JP2004187625A - 新規ジスルフィド酸化還元酵素、および、該酵素を用いたタンパク質の活性化方法 - Google Patents

新規ジスルフィド酸化還元酵素、および、該酵素を用いたタンパク質の活性化方法 Download PDF

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Abstract

【解決手段】Brevibacillus choshinensis由来の新規遺伝子catAのクローニングに成功し、その塩基配列も決定された。本遺伝子は、ジスルフィド酸化還元活性を有する新規タンパク質CatAをコードする遺伝子を含んでおり、これを導入した形質転換体も作製され、発現が確認された。
【効果】生理活性を示さないタンパク質にCatAを作用させると、該タンパク質が活性化され、また、組換えタンパク質をコードするDNA及びCatAをコードするDNAの双方を含有する形質転換体によれば、生理活性を有する組換えタンパク質が製造される。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規ジスルフィド酸化還元酵素およびそれをコードする遺伝子、及び、該酵素を用いた活性型タンパク質の生産方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
遺伝子組換え技術は、生体由来のペプチド又はタンパク質などで、微量成分として単離することが著しく困難であった物質を、微生物や動物細胞などを用いて大量に生産することを可能にした。しかしながら、遺伝子組換え技術を用いて生産されたタンパク質が、天然型のタンパク質が有している本来の生理活性を示さないことが、しばしばあり、大きな問題になっている。
【0003】
このことの大きな原因のひとつとして考えられているのは、遺伝子組換え技術を用いて生産されたタンパク質は、一次構造(アミノ酸配列)こそ天然の生理活性を有するタンパク質と同じ正しい構造(配列)を有しているものの、その立体構造が生理活性を有する本来の立体構造と異なってしまうことである。
【0004】
タンパク質の立体構造の形成・保持、および、それに伴う生理活性の発現にきわめて重要な役割を果しているのは、タンパク質分子内および/または分子間のシステイン残基間で形成されるジスルフィド結合である。遺伝子組換え技術を用いて生産されたタンパク質には、このジスルフィド結合に不備があること、すなわち、本来あるべきジスルフィド結合が形成されていなかったり、または、分子内および/または分子間のシステイン残基間で本来とは異なった位置のジスルフィド結合が形成されたりすることが多い。そのため、遺伝子組換えにより生産されたタンパク質の立体構造が、生理活性を有する本来のタンパク質の構造と異なってしまうか、さらに場合によっては、タンパク質の不溶性の凝集塊が生成されることが知られている。そして、このことにより、そのタンパク質が本来有するはずの生理活性の低下または消失が起こると考えられている。
【0005】
また、化学合成されたポリペプチドや細胞抽出液中(Cell free系)を用いて生産されたタンパク質についても、ジスルフィド結合を欠く比較的折り畳みの少ない構造をとっているなど、本来の正しい立体構造を有していない場合が多く、そのために生理活性を示さないことが、しばしばあることが知られている。
【0006】
ジスルフィド結合の形成・開裂は、2つのシステイン残基の単純な酸化還元反応である。したがって、適当な酸化還元条件の下でいずれの方向にも非酵素的に起こすことができる。そのため化学的な酸化還元反応により、ジスルフィド結合に不備があるタンパク質を正しいジスルフィド結合を持つタンパク質に変換する方法も知られている。しかしながら、こうした化学的な酸化還元反応による方法では、遺伝子組換え技術により生産されたタンパク質、特に、多数のジスルフィド結合を持つタンパク質に対して実用的な効率で、正確なジスルフィド結合を形成させることは不可能である。
【0007】
そのため、生理活性を示さないタンパク質のジスルフィド結合を修正することにより生理活性を有するタンパク質を得るために、当業者において広く試みられている方法は、ジスルフィド酸化還元活性を有するタンパク質(以下、「ジスルフィド酸化還元酵素」と称する場合がある。)を作用させる方法である。たとえば、ジスルフィド酸化還元酵素としてチオレドキシンを用いた方法(例えば、非特許文献1参照)、プロテインジスルフィドイソメラーゼ(PDI)を用いた方法(例えば、特許文献1参照)などが知られている。また、ジスルフィド酸化還元酵素をコードするDNAを宿主生物に導入し、目的とする遺伝子組換えタンパク質とジスルフィド酸化還元酵素を同時に発現させることにより、正しいジスルフィド結合を有するタンパク質を製造する方法も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
ジスルフィド酸化還元酵素として知られている主要なものには、チオレドキシン、ヒトPDI(例えば、非特許文献2、特許文献3参照)、および、大腸菌由来のDsb(例えば、非特許文献3、同4参照)を始めとするDsbファミリーなどがある。さらに枯草菌(Bacillus subtilis)由来のものとしてBdb(例えば、非特許文献5参照)などが知られている。
【0009】
