JP2004188458A - 熱間圧延機、ロールスリップ防止方法、及び熱延鋼板の製造方法 - Google Patents
熱間圧延機、ロールスリップ防止方法、及び熱延鋼板の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】圧延油等が付着してもロール間のスリップを抑制することができ、たとえロール間のスリップが発生した場合でも、その後の圧延作業継続が可能であるか否かをオンラインで客観的に判断することが可能な熱間圧延機、ロールスリップ防止方法、及び熱延鋼板の製造方法を提供する。
【解決手段】圧延潤滑剤を使用するとともに非駆動バックアップロールを具備し、バックアップロール胴部の少なくとも一箇所には渦流探傷センサを備えた熱間圧延機において、ワークロール交換直前の圧延終了時、又はワークロール交換直後の起動時にワークロールを駆動しつつバックアップロールの洗浄を行うとともに、起動時から所定期間内にセンサからの入力を所定の探傷信号と比較して圧延作業継続の可否を判断し、その判断結果に基づいて圧延作業を中断し、又はさらに圧延を継続する。
【選択図】 図1
【解決手段】圧延潤滑剤を使用するとともに非駆動バックアップロールを具備し、バックアップロール胴部の少なくとも一箇所には渦流探傷センサを備えた熱間圧延機において、ワークロール交換直前の圧延終了時、又はワークロール交換直後の起動時にワークロールを駆動しつつバックアップロールの洗浄を行うとともに、起動時から所定期間内にセンサからの入力を所定の探傷信号と比較して圧延作業継続の可否を判断し、その判断結果に基づいて圧延作業を中断し、又はさらに圧延を継続する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧延潤滑剤を使用し、バックアップロールが非駆動である熱間圧延機、その熱間圧延機におけるロールスリップ防止方法、及び熱延鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
鋼板の冷間圧延機は、一定の板形状を安定的に得るため、上下一対のワークロールのみを備えた2段圧延機として構成されることは少なく、鋼板に直接接して圧下をかけるワークロールと、このワークロールが圧下により板幅方向に撓むのを抑制するバックアップロールとを上下に備えた4段圧延機、またはワークロールとバックアップロールとの間に中間ロールを上下に備えた6段圧延機、または複数の中間ロールと複数のバックアップロールを上下に備えたゼンジマーミル等の多段圧延機(クラスターミル)が用いられている。そして、ワークロールと中間ロールあるいはバックアップロールとは相互に押し付けられ、かつ接触して回転されている。
【0003】
電動機により発生した駆動力は、減速機及びユニバーサルジョイントを介して圧延機の上下ロールに伝達される。通常、鋼板の熱間圧延機においては、一対のワークロールが直接駆動され、バックアップロールまたは中間ロールは駆動電動機を持たずにフリーロールとされ、ワークロールとの摩擦接触により回転されている。
【0004】
このようなロール構成において、圧延を繰り返すと、ワークロール、バックアップロールの摩耗や、ロール表面に傷が発生するので、圧延鋼材の形状の安定、表面性状の品質確保の観点から、ロール交換を行う必要がある。ワークロールとバックアップロールとを比較した場合、ワークロールは鋼板と直接接触するため、摩擦発熱によりロール表面の摩耗が大きくなり、頻繁なロール交換を必要とする。一方、バックアップロールはワークロールに接触して回転されておりワークロールと比較した場合摩耗の度合いは少ない。そして、表面の疲労の度合いによりロール交換の頻度が決定されるため、バックアップロールの交換頻度はワークロール交換頻度に比べ低いものである。
【0005】
ワークロール交換をする場合、圧延機を停止し、バックアップロールはそのままで、使用していたワークロールのみ圧延機から取り外して、あらかじめ研磨されていた新しいワークロールを圧延機に組み込む。
【0006】
圧延機を再起動する場合、圧延機に圧延荷重をかけてバックアップロール、ワークロール(中間ロールがある場合には中間ロールも)の胴部全てを接触させた状態として、ワークロールに駆動をかける。このようにすることによって、ワークロールとバックアップロールとの間の摩擦によりバックアップロールも従動して、回転される。
【0007】
熱間圧延においては、鋼板製品表面のスケール発生防止、圧延荷重低下等の目的で、圧延鋼材各コイルの先端から終端近傍までの圧延の間、ワークロールおよび/またはバックアップロールにエマルション等の圧延潤滑剤(以下において「圧延油」という。)を噴射している。ワークロールに圧延油を噴射する場合は、圧延油はワークロール表面に付着するほか、一部はロール回転によりバックアップロール表面にも転写される。また、バックアップロールに圧延油を噴射する場合は、圧延油はバックアップロールからワークロールに転写される。さらにワークロールに付着した圧延油はワークロールとワークロールに圧下される鋼板表面との間に介在して潤滑皮膜を形成し、製品表面のスケール傷の発生防止や圧延荷重の低下に寄与している。
【0008】
圧延油がバックアップロールやワークロール表面に付着すると、上記したワークロール交換後の起動時に、ワークロールとバックアップロール間のスリップ現象が発生して様々な問題の原因となることがある。例えば、スリップ現象が発生すると、バックアップロール表面に傷がついてワークロール表面に転写され、さらにそれが製品表面に転写されて、製品の表面性状が悪化する。また、バックアップロールのスリップ部が局部的に凹み、製品の板厚変動が発生する。また、バックアップロールに傷があると使用中に傷が進展してバックアップロール表面が剥離し(スポーリング現象)、操業継続ができなくなる。これにより稼働率の低下や、バックアップロール消耗量の増加(ロール原単位の悪化)が発生する。さらにバックアップロールに傷がなくても、使用中にスリップ部から傷が発生し、バックアップロールのスポーリングが発生し、バックアップロール、ワークロールの原単位の悪化、および圧延機の損傷の原因となることがある。
【0009】
上記のようなワークロールとバックアップロール間のスリップ現象に起因する様々な問題の発生を防止し、次コイルの先端部の噛み込みを良好なものとするため、各コイルの終端部では圧延油の噴射を停止して、終端部の圧延鋼材を圧延している。このようにして、ワークロールに付着した圧延油を高温の圧延鋼材に接触させることにより焼き切っている。
【0010】
しかし、通常圧延油の噴射領域は、最も広幅の圧延鋼材に合わせて設定されているため、それより幅の狭い圧延鋼材を圧延した場合には、ワークロールの両端部に圧延油が残りやすいことになる。特にバックアップロールに圧延油を噴射する場合、バックアップロール表面に圧延油が残りやすい。さらにバックアップロールの中央部摩耗により、ワークロールとバックアップロールとの間の摩擦が低くなって、バックアップロールのスリップが発生しやすくなる。また、圧延機に使用されている圧延油以外の潤滑剤、例えば圧延荷重をかけるための油圧装置に使用されている油圧作動液が漏洩飛散してバックアップロールやワークロールに付着することがあり、これによってもワークロールとバックアップロールとの間の摩擦が低くなって、バックアップロールのスリップが発生しやすくなる。
【0011】
特許文献1では、このようなバックアップロールのスリップを検出するため、ワークロールの回転速度を検出するパルス検出手段と、このパルス検出手段で検出されたパルス計数によりロール間のスリップを検出する検出手段とを備えた鋼板圧延機のロールスリップ検出装置が開示されている。
【0012】
また特許文献2においては、ロールの欠陥発生を予測する手法として、物体表面の基準方向に硬度変化率を求めて、既知最大値より大きな変化率を求めて欠陥の発生を予測する方法が開示されている。またその実施例としてオフラインでロール軸方向に硬度変化率を求め、既知最大硬度変化率以下に加工する技術が開示されている。
【0013】
さらに特許文献3においては、探傷時に渦流式探傷センサを退避位置から進出させてスリーブ式圧延ロールの表面に接近させ、渦流式探傷センサとロール表面の間隔を一定に保持した状態で探傷を行い、探傷終了後、渦流式探傷センサを探傷位置から後退させることを特徴とする圧延ロールのクラック探傷方法、及び装置が開示されている。
【特許文献1】
特開平10−29007
【特許文献2】
特開昭52−96590
【特許文献3】
特開平11−183442
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
スリップ発生を防止するため、現場での操業条件を変えて対応することが考えられる。例えば、圧延油の濃度を低下する方法が考えられるが、このようにした場合、圧延鋼材表面のスケール傷発生防止が不十分となり、昨今の高い製品品質要求に応えることが困難であるという問題があった。また、圧延鋼材の板幅に合わせて、圧延油の噴射幅をその都度変えるということも考えられるが、このようにすると設備が複雑、高価になり、保守も困難になるという問題もあった。さらに、バックアップロールに付着する圧延油を残らず焼き切るためにワークロール替え直前に広幅材を圧延し、圧延鋼材終端部への圧延油の噴射を早めに停止すると、製品の平坦性が悪く通板性が悪化したり、製品終端部の表面品質が悪化したりするという問題もあった。また、スリップが発生してもそれが軽度であれば必ずしもバックアップロールの交換を必要とはしないが、その判断はオペレーターの経験と勘に頼る面があり、過度に反応すればミルの稼働率を低下させ、逆に軽度に判断するとバックアップロールのスポーリングを招いてしまうという問題もあった。
