JP2004185019A - パターン検査装置、パターン検査方法および記録媒体 - Google Patents

パターン検査装置、パターン検査方法および記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】 検査対象パターン画像と基準パターンとの比較検査を実時間で行うこと等である。
【解決手段】 検査対象パターンの画像から第1のエッジを検出する。第1のエッジと第1の基準パターンのエッジとを比較することにより、検査対象パターン画像と基準パターンとのマッチングを行う。求まったシフト量Sを用いて第1の基準パターンをシフトする。第1のエッジとシフトした第1の基準パターンのエッジとを比較することにより、検査対象パターンを検査する。パターン変形量の1つとしてシフト量Sが求まる。第2の基準パターンをシフト量S+S分シフトする。シフトした第2の基準パターンを用いて、検査対象パターン画像上でプロファイルを求め、第2のエッジを検出する。第2のエッジとシフトした第2の基準パターンのエッジとを比較することにより、検査対象パターンを検査する。パターン変形量の1つとしてシフト量Sが求まる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、パターン検査装置、パターン検査方法および記録媒体に関し、より具体的には、例えば、設計データに従い作成された、半導体(LSI)や液晶パネルおよびそれらのマスク(レチクル)などの微細パターンを検査するためのパターン検査装置、パターン検査方法および記録媒体に関する。
半導体集積回路の製造工程におけるウェーハのパターン検査、あるいはそのパターン形成用のマスクのパターン検査には、ダイ・ツー・ダイ(die to die)比較と呼ばれる方法を用いた光学式パターン検査装置が使われている。この検査方法は、検査対象のダイとその近接ダイの同じ位置から得られる画像どうしを比較することで欠陥を見つける方法である。
一方、近接ダイの存在しないレチクルと呼ばれるマスクの検査には、ダイ・ツー・データベース(die to database)比較と呼ばれる方法が採用されている。すなわち、CADデータを画像フォーマットに変換して近接ダイの代わりとし、前述同様の検査をする方法が使われている。当該技術は、たとえば米国特許5563702号“Automated photomask inspection apparatus and method”に記載されている。ただし、この手法では、ウェーハに形成された実パターンのコーナーの丸み部分が欠陥として認識されてしまうので、その対策として、CADデータから得られた画像に丸みをもたせる前処理を行う方法などで回避している。このような状況でダイ・ツー・データベース比較検査を行うと、コーナーの不良と判断する必要のないパターン変形を欠陥として認識してしまい、これは上述の前処理を行ってもかなり発生する。逆に、コーナーのパターン変形を無視する設定にすると、コーナー以外に存在する微少欠陥を認識できないというジレンマがある。
現在、マスクについては、CADデータに正確に一致する必要があるため、ダイ・ツー・データベース比較方式での検査が実用化されている。しかしながら、ウェーハに転写されたパターンは電気特性などが保証される範囲でパターン変形が許されており、実際に露光条件の違いなどからパターン変形がかなりの程度発生している。
また、前述のダイ・ツー・ダイ比較方式のパターン検査方法では、システマティック欠陥とよばれる、マスク不良などを原因としてウェーハ上の全ダイにおいて共通に発生する欠陥は検出できない。すなわち、検査対象のダイ及びその比較対象の近接ダイの両方に同じ欠陥が発生しているため、両者を比較したのでは違いがわからないからである。
そこで、計算コストなどで問題があり実用化には至っていないが、CADデータとウェーハ画像とのマッチング検査が提案されている。たとえば、NEC技報Vol.50 No.6/1997の「電子ビームテスタを用いたロジックLSIの自動故障個所トレース法」がある。この文献では、配線エッジのX,Y軸へのプロジェクションを用いる方法、配線コーナーに着目した方法、遺伝的アルゴリズムを応用した方法が記述されている。また、この文献で採用した方法として、エッジを直線近似した後に閉領域を抽出し、この閉領域を使うマッチング方法が説明されている。しかし、これらいずれの方法も高速検査に使用可能な速度を実現できず、さらに、パターンの変形量を検出しながらマッチングすることができない。
また現在では、欠陥を含む画像(欠陥画像)とこれに対応した近接ダイの画像(リファレンス画像)との比較による自動欠陥種分類(Auto Defect Classification:ADC)が使われている。しかしながら、リファレンス画像の輝度むらなどが認識精度に影響する。また、画像だけからはパターンの内部と外部の特定が不可能な場合がある。このような場合は、短絡と欠損の区別などが困難な場合が多い。また、欠陥がどのパターンを破壊しているかの情報が得られないので、パターンへの致命的欠陥とそうでない欠陥の分類ができない。
ダイ・ツー・ダイ比較を用いた検査方法では、欠陥の位置について、検査装置のステージ精度及び光学系精度に起因する誤差をもっており、その誤差は配線パタ−ン幅より10倍程度以上大きい。これが原因で、形成したいパターン(設計パターン)に欠陥位置を投影しても、パターンの欠陥位置を正確に特定することができない。
近年、集積回路のパターン幅は露光プロセスで使用する光源波長程度か、もしくはそれを下回るようになってきており、このようなパターン形成には、光近接効果補正(Optical Proximity Correction:OPC)パターンを付加する方法が採用されている。これは、設計データにOPCパターンを付加したものでマスクを形成し、これにより露光することで、製造されるウェーハ上の実パターンを設計データに近づける技術である。
OPCパターンがウェーハのパターンに補正として有効に作用しているかどうかは、従来のダイ・ツー・ダイ比較では検査できない。したがって、その解決方法、たとえばウェーハのパターンと設計データとの比較検証を、許容パターン変形量を考慮して行える手法が求められている。
また、例えばシステムオンチップ(SOC)で見られる多品種少量生産では、短納期が求められている。このような場合に、最終検査である電気的検査でシステマティック欠陥を発見しても、短納期に応えられない場合がある。この対策として、露光プロセスの各段階で設計データとの差異をモニタする要求が発生している。そこで、電気特性に影響しないパターン変形を許容パターン変形量として設定しておき、許容パターン変形量以内の変形を考慮しながら設計データとウェーハのパターンの比較検証を行えるような検査方法が求められる。
また現在では、パターン変形の評価として、リソシミュレータなどによりデザインチェックが行われている。このシミュレーションの正当性を検証するために、リソシミュレータが出力したパターン(シミュレーションパターン)と実パターンとの比較検討手段が必要とされている。
また、設計データに対するパターン変形量を求めることにより、回路設計上の技術を向上させることがますます重要になっている。
ところで、現在、半導体集積回路の製造工程におけるウェーハのパターン線幅管理用に、CD−SEM(Critical Dimension Scanning Electron Microscope)が用いられている。このCD−SEMは、ショットと呼ばれるステッパの一転写単位ごとに、指定された位置にある直線パターンの線幅をラインプロファイルを使って自動的に測長するものである。この測長を、1ロットあたり数枚のウェーハにおける数ショットに対して数ヶ所実施し、ステッパの転写機能が正常かどうか、nm単位で管理することができる。
回路パターンの管理としては線幅以外にも、配線終端の縮み、孤立パターンの位置なども重要であるが、CD−SEMの自動測長機能は1次元対応で線幅など長さしか測定できない。したがって、これら2次元形状の測定は、CD−SEMや他の顕微鏡から得られた画像を操作者が目視することにより実施されている。
光近接効果補正(OPC)は、直線パターンの線幅を確保するのはもとより、コーナーや孤立パターンの形状形成にも重要な役目を担っている。またさらに、動作周波数の向上により現在では、ゲート線幅に加えて、エンドキャップやフィールドエクステンションと呼ばれるゲート配線パターンの先端や付け根の形状管理も重要になってきている。
このような2次元パターンの形状測定は、製造工程での抜き取り検査でも、試作段階でも重要であり、特に試作段階では、ウェーハ全面についてパターン形成の検査が必要とされる。
しかし、上述のように2次元形状の管理は人的作業によっているのが現状で、正確性、生産性の面から自動化が求められている。
