリンダ装置を説明するための説明図である。この図に示すように、印刷装置10には、付設された各種の機器を着脱操作するときに使用されるエアシリンダ装置50が各所に設けられている。本実施形態においては、かかるエアシリンダ装置50として第1インキローラ離接エアシリンダ51、第2インキローラ離接エアシリンダ52、第1胴入れエアシリンダ53、第2胴入れエアシリンダ54、第1版面洗浄装置着脱エアシリンダ55、第2版面洗浄装置着脱エアシリンダ56、およびインキ洗浄器着脱エアシリンダ57が採用されている。
【0038】
前記第1インキローラ離接エアシリンダ51は、版胴31に対して一対で設けられているインカー34にそれぞれ付設された図略のインキローラの一方を版胴31の周面に対して接離させるときに使用されるものであり、第2インキローラ離接エアシリンダ52は同他方を接離させるときに使用されるものである。かかる第1および第2インキローラ離接エアシリンダ51,52の正駆動(ピストンロッド50c(図6)が突出する駆動)によって各インキローラは版胴31の周面に当接される一方、逆駆動によって当接状態が解除されるようになっている。
【0039】
そして、第1および第2インキローラ離接エアシリンダ51,52は、印刷処理を開始するに際し予め必ず正駆動されて版胴31に当接された状態とされる。また1ジョブの印刷処理が完了すると、第1および第2インキローラ離接エアシリンダ51,52は、逆駆動されて版胴31との当接状態が解除されるのが一般的である。
【0040】
前記第1胴入れエアシリンダ53および第2胴入れエアシリンダ54は、ゴム胴32のインキローラが版胴31および圧胴33に対する接離操作を行うときに使用されるものであり、その正駆動(ピストンロッド50c(図6)が突出する駆動)によってゴム胴32が版胴31および圧胴33の双方に当接する一方、逆駆動によってゴム胴32が版胴31および圧胴33から離間するようになっている。
【0041】
因みに、版胴31および圧胴33の双方から離間状態のゴム胴32を、版胴31および圧胴33の双方に当接させる操作のことを胴入れといい、これとは逆に版胴31および圧胴33の双方に当接しているゴム胴32を両者から離間させる操作のことを胴抜きという。そして、胴入れは、1ジョブにおける印刷処理の最初に必ず行われ、胴抜きは、1ジョブにおける印刷処理の最後に必ず行われる。
【0042】
1つのゴム胴32に対して2基のエアシリンダ(第1および第2胴入れエアシリンダ53,54)で当該ゴム胴32の版胴31および圧胴33に対する接離操作(胴入れ、胴抜き操作)を行うようにしているのは、ゴム胴32の移動軌跡を安定させるためと、第1胴入れエアシリンダ53によって圧胴33に対するゴム胴32の確実な当接状態を確保するとともに、第2胴入れエアシリンダ54によって版胴31に対するゴム胴32の確実な当接状態を確保するためである。
【0043】
なお、1ジョブの印刷処理において、印刷用紙Pへの印刷状態をチェックするために一時的に印刷装置10を停止させるのが一般的であるが、このような場合にも第1および第2胴入れエアシリンダ53,54の駆動による胴入れおよび胴抜き操作が実行される。
【0044】
前記第1版面洗浄装置着脱エアシリンダ55および第2版面洗浄装置着脱エアシリンダ56は、図略の第1および第2版面洗浄装置を着脱操作するときに使用されるものであり、それぞれの正駆動によって版面洗浄装置の装着状態が確定される一方、逆駆動によって装着状態が解除されるようになっている。
【0045】
前記インキ洗浄器着脱エアシリンダ57は、図略のインキローラを洗浄するために使用されるインキ洗浄器を着脱操作するに際し使用されるものであり、その正駆動によってインキ洗浄器の装着状態が確定される一方、逆駆動によって装着状態が解除されるようになっている。
【0046】
各エアシリンダ装置50へは、コンプレッサ60からの圧搾空気が電磁弁70を介し所定の圧空配管61を通って切り換え供給されるようになっている。そして、圧搾空気が供給されたいずれかのエアシリンダ装置50は、その駆動によって予め設定された動作を行い、これによって版胴31やゴム胴32、圧胴33等は、着脱操作やメンテナンス操作が行い得るようになる。
