JP2004187879A - 肌状態の評価方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】自然な仕上がり感の程度を客観的かつ定量的に表すために、被検対象の肌画像をデジタル画像として撮像した肌画像を用い、単位画素間の色差と明暗が平均的に分布するかどうかを示すばらつき指数を算出し、この両者の関係をグラフ化し、表示する。
【選択図】 図5
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、肌状態の評価方法に関する。更に詳細には、化粧料の自然な仕上がり感などの肌の状態の評価について、目視と近い評価結果を得ることのできる肌状態の評価方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、女性の肌に化粧が施される場合、その仕上がりの状態に違和感がなく自然に近いものが好まれることが多い。従って、肌に適用する化粧料に関しては、このような自然な仕上がり状態を与えることができるものを目標として開発されることになる。
【0003】
しかしながら、肌に適用された化粧料が自然な仕上がりとなっているかどうか等の評価は、評価者の主観に依存することが多く、評価者、評価時期等により評価結果にばらつきが生じてしまうことがあり、客観的に測定することは非常に困難であった。
【0004】
また、従来から、肌状態を測定装置を用いて評価することもおこなわれており、例えば、マクロな観点からの手段として、色差計を用いる測定方法が知られている。しかしこの方法は、肌の色調の平均値を測定して評価するものであって、化粧後の肌が素肌に近いかどうかを評価するものではなかった。更に、ミクロな観点からの手段としては、マイクロスコープや顕微鏡を用いて測定する方法があるが、これらは肌の状態を微視的に示すだけのものであり、これらから得られた結果を用いて化粧料の自然な仕上がり感を判断することは困難であった。
【0005】
一方、異なる化粧料の仕上がり感を評価する方法として、パネラーによる評価も行われていたが、同一人の肌を用いて評価する場合は、時間をおいた評価になるという問題があった。また、複数のパネラーによる場合であっても、別人の肌を用いて評価することとなるため、パネラーの肌の状態の違いも考慮して評価しなければならないという問題も有していた。
【0006】
また、サンプル皮膚表面の二次元サンプル画像を撮像して、演算処理して、皮膚表面の凹凸や光の反射を分析検査する皮膚表面解析システムも提供されていたが(例えば、特許文献1)、操作が煩雑である等の問題があり、必ずしも満足のいくものではなかった。
【0007】
【特許文献1】
特許第3236731号公報(第1−10頁)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って、肌における化粧料の自然な仕上がり感について、目視での判断に近い評価を、簡便な操作により客観的かつ定量的に行うことのできる肌状態の評価方法の提供が求められていた。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、肌における化粧料の自然な仕上がり感は、化粧料の適用によって、肌上で色変化を起こすシミ、シワ、クマ、そばかす等が目立たなくなっているかどうかや、肌上で色変化の生じている部分が均一に分布しているかどうか等によって決定づけられていることを知った。そして、この自然な仕上り感の程度を客観的かつ定量的に表すためには、被験者の肌をデジタル画像として撮像した肌画像を用い、単位画素間の色差と、明暗が平均的に分布するかどうかを示すばらつき指数を算出し、この両者の関係をグラフ化すればよいことを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち本発明は、次の工程、
(1)被検対象の肌画像をデジタル画像として撮像する工程、
(2)撮像した画像の各単位画素ごとに、隣接する画素との間での色差を算出し、所定の色差を代表色差(D(x,y))とする工程、
(3)上記(2)で得た代表色差を、所定幅で区分し、各区分段階における部 分集合(U(m))とし、この部分集合に含まれる単位画素数(N(m))を求める工程、
(4)上記(3)で得た単位画素数と、対象となる領域に含まれる全単位画素 数(N0)から、次の式
【数2】
により各部分集合毎の占有距離OD(m)を求める工程、
(5)上記(3)で得た各部分集合について、この部分集合に含まれる単位画 素毎に一定距離k以内に存在する同じ部分集合に含まれる他の単位画素数から、近隣単位画素数(SN(k))を求め、更にこの画素数を各部分集合の全単位画素数で割り、平均近隣単位画素数(SAN(k))を求める工程、
