JP2004187930A - ティシュペーパー製品 - Google Patents

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Abstract

【課題】高さが低い収納箱に収納した場合であっても、収納箱からの取出し性が良好で、且つ、柔らかく、手触り感が良いティシュペーパー製品を提供する。
【解決手段】複数枚のティシュペーパーを2枚1組として所謂ポップアップ方式で折り畳んだものを略直方体の収納箱に収納したティシュペーパー製品において、前記ティシュペーパーは、セルロースパルプを主原料としてなり、さらに前記収納箱を形成する板紙とのJIS K 7125で規定する静摩擦係数が0.4〜0.5であり、且つ動摩擦係数が0.35〜0.45であることを特徴とするティシュペーパー製品。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、収納箱に収納したティシュペーパー製品である所謂ボックスフェイシャル用ティシュペーパー(以下、単にティシュペーパーと言う場合がある)に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、柔らかくて手触り感に優れ、収納箱からの取出し性に優れたティシュペーパーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ティシュペーパーは、2枚1組として一回折って所謂ポップアップ方式で折り畳んだ束が収納箱に収納されている。そして、収納箱には、その上面に取出口が形成され、さらに、一般に、取出口の内側がスリットを有するフィルムで覆われており、ティシュペーパーはスリットを通して順次取出せるようになっている。このようなティシュペーパーは、柔らかく、手触り感が良く、伸縮性があり、吸収性に優れ、さらに取出す時に破断することのない十分な強度が要求されている。
【0003】
また、従来、テッシュペーパーの収納箱は、200組400枚入りで、その高さが65〜85mmのものが主流であったが、近年、消費者が持ち運び易く、収納スペースが少なくて済み、さらに流通業者の利便性が向上する等の理由により、高さ50mm程度と低いものが多くなっている(例えば、特許文献1)。それに伴い、これらのコンパクト化製品は、一般的には、収納箱上部に形成されていた空間が殆どなくなり、初期の取り出し時に、収納箱の上面板の内側面とティシュペーパーとの摩擦力が大きくなり、時として、取り出し時に破れ易い状況が生じている。また、ティシュペーパーも2枚重ねの厚さが、従来90〜105μmであったものが、75μm程度に薄くなっており、坪量も減らしたものが多くなっている。そのため、テッシュペーパーの強度は低下しがちであり、従来品以上の強度アップは容易でなく、この点も、取り出し時にテッシュペーパーを破れやすくする要因と考えられる。
【0004】
このように、収納箱を薄くした場合に、ティシュペーパーを破れることなく良好に取出す、所謂ティシュペーパーの取出し性を改善するため、収納箱の取出口の最適形状を規定する方法(特許文献1)、収納箱の取出し口に形成されるスリットの長さを規定する方法(特許文献1、特許文献2)、ティシュペーパーの横方向の引張強さを規定する方法(特許文献1)、ティシュペーパーの縦方向と横方向の引張強さを規定する方法(特許文献3)、収納箱に収納する全ティシュペーパーの束の厚さについて最適の数値を規定する方法(特許文献1の請求項9)等が提案されている。
しかしながら、一般に、ティシュペーパーは、一箱当たり2枚1組で200組(すなわち400枚)の束を圧縮した状態で収納箱に収納されており、保存中に弾性復元力によりティシュペーパーが膨らみ、収納箱を押し上げる傾向にあり、上記の方法では時としてティシュペーパーの取出し性が十分でない場合があった。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−286414号公報(請求項1、請求項2、請求項4、請求項5、請求項9、0001〜0005段)
【特許文献2】
特開2002−249183号公報(請求項1、0001〜0007段)
【特許文献3】
