JP2004187012A - 周波数選択型圧電発振器 - Google Patents
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Abstract
【課題】素子数を少なくして小型化を実現すると共に、スプリアス特性の優れた2周波の信号を切り替えることが可能なVCXO回路を提供する。
【解決手段】この周波数選択型水晶発振器は、源発振周波数が155.52MHzの水晶発振器1と、源発振周波数が166.686MHzの水晶発振器2と、切替えスイッチ3と、水晶発振器1及び2の源発振周波数の4逓倍の周波数622.08MHz及び666.5143MHzの通過帯域幅を有する表面波フィルタ4と、周波数622.08MHz及び666.5143MHzの帯域を増幅する広帯域増幅器5から構成されている。
【選択図】 図1
【解決手段】この周波数選択型水晶発振器は、源発振周波数が155.52MHzの水晶発振器1と、源発振周波数が166.686MHzの水晶発振器2と、切替えスイッチ3と、水晶発振器1及び2の源発振周波数の4逓倍の周波数622.08MHz及び666.5143MHzの通過帯域幅を有する表面波フィルタ4と、周波数622.08MHz及び666.5143MHzの帯域を増幅する広帯域増幅器5から構成されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水晶振動子を用いた周波数選択型水晶(圧電)発振器に関し、特に光伝送装置の標準クロック、及び誤り訂正用クロックの2周波を切替え可能なVCXO(Voltage Controlled Crystal Oscillator)回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通常、温度安定度、位相雑音に優れた600MHz帯の電圧制御型圧電発振器を実現するための圧電振動子としては、水晶振動子を用いるのが一般的である。しかし、水晶振動子の共振周波数は200MHz程度が限界であるため、所要周波数の1/n(n=3〜4)の共振周波数(例えば、155MHz)の振動子と発振回路とによって発振させ、それを所要周波数(例えば、622MHz)まで引き上げるために逓倍回路が用いられる。また、小型化に適した逓倍回路として155MHz発振器の出力の4倍波をLC同調回路にて抽出する方法があるが、不要スプリアスが低下しないといった問題がある。そこで、更に不要スプリアスを下げる必要がある場合には、図12のように、発振器40の発振信号(155.52MHz)から所要の周波数のみを通過させるSAW(Surface Acoustic Wave)フィルタ41と所要周波数のみを増幅するアンプ42を用いて逓倍回路を構成する必要がある。
また、これらのVCXOを搭載する光伝送用トランスポンダ等では、標準用クロックと誤り訂正用クロックの2周波を切替えて使用することが多い。また、これらの用途に使用するVCXOは、スプリアス特性の優れたものが好ましい。この場合、スプリアス特性の優れた2周波の信号を切り替えるVCXOを構成しようとすると、従来では図13のように、発振器43の発振信号(155.52MHz)から所要の周波数のみを通過させるSAWフィルタ44と所要周波数のみを増幅するアンプ45、及び発振器47の発振信号(166.6286MHz)から所要の周波数のみを通過させるSAWフィルタ48と所要周波数のみを増幅するアンプ49の2系統を用意し、これらの出力をスイッチ46で切替えるといった方法で実現していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、不要スプリアスを低減するために、従来の方式では発振器、SAWフィルタ、アンプを夫々2系統用意し、各系統からの出力をスイッチにより切替えていたため部品点数が多くなり、近年の光伝送装置が小型化の傾向に対応することが困難となり、部品コストの上昇も避けられないといった問題がある。
本発明は、かかる課題に鑑み、素子数を少なくして小型化を実現すると共に、スプリアス特性の優れた2周波の信号を切り替えることが可能なVCXO回路を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、第1の圧電発振器と、第2の圧電発振器と、前記第1及び第2の圧電発振器の何れか一方の発振信号を選択する信号選択手段と、該信号選択手段により選択された圧電発振器の発振信号から所要の周波数を通過させるフィルタと、該フィルタを通過した発振信号を所定の出力レベルに増幅する増幅器と、を備え、前記信号選択手段により選択された圧電発振器の発振信号に含まれるn倍(nは正の整数)の高調波を前記フィルタにより選択的に通過させた信号を前記増幅器にて所定のレベルに増幅することを特徴とする。
周波数逓倍回路は、源発振周波数を所要周波数の1/nに設定して、源発振波形を故意に歪ませて、その歪んだ波形に存在する高調波からn倍の所要周波数をフィルタ等で選択して増幅する手法が一般的である。そこで、光伝送用トランスポンダにおいて、標準用クロックと誤り訂正用クロックの2周波を切替えて使用する場合、従来は、前記逓倍回路を2系統用意してスイッチにより切替えていたため部品点数が多く、小型化のネックになっていた。そこで本発明では、可能な限り部品点数を減らすため、スイッチの位置を標準用クロックと誤り訂正用クロックの発振器の直後に備え、フィルタを各発振器専用としないで両発振器の所要周波数をカバーする特性とし、且つ、増幅器の特性も両発振器の所要周波数範囲を増幅する特性として共用することにより、従来に比較してフィルタと増幅器をそれぞれ1つづつ削減することができる。
かかる発明によれば、スイッチの位置を標準用クロックと誤り訂正用クロックの発振器の直後に備えるので、スプリアス特性を損ねることなく、従来に比べて部品点数を大幅に削減することができる。
【0005】
請求項2は、前記フィルタは、前記第1及び第2の圧電発振器の夫々の発振周波数のn倍の周波数の双方を通過させるバンドパス・フィルタであることを特徴とする。
