JP2004186115A - ディスプレイパネルの製造方法 - Google Patents

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Hiroyuki Mitomo
啓之 三友
Masaomi Ebe
政臣 江部
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Abstract

【課題】液滴が広がってしまい細幅パターンの描画ができないという問題を撥液処理を行う工程を追加することなく解決する。
【解決手段】基板1上に形成した透明電極2a上に、黒色層12及び主電極層13からなる2層構造のバス電極2bを形成したディスプレイパネルを製造するにあたり、バス電極形成工程の第1工程で、透明電極2a上に撥水作用を有する黒色材料層(黒色層12)をパターン形成して乾燥させ、第2工程で、乾燥した黒色材料層上に主電極材料層(主電極層13)をインクジェット法によりパターン形成し、第3工程で、黒色材料層及び主電極材料層を同時焼成する。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマディスプレイパネル等のディスプレイパネルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
まず、ディスプレイパネルの一例として、一般的なプラズマディスプレイパネル(以下、PDPと記す)の構造(例えば、特許文献1参照)について以下説明する。図1はPDPの内部構造を示す分解斜視図であり、図2は、PDPの行電極対2(X,Y)の構造を模式的に示す平面図である。
【0003】
図1において、表示面側となる前面基板1の内面側には、複数の行電極対2(X,Y)、行電極対2(X,Y)を被覆する誘電体層3、誘電体層3を被覆するMgOからなる保護層4が順に形成されている。行電極対2は、幅の広いITO等の透明導電膜からなる透明電極2aと、透明電極2aの導電性を補う幅の狭い金属膜からなる金属電極(バス電極)2bとから構成されている。
【0004】
一方、放電空間8を介して対向配置される背面側の背面ガラス基板5には、行電極対2(X,Y)と直交する方向に配列され、各交差部にて表示セルを形成する列電極6、6間に、帯状に設けられると共に放電空間8を区画する隔壁9、列電極6及び隔壁9の側面を放電空間8に対して被覆するように設けられた3原色の蛍光体層7R,7G,7Bが形成されている。放電空間8内には、希ガスが注入封入されている。
【0005】
各行電極対2(X,Y)は、図2に示されるように、マトリクス表示の1ライン(行)Lに対応し、各ラインLにおいて放電ギャップGを挟んで隣接するように列方向に交互に配列されている。各ラインLでは、各行電極対2(X,Y)によって単位発光領域Eに表示セル(放電セル)が画定される。
【0006】
次に、上記のPDPにおけるディスプレイの表示動作を説明する。
まず、図2に示す列電極6と行電極対2(X,Y)との間の選択的放電によるアドレス操作によって、点灯セル(壁電荷が形成されたセル)及び消灯セル(壁電荷が形成されなかったセル)が選択される。アドレス操作の後、全ラインLに一斉に、行電極対X,Yに対して交互に放電維持パルスを印加することにより、点灯セルにおいて放電維持パルスが印加される毎に面放電が生じる。この面放電で生じた紫外線によって蛍光体層7R,7G,7Bを励起し、可視光を発光させている。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−149837号公報(第2頁、第7、8図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述のPDPなどのディスプレイパネルを製造する場合、バス電極2bや列電極6の形成については、フォトリソグラフィ法を用いて一括形成するのが一般的である。
【0009】
しかし、フォトリソグラフィによる電極形成は、材料利用効率の悪さや多量の水を使うなどの問題があるため、最近ではそれを解決する別の手法として、微粒化金属粉を分散したペーストをインクジェット法により、基板上に直接パターン形成する射出塗布方法が提案されている。
【0010】
しかしながら、インクジェット法により、例えばバス電極を基板に直接形成する場合には、インクジェット法に適する微細金属粒(50nm程度のサイズ)を含有するペーストは数cP程度の極めて低粘度のペーストになる。
このような低粘度のペーストをガラス基板の表面に塗布した場合、基板に何らかの撥液処理を施さないと液滴が広がってしまい、細幅パターンの描画ができないという問題が生じる。
【0011】
このため、従来のインクジェット法を用いた基板上に直接パターン形成する射出塗布方法は、撥液処理を行う工程が必要なため、工程が煩雑化する問題があった。
【0012】
本発明が解決しようとする課題としては、上述した従来技術において生じている液滴が広がってしまい細幅パターンの描画ができないという問題を撥液処理を行う工程を追加することなく解決することが一例として挙げられる。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、基板上に形成した透明電極上に、黒色層及び主電極層からなる2層構造のバス電極を形成するバス電極形成工程を含むディスプレイパネルの製造方法において、前記バス電極形成工程は、前記透明電極上に撥水作用を有する黒色材料層をパターン形成して乾燥する第1工程と、当該第1工程にて乾燥した前記黒色材料層上に主電極材料層をインクジェット法によりパターン形成する第2工程と、を含むことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
最初に、以下に述べる各実施の形態の製造方法において製造されるディスプレイパネルの要部の断面構造について図3のパネルの表示面側の要部断面図を用いて説明する。
【0015】