【0047】
因みに、図2においては、図示が煩雑になることを避けるために、圧空配管61の配管系統を簡略化して示しているが、実際は、各エアシリンダ装置50毎に専用の配管が採用され、電磁弁70の切り換え操作によって設定されたエアシリンダ装置50へ向けて圧搾空気が供給されるようになっている。
【0048】
そして、上記のように構成された印刷装置10に本発明に係るセンサの汚れ防止装置が適用されている。以下図3並びに必要に応じて図1および図2を参照しながら汚れ防止装置について説明する。図3は、図1の要部(汚れ防止装置80および用紙センサ90が設けられている部分)を示す図であり、大きな円内に小さな円内の図の拡大図を示している。
【0049】
汚れ防止装置80は、用紙センサ90の検出面に堆積した主に紙粉からなる粉塵を除去して汚れを落とし、検出面を清浄化するためのものであり、印刷装置の各種の機器の作動用として圧搾空気を供給する前記コンプレッサ(圧搾空気供給手段)60と、該コンプレッサ60から前記機器の作動用として供給される圧搾空気の内で使用済のものを前記センサの検出面に向けて噴射供給するエアブロアブロック81とを備えて構成されている。
【0050】
かかる汚れ防止装置80について詳細に説明するに先立って用紙センサ90についてまず説明する。本実施形態においては、前記用紙センサ90として発光素子および受光素子を有する、いわゆる光センサを備えてなるものが採用されている。かかる用紙センサ90は、発光素子からの光が搬送中の印刷用紙Pに向かって照射され、その反射光が受光素子へ入力されることにより、印刷用紙Pの存在を検出するようになっている(図4の(イ)に一点鎖線で表示)。印刷用紙Pが存在しない場合には反射光の受光素子への入力が行われず、これによって印刷用紙Pが存在していないことが検出される。かかる用紙センサ90は、印刷用紙Pの搬送タイミングに同期した制御信号が入力されることによって発光素子が発光するようになされている。
【0051】
このような用紙センサ90は、印刷用紙Pの搬送経路の近傍でその検出面91を印刷用紙Pに対向させた状態で配置されている。本実施形態においては、用紙センサ90として、図3に示すように、給紙胴24により搬送されつつある印刷用紙Pを検出する給紙胴側センサ90aと、排紙胴41により搬送されつつある印刷用紙Pを検出する排紙胴側センサ90bとが採用されている。
【0052】
そして、給紙胴側センサ90aまたは排紙胴側センサ90bが印刷用紙Pの存在を検出しなかったときには、その信号に基づいて印刷装置10の駆動が停止されるとともに、前記第1胴入れエアシリンダ53および第2胴入れエアシリンダ54がそれぞれ逆駆動され、これによってゴム胴32は胴抜きされる。この状態で詰まっている印刷用紙Pが取り除かれる等の処理が施されて用紙搬送の不適正が解消されることになる。
【0053】
図4は、本発明に係る汚れ防止装置80の構成要素の一つであるエアブロアブロック81の一実施形態を概念的に示す斜視図であり、(イ)は、背面側(印刷用紙Pに対面した側の反対側)から見た図、(ロ)は正面側(印刷用紙Pに対面した側)から見た図である。なお、この斜視図は、エアブロアブロック81および用紙センサ90間の位置関係を視覚的に認識し易いように示したものであり、簡素化して描いている。
【0054】
図4に示すように、エアブロアブロック81は、ブロック本体82と、このブロック本体82に接続されたベンド管83とを備えている。ブロック本体82は、本実施形態においては直方体状に形成され、その内部にL字状に形成されたエア通路84を有している。このエア通路84は、ブロック本体82の一方の端面から一方の側面に向けてL字状に穿孔され、側面側の先端位置に圧搾空気を噴出するノズル部85が形成されている。
【0055】
