JP2004188186A - 服薬記録器および服薬記録システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 簡単な構造で、できるだけ多くの仕様のPTPシートにも対応できる小型化された服薬記録器を提供し、治験コストの増加を招くことなくコンプライアンスの確認を容易に行う。
【解決手段】 PTPシート2を収納し薬を取り出すための開閉蓋40を備えた収納ケース1と、収納ケース1内に備えられPTPシート2から手指により押し出された薬が収納ケース1の所定位置から落下したことを検知するピエゾフィルムセンサからなる検知センサ7と、時間を計測する計測部3と、前記計測部3によって計測された時間と検知センサ7が検知した薬の落下と前記開閉蓋40の開閉とを関連付けて記憶するメモリ部5とを備える。
【選択図】 図3


Description

本発明は服薬記録器および服薬記録システムに関する。具体的には、患者や被験者が服薬のために薬を取り出した時刻を記録しておく服薬記録器および服薬記録システムに関する。
治験薬の有効性、安全性を評価する臨床試験(治験)は、あらかじめ厳密に定められたプロトコール(服薬方法)に従って正しく被験者(患者)が服用することを前提として進められる。それゆえ、臨床試験の信頼性は、その服用遵守(コンプライアンス)が確認できるかどうかによって左右される。すなわち、服用量、服用時間等決められたプロトコールが守られてこそ、臨床試験結果を正しく評価できる。
ところが、臨床試験の中でも第2相および第3相の臨床試験においては、被験者が各自自宅等に持ち帰り日常生活の中で服薬するので、服薬記録を忘れることが往々にして発生し、コンプライアンスの確認そのものが出来なくなることがあった。これでは、得られたデータの信頼性を欠くことになる。そこで、コンプライアンスの確認を容易にするため、服薬したことを記録する服薬記録器の使用が望まれる。
このような機能を有するものとして、例えば、特開昭59−156350号公報(特許文献1)や特開平2−164367号公報(特許文献2)、特開平6−269488号公報(特許文献3)、特開2001−101144号公報(特許文献4)に開示された服薬記録器が挙げられる。
これらの服薬記録器は、薬を収容した容器が開けられた時刻や閉じられた時刻を記録し、当該記録された時刻を後日出力することによって、患者等の服用状態を管理する。
また、特開2001−206463号公報(特許文献5)には、複数の薬を収納する薬ケースと、薬ケースに収容されている薬を薬ケース外に取り出す薬取出機構と、該薬取出機構にて薬が取り出される日時に関する情報を計時手段にて計測した時間に基づいて記録する取出記録手段とを備えた服薬記録器が開示されている。
この服薬記録器では、服薬時刻になれば患者は薬ケースの押しボタンを押しさえすれば、薬を取り出せ、それと同時にその時刻が記録される。また、複数個服用する場合には、複数回押しボタンを押せば、その回数が記録されるため服用個数も記録される。そして記録された情報を取り出すことにより、指示されたとおり服用されたか否かを確実に把握できる。
さらに、特表平4−503344号公報(特許文献6参照)には、容器内に谷型トレイを配置して、ブリスターパック(PTPシート)から押し出された薬を前記谷型トレイ上に受けた後、この谷型トレイの端部に設けられた通過口を通過した薬を、赤外線センサにて検知する記録装置が開示されている。
また、非特許文献1には、PTP(Press Through Package)シートをそのまま載置したケースに、個々の錠剤ごとに対応させて薬取出機構を備えた服薬記録器が開示されている。
特開昭59−156350号公報(第2頁、第1図) 特開平2−164367号公報(第3−6頁、第1図および第2図) 特開平6−269488号公報(第3−4頁) 特開2001−101144号公報(第4頁、第8図) 特開2001−206463号公報(第3−12頁) 特表平4−503344号公報(第1図、第9図) 山田 浩、中島光好、「服薬コンプライアンス測定のための新しい服薬記録器の開発」、臨床薬理、2001年9月30日、第32巻、第5号、p.249-253
しかし、日本の治験において使用される薬(内服薬)は、そのほとんどが錠剤やカプセル状のものであり、しかもいわゆるPTP包装されたものである。ところが、特許文献1〜4に記載されたものでは、瓶やケース(容器)に錠剤やカプセルをバラ詰めして使用するものである。このため、容器内の薬を使い切った場合には新たに錠剤を詰め直す必要があり、医療機関の負担が増加する。また、上市されているPTPシートをそのまま適用することができなかった。しかも、容器は自由に開け閉めできる構造であるので、被験者が自由に薬を入れ替えることができ、治験用としてはふさわしくない。
一方、特許文献5に記載された服薬記録器では、PTPシートを個々の錠剤ごとに切り離して収納ケースに収納している。したがって、個々の錠剤ごとにPTPシートを切り離して所定の配置をしなければならず、非常に手間が掛かる。また、PTPシートから薬を取り出すための押しボタン(薬取出機構)と連動して服薬記録を行うために、薬取出機構は必須の機構であり、構造が複雑なものとなっている。そして、収納した後の収納ケースは、被験者が容易に開けることができる構造である。
特許文献6に記載された服薬記録器では、発光器および受光器を必要とする赤外線センサを利用しているために小型化を図ることができず、携行の必要性から赤外線センサは当該服薬記録器の検知センサには非常に不向きなものであった。また、服薬記録器は、一度のセットで長期間の記録を行えるのが好ましいが、赤外線センサの消費電力は大きく、長期間の使用を可能にするには非常に困難であった。さらに、谷型トレイの底面が傾斜しているので、押し出し面を水平に維持すべく使用するPTPシートを特殊な形状に作製する必要があり、上市されているPTPシートをそのまま使用することが出来なかった。まして、PTPシートの交換に関しては何ら対策が施されたものではない。