(6)一定距離kと平均近隣単位画素数の関係から、近似関数を導く工程、
(7)この関数のkに上記(4)で求めた占有距離OD(m)を代入してばらつき指数(AI(m))を求める工程、
(8)上記(2)で求めた代表色差とばらつき指数の関係をグラフ化する工程、
(9)このグラフの形状を他の肌状態と比較する工程
を含む肌状態の評価方法を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の評価方法を実施するには、まず、被検対象の肌画像をデジタル画像として撮像することが必要である。
【0012】
この撮像は、一般的なデジタルカメラを用いて行うことができ、その画素数については特に制約はない。また、この撮像において、例えば、化粧後の仕上がりの自然さを評価する場合には、素肌の状態と化粧後の状態を同じ条件で撮像することが好ましい。
【0013】
また、肌状態をより正確に判定するためには、上記のようにして撮像した肌画像から、非評価部分を除去して、評価部分とすることが好ましい(以下、この部分のデジタル画像を「抽出画像」という)。この非評価部分とは、肌状態の評価に不要な部分のことであり、例えば毛髪や背景画像等を意味する。また、抽出画像の単位領域は、目的によりある程度の面積の部分を意識的に設定してもよいが、一般的には、デジタル画像の画素(ピクセル)をそのまま単位領域として使用すればよい。
【0014】
次に撮像した画像の各単位画素ごとに、隣接する画素との間での色差を算出し、代表色差(D(x,y))を求めることが必要である。この色差は、各単位画素の色情報、例えば、明度や彩度等から求めることができる。また、代表色差は、予め定められた方法により決めることができ、例えば、各色差の平均値や、そのうちの最大のものとすることができる。
【0015】
具体的に、色情報として明度および彩度を使用し、デジタル画像である抽出画像から最大の色差として代表色差を得るには、次のようにすればよい。すなわち、まず、抽出画像を市販の画像処理アプリケーション(例えば、PhotoShop(R)6.0:アドビシステムズ社製)を用いてビットマップ(bmp)形式に変換し、各画素ごとのRGBデータを取得する。
【0016】
次いで、上記のようにして得られたRGBデータを、L*、a*およびb*データに変換する。この変換は、パソコン等を使用し、例えば、以下の式により行われる。
【0017】
<L*、a*およびb*値の算出式>
【数3】
[式中、R、G、Bは画素毎のRGB値(0〜255)を、L*、a*、b*は各画素のL*、a*、b*値をそれぞれ示し、X0は0.950、Y0は1.00、Z0は1.09の数を示す]
【0018】
このようにして得られた各単位画素ごとのL*、a*およびb*データから、各単位画素と隣接する画素間の色差が求められる。例えば、上下左右の単位画素との間での色差(D)を算出するには、下記に示す式に従って計算を行えば良い。すなわち、下式の色差は、着目している画素(単位画素)と隣接する上下の画素(y+1およびy−1)および左右の画素(x+1およびx−1)との間の色差を示すものである。
【0019】
<色差(D)の算出式>
【数4】
[式中、L*(x,y)、a*(x,y)およびb*(x,y)は、座標(x,y)の画素のL*、a*およびb*値をそれぞれ意味する]
【0020】
このようにして得られた、各単位画素と隣接単位画素間での色差が算出され、次にこの色差を基に、代表色差が求められる。例えば、代表色差として各色差のうちの最大のものとすることを予め定めていた場合は、下式に従って代表色差を求めることができる。
【数5】
[式中、max(D1,D2,D3,D4)は、隣接単位画素間での最大色差を意味し、D(x,y)は、座標(x,y)の画素の代表色差を意味する]
【0021】
次に、上で得た代表色差を、いくつかに区分し、各区分段階(m)における部分集合(U(m))を求めると共に、この部分集合に含まれる全単位画素数(N(m)を求める(以下、部分集合(U(m))に含まれる各単位画素の代表色差値として、単一の数字mを用いる)。この区分の段階は、例えば、整数とすることができ、その場合の部分集合(U(m))は、次の式で表される。
【数6】
[式中、mは0以上の整数であり、D(x,y)は、座標(x,y)の画素の代表色差を意味する]
【0022】
また、この部分集合(U(m))から、これに属する抽出画像中の全画素数(N(m))及び全単位画素数(N0)は、対象となる領域に含まれている全ての画素を走査して、各画素の代表色差(D(x、y))から属する部分集合(U(m))を決定し、それぞれの部分集合に含まれる画素数を数えることで部分集合(U(m))に属する抽出画像中の全画素数(N(m))及び対象となる領域に含まれる全単位画素数(N0)を求めることができる。