そしてブロック本体82の端面側の開口(エア通路84の入口部分)には前記ベンド管83の一方の端部が螺着・締結されているとともに、ブロック本体82の他方の端部には電磁弁70を介してコンプレッサ60から送気された圧搾空気の通路である圧空配管61(具体的には後に図6に基づいて詳述する給紙側配管77aまたは排紙側配管77b)が接続されている。したがって、電磁弁70の所定の切り換え操作でコンプレッサ60からの圧搾空気がエアブロアブロック81のエア通路84に供給された場合、当該圧搾空気はノズル部85から噴流となって噴出されることになる。
【0056】
前記用紙センサ90は、本実施形態においては、若干扁平な直方体状のケーシング92に内装されている。そして、ケーシング92の一方の側面に検出面91が形成されている。かかるケーシング92は、用紙センサ90の検出面91が検出しようとする印刷用紙Pの搬送経路と所定の間隔を備えて平行になるように配設されている。したがって、用紙センサ90は、図4の(イ)に一点鎖線で示すように、その発光素子から出力された光が搬送経路に印刷用紙Pが存在する状態で得られる反射光の受光素子への入力によって印刷用紙Pの存在を検出する一方、印刷用紙Pが存在しないことにより反射光の受光素子への入力が行われないことで印刷用紙Pが存在しないことを検出するようになっている。
【0057】
そして、本実施形態においては、ブロック本体82は、そのノズル部85からの圧搾空気の噴出方向が用紙センサ90の検出面91に対して略5°傾斜し、且つ噴出流のほとんどが検出面91へ向けて供給されるように用紙センサ90との間で相対的な設置位置の設定が行われている。したがって、ブロック本体82のノズル部85から圧搾空気が噴射されることにより、用紙センサ90の検出面91に付着した紙粉などからなる汚れは、この噴流によって吹き飛ばされ、これによって検出面91が汚れるのが防止されることとなる。
【0058】
そして、本実施形態においいては、かかるエアブロアブロック81として、図3に示すように、前記給紙胴側センサ90aに対応した給紙側ブロック81aと、前記排紙胴側センサ90bに対応した排紙側ブロック81bとが採用されている。
【0059】
図5は、上記のようなエアブロアブロック81および用紙センサ90の設置位置を説明するための平面視の説明図である。なお、図5では、エアブロアブロック81および用紙センサ90として給紙側ブロック81aおよび給紙胴側センサ90aを例に挙げて示しているが、排紙側ブロック81bおよび排紙胴側センサ90bについても事情は同じである。
【0060】
図5に示すように、給紙側ブロック81aおよび給紙胴側センサ90aは、印刷装置10の幅方向両側部のフレームF間に架設された架設ロッドF1に支持されている。架設ロッドF1は、給紙胴24の斜め下方に位置するように設定され(図1参照)、直上には圧胴33が存在する他、前方(図5の紙面の下方)には排紙胴41が存在するため、これらに囲繞された状態で架設ロッドF1に支持されている給紙胴側センサ90aは、その検出面91が紙粉等で汚れても、容易に手を差し入れて清浄化することが困難である。
【0061】
通常、一方のフレームF(図5では右側のフレームF。このフレームF側が印刷装置10の正面側とされる。)には、当該フレームFの外面側を覆って見栄えをよくするためのカバーCが設けられているが、このカバーCの正面側(図5の紙面の右側)には、カバー扉C1が設けられているとともに、右側のフレームFには、カバー扉C1に対応した位置にフレーム穴C2が穿設されている。そして、本発明の汚れ防止装置80が設けられていない場合には、給紙胴側センサ90aの検出面91を清掃するに際し、ますカバー扉C1を開けてカバーC内に腕を差し入れ、さらにフレーム穴C2から一対のフレームF間に手を差し入れて検出面91を布などで拭うことが行われる。
【0062】
しかしながら、このような作業は非常に面倒であり、作業性が劣るものであるが、本発明に係る汚れ防止装置80を採用することにより、前記のような非効率な作業を行うことなく、給紙側ブロック81aからの検出面91へ向けた圧搾空気の噴射供給によって検出面91の清浄化処理を容易かつ確実に行うことができるのである。
【0063】