さらに、非特許文献1に記載された服薬記録器ではPTPシートをそのまま利用することができるが、PTPシートの仕様は、治験薬メーカ各社各様である。例えば、錠剤が7個並んだ列が2列配置された14個包装のPTPシートや、7個並んだ列が3列配置された21個包装のPTPシートなどがある。また、錠剤の大きさが異なり、それと共にPTPシートの大きさも異なる。このため、PTPシートに合わせて薬取出機構の配置を調整する必要がある。また、そうでなければ、薬取出機構の配置に合わせて錠剤の配置やPTPシートの大きさを調整する必要に迫られる。そして、何よりも機械的な薬取出機構を用いているので、装置の小型化は困難である。
なお、特許文献6や非特許文献1に開示された服薬記録器は、個々の薬ごとに対応してその取り出しを記録できる機構を備えているが、1枚のPTPシートには同一種の薬が包装された場合がほとんどであり、どの箇所の薬が取り出されたかを記録する必要はほとんどない。
このように、従来の服薬記録器はいずれもPTP包装された治験薬のコンプライアンスを確認するには十分なものではなく、不必要な機構を用いているために記録器を複雑かつ大型化している。また、汎用性に欠けるため、引いては、PTPシートの仕様変更や服薬記録器の仕様変更などに迫られ、治験コストの増加につながっていた。
本発明は上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、簡単な構造で、できるだけ多くの仕様のPTPシートに対応できる小型化された服薬記録器を提供し、治験コストの増加を招くことなくコンプライアンスの確認を容易に行うことにある。
本発明の服薬記録器は、PTPシートを収納する収納ケースと、PTPシートから手指により押し出された薬が収納ケースの所定位置から落下したことを検知するピエゾフィルムセンサを備えた検出部と、時間を計測する計測手段と、前記計測手段によって計測された時間と前記検出部が検知した薬の落下を関連付けて記憶するメモリ部とを備えたことを特徴としている。
また、本発明においては、前記収納ケースに、開閉蓋を有し所定位置から落下した薬をケース外に取り出す取出口を備えると共に、前記メモリ部は、計測された時間と検知した薬の落下と前記開閉蓋の開閉とを関連付けて記憶させるようにするのが好ましい。
前記収納ケースとして、例えば、上面が開口したケース本体と、上面に薬押出し用の開口部を有する蓋体と、PTPシートを保持する保持手段と、前記PTPシートから押し出された薬を受ける受部および当該受部から薬を1つずつ落下させる落下口を備えた落下部とを備えたものが用いられる。
保持手段として、例えば、前記開口部の周縁とほぼ一致する位置に前記本体ケースに形成されたほぼ角枠状の枠部上端と前記開口部の周縁下面とで構成することができ、さらに、前記開口部の周縁下面とPTPシートとの間に配置される押え枠を用いることもできる。
また、保持手段には、PTPシートを下面から支える複数本の支持棒と、枠部上端に形成された前記支持棒の両端を保持しうる対をなす溝を備えるのがよい。そして、この場合に、前記枠部を収納するPTPシート幅と同じかあるいはそれよりも大きい短辺を有する大きさに形成すると共に、前記対をなす溝を、当該枠部の短辺ほぼ中央に位置する第1の位置と、当該第1の位置の両側ほぼ等距離にある第2の位置と、当該第2の位置間をほぼ3等分する第3の位置に形成するのがよく、より望ましくは、前記2つの第2の位置間の距離を、約46〜50mmとする。
また、別な保持手段として、前記蓋体の開口部を形成する着脱可能な開口枠と、収納されるPTPシート幅と同じかあるいはそれよりも大きい短辺を有し当該開口枠を嵌める嵌め枠の下端周縁に備えられPTPシートの周縁部を保持する受枠部とから構成することもできる。さらに、前記開口枠とPTPシートとの間に配置される押え枠を用いることができる。そして、この場合において、前記受枠部に支持されると共にPTPシートの少なくとも周縁部下面を保持する保持板を用いるのが好ましい。
本発明の服薬記録システムは、上記本発明の服薬記録器と、前記メモリ部に記録された情報を取り出し、印刷、音声、画像表示などの出力手段に情報を出力する情報出力部を備えたことを特徴としている。
本発明の服薬記録器は、PTPシートから手指により押し出された薬が収納ケースの所定位置から落下したことを検知する検出部は、ピエゾフィルムセンサを備えているので、検出部の物理的構造を簡単かつ小さくできる。したがって、記録器を小型、特に薄型にできる。また、何よりもピエゾフィルムセンサ自身が薬の落下により電力を発生するので、検知に必要な消費電力が非常に少なくて済み、一度セットすれば長期間にわたる服薬記録が可能になる。また、手指により押し出す構造であるため、機械的な取り出し機構が不要であり、簡便な機構にできる。
そして、落下した薬を取り出す取出口に開閉蓋を備え、当該開閉蓋の開閉と関連づけて記憶することにしているので、薬の取り出し忘れによる誤記録が防止される。
収納ケースには、例えば、前記開口部の周縁とほぼ一致する位置に前記本体ケースに形成されたほぼ角枠状の枠部上端と前記開口部の周縁下面とで構成される保持手段が用いられる。このために、市販のPTPシートをそのまま用いることができる一方、蓋体を開けなければPTPシートを交換できない。そして、本体ケースと蓋体をビス留めするなど被験者自らがPTPシートを交換できない構造にたやすくできる。また、PTPシートの横幅が開口部よりも小さければ、開口部周縁下面とPTPシートとの間に配置される押え枠を用いることによって、PTPシートに工夫を凝らすことなく横幅の小さなPTPシートの使用が可能になる。また、PTPシートと開口部との間の隙間を防ぎ、この間から錠剤が抜け落ちるのを防ぐ。
