JP2004188489A - アーク溶接装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】給電チップの先端側にセラミック製の絶縁ガイドを設けることによって溶接ワイヤの突き出し長さを長く保持するようになしたアーク溶接装置において、溶接ワイヤの送給により給電孔内面が摩耗した場合であっても、確実に給電チップと溶接ワイヤとの接触を確保できるようにする。
【解決手段】溶接トーチ本体18と、給電チップ14と、セラミック製の絶縁ガイド30と、絶縁ガイド30を内側に保持する金属ガイド24とを備え、溶接ワイヤW先端と被溶接母材34との間にアークAを発生させて溶接を行うアーク溶接装置12において、給電チップ14の先端側の部分を軸直角方向に2等分割して、給電チップ14の本体14Aと一体の固定側の分割片44と、本体14Aと切り離した別体の可動側の分割片46とに分け、そしてそれら分割片44,46の給電孔38の内面で溶接ワイヤWを挟み込むように各分割片44,46を外周面に嵌合した板ばね48にて弾性結合する。
【選択図】 図2
【解決手段】溶接トーチ本体18と、給電チップ14と、セラミック製の絶縁ガイド30と、絶縁ガイド30を内側に保持する金属ガイド24とを備え、溶接ワイヤW先端と被溶接母材34との間にアークAを発生させて溶接を行うアーク溶接装置12において、給電チップ14の先端側の部分を軸直角方向に2等分割して、給電チップ14の本体14Aと一体の固定側の分割片44と、本体14Aと切り離した別体の可動側の分割片46とに分け、そしてそれら分割片44,46の給電孔38の内面で溶接ワイヤWを挟み込むように各分割片44,46を外周面に嵌合した板ばね48にて弾性結合する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は溶接ワイヤと被溶接母材との間にアークを発生させて溶接を行うアーク溶接装置に関する。
【0002】
【発明の背景】
従来よりこの種のアーク溶接装置として、溶接トーチ本体に給電チップを連結し、中心部のワイヤ挿通孔を通じて溶接ワイヤを送給し、そのワイヤ挿通孔の一部を成す給電チップの給電孔において溶接ワイヤと給電チップとを接触させて溶接ワイヤに給電を行うようになしたものが一般に用いられている。
【0003】
ここで従来のアーク溶接装置の場合、溶接ワイヤの自由曲りを利用して給電孔の先端と溶接ワイヤとの接触を確保している。即ち給電点の位置を一定に確保している。
溶接ワイヤ突き出し長さはこの給電点から溶接ワイヤ先端までの長さで規定され、従って上記アーク溶接装置によれば溶接ワイヤ突き出し長さを一定に保持することができる。
【0004】
これに対して、給電チップから送り出された溶接ワイヤを中心部のガイド孔において案内する絶縁ガイドと、その絶縁ガイドを内側に保持する金属ガイドとを備えたアーク溶接装置が提案されている。
【0005】
図11はその一例を示している。
同図において200は給電チップで、雄ねじ部202において溶接トーチ本体204の雌ねじ部206にねじ結合されている。
この給電チップ200は給電孔216を有しており、その給電孔216において溶接ワイヤWに接触し、これに給電を行う。
尚、208は溶接トーチ本体204内部に挿入されたコンジットチューブである。
【0006】
210は筒状をなす金属ガイドであって、雌ねじ部212において給電チップ200の雄ねじ部214にねじ結合されている。
この金属ガイド210の内側には、パイプ状をなすセラミック製の絶縁ガイド218が保持されている。この絶縁ガイド218は中心部にガイド孔220を有しており、このガイド孔220において溶接ワイヤWの送給ガイドを行う。
尚222は被溶接母材を表しており、またAは溶接ワイヤWと被溶接母材222との間に発生するアークを表している。
【0007】
この図11に示すアーク溶接装置の場合、給電チップ200の先端側に金属ガイド210及び絶縁ガイド218を設けることで、溶接ワイヤWの突き出し長さを長く取ることができる。
而してこのように溶接ワイヤWの突き出し長さが長くなれば、その突出した部分、即ち溶接ワイヤWの給電チップ200との接触点(給電点)から先端側の部分に流れる電流によって発生する発熱量(I2R)がそれだけ大きくなる。
発熱量が大となれば、アークAを発生する前に溶接ワイヤWの温度が高くなって溶け易くなり、従って溶接ワイヤWに対して供給するエネルギー量が少なくて済む利点が得られる。
【0008】
しかしながら一方でこのように給電チップ200の先端側に絶縁ガイド218を設けた場合、溶接ワイヤWに対する給電点の位置が不安定化する不都合が生ずる。
従来のアーク溶接装置では、溶接ワイヤの自由曲りを利用して給電点の位置を一定に保持できたのが、給電チップ200の先端側に絶縁ガイド218を設けることで給電チップ200から出た溶接ワイヤWが曲ることができなくなり、この結果溶接ワイヤWと給電チップ200との接触点(給電点)の位置が不安定化してしまうのである。
【0009】
アーク溶接を良好に行うためには、溶接ワイヤWの突き出し長さ、即ち給電点の位置が一定していて溶接ワイヤWの突出した部分の加熱が一定に行われることが必要であり、この点において上記図11に示すアーク溶接装置の場合未だ不十分な点を有しているのである。
【0010】