つぎに、コンプレッサ60からの電磁弁70を介した圧搾空気のエアブロアブロック81への供給について図6並びに必要に応じて図1〜図5を参照しながら具体的に説明する。図6は、電磁弁の一実施形態を示す平面図であり、(イ)は、エアシリンダ装置50との併用で汚れ防止装置80に適用される電磁弁70を示し、(ロ)は、(イ)の本発明に係る電磁弁70との比較で本発明に係る電磁弁70の特徴を際立たせるために示した、汚れ防止装置80と併用されない電磁弁70aを示している。
【0064】
まず、図6の(イ)に示す本発明に係る電磁弁70は、本実施形態においては、単位電磁弁71の4つが連設された、いわゆる4連のものが採用されている。各単位電磁弁71にはピストン状の図略のポート弁が内装され、このポート弁の正逆移動によって単位電磁弁71内で流体の流路が切り替えられるようになっている。この切り替え操作は、信号線79を介した制御信号が各単位電磁弁71内の図略のソレノイドへ入力されることによって行われる。
【0065】
電磁弁70へは、コンプレッサ60からの圧搾空気A1が受入管72を介して常時供給されるようになっている。電磁弁70に供給された圧搾空気A1は、ポート弁の開閉状態に応じて各単位電磁弁71に分配されるようになっている。各単位電磁弁71には、圧搾空気A1を送り出す第1配管73と、当該圧搾空気がエアシリンダ装置50で所定の仕事をした後の使用済空気(排気)A2を流通させる第2配管74とがそれぞれ接続されている。
【0066】
なお、図6の(イ)においては、第1配管73と第2配管74とが重なり合って1本に見えることから、圧搾空気A1を示す実線に送出管を示す部品番号「73」を付すとともに、使用済空気A2を点線に使用済空気管を示す部品番号「74」を付している。また、図6の(イ)に基づく説明では、圧搾空気A1が通る方を第1配管73といい、使用済空気A2が通る方を第2配管74といったが、第1配管73および第2配管74には、単位電磁弁71における流路の切り替えでそれぞれ互換して使用済空気A2および圧搾空気A1も通り得るようになっている。
【0067】
そして、エアシリンダ装置50を介して各単位電磁弁71に戻された使用済空気A2は、集合排出管75に集められた後、当該集合排出管75の下流端に設けられた分配器76で2方向へ分配され、一方は給紙側配管77aを通って給紙側ブロック81aに供給されるとともに、他方は排紙側配管77bを通って排紙側ブロック81bに供給されるようになっている。
【0068】
前記エアシリンダ装置50(図6の(イ)では他を代表して第1インキローラ離接エアシリンダ51を挙げている)は、エアシリンダ50aと、当該エアシリンダ50aに正逆移動可能に内装されたピストン50bとを備えて構成されている。エアシリンダ50aには、図6における左端位置に開口された第1開口50dと、同右端位置に開口された第2開口50eとが設けられ、これら第1および第2開口50d,50eを介して圧搾空気A1および使用済空気A2がエアシリンダ50a内に対して入出するようになっている。
【0069】
前記ピストン50bには、軸心に沿って延びるピストンロッド50cが付設され、ピストン50bの正逆移動に伴うピストンロッド50cの正逆移動で所定の機器(図6の(イ)に示す第1インキローラ離接エアシリンダ51の場合は第1インキローラ)が所定の動作を行うようになっている。
【0070】
そして、図6の(イ)に示す例では、コンプレッサ60からの圧搾空気A1は、受入管72、図6の紙面の最上位の単位電磁弁71、第1配管73、およびエアシリンダ50aの第1開口50dを介してエアシリンダ50a内に導入され、これによってピストン50bが右方に向けて移動しつつある状態が示されている。
【0071】
この状態では、エアシリンダ50a内のピストン50bより右方位置にある使用済空気A2は、エアシリンダ50aの第2開口50eおよび第2配管74を介して単位電磁弁71へ戻され、その後、集合排出管75および分配器76を介し使用済空気A2の一方が給紙側配管77aを通って給紙側ブロック81aに供給されるとともに、使用済空気A2の他方は、排紙側配管77bを通って排紙側ブロック81bへ供給されることとなる。