そして、PTPシートを下面から支える複数本の支持棒と、枠部上端に形成された前記支持棒の両端を保持しうる対をなす溝を有する保持手段を構成した場合には、角枠状の枠部上端だけで支持する場合に比べてPTPシートの下面が十分に支持されるので、多種類の大きさのPTPシートに対応できる。この場合において、枠部をPTPシート幅と同じかあるいはそれよりも大きい短辺を有する大きさとし、前記対をなす溝を、当該枠部の短辺ほぼ中央に位置する第1の位置と、当該第1の位置の両側ほぼ等距離にある第2の位置と、当該第2の位置間をほぼ3等分する第3の位置に形成すれば、上市されているPTPシートのほぼすべてに対応させることができる。もちろん、用いるPTPシートの大きさに合わせて枠部を作製したり、服薬記録器に合わせてPTPシートを対応させる必要はない。
また、本発明の収納ケースでは、前記蓋体の開口部を形成する着脱可能な開口枠と、収納されるPTPシート幅と同じかあるいはそれよりも大きい短辺を有し当該開口枠を嵌める嵌め枠の下端周縁に備えられPTPシートの周縁部を保持する受枠部とから構成された保持手段を用いることができる。この場合にも、市販のPTPシートをそのまま用いることができ、開口枠を取り外さなければPTPシートを交換することができない。したがって、被験者自らがPTPシート交換を簡単に取り替えることができない一方、例えば開口枠と本体ケースをビス留めすれば被験者自らでは交換できない構造にたやすくできる。
また、PTPシートが開口部よりも小さい場合には、開口枠とPTPシートとの間に配置される押え枠を用いることにより、PTPシートに特別な工夫をすることなく使用できる。さらに、受枠部に保持されると共にPTPシートの少なくとも周縁部下面を保持する保持板を用いることにすれば、保持板の交換のみで上市されているPTPシートのほぼすべてに対応できる。もちろん、保持板の交換用いるPTPシートの大きさに合わせて受枠部を作製したり、服薬記録器に合わせてPTPシートを対応させる必要はない。
このように本発明の服薬記録器は、コストを掛けずにコンプライアンスの確認を容易にし、薬物療法による医療の信頼性の向上に大きく貢献できる。
図1は本発明の一実施形態である服薬記録器の概略斜視図、図2は当該服薬記録器の分解斜視図、図3は服薬記録器のケース本体を示す概略図であって、同図(a)はその平面図、同図(b)はその断面図、図4は当該服薬記録器を利用した服薬記録システムのブロック図、図5は当該服薬記録器の使用状態を示す概略斜視図、図6は当該服薬記録器の使用状態を示す断面図、図7(a)(b)(c)はそれぞれケースに収納したPTPシートと押え枠との関係を示す説明図である。以下、各図に基づいて本発明について詳細に説明する。
本発明の服薬記録器は、PTPシート2を収納する収納ケース1と、時間の経過を計測する計時部3と、収納ケース1に納められたPTPシート2から錠剤が押し出され、収納ケース1から錠剤が取り出されたことを検出する検出部4と、検出部4において検出された錠剤の取り出しと計時部3において計測された経過時間とから関連付けられた取り出し時刻を記憶するメモリ部5と、上蓋70を備える。なお、本発明の対象となる薬はPTPシート包装されることを前提としており、以下、特記する場合を除いて錠剤がPTPシート包装されたものとして説明する。
収納ケース1はほぼ箱型をしており、検出部4を備えるケース本体10と蓋体30とからなる。ケース本体10は、図2に示すように、上面が開口しており、検知回路や記憶回路などが実装された回路基板(図示せず)や電源となるバッテリー(図示せず)等を収納する収納区画11と、落下により錠剤が取り出されたことを検出する検出区域12とに分かれている。図示する収納区画11は、中壁によりさらに2分されている。そして、一方の収納区画11aには例えばバッテリーが収納され、収納区画11bには、収納ケース1側面開口1aに差込口を臨ませてデータ通信用の出力端子13が配置されている。
検出区域12には検出部4が構成される。検出部4は、PTPシート2から押し出された錠剤が所定位置から落下したことを検知する検知手段と、開閉蓋40の開閉動作を検出する開閉スイッチ8とを備える。そして、検出部4は、検知手段と開閉スイッチ8とから錠剤がPTPシート2から押し出され収納ケース1外に取り出されたことを検出し、該検出した時刻を計時部3が計測した経過時間から求めてメモリ部5に記録する。なお、開閉スイッチ8は、図4のブロック図を除く各図においては省略されている。
検知手段は、PTPシート2から押し出された錠剤を1錠ずつ収納ケース1の所定位置から落下させる落下部14と、該落下部14から落下した錠剤を検知する検知センサ7を備える。落下部14は、PTPシート2から押し出された錠剤を受ける受部15と、受部15に設けられた落下口16とを有する。受部15は収納ケース1の内部に設けられ、ケース本体10のほぼ中段に位置する。受部15はその周囲に枠部17を備え、この枠部17に形成された段差部19の上面に対をなす溝部18が5対形成されている。溝部18はPTPシート2の下面を支える支持棒50を保持するものであり、ケース本体10の長軸方向に支持棒50が配置される。溝部18の深さは支持棒50の径とほぼ等しく、段差部19の高さは、PTPシート2の台紙部分の厚み程度である。この結果、PTPシート2の台紙上面が枠部17の上端面にほぼ位置する。また、枠部17側壁が落下口16に向けて傾斜し、受け部15は平面視でほぼ台形状に形成されている。
枠部17の内法は、好ましくは市場に流通している最も大きなPTPシート2の大きさに合わせて作製される。本発明者らの調査によれば、治験等に用いられるPTPシート2の1シートが有する錠剤数(カプセル数)は主として14錠(カプセル)または21錠(カプセル)であり、PTPシート2の大きさは、錠剤のPTP包装であれば、短辺(横幅)が概ね30〜60mm、長辺(長さ)が概ね100〜130mm、カプセルのPTP包装であれば、短辺が概ね30〜80mm、長辺が概ね100〜130mmの範囲であって、その大きさは多種多様である。このように多種多様のPTPシート2に対応できるよう、枠部17の内法は望ましくは80mm×130mm程度とされる。すなわち、枠部17は、好ましくは使用が予想される最大形状のPTPシート2の周縁部が段差部19に支えられ、枠部17の中にPTPシート2が具合よく納まる大きさとされる。また、特定の大きさをしたPTPシート2に合わせて枠部17の内法を定めてもよい。そして、実際に使用されるPTPシート2はその内法よりも小さくなってもよい。いずれにせよ、枠部17内に納められたPTPシート2は、枠部17と開口部31の周縁下面との間に保持され、必要な場合には以下に述べるように押え枠60がPTPシート2上に介在した状態で枠部17(または支持棒50)と蓋体30との間で挟持される。また、枠部17の内法を特定の大きさに決めた上で、その大きさにPTPシート2を規格化しても差し支えない。