そこで本発明者等は給電点を安定化すべく、図12に示しているように給電チップ200における給電孔216を細孔径として(例えばワイヤ径1.20mmに対して孔径を1.23mm程度とする)アーク溶接試験を行ったが、満足すべき結果は得られなかった。
【0011】
その理由は、当初においては給電孔216が一定位置で溶接ワイヤWに接触していたとしても、溶接ワイヤWを送給し続けるうちに給電孔216が早期に摩耗してしまい、接触点つまり給電点が不安定化してしまうことによる。
【0012】
そこで本発明者等は給電孔216を斜めの孔とすることに着眼し、図13に示すようなアーク溶接装置を案出した。このアーク溶接装置は下記特許文献1に開示されている。
しかしながらこのようにした場合においても、給電点を安定化する上で尚十分とは言えないものであった。
その理由については必ずしも十分明らかでないが、一応次のような理由によるものと考えられる。
【0013】
即ち、給電孔216先端と溶接ワイヤWとの確実な接触を確保しようとすると、給電孔216をある程度急角度の斜め孔とせざるを得ないが、このようにすると溶接ワイヤWを送給する際に給電孔216の部分で局部的に大きな抵抗力が働いてしまって、溶接ワイヤWを円滑に送ることができなくなるとともに、溶接ワイヤWは一定の剛性を有しているため、給電孔216先端が摩耗することによって溶接ワイヤWに対して給電孔216先端を接触させる強制力が漸次弱まるといったことが考えられる。
【0014】
更にまた溶接ワイヤWが給電孔216の部分で急激に曲げられることから、給電孔216より先端側の部分(溶接ワイヤの)がセラミック製の絶縁ガイド218に強く当って、場合によりその力が強過ぎると絶縁ガイド218が割れてしまうといった不都合を生ずる。
【0015】
一方このような不都合を是正しようとして給電孔216の傾斜角度を小さくすると、今度は給電孔216と溶接ワイヤWとの接触が不安定化してしまう。即ち図11に示す従来の通常の給電孔216に近いものとなってしまう。
【0016】
そこで本発明者等は、このような問題点を改善した新たなアーク溶接装置を開発し、先の特許願(特願2001−180216:未公開)において提案した。
図14はその具体例を示している。
図示のようにこのアーク溶接装置では、給電チップ200の先端側の部分に割溝224を十字状に設けて同先端側の部分を、給電チップ200の本体200Aと一体構成の4つの分割片224Aに分割し、これによって各分割片224Aに軸直角方向の変形能を付与するとともに、それらの外周面に開口226を有するCリング状且つ板状のばね部材228を嵌め合せ、以って各分割片224Aを求心方向に締め付けるようになしたものである。
【0017】
この図14に示すアーク溶接装置の場合上記問題をある程度改善できるものの、各分割片224Aの求心方向の剛性が未だ大きいため、溶接ワイヤWの送給を続けているうちに給電孔216の孔径が摩耗により拡大し、これにより引出抵抗(送給抵抗)が小さく変化して行くのと併せて給電安定性も損われてしまい、この点で未だ改善の余地のあることが判明した。
【0018】
【特許文献1】
特開2001−219276号公報
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明のアーク溶接装置はこのような課題を解決するために案出されたものである。
而して請求項1のものは、(イ)溶接トーチ本体と、(ロ)該溶接トーチ本体に連結されるとともに中心部に給電孔を有し、該給電孔を挿通する溶接ワイヤと接触して給電を行う給電チップと、(ハ)該給電チップから送り出される溶接ワイヤを中心部のガイド孔において案内するセラミック製の絶縁ガイドと、(ニ)前記給電チップに連結されて該絶縁ガイドを内側に保持する金属ガイドとを備え、該溶接ワイヤ先端と被溶接母材との間にアークを発生させて溶接を行うアーク溶接装置であって、前記給電チップの先端側の部分を所定軸方向長に亘って軸直角方向に分割し、何れかの分割片を該給電チップの本体に一体に構成するとともに、他の分割片を該本体と切り離した別体構成とし、各分割片に形成した給電孔の内面で前記溶接ワイヤを挟み込むように且つ各分割片間にスリット状の隙間を形成する状態で、前記本体と別体となした可動側の分割片と該本体と一体となした固定側の分割片とを、それらの外周面に嵌め合せたばね部材により該可動側の分割片が該固定側の分割片に対して接近可能に弾性結合したことを特徴とする。
【0020】
請求項2のものは、請求項1において、前記給電チップの先端側の部分が軸直角方向に半割りに2等分割されていることを特徴とする。
【0021】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記給電チップの先端側の部分には外周面に環状の段付凹部が形成されていて、該段付凹部に前記ばね部材が嵌め合わされていることを特徴とする。
【0022】
請求項4のものは、請求項1〜3の何れかにおいて、前記ばね部材が軸方向の異なった2箇所で嵌め合わされていることを特徴とする。
【0023】
【作用及び発明の効果】
以上のように本発明は、給電チップの先端側の部分を軸直角方向に分割して、何れかの分割片を給電チップの本体に一体に構成するとともに、他の分割片を本体と切り離した別体構成とし、それら各分割片で溶接ワイヤを挟み込むように各分割片を外周面に嵌め合せたばね部材で弾性結合したもので、本発明では、溶接ワイヤを挟み込む複数の分割片の何れかが給電チップの本体とは切り離された別体の構成とされているため、溶接ワイヤの送給を続けることで給電孔内面が摩耗したとしても、可動側の別体構成の分割片がその摩耗による孔径の変化を補うように良好に追従することができる。