特開2002−249994号公報(請求項1、0001〜0007段)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来のティシュペーパー製品の有する問題点を克服するため、ティシュペーパーと収納箱上面との適正な摩擦係数に関して明らかにすると共に、収納箱からの取出し性が良好で、柔らかく、手触り感が良いティシュペーパーを提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記、従来のティシュペーパーの有する問題点を解決するための本発明は、以下の各発明を包含する。
(1)複数枚のティシュペーパーを2枚1組として所謂ポップアップ方式で折り畳んだものを略直方体の収納箱に収納したティシュペーパー製品において、
前記ティシュペーパーはセルロースパルプを主原料としてなり、さらに前記収納箱は板紙から形成され、前記ティシュペーパーと前記収納箱上面の内側面とのJIS K 7125で規定する静摩擦係数が0.4〜0.5であり、且つ動摩擦係数が0.35〜0.45であることを特徴とするティシュペーパー製品。
【0008】
(2)前記セルロースパルプが、少なくとも一部にドライパルプを含むことを特徴とする(1)項記載のティシュペーパー製品。
【0009】
(3)前記セルロースパルプが、少なくとも一部に蒸解後に元素状塩素を使用しないで漂白処理したパルプを含むことを特徴とする(1)項または(2)項に記載のティシュペーパー製品。
【0010】
(4)前記セルロースパルプが、少なくとも一部に漂白処理工程で酸処理したパルプを含むことを特徴とする(1)項〜(3)項のいずれかに記載のティシュペーパー製品。
【0011】
(5)前記ティシュペーパーのJIS P 8133で規定する冷水抽出法で測定した抽出pHが6.6〜7.4であることを特徴とする(1)項〜(4)項のいずれかに記載のティシュペーパー製品。
【0012】
(6)前記収納箱の内側の高さ寸法が40〜60mmであることを特徴とする(1)項〜(5)項のいずれかに記載のティシュペーパー製品。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のティシュペーパー製品は、2枚1組としてポップアップ方式で折り畳んだ複数枚のティシュペーパーの束を収納箱に収納したものであり、ティシュペーパーは、セルロースパルプを主原料としてなり、さらに収納箱を形成する板紙とのJIS K 7125で規定する静摩擦係数が0.4〜0.5であり、且つ動摩擦係数が0.35〜0.45である。この様な特性を有するティシュペーパー製品は、これを収納箱から取出す場合、特に、収納箱の高さが低い場合でも、取出し初めに破れることがなく良好に取出すことができる。
静摩擦係数及び動摩擦係数が各々0.5及び0.45を越えて大きくなると、ティシュペーパーの取出し性が悪くなり、ティシュペーパーが破れ易くなる。一方、静摩擦係数が0.4未満、及び動摩擦係数が0.35未満になると、ティシュペーパーが滑り易くなり、折り畳み工程、断裁工程などでティシュペーパーが滑り、蛇行等の走行性不良を起こし易くなり、加工適正が悪くなる。
【0014】
この場合、セルロースパルプとして、木材等のリグノセルロース材料を蒸解して得られるスラリー状態の化学パルプ(スラッシュパルプ)をそのまま用いないで、これを脱水、乾燥して得られるドライパルプを多く用いると、滑り性が良くなり、収納箱からの取出し性に優れ、さらに、柔らかくて手触り感に優れたティシュペーパーを得ることができる。
【0015】
さらに、セルロースパルプとして、クラフト蒸解後に元素状塩素を使用せずに漂白処理したパルプを用いると、元素状塩素で漂白処理したパルプを用いた場合よりもパルプ繊維の傷みが少ないため、より強度の優れたティシュペーパーを得ることができ、また、ティシュペーパーに遊離の塩素が含まれないため、衛生面及び環境面からも好ましい。
【0016】
また、セルロースパルプとして、漂白処理工程で酸処理したパルプを用いることにより、退色性の少ない、白色度の高いパルプが得られるため、良好な白色度を有するティシュペーパーを得ることができる。
【0017】
また、本発明のティシュペーパーは、その抽出pHが6.6〜7.4になるように抄紙系のpHを調整して抄紙することが好ましい。ティシュペーパーの抽出pHがこの範囲になるように抄紙系のpHを調整すると、ドライヤー面からのペーパーウエブの剥離性が適正な範囲となり、その結果、良好なクレープが付与されるため、柔らかくて手触り感の良い製品が得られる。
【0018】
本発明のティシュペーパーは、収納箱を形成する板紙とのJIS K 7125で規定する摩擦係数において、静摩擦係数が0.4〜0.5の範囲にあり、且つ動摩擦係数が0.35〜0.45の範囲にある。