フィルタは、所要周波数の2周波(例えば、622.08MHzと666.5143MHz)を低損失にて通過させ、他のスプリアス帯域(例えば、499.885725MH以下、777.6MH以上)においては充分減衰する特性を持つ必要がある。そのような特性のフィルタはバンドパス・フィルタが最適である。
かかる発明によれば、所要周波数の2周波を低損失で通過させるバンドパス・フィルタを使用するので、他の不要スプリアスを効率良く減衰させることができる。
請求項3は、前記フィルタは、弾性表面波フィルタであることを特徴とする。
弾性表面波フィルタは、結晶基板の表面のみにエネルギーが集中した弾性振動を利用したものであり、電磁波に比べて伝播速度が約10−5倍遅いことを利用してデバイスの小型化が可能である。
かかる発明によれば、フィルタに弾性表面波素子を使用するので、高周波の特性に優れたフィルタが実現でき、しかも装置の小型化を実現することができる。
【0006】
請求項4は、第1の圧電発振器と、第2の圧電発振器と、前記第1の圧電発振器の発振信号から所要の周波数を通過させる第1のフィルタと、前記第2の圧電発振器の発振信号から所要の周波数を通過させる第2のフィルタと、前記第1及び第2のフィルタの何れか一方の発振信号を選択する信号選択手段と、該信号選択手段により選択された発振信号を所定の出力レベルに増幅する増幅器と、を備え、前記第1及び第2の圧電発振器の夫々の発振信号に含まれるn倍(nは正の整数)の高調波を前記第1及び第2のフィルタにより個別に通過させ、前記信号選択手段により前記各通過信号の何れか一方を選択して前記増幅器にて所定のレベルに増幅することを特徴とする。
請求項1ではスイッチを標準用クロックと誤り訂正用クロックの発振器の直後に備えて部品を最小限にした構成をとった。そのためにフィルタの特性が2周波を通過させるようにしなければならず、その分、通過帯域の幅を広くする必要があった。特に、バンドパス・フィルタは可能な限り通過帯域幅を狭くして、不要な周波数を除去することが好ましい。そこで本発明では、部品点数は若干増えるが、2周波のスプリアス特性を更に改善するために、2周波に専用のフィルタを備え、スイッチの位置をそのフィルタの直後に備えたものである。
かかる発明によれば、2周波に専用のフィルタを備え、スイッチの位置をそのフィルタの直後に備えることにより、優れたスプリアス特性を有する2周波を切替えて使用することができる。
請求項5は、前記第1及び第2のフィルタは、前記第1及び第2の圧電発振器の発振周波数の夫々からn倍の周波数を選択的に通過させるバンドパス・フィルタであることを特徴とする。
本発明のフィルタは2周波の発振周波数に対して専用に設けられているため、1種類の所要のスプリアスを通過させる特性を有していれば良い。従って、その分、通過帯域の幅を狭くでき不要なスプリアスを効率的に除去することができる。言い換えると、フィルタを通過した発振信号の品質を向上することができる。
かかる発明によれば、フィルタが2周波の発振周波数に対して専用に設けられているため、通過帯域の幅を狭くして不要なスプリアスを効率的に除去することができ、フィルタを通過した発振信号の品質を向上することができる。
請求項6は、前記第1及び第2フィルタは、弾性表面波フィルタであることを特徴とする。
かかる発明によれば、請求項3と同様な作用効果を奏する。
【0007】
請求項7は、前記第1及び第2の水晶発振器の夫々の発振信号に含まれるn倍(nは正の整数)の高調波に共振する共振回路を更に備えたことを特徴とする。
前記請求項1から6の発振器は、発振波形に含まれる高調波から所要の周波数をフィルタにより選択して増幅する方法である。この方式の場合、所要周波数のスプリアスのレベルが、ある程度大きければフィルタにより通過した後、増幅して所定のレベルを確保することができるが、必ずしも所要周波数が大きなレベルとは限らない。そこで本発明では、スプリアスを含んだ波形から所要のスプリアスに共振する共振回路を備え、所要のスプリアスを強調してフィルタに入力するものである。
かかる発明によれば、各発振器に所要の周波数に共振する共振回路を備えるので、所要周波数が強調されフィルタの選択能力が高まり、高いレベルの所要スプリアスを得ることができる。
請求項8は、前記増幅器は、前記第1及び第2の圧電発振器の夫々の発振信号に含まれるn倍(nは正の整数)の高調波のみを増幅する広帯域増幅器であることを特徴とする。
高周波の波形を忠実に増幅するには、その周波数に含まれる高調波成分の帯域幅までを増幅する必要がある。従って、理想的には無限大の帯域幅の特性を持つ増幅器がよい。しかし、現実的には所定の次数の高調波までの帯域を備えれば実用上問題はない。そこで、可能であれば広帯域増幅器を使用し、コスト的な制約があれば、所要周波数を帯域内に有する狭帯域増幅器を使用しても差し支えない。
かかる発明によれば、増幅器に広帯域増幅器を使用するので、所要の周波数を略忠実に増幅することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。尚、本説明では、水晶発振器について述べているが、圧電発振器一般にも適用可能である。
図1は本発明の第1の実施形態に係る周波数選択型水晶発振器のブロック図である。この周波数選択型水晶発振器は、源発振周波数が155.52MHzの水晶発振器1と、源発振周波数が166.686MHzの水晶発振器2と、切替えスイッチ3と、水晶発振器1及び2の源発振周波数の4逓倍の周波数622.08MHz及び666.5143MHzの通過帯域幅を有する表面波フィルタ4と、周波数622.08MHz及び666.5143MHzの帯域を増幅する広帯域増幅器5から構成されている。また、表面波フィルタ(SAW:Surface Acoustic Wave Filter)以外にSTW(Surface Transverse Filter)やMCF(Monolithic Crystal Filter)でも構わない。また、広帯域増幅器5に代わり所要周波数を帯域内に持つ狭帯域増幅器でも良い。