そこで、本発明の目的は、検査対象パターン画像と基準パターンとの比較検査を実時間で行うことである。
また、本発明の別の目的は、電気的に許容される範囲内での形状差を許容してマッチングを行うことである。
また、本発明の別の目的は、安定した欠陥検出を行うことである。
さらに、本発明の別の目的は、これまで目視で行われていた2次元パターン(検査対象パターン画像)の測定を定量的に高速に自動実施可能とすることである。
上記目的を達成するために、本発明の第1の側面において、本発明に係るパターン検査装置は、検査対象パターンを基準パターンと比較して検査するパターン検査装置であって、前記基準パターンを記憶する記憶手段と、前記検査対象パターンの画像を入力する入力手段と、前記入力された検査対象パターンの画像のエッジと前記記憶された基準パターンのエッジとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査する検査手段と、前記検査の結果を出力する出力手段とを備える。
ここで、前記検査手段は、前記検査対象パターン画像のエッジと前記基準パターンのエッジとを比較することにより、前記検査対象パターン画像と前記基準パターンとのマッチングを行うものとすることができる。
ここで、前記マッチングは、前記検査対象パターン画像のエッジを膨張させて行うものとすることができる。
ここで、前記マッチングは、前記基準パターンのエッジを膨張させて行うものとすることができる。
ここで、前記マッチングは、各ピクセルにおける前記検査対象パターン画像のエッジの振幅と前記基準パターンのエッジの振幅との積の総和を評価値として行うものとすることができる。
ここで、前記マッチングは、各ピクセルにおける前記検査対象パターン画像のエッジベクトルと前記基準パターンのエッジベクトルとの内積の総和、または該内積の絶対値の総和を評価値として行い、前記エッジベクトルはエッジの振幅をその大きさとして有し、エッジの方向をその方向として有するものとすることができる。
ここで、前記マッチングは、前記基準パターンの部分ごとに重み付けを変えて行うものとすることができる。
ここで、前記検査手段は、前記基準パターンの各ピクセルのエッジを、前記実パターン画像の各ピクセルのエッジと対応づけるものとすることができる。
ここで、前記対応づけは、前記基準パターンの各ピクセルのエッジと前記検査対象パターン画像の各ピクセルのエッジとの距離、および両エッジの方向差を考慮して行うものとすることができる。
ここで、前記検査手段は、前記対応づけを行うことができなかった前記検査対象パターン画像のエッジに基づき領域を構成し、該領域を欠陥領域として認識するものとすることができる。
ここで、前記検査手段は、前記対応づけを行うことができた前記検査対象パターン画像のエッジに基づき領域を構成し、該領域のうち輝度の分布が非一様である領域を検出し、該領域を欠陥領域として認識するものとすることができる。
ここで、前記検査手段は、前記欠陥領域の幾何学的特徴量に基づいて欠陥種を判定するものとすることができる。
ここで、前記検査手段は、前記欠陥領域の輝度に関する特徴量に基づいて欠陥種を判定するものとすることができる。
ここで、前記検査手段は、前記基準パターンに対する、前記検査対象パターンのパターン変形量を計算するものとすることができる。
ここで、前記パターン変形量には、位置ずれ量、倍率変動量、および線幅の太り量の少なくとも1つが含まれるものとすることができる。
ここで、前記検査手段は、前記基準パターンにパターンの属性を付加するものとすることができる。
ここで、前記検査手段は、前記検査対象パターン画像上でプロファイルをとり、該プロファイルごとに所定の点を検出し、検出した点に関して曲線近似を行って、前記検査対象パターン画像のエッジとするものとすることができる。
本発明の第2の側面において、本発明に係るパターン検査方法は、検査対象パターンを基準パターンと比較して検査するパターン検査方法であって、前記検査対象パターンの画像を入力する入力ステップと、前記入力された検査対象パターンの画像のエッジと記憶手段に記憶された前記基準パターンのエッジとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査する検査ステップと、前記検査の結果を出力する出力ステップとを備える。
本発明の第3の側面において、本発明に係る記録媒体は、検査対象パターンを基準パターンと比較して検査するパターン検査方法をコンピュータに実行させるプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体であって、前記パターン検査方法は、前記検査対象パターンの画像を入力する入力ステップと、前記入力された検査対象パターンの画像のエッジと記憶手段に記憶された前記基準パターンのエッジとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査する検査ステップと、前記検査の結果を出力する出力ステップとを備える。
本発明によれば、検査対象パターン画像と基準パターンとの比較検査を実時間で行うことができる。
また、電気的に許容される範囲内での形状差を許容してマッチングを行うことができる。
また、安定した欠陥検出を行うことができる。
さらに、これまで目視で行われていた2次元パターン(検査対象パターン画像)の測定が定量的に高速に自動実施可能となる。
以下、図面を参照しつつ本発明の好ましい実施形態について詳しく説明する。
図1は、設計データに基づく理論上のパターンの例を示す図であり、図2は、設計データに基づいて実際に製造されたパターン(実パターン)の例を示す図である。図2に示すように、実パターンには、短絡欠陥があったり、粒子付着による欠陥があったり、許容変形量内の変形があったりする。したがって、設計データに基づいて理論上得られるパターンとは、いくらか異なったものになる。
本実施形態に係るパターン検査装置は、検査対象パターン(例えば、図2に示すようなパターン)を、基準パターン(例えば、図1に示すようなパターン)と比較して検査する。
図3は、本実施形態に係るパターン検査装置が行う検査処理の概要を示す図である。検査処理では、まず、検査対象パターンの画像から第1のエッジを検出する。次に、第1のエッジと第1の基準パターンのエッジとを比較することにより、検査対象パターン画像と基準パターンとのマッチングを行う。マッチングを行った結果、シフト量Sが求まるので、このシフト量Sを用いて第1の基準パターンをシフトする。そして、第1のエッジとシフトした第1の基準パターンのエッジとを比較することにより、検査対象パターン(実パターン)を検査する。この第1の検査では、パターン変形量を求めたり、欠陥を検出したりする。パターン変形量の1つとしてシフト量Sが求まる。
次に、検査対象パターン画像から第2のエッジを検出するため、対応する第2の基準パターンをシフト量S+S分シフトする。シフトした第2の基準パターンを用いて、検査対象パターン画像上でプロファイルを求め、第2のエッジを検出する。そして、第2のエッジとシフトした第2の基準パターンのエッジとを比較することにより、検査対象パターンを検査する。この第2の検査においても、パターン変形量を求めたり、欠陥を検出したりする。パターン変形量の1つとしてシフト量Sが求まる。
図4は、本実施形態におけるパターン検査装置のハードウェア構成例を示す図である。本実施形態に係るパターン検査装置は、主制御部1、記憶装置2、入出力制御部3、入力装置4、表示装置5、印刷装置6および画像生成装置7を備える。
主制御部1はCPU等により構成され、装置全体を統括的に制御する。主制御部1には記憶装置2が接続されている。記憶装置2は、ハードディスク、フレキシブルディスク、光ディスク等の形態をとることができる。また、主制御部1には、入出力制御部3を介して、キーボード、マウス等の入力装置4、入力データ、計算結果等を表示するディスプレイ等の表示装置5、および計算結果等を印刷するプリンタ等の印刷装置6が接続されている。
主制御部1は、OS(Operating System)等の制御プログラム、パターン検査のためのプログラム、および所要データ等を格納するための内部メモリ(内部記憶装置)を有し、これらプログラム等によりパターン検査を実現している。これらのプログラムは、フロッピー(登録商標)ディスク、CD−ROM等に記憶しておき、実行前にメモリ、ハードディスク等に読み込ませて実行されるようにすることができる。
図5は、本実施形態におけるパターン検査装置の機能ブロック図を示す図である。基準パターン生成部11、検索部12、出力部13および欠陥認識部14はプログラムにより実現されている。基幹データベース21、レシピデータベース22および欠陥種参照データベース23は記憶装置2内に設けられている。