本発明において、上記の摩擦係数を得るためには、ティシュペーパーを構成するスラッシュパルプとドライパルプの配合比率を調整するなどしてパルプ自体の滑り性を調整する方法、パルプ自体に柔軟剤や滑剤を添加して抄紙する方法、種々の滑り性を有するパルプを適宜組合せる(混合して抄紙する)ことで最適な摩擦係数を得る方法、ティシュペーパーに柔軟剤や滑剤を吹付け塗布する方法等がある。また、収納箱側の摩擦係数調整方法として、収納箱を形成する板紙の箱の内面に相当する面に滑剤を塗布する方法、取出し口のフィルムの内面に滑剤を塗布し、取出し口のフィルムとティシュペーパーの滑り性を向上させ、取出し性を改善する方法、収納箱の板紙を構成するパルプの種類を変更する方法、等がある。
【0019】
本発明において、上記の摩擦係数を得るために、パルプに柔軟剤や滑剤を添加する方法の場合には、パルプ絶乾量に対して0.01〜5質量%配合することが好ましい。
また、ティシュペーパーに柔軟剤や滑剤を吹付け塗布する方法の場合には、濃度が0.01〜5%である塗布液を有効成分の塗布量が0.1〜3g/m となるように塗布することが好ましい。
さらに、収納箱の内面に滑剤を塗布する方法では、濃度が0.01〜5質量%である塗布液を滑剤の塗布量が0.1〜10g/m となるように塗布することが好ましい。
【0020】
本発明において、ティシュペーパーを製造するためのセルロースパルプとしては、広葉樹、針葉樹からなる木材チップ等のリグノセルロース材料を蒸解して得られる化学パルプから製造されるスラリー状態のままのスラッシュパルプ、このスラッシュパルプを脱水、乾燥して得られるドライパルプ、あるいは古紙を脱墨処理して得られる脱墨古紙パルプ等を使用することができるが、このうち、ドライパルプを用いることが好ましく、ドライパルプを30〜100質量%配合することにより、適正な範囲の摩擦係数を有するティシュペーパーを得ることができる。
ドライパルプの配合量が30質量%未満になると、得られるティシュペーパーの摩擦係数が大きくなり、取出し性が悪くなる。
【0021】
本発明において、ティシュペーパーに使用されるセルロースパルプは、木材を蒸解して得ることができる。蒸解法としてはクラフト蒸解、ポリサルファイド蒸解、ソーダ蒸解、アルカリサルファイト蒸解等の公知の蒸解法を用いることができるが、パルプ品質、エネルギー効率等を考慮すると、クラフト蒸解法、または、ポリサルファイド蒸解が好適に用いられる。
例えば、木材をクラフト蒸解する場合、クラフト蒸解液の硫化度は5〜75%、好ましくは15〜45%、有効アルカリ添加率は絶乾木材重量当たり5〜30質量%、好ましくは10〜25質量%、蒸解温度は130〜170℃であり、蒸解方式は、連続蒸解法あるいはバッチ蒸解法のどちらでもよく、連続蒸解釜を用いる場合は、蒸解液を多点で添加する修正蒸解法でもよく、その方式は特に問わない。
【0022】
本発明においては、蒸解後に一般的に用いられている、アルカリ酸素脱リグニン工程を設けることが可能であり、さらに、酵素処理工程を設けることが可能である。前記酵素処理工程で使用される酵素は、パルプと反応させることにより、JIS P 8206で測定されるパルプの過マンガン酸カリウム価が低下するものであれば、いかなる酵素でも良い。たとえば、キシラナーゼ、リグニンパーオキシダーゼ、マンガンパーオキシダーゼ、ラッカーゼ等が知られいるが、勿論これらの酵素でも良く、未だ知られていない酵素でも該当する酵素であれば良いことは言うまでもない。また、これらの酵素は単独で用いてもよく、あるいは複合、混合して、さらには複数回に分けて使用することもできる。これらの酵素のうち、キシラナーゼと呼ばれるキシラン分解酵素は、漂白促進効果も同時に有しており、好適に用いられる。
【0023】
本発明において、酸処理は、反応初期pH1.5〜4.5が良い。更に好ましくは、反応初期pH2.0〜4.0が良い。反応初期pHが1.5未満では、パルプ強度への悪影響が大きく、一方、pHが4.5を越えて高くなると、ヘキセンウロン酸の除去効果が少なくなると同時に工程内の蓚酸カルシウムのスケーリングが激しくなる。
また、酸処理の温度は、60〜120℃、好ましくは65〜105℃であり、温度が60℃未満ではヘキセンウロン酸の除去効果が少なく、一方、120℃を越えて高くなるとパルプ強度への悪影響が大きくなる。
更に、酸処理のリテンションは、その効果とパルプ繊維へのダメージを考えると、30〜300分が良く、処理濃度は、一般的な工程内濃度であれば特に制限は無いが、8〜15質量%の中濃度法、または25〜40質量%の高濃度法が好ましい。