【0072】
そして、給紙側ブロック81aに供給された使用済空気A2がそのノズル部85から給紙胴側センサ90aの検出面91に向けて噴射されるとともに、排紙側ブロック81bに供給された使用済空気A2が同様に排紙胴側センサ90bの検出面91に向けて噴射され、これによって各検出面91が清浄化されることについては先に説明したとおりである。
【0073】
ついで、信号線79を介して所定の制御信号(図6の(イ)においては一旦右動したピストン50bを左動させるための制御信号)が電磁弁70に入力されると、図6の(イ)の紙面における最上位の単位電磁弁71のポート弁が切り替わり、コンプレッサ60からの圧搾空気A1は、前記とは逆に第2配管74および第2開口50eを介してエアシリンダ50a内に導入されるとともに、エアシリンダ50aからの使用済空気が第1配管73を介して導出され、単位電磁弁71、集合排出管75および分配器76を介して給紙側ブロック81aおよび排紙側ブロック81bへ供給されるようになっている。
【0074】
このことは、エアシリンダ装置50がコンプレッサ60からの圧搾空気A1を得て所定の動作を行うときには、ピストン50bが往動であるか復動であるかに拘らず、エアシリンダ50a内に存在する使用済空気A2がエアブロアブロック81に供給され、当該エアブロアブロック81からの使用済空気A2の噴射供給によって用紙センサ90の検出面91が清浄化処理されるということを示している。
【0075】
そして、上述したように、第1インキローラ離接エアシリンダ51や第2インキローラ離接エアシリンダ52等のエアシリンダ装置50は、1台の印刷装置10において1日当り複数回は駆動させられるのであるから、使用済空気A2は、ピストン50bの往復動作で用紙センサ90の検出面91に対して1日当り複数回噴射供給されることとなり、検出面91は、常に清浄化処理されて確実に汚れが防止されることとなる。
【0076】
これに対し、本発明の汚れ防止装置80が適用されていない電磁弁70aにあっては、図6の(ロ)に示すように、集合排出管75の先端に異音を消去するためのサイレンサ78が取り付けられているだけであり、使用済空気は、集合排出管75およびサイレンサ78を介して系外に放出されてしまって有効利用されることはない。
【0077】
本実施形態の汚れ防止装置80は、以上詳述したように、印刷装置10に設けられた用紙センサ90の検出面91の汚れを防止するものであり、前記印刷装置10が有する第1および第2インキローラ離接エアシリンダ51,52や、第1および第2胴入れエアシリンダ53,54、第1および第2版面洗浄装置着脱エアシリンダ55,56、さらにはインキ洗浄器着脱エアシリンダ57等の印刷装置10に付設された各種の機器の作動用として設けられたコンプレッサ60から前記各機器へ供給される圧搾空気A1の内で使用済のものを前記用紙センサ90の検出面91に向けて噴射供給するように構成されているため、たとえ用紙センサ90の検出面91が紙粉の堆積などで汚れても、コンプレッサ60からの圧搾空気A1が用紙センサ90の検出面91に噴射供給されることにより堆積した紙粉等の汚れが吹き飛ばされ、これによって用紙センサ90の検出面91を常に汚れが除去された清浄な状態にすることができる。したがって、検出面91が汚れていることにより被検出物を検出し得なくなるといった不都合が解消され、印刷装置の正常な運転を確保することができる。
【0078】
そして、用紙センサ90へ供給される圧搾空気A1は、印刷装置10の各種の機器に作動用として供された後の使用済みとなったものが用いられるため、用紙センサ90の汚れ防止用として専用の空気供給手段を採用する場合に比較し、部品コストおよび組み付けコストの低減化に貢献することができ、用紙センサ90の汚れ防止を確保し得るようにした上で印刷装置10の製造コストの低減化を達成することができる。
【0079】