【0023】
更に、上記のように求めた単位画素数(N(m))と、対象となる領域に含まれる全単位画素数(N0)から、次の式により各部分集合毎の占有距離OD(m)を求める。
【数7】
【0024】
そして、この占有距離は、ある部分集合中の単位画素が全領域中で理想的に均等に分布していると仮定した場合に、他の同じ部分集合中の単位画素が存在しない最大の距離を意味する。
【0025】
一方、前記で得た各部分集合について、この部分集合に含まれる単位画素毎に一定距離k以内に存在する同じ部分集合に含まれる他の単位画素数から、近隣単位画素数(SN(k))を求め、更にこの画素数を同じ部分集合に含まれる単位画素数で割り、平均近隣単位画素数(SAN(k))を求める。
【0026】
この近隣単位画素数SN(k)は、部分集合中の各画素毎に、一定距離kの範囲内に存在する画素を走査して、同じ部分集合に属する他の画素の個数を数えることによりy求めることができる。なお、ここでいう距離kは、部分集合中の2点P(px,py)及びQ(qx,qy)について、下記の式(14)で表される。
【0027】
【数8】
【0028】
また、SN(k)は、部分集合U(m)ごとの、距離kの円内に存在する同じ部分集合に属する単位画素の合計個数を意味する。また、平均近隣単位画素数SAN(k)は、各単位毎の距離k以内に存在する同じ単位画素の平均数を意味する。
【0029】
次に、上記の距離kと、平均近隣単位画素数SAN(k)の関係を求め、これからkとSAN(k)の間の関係を表す近似式を求める。具体的には、例えば、距離kを1,2,3,……、と10程度まで変化させた場合の対応するSAN(k)(SAN(1)、SAN(2)、SAN(3)……、SAN(10))を求めておき、この各値を、近似式に代入して連立方程式を作成し、最小二乗法によって求められた近似解から近似式の係数を求め、kとSAN(k)の間の関係を表す近似式とすることができる。
【0030】
例えば、近似式として下記の5次式を使用した場合、この式のxにkの値を、f(x)にSAN(k)の値を代入することによって連立方程式を作成し、最小二乗法を用いてaないしfの近似解を求めることで、kとSAN(k)の間の関係を表す近似式を得ることができる。
【数9】
【0031】
上記のようにして得られた近似式のxの項に、距離kに代えて前記式(13)で求めた各占有距離OD(m)を代入すると、値f(OD(m))が得られるが、本発明では、この値をばらつき指数(AI(m))とする。このばらつき指数は、ある画素の部分集合における画素の分布が均一であるか否かを示す指標であり、ある画素の部分集合Uについて、全ての画素が、一定の範囲に色差を持つ部分集合内に対して理想的に均一分布されている場合に0となる一方、画素の分布が偏って存在するほど大きな値となる値である。具体的には、かかる部分集合内の画素が、上下左右方向に存在する他の画素に対して、後記する占有距離だけ移動した場合において、他の色差の画素がどの程度存在するかを示す値である。
【0032】
以上のようにして求められるばらつき指数(AI(m))を、代表色差の各区分毎に求め、これを代表色差値との関係でグラフ化する。例えば、代表色差値をx軸(横軸)、対応するばらつき指数をy軸(縦軸)としてプロットし、代表色差値とばらつき指数との関係をグラフとして表示すればよい。
【0033】
このようにして得られた代表色差値とばらつき指数との関係は、被験者の肌状態の評価を行なうために有用なものである。すなわち、このカーブ上で、例えば化粧した被験者の肌について得た上記グラフが、素肌について得たグラフと比べてどの方向にシフトしてるかを基に化粧による肌状態の評価を行うことができる。
【0034】
具体的には、カーブの位置および高さでどの方向にシフトしてるかにより評価を行うことができ、その際、x軸負方向の変化は、部分集合の色差が低くなっている状態であり、肌上で色変化の目立つ肌トラブル(毛穴やシミ、シワ、クマ等)が目立たなくなる効果が高いと解釈される。
【0035】
また、y軸負方向の変化は、部分集合のばらつき指数が低くなっている状態であり、肌上での色変化のある部分が均一に分布する状態であるため、肌が整って見える効果が高いと解釈される。
【0036】
これら評価及び判定方法は、次のようにまとめられる。
x軸正の方向にシフト:
部分集合の色差が全体的に高くなっている状態。肌トラブルを隠す効果 が低い。
x軸負の方向にシフト:
部分集合の色差が全体的に低くなっている状態。肌トラブルを隠す効果 が高い。
y軸正の方向にシフト:
部分集合のばらつき指数が全体的に高くなっている状態。肌が整って見 える効果が低い。
y軸負の方向にシフト:
