JP4787673B2 - パターン検査装置および方法 - Google Patents

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Description

本発明は、パターン検査装置および方法に関し、より具体的には、例えば、設計データに基づき製造された、半導体集積回路(LSI)や液晶パネルおよびそれらのホトマスク(レチクル)などの微細パターンを検査するためのパターン検査装置および方法に関する。
半導体集積回路の製造工程におけるウェーハのパターン検査、あるいはそのパターン形成用のホトマスクのパターン検査には、ダイ・ツー・ダイ(die to die)比較方法を用いた光学式パターン検査装置が使われている。このダイ・ツー・ダイ比較方法は、検査対象のダイと呼ばれる半導体デバイスとその近接ダイの同じ位置から得られる画像どうしを比較することで欠陥を検出する方法である。
一方、近接ダイの存在しないレチクルと呼ばれるホトマスクの検査には、ダイ・ツー・データベース(die to database)比較と呼ばれる方法が使用されている。この方法は、マスクデータを画像に変換してダイ・ツー・ダイ比較方法で用いた近接ダイの画像の代わりとし、前述同様の検査をする方法である。マスクデータとは設計データにホトマスク用の補正を施して得られるデータである。当該技術は、たとえば米国特許5563702号“Automated photomask inspection apparatus and method”に記載されている。
しかし、ダイ・ツー・データベース比較方法をウェーハ検査に使用すると、実際にウェーハに形成されたパターンのコーナーラウンドが欠陥として検出される。ホトマスクの検査では、マスクデータから変換された画像にスムージングフィルタでコーナーラウンドをもたせる前処理でコーナーラウンドを欠陥として検出しないようにしている。しかしながら、ウェーハ検査では、この前処理によるコーナーラウンドは、ウェーハに形成されたそれぞれのパターンのコーナーラウンドに等しくないので、コーナーラウンドを欠陥として検出しないようにできないことがある。そこで、この違いを無視するように許容パターン変形量を設定すると、コーナー以外に存在する微少欠陥を検出できないという問題が発生している。
ホトマスクはマスクデータに可能な限り一致する必要があるので、上記の問題はダイ・ツー・データベース比較ホトマスク検査では致命的ではない。よって、現在、ダイ・ツー・データベース比較ホトマスク検査が実用化されている。しかしながら、ウェーハに形成されたパターンは電気特性が保証される限りパターン変形が許されているので、上記の問題はダイ・ツー・データベース比較ウェーハ検査では致命的である。このパターン変形の許容量(許容パターン変形量)はかなり大きい。また、実際に、ステッパーの露光条件の違いなどに起因して上記のパターン変形が発生している。よってダイ・ツー・データベース比較ウェーハ検査は実用化されていない。
半導体集積回路生産での問題に注目すると、ゴミなどに起因するランダム欠陥よりも繰り返し発生する欠陥が重要視されている。繰り返し発生する欠陥(システマティック欠陥)とは、ホトマスク不良などを原因としてウェーハ上の全ダイにおいて繰り返し発生する欠陥と定義される。繰り返し発生する欠陥は検査対象のダイおよびその比較対象の近接ダイの両方に発生しているため、ダイ・ツー・データベース比較では検出できない。ゆえに、ダイ・ツー・データベース比較方式でのウェーハ検査が必要とされている。
そこで、ダイ・ツー・データベース比較ウェーハ検査は、計算コストなどで問題があり実用化には至っていないが、設計データとウェーハ画像を使う検査方法が提案されている。たとえば、NEC技報Vol.50 No.6/1997の「電子ビームテスタを用いたロジックLSIの自動故障箇所トレース法」がある。この文献では、配線エッジのX,Y軸へのプロジェクションを用いる方法、配線コーナーに着目した方法、遺伝的アルゴリズムを応用した方法が記述されている。また、この文献で使用した方法として、エッジを直線近似した後に閉領域を抽出し、この閉領域を使うマッチング方法が説明されている。しかし、これらいずれの方法も高速検査に使用可能な検査速度を実現できず、さらに、パターン変形量を検出しながらマッチングすることができない。
また現在では、欠陥を含む画像を使用する自動欠陥種分類(Automatic Defect Classification:ADC)が使われている。しかし、この方法では欠陥が回路のどの部分を破壊しているか認識できないので、致命的欠陥とそうでない欠陥の分類ができない。
さらに、ダイ・ツー・ダイ比較での検査で得られる欠陥の位置は、検査装置のステージ精度および光学系精度に起因する誤差をもっており、その誤差は検査対象パターン線幅より10倍程度以上大きい。これらの誤差が原因で、欠陥位置を設計データに関連付けても、欠陥が設計データ上のどの位置に存在しているか分からない。
近年、半導体集積回路の線幅はリソグラフィー工程で使用する光源波長を大きく下回るようになってきている。このようなリソグラフィー工程には、OPC(Optical Proximity Correction、光近接効果補正)パターンを付加する方法が使用されている。この方法は、設計データにOPCパターンを付加して生成したマスクデータを使用して製造されたホトマスクを用い、このホトマスクを使用して製造されるウェーハ上のパターンを設計データに可能なかぎり一致させることが出来る。OPCパターンを付加することは、ホトマスクを補正する最も重要な技術の一つである。
OPCパターンがウェーハ上に形成されたパターンの補正として有効に作用していないとシステマティック欠陥が発生するが、ダイ・ツー・ダイ比較ウェーハ検査ではこの欠陥は検出できない。この解決として、許容パターン変形量を考慮して、ウェーハに形成されたパターンと設計データとを比較検査する方法が必要とされている。
また、システムオンチップ(system-on-a-chip:SoC)生産工程などの多品種少量生産工程では、短納期が求められている。この生産工程では、最終検査である電気的検査でシステマティック欠陥を発見しても、短納期に応えられない場合がある。この対策として、リソグラフィー工程ごとにウェーハ上に形成されたパターンと設計データとの差異を検査することが必要とされる。この検査方法では、電気特性に影響しないパターン変形を許容パターン変形量として設定しておき、許容パターン変形量以上の変形を検出する必要がある。
また、OPCパターンの評価として、リソグラフィ・シミュレータにより設計データとOPCパターンが付加されたマスクデータから得られたシミュレーションパターンとの比較検査が行われている。リソグラフィ・シミュレータはデバイス全体の検証が可能であるが、シミュレーションパターンは、必ずしも実際のパターンと等しくはない。また、リソグラフィ・シミュレータではOPCパターン以外の問題に起因する欠陥が検出できない。このような欠陥としてホトマスクに存在するランダム欠陥、ステッパーの歪などがある。
さらに、このシミュレーションの正当性を検証するために、リソグラフィ・シミュレータが出力したシミュレーションパターンと実際にウェーハ上に形成されたパターンの画像との比較検討手段が必要とされている。また、設計データに対するパターン変形量を厳密に設定することにより、回路設計上の技術を向上させることがますます重要になっている。
現在、半導体集積回路の製造工程における線幅管理用に、CD−SEM(Critical Dimension Scanning Electron Microscope)が用いられている。CD−SEMは、ラインプロファイルを使って指定された位置にある直線形状パターンの線幅を自動的に測長するものである。CD−SEMを使ってステッパーの露光条件を管理するために、1ロットごとに、数枚のウェーハ上の数ショット中の数ヶ所が測長される。
半導体集積回路の製造工程における管理項目としては線幅以外にも、配線終端の縮み、孤立パターンの位置なども重要であるが、CD−SEMの自動測長機能は1次元対応で線幅など長さしか測定できない。したがって、これら2次元形状は、CD−SEMや他の顕微鏡から取得された画像を使って操作者が手動で検査している。
孤立パターンには、ホールパターンと島パターンがある。島パターンはホールパターンのネガであることが多い。また、ホールパターンには、コンタクトホール/ビアホールとテストパターンがある。
OPCパターンは、ゲート線幅の線幅を確保するのはもとより、コーナーや孤立パターンの形状形成にも重要な役目を担っている。またさらに、動作周波数の向上により現在では、ゲート線幅に加えて、エンドキャップと呼ばれるゲートパターンの終端や、フィールドエクステンションと呼ばれるゲートパターンの付け根の形状管理も重要になってきている。
このような2次元パターンの検査は、製造工程での抜き取り検査でも、試作段階でも重要であり、特に試作段階では、ウェーハ上に形成された全パターンの検査が必要とされる。しかし、現在は、2次元形状の管理は人的作業により実施され、完全に実施されてはいない。この問題を解決するために、自動化されたダイ・ツー・データベース比較ウェーハ検査が求められている。
これらの自動化の要請の具体的なものとして、以下の課題があげられる。
(1)各半導体デバイスに繰り返し発生する欠陥を求めるために、膨大な欠陥情報を調べて同一箇所に欠陥があるかどうか調べることは実用上困難である。
(2)エンドキャップとコンタクトホール/ビアホールに接する配線パターンの終端以外の終端がOPCパターンによって正確に補正されているとは限らない。このような終端がエンドキャップとコンタクトホール/ビアホールに接する配線パターンの終端に対する許容パターン変形量以上の収縮があっても欠陥として認識する必要のないものであることがある。
(3)従来のオーバーレイエラー管理は半導体デバイスの限られた箇所での測定に拠っていたので、ステッパーの歪みに起因する局所的なオーバーレイエラーなどは管理することが出来なかった。
(4)従来のダイ・ツー・ダイ比較方法は、2枚の対応する画像の比較により実施されていた。この方法では、比較される2枚の画像ではパターンと画素の境界の関係が異なっているので、ピクセルの輝度値の補間を使って、2枚の画像が同じパターンと画素の境界の関係を持つようにする必要がある。この補間により検出精度が悪くなる問題がある。
(5)第2のエッジから得られる外形をリソグラフィ・シミュレータなどの入力データとして使用することが可能である。この場合は、リソグラフィ・シミュレータ処理が、外形出力処理に比べて低速であるので、間接的に外形を入力する必要がある。
(6)最適な許容パターン変形量は所望の電気特性により異なる。そこで、良品の半導体デバイスと判断された基準となる試料から最適な許容パターン変形量を得る方法が望まれる。
(7)半導体デバイスの品質向上のために、半導体デバイスの全ゲート線幅を測定し、測定されたゲート線幅を、ゲート長、近接するパターンまでの最小距離などで分類して解析することが求められている。しかし、従来のCD−SEMによる測定では、限られた数の半導体デバイスのゲート線幅の測定と分類しかできなかった。
(8)検査対象パターン画像の画質を向上する方法として、画像を加算する方法が良く知られている。しかし、帯電しやすい試料上に形成された検査対象パターンの画像を連続して取得する場合は、取得された画像が徐々に歪むので、単純に取得された画像を加算してもシャープな画像が取得できない。
(9)検査対象パターン画像の歪量が大きい場合は、許容パターン変形量以上の長さの基準パターンと検査対象パターン画像のエッジ間のベクトルが得られないので、検査対象パターン画像の歪量が正確に求められないことがある。
(10)検査速度を向上させるために連続移動ステージを使用しラインセンサーで検査対象パターン画像を取得する方法がある。しかし、この方法ではインターレース走査もしくは画像加算走査による検査対象パターン画像を取得することができない。画像加算走査とは、同じ走査線を2回以上走査して加算画像を得る走査を意味する。
(11)従来のCD−SEMの自動フォーカス調整を、広視野の画像生成装置で実施すると検査対象パターン画像の取得に時間がかかる。また、広いエリアを繰り返し走査するので電子線の走査による試料のダメージが大きい。
(12)従来は、FEMウェーハを測定するために、CD−SEMを用いて、ウェーハ上のすべての半導体デバイスの数箇所が測定されていた。測定箇所は、検査対象パターンの直線部分の線幅測定に適した箇所である。しかしながら、検査対象パターンの直線部分の線幅のパターン変形量の傾向と、検査対象パターンの直線部分のスペース幅のパターン変形量の傾向もしくは検査対象パターンの終端のエッジプレイスメントエラーの傾向が異なる場合がある。このような場合に、検査対象パターンの直線部分の線幅の測定結果からプロセスウインドを得ると、プロセスウインド内の条件の露光によって製造された半導体デバイスに、欠陥が発生することがある。
(13)電子線マスク描画装置やレーザーマスク描画装置でホトマスクパターンを露光するために、矩形ビームなどの成形ビームを使って露光する方法がある。成形ビームが変形して露光されることにより、ホトマスクパターンが許容パターン変形量以上に変形することがある。従来は、製品のホトマスクパターンを露光する前にテストパターンを露光して成形ビームの変形を管理していた。しかし、製品のホトマスクパターンを露光している間の成形ビームの変化を管理するする方法がなかった。
本発明は、これらの課題に対して、検査対象パターン画像と、設計データ等の検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いて検査対象パターンを検査するパターン検査装置および方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のパターン検査装置の第1の態様は、検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用する設計データを用いて検査するパターン検査装置であって、前記設計データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成する生成手段と、前記検査対象パターン画像を生成する生成手段と、前記検査対象パターン画像のエッジを検出する手段と、前記検査対象パターン画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査して欠陥を検出する検査手段とを備え、前記設計データは、同じOPCパターンを持ったパターンに同一のセル名を持たせた設計データであり、前記検査手段は、欠陥情報に対応する前記設計データのセル名を取得し、前記欠陥情報を取得された前記セル名によって分類し、同一の前記セル名に属する欠陥の数が複数の場合にOPCパターンに起因して繰り返し発生する欠陥として認識することを特徴とする。
本発明の態様は、前記設計データに代えて、前記設計データに対応するマスクデータを使用することを特徴とする。
本発明のパターン検査装置の第2の態様は、検査時の工程で製造された検査対象パターンと前記検査時の工程の前工程で製造された検査対象パターンとを含む検査対象パターン画像と、前記検査時の工程で製造される検査対象パターンに関するデータと、前記検査時の工程の前工程で製造される検査対象パターンに関するデータを用いて検査するパターン検査装置であって、前記検査時の工程で製造される検査対象パターンに関するデータから線分もしくは曲線で表現された前記検査時の工程に関する基準パターンを生成する生成手段と、前記検査時の工程の前の工程で製造される検査対象パターンに関するデータから線分もしくは曲線で表現された前記検査時の工程の前の工程に関する基準パターンを生成する生成手段と、前記検査対象パターン画像を生成する生成手段と、前記検査対象パターン画像のエッジを検出する手段と、前記検査対象パターン画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査する検査手段とを備え、前記検査手段は、前記検査対象パターン画像と前記検査時の工程に関する基準パターンとをマッチングしてシフト量を求め、前記検査対象パターン画像と前記検査時の工程の前工程に関する基準パターンとをマッチングしてシフト量を求め、前記2つのシフト量から前記検査時の工程で製造されたパターンと前記検査時の工程の前工程で製造されたパターンとのオーバーレイエラーを検査することを特徴とする。
本発明のパターン検査装置の第の態様は、基準となるパターン画像と検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いて検査するパターン検査装置であって、前記データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成する生成手段と、前記基準となるパターン画像と前記検査対象パターン画像を生成する生成手段と、前記基準パターンを用いて前記基準となるパターン画像のエッジを検出し、得られたエッジをつなげて基準となる外形を取得する手段と、前記基準パターンを用いて前記検査対象パターン画像のエッジを検出する手段と、前記検査対象パターン画像のエッジと前記基準となる外形とを比較することにより、前記検査対象パターンの変形量を検査する検査手段を備えたことを特徴とする。
本発明の態様は、前記外形を取得する手段は、前記基準となるパターン画像のエッジを検出して得られたエッジをつなげて基準となる外形を取得する代わりに、シミュレータを使って基準となる外形を取得することを特徴とする。
本発明のパターン検査装置の第の態様は、検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いて検査するパターン検査装置であって、前記データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成する生成手段と、前記検査対象パターン画像を生成する生成手段と、前記検査対象パターン画像のエッジを検出する手段と、前記検出されたエッジ基準パターン間のベクトルを取得し、前記取得されたベクトルから前記検査対象パターン画像の歪量を得て、前記検査対象パターン画像の歪量を補正する手段と、前記検査対象パターンから生成された複数の画像を補正してから加算する手段と、前記加算手段で得られた画像のエッジを検出する手段と、前記加算手段で得られた画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査することを特徴とする。
発明の態様は、前記検査対象パターン画像の部分ごとに画像の評価値を得て、前記評価値から最適な前記評価値を得て、前記最適な前記評価値が得られた前記検査対象パターン画像の部分を得て、前記得られた検査対象パターン画像の部分を生成するために使用された前記検査対象パターン画像を生成する条件を最適な前記検査対象パターン画像を生成する条件として得ることを特徴とする。
本発明のパターン検査装置の第の態様は、検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するホトマスクパターンを露光するときに使われる成形ビームに対応するデータを用いて検査するパターン検査装置であって、前記成形ビームに対応するデータから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成する生成手段と、前記検査対象パターン画像を生成する生成手段と、前記検査対象パターン画像のエッジを検出する手段と、前記検査対象パターン画像のエッジと前記基準パターンの組とを比較することにより、前記検査対象パターンを検査する検査手段とを備え、前記検査手段は、前記基準パターンごとに検査対象パターンの変形量を得て、前記検査対象パターンの変形量から前記ホトマスクパターンを露光している間の前記成形ビームの変形の有無を検査することを特徴とする。
本発明のパターン検査方法の第1の態様は、検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用する設計データを用いて検査するパターン検査方法であって、前記設計データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成し、前記検査対象パターン画像を生成し、前記検査対象パターン画像のエッジを検出し、前記検査対象パターン画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査して欠陥を検出し、前記設計データは、同じOPCパターンを持ったパターンに同一のセル名を持たせた設計データであり、前記検査により検出された欠陥情報に対応する前記設計データのセル名を取得し、前記欠陥情報を取得された前記セル名によって分類し、同一の前記セル名に属する欠陥の数が複数の場合にOPCパターンに起因して繰り返し発生する欠陥として認識することを特徴とする。
本発明の一態様は、前記設計データに代えて、前記設計データに対応するマスクデータを使用することを特徴とする。
本発明のパターン検査方法の第2の態様は、検査時の工程で製造された検査対象パターンと前記検査時の工程の前工程で製造された検査対象パターンとを含む検査対象パターン画像と、前記検査時の工程で製造される検査対象パターンに関するデータと、前記検査時の工程の前工程で製造される検査対象パターンに関するデータを用いて検査するパターン検査方法であって、前記検査時の工程で製造される検査対象パターンに関するデータから線分もしくは曲線で表現された前記検査時の工程に関する基準パターンを生成し、前記検査時の工程の前の工程で製造される検査対象パターンに関するデータから線分もしくは曲線で表現された前記検査時の工程の前の工程に関する基準パターンを生成し、前記検査対象パターン画像を生成し、前記検査対象パターン画像のエッジを検出し、前記検査対象パターン画像のエッジ前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査し、前記検査対象パターン画像と前記検査時の工程に関する基準パターンとをマッチングしてシフト量を求め、前記検査対象パターン画像と前記検査時の工程の前工程に関する基準パターンとをマッチングしてシフト量を求め、前記2つのシフト量から前記検査時の工程で製造されたパターンと前記検査時の工程の前工程で製造されたパターンとのオーバーレイエラーを検査することを特徴とする。
本発明のパターン検査方法の第3の態様は、基準となるパターン画像と検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いて検査するパターン検査方法であって、前記データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成し、前記基準となるパターン画像と前記検査対象パターン画像を生成し、前記基準パターンを用いて前記基準となるパターン画像のエッジを検出し、得られたエッジをつなげて基準となる外形を取得し、前記基準パターンを用いて前記検査対象パターン画像のエッジを検出し、前記検査対象パターン画像のエッジと前記基準となる外形とを比較することにより、前記検査対象パターンの変形量を検査することを特徴とする。
本発明の一態様は、前記基準となるパターン画像のエッジを検出して得られたエッジをつなげて基準となる外形を取得する代わりに、シミュレータを使って基準となる外形を取得することを特徴とする。
本発明のパターン検査方法の第4の態様は、検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いて検査するパターン検査方法であって、前記データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成し、前記検査対象パターン画像を生成し、前記検査対象パターン画像のエッジを検出し、前記検出されたエッジと基準パターン間のベクトルを取得し、前記取得されたベクトルから前記検査対象パターン画像の歪量を得て、前記検査対象パターン画像の歪量を補正し、前記検査対象パターンから生成された複数の画像を補正してから加算し、前記加算で得られた画像のエッジを検出し、前記加算で得られた画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査することを特徴とする。
本発明の一態様は、前記検査対象パターン画像の部分ごとに画像の評価値を得て、前記評価値から最適な前記評価値を得て、前記最適な前記評価値が得られた前記検査対象パターン画像の部分を得て、前記得られた検査対象パターン画像の部分を生成するために使用された前記検査対象パターン画像を生成する条件を最適な前記検査対象パターン画像を生成する条件として得ることを特徴とする。
本発明のパターン検査方法の第5の態様は、検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するホトマスクパターンを露光するときに使われる成形ビームに対応するデータを用いて検査するパターン検査方法であって、前記成形ビームに対応するデータから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成し、前記検査対象パターン画像を生成し、前記検査対象パターン画像のエッジを検出し、前記検査対象パターン画像のエッジと前記基準パターンの組とを比較することにより、前記検査対象パターンを検査し、前記基準パターンごとに検査対象パターンの変形量を得て、前記検査対象パターンの変形量から前記ホトマスクパターンを露光している間の前記成形ビームの変形の有無を検査することを特徴とする。
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)設計データのセル名により同じOPCパターンをもったマスクデータと関連する基準パターンを分類できる場合は、1つの半導体デバイスを検査することによりOPCパターンに起因する繰り返し発生する欠陥を認識することができる。この結果、検査時間を短縮することが可能になる。
さらに、設計データに基づいて製造された同じホトマスクパターンを複数もつホトマスクから製造された半導体デバイスから繰り返し発生する欠陥を認識する場合は、複数の半導体デバイス全体を検査するよりも検査時間を短縮することが可能になる。また、欠陥を、設計データのエラーに起因する得られた繰り返し発生する欠陥、マスク上の欠陥に起因する得られた繰り返し発生する欠陥もしくは、ランダム欠陥に分類できる。
(2)エンドキャップとコンタクトホール/ビアホールに接する配線パターンの終端以外の終端がOPCパターンによって正確に補正されているとは限らない。このような終端は許容パターン変形量以上の終端の収縮があっても欠陥として認識する必要のないものであることがある。このような欠陥として認識する必要のない許容パターン変形量以上収縮した終端を無視することができる。
(3)半導体デバイス全体にわたるオーバーレイエラーの分布を得ることが可能になるので、ステッパーの歪みに起因する局所的なオーバーレイエラーなどの管理が可能になる。
(4)検査対象パターン画像の外形を使ったダイ・ツー・ダイ比較検査がサブピクセル精度で実施できる。また、一方の検査対象パターン画像とは異なるピクセル間隔を持った他方の検査対象パターン画像から得られた外形、もしくは、シミュレータで得られた外形などを使って検査することができる。さらに、良品の生産開始時の半導体デバイスの外形を使用するプロセス管理方法が実現できる。また、エッジを移動することにより外形の補正もしくは外形上のスパイクノイズが除去できるので、画像フィルタによって発生する画像劣化が発生しない。別の方法として、基準パターンのエッジと検査対象パターン画像のエッジ間の距離を使用して前記外形のノイズを除去すれば、コーナー部分の曲率の変化を最小にできる。
(5)低速の他の検査方法と結合した欠陥検査方法が可能になる。また、外形を設計データの付加情報として出力すれば、外形と設計データの関連性が明確になる。
(6)良品の半導体デバイスと判断された基準となる試料から自動的に最適な許容パターン変形量を求めることができる。
(7)半導体デバイスの品質向上のために、半導体デバイスの全ゲート線幅を測定し、ゲート長、近接するパターンまでの最小距離などで分類して解析することが可能になる。
(8)帯電しやすい試料上に形成された検査対象パターンの画像を連続して取得すると徐々に取得した画像が歪む。このような徐々に歪んだ画像を加算する場合でも、シャープな加算画像が取得できる。
(9)基準パターンと検査対象パターン画像のエッジ間のベクトルが得られないような検査対象パターン画像の歪量が大きい場合にも検査対象パターン画像の歪量を求めて検査対象パターン画像を補正することが可能になる。また、エッジの分布を検査対象パターンの直線部分の画像に存在するエッジから得れば、コーナー部分のエッジの分布が非対称であっても、この非対称が原因で起こるパターン画像の歪量の取得の精度の低下が防止できる。
(10)連続移動ステージを使用し、ステージ位置を偏向器にフィードバックすることにより、インターレース走査もしくは画像加算走査による検査対象パターン画像を取得することが可能になる。画像加算走査とは、同じ走査線を2回以上走査して加算画像を得る走査を意味する。この結果、検査速度を向上させることができる。
(11)1枚か2枚の検査対象パターン画像を取得すれば自動フォーカス調整が実施できる。よって、自動フォーカス調整が高速に実施できるだけでなく、電子線の走査による試料のダメージも少ない。
(12)検査対象パターンの直線部分の線幅のパタ−ン変形量以外にも各種のパタ−ン変形量を使用してプロセスウインドが得られるので、より最適なプロセスウインドが得られる。また、実際にウェーハに形成された検査対象パターンの検査から危険領域が得られるので、リソグラフィ・シミュレータにより得られた危険領域よりも最適な危険領域が得られる。
(13)描画装置で使われるパターンで作られた露光パターンの変形量を検出することによって、電子線マスク描画装置の評価や管理ができる。
以下、図面を参照しつつ本発明の好ましい実施形態について詳しく説明する。
内容
1.概要
2.ハードウェア構成
2.1 画像生成装置の基本構成
2.2 画像生成装置の走査方法
2.2.1 走査方法1
2.2.2 走査方法2
2.2.3 走査方法3
2.3 パターン検査装置の基本構成
2.4 機能ブロック図
3.用語の説明
3.1 エッジ
3.2 基準パターン
3.3 レシピデータ
3.4 検査単位領域
3.5 検査結果
4.基本検査処理
4.1 第1のエッジ検出
4.1.1 第1のエッジ検出方法1
4.1.2 第1のエッジ検出方法2
4.2 直線形状パターンのマッチング方法
4.2.1 ユニークパターンを使うマッチング方法
4.2.2 ネガティブパターンを使うマッチング方法
4.2.3 エッジの水平軸垂直軸への射影データを使ったマッチング方法
4.3 幾何学情報を使う孤立パターンのマッチング方法
4.4 統計量を使う孤立パターンのマッチング方法
4.5 マッチング後の処理
4.6 第1の検査
4.6.1 異常パターン変形量を持った欠陥の認識方法
4.6.2 ピクセルの輝度分布を使う欠陥の認識方法
4.7 画像から得られる特徴量を使った欠陥種の判定方法
4.8 検査単位領域全体から得られるパターン変形量
4.9 基準パターンの属性の抽出ルール
4.10 パターンの属性を使って欠陥を検出する方法
4.10.1 終端のエッジプレイスメントエラーを持った欠陥
4.10.2 直線部分、コーナーのエッジプレイスメントエラーを持った欠陥
4.10.3 孤立パターンのプレイスメントエラーを持った欠陥
4.10.4 孤立パターンの他の欠陥
4.10.5 コーナーの曲率異常欠陥
4.11 第2のエッジ検出