また、圧搾空気供給手段として印刷装置10の付属機器として設定されているコンプレッサ60を採用しているため、別途専用の圧搾空気教習手段を採用する必要がなく、その分設備コストの低減化に貢献することができるとともに、コンプレッサからは高圧の圧搾空気A1が供給されるため、かかるコンプレッサからの圧搾空気A1は、用紙センサ90の汚れ防止用として極めて好適に使用することができる。
【0080】
また、本発明に係る各種の機器(インカー34のインキローラや、版胴31、ゴム胴32、圧胴33等)は、圧搾空気A1によるエアシリンダ装置50の往復動作によって所定の作動を行うように構成され、しかも前記圧搾空気A1の用紙センサ90への噴射供給は、往動時および復動時にエアシリンダ装置50から排出される使用済空気A2によって行われるように構成されているため、各種の機器を作動させるためのエアシリンダ装置50に圧搾空気A1が供給される都度、エアシリンダ装置50の往動作および復動作で機器が所定の作動を行うとともに、往動作および復動作の双方で排出される圧搾空気A1の気流によって用紙センサ90の検出面91の汚れが吹き飛ばされ、これによって検出面91は清浄化される。
【0081】
そして、各所のエアシリンダ装置50は、印刷装置10の運転時に所定のタイミングで駆動されるため、当該エアシリンダ装置50の駆動の度に用紙センサ90の検出面91に堆積した粉塵が吹き飛ばされ、これによって用紙センサ90の検出面91を常に清浄化された状態に維持することができる。
【0082】
また、本発明に係るセンサとして印刷処理に供される移動中の印刷用紙Pを検出するための用紙センサ90が適用されているが、かかる用紙センサ90は、印刷処理に供される用紙の近傍に設けられているのが一般的である。したがって、移動している印刷用紙Pから発生する粉塵(紙粉)が検出面91に堆積し易くなっているが、かかる用紙センサ90の検出面91に圧搾空気A1が供給されることにより、当該用紙センサ90は、汚れ易い検出面91が常に清浄化され、誤検出を確実に防止することができる。
【0083】
また、使用済空気A2を発生させる機器の一つとして第1および第2胴入れエアシリンダ53,54を採用しているが、第1および第2胴入れエアシリンダ53,54は、相当の重量物であるゴム胴32を移動させるために使用されるものであり、他のエアシリンダ装置に比較して大型のものが採用されている。したがって、かかる第1および第2胴入れエアシリンダ53,54を作動させるためには、より多くの圧搾空気が必要となるため、これに応じて用紙センサ90の検出面に吹き付けるための使用済空気A2も大量になり、これによって用紙センサ90の検出面をより確実に清浄化処理することができる。
【0084】
また、印刷装置10による1ジョブの印刷処理(同一の版で予め設定された所定枚数の印刷用紙Pを対象として連続的に行われる1単位の印刷処理)において、印刷の初期にゴム胴32の胴入れが必ず行われるとともに、印刷処理の完了時にゴム胴32の胴抜き処理が必ず行われるため、これら胴入れおよび胴抜き操作時に第1および第2胴入れエアシリンダ53,54から必ず使用済空気A2が排出されることになる。
【0085】
したがって、用紙センサ90の検出面は、1ジョブの印刷処理において必ず2回行われる第1および第2胴入れエアシリンダ53,54からの使用済空気A2の排出によって自動的に清浄化処理されるため、長時間に亘って用紙センサ90の検出面に使用済空気A2が噴射供給されない事態が起るような不都合が生じることはない。
【0086】
さらに、印刷処理の途中で印刷状態をチェックするために印刷装置10を一時的に停止させることが一般的に行われるが、かかる一時停止は1ジョブ当りで通常複数回(通常2〜3回)行われるのが一般的である。そして、印刷装置10の一時停止が行われる都度、ゴム胴32の胴抜きおよび胴入れ操作が実行されるため、これらの操作時の第1および第2胴入れエアシリンダ53,54の正逆駆動で使用済空気A2による用紙センサ90の検出面の清浄化処理が施されることになる。
【0087】