即ち摩耗によって給電孔の孔径が大きくなったとき、可動側の分割片が溶接ワイヤとの間に隙間を生ぜしめないように、ばね部材による弾性力で求心方向に微小移動し、固定側の分割片とともに溶接ワイヤを軸直角方向に適正な力で挟み続ける。
【0024】
これによって適正な送給抵抗、即ち溶接ワイヤと給電孔内面との適正な摩擦力の下での接触を持続的に保持することができ、給電安定性を高め得て、アーク溶接性能を長期に亘り良好に保持することができる。
【0025】
本発明においては、上記給電チップの先端側の部分を軸直角方向に2等分割しておくことができる。
即ち同先端側の部分を半割構成とし、その一方を給電チップの本体に一体に、また他方を分離した形態の別体構成としておくことができる(請求項2)。
【0026】
本発明ではまた、給電チップの先端側の部分の外周面に環状の段付凹部を形成し、その段付凹部に上記ばね部材を嵌め合せておくことができる(請求項3)。
このようにすれば、その段付凹部の段付部によってばね部材を、更には可動側の分割片を良好に軸方向に位置決めすることができる。
【0027】
本発明ではまた、上記ばね部材を軸方向の異なった2箇所において可動側の分割片及び固定側の分割片の外周面に嵌め合せておくことができる(請求項4)。
このようにすることで、給電孔内面と溶接ワイヤとの接触をより良好に確保することが可能となるとともに、可動側の分割片の軸方向の位置決機能も高めることができる。
【0028】
【実施例】
次に本発明の実施例を図面に基づいて詳しく説明する。
図1においてWは溶接ワイヤで、10はコイル状に巻かれた溶接ワイヤWを溶接部に供給するワイヤ送給装置である。
12は本例のアーク溶接装置で、給電チップ14を有している。
【0029】
給電チップ14は上端側に雄ねじ部16を有しており、この雄ねじ部16が、溶接トーチ本体18の下端側の雌ねじ部20にねじ結合されている。
尚、22は溶接トーチ本体18内部に挿入されたコンジットチューブである。
【0030】
24は筒状をなす金属ガイドで、図中上端側に雌ねじ部26を有しており、この雌ねじ部26において給電チップ14の下端側の雄ねじ部28にねじ結合されている。
金属ガイド24の内側には、パイプ状をなすセラミック製の絶縁ガイド30が保持されている。
【0031】
この絶縁ガイド30は中心部にガイド孔32を有しており、このガイド孔32において溶接ワイヤWを案内するようになっている。
尚、34は被溶接母材であり、Aは溶接ワイヤWと被溶接母材34との間に発生したアークを表している。
【0032】
図2に示しているように、給電チップ14の中心部にはワイヤ挿通孔36が形成されていて、その下端部が給電孔38とされている。
上記絶縁ガイド30の上端部にはフランジ部40が形成されており、このフランジ部40が金属ガイド24の段付部42により支持されている。
【0033】
詳しくは、この段付部42と給電チップ14とによりフランジ部40が上下に挟まれる状態で、絶縁ガイド30が金属ガイド24の内側に保持されている。
但しこれはあくまで絶縁ガイド30の保持の一形態例を示したに過ぎないもので、他の様々の形態で絶縁ガイド30を金属ガイド24の内側に保持することが可能である。
【0034】
図2の部分拡大図及び図3,図4に示しているように、本例では給電チップ14の、給電孔38を含む先端側の部分が所定軸方向長に亘って、詳しくはその先端から雄ねじ部28に到るまでの部分が軸直角方向に2等分割されており(半割りされており)、2つの分割片44,46の内の一方の分割片(固定側の分割片)44が、給電チップ14における本体14Aと一体に構成され、また他方の分割片(可動側の分割片)46が、本体14Aから切り離された別体構成のものとされている。
即ち他方の分割片46は、本体14Aに対し軸方向の分割面で軸直角方向に分割されているとともに、軸直角方向の分割面において軸方向にも分割されている。
【0035】
そしてそれら固定側の分割片44と可動側の分割片46とが、それぞれの給電孔38内面において溶接ワイヤWを軸直角方向に挟み込む状態で、且つそれら分割片44と46との間にスリット状の隙間47を形成する状態で、各分割片44,46の外周面に嵌め合わされたCリング状の板ばね48により弾性的に結合されている(図3及び図4では溶接ワイヤWは省略して示してある)。
即ち可動側の分割片46が、Cリング状の板ばね48により抱きかかえられるようにして、固定側の分割片44により板ばね48を介して固定側の分割片44に対し接近可能に保持されている。
【0036】
ここで板ばね48には周方向所定箇所に開口50が形成されており、かかる板ばね48が給電チップ14の先端側の部分、即ち固定側の分割片44と可動側の分割片46とに、段付部54を有する環状の段付凹部52において開口50を通じ軸直角方向に弾性的に嵌め合わされている。
【0037】
図5は本発明の他の実施例を示している。
この例は給電チップ14の先端側の部分に、段付部54を有する段付凹部52を軸方向の異なった2箇所に設け、それぞれにCリング状をなす板ばね48を嵌め合せるようにした例である。