【0015】
一方、特許文献1に開示された技術では、バックアップロールのスリップを客観的に検出することが可能であるが、圧延油の付着による摩擦低下や、スリップが発生した場合、そのまま使用継続して良いかどうかの判断には言及がない。また特許文献2及び3に開示された技術も圧延油付着の対応策についての言及がなく、また特に特許文献2では欠陥発生予測の手法はオフラインを前提としている。
【0016】
そこで、本発明は、圧延油等が付着してもロール間のスリップを抑制することができ、たとえロール間のスリップが発生した場合でも、その後の圧延作業継続が可能であるか否かをオンラインで客観的に判断することが可能な熱間圧延機、ロールスリップ防止方法、及び熱延鋼板の製造方法を提供することを課題とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0018】
請求項1の発明は、圧延潤滑剤供給手段と、非駆動バックアップロール(2a、2b)と、バックアップロールに付着する圧延潤滑剤を洗浄するための洗浄手段(3a、3b)とを備えた熱間圧延機(10)により前記課題を解決するものである。
【0019】
また、請求項2の発明は、圧延潤滑剤を使用するとともに非駆動バックアップロール(2a、2b)を具備する熱間圧延機(10)において、ワークロール(1a、1b)交換直前の圧延終了時、又はワークロール交換直後の起動時にワークロールを駆動しつつバックアップロールを洗浄するロールスリップの防止方法により前記課題を解決するものである。
【0020】
さらに請求項3の発明は、圧延潤滑剤を使用するとともに非駆動バックアップロール(2a、2b)を具備する熱間圧延機(10)を使用して、ワークロール(1a、1b)交換直前の圧延終了時、又はワークロール交換直後の起動時にワークロールを駆動しつつバックアップロールの洗浄を行い、その後に次コイルの圧延を行う熱延鋼板の製造方法により前記課題を解決するものである。
【0021】
請求項4の発明は、圧延潤滑剤供給手段と、非駆動バックアップロール(2a、2b)と、バックアップロール胴部の少なくとも一箇所に設けられた渦流探傷センサ(4a、4b)と、センサからの入力を所定の探傷信号と比較して圧延作業継続の可否を判断する作業継続可否判断手段とを具備し、作業継続可否判断手段はワークロール(1a、1b)交換直後の起動時から所定期間内にセンサからの入力を受けて判断を行うことを特徴とする熱間圧延機(10)を提供するものである。
【0022】
また、請求項5の発明は、圧延潤滑剤を使用するとともに非駆動バックアップロール(2a、2b)を具備し、バックアップロール胴部の少なくとも一箇所には渦流探傷センサ(4a、4b)を備えた熱間圧延機(10)において、ワークロール(1a、1b)交換直後の起動時から所定期間内にセンサからの入力を所定の探傷信号と比較して、ロールスリップの有無を判断する工程を含むロールスリップの防止方法を提供するものである。
【0023】
さらに、請求項6の発明は、圧延潤滑剤を使用するとともに非駆動バックアップロール(2a、2b)を具備し、バックアップロール胴部の少なくとも一箇所には渦流探傷センサ(4a、4b)を備えた熱間圧延機(10)を使用して、ワークロール(1a、1b)交換直後の起動時から所定期間内にセンサからの入力を所定の探傷信号と比較して圧延作業継続の可否を判断し、その判断結果に基づいて圧延作業を中断し、又はさらに圧延を継続する熱延鋼板の製造方法を提供するものである。
【0024】
請求項7の発明は、圧延潤滑剤供給手段と、非駆動バックアップロール(2a、2b)と、バックアップロールに付着する圧延潤滑剤を洗浄するための洗浄手段(3a、3b)と、バックアップロール胴部の少なくとも一箇所に設けられた渦流探傷センサ(4a、4b)と、センサからの入力を所定の探傷信号と比較して圧延作業継続の可否を判断する作業継続可否判断手段とを具備し、作業継続可否判断手段はワークロール交換直後の起動時から所定期間内にセンサからの入力を受けて判断を行うことを特徴とする熱間圧延機10を提供して前記課題を解決するものである。
【0025】
また、請求項8の発明は、圧延潤滑剤を使用するとともに非駆動バックアップロール(2a、2b)を具備し、バックアップロール胴部の少なくとも一箇所には渦流探傷センサ(4a、4b)を備えた熱間圧延機(10)において、ワークロール(1a、1b)交換直前の圧延終了時、又はワークロール交換直後の起動時にワークロールを駆動しつつバックアップロールの洗浄を行う工程と、起動時から所定期間内にセンサからの入力を所定の探傷信号と比較して、ロールスリップの有無を判断する工程とを含むことを特徴とするロールスリップの防止方法を提供して前記課題を解決するものである。
【0026】
さらに請求項9の発明は、圧延潤滑剤を使用するとともに非駆動バックアップロール(2a、2b)を具備し、バックアップロール胴部の少なくとも一箇所には渦流探傷センサ(4a、4b)を備えた熱間圧延機(10)を使用して、ワークロール(1a、1b)交換直前の圧延終了時、又はワークロール交換直後の起動時にワークロールを駆動しつつバックアップロールの洗浄を行うとともに、起動時から所定期間内にセンサからの入力を所定の探傷信号と比較して圧延作業継続の可否を判断し、その判断結果に基づいて圧延作業を中断し、又はさらに圧延を継続する熱延鋼板の製造方法を提供して前記課題を解決するものである。
【0027】
非駆動バックアップロールを備える熱間圧延機において、圧延潤滑剤が使用されると、ワークロール交換直後の起動時にバックアップロールがスリップする可能性がある。バックアップロールがスリップすると上記した製品表面性状の悪化、バックアップロールそのものへの傷の発生等多くの問題が発生するので、スリップを未然に防止することが望ましい。またスリップが現に発生している場合には直ちにミルの運転を停止する必要がある。また、既にスリップが発生している場合には、バックアップロールをそのまま使用することができるかどうかを判断する必要がある。
【0028】
請求項1〜3及び7〜9の発明においては、前コイルの圧延時に使用された圧延潤滑剤がバックアップロール表面に残っていても、洗浄手段により洗浄除去することが可能であるので、スリップの発生を未然に防止することが可能である。前記洗浄は、ワークロールの交換直前の前コイル圧延終了時、またはワークロール交換直後の起動時に、ワークロールに駆動をかけつつバックアップロールを従動させながら行われる。この洗浄タイミングは圧延開始直後の圧延鋼材が圧延機を通過していないときでもよい。これによって、コイルの全長に亘って圧延潤滑剤を使用することが可能となる。また圧延潤滑剤として潤滑性の高い高濃度のものを使用することが可能となる。これらによってコイルの全長に亘って良質な表面性状を備えた製品を製造することが可能となる。また、圧延荷重を低下して省エネルギーを図ることが可能となる。
【0029】
洗浄手段に使用される洗浄液は請求項10〜12の発明のように、噴射圧力0.7MPa以上の水を使用しても良い。さらに上記噴射圧力は3MPa以上であることが好ましい。また、水に代えて温水を使用しても良く、さらに請求項13〜15の発明のようにアルカリ洗浄液、または中性洗浄液を使用しても良い。バックアップロール表面に付着する圧延潤滑剤には、潤滑性向上のために各種の油性剤や極圧添加材が含まれており、これらがバックアップロール表面の金属に、化学吸着、または物理吸着している。洗浄液の種類や噴射の圧力を上記のように選定することにより、バックアップロール表面から圧延潤滑剤の大半を除去することが容易となる。
【0030】
請求項4〜9の発明においては、バックアップロール胴部に備えられた渦流探傷センサを利用してオンラインで圧延作業継続の可否を判断することができる。渦流式探傷センサは、測定対象(金属体)が検出コイルに接近したときに起きるコイルのインピーダンス変化を利用して微小変位を非接触で測定するセンサであり、精度の良い測定が可能で耐環境性が良いなどの特長を有する。
【0031】
この渦流探傷センサによって、ワークロール交換直後の起動時にスリップが起きているかどうかを感知することが可能であり、スリップが発生している場合には直ちに圧延機の運転を停止して、スリップにより発生するバックアップロール傷の発生を未然に防止することが可能となる。またスリップを直ちに感知するのでバックアップロールにスポーリングが発生するのを未然に防止することができる。
【0032】
また既に発生したスリップにより、製品表面性状に影響を与える傷がバックアップロールにある場合に、それが許容できる範囲内にあるかどうかをオペレーターの経験や勘に頼ることなくオンラインで客観的に判断することが可能となる。したがってロール傷が許容範囲外である場合、直ちにミルの運転を停止してバックアップロールの交換をすることが可能となり、ロール傷があるのに気付かずに圧延を続行して表面傷のある不良品の大量に製造してしまうことを未然に防ぐことが容易となる。また、バックアップロールの傷が進行するのを防止することができる。またロール傷が許容範囲内である場合、不必要なバックアップロール交換作業を回避でき、ミル稼働率の低下を防止することが容易となる。