そして、エアブロアブロック81は、圧搾空気A1の噴射方向と用紙センサ90の検出面91との間に所定の角度(例えば略5°)を形成した状態で固定されているため、例えば検出面91と直交する方向から圧搾空気A1を当該検出面91に吹き付けるようにした場合に起る、用紙センサ90がエアブロアブロック81と干渉して印刷用紙Pを検出し得なくなるというような不都合が生じることはなく、圧搾空気A1を用紙センサ90の検出面91に有効に吹き付けることができる。
【0088】
また、圧搾空気A1の噴射方向と用紙センサ90の検出面91との間に所定の角度を形成することにより、圧搾空気A1の噴出方向が用紙センサ90の検出面91と平行になっている0°の場合より噴出ノズルから噴出した噴出流の多くを検出面91に直接無駄なく吹き付けることが可能になり、これによって用紙センサ90の検出面91に対するより確実な汚れ除去効果を得ることができる。
【0089】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、以下の内容をも包含するものである。
【0090】
(1)上記の実施形態においては、排気としてコンプレッサ60からエアシリンダ装置50に供給された圧搾空気の内の使用済空気A2(ピストン50bの移動によって押し出された空気)が採用されているが、かかる使用済空気A2は、本発明に係る「圧搾空気供給手段から前記機器へ供給される圧搾空気の内で使用済のもの」の概念に含まれるものであるのは当然であるとして、これ以外のものであって、機器を駆動させることなく廃棄される圧搾空気も「圧搾空気供給手段から前記機器へ供給される圧搾空気の内で使用済のもの」の概念に含まれるものである。
【0091】
具体的には、高圧配管系統においては、配管系統内の圧力が予め設定された上限値より上昇するのを防止して安全を期すために、圧力が上限値より上昇した場合に緊急弁が開放されるように構成されたいわゆる放出弁が採用されることはよく知られた事項であるが、かかる放出弁から放出される放出気体を用紙センサ90の検出面91へ吹き付けるようにしてもよい。このような放出弁を利用した汚れ防止装置も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0092】
(2)上記の実施形態においては、圧搾空気供給手段としてコンプレッサ60が採用されているが、本発明は、圧搾空気供給手段がコンプレッサ60であることに限定されるものではなく、各種の圧搾空気供給手段を採用することができる。例えば、印刷装置10の近傍に液体空気の貯留装置が存在するような場合には、液体空気が気化することによって形成された高圧空気を用紙センサ90の検出面91の清浄化処理用として用いることができる。また、液体空気に限らず、印刷装置10の近傍に高圧空気を発生させるような装置が存在している場合には、その装置から圧搾空気を分岐させて使用してもよい。
【0093】
(3)上記の実施形態においては、本発明に係るセンサとして用紙センサ90を採用しているが、本発明は、センサが用紙センサ90であることに限定されるものではなく、検出面の清浄化状態を維持すべき各種のセンサを対象とし、その検出面の汚れ防止に本発明に係る汚れ防止装置80を適用することができる。
【0094】
【発明の効果】
本発明に係るセンサの汚れ防止装置によれば、印刷装置が有する各種の機器の作動用として圧搾空気を供給する圧搾空気供給手段から前記機器へ供給される圧搾空気の内で使用済のものをセンサの検出面に向けて噴射供給するようにしているため、たとえセンサの検出面が粉塵の堆積で汚れても、圧搾空気供給手段からの圧搾空気がセンサの検出面に噴射供給されることにより堆積した粉塵が吹き飛ばされ、これによってセンサの検出面を常に汚れの除去された清浄な状態にすることができる。したがって、検出面が汚れていることにより被検出物を検出し得なくなるという不都合が解消され、印刷装置の正常な運転を有効に確保することができる。
【0095】
そして、センサへ供給される圧搾空気は、印刷装置の各種の機器に作動用として供された後の使用済みとなったものが用いられるため、センサの汚れ防止用として専用の空気供給手段を採用する場合に比較し、部品コストおよび組み付けコストの低減化に貢献することができ、センサの汚れ防止を確保し得るようにした上で印刷装置の製造コストのコストダウンを達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るセンサの汚れ防止装置が適用される印刷装置の一実施形態を模式的に示す説明図である。