対をなす溝部18は、枠部17の短辺ほぼ中央に位置する第1の位置(イ)と、当該第1の位置(イ)の両側に当該第1の位置(イ)からほぼ等距離にある2つの第2の位置(ロ)と、前記2つの第2の位置(ロ)の間をほぼ3等分する2つの第3の位置(ハ)の合計5箇所に設けられる。この5箇所の位置は、数少ない構成部品によって現在上市されている多くのPTPシート2を保持する。すなわち、PTPシート2の短辺が枠部17の内法よりも小さい場合には、例えば一方の第2の位置(ロ)に配置された支持棒50とそれから遠くに位置する枠部17(段差部19)の長辺とにPTPシート2の左右両長辺が保持される。また、第3の位置(ハ)に配置された支持棒50とそれから遠く位置する枠部17(段差部19)の長辺とにより保持される。さらに、それよりも小さいPTPシートであれば、例えば、第1の位置(イ)と左右いずれか一方の枠部17の長辺とにより保持される。そして、2つの第2の位置(ロ)に配置された支持棒50によってPTPシート2の左右両長辺が保持される場合もある。このように、収納ケース1は、支持棒50を配置する溝部18の位置を変えて、多種多様な大きさのPTPシート2を収納できるようにしたものである。
また、残る溝部18に配置された支持棒50が、PTPシート2の撓みを防止する。すなわち、上記の如くPTPシート2の両長辺を支持するだけでは、錠剤を押し出す際にPTPシート2が撓み、結果として錠剤を押し出せず、枠部17内にPTPシート2が落ち込む場合がある。この不都合を残る支持棒50が防止する。例えば、枠部17の2つの長辺がPTPシート2の両長辺を保持する場合や第2の位置(ロ)に配置された2本の支持棒50がPTPシート2の両長辺を保持する場合、第1の位置(イ)に配置された支持棒50がPTPシート2のほぼ中心線上を支える(図7(a)参照)。また、第2の位置(ロ)に配置された支持棒50とそれから遠く離れた第3の位置(ハ)に配置された支持棒50がPTPシート2の両辺を保持する場合には、残る第3の位置(ハ)に配置された支持棒50がPTPシート2のほぼ中心線上を支える(図7(c)参照)。さらに、枠部17の大きさや第2の位置(ロ)(第1の位置(イ)からの距離)によっては(図示せず)、枠部17の一つの長辺(段差部19)と第3の位置(ハ)に配置された支持棒50がPTPシート2の両長辺を保持すれば、両者の間に位置する第2の位置(ロ)に配置された支持棒50がPTPシート2のほぼ中心線上を支える。これらは、錠剤が2列に配列したPTPシート2に対して好都合なものである。なお、図7では、後述するように第2の位置(ロ)は枠部17に近接した位置に設けて描かれているが、この位置は任意に変えることができる。さらに、2つの第2の位置(ロ)に配置された支持棒50が保持する場合には、第3の位置(ハ)に配置された2本の支持棒50がPTPシート2の短辺をほぼ3等分する位置を支える(図7(b)参照)。これは、錠剤が3列に配列したPTPシート2に対して好都合なものである。
また、溝部18を数多く設けて、支持棒50を配置する位置の自由度を高めてもよい。さらに適切な位置にてPTPシート2を保持できるのみならず、錠剤列と錠剤列との間に支持棒50が適切に位置して錠剤等を押し出す時の撓みを確実に防止する。
各溝部18は1本の支持棒50を保持すればよいが、本発明においては第1の位置(イ)にある溝部18が2本の支持棒50を保持するのが望ましい。これにより、横幅の広いPTPシート2をしっかりと支え、錠剤を押し出す際の撓みをより少なくする。また、4本の支持棒50を常に溝部18に収納した状態にする。例えば、2列に錠剤が配置されたPTPシート2を用いる場合(図7(a)参照)、第1の位置(イ)に2本の支持棒50を配置し、第2の位置(ロ)に各1本の支持棒50を配置すればよい。また、錠剤が3列に配置されたPTPシート2を用いる場合(図7(b)参照)、第2の位置(ロ)に各1本の支持棒50を配置し、第3の位置(ハ)に各1本の支持棒50を配置すればよい。さらに、錠剤が2列に配置された横幅の小さいPTPシート2を用いる場合(図7(c)参照)、第2の位置(ロ)に配置された1本の支持棒50と第3の位置(ハ)に配置された2本の支持棒50でPTPシート2を支え、残る1本の支持棒50を残る第2の位置(ロ)に配置すればよい。このようにすれば、PTPシート2の支持に不要な支持棒50の紛失が防がれる。
支持棒50は上記したようにPTPシート2をその下面から支えるものであって、比較的剛性の高い金属から丸棒状、角棒状に作製される。この太さは特に制約されないが、溝部18に配置できなければならない。