一方、酸処理においては、過酸化水素を同時に添加しても良いが、添加率は、絶乾パルプ当たり、0.05〜5質量%が良く、効果やパルプ繊維へのダメージを考えると0.1〜2%がより好ましい。
【0024】
本発明の酸処理に用いられる酸としては、酸処理時のpHを2〜4に調整できるものであれば無機酸、有機酸のいずれも用いることができるが、硫酸、硝酸、塩酸、亜硫酸、亜硝酸等の無機酸、中でも硫酸が入手と取り扱いが容易であるため好適に用いられる。その他、酸処理については、一般的な処方が用いられる。
【0025】
本発明において、多段漂白処理工程は、初段には二酸化塩素漂白段(D)、あるいは、オゾン漂白段(Z)、あるいは、オゾン漂白と二酸化塩素漂白を連続して組み合わせた漂白段(Z/D)等が好適に用いられ、二段目にはアルカリ抽出段(E)が用いられ、三段目以降には、二酸化塩素、アルカリ過酸化水素等の組み合わせが好適に用いられる。
初段の二酸化塩素漂白段に用いられる二酸化塩素は、当業者にとって公知の多くの二酸化塩素発生法より得られる二酸化塩素から選ぶことができるが、好適には、塩素を副生しない発生法から得られる二酸化塩素が用いられる。また、初段の二酸化塩素段でのpHは2〜6、好ましくは2.5〜4であり、pHを調整するために任意の酸またはアルカリを補助的に添加することも可能である。また、二酸化塩素処理時間、処理温度、パルプ濃度等のその他の二酸化塩素漂白条件は、全て公知の条件を使用することができる。
【0026】
二酸化塩素漂白段に続くアルカリ抽出段では、当業者にとって公知の多くのアルカリ化合物から選ぶことができるが、苛性ソーダが最も使用しやすく、好適に使用される。また、アルカリ抽出段では、酸素および/または過酸化水素を併用することもできる。その他、アルカリ抽出段は、公知の条件により行うことができる。
【0027】
多段漂白工程で用いられる、二酸化塩素漂白段、アルカリ抽出段に続く三段目以降の漂白段では、塩素および次亜塩素酸塩以外の漂白薬品であれば如何なる漂白薬品を用いても良いが、二酸化塩素、アルカリ過酸化水素、オゾン、過酸、等の一般的な漂白薬品が好適に用いられる。三段目以降の段数も特に限定されるわけではないが、エネルギー効率、生産性等を考慮すると、合計で三段あるいは四段で終了するのが好適である。
【0028】
本発明において使用されるパルプを製造する際に、漂白工程で使用される薬品としては、塩素および次亜塩素酸塩を除く、酸処理(A)、酸性領域での過酸化水素(A/P)、二酸化塩素(D)、アルカリ(E)、酸素(O)、過酸化水素(P)、オゾン(Z)、有機過酸等の公知の漂白剤と漂白助剤を挙げることができる。漂白シーケンスとしては、A−D−E/O−D、A−D−E/O−P−D、 A−D−E/O−D−D、A−D−E/O−D−P、A−D−E/OP−D、A−D−E/O−Z−D、A−Z−E/O−D、A−Z−E/OP−D、A−Z−E/OP−D−P、A−Z−E/OP−P−D、A−Z−D−E/O−D、A−Z−D−E/OP−D、A−Z/D−E/O−D、A−Z/D−E/OP−D等を挙げることができる。また、酸処理(A)を酸性領域の過酸化水素処理(A/P)に置換しても良い。
一方、多段漂白工程中にエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)等によるキレート剤処理段を挿入しても良い。
【0029】
本発明において、ティシュペーパーの抄紙機としては、円網、短網、ツインワイヤー等のヤンキーマシンが利用できる。ヤンキードライヤー上でウエットクレープ又はドライクレープをつけるか、若しくはウエットクレープをつけ、更にドライクレープをつけることによってティシュペーパーの原紙が得られる。ボックス入りの化粧用ティシュペーパー等の場合、これを2枚重ねて、通常上下1対の金属ロールからなるカレンダーで処理してティシュペーパーが製造される。
【0030】
抄紙方法としては、従来型の全パルプを混合して均一な1つの層として抄紙する方法、及びいわゆる積層ティシュペーパーである2層以上を重ね合わせて1枚とする抄紙方法のいずれも適用することができるが、後者の抄紙方法がより好ましい。
【0031】
積層ティシュペーパーは3層以上を積層すると、地合いが悪くなって品質が低下する可能性があるので、2層からなるティシュペーパーが現在主流である。ティシュペーパーを2層とし、その1層が広葉樹パルプを含み、該パルプを含む層をヤンキードライヤーの鏡面に接して乾燥させ、次いで該ヤンキードライヤーの鏡面に接した広葉樹パルプを含む層が外側に、即ち使用者が手に触れる面が外側になるように2枚のティシュペーパーを配置すると、手触り感が一層向上する。