【0033】
本発明のこのような作用及び利得は、次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【0034】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明にかかる熱間圧延機のロール周辺の概略を示す図であり、(a)は側面図、(b)は正面図である。熱間圧延機10は、一対のワークロール1a、1bと、ワークロール1a、1bを挟むように上下に配置された一対のバックアップロール2a、2bとを備える4段圧延機として構成されている。図1(a)において、圧延鋼材は図の左から右方向へと走行され、その方向が矢印Dにより示されている。
【0035】
<1> 圧延油の洗浄
熱間圧延機10の出側には、洗浄ノズル3a1〜3a4、3b1〜3b4がバックアップロール2a、2bに向けて設けられている。これらの洗浄ノズルは、図1(b)に示されるように、上下一対の組として、板幅方向に4組配列されており、これら洗浄ノズルに洗浄液を供給する配管は不図示の圧延機ハウジングに取り付けられている。これらの洗浄ノズル3a1〜3a4、3b1〜3b4はその先端から洗浄液を噴射して、バックアップロール表面に付着する圧延油を洗い流し去る目的を持って設けられているものである。したがって、洗浄ノズルの配置は圧延油の付着位置に設ければ良く、圧延油の付着位置が限定されている場合にはその位置に対応して限定して設けても良い。
【0036】
以下に図2を参照しつつ、通常の場合に圧延油が付着する位置について説明する。図2には熱間圧延機10の下側のワークロール1bとバックアップロール2bとが示されている。圧延油はそのときに圧延される圧延鋼材の板幅に合わせてワークロール1bに噴射される。一方圧延によりワークロール1bは摩耗するため、圧延の進行に伴い次第に狭い幅のコイルを圧延するよう作業スケジュールが組まれる。そのため、ワークロール1bの交換直前のコイル幅は、そのワークロール1bにより圧延される複数のコイルの中で最小である。したがって交換直前のワークロール1bの表面には、図2で符号A、Bで示される両端のエリアに圧延油が残り、ワークロール1bに接触回転するバックアップロール2bの表面A´、B´のエリアにも圧延油が残留する。
【0037】
洗浄ノズルは圧延油の噴射ノズルを兼ねるものであっても良い。この場合には図3に示すように、圧延油貯油タンク31と洗浄液タンク32とを別途設ける一方、供給配管33、34a、34bからノズル3a、3bまでを共用し、各タンク31、32から供給配管33への配管35、36に切り替え弁37、38を設けて、圧延油、洗浄液それぞれの供給を切り替えるようにしてもよい。
【0038】
洗浄液は、バックアップロール表面に付着する圧延油を除去できるものであればどのようなものでも使用可能である。例えばアルカリ洗浄液、中性洗浄液、温水、冷水等使用することができる。洗浄液の噴射圧力は高圧であるほど洗浄力に優れるので、0.7MPa以上であることが望ましく、3.0MPa以上であることがさらに好ましい。
【0039】
洗浄液を使用する時期は、ワークロール交換直前の圧延終了時であっても良く、またワークロール交換後のミル起動時であっても良い。又は、圧延開始直後の圧延鋼材が圧延機を通過していないときでもよい。いずれの場合にも、ワークロールに駆動をかけ、それによってバックアップロールを従動させつつ洗浄を行うと良い。
【0040】
<2> 渦流探傷センサ
図1に示されているように、熱間圧延機10の入り側には、一対の渦流探傷センサ4a、4bがバックアップロール2a、2bに向けて設けられている。この渦流探傷センサを設置すべき位置について図4を参照しつつ説明する。図4には熱間圧延機10の下側のワークロール1bとバックアップロール2bとが示されている。ワークロール1bは圧延中に圧延鋼材と接触することにより、胴部中央の温度が上昇してロール径が増加するため、バックアップロール2b中央部Cの摩耗量が大きくなる。バックアップロール2bの両端部E1、E2は、面圧を軽減するためロール研磨時にいわゆるチャンファ加工してロール径が僅かに小さくされている。したがってワークロール交換直後は、バックアップロールの胴部端面から少し中央寄りに入ったところ(図4で符号D1、D2で示されるハッチングが付された部分)がワークロールとの接触を主に受ける箇所となる。ロール表面の損傷は基本的には左右対称に発生するものと考えられるので、渦流探傷センサは、D1、またはD2のいずれかの部分を感知するように配置すれば良く、図1においては、図4のD1に相当する部分の上下バックアップロール2a、2bにそれぞれ渦流探傷センサ4a、4bが設けられている。
【0041】
ワークロール交換作業からミルの再起動時までは、渦流探傷センサ4a、4bは退避しており、ミル起動時にバックアップロール2a、2b表面近傍に所定距離を保って接近する。所定距離を保つ方法は公知の技術で良く、例えば特許文献3に開示されているコロを用いる方法によって所定距離を保つことができる。
【0042】
渦流探傷センサ4a、4bにより上下バックアップロール2a、2bを探傷する時間、すなわち渦流探傷センサ4a、4bの近接時間は、例えば、上下バックアップロール2a、2bの1〜3回転相当(ワークロール起動速度、ワークロール径、バックアップロール径などにより異なるが、時間としては1〜60秒間ぐらい)でロール間のスリップが発生しているかどうかを判断することが可能である。探傷の後は渦流探傷センサ4a、4bを退避させる。以上の操作により上下バックアップロール2a、2bのスリップを確認することができ、渦流探傷センサ4a、4b、探傷センサ接近退避装置等の健全性を保ち装置寿命を長くすることができる。
【0043】
(2−1)使用可否レベル基準の設定法
ワークロールが起動回転された時にバックアップロールが回転せず、スリップ状態に陥った場合のバックアップロール組織断面を図5に模式的に示す。またそのときのロール表面から深さ方向への硬さの変化を図6に示す。バックアップロール表面の基地金属組織(図5の符号F、図6の符号Tで表される部分に相当)は所定の熱処理を受けて、所定の硬さにされている。スリップが発生すると、バックアップロールは停止状態でワークロール回転により摩擦されることにより発生する摩擦熱を受ける。
【0044】
ロール表面温度が、焼戻し温度以上から焼入れ温度未満に上昇するとロール表面の金属組織は焼戻しを受け、硬さが低下する。一方ロール表面温度が焼入れ温度以上に昇温されると周囲から冷却を受けて焼入れ組織(図5の符号H、図6の符号Rで表される部分に相当)となり、硬さは上昇する。また焼入れ組織の下部及び周囲は焼戻し組織(図5の符号G、図6の符号Sで表される部分に相当)が生成される。
【0045】
図7は、バックアップロールの基地の表面硬さと、スリップを受けたバックアップロールの表面硬さとの差(以下において「硬度差」という。)と渦流探傷信号S/N比との関係を示す図である。スリップを受けたバックアップロールを使用して調査した結果、その後スリップ部に傷が発生するのはスリップにより硬度差が基準レベル以上(図7において符号Vで示される範囲)の場合であり、この硬度差が基準より低い(図7において符号Uで示される範囲)と傷が発生しないことが判明した。また硬さレベルと渦流探傷信号S/N比との間に相関があり、渦流探傷信号の波形によって、バックアップロールの継続使用可否を判断できることが判明した。すなわち図7において、符号Xで示される範囲のS/N比であればバックアップロールの使用継続可能であるが、符号Yで示される範囲のS/N比となるとバックアップロールの交換を必要とする。
【0046】
(2−2)操業における基準の運用
ワークロール交換後起動直後の渦流探傷波形(信号)の例を図8に示す。ワークロールを回転起動するもバックアップロールは回転せず、完全にスリップしている場合(a)に示されるような一定値を示す波形が現れる。この場合には直ちに圧延機の運転を停止して、ワークロールとバックアップロールとの摩擦を上げた後に再起動する必要がある。
【0047】
(b)は、バックアップロールが正常に回転されている状態で、ロール表面の微小な凹凸により渦流探傷信号はノイズ状に現れる。このような波形が現れている場合にはバックアップロールの継続使用が可能である。
【0048】
(c)、および(d)は、バックアップロールは回転されているがすでにスリップが起きている場合に現れる波形である。(c)は、スリップ信号のS/N比が上記した基準未満であり、バックアップロールは継続して使用可能である。一方(d)は、スリップ信号のS/N比が基準レベルを超えており、その後の圧延に耐えることができないのでバックアップロールの交換が必要である。
【0049】
以上の判断は、モニタ等に表示される波形を作業者が目視にて監視して行うことも可能であるが、あらかじめ基準レベル設定値等をプログラムに織り込んだ電算機により、オンラインで処理することが望ましい。信号を取り込んで基準レベル設定値との比較を行い、所定の場合には警報等を発する判断手段は、特許文献3に開示されている構成等、公知の構成を利用することにより例えば以下に説明するように実現することができる。
【0050】