【図2】図1に示す印刷装置が有するエアシリンダ装置を説明するための説明図である。
【図3】図1の要部(汚れ防止装置および用紙センサが設けられている部分)を示す図であり、大きな円内に小さな円内の図の拡大図を示している。
【図4】本発明に係る汚れ防止装置の構成要素の一つであるエアブロアブロックの一実施形態を概念的に示す斜視図であり、(イ)は、背面側(印刷用紙に対面した側の反対側)から見た図、(ロ)は正面側(印刷用紙に対面した側)から見た図である。
【図5】エアブロアブロックおよび用紙センサの設置位置を説明するための平面視の説明図である。
【図6】電磁弁の一実施形態を示す平面図であり、(イ)は、エアシリンダ装置との併用で汚れ防止装置に適用される電磁弁を示し、(ロ)は、(イ)の本発明に係る電磁弁との比較で本発明に係る電磁弁の特徴を際立たせるために示した、汚れ防止装置と併用されない電磁弁を示している。
【図7】従来の汚れ防止装置を説明するための説明図である。
【符号の説明】
10 印刷装置 20 給紙部
21 給紙パイル 22 フィーダーボード
22a 位置決め針 23 スイング
24 給紙胴 25 ペーパーガイド
30 印刷処理部 31 版胴
32 ゴム胴 33 圧胴
34 インカー 40 排紙部
41 排紙胴 42 ガイド板
43 排紙パイル 50 エアシリンダ装置
50a エアシリンダ 50b ピストン
50c ピストンロッド 50d 第1開口
50e 第2開口
51 第1インキローラ離接エアシリンダ
52 第2インキローラ離接エアシリンダ
53 第1胴入れエアシリンダ
54 第2胴入れエアシリンダ
55 第1版面洗浄装置着脱エアシリンダ
56 第2版面洗浄装置着脱エアシリンダ
57 インキ洗浄器着脱エアシリンダ
60 コンプレッサ 61 圧空配管
70,70a 電磁弁 71 単位電磁弁
72 受入管 73 第1配管
74 第2配管 75 集合排出管
76 分配器 77a 給紙側配管
77b 排紙側配管 78 サイレンサ
79 信号線 80 汚れ防止装置
81 エアブロアブロック 81a 給紙側ブロック
81b 排紙側ブロック 82 ブロック本体
83 ベンド管 84 エア通路
85 ノズル部 90 用紙センサ
90a 給紙胴側センサ 90b 排紙胴側センサ
91 検出面 92 ケーシング
A1 圧搾空気 A2 使用済空気
C カバー C1 カバー扉
C2 フレーム穴 F フレーム
F1 架設ロッド P 印刷用紙
P1 印刷済用紙

Claims (5)

  1. 印刷装置に設けられた所定のセンサの検出面の汚れを防止するセンサの汚れ防止装置であって、前記印刷装置が有する各種の機器の作動用として圧搾空気を供給する圧搾空気供給手段が備えられ、該圧搾空気供給手段から前記機器へ供給される圧搾空気の内で使用済のものを前記センサの検出面に向けて噴射供給するように構成されてなることを特徴とするセンサの汚れ防止装置。
  2. 前記圧搾空気供給手段は、コンプレッサによって構成されてなる請求項1記載のセンサの汚れ防止装置。
  3. 前記各種の機器は、供給される圧搾空気によるエアシリンダ装置の往復動作によって作動するように構成され、前記圧搾空気のセンサへの噴射供給は、前記エアシリンダ装置の作動タイミングに合わせた往動時および復動時にエアシリンダ装置から排出される排気によって行われるように構成されてなる請求項1または2記載のセンサの汚れ防止装置。
  4. 前記エアシリンダ装置は、前記各種の機器の一つであるゴム胴を胴入れするために使用される胴入れエアシリンダである請求項3記載のセンサの汚れ防止装置。
  5. 前記センサは、印刷処理に供される印刷用紙を検出するための用紙センサである請求項1乃至4のいずれかに記載のセンサの汚れ防止装置。
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