【0032】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、勿論本発明はこれによって何等制限されるものでない。また、本実施例、比較例中で用いている「部」は、「質量部」を意味する。
また、各実施例及び比較例で得られたティシュペーパーについて行なった評価及び評価法は下記の通りである。
【0033】
摩擦係数
JIS K 7125:1999で規定する方法によりティシュペーパーと収納箱を形成する板紙との摩擦係数を測定した。
すなわち、水平式摩擦測定機(東洋精機製、TR−2型)を用いて、テーブル(測定台)に収納箱形成用の板紙を固定し、63mm×63mmの滑り片(錘)の底面にティシュペーパーを貼り付けて固定し、ロードセル2Kgf、滑り片の重さ200g、テーブルの移動速度133mm/min、移動(摩擦)距離20mmの条件で静摩擦係数及び動摩擦係数を測定した。
【0034】
ティシュペーパーの取出し性
収納箱に収納した200組のティシュペーパーのうち、最初の20組を取出し、破れた組数を数えた。この操作を10回実施し、その平均値で評価した。
【0035】
ソフトネス
J.TAPPI 紙パルプ試験法No.34−80.衛生用薄用紙の柔らかさ試験方法により測定した。すなわち、ティシュペーパーのシート(200×200mm)を一定の隙間(6.35mm)に押し入れるのに必要な仕事量をHandle−O−Meter(熊谷理機工業社製)により測定し、mN/10cmで表示した。なお、試料片の押し入れは、試料の流れに対し直角(縦方向)に折り曲げて行った。
【0036】
手触り感
男性4人、女性6人で官能評価し、次の区分で表示した。
◎:非常に良い ○:良い △:普通 ×:悪い
【0037】
実施例1
原料パルプとしては、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)として市販パルプ(ドライパルプ)(PTテル社製、品名:アカシア)30部と自製パルプ(スラッシュパルプ)20部を配合したものを用い、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)として市販パルプ(ドライパルプ)(HSPP社製、品名:HS−300)30部と自製パルプ(スラッシュパルプ)20部を配合したものを用い、各々フリーネス560ml(CSF)のものを使用した。
なお、自製LBKPとしては、アルカリ酸素脱リグニン処理後に硫酸を用いて酸処理(pH3、温度:90℃、保持時間:120分)を行い、D−E/O−Dの漂白工程で漂白した白色度84.2%のパルプを使用し、また、自製NBKPとしては、アルカリ酸素脱リグニン処理後にD−E/O−P−Dの漂白工程で漂白した白色度84.2%のパルプを使用した。
各々の原料パルプに湿潤紙力増強剤(品名:アラフィックス255、荒川化学工業製)を絶乾パルプ質量当たり0.1質量%添加し、次いで、得られる製品ティシュペーパーの抽出pHが6.6〜7.4の範囲になるように抄紙系のpHを水酸化ナトリウム溶液で調整した後、ツインワイヤータイプの2層抄き合せ式のヤンキー抄紙機により1700m/分の速度で抄紙してLBKPの層とNBKPの層を積層し、LBKPの層がヤンキードライヤーの鏡面に接するようにして乾燥して、坪量が11.5g/m 、LBKPとNBKPの使用比率が絶乾量で50:50のティシュペーパーを抄造した。
得られたティシュペーパーをクレーピングドクターによりドライヤー面から剥がし、巻き取りリールとの間に速度差を設けることにより、24%のドライクレープを付与し、次いで、ヤンキードライヤーの鏡面に接したLBKPの層が外側になるように2枚重ねにして化粧用ティシュペーパーを製造した。
次いで、得られたティシュペーパーをポップアップ方式で折り畳んで200組(400枚)の束を形成した後、所定寸法に断裁し、内側の高さ寸法が50mmの収納箱に収納してティシュペーパー製品を作製した。なお、収納箱は、白板紙(品名:UFコート330g、王子製紙製)を用いて形成した。
また、ティシュペーパーと白板紙との静摩擦係数は0.46であり、動摩擦係数は0.41であった。
【0038】
実施例2
LBKPとして市販パルプ45部と自製パルプ5部を配合したものを用い、NBKPとして市販パルプのみを用いた以外は、実施例1と同様にしてティシュペーパー製品を作製した。