本発明の服薬記録器においては、枠部17の内法の大きさを問わず、2つの第2の位置(ロ)の間隔は46〜50mmであるのが好ましい。上記の如く本発明者らの調査によると、PTPシート2の横幅は約30〜80mmである。第2の位置(ロ)の間隔を48mmとして、両者の間を3等分すると支持棒50同士の間隔(溝部18の中心線上で)は概ね16mm幅となる。つまり、第2の位置(ロ)と第3の位置(ハ)の間は16mm、第3の位置(ハ)と第3の位置(ハ)の間も16mmとなる。また、枠部17の内法を80mmとした場合には、枠部17の長辺と第3の位置(ロ)との間隔も約16mm程度となる。つまり、枠部17の短辺をPTPシート2の最大形状である80mmとした場合には、第2の位置(ロ)と第3の位置(ハ)が、枠部17の短辺をほぼ5等分する。なお、図面では、5等分された状態より枠部17と第2の位置(ロ)とが接近して描かれている。したがって、例えば錠剤が2列に配列された短辺幅35mm程度のPTPシート2であれば、1つの第2の位置(ロ)と2つの第3の位置(ハ)とに支持棒50を配置して該PTPシート2を保持できる。このうち、第3の位置(ハ)に配置した支持棒50のうち1つはPTPシート2のほぼ中心線上を支える。この場合において、支持棒50の太さを約1mmと仮定すると、直径約12〜13mm程度の錠剤を支持棒50に触れずにPTPシート2から押し出せる。また、錠剤が2列に配列された30mm程度のPTPシート2であれば、枠部17(段差部19)と1つの第2の位置(ロ)と1つの第3の位置(ハ)に支持棒50を配置すれば該PTPシート2を保持できる。段差部19には幅があって、枠部17と第2の位置(ロ)間の間隔は、溝部18間の間隔よりも狭くなるからである。このうち、第2の位置(ロ)に配置した支持棒50がPTPシート2のほぼ中心線上を支える。さらに、錠剤が3列に配列された50mm程度のPTPシート2であれば、2つの第2の位置(ロ)と2つの第3の位置(ハ)に支持棒50を配置して該PTPシート2を保持できる。このうち、第3の位置(ハ)に配置した支持棒50が、錠剤列と錠剤列との間を支える。
受部15の中央付近には4つの円柱状の支持部材51が配置され、支持部材51は、第3の位置(ハ)に配置された支持棒50を支える。これにより、押し出し時の撓みがより抑えられる。また、支持部材51を第2の位置(ロ)に配置された支持棒50の下方に配置してもよい。なお、支持部材51は必要に応じて配置される。
落下部14を構成する落下口16は、PTP包装を破り受部15に押し出された錠剤を1つずつケース本体10の底に落とすものであり、前記受部15の底板または底板から枠部17の側面に掛けて設けられる。また、落下口16は筒状部20を受部15の下方に備えている。筒状部20は、錠剤を検知センサ7上に確実に落下させる。落下口16の大きさは、2個以上の錠剤が落下口16から同時に落下しない大きさである。つまり、錠剤が一個だけ落ちる程度の大きさである。落下した錠剤は、ケース本体10の側面に設けられた取出口21から取り出される。また、落下口16を設ける場所はどの位置でもよいが、落下口16から錠剤を落とす必要があるので、受部15の隅近くが好ましい位置である。
さらに筒状部20の下部には取出口21につながる開口22が設けられる。そして、当該開口22にはドーム状の開閉蓋40が備えられている。この開閉蓋40は、当該開閉蓋40の開閉動作を検出する開閉スイッチ8を備えている。該開閉スイッチ8は、開閉蓋40が開かれるとオン信号を出力する。また、開閉蓋40は、開閉蓋40の回転軸41を介して収納ケース1に設けられた押し釦44と連動している。また、回転軸41と押し釦44との間には、押し釦44を押し上げ、開閉蓋40を閉方向に付勢するバネ43が備えられている。したがって、押し釦44を押しつづけている間だけ開閉蓋40が開かれ、取出口21から錠剤を取り出せる。それと同時に、オン信号が検出部4に出力される。そして、押し釦44から指を離せば、開閉蓋40が直ちに閉じられる。なお、42はバネ43の付勢力を回転軸41に伝える伝達片である。
落下口16の下方には錠剤の落下を検知する検知センサ7が備えられている。検知センサ7として、ピエゾフィルムからなるピエゾセンサが構成されている。ピエゾフィルムは、その撓みにより自ら電位を生じる。本発明ではこの性質が利用され、錠剤やカプセルがフィルム上に落下した際に生じる電位でもって落下が判定される。ピエゾフィルムの下にはゴムやスポンジなどの緩衝材23が配置され、撓みをより検出しやすくすると共に、再び弾んだ錠剤が再度落下したと判定されるのを防ぐ。治験等に用いる錠剤は軽いもので質量が約70mgであって、落下高さを5mm以上とすることにより、十分な検出感度を得ることができる。また、ピエゾフィルムは外部からの電力供給なしに自ら電位を生じるので、検知回路の消費電力が少なくなり、長期間バッテリーで駆動させなければならない服薬記録器には非常に好適なものである。しかも、赤外線センサではセンサ自体が大きくなるが、ピエゾフィルムは薄く、服薬記録器の小型化(薄型)に大きく寄与する。なお、当該実施形態においては、2つのピエゾフィルム(検知センサ7)が用いられているが、他方のピエゾフィルムはノイズ除去用である。すなわち、記録器の落下衝撃や取出口21から錠剤を取り出す場合に生じる衝撃(振動)など錠剤の落下以外の原因による落下検知を防止する。
受部15上に載置されたPTPシート2は、蓋体30および押え枠60とによってケース1内に固定される。蓋体30はその中央に開口部31を有し、開口部31から手指によりPTP包装された錠剤を直接押し出せるように構成されている。開口部31は、枠部17の大きさとほぼ同じかそれよりも小さい。また、蓋体30は、開口部31の縁に沿って取り外し可能に形成された開口枠32を有している。開口枠32は、その一辺に外方向に延設された挿入片34を有している。開口枠32は、挿入片34を蓋体30とケース本体10との間に形成される挿入口35に挿入して、蓋体30の嵌め枠33内に嵌められる。開口枠32は、着脱可能な止め具36によって蓋体30に固定される。すなわち、開口枠32が取り外されてPTPシート2が枠部17内に配置され、開口枠32の装着によりケース本体10と蓋体30との間に保持される。ここで、開口枠32の固定には特殊な止め具36が用いられる。したがって、被験者自身はPTPシート2を交換できず、医療機関において看護師や薬剤師などの治験実施関係者のみがPTPシート2を交換できる。