図9は、渦流探傷装置を利用して、その探傷信号がレベル設定値を超える場合に警報を発するまでのフローを示す図である。まずステップS1においては、センサをバックアップロール表面に近接させる。ステップS2においては、センサとワークロール表面との間の距離が所定値となったかどうかが判断される。ステップS2において否定判断された場合、処理はステップS1に戻される。ステップS2において肯定判断された場合は、処理は引き続きステップS3に進められ、渦流探傷が開始される。続くステップS4においては渦流探傷信号の取り込みが行われる。次いでステップS5では取り込まれた信号がレベル設定値以下、又はフラットであるかどうかが判断される。ステップS5において肯定判断された場合、すなわち信号がレベル設定値以下、又はフラットである場合には処理はステップS7に進められ、処理のスタートから所定時間が経過されたかどうかが判断される。ステップS7において肯定判断された場合には処理は終了し、この場合には圧延機の運転をそのまま継続することができる。ステップS7において否定判断された場合には処理はステップS4に戻され、引き続き信号の取り込みが行われる。ステップS5において否定判断された場合には警報発生される(ステップS6)。ミルオペレーターはこの警報によりただちに圧延機の運転を停止して、バックアップロールの交換を行う。
【0051】
【実施例】
図1に示す4段熱間圧延機を使用して熱延鋼板の圧延作業を行った。ワークロール及びバックアップロールの使用は表1に示すとおりである。
【0052】
【表1】
【0053】
バックアップロール洗浄ノズルは圧延機出側ガイドに設置し、ガイド挿入時に洗浄ノズルはワークロールとバックアップロールとの接触部に向けて、バックアップロールのロール幅全域を洗浄できるように設定した。洗浄液は水を用いた。渦流探傷センサは圧延機入り側のバックアップロールの胴端から100mmの位置に上下各1個ずつ配置した。ワークロール交換後、洗浄液を噴射させつつ圧延機に圧下をかけ、バックアップロール胴部とワークロール胴部とを接触させた状態で、渦流探傷センサをバックアップロール表面に近接させた。センサ近接装置のコロをバックアップロール表面に接触させ、バックアップロール表面とセンサとの距離を1.0mmに設定した。洗浄液の噴射、及び起動確認時間を約30秒、バックアップロール1.5回転相当とした。
【0054】
上記条件において、バックアップロールがスリップし、その後の使用で傷が発生するのは、硬度差がHsで4以上の場合であり、硬度差が4未満であれば問題ないことが判明した。すなわち硬さの変化における問題発生有無の基準レベルはHs4.0未満である。この硬さ変化に対する渦流探傷信号の基準レベルはS/N比で1.5であり、S/N比1.5未満の場合にはバックアップロールは、そのまま使用継続しても問題ないことが判明した。
【0055】
(実施例1)
洗浄水を圧力1.5MPaにて噴射しながらワークロールを回転起動させ、バックアップロールのスリップの有無を渦流探傷センサにより検査した。その結果図8(b)に示すような波形を得て、バックアップロールのスリップ発生がないことを確認した。
【0056】
(実施例2)
洗浄水を圧力0.7MPaで噴射しながらワークロールを回転起動させ、バックアップロールのスリップの有無を渦流探傷センサにより検査した。その結果図8(c)に示すような波形を得た。この波形はS/N比が基準レベルの1.5未満であり、そのままバックアップロールを継続使用した。その結果問題なく所定の使用期間である20日間を使用することができた。
【0057】
(実施例3)
バックアップロールを洗浄することなくワークロールを回転起動させ、バックアップロールのスリップの有無を渦流探傷センサにより検査した。その結果図8(d)に示すような波形を得た。この波形はS/N比1.8であり、基準レベルS/N比1.5を超えているためバックアップロール交換を実施した。
【0058】
(比較例)
バックアップロールを洗浄することなくワークロールを回転起動させ、バックアップロールのスリップの有無を渦流探傷センサにより検査した。その結果図8(d)に示すような波形を得た。この波形はS/N比1.8であり、基準レベルS/N比1.5を超えていたが、バックアップロール交換を実施せずそのまま使用継続した。圧延開始後、17日目にバックアップロールの胴端から100mm中央寄りの部分に表面剥離現象(スポーリング)が生じた。操業を中断して作業予定に無いバックアップロール交換を行い、取り外したバックアップロールの研磨を実施した。バックアップロールの研磨量は、通常深さ方向に1.5mmであるのに対し、発生した傷を除去するために40mmと大幅に増加した。
【0059】
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う熱間圧延機、ロールスリップ防止方法、及び熱延鋼板の製造方法もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【0060】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、圧延油等が付着してもロール間のスリップを抑制することができ、たとえロール間のスリップが発生した場合でも、その後の圧延作業継続が可能であるか否かをオンラインで客観的に判断することが可能な熱間圧延機、ロールスリップ防止方法、及び熱延鋼板の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱間圧延機のロール周辺の概略を示す図であり、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図2】ワークロール、及びバックアップロールにおいて、圧延油が残りやすいエリアを示す図である。
【図3】洗浄液ノズルを、圧延油噴射ノズルと兼用する場合の配管の一例を示す図である。
【図4】ワークロール交換直後に、ワークロールとバックアップロールとが接触しやすいエリアを示す図である。
【図5】ワークロールが起動回転された時にバックアップロールが回転せず、スリップ状態に陥った場合のバックアップロール組織断面を模式的に示す図である。
【図6】ワークロールが起動回転された時にバックアップロールが回転せず、スリップ状態に陥った場合のバックアップロール表面から深さ方向への硬さの変化を示す図である。
【図7】ロールスリップが発生した場合に関して、バックアップロール硬度差と渦流探傷信号S/N比との関係を示す図である。
【図8】各種探傷波形を示す図である。
【図9】渦流探傷装置の探傷信号がレベル設定値を超える場合に警報を発するまでのフローを示す図である。
【符号の説明】
1a、1b ワークロール
2a、2b バックアップロール
3a、3b 洗浄液噴射ノズル(洗浄手段)
4a、4b 渦流探傷センサ
10 熱間圧延機
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧延潤滑剤を使用し、バックアップロールが非駆動である熱間圧延機、その熱間圧延機におけるロールスリップ防止方法、及び熱延鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
鋼板の冷間圧延機は、一定の板形状を安定的に得るため、上下一対のワークロールのみを備えた2段圧延機として構成されることは少なく、鋼板に直接接して圧下をかけるワークロールと、このワークロールが圧下により板幅方向に撓むのを抑制するバックアップロールとを上下に備えた4段圧延機、またはワークロールとバックアップロールとの間に中間ロールを上下に備えた6段圧延機、または複数の中間ロールと複数のバックアップロールを上下に備えたゼンジマーミル等の多段圧延機(クラスターミル)が用いられている。そして、ワークロールと中間ロールあるいはバックアップロールとは相互に押し付けられ、かつ接触して回転されている。
【0003】
電動機により発生した駆動力は、減速機及びユニバーサルジョイントを介して圧延機の上下ロールに伝達される。通常、鋼板の熱間圧延機においては、一対のワークロールが直接駆動され、バックアップロールまたは中間ロールは駆動電動機を持たずにフリーロールとされ、ワークロールとの摩擦接触により回転されている。
【0004】
このようなロール構成において、圧延を繰り返すと、ワークロール、バックアップロールの摩耗や、ロール表面に傷が発生するので、圧延鋼材の形状の安定、表面性状の品質確保の観点から、ロール交換を行う必要がある。ワークロールとバックアップロールとを比較した場合、ワークロールは鋼板と直接接触するため、摩擦発熱によりロール表面の摩耗が大きくなり、頻繁なロール交換を必要とする。一方、バックアップロールはワークロールに接触して回転されておりワークロールと比較した場合摩耗の度合いは少ない。そして、表面の疲労の度合いによりロール交換の頻度が決定されるため、バックアップロールの交換頻度はワークロール交換頻度に比べ低いものである。
【0005】
ワークロール交換をする場合、圧延機を停止し、バックアップロールはそのままで、使用していたワークロールのみ圧延機から取り外して、あらかじめ研磨されていた新しいワークロールを圧延機に組み込む。
【0006】