部分集合のばらつき指数が全体的に低くなっている状態。肌が整って見 える効果が高い。
【0037】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。
【0038】
実 施 例 1
色差とばらつき指数の関係確認:
色評価用蛍光灯下において、青色で光沢のない布を背景として、500万画素デジタルカメラ(CAMEDIA E−20:オリンパス光学工業(株)製)を用い、被験者の顔を撮像した。撮像倍率は、1画素が100μm×100μmの範囲に相当する倍率とした。
【0039】
次いで、撮像した画像より、目視により対象領域と非対象領域を判別し、図1のように非対象領域を取り除いて抽出画像を得た。得られた抽出画像を、市販の画像処理アプリケーション(Adobe PhotoShop(R)6.0:アドビシステムズ社製)を用いてビットマップ(bmp)形式に変換し、抽出画像の1画素ごとのRGBデータを取得した。
【0040】
この抽出画像についてのRGBデータから、下式により各ドットのL*a*b*値を算出した。
【数10】
(式中、R、GおよびBは、ドット毎の256階調のRGB値であり、L*,a*,b*は、各ドットのL*a*b*値を意味する。また、X0は0.950,Y0は1.00,Z0は1.09である)
【0041】
このようにして算出される各画素のL*、a*およびb*値を基に、次の式により、上下左右で隣接する単位画素との間の色差、D1ないしD4を求める。
【数11】
【0042】
このD1ないしD4を比較し、このうちの最大色差のものを選び、これを3倍して代表色差D(x、y)とする。この操作を各単位画素について行い、対象領域の全画素の代表色差を求めた。なお、色差の算出については、図2に示すような軸方向になるようにした。
【0043】
次に、色差を、整数1毎に区分し、この各区分に入る代表色差D(x,y)を集め、各区分毎に部分集合U(m)とした。この各部分集合は、次の式
【数12】
(ここで、mは0以上の整数を示す)
を満たすものであり、この各部分集合に含まれる単位画素の代表色差値は、整数mとした。従って、
【数13】
を満たす単位画素の代表色差値は、整数1となる。
【0044】
更に、この部分集合U(m)に含まれる単位画素数N(m)を求め、この画素数と、抽出画像全体の画素数N0から、下記式
【数14】
を用いて、占有距離OD(m)を算出した。
【0045】
具体的に、図1の対象領域について、求めた画素数および占有距離は、次の表1の通りである(全体の画素数N0は、503314である)。
【0046】
【表1】
【0047】
別に、部分集合U(m)に対し、距離k(1画素長)を1,2,3,……,10と変化させた場合における、同じ部分集合に属する別の単位画素数(SN(k))を求めた。このSN(k)を、同じ部分集合の画素数(N(m))で割ってSAN(k)を算出した。図1の対象領域について、代表色差値6での距離kとSAN(k)の関係をグラフ上にプロットした結果を図3に示す。
【0048】
一方、前記した5次式を近似式とし、このxにkの数値を、f(x)にSAN(k)の数値を代入して、連立方程式を作成し、最小二乗法を用いて以下に示すa〜fの近似解を得た。
a=0.00003
b=−0.0009
c=0.0081
d=0.4551
e=0.1325
f=−0.0375
【0049】
これらの値を5次式に代入することにより、代表色差6における近似式として下記式を得た。なお、この式が示す曲線を、図3中に実線で示す。
【数15】
【0050】
このようにして得られた近似式のxに、前で求めた占有距離OD(=2.02)を代入することにより、代表色差値6でのばらつき指数AI(=2.14)を算出した。
【0051】
同様に、各代表色差値について、それぞれのばらつき指数を求めた。このうち、代表色差値4から9について、ばらつき指数の関係をプロットしてグラフを図4に示す。
【0052】
実 施 例 2
ファンデーションの仕上がり判定方法(1):
実施例1に示した方法を用い、同じ被験者について、ファンデーション1ないし3で化粧した後の色差のばらつき指数の関係を求めてそれぞれグラフとし、素肌の状態で得たグラフと比較した。結果を図5に示す。なお、ファンデーション塗布時には共通の下地乳液を用いて、ファンデーションごとに塗布量を揃えて塗布した。
【0053】
この結果から、ファンデーション1を用いて化粧した場合は、素肌の状態に比べ、x軸負方向へのシフトが少なく、y軸負方向へのシフトが大きいため、肌トラブルを隠す効果が低く、肌が整って見える効果が高いと評価した。そして、化粧料の自然な仕上がり効果(総合評価)としては、「やや自然な仕上がりである」と評価した。
【0054】