これらのジスルフィド酸化還元酵素は、共通する特徴としてチオレドキシンモチーフ(C−X−X−C)(Cはシステイン残基、Xは任意のアミノ酸残基)と呼ばれるアミノ酸配列を有することが知られている。このチオレドキシンモチーフはジスルフィド酸化還元反応における活性部位とされている(例えば、非特許文献6参照)。さらにまた、既知のジスルフィド酸化還元酵素は、N末端側に分泌シグナル配列を持つタンパク質として生体内で合成されることが知られている。
【0010】
【非特許文献1】
Pigiet V. P. and Schuster B.J., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 83, 7643-7647, (1986)
【0011】
【特許文献1】
特開昭63−294796号公報
【0012】
【特許文献2】
特開平11−75879号公報
【0013】
【非特許文献2】
Rapilajaniemi et al., EMBO J. 6, 643-649, (1987)
【0014】
【特許文献3】
特許2803089号
【0015】
【非特許文献3】
EMBO J., 11、 55-62, (1992)
【0016】
【非特許文献4】
Cell, 67, 581-589, (1991)
【0017】
【非特許文献5】
Bolhuis et al.,J.Biol.Chem.,274,24531−24538(1999)
【0018】
【非特許文献6】
曽根道夫、伊藤維昭,蛋白質・核酸・酵素,43, 1-10, (1998)
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、チオレドキシン、PDIを始めとするジスルフィド酸化還元酵素は、生理活性を示さないタンパク質の活性化に利用されている。しかしながら、生理活性を示さないタンパク質の種類によっては、これまでに知られているジスルフィド酸化還元酵素のいずれを用いても活性化することができない場合も多かった。このことの原因のひとつとして、ジスルフィド酸化還元酵素には、それぞれ基質特異性があり、ジスルフィド酸化還元酵素ごとに作用可能なタンパク質が異なっていることが挙げられる。
【0020】
したがって、生理活性を示さない種々のタンパク質に対しても、ジスルフィド酸化還元酵素を用いた活性化を可能とするために、さらに新規なジスルフィド酸化還元酵素の提供が求められていた。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、以上のような課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、遺伝子組換えタンパク質生産における宿主として有効利用されているブレビバチルス・チョウシネンシス(Brevibacillus choshinesis)に着目し、そのゲノムからジスルフィド酸化還元活性を有すると推測される新規タンパク質遺伝子を見出しcatAと命名した。その塩基配列を配列番号2に示し、その配列から推定されるタンパク質のアミノ酸配列を配列番号1に示す。
【0022】
さらに、本発明者らは、上記した本発明に係る新規遺伝子catAの塩基配列(配列番号2)の内、該遺伝子に対応するタンパク質の分泌シグナル配列を除いた成熟部分をコードしていると推定した塩基配列(配列番号4)を有するDNAを挿入した発現ベクターを構築し、さらに、該発現ベクターでブレビバチルス・チョウシネンシスを形質転換した。さらに、該形質転換体を培養することにより該DNAを大量発現させ、本発明の新規タンパク質CatA(配列番号3)を得た。
【0023】
さらに、本発明者らは、この新規タンパク質CatAに対して、インスリンを用いたジスルフィド酸化還元活性の測定を行い、その結果、本発明の新規タンパク質CatAがジスルフィド酸化還元活性を有することを確認した。
【0024】
またさらに、本発明者らは、この新規タンパク質CatAを不活性型ヒト上皮成長因子(hEGF)に作用させることにより活性型hEGFを得、本発明の新規タンパク質CatAが、不活性型タンパク質の活性化に利用可能であることを示した。
【0025】
またさらに、本発明者らは、ブレビバチルス・チョウシネンシスを宿主として、CatAをコードするDNAとhEGFをコードするDNAを共発現させ、その結果、活性型組換えhEGFの生産量が増大することを確認し、本発明のタンパク質CatAは、他の遺伝子組換えタンパク質と共発現させることにより生理活性を有する遺伝子組換えタンパク質の生産量を増加させることに利用可能であることを実証した。以上により、本発明者らは本発明を完成するに至った。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に付いて詳述する。
本発明のジスルフィド酸化還元活性を有する新規タンパク質CatAのアミノ酸配列を配列番号3に例示する。このアミノ酸配列と40%以上の相同性を有するものは報告されておらず、したがって、本発明のタンパク質CatAは新規タンパク質である。
【0027】
さらに、配列番号3に記載のアミノ酸配列の1または数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であってもジスルフィド酸化還元活性を有する限り、全て本発明のジスルフィド酸化還元活性を有するタンパク質CatAに包含される。ここで「1または数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列」とは、アミノ酸残基の種類やタンパク質の立体構造におけるアミノ酸残基の位置によっても異なるが、前記配列番号3のアミノ酸配列全体に対し、85%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上の相同性を有するアミノ酸配列を意味する。