図3において、基板1は表示面側となる前面基板であり、複数の行電極対2(X,Y)、行電極対2を被覆する誘電体層3が形成されている。
行電極対2は、幅の広いITO等の透明導電膜からなる透明電極2aと、その導電性を補う幅の狭い金属膜からなる2層構造のバス電極2bとから構成されている。2層構造のバス電極2bは、透明電極2a上に順に積層された黒色層(外光反射防止層)12及び主電極層13からなる。
【0016】
次に、本発明に係る実施の形態のディスプレイパネルの製造方法について説明する。透明電極2aの形成から誘電体層3の形成までの製造工程を図3及び図4を用いて説明する。図4は、第1の実施の形態における製造工程のフローを示す図である。
【0017】
図4に工程順を示すように、まず第1のステップS1で、基板1上に透明電極2aを形成する。
次に、第2のステップS2で、黒色層(外光反射防止層)12及び主電極層13よりなる2層構造のバス電極2bを形成する(バス電極形成工程)。
そして、第3のステップS3で誘電体層3を形成し、これにより、図3の断面構造を持つパネルを完成させる。
【0018】
さらに詳細に説明すると、上記第2のステップS2のバス電極形成工程では、以下の第1工程〜第3工程を経てバス電極2aが形成される。
第1工程S2−1では、透明電極2a上に撥水作用を有する黒色材料層をパターン形成して乾燥する。
次に、第2工程S2−2では、乾燥した黒色材料層上に主電極材料層をインクジェット法によりパターン形成する。
次に、第3工程S2−3では、黒色材料層及び主電極材料層を同時焼成する。
【0019】
上記の黒色材料層は、その形成材料として、例えば無機黒色顔料、銀粉末、ガラス粉末、焼成除去可能な樹脂、溶剤を混合した黒色ペーストを用い、これをスクリーン印刷またはオフセット印刷することでパターン形成する。
【0020】
また、主電極材料層は、その形成材料として、例えば平均粒径50nm以下の銀粉末、ガラス粉末、焼成除去可能な樹脂、水系の溶剤を混合した導体ペースト(10cP以下の粘度を有する導体インク)を用い、これをインクジェット法によりパターン形成する。
【0021】
ここで、低粘度の導体インクを用いてインクジェット法により主電極材料層をパターン形成する際に、先に印刷してある未焼成の黒色材料層が樹脂成分を含むことにより撥水作用を有するため、導体インクの拡がりを防止することができ、滲みのない細幅の主電極材料層パターンの形成が可能となる。
すなわち、インクジェット法による滲み防止のための撥液効果を、バス電極2bの下層の黒色層(外光反射防止層)12に持たせている。
【0022】
(実施例)
以下に、外光反射防止層として利用する黒色材料層が十分な撥水作用を有していることを確認した実施例について簡単に述べる。
【0023】
実施例A:
シリコン系撥水処理済みの基板に、平均粒径50nm以下の銀粉末、ガラス粉末、焼成除去可能な樹脂、水系の溶剤を混合した導体ペーストを塗布した。
この基板に対して水の接触角θを測定した。接触角θとは、図5に示すように、基板の平面に対して水滴の表面のなす角度であり、CCDカメラなどで撮像した画像から測定される。
【0024】
実施例B:
黒色顔料を含有したガラスペーストを印刷・乾燥させた基板(未焼成)に、平均粒径50nm以下の銀粉末、ガラス粉末、焼成除去可能な樹脂、水系の溶剤を混合した導体ペーストを塗布した。
この基板に対して水の接触角θを測定した。接触角θとは、図5に示すように、基板の平面に対して水滴の表面のなす角度であり、CCDカメラなどで撮像した画像から測定される。
【0025】
上記実施例A、Bの測定結果は、両者とも水の接触角θが100度前後であり、十分な撥水レベルを示すことが確認された。
【0026】
ところで、印刷・乾燥した黒色顔料を含有したガラスペーストが撥水作用を持っているのは、樹脂成分を含有していること、シリコンを含有していること(ペーストの種類によるが、ペースト改質材として添加される場合がある)、ペースト乾燥膜が適度な表面粗度を有していること等が考えられる。
上記実施例A、Bの撥水効果は、他のPDP材料、例えばAgフィルム、誘電体フィルムにおいても確認できるものであることから考察するに、樹脂成分を含有していることが一番の理由であると考えられる。
【0027】
以上のように、本実施の形態に係るディスプレイパネルの製造方法は、基板1上に形成した透明電極2a上に、黒色層12及び主電極層13からなる2層構造のバス電極2bを形成するバス電極形成工程S2を含むディスプレイパネルの製造方法において、バス電極形成工程S2は、透明電極2a上に撥水作用を有する黒色材料層をパターン形成して乾燥する第1工程S2−1と、第1工程S2−1にて乾燥した黒色材料層上に主電極材料層をインクジェット法によりパターン形成する第2工程S2−2と、を含むものである。
これにより、元々パネルに必須となる外光反射防止層(黒色層)の撥水作用を利用するため、新たに撥液処理工程を追加する必要がない。
【0028】
さらに、本実施の形態のディスプレイパネルの製造方法は、黒色材料層及び主電極材料層を同時焼成する第3工程を含むことにより、撥水作用を発揮する樹脂成分は、焼成により取り除かれるので、特別な除去工程は必要ない。
よって、液滴が広がってしまい細幅パターンの描画ができないという問題を撥液処理を行う工程を追加することなく解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的なPDPの内部構造を示す分解斜視図である。
【図2】図1のPDPにおける行電極対の構造を模式的に示す平面図である。
【図3】本発明に係る実施の形態の製造方法において製造されるディスプレイパネルの表示面側の要素の部分断面図である。
【図4】本発明に係る実施の形態の製造方法におけるパネル形成工程の説明図である。
【図5】実施例A、Bにおける水の接触角θの説明図である。
【符号の説明】
1 基板(前面基板)
2a 透明電極
2b バス電極
12 黒色層
13 主電極層