4.12 第2の検査
5.応用検査処理
5.1 繰り返し発生する欠陥の認識方法
5.1.1 第1の繰り返し発生する欠陥の認識方法
5.1.2 第2の繰り返し発生する欠陥の認識方法
5.1.3 第3の繰り返し発生する欠陥の認識方法
5.1.4 第4の繰り返し発生する欠陥の認識方法
5.2 領域検査方法
5.2.1 直線形状パターンの線幅検査方法、平均線幅検査方法、スペース幅検査方法、および平均スペース幅検査方法
5.2.2 曲線形状パターンの線幅検査方法、平均線幅検査方法、スペース幅検査方法、および平均スペース幅検査方法
5.2.3 切断もしくは短絡しやすい部分の検査方法
5.3 基準パターンの論理演算の結果を使用する検査方法
5.3.1 ゲート線幅検査方法
5.3.2 エンドキャップ検査方法
5.3.3 コンタクトホール/ビアホールに接する配線パターンの終端に対する許容パターン変形量の適応設定方法
5.3.4 接触面積の検査方法
5.4 ウェーハに形成されてはならない補正パターンの検査方法
5.5 基準となる半導体デバイスの検査対象パターンの検査結果を使用する検査方法
5.6 基準となる試料の検査による最適な許容パターン変形量の取得方法
5.7 信号強度補正を必要とするパターンの検査方法
5.8 前工程のパターンの影響がある検査対象パターンの検査方法
5.9 前工程のパターンと検査対象パターンの位置関係の検査方法
5.10 外形を使った検査方法
5.10.1 外形を使ったダイ・ツー・ダイ比較方法
5.10.2 外形の補正方法と外形上のノイズ除去方法
5.10.3 外部検査装置への外形の出力方法
5.11 パターン変形量の大域的変形量と局所的変形量への分離方法
5.12 線幅測定値の時間的変化の補正方法
5.13 基準パターンの幾何学情報、設計データの情報、もしくは設計データに関連するデータの情報を使った欠陥種
5.14 基準パターンの特徴を使った欠陥のグループ分け
5.15 画像登録対象とする欠陥の選択方法
5.16 再検査対象とする欠陥の選択方法
5.17 半導体デバイス全体のパターン変形量の分布図表示方法
5.18 基準パターンの幾何学情報、設計データの情報、もしくは設計データに関連するデータの情報を使った測定値の分類方法
5.19 形成ビームで露光されたパターンの変形量
6.画像生成装置の他の走査方法
6.1 電子線の18度方向の走査方法、六角形領域の走査方法、基準パターンに基づく走査条件の自動設定方法
6.2 画像生成装置における電子線の走査経路
6.3 検査対象パターンのエッジの近傍部分のみの走査方法
6.4 領域検査の対象になる領域の近傍部分のみの走査方法
6.5 連続ステージを使ったインターレース走査および画像加算走査方法
6.5.1 連続ステージを使ったインターレース走査方法
6.5.2 連続ステージを使った画像加算走査方法
7.検査対象パターン画像の補正方法
7.1 検査対象パターン画像の歪量の検出による基準パターンおよび検査対象パターン画像のうち少なくとも一つの補正方法
7.2 検査対象パターン画像の補正方法を使用した画像加算方法
7.3 検査対象パターン画像の第1のエッジの分布を使った検査対象パターン画像の歪量の取得方法
7.3.1 検査対象パターンの直線部分の画像の第1のエッジの分布取得方法
7.4 非線形画像歪補正方法
7.5 検査対象パターン画像の位置に依存する線幅変化の補正方法
8.その他の方法
8.1 自動画像調整に適した領域の抽出方法
8.2 第2のエッジ検出方法を使った自動フォーカス調整方法
8.3 最もマッチングに適した副検査単位領域の選択方法
8.4 高倍画像および低倍画像を用いた検査方法
8.5 欠陥情報とその欠陥に対応する情報の上書き表示方法
8.6 FEMウェーハの測定方法
9.設定値
9.1 画像生成装置のパラメータの設定値
9.2 ピクセル間隔の設定値
10.本発明の変種
1.概要
本発明の実施形態に係るパターン検査装置は、図1に示す画像生成装置7により得られた検査対象パターン画像を、基準パターンと比較して検査する。
図2は、設計データから得られた基準パターンの例を示す図である。図3は、設計データに基づいて製造された検査対象パターンの画像の例を示す図である。図3に示すように、検査対象パターン画像には、短絡欠陥があったり、粒子付着による欠陥があったり、許容パターン変形量内の変形があったりする。特にコーナーには大きなコーナーラウンドがある。このように、検査対象パターン画像は、基準パターンとはかなり異なったものになる。
図4は、本実施形態におけるパターン検査装置が行う検査処理の概要を示す図である。第1の検査処理では、まず、検査対象パターン画像から第1のエッジを検出する。次に、検出された第1のエッジと第1の基準パターンのエッジとを比較することにより、検査対象パターン画像と基準パターンとのマッチングを行う。マッチングを行った結果、シフト量S1が求まるので、このシフト量S1を用いて第1の基準パターンをシフトする。次に、検出された第1のエッジとシフトした第1の基準パターンのエッジとを比較することにより、検査対象パターンを検査する。この第1の検査では、検出された第1のエッジと第1の基準パターンのエッジとを比較することにより、パターン変形量を求め、求めたパターン変形量から欠陥を検出する。パターン変形量の1つとしてシフト量S2が求まる。
次に、検査対象パターン画像から第2のエッジを検出するため、第2の基準パターンをシフト量S1+S2分シフトする。シフトした第2の基準パターンを用いて、検査対象パターン画像上でプロファイルを求め、第2のエッジを検出する。そして、検出された第2のエッジとシフトした第2の基準パターンのエッジとを比較することにより、検査対象パターンを検査する。この第2の検査においても、検出された第2のエッジと第2の基準パターンのエッジとを比較することにより、パターン変形量を求め、求めたパターン変形量から欠陥を検出する。パターン変形量の1つとしてシフト量S3が求まる。
以上の方法により、検査対象パターン画像から、短絡欠陥、粒子付着による欠陥、パターン変形量を検出し、設計データの持つ属性などから欠陥やパターン変形量をクラス分けすることが可能になる。
2.ハードウェア構成
2.1 画像生成装置の基本構成
図1は、本発明の実施形態におけるパターン検査装置の画像生成装置の基本構成を示す概略図である。図1に示すように、本発明のパターン検査装置における画像生成装置7は、照射系装置310と試料室320と2次電子検出器330とから構成されている。
照射系装置310は、電子銃311と、電子銃311から放出された1次電子を集束する集束レンズ312と、電子線(荷電粒子線)を,X方向,Y方向に偏向するX偏向器313およびY偏向器314と、対物レンズ315とから構成されている。試料室320はX方向,Y方向に可動のXYステージ321を備えている。試料室320にはウェーハ搬送装置340によって試料であるウェーハWが搬出入されるようになっている。
照射系装置310においては、電子銃311から放出された1次電子は集束レンズ312で集束された後に、X偏向器313およびY偏向器314で偏向されつつ対物レンズ315により集束されて試料であるウェーハWの表面に照射される。
ウェーハWに1次電子が照射されるとウェーハWからは2次電子が放出され、2次電子は2次電子検出器330により検出される。集束レンズ312および対物レンズ315はレンズ制御装置316に接続され、このレンズ制御装置316は制御コンピュータ350に接続されている。2次電子検出器330は画像取得装置317に接続され、この画像取得装置317も同様に制御コンピュータ350に接続されている。2次電子検出器330で検出された2次電子強度が画像取得装置317によって検査対象パターン画像に変換される。歪みの無い最大の検査対象パターン画像を取得出来る1次電子の照射領域を視野と定義する。
前記X偏向器313およびY偏向器314は、偏向制御装置318に接続され、この偏向制御装置318も同様に制御コンピュータ350に接続されている。XYステージ321は、XYステージ制御装置322に接続され、このXYステージ制御装置322も同様に制御コンピュータ350に接続されている。またウェーハ搬送装置340も同様に制御コンピュータ350に接続されている。制御コンピュータ350は、操作コンピュータ360に接続されている。
2.2 画像生成装置の走査方法
図5は、図1で示す画像生成装置の2次電子検出器330で検出した2次電子の強度を示す模式図である。図5は、検査対象パターンPについて1本の電子線をX方向に走査した場合の2次電子検出器330によって得られた2次電子の強度を示している。図5に示すように、検査対象パターンPのエッジ部がエッジ効果により強度が強く、検査対象パターンPの中心部の強度が弱くなっている。また、検査対象パターンPの左側と右側とでは2次電子の強度は対称ではなく、電子線の進入側のエッジ(図の左側のエッジ)が、反対側のエッジ(図の右側のエッジ)に比べて信号量が弱く観測される。
図6は、図5に示す検査対象パターンPを90度回転させ、この検査対象パターンPのプロファイルを取得した場合の2次電子の強度を示す模式図である。図6は、検査対象パターンPについてX方向に複数の電子線を走査することにより、2次電子検出器330で検出される2次電子の強度を図示したものである。図6に示すように、走査方向と平行な方向の検査対象パターンPのエッジでは図5に比べてエッジ効果を明瞭に得ることが難しい。
図7は、本発明の実施形態におけるパターン検査装置によって検査対象パターンの検査を行う場合の走査エリアを示す模式図である。図7において、点線で書かれている長方形は、3.4 検査単位領域で後述する検査領域である。検査領域の中に、実線で書かれている検査対象となる検査対象パターンPがある。検査領域は視野で分割して得られる検査単位領域ごとに検査される。走査エリアは1回の走査によって走査されるエリアである。走査エリアの最大の大きさは視野である。検査領域の境界内部の検査単位領域と走査エリアは同じである。検査領域の境界を含む走査エリアの場合は、走査エリアで、かつ、検査領域である領域が検査単位領域になる。図7の一点鎖線で書かれている縦3つ横3つの計9つのブロックB1からB9は、走査エリアを示している。
検査対象パターン画像のエッジの近傍から得られるプロファイルのピークとボトムに差があるほどエッジ検出精度は高くなる。図8は、検査対象パターンについて横方向(X方向)の走査を行った場合のエッジ検出精度を説明するための図である。図8に示すように、横方向に検査対象パターンを走査した場合、図5と同様に縦方向のエッジについてのエッジ検出精度は良好であるが、横方向のエッジについては良好なエッジ検出精度が得られない。
図9は、検査対象パターンについて上方向に向かって縦方向(Y方向)の走査を行った場合のエッジ検出精度を説明するための図である。図9に示すように、縦方向に検査対象パターンを走査をした場合、横方向のエッジについてのエッジ検出精度は良好であるが、縦方向のエッジについては良好なエッジ検出精度が得られない。
縦横方向のエッジがある図7の左下のブロックB7においては、縦横両方向のエッジについて良好なエッジ検出精度を得ようとすると、図8に示す横方向の走査と図9に示す縦方向の走査の2方向の走査を行わなければ良好なエッジ検出精度が得られない。ブロックB7の右隣に示す横方向のエッジのみのブロックB8においては、図9に示す縦方向の走査のみを行えばよい。また、中段1番左に示す縦方向のエッジのみのブロックB4においては、図8に示す横方向の走査のみを行えばよい。このように、横方向、縦方向にそれぞれ走査を行う、あるいは横方向および縦方向の2方向の走査を行うという方法で、走査を制御して所望の検査対象パターン画像を得るようにしている。
半導体集積回路(LSI)や液晶パネルの検査対象パターンの大部分は、横縦方向のエッジで構成されているために、これらの横縦方向のエッジを持つ検査対象パターン画像のエッジを精度良く検出するためには、検査対象パターンに横方向および縦方向の走査をする必要がある。
図10は、検査対象パターンについて双方向の走査を行う方法の模式図である。図5を使って説明したように、電子線の進入側のエッジ(図5の左側のエッジ)が、反対側のエッジ(図5の右側のエッジ)に比べて2次電子の強度が弱く観測される。そこで、図10に示すように、走査方向を交互に逆転して検査対象パターン画像を取得する。すなわち、左方向と右方向の交互の走査を行って検査対象パターン画像を取得する。左方向走査の検査対象パターン画像で検査対象パターンの左側のエッジを計測し、右方向走査の検査対象パターン画像で検査対象パターンの右側のエッジを計測することにより、右側左側いずれのエッジにおいても良好なエッジ検出精度を得ることができる。
図11(a)、図11(b)および図11(c)は、45度、もしくは−45度方向の走査方法を示す模式図である。図11(a)で示される横縦方向のエッジから成る検査対象パターンP1については図11(b)に示す45度方向、もしくは図11(c)に示す−45度方向の走査を1回行うことによって良好な縦横方向のエッジについてのエッジ検出精度を得ることができる。
もし、図11(a)で示される45度方向のエッジから成る検査対象パターンP2があった場合、検査対象パターンP2に対する45度と−45度方向の2方向の走査を行う必要があるが、検査対象パターンP2に対する2方向の走査が必要とされる頻度は、縦横方向のエッジのみの検査対象パターンP1に対する1方向の走査が必要とされる頻度より少ないことが期待される。よって、一方向の走査の場合は、45度方向または−45度方向の走査がエッジ検出精度を得る方法として有効である。
次に、45度方向と−45度方向の走査が実施される場合を説明する。検査対象パターンP2を成す右下方向のエッジについての良好なエッジ検出精度は、図11(b)に示す45度方向の走査で得られるが、図11(c)に示す−45度方向の走査では、走査方向とと検出すべきエッジが平行なので得られない。検査領域を−45度方向の走査で検査している場合は、検査対象パターンP2を含む検査単位領域を45度方向と−45度方向の走査で検査する。一般に、45度方向と−45度方向の走査が必要な頻度は、0度方向、90度方向の走査が必要な頻度に比べて少ない。
図5から図11で説明したように、画像生成装置7は、以下の3方法のいずれかによって検査対象パターン画像を得る。
2.2.1 走査方法1
0度、90度、45度あるいは−45度方向の1方向の走査
2.2.2 走査方法2
0度と180度方向の交互の走査
2.2.3 走査方法3
0度および90度方向の2方向の走査もしくは45度と−45度方向の2方向の走査
座標系は、設計データと同じく、X軸を右方向、Y方向を上方向に取る。エッジ方向は、右手側が検査対象パターン内部になるような方向として定義する。図7のブロックB4には、縦方向のエッジが2本あるが、左側のエッジの方向が90度、右側のエッジの方向が270度となる。
4.1 第1のエッジ検出で後述するように、第1のエッジは局所的な検査対象パターン画像から検出されたエッジである。この第1のエッジの方向は検出された時点で決められる。以下では、前記走査方法1から前記走査方法3で得られた検査対象パターン画像から第1のエッジを検出する方法を説明する。
前記走査方法1である1方向の走査と前記走査方法2である交互の走査では、1枚の検査対象パターン画像からエッジを検出する。前記走査方法3である2方向の走査では、2枚の検査対象パターン画像からエッジを検出し、検出されたエッジ情報を融合させる。0度および90度方向の2方向の走査の場合は、0度方向の走査で得られた検査対象パターン画像から45度から135度と、225度から−45度の間のエッジを抽出し、90度方向の走査で得られた検査対象パターン画像から135度から225度と、−45度から45度の間のエッジを抽出し、両者を合成して1検査対象パターン画像から検出されたエッジとして扱う。
45度および−45度方向の2方向の走査の場合は、45度方向の走査で得られた検査対象パターン画像から90度から180度と270度から360度の間のエッジを抽出し、−45度方向の走査で得られた検査対象パターン画像から0度から90度と180度から270度の間のエッジを抽出し、両者を合成して、1検査対象パターン画像から検出されたエッジとして扱う。
4.11 第2のエッジ検出で後述するように、第2のエッジはプロファイル(1次元データ)から検出されたエッジである。この第2のエッジの方向はプロファイルが設定された時点で決められる。以下では、前記走査方法1から前記走査方法3で得られたプロファイルから第2のエッジを検出する方法を説明する。
前記走査方法1である1方向の走査では、プロファイルは同一の検査対象パターン画像から求める。
前記走査方法2である0度、180度交互の走査では右側のエッジ(180度から360度のエッジ)を得るプロファイルを0度方向の走査で得られた検査対象パターン画像から、左側のエッジ(0度から180度のエッジ)を得るプロファイルを180度方向の走査で得られた検査対象パターン画像から求める。
前記走査方法3である2方向の走査では、45度から135度と、225度から−45度の間のエッジを検出するプロファイルを0度方向の走査で得られた検査対象パターン画像から、135度から225度と、−45度から45度の間のエッジを検出するプロファイルを90度方向の走査で得られた検査対象パターン画像から求める。
図12は、0度方向の走査で得られた検査対象パターン画像もしくは90度方向の走査で得られた検査対象パターン画像を用いて検査されるべき線分の例を示す模式図である。図12で示されるように、0度方向の走査で得られた検査対象パターン画像から縦方向(90度または270度の方向)、左上方向(135度)、右下方向(−45度)方向の直線部分、コーナー、終端の線分を検査すれば良い。また、90度方向の走査で得られた検査対象パターン画像から横方向(0度または180度)、右上方向(45度)、左下方向(225度)方向の直線部分、コーナー、終端の線分を検査すれば良い。
45度および−45度の2方向の走査の場合は、90度から180度と270度から360度の間のエッジを検出するプロファイルを45度方向の走査で得られた検査対象パターン画像から、0度から90度と180度から270度の間のエッジを検出するプロファイルを−45度方向の走査で得られた検査対象パターン画像から求める。
検査対象パターン画像が45度もしくは−45度方向の走査で得られた場合においては、設計データと検査対象パターン画像の間に回転が存在するので、その回転を補正する必要がある。回転補正の方法として、設計データを回転する方法が使用できるが、設計データを回転すると傾斜画像が最終出力となるので見難いという欠点がある。そこで、本実施例では検査対象パターン画像を回転する方法を採用した。しかしながら、X,Y方向に均等にサンプリングする走査をした場合に、その検査対象パターン画像を回転すると、ピクセル間の内挿値を回転した検査対象パターン画像の値として用いなければならない。この場合には、回転された検査対象パターン画像が内挿によってぼけたりする弊害があるので、本実施例では内挿を用いずに、ピクセルの位置を置き換えることによってのみ回転された検査対象パターン画像を得る方法を採用した。この方法を用いる場合は、次に述べるような特別な走査方法を採用する必要がある。
図13はピクセルの位置を置き換えることによって回転された検査対象パターン画像を得る方法を示す図である。図13の左側に示された45度傾斜走査方法の図は図13の右側に示された45度傾斜画像の図と全く同じものを45度回転して描いてある。最終的に取得しようとする検査対象パターン画像は右側の形のものである。図中、碁盤の目の格子点はX,Y方向に均等にサンプリングされて得られるべき検査対象パターン画像の位置である。黒丸(●)は実際にサンプリングされる位置を示している。黒丸が無い位置はこの走査方法ではサンプリングされない位置である。この右側の形の検査対象パターン画像を取得するために左側の走査方法で行う。
この場合は、X方向のサンプリング間隔Sは各々の走査線で同一であるが、Y方向のサンプリング間隔についてはX方向のサンプリング間隔Sの半分である。また奇数行と偶数行では、サンプリングされる位置がX方向にサンプリング間隔Sの半分だけずれている。このサンプリング間隔Sは、右側のピクセル間隔に√2をかけたものになる。そうすると、左側の図を横に寝かせるだけで所望の検査対象パターン画像が得られるということになる。この場合は、実際にサンプリングされた順番とは違う順番で値を入れていく作業が必要となる。
図13は45度の角度の走査方法を示すものであるが、図14は、arctan(2)の角度の走査方法および回転された検査対象パターン画像を示す図である。
本実施例を使用すれば、検査対象パターン画像を得るために、最小限度の電子線(荷電粒子線)を走査すればよく、したがって最小の時間で検査対象パターン画像を得ることができる。また、内挿による画質低下を伴わない検査対象パターンの回転画像を取得することができ、エッジの検出精度の低下を避けられる。
2.3 パターン検査装置の基本構成
図15は、本実施形態におけるパターン検査装置の基本構成を示す図である。本実施形態におけるパターン検査装置は、主制御部1、記憶装置2、入出力制御部3、入力装置4、表示装置5、印刷装置6および、図1に示す画像生成装置7を備える。
主制御部1はCPU(Central Processing Unit)等により構成され、装置全体を統括的に制御する。主制御部1には記憶装置2が接続されている。記憶装置2は、ハードディスク、フレキシブルディスク、光ディスク等の形態をとることができる。また、主制御部1には、入出力制御部3を介して、キーボード、マウス等の入力装置4、入力データ、計算結果等を表示するディスプレイ等の表示装置5、および検査結果等を印刷するプリンタ等の印刷装置6が接続されている。
主制御部1は、OS(Operating System)等の制御プログラム、パターン検査のためのプログラム、および所要データ等を格納するための内部メモリ(内部記憶装置)を有し、これらプログラム等によりパターン検査を実現している。これらのプログラムは、フレキシブルディスク、光ディスク等に記憶しておき、実行前にメモリ、ハードディスク等に読み込ませて実行されるようにすることができる。
2.4 機能ブロック図
図16は、本実施形態におけるパターン検査装置の機能ブロック図を示す図である。基準パターン生成部11、検査部12、出力部13および欠陥種認識部14はプログラムにより実現されている。基幹データベース21、レシピデータベース22および欠陥種参照データベース23は記憶装置2内に設けられている。
基幹データベース21を外部に設け、パターン検査装置がLAN(Local Area Network)を経由して基幹データベース21にアクセスするようにしても良い。
図17は、本発明の別の実施形態におけるパターン検査装置の機能ブロック図である。図17に示す例は、繰り返し発生する欠陥を認識する機能を有した構成を示す図であり、図16の機能ブロック図に対して、欠陥情報記憶部24と、繰り返し発生する欠陥を認識する繰り返し欠陥認識部25とが追加されている。
3.用語の説明
3.1 エッジ
エッジは、検査対象パターンの内部と下地の境を意味する。エッジとして、検査対象パターン画像のエッジと基準パターンのエッジが使用される。検査対象パターン画像のエッジは、エッジ検出方法で検出され、基準パターンのエッジは直線もしくは曲線で表現された基準パターンをピクセル単位で分割して得られる。後述の4.6 第1の検査の図60で示されるように、検査対象パターン画像のエッジと基準パターンのエッジとを対応づけて検査が行われる。
エッジは、ピクセルごとに開始点(サブピクセル精度)、方向、および強度の情報を有するベクトルで表現される。検査対象パターン画像のエッジの場合は、強度は、ベクトルの長さとエッジの明確さを乗じた値である。ここで、エッジの明確さは実際にエッジである確からしさと定義される。また、基準パターンのエッジの場合は、強度は、ベクトルの長さとマッチングに寄与する度合いを乗じた値である。
3.2 基準パターン
基準パターンとは線分もしくは曲線で表現されたもので、検査対象パターン画像と比較されるものである。基準パターンにもっとも適したものとして設計データが使われる。この設計データとして、たとえばGDSII(Graphic Design System II)データストリ−ム形式のレイアウトデータに、レイアの融合やフラクチャリングを行ったものが使える。
まず、検査対象パターン画像から検出されるエッジ位置に最も適したように設計データに対し、シュリンク処理(設計データの倍率を変える処理)、サイズ処理(線幅を変える処理)などを施す。また、第1のエッジ検出と第2のエッジ検出とでは一般的に検出されるエッジ位置が異なるので、第1エッジ検出用、および第2エッジ検出用に基準パターンを2種類用意する。
次に、この処理で得られた多角形を、視野にXYステージ321の誤差および検査対象パターンの最大許容パターン変形量を加えた長さを一辺とする長方形領域でクリッピングする。
次に、得られた多角形のコーナーに丸みがつけられる。図18に示すように、通常、設計データは、鋭角をもった多角形(図中点線)である一方、ウェーハに形成される検査対象パターンはコーナーに丸み(図中実線)がつく。そこで、コーナー部分に円、楕円、直線、もしくは他の方法で記述した曲線を適用し、検査対象パターンに近くなるように補正する。
最後に、以上で得られた結果を基準パターンとし、レシピデータベース22に登録する。XYステージ321の誤差が無視し得る場合は、パターン変形の絶対座標値が計測できる。本実施形態では、XYステージ321の誤差および検査対象パターンの最大許容パターン変形量を考慮し、基準パターンを検査対象パターン画像よりも大きくとって検査に使用しているが、代わりに検査対象パターン画像を基準パターンよりも大きくとって検査に使用しても良い。
基準パターンに設計データを使えば、ウェーハ上に形成された検査対象パターンと設計データとを比較する欠陥検査が実行できる。この場合は、許容パターン変形量として電気特性に影響しない許容量を設定する。この許容パターン変形量は、基準パターンの属性ごとに設定でき、さらに、パターンの込み入っている場所とそうでない場所とで可変にすることも可能である。
基準パターンにリソグラフィ・シミュレータで得られたシミュレーションパターンの外形を形成する曲線(図73の実線)を使えば、シミュレーションの正当性を検証できる。シミュレーションパターンはマスクデータを使って、光学的にシミュレートして得られた光強度分布である。この分布から外形の曲線を得る。この場合の許容パターン変形量に、シミュレーションで許される誤差量を設定する。
本実施形態においては、基準パターンとして設計データを使う方法を説明する。
図19は基準パターンの例を示す図であり、図20は図19の基準パターンSをピクセルごとのエッジに変換した例を示す図である。図19において、基準パターンS(点線)はサブピクセル精度で示されている。通常、基準パターンのエッジ方向は、ピクセルの横方向(X方向)または縦方向(Y方向)に平行である。基準パターンのエッジも、検査対象パターン画像のエッジと同様に、ピクセルごとに開始点(サブピクセル精度)、方向、および強度の情報を有する。本実施形態においては、後述の4.2.1 ユニークパターンを使うマッチング方法4.2.2 ネガティブパターンを使うマッチング方法を除いて基準パターンのエッジの強度をすべて1にしている。
図21に示すように、基準パターンに曲線が含まれる場合がある。基準パターンの曲線部分を基準パターンのエッジに変換するために、ピクセルの中心261に最も近い基準パターン上の点262での接線263を生成する。
3.3 レシピデータ
検査の前に、以下のレシピデータと称される検査パラメータの組を設定する。レシピデータの内でオペレータ入力パラメータとして、設計データ検索用パラメータ、画像取得パラメータ、およびにエッジ検出および検査のためのパラメータがある。また、レシピデータの内で出力データとして、基準パターン生成部11が生成する基準パターンがある。
設計データ検索用パラメータとして、検査対象ウェーハ(試料)のデバイス名、およびプロセス名を指定するパラメータを設定する。画像取得パラメータとして、ウェーハを特定するためのスロット番号、照射系装置310の条件設定パラメータ、ピクセル間隔、ピクセル数、および検査領域を設定する。
ピクセル間隔とは、検査対象パターン画像のピクセル間隔に対するウェーハ上の距離を意味する。ピクセル数には、1024×1024、8192×8192などの値が使われる。ピクセル間隔にピクセル数を乗じた数は、検査対象パターン画像の大きさになる。この大きさを持つ領域は、前述の2.1 画像生成装置の基本構成で説明した視野である。例えば、ピクセル間隔が9nmでピクセル数が8192×8192であれば、視野は約70μm×70μmである。
エッジ検出および検査のためのパラメータとして、以下のパラメータを設定する。
(1)検査すべきパターン変形量
エッジプレイスメントエラー
線幅の変形量
最小線幅
スペース幅の変形量
最小スペース幅
接触面積検査比
孤立パターンの場合のパターンの重心のプレイスメントエラーと直径変形量
ウェーハに形成されてはならない補正パターンの欠陥判断係数
(2)上記パターン変形量に対応する許容パターン変形量の−側の限界値および+側の限界値、ならびにマッチングで使用するエッジの許容方向差の限界値
これらのパターン変形量は、基準パターンの属性ごとに設定される。
(3)検査対象パターン画像から経験的に決められる第1のエッジ検出パラメータ
第1のエッジ検出方法
エッジ膨張用のフィルタ係数
検査対象パターン画像のエッジの2値化しきい値
検査対象パターン画像のエッジの2値化で使われるpタイル法の係数p
(4)基準パターンの属性(直線部分、コーナー、終端、孤立パターン等)を認識するための抽出ルールが使用するパラメータ
基準パターンの属性は、基準パターンの一部もしくは全部を区別するために使用される。典型的な基準パターンの一部を区別するために使用する属性は3種類ある。1つ目は、直線部分(基準パターンの終端に対応しない直線部分)である。2つ目はコーナー(終端の属性を持つ直線部分に接触しない頂点の部分)である。3つ目は終端(基準パターンの終端に対応する直線部分)である。基準パターンの全部を区別するために使用する属性として、孤立パターン(他のパターンから孤立しているパターン)がある。
(5)領域検査に適した部分を認識するための抽出ルールが使用するパラメータ
線幅検査用に適した基準パターンの最大線幅、最小線長、終端非使用長
スペース検査用に適した基準パターンの最大線幅、最小線長、終端非使用長
切断しやすい部分の最大線幅
切断しやすい部分の最大線長
短絡しやすい部分の最大スペース幅
短絡しやすい部分の最大スペース長
(6)検査対象パターン画像から経験的に決められる第2のエッジ検出パラメータ
プロファイル取得区間の長さ
プロファイル取得区間の間隔
プロファイル取得区間内のサンプリングポイントの間隔
プロファイルからエッジを認識する方法(しきい値法を使うかなど)
プロファイル取得区間をレシピデータ設定時に設定するか第1のエッジを検出してから設定するかのフラグ
(7)孤立パターンの大きさの最小値と最大値および安全係数
(8)大域的変形量を求めるために使用する検査単位領域の数
(9)欠陥画像の最大登録数
(10)再検査対象とする欠陥の最大登録数
(11)自動コントラスト・ブライトネス調整、自動フォーカス調整、および自動非点収差調整に適した領域
(12)歪補正回路が持つ代表歪ベクトルの間隔
レシピデータは、設計データ検索用パラメータであるデバイス名、プロセス名、および検査モードをキーにして管理される。検査モードとは、画像取得パラメータとエッジ検出および検査のためのパラメータを総称した名前である。