【0028】
上記の特定のアミノ酸配列の1または数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列から成るポリペプチドは、例えば、部位特異的変異導入法、遺伝子相同組換え法、プライマー伸長法、及びPCR法等の当業者に周知の方法を適宜組み合わせて、容易に作成することが可能である。
尚、その際に、実質的に同等の機能を有するためには、当該ポリペプチドを構成するアミノ酸のうち、同族アミノ酸(極性・非極性アミノ酸、疎水性・親水性アミノ酸、陽性・陰性荷電アミノ酸、芳香族アミノ酸など)同士の置換が可能性である。又、実質的に同等の機能の維持のためには、本発明の各ポリペプチドに含まれる機能ドメイン内のアミノ酸は保持されることが望ましい。
【0029】
また、本発明のタンパク質CatAをコードするDNAの塩基配列を配列番号4に例示する。この塩基配列と40%以上の相同性を有するものは報告されておらず、したがって、本発明のタンパク質をコードするDNAは新規DNAである。さらに配列番号3に記載のアミノ酸配列の1または数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNAであっても、そのコードしているタンパク質がジスルフィド酸化還元活性を有する限り、全て本発明のタンパク質をコードするDNAに包含される。ここで「1または数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列」の意味は、上記した本発明のタンパク質についての場合と同様である。
【0030】
また、本発明のタンパク質CatAをコードする遺伝子のDNAは、上記したように、配列番号4に示す塩基配列を有するDNAを指すほか、あるいは、このDNAの全塩基配列またはその一部から作製したプローブとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし且つジスルフィド酸化還元活性を有するタンパク質をコードするDNAを指すものである。
【0031】
なお、本発明において、「ストリンジェントな条件下」とは、各塩基配列間の相同性の程度が、例えば、全体の平均で約80%以上、好ましくは約90%以上、より好ましくは約95%以上であるような、高い相同性を有する塩基配列間のみで、特異的にハイブリッドが形成されるような条件を意味する。具体的には、例えば、温度60℃〜68℃において、ナトリウム濃度150〜900mM、好ましくは600〜900mM、pH6〜8であるような条件を挙げることが出来る。
【0032】
ハイブリダイゼーションは、例えば、カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー(Current protocols in molecular biology(edited by Frederick M. Ausubel et al, (1987))に記載の方法等、当業界で公知の方法あるいはそれに準じる方法に従って行なうことができる。また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行なうことができる。
【0033】
さらに本発明の新規タンパク質CatAは、当業者に公知の標準的な遺伝子組換え技術を適宜選択し、組み合わせて用いることにより得ることができる。たとえばモレキュラークローニング:ア ラボラトリーマニュアル第2版(Sambrooket al, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York (1989))に記載の方法を用いて行うことができる。
【0034】
本発明のタンパク質CatAをコードするDNAは、例えば、後述の実施例1に示すようにしてブレビバチルス・チョウシネンシスのゲノムDNAライブラリーを作製し、このライブラリーから、例えば配列番号4で表される塩基配列の一部を有するDNA断片をプローブとして用いるハイブリダイゼーション法や、上記DNA断片をプライマーとして用いるPCR法により、調製することができる。または、その塩基配列を元に、当業者に公知の核酸化学合成法などにより、本発明のタンパク質CatAをコードするDNAを得ることもできるが、これらに限定されない。なお、配列番号1、2、3、4に示す配列は、それぞれ図7、8、9、10にも示した。
【0035】
CatAをコードするDNAの発現に用いる宿主は、CatAをコードするDNAの発現が可能なものであるならば特に限定されない。宿主としては、細菌や酵母、カビ、動物細胞などのいずれであっても利用可能であるが、好ましくは細菌であり、より好ましくはブレビバチルス属細菌である。特に好ましい宿主としてBrevibacillus choshinensis HPD31(FERM BP−6863)や、その変異株であるBrevibacillus choshinensis HPD31-S5(FERM BP−6623)を挙げることができる。
【0036】
CatAをコードするDNAを挿入するベクターは、宿主中で複製可能であるものならば特に限定されないが、ブレビバチルス属細菌を宿主とする場合には、特に好ましいベクターとしてpNY301(特開平10−295378号)やpNCMO2(Yashiro et al, Protein Expression and Purification 23, 113-120 (2001))を挙げることができる。
【0037】