Claims (4)

  1. 基板上に形成した透明電極上に、黒色層及び主電極層からなる2層構造のバス電極を形成するバス電極形成工程を含むディスプレイパネルの製造方法において、
    前記バス電極形成工程は、前記透明電極上に撥水作用を有する黒色材料層をパターン形成して乾燥する第1工程と、
    当該第1工程にて乾燥した前記黒色材料層上に主電極材料層をインクジェット法によりパターン形成する第2工程と、を含むことを特徴とするディスプレイパネルの製造方法。
  2. 前記バス電極形成工程は、さらに、前記黒色材料層及び主電極材料層を同時焼成する第3工程を含むことを特徴とする請求項1記載のディスプレイパネルの製造方法。
  3. 前記黒色材料層が、黒色顔料と焼成除去可能な樹脂成分とを少なくとも含むことを特徴とする請求項1または2に記載のディスプレイパネルの製造方法。
  4. 前記主電極材料層が、平均粒径が50nm以下の導電微粒子と水系の溶剤とを少なくとも含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のディスプレイパネルの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100670317B1 (ko) * 2005-03-23 2007-01-16 삼성에스디아이 주식회사 플라즈마 디스플레이 패널
KR100708703B1 (ko) * 2005-07-28 2007-04-17 삼성에스디아이 주식회사 플라즈마 디스플레이 패널
JP2009076460A (ja) * 2007-09-21 2009-04-09 Dongjin Semichem Co Ltd プラズマディスプレイパネル電極形成用スラリー組成物

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