尚他の点については基本的に上記実施例と同様である。
【0038】
以上のように本例では、溶接ワイヤWを挟み込む半割形態の2つの分割片44,46の一方の分割片46が、給電チップ14の本体14Aとは切り離された、別体の可動側の分割片46として構成されており、そしてその可動側の分割片46が、固定側の分割片44により板ばね48にて抱きかかえられるようにして保持されているため、溶接ワイヤWの送給を続けることで給電孔38内面が摩耗したとしても、可動側の分割片46がその変化に良好に追従することができる。
即ち摩耗によって給電孔38の孔径が大きくなろうとしたとき、可動側の分割片46が溶接ワイヤWとの間に隙間を生ぜしめないように板ばね48による弾性力で求心方向に微小移動(固定側の分割片44に接近移動)し、固定側の分割片44とともに溶接ワイヤWを軸直角方向に適正な力で挟み続ける。
【0039】
これによって適正な送給抵抗、即ち溶接ワイヤWと給電孔38内面との適正な摩擦力の下での接触を持続的に保持することができ、給電安定性を高め得て、アーク溶接性能を長期に亘り良好に保持することができる。
【0040】
因みに図6〜図10は、図1〜図4の第1の実施例及び図5の第2の実施例のアーク溶接装置について、溶接ワイヤWの各種ワイヤ径の下で給電孔38の孔径を変化させたときのワイヤ引出抵抗(送給抵抗)と給電孔38の孔径との関係を調べた結果を、図14に示す比較例のアーク溶接装置との比較において示したものである。
【0041】
但し図6は、溶接ワイヤWのワイヤ径を1.0mmとし、アーク溶接装置として第1実施例のものを用いたときの測定結果を、また図7は、同じく溶接ワイヤWのワイヤ径を1.0mmとし、アーク溶接装置として第2実施例のものを用いたときの測定結果を示している。
【0042】
また図8は、溶接ワイヤWのワイヤ径を1.2mmとし、第1の実施例のアーク溶接装置を用いたときの測定結果を、また図9は、溶接ワイヤWのワイヤ径を1.2mmとし、第2の実施例のアーク溶接装置を用いたときの測定結果を表している。
更に図10は、溶接ワイヤWのワイヤ径を1.6mmとし、アーク溶接装置として第2の実施例のものを用いたときの測定結果を表している。
【0043】
これらの結果から、本実施例のアーク溶接装置の場合良好なワイヤ引出抵抗(送給抵抗)、即ち給電安定性及びこれによるアーク溶接性能を長期に亘り適正に維持できることが分る。
【0044】
本実施例の場合、給電チップ14の先端側の部分の外周面に環状の段付凹部52を形成して、そこにCリング状の板ばね48を嵌め合せていることから、その段付凹部52の段付部54によって板ばね48及び可動側の分割片46を良好に軸方向に位置決めすることができる。
【0045】
また図5の実施例の場合、軸方向の異なった2箇所に板ばね48を嵌め合せていることから、給電孔38内面と溶接ワイヤWとの接触をより良好に確保することができ、また可動側の分割片46をより良好に軸方向に位置決めすることができる。
【0046】
以上本発明の実施例を詳述したがこれはあくまで一例示であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるアーク溶接装置を示す図である。
【図2】同実施例のアーク溶接装置の要部を拡大して示す図である。
【図3】同実施例のアーク溶接装置を各部材に分解して示す図である。
【図4】同実施例のアーク溶接装置における給電チップ単体の図である。
【図5】本発明の他の実施例における給電チップ単体の図である。
【図6】図1〜図4の実施例のワイヤ径1.0mmの下でのワイヤ引出抵抗と給電孔の孔径との関係を表した図である。
【図7】図5の実施例のワイヤ径1.0mmの下でのワイヤ引出抵抗と給電孔の孔径との関係を表した図である。
【図8】図1〜図4の実施例のワイヤ径1.2mmの下でのワイヤ引出抵抗と給電孔の孔径との関係を表した図である。
【図9】図5の実施例のワイヤ径1.2mmの下でのワイヤ引出抵抗と給電孔の孔径との関係を表した図である。
【図10】図5の実施例のワイヤ径1.6mmの下でのワイヤ引出抵抗と給電孔の孔径との関係を表した図である。
【図11】従来のアーク溶接装置の一例を示す図である。
【図12】図11のアーク溶接装置の改良案の例を示す図である。
【図13】図12とは異なる改良案の例を示す図である。
【図14】図13の改良案として本発明者等が案出したアーク溶接装置を比較例として示す比較例図である。
【符号の説明】
12 アーク溶接装置
14 給電チップ
14A 本体
18 溶接トーチ本体
24 金属ガイド
30 絶縁ガイド
32 ガイド孔
34 被溶接母材
38 給電孔
44 分割片(固定側の分割片)
46 分割片(可動側の分割片)
47 隙間
48 板ばね(ばね部材)
52 段付凹部
54 段付部
W 溶接ワイヤ
A アーク
【発明の属する技術分野】
この発明は溶接ワイヤと被溶接母材との間にアークを発生させて溶接を行うアーク溶接装置に関する。
【0002】
【発明の背景】
従来よりこの種のアーク溶接装置として、溶接トーチ本体に給電チップを連結し、中心部のワイヤ挿通孔を通じて溶接ワイヤを送給し、そのワイヤ挿通孔の一部を成す給電チップの給電孔において溶接ワイヤと給電チップとを接触させて溶接ワイヤに給電を行うようになしたものが一般に用いられている。
【0003】