尚、水晶発振器1及び2は、例えば、図7のように発振用トランジスタ25と、この発振用トランジスタ25のベース・接地間に負荷容量の一部となるコンデンサC11とコンデンサC12と、エミッタ抵抗R15と、抵抗R12及び抵抗R13とから成るベースバイアス回路と、水晶振動子24と、発振周波数を調整する抵抗R11及びダイオード26と、で構成されている。そして、水晶振動子24を誘導性としたコルピッツ発振回路とし、制御電圧Vcによって発振周波数を可変する電圧制御型とする。そして、このような正帰還型の発振回路では、飽和発振出力として通常では出力波形の先頭部が図8に示したように歪んだものとなる。
【0009】
表面波フィルタ22は、図示しない圧電基板の表面に入出力用の交差指電極を形成してなる。また、図5のような通過特性を有するフィルタである。縦軸は通過損失(dB)、横軸は周波数を表す。この例では、水晶発振器1及び2の源発振周波数の4逓倍の周波数622.08MHz(fa)及び666.5143MHz(fb)を通過帯域として充分小さな通過損失を示し、499.885725MHz以下と777.6MHz以上で充分大きな通過損失を示す特性を有するものである。
広帯域増幅器23は例えば100MHzから2000MHzの周波数を増幅し、リニアIC増幅器からなる。このようなものでは、水晶発振器21の出力波形は先頭部を歪ませるので矩形波に近づく。したがって、発振出力の基本波f1及びこれに対する高調波成分f2〜fnの出力レベル(周波数スペクトラム)は、図9に示したようになる。すなわち、基本波f1に対して高調波成分f2〜fnのレベルは徐々に小さくなるが、充分に高いものとなる。例えば、第4高調波f4のレベルは基本波の70%以上となる。なお、奇数次高調波(2n−1)fは次の偶数次高調波よりもレベルは高くなる。
【0010】
図2は本発明の第2の実施形態に係る周波数選択型水晶発振器のブロック図である。同じ構成要素には同じ参照番号が付されているので、重複する説明は省略する。この周波数選択型水晶発振器は、源発振周波数が155.52MHzの水晶発振器1と、源発振周波数が166.686MHzの水晶発振器2と、水晶発振器1の源発振周波数の4逓倍の周波数622.08MHzの通過帯域幅を有する表面波フィルタ6と、水晶発振器2の源発振周波数の4逓倍の周波数666.5143MHzの通過帯域幅を有する表面波フィルタ7と、各フィルタ6,7の信号を切り替える切替えスイッチ3と、周波数622.08MHz及び666.5143MHzの帯域を増幅する広帯域増幅器5から構成されている。
尚、水晶発振器1及び2の詳細な構成は図7と同じであるので、説明を省略する。また、表面波フィルタ6は、図示しない圧電基板の表面に入出力用の交差指電極を形成し、図6(a)のような通過特性を有するフィルタである。縦軸は通過損失(dB)、横軸は周波数を表す。この例では、水晶発振器1の源発振周波数の4逓倍の周波数622.08MHz(fa)を通過帯域として充分小さな通過損失を示す特性を有するものである。また、表面波フィルタ7は、図6(b)のように水晶発振器2の源発振周波数の4逓倍の周波数666.5143MHz(fb)を通過帯域として充分小さな通過損失を示す特性を有するものである。このように本実施形態の場合は、従来の場合と比較して増幅器の数が少ないので小型化に有効であり、第1の実施形態に比べて表面波フィルタの特性を各所要周波数に限定して揃えることができるので、通過帯域の幅を狭くして不要なスプリアスを効率的に除去することができ、フィルタを通過した発振信号の品質を向上することができる。
【0011】
図3は本発明の第3の実施形態に係る周波数選択型水晶発振器のブロック図である。同じ構成要素には同じ参照番号が付されているので、重複する説明は省略する。図3が図1と異なる点は、水晶発振器11に源発振周波数の4逓倍の周波数622.08MHzの共振周波数を有する共振回路10と、水晶発振器13に源発振周波数の4逓倍の周波数666.5143MHzの共振周波数を有する共振回路12と、を夫々備えた点である。他の構成は図1と同様である。
図4は本発明の第4の実施形態に係る周波数選択型水晶発振器のブロック図である。同じ構成要素には同じ参照番号が付されているので、重複する説明は省略する。図4が図2と異なる点は、水晶発振器11に源発振周波数の4逓倍の周波数622.08MHzの共振周波数を有する共振回路10と、水晶発振器13に源発振周波数の4逓倍の周波数666.5143MHzの共振周波数を有する共振回路12と、を夫々備えた点である。他の構成は図2と同様である。
尚、水晶発振器11及び13は、例えば、図10のように発振用トランジスタ35と、この発振用トランジスタ35のベース・接地間に負荷容量の一部となるコンデンサC1とコンデンサC2と、エミッタ抵抗R4と、抵抗R2及び抵抗R3とから成るベースバイアス回路と、水晶振動子34と、発振周波数を調整する抵抗R1及びダイオード36と、で構成され、共振回路37はインダクタL1とコンデンサC3から構成される。また、水晶発振器31は、発振用トランジスタ35のベース・接地間に負荷容量の一部となるコンデンサC1とコンデンサC2との直列回路を挿入接続し、この直列回路の接続中点と発振用トランジスタ35のエミッタとを接続すると共に、エミッタ抵抗R4を接続して接地する。更に、発振用トランジスタ35のベースに抵抗R2及び抵抗R3とから成るベースバイアス回路を接続すると共に、発振用トランジスタ35のベース・接地間に水晶振動子34を挿入接続し、更に、水晶振動子34の他方の端子を抵抗R1とダイオード36を直列接続した中点と接続し、ダイオード36のアノードを接地する。また、発振用トランジスタ35のコレクタにインダクタL1とコンデンサC3から構成される並列共振回路を電源電圧Vccラインとの間に構成したものである。そのコレクタ出力は表面波フィルタ32に入力され、さらに表面波フィルタ32の出力は広帯域増幅器33により増幅されて出力される。尚、共振回路37は並列共振回路であるが直列共振回路でも構わない。また、表面波フィルタ(SAW:Surface Acoustic Wave Filter)以外にSTW(Surface Transverse Filter)やMCF(Monolithic Crystal Filter)でも構わない。また、広帯域増幅器3に代わり所要周波数を帯域内に持つ狭帯域増幅器でも良い。