ベクターにCatAをコードするDNAを挿入するには、例えば、精製されたCatAをコードする塩基配列を含むDNAを適当な制限酵素で切断し、適当なベクターの制限酵素部位またはマルチクローニングサイトに挿入してベクターに連結する方法などを用いることができるが、これに限定されない。また、CatAをコードするDNAの機能が発揮されるようにベクターに組み込まれることが必要であることから、ベクターには、プロモーター、CatAをコードするDNAのほか、ターミネーター、リボソーム結合配列などを組み込んでもよい。
【0038】
宿主への発現ベクターの導入方法も、特に限定されないが、ブレビバチルス属細菌を宿主とする場合には、特に好ましい形質転換方法としてエレクトロポレーション法(Takagi et al, Agric. Biol. Chem.,53, 3099-3100 (1989))を例示することできる。
【0039】
CatAをコードするDNAの発現に用いる宿主の培養方法も、CatAをコードするDNAの発現が可能なものであるならば特に限定されないが、ブレビバチルス属細菌を宿主として使用する場合には、特に好ましい条件として、下記の実施例で用いたTMN培地、30℃、2〜4日間を例示することができる。
【0040】
さらに、発現されたCatAの単離、精製を行う場合には、当業者に公知の方法を適宜、単独または組み合わせて用いることにより行うことができる。たとえば、硫酸アンモニウム沈殿、ゲルクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等を適宜、単独または組み合わせて用いることにより可能である。
【0041】
本発明のジスルフィド酸化還元活性を有するタンパク質CatAを作用させることによる生理活性を示さないタンパク質の活性化方法において、該方法が適用可能な生理活性を示さないタンパク質としては、遺伝子組換え技術により生産された種々のタンパク質、ペプチド合成機によって化学的に合成された種々のポリペプチド、in vitroタンパク質合成系により合成された種々のタンパク質、及び、そ(れら)の含有物などを例示することができる。また、遺伝子組換え技術により生産されるタンパク質としては、同タンパク質自体のほか、同生産培養物(形質転換体培養物)全体、同生産培養物から分別、分取した生物学的に不活性なタンパク質、及び、そ(れら)の含有物などを例として挙げることができる。
【0042】
さらに、本発明のタンパク質の活性化方法において、タンパク質に作用させるCatAの量は特に限定されない。タンパク質にCatAを作用させる態様は、CatAを緩衝液に溶解させた溶液をタンパク質に加えてもよいし、タンパク質を適当な変性剤を用いて可溶化した後、そのタンパク質溶液にCatAを加えてもよい。反応温度は0〜40℃が好ましく、また、反応時間は1〜5時間が適当である。
【0043】
また、本発明のCatAを生理活性を示さないタンパク質に直接作用させることもできるが、不溶性のタンパク質に作用させる場合には、まず、タンパク質を還元変性溶液に溶解し、さらにジスルフィド化合物の存在下においてCatAを作用させることが好ましい。還元変性溶液としては、0.1〜0.2Mジチオスレイトール、1〜6M塩酸グアニジン溶液、若しくは1〜8M尿素溶液が好ましく、変性溶液に溶解される生理活性を示さないタンパク質の濃度は0.1〜40mg/ml程度が適当である。また、ジスルフィド化合物としては酸化型グルタチオン、もしくは酸化型ジチオスレイトールが好ましい。ジスルフィド化合物は反応溶液全体のスルフヒドリル化合物のモル濃度を上回る濃度で加える必要がある。
【0044】
さらに、CatAを生理活性を示さないタンパク質に反応させる際、CatAをMF膜等で閉じた空間に固定化し緩衝液等で溶解させたタンパク質溶液を通過させることによって接触させてもよいし、また疎水性の多孔性樹脂であるHP−20(三菱化学社製)の様な担体にCatAを吸着させることによって固定化し、固定化カラムとし、この固定化カラムにタンパク質溶液を供給することによってCatAと接触させてもよい。
【0045】
また、本発明のタンパク質CatAを、CatAをコードするDNAと他のタンパク質をコードするDNAを共発現させることにより、生理活性を有する遺伝子組換えタンパク質の生産量を増加させることに用いることが可能である。この場合、CatAをコードするDNAと他のタンパク質をコードするDNAの共発現を行う好ましい方法は、実施例に示したようにCatAをコードするDNAと他のタンパク質をコードするDNA、それぞれを含有する別の発現ベクターにより同時に形質転換された宿主を用いて共発現する方法である。
【0046】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0047】
(実施例1:新規遺伝子catAのクローン化)
Brevibacillus choshinensis HPD31-S5(FERM BP−6623)を5mlTMN,30℃,4日間という条件下で培養した。TMN培地は、TM培地にネオマイシンを50μl/mlの濃度に添加した培地である。TM培地の組成は、ポリペプトン1%、肉エキス0.5%、酵母エキス0.2%、グルコース1%、FeSO4・7H2O 0.001%、MnSO4・H2O 0.001%、ZnSO4・7H2O 0.001%、pH7.0である。培養終了後、培養液を室温で遠心(8000回転、30分)し、集菌した。次に、集めた菌体を10mM Tris(pH7.5)−1mM EDTA溶液で2回洗浄後、フェノール層に分離調製することにより、Brevibacillus choshinensis HPD31-S5の染色体DNAを調製した。