押え枠60は、PTPシート2の大きさにより必要に応じて用いられるものであり、例えば硬めの紙やフェルト様のもの、あるいはプラスチック製の薄板などからほぼ角枠状に作製される。この押え枠60は、図7に示す如くPTPシート2の周縁部を支持棒50や段差部19に押し付ける役割を果たし、該押え枠60を介して開口枠32の周縁部下面と受部15との間でPTPシート2を固定する。したがって、PTPシート2が枠部17よりも小さい場合でも、蓋体30とケース本体10との間にPTPシート2が十分に固定される。また、PTPシート2の外周と開口部31との間に形成される開口(隙間)を塞ぎ、この開口から押し出された錠剤がこぼれ落ちるのを防ぐ。
押え枠60の大きさは、これら機能を果たすことができる大きさであれば任意であるが、図7各図の斜線領域に示すように、押え枠60は用いるPTPシート2の周縁部と開口枠32内縁部とで重なり合う領域を有しなければならない。また、枠部17の上端面に載置され、押え枠60は枠部17にきっちりと収まるように作製されるのがよい。なお、図7各図では一点鎖線がPTPシート2の外周を示す。
また、蓋体30はケース本体10から取り外し可能に構成されているが、蓋体30はケース本体10から容易に取り外せないよう、例えば係止爪のような固定部材(図示せず)で取り付けられる。バッテリー交換などのために蓋体30を取り外す必要があるが、開口枠32とは異なり頻繁に開ける必要がなく、被験者が容易に開けられるようでは服用記録の信頼性が損なわれるからである。
メモリ部5は、記憶回路(図示せず)を備え服薬情報を記録する。計時部3は、始動してからの経過時刻を計測しており、始動時にセットされた開始時刻を基準にして現在時刻を求めている。検知回路は検出手段によって錠剤の落下を検知した後、開閉スイッチ8によって開閉蓋40が開かれたことを検知した段階で、錠剤が取り出されたと判定して開閉蓋40が開かれた時刻を記憶回路上の記憶手段に記憶する。したがって、メモリ部5には錠剤が実際に取り出された時刻が記憶される。また、記憶手段は読み出し自在であり、メモリ部5に記憶された服薬情報は、通信部6を介して、出力端子13に接続された情報出力部9に出力される。もちろん、開閉蓋40の開閉によらず、錠剤の落下を検知した時刻を記憶させることにしてもよいが、この場合には取出口21に錠剤が残った状態でも服薬情報が記録され、取り出されていないにもかかわらず服薬記録が残る。なお、当該記録器では、落下が検知されてから一定時間開閉スイッチ8がオンされない場合には、赤色ランプ(図示せず)が点灯され、警報音が発生する。このように、錠剤の落下と開閉蓋40の開閉が関連付けられて、錠剤の取り出し日時や時刻、すなわち服薬情報が正確に記録される。
上蓋70は、服薬記録器のメインスイッチの機能を果たす。上蓋70は開閉可能に蓋体30に取り付けられ、蓋体30の開口部31と押し釦44とを覆う。非服用時では上蓋70は閉じられた状態にあり、メインスイッチはオフである。上蓋70が開くとメインスイッチがオンされる。メインスイッチがオンされると検知回路が作動して、錠剤の取り出しが検出可能となる。また、上蓋70が閉じられるとメインスイッチがオフになるが、計時部3は始動からの経過時間を計測し続ける。このように上蓋70は、非服用時における消費電力を削減し、長期間にわたる動作を確保する。また、上蓋70が一定時間以上開いていると、ブザーや表示ランプによる警報が出力される。
情報出力部9は、コンピュータやプリンタ、CRTなどの表示装置などから構成され、通常は治験実施機関に設置される。情報出力部9の操作によって、メモリ部5から服薬情報が情報出力部9に送信され、CRTやプリンタ上に錠剤が取り出された日時、時刻が表示、印字される。これにより、プロトコールどおりに錠剤が取り出されたことが確認される。また、情報出力部9への出力は、有線や無線を問わず利用できる。さらにリアルタイムで出力させ、その場で記録紙上に印字させてもよい。
この服薬記録器は、主として治験用のコンプライアンスの確認を行うために用いられるものであり、PTPシート2が服薬記録器にセットされた状態で患者に手渡される。PTPシート2をセットするのに先立ち、計時部3に現在時刻(日時)を設定する。また、PTPシート2の大きさや錠剤の列数に応じて支持棒50を溝部18に配置する。その後、枠部17にPTPシート2を載置して、押え枠60を重ね、開口枠32を止め具36にて蓋体30に固定する。こうして治験実施機関がPTPシート2を服薬記録器にセットする。服用に際して、被験者はまず上蓋70を開けて、錠剤1錠を手指で下方に押し出す。次に、服薬記録器を傾けて、受部15上に落下した錠剤を落下口16からピエゾフィルム(検知センサ7)上に誘導落下させる。その後、所定時間内(例えば落としてから数分以内)に、被験者は押し釦44を押して開閉蓋40を開き、取出口21から錠剤を取り出す。そして、上蓋70を閉じると共に錠剤を服用する。その間、検知回路は一定レベル以上の電位を検出した後、所定時間内に開閉スイッチ8のオンを検出すると、当該開閉スイッチ8のオンを検出した時刻をメモリ部5に記録する。このようにして服薬時刻が記録され、被験者はプロトコールに従って服用を続ける。PTPシート2の錠剤がなくなれば、必要に応じて治験実施機関はPTPシート2を交換する。メモリ部5に記録された服薬情報は、治験終了時やPTPシート2の交換時に、治験実施機関によって情報出力部9に取り出される。
このように、本発明の服薬記録器は、PTPシート2から押し出された錠剤等の落下をピエゾフィルムセンサで検知しているので、検知センサ7が小さくなり、小型で軽量な服薬記録器とすることができる。しかも、検知センサ7自体が電力を生じるので記録器全体での消費電力が少なくなり、他の検知センサを用いた場合に比べて長期にわたりバッテリーを交換することなく使用できる。さらに、PTPシート2から錠剤を取り出すための機構も不要になり、服薬記録器の構造が大幅に簡略化されている。