【0012】
前述のように発振回路31は、水晶振動子34を誘導性としたコルピッツ発振回路とし、制御電圧VCONTによって発振周波数を可変する電圧制御型とする。そして、この回路では、発振用トランジスタ35を飽和動作させて所望の高次の高調波信号が積極的に発生するよう、その所要の周波数に同調する共振回路37をインダクタL1とコンデンサC3にて構成する。ここで、並列共振回路37の図示しない抵抗分をR、インダクタンスをL、コンデンサの容量をCとすると、共振周波数f0は、(1)式のように表せる。
f0=1/2π(1/LC−R2/L2)1/2・・・・・(1)
そして、f0が所要周波数になるようにインダクタL1とコンデンサC3の値を設定し、周波数がf0になるとインピーダンスが最大となり、トランジスタ35のコレクタに高レベルの出力信号が発生する。この共振周波数f0は直流カット用のコンデンサC4により直流分をカットされて表面波フィルタ32に入力される。表面波フィルタ32は共振周波数f0にわずかに重畳した他の不要高調波を除去する働きを有する。これにより共振周波数f0以外の不要高調波が除去された伝送路品質の高い高周波が広帯域増幅器33により増幅されて出力される。
【0013】
図11は、発振回路31の出力波形のスペクトラムを表す図である。この図では基本周波数の4次高調波f4を、共振回路37の共振周波数f0として設定した場合である。この図から例えば図9の場合と比較して4次高調波f4のレベルが他の高調波に比べて強調されているのがわかる。発振回路21の場合では、出力波形は飽和動作させて歪ませるので矩形波に近づく。したがって、発振出力の基本波f1及びこれに対する高調波成分f2〜fnの出力レベル(周波数スペクトラム)は、前記図9に示したようになる。すなわち、基本波f1に対して高調波成分f2〜fnのレベルは徐々に小さくなるが、充分に高いものとなる。例えば、4次高調波f4のレベルは基本波の70%以上となる。なお、奇数次高調波(2n−1)fは次の偶数次高調波よりもレベルは高くなる。これに対し発振回路31の場合では、共振回路37により4次高調波f4に共振させることで高調波f4を積極的に発振させることになるので、スペクトラムは図11のようになり、4次高調波f4のみが強調されて出力される。この結果、表面波フィルタ32により更に他の高調波が減衰されて広帯域増幅器33からは高品質の4次高調波f4の高周波が出力される。
【0014】
【発明の効果】
以上記載のごとく請求項1の発明によれば、スイッチの位置を標準用クロックと誤り訂正用クロックの発振器の直後に備えるので、スプリアス特性を損ねることなく、従来に比べて部品点数を大幅に削減することができる。
また請求項2では、所要周波数の2周波を低損失で通過させるバンドパス・フィルタを使用するので、他の不要スプリアスを効率良く減衰させることができる。
また請求項3では、フィルタに弾性表面波素子を使用するので、高周波の特性に優れたフィルタが実現でき、しかも装置の小型化を実現することができる。
また請求項4では、2周波に専用のフィルタを備え、スイッチの位置をそのフィルタの直後に備えることにより、優れたスプリアス特性を有する2周波を切替えて使用することができる。
また請求項5では、フィルタが2周波の発振周波数に対して専用に設けられているため、通過帯域の幅を狭くして不要なスプリアスを効率的に除去することができ、フィルタを通過した発振信号の品質を向上することができる。
また請求項6では、請求項3と同様な作用効果を奏する。
また請求項7では、各発振器に所要の周波数に共振する共振回路を備えるので、所要周波数が強調されフィルタの選択能力が高まり、高いレベルの所要スプリアスを得ることができる。
また請求項8では、増幅器に広帯域増幅器を使用するので、所要の周波数を略忠実に増幅することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る周波数選択型水晶発振器のブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る周波数選択型水晶発振器のブロック図である。
【図3】本発明の第3の実施形態に係る周波数選択型水晶発振器のブロック図である。
【図4】本発明の第4の実施形態に係る周波数選択型水晶発振器のブロック図である。
【図5】本発明のフィルタ4の通過特性を示す図である。
【図6】(a)は本発明のフィルタ6の通過特性を示す図であり、(b)はフィルタ7の通過特性を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る高周波発振器の一例を示すブロック図である。
【図8】図7の水晶発振器の出力波形の図である。
【図9】図7の水晶発振器のスペクトラム特性図である。
【図10】本発明の実施形態に係る高周波発振器の一例を示すブロック図である。
【図11】本発明の共振回路の出力波形のスペクトラム特性図である。
【図12】従来の水晶発振器のブロック図である。
【図13】従来の周波数選択型水晶発振器のブロック図である。
【符号の説明】
1、2 水晶発振器、3 切替えスイッチ、4 表面波フィルタ、5 広帯域増幅器
【発明の属する技術分野】