ここで従来のアーク溶接装置の場合、溶接ワイヤの自由曲りを利用して給電孔の先端と溶接ワイヤとの接触を確保している。即ち給電点の位置を一定に確保している。
溶接ワイヤ突き出し長さはこの給電点から溶接ワイヤ先端までの長さで規定され、従って上記アーク溶接装置によれば溶接ワイヤ突き出し長さを一定に保持することができる。
【0004】
これに対して、給電チップから送り出された溶接ワイヤを中心部のガイド孔において案内する絶縁ガイドと、その絶縁ガイドを内側に保持する金属ガイドとを備えたアーク溶接装置が提案されている。
【0005】
図11はその一例を示している。
同図において200は給電チップで、雄ねじ部202において溶接トーチ本体204の雌ねじ部206にねじ結合されている。
この給電チップ200は給電孔216を有しており、その給電孔216において溶接ワイヤWに接触し、これに給電を行う。
尚、208は溶接トーチ本体204内部に挿入されたコンジットチューブである。
【0006】
210は筒状をなす金属ガイドであって、雌ねじ部212において給電チップ200の雄ねじ部214にねじ結合されている。
この金属ガイド210の内側には、パイプ状をなすセラミック製の絶縁ガイド218が保持されている。この絶縁ガイド218は中心部にガイド孔220を有しており、このガイド孔220において溶接ワイヤWの送給ガイドを行う。
尚222は被溶接母材を表しており、またAは溶接ワイヤWと被溶接母材222との間に発生するアークを表している。
【0007】
この図11に示すアーク溶接装置の場合、給電チップ200の先端側に金属ガイド210及び絶縁ガイド218を設けることで、溶接ワイヤWの突き出し長さを長く取ることができる。
而してこのように溶接ワイヤWの突き出し長さが長くなれば、その突出した部分、即ち溶接ワイヤWの給電チップ200との接触点(給電点)から先端側の部分に流れる電流によって発生する発熱量(I2R)がそれだけ大きくなる。
発熱量が大となれば、アークAを発生する前に溶接ワイヤWの温度が高くなって溶け易くなり、従って溶接ワイヤWに対して供給するエネルギー量が少なくて済む利点が得られる。
【0008】
しかしながら一方でこのように給電チップ200の先端側に絶縁ガイド218を設けた場合、溶接ワイヤWに対する給電点の位置が不安定化する不都合が生ずる。
従来のアーク溶接装置では、溶接ワイヤの自由曲りを利用して給電点の位置を一定に保持できたのが、給電チップ200の先端側に絶縁ガイド218を設けることで給電チップ200から出た溶接ワイヤWが曲ることができなくなり、この結果溶接ワイヤWと給電チップ200との接触点(給電点)の位置が不安定化してしまうのである。
【0009】
アーク溶接を良好に行うためには、溶接ワイヤWの突き出し長さ、即ち給電点の位置が一定していて溶接ワイヤWの突出した部分の加熱が一定に行われることが必要であり、この点において上記図11に示すアーク溶接装置の場合未だ不十分な点を有しているのである。
【0010】
そこで本発明者等は給電点を安定化すべく、図12に示しているように給電チップ200における給電孔216を細孔径として(例えばワイヤ径1.20mmに対して孔径を1.23mm程度とする)アーク溶接試験を行ったが、満足すべき結果は得られなかった。
【0011】
その理由は、当初においては給電孔216が一定位置で溶接ワイヤWに接触していたとしても、溶接ワイヤWを送給し続けるうちに給電孔216が早期に摩耗してしまい、接触点つまり給電点が不安定化してしまうことによる。
【0012】
そこで本発明者等は給電孔216を斜めの孔とすることに着眼し、図13に示すようなアーク溶接装置を案出した。このアーク溶接装置は下記特許文献1に開示されている。
しかしながらこのようにした場合においても、給電点を安定化する上で尚十分とは言えないものであった。
その理由については必ずしも十分明らかでないが、一応次のような理由によるものと考えられる。
【0013】
即ち、給電孔216先端と溶接ワイヤWとの確実な接触を確保しようとすると、給電孔216をある程度急角度の斜め孔とせざるを得ないが、このようにすると溶接ワイヤWを送給する際に給電孔216の部分で局部的に大きな抵抗力が働いてしまって、溶接ワイヤWを円滑に送ることができなくなるとともに、溶接ワイヤWは一定の剛性を有しているため、給電孔216先端が摩耗することによって溶接ワイヤWに対して給電孔216先端を接触させる強制力が漸次弱まるといったことが考えられる。
【0014】
更にまた溶接ワイヤWが給電孔216の部分で急激に曲げられることから、給電孔216より先端側の部分(溶接ワイヤの)がセラミック製の絶縁ガイド218に強く当って、場合によりその力が強過ぎると絶縁ガイド218が割れてしまうといった不都合を生ずる。
【0015】
一方このような不都合を是正しようとして給電孔216の傾斜角度を小さくすると、今度は給電孔216と溶接ワイヤWとの接触が不安定化してしまう。即ち図11に示す従来の通常の給電孔216に近いものとなってしまう。
【0016】
そこで本発明者等は、このような問題点を改善した新たなアーク溶接装置を開発し、先の特許願(特願2001−180216:未公開)において提案した。
図14はその具体例を示している。