圧延機を再起動する場合、圧延機に圧延荷重をかけてバックアップロール、ワークロール(中間ロールがある場合には中間ロールも)の胴部全てを接触させた状態として、ワークロールに駆動をかける。このようにすることによって、ワークロールとバックアップロールとの間の摩擦によりバックアップロールも従動して、回転される。
【0007】
熱間圧延においては、鋼板製品表面のスケール発生防止、圧延荷重低下等の目的で、圧延鋼材各コイルの先端から終端近傍までの圧延の間、ワークロールおよび/またはバックアップロールにエマルション等の圧延潤滑剤(以下において「圧延油」という。)を噴射している。ワークロールに圧延油を噴射する場合は、圧延油はワークロール表面に付着するほか、一部はロール回転によりバックアップロール表面にも転写される。また、バックアップロールに圧延油を噴射する場合は、圧延油はバックアップロールからワークロールに転写される。さらにワークロールに付着した圧延油はワークロールとワークロールに圧下される鋼板表面との間に介在して潤滑皮膜を形成し、製品表面のスケール傷の発生防止や圧延荷重の低下に寄与している。
【0008】
圧延油がバックアップロールやワークロール表面に付着すると、上記したワークロール交換後の起動時に、ワークロールとバックアップロール間のスリップ現象が発生して様々な問題の原因となることがある。例えば、スリップ現象が発生すると、バックアップロール表面に傷がついてワークロール表面に転写され、さらにそれが製品表面に転写されて、製品の表面性状が悪化する。また、バックアップロールのスリップ部が局部的に凹み、製品の板厚変動が発生する。また、バックアップロールに傷があると使用中に傷が進展してバックアップロール表面が剥離し(スポーリング現象)、操業継続ができなくなる。これにより稼働率の低下や、バックアップロール消耗量の増加(ロール原単位の悪化)が発生する。さらにバックアップロールに傷がなくても、使用中にスリップ部から傷が発生し、バックアップロールのスポーリングが発生し、バックアップロール、ワークロールの原単位の悪化、および圧延機の損傷の原因となることがある。
【0009】
上記のようなワークロールとバックアップロール間のスリップ現象に起因する様々な問題の発生を防止し、次コイルの先端部の噛み込みを良好なものとするため、各コイルの終端部では圧延油の噴射を停止して、終端部の圧延鋼材を圧延している。このようにして、ワークロールに付着した圧延油を高温の圧延鋼材に接触させることにより焼き切っている。
【0010】
しかし、通常圧延油の噴射領域は、最も広幅の圧延鋼材に合わせて設定されているため、それより幅の狭い圧延鋼材を圧延した場合には、ワークロールの両端部に圧延油が残りやすいことになる。特にバックアップロールに圧延油を噴射する場合、バックアップロール表面に圧延油が残りやすい。さらにバックアップロールの中央部摩耗により、ワークロールとバックアップロールとの間の摩擦が低くなって、バックアップロールのスリップが発生しやすくなる。また、圧延機に使用されている圧延油以外の潤滑剤、例えば圧延荷重をかけるための油圧装置に使用されている油圧作動液が漏洩飛散してバックアップロールやワークロールに付着することがあり、これによってもワークロールとバックアップロールとの間の摩擦が低くなって、バックアップロールのスリップが発生しやすくなる。
【0011】
特許文献1では、このようなバックアップロールのスリップを検出するため、ワークロールの回転速度を検出するパルス検出手段と、このパルス検出手段で検出されたパルス計数によりロール間のスリップを検出する検出手段とを備えた鋼板圧延機のロールスリップ検出装置が開示されている。
【0012】
また特許文献2においては、ロールの欠陥発生を予測する手法として、物体表面の基準方向に硬度変化率を求めて、既知最大値より大きな変化率を求めて欠陥の発生を予測する方法が開示されている。またその実施例としてオフラインでロール軸方向に硬度変化率を求め、既知最大硬度変化率以下に加工する技術が開示されている。
【0013】
さらに特許文献3においては、探傷時に渦流式探傷センサを退避位置から進出させてスリーブ式圧延ロールの表面に接近させ、渦流式探傷センサとロール表面の間隔を一定に保持した状態で探傷を行い、探傷終了後、渦流式探傷センサを探傷位置から後退させることを特徴とする圧延ロールのクラック探傷方法、及び装置が開示されている。
【特許文献1】
特開平10−29007
【特許文献2】
特開昭52−96590
【特許文献3】
特開平11−183442
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
スリップ発生を防止するため、現場での操業条件を変えて対応することが考えられる。例えば、圧延油の濃度を低下する方法が考えられるが、このようにした場合、圧延鋼材表面のスケール傷発生防止が不十分となり、昨今の高い製品品質要求に応えることが困難であるという問題があった。また、圧延鋼材の板幅に合わせて、圧延油の噴射幅をその都度変えるということも考えられるが、このようにすると設備が複雑、高価になり、保守も困難になるという問題もあった。さらに、バックアップロールに付着する圧延油を残らず焼き切るためにワークロール替え直前に広幅材を圧延し、圧延鋼材終端部への圧延油の噴射を早めに停止すると、製品の平坦性が悪く通板性が悪化したり、製品終端部の表面品質が悪化したりするという問題もあった。また、スリップが発生してもそれが軽度であれば必ずしもバックアップロールの交換を必要とはしないが、その判断はオペレーターの経験と勘に頼る面があり、過度に反応すればミルの稼働率を低下させ、逆に軽度に判断するとバックアップロールのスポーリングを招いてしまうという問題もあった。
【0015】
一方、特許文献1に開示された技術では、バックアップロールのスリップを客観的に検出することが可能であるが、圧延油の付着による摩擦低下や、スリップが発生した場合、そのまま使用継続して良いかどうかの判断には言及がない。また特許文献2及び3に開示された技術も圧延油付着の対応策についての言及がなく、また特に特許文献2では欠陥発生予測の手法はオフラインを前提としている。
【0016】
そこで、本発明は、圧延油等が付着してもロール間のスリップを抑制することができ、たとえロール間のスリップが発生した場合でも、その後の圧延作業継続が可能であるか否かをオンラインで客観的に判断することが可能な熱間圧延機、ロールスリップ防止方法、及び熱延鋼板の製造方法を提供することを課題とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0018】
請求項1の発明は、圧延潤滑剤供給手段と、非駆動バックアップロール(2a、2b)と、バックアップロールに付着する圧延潤滑剤を洗浄するための洗浄手段(3a、3b)とを備えた熱間圧延機(10)により前記課題を解決するものである。
【0019】
また、請求項2の発明は、圧延潤滑剤を使用するとともに非駆動バックアップロール(2a、2b)を具備する熱間圧延機(10)において、ワークロール(1a、1b)交換直前の圧延終了時、又はワークロール交換直後の起動時にワークロールを駆動しつつバックアップロールを洗浄するロールスリップの防止方法により前記課題を解決するものである。
【0020】
さらに請求項3の発明は、圧延潤滑剤を使用するとともに非駆動バックアップロール(2a、2b)を具備する熱間圧延機(10)を使用して、ワークロール(1a、1b)交換直前の圧延終了時、又はワークロール交換直後の起動時にワークロールを駆動しつつバックアップロールの洗浄を行い、その後に次コイルの圧延を行う熱延鋼板の製造方法により前記課題を解決するものである。
【0021】
請求項4の発明は、圧延潤滑剤供給手段と、非駆動バックアップロール(2a、2b)と、バックアップロール胴部の少なくとも一箇所に設けられた渦流探傷センサ(4a、4b)と、センサからの入力を所定の探傷信号と比較して圧延作業継続の可否を判断する作業継続可否判断手段とを具備し、作業継続可否判断手段はワークロール(1a、1b)交換直後の起動時から所定期間内にセンサからの入力を受けて判断を行うことを特徴とする熱間圧延機(10)を提供するものである。
【0022】
また、請求項5の発明は、圧延潤滑剤を使用するとともに非駆動バックアップロール(2a、2b)を具備し、バックアップロール胴部の少なくとも一箇所には渦流探傷センサ(4a、4b)を備えた熱間圧延機(10)において、ワークロール(1a、1b)交換直後の起動時から所定期間内にセンサからの入力を所定の探傷信号と比較して、ロールスリップの有無を判断する工程を含むロールスリップの防止方法を提供するものである。
【0023】
さらに、請求項6の発明は、圧延潤滑剤を使用するとともに非駆動バックアップロール(2a、2b)を具備し、バックアップロール胴部の少なくとも一箇所には渦流探傷センサ(4a、4b)を備えた熱間圧延機(10)を使用して、ワークロール(1a、1b)交換直後の起動時から所定期間内にセンサからの入力を所定の探傷信号と比較して圧延作業継続の可否を判断し、その判断結果に基づいて圧延作業を中断し、又はさらに圧延を継続する熱延鋼板の製造方法を提供するものである。
【0024】