本発明は、水晶振動子を用いた周波数選択型水晶(圧電)発振器に関し、特に光伝送装置の標準クロック、及び誤り訂正用クロックの2周波を切替え可能なVCXO(Voltage Controlled Crystal Oscillator)回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通常、温度安定度、位相雑音に優れた600MHz帯の電圧制御型圧電発振器を実現するための圧電振動子としては、水晶振動子を用いるのが一般的である。しかし、水晶振動子の共振周波数は200MHz程度が限界であるため、所要周波数の1/n(n=3〜4)の共振周波数(例えば、155MHz)の振動子と発振回路とによって発振させ、それを所要周波数(例えば、622MHz)まで引き上げるために逓倍回路が用いられる。また、小型化に適した逓倍回路として155MHz発振器の出力の4倍波をLC同調回路にて抽出する方法があるが、不要スプリアスが低下しないといった問題がある。そこで、更に不要スプリアスを下げる必要がある場合には、図12のように、発振器40の発振信号(155.52MHz)から所要の周波数のみを通過させるSAW(Surface Acoustic Wave)フィルタ41と所要周波数のみを増幅するアンプ42を用いて逓倍回路を構成する必要がある。
また、これらのVCXOを搭載する光伝送用トランスポンダ等では、標準用クロックと誤り訂正用クロックの2周波を切替えて使用することが多い。また、これらの用途に使用するVCXOは、スプリアス特性の優れたものが好ましい。この場合、スプリアス特性の優れた2周波の信号を切り替えるVCXOを構成しようとすると、従来では図13のように、発振器43の発振信号(155.52MHz)から所要の周波数のみを通過させるSAWフィルタ44と所要周波数のみを増幅するアンプ45、及び発振器47の発振信号(166.6286MHz)から所要の周波数のみを通過させるSAWフィルタ48と所要周波数のみを増幅するアンプ49の2系統を用意し、これらの出力をスイッチ46で切替えるといった方法で実現していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、不要スプリアスを低減するために、従来の方式では発振器、SAWフィルタ、アンプを夫々2系統用意し、各系統からの出力をスイッチにより切替えていたため部品点数が多くなり、近年の光伝送装置が小型化の傾向に対応することが困難となり、部品コストの上昇も避けられないといった問題がある。
本発明は、かかる課題に鑑み、素子数を少なくして小型化を実現すると共に、スプリアス特性の優れた2周波の信号を切り替えることが可能なVCXO回路を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、第1の圧電発振器と、第2の圧電発振器と、前記第1及び第2の圧電発振器の何れか一方の発振信号を選択する信号選択手段と、該信号選択手段により選択された圧電発振器の発振信号から所要の周波数を通過させるフィルタと、該フィルタを通過した発振信号を所定の出力レベルに増幅する増幅器と、を備え、前記信号選択手段により選択された圧電発振器の発振信号に含まれるn倍(nは正の整数)の高調波を前記フィルタにより選択的に通過させた信号を前記増幅器にて所定のレベルに増幅することを特徴とする。
周波数逓倍回路は、源発振周波数を所要周波数の1/nに設定して、源発振波形を故意に歪ませて、その歪んだ波形に存在する高調波からn倍の所要周波数をフィルタ等で選択して増幅する手法が一般的である。そこで、光伝送用トランスポンダにおいて、標準用クロックと誤り訂正用クロックの2周波を切替えて使用する場合、従来は、前記逓倍回路を2系統用意してスイッチにより切替えていたため部品点数が多く、小型化のネックになっていた。そこで本発明では、可能な限り部品点数を減らすため、スイッチの位置を標準用クロックと誤り訂正用クロックの発振器の直後に備え、フィルタを各発振器専用としないで両発振器の所要周波数をカバーする特性とし、且つ、増幅器の特性も両発振器の所要周波数範囲を増幅する特性として共用することにより、従来に比較してフィルタと増幅器をそれぞれ1つづつ削減することができる。
かかる発明によれば、スイッチの位置を標準用クロックと誤り訂正用クロックの発振器の直後に備えるので、スプリアス特性を損ねることなく、従来に比べて部品点数を大幅に削減することができる。
【0005】
請求項2は、前記フィルタは、前記第1及び第2の圧電発振器の夫々の発振周波数のn倍の周波数の双方を通過させるバンドパス・フィルタであることを特徴とする。
フィルタは、所要周波数の2周波(例えば、622.08MHzと666.5143MHz)を低損失にて通過させ、他のスプリアス帯域(例えば、499.885725MH以下、777.6MH以上)においては充分減衰する特性を持つ必要がある。そのような特性のフィルタはバンドパス・フィルタが最適である。
かかる発明によれば、所要周波数の2周波を低損失で通過させるバンドパス・フィルタを使用するので、他の不要スプリアスを効率良く減衰させることができる。
請求項3は、前記フィルタは、弾性表面波フィルタであることを特徴とする。
弾性表面波フィルタは、結晶基板の表面のみにエネルギーが集中した弾性振動を利用したものであり、電磁波に比べて伝播速度が約10−5倍遅いことを利用してデバイスの小型化が可能である。
かかる発明によれば、フィルタに弾性表面波素子を使用するので、高周波の特性に優れたフィルタが実現でき、しかも装置の小型化を実現することができる。
【0006】
請求項4は、第1の圧電発振器と、第2の圧電発振器と、前記第1の圧電発振器の発振信号から所要の周波数を通過させる第1のフィルタと、前記第2の圧電発振器の発振信号から所要の周波数を通過させる第2のフィルタと、前記第1及び第2のフィルタの何れか一方の発振信号を選択する信号選択手段と、該信号選択手段により選択された発振信号を所定の出力レベルに増幅する増幅器と、を備え、前記第1及び第2の圧電発振器の夫々の発振信号に含まれるn倍(nは正の整数)の高調波を前記第1及び第2のフィルタにより個別に通過させ、前記信号選択手段により前記各通過信号の何れか一方を選択して前記増幅器にて所定のレベルに増幅することを特徴とする。
請求項1ではスイッチを標準用クロックと誤り訂正用クロックの発振器の直後に備えて部品を最小限にした構成をとった。そのためにフィルタの特性が2周波を通過させるようにしなければならず、その分、通過帯域の幅を広くする必要があった。特に、バンドパス・フィルタは可能な限り通過帯域幅を狭くして、不要な周波数を除去することが好ましい。そこで本発明では、部品点数は若干増えるが、2周波のスプリアス特性を更に改善するために、2周波に専用のフィルタを備え、スイッチの位置をそのフィルタの直後に備えたものである。