【0048】
さらに、ジスルフィド酸化還元活性を有するタンパク質をコードしていると推測される枯草菌のyneN及びBacillus haloduransのBH1522両遺伝子の塩基配列を参考にしてプライマーを設計し、上記で得たBrevibacillus choshinensis HPD31-S5の染色体DNAをテンプレートとしてPCRを行い、約180bpの増幅産物を得た。使用したプライマーは、次のとおり。
【0049】
BbVM2(forwardプライマー):5’−CATKTTTGGRCKWCDTGGTG−3’(配列番号5:図11)
BbVM4(backwardプライマー):5’−GTCRAKVAVAAYSGGDAASGT−3’(配列番号6:図12)
(上記配列中、Rは、AまたはG、Yは、CまたはT、Wは、AまたはT、Sは、GまたはC、Kは、GまたはT、Dは、AまたはGまたはT、Vは、AまたはCまたはG、をそれぞれ表す。また、forwardプライマーBbVM2は、枯草菌yneN遺伝子ORFの192番目から212番目の塩基配列に対応し、backwardプライマーBbVM4は同じく355番目から375番目の配列に対応する。)
【0050】
また、PCRは、1.95℃ 9分、2.94℃ 30秒、3.40℃ 60秒、4.72℃ 90秒、5.60℃ 10分:2から4は40サイクルの条件で行った。
【0051】
さらに、このPCR産物をEcoRV消化pBR322にクローン化し、塩基配列を解読したところ、yneN及びBH1522両遺伝子との類似性から、PCR産物が目的遺伝子の部分配列であることが確認された。次に、増幅産物をプローブにしてPstI消化ブレビス染色体のサザン解析を行い、約2.5kbp断片中に目的遺伝子が含まれることを示す結果を得た。そこで増幅産物の内部配列から以下の2本のプライマーを設計した。
【0052】
Bb−OXRE2−5’:5’−CAATGTGACCAATAGTGATAGTCC−3’(配列番号7:図13)
Bb−OXRE2−3’:5’−CCTGATCTTTGTACTTCTCGTAC−3’(配列番号8:図14)
【0053】
制限酵素PstIで消化したBrevibacillus choshinensis HPD31-S5の染色体DNAをアガロース電気泳動にかけ、ゲルから2.6kbpの大きさに相当するバンドを切りだし、self−ligationを行った。このself−ligated DNAをテンプレートとし、上記の2本のプライマーを用いてPCRを行い、2.6kbpのPCR産物を得た。さらに、この産物の塩基配列を解読し、目的遺伝子の全長が含まれることを確認した。この531bpのジスルフィド酸化還元活性を有するタンパク質をコードしていると推測される新規遺伝子をcatAと命名した。遺伝子catAの塩基配列を配列番号2(図8)に示す。また遺伝子catAの塩基配列から推定されるcatAに対応するタンパク質のアミノ酸配列を配列番号1(図7)に示す。この177アミノ残基のタンパク質において、チオレドキシンモチーフは73−76位に存在している。
【0054】
(実施例2:CatAの遺伝子組換え法による生産)
さらに、この新規遺伝子catAに対応するタンパク質において、1−26位までが分泌シグナル配列であり、27番目のアラニン以降が成熟体である、と推定し、以下に示すように成熟体であると推定した部分について遺伝子組換えによる生産を試みた。ただし、実際に該タンパク質がブレビバチルス・チョウシネンシスにおいて分泌タンパク質であるのか、さらに、分泌されるとして、その分泌シグナル切断箇所がアラニンの前であるのか、という点に関しては今後をまたねばならない。
【0055】
実施例1で得た新規遺伝子catAの塩基配列を基に下記の2本のプライマーを作製し、Brevibacillus choshinensis HPD31-S5の染色体DNAをテンプレートとしたPCRを行い、遺伝子catAに対応するタンパク質の成熟体と推定した27位のアラニン以降をコードする遺伝子を増幅した。PCRは95℃で1分、54℃で1分、72℃で1分のサイクルを26回繰り返すことにより行った。
【0056】
Primer 1(forward):5’−GGTCGCTGCAGTCGTAGCAGAGGTC−3’(配列番号9:図15)
Primer 2(backward):5’−CGACGGATCCTATGGTTTTTCATTCAAAAGCTTGC−3’(配列番号10:図16)
また、発現ベクターにクローニングを行うために、Primer 1にはPstIサイト(CTGCAG)を、Primer 2にはBamHIサイト(GGATCC)を設けた。
【0057】
次に、上記で得たPCR産物をPstIとBamHIで消化後、同じ酵素で処理した発現ベクターpNCMO2(Yashiro et al, Protein Expression and Purification 23, 113-120 (2001))に結合し、発現プラスミドpNCcatAを得た。発現ベクターpNCcatAの構築方法及び構造を図1に示す。
【0058】
このpNCcatAにおいて、遺伝子catAに対応するタンパク質のアミノ酸配列の27位のアラニン以降をコードするDNAが、pNCMO2が含有するブレビス細胞壁タンパク質の分泌シグナル配列につながることになる。したがってHPD31−S5から分泌されたCatAは、アラニンの前で分泌シグナル配列が切り離されるため、分泌生産されたタンパク質のN末端はアラニンになると予想される。
【0059】