基幹データベース21を外部に設け、パターン検査装置がLANを経由して基幹データベース21にアクセスするようにしてもよい。
(レシピ)
検査の前に、まずレシピと称される検査パラメータの組を設定する。そのパラメータとしては、検査の対象である検査対象パターンの画像の画像取得時におけるピクセルとピクセルとの間の実パターン上での距離(ピクセル間隔)と、512×512や1024×1024などのピクセル数がある。これらの値から、一度に処理すべき画像の実パターン上での距離(画像サイズ)を把握することができる。また、エッジ検出のためのパラメータと、欠陥を認識するためのパラメータとを設定する。
検査対象パターン画像と比較するデータとしては、設計データが使われる。この設計データとして、たとえばGDS形式のCADレイアウトデータに、レイアの融合やフラクチャリングを行ったものが使える。本実施形態では、この処理で得られた線分の束を、画像サイズにステージの誤差分およびパターンの最大平行移動量を加えた長さを一辺とする長方形エリアでクリッピングして基準パターンとし、レシピデータベース22に予め格納する。ステージ誤差分がパターンの最大平行移動量に比べ無視し得る場合は、パターン変形の絶対座標値が計測できる。本実施形態では、ステージの誤差分およびパターンの最大平行移動量を考慮し、基準パターンを検査対象パターン画像よりも大きくとって処理しているが、代わりに検査対象パターン画像を基準パターンよりも大きくとって処理するようにしてもよい。
基準パターンに対して、コーナーに丸みをつける処理を行ってもよい。図7に示すように、通常、設計データは、鋭角をもった多角形(図中点線)である一方、実際に形成される回路パターンはコーナーに丸みがつく。そこで、コーナー部分に円、楕円、直線、もしくは他の方法で記述した曲線を適用し、実際のパターンに近くなるように補正してもよい。
基準パターンに設計データを使えば、実現したいパターンとの比較検査を行う欠陥検査になる。この場合は、許容パターン変形量として電気特性に影響しない許容量を設定する。この許容パターン変形量は、配線の属性ごとに設定でき、さらに、パターンの込み入っている場所とそうでない場合とで可変にすることも可能である。
基準パターンにリソシミュレータで得られた露光パターンの外形を形成する曲線(図50の実線)を使えば、シミュレーションの正当性を検証しながらの欠陥検査が可能になる。リソシュミレータの出力データは、光学的にシミュレートして得られた光強度分布である。この分布から外形の曲線を得る。この場合の許容パターン変形量は、シミュレーションとして許される誤差を設定する。
本実施形態においては、基準パターンに設計データを使っている。
図6は、本実施形態におけるレシピ登録処理の例を示すフローチャートである。まず、オペレータは、入力装置4を介して基準パターン生成部11に、設計データ検索用パラメータ(ここでは、検査対象サンプルの品種、およびプロセスを指定するパラメータ)、検査モード、画像取得パラメータ(検査領域、画像サイズ、ピクセル数、ウェーハを特定するためのスロット番号、および光学系の調整パラメータ)、ならびにエッジ検出および検査のためのパラメータを入力する(ステップS202)。
エッジ検出および検査のためのパラメータとしては、以下の情報を設定する。
(R1) 求めたいパターン変形量
(R2) 許容パターン変形量の−側の限界および+側の限界、ならびにエッジの許容方向差の限界
(R3) 画質から経験的に決められるエッジ検出パラメータ
(R4) パターンの属性(コーナー、直線部分、端点、孤立パターン等)を自動的に認識するための抽出ルール
(R5) プロファイル取得区間の長さ、プロファイル取得区間とプロファイル取得区間との間隔、プロファイル取得区間内で輝度値を調べる間隔、およびプロファイルをとる方法(しきい値法を使うかなど)
(R6) プロファイル取得区間を可変にして測定時に決定するかどうかのフラグ
基準パターン生成部11は、設計データ検索用パラメータ(検査対象サンプルの品種、およびプロセス)をキーとして基幹データベース21を検索し、設計データを取り出す(ステップS204)。基幹データベース21は、検査対象パターン画像に対する設計データ(CADデータ)を格納したデータベースである。
次に、基準パターン生成部11は、設計データに基づき基準パターンを生成する(ステップS206)。
検査対象パターン画像から検出されるエッジの位置に最も適したように設計データに対し、シュリンク処理(倍率を変える処理)、サイズ処理(線幅を変える処理)などを施す必要がある場合がある。また、第1のエッジ検出と第2のエッジ検出とでは一般的に検出するエッジの位置が異なるので、必要があれば、第1エッジ検出用、および第2エッジ検出用に基準パターンを2種類用意する。
検査は、入力された検査領域を、画像サイズで分割して得られる検査単位領域ごとに行われるので、基準パターンもそれに合わせて生成する。検査には、逐次検査およびランダム検査がある。
図8は、逐次検査を説明するための図である。検査領域は通常、長方形の和として決定される。すなわち検査領域は、ウェーハ全面を単位として設定されるのではなく、長方形で指定された複数の領域(図8のように上側の短い長方形と下側の長い長方形など)として設定されるので、その領域を高速検査するために、検査単位領域ごとの逐次走査を実施する。検査単位領域ごとに基準パターンを作成する。
図9は、ランダム検査を説明するための図である。ランダム検査においては、ある領域を逐次に検査するのではなく、ピンポイントに検査する。図9では、検査単位領域301〜304についてのみ検査を行う。
図10は基準パターンの例を示す図であり、図11は図10の基準パターンをピクセルごとのエッジベクトルに変換した例を示す図である。図10において、基準パターン(点線)はサブピクセル精度で示されている。通常、基準パターンのエッジ方向は、ピクセルの横方向(x方向)または縦方向(y方向)に平行である。基準パターンのエッジも、検査対象パターン画像のエッジと同様に、ピクセルごとに開始点(サブピクセル精度)、方向、および振幅の情報を有する。本実施形態においては、基準パターンのエッジの振幅をすべて1にしている。
図12に示すように、基準パターンに曲線が含まれる場合がある。曲線を含む基準パターンをエッジベクトルに変換するには、例えば、ピクセルの中心261に最も近い基準パターン上の点262での接線263をエッジベクトルにする方法がある。
次に、基準パターン生成部11は、基準パターン、検査対象サンプルの品種、プロセス、および検査モード、画像取得パラメータ、ならびにエッジ検出および検査のためのパラメータを、レシピデータベース22に登録する(ステップS208)。これらのデータは、検査用パラメータの組であるレシピと呼ばれ、品種、プロセス、および検査モードをキーにして管理される。
(検査処理)
図13は、本実施形態における検査処理の例を示すフローチャートである。まず、オペレータは、入力装置4を介して検査部12に、レシピ検索用パラメータ(ここでは、品種、プロセスおよび検査モード)を入力する(ステップS302)。
検査部12は、レシピ検察用パラメータをキーとしてレシピデータベース22を検索し、レシピを取り出す(ステップS304)。そして、検査対象パターン画像(光学画像、電子線画像、フォーカスイオンビーム画像、プローブ顕微鏡画像など)を取得するため、画像生成装置7に対して画像取得パラメータを指示し、スロット搬送、アライメント、および光学系の調整を指示する(ステップS306)。アライメントとは、CADデータが使用している座標系と実ウェーハ観察位置を管理する座標値との変換係数を求める機能をいう。これはCADナビゲーションで具現化されている。CADナビゲーションは、アライメントの後に、CADデータ上の観察したい座標値を実ウェーハの観察位置を管理する座標値に変換し、その位置へ撮像装置の視野を移動させて、その位置の画像を入手する方法で、よく知られているものである。
画像生成装置7としては、通常使用されているウェーハ欠陥検査装置やCD−SEMもしくは各種顕微鏡を使用することができる。
画像生成装置7は、検査単位領域ごとに、検査対象パターン画像(およびその中心位置)を検査部12に出力する(ステップS308)。
(第1のエッジ検出)
次に、検査部12は、検査対象パターン画像から第1のエッジ検出を行う(ステップS310)。エッジ検出としては、例えば次の2つの手法がある。