請求項7の発明は、圧延潤滑剤供給手段と、非駆動バックアップロール(2a、2b)と、バックアップロールに付着する圧延潤滑剤を洗浄するための洗浄手段(3a、3b)と、バックアップロール胴部の少なくとも一箇所に設けられた渦流探傷センサ(4a、4b)と、センサからの入力を所定の探傷信号と比較して圧延作業継続の可否を判断する作業継続可否判断手段とを具備し、作業継続可否判断手段はワークロール交換直後の起動時から所定期間内にセンサからの入力を受けて判断を行うことを特徴とする熱間圧延機10を提供して前記課題を解決するものである。
【0025】
また、請求項8の発明は、圧延潤滑剤を使用するとともに非駆動バックアップロール(2a、2b)を具備し、バックアップロール胴部の少なくとも一箇所には渦流探傷センサ(4a、4b)を備えた熱間圧延機(10)において、ワークロール(1a、1b)交換直前の圧延終了時、又はワークロール交換直後の起動時にワークロールを駆動しつつバックアップロールの洗浄を行う工程と、起動時から所定期間内にセンサからの入力を所定の探傷信号と比較して、ロールスリップの有無を判断する工程とを含むことを特徴とするロールスリップの防止方法を提供して前記課題を解決するものである。
【0026】
さらに請求項9の発明は、圧延潤滑剤を使用するとともに非駆動バックアップロール(2a、2b)を具備し、バックアップロール胴部の少なくとも一箇所には渦流探傷センサ(4a、4b)を備えた熱間圧延機(10)を使用して、ワークロール(1a、1b)交換直前の圧延終了時、又はワークロール交換直後の起動時にワークロールを駆動しつつバックアップロールの洗浄を行うとともに、起動時から所定期間内にセンサからの入力を所定の探傷信号と比較して圧延作業継続の可否を判断し、その判断結果に基づいて圧延作業を中断し、又はさらに圧延を継続する熱延鋼板の製造方法を提供して前記課題を解決するものである。
【0027】
非駆動バックアップロールを備える熱間圧延機において、圧延潤滑剤が使用されると、ワークロール交換直後の起動時にバックアップロールがスリップする可能性がある。バックアップロールがスリップすると上記した製品表面性状の悪化、バックアップロールそのものへの傷の発生等多くの問題が発生するので、スリップを未然に防止することが望ましい。またスリップが現に発生している場合には直ちにミルの運転を停止する必要がある。また、既にスリップが発生している場合には、バックアップロールをそのまま使用することができるかどうかを判断する必要がある。
【0028】
請求項1〜3及び7〜9の発明においては、前コイルの圧延時に使用された圧延潤滑剤がバックアップロール表面に残っていても、洗浄手段により洗浄除去することが可能であるので、スリップの発生を未然に防止することが可能である。前記洗浄は、ワークロールの交換直前の前コイル圧延終了時、またはワークロール交換直後の起動時に、ワークロールに駆動をかけつつバックアップロールを従動させながら行われる。この洗浄タイミングは圧延開始直後の圧延鋼材が圧延機を通過していないときでもよい。これによって、コイルの全長に亘って圧延潤滑剤を使用することが可能となる。また圧延潤滑剤として潤滑性の高い高濃度のものを使用することが可能となる。これらによってコイルの全長に亘って良質な表面性状を備えた製品を製造することが可能となる。また、圧延荷重を低下して省エネルギーを図ることが可能となる。
【0029】
洗浄手段に使用される洗浄液は請求項10〜12の発明のように、噴射圧力0.7MPa以上の水を使用しても良い。さらに上記噴射圧力は3MPa以上であることが好ましい。また、水に代えて温水を使用しても良く、さらに請求項13〜15の発明のようにアルカリ洗浄液、または中性洗浄液を使用しても良い。バックアップロール表面に付着する圧延潤滑剤には、潤滑性向上のために各種の油性剤や極圧添加材が含まれており、これらがバックアップロール表面の金属に、化学吸着、または物理吸着している。洗浄液の種類や噴射の圧力を上記のように選定することにより、バックアップロール表面から圧延潤滑剤の大半を除去することが容易となる。
【0030】
請求項4〜9の発明においては、バックアップロール胴部に備えられた渦流探傷センサを利用してオンラインで圧延作業継続の可否を判断することができる。渦流式探傷センサは、測定対象(金属体)が検出コイルに接近したときに起きるコイルのインピーダンス変化を利用して微小変位を非接触で測定するセンサであり、精度の良い測定が可能で耐環境性が良いなどの特長を有する。
【0031】
この渦流探傷センサによって、ワークロール交換直後の起動時にスリップが起きているかどうかを感知することが可能であり、スリップが発生している場合には直ちに圧延機の運転を停止して、スリップにより発生するバックアップロール傷の発生を未然に防止することが可能となる。またスリップを直ちに感知するのでバックアップロールにスポーリングが発生するのを未然に防止することができる。
【0032】
また既に発生したスリップにより、製品表面性状に影響を与える傷がバックアップロールにある場合に、それが許容できる範囲内にあるかどうかをオペレーターの経験や勘に頼ることなくオンラインで客観的に判断することが可能となる。したがってロール傷が許容範囲外である場合、直ちにミルの運転を停止してバックアップロールの交換をすることが可能となり、ロール傷があるのに気付かずに圧延を続行して表面傷のある不良品の大量に製造してしまうことを未然に防ぐことが容易となる。また、バックアップロールの傷が進行するのを防止することができる。またロール傷が許容範囲内である場合、不必要なバックアップロール交換作業を回避でき、ミル稼働率の低下を防止することが容易となる。
【0033】
本発明のこのような作用及び利得は、次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【0034】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明にかかる熱間圧延機のロール周辺の概略を示す図であり、(a)は側面図、(b)は正面図である。熱間圧延機10は、一対のワークロール1a、1bと、ワークロール1a、1bを挟むように上下に配置された一対のバックアップロール2a、2bとを備える4段圧延機として構成されている。図1(a)において、圧延鋼材は図の左から右方向へと走行され、その方向が矢印Dにより示されている。
【0035】
<1> 圧延油の洗浄
熱間圧延機10の出側には、洗浄ノズル3a1〜3a4、3b1〜3b4がバックアップロール2a、2bに向けて設けられている。これらの洗浄ノズルは、図1(b)に示されるように、上下一対の組として、板幅方向に4組配列されており、これら洗浄ノズルに洗浄液を供給する配管は不図示の圧延機ハウジングに取り付けられている。これらの洗浄ノズル3a1〜3a4、3b1〜3b4はその先端から洗浄液を噴射して、バックアップロール表面に付着する圧延油を洗い流し去る目的を持って設けられているものである。したがって、洗浄ノズルの配置は圧延油の付着位置に設ければ良く、圧延油の付着位置が限定されている場合にはその位置に対応して限定して設けても良い。
【0036】
以下に図2を参照しつつ、通常の場合に圧延油が付着する位置について説明する。図2には熱間圧延機10の下側のワークロール1bとバックアップロール2bとが示されている。圧延油はそのときに圧延される圧延鋼材の板幅に合わせてワークロール1bに噴射される。一方圧延によりワークロール1bは摩耗するため、圧延の進行に伴い次第に狭い幅のコイルを圧延するよう作業スケジュールが組まれる。そのため、ワークロール1bの交換直前のコイル幅は、そのワークロール1bにより圧延される複数のコイルの中で最小である。したがって交換直前のワークロール1bの表面には、図2で符号A、Bで示される両端のエリアに圧延油が残り、ワークロール1bに接触回転するバックアップロール2bの表面A´、B´のエリアにも圧延油が残留する。
【0037】
洗浄ノズルは圧延油の噴射ノズルを兼ねるものであっても良い。この場合には図3に示すように、圧延油貯油タンク31と洗浄液タンク32とを別途設ける一方、供給配管33、34a、34bからノズル3a、3bまでを共用し、各タンク31、32から供給配管33への配管35、36に切り替え弁37、38を設けて、圧延油、洗浄液それぞれの供給を切り替えるようにしてもよい。
【0038】
洗浄液は、バックアップロール表面に付着する圧延油を除去できるものであればどのようなものでも使用可能である。例えばアルカリ洗浄液、中性洗浄液、温水、冷水等使用することができる。洗浄液の噴射圧力は高圧であるほど洗浄力に優れるので、0.7MPa以上であることが望ましく、3.0MPa以上であることがさらに好ましい。
【0039】
洗浄液を使用する時期は、ワークロール交換直前の圧延終了時であっても良く、またワークロール交換後のミル起動時であっても良い。又は、圧延開始直後の圧延鋼材が圧延機を通過していないときでもよい。いずれの場合にも、ワークロールに駆動をかけ、それによってバックアップロールを従動させつつ洗浄を行うと良い。
【0040】
<2> 渦流探傷センサ