図示のようにこのアーク溶接装置では、給電チップ200の先端側の部分に割溝224を十字状に設けて同先端側の部分を、給電チップ200の本体200Aと一体構成の4つの分割片224Aに分割し、これによって各分割片224Aに軸直角方向の変形能を付与するとともに、それらの外周面に開口226を有するCリング状且つ板状のばね部材228を嵌め合せ、以って各分割片224Aを求心方向に締め付けるようになしたものである。
【0017】
この図14に示すアーク溶接装置の場合上記問題をある程度改善できるものの、各分割片224Aの求心方向の剛性が未だ大きいため、溶接ワイヤWの送給を続けているうちに給電孔216の孔径が摩耗により拡大し、これにより引出抵抗(送給抵抗)が小さく変化して行くのと併せて給電安定性も損われてしまい、この点で未だ改善の余地のあることが判明した。
【0018】
【特許文献1】
特開2001−219276号公報
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明のアーク溶接装置はこのような課題を解決するために案出されたものである。
而して請求項1のものは、(イ)溶接トーチ本体と、(ロ)該溶接トーチ本体に連結されるとともに中心部に給電孔を有し、該給電孔を挿通する溶接ワイヤと接触して給電を行う給電チップと、(ハ)該給電チップから送り出される溶接ワイヤを中心部のガイド孔において案内するセラミック製の絶縁ガイドと、(ニ)前記給電チップに連結されて該絶縁ガイドを内側に保持する金属ガイドとを備え、該溶接ワイヤ先端と被溶接母材との間にアークを発生させて溶接を行うアーク溶接装置であって、前記給電チップの先端側の部分を所定軸方向長に亘って軸直角方向に分割し、何れかの分割片を該給電チップの本体に一体に構成するとともに、他の分割片を該本体と切り離した別体構成とし、各分割片に形成した給電孔の内面で前記溶接ワイヤを挟み込むように且つ各分割片間にスリット状の隙間を形成する状態で、前記本体と別体となした可動側の分割片と該本体と一体となした固定側の分割片とを、それらの外周面に嵌め合せたばね部材により該可動側の分割片が該固定側の分割片に対して接近可能に弾性結合したことを特徴とする。
【0020】
請求項2のものは、請求項1において、前記給電チップの先端側の部分が軸直角方向に半割りに2等分割されていることを特徴とする。
【0021】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記給電チップの先端側の部分には外周面に環状の段付凹部が形成されていて、該段付凹部に前記ばね部材が嵌め合わされていることを特徴とする。
【0022】
請求項4のものは、請求項1〜3の何れかにおいて、前記ばね部材が軸方向の異なった2箇所で嵌め合わされていることを特徴とする。
【0023】
【作用及び発明の効果】
以上のように本発明は、給電チップの先端側の部分を軸直角方向に分割して、何れかの分割片を給電チップの本体に一体に構成するとともに、他の分割片を本体と切り離した別体構成とし、それら各分割片で溶接ワイヤを挟み込むように各分割片を外周面に嵌め合せたばね部材で弾性結合したもので、本発明では、溶接ワイヤを挟み込む複数の分割片の何れかが給電チップの本体とは切り離された別体の構成とされているため、溶接ワイヤの送給を続けることで給電孔内面が摩耗したとしても、可動側の別体構成の分割片がその摩耗による孔径の変化を補うように良好に追従することができる。
即ち摩耗によって給電孔の孔径が大きくなったとき、可動側の分割片が溶接ワイヤとの間に隙間を生ぜしめないように、ばね部材による弾性力で求心方向に微小移動し、固定側の分割片とともに溶接ワイヤを軸直角方向に適正な力で挟み続ける。
【0024】
これによって適正な送給抵抗、即ち溶接ワイヤと給電孔内面との適正な摩擦力の下での接触を持続的に保持することができ、給電安定性を高め得て、アーク溶接性能を長期に亘り良好に保持することができる。
【0025】
本発明においては、上記給電チップの先端側の部分を軸直角方向に2等分割しておくことができる。
即ち同先端側の部分を半割構成とし、その一方を給電チップの本体に一体に、また他方を分離した形態の別体構成としておくことができる(請求項2)。
【0026】
本発明ではまた、給電チップの先端側の部分の外周面に環状の段付凹部を形成し、その段付凹部に上記ばね部材を嵌め合せておくことができる(請求項3)。
このようにすれば、その段付凹部の段付部によってばね部材を、更には可動側の分割片を良好に軸方向に位置決めすることができる。
【0027】
本発明ではまた、上記ばね部材を軸方向の異なった2箇所において可動側の分割片及び固定側の分割片の外周面に嵌め合せておくことができる(請求項4)。
このようにすることで、給電孔内面と溶接ワイヤとの接触をより良好に確保することが可能となるとともに、可動側の分割片の軸方向の位置決機能も高めることができる。
【0028】
【実施例】
次に本発明の実施例を図面に基づいて詳しく説明する。
図1においてWは溶接ワイヤで、10はコイル状に巻かれた溶接ワイヤWを溶接部に供給するワイヤ送給装置である。
12は本例のアーク溶接装置で、給電チップ14を有している。
【0029】
給電チップ14は上端側に雄ねじ部16を有しており、この雄ねじ部16が、溶接トーチ本体18の下端側の雌ねじ部20にねじ結合されている。
尚、22は溶接トーチ本体18内部に挿入されたコンジットチューブである。
【0030】