さらに、この発現プラスミドpNCcatAをエレクトロポレーション法(Takagi et al, Agric. Biol.Chem., 53, 3099-3100(1989))によりBrevibacillus choshinensis HPD31-S5(FERM BP−6623)に導入した。得られた形質転換体をBrevibacillus choshinensis HPD31-S5/pNCcatAと命名し、独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに受託番号FERM P−19124として寄託した。
【0060】
そして、この形質転換体Brevibacillus choshinensis HPD31-S5/pNCcatA(FERM P−19124)を30℃下、TMN培地3ml中で2日間培養した。培養終了後、培養液を室温で遠心(8000回転、30分)し、上清4μlをSDS−PAGEに供した。SDS−PAGEの結果を図2に示す。このSDS−PAGEの結果が示すように、遺伝子catAに対応するタンパク質の27位以降のアミノ酸残基の分子量約17kDaに相当する位置に染色バンドが存在しており、遺伝子catAに対応するタンパク質の27位以降のアミノ酸配列をコードするDNA(塩基配列を配列番号4(図10)に示す。)の発現、および、遺伝子catAに対応するタンパク質の27位以降のアミノ酸配列を有するタンパク質である本発明の新規タンパク質CatAの分泌生産が確認された。また分泌生産されたCatAのN末端分析を行いN末端がアラニンであることを確認した。以上により得られたCatAのアミノ酸配列を配列番号3(図9)に示す。なお、図2(SDS−PAGEパターンを示す図面代用写真)において、1は宿主菌の培養上清の結果、2は宿主菌を形質転換した形質転換体の培養上清の結果をそれぞれ示すものである。
【0061】
(実施例3:CatAの活性測定)
さらに、以下の手順に従って、上記実施例2で得た本発明の新規タンパク質CatAを用いて、インスリンのシステイン残基の酸化還元によるジスルフィド結合形成・開裂反応を行い、本発明の新規タンパク質CatAのジスルフィド酸化還元活性を評価した。
【0062】
CatAの酵素標品の調製は以下の手順で行った。実施例2で作製した形質転換体Brevibacillus choshinensis HPD31-S5/pNCcatA(FERM P−19124)を5mlTMN培地,30℃,4日間という条件下で培養した。培養終了後、培養液を室温で遠心(8000回転、30分)し、その上清100μlをCatAの酵素標品とした。
【0063】
酵素反応を起こさせるインスリンを溶解させた基質溶液は以下のように調製した。まず25mgのインスリンを2mlの50mM Tris−HCl,pH8.0に溶かし、次いで1規定HClを加えてpH2〜3とした後、直ちに1規定NaOHを加えてpHを元の8.0に戻した。その後、水を加えて全量を2.5mlとし、10倍濃度のストック溶液とした。活性測定の際はこのストック溶液を2mM EDTAを含む0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)で10倍に希釈して用いた。
【0064】
上記で調製したインスリンを溶解させた基質溶液500μlを分光光度計用ガラスキュベットに入れ、さらに上記で得たCatAの酵素標品100μlと0.1M DTT5μlを加えて25℃下で反応させた。反応の経過はO.D.650での、反応液の濁度変化の観測によって追跡した。なお対照としてpNCMO2の溶液を用いた。測定結果を図3に示す。
【0065】
図3の測定結果が示すように、CatAの添加により反応液の濁度の上昇が認められた。このことはCatAの添加によりインスリン分子内、もしくはインスリン分子間にジスルフィド結合が形成され、その結果、インスリン分子同士による凝集が生じたためであると考えられる。
この結果は、本発明の新規タンパク質CatAがジスルフィド酸化還元活性を有することを示している。
【0066】
(実施例4:CatAを用いた生理活性を示さないhEGFの生理活性を有するhEGFへの変換)
(1)不活性型組換えヒト上皮細胞成長因子(hEGF)の調製
hEGF発現プラスミドを保持するBrevibacillus choshinensisは、ヒト上皮細胞成長因子(hEGF)を高生産するが、生産されたhEGFの一部が、hEGF分子間でジスルフィド結合を形成することにより多量体化することが宮内らにより報告されている(Miyauchi et al, Journal of Industrial Microbiologyand Biotechnology, 21, 208〜214, (1998))。この多量体hEGFは、hEGFが本来有する生理活性を持たない不活性型hEGFであることが知られており、また、同文献において多量体hEGFを培養液から分取する方法についても報告されている。そこで、不活性型hEGFである多量体hEGFを同文献の記載に基づき、下記の方法により調製した。
【0067】
上記文献に記載のヒト上皮細胞成長因子(hEGF)発現プラスミドpHT110 EGFを保持するBrevibacillus choshinensis HPD31-S5を同文献記載の培養条件で65時間液体培養し、遠心分離により培養上清を回収した。ついで、上清液を6M塩酸でpH3.0に調整することにより、多量体hEGFを特異的に凝集させ、この沈殿を遠心分離で回収した。0.1M Tris−HCl(pH7.0)の緩衝液で沈殿を溶解後、再度6M塩酸でpH3.0に調整し、沈殿を遠心分離し回収した。さらに、沈殿を蒸留水に懸濁し、水酸化ナトリウム溶液でpH7.0に調整後、凍結乾燥し、不活性型hEGFである多量体hEGFを調整した。