図1に示されているように、熱間圧延機10の入り側には、一対の渦流探傷センサ4a、4bがバックアップロール2a、2bに向けて設けられている。この渦流探傷センサを設置すべき位置について図4を参照しつつ説明する。図4には熱間圧延機10の下側のワークロール1bとバックアップロール2bとが示されている。ワークロール1bは圧延中に圧延鋼材と接触することにより、胴部中央の温度が上昇してロール径が増加するため、バックアップロール2b中央部Cの摩耗量が大きくなる。バックアップロール2bの両端部E1、E2は、面圧を軽減するためロール研磨時にいわゆるチャンファ加工してロール径が僅かに小さくされている。したがってワークロール交換直後は、バックアップロールの胴部端面から少し中央寄りに入ったところ(図4で符号D1、D2で示されるハッチングが付された部分)がワークロールとの接触を主に受ける箇所となる。ロール表面の損傷は基本的には左右対称に発生するものと考えられるので、渦流探傷センサは、D1、またはD2のいずれかの部分を感知するように配置すれば良く、図1においては、図4のD1に相当する部分の上下バックアップロール2a、2bにそれぞれ渦流探傷センサ4a、4bが設けられている。
【0041】
ワークロール交換作業からミルの再起動時までは、渦流探傷センサ4a、4bは退避しており、ミル起動時にバックアップロール2a、2b表面近傍に所定距離を保って接近する。所定距離を保つ方法は公知の技術で良く、例えば特許文献3に開示されているコロを用いる方法によって所定距離を保つことができる。
【0042】
渦流探傷センサ4a、4bにより上下バックアップロール2a、2bを探傷する時間、すなわち渦流探傷センサ4a、4bの近接時間は、例えば、上下バックアップロール2a、2bの1〜3回転相当(ワークロール起動速度、ワークロール径、バックアップロール径などにより異なるが、時間としては1〜60秒間ぐらい)でロール間のスリップが発生しているかどうかを判断することが可能である。探傷の後は渦流探傷センサ4a、4bを退避させる。以上の操作により上下バックアップロール2a、2bのスリップを確認することができ、渦流探傷センサ4a、4b、探傷センサ接近退避装置等の健全性を保ち装置寿命を長くすることができる。
【0043】
(2−1)使用可否レベル基準の設定法
ワークロールが起動回転された時にバックアップロールが回転せず、スリップ状態に陥った場合のバックアップロール組織断面を図5に模式的に示す。またそのときのロール表面から深さ方向への硬さの変化を図6に示す。バックアップロール表面の基地金属組織(図5の符号F、図6の符号Tで表される部分に相当)は所定の熱処理を受けて、所定の硬さにされている。スリップが発生すると、バックアップロールは停止状態でワークロール回転により摩擦されることにより発生する摩擦熱を受ける。
【0044】
ロール表面温度が、焼戻し温度以上から焼入れ温度未満に上昇するとロール表面の金属組織は焼戻しを受け、硬さが低下する。一方ロール表面温度が焼入れ温度以上に昇温されると周囲から冷却を受けて焼入れ組織(図5の符号H、図6の符号Rで表される部分に相当)となり、硬さは上昇する。また焼入れ組織の下部及び周囲は焼戻し組織(図5の符号G、図6の符号Sで表される部分に相当)が生成される。
【0045】
図7は、バックアップロールの基地の表面硬さと、スリップを受けたバックアップロールの表面硬さとの差(以下において「硬度差」という。)と渦流探傷信号S/N比との関係を示す図である。スリップを受けたバックアップロールを使用して調査した結果、その後スリップ部に傷が発生するのはスリップにより硬度差が基準レベル以上(図7において符号Vで示される範囲)の場合であり、この硬度差が基準より低い(図7において符号Uで示される範囲)と傷が発生しないことが判明した。また硬さレベルと渦流探傷信号S/N比との間に相関があり、渦流探傷信号の波形によって、バックアップロールの継続使用可否を判断できることが判明した。すなわち図7において、符号Xで示される範囲のS/N比であればバックアップロールの使用継続可能であるが、符号Yで示される範囲のS/N比となるとバックアップロールの交換を必要とする。
【0046】
(2−2)操業における基準の運用
ワークロール交換後起動直後の渦流探傷波形(信号)の例を図8に示す。ワークロールを回転起動するもバックアップロールは回転せず、完全にスリップしている場合(a)に示されるような一定値を示す波形が現れる。この場合には直ちに圧延機の運転を停止して、ワークロールとバックアップロールとの摩擦を上げた後に再起動する必要がある。
【0047】
(b)は、バックアップロールが正常に回転されている状態で、ロール表面の微小な凹凸により渦流探傷信号はノイズ状に現れる。このような波形が現れている場合にはバックアップロールの継続使用が可能である。
【0048】
(c)、および(d)は、バックアップロールは回転されているがすでにスリップが起きている場合に現れる波形である。(c)は、スリップ信号のS/N比が上記した基準未満であり、バックアップロールは継続して使用可能である。一方(d)は、スリップ信号のS/N比が基準レベルを超えており、その後の圧延に耐えることができないのでバックアップロールの交換が必要である。
【0049】
以上の判断は、モニタ等に表示される波形を作業者が目視にて監視して行うことも可能であるが、あらかじめ基準レベル設定値等をプログラムに織り込んだ電算機により、オンラインで処理することが望ましい。信号を取り込んで基準レベル設定値との比較を行い、所定の場合には警報等を発する判断手段は、特許文献3に開示されている構成等、公知の構成を利用することにより例えば以下に説明するように実現することができる。
【0050】
図9は、渦流探傷装置を利用して、その探傷信号がレベル設定値を超える場合に警報を発するまでのフローを示す図である。まずステップS1においては、センサをバックアップロール表面に近接させる。ステップS2においては、センサとワークロール表面との間の距離が所定値となったかどうかが判断される。ステップS2において否定判断された場合、処理はステップS1に戻される。ステップS2において肯定判断された場合は、処理は引き続きステップS3に進められ、渦流探傷が開始される。続くステップS4においては渦流探傷信号の取り込みが行われる。次いでステップS5では取り込まれた信号がレベル設定値以下、又はフラットであるかどうかが判断される。ステップS5において肯定判断された場合、すなわち信号がレベル設定値以下、又はフラットである場合には処理はステップS7に進められ、処理のスタートから所定時間が経過されたかどうかが判断される。ステップS7において肯定判断された場合には処理は終了し、この場合には圧延機の運転をそのまま継続することができる。ステップS7において否定判断された場合には処理はステップS4に戻され、引き続き信号の取り込みが行われる。ステップS5において否定判断された場合には警報発生される(ステップS6)。ミルオペレーターはこの警報によりただちに圧延機の運転を停止して、バックアップロールの交換を行う。
【0051】
【実施例】
図1に示す4段熱間圧延機を使用して熱延鋼板の圧延作業を行った。ワークロール及びバックアップロールの使用は表1に示すとおりである。
【0052】
【表1】
【0053】
バックアップロール洗浄ノズルは圧延機出側ガイドに設置し、ガイド挿入時に洗浄ノズルはワークロールとバックアップロールとの接触部に向けて、バックアップロールのロール幅全域を洗浄できるように設定した。洗浄液は水を用いた。渦流探傷センサは圧延機入り側のバックアップロールの胴端から100mmの位置に上下各1個ずつ配置した。ワークロール交換後、洗浄液を噴射させつつ圧延機に圧下をかけ、バックアップロール胴部とワークロール胴部とを接触させた状態で、渦流探傷センサをバックアップロール表面に近接させた。センサ近接装置のコロをバックアップロール表面に接触させ、バックアップロール表面とセンサとの距離を1.0mmに設定した。洗浄液の噴射、及び起動確認時間を約30秒、バックアップロール1.5回転相当とした。
【0054】
上記条件において、バックアップロールがスリップし、その後の使用で傷が発生するのは、硬度差がHsで4以上の場合であり、硬度差が4未満であれば問題ないことが判明した。すなわち硬さの変化における問題発生有無の基準レベルはHs4.0未満である。この硬さ変化に対する渦流探傷信号の基準レベルはS/N比で1.5であり、S/N比1.5未満の場合にはバックアップロールは、そのまま使用継続しても問題ないことが判明した。
【0055】
(実施例1)
洗浄水を圧力1.5MPaにて噴射しながらワークロールを回転起動させ、バックアップロールのスリップの有無を渦流探傷センサにより検査した。その結果図8(b)に示すような波形を得て、バックアップロールのスリップ発生がないことを確認した。
【0056】
(実施例2)
洗浄水を圧力0.7MPaで噴射しながらワークロールを回転起動させ、バックアップロールのスリップの有無を渦流探傷センサにより検査した。その結果図8(c)に示すような波形を得た。この波形はS/N比が基準レベルの1.5未満であり、そのままバックアップロールを継続使用した。その結果問題なく所定の使用期間である20日間を使用することができた。
【0057】
(実施例3)
バックアップロールを洗浄することなくワークロールを回転起動させ、バックアップロールのスリップの有無を渦流探傷センサにより検査した。その結果図8(d)に示すような波形を得た。この波形はS/N比1.8であり、基準レベルS/N比1.5を超えているためバックアップロール交換を実施した。
【0058】
(比較例)