24は筒状をなす金属ガイドで、図中上端側に雌ねじ部26を有しており、この雌ねじ部26において給電チップ14の下端側の雄ねじ部28にねじ結合されている。
金属ガイド24の内側には、パイプ状をなすセラミック製の絶縁ガイド30が保持されている。
【0031】
この絶縁ガイド30は中心部にガイド孔32を有しており、このガイド孔32において溶接ワイヤWを案内するようになっている。
尚、34は被溶接母材であり、Aは溶接ワイヤWと被溶接母材34との間に発生したアークを表している。
【0032】
図2に示しているように、給電チップ14の中心部にはワイヤ挿通孔36が形成されていて、その下端部が給電孔38とされている。
上記絶縁ガイド30の上端部にはフランジ部40が形成されており、このフランジ部40が金属ガイド24の段付部42により支持されている。
【0033】
詳しくは、この段付部42と給電チップ14とによりフランジ部40が上下に挟まれる状態で、絶縁ガイド30が金属ガイド24の内側に保持されている。
但しこれはあくまで絶縁ガイド30の保持の一形態例を示したに過ぎないもので、他の様々の形態で絶縁ガイド30を金属ガイド24の内側に保持することが可能である。
【0034】
図2の部分拡大図及び図3,図4に示しているように、本例では給電チップ14の、給電孔38を含む先端側の部分が所定軸方向長に亘って、詳しくはその先端から雄ねじ部28に到るまでの部分が軸直角方向に2等分割されており(半割りされており)、2つの分割片44,46の内の一方の分割片(固定側の分割片)44が、給電チップ14における本体14Aと一体に構成され、また他方の分割片(可動側の分割片)46が、本体14Aから切り離された別体構成のものとされている。
即ち他方の分割片46は、本体14Aに対し軸方向の分割面で軸直角方向に分割されているとともに、軸直角方向の分割面において軸方向にも分割されている。
【0035】
そしてそれら固定側の分割片44と可動側の分割片46とが、それぞれの給電孔38内面において溶接ワイヤWを軸直角方向に挟み込む状態で、且つそれら分割片44と46との間にスリット状の隙間47を形成する状態で、各分割片44,46の外周面に嵌め合わされたCリング状の板ばね48により弾性的に結合されている(図3及び図4では溶接ワイヤWは省略して示してある)。
即ち可動側の分割片46が、Cリング状の板ばね48により抱きかかえられるようにして、固定側の分割片44により板ばね48を介して固定側の分割片44に対し接近可能に保持されている。
【0036】
ここで板ばね48には周方向所定箇所に開口50が形成されており、かかる板ばね48が給電チップ14の先端側の部分、即ち固定側の分割片44と可動側の分割片46とに、段付部54を有する環状の段付凹部52において開口50を通じ軸直角方向に弾性的に嵌め合わされている。
【0037】
図5は本発明の他の実施例を示している。
この例は給電チップ14の先端側の部分に、段付部54を有する段付凹部52を軸方向の異なった2箇所に設け、それぞれにCリング状をなす板ばね48を嵌め合せるようにした例である。
尚他の点については基本的に上記実施例と同様である。
【0038】
以上のように本例では、溶接ワイヤWを挟み込む半割形態の2つの分割片44,46の一方の分割片46が、給電チップ14の本体14Aとは切り離された、別体の可動側の分割片46として構成されており、そしてその可動側の分割片46が、固定側の分割片44により板ばね48にて抱きかかえられるようにして保持されているため、溶接ワイヤWの送給を続けることで給電孔38内面が摩耗したとしても、可動側の分割片46がその変化に良好に追従することができる。
即ち摩耗によって給電孔38の孔径が大きくなろうとしたとき、可動側の分割片46が溶接ワイヤWとの間に隙間を生ぜしめないように板ばね48による弾性力で求心方向に微小移動(固定側の分割片44に接近移動)し、固定側の分割片44とともに溶接ワイヤWを軸直角方向に適正な力で挟み続ける。
【0039】
これによって適正な送給抵抗、即ち溶接ワイヤWと給電孔38内面との適正な摩擦力の下での接触を持続的に保持することができ、給電安定性を高め得て、アーク溶接性能を長期に亘り良好に保持することができる。
【0040】
因みに図6〜図10は、図1〜図4の第1の実施例及び図5の第2の実施例のアーク溶接装置について、溶接ワイヤWの各種ワイヤ径の下で給電孔38の孔径を変化させたときのワイヤ引出抵抗(送給抵抗)と給電孔38の孔径との関係を調べた結果を、図14に示す比較例のアーク溶接装置との比較において示したものである。
【0041】
但し図6は、溶接ワイヤWのワイヤ径を1.0mmとし、アーク溶接装置として第1実施例のものを用いたときの測定結果を、また図7は、同じく溶接ワイヤWのワイヤ径を1.0mmとし、アーク溶接装置として第2実施例のものを用いたときの測定結果を示している。
【0042】
また図8は、溶接ワイヤWのワイヤ径を1.2mmとし、第1の実施例のアーク溶接装置を用いたときの測定結果を、また図9は、溶接ワイヤWのワイヤ径を1.2mmとし、第2の実施例のアーク溶接装置を用いたときの測定結果を表している。
更に図10は、溶接ワイヤWのワイヤ径を1.6mmとし、アーク溶接装置として第2の実施例のものを用いたときの測定結果を表している。
【0043】
これらの結果から、本実施例のアーク溶接装置の場合良好なワイヤ引出抵抗(送給抵抗)、即ち給電安定性及びこれによるアーク溶接性能を長期に亘り適正に維持できることが分る。