【0068】
(2)不活性型hEGFの活性型hEGFへの変換
上記の方法によって調製した不活性型hEGFを用い、以下の手順でCatAによる不活性型タンパク質の活性化を試験した。まず、不活性型hEGF溶液(5mg/ml,pH6.0)にエリスロマイシンとクロラムフェニコールをそれぞれ100μg/ml、ネオマイシンを50μg/mlの濃度になるように加え、さらに100mM MES緩衝液(pH6.0)を加えてhEGFの濃度が2mg/mlとなる溶液を調製した。この溶液を酵素反応の反応基質とした。
【0069】
評価するサンプル溶液は次のように調製した。また宿主菌株には、Brevibacillus choshinensis HPD31を用いた。CatA発現ベクターpNCcatAを保持するHPD31、pNCMO2を保持するHPD31及びプラスミドを保持しないHPD31、以上3種類のHPD31を、プラスミドを保持するHPD31についてはTM+ネオマイシン培地で、保持しないHPD31の場合は薬剤を含まないTM培地で2日間培養した。培養終了後、それぞれの培養液を、同じ培養液の遠心上清を適量添加することによって希釈し、O.D.660=2に調整した。この希釈液をサンプル溶液とした。
【0070】
調製した基質溶液とサンプル溶液を用いて以下の手順で活性測定を行った。99μlの基質溶液に100μlのサンプル溶液と200mM還元型グルタチオン1μlを加え、35℃下で反応をスタートさせた。反応開始後1,3,6,12時間後に反応液を遠心し、その上清50μlと、メルカプトエタノールを含まないSDS−PAGE用サンプル緩衝液50μlを混合、70℃で10分間加熱後、その20μlを使いSDS−PAGEを行った。SDS−PAGEの結果を図4に示す。なお、図4(SDS−PAGEパターンを示す図面代用写真)において、横軸の1,2,3,4はそれぞれ反応開始後1,3,6,12時間後の反応液を示す。
【0071】
図4が示すように、SDS−PAGEの結果、CatAを含有するサンプル溶液を添加した反応液において活性型hEGFの分子量に相当するバンドが得られ、そのバンドは反応時間の経過とともに濃くなっている。したがって、本発明のタンパク質CatAは、生理活性を示さないタンパク質に作用させることにより、該タンパク質を、生理活性を有するタンパク質に変換する機能を有することが実証された。
【0072】
(実施例5:hEGFとCatAの共発現による活性型hEGF生産量の変化)
さらに、hEGF発現プラスミドpHT110 EGFとCatA発現プラスミドpNCcatAを同一宿主中に導入し、hEGF生産に及ぼすCatA共発現の効果を検討した。宿主にはBrevibacillus choshinensis HPD31-S5を用いた。また、宿主の形質転換は、発現プラスミドpHT110 EGF及びpNCcatAを1対1の割合で混合した後、エレクトロポレーション法により宿主に発現プラスミドを導入することにより行った。形質転換後、2SLENプレート培地に菌体を塗布した。2SLEN培地は、2SL培地にpHT110 EGFの耐性マーカーであるエリスロマイシンを10μl/mlの濃度に、pNCcatAの耐性マーカーであるネオマイシンを50μl/mlの濃度に添加した培地である。2SL培地の組成は、ポリペプトンS 4%、酵母エキス(ラルマン)0.5%、FeSO4・7H2O 0.001%、MnSO4・4H2O 0.001%、ZnSO4・7H2O 0.001%、pH7.2である。この菌体を塗布した2SLEN培地を2日間30℃の条件下に置き菌体の培養を行った。出現したコロニーを構成する形質転換体は、pHT110 EGFとpNCcatAの両方のプラスミドを保持していた。培養終了後、培養上清を還元及び非還元条件下でSDS−PAGEに供し、CBB染色と抗hEGF抗体を用いたウェスタンブロットを行った。SDS−PAGEに対して、CBB(クマシーブリリアントブルー)染色を行った結果を図5(図面代用写真)に、抗hEGF抗体を用いたウェスタンブロットを行った結果を図6(図面代用写真)にそれぞれ示す。
【0073】
さらに、上清中の活性型hEGF量を知るために、別途HPLCによる定量分析を行った。HPLCの分析結果は、コントロールの平均が0.41g/lに対してCatAを共発現したものは0.65g/lという値だった。すなわち共発現によって約60%の促進効果が認められた。
【0074】
上記の実験の結果により、本発明の新規タンパク質CatAは、CatAをコードするDNAと他の遺伝子組換えタンパク質をコードするDNAを共発現させることにより、生理活性を有する遺伝子組換えタンパク質の生産量を増加させる機能を有することが実証された。
【0075】
以上の実験の結果により、本発明の新規タンパク質CatAは、ジスルフィド酸化還元活性を有すること、さらに、生理活性を示さないタンパク質に作用させることにより、該生理活性を示さないタンパク質を、生理活性を有するタンパク質に変換することに利用可能であること、またさらに、本発明の新規タンパク質CatAは、CatAをコードするDNAと他の遺伝子組換えタンパク質をコードするDNAを共発現させることにより、生理活性を有する組換えタンパク質の生産量を増加させる機能を有することが実証された。
【0076】
【発明の効果】