(A)1つは、パターン内部と下地との間にコントラストがある場合に適した手法である。このような画像の多くは2値化処理でエッジを検出できるが、コントラストが比較的明瞭でない場合は明確にエッジを検出できない。このときにはたとえば、[文献1]:R.M.Haralick, “Digital step edges from ZERO crossing of second directional derivatives”, IEEE Trans. Pattern Anal. Machine Intell., vol. PAMI−6,No.1,pp.58−68,1984に開示の方法を応用するなどしてエッジを求めることができる。この方法によれば、エッジ部分の変曲点をピクセル単位の1/10程度の精度で得ることができる。
(B)もう1つは、エッジのみが明るく、パターン内部と下地にコントラストがつかない場合に対処可能な手法で、たとえば[文献2]:“Cartan Steger. An unbiased detector of curvilinear structures”, IEEE Trans. Pattern Anal. Machine Intell., 20(2), February 1998に開示の方法によりエッジを求めるものである。この方法によれば、エッジ部分の峰をピクセル単位の1/10程度の精度で得ることができる。ただし、この手法ではエッジの方向は0〜180度の値のみをもつ。すなわちパターンの内部を特定できない。
パターン内部と下地との間にコントラストがある画像に微分フィルタ(例えば、Sobelフィルタやバンドパスフィルタ)をかけて得られたエッジ振幅画像を使って、上記の方法でエッジを求めてもよい。この場合はパターン内部の判別をつけられ、エッジの方向を特定できる。
これらの方法はある程度大きな窓を使った処理であるので、ピクセル単位の1/10程度の精度が得られるだけでなく、エッジの方向も安定している。このことは、エッジを連結して直線近似をする必要が必ずしもないことを意味している。
ステップS310のエッジ検出では、検査対象パターン画像からピクセル単位でエッジの振幅および方向を求める。振幅は、明確なエッジであるほど大きい値を取る。(A)パターン内部と下地との間にコントラストがある画像の場合には、例えば上述の文献1の方法を用いて、画像の1次微分値の絶対値を振幅とし、画像の2次微分値のゼロクロス点をエッジ位置とすることができる。一方、(B)エッジのみが明るい画像の場合には、例えば上述の文献2の方法を用いて、画像の2次微分値の符号反転値(絶対値)を振幅とし、画像の1次微分値のゼロクロス点をエッジ位置とすることができる。いずれの場合もエッジはサブピクセル精度で得られる。(A)の画像の場合は、0度から360度までの方向を定義できるが、(B)の画像の場合は、0度から180度までの方向のみ定義可能である。これは(B)の画像では、パターンの内部を局所情報から特定できないことが原因である。
図14は(A)パターン内部と下地との間にコントラストがある画像(検査対象パターン画像)の例を示す図であり、図15は図14の画像から検出したエッジを示す図である。図14には、ピクセルごとにその輝度値が示されている。図15に示すように、エッジはピクセルごとに検出され、ピクセルごとに開始点(サブピクセル精度)、方向(0〜360度)、および振幅の情報が得られる。振幅は、上述のように、明確なエッジであるほど大きい値を取る。
図16は(B)エッジのみが明るい画像(検査対象パターン画像)の例を示す図であり、図17は図7の3Aの画像から検出したエッジを示す図である。図16においても、ピクセルごとにその輝度値が示されている。また、図17に示すように、エッジはピクセルごとに検出され、ピクセルごとに開始点(サブピクセル精度)、方向(0〜180度)、および振幅の情報が得られる。
(マッチング)
次に、検査部12は、検査対象パターン画像のエッジを膨張させて、膨張エッジを求める(ステップS312)。本実施形態においては、電気特性的に許される許容パターン変形量分膨張させている。この段階では許容パターン変形量は正の整数である。この値は、(R2)許容パターン変形量の−側の限界および+側の限界の絶対値の大きい方を整数化した値である。許容パターン変形量分膨張させることにより、電気的に許容される範囲内での形状差を許容してマッチングすることができる。
図18は1次元の検査対象パターン画像のエッジ振幅の例を示す図であり、図19は図18のエッジを膨張させた例を示す図である。図18および図19では、説明を簡単にするために、1次元で各ピクセルの持つエッジ振幅がスカラ値を持つ場合の例を示している。許容パターン変形量内の変形を同等に扱う場合は、許容パターン変形量の2倍の大きさの窓を持った最大値フィルタをかける。最大値フィルタとは、対象となるピクセルの近傍である窓の中の各ピクセルが持つ値の最大値を求め、その値をフィルタ後のピクセルの値とするものである。図19では、図18のエッジを左右に2ピクセル分膨張させている。これは許容パターン変形量が2ピクセルの場合の例である。
これに対して、基準パターンのエッジが図20のようであったとする。図19および図20からマッチングの評価値(度合い)を求めると、現在の位置であっても、検査対象パターン画像が左右に1ピクセルまたは2ピクセルずれていたとしても、マッチングの評価値は同じになる。
これを回避するには、図21に示すように、重み付けをして膨張すればよい。これは許容パターン変形量が小さければ小さいほどよいことを意味している。図21の膨張を実現するには、0.5、0.75、1.0、0.75、0.5のスムージングフィルタを用いればよい。図21の場合、検査対象パターン画像が左右に1ピクセルでもずれると評価値が下がる。
ここで、図22に示すように、基準パターンのエッジが2ピクセル分広かったとする。図21および図22から評価値を求めると、現在の位置であっても、検査対象パターン画像が左右に1ピクセルずれていたとしても、同じ評価値となる。
これを回避するには、図23に示すように重み付けをして膨張すればよい。図23の膨張を実現するには、0.5、0.9、1.0、0.9、0.5のスムージングフィルタ(図24)を用いればよい。スムージングフィルタの係数は実験的に求められるべきものである。
以上のことから、図23に示すような膨張が望ましいが、処理速度やエッジの込み具合などの観点から図19や図21に示すような膨張を用いることもできる。
図25は2次元の検査対象パターン画像のエッジの振幅の例を示す図であり、図26および図27は図25のエッジを膨張させた例を示す図である。図25において、振幅値は、20のところ以外はすべて0である。図26は図19と同様の膨張を行った場合の結果を示し、図27は図23と同様の膨張を行った場合の結果を示す。
図28は2次元の検査対象パターン画像のエッジベクトルの例を示す図であり、図29および図30は図28のエッジベクトルを膨張させた例を示す図である。図29は図19と同様の膨張を行った場合の結果を示し、図30は図23と同様の膨張を行った場合の結果を示す。膨張はx,y成分ごとに行っている。
検査部12は、膨張エッジ(検査対象パターン画像のエッジを膨張させたエッジ)と基準パターンのエッジとを比較して、検査対象パターン画像と基準パターンとのピクセル単位でのマッチングを行う(ステップS314)。
本実施形態においては、後で述べるように、サブピクセル精度でのマッチングを行うので、ここでは高速化を目的としてピクセル単位でのマッチングを行う。したがって、図31は図11をピクセル単位で表記したものである。
本実施形態におけるマッチングでは、検査対象パターン画像に対して基準パターンをピクセル単位で上下左右にシフトして、評価値Fが最大になる位置をマッチング位置とする(図32)。本実施形態においては、以下のように、基準パターンのエッジが存在するピクセルにおける膨張エッジの振幅の総和を評価値Fとしている。
Figure 2004185019
ここで、E(x,y)は、膨張エッジの振幅をその大きさとして持ち、膨張エッジの方向をその方向として持つエッジベクトルである。エッジの存在しない場所ではE(x,y)の大きさは0である。R(x+xs,y+ys)は、基準パターンのエッジ方向をその方向として持つエッジベクトルである。ただし、R(x+xs,y+ys)の大きさは、エッジの存在する場所で1であり、エッジの存在しない場所で0である。ここで、(xs,ys)は基準パターンのエッジのシフト量Sである。
の計算においてR(x,y)が0でないピクセルのみを記憶すれば、高速に計算が行え、記憶領域が少なくてすむ。ピクセル振幅値総和を評価関数として残差逐次検定法(SSDA:Sequential Similarity Detection Algorithm)で使われている高速計算の打切りを用いれば計算がさらに高速化される。