図22は、本実施形態におけるレシピ登録処理の例を示すフローチャートである。まず、オペレータは、入力装置4を介して基準パターン生成部11に、オペレータ入力パラメータ(設計データ検索用パラメータ等)を入力する(ステップS202)。
基準パターン生成部11は、設計データ検索用パラメータ(デバイス名、およびプロセス名)をキーとして基幹データベース21を検索し、設計データを取り出す(ステップS204)。基幹データベース21は、基準パターンに対応する設計データを格納したデータベースである。次に、基準パターン生成部11は、設計データから基準パターンを生成する(ステップS206)。
最後に、基準パターン生成部11は、基準パターンとオペレータ入力パラメータを、レシピデータとして、レシピデータベース22に登録する(ステップS208)
3.4 検査単位領域
検査は、入力された検査領域を、視野で分割して得られる検査単位領域ごとに行われるので、基準パターンは検査単位領域ごとに生成される。検査には、逐次検査およびランダム検査がある。
図23は、逐次検査を説明するための図である。検査領域は、図23で示されるようにウェーハ全面を単位として設定されるのではなく、長方形で指定された複数の領域(図23のように上側の短い長方形と下側の長い長方形など)として設定されるので、その領域を高速検査するために、検査単位領域ごとに逐次走査を実施する。検査単位領域ごとに基準パターンを作成する。
図24は、ランダム検査を説明するための図である。ランダム検査においては、ある領域を逐次に検査するのではなく、限定された領域を検査する。図24では、検査単位領域301から304についてのみ検査を行う。
3.5 検査結果
検査結果として、以下の種類の基本情報がある。
(1)異常パターン変形量を持った欠陥の情報
(2)ピクセルの輝度分布から検出される欠陥の情報
(3)検査単位領域全体から得られるパターン変形量
基準パターンの属性に関するパターン変形量を使用して得られる以下の情報がある。
(4)基準パターンの属性を使って検出される欠陥の情報
対向するエッジを使用して得られる以下の情報がある。
(5)領域検査方法で検出される欠陥の情報
4.基本検査処理
図25は、本実施形態における基本検査処理の例を示すフローチャートである。図26および図27は、本実施形態における検査処理の他の例を示すフローチャートであり、繰り返し発生する欠陥を認識する場合の検査処理の例を示すフローチャートである。図27のブロックAは図26のブロックAと同じものであり、検査の前に準備する工程を示している。図27のブロックBは図26のブロックBと同じものであり、各検査領域の検査の工程を示している。
図25に示すフローチャートに基づく基本検査処理において、まず、オペレータは、入力装置4を介して検査部12に、レシピ検索用パラメータ(デバイス名、プロセス名および検査モード)を入力する(ステップS302)。
検査部12は、レシピ検察用パラメータをキーとしてレシピデータベース22を検索し、基準パターンを含むレシピデータを取り出す(ステップS304)。そして、検査部12は、検査対象パターン画像を取得するため、画像生成装置7に対して画像取得パラメータを設定し、ウェーハ搬送、アライメント、および照射系装置310の条件設定を指示する(ステップS306)。
アライメントとは、設計データが使用している座標系とウェーハ(試料)の観察位置を管理する座標系との変換係数を求める方法をいう。これはCAD(Computer Aided Design)ナビゲーションで具現化されている。CADナビゲーションは、アライメントの後に、CADデータ上の観察したい座標値を、ウェーハ観察位置を管理する座標値に変換し、その位置へ画像生成装置の視野を移動させて、その位置の画像を入手する方法で、よく知られているものである。
画像生成装置7としては、図1に示す走査型電子顕微鏡が最も適しているが、走査型フォーカスイオンビーム顕微鏡、走査型レーザー顕微鏡や走査型プローブ顕微鏡などの各種の走査型顕微鏡もしくは各種顕微鏡を使用することができる。
画像生成装置7は、検査単位領域ごとに、検査対象パターン画像および画像の中心位置を検査部12に出力する(ステップS308)。
4.1 第1のエッジ検出
次に、検査部12は、検査対象パターン画像から第1のエッジを検出する(ステップS310)。第1のエッジ検出として次の2つのエッジ検出方法が使用できる。第1のエッジ検出方法は、前述の3.3 レシピデータ「(3)第1のエッジ検出方法」によって選択される。
4.1.1 第1のエッジ検出方法1
1つは、パターン内部と下地との間にコントラストがある画像に適した方法である。このような画像の多くは2値化処理でエッジを検出できるが、コントラストが比較的明瞭でない場合は明確にエッジを検出できない。このときに、[文献1]:R.M.Haralick, “Digital step edges from ZERO crossing of second directional derivatives”, IEEE Trans. Pattern Anal. Machine Intell., vol. PAMI-6,No.1,pp.58-68,1984に開示の方法を応用してエッジを検出することができる。この方法を応用すれば、エッジ部分の変曲点をサブピクセル精度で検出することができる。
4.1.2 第1のエッジ検出方法2
もう1つは、エッジが明るくパターン内部と下地との間にコントラストがない画像からエッジを検出する方法である。例えば、[文献2]:“Cartan Steger. An unbiased detector of curvilinear structures”, IEEE Trans. Pattern Anal. Machine Intell., 20(2), February 1998に開示の方法が使用できる。この方法によれば、エッジ部分の峰をサブピクセル精度で検出することができる。ただし、この方法ではパターンの内部と下地を区別できないのでエッジの方向は0度から180度の値のみをもつ。
前述の4.1.1 第1のエッジ検出方法1の別の方法として前述の文献2の方法を使用しても良い。この場合はパターン内部と下地との間にコントラストがある画像に微分フィルタ(例えば、Sobelフィルタやバンドパスフィルタ)をかけてエッジ強度画像を得て、得られたエッジ強度画像からエッジが検出される。この場合はパターン内部と下地を区別できる。
これらの方法はある程度大きな窓を使った処理であるので、サブピクセル精度が得られるだけでなく、エッジの方向も安定している。ゆえに、エッジ検出精度を向上するために、エッジを連結し、連結したエッジを直線近似をする方法は必ずしも必要ではない。
ステップS310の第1のエッジ検出では、検査対象パターン画像からピクセル単位でエッジの強度および方向を求める。強度は、3.1 エッジで説明したように、ベクトルの長さとエッジの明確さを乗じた値である。前述の4.1.1 第1のエッジ検出方法1で説明したパターン内部と下地との間にコントラストがある画像の場合は、前述の文献1の方法を用いて、画像の1次微分値の絶対値をエッジの明確さとし、画像の2次微分値のゼロクロス点をエッジ位置とするエッジが認識される。
一方、前述の4.1.2 第1のエッジ検出方法2で説明したエッジが明るくパターン内部と下地との間にコントラストがない画像の場合には、前述の文献2の方法を用いて、画像の2次微分値の符号反転値(絶対値)をエッジの明確さとし、画像の1次微分値のゼロクロス点をエッジ位置とするエッジが認識される。いずれの画像もエッジはサブピクセル精度で得られる。
図28は、前述の4.1.1 第1のエッジ検出方法1で説明したパターン内部と下地との間にコントラストがある検査対象パターン画像の例を示す図であり、図29は図28の画像から検出したエッジを示す図である。図28には、ピクセルごとにその輝度値が示されている。輝度値は2次電子強度をデジタル化した値である。図29に示すように、エッジはピクセルごとに検出され、ピクセルごとに開始点(サブピクセル精度)、方向(0度から360度)、および強度の情報が得られる。強度は、前述のように、明確なエッジであるほど大きい値を取る。
図30は、前述の4.1.2 第1のエッジ検出方法2で説明した、エッジが明るくパターン内部と下地との間にコントラストがない検査対象パターン画像の例を示す図であり、図31は図30の画像から検出したエッジを示す図である。図30においても、ピクセルごとにその輝度値が示されている。また、図31に示すように、エッジはピクセルごとに検出され、ピクセルごとに開始点(サブピクセル精度)、方向(0度から180度)、および強度の情報が得られる。
4.2 直線形状パターンのマッチング方法
次に、検査部12は、検査対象パターン画像のエッジを膨張させる。以降、得られた結果を膨張エッジと呼ぶ(ステップS312)。本実施形態においては、エッジは、電気特性的に影響しない許容パターン変形量分膨張させている。この段階では許容パターン変形量は正の整数である。この値は、前述の3.3 レシピデータ「(2)許容パターン変形量の−側の限界値および+側の限界値」の値の最大値を整数化した値である。エッジを、許容パターン変形量分膨張させることにより、電気特性的に影響を与えないパターン変形を許容してマッチングすることができる。
膨張エッジを得る方法を説明する。図32は1次元の検査対象パターン画像のエッジの強度の例を示す図であり、図33は図32のエッジを膨張させた例を示す図である。図33が膨張エッジを示している。図32および図33では、説明を簡単にするために、1次元データが使用されている。図32から図33を得る方法として以下の方法が使用できる。これらの方法では、エッジの強度を示す図を画像として扱い、適切なフィルタを考察している。
許容パターン変形量内の変形を無視するために、許容パターン変形量の2倍の大きさの窓を持った最大値フィルタによって、図32に示されたエッジの強度を示す図が処理され、図33に示された膨張エッジを得る。最大値フィルタとは、対象となるピクセルの近傍である窓の中の各ピクセルが持つ値の最大値を求め、求めた最大値をフィルタ後のピクセルの値とするものである。図33では、図32の検査対象パターン画像のエッジを左右に2ピクセル分膨張させている。これは許容パターン変形量が2ピクセルの場合の例である。
基準パターンのエッジが図34で示される場合を考察する。まず、図34をシフトして得られる図を作成する。シフト量はおのおの左方向に2ピクセルから右方向に2ピクセルである。次に、図33およびシフトされた各図からマッチング評価値を求めると、各マッチング評価値は同じ値になる。よって、シフト量は一意的に決められない。マッチング評価値は後述する。
この問題を解決するために、図35に示すように、図32のエッジに重み付けをしてエッジを膨張する。図35の膨張を実現するには、係数が0.5、0.75、1.0、0.75、0.5のスムージングフィルタを用いれば良い。図35で示した例の場合、図34(基準パターンのエッジ)が左右に1ピクセル以上シフトすると評価値が下がる。
次に、図36に示すように、図34で示された基準パターンのエッジに対して2ピクセル分広がった基準パターンのエッジを考察する。まず、図36をシフトして得られる図を作成する。シフト量は左方向に1ピクセルと右方向に1ピクセルである。次に、図35およびシフトされた各図から後述するマッチング評価値を求めると、各マッチング評価値は同じ値になる。よって、シフト量は一意的に決められない。
この問題を解決するために、図37に示すように、図32のエッジに重み付けをして膨張すれば良い。図37の膨張を実現するには、係数が0.5、0.9、1.0、0.9、0.5のスムージングフィルタ(図38)を用いれば良い。
以上の考察から、図37に示すような膨張が最も適している。処理速度やエッジの込み具合などの観点から図33や図35に示すような膨張を用いても良い。
スムージングフィルタの係数を決めた後、係数は、前述の3.3 レシピデータ「(3)エッジ膨張用のフィルタ係数」に登録されて使用される。
図39は2次元の検査対象パターン画像のエッジの強度の例を示す図であり、図40および図41は図39のエッジを膨張させた例を示す図である。図39において、エッジの強度は、20のところ以外はすべて0である。図40は図33と同様の膨張を行った場合の結果を示し、図41は図37と同様の膨張を行った場合の結果を示す。
図42は2次元の検査対象パターン画像のエッジベクトルの例を示す図であり、図43および図44は図42のエッジを膨張させた例を示す図である。図43は図33と同様の膨張を行った場合の結果を示し、図44は図37と同様の膨張を行った場合の結果を示す。膨張はX、Y成分ごとに行っている。
検査部12は、膨張エッジと基準パターンのエッジとを比較して、検査対象パターン画像と基準パターンとのピクセル単位でのマッチングを行う(ステップS314)。
本実施形態においては、後述する4.8 検査単位領域全体から得られるパターン変形量の中で説明するように、サブピクセル精度でのシフト量S2を使用してマッチングを行う。よって、ここでは高速化を目的としてピクセル単位でのマッチングを行う。したがって、図45で示すように、図20の基準パターンのエッジベクトルをピクセル単位で表したエッジベクトルを使用してマッチングを実施する。
本実施形態におけるマッチングでは、評価値F0が最大になる位置を得るために、検査対象パターン画像に対して基準パターンをピクセルごとに上下左右にシフトし、得られた評価値F0が最大になる位置をマッチング位置とする(図46)。本実施形態においては、以下の式で示すように、基準パターンのエッジが存在するピクセルにおける膨張エッジの強度の総和を評価値F0としている。
Figure 0004787673
ここで、E(x,y)は、膨張エッジの強度をその大きさとして持ち、膨張エッジの方向をその方向として持つベクトルである。エッジの存在しない場所ではE(x,y)の大きさは0である。R(x+xs,y+ys)は、基準パターンのエッジ方向をその方向として持つベクトルである。ただし、R(x+xs,y+ys)の大きさは、基準パターンのピクセル内での長さである。ここで、ベクトル(xs,ys)は基準パターンのエッジのシフト量S1である。
評価値F0の計算においてR(x,y)が0でないピクセルのみを記憶すれば、高速に計算が行え、記憶領域が少なくてすむ。さらに、残差逐次検定法(SSDA:Sequential Similarity Detection Algorithm)で使われている計算の打切りを用いれば計算がさらに高速化される。
図47および図48は、図43(膨張エッジ)と図45(基準パターンのエッジ)とを重ね合わせた図である。図47において、ピクセル254は、図43のピクセル251および図45のピクセル252に対応する。図48は、図47で示される位置関係から図43を右に1ピクセル、下に1ピクセルシフトさせた場合の図43および図45位置関係を示している。したがって、ピクセル255は、図43のピクセル251および図45のピクセル253に対応する。評価値F0を用いれば、エッジの存在するピクセルが重なり合う度合いが大きいほど、評価値が高くなる。評価値F0を用いる場合には、図39から図41で示したような膨張処理を行えば良い。なお、評価値F0は、前述の4.1.1 第1のエッジ検出方法1と前述の4.1.2 第1のエッジ検出方法2で説明したいずれの画像にも適応可能である。
本実施形態においては、上記評価値F0を用いているが、他の評価値を用いることもできる。例えば、前述の4.1.1 第1のエッジ検出方法1で説明したパターン内部と下地との間にコントラストがある画像の場合には、以下の評価値Faを用いることができる。
Figure 0004787673
また、例えば、前述の4.1.2 第1のエッジ検出方法2で説明したエッジが明るくパターン内部と下地との間にコントラストがない画像の場合には、以下の評価値Fbを用いることができる。
Figure 0004787673
評価値FaまたはFbを用いる場合には、図42から図44で示したような膨張処理を行えば良い。
評価値F0、Fa、およびFbを考察する。評価値F0はデータがスカラのため高速計算に関して有利である。一方、評価値FaおよびFbは、例えば、図49に示すような場合に有効である。評価値FaおよびFbを用いた場合には、基準パターン(図49(a))の縦線部分のエッジ(ベクトル)と検査対象パターン画像(図49(b))の横線部分のエッジ(ベクトル)との内積をとると0に近くなるため、101の部分と102の部分とがうまくマッチングする。しかし、評価値F0を用いた場合には、方向は関係なく強度のみで判断するため、101の部分と103の部分とが誤ってマッチングする可能性がある。
評価値Faはパターン内部と下地の区別がつくので評価値Fbよりマッチングが堅牢である。例えば、図50に示すように、線幅111、113とスペース幅112、114が同じ場合にFaを用いると、どちらがラインかスペースかの区別がつくのでFbより望ましい結果が得られる。
本実施形態においては、検査対象パターン画像のエッジを膨張してマッチングを行っているが、代わりに基準パターンのエッジを膨張してマッチングを行うこともできる。
4.2.1 ユニークパターンを使うマッチング方法
前述のマッチング方法では全ての基準パターンのエッジの強度を同等に扱って処理を実施した。前述の3.1 エッジで説明したように、強度はベクトルの長さとマッチングに寄与する度合を乗じた値である。前述の方法とは別の方法として、基準パターンのエッジの強度に異なる値を与えてマッチングがより堅牢になるマッチング方法が使用できる。この方法は図51を用いて以下の手順で実施される。
図51において、(a)は基準パターンの例を示し、(b)は(a)の基準パターン(点線)および基準パターンに対応する検査対象パターン画像(実線)の例を示す。図51(a)に示す基準パターンは周期的なパターンであるが、1ヶ所ギャップがある。この基準パターンと検査対象パターン画像とのマッチングを行う際に、図51(b)に示すように、両パターンが1周期ずれていても、ギャップの部分以外は一致するので、マッチングの評価値は高くなってしまう。そこで、このギャップの部分に対応する基準パターンのエッジのマッチングに寄与する度合を大きくして、検査対象パターン画像のギャップと基準パターンのギャップとが一致しない場合にはマッチング評価値が大きく低下するようにする。
まず自己相関法で基準パターンの周期を求める。次に、もとの基準パターンと一周期ずらした基準パターンを比較してもとの基準パターンにあって1周期ずらした基準パターンにないパターンを求める。求めたパターンをユニークパターンとして認識する。ユニークパターンのエッジのマッチングに寄与する度合を他の基準パターンより大きい値にする。この値は1より大きい値にする。この値として経験から得られた固定値もしくは、固定値÷全基準パターン中のユニークパターンの比率などが使用できる。
4.2.2 ネガティブパターンを使うマッチング方法
ユニークパターンをより効率的に使う方法として、ユニークパターンの対であるネガティブパターンを使うマッチング方法が使用できる。図52(a)および図52(b)は長方形パターンが周期的に並んでいる基準パターンのマッチング評価値の計算方法を模式的に示す図である。図52(a)および図52(b)に示された検査対象パターンの右側にも長方形パターンが周期的に並んでいるが、画像が限定されているので、右側の長方形パターンの終わりがどこか分からない。このような場合に、前述の4.2.1 ユニークパターンを使うマッチング方法を使ってマッチングを施すと図52の(a)と(b)とではマッチング評価値がほぼ同じになり、マッチング位置が一意的に決まらない。
この対策として以下の手順でユニークパターンの対であるネガティブパターンを抽出してマッチング評価値計算に使用する。
図53(a)、図53(b)および図53(c)はユニークパターンの対であるネガティブパターンを使ってマッチング評価値を計算する方法を模式的に示す図である。もとの基準パターンから左方向に一周期ずれた部分に基準パターンが無い場合に、もとの基準パターンの位置はユニークパターン(点線で示された長方形)とする。ユニークパターンを左側に一周期ずらした部分をネガティブパターン(実線で示された長方形)とする。同様に、右方向、上方向、下方向などの他の方向についても実施する。
ユニークパターンについては、前述のようにマッチングに寄与する度合いを1より大きい値にする。一方、ネガティブパターンについては、マッチングに寄与する度合を前述の1より大きい値に(−1)を乗じた値にする。
ネガティブパターンを使う評価値を考察する。1つのユニークパターンに検査対象パターンが存在しているときの評価値をF1とする。図53(a)の評価値は(3・F1)、図53(b)の評価値は(0)である。図53(c)の評価値は(3・F1)-(3・F1)≒(0)である。この計算から、図53(a)がマッチング位置と判断される。
本実施例によれば、ネガティブパターンが最適なマッチング位置からの一周期のズレに対して大きなペナルティーを課すので、周期的に同じパターンが並んだ部分とそうでない部分の境界を正確にマッチングできる。
4.2.3 エッジの水平軸垂直軸への射影データを使ったマッチング方法
以上のマッチング方法は十分高速であるが、より高速に実行できる方法が求められる。高速化するために、ステップS314の中の「ピクセルごとにマッチングを行う」部分を改良する。
設計データの多くは横線と縦線である。この性質を使って、基準パターンのエッジの水平軸垂直軸への射影データと検査対象パターン画像から検出されたエッジの水平軸垂直軸への射影データを使ってより高速にマッチングをすることが可能になる。
図54(a)および図54(b)は前述の4.1.1 第1のエッジ検出方法1で検出されたエッジの水平軸垂直軸への射影データをつかったマッチング方法を示す模式図である。本実施例では、4.1.1 第1のエッジ検出方法1で説明したパターン内部と下地との間にコントラストがある画像に適したエッジ検出を用いて説明する。また基準パターンを成す線分は上下左右の4方向があるが、ここでは代表例として上方向の線分を例にマッチングの方法を説明する。
(1)基準パターンを成す全ての線分の線分長の合計値Lrpを求める。次に4.1.1 第1のエッジ検出方法1で検出されたエッジを強度ごとにソートする。ソートされたエッジを強度がより大きいものからLrp個選んでエッジとして残し他のエッジを消去する。基準パターンはピクセル単位の座標系で表現されていて、基準パターンと検査対象パターン画像の大きさは大よそ同じだから、選択されたエッジは、大よそ基準パターンのエッジに対応する。
(2)基準パターンを成す線分で上方向の線分を抽出する。抽出された線分を水平軸(X軸)に射影して1次元データを作成する。この1次元データは配列の形でインデックスはX座標値で要素は線分の長さになる。同様に、この線分を垂直軸(Y軸)に射影して1次元データを作成する。この1次元データは配列の形でインデックスはY座標値で要素は線分の長さになる。この結果は図54(a)に示すものになる。
(3)前述の選ばれたエッジから上方向エッジを抽出する。このエッジを水平軸(X軸)に射影して1次元データを作成する。この1次元データは配列の形でインデックスはX座標値で要素の値はエッジ(ベクトル)のY成分になる。同様に、このエッジを垂直軸(Y軸)に射影して1次元データを作成する。この1次元データは配列の形でインデックスはY座標値で要素の値はエッジ(ベクトル)のY成分になる。この結果は図54(b)に示すものになる。
(4)上方向エッジの水平軸への射影データを図46に示すX方向の範囲の中をシフトさせながら、上方向のエッジの水平軸への射影データと上方向線分の水平軸への射影データとのX方向のマッチング誤差値Epmを計算する。同様に、上方向エッジの垂直軸への射影データを図46に示すY方向の範囲の中をシフトさせながら、上方向エッジの垂直軸への射影データと上方向線分の垂直軸への射影データとのY方向のマッチング誤差値Epmを計算する。マッチング誤差値Epmの計算結果が図55に示されている。マッチング誤差値Epmは後述する。
(5)X方向のマッチング誤差値Epmの最大値EpmMaxと最小値EpmMinを求めてしきい値を以下の式で求める。Y方向のしきい値も同様に求める。
Figure 0004787673
このしきい値以下のマッチング誤差値Epmをもつシフト量がマッチングに適したシフト量と判断される。係数kmtは経験的に決められる値で0から1の間の値を取り、0に近いほどマッチングに適したと判断されたシフト量の数が多くなる。図56の矢印で示したシフト量がマッチングに適したと判断されたシフト量である。
(6)次に、(5)で得られたマッチングに適したと判断されたシフト量から最適解を求める。前述の4.2 直線形状パターンのマッチング方法では、「本実施形態におけるマッチングでは、評価値F0が最大になる位置を得るために、検査対象パターン画像に対して基準パターンをピクセルごとに上下左右にシフトし、得られた評価値F0が最大になる位置をマッチング位置とする(図46)。」と説明した。本方法を採用すると、この部分を「本実施形態におけるマッチングでは、評価値F0が最大になる位置を得るために、検査対象パターン画像に対して基準パターンを上記(5)で得られたシフト量ごとに上下左右にシフトし、得られた評価値F0が最大になる位置をマッチング位置とする(図46)。」と読み替えて前述の直線形状パターンのマッチング方法を実施することになる。
マッチング誤差値Epmは図57(a)に示す方法で計算される。本実施例では、代表例として、上方向線分の水平軸への射影データの要素Rp[i]、上方向エッジの水平軸への射影データの要素Ep[i]と、シフト量Spを使用する方法を示す。単純なマッチング誤差値EpmSは、上方向線分の水平軸への射影データの要素Rp[i]とこれに対応するシフトされた上方向エッジの水平軸への射影データの要素Ep[i+Sp]を使い次の式で求められる。
Figure 0004787673
総和Σは、全ての要素Ep[i]に対する和を意味する。
ステップS312(検査対象パターン画像のエッジを膨張させて、膨張エッジを求める。)で説明したように、電気特性的に影響しない許容パターン変形量内のパターン変形を無視する必要がある。ステップS312と同様の方法を使用しても良いが、他の方法として以下の方法を使用する。
ここでは、許容パターン変形量が1ピクセルの場合を説明する。まず、以下の計算を全ての要素Ep[i]に対して実行する。
(1)もし、
Figure 0004787673
であれば、以下の計算を実行する。
Figure 0004787673
(2)もし、
Figure 0004787673
で、次のδRが正であれば、以下のρ-1からのEp[i+Sp]の計算を実行する。
Figure 0004787673
(3)もし、
Figure 0004787673
で、δRが負であれば、以下の計算を実行する。
Figure 0004787673
以上の計算が終了した後、許容パターン変形量を考慮したマッチング誤差値EpmDを、下記の式で求める。
Figure 0004787673
この計算の結果が図57(b)、(c)に示されている。図57(b)ではRp[i]とEp[i+Sp]がマッチングに適した位置に置かれている。一方、図57(c)ではRp[i]とEp[i+Sp]がマッチングに適した位置から1ピクセルずれた位置に置かれている。図57(b)、(c)に示されるように、許容パターン変形量を考慮したマッチング誤差値EpmDは、単純なマッチング誤差値EpmSより許容パターン変形量を考慮して対応付けられた量だけ小さな値になっている。よって、マッチング誤差値Epmとして許容パターン変形量を考慮したマッチング誤差値EpmDが適している。
許容パターン変形量が1ピクセルより大きい場合は、Rp[i-1]、Rp[i+1]の他にRp[i-2]、Rp[i+2]、などを使用して処理を行えば良い。
以上のマッチング誤差値Epmの、計算を下方向左方向右方向のエッジと線分にも実施する。また、他の方向例えば45度の倍数の方向の線分を使用しても良い。
本実施例では上方向下方向のエッジなど180度逆方向のエッジの区別がつくが、4.1.2 第1のエッジ検出方法2を使用する場合は、180度逆方向のエッジの区別がつかない。この場合は、180度逆のエッジを混合して計算する。
図46では、検査対象パターン画像に対して基準パターンをピクセルごとに上下左右にシフトして、評価値F0が最大になる位置をマッチング位置とする方法を示した。しかし、本実施例によれば、ピクセルごとにシフトする代わりに、飛び飛びのピクセルの間隔でシフトできるので計算時間が大幅に短縮できる。
4.3 幾何学情報を使う孤立パターンのマッチング方法
前述のマッチング方法は、直線形状パターンには最適である。しかし、孤立パターンであるホールパターン、島パターンのマッチングには別の方法が使用可能である。ホールパターン、島パターンとは、長方形であって、長辺と短辺とも最小線幅の2,3倍以下のパターンである。ホールパターン、島パターンは直線形状パターンより小さく、かつ、より多いので、マッチングにはより計算時間が必要とされる。この課題を解決するために、前述の4.2 直線形状パターンのマッチング方法に比べて計算量が減らせて高速化が可能な以下の方法が使用できる。
この方法は全ての検査対象パターンがホールパターン、島パターンである場合に使用することができる。また、通常、ホールパターンと、島パターンとは同時には存在しない。よって、本実施例では全ての検査対象パターンがホールパターンの場合の方法を説明する。島パターンについては本実施例のホールを島に読み替えればホールパターンのマッチング方法が使用できる。
ホールパターンのマッチングの第1の方法は検査対象パターン画像のエッジから得られた幾何学情報を使用する方法である。図58はホールパターンのマッチングの第1の方法を説明する模式的な図である。図58(a)には、検査対象パターン画像から検出されたエッジが太線で表示されている。また、そのエッジの重心が黒丸(●)点で示されている。
第1段階として、図58(a)で示すようにエッジを検出して、連結しているエッジの最外枠と重心を求める。パターン内部と下地との間にコントラストがある画像の場合は、前述の4.1.1 第1のエッジ検出方法1で説明したエッジ検出が使用できる。
前述の4.1.2 第1のエッジ検出方法2で、説明したエッジが明るくパターン内部と下地との間にコントラストがない画像の場合は、前述の4.1.2 第1のエッジ検出方法2で説明したエッジ検出が使用できる。この場合は、エッジは必ずしも連結したピクセルとして認識されないので、エッジを膨張して連結した後に、ラベリング処理をして連結したピクセルを求めて、これらの連結したピクセルの最外枠と重心を求めエッジの最外枠と重心とする。
第2段階として、得られたエッジを、図58(b)を使って、次の手順で選別する。
(1)予め、前述の3.3 レシピデータ「(7)孤立パターンの大きさの最小値Shmaxと最大値Shminおよび安全係数khmin、khmax」を決めて登録しておく。
(2)エッジの最外枠の大きさがShmax×khmaxより大きい場合は、エッジはホールパターンのエッジとは見なさない。安全係数khmaxは、1から2程度の値で経験的に決められる値である。
(3)また、エッジの最外枠の大きさがShmin×khminより小さい場合は、ノイズやゴミとみなしホールパターンのエッジとは見なさない。安全係数khminは、0.5から1程度の値で経験的に決められる値である。
(4)連結したエッジが、リング状を成さねば、ホールパターンのエッジとは見なさない。
(5)パターン内部と下地との間にコントラストがある画像の場合は、上記の(4)のリング状の内部がホールか島の判定ができる。もしリング状の内部がホールでない場合は、エッジをホールパターンのエッジとは見なさない。