かかる発明によれば、2周波に専用のフィルタを備え、スイッチの位置をそのフィルタの直後に備えることにより、優れたスプリアス特性を有する2周波を切替えて使用することができる。
請求項5は、前記第1及び第2のフィルタは、前記第1及び第2の圧電発振器の発振周波数の夫々からn倍の周波数を選択的に通過させるバンドパス・フィルタであることを特徴とする。
本発明のフィルタは2周波の発振周波数に対して専用に設けられているため、1種類の所要のスプリアスを通過させる特性を有していれば良い。従って、その分、通過帯域の幅を狭くでき不要なスプリアスを効率的に除去することができる。言い換えると、フィルタを通過した発振信号の品質を向上することができる。
かかる発明によれば、フィルタが2周波の発振周波数に対して専用に設けられているため、通過帯域の幅を狭くして不要なスプリアスを効率的に除去することができ、フィルタを通過した発振信号の品質を向上することができる。
請求項6は、前記第1及び第2フィルタは、弾性表面波フィルタであることを特徴とする。
かかる発明によれば、請求項3と同様な作用効果を奏する。
【0007】
請求項7は、前記第1及び第2の水晶発振器の夫々の発振信号に含まれるn倍(nは正の整数)の高調波に共振する共振回路を更に備えたことを特徴とする。
前記請求項1から6の発振器は、発振波形に含まれる高調波から所要の周波数をフィルタにより選択して増幅する方法である。この方式の場合、所要周波数のスプリアスのレベルが、ある程度大きければフィルタにより通過した後、増幅して所定のレベルを確保することができるが、必ずしも所要周波数が大きなレベルとは限らない。そこで本発明では、スプリアスを含んだ波形から所要のスプリアスに共振する共振回路を備え、所要のスプリアスを強調してフィルタに入力するものである。
かかる発明によれば、各発振器に所要の周波数に共振する共振回路を備えるので、所要周波数が強調されフィルタの選択能力が高まり、高いレベルの所要スプリアスを得ることができる。
請求項8は、前記増幅器は、前記第1及び第2の圧電発振器の夫々の発振信号に含まれるn倍(nは正の整数)の高調波のみを増幅する広帯域増幅器であることを特徴とする。
高周波の波形を忠実に増幅するには、その周波数に含まれる高調波成分の帯域幅までを増幅する必要がある。従って、理想的には無限大の帯域幅の特性を持つ増幅器がよい。しかし、現実的には所定の次数の高調波までの帯域を備えれば実用上問題はない。そこで、可能であれば広帯域増幅器を使用し、コスト的な制約があれば、所要周波数を帯域内に有する狭帯域増幅器を使用しても差し支えない。
かかる発明によれば、増幅器に広帯域増幅器を使用するので、所要の周波数を略忠実に増幅することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。尚、本説明では、水晶発振器について述べているが、圧電発振器一般にも適用可能である。
図1は本発明の第1の実施形態に係る周波数選択型水晶発振器のブロック図である。この周波数選択型水晶発振器は、源発振周波数が155.52MHzの水晶発振器1と、源発振周波数が166.686MHzの水晶発振器2と、切替えスイッチ3と、水晶発振器1及び2の源発振周波数の4逓倍の周波数622.08MHz及び666.5143MHzの通過帯域幅を有する表面波フィルタ4と、周波数622.08MHz及び666.5143MHzの帯域を増幅する広帯域増幅器5から構成されている。また、表面波フィルタ(SAW:Surface Acoustic Wave Filter)以外にSTW(Surface Transverse Filter)やMCF(Monolithic Crystal Filter)でも構わない。また、広帯域増幅器5に代わり所要周波数を帯域内に持つ狭帯域増幅器でも良い。
尚、水晶発振器1及び2は、例えば、図7のように発振用トランジスタ25と、この発振用トランジスタ25のベース・接地間に負荷容量の一部となるコンデンサC11とコンデンサC12と、エミッタ抵抗R15と、抵抗R12及び抵抗R13とから成るベースバイアス回路と、水晶振動子24と、発振周波数を調整する抵抗R11及びダイオード26と、で構成されている。そして、水晶振動子24を誘導性としたコルピッツ発振回路とし、制御電圧Vcによって発振周波数を可変する電圧制御型とする。そして、このような正帰還型の発振回路では、飽和発振出力として通常では出力波形の先頭部が図8に示したように歪んだものとなる。
【0009】
表面波フィルタ22は、図示しない圧電基板の表面に入出力用の交差指電極を形成してなる。また、図5のような通過特性を有するフィルタである。縦軸は通過損失(dB)、横軸は周波数を表す。この例では、水晶発振器1及び2の源発振周波数の4逓倍の周波数622.08MHz(fa)及び666.5143MHz(fb)を通過帯域として充分小さな通過損失を示し、499.885725MHz以下と777.6MHz以上で充分大きな通過損失を示す特性を有するものである。
広帯域増幅器23は例えば100MHzから2000MHzの周波数を増幅し、リニアIC増幅器からなる。このようなものでは、水晶発振器21の出力波形は先頭部を歪ませるので矩形波に近づく。したがって、発振出力の基本波f1及びこれに対する高調波成分f2〜fnの出力レベル(周波数スペクトラム)は、図9に示したようになる。すなわち、基本波f1に対して高調波成分f2〜fnのレベルは徐々に小さくなるが、充分に高いものとなる。例えば、第4高調波f4のレベルは基本波の70%以上となる。なお、奇数次高調波(2n−1)fは次の偶数次高調波よりもレベルは高くなる。
【0010】