なお、ティシュペーパーと白板紙との静摩擦係数は0.43であり、動摩擦係数は0.38であった。
【0039】
実施例3
LBKPとして市販パルプ15部と自製パルプ35部を配合したものを用い、NBKPとして市販パルプ15部と自製パルプ35部を配合したものを用いた以外は、実施例1と同様にしてティシュペーパー製品を作製した。
なお、ティシュペーパーと白板紙との静摩擦係数は0.49であり、動摩擦係数は0.45であった。
【0040】
実施例4
LBKPとして市販パルプ10部と自製パルプ40部を配合したものを用い、NBKPとして市販パルプ10部と自製パルプ40部を配合したものを用い、LBKP、NBKPそれぞれに滑剤(品名:ネオソフターSOFT−CAT、日新化学研究所製)を対パルプ0.2質量%配合した以外は、実施例1と同様にしてティシュペーパー製品を作製した。
なお、ティシュペーパーと白板紙との静摩擦係数は0.41であり、動摩擦係数は0.36であった。
【0041】
比較例1
LBKPとして市販パルプ10部と自製パルプ40部を配合したものを用い、NBKPとして市販パルプ10部と自製パルプ40部を配合したものを用いた以外は、実施例1と同様にしてティシュペーパー製品を作製した。
なお、ティシュペーパーと白板紙との静摩擦係数は0.54であり、動摩擦係数は0.49であった。
【0042】
比較例2
LBKPとして市販パルプ10部と自製パルプ40部を配合したものを用い、NBKPとして市販パルプ10部と自製パルプ40部を配合したものを用い、得られたテッシュペーパーの原紙を2枚重ねにする工程で、滑剤(品名:ネオソフターSOFT−CAT、日新化学研究所製)を1.0g/m 吹付け塗布した以外は、実施例1と同様にしてティシュペーパー製品を作製した。
なお、ティシュペーパーと白板紙との静摩擦係数は0.37であり、動摩擦係数は0.31であった。
【0043】
各実施例及び比較例で得られたティシュペーパーについて行った各特性の評価結果を表1に示す。
表1から明らかなように、各実施例の本発明のティシュペーパー製品は、収納箱からの取出し性に優れ、柔らかくて手触り感が良好であった。これに対し、比較例1のものは、収納箱からの取出し性が悪く、手触り感が劣り、比較例2のものは、ティシュペーパーが滑り易く、折り畳み工程あるいは収納箱への収納工程でティシュペーパーの束が崩れるトラブルが発生する場合があった。これらの例により、本発明の効果が確認された。
【0044】
【表1】
Figure 2004187930
【0045】
【発明の効果】
本発明のティシュペーパー製品は、ティシュペーパーと収納箱を形成する板紙との間に特定の静摩擦係数と動摩擦係数を有するものであり、収納箱の高さ寸法を低くし、ティシュペーパー1枚当たりの箱高さ寸法を低くした所謂コンパクト化製品とした場合でも、収納箱からの取出し性に優れ、さらに、柔らかく、手触り感のよいものである。

Claims (5)

  1. 複数枚のティシュペーパーを2枚1組として所謂ポップアップ方式で折り畳んだものを略直方体の収納箱に収納したティシュペーパー製品において、
    前記ティシュペーパーはセルロースパルプを主原料としてなり、さらに前記収納箱は板紙から形成され、前記ティシュペーパーと前記収納箱上面の内側面とのJIS K 7125で規定する静摩擦係数が0.4〜0.5であり、且つ動摩擦係数が0.35〜0.45であることを特徴とするティシュペーパー製品。
  2. 前記セルロースパルプが、少なくとも一部にドライパルプを含むことを特徴とする請求項1記載のティシュペーパー製品。
  3. 前記セルロースパルプが、少なくとも一部に蒸解後に元素状塩素を使用しないで漂白処理したパルプを含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のティシュペーパー製品。
  4. 前記セルロースパルプが、少なくとも一部に漂白処理工程で酸処理したパルプを含むことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のティシュペーパー製品。
  5. 前記収納箱の内側の高さ寸法が40〜60mmであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のティシュペーパー製品。
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