また、受部15を成す枠部17と枠部17に形成した対をなす溝部18とPTPシート2の下面を支える支持棒50および開口枠32とによってPTPシート2を収納しているので、比較的簡単な構成でPTPシート2から確実に薬を押し出せる。しかも、PTPシート2に合わせた記録器(枠部17)の改造を不要にし、多種多様のPTPシート2が利用できる。この結果、PTPシート2を服薬記録器に合わせて規格化する必要性が少なくなり、現在上市されている既製品としてのPTPシート2をそのまま利用できる。こうして、治験コストを大きく引き上げることなく、コンプライアンスの確認が確実に行え、治験の信頼性を大きく向上できる。
もちろん、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、収納ケース1に時計表示機構を備え、服用時刻の確認を被験者自身が行えるようにもできる。また、ケース本体1に小型の印字装置を備え、服薬した時点においてその都度、被験者自身も確認すると共に記録紙として保存できるようにしてもよい。
また、受部15の底部(もしくは受部15を取り除いて、本体ケース10の底部に直接)にPTPシート2の各錠剤の落下位置に対応させてピエゾセンサをマトリックス状に配置することも考えられる。こうすれば、特許文献6や非特許文献1に開示されたように個々の薬に対応させて薬の取り出しを検出することも可能になる。
さらに、時計部3によって計測された時間と検知手段が検知した薬の落下との関連付けや、さらには開閉蓋40の開閉との関連付けの方法も種々考えられる。例えば、1回に2錠服用する場合には、2度の落下についてそれぞれ検知した時刻を記憶させてもよく、所定時間内に2度目の落下を検知した場合には2度目の落下を検知した時刻のみを記憶させてもよい。また、1錠押し出せば必ず1錠取り出すことにして、2度目の開閉蓋40の開閉と時刻とを関連付け、2度目の取り出し時刻のみを記憶させてもよい。なお、この場合には、検知した落下回数を同時に記憶させる。また、開閉蓋40が開いている間に一定レベル以上の電位を検出した際に錠剤が落下したと判定させてもよい。このように種々の関連付けの方法が考えられる。
図8は、本発明の第2の実施形態である服薬記録器の概略分解斜視図である。この服薬記録器は、蓋体30に形成された嵌め枠33の周縁下端部から内周に向けて延設された受枠部37と当該嵌め枠33に着脱可能な開口枠32とによって、PTPシート2を収納している。嵌め枠33は、収納されるPTPシート幅と同じかあるいはそれよりもわずかに大きい短辺を有する大きさに作製される。錠剤を受ける受部15はその嵌め枠33の開口部下方に位置して蓋体30に一体として設けられている。したがって、本体ケース30には受部15がない。受枠部37の内寸(開口部の大きさ)は望ましくは80mm×130mm程度である。すなわち、受枠部37は、好ましくは使用が予想される最大形状のPTPシート2の周縁部を保持できる大きさとされる。
この実施形態にあっては、多種多様のPTPシートに対応するために、受枠部37に保持されPTPシートの下面に配置される保持板80が用いられる。保持板80は受枠部37の開口部分よりもわずかに大きく(好ましくは嵌め枠33とほぼ同じ大きさである)、確実に受枠部37に保持されるように作製される。そして、開口枠32との間でPTPシート2を挟み込み、PTPシート2を安定に保持する。
保持板80には、錠剤を落下させるための開口81が複数開設されている。この開口81は、PTPシート2上の錠剤の配列に対応して設けられるものであって、図8に示す如くPTPシート2の錠剤の配置に対応できるよう、保持板80の横幅方向に配設された開口81が、縦方向に包装された錠剤の個数分だけ開設されている。この開口81は、錠剤が2列に配列されたPTPシート2や3列に配列されたPTPシート2のいずれもが使用可能な程度の横幅を有している。つまり、上市されているPTPシート2は週単位で投与されること(Weekly)が前提となって、1つのPTPシート2に横幅方向に2列3列と配置された錠剤が7列縦方向に配置されることが多い。そこで、この保持板80の1つの開口81から、2列3列と縦方向に配置された錠剤のうち横幅方向1列分を通過させることにしたものである。すなわち、7個の開口81を縦方向に並べて開設することによって、少なくとも2列配置のPTPシート2や3列配置のPTPシート2に対応可能としたものである。そして、1枚の保持板80で多種類のPTPシート2に対応可能とすべく、開口81の横幅はできる限り大きくし、具体的には、例えば横幅80mmのPTPシート2を想定した場合には、受枠部37に保持される幅を残した約70mm程度とされる。なお、開口81の縦方向の大きさは、望ましくは使用が予想される最大の錠剤が通過できる程度とされるが、この際、錠剤の押し出しに必要な強度が確保される必要があり、隣接する開口81の間隔が小さくなり過ぎないように設計される。もちろん、開口81の個数が異なる保持板80を準備して、使用の際に選択できるようにしてもよい。この保持板80は、錠剤を押し出す際の押圧にも耐えうる強度を有するものであり、例えばアルミニウム板やステンレス板、アクリル板その他のプラスチック板などから作製される。PTPシート2から押し出された錠剤は、開口81から受部15に落ちる。
この収納ケース1では、嵌め枠33内に開口枠32が着脱可能になっており、開口枠32の両端にある挿入片34が挿入口35に嵌められて開口枠32は蓋体30に固定される。より好ましくは上述したように特殊な止め具36などを用いて開口枠32は蓋体30に固定される。このように、収納ケース1は、PTPシート2を蓋体30に設けられた受枠部37、さらには必要に応じて使用される保持板80と開口枠32とによって保持する構造となっている。そして、押え枠60は、PTPシート2の周縁部を受枠部37もしくは保持板80に押し付け、開口枠32と受枠部37との間でPTPシート2をよりしっかりと挟み込んでPTPシート2の位置ずれを軽減する。また、押え枠60はPTPシート2の外周と開口部31との間に形成される開口(隙間)を塞ぎ、この開口から押し出された錠剤がこぼれ落ちるのを防ぐ。