図2は本発明の第2の実施形態に係る周波数選択型水晶発振器のブロック図である。同じ構成要素には同じ参照番号が付されているので、重複する説明は省略する。この周波数選択型水晶発振器は、源発振周波数が155.52MHzの水晶発振器1と、源発振周波数が166.686MHzの水晶発振器2と、水晶発振器1の源発振周波数の4逓倍の周波数622.08MHzの通過帯域幅を有する表面波フィルタ6と、水晶発振器2の源発振周波数の4逓倍の周波数666.5143MHzの通過帯域幅を有する表面波フィルタ7と、各フィルタ6,7の信号を切り替える切替えスイッチ3と、周波数622.08MHz及び666.5143MHzの帯域を増幅する広帯域増幅器5から構成されている。
尚、水晶発振器1及び2の詳細な構成は図7と同じであるので、説明を省略する。また、表面波フィルタ6は、図示しない圧電基板の表面に入出力用の交差指電極を形成し、図6(a)のような通過特性を有するフィルタである。縦軸は通過損失(dB)、横軸は周波数を表す。この例では、水晶発振器1の源発振周波数の4逓倍の周波数622.08MHz(fa)を通過帯域として充分小さな通過損失を示す特性を有するものである。また、表面波フィルタ7は、図6(b)のように水晶発振器2の源発振周波数の4逓倍の周波数666.5143MHz(fb)を通過帯域として充分小さな通過損失を示す特性を有するものである。このように本実施形態の場合は、従来の場合と比較して増幅器の数が少ないので小型化に有効であり、第1の実施形態に比べて表面波フィルタの特性を各所要周波数に限定して揃えることができるので、通過帯域の幅を狭くして不要なスプリアスを効率的に除去することができ、フィルタを通過した発振信号の品質を向上することができる。
【0011】
図3は本発明の第3の実施形態に係る周波数選択型水晶発振器のブロック図である。同じ構成要素には同じ参照番号が付されているので、重複する説明は省略する。図3が図1と異なる点は、水晶発振器11に源発振周波数の4逓倍の周波数622.08MHzの共振周波数を有する共振回路10と、水晶発振器13に源発振周波数の4逓倍の周波数666.5143MHzの共振周波数を有する共振回路12と、を夫々備えた点である。他の構成は図1と同様である。
図4は本発明の第4の実施形態に係る周波数選択型水晶発振器のブロック図である。同じ構成要素には同じ参照番号が付されているので、重複する説明は省略する。図4が図2と異なる点は、水晶発振器11に源発振周波数の4逓倍の周波数622.08MHzの共振周波数を有する共振回路10と、水晶発振器13に源発振周波数の4逓倍の周波数666.5143MHzの共振周波数を有する共振回路12と、を夫々備えた点である。他の構成は図2と同様である。
尚、水晶発振器11及び13は、例えば、図10のように発振用トランジスタ35と、この発振用トランジスタ35のベース・接地間に負荷容量の一部となるコンデンサC1とコンデンサC2と、エミッタ抵抗R4と、抵抗R2及び抵抗R3とから成るベースバイアス回路と、水晶振動子34と、発振周波数を調整する抵抗R1及びダイオード36と、で構成され、共振回路37はインダクタL1とコンデンサC3から構成される。また、水晶発振器31は、発振用トランジスタ35のベース・接地間に負荷容量の一部となるコンデンサC1とコンデンサC2との直列回路を挿入接続し、この直列回路の接続中点と発振用トランジスタ35のエミッタとを接続すると共に、エミッタ抵抗R4を接続して接地する。更に、発振用トランジスタ35のベースに抵抗R2及び抵抗R3とから成るベースバイアス回路を接続すると共に、発振用トランジスタ35のベース・接地間に水晶振動子34を挿入接続し、更に、水晶振動子34の他方の端子を抵抗R1とダイオード36を直列接続した中点と接続し、ダイオード36のアノードを接地する。また、発振用トランジスタ35のコレクタにインダクタL1とコンデンサC3から構成される並列共振回路を電源電圧Vccラインとの間に構成したものである。そのコレクタ出力は表面波フィルタ32に入力され、さらに表面波フィルタ32の出力は広帯域増幅器33により増幅されて出力される。尚、共振回路37は並列共振回路であるが直列共振回路でも構わない。また、表面波フィルタ(SAW:Surface Acoustic Wave Filter)以外にSTW(Surface Transverse Filter)やMCF(Monolithic Crystal Filter)でも構わない。また、広帯域増幅器3に代わり所要周波数を帯域内に持つ狭帯域増幅器でも良い。
【0012】
前述のように発振回路31は、水晶振動子34を誘導性としたコルピッツ発振回路とし、制御電圧VCONTによって発振周波数を可変する電圧制御型とする。そして、この回路では、発振用トランジスタ35を飽和動作させて所望の高次の高調波信号が積極的に発生するよう、その所要の周波数に同調する共振回路37をインダクタL1とコンデンサC3にて構成する。ここで、並列共振回路37の図示しない抵抗分をR、インダクタンスをL、コンデンサの容量をCとすると、共振周波数f0は、(1)式のように表せる。
f0=1/2π(1/LC−R2/L2)1/2・・・・・(1)
そして、f0が所要周波数になるようにインダクタL1とコンデンサC3の値を設定し、周波数がf0になるとインピーダンスが最大となり、トランジスタ35のコレクタに高レベルの出力信号が発生する。この共振周波数f0は直流カット用のコンデンサC4により直流分をカットされて表面波フィルタ32に入力される。表面波フィルタ32は共振周波数f0にわずかに重畳した他の不要高調波を除去する働きを有する。これにより共振周波数f0以外の不要高調波が除去された伝送路品質の高い高周波が広帯域増幅器33により増幅されて出力される。
【0013】