本実施例は、前述の4.2 直線形状パターンのマッチング方法で使用したF0、FaおよびFbの代わりに評価値Fhを使ってマッチングが実施される。評価値にFhを使用すること以外は、前述の4.2 直線形状パターンのマッチング方法と同様の処理を使用する。本実施例では基準パターンは単純に設計データを変換して得る。評価値Fhは以下の方法で得られた値を全てのホールパターンである基準パターンについて求めて総和をとった値である。
(1)図58(c)の第1列で示すように基準パターン内にエッジの重心が存在しなければ値は0になる。
(2)図58(c)の第2列のように基準パターン内に重心が存在すれば値は1になる。
前述の4.2 直線形状パターンのマッチング方法で使用した4.2.1 ユニークパターンを使うマッチング方法4.2.2 ネガティブパターンを使うマッチング方法を本例に使用するために、以下の2計算を追加する。ユニークパターンとネガティブパターンの認識法とマッチングに寄与する度合の設定は前述の4.2 直線形状パターンのマッチング方法と同じである。
(3)ユニークパターンに重心が存在すれば、値は前述のマッチングに寄与する度合になる。
(4)ネガティブパターンに重心が存在すれば、値は前述のマッチングに寄与する度合×(−1)になる。
本実施例を使用すれば、複数のエッジをまとめた情報を使用してマッチングする方法が実現できる。この方法は、個々のエッジを使用してマッチングする方法に比べて高速に実行できる。さらに、大幅に計算コストが減らせる。
さらに、前述の4.2.3 エッジの水平軸垂直軸への射影データを使ったマッチング方法を応用して高速化な計算が可能である。この場合は、エッジの射影データではなくて、エッジの重心の射影データが使用される。
4.4 統計量を使う孤立パターンのマッチング方法
ホールパターンのマッチングの第2の方法は基準パターンの内部に相当する検査対象パターン画像の統計量と、基準パターンの外部に相当する検査対象パターン画像の統計量とを比較する方法である。図59はホールパターンのマッチングの第2の方法を説明する模式的な図である。図59(a)は、本実施例で使用する基準パターンを表している。これらの基準パターンは、設計データにサイズ処理を実施して得られる。サイズ処理で大きくする量は、3.3 レシピデータ「(2)孤立パターンの場合の許容直径変形量」の+側の限界値の半分未満の量である。図59(b)は、典型的なホールパターンの検査対象パターン画像である。ホールパターンのエッジは下地より明るく、ホールパターンの内部は下地より暗い。
本実施例は、前述の4.2 直線形状パターンのマッチング方法で使用したF0、FaおよびFbの代わりに評価値Fdを使ってマッチングが実施される。評価値にFdを使用すること以外の処理は前述の4.2 直線形状パターンのマッチング方法と同様の処理を使用する。評価値Fdは、以下の手順で得られる。
(1)図59(c)のように全ての基準パターンの内部に対応するホールパターンの検査対象パターン画像のピクセルに対してヒストグラムHinsideを求める。得られたヒストグラムをHinside規格化する。
(2)全ての基準パターンの外部に対応するホールパターンの検査対象パターン画像のピクセルに対してヒストグラムHoutsideを求める。得られたヒストグラムHoutsideを規格化する。
(3)各差分ヒストグラムHdifferenceの要素は、それぞれ差分ヒストグラムHdifferenceの要素に対応するヒストグラムHinsideの要素とヒストグラムHoutsideの要素の差として計算される。差分ヒストグラムHdifferenceの各要素の絶対値の和を評価値Fdとする。
前述の4.2 直線形状パターンのマッチング方法で使用した4.2.1 ユニークパターンを使うマッチング方法4.2.2 ネガティブパターンを使うマッチング方法を本実施例に使用するために、以下の2計算を追加する。ユニークパターンとネガティブパターンの認識法とマッチングに寄与する度合いの設定は4.2 直線形状パターンのマッチング方法と同じである。
(4)ユニークパターンの内部に対応するホールパターンの検査対象パターン画像のピクセルの場合は、これらの各ピクセルを前述のマッチングに寄与する度合に相当する数のピクセルに換算し、換算したピクセルを使ってヒストグラムHinsideを求める。
(5)ネガティブパターンの内部に対応するホールパターンの検査対象パターン画像のピクセルの場合は、これらの各ピクセルを前述のマッチングに寄与する度合に相当する数×(−1)のピクセルに換算し、換算したピクセルを使ってヒストグラムHinsideを求める。
上記の(5)の計算が意味することは以下である。ネガティブパターン内にホールが存在するとヒストグラムHinsideの要素の総和は減るが形はあまり変わらない。よって、この場合は、評価値Fdはネガティブパターンの計算前の評価値Fdとほぼ等しい。一方、ネガティブパターン内にホールが存在しないとヒストグラムHinsideは差分ヒストグラムHdifferenceに似てくる。差分ヒストグラムHdifference(手順(1)で作成されるHinsideのかわりに使用される。)とヒストグラムHoutsideを使った評価値Fdは、ヒストグラムHinsideとヒストグラムHoutsideを使った評価値Fdより大きい。ゆえにこの場合は、評価値Fdはネガティブパターンの計算前の評価値Fdより大きくなる。
ホールパターン、島パターンは、帯電現象などの影響で下地部分の画像の明るさの分布が場所によって変化する。このことはヒストグラムHoutsideが広がることを意味している。しかし、ヒストグラムHoutsideが広がることによる評価値Fdの影響はあまり大きくない。
本実施例によれば、評価値としてホールパターン、島パターンの内部と外部の差分ヒストグラムを使用しているので、帯電現象などの影響で下地部分の画像の明るさの分布が場所によって変化しても影響を受けにくいマッチング方法が実現できる。なお、本方法は、直線形状パターンのマッチングとして使用することも可能である。
4.5 マッチング後の処理
マッチングを行い、最大の評価値をとるシフト量S1=(xs,ys)が求まったら、シフト量S1の分だけ基準パターンをシフトさせる。以後の処理は、このシフトを行った状態で行う。シフト量S1は検査結果として、表示装置5および印刷装置6に出力することができる。
マッチングが終わった後、検査対象パターン画像のエッジを2値化する。この2値化は、検査対象パターン画像のエッジの強度に対して前述の3.3 レシピデータ「(3)検査対象パターン画像のエッジの2値化しきい値」を使用して実行される。すなわち、検査対象パターン画像のエッジの強度が、前述の3.3 レシピデータ「(3)検査対象パターン画像のエッジの2値化しきい値」より大きい検査対象パターン画像のエッジを2値化処理後の検査対象パターン画像のエッジとし、そうでなければ、2値化処理後の検査対象パターン画像のエッジとしない。以降の処理では、検査対象パターン画像のエッジの強度は使用されない。
2値化の方法の別の方法としてpタイル法が使用できる。この方法では、検査対象パターン画像のエッジの個数が、基準パターンのエッジに相当するピクセル数×p個になるようにする。すなわち、検査対象パターン画像のエッジの強度の大きい順に、基準パターンのエッジに相当するピクセル数×p個分の検査対象パターン画像のエッジを、2値化処理後の検査対象パターン画像のエッジとし、残りを2値化処理後の検査対象パターン画像のエッジとしない。ここで係数pは通常0.9から1.1程度の数で、3.3 レシピデータ「(3)検査対象パターン画像のエッジのpタイル法の係数p」に設定されて使用される。
4.6 第1の検査
次に、検査部12は、第1の検査を行う。具体的には、パターン変形量の計算、欠陥検出、および欠陥種の認識を行う。検査部12は、まず、検査対象パターン画像のエッジと基準パターンのエッジとの対応づけを行う(ステップS318)。エッジ位置は、サブピクセル精度で扱われる。したがって、エッジ間の距離もサブピクセル精度で得られる。エッジの方向は、右方向を0度として0度から360度の値として決定される。
本実施形態においては、検査対象パターン画像のエッジとシフト量S1シフトされた基準パターンのエッジとの距離、および両エッジの方向を考慮して対応づけを以下の手順で実施している。
基準パターンの各エッジについて、前述の3.3 レシピデータ「(2)許容パターン変形量」の距離内にある検査対象パターン画像のエッジを探す。そして、検出されたエッジの中で基準パターンのエッジとの方向差が前述の3.3 レシピデータ「(2)エッジの許容方向差」以下のものを、許容パターン変形量内のエッジとして対応づける。対応づけた両エッジ間のベクトルd(x,y)は、パターン変形量を求めるのに用いることができる。なお、前述の手順で複数のエッジが認識された場合は、最も距離が短く、最も方向差が小さいエッジを採用する。
図60は、検査対象パターン画像のエッジと基準パターンのエッジとの対応づけの例を示す図である。図60においては、方向を示すために、エッジを矢印で示している。図60の例では、基準パターンのエッジを含む各ピクセルにおいて、基準パターンのエッジの中心から、エッジ方向と垂直な方向に検査対象パターン画像のエッジを探していくことにより、対応づけを行っている。基準パターンのエッジの中心からの距離が許容パターン変形量以下であり、かつ、方向の差がエッジの許容方向差以下である検査対象パターン画像のエッジが見つかれば、両エッジを対応づける。図60においてエッジ間のベクトルd(x,y)が、前記のベクトルの例である。
図61において、(a)は基準パターンのエッジの例を示し、(b)は(a)の基準パターンに対応する検査対象パターン画像のエッジの例を示している。図61を用いて、両エッジの対応づけの例を説明する。この例では、許容パターン変形量は1ピクセル分とする。また、エッジの許容方向差は60度とする。例えば、基準パターンのエッジ81に対応する検査対象パターン画像のエッジを探したところ、エッジ68がエッジ81の許容パターン変形量の距離内にあり、かつ、方向の差がエッジの許容方向差以下であることから、エッジ68はエッジ81に対応するエッジと認定される。基準パターンのエッジ84についても、対応する検査対象パターン画像のエッジとしてエッジ70が認定される。
基準パターンのエッジ82に対して、エッジ61は許容パターン変形量の距離内にない。エッジ64は、許容パターン変形量の距離内になく、方向差もエッジの許容方向差より大きい。また、エッジ66および69は、許容パターン変形量の距離内にはあるが、方向差がエッジの許容方向差より大きい。したがって、エッジ82に対応するエッジは得られない。エッジ83に対応するエッジについても同様に得られない。
なお、図61(a)および図61(b)の例はパターンの内側か外側かを区別しない方法で、方向が0から180度の範囲の値のみをもつ場合であるが、パターン内外を区別する方法とすることも可能である。例えば、エッジ方向はパターン内側を必ずエッジの右手におくように決定しておけば、図61(a)の基準パターンのエッジは、図62のようになり、対応づけをより厳密に実行することができる。
次に、検査部12は、欠陥検出を行う(ステップS320)。欠陥検出には次の2つの方法が使用できる。
4.6.1 異常パターン変形量を持った欠陥の認識方法
欠陥検出の第1の方法として以下の手順で、異常パターン変形量を持つ欠陥を認識する。図63は、異常パターン変形量を持った欠陥を認識する方法を模式的に示す図である。検査部12は、基準パターンと対応づけができなかった検査対象パターン画像のエッジ(例えば、図61(b)のエッジ61から67、69および75)を、欠陥ピクセルとして認識する。上記の欠陥ピクセルを表現する2値化ビットマップを得る。
次に、図63(a)で示すように得られた2値化ビットマップを膨張幅Wdilation分(本図では2ピクセル)膨張させ、欠陥ピクセルどうしを連結する。膨張させた2値化ビットマップは、2値化ビットマップのDilation演算の結果として得ることができる。このDilation演算はモルフォロジーの代表的な演算の一つである。
図63(b)で示すように欠陥検出時にはノイズ等の要因で欠陥が分断されて検出されることがある。この場合は、分断されて検出された部分を経験的な値である膨張幅Wdilationを使って融合して、融合された部分である領域を1個の欠陥として認識する。
モルフォロジーの代表的な演算であるDilation演算とErosion演算を説明する。Dilation演算δとErosion演算εとはAを対象画像(2値化ビットマップ)、Bを構造要素(2値化ビットマップ)とすると以下の結果を出力する演算である。
Figure 0004787673
(A)-bはAを-b平行移動することを意味する。また、∪、∩は、b∈Bを満たす全てのbに対する2値化ビットマップの和演算(OR)、積演算(AND)を意味する。
次に、ラベリング処理で互いに連結されたピクセルを1つの領域として認識する。ラベリング処理とは、4近傍もしくは8近傍で連結しているピクセルに同一の値を書き込み、連結ピクセル群を生成する方法である。互いに連結していない連結ピクセル群に別の値を与えることで、各連結ピクセル群を区別できる。この連結ピクセル群を欠陥が存在する領域と認識し、欠陥の外接長方形を求める。欠陥の外接長方形とは、連結ピクセル群を含む最小の長方形を意味する。
以上の手順は、図63(b)で示すように実行される。図63(b)では、基準パターンの右下方向の線分に対応する欠陥が不連続に存在している。これらの欠陥は本来1つの欠陥であるが分断されている。まず、欠陥と認識された領域を二値化画像(黒いピクセルで示す)として求める。この二値化画像を膨張幅Wdilation分ふくらませると白いピクセルで示された領域ができる。次に黒いピクセルと白いピクセルとをラベリング処理で領域として認識して、この認識された領域を包含する最小の長方形領域が外接長方形として得られる。
最後に、外接長方形の中心を計算して欠陥位置とし、外接長方形の大きさを計算して欠陥サイズとする。得られた欠陥位置と欠陥サイズを欠陥情報とする。
4.6.2 ピクセルの輝度分布を使う欠陥の認識方法
欠陥検出の第2の方法として以下の手順で、ピクセルの輝度分布を使い欠陥を認識する。まず、基準パターンとの対応づけが行われた検査対象パターン画像のエッジを連結して領域を求める。得られた領域の内側と外側の部分に存在するピクセルの輝度値を求める。各々の輝度値の分布は欠陥が無ければ正規分布をなす。よって、正規分布ではない輝度値を持つピクセルを欠陥ピクセルとして認識することが可能である。
正規分布ではない輝度値を持つピクセルを検出し、それらをラベリング処理で領域として認識して、この認識された領域を包含する最小の長方形領域が外接長方形として得られる。最後に、外接長方形の中心を計算して欠陥位置とし、外接長方形の大きさを計算して欠陥サイズとする。得られた欠陥位置と欠陥サイズを欠陥情報とする。
図64は、ピクセルの輝度分布を使う欠陥の認識方法を模式的に示す図である。破線201は検査対象パターン画像のエッジを示す。破線201の両サイドの実線202、203は、エッジを指定幅太らせてできた領域の境界であり、実線202、203で囲まれた部分をエッジ領域と認識する。下地204と検査対象パターン内部205の輝度値は、おおよそ正規分布をなす。
図65に示すように、輝度値の分布が±3σ程度を越した部分Dは欠陥である可能性が高い。区間Dにはノイズも含まれるが、ノイズは領域内に比較的均一に存在する一方、欠陥は固まって存在する。区間Dに対応する輝度値を持つピクセルを1、それ以外の輝度値を持つピクセルを0とした2値化マップを作成する。指定された大きさ(例えば2×2ピクセル)以下の輝度値1を持ったピクセルの固まり(例えば、図64のピクセルの固まり207)を消去する。この処理にはミディアンフィルタなどが利用できる。このフィルタのウインドウサイズは検出したい欠陥の大きさを考慮した経験値である。残った輝度値1を持ったピクセルの固まり(例えば、図64のピクセルの固まり206)を欠陥と認識する。
前述の4.6.1 異常パターン変形量を持った欠陥の認識方法は、基準パターンのエッジの近傍の欠陥を検出する。一方、本方法であるピクセルの輝度分布を使う欠陥の認識方法は、基準パターンのエッジの近傍以外の場所に存在する欠陥を検出する。
欠陥が検出された場合には、欠陥情報(欠陥位置、欠陥サイズ、および、欠陥を含む画像)を欠陥種認識部14に出力する(ステップS322、324)。
4.7 画像から得られる特徴量を使った欠陥種の判定方法
欠陥種認識部14は、欠陥情報および欠陥種参照データベース23の情報を使用して欠陥種を判定する(ステップS326)。具体的には、欠陥に対応する検査対象パターン画像の部分の特徴量を求めて、他の特徴量と比較して欠陥種を判定する。他の特徴量は、他の欠陥に対応する検査対象パターン画像の部分の特徴量であり、欠陥種参照データベース23に蓄積されている。欠陥種認識部14は、欠陥情報(欠陥位置、欠陥サイズ、および、欠陥を含む画像)および欠陥種を、出力部13を介して表示装置5および印刷装置6に出力する(ステップS328)。欠陥種参照データベース23は、既に取得された画像を欠陥種ごとに登録したデータベースである。
欠陥種認識部14は、以下の手順で欠陥種を判定する。
欠陥と認識された連結したピクセルの幾何学情報を得る。幾何学情報は特徴量の一種である。得られた幾何学情報から、丸い、細長いなど欠陥の形状的特徴を認識することができ、丸ければ異物など、細長ければスクラッチなどと認識できる。欠陥と認識されたピクセルを検査対象パタ−ンの内側、外側、境界の3部分に区分する。これらの各部分ごとに、検査対象パターン画像のピクセル輝度値を使ったピクセルの特徴量を得る。ここで得られる特徴量により、異物が金属片であるか有機物(例えば人間のあか)であるかなどの判断をつけることができる。すなわち、異物が金属であれば明るく、有機物であれば暗いということで種類を判別することができる。
また、検査対象パターンの内部に異物がある場合は、異物と認識されたピクセルの輝度の変化が大きい場合に、異物が検査対象パターンの上に存在している可能性が高いと判断され、逆に、輝度の変化が小さい場合は、異物が検査対象パターンの下に存在している可能性が高いと判断される。欠陥が検査対象パターン内部に存在するか外部に存在するか、検査対象パターン画像だけでは区別できないので、この処理は従来のダイ・ツー・ダイ法では困難である。本方法は、これらの特徴量を使い、良く知られた分類法で欠陥種を判定する。その分類法として、k最短距離法が使用できる。
上記の欠陥種判定方法は、従来行われている光学方式、SEM方式のADC(Automatic Defect Classification)を基にした方法であるが、本実施例によれば、設計データを使って検査対象パターンの内部と外部が認識できるので、各部分の特徴量が正確に得られ、分類精度が向上する。
4.8 検査単位領域全体から得られるパターン変形量
次に、検査部12は、対応づけを行った検査対象パターン画像のエッジと基準パターンのエッジとの関係からパターン変形量を求める(ステップS330)。パターン変形量は、欠陥が検出されなかった部分から求める。そして、パターン変形量を、出力部13を介して表示装置5および印刷装置6に出力する(ステップS332)。
パターン変形量には、検査単位領域全体から得られるパターン変形量と、基準パターンの属性を使って検出されるパターン変形量の2種類がある。検査単位領域全体から得られるパターン変形量としては、例えば、エッジプレイスメントエラー、倍率変化量、および線幅の変形量が使用できる。
エッジプレイスメントエラーは、対応づけられたエッジ間のベクトルd(x,y)の平均値として求められる。このエッジプレイスメントエラーはサブピクセル精度でのシフト量S2となる。このシフト量S24.5 マッチング後の処理で説明したシフト量S1を加えたものがサブピクセル精度でのシフト量になる。XYステージ321の誤差が無視し得る場合は、シフト量S1+S2が検査単位領域ごとに検査対象パターンのエッジプレイスメントエラーになる。
XYステージ321の誤差が無視できなくて、検査をサブピクセル精度で実施する場合は、ここでシフト量S1+S2の値をシフト量S1に代入し、基準パターンをシフト量S1シフトさせて、ステップS318からS330を再度実行する。
X方向の倍率変化量を求めるには、縦方向の基準パターンの線分に関するベクトルd(x,y)のX成分を回帰直線で近似して回帰直線D(x)を求める。そして、回帰直線の勾配をX方向の倍率変化量とする。Y方向の倍率変化量についても同様の手順である。
図66において、(a)は基準パターンのエッジ(破線)、および検査対象パターン画像のエッジ(実線)の例を示し、(b)は(a)に示すエッジ間のy=y0におけるベクトルd(x,y0)のX成分を回帰直線D(x)で近似した例を示す。ベクトルd(x,y0)のX成分を回帰直線D(x)=ax+bで近似すると、傾きaが倍率変化量に相当する。図66(a)の例では、検査対象パターンが基準パターンよりも全体に大きいことがわかる。
図67において、(a)は基準パターンのエッジ(破線)、および検査対象パターン画像のエッジ(実線)の別の例を示し、(b)は(a)に示すエッジ間のy=y0におけるベクトルd(x,y0)のX成分を回帰直線D(x)で近似した例を示す。図67(a)の例では、検査対象パターン画像のパターンが基準パターンよりも全体に大きいことに加えて、直線形状パターンの幅が太っている。図67(a)において、基準パターンの直線形状パターン121、122、123は、それぞれ検査対象パターン画像の直線形状パターン124、125、126に対応する。
X方向の線幅の変形量は、例えば、sign(x,y0)・{d(x,y0)のX成分-D(x)}の平均値として求めることができる。ここで、sign(x,y0)は、(x,y0)の位置がラインの左側であれば−1をとり、ラインの右側であれば1をとる。なお、線幅の変形量に関して、sign(x,y0)・{d(x,y0)のX成分-D(x)}の標準偏差を求めれば、線幅の標準偏差が得られる。
4.9 基準パターンの属性の抽出ルール
前述の3.3 レシピデータ「(4)基準パターンの属性(直線部分、コーナー、終端、孤立パターン等)を認識するための抽出ルールが使用するパラメータ」の例を図68に従い説明する。直線部分171は、所定長L以上の長さをもつ線分として抽出される。コーナー172は、所定角度(90度、135度や270度など)で接触する2線分の接点近傍にある部分として抽出される。終端173は、所定長L以下の長さをもつ線分で、直線部分171,171と90度の角度をもって接する両端173t,173tをもつ線分として抽出される。終端173と二つの直線部分171,171はコの字型の形状をなす。孤立パターンは、所定面積以下の閉図形として抽出される。
4.10 基準パターンの属性を使って欠陥を検出する方法
図68で示したように、基準パターンの属性として、直線部分171、コーナー172、終端173、孤立パターン174などを使用する。基準パターンに基準パターンの属性を自動的に付加して検査時に使用する。
基準パターンの属性に関するパターン変形量として、前述の4.8 検査単位領域全体から得られるパターン変形量で説明したエッジプレイスメントエラー、倍率変化量、および線幅の変形量のほか、直径、面積、周囲長、円形度、モーメント、曲率半径などの特徴量の変形量が使用できる。
4.10.1 終端のエッジプレイスメントエラーを持った欠陥
図69(a)および(b)は、終端のエッジプレイスメントエラーを示す図である。終端のエッジプレイスメントエラーは、図69(a)に示すように、基準パターンの終端を構成するエッジ164と検査対象パターン画像のエッジ163の間の最小距離である。
他の方法として、図69(b)に示すように、任意の幅をもった区間157に対応する複数の距離の平均値、最大値、最小値、または、中央値などを、終端のエッジプレイスメントエラーとしても良い。
もし、エッジプレイスメントエラーが、3.3 レシピデータ「(2)許容パターン変形量の−側の限界値および+側の限界値」の中の終端の許容エッジプレイスメントエラーの範囲になければ、この終端は欠陥を持っていると認識される。
4.10.2 直線部分、コーナーのエッジプレイスメントエラーを持った欠陥
図69(a)および(b)では、終端のエッジプレイスメントエラーについて説明したが、直線部分、コーナーも同様にエッジプレイスメントエラーを測定できる。直線部分については直線部分に対応する区間について得たエッジプレイスメントエラーから欠陥を検出する。コーナーについては、コーナーの成す角度の半分の角度もしくは指定した角度を持つ方向でのエッジプレイスメントエラーを求めて欠陥を検出する。
これらの場合は、終端の許容エッジプレイスメントエラーの代わりに、それぞれ、直線部分、コーナーの許容エッジプレイスメントエラーを使用する。
4.10.3 孤立パターンのプレイスメントエラーを持った欠陥
図70は、孤立パターンのプレイスメントエラーを示す図である。プレイスメントエラーは、(孤立パターンを構成する)基準パターンのエッジ160の重心162と、(孤立パターンを構成する)検査対象パターン画像のエッジ159の重心161との距離である。
もし、プレイスメントエラーが、3.3 レシピデータ「(2)許容パターン変形量の−側の限界値および+側の限界値」の中の孤立パターンの許容プレイスメントエラーの範囲になければ、この孤立パターンは欠陥を持っていると認識される。
4.10.4 孤立パターンの他の欠陥
また、孤立パターンの特徴量の変形量を検査することができる。特徴量として、直径、面積、周囲長、円形度、モーメントなどが使用できる。図70で示すように、基準パターンのエッジ160と検査対象パターン画像のエッジ159から前記の特徴量を計算して、両者の特徴量の差異を検査して欠陥を検出することができる。
4.10.5 コーナーの曲率異常欠陥
図71において、(a)は基準パターンのコーナーのエッジの例を示し、(b)は検査対象パターン画像のコーナーのエッジの例を示す。図71(a)に示す基準パターンのエッジ166のコーナーには半径R1の丸みをつける処理がなされている。検査対象パターン画像のエッジ165の曲率半径として、最小自乗近似して得られた半径R2が得られる。半径R2の代わりに、コーナーの曲線を楕円で最小自乗近似して得られた長径、短径を用いても良い。半径R1と半径R2の差異を検査して欠陥を検出することができる。
以上の検査は、視野内の複数の箇所に対し同時に実行される。検査項目は、前述の3.3 レシピデータ「(1)求めたいパターン変形量」に従い選択される。
4.11 第2のエッジ検出
検査部12は、検査対象パターン画像から再度エッジ(第2のエッジ)を検出する(ステップS334)。第2のエッジは、検査対象パターン画像から得られたプロファイルから検出される。第2の基準パターンとしては、図76の点Qがエッジになる基準パターンを用いる。これに対し、前述の4.1.2 第1のエッジ検出方法2で説明したエッジが明るくパターン内部と下地との間にコントラストがない画像の場合、第1の基準パターンとしては、点Pがエッジになる基準パターンが用いられる。したがって、第2の基準パターンと第1の基準パターンは一般に異なる。
検査対象パターン画像の第2のエッジ検出を行う前に、前述のシフト量S1+S2の分だけ第2の基準パターンをシフトさせる。以後の処理は、このシフトを行った状態で行う。
プロファイルからエッジ位置を検出するには、しきい値法、直線近似法など各種開示されているが、本実施形態では、その中のしきい値法を用いて、CD−SEMで行っている線幅測長を2次元パターン画像(検査対象パターン画像)に応用している。ただし、しきい値法を、直線近似法など別の方法に置き換えても同様に処理が可能である。ここで、直線近似法とは、プロファイルを直線で近似し、交点を使ってエッジを検出する方法である。
図72は、プロファイル取得区間の例を示す図である。図72で示すように、プロファイル取得区間は、第2の基準パターンを中点として、第2の基準パターンのエッジの垂直方向に設定される(二重線で示された線分)。プロファイル取得区間の長さは、前述の3.3 レシピデータ「(6)プロファイル取得区間の長さ」であり、プロファイル取得区間の間隔は、前述の3.3 レシピデータ「(6)プロファイル取得区間の間隔」である。
なお、前述の第2の基準パタ−ンの代わりに、図73に示すように、リソグラフィ・シミュレータで得られた露光パターンの外形を(図中実線)を使用しても良い。
プロファイル取得区間に対応する検査対象パターン画像の区間から、前述の3.3 レシピデータ「(6)プロファイル取得区間内のサンプリングポイントの間隔」である間隔で、プロファイルのデータを取得する。プロファイル取得区間の長さは許容パターンの変形量より長くする。またサンプリングポイントの間隔は通常ピクセル間隔以下の値とする。プロファイルのデータの作成には、双一次補間、スプライン補間、フーリエ級数などの方法を用いる。
図74は図72の一部(Bの部分)を拡大した図であり、図75は図74の一部(Cの部分)を拡大した図である。図74もしくは図74の二重線は図72のプロファイル取得区間と同じである。図75の格子の交点はピクセルの位置を、プロファイル取得区間上の黒点はプロファイル取得区間の輝度値を取得する位置を示している。
双一次補間法とは、(0,0)(0,1)(1,0)(1,1)で示されたピクセルの輝度値I(0,0)、I(0,1)、I(1,0)、I(1,1)を使って、位置(x,y)、(0<x≦1,0<y≦1)にある点の輝度値I(x,y)を次の計算式で計算するものである。
Figure 0004787673
この式を使って得られたプロファイルから、しきい値法を使って第2のエッジ位置を検出する。図76に示すように、得られたプロファイルの中の最大輝度値Vとその位置Pを求める。その最大輝度値Vに予め指定された係数kをかけた数値をしきい値Tとし、輝度値=しきい値Tの直線とプロファイル曲線との交点を求める。これらの交点で、点Pから検査対象パターンの外側方向にあり、最も点Pに近い交点Qを求める。すべてのプロファイルから交点Qを計算して第2のエッジを検出する。
ウェーハに形成された検査対象パターンの断面形状は台形状をなす。測長を、この断面形状の上辺で行うのか、下辺で行うのか、あるいは中間部で行うかを係数kで設定することができる。
例えば、図76に示す係数kとして0.5を使用すれば、検出されたエッジは、理想的なエッジ位置から検査対象パターンの外側方向に電子線のビーム径の半分の量だけ移動した位置になる。電子線のビーム径とは区間の幅であって、その区間内の輝度値が、輝度値の最大値の半分以上を持っている。
第2のエッジを検出したら、検出された第2のエッジを使って曲線近似(多角形近似を含む)を行い、検出された第2のエッジを連結する。最も単純な方法は、検出されたエッジを単に折れ線(多角形形状の線)で連結する方法である。例えば、以下の分割融合法を用いると、最小自乗法による多角形近似で検出された第2のエッジをスムーズに連結できる。T. Pavlidis and S. L. Horowitz : “Segmentation of plane curves”, IEEE Trans. On Computers,vol. C-23, no.8 Aug., 1974。図77(a)は、この方法の例を示す図である。
これ以外にも、図77(b)に示すような最小自乗法と2次元スプライン関数を使った平面データの平滑化による曲線近似を用いることもできる。前者は、高速に処理できるが丸まった形状を多く含む曲線には柔軟性がない。一方、後者は、高速性を満たし且つ柔軟性をもつ特性がある。これら以外にも、フーリエ記述子による方法など各種の方法が開示されており、これらでも置き換え可能である。
なお、以上のような曲線近似は、第1のエッジ検出を行った後に行っても良い。