この第2の実施形態においては、嵌め枠33の下端周縁に備えられた受枠部37と開口枠32とによってPTPシート2を保持し、場合によっては受枠部3に支持される保持板80と押え枠60および開口枠32とでPTPシート2を挟み込む構造となっているので、上市されているほとんどすべてのPTPシート2が使用可能となる。また、開口81が開設された保持板80の使用が確実に錠剤を押し出し可能にする。そして、PTPシート2に応じて開口81を有する保持板80や押え枠60を数種類準備すれば、服薬記録器の基本構造を変えることなくより多種類のPTPシート2に対応できる。しかも、嵌め枠33内に保持板80、PTPシート2、押え枠60と順に入れ最後に開口枠32を固定することによってPTPシート2を比較的簡単にセットすることができ、医療従事者の作業効率もよくなる。
このように、本発明は、複雑な機構からなる取出手段を用いずに手指にて押し出された錠剤の落下衝撃を、ピエゾフィルムセンサで検出しているので、非常に軽量かつコンパクトに、しかも比較的簡単な構造で薬の取り出しを検出できる。また、単に開閉蓋40の開閉だけで錠剤の取り出しを検出するのとは異なり、錠剤の落下をも判定しているので、実際に錠剤が取り出されたことが確実に把握される。
さらに、本発明は、PTPシート2から薬を落下させるために、複数本の支持棒50とそれを支持する溝部18を有する収納ケース1や、開口枠31とそれを嵌める嵌め枠33の下端周縁に備えた受枠部37および保持板80とを有する収納ケース1を利用することにより、使用できるPTPシート2の汎用性を図ったものである。
なお、当該服薬記録器は、治験用に開発されたものであるが、市販後の市場調査や通常の治療におけるコンプライアンスの確認用として用いることができるのは言うまでもない。
本発明の一実施形態である服薬記録器の概略斜視図である。 同上の服薬記録器の分解斜視図である。 同上のケース本体を示す概略図であって、(a)はその平面図、(b)は同図(a)におけるA−A線断面図である。 同上の服薬記録器を利用した服薬記録システムのブロック図である。 同上の服薬記録器の使用状態を示す概略斜視図である。 同上の服薬記録器の使用状態を示す断面図である。 (a)(b)(c)はそれぞれケースに収納したPTPシートと押え枠との関係を示す説明図である。 本発明の第2の実施形態である服薬記録器の概略分解斜視図である。
符号の説明
1 収納ケース
2 PTPシート
5 メモリ部
7 検知センサ(ピエゾフィルム)
9 情報出力部
10 ケース本体
15 受部
17 枠部
18 溝部
21 取出口
31 錠剤を押し出し可能にする開口部
37 PTPシートを保持する受枠部
40 開閉蓋
50 支持棒
60 押え枠
70 上蓋
80 保持板
イ 溝部の第1の位置
ロ 溝部の第2の位置
ハ 溝部の第3の位置

Claims (12)

  1. PTPシートを収納する収納ケースと、
    PTPシートから手指により押し出された薬が収納ケースの所定位置から落下したことを検知するピエゾフィルムセンサを備えた検出部と、
    時間を計測する計測手段と、
    前記計測手段によって計測された時間と前記検出部が検知した薬の落下を関連付けて記憶するメモリ部とを備えたことを特徴とする服薬記録器
  2. 前記収納ケースに、開閉蓋を有し所定位置から落下した薬をケース外に取り出す取出口を備えると共に、前記メモリ部は、計測された時間と検知した薬の落下と前記開閉蓋の開閉とを関連付けて記憶することを特徴とする請求項1に記載の服薬記録器。
  3. 前記収納ケースは、上面が開口したケース本体と、上面に薬押出し用の開口部を有する蓋体と、PTPシートを保持する保持手段と、前記前記PTPシートから押し出された薬を受ける受部および当該受部から薬を1つずつ落下させる落下口を備えた落下部とを備えたことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の服薬記録器。
  4. 前記保持手段は、前記開口部の周縁とほぼ一致する位置に前記本体ケースに形成されたほぼ角枠状の枠部上端と前記開口部の周縁下面とで構成されることを特徴とする請求項3に記載の服薬記録器。
  5. 前記保持手段は、前記開口部の周縁下面とPTPシートとの間に配置される押え枠を有することを特徴とする請求項4に記載の服薬記録器。
  6. 前記保持手段は、PTPシートを下面から支える複数本の支持棒と、枠部上端に形成された前記支持棒の両端を保持しうる対をなす溝を有することを特徴とする請求項4または5のいずれかに記載の服薬記録器。
  7. 前記枠部は収納されるPTPシート幅と同じかあるいはそれよりも大きい短辺を有し、前記対をなす溝は、当該枠部の短辺ほぼ中央に位置する第1の位置と、当該第1の位置の両側ほぼ等距離にある第2の位置と、当該第2の位置間をほぼ3等分する第3の位置に形成されたことを特徴とする請求項6に記載の服薬記録器。
  8. 前記2つの第2の位置間の距離は、約46〜50mmであることを特徴とする請求項7に記載の服薬記録器。
  9. 前記保持手段は、前記蓋体の開口部を形成する着脱可能な開口枠と、収納されるPTPシート幅と同じかあるいはそれよりも大きい短辺を有し当該開口枠を嵌める嵌め枠の下端周縁に備えられPTPシートの周縁部を保持する受枠部とから構成されたことを特徴とする請求項3に記載の服薬記録器。
  10. 前記保持手段は、前記開口枠とPTPシートとの間に配置される押え枠を有することを特徴とする請求項9に記載の服薬記録器。
  11. 前記保持手段は、前記受枠部に保持されると共にPTPシートの少なくとも周縁部下面を保持する保持板を有することを特徴とする請求項9または10のいずれかに記載の服薬記録器。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の服薬記録器と、前記メモリ部に記録された情報を取り出し、印刷、音声、画像表示などの出力手段に情報を出力する情報出力部を備えたことを特徴とする服薬記録システム。

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