図33および図34は、図29と図31とを重ね合わせた図である。図33において、ピクセル254は、図29のピクセル251および図31のピクセル252に対応する。図34においては、図33の状態から検査対象パターン画像を右に1ピクセル、下に1ピクセルシフトさせて重ね合わせを行っている。したがって、ピクセル255は、図29のピクセル251および図31のピクセル253に対応する。評価値Fを用いる場合には、エッジの存在するピクセルが重なり合う度合いが大きいほど、評価値が高くなる。評価値Fを用いる場合には、図25〜図27で示したような膨張処理を行えばよい。なお、評価値Fは、(A)、(B)いずれの画像にも適応可能である。
本実施形態においては、上記評価値Fを用いているが、他の評価値を用いることもできる。例えば、(A)パターン内部と下地との間にコントラストがある画像の場合には、以下の評価値Fを用いることが考えられる。
Figure 2004185019
また、例えば、(B)エッジのみが明るい画像の場合には、以下の評価値Fを用いることが考えられる。
Figure 2004185019
評価値FまたはFを用いる場合には、図28〜図30で示したような膨張処理を行えばよい。ただし、図29に示すような膨張を行う場合は、正の値の最大値および負の値の最大値の双方について膨張を行い、内積の計算でより大きな値をとるものを選択する。
評価値Fと評価値FおよびFとを比較した場合、評価値Fはデータがスカラのため高速処理に向く。一方、評価値FおよびFは、例えば、図35に示すような場合に有効である。すなわち、評価値FおよびFを用いた場合には、基準パターン(図35(a))の縦線部分のエッジベクトルと検査対象パターン画像(図35(b))の横線部分のエッジベクトルとの内積をとると0に近くなるため、101の部分と102の部分とがうまくマッチングする。しかし、評価値Fを用いた場合には、方向は関係なく振幅のみで判断するため、101の部分と103の部分とがマッチングしてしまうおそれがある。
次に、評価値FとFとを比較した場合、例えば、図36に示すように、配線111、113の間隔と下地112、114の間隔が同じ場合にFを用いると、どちらがラインかの区別がつくのでFより望ましい結果が得られる。
本実施形態においては、検査対象パターン画像のエッジを膨張してマッチングを行っているが、代わりに基準パターンのエッジを膨張してマッチングを行うこともできる。
また、基準パターンのエッジの位置によって重み付けを変えて行うようにすることができる。これは以下の手順で行われる。
図37において、(a)は基準パターンの例を示し、(b)は(a)の基準パターン(実線)および検査対象パターン画像(点線)の例を示す。図37(a)に示す基準パターンは周期的なパターンであるが、1ヶ所隙間がある。このような基準パターンと検査対象パターン画像とのマッチングを行う際に、図37(b)に示すように、両パターンがずれていても、隙間の部分以外は一致するので、マッチングの評価値は高くなってしまう。そこで、この隙間の部分の重み付けを大きくして、検査対象パターン画像の隙間と基準パターンの隙間とが一致しない場合にはマッチング評価値が大きく低下するようにすることが考えられる。
重み付けの手順としては、まず自己相関法でパターンの周期を求める。次に、もとのパターンと一周期ずらしたパターンを比較してもとのパターンにあって1周期ずらしたパターンにないものを求める。そして、求めたパターンをユニークパターンとして認識し、それ以外のパターンよりマッチングに寄与する度合い(重み付け)を強くする。寄与する度合いを表現するために基準パターンの振幅に経験値(1以上)を使う。この値は固定値もしくは、固定値÷全パターン中のユニークパターンの比率などが有効である。
マッチングを行い、最大の評価値をとるシフト量S=(xs,ys)が求まったら、Sの分だけ基準パターンをシフトさせる。以後の処理は、このシフトを行った状態で行う。
シフト量Sは検査結果として、表示装置5および印刷装置6に出力することができる。
マッチングが終わった後、検査対象パターン画像の2値化を行う。2値化は、エッジ振幅について、レシピ内のエッジ検出パラメータの一つ(しきい値)で有無の判断を付けることにより行う。2値化の方法としては、基準パターンのエッジに相当するピクセル数×p(通常0.9〜1.1程度)が1になるように、検査対象パターン画像のエッジ画像を2値化する方法(pタイル法)もある。(R3)のパラメータとして、上述のしきい値またはpを設定すればよい。
(第1の検査)
次に、検査部12は、第1の検査を行う。具体的には、パターン変形量の計算、および欠陥検出を行う。
検査部12は、まず、検査対象パターン画像のエッジと基準パターンのエッジとの対応づけを行う(ステップS318)。
エッジの位置は、サブピクセル精度で扱われる。したがって、エッジ間の距離もサブピクセル精度で得られる。方向については、たとえば右方向を0度として0〜360度の値として決定される。
基準パターンの各エッジピクセルについて、(R2)に相当する許容パターン変形量の距離内にある検査対象パターン画像のエッジピクセルを探す。そして、検出されたエッジの中で基準パターンのエッジとの方向差が(R2)のエッジの許容方向差以下のものを、許容変形内のエッジとして対応づける。すなわち、本実施形態においては、マッチングを行った検査対象パターン画像のエッジと基準パターンのエッジとの距離、および両エッジの方向を考慮して対応づけを行っている。対応づけた両エッジ間のベクトルd(x,y)は、パターン変形量を求めるのに用いることができる。
なお、対応づけの候補が複数存在する場合は、距離が小さく、方向差が小さい候補を優先して対応づける。
図38は、検査対象パターン画像のエッジと基準パターンのエッジとの対応づけの例を示す図である。図38においては、方向を示すために、エッジを矢印で示している。図38の例では、基準パターンのエッジを含む各ピクセルにおいて、基準パターンのエッジの中心から、エッジ方向と垂直な方向に検査対象パターン画像のエッジを探していくことにより、対応づけを行っている。距離が許容パターン変形量内であり、かつ、方向の差がエッジの許容方向差以下である検査対象パターン画像のエッジが見つかれば、両エッジを対応づける。図38においては、対応づけた両エッジ間のベクトルd(x,y)が参考のため示されている。
図39において、(a)は基準パターンのエッジの例を示し、(b)は(a)の基準パターンに対応する検査対象パターン画像のエッジの例を示す。図39を用いて、両エッジの対応づけの例を説明する。この例では、許容パターン変形量は1ピクセル分とする。また、エッジの許容方向差は60度とする。例えば、基準パターンのエッジ81に対応する検査対象パターン画像のエッジを探したところ、エッジ68がエッジ81の許容パターン変形量の距離内にあり、かつ、方向の差がエッジの許容方向差以下であることから、エッジ81に対応するエッジと認定される。基準パターンのエッジ84についても、対応する検査対象パターン画像のエッジとしてエッジ70が認定される。このとき、基準パターンのエッジ82について、エッジ61は許容パターン変形量の距離内にない。エッジ64は、許容パターン変形量の距離内になく、方向差もエッジの許容方向差より大きい。エッジ66および69は、許容パターン変形量の距離内にはあるが、方向差がエッジの許容方向差より大きい。したがって、エッジ82に対応するエッジは見つからない。エッジ83についても同様に見つからない。
なお、図39の例はパターンの内側か外側かを区別しない方法で、方向が0〜180度の値のみをもつ場合であるが、パターン内外を区別する手法とすることも可能である。たとえば、エッジ方向はパターン内側を必ず右手におくように決定しておけば、図39(a)は図40のようになり、対応づけをより厳密に実行することができる。
次に、検査部12は、欠陥検出を行う(ステップS320)。欠陥が検出された場合には、欠陥情報(ここでは、欠陥位置、サイズ情報および画像)を欠陥種認識部14に出力する(ステップS322、324)。
欠陥種認識部14は、欠陥情報および欠陥種参照データベース23の情報に基づいて欠陥種を判定する(ステップS326)すなわち、与えられた画像から特徴量を求めて、欠陥種参照画像データベースに蓄積された画像の特徴量と照合し、欠陥種を判定する。欠陥種認識部14は、欠陥情報および欠陥種を出力部13を介して表示装置5および印刷装置6に出力する(ステップS328)。ここで、欠陥種参照データベース23は、既に取得された画像を欠陥種ごとに登録したものである。
欠陥領域を認識する手法としては、対応づけできなかった検査対象パターン画像のエッジから領域を認識し、これを欠陥領域として認識する手法(認識手法A)が考えられる。これは、明確なエッジをもった欠陥検出に有効である。ただし、エッジの不明瞭な欠陥検出に対しては弱いので、このような場合には、対応づけられた検査対象パターン画像のエッジから領域を認識し、その領域におけるピクセル輝度値の分布が非一様である部分を欠陥領域として認識する手法(認識手法B)が適している。すなわち、輝度値分布の異常から欠陥を認識するものである。