プロファイル取得区間を設定する方法として次の2つの方法が使用できる。その1つは、前述の方法であって、プロファイルを取得する方向および位置を第2の基準パターンを使って予め設定する方法である。この方法は、前述の3.3 レシピデータ「(6)プロファイル取得区間をレシピデータ設定時に設定するか第1のエッジを検出してから設定するかのフラグ」がレシピデータ設定時のときに使用される。この方法では、プロファイル取得区間が、第2の基準パターンを使って一意的に設定される。
プロファイル取得区間を設定する別の方法として、プロファイル取得区間を第1のエッジを検出してから適応的に設定する方法が使用できる。前述の3.3 レシピデータ「(6)プロファイル取得区間をレシピデータ設定時に設定するか第1のエッジを検出してから設定するかのフラグ」が、「第1のエッジを検出してから」の場合に使用される。
この方法は、図78(a)に示すように、検出された検査対象パターン画像の第1のエッジの垂直方向にプロファイル取得区間を設定する方法である。この方法によれば、図78(b)に示すように、検出された検査対象パターン画像の第1のエッジ(実線)が前述の第2の基準パターン(点線)からずれていたとしても、プロファイル取得区間を前述の方法より短くできる。また、この方法は、前述の方法に比べ、パターンの変形に追従しやすい。プロファイル取得区間の設定後は、前述の方法と同様の処理を行う。
4.12 第2の検査
第2のエッジ検出の後、検査部12は、第2の検査を行う(ステップS336)。この検査は、4.6 前述の第1の検査のS320からS332と同じ処理であるが第1のエッジのかわりに第2のエッジを使用することが異なっている。ステップS318では、検査対象パターン画像のエッジと基準パターンのエッジとの対応づけを行うが、第2の検査ではプロファイル取得区間によって対応づけられている。
第2の検査で欠陥検出を行い、パターン変形量を求める。ここで求められる画像全体に関するシフト量S3は、前述の4.8 検査単位領域全体から得られるパターン変形量で説明したシフト量S2に対応する。ここで求めたシフト量S3に、前述のシフト量S1およびシフト量S2を加えたものが、第2の基準パターンと検査対象パターン画像のパターンとの間の全シフト量となる。
第2の検査では、前述の4.6.1 異常パターン変形量を持った欠陥の認識方法と前述の4.6.2 ピクセルの輝度分布を使う欠陥の認識方法を以下の方法にする。
第1の検査の4.6.1 異常パターン変形量を持った欠陥の認識方法では、基準パターンのエッジと対応づけができなかった検査対象パターン画像のエッジのピクセルは、欠陥として認識される。しかし、第2の検査では、前述の3.3 レシピデータ「(2)許容パターン変形量の−側の限界値および+側の限界値」の範囲にエッジが存在しないプロファイル取得区間を欠陥として扱う。
第1の検査の4.6.2 ピクセルの輝度分布を使う欠陥の認識方法では、基準パターンのエッジと対応づけが行われた検査対象パターン画像のエッジを連結して領域を求める。しかし、第2の検査では、基準パターンのエッジを連結して領域を求める。
以上の基本検査処理をすべての検査単位領域について行った場合には検査処理を終了し、そうでない場合にはステップS308に戻る(ステップS340)。
5.応用検査処理
以上は図25に示されたフローチャートに基づく基本検査処理の説明である。この章では、この基本検査処理を発展させた応用検査処理を説明する。
5.1 繰り返し発生する欠陥の認識方法
前述の4.基本処理で説明したように、繰り返し発生する欠陥を認識する場合の検査処理の例が図27に示されている。この検査処理は図25に示された検査処理を拡張したものである。
5.1.1 第1の繰り返し発生する欠陥の認識方法
第1の繰り返し発生する欠陥の認識方法として、以下の手順を実行する。
まず検査の前に準備する工程を示すブロックAが実行される。次に、各半導体デバイスの検査領域の検査の工程であるブロックBで欠陥を検出した後に、検出された欠陥を融合する(ステップS402)。図27のブロックAおよびブロックBは、それぞれ図26のブロックAおよびブロックBと同一である。ブロックAにおけるステップS302からS306は、図25におけるステップS302からS306とそれぞれ同一である。またブロックBにおけるステップS308からS336はそれぞれ図25のステップS308からS336と同一である。
ブロックBにおいては、欠陥情報を欠陥情報記憶部24に出力するステップS338が追加されていることが、図25と異なっている。ブロックBにおけるステップS340は図25のステップS340と同一である。ステップS340における検査単位領域は、設計データで使われている座標系で表現された検査領域を分割して得られたものであり、各半導体デバイスの検査単位領域が検査される。
図23に示す検査単位領域より広範囲の検査領域を検査する場合は、複数の検査単位領域に存在する欠陥が複数箇所に分断されて検出されることがある。これらの複数箇所に分断された欠陥を融合することにより、検査単位領域の間にある境界による欠陥の分割を解消することができる。
図79は検査領域が4つの検査単位領域に分割されている場合を模式的に示している。欠陥Aは、右上側の検査単位領域と右下側の検査単位領域にまたがって存在している。まず、右上側の検査単位領域に存在する欠陥Aの部分の外接長方形31と右下側の検査単位領域に存在する欠陥Aの部分の外接長方形32が求められる。外接長方形31、外接長方形32は、図63(b)で示した手順で求められたものである。
次に、検査領域を構成する全ての検査単位領域内に含まれる外接長方形について重なり検査をする。もし重なっている場合は、上記の重なり合った外接長方形全てを含む最小の外接長方形が融合された外接長方形とされる。本例では、外接長方形31と外接長方形32から融合された外接長方形Mが得られる。なお、外接長方形M(点線で示す)と、外接長方形31および外接長方形32とは、一部の線が重なっているべきであるが、図示上の便宜上、外接長方形Mの方が若干大きく描かれている。
同様に4つの検査単位領域にまたがって存在している欠陥Bも融合される。この場合は4つの外接長方形が融合して1つの融合された外接長方形が得られる(ステップS402)。得られた外接長方形の内に存在する欠陥情報を融合し、融合された欠陥情報を欠陥情報記憶部24に記憶させる(ステップS403)。
検査対象半導体デバイスの全ての検査を行ったか否かのチェックをしたのちに(ステップS404)、全ての検査が終了したと判断された場合には、繰り返し発生する欠陥を認識する(ステップS406)。これらの欠陥情報は同一の設計データに基づいて製造された各半導体デバイスの同じ検査領域から得られたものであり、設計データで使われている座標系で表現されており、ステップS338によって欠陥情報記憶部24に記憶されている。
図80では、第1の半導体デバイスと第2の半導体デバイスから得られた欠陥情報が模式的に示されている。第1の半導体デバイスから得られた欠陥情報と第2の半導体デバイスから得られた欠陥情報を重ねると、外接長方形33Aと外接長方形33Bが外接長方形34と重なると判定される。この処理は図形の論理演算として広く知られている。これら3つの外接長方形を含む最小の外接長方形として共通外接長方形35を得る。この共通外接長方形35内に存在する欠陥(図示されていない)を、複数の半導体デバイスに共通に存在する欠陥、すなわち繰り返し発生する欠陥として認識する。
この場合は、共通外接長方形35の内部に繰り返し発生する欠陥が存在し、第1の半導体デバイスの欠陥検出時にはノイズなどの要因で外接長方形33Aと外接長方形33Bとに分断されて検出され、第2の半導体デバイスの欠陥検出時には一塊の外接長方形34として検出されたことを意味する。外接長方形33Aと外接長方形33Bと、外接長方形34がずれているのは、欠陥がわずかにずれた位置で検出されたことを意味する。
以上の処理は、3つ以上の数であるN個の半導体デバイスから得られた欠陥情報を使用する方法でも同様に実行できる。この場合は、M個以上の半導体デバイスから得られた外接長方形が重なり合うときに、繰り返し発生する欠陥が認識される。数Mは2からNまでの数値で、大きいほどより厳密に繰り返し発生する欠陥を取得できる。
以上の検査で得られた繰り返し発生する欠陥の欠陥情報を欠陥情報記憶部24に出力する(ステップS408)。この欠陥情報記憶部24の欠陥情報は、出力部13を介して表示装置5および印刷装置6に出力される(ステップS410)。
本実施例によれば、オペレータの大量の単純労働を不要にし、オペレータのミスによる欠陥認識低下を防ぐことが可能になる。また、試料が汚染された場合でも、汚染物が異なるダイの同一箇所に存在することがほとんど無いので、汚染物を繰り返し発生する欠陥として認識することがない。
5.1.2 第2の繰り返し発生する欠陥の認識方法
第2の繰り返し発生する欠陥の認識方法として、複数の半導体デバイスから得られた欠陥情報のうち、少なくとも一つの半導体デバイスについては検査領域の全体から欠陥情報を得て、それ以外の半導体デバイスについては前記欠陥情報中の欠陥位置の近傍に対応する部分のみを検査して欠陥情報を得ることにより、繰り返し発生する欠陥として認識する。
本実施例では第1の半導体デバイスの検査領域の全ての場所から欠陥情報を得て第2の半導体デバイスについては前記欠陥情報中の欠陥位置の近傍に対応する部分のみを検査して欠陥情報を得る方法について説明する。
第1段階として、第1の半導体デバイスについて、ブロックA、ブロックB、ステップS402、ステップS403を実行する。図81の左側ではステップS403を経て得られた第1の半導体デバイスの欠陥情報が模式的に示されている。第1の半導体デバイスから得られた外接長方形41の近傍に対応する画像を第2の半導体デバイスから取得して欠陥を検査する。図81の右側ではこのように限定的に検査された結果が第2の半導体デバイスから得られた欠陥情報として模式的に示されている。
第2段階として、第1の半導体デバイスから得られた欠陥情報を第2の半導体デバイスから得られた欠陥情報と重ねる。図81では、外接長方形41が外接長方形42Aと外接長方形42Bと重なる。次にこれら3つの外接長方形を含む最小の外接長方形として共通外接長方形43を得る。この共通外接長方形43に存在する欠陥(図示されていない)を両半導体デバイスに共通に存在する欠陥、すなわち繰り返し発生する欠陥として認識する。同様の処理を外接長方形51に対して実施する。
本実施例では、第1の半導体デバイスから得られた欠陥情報に含まれる全ての欠陥に関して第2の半導体デバイスの限定的な領域が検査される。よって、第1の半導体デバイスから得られた欠陥情報に含まれる欠陥の数が少ない場合は、この方法は、前述の5.1.1 第1の繰り返し発生する欠陥の認識方法に比べて高速に実行する。
5.1.3 第3の繰り返し発生する欠陥の認識方法
第3の繰り返し発生する欠陥の認識方法として、一つの半導体デバイス全体から欠陥情報を得てOPCパターンが起因して発生する繰り返し発生する欠陥を認識する方法が使用できる。この方法は、同じOPCパターンをもったマスクデータに関連する基準パターンを、設計データのセル名を使って分類できる場合に使用できる。
例えば、図82において、設計データの形状として、セル名CellAを持つ設計データのパターンとセル名CellBを持つ設計データのパターンは同じ形状であるが、異なったOPCパターンを持っているのでこれらの設計データのパターンは異なったセル名を持つ必要がある。もし、これらの設計データのパターンが同じセル名を持つ場合は、セル名と欠陥を検出するときに使用したセルの線分番号の組み合わせを使用する。この場合は厳密に基準パターンを分類できない。ここで設計データのセル名とは設計データを構成する固有幾何学情報のひとつである。他の設計データを構成する固有幾何学情報として設計データに対応するマスクデータのセル名を使用することができる。
本実施例では、第1段階として、1つの半導体デバイスについて、ブロックA、ブロックB、ステップS402、ステップS403を実行する。図81の左側ではステップS403を経て得られた1つの半導体デバイスの欠陥情報が模式的に示されている。1つの半導体デバイスから得られた外接長方形41に対応する設計データのセル名を取得する。同様の処理を外接長方形51に対して実施する。
第2段階として、欠陥情報を取得されたセル名によって分類する。もし、同一のセル名に属する欠陥の数が複数あれば、OPCパターンが起因して発生する繰り返し発生する欠陥として認識する。そうでなければ、前述の5.1.2 第2の繰り返し発生する欠陥の認識方法を使用して、欠陥が繰り返し発生する欠陥かどうか認識される。
本実施例によれば、設計データのセル名により同じOPCパターンをもったマスクデータと関連する基準パターンを分類できる場合は、1つの半導体デバイスを検査することによりOPCパターンに起因する繰り返し発生する欠陥を認識することができる。この結果、検査時間を短縮することが可能になる。
5.1.4 第4の繰り返し発生する欠陥の認識方法
図83は、設計データに基づいて製造された同じホトマスクパターンを複数もつホトマスクから製造された半導体デバイスの例を示す図である。この場合は、ホトマスクを使った一度の露光で同時に複数の半導体デバイスが製造される。図83に示されるように、設計データのエラーは全ての半導体デバイスに繰返し発生する欠陥を発生させるが、ホトマスク上の欠陥はホトマスク座標で記述された同じ位置に繰返し発生する欠陥を発生させる。このような半導体デバイスには、第4の繰り返し発生する欠陥の認識方法として、以下の手順が使用できる。
本実施例では、第1段階として、ホトマスクを使った一度の露光で同時に製造された複数の半導体デバイスについて、前述の5.1.1 第1の繰り返し発生する欠陥の認識方法を使用して欠陥情報を得て、繰り返し発生する欠陥を認識する。得られた繰り返し発生する欠陥は設計データのエラーに起因する繰り返し発生する欠陥と認識される。次に、複数の半導体デバイスから得られた全ての欠陥情報から繰り返し発生する欠陥を除いた欠陥を繰り返し発生しない欠陥と認識する。
第2段階として、ホトマスクを使った別の一度の露光で製造された半導体デバイスに対して、得られた繰り返し発生しない欠陥が存在するホトマスク座標で記述された位置の近傍を検査して欠陥情報を得ることにより、繰り返し発生する欠陥として認識する。上記の処理のために前述の5.1.2 第2の繰り返し発生する欠陥の認識方法が使用される。この場合は、少なくとも一つの半導体デバイスの検査領域の全体から検出された欠陥を使用する代わりに、前述の繰り返し発生しない欠陥を使用する。この変形された5.1.2 第2の繰り返し発生する欠陥の認識方法で得られた繰り返し発生する欠陥はマスク上の欠陥に起因する繰り返し発生する欠陥と認識される。繰り返し発生する欠陥以外の欠陥は、半導体デバイスの粒子などのランダム欠陥と認識される。
一般に設計データのエラーに起因する繰り返し発生する欠陥の数は、マスク上の欠陥に起因する繰り返し発生する欠陥の数より非常に多い。従って、本実施例によれば、前述の5.1.1 第1の繰り返し発生する欠陥の認識方法5.1.2 第2の繰り返し発生する欠陥の認識方法より検査時間を短縮することが可能になる。また、欠陥を、設計データのエラーに起因する繰り返し発生する欠陥、マスク上の欠陥に起因する繰り返し発生する欠陥と、ランダム欠陥に分類できる。
5.2 領域検査方法
前述の4.6 第1の検査4.12 第2の検査では設計データを単純に基準パターンに変換している。他の検査方法として、領域検査方法に適した基準パターンを、設計データを成す線分の幾何学情報もしくは接するか近接する設計データを成す線分同士の関係を使用して抽出する検査方法が使用できる。領域検査方法とは対向するエッジを使用する検査方法を意味している。
領域検査方法として、直線形状パターンの線幅検査方法、平均線幅検査方法、スペース幅検査方法、平均スペース幅検査方法、曲線形状パターンの線幅検査方法、平均線幅検査方法、スペース幅検査方法、平均スペース幅検査方法、切断もしくは短絡しやすい部分の検査方法、および、ゲート線幅検査方法が使用できる。
5.2.1 直線形状パターンの線幅検査方法、平均線幅検査方法、スペース幅検査方法、および平均スペース幅検査方法
線幅、平均線幅、スペース幅、および平均スペース幅のモニタリングによって半導体デバイスのプロセスを管理する方法がある。本実施例によれば、線幅、平均線幅、スペース幅、もしくは平均スペース幅の検査に適した基準パターンを、設計データから抽出し、抽出された基準パターンごとに、線幅、平均線幅、スペース幅、もしくは平均スペース幅の許容パターン変形量を設定する検査方法が実現できる。これらの検査方法は以下の手順で実施される。
図84では、線幅検査用に適した基準パターンを設計データから自動的に抽出する規則を模式的に示している。設計データの直線形状パターンであって、指定された最大線幅Lwより細く、かつ、指定された最小線長Lmより長い直線形状パターンが線幅検査用に適した基準パターンが対象になる。図84の左側で示すように、設計データには3つの直線形状パターンがある。左の直線形状パターンは処理の対象になるが、中の直線形状パターンは最大線幅Lw以上なので、処理の対象にならない。また右の直線形状パターンは最小線長Lm以下なので処理の対象にならない。
次に、図84の右側の部分で示すように、選別された直線形状パターンを、その終端から指定された終端非使用長Lo分内側に縮める。この直線形状パターンを区間長Liの長方形に分割し、分割された長方形が線幅検査用基準パターンA(実線で示されている)として登録される。また、ここで得られた線幅検査用基準パターンAの境界が中心にくる基準パターンB(二重線で示されている)を線幅検査用基準パターンBとして追加しても良い。
基準パターンBを付加することによって、基準パターンAの境界およびその近傍に存在している欠陥の検出能力が向上する。基準パターンの大きさに対する欠陥の大きさの割合が高いほど、欠陥の検出能力は高い。欠陥が一つの基準パターンに存在している場合の基準パターンの大きさに対する欠陥の大きさの割合をRとする。同じ大きさの欠陥が二つの基準パターンに分割されて存在している場合の基準パターンの大きさに対する欠陥の大きさの各割合はRより小さくなる。従って、欠陥が一つの基準パターンに存在する場合の方が欠陥の検出能力が高くなる。
図85に示すように、少なくとも1つのコーナーを持つ設計データの直線形状パターンに対しては、コーナー部分で長方形に分離してから処理を施す。図85の点線で示すコーナーを有したL字状多角形が実線で示す2つの長方形に分離されることになる。
スペース幅検査は反転された設計データを使って上記と同様の処理を施すことで実現できる。反転された設計データとは、設計データの中のパターンの内部を外部に、外部を内部に反転したものである。図86では、スペース幅検査用に適した基準パターンを設計データから自動的に抽出する規則を模式的に示している。図86で示すように、Lm’、Lw’、Li’、Lo’はLm、Lw、Li、Loと意味は同じだが、一般に異なる値を使用する。これらの値を用いて、図84で説明した方法と同じ方法によりスペース幅検査を行えば良い。以上で使用したLm、Lw、Li、Lo、Lm’、Lw’、Li’とLo’の値は前述の3.3 レシピデータ「(5)線幅検査用に適した基準パターンの最大線幅、最小線長、終端非使用長、スペース検査用に適した基準パターンの最大線幅、最小線長、終端非使用長」として管理される。
線幅検査用に適した基準パターンとスペース幅検査用に適した基準パターンを使う検査方法は、次の手順で実施される。
得られた基準パターンの線分であって設計データに存在していた線分に対応する検査対象パターン画像のエッジの平均エッジ位置を計算する。この平均エッジ位置間の距離を計算し、得られた距離と設計データの線幅もしくはスペース幅Wとの差が3.3 レシピデータ「(2)線幅の許容パターン変形量」もしくは「(2)スペース幅の許容パターン変形量」を超えた場合にこの基準パターンに対応する部分が欠陥をもつと認識する。
図87に線幅検査用に適した基準パターンとスペース幅検査用に適した基準パターンを使う検査方法が模式的に示されている。基準パターンには設計データに存在していた二重線で示された線分Ldと長方形に分離したときに付加された線分Leがある。図72に示すように、線分Ldに対して垂直方向にプロファイルを取得し、図76に示すようにそのプロファイルからエッジを求める。これらの求めたエッジ位置の平均を取り平均エッジ位置を求める。
図87では左側の平均エッジ位置Aと右側の平均エッジ位置Bが得られる。次に左側の平均エッジ位置Aと右側の平均エッジ位置Bの距離W’を求め、この距離W’と設計データの線幅Wとの差を求める。この差が許容パターン変形量以上なら、基準パタ−ンに対応する部分に欠陥があると認識する。
別の方法として、線分Ld上の各プロファイルを取得してこれらのプロファイルを平均して平均エッジ位置を求める方法が使用できる。
以上では平均線幅検査もしくは平均スペース幅検査の方法を示したが、平均値を使用せずに各々の線幅もしくはスペース幅を検査する方法を使用しても良い。
なお、後述するように、5.3.1 ゲート線幅検査方法は直線形状パターンの線幅検査方法と直線形状パターンの平均線幅検査方法の一種である。5.3.1 ゲート線幅検査方法では、線幅検査に適した基準パターンとしてゲートパターンを抽出する方法が追加されている。
5.2.2 曲線形状パターンの線幅検査方法、平均線幅検査方法、スペース幅検査方法、および平均スペース幅検査方法
前述の領域検査方法では実施できない曲線形状パターンの線幅、平均線幅、スペース幅、および、平均スペース幅検査方法が使用できる。曲線形状パターンとして設計データのコーナー部分が典型である。曲線形状パターン検査方法には複雑な計算を必要とするが、直線形状パターンと同様にこれらの検査方法が半導体デバイスのプロセスを管理する方法として重要である。
図88は、設計データのコーナー部分から線幅検査に適した基準パターンを得る手順を模式的に示す図であり、図89は、設計データのコーナー部分である曲線形状パターンの最小線幅検査の手順を模式的に示す図である。
図88に示すように、設計データから得られた基準パターン(点線で示されたL字状多角形)から直線形状パターンの線幅検査に適した基準パターン(実線で示された二つの長方形)を削除して得られた多角形CP1,CP2,CP3を得る。得られた多角形であって終端を含むパターンではない多角形CP2が設計データのコーナー部分の線幅検査に適した基準パターンとして選ばれる。
検査の対象となる線幅とは、設計データに存在していた線分に対応する曲線(図89の太い実線で示され、図18に示すように曲線で補正されたコーナー部分を有するL字状の線分に相当する曲線)間の最小距離である。まず、これらの曲線に対応する第2のエッジを検出する(図72から図76参照)。図89で図示の二重線はプロファイル取得区間を表し、黒丸(●)は検出された第2のエッジを表している。
以下の処理を左下側の曲線に対応する全ての検出された第2のエッジについて実行する。
(1)左下側の曲線に対応する1つの検出された第2のエッジと右上側の曲線に対応する全ての検出された第2のエッジとの距離を求める。
(2)得られた距離の中で最小のものを得る。
得られたそれぞれの距離の最小値が前述の3.3 レシピデータ「(2)許容される最小線幅」未満なら、この基準パターンに対応する部分に欠陥が存在していると判断する。ここで、最小距離の代わりに、平均線幅を計算して、平均線幅を検査する方法を実行しても良い。
曲線形状パターンは一般に線幅の異なる複数の直線形状パターンからなっている。また、曲線形状パターンは回路の接続に使用される。以上の理由から許容パターン変形量を使用する線幅検査方法よりも最小線幅検査方法が適している。
他の方法として、Erosion演算を使用する方法が使用できる。Erosion演算は、前述の4.6.1 異常パターン変形量を持った欠陥の認識方法で説明した。図90は、Erosion演算を使用して設計データのコーナー部分である曲線形状パターンの最小線幅検査の手順を模式的に示す図である。Erosion演算を使用する最小線幅検査方法は以下の手順で実行される。
(1)左下側の検出された第2のエッジと右上側の検出された第2のエッジを時計回り又は反時計回りに連続的に連結して多角形を作る。図90においては、全ての検出された第2のエッジは、矢印CW1−CW5で示すように、線分によって時計回りに連続的に接続されている。
(2)得られた多角形を2値化ビットマップに変換する。(図90の格子状の部分)
(3)多角形CP2を作成したときに付加された線分Lcに、Erosion演算で使用される構造要素の半径の幅を持った長方形を付加する。(図90のドットで示す2つの長方形部分)
(4)得られた2値化ビットマップのErosion演算の結果を求める(図90の太線で囲まれた2つの領域Me)。Erosion演算で使用する構造要素は、前述の3.3 レシピデータ「(2)線幅の許容パターン変形量の−側の限界値」の絶対値を直径とする円を使用する。
(5)もし線分Lcに対応するビットマップの部分ILcが上記の領域Meで連結していれば、この基準パターンに対応する部分に欠陥がないと判断される。しかしこの場合、線分Lcに対応するビットマップの部分ILcが上記の領域Meで連結していないので、この部分に欠陥が存在すると判断される。
前述の方法の(1)から(5)の等価な処理として、矢印CW1−CW5で示された多角形をサイズ処理しても良い。この場合は、2本の線分Lcはサイズ処理を実施しない。それ以外の多角形の線分は、前述の3.3 レシピデータ「(2)線幅の許容パターン変形量の−側の限界値」の絶対値の半分の量のサイズ処理を実施し多角形を縮める。サイズ処理後の多角形が2本の線分Lcそれぞれに対応する線分を含んでいれば、この基準パターンに対応する部分に欠陥がないと判断される。そうでなければこの部分に欠陥が存在すると判断される。
以上の処理は線幅検査であったが、スペース幅についても同様に検査される。
以上の領域検査に関わる本実施例を使用すれば、これらの領域検査が複数のエッジの情報を使用しているので、欠陥検出能力、および欠陥認識精度が向上する。
5.2.3 切断もしくは短絡しやすい部分の検査方法
前述の5.2.2 直線形状パターンの線幅もしくはスペース幅検査方法の一種に、切断もしくは短絡しやすい部分の検査方法が使用できる。図91は、切断もしくは短絡しやすい部分の抽出方法を模式的に示す図である。図91の左側に示すように、線幅が前述の3.3 レシピデータ「(5)切断しやすい部分の最大線幅Bw」より狭く、かつ、前述の3.3 レシピデータ「(5)切断しやすい部分の最大線長Bl」より短い、設計データの直線形状パターンの部分である長方形γによって示される部分が抽出される。
この抽出された部分である長方形γが切断されやすい部分に該当し基準パターンとして登録される。長方形γの両側である線分αと線分βに対して図87で示した第2のエッジ検出を行うことで検査を行う。線分βはコーナーの丸みがあるので平均線幅を試用せずに各々の線幅が検査される。
同様に、短絡しやすい部分については、図91の右側に示すように、前述の3.3 レシピデータ「(5)短絡しやすい部分の最大スペース幅Sw」,前述の3.3 レシピデータ「(5)短絡しやすい部分の最大スペース長Sl」を使って得られた長方形ζが短絡しやすい部分として登録され、スペース幅が検査される。
切断もしくは短絡しやすい部分の別の検査方法は、図92に示すように以下の手順で行われる。
図92の左側は切断しやすい部分の検査方法を模式的に示しており、図92の右側は短絡しやすい部分の検査方法を模式的に示している。図92の太い黒枠で示された長方形パターンは、図91の長方形γ,長方形ζと同じである。また、図92の格子状の部分に対応する画像部分には明確に下地とコントラストがあるが、ドットで示す部分に対応する画像部分には下地に薄いコントラストがある。図92の左側のドットで示す部分は、切断している状態が示されている。また、図92の右側のドットで示す部分は、短絡している状態が示されている。
このような場合には3種類のエッジが存在している。1つは下地と格子状の部分の境界に存在するエッジであり、もう1つは下地とドットで示す部分の境界に存在するエッジである。最後は格子状の部分とドットで示す部分の境界に存在するエッジである。図92の左側に示すような切断の場合は、下地とドットで示す部分の境界に存在するエッジが検出されてしまい、欠陥が検出されない。また図92の右側に示すような短絡の場合は格子状の部分とドットで示す部分の境界に存在するエッジを検出してしまい、欠陥が検出されない。このような場合でもドットで示す部分に存在する欠陥を以下の方法で検出できる。
Gで示された長方形γおよび長方形ζが含まれる8つの区間について図示の矢印方向に第2のエッジが存在するか検査する。これら8つの区間には、切断もしくは短絡しやすい部分ともに第2のエッジが存在してはならない。よって、これらの8つの区間に第2のエッジが検出された場合には、長方形γもしくは長方形ζは欠陥と認識されることになる。
本実施例によれば、薄いコントラストで観察される切断もしくは短絡した欠陥を検出できる。また、切断もしくは短絡したという情報を持つ欠陥種を設定できる。
以上のこれらの領域検査に関わる本実施例によれば、オペレータの検査では不可能な広い範囲の検査が可能になる。
5.3 基準パターンの論理演算の結果を使用する検査方法
前述の4.6 第1の検査4.12 第2の検査では検査時の工程に関する基準パターンを使って検査される。しかし、検査時の工程に関する基準パターンと検査時の工程に関連する工程に関する基準パターンとの論理演算の結果を使用する検査方法によって、より高度な検査が実現可能である。
5.3.1 ゲート線幅検査方法
基準パターンの論理演算の結果を使用する検査方法の第1の方法として、論理演算を使用して領域検査に適した基準パターンを抽出して検査する方法が使用できる。この方法としてゲート線幅検査方法とエンドキャップ検査方法が実施される。
半導体デバイスの検査にトランジスタのゲート幅検査がある。ゲート幅検査の対象はポリシリコン工程とアクティブ工程(ポリシリコン工程の前工程)の重なった部分である。図93は、検査時の工程(ポリシリコン工程)に関する基準パターンとその前後する工程(アクティブ工程)に関する基準パターンとの論理積演算で得られた基準パターンを使用する検査方法を示す図である。
ポリシリコン工程に関する基準パターンとアクティブ工程に関する基準パターンの論理積演算で基準パターンC(実線で示された長方形)を得る。ここで使用している論理積演算は、計算幾何学で使用されている方法を用いている。検査は基準パターンCを使って前述の5.2.1 直線形状パターンの線幅検査方法、平均線幅検査方法と同様に実行する。
本実施例によれば、ゲート部分を自動的に抽出できる。この結果、半導体デバイス全体の全てのゲート線幅の自動的検査が可能になり、半導体デバイスの性能向上に大きく貢献することができる。
5.3.2 エンドキャップ検査方法
終端の検査方法として、ゲート部分のエンドキャップの検査がある。まず、エンドキャップの認識方法を説明する。図93のポリシリコン工程に関する基準パターンから基準パターンCを取り除いてできる多角形を求める。図93のポリゴンFとポリゴンGがこれにあたる。これらのパターンであって以下の条件を満たすものをエンドキャップと認識する。
(1)線幅W(図93)が指定値以下の長方形であること
(2)終端である線分と相対する線分までの長さD(図93)が指定値以下であること
これらの条件を満たすものはポリゴンFとなる。次に、ポリゴンFの中の終端を、図69(a)および図69(b)と同様に検査する。ゲートのエンドキャップの縮み管理のための許容パタ−ン変形量は単純な終端の縮み管理のための許容パターン変形量より小さい。これは、有効なゲート長を確保する必要があるからである。