【0044】
本実施例の場合、給電チップ14の先端側の部分の外周面に環状の段付凹部52を形成して、そこにCリング状の板ばね48を嵌め合せていることから、その段付凹部52の段付部54によって板ばね48及び可動側の分割片46を良好に軸方向に位置決めすることができる。
【0045】
また図5の実施例の場合、軸方向の異なった2箇所に板ばね48を嵌め合せていることから、給電孔38内面と溶接ワイヤWとの接触をより良好に確保することができ、また可動側の分割片46をより良好に軸方向に位置決めすることができる。
【0046】
以上本発明の実施例を詳述したがこれはあくまで一例示であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるアーク溶接装置を示す図である。
【図2】同実施例のアーク溶接装置の要部を拡大して示す図である。
【図3】同実施例のアーク溶接装置を各部材に分解して示す図である。
【図4】同実施例のアーク溶接装置における給電チップ単体の図である。
【図5】本発明の他の実施例における給電チップ単体の図である。
【図6】図1〜図4の実施例のワイヤ径1.0mmの下でのワイヤ引出抵抗と給電孔の孔径との関係を表した図である。
【図7】図5の実施例のワイヤ径1.0mmの下でのワイヤ引出抵抗と給電孔の孔径との関係を表した図である。
【図8】図1〜図4の実施例のワイヤ径1.2mmの下でのワイヤ引出抵抗と給電孔の孔径との関係を表した図である。
【図9】図5の実施例のワイヤ径1.2mmの下でのワイヤ引出抵抗と給電孔の孔径との関係を表した図である。
【図10】図5の実施例のワイヤ径1.6mmの下でのワイヤ引出抵抗と給電孔の孔径との関係を表した図である。
【図11】従来のアーク溶接装置の一例を示す図である。
【図12】図11のアーク溶接装置の改良案の例を示す図である。
【図13】図12とは異なる改良案の例を示す図である。
【図14】図13の改良案として本発明者等が案出したアーク溶接装置を比較例として示す比較例図である。
【符号の説明】
12 アーク溶接装置
14 給電チップ
14A 本体
18 溶接トーチ本体
24 金属ガイド
30 絶縁ガイド
32 ガイド孔
34 被溶接母材
38 給電孔
44 分割片(固定側の分割片)
46 分割片(可動側の分割片)
47 隙間
48 板ばね(ばね部材)
52 段付凹部
54 段付部
W 溶接ワイヤ
A アーク
Claims (4)
- (イ)溶接トーチ本体と、(ロ)該溶接トーチ本体に連結されるとともに中心部に給電孔を有し、該給電孔を挿通する溶接ワイヤと接触して給電を行う給電チップと、(ハ)該給電チップから送り出される溶接ワイヤを中心部のガイド孔において案内するセラミック製の絶縁ガイドと、(ニ)前記給電チップに連結されて該絶縁ガイドを内側に保持する金属ガイドとを備え、該溶接ワイヤ先端と被溶接母材との間にアークを発生させて溶接を行うアーク溶接装置であって、
前記給電チップの先端側の部分を所定軸方向長に亘って軸直角方向に分割し、何れかの分割片を該給電チップの本体に一体に構成するとともに、他の分割片を該本体と切り離した別体構成とし、各分割片に形成した給電孔の内面で前記溶接ワイヤを挟み込むように且つ各分割片間にスリット状の隙間を形成する状態で、前記本体と別体となした可動側の分割片と該本体と一体となした固定側の分割片とを、それらの外周面に嵌め合せたばね部材により該可動側の分割片が該固定側の分割片に対して接近可能に弾性結合したことを特徴とするアーク溶接装置。 - 請求項1において、前記給電チップの先端側の部分が軸直角方向に半割りに2等分割されていることを特徴とするアーク溶接装置。
- 請求項1,2の何れかにおいて、前記給電チップの先端側の部分には外周面に環状の段付凹部が形成されていて、該段付凹部に前記ばね部材が嵌め合わされていることを特徴とするアーク溶接装置。
- 請求項1〜3の何れかにおいて、前記ばね部材が軸方向の異なった2箇所で嵌め合わされていることを特徴とするアーク溶接装置。
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JP2012101274A (ja) * | 2010-11-15 | 2012-05-31 | Daihen Corp | 消耗電極ガスシールドアーク溶接トーチ |
CN109317790A (zh) * | 2017-08-01 | 2019-02-12 | 株式会社达谊恒 | 供电焊嘴及焊炬 |
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-
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- 2002-12-13 JP JP2002363064A patent/JP2004188489A/ja active Pending
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CN109954960A (zh) * | 2017-12-26 | 2019-07-02 | 中国石油天然气集团公司 | 一种导电嘴组件 |
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