認識手法Aでは、対応づけができなかった検査対象パターン画像のエッジ(例えば、図39(a)のエッジ61〜67、69および75)のピクセルは、欠陥として認識される。検査部12は、これらのピクセルを膨張させ、ピクセルどうしを連結する。このようなビットマップ(2値化画像)を膨張させる処理としてモフォロジーと呼ばれる処理が知られている。次に、ラベリング処理で連結されたピクセルを固まり1領域としてそれぞれ認識する。ここで、ラベリング処理とは、4近傍もしくは8近傍で連結しているピクセルに同一の値を書き込み、連結ピクセル群を生成する方法である。連結していないピクセルには別の値を与えることで、連結ピクセル群を区別できる。この固まりの領域として分離できた単位で異物とし、その外形を認識する。外形から内側のピクセルをペイント処理で塗りつぶす。これらのピクセルを欠陥として、欠陥の重心、大きさを計算する。
認識手法Bでは、対応づけが行われた検査対象パターン画像のエッジを連結して領域とする。その内外領域でそれぞれ、境界(エッジ)を除いた部分をピクセルの固まりとして求める。そのピクセルの固まりの内外領域について、最初に得られた検査対象パターン画像からピクセル輝度値を求める。これらの値は欠陥が無ければ正規分布をなすことが期待できる。すなわち、品質管理的手法を応用して欠陥ピクセルを検出することが可能である。正常な場合は、内領域と外領域のそれぞれにおいて輝度の変動が少ないはずである。よって、検査対象パターン画像における上記領域のうち、輝度の分布が非一様である領域を検出し、該領域を欠陥領域として認識することができる。得られた欠陥ピクセルを固まりとして認識し、重心、大きさを計算する。
図41は、検査対象パターン画像の例を示す図である。破線201は検査対象パターン画像のエッジを示す。破線201の両サイドの実線202、203は、エッジを指定幅太らせた線分であり、実線202、203で囲まれた部分をエッジ領域と認識する。下地204とパターン内部205の輝度値は、おおよそ正規分布をなす。
図42に示すように、±3σ程度を越した部分Dは異物である可能性が高い。Dにはノイズも含まれるが、ノイズは領域内に比較的均一に存在する一方、異物は固まって存在する。Dの輝度値を持つピクセルを1、それ以外の輝度値を持つピクセルを0とした2値化マップを作成する。指定された大きさ(例えば2×2ピクセル)以下の1を持ったピクセルの固まり(例えば、図41のピクセルの固まり207)を消去する。ミディアンフィルターやモフォロジーフィルタが利用できる。この大きさは検出したい異物の大きさを考慮した経験値である。残った1を持ったピクセルの固まり(例えば、図41のピクセルの固まり206)を異物とみなす。
欠陥種認識部14は、以下のように欠陥種自動分類を行うことができる。すなわち、欠陥と認識されたピクセルの固まりの幾何学的特徴量を得る。これにより、まるい、細長いなど欠陥の形状的特徴を把握することができ、まるければ異物、細長ければスクラッチなどと判断をつけることができる。欠陥と認識されたピクセルをパタ−ンの内側、外側、境界の3部分に区分する。これらの各部分ごとに、最初に得られた検査対象パターン画像のピクセル輝度値を使った特徴量を得る。ここで得られる特徴量により、たとえば幾何学的特徴量から異物と判断される場合に、その異物が金属片であるか有機物(たとえば人間のあか)であるかなどの判断をつけることができる。すなわち、異物が金属であれば反射が強いため明るく、有機物であれば暗いということで種類を判別することができる。また、パターンの内部にあって異物と認識されたピクセルの輝度の変動が大きい場合は、当該異物がパターンの上に存在している可能性が高いと判断され、逆に、輝度の変動が小さい場合は、当該異物がパターンの下に存在している可能性が高いと判断される。これは、従来のダイ・ツー・ダイ法では困難な処理である。これらの特徴量を使い、良く知られた分類法で欠陥種を判定する。その分類法としては、欠陥種参照画像データベースとの比較をk最短距離法で行って判別する手法が有効である。
このような欠陥種自動分類は、従来行われている光学方式、SEM方式のADC(Automatic Defect Classification)に準じた方法であるが、設計データを使う本発明の方法によれば、パターンの内部と外部の区別が明確につくので、各部分の特徴量が正確にとらえられ、分類精度が向上する。
次に、検査部12は、対応づけを行った検査対象パターン画像のエッジと基準パターンのエッジとの関係からパターン変形量を求める(ステップS330)。パターン変形量は、欠陥検出の結果、欠陥が検出されなかった部分について求める。そして、パターン変形量を出力部13を介して表示装置5および印刷装置6に出力する(ステップS332)。
パターン変形量としては、画像全体から得られるパターン変形量と、パターンの属性ごとに得られるパターン変形量とが考えられる。
画像全体から得られるパターン変形量としては、例えば、位置ずれ量、倍率変動量、および線幅の太り量が考えられる。
位置ずれ量は、対応づけられたエッジ間のベクトルd(x,y)の平均値として求められる。これはS=(xs,ys)のサブピクセル精度でのシフト量(補正量)Sとなる。このシフト量Sに基づいてピクセル単位でのマッチングでシフトさせた基準パターンを補正量分シフトさせることにより、サブピクセル精度でのマッチングを行うことができる。
x方向の倍率変動量を求めるには、縦方向の基準パターンに関するベクトルd(x,y)のx成分を回帰直線D(x)で近似して回帰直線を求める。そして、回帰直線の勾配をx方向の倍率変動量とする。y方向の倍率変動量についても同様である。
図43において、(a)は基準パターンのエッジ(破線)、および検査対象パターン画像のエッジ(実線)の例を示し、(b)は(a)に示すエッジ間のy=yにおけるベクトルd(x,y)のx成分を回帰直線D(x)で近似した例を示す。ベクトルd(x,y)のx成分を回帰直線D(x)=ax+bで近似すると、傾きaが倍率変動量に相当する。図43(a)の例では、検査対象パターン画像のパターンが基準パターンよりも全体に大きいことがわかる。
図44において、(a)は基準パターンのエッジ(破線)、および検査対象パターン画像のエッジ(実線)の別の例を示し、(b)は(a)に示すエッジ間のy=yにおけるベクトルd(x,y)のx成分を回帰直線D(x)で近似した例を示す。図44(a)の例では、検査対象パターン画像のパターンが基準パターンよりも全体に大きいことに加えて、線(ライン)の幅が太っている。図44(a)において、基準パターンのライン(配線)121、122、123は、それぞれ検査対象パターン画像のパターンのライン124、125、126に対応する。
x方向の線幅の太り量は、例えば、sign(x,y)・{d(x,y)のx成分−D(x)}の平均値として求めることができる。ここで、sign(x,y)は、(x,y)の位置がラインの左端であれば−1をとり、ラインの右端であれば1をとる。なお、線幅の太り量に関して、sign(x,y)・{d(x,y)のx成分−D(x)}の分散を求めれば、線幅のばらつき指標が得られる。
次に、パターンの属性ごとに得られるパターン変形量について説明する。パターンの属性としては、コーナー171、長い配線172、先端173、孤立パターン174などが考えられる(図45)。パターンの属性に関するパターン変形量としては、例えば、上述の位置ずれ量、倍率変動量、および線幅の太り量のほか、面積、周囲長、円形度、モーメント、曲率半径などの特徴量の変形量が考えられる。
基準パターンにパターンの属性を自動的に付加することができる。ただし、属性の付加は手動によって行うこともできる。パターンの属性を付加(抽出)するためのルールは、(R4)としてレシピ作成時に設定する。
図46は、先端の位置ずれ量を示す図である。先端の位置ずれ量は、図46(a)に示すように、基準パターンのエッジ164から、検査対象パターン画像のエッジ163までの距離(基準パターンのエッジに対し垂直方向)である。先端の位置ずれ量として、例えば、検査対象パターン画像のエッジ163において基準パターンのエッジ164に最も近い点と、基準パターンのエッジ164との距離を測定することができる。
また、図46(b)に示すように、任意の幅をもった区間157について複数測定した距離の平均値、最大値、最小値、中央値、標準偏差などを、先端の位置ずれ量としてもよい。
図46では、先端の位置ずれ量について説明したが、長い配線、コーナー、属性と属性の結合部分などについても、同様に位置ずれ量を測定できる。また、例えばコーナーは、コーナーの成す角度の半分の角度もしくは指定した角度を持つ方向での位置ずれ量を測定することができる。