本実施例を用いれば、ゲートのエンドキャップに単純な終端より小さい許容パターン変形量を自動的に設定することができるので、ゲートのエンドキャップをより厳密に検査することが可能になる。
5.3.3 コンタクトホール/ビアホールに接する配線パターンの終端に対する許容パターン変形量の適応設定方法
基準パターンの論理演算の結果を使用する検査方法の第2の方法として、コンタクトホール/ビアホールに接する配線パターンの終端に対する許容パターン変形量の適応設定方法が使用できる。この方法では、コンタクトホール/ビアホールとの接続に使用する終端で一定値以上のマージンが無いものを識別して、認識された終端に許容パターン変形量を適応的に設定して終端を検査する。図94では、この方法が模式的に示されている。
配線パターンの終端とコンタクトホール/ビアホールの接触面積が検査されている。同じような形状の終端であっても、コンタクトホール/ビアホールとの接続に使用する終端の終端の縮み管理のための許容パタ−ン変形量は、単純な終端の終端の縮み管理のための許容パタ−ン変形量より小さい。これは、接触面積を確保する必要があるからである。
コンタクトホール/ビアホールに接する配線パターンの終端に対する許容パターン変形量は、配線工程とコンタクトホール/ビアホール工程のオーバーレイエラーと終端のマージンを考慮して決められる。ほとんど全ての終端のマージンは一定値以上を確保している。しかし、込み入った配線の場合は終端のマージンが一定値以上を確保できない場合がある。
コンタクトホール/ビアホールとの接続に使用する終端で一定値以上のマージンが無いものを識別する方法は以下の手順で実施される。
(1)配線パターンの終端である線分Leaを含み、配線パターンの内側方向に許容パターン変形量の長さをもつ図94の左上の枠内の実線で示す長方形を作る。以降、これらの長方形を終端近傍パターンと呼ぶ。
(2)終端近傍パターンとコンタクトホール/ビアホール工程に関する基準パターンとの論理積の結果が領域として得られる。この領域はドットで示された長方形領域である。一定値以上のマージンがない終端が、論理積演算で得られる領域を発生させる。
この領域の発生に関係した配線パターンの終端の縮みの許容パターン変形量を、他の終端に対する終端の縮みの許容パターン変形量より小さくする。小さくする量は図94における長さΔである。認識された終端に長さΔを反映した許容パターン変形量を適応的に設定して、この終端を検査する。
本実施例によれば、コンタクトホール/ビアホールとの接続に使用する終端のマージンによって、終端の縮みの許容パターン変形量を適応的に設定することができる。
5.3.4 接触面積の検査方法
基準パターンの論理演算の結果を使用する検査方法の第3の方法として、コンタクトホール/ビアホールと配線パタ-ンの終端との接触面積を検査する方法が使用できる。図95(a)および図95(b)はこの方法を示す図である。
まず、図93で示した方法と同じ方法で配線工程の基準パターンとコンタクトホール/ビアホール工程の基準パターンの論理積演算によって基準パターンRcaを得る。論理積演算は、5.3.1 ゲート線幅検査方法で説明している。
次に、図87と同じ方法で設計データに存在していた二重線で示された線分Ldに対するエッジを検出する。この検出されたエッジをつなげて多角形Pcaを得る。図87の点線で示された各線分は、線分Ldの1つに対する検出されたエッジの終端を他の線分Ldに対する検出されたエッジと接続する。
最後に多角形Pcaの面積と基準パターンRcaの面積の比が計算される。得られた比が前述の3.3 レシピデータ「(2)許容される接触面積検査比」より小さければ、基準パターンRcaに対応する部分に欠陥が存在していると判断される。
5.4 ウェーハに形成されてはならない補正パターンの検査方法
前述の4.6 第1の検査4.12 第2の検査ではウェーハに形成されるべきパターンを検査している。このような検査の他に、ウェーハ上に形成されてはならない補正パターンの検査がある。例えば、OPCパターンの一種として、補正されるべきパターンの近傍に配置された補正パターンがマスクデータに付加されている。この補正パターン自身はウェーハに形成されてはならない。しかし、このような補正パターンがウェーハに形成されて欠陥となることがある。近年このようなパターンが大量に使用されるようになったが、このようなパターンの自動検査方法が存在しない。
図96(a)は、ウェーハに形成されてはならない補正パターンの例を示す図である。また、図96(b)は、ウェーハに形成されてはならない補正パターンの検査方法を模式的に示す図である。前記の問題の解決として、以下の手順で検査方法を実施する。
(1)前述のOPCパターンを基準パターンに変換する。この方法では設計データではなくてOPCパターンが使用される。
(2)図96(b)で示すように得られた基準パターンを使用して第2のエッジを検出する。この様なOPCパターンはパターンとして形成されたとしても、基準パターンとは相当違った形になる。よってプロファイル取得区間はこの変形をカバーするように長くする必要がある。
(3)プロファイル取得区間の数に対する検出された第2のエッジの数の比率が、前述の3.3 レシピデータ「(2)ウェーハに形成されてはならない補正パターンの欠陥判断係数Kcp」より大きい場合は欠陥が存在していると判断する。ここで欠陥判断係数Kcpは経験値で0.1以下の数が使用される。
本実施例によれば、エッジ検出を応用してウェーハに形成されてはならない補正パターンの検査方法が実現可能になる。
5.5 基準となる半導体デバイスの検査対象パターンの検査結果を使用する検査方法
前述の5.3.2 エンドキャップ検査方法5.3.3 コンタクトホール/ビアホールに接する配線パターンの終端に対する許容パターン変形量の適応設定方法では、設計データを使用して終端の縮みの許容パターン変形量を設定している。
これらの方法とは別の方法として、基準となる半導体デバイスの検査対象パターンの検査結果を使用して終端の縮みを検査する方法が使用できる。エンドキャップとコンタクトホール/ビアホールに接する配線パターンの終端以外の終端がOPCパターンによって正確に補正されているとは限らない。このような終端がエンドキャップとコンタクトホール/ビアホールに接する配線パターンの終端に対する許容パターン変形量以上の収縮があっても、このような終端は欠陥として認識する必要のないものであることがある。本実施例によれば、このような欠陥として認識する必要のない許容パターン変形量以上収縮した終端を無視することができる。図97は、許容パターン変形量以上の収縮があるが欠陥として認識する必要がない終端の例を示す模式図である。
まず、基準となる半導体デバイスの検査対象パターンを検査する。基準となる半導体デバイスとは、他の検査で良品と判断された半導体デバイスである。基準となる半導体デバイスは良品であるが、上記の検査で欠陥が検出されることがある。検出された欠陥は擬似欠陥とよばれる欠陥である。擬似欠陥とは欠陥と見なさなくとも良い欠陥である。
次に、検査対象半導体デバイスを検査し欠陥を検出する。検出された欠陥で前述の擬似欠陥と位置と大きさが対応する欠陥は擬似欠陥として欠陥情報から削除する。本実施例によれば擬似欠陥の検出を低減することが可能になる。
5.6 基準となる試料の検査による最適な許容パターン変形量の取得方法
最適な許容パターン変形量は所望の電気特性により異なる。そこで、基準となる試料から最適な許容パターン変形量を得る方法が望まれる。基準となる半導体デバイスとは、他の検査で良品と判断された半導体デバイスである。
図98は、最適な許容パターン変形量の取得方法を示す模式図である。まず、許容パターン変形量を連続的に変えながら基準となる試料の同一の検査対象パターンを繰り返し検査して検査結果を得る。図98に検査結果中の検出された欠陥数と使用した許容パターン変形量の関係が曲線で示されている。
次に、図98の曲線とノイズに起因する欠陥の推定数の交点に対応する許容パターン変形量を最適な許容パターン変形量として得る。ノイズに起因する欠陥の推定数は経験的に決定される。
本実施例によれば、基準となる試料から自動的に最適な許容パターン変形量を求めることができる。
5.7 信号強度補正を必要とするパターンの検査方法
前述の4.6 第1の検査4.12 第2の検査では検査対象パターンは個別に検査される。しかし、2次荷電粒子発生率や捕獲率の変動などに起因する現象により、検査対象パターンのエッジ間の距離が実体より狭まって観察されることや、広がって観察されることがある。これらの現象は、基準パターンの近接線分と離隔線分に対応する検査対象パターンの部分に発生する。近接線分とは、対向する線分のうち最も近い線分間の距離が指定値よりも小さい線分である。離隔線分とは、対向する線分のうち最も近い線分間の距離が指定値よりも大きい線分である。
例えば、上記近接線分に対応するエッジ間の距離が広がって観察されることがあり、上記離隔線分に対応するエッジ間の距離が狭まって観察されることがある。本実施例によれば、それらの近接/離隔線分の位置を補正し、他の基準パターンの線分の許容パターン変形量とは異なる近接/離隔線分の許容パターン変形量を設定して、この現象を補正する。
また、離隔線分に対応する2つのエッジ間の距離が、プロセス条件の変動で設計データの距離より短くなることがあるが、必ずしも半導体デバイスの電気特性に影響するわけではない。このような場合には、パターンの離隔線分では許容パターン変形量を大きくして、このような短くなった距離を無視することができる。
図99では、基準パターンから近接線分を抽出する方法が模式的に示されている。補正が必要な近接線分どうしの最大距離をDpとする。まず、図99の左の枠内の左の長方形の右側の太線で示す線分について近い線分を求める。求めるべき線分は太線で示された線分に対向して右方向に存在し、かつ、基準パターンの左側を形成する線分である。図99の左の枠内の点線の線分がこの条件に当てはまる。次に、これらの線分であって太線で示す線分との距離がDp以下である中央の長方形の点線で示された線分Lpが選ばれる。最後に、選ばれた線分Lpを太線で図示の線分に射影して重なる部分が、補正が必要な近接線分として認識される。これは図99の右の枠内の波線で示された線分である。
近接線分について、線分の位置の補正をすることと、許容パターン変形量を他の線分とは異なった値に設定する。ここで、位置の補正量や許容パターン変形量を距離にしたがって可変にしても良い。
図100では、基準パターンから離隔線分を抽出する方法が模式的に示されている。補正が必要な離隔線分どうしの最小距離をDtとする。まず、図100の左の枠内の左の長方形の右側の太線で示す線分について近い線分を求める。この太線で示された線分に対向する線分は右方向に存在し、かつ、基準パターンの左側を形成する線分である。図100の左の枠内の点線の線分Ltがこの条件に当てはまる。
次に、これらの線分のうち太線で示す線分との距離がDt以下である線分Ltが選ばれる。最後に、選ばれた線分Ltを太線で示す線分に射影して重なる部分が補正対象線分ではないものとして認識される。これは図100の右の枠内の波線で示された線分である。この結果、太線で示す線分であって前述の波線の線分を除いた線分が離隔線分として認識される。
離隔線分についても、線分の位置の補正をすることと、許容パターン変形量を他の線分とは異なった値に設定する。ここで、位置の補正量や許容パターン変形量を近接する距離にしたがって可変にしても良い。例えばH部分の線分の位置の補正量を上記で得られた離隔線分の位置の補正量より小さく設定して、J部分の線分の位置の補正をしないことが可能である。
本実施例によれば、基準パターンの線分の位置を補正すること、もしくは、許容パターン変形量を設定することにより、前述の現象の効果を低減することができる。
5.8 前工程のパターンの影響がある検査対象パターンの検査方法
下層に検査時の工程の前工程パターンが存在している検査対象パターンでは、下層に検査時の工程の前工程パターンが存在している部分の検査対象パターンと下層に検査時の工程の前工程パターンが存在していない部分の検査対象パターンとでは検査対象パターンの形状や見え方が異なる。この対策として、検査時の工程の前工程のパターンが存在している部分の検査対象パターンと検査時の工程の前工程のパターンが存在していない部分の検査対象パターンとで異なる検査パラメータを使用する検査方法が使用できる。
図101は、検査時の工程の前工程のパターンが下地として観察される例を模式的に示す図である。このような場合は、検査領域を検査時の工程の前工程に存在するパターンの内部、境界部分、外部の3領域に分離して検査を行う。検査時の工程の前工程に存在するパターンの内部は前述の5.3.1 ゲート線幅検査方法で説明した基準パターンCと同じ方法で認識される。検査時の工程の前工程に存在するパターンの境界部分は、中心線が検査時の工程の前工程パターンの基準パターンであって、経験的に決められた幅を持つ帯状の部分として認識される。検査時の工程の前工程に存在するパターンの外部は、残りの部分である。
検査時の工程の前工程のパターン内部と外部では、検査時の工程の前工程パターンの影響でコントラストが異なる場合がある。また、下層の表面の高低差によって形成された検査対象パターンの幅が違ったりする。
これらの効果を低減するために、検査時の工程の前工程のパターン内部と外部に対して基準パターンの線分の位置の補正量と許容パターン変形量を別々に設定するようにする。もし境界部分がエッジ検出に適する場合は、別の線分の位置の補正量と許容パターン変形量を設定するようにする。境界部分がエッジ検出に適さない場合は、この領域を検査領域から除くようにする。
本実施例によれば、図101の格子部分のように欠陥と見なさなくともよい変形(擬似欠陥)を検出する確率を低減できる。
5.9 前工程のパターンと検査対象パターンの位置関係の検査方法
下層に検査時の工程の前工程パターンが存在している検査対象パターンの検査方法として、検査時の工程の前工程の検査対象パターンと検査対象パターンの位置関係の検査方法が使用できる。
本実施例では、基準パターンとして、検査時の工程に関する基準パターンと検査時の工程の前工程に関する前記基準パターンを使用する。図102は、検査対象パターン画像、および、検査時の工程に関する基準パターンと検査時の工程の前工程に関する基準パターンの例を示す図である。
まず、検査時の工程に関する基準パターンと検査時の工程の前工程に関する前記基準パターンと検査対象パターン画像とを使ってマッチングを実施する。一般的には、検査時の工程で形成されたパターンと検査時の工程の前工程で形成されたパターン間にオーバーレイエラーと呼ばれるエッジプレイスメントエラーが発生している。次に4.12 第2の検査で説明したシフト量S3を、検査対象パターン画像と検査時の工程に関する基準パターンとを使って求める。得られたシフト量S3をシフト量SUとする。同様に検査時の工程の前工程に関する基準パターンを使ってシフト量SDを求める。最後に、シフト量SUとシフト量SDの差がオーバーレイエラーとして得られる。
半導体デバイス全体に対する検査単位領域ごとにオーバーレイエラーをもとめることにより、半導体デバイス全体のオーバーレイエラー分布が得られる。従来のオーバーレイエラー管理は半導体デバイスの限られた箇所での測定に拠っていたので、ステッパーの歪みに起因する局所的なオーバーレイエラーなどは管理することが出来なかった。しかし、本実施例によれば、得られたオーバーレイエラー分布を使用して半導体デバイス全体にわたる局所的なオーバーレイエラーの管理が可能になる。
5.10 外形を使った検査方法
5.10.1 外形を使ったダイ・ツー・ダイ比較方法
従来のダイ・ツー・ダイ比較方法は、2枚の対応する画像の比較により実施されていた。この方法では、2枚の画像が検査対象パターンと画素の境界の同一の関係を持つように、ピクセルの輝度値を補間する必要がある。しかし、本実施例では検査対象パターン画像のエッジを比較する方法を使用するので、輝度値の補間が不要になり、検出精度が向上する。
図103は、外形を使ったダイ・ツー・ダイ比較方法を示すフローチャートである。図103は、図27を基にして作成されている。図103のブロックAは図27のブロックAと同じものであり、検査の前に準備する工程を示している。図103のブロックBsは、基準となる半導体デバイスに対する検査領域の検査の工程を示すフローチャートである。ブロックBsは、以下のステップを除き、図27のブロックBと同じである。
(1)ステップS336(第2の検査)を実行する代わりに、基準となる半導体デバイスから外形を取得する。以降、この処理をステップS336−1とする。
(2)ステップS338(欠陥情報を欠陥情報記憶部24に出力する)を実行する代わりに、ステップS336−1で得られた外形を欠陥情報記憶部24に出力する。以降、この処理をステップS338−1とする。
図103のブロックBtは、検査対象半導体デバイスに対する検査領域の検査の工程を示すフローチャートである。ブロックBtは、以下の項目を除き、図27のブロックBと同じである。
(3)ステップS336(第2の検査を行う)の代わりに、欠陥情報記憶部24に記憶された外形と検出された第2のエッジとの比較を行う。以降、この処理をステップS336−2とする。
ステップS510(欠陥情報記憶部24の欠陥情報を、出力部13を介して表示装置5および印刷装置6に出力する。)は、ステップS410と同じであるが、ダイ・ツー・ダイ比較方法の結果を欠陥情報として出力することが異なる。
図104は外形を使ったダイ・ツー・ダイ比較方法を示す図である。ステップS340における検査単位領域は、設計データで使われている座標系で表現された検査領域を分割して得られたものであり、各半導体デバイスの検査単位領域が検査される。本実施例の検査単位領域は、基準となる半導体デバイスの検査単位領域G1からG8と検査対象半導体デバイスの検査単位領域H1からH8である。検査単位領域G1からG8と、検査単位領域H1からH8は、おのおの対応している。
第1に、(ステップS336−1)と(ステップS338−1)を説明する。ブロックAとブロックBsのステップS308からS332が実施される。基準となる半導体デバイスの検査単位領域G1から、ステップS334(第2のエッジ検出)で第2のエッジを検出する。検出された第2のエッジを検出された順につなげて多角形とし、外形として、得られた多角形を使用する(ステップS336−1)。得られた外形を欠陥情報記憶部24に出力する(ステップS338−1)。
同様の処理を検査単位領域G2から検査単位領域G4について逐次実施する。基準となる半導体デバイスとは、他の検査で良品と判断された半導体デバイスである。以上の処理で、基準となる半導体デバイスに対する検査領域の検査の工程が終了する。
次に、(ステップS336−2)を説明する。ブロックBsのステップS308からS332が実施される。検査対象半導体デバイスの検査単位領域H1から、ステップS334(第2のエッジ検出)で第2のエッジを検出する。欠陥情報記憶部24に記憶された基準となる半導体デバイスの検査単位領域G1に関する外形と検出された第2のエッジとを比較する(ステップS336−2)。
同様の処理を検査単位領域H2から検査単位領域H4について逐次実施する。以上の処理で、検査対象半導体デバイスに対する検査領域の検査の工程が終了する。
図105は、外形と第2のエッジとの比較方法を示す図である。2つの画像が同じピクセル間隔を持ち、プロファイルを取得する方向および位置を第2の基準パターンを使って予め設定する方法を使用した場合は、検査対象半導体デバイスのプロファイル取得区間から得られた第2のエッジEDIと基準となる半導体デバイスのプロファイル取得区間から得られたエッジEDS間の距離Dを計算する。これらのプロファイル取得区間は同じ位置にある。ここで、エッジEDSは、記憶された外形の頂点である。
計算された距離Dが予め決められたダイ・ツー・ダイ比較検査用の許容パターン変形量より大きい場合は、検査対象半導体デバイスのプロファイル取得区間に対応する部分に欠陥が存在していると判断される。前述のダイ・ツー・ダイ比較検査用の許容パターン変形量は、全ての基準パターンの属性に一意に決めても基準パターンの属性ごとに決めても良い。
図106は、外形と第2のエッジとの比較方法を示す別の図である。2つの画像が異なるピクセル間隔を持つ場合または、プロファイル取得区間を第1のエッジを検出してから適応的に設定する方法を使用した場合は、プロファイル取得区間は同じ位置にない。この場合は、外形とプロファイル取得区間の交点EXを求め、第2のエッジEDIと交点EX間の距離D'を計算する。距離Dの代わりに距離D'を使用して、前述と同じ方法を実施する。
以上では、基準となる半導体デバイスの外形を使用して検査したが、検査対象パターン画像に対応するシミュレータで得られた外形を使用して検査しても良い。また、メモリ部分などの周期的なパターンを検査する場合は、基準となる繰り返しパターンの外形または、シミュレータで得られた周期的なパターンに対応する外形を使用しても良い。他の方法として、良品の生産開始時の半導体デバイスの外形を保存し、保存された半導体デバイスの外形と、生産中の半導体デバイスから得られる第2のエッジを比較してプロセスを管理する方法が使用できる。
本実施例によれば、検査対象パターン画像の外形を使ったダイ・ツー・ダイ比較検査がサブピクセル精度で実施できる。また、一方の検査対象パターン画像とは異なるピクセル間隔を持った他方の検査対象パターン画像から得られた外形、もしくは、シミュレータ等で得られた外形などを使ってダイ・ツー・ダイ比較検査を行うことができる。さらに、良品の生産開始時の半導体デバイスの外形を使用するプロセス管理方法が実現できる。
5.10.2 外形の補正方法と外形上のノイズ除去方法
前述の4.11 第2のエッジ検出で説明したように前述の5.10.1 外形を使ったダイ・ツー・ダイ比較方法で得られた第2のエッジは理想的に検出されるべき位置とは異なった位置に検出される。例えば、図76に示す係数kとして0.5を使用すれば、エッジは、理想的なエッジ位置から検査対象パターンの外側方向に電子線のビーム径の半分の量だけ移動した位置になる。もし、異なったビーム径を持つ電子線を使って得られた画像から得られた外形を比較する場合は、電子線のビーム径によるエッジの移動量を補正してからダイ・ツー・ダイ比較検査する必要がある。
電子線のビーム径によるエッジの移動量Wbeamは、以下の式で得られる。
Figure 0004787673
ここで、線幅Wstandardは、基準となる線幅を意味し、線幅Wmeasureは、基準となる線幅Wstandardを持つ検査対象パターンを測定して得られた線幅を意味する。
図107は、外形の補正方法を示す模式図である。図107に示すように、第2のエッジを、プロファイル取得区間に沿って、検査対象パターンの内側方向(逆方向)に、エッジの移動量Wbeamだけ移動して、エッジの移動量Wbeamを相殺する。移動されたエッジの位置を外形の頂点の位置として登録する。
次に、外形のスパイクノイズの除去方法を説明する。図108は、外形のスパイクノイズの除去方法を示す図である。図108の左側に点線で示された外形にはスパイクノイズが含まれている。スパイクノイズは幅が1ピクセル程度で長さが2から3ピクセルである。このようなスパイクノイズを除去するために外形を半ピクセル間隔分サイズ処理で縮めると図108の左側に実線で示された外形が得られる。得られた外形を論理和処理すると図108の右側に実線で示された外形がノイズ除去後の外形として得られる。右側に実線で示された外形の外側に対応する部分に、左側に実線で示された外形には2つの三角形がある。分かりやすくするために、2つの三角形は大きく描かれているが、実際は無視しうる程小さい。
ノイズ除去後の外形の縮みを相殺するために、ノイズ除去方法を実施する前に、前述の外形の補正方法を実施する必要がある。外形の補正方法で使用するエッジの移動量Wbeamから半ピクセル間隔引いた量を、ノイズ除去を考慮したエッジの移動量として使う。
別の方法として、第2の基準パターンのエッジと対応する検査対象パターン画像の第2エッジ間の距離の平均を使用して外形のノイズを除去する方法が使用できる。図109は第2のエッジとこれに前後する第2のエッジである3点のエッジの平均位置を使って外形のノイズを除去する方法を模式的に示す図である。平均位置は、X,Y座標値が3点のエッジのX,Y座標値の平均値である位置である。得られた平均位置を外形の頂点として登録する。この方法では、外形のコーナー部分にノイズが無いにも関わらず、ノイズを除去した後のコーナーの曲率がノイズを除去する前のものと異なっている。
図110は、第2の基準パターンのエッジと、対応する検査対象パターン画像の第2のエッジ間との距離の平均値を使って外形のノイズを除去する方法を模式的に示す図である。4.6 第1の検査では対応するエッジ間のベクトルをd(x,y)と標記したが、外形の頂点と関連させるために対応するエッジ間のベクトルをd(i)と標記する。iは頂点番号である。ベクトルd(0)の終点である第2のエッジのノイズを除去するために前後するベクトルd(-1)、d(0)と、d(1)を使用して以下の計算をする。
Figure 0004787673
ここでlenはベクトルの符号付長さを返す関数である。符号は、ベクトルが検査対象パターンの外部に向かっているときに正、内部に向かっているときに負をとる。得られた長さをもち、ベクトルd(0)の始点と同じ始点を持ち、かつ、ベクトルd(0)の方向と同じ方向を持つベクトルがノイズを除去した後のベクトルd(0)になる。ノイズを除去した後のベクトルd(0)の終点がノイズを除去した第2のエッジとなる。
この方法では、上記の計算で使用したベクトルの長さが基準パターンのコーナー部分に付加した曲線から計られるので、ノイズを除去した後のコーナーの曲率がノイズを除去する前のものと大きく異なっていない。平均の長さを得るために使用するエッジの数として5,7、または、他の数を使っても良い。またベクトルの長さに重みを付けても良い。また、平均の長さではなくて長さの中央値などの別の値を使用しても良い。長さの中央値を使用すれば、スパイクノイズの除去に有効である。
本実施例によれば、エッジを移動することにより外形の補正もしくは外形上のスパイクノイズが除去できるので、画像フィルタによって発生する検査対象パターン画像の劣化が発生しない。別の方法として、基準パターンのエッジと検査対象パターン画像のエッジ間の距離を使用して前記外形のノイズを除去すれば、コーナー部分の曲率の変化を最小にできる。
5.10.3 外部検査装置への外形の出力方法
前述5.10.1 外形を使ったダイ・ツー・ダイ比較方法で説明した外形をリソグラフィ・シミュレータなどの入力方法として使用することが可能である。この場合は、リソグラフィ・シミュレータ処理が、外形出力処理に比べて低速であるので、間接的に外形を入力する必要がある。
図111は外部検査装置への外形の出力方法を示す図である。検査部12は図16の検査部12と同じものであり、検査対象半導体デバイスから得られる外形を外形データベースに出力(登録)する。リソグラフィ・シミュレータなどは、オンラインまたはオフラインで外形を、外形データベースを検索し、入力する。複数のリソグラフィ・シミュレータを外形データベースに接続してマルチプロセッシングを実現することができる。ここで、検査部12が外形を設計データの付加情報として出力すれば、外形と設計データの関連性が明確になる。
本実施例によれば、低速の他の検査方法と結合した検査方法が可能になる。また、外形を設計データの付加情報として出力すれば、外形と設計データの関連性が明確になる。
5.11 パターン変形量の大域的変形量と局所的変形量への分離方法
前述の4.8 検査単位領域全体から得られるパターン変形量では検査単位領域ごとにパターン変形量を求めている。この方法によれば、パターン形成の条件の違いなどにより大域的に設計データの線幅と違う幅で検査対象パターンが形成されると、検査単位領域全体から得られる全てのパターン変形量が大きな値を持つことになる。しかし、このような大域的な平均線幅の変化よりも、局所的な領域の線幅の変化が半導体デバイスの電気特性を制限することが多い。そこで、パターン変形量を大域的変形量と局所的変形量へ分離して半導体デバイスの電気的特性を評価する必要がある。
図112から図115はパターン変形量の大域的変形量と局所的変形量への分離方法を模式的に示す図である。本実施例ではパターン変形量として、線幅の変形量を使用している。図112は、パターン形成の条件の違いなどにより半導体デバイス全体に設計データの線幅と違う線幅で検査対象パターンが形成されている例を示す模式図である。
図112に示すように、半導体デバイスの中心部分は、大域的に線幅は正常であり欠陥K1が存在している。一方、半導体デバイスの周辺部分は、大域的にX方向に線幅が太くなっている。この変形量と欠陥K1のX方向のサイズが同じ量Mであるとする。この場合に、欠陥K1は欠陥として認識したいが、線幅の変形量Mは欠陥として認識したくない。また、線幅の変形量Mは欠陥として認識すると登録すべき欠陥数が膨大になる。
この問題を解決するために、欠陥を認識する前に基準パターンの線幅を大域的な平均線幅の変形量を考慮して補正する方法が使用できる。基準パターンの線幅を補正するために、検査装置は、線幅の大域的な平均線幅変形量を検査済みの検査単位領域を使用して求める第1の方法と、第1の方法によって得られた大域的な平均線幅の変形量を使って基準パターンの線幅を補正する第2の方法とを実行すると良い。ここで大域的な平均線幅は、半導体デバイスの全体でなくとも十分に広い範囲から得れば良い。
図113は大域的な平均線幅変形量を検査済みの検査単位領域を使用して求める第1の方法の例を示す図である。大域的な平均線幅の変形量として、前述の4.8 検査単位領域全体から得られるパターン変形量の説明で使用したX方向の線幅の変形量を使用する。
まず、このX方向の線幅の変形量に関連して説明した方法を各検査領域に適応すると(図67(a)および図67(b)参照)、図113(a)に示すように、線幅の変形量CXが得られる。Y方向の線幅の変形量も同様に求められる。必要があれば、45度方向と135度方向の線幅の変形量を求めても良い。
次に、X方向の大域的な平均線幅の変形量<CX>を得るために、線幅の変形量CXの平均値を求める(<>は平均値を表す)。例えば、図113(b)に示すように、補正対象の検査単位領域(図においてドットで示す部分)に対して検査単位領域の近傍にあって既に検査済みの検査単位領域(図において格子状の部分)のCXの平均値を求める方法が使用できる。
また、前述の3.4 検査単位領域で説明した逐次検査においては、図113(c)に示すように、補正対象の検査単位領域(図においてドットで示す部分)に対して前述の3.3 レシピデータ「(8)大域的変形量を求めるために使用する検査単位領域の数」の直近に検査された検査単位領域(図において格子状の部分)のCXの平均値を求める方法が使用できる。平均値の代わりに、移動平均値を使用することもできる。Y方向、45度方向と135度方向の大域的な平均線幅の変形量<CY>,<C45>,<C135>も同様に求められる。以上で得られた大域的な平均線幅の変形量<CX>,<CY>,<C45>,<C135>が大域的なパターン変形量となる。
この大域的な平均線幅の変形量を、同じ検査対象パターンの属性を持つそれぞれのグループから得られる変形量に区別しても良い。この区別は、全ての線分を、近接線分、離隔線分とそれら以外に区別することや、線幅に応じて区別することも可能である。また、大域的な平均線幅の変形量を線幅の関数の形で表現しても良い。