また、ファンデーション2は素肌に比べ、x軸負方向及びy軸負方向へのシフトが大きいため、肌トラブルを隠す効果及び肌が整って見える効果がともに高いと評価した。そして、化粧料の自然な仕上がり効果(総合評価)としては、「非常に自然な仕上がりである」と評価した。
【0055】
更に、ファンデーション3は素肌に比べ、x軸負方向のシフトが大きく、y軸負方向のシフトが小さいため、肌トラブルを隠す効果が高く、肌が整って見える効果が低いと評価した。そして、化粧料の自然な仕上がり効果(総合評価)としては、「やや自然な仕上がりである」と評価した。以上のファンデーション1〜3の結果をまとめて表2に示す。
【0056】
実 施 例 3
ファンデーションの仕上がり判定方法(2):
専門パネル20名に、被験者の肌表面を、「肌トラブルを隠す効果」「肌が整って見える効果」及び「化粧料の自然な仕上がり効果」の3項目について、以下の評価基準で判定した。
【0057】
( 評価基準 )
4 点 : 非常に高い
3 点 : 高 い
2 点 : 普 通
1 点 : 低 い
0 点 : 非常に低い
【0058】
そして、上記の基準で判定した20名の平均点を算出し、以下の総合評価基準で判断した。この結果も併せて表2に示す。
【0059】
( 総合評価基準 )
3.5点以上 : ◎
2.5点以上3.5点未満 : ○
1.5点以上2.5点未満 : △
1.5点未満 : ×
【0060】
( 結 果 )
【表2】
【0061】
表2の結果から、本発明の評価方法による判定は、専門パネルによる判定と相関が非常に高いものであり、本発明の方法が肌状態を評価する方法として妥当であることが確認できた。
【0062】
【発明の効果】
本発明の肌状態の評価方法は、被験者の肌の画像を用いて、化粧料の適用による肌トラブルを隠す効果、および肌が整って見える効果の程度を判断することにより、化粧料の自然な仕上がり感などの肌状態の評価を客観的かつ定量的に行うことを可能とするものである。
【0063】
そして、本発明の方法により、個人差のある化粧の仕上がり状態を客観的に把握することができるため、より自然で性能の優れた化粧料を開発することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において、画像中の対象領域を示した図面である。
【図2】実施例1において、対象領域の軸方向を示した図面である。
【図3】実施例1において、代表色差値6での距離kをとSAN(k)の関係をプロットしたグラフである。
【図4】実施例1において代表色差値とばらつき指数の関係をプロットしたグラフである。
【図5】実施例2において、素肌時及びファンデーション1〜3を用いて化粧を施した場合の代表色差値とばらつき指数の関係をプロットしたグラフである。
以 上
Claims (6)
- 次の工程、
(1)被検対象の肌画像をデジタル画像として撮像する工程、
(2)撮像した画像の各単位画素ごとに、隣接する画素との間での色差を算出 し、所定の色差を代表色差(D(x,y))とする工程、
(3)上記(2)で得た代表色差を、所定幅で区分して各区分段階における部 分集合(U(m))とし、この部分集合に含まれる単位画素数(N(m))を求める工程、
(4)上記(3)で得た単位画素数と、対象となる領域に含まれる全単位画素 数(N0)から、次の式
(5)上記(3)で得た各部分集合について、この部分集合に含まれる単位画 素毎に一定距離k以内に存在する同じ部分集合に含まれる他の単位画素数から、近隣単位画素数(SN(k))を求め、更にこの画素数を各部分集合の全単位画素数で割り、平均近隣単位画素数(SAN(k))を求める工程、
(6)一定距離kと平均近隣単位画素数の関係から、近似関数を導く工程、
(7)この関数のkに上記(4)で求めた占有距離OD(m)を代入してばら つき指数(AI(m))を求める工程、
(8)上記(2)で求めた代表色差とばらつき指数の関係をグラフ化する工程、
(9)このグラフの形状を他の肌状態と比較する工程
を含む肌状態の評価方法。 - 素肌状態で得られたグラフと化粧後の肌状態で得られたグラフを比較するものである請求項第1項記載の肌状態の評価方法。
- 単位画素とこの領域に隣接する画素の色差を、これらの領域の明度および彩度から算出する請求項第1項または第2項記載の肌状態の評価方法。
- 単位画素に隣接する画素が、単位画素の上下左右に同じ面積で隣接する画素である請求項第1項ないし第3項の何れかの項記載の肌状態の評価方法。
- 代表色差が、最も大きい色差である請求項第1項ないし第4項の何れかの項記載の肌状態の評価方法。
- 近似関数が、5次関数である請求項第1項ないし第5項の何れかの項記載の肌状態の評価方法。
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