図47は、孤立パターンの重心の位置ずれ量を示す図である。重心の位置ずれ量は、(孤立パターンを構成する)基準パターンのエッジ160の重心162と、(孤立パターンを構成する)検査対象パターン画像のエッジ159の重心161との位置ずれ量である。
また、図47において、孤立パターンの特徴量(面積、周囲長、円形度、モーメントなど)の変形量を測定することが考えられる。すなわち、基準パターンのエッジ160の特徴量と、検査対象パターン画像のエッジ159の特徴量との差異を測定することが考えられる。
図48において、(a)は基準パターンのエッジのコーナーの例を示し、(b)は検査対象パターン画像のエッジのコーナーの例を示す。図48(a)に示す基準パターンのエッジ166のコーナーには丸みをつける処理がなされている。コーナーの曲率半径としては、例えば、コーナーの曲線を楕円もしくは円で最小自乗近似して得られた長径、短径もしくは半径を用いることができる。基準パターンのエッジ166のコーナーの曲率半径、および検査対象パターン画像のエッジ165のコーナーの曲率半径を求めることにより、コーナーの曲率半径の変形量を求めることができる。
以上の検査は、一カ所ずつそれぞれ行うのではなく、1撮像範囲内(視野内)の複数の箇所に対し同時(一度の撮像で)に適応することも可能である。
検査項目は、上述のレシピ項目の(R1)求めたいパターン変形量に従い選択される。
パターンの属性の抽出ルール(上述の(R4))は各種あるが、その例を図45に従い説明する。コーナーは、所定角度(90度や270度など)で接触する2線分の接点近傍として抽出される。長い配線は、線幅分の間隔離れていて、指定された長さ以上長さを持った並行した2線分として抽出される。先端は、線幅の長さをもつ線分で、その両端に所定長以上の他の線分が90度の角度をもって接している部分として抽出される。孤立パターンは、所定面積以下の閉図形として抽出される。
(第2のエッジ検出)
検査部12は、欠陥検出の結果、欠陥が検出されなかった部分について、検査対象パターン画像から再度エッジを検出する(ステップS334)。
検査対象パターン画像のエッジ検出は、検査対象パターン画像上に、第2の基準パターンに基づいてプロファイルを求めることにより行う。ここで、第2の基準パターンとしては、図53の点Qの位置をエッジと考えた場合の基準パターンを用いる。これに対し、第1の基準パターンとしては、例えば、上述の(B)エッジのみが明るい画像の場合、点Pの位置をエッジと考えた場合の基準パターンが用いられる。したがって、第2の基準パターンと第1の基準パターンは一般に異なる。
検査対象パターン画像のエッジ検出を行う前に、上述のシフト量S+Sの分だけ第2の基準パターンをシフトさせる。以後の処理は、このシフトを行った状態で行う。
プロファイルからエッジ位置を求めるには、しきい値法、直線近似法など各種開示されているが、本実施形態では、その中のしきい値法を用いて、CD−SEMで行っている線幅測長を2次元パターン(検査対象パターン画像)に応用している。ただし、しきい値法を、直線近似法など別の方法に置き換えても同様に処理が可能である。ここで、直線近似法とは、プロファイルを直線で近似し、交点を使ってエッジ位置を特定する方法である。
エッジ検出には、2通りのやり方が考えられる。その1つは、プロファイルを取る方向および位置を、第2の基準パターンに対して予め設定する方法である。
本実施形態において、プロファイル取得区間を予め設定しておく場合には、上述のように、レシピ作成時に行う。この場合、上述のレシピ項目の(R6)プロファイル取得区間を可変にして測定時に決定するかどうかのフラグがオフとしてあり、プロファイル取得区間が、第2の基準パターンに対して予め設定されていることになる。
プロファイルを取得する区間(プロファイル取得区間)は、(R5)のプロファイル取得区間の長さ、およびプロファイル取得区間とプロファイル取得区間との間隔に基づいて、例えば、図49に示すように、第2の基準パターンを中点として、第2の基準パターンの垂直方向に設定される(図中二重線)。図49に示す第2の基準パターンは、すでに図7を用いて説明したように、コーナー部分に丸みをつける補正がなされている。また、上述の第2の基準パタ−ンの代わりに、図50に示すように、リソシミュレータで得られた露光パターンの外形を形成する曲線(図中実線)を使用することも可能である。
第2のエッジ検出処理としては、検査対象パターン画像における上述のプロファイル区間に対応する位置(区間)において、(R5)のプロファイル取得区間内で輝度値を調べる間隔に基づいて、プロファイルを作成する。その間隔は通常ピクセル間隔以下の任意の値とし、プロファイル区間の長さはパターンの変形許容量より長い任意の長さとする。プロファイルは、双一次補間、スプライン補間、フーリエ級数などの手法を用いて作成する。
図51は図49の一部(Bの部分)を拡大した図であり、図52は図51の一部(Cの部分)を拡大した図である。図中の二重線がプロファイル取得区間であり、格子の交点はピクセルの位置、黒点は検査対象パターン画像の輝度値を調べる位置を示す。
双一次補間法とは、図示のように(0,0)(0,1)(1,0)(1,1)で示されたピクセルの輝度値I(0,0)、I(0,1)、I(1,0)、I(1,1)を使って、位置(x、y)、(0<x≦1、0<y≦1)にある点の輝度値I(x、y)を次の計算式で計算するものである。
Figure 2004185019
これにより得られたプロファイルから、しきい値法を適応して第2のエッジ位置を決定する。図53に示すように、得られたプロファイルの中の最大輝度値Vとその位置Pを求める。その最大輝度値Vに予め指定された係数kをかけた数値をしきい値Tとし、輝度値=しきい値Tの直線とプロファイル曲線との交点を求める。これらの交点で、点Pからパターンの外側方向にあり、最も点Pに近い交点Qを求める。すべてのプロファイルについて、この交点Qを求め、第2のエッジ位置とする。
係数kは第2のエッジ位置を決定する役割を果たす。すなわち、ウェーハに形成された実際の配線の断面形状は台形状をなすので、そのエッジ位置の管理を台形の上辺で行うのか、下辺で行うのか、あるいは中間部で行うのか、係数kにより調整することができる。
上述のエッジを求めたら、それらに基づいて曲線近似(多角形近似を含む)を行い、第2のエッジを求める。最も単純な方法は単に折れ線としてつなぐ方法であるが、最小自乗法を用いて滑らかにつなぐ方法として、例えば以下の方法を用いることができる。すなわち、図54(a)に示すような、T. Pavlidis and S. L. Horowitz : “Segmentation of plane curves”, IEEE Trans. on Computers, vol. C−23, no.8 Aug., 1974で開示された分割融合法を用いることができる。これ以外にも、図54(b)に示すような最小自乗法と2次元スプライン関数を使った平面データの平滑化による曲線近似を用いることもできる。前者は、高速に処理できるが丸まった形状を多く含むものには柔軟性がない。一方、後者は、高速性を満たし且つ柔軟性をもつ特性がある。これら以外にも、フーリエ記述子による方法など各種の方法が開示されており、これらでも置き換え可能である。
以上のような曲線近似は、第1のエッジ検出を行った後にも行うようにすることができる。
次に、これとは異なるもう1つのやり方として、プロファイル取得区間を可変にしてエッジ検出時に決定する方法がある。すなわち、図55(a)に示すように、検出された検査対象パターン画像の第1のエッジの垂直方向にプロファイル取得区間を設定する方法である。この方法によれば、図55(b)に示すように、検査対象パターン画像の第1のエッジ(実線)が第2の基準パターン(点線)からずれていたとしても、プロファイル取得区間を特定し、エッジを検出することができる。この方法は、上述の方法に比べ、パターンの変形に追従しやすい。プロファイル取得区間の設定後は、上述の方法と同様の処理を行う。
第2のエッジ検出の結果は、表示装置5および印刷装置6に出力することができる。
検出された第2のエッジは、例えば図12を用いて説明した方法を用いて、ピクセルごとのエッジベクトルにすることができる。このエッジベクトルは第1の検査の前で得た2値化処理で得たエッジベクトルに相当する。
(第2の検査)
以上のような第2のエッジ検出の後、検査部12は、第2の検査を行う(ステップS336)。
この検査は、上述の第1の検査と同じ処理であり、欠陥検出を行い、パターン変形量を求める。ここで求められる画像全体に関する位置ずれ量(シフト量)Sは、上述のSに対応する。ここで求めたSに、上述のSおよびSを加えたものが、第2の基準パターンと検査対象パターン画像のパターンとの間の全シフト量となる。
検査結果は、出力部13を介して表示装置5および印刷装置6に出力される(ステップS338)。