図114は第1の方法によって得られた大域的な平均線幅の変形量を基準パターンの線幅の補正に使用する第2の方法を示す図である。本実施例では、大域的な平均線幅の変形量として前述の大域的な平均線幅の変形量<CX>,<CY>,<C45>,<C135>を使用している。
得られた大域的な平均線幅の変形量<CX>,<CY>,<C45>,<C135>を基準パターンの線幅の補正に使用する時は、設計データに基づき基準パターンを生成するステップS206(図22参照)で記述したサイズ処理(線幅を変える処理)と同じ方法を実施する。すなわち、基準パターンの各線分をその方向ごとに大域的な平均線幅の変形量<CX>,<CY>,<C45>,<C135>分移動させる。この処理は、ステップS304(図25参照)で記述した、レシピ検索用パラメータをキーとしてレシピデータベース22を検索し、基準パターンを含むレシピデータを取り出す処理の後に実施される。
この処理の例として、図112の基準パターンをX方向にX方向の大域的な平均線幅の変形量<CX>分サイズ処理をした結果が、図114の二重線で示されている。第1の方法で得られたX方向の大域的な平均線幅の変形量<CX>は、ほぼ、変形量Mと等しい値である。
前述の計算で得られなかった大域的な平均線幅の変形量、例えば30度方向の大域的な平均線幅の変形量<C30>は、前述の計算で得られた大域的な平均線幅の変形量を補間して得られる。
Figure 0004787673
Figure 0004787673
これらの式では、前述の計算で得られた大域的な平均線幅の変形量として、X方向の大域的な平均線幅の変形量<CX>、Y方向の大域的な平均線幅の変形量<CY>と、45度方向の大域的な平均線幅の変形量<C45>が使用されている。
図115では後者の計算例が示されている。図115の破線で示されている線分が基準パターンを模式的に示し、実線で示されている線分が検査対象パターン画像から検出されたエッジを模式的に示している。X方向の大域的な平均線幅の変形量<CX>、Y方向の大域的な平均線幅の変形量<CY>、45度方向の大域的な平均線幅の変形量<C45>、135度方向の大域的な平均線幅の変形量<C135>と、30度方向の大域的な平均線幅の変形量<C30>の方向の定義は図115に基づいている。図115の右側では、X方向の大域的な平均線幅の変形量<CX>、45度方向の大域的な平均線幅の変形量<C45>を補間して得られた30度方向の大域的な平均線幅の変形量<C30>が示されている。
以上の方法とは別の方法として、検査前に特定の位置で大域的な平均線幅の変形量を一回検出して、この検出された大域的な平均線幅の変形量を各検査単位領域の基準パターンの線幅の補正量に使用する方法が使用できる。
ステップS304(図25参照)以降の図25に記載の処理を行うとステップS320(図25参照)で欠陥検出が認識される。前述したように、図112で示された半導体デバイスの中心部分は、大域的に線幅は正常であり、半導体デバイスの周辺部分は、大域的にX方向に線幅が太くなっている。図112で示された半導体デバイスから欠陥K1を検出するようにサイズ処理がされている場合は、欠陥K2は検出されず、太く形成されたパターンの大部分が欠陥として認識される。しかし本実施例を用いれば、図112で示すように欠陥K2のみが欠陥として認識できるようになる。
この結果、大域的変形量としての各検査単位領域における大域的な平均線幅の変形量と局所的変形量としての欠陥情報に分離された欠陥情報を出力することが実現できる。
本実施例を使用する場合は、基準パターンの線幅の補正による欠陥情報の変化を相殺する必要がある。具体的には、前述の4.8 検査単位領域全体から得られるパターン変形量で説明した検査単位領域全体から得られたパターン変形量の1つである線幅の変形量に前述の大域的な平均線幅の変形量を加算する。
本実施例によれば、パターン変形量を大域的変形量と局所的変形量に分離することにより、取得欠陥数を低減することができる。この結果、重要な欠陥を十分に検出して、擬似欠陥の検出を低減することが可能になる。擬似欠陥とは欠陥と見なさなくとも良い欠陥である。
5.12 線幅測定値の時間的変化の補正方法
長時間検査では電子線のビーム径が時間的に緩やかに変化することがある。電子線のビーム径が太くなれば、太くなった量だけ線幅測定値が大きくなる。この変化が前述の大域的な平均線幅の変形量に加算される。よって、大域的な平均線幅の変形量に時間的変化を相殺する必要がある。
図116は、図23を簡略にしたものに電子線のビーム径の変化を示した模式図である。図116では電子線のビーム径が緩やかに太くなっているが、1行分の検査単位領域の検査中では電子線のビーム径の変形量が無視しうる。このような電子線のビーム径の変化による線幅の測定値の変化を以下の手順で補正する。
まず、2回検査される検査単位領域を図117で示される方法で決める。2回検査される検査単位領域は、電子線のビーム径の変化量が無視しうる時間範囲ごとに設定される。図116では1行分の検査単位領域の検査時間がこの時間範囲に相当するので、図117で示されるように2回検査される検査単位領域が設定される。
次に、図117で示されるように2回検査される検査単位領域を検査して、前述の大域的な平均線幅の変形量<CX>、<CY>、<C45>と<C135>を求める。前述の大域的な平均線幅の変形量<CX>、<CY>、<C45>、または<C135>の計算は同じである。よって本実施例ではX方向の大域的な平均線幅の変形量<CX>を使用して説明する。図117の<CX>1,1、<CX>1,11で示されるように、1回目の検査であることと検査単位領域の番号をそれぞれ第1と第2の添え字で表現する。これらの大域的な平均線幅の変形量は場所に依存する線幅の変形量を表現していて、時間に依存する線幅の変形量は無視しうる。
以上の1回目の検査の後に、図118で示されるように、2回目の検査として全検査単位領域を検査して、前述の大域的な平均線幅の変形量<CX>、<CY>、<C45>と<C135>を求める。図118の<CX>2,1、<CX>2,11で示されるように、2回目の検査であることと検査単位領域の番号をそれぞれ第1と第2の添え字で表現する。
検査単位領域の番号1番の検査が終了した時点で、大域的な平均線幅の変形量<CX>2,1と大域的な平均線幅の変形量<CX>1,1から補正量δ<CX>1を以下の式で求める。
Figure 0004787673
得られた補正量δ<CX>1は、時間に依存した線幅の変化量の補正量とみなされる。
検査単位領域の番号2番から番号10番で得られた大域的な平均線幅の変形量<CX>にδ<CX>1を加算して時間に依存した線幅の変化量を補正する。この検査単位領域の番号10番は、次に2回検査される検査単位領域の番号11番の1つ前の番号を意味する。
以上の手順を前述の大域的な平均線幅の変形量<CY>、<C45>、<C135>についても同様に実施する。また、これらの手順を全ての2回検査される検査単位領域について実施する。
ArFレジストで作成された検査対象パターンを走査型電子顕微鏡で何度も検査すると検査対象パターンが段々と縮んでいく。しかし本実施例によれば同じ場所を2回だけ検査するのでこのパターンの縮みは無視できる。従って、前記の検査対象パターンを検査する場合であっても、電子線のビーム径の緩やかな変化による線幅の測定値の変化を補正することが可能になる。
5.13 基準パターンの幾何学情報、設計データの情報、もしくは設計データに関連するデータの情報を使った欠陥種
前述の4.7 画像から得られる特徴量を使った欠陥種の判定方法で説明したように、欠陥種は欠陥種認識部14により欠陥画像の特徴量を使用して決定される。この欠陥種以外に基準パターンの幾何学情報、設計データの情報、もしくは設計データに関連するデータの情報を使って決定される欠陥種を使用できる。
以下の項目が設計データの幾何学情報として使用される。
(1)基準パターンの属性(直線部分、コーナー、終端、孤立パターンなど)
(2)近接線分、離隔線分とそれら以外の線分
(3)線幅(例:最小線幅、最小線幅を超え最小線幅×1.5未満の線幅、最小線幅×1.5以上の線幅)
以下の項目が設計データの情報として使用される。
(4)欠陥が検出された場所(例:メモリ部分、ロジック部分など)
(5)欠陥に対応する設計データのセル名。付加情報として、欠陥を検出するときに使用したセルの線分番号、もしくはセルを記述する座標系での欠陥の位置。
(6)配線の属性(グラウンド配線とクロック配線など)、ただし、設計データにこれらの属性が規定されている場合に使用可能である。
以下の項目が設計データに関連するデータの情報として使用される。ここでは、設計データに関連するデータとしてマスクデータを使用している。
(7)欠陥に対応するマスクデータのセル名。付加情報として、欠陥に対応するセルを構成する線分番号、もしくはセルを記述する座標系での欠陥の位置が使用できる。
また、これ以外にパターン変形量を使った欠陥種としては、下記の項目を使用することができる。
(8)欠陥サイズ情報(例:大太り、中太り、小太り、大細り、中細り、小細りの6分割など)
図119では、前述の(5)で示したセル名と線分番号ごとに分類する欠陥種の例を示している。T字型の2つのパターンA、Bは同じセル名を持ったメモリのセルを表している。丸で囲まれた終端部分は、基準パターンは同じ形状だが異なったOPCパターンを持っている。この場合は、欠陥Aと欠陥Bは異なったOPCパターンによって発生した欠陥である。しかし、セル名による分類だけではこれらの欠陥Aと欠陥Bを分類できない。しかし線分番号による分類によって欠陥の発生に関連したOPCパターンを区別することができる。
前述の欠陥種は、それぞれ組み合わせて使用することができる。図120では、組み合わせて使用する欠陥種を模式的に示している。図120に示されている欠陥種は(6)、(1)と(8)の3種類を組み合わせたものである。
本実施例を用いれば欠陥が発生する傾向が容易に把握できる。また、欠陥の発生原因の特定が容易になる。
5.14 基準パターンの特徴を使った欠陥のグループ分け方法
他の欠陥分類として、欠陥を検出したときに使用した基準パターンとそれらに近接する基準パターンの特徴を使った欠陥のグループ分け方法が使用できる。図121から図123は前述の方法を示す図である。欠陥検出時に欠陥位置の近傍に対応する長方形によって基準パターンを切り出して保存しておく。検査終了時にこの切り出された基準パターンから特徴量を計算して欠陥をグループ分けする。
図121には欠陥位置、外接長方形、切り出された基準パターンが示されている。欠陥位置は外接長方形の中心であり、切り出された基準パターンは欠陥位置の近傍に対応した長方形に存在している。直線形状パターンに関する特徴量として、線幅と方向とその本数の組が使用できる。他のものとして、スペース幅と方向とスペースの本数の組、コーナーの種類とその数の組、終端の種類とその数の組、孤立パターンの種類とその数の組などが使用できる。次にこの特徴量が成す特徴量空間をクラスター分析でグループ分けする。クラスター分析は統計学でよく知られた分類方法のひとつである。
図122は特徴量空間の例を示す模式図である。図122では、[100nm、縦方向、4本の直線形状パターン]の組、[200nm、縦方向、2本の直線形状パターン]の組、[100nm、横方向、4本の直線形状パターン]の組を特徴量として使用している。この例では、3つの切り出された基準パターンは明確に特徴量空間で分離されている。しかし、実際には欠陥の存在する位置の僅かな違いにより周辺のパターンが切り出された基準パターンに含まれたり含まれなかったりするので必ずしも、切り出された基準パターンが明確に分離されるわけではない。よって、似ているものを分類するクラスター分析が必要になる。
より細かく切り出し基準パターンをグループ分けするためには特徴量を細分化する必要がある。例えば、図123の様なパターンを区別するには直線形状パターンの上下方向の区別や、短長の区別をする必要がある。
本実施例によれば、「細い縦線で込み入ったパターンに欠陥が多く発生している」などの欠陥が発生する傾向が容易に把握できる。さらには、同じような形状の基準パターンごとに欠陥を分類できる。さらに、欠陥の発生原因の特定が容易になる。
5.15 画像登録対象とする欠陥の選択方法
ステップS328では、欠陥種認識部14が欠陥画像を、出力部13を介して表示装置5および印刷装置6に出力する。欠陥画像とは、欠陥が検出された検査対象パターン画像を意味する。欠陥数が非常に多くなった場合には、登録すべき欠陥画像数が膨大になり記憶媒体の量が増えて実用に向かない。そこで、欠陥画像の最大登録数を欠陥種ごとに持つようにし、この問題を解決する。
この欠陥種ごとに持つ欠陥画像の最大登録数は、静的に、前述の3.3 レシピデータ「(9)欠陥画像の最大登録数」を振り分けても良いし、動的に、これまでに検出された欠陥数を監視して既に検出された欠陥数に応じて可変にしても良い。例えば、これらの動的な最大登録数はこれまでに検出された欠陥数の対数に比例する数として決められる。
新たな欠陥画像が属する欠陥種の最大登録数になるまで新たな欠陥画像を登録する。既に登録された欠陥画像数が最大登録数に等しい場合には、欠陥サイズや他の指標に応じて新たな欠陥画像を登録するか否か判断される。登録すると判断した場合には、削除する欠陥画像を決定し、削除する。別の方法として、乱数を使って新たな欠陥画像を登録するか否か判断しても良い。
本実施例を用いれば、一種類の欠陥種の欠陥が非常に多く、他の欠陥種の欠陥が少ない場合でも、より多くの種類の画像が登録できるようになる。
5.16 再検査対象とする欠陥の選択方法
検査時の倍率などの条件とは違う高倍率な画像取得条件で欠陥対象パターン画像を再取得し再検査する場合がある。再検査は以下の手順で実施される。
(1)図22で説明したレシピ登録処理を実行する。
図22のステップS202で、オペレータは、入力装置4を介して基準パターン生成部11に、オペレータ入力パラメータを入力する。再検査する場合は、ステップS202で、オペレータは、入力装置4を介して基準パターン生成部11に、再検査用のオペレータ入力パラメータも入力する。再検査用のオペレータ入力パラメータの中の画像取得パラメータの一つである検査領域は後述の(4)で決められるので入力されない。
(2)図25または図26で説明した検査処理を実行する。
(3)検出した欠陥の中から再検査対象とする欠陥を自動的に選択する。
(4)図22で説明したレシピ登録処理を実行する。
ステップS202を実行する代わりに、前述の(1)で入力された再検査用のオペレータ入力パラメータが基準パターン生成部11に入力される。検査領域は、ランダム検査用の検査領域である。検査領域は、再検査対象とする欠陥の位置が中心である領域であり、再検査対象とする欠陥の位置から自動的に設定される。
(5)再検査として、図25または図26で説明した検査処理を実行する。
前述の(4)で説明したように再検査前に検出した欠陥の中から再検査対象とする欠陥を自動的に選択する必要がある。単純に検出した欠陥を間引いて再検査対象欠陥を選択しても良い。しかし、より多く検出された同じ欠陥種を持つ欠陥がより重要とは限らず、少なく検出された同じ欠陥種を持つ欠陥について十分に再検査したい場合もある。このような要求にかなうように、欠陥種ごとに再検査対象とする欠陥の最大登録数を決める。
これらの欠陥数は、前述の5.15 画像登録対象とする欠陥の選択方法で記述した欠陥画像の最大登録数の振り分けで使用したように、静的に、前述の3.3 レシピデータ「(10)再検査対象とする欠陥の最大登録数」を振り分けても良いし、動的に、これまでに検出された欠陥数を監視して既に検出された欠陥数に応じて可変にしても良い。例えば、これらの動的な最大登録数はこれまでに検出された欠陥数の対数に比例する持つ数として決められる。
検査終了後に再検査対象とする欠陥かそうでないかを乱数に応じて決める。すなわち、検出された全ての欠陥に対して乱数を与え、より大きい乱数をもつ欠陥ほどより重要であると判断する。もしより大きな欠陥を重点的に再検査したい場合は欠陥サイズ情報に応じた重みを付けた乱数を使用すれば良い。また、欠陥サイズ情報以外に別の指標を使って重み付けをしても良い。
本実施例を用いれば、少なく検出された同じ欠陥種を持つ欠陥も、多く検出された同じ欠陥種を持つ欠陥も、十分に再検査対象にすることができる。
5.17 半導体デバイス全体のパターン変形量の分布図表示方法
図25のステップS328、332で説明したように、検査結果が出力部13を介して表示装置5及び印刷装置6に出力されている。出力部13が検査結果を数値で出力すると半導体デバイス全体の欠陥の発生の傾向が把握しづらい。この対策として、出力部13が検査終了時に、ビットマップで表現された分布図を作成して、作成された分布図を表示装置5および印刷装置6に出力する方法が必要になる。この分布図は、前述の4.8 検査単位領域全体から得られるパターン変形量をピクセルの濃淡もしくは擬似カラー表示用のビットマップに変換して欠陥を上書きして得られる。
図124は、検査単位領域全体から得られるパターン変形量の一つである線幅の変形量を濃淡表示用のビットマップに変換して欠陥を上書きして得られる分布図の例である。格子部分は最大の線幅の変形量を持ち、ドットで示す部分はより大きな線幅の変形量を持ち、スペースで示す部分は正常な線幅の変形量をもっている。黒い正方形は欠陥を表している。図124から、より大きな線幅の変形量を持つ部分に、より多くの欠陥が発生していることが分かる。
さらに、図124のように、線幅の変形量を表示すると、ステッパーの歪やウェーハの位置に起因するパターンの変形の傾向などが視覚的に理解できる。例えば、正常に形成された周期的なパターンで構成された半導体デバイスを検査して分布図を得て、得られた分布図を観察すると、分布図の周辺の線幅が中心より太いなどの傾向が示される。この傾向からステッパーの周辺部分に歪があることが分かる。他の例として、正常に形成されたSoCを検査して分布図を得て、得られた分布図を観察すると、メモリ、ロジックなどの機能ブロックごとに線幅が異なることが理解できる。
また、検査単位領域全体から得られるパターン変形量の他の1つである線幅の標準偏差を使用すると半導体デバイスの品質が検証できる。
本実施例によれば、半導体デバイス全体の欠陥の発生の傾向が視覚的に把握できるので欠陥の発生原因の特定や半導体デバイスの品質検証に利用できる。
5.18 基準パターンの幾何学情報、設計データの情報、もしくは設計データに関連するデータの情報を使った測定値の分類方法
前述の5.17 半導体デバイス全体のパターン変形量の分布図表示方法では線幅の変形量を使用した分布図表示の例が示されている。線幅として5.3.1 ゲート線幅検査方法で説明したゲート線幅を使用すれば、ゲート線幅変形量を場所により分類して表示方法が実行できる。ゲート線幅変形量の分類方法の他の方法として、ゲート長、近接するパタ-ンまでの最小距離などに基づいてゲート線幅の変形量を分類する方法が使用できる。
図125は、ゲート長を使ってゲート線幅を分類する方法を模式的に示す図である。図125の2つのゲートは同じゲート線幅Wを持っているが、異なるゲート長L1、L2を持っている。半導体デバイスに存在する全てのゲートがこれらの2種類のゲートのどちらかである場合に、全てのゲートの線幅変形量から図125のグラフG1とG2が得られる。グラフG1はゲート長L1を持つゲートの線幅変形量の分布を表し、グラフG2はゲート長L2を持つゲートの線幅変形量の分布を表している。
理想的には得られたグラフが等しくなるべきであるが、実際は異なったグラフになる。これらのグラフの差異の原因を解明することにより、半導体デバイスの品質を向上させることが可能になる。
本実施例では、基準パターンの幾何学情報として、ゲート長、近接するパターンまでの最小距離を使った基準パターンの幾何学情報に基ずく測定値の分類方法を説明した。しかし、基準パターンの幾何学情報として、以下の情報を使った測定値の分類方法を使用しても良い。
(1)基準パターンの属性(直線部分、コーナー、終端、孤立パターンなど)
(2)近接線分、離隔線分とそれら以外の線分
(3)線幅(例:最小線幅、最小線幅を超え最小線幅×1.5未満の線幅、最小線幅×1.5以上の線幅)
また、これらの情報を組み合わせて使用することができる。
さらに、基準パターンの幾何学情報を使うのではなく、設計データの情報、もしくは設計データに関連するデータの情報が使用できる。例えば、設計データのセル名やマスクデータのセル名が使用できる。
本実施例によれば、半導体デバイスの品質向上のために、半導体デバイスの全ゲート線幅を測定し、ゲート長、近接するパターンまでの最小距離などで分類してゲート線幅を解析することが可能になる。
5.19 形成ビームで露光されたパターンの変形量
電子線マスク描画装置やレーザーマスク描画装置でホトマスクパターンを露光するために、矩形ビームなどの成形ビームを使って露光する方法がある。また、電子線を使ったウェーハ直描画装置でも同様の方法を使用している。本実施例では、矩形ビームを使って長方形を露光する例を説明する。図126は、描画装置で使われるホトマスクパターンを分割した得られた長方形を模式的に示す図である。図126に示された縦方向に延びた長方形であるホトマスクパターンRmaskを書くために、4つの長方形Rbeamを露光する。長方形Rbeamで作られる露光パターンは検査対象パターンを構成する。
成形ビームが変形して露光されることにより、ホトマスクパターンが許容パターン変形量を超えて変形することがある。従来は、製品のホトマスクパターンを露光する前にテストパターンを露光して成形ビームの変形を管理していた。しかし、製品のホトマスクパターンを露光している間の成形ビームの変化を管理する方法がなかった。
これらの課題を解決するために、次の方法を使用する。この方法では、描画装置で使われる長方形Rbeamに対応するホトマスクパターンから得られた検査対象パターン画像の第2のエッジを得て、得られた第2のエッジから描画装置で使われる長方形Rbeamで作られる露光パターンの変形量を得る。図127は、描画装置で使われる長方形に対応する検査対象パターンの第2のエッジを模式的に示す図である。図127の第2のエッジELとERは描画装置で使われる長方形Rbeamで作られる露光パターンの右側と左側の形状を表している。
描画装置で使われる長方形Rbeamで作られる露光パターンのエッジが四角形を成すと仮定して露光パターンの変形量を得る。具体的には、図127の第2のエッジELの座標値を最小自乗法によって近似して、直線LLを得る。同様に、図127の第2のエッジERから直線LRを得る。描画装置で使われる長方形Rbeamは時計回り方向に傾いた矩形ビームで露光されたことが分かる。また、図127の段差Gは、時計回り方向に傾いた矩形ビームにより発生したことが分かる。
直線LLと第2のエッジELの距離と直線LRと第2のエッジERの距離を求めて、描画装置で使われる長方形Rbeamで作られる露光パターンの局所的な変形量が得られる。図127の場所Pbumpの局所的な変形量が他の部分より大きい。また、図127の直線LLに対応する部分のエッジラフネスが、直線LRに対応する部分のエッジラフネスより大きい。前述の方法では、描画装置で使われる長方形Rbeamで作られる露光パターンのエッジが四角形を成すと仮定して露光パターンの変形量を得た。しかし、図128に示すように連続する4つの円弧など他の形状を使用しても良い。
本実施例によれば、描画装置で使われるパターンで作られた露光パターンの変形量を検出することによって、電子線マスク描画装置の評価や管理ができる。
6.画像生成装置の他の走査方法
前述の2.2 画像生成装置の走査方法で説明した走査方法以外に、以下で説明する走査方法が画像生成装置7で使用できる。
6.1 電子線の18度方向の走査方法、六角形領域の走査方法、基準パターンに基づく走査条件の自動設定方法
図129(a)および(b)は、電子線を18度方向に走査する方法を示す模式図である。図129(a)に示すパターンP1、P2は図11(a)に示すものと同一である。半導体集積回路(LSI)や液晶パネルの検査対象パターン画像の99%以上のエッジは縦方向、横方向、45度方向、もしくは−45度方向を持っている。これらのエッジの全ての方向と走査方向にできるだけ大きな角度を持たせるために、図129(b)で示す18度の走査方向が使用できる。このような走査方向を使用すれば、ほぼ全てのエッジについてのエッジ検出精度が比較的良好になる。
角度18度の走査方向は、30度方向の検査対象パターン画像のエッジについても考慮して使用している。30度方向のエッジを無視する場合は22.5度や、図14で説明したarctan(2)の角度が使用できる。またこれらの角度に45度の倍数を加えた角度が使用できる。
図130(a)から(d)は、六角形領域の走査方法を模式的に示す図である。通常のCD−SEM等の走査型電子顕微鏡においては、横方向に走査方向をとり、正方形の画像を取得するのが一般的である。しかしながら、走査型電子顕微鏡の設計の限界により、歪なく走査できる領域は真円の領域400である。従って、図130(a)に示すように真円の領域400に接する四角ブロック401を走査することになる。この場合は、四角ブロック401の上下左右部分は歪なく走査できるが走査されていないので、少々無駄が発生している。このような場合、検査領域を検査するために、図130(b)の9個の重なった部分がある四角形領域B1からB9を走査する。
図130(c)の下側に示すように、真円の領域400に接する六角形領域402を走査する場合は、より真円の領域400に近い領域を走査できるので走査領域を広げられる。六角形領域402は、以下の2方法で走査される。
第1の方法として、図130(c)の左側に示すように六角形部分の内部が走査され外部が走査されない方法が使用できる。第2の方法として、図130(c)の右側に示すように、六角形部分を含む長方形領域が走査され、長方形領域内の六角形領域402の周囲の右上・右下・左上・左下の三角形部分が検査に使わない方法が使用できる。これらの方式を使用すれば、図130(b)で示した検査領域と同じ領域を走査するために、図130(d)に示す六角形領域B1からB7が走査されるので走査回数が低減できる。
図131は、基準パターンに基づく走査条件の自動設定方法を示す模式図である。走査条件の自動設定方法として以下の方法が使用できる。
(1)ブロック(D)に示すように、走査領域に検査対象パターンがない場合、その走査領域を走査しない方法
(2)検査対象パターンの線幅に応じて、走査の条件を設定する方法
ブロック(A)の検査対象パターンPaの線幅は、ブロック(B)の検査対象パターンPbの線幅の半分である。検査対象パターンの線幅分の変化率を検出する場合はブロック(A)の走査の倍率は、ブロック(B)の走査の倍率の2倍の倍率が設定される。
(3)基準パターンの線分の方向によって、走査の方向の条件を決定する方法
ブロック(A)の検査対象パターンPaが縦・横方向の線分を持つため、45度の走査が1回行われる。また、ブロック(C)の検査対象パターンPcが45度方向と135度方向の2方向の線分を持つので、45度方向と135度方向の2回の走査が行われる。
本実施例を使用すれば、検査対象パターンの画像を得るために、最小限度の電子線(荷電粒子線)を走査すればよいので、最小の時間で検査対象パターンの画像を得ることができる。また、走査可能なエリアを最大限に広げることで走査回数が低減できる。更に走査方向に依存するエッジの検出精度の低下を防ぐために、基準パターンを使って最適な走査方向を設定することができる。
6.2 画像生成装置における電子線の走査経路
図132および図133は、画像生成装置7における電子線の走査経路を説明する模式図である。図132および図133の上側に示される発振器410、カウンター411、X偏向発生回路412、Y偏向発生回路413は偏向制御装置318を構成する回路である。制御コンピュータ350は、開始電圧、終了電圧、ステップ電圧をX偏向発生回路412、Y偏向発生回路413にセットする。また、制御コンピュータ350は、開始信号を発振器410に出力する。
従来の走査において、検査対象パターンはピクセルごとにX方向の階段状の偏向をすることにより走査される。また、ラインごとにY方向の階段状の偏向をすることにより走査される。しかしながら、このような従来の方法においては、走査線の間の情報の取得ができないことにより、エッジ検出精度が低下しがちである。図132に示すように、本実施例においては、走査線の間の情報の取得ができるようにするために、Y偏向にサイン波のような振幅を持った信号を付加することによって走査線間のデータをとる(図132の左下側部分参照)。
ここで、図示のように4点のデータをサンプリングする(図132の右下側部分参照)。この場合、サインの一周期の間でY偏向について広がったデータが取得できる。この4点のデータを加算して一つのピクセルの情報として制御コンピュータ350に転送するようになっている。
図132の上側に示すように、出力周波数に対して4倍の周波数である内部周波数を持つ発振器410をカウンター411に接続する。カウンター411は、X偏向発生回路412とY偏向発生回路413に接続されている。このような構成によって、内部周波数のクロックを使って、X偏向については階段状の右上がりの波形を、Y偏向についてはサイン波を発生させる。4点のデータを内部周波数でサンプリングし、その4点のデータを加算して実際のピクセルに対応するサンプリングデータとして生成する。
他の方法として、図133に示されるように、前述の方法によるY偏向の波形と、X偏向における階段状の波形を発生することにより、ジグザグ状の走査経路を作っても良い。
図134は、垂直方向の走査に対してフィルタをかけた場合を説明する模式図である。Aは、横方向に近接するピクセルであり、2次電子検出器330の光電倍増管、オペアンプによりスムージングされる。一方、Bは、縦方向に近接しているが前述のようにスムージングされない。そこで縦方向にスムージングフィルタをかけて縦方向と横方向の画質の違いを低減する。図134では最も単純なフィルタ係数を示しているが、横方向の周波数特性に合うように、最適なフィルタ係数が適宜選択されるものである。
本実施例によれば、走査経路を変えることによって走査線間のデータをとる方法、もしくはフィルタをかける方法等で、X方向とY方向の画質の僅差を極力低減することができる。
6.3 検査対象パターンのエッジの近傍部分のみの走査方法
検査対象パターンのエッジの近傍部分のみを走査するような方法によって画像取得時間を短縮する方法が必要とされる。また、電子線を検査対象パターンのエッジの方向に直交させて走査させることにより、エッジ検出精度を向上する方法が必要とされる。
図135は、検査対象パターンのエッジの近傍のみの走査方法を示す模式図であり、図136は検査対象パターンのエッジの近傍のみの走査方法の手順を示すフローチャートである。図135に示す例においては、副偏向発生回路450,回転回路451,X主偏向発生回路452、およびY主偏向発生回路453を設けている。
検査対象パターンのエッジの近傍のみの走査を実現する方法は以下の手順で実施される。
(1)第2のエッジを検出するために使用するプロファイル取得区間を基準パターンより求め、プロファイル取得区間に関する情報を予め登録しておく。この情報は、プロファイル取得区間の中央点の位置、方向と長さを持っている。
(2)制御コンピュータ350が1つのプロファイル取得区間に関する情報を取り込む。
(3)制御コンピュータ350がプロファイル取得区間中央点の位置をX主偏向発生回路452とY主偏向発生回路453に設定する。これにより、ビームの中心位置が移動する。
(4)プロファイル取得区間の方向に対応する走査回転角を回転回路451に設定し、プロファイル取得区間の長さに対応する振幅を副偏向発生回路450に設定する。