本発明は、ブレビバチルス属細菌由来のジスルフィド酸化還元活性を有する新規タンパク質CatA及び該タンパク質をコードするDNA、さらに該酵素を用いた生理活性を示さないタンパク質の活性化方法を提供する。本発明のタンパク質CatAはジスルフィド酸化還元活性を有するため、生理活性を示さないタンパク質に作用させることにより、該生理活性を示さないタンパク質の活性化に利用可能である。さらに、本発明のタンパク質CatAは、CatAをコードするDNAと他の遺伝子組換えタンパク質をコードするDNAを共発現させることにより、生理活性を有する遺伝子組換えタンパク質の生産量を増加させる、ことに利用可能である。
【0077】
【配列表】
Figure 2004187625
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【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の新規タンパク質CatAの発現ベクターpNCcatAの構築方法及び構造を示す図。
【図2】発現ベクターpNCcatAに組み込まれた本発明の新規タンパク質CatAの発現を示すSDS−PAGEの図面代用写真。
【図3】本発明の新規タンパク質CatAのインスリンを用いた活性測定試験の結果を示す図。
【図4】本発明の新規タンパク質CatAを用いた活性型hEGFの生成を示すSDS−PAGEの図面代用写真。
【図5】本発明の新規タンパク質CatAをコードするDNAとhEGFをコードするDNAの共発現を行った培養上清をSDS−PAGEに供し、CBB染色を行った結果を示す図面代用写真。
【図6】本発明の新規タンパク質CatAをコードするDNAとhEGFをコードするDNAの共発現を行った培養上清をSDS−PAGEに供し、抗EGF抗体を用いたウェスタンブロットを行った結果を示す図面代用写真。
【図7】遺伝子catAの塩基配列から推定される発現タンパク質のアミノ酸配列(配列番号1)を示す。
【図8】本発明に係る遺伝子catAの塩基配列(配列番号2)を示す。
【図9】本発明に係るジスルフィド酸化還元活性を有する新規タンパク質CatAのアミノ酸配列(配列番号3)を示す。
【図10】遺伝子catAに対応するタンパク質の27位以降のアミノ酸配列(すなわち、新規タンパク質CatAのアミノ酸配列)をコードするDNAの塩基配列(配列番号4)を示す。
【図11】プライマーBbVM2の塩基配列(配列番号5)を示す。
【図12】プライマーBbVM2の塩基配列(配列番号6)を示す。
【図13】プライマーBb−OXRE2−5’の塩基配列(配列番号7)を示す。
【図14】プライマーBb−OXRE2−3’の塩基配列(配列番号8)を示す。
【図15】プライマーPrimer 1(forward)の塩基配列(配列番号9)を示す。
【図16】プライマーPrimer 2(backward)の塩基配列(配列番号10)を示す。

Claims (8)

  1. 以下の(a)または(b)のタンパク質CatA。
    (a)配列表の配列番号3に示すアミノ酸配列を有するタンパク質。
    (b)配列表の配列番号3に示すアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸残基が置換、欠失、付加、もしくは挿入されたアミノ酸配列を有し、かつ、ジスルフィド酸化還元活性を有するタンパク質。
  2. 以下の(a)または(b)のタンパク質をコードするDNA。
    (a)配列表の配列番号3に示すアミノ酸配列を有するタンパク質。
    (b)配列表の配列番号3に示すアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸残基が置換、欠失、付加、もしくは挿入されたアミノ酸配列を有し、かつ、ジスルフィド酸化還元活性を有するタンパク質。
  3. 以下の(A)または(B)に示すDNAである請求項2に記載の遺伝子のDNA。
    (A)配列表の配列番号4に示す塩基配列を有するDNA。
    (B)配列表の配列番号4に示す塩基配列またはその一部から作製したプローブと、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、ジスルフィド酸化還元活性を有するタンパク質をコードするDNA。
  4. タンパク質CatAをコードするDNAを含有する発現ベクターにより形質転換してなる形質転換体、ブレビバチルス・チョウシネンシス(Brevibacillus choshinensis)HPD31−S5/pNCcatA(FERM P−19124)。
  5. CatAをコードするDNAを含有する発現ベクターにより宿主を形質転換した形質転換体を培養し、培養物からCatAを回収することを特徴とする、ジスルフィド酸化還元活性を有するタンパク質CatAの製造方法。
  6. 生理活性を示さないタンパク質にCatAを作用させること、を特徴とするタンパク質の活性化方法。
  7. 遺伝子組換えタンパク質をコードするDNAを含有する発現ベクター、及び、CatAをコードするDNAを含有する発現ベクターにより、宿主を形質転換し、該宿主を培養することにより、該遺伝子組換えタンパク質をコードするDNAとCatAをコードするDNAを同時に発現させ該遺伝子組換えタンパク質を回収すること、を特徴とする生理活性を有する遺伝子組換えタンパク質の製造方法。
  8. 遺伝子組換え宿主が、ブレビバチルス・チョウシネンシス(Brevibacillus choshinensis)である請求項5または7に記載の方法。
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