以上の処理をすべての検査単位領域について行った場合には検査処理を終了し、そうでない場合にはステップS308に戻る(ステップS340)。
(その他の検査)
低倍画像の一部分を電磁的に高倍画像で観察できる機能をもったSEMの場合は、高倍画像では入りきらないパターンも測定可能である。すなわち、高倍画像で得たエッジ位置が低倍画像で得たエッジ位置に正確に変換できることを意味する。これと同じ関係を高精度ステージで実現してもよい。例えば、図56において、検査対象パターン画像のパターン181上の位置182、183を、それぞれ高倍画像184、185で求めた後、低倍画像187上の位置に変換して、検査対象パターン画像のパターン181の幅186を求めれば、低倍画像187のみで求めたときよりも、精度よく測長できる。
(傾斜、倍率調整)
以上の検査方法においては、パターン変形量の手法を利用して必要に応じ、検査前に、もしくは、検査中の適当な時点で、検査対象パターン画像の傾斜、倍率調整を行うことができる。すなわち、調整に適した部分の検査対象パターン画像と基準パターンを取得する。アフィン変換で、候補となり得る傾斜、倍率の変更を行ったいくつかの検査対象パターン画像を得る。得られた検査対象パターン画像と基準パターンとを比較して最もパターン変形量が小さい検査対象パターン画像を選ぶ。選んだ検査対象パターン画像に対する傾斜、倍率を補正量として登録する。検査対象パターン画像にアフィン変換をかけるのではなく、基準パターンにアフィン変換をかける方法にかえてもよい。
なお、アフィン変換とはaからfの係数を使った1次変換を意味する。
Figure 2004185019
上記本発明の検査方法により得られるパターンの変形量、欠陥領域の位置、サイズ、欠陥種、加えてパターン変形量の統計量や画像などの情報を利用すれば、欠陥領域の回路への影響度の解析、前後工程での回路への影響度の解析、露光条件などの最適化パラメータの解析を可能にすることができる。
本実施形態に係るパターン検査装置は、シフト量を出力する部分に注目すれば、パターンマッチングを行う装置とも考えられる。
以上、本発明の一例を説明したが、他にも各種の変形が可能である。たとえば、取得済みの画像データを磁気光学ディスクや磁気テープなどの外部入力デバイスを介して、またはイーサーネットなどのLANを経由した、オフライン入力処理式に変形することは容易である。また、本発明の方法でウェーハ中の代表的なダイを検査したのち、他のダイはダイ・ツー・ダイ比較により検査するような混成手法とすることも可能である。またさらに、画像生成法は他の方法でもよいし、設計データはCADに限らず他のものでもよい。本実施形態においては、検査結果等を表示装置5および印刷装置6に出力しているが、画像データベース、シミュレータ、記録媒体などに出力するようにしてもよいし、ネットワークを介して他のコンピュータに送信(出力)するようにしてもよい。
設計データに基づく理論上のパターンの例を示す図である。 設計データに基づいて実際に製造されたパターンの例を示す図である。 本発明の実施形態に係るパターン検査装置が行う検査処理の概要を示す図である。 本発明の実施形態におけるパターン検査装置のハードウェア構成例を示す図である。 本発明の実施形態におけるパターン検査装置の機能ブロック図を示す図である。 本発明の実施形態におけるレシピ登録処理の例を示すフローチャートである。 基準パターンの補正例を示す図である。 逐次検査を説明するための図である。 ランダム検査を説明するための図である。 基準パターンの例を示す図である。 図10の基準パターンをピクセルごとのエッジベクトルに変換した例を示す図である。 曲線を含む基準パターンをエッジベクトルに変換した例を示す図である。 本発明の実施形態における検査処理の例を示すフローチャートである。 パターン内部と下地にコントラストが付く画像(検査対象パターン画像)の例を示す図である。 図14の画像から検出したエッジを示す図である。 輪郭のみが明るい画像(検査対象パターン画像)の例を示す図である。 図16の画像から検出したエッジを示す図である。 1次元の検査対象パターン画像のエッジ振幅の例を示す図である。 図18のエッジを膨張させた例を示す図である。 1次元の基準パターンのエッジの振幅の例を示す図である。 図18のエッジを膨張させた別の例を示す図である。 1次元の基準パターンのエッジの振幅の別の例を示す図である。 図18のエッジを膨張させた別の例を示す図である。 スムージングフィルタの例を示す図である。 2次元の検査対象パターン画像のエッジの振幅の例を示す図である。 図25のエッジを膨張させた例を示す図である。 図25のエッジを膨張させた別の例を示す図である。 2次元の検査対象パターン画像のエッジベクトルの例を示す図である。 図28のエッジベクトルを膨張させた例を示す図である。 図28のエッジベクトルを膨張させた別の例を示す図である。 図10の基準パターンをピクセル単位のエッジベクトルで表した別の図である。 マッチングを説明するための図である。 図29と図31とを重ね合わせた図である。 図29と図31とを重ね合わせた図である。 (a)は基準パターンの例を示し、(b)は検査対象パターン画像の例を示す図である。 配線の間隔と下地の間隔とが同じ場合の例を示す図である。 (a)は基準パターンの例を示し、(b)は(a)の基準パターンと検査対象パターン画像との関係の例を示す図である。 マッチングを行った後の検査対象パターン画像のエッジおよび基準パターンのエッジの例を示す図である。 (a)は基準パターンのエッジの例を示し、(b)は検査対象パターン画像のエッジの例を示す図である。 方向情報の付与手法の他の例を示す図である。 検査対象パターン画像の例を示す図である。 輝度値に対する頻度の分布の例を示す図である。 (a)は基準パターンのエッジ、および検査対象パターン画像のエッジの例を示し、(b)は(a)に示すエッジ間のy=yにおけるベクトルd(x,y)のx成分を回帰直線D(x)で近似した例を示す図である。 (a)は基準パターンのエッジ、および検査対象パターン画像のエッジの別の例を示し、(b)は(a)に示すエッジ間のy=yにおけるベクトルd(x,y)のx成分を回帰直線D(x)で近似した例を示す図である。 パターンの属性の例について示す図である。 先端の位置ずれ量を示す図である。 孤立パターンの重心の位置ずれ量を示す図である。 (a)は基準パターンのエッジのコーナーの例を示し、(b)は検査対象パターン画像のエッジのコーナーの例を示す図である。 プロファイル取得区間の例を示す図である。 リソシミュレータで得られた露光パターンの外形を形成する曲線を示す図である。 図49の一部(Bの部分)を拡大した図である。 図51の一部(Cの部分)を拡大した図である。 プロファイルの例を示す図である。 第2のエッジ位置(点)に基づいて曲線近似を行い、第2のエッジを求めた例を示す図である。 (a)はプロファイル取得区間の別の例を示し、(b)は検査対象パターン画像の第1のエッジと第2の基準パターンとの関係の例を示す図である。 高倍画像および低倍画像を用いて測長を行う例を示す図である。
符号の説明
1 主制御部
2 記憶装置
3 入出力制御部
4 入力装置
5 表示装置
6 印刷装置
7 画像生成装置
11 基準パターン生成部
12 検査部
13 出力部
14 欠陥種認識部
21 基幹データベース
22 レシピデータベース
23 欠陥種参照データベース
61〜70、75、81〜84 エッジ
101〜103 部分
111、113 配線
112、114、204 下地
121〜126 ライン
151 検査対象パターン画像
152 基準パターン
157 区間
159、163、165 検査対象パターン画像のエッジ
160、164、166 基準パターンのエッジ
161 検査対象パターン画像のエッジの重心
162 基準パターンのエッジの重心
171 コーナー
172 長い配線
173 先端
174 孤立パターン
181 検査対象パターン画像のパターン
182、183 位置
184、185 高倍画像
186 検査対象パターン画像のパターンの幅
187 低倍画像
201 破線
202、203 実線
205 パターン内部
206、207 ピクセルの固まり
251〜255 ピクセル
261 ピクセルの中心
262 ピクセルの中心に最も近い基準パターン上の点
263 接線
301〜304 検査単位領域

Claims (1)

  1. パターン検査装置であって、検査対象パターンと、リソシミュレータで得られた露光パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査することを特徴とするパターン検査装置。
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