図11は、発振回路31の出力波形のスペクトラムを表す図である。この図では基本周波数の4次高調波f4を、共振回路37の共振周波数f0として設定した場合である。この図から例えば図9の場合と比較して4次高調波f4のレベルが他の高調波に比べて強調されているのがわかる。発振回路21の場合では、出力波形は飽和動作させて歪ませるので矩形波に近づく。したがって、発振出力の基本波f1及びこれに対する高調波成分f2〜fnの出力レベル(周波数スペクトラム)は、前記図9に示したようになる。すなわち、基本波f1に対して高調波成分f2〜fnのレベルは徐々に小さくなるが、充分に高いものとなる。例えば、4次高調波f4のレベルは基本波の70%以上となる。なお、奇数次高調波(2n−1)fは次の偶数次高調波よりもレベルは高くなる。これに対し発振回路31の場合では、共振回路37により4次高調波f4に共振させることで高調波f4を積極的に発振させることになるので、スペクトラムは図11のようになり、4次高調波f4のみが強調されて出力される。この結果、表面波フィルタ32により更に他の高調波が減衰されて広帯域増幅器33からは高品質の4次高調波f4の高周波が出力される。
【0014】
【発明の効果】
以上記載のごとく請求項1の発明によれば、スイッチの位置を標準用クロックと誤り訂正用クロックの発振器の直後に備えるので、スプリアス特性を損ねることなく、従来に比べて部品点数を大幅に削減することができる。
また請求項2では、所要周波数の2周波を低損失で通過させるバンドパス・フィルタを使用するので、他の不要スプリアスを効率良く減衰させることができる。
また請求項3では、フィルタに弾性表面波素子を使用するので、高周波の特性に優れたフィルタが実現でき、しかも装置の小型化を実現することができる。
また請求項4では、2周波に専用のフィルタを備え、スイッチの位置をそのフィルタの直後に備えることにより、優れたスプリアス特性を有する2周波を切替えて使用することができる。
また請求項5では、フィルタが2周波の発振周波数に対して専用に設けられているため、通過帯域の幅を狭くして不要なスプリアスを効率的に除去することができ、フィルタを通過した発振信号の品質を向上することができる。
また請求項6では、請求項3と同様な作用効果を奏する。
また請求項7では、各発振器に所要の周波数に共振する共振回路を備えるので、所要周波数が強調されフィルタの選択能力が高まり、高いレベルの所要スプリアスを得ることができる。
また請求項8では、増幅器に広帯域増幅器を使用するので、所要の周波数を略忠実に増幅することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る周波数選択型水晶発振器のブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る周波数選択型水晶発振器のブロック図である。
【図3】本発明の第3の実施形態に係る周波数選択型水晶発振器のブロック図である。
【図4】本発明の第4の実施形態に係る周波数選択型水晶発振器のブロック図である。
【図5】本発明のフィルタ4の通過特性を示す図である。
【図6】(a)は本発明のフィルタ6の通過特性を示す図であり、(b)はフィルタ7の通過特性を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る高周波発振器の一例を示すブロック図である。
【図8】図7の水晶発振器の出力波形の図である。
【図9】図7の水晶発振器のスペクトラム特性図である。
【図10】本発明の実施形態に係る高周波発振器の一例を示すブロック図である。
【図11】本発明の共振回路の出力波形のスペクトラム特性図である。
【図12】従来の水晶発振器のブロック図である。
【図13】従来の周波数選択型水晶発振器のブロック図である。
【符号の説明】
1、2 水晶発振器、3 切替えスイッチ、4 表面波フィルタ、5 広帯域増幅器
Claims (8)
- 第1の圧電発振器と、第2の圧電発振器と、前記第1及び第2の圧電発振器の何れか一方の発振信号を選択する信号選択手段と、該信号選択手段により選択された圧電発振器の発振信号から所要の周波数を通過させるフィルタと、該フィルタを通過した発振信号を所定の出力レベルに増幅する増幅器と、を備え、
前記信号選択手段により選択された圧電発振器の発振信号に含まれるn倍(nは正の整数)の高調波を前記フィルタにより選択的に通過させた信号を前記増幅器にて所定のレベルに増幅することを特徴とする周波数選択型圧電発振器。 - 前記フィルタは、前記第1及び第2の圧電発振器の夫々の発振周波数のn倍の周波数の双方を通過させるバンドパス・フィルタであることを特徴とする請求項1に記載の周波数選択型圧電発振器。
- 前記フィルタは、弾性表面波フィルタであることを特徴とする請求項2に記載の周波数選択型圧電発振器。
- 第1の圧電発振器と、第2の圧電発振器と、前記第1の圧電発振器の発振信号から所要の周波数を通過させる第1のフィルタと、前記第2の圧電発振器の発振信号から所要の周波数を通過させる第2のフィルタと、前記第1及び第2のフィルタの何れか一方の発振信号を選択する信号選択手段と、該信号選択手段により選択された発振信号を所定の出力レベルに増幅する増幅器と、を備え、
前記第1及び第2の圧電発振器の夫々の発振信号に含まれるn倍(nは正の整数)の高調波を前記第1及び第2のフィルタにより個別に通過させ、前記信号選択手段により前記各通過信号の何れか一方を選択して前記増幅器にて所定のレベルに増幅することを特徴とする周波数選択型圧電発振器。 - 前記第1及び第2のフィルタは、前記第1及び第2の圧電発振器の発振周波数の夫々からn倍の周波数を選択的に通過させるバンドパス・フィルタであることを特徴とする請求項4に記載の周波数選択型圧電発振器。
- 前記第1及び第2フィルタは、弾性表面波フィルタであることを特徴とする請求項5に記載の周波数選択型圧電発振器。
- 前記第1及び第2の圧電発振器の夫々の発振信号に含まれるn倍(nは正の整数)の高調波に共振する共振回路を更に備えたことを特徴とする請求項1又は4に記載の周波数選択型圧電発振器。
- 前記増幅器は、前記第1及び第2の圧電発振器の夫々の発振信号に含まれるn倍(nは正の整数)の高調波のみを増幅する広帯域増幅器であることを特徴とする請求項1又は4に記載の周波数選択型圧電発振器。
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-
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