バックアップロールを洗浄することなくワークロールを回転起動させ、バックアップロールのスリップの有無を渦流探傷センサにより検査した。その結果図8(d)に示すような波形を得た。この波形はS/N比1.8であり、基準レベルS/N比1.5を超えていたが、バックアップロール交換を実施せずそのまま使用継続した。圧延開始後、17日目にバックアップロールの胴端から100mm中央寄りの部分に表面剥離現象(スポーリング)が生じた。操業を中断して作業予定に無いバックアップロール交換を行い、取り外したバックアップロールの研磨を実施した。バックアップロールの研磨量は、通常深さ方向に1.5mmであるのに対し、発生した傷を除去するために40mmと大幅に増加した。
【0059】
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う熱間圧延機、ロールスリップ防止方法、及び熱延鋼板の製造方法もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【0060】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、圧延油等が付着してもロール間のスリップを抑制することができ、たとえロール間のスリップが発生した場合でも、その後の圧延作業継続が可能であるか否かをオンラインで客観的に判断することが可能な熱間圧延機、ロールスリップ防止方法、及び熱延鋼板の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱間圧延機のロール周辺の概略を示す図であり、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図2】ワークロール、及びバックアップロールにおいて、圧延油が残りやすいエリアを示す図である。
【図3】洗浄液ノズルを、圧延油噴射ノズルと兼用する場合の配管の一例を示す図である。
【図4】ワークロール交換直後に、ワークロールとバックアップロールとが接触しやすいエリアを示す図である。
【図5】ワークロールが起動回転された時にバックアップロールが回転せず、スリップ状態に陥った場合のバックアップロール組織断面を模式的に示す図である。
【図6】ワークロールが起動回転された時にバックアップロールが回転せず、スリップ状態に陥った場合のバックアップロール表面から深さ方向への硬さの変化を示す図である。
【図7】ロールスリップが発生した場合に関して、バックアップロール硬度差と渦流探傷信号S/N比との関係を示す図である。
【図8】各種探傷波形を示す図である。
【図9】渦流探傷装置の探傷信号がレベル設定値を超える場合に警報を発するまでのフローを示す図である。
【符号の説明】
1a、1b ワークロール
2a、2b バックアップロール
3a、3b 洗浄液噴射ノズル(洗浄手段)
4a、4b 渦流探傷センサ
10 熱間圧延機
Claims (15)
- 圧延潤滑剤供給手段と、非駆動バックアップロールと、前記バックアップロールに付着する前記圧延潤滑剤を洗浄するための洗浄手段とを備えた熱間圧延機。
- 圧延潤滑剤を使用するとともに非駆動バックアップロールを具備する熱間圧延機において、ワークロール交換直前の圧延終了時、又は前記ワークロール交換直後の起動時に、前記ワークロールを駆動しつつ前記バックアップロールを洗浄するロールスリップの防止方法。
- 圧延潤滑剤を使用するとともに非駆動バックアップロールを具備する熱間圧延機を使用して、ワークロール交換直前の圧延終了時、又は前記ワークロール交換直後の起動時に、前記ワークロールを駆動しつつ前記バックアップロールの洗浄を行い、その後に次コイルの圧延を行う熱延鋼板の製造方法。
- 圧延潤滑剤供給手段と、
非駆動バックアップロールと、
該バックアップロール胴部の少なくとも一箇所に設けられた渦流探傷センサと、
該センサからの入力を所定の探傷信号と比較して圧延作業継続の可否を判断する作業継続可否判断手段と、を具備し、
前記作業継続可否判断手段は、ワークロール交換直後の起動時から所定期間内に前記センサからの入力を受けて前記判断を行うことを特徴とする熱間圧延機。 - 圧延潤滑剤を使用するとともに非駆動バックアップロールを具備し、該バックアップロール胴部の少なくとも一箇所には渦流探傷センサを備えた熱間圧延機において、ワークロール交換直後の起動時から所定期間内に前記センサからの入力を所定の探傷信号と比較して、ロールスリップの有無を判断する工程を含む、ロールスリップの防止方法。
- 圧延潤滑剤を使用するとともに非駆動バックアップロールを具備し、該バックアップロール胴部の少なくとも一箇所には渦流探傷センサを備えた熱間圧延機を使用して、ワークロール交換直後の起動時から所定期間内に、前記センサからの入力を所定の探傷信号と比較して、圧延作業継続の可否を判断し、その判断結果に基づいて、圧延作業を中断し、又はさらに圧延を継続する熱延鋼板の製造方法。
- 圧延潤滑剤供給手段と、
非駆動バックアップロールと、
前記バックアップロールに付着する前記圧延潤滑剤を洗浄するための洗浄手段と、
該バックアップロール胴部の少なくとも一箇所に設けられた渦流探傷センサと、
該センサからの入力を所定の探傷信号と比較して圧延作業継続の可否を判断する作業継続可否判断手段と、を具備し、
前記作業継続可否判断手段は、ワークロール交換直後の起動時から所定期間内に前記センサからの入力を受けて前記判断を行うことを特徴とする熱間圧延機。 - 圧延潤滑剤を使用するとともに非駆動バックアップロールを具備し、該バックアップロール胴部の少なくとも一箇所には渦流探傷センサを備えた熱間圧延機において、
ワークロール交換直前の圧延終了時、又は前記ワークロール交換直後の起動時に、前記ワークロールを駆動しつつ前記バックアップロールの洗浄を行う工程と、
前記起動時から所定期間内に前記センサからの入力を所定の探傷信号と比較して、ロールスリップの有無を判断する工程と、を含むことを特徴とするロールスリップの防止方法。 - 圧延潤滑剤を使用するとともに非駆動バックアップロールを具備し、該バックアップロール胴部の少なくとも一箇所には渦流探傷センサを備えた熱間圧延機を使用して、ワークロール交換直前の圧延終了時、又は前記ワークロール交換直後の起動時に、前記ワークロールを駆動しつつ前記バックアップロールの洗浄を行うとともに、前記起動時から所定期間内に、前記センサからの入力を所定の探傷信号と比較して、圧延作業継続の可否を判断し、その判断結果に基づいて、圧延作業を中断し、又はさらに圧延を継続する熱延鋼板の製造方法。
- 前記洗浄手段は、水を使用し、その洗浄水噴射圧力は0.7MPa以上である請求項1または7に記載の熱間圧延機。
- 前記洗浄は、水を使用する洗浄であり、その洗浄水噴射圧力は0.7MPa以上である請求項2または8に記載のロールスリップの防止方法。
- 前記洗浄は、水を使用する洗浄であり、その洗浄水噴射圧力は0.7MPa以上である請求項3または9に記載の熱延鋼板の製造方法。
- 前記洗浄手段は洗浄液としてアルカリ洗浄液、又は中性洗浄液を使用する請求項1または7に記載の熱間圧延機。
- 前記洗浄は洗浄液としてアルカリ洗浄液、又は中性洗浄液を使用する洗浄である請求項2または8に記載のロールスリップの防止方法。
- 前記洗浄は洗浄液としてアルカリ洗浄液、又は中性洗浄液を使用する洗浄である請求項3または9に記載の熱延鋼板の製造方法。
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JP2002359634A JP2004188458A (ja) | 2002-12-11 | 2002-12-11 | 熱間圧延機、ロールスリップ防止方法、及び熱延鋼板の製造方法 |
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JP2002359634A Pending JP2004188458A (ja) | 2002-12-11 | 2002-12-11 | 熱間圧延機、ロールスリップ防止方法、及び熱延鋼板の製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN114226310A (zh) * | 2021-11-23 | 2022-03-25 | 徐家兴 | 一种数控开平剪板一体机 |
CN114453427A (zh) * | 2022-01-06 | 2022-05-10 | 首钢京唐钢铁联合有限责任公司 | 一种平辊可逆板带轧机控制方法、装置及计算机设备 |
WO2022106356A1 (de) * | 2020-11-17 | 2022-05-27 | Harburg-Freudenberger Maschinenbau Gmbh | Walzenanlage, verwendung einer benetzungsvorrichtung und verfahren zum betrieb einer walzenanlage |
-
2002
- 2002-12-11 JP JP2002359634A patent/JP2004188458A/ja active Pending
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CN114453427B (zh) * | 2022-01-06 | 2024-02-09 | 首钢京唐钢铁联合有限责任公司 | 一种平辊可逆板带轧机控制方法、装置及计算机设备 |
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