(5)開始信号を発振器410に与えて、発振器410に接続されたカウンター411でX方向とY方向の走査波形を発生する。これに、X主偏向発生回路452とY主偏向発生回路453の出力を加算することにより、図135の上中央部に示すような走査経路が作られる。
(6)この走査経路は、サンプリングデータを得るために、図135の上右側に示すような7点のサンプリングが施される。
図137は検査対象パターンのエッジの近傍のみを走査する場合のサンプリングデータの取得順序付けの方法を示す図である。サンプリングデータの取得順序付けの方法の第1の方法として、図137(a)に示すように、与えられた間引き率で測定点をとばしながらサンプリングされる方法が使用できる。また、サンプリングデータの取得順序付けの方法の第2の方法として、図137(b)に示すように乱数などによりランダムにサンプリングされる方法が使用できる。これらの方法によれば、試料の帯電現象によるプロファイルの変形が低減できるので、絶縁物の計測に向いている。試料の帯電現象が無視しうる場合は、基準パターンを一周するように逐次サンプリングしても良い。
本実施例によれば、高速で走査ができエッジ検出精度が向上する。また、試料の帯電現象による影響を少なくすることが可能になる。
6.4 領域検査の対象になる領域の近傍部分のみの走査方法
前記の5.2 領域検査方法を使用する場合は、領域検査の対象になる領域の近傍部分のみを走査する方法によって画像取得時間を短縮することができる。また、走査の方向と検査対象パターンのエッジの方向が直交するようにできるので、エッジ検出精度を向上できる。
図138は、線幅検査の対象になる領域の近傍部分を得る方法を模式的に示す図である。以下の手順で図138(b)もしくは(c)で示す領域検査の対象になる領域の近傍部分を求めて、得られた近傍部分を走査する。
(1)線幅検査に適した基準パターンKを得る。基準パターンKは図138(a)の実線と二重線で示される長方形で、図84の線幅検査用基準パターンAと線幅検査用基準パターンBと同じものである。
(2)基準パターンKを元に検出すべき全ての第2のエッジに必要なプロファイル取得区間を含む最小の長方形が走査部分として得られる。
具体的には、基準パターンKを含む最小の長方形Rを求める。この長方形Rの右側と左側の線分それぞれにプロファイル取得区間が設定されることになる。
図138(b)では、長方形Rの右側と左側の線分それぞれをプロファイル取得区間の長さLだけ基準パターンKの外側に移動させて得られた長方形Sa、Sbが走査部分になる。走査部分は長方形内に矢印が4本書かれたものであり、矢印は走査の方向を示している。
図138(c)では、長方形Rをプロファイル取得区間の長さLだけ膨らませて得られた長方形が走査部分Scになる。この方法では、左右の両方の検査対象パターンのエッジに対してパターンの内側から外側に入る走査ができないが1つの走査領域ですむ利点がある。
スペース幅検査についても同様に走査領域を決めることができる。
本実施例によれば、画像取得時間を短縮することができる。また、走査の方向と検査対象パターンのエッジの方向が直交するようにできるので、エッジ検出精度を向上できる。
6.5 連続ステージを使ったインターレース走査および画像加算走査方法
検査速度を向上させるために、連続移動ステージを使用しラインセンサーで検査対象パターン画像を取得する方法がある。しかし、この方法では、インターレース走査画像もしくは画像加算走査により、検査対象パターン画像を取得することができない。画像加算走査とは、同じ走査線を2回以上走査して加算画像を得る走査を意味する。
この問題を解決するために、図139で示すように、ステージ位置を偏向器にフィードバックすることにより、連続ステージを使ったインターレース走査もしくは画像加算走査方法を使用する。図139は図132と同じであるが、以下の項目が異なっている。
(1)XYステージ制御装置322は等速移動を管理するためにXYステージ321のXとYの位置をモニターしながらXYステージ321の速度を調整する。
(2)XYステージ制御装置322がXYステージ321のXとYの位置をX偏向発生回路412とY偏向発生回路413にフィードバックする。
(3)図132では、カウンター411が1つの視野に対するX方向とY方向の走査波形を発生させる信号を出力しているが、図139では連続した視野に対するX方向とY方向の走査波形を発生させる信号を出力している。
(4)X偏向発生回路412とY偏向発生回路413は、カウンター411が出力した信号(連続した視野に対するX方向とY方向の走査波形を発生させる信号)から、XYステージ制御装置322から得たXYステージのXとYの位置を減算して、X偏向器313とY偏向器314に、前記減算の結果を出力する。
6.5.1 連続ステージを使ったインターレース走査方法
図139の構成を使用して図140で示すように、45度左下方向のインターレース走査を考察する。ここでは、以下の記号を使用する。
Sp: 走査線の間隔
Ls: 走査線のX方向の長さ
Ni: 走査線L1から走査線L2の間の走査線の本数、実施例では、走査線の本数Niは、2本である。
Nc:走査線L1から走査線L1の次である走査線L5までに走査した走査線の本数、実施例では、走査線の本数Ncは、4本である。
平行四辺形領域が、走査線L1から、走査線L8まで走査されて、検査対象パターン画像が取得される。
図141は、図140で示されるインターレース走査を実施する場合に、XYステージ321が試料を下方向に連続移動しながら、X偏向器313とY偏向器314が出力する走査波形を示す図である。図141の境界A、B、C、Fは、走査波形を表す座標系での位置である。
走査線L4を走査するためにY偏向器314はY方向に境界Fまで走査しなければならない。走査線L5を走査するためにY偏向器314はY方向に境界Bまで走査しなければならない。また、45度左下方向を走査するためにY偏向器314はY方向に境界Cまで走査しなければならない。ここで、図示を簡単にするために走査線中の試料の移動を無視しているので、この移動量である走査線の間隔Spだけ境界Cを広げる必要がある。以上を合計するとY偏向器314はY方向に、(2(Ni-1)(Nc-1)+1)Spの幅を走査しなければならい。
画像取得装置317は、2次電子検出器330で検出した2次電子の強度を図142で示されるフレームバッファの図141の走査線に対応する位置に格納する。フレームバッファに1画像として出力すべき全ての検出された強度が格納されたら、画像取得装置317は制御コンピュータ350を介して検査部12へこれらの検出された強度を出力する。図142の長方形I1とI2は1画像として出力される強度を示している。
6.5.2 連続ステージを使った画像加算走査方法
図139の構成を使用して図143で示すように、45度左下方向の画像加算走査を考察する。ここでは、以下の記号を使用する。
Sp: 走査線の間隔
Ls: 走査線のX方向の長さ
Na: 画像加算回数、実施例では、画像加算回数Naは、2回である。
平行四辺形領域が、走査線L1から、走査線L8まで走査されて、検査対象パターン画像が取得される。走査線L1とL5は同じ走査線である。同様に、走査線L2とL6、走査線L3とL7、走査線L4とL8は、それぞれ同じ走査線である。
図144は、図143で示される画像加算走査を実施する場合に、XYステージ321が試料を下方向に連続移動しながら、X偏向器313とY偏向器314が出力する走査波形を示す図である。図144の境界A、B、C、Fは、走査波形を表す座標系での位置である。
走査線L4を走査するためにY偏向器314はY方向に境界Fまで走査しなければならない。走査線L5を走査するためにY偏向器314はY方向に境界Bまで走査しなければならない。また、45度左下方向を走査するためにY偏向器314はY方向に境界Cまで走査しなければならない。ここで、図示を簡単にするために走査線中の試料の移動を無視しているので、この移動量である走査線の間隔Spだけ境界Cを広げる必要がある。以上を合計するとY偏向器314はY方向に、(2・Nc/Na・Sp)の幅を走査しなければならない。
画像取得装置317は、2次電子検出器330で検出した2次電子の強度を図145で示されるフレームバッファの図144の走査線に対応する位置に加算する。図145の線分(L1,L5)は、走査線L1とL5を走査して検出した2次電子の強度が加算されるフレームバッファの位置を示し、線分(L2,L6)は、走査線L2とL6を走査して検出した2次電子の強度が加算されるフレームバッファの位置を示している。
フレームバッファに1画像として出力すべき全ての検出された強度が加算されたら、画像取得装置317は制御コンピュータ350を介して検査部12へこれらの加算された強度を画像加算回数Naで割ってから出力する。図145の長方形I3は1画像として出力される強度を示している。
本実施例によれば、連続移動ステージを使用し、XYステージ位置を偏向器にフィードバックすることにより、インターレース走査もしくは画像加算走査による検査対象パターン画像を取得することが可能になる。この結果、検査速度を向上させることができる。
7.検査対象パターン画像の補正方法
7.1 検査対象パターン画像の歪量の検出による基準パターンおよび検査対象パターン画像のうち少なくとも一つの補正方法
ステージ移動による試料の回転などにより検査対象パターン画像が回転することがある。また、帯電現象などによりスキューを含む回転や倍率変化などの検査対象パターン画像の歪を受けることがある。この検査対象パターン画像の歪によりこの検査対象パターン画像の歪量以下の微細な欠陥を検出することができない。この検査対象パターン画像の歪は、時間的に不連続に発生し、予測が困難である。よって、画像取得時点で毎回検査対象パターン画像の歪量を検出して検査対象パターン画像を補正する方法が必要である。
図146には、歪を持った検査対象パターン画像が模式的に示されている。点線で示されている線分が基準パターンを模式的に示し、エッジ間のベクトルd(x,y)の先頭が検査対象パターン画像のエッジを模式的に示している。基準パターンと検査対象パターン画像のエッジはマッチングされている。しかし平行移動のみを行うマッチングでは、回転や倍率変化などの歪は誤差として残る。
まず、このマッチングの誤差を以下のアフィン変換を使って集計する。アフィン変換とはaからfの係数を使った1次変換を意味する。
Figure 0004787673
この変換式で(x,y)は基準パターンのある点の座標値であり、(X,Y)は前述の点に対応する検査対象パターン画像のエッジの座標値である。また、係数a、b、dとeは、スキューを含む回転と倍率の違いを表現している。もし、スキューを補正する必要がなければ、次の行列が直交行列になるように制限をつける。
Figure 0004787673
また、倍率の補正をする必要がなければ、この行列が回転行列になるように制限をつける。
この変換式で、係数cとfは、シフト量を表している。図146の例ではシフト量は0になる。
図147は、右上の副検査単位領域を用いてマッチングを実施する方法を示している。副検査単位領域とは検査単位領域を分割した領域として定義される。検査単位領域が大きい場合は、副検査単位領域を使うマッチングは、検査単位領域全体を使うマッチングより大幅に高速である。この場合は、右上以外の副検査単位領域の係数cとfは、一般に0にはならない。
係数aからfは以下の手順で求める。
(1)図146に示すようにパターン変形量と検査対象パターン画像の歪量の和を表すベクトルd(x,y)を得る。ベクトルd(x,y)は図60のエッジ間のベクトルd(x,y)と同じである。
(2)各ベクトルd(x,y)の成分(dx(xi,yi),dy(xi,yi))(iは1からデータ数)を使って最小二乗法で係数aからfを求める。(xi,yi)は基準パターンの点の座標値である。この点に対応する検査対象パターン画像のエッジ位置座標値は、(xi+dx(xi,yi),yi+dy(xi,yi))である。よって、データの誤差の自乗和Eは下記で計算される。
Figure 0004787673
ここで、Σは、全てのiについての総和を表す。
最小自乗法は、データの誤差の自乗和Eの係数a、b、c、d、eとfによる偏微分が0であることを要請する。
Figure 0004787673
これらの式から
Figure 0004787673
を得る。以上の連立一次式を解けば係数a、b、c、d、eとfが得られる。以上の処理は図25から図27で示されたフローチャートのステップS314とステップS318の間で実行される。以降、この処理をステップS316とする。
この方法で得られた係数a、b、c、d、eとfを使う検査対象パターン画像の補正方法は図148に示すように3つの方法が使用できる。
(1)補正方法1
係数a、b、c、d、eとfをつかって基準パターンを補正する。次にステップS314以降の処理を行う。ただし、ステップ316は実行しない。
(2)補正方法2
係数a、b、c、d、eとfをつかって検査対象パターン画像を補正した後に、エッジを再び検出する。この場合は、アフィン変換で記述した式の逆変換の式を使用する。次にステップS310以降の処理を行う。ただしステップS316は実行しない。
(3)補正方法3
各ベクトルd(x,y)を成分表示した(dx(xi,yi),dy(xi,yi))を係数a、b、c、d、eとfをつかって以下の式で補正する。
Figure 0004787673
次にステップS318をとばしてステップS320以降の処理を実行する。ステップS320では、以上で得られた補正された各ベクトルd(x,y)を図60のエッジ間のベクトルd(x,y)として使用する。
前記補正方法1と前記補正方法2は正確に検査対象パターン画像の歪量を補正できるが計算量が大きい。一方、前記補正方法3はベクトルd(x,y)の角の部分に若干正確性がないが計算量が少ない。この誤差は、実用上無視しうることが多い。
本実施例ではアフィン変換を用いた方法を使用したが他の変換式を用いても良い。例えば、xi,yiの2次の項を使った変換式を使用することができる。しかし、より複雑な変換式は実際に発生しているパターン変形量を無視することになるので注意が必要である。
本実施例によれば、検査対象パターン画像の歪量の線形量を検出して、検査対象パターン画像を補正することができる。この結果、欠陥として検出する必要のない歪量を無視することができて擬似欠陥の発生を防止できる。
前述のスキューを含む回転や倍率変化の検出方法を画像生成装置7の回転、倍率調整に使用することができる。この調整は、前述の検査方法における検査前、もしくは検査中の適当な時点で実施される。この場合は、アフィン変換の係数a、b、dとeを画像生成装置7の回転、倍率調整用の調整値に変換して、これらの調整値を画像生成装置7に設定する。
7.2 検査対象パターン画像の補正方法を使用した画像加算方法
検査対象パターン画像の画質を向上する方法として、画像を加算する方法が良く知られている。しかし、帯電しやすい試料上に形成された検査対象パターンの画像を連続して取得する場合は、取得された画像が徐々に歪むので、単純に取得された画像を加算してもシャープな画像が取得できない。
この問題を解決するために、検査対象パターン画像の補正方法を使用した画像加算方法を使用する。図149は、前述の方法を模式的に示した図である。
図149では、前述の7.1 検査対象パターン画像の歪量の検出による基準パターンおよび検査対象パターン画像のうち少なくとも一つの補正方法で説明した補正方法2を使用して、取得された画像を補正する。次に、補正された画像を加算して加算画像を得る。
本実施例を使用すれば、徐々に歪んだ画像を加算しても、シャープな加算画像が取得できる。
7.3 検査対象パターン画像の第1のエッジの分布を使った検査対象パターン画像の歪量の取得方法
前述の7.1 検査対象パターン画像の歪量の検出による基準パターンおよび検査対象パターン画像のうち少なくとも一つの補正方法では、基準パターンと検査対象パターン画像のエッジ間のベクトルd(x,y)を使用して検査対象パターン画像の歪量を取得した。しかし、検査対象パターン画像の歪量が大きい場合は、図150で示すように、許容パターン変形量以上の長さのエッジ間のベクトルd(x,y)が得られないので、検査対象パターン画像の歪量が正確に求められないことがある。このような場合は検査対象パターン画像の第1のエッジの分布を使った検査対象パターン画像の歪量の取得方法が使用できる。
図150で、基準パターンは主に縦方向の線分を持っている。また、検査対象パターン画像の第1のエッジベクトルは、主に、90度から少し違った角度を持っている。本実施例ではエッジ(ベクトル)として4.1.2 第1のエッジ検出方法2で説明したエッジが明るくパターン内部と下地との間にコントラストがない画像から検出されるエッジを使って説明する。この場合は、エッジは0度から180度の角度を持つ。4.1.1 第1のエッジ検出方法1で説明したパターン内部と下地との間にコントラストがある画像も同様の方法で使用できる。
まず、検査対象パターン画像の回転補正を以下の手順で実施する。
(1)ここでは、検査対象パターン画像のエッジのX、Y成分が0から15の値を持つ場合を考察する。縦方向の検査対象パターン画像のエッジの回転角度θxを求めるために検査対象パターン画像のエッジベクトルの成分が(0,15)、(1,15)および(-1,15)であるものの頻度F(0,15)、F(1,15)およびF(-1,15)を求める。これらの頻度が図151で示されている。
(2)頻度F(0,15)、F(1,15)とF(-1,15)から以下の比R(1)とR(-1)を求める。
Figure 0004787673
頻度F(0,15)、F(1,15)とF(-1,15)は正規分布を成すと仮定する。図151は、正規分布の中心を得る方法を模式的に示す図である。図151で示すように、比R(1)とR(-1)に対応する正規分布の位置X(1)とX(-1)を求める。X(1)とX(-1)は正規分布の中心からの距離で正の値である。X(1)とX(-1)はエッジのX成分0.5と-0.5に対応するので頻度の分布の中心は以下のXcになる。
Figure 0004787673
よって、縦方向の検査対象パターン画像のエッジの回転角度θxは以下になる。
Figure 0004787673
(3)横方向の検査対象パターン画像のエッジの回転角度θyを求めるために、前述の(1)と(2)の中のX成分とY成分を反転した計算を実施する。図152は、画像回転角度θx、θyを示す図である。
(4)以下のように、画像回転角度θxとθyからアフィン変換の係数a、b、dとeを求める。
Figure 0004787673
次に検査対象パターン画像の倍率補正を以下の手順で実施する。
(5)検査対象パターン画像の横方向の倍率Mxを求めるために、基準パターンを成す線分で縦方向の線分を抽出する。図153(a)で示すように、抽出された線分を水平軸(X軸)に射影して1次元データを作成する。この1次元データは配列の形でインデックスはX座標値で要素は線分の長さになる。(4.2.3 エッジの水平軸垂直軸への射影データを使ったマッチング方法参照)
(6)検査対象パターン画像のエッジベクトルのX,Y成分が(0,15)、(1,15)および(-1,15)であるベクトルの中点を前述(4)で得られたアフィン変換の係数aからfを使って変換する。係数cとfは変換後の検査対象パターン画像の中心が変換前の検査対象パターン画像の中心に等しくなるように選らぶ。図153(b)で示すように、変換されたベクトルの中点を水平軸(X軸)へ射影して1次元データを作成する。この1次元データは配列の形である。配列のインデックスはX座標値であり、配列の要素の値は変換されたベクトルの中点に対応するエッジベクトルのY成分になる。
得られたエッジの射影データの分布は明確に分離している。しかし、回転補正せずにエッジの射影データを得るとエッジの射影データの分布は明確に分離しない。したがって、回転補正、倍率補正の順が適当である。
(7)前述の4.2.3 エッジの水平軸垂直軸への射影データを使ったマッチング方法では、上方向(縦方向)エッジの水平軸への射影データを図46に示すX方向の範囲の中をシフトさせながら、上方向(縦方向)のエッジの水平軸への射影データと上方向(縦方向)線分の水平軸への射影データとのX方向のマッチング誤差値Epmを計算している。検査対象パターン画像の横方向の倍率Mxを求めるために、図153(c)で示すように、この計算を以下の複数の射影データに実施する。
各複数の射影データは前述の上方向(縦方向)のエッジの水平軸への射影データから1次補間法を使って倍率Mxcand倍に変換して得られる。各倍率Mxcandは求めたい倍率Mxの範囲にあり、倍率Mxcandの間隔は倍率Mxの精度に対応している。各倍率Mxcand倍に変換して得られた射影データからマッチング誤差値Epmを求める。得られたマッチング最小の誤差値Epmの中で最も小さいマッチング誤差値Epmを求める。得られたマッチング誤差値Epmに対応する倍率Mxcandを検査対象パターン画像の横方向の倍率Mxとする。
(8)検査対象パターン画像の縦方向の倍率Myを求めるために、前述の(5)から(7)の計算のX成分とY成分を反転した計算を実施する。
(9)以下のように、画像回転角度θx、θy、倍率Mx、Myからアフィン変換の係数a、b、dとeを求める。
Figure 0004787673
(10)前述のアフィン変換の係数aからfを使って検査対象パターン画像を変換する。係数cとfは変換後の検査対象パターン画像の中心が変換前の検査対象パターン画像の中心に等しくなるように選らぶ。
(11)変換された検査対象パターン画像を使って、前述の7.1 検査対象パターン画像の歪量の検出による基準パターンおよび検査対象パターン画像のうち少なくとも一つの補正方法で説明された補正方法2を実施する。この場合は、補正する画像は前述の(10)で変換された検査対象パターン画像ではなく、変換前の検査対象パターン画像を使用する。よって、補正方法2で使用されるアフィン変換の係数は前述の(10)で得られたアフィン変換の係数に7.1 検査対象パターン画像の歪量の検出による基準パターンおよび検査対象パターン画像のうち少なくとも一つの補正方法で得られたアフィン変換の係数を行列計算として乗じて得られる。この方法によれば、アフィン変換が1度ですむので検査対象パターン画像の劣化がすくない。
本実施例では、検査対象パターン画像のエッジのX、Y成分が0から15の値を持つ場合を考察した。より精度が必要な場合は、検査対象パターン画像のエッジのX、Y成分がより15より大きな値をもつようにすれば良い。また、画像回転角度θx、θyが大きい場合は、計算に使用した検査対象パターン画像のエッジベクトルのX、Y成分(0,15)、(1,15)および(-1,15)以外のX、Y成分、例えば、(2,15)と(-2,15)を使用して計算すれば良い。
本実施例によれば、基準パターンと検査対象パターン画像のエッジ間のベクトルが得られないような検査対象パターン画像の歪量が大きい場合にも検査対象パターン画像の歪量を求めて検査対象パターン画像を補正することが可能になる。特に、本実施例は、非常に帯電しやすい試料の検査や、画像生成装置7の回転、倍率調整などの場合に有効である。
7.3.1 検査対象パターンの直線部分の画像の第1のエッジの分布取得方法
前述の7.3 検査対象パターン画像の第1のエッジの分布を使った検査対象パターン画像の歪量の取得方法では、検査対象パターンのコーナー部分の画像の第1のエッジの部分が対称であることを前提としている。図154は、検査対象パターンのコーナー部分の画像の第1のエッジの分布が非対称な例を模式的に示す図である。図154の場所Aに存在する第1のエッジの分布は対称であるが、図154の場所Bに存在する第1のエッジの分布は非対称で左上方向に偏っている。この非対称が前述のパターン画像の歪量の取得の精度に影響する。この問題を解決するために、検査対象パターンの直線部分の画像に存在する第1のエッジから第1のエッジの分布を得る。
図155は、検査対象パターンのコーナー部分の画像に存在する第1のエッジを認識する方法を模式的に示す図である。図155の白い丸は、検査対象パターン画像の第1のエッジを表している。第1のエッジは連結されている。連結の方法として、[文献2]:“Cartan Steger. An unbiased detector of curvilinear structures”, IEEE Trans. Pattern Anal. Machine Intell., 20(2), February 1998に開示の方法などが使用できる。
次に、連結された第1のエッジを多角形近似する。多角形近似の方法としてRamerの方法を使用する。まず、最も左下にある第1のエッジAと最も右上にある第1のエッジBを求める。得られた第1のエッジA,Bを多角形の頂点として登録する。次に、第1のエッジAから第1のエッジBの間にある第1のエッジあって線分ABからの距離Dcがもっとも遠い第1のエッジCを求める。線分ABから第1のエッジCまでの距離Dcが予め決められた距離Dlより長い場合は、第1のエッジCを多角形の頂点として登録する。同様に、第1のエッジBから第1のエッジAの間にある第1のエッジであって線分BAからの距離Ddがもっとも遠い第1のエッジDを多角形の頂点として登録する。以上の処理を頂点が登録出来なくなるまで繰り返す。予め決められた距離Dlはノイズ量を考慮して決められる。
次に、得られた多角形の頂点に対応する第1のエッジ、及び、得られた多角形の頂点に対応する第1のエッジの近傍に存在する第1のエッジを、検査対象パターン画像のコーナーに存在する第1のエッジとして認識する。得られた頂点の近傍に存在する頂点の数Nnはコーナーの丸みを考慮して決められる。検査対象パターンのコーナーに存在する第1のエッジ以外の第1のエッジを検査対象パターンの直線部分の画像に存在する第1のエッジと認識する。図156は、検査対象パターンの直線部分の画像に存在する第1のエッジを認識する方法を模式的に示す図である。図156では、得られた多角形の頂点に対応する第1のエッジの近傍に存在する頂点の数Nnが、1の場合の処理の結果を示している。得られた多角形の頂点に対応する第1のエッジの近傍に存在する頂点は黒丸(●)で示されている。検査対象パターンの直線部分の画像に存在する第1のエッジから第1のエッジの分布を得る。
本実施例によれば、検査対象パターンの直線部分の画像に存在する第1のエッジから第1のエッジの分布を得られるので、コーナー部分の第1のエッジの分布が非対称であっても、この非対称が原因で起こるパターン画像の歪量の取得の精度の低下が防止できる。
7.4 非線形画像歪補正方法
広視野の画像生成装置7は、7.3 検査対象パターン画像の第1のエッジの分布を使った検査対象パターン画像の歪量の取得方法で使用したアフィン変換では調整できないような検査対象パターン画像の歪を持つことがある。これらの検査対象パターン画像の歪量はザイデルの5収差が引き起こす。最も重要な検査対象パターン画像の歪の一つに非線形画像歪がある。この非線形画像歪を補正するために、図157から図162で示す調整方法が使用できる。
図157に示すように、非線形画像歪は検査対象パターン画像の中心部では無視しうるが、検査対象パターン画像の周辺部分では無視できない。本方法は、検査対象パターン画像から歪ベクトルを得てから、得られた歪ベクトルを代表歪ベクトルに変換し、得られた代表歪ベクトルを使って各走査点の歪補正ベクトルを計算する方法である。得られた歪補正ベクトルは図158で示す偏向制御装置318で使用される。図158は図132と同じであるが、歪補正ベクトル計算回路414が追加されている。歪補正ベクトル計算回路414には制御コンピュータ350によって代表歪ベクトルが設定される。歪補正ベクトル計算回路414はカウンター411からの信号に同期して歪補正ベクトルを計算し、歪補正ベクトルのXY成分をX偏向発生回路412とY偏向発生回路413に出力する。
図159では、歪補正ベクトル計算回路414が代表歪ベクトルを使って歪補正ベクトルを計算する方法が示されている。図159では、XY座標系としてX偏向電圧、Y偏向電圧を使っている。代表歪ベクトルは、X方向間隔およびY方向間隔ごとに、図159の黒丸(●)で示される位置に設定される。これらの間隔は、前述の3.3 レシピデータ「(12)歪補正回路が持つ代表歪ベクトルの間隔」(走査点間のステップ電圧を単位とした間隔)に等しい。ここでは簡便さのために、XY方向とも同じ間隔8を使う方法を説明する。
図159の走査点の歪補正ベクトルCd(x,y)を計算するために、代表歪ベクトルRd [0,0]、Rd [8,0]、Rd [0,8]、Rd [8,8]を使う以下の双一次補間式が使用される。
Figure 0004787673
ここで、(x,y)はカウンター411によって決められる走査点の座標である。また、添え字[x,y]の付いた変数は、走査点の座標(x,y)に関する変数であることを意味している。
歪ベクトルから代表歪ベクトルを計算する方法を説明する。まず、検査対象パターン画像の中心部で基準パターンと検査対象パターン画像のエッジとをマッチングする。この方法に適した基準パターンは、図157の点線で示されている基準パターンのように、周期的に存在する単純なパターンである。
図160(a)では長方形領域内部の点の歪ベクトルから長方形領域の各頂点の代表歪ベクトルを計算する方法が示されている。計算方法として前述の双一次補間が使用されている。図160(a)は、図159と同じであるが、走査点の歪補正ベクトルの代りに歪ベクトルd(x,y)が用いられていることが異なる。歪ベクトルd(x,y)は、始点が基準パターン上の点で、終点が前記基準パターン上の点に対応する検査対象パターン画像のエッジ上の点であるベクトルとして定義される。歪ベクトルd(x,y)は、図60のエッジ間のベクトルd(x,y)と同じである。
点(x,y)の歪ベクトルd(x,y)のX成分とY成分の計算方法は同じであるので、歪ベクトルd(x,y)のX成分もしくはY成分をz(x,y)で表して説明する。同様に、代表歪ベクトルRd [0,0]、Rd [8,0]、Rd [0,8]、Rd [8,8]のX成分もしくはY成分をそれぞれrz [0,0]、rz [8,0]、rz [0,8]、rz [8,8]で表すことにする。よってz(x,y)は次の式で表現される。
Figure 0004787673
rz [0,0]、rz [8,0]、rz [0,8]、rz [8,8]を、長方形領域に存在する十分に多い数のデータ(xi,yi,zi)を使って最小自乗法で求める。xi,yiは走査点のX、Y座標値を、ziは求められた歪ベクトルd(x,y)のX成分もしくはY成分を意味する。誤差の自乗和Eは下記で計算される。
Figure 0004787673
ここでΣ[0,0]は長方形領域(Ps [0,0],Ps [8,0],Ps [0,8],Ps [8,8])に存在する全てのデータに対する総和である。添え字[0,0]は長方形領域の左下の点Ps [0,0]が持つ添え字[0,0]を意味している。
最小自乗法は、誤差の自乗和Eのrz [0,0]、rz [8,0]、rz [0,8]、rz [8,8]による偏微分が0であることを要請する。
Figure 0004787673
これらの式から
Figure 0004787673
を得る。ここで以下の記号を使用した。
Figure 0004787673
以上の連立一次式を解けば解が得られる。
図160(b)で示されるように、X成分で求められた歪ベクトルd(x,y)とY成分で求められた歪ベクトルd(x,y)を合成して得られた合成歪ベクトルはこの場所の歪ベクトルに正確には一致しない。この誤差を低減するためには、以上の実施例を繰返して実施すればよい。前述の双一次補間式(再度以下に示す)は、rz [0,0]、rz [8,0]、rz [0,8]、rz [8,8]について線形である。よって2回目以降の繰り返し計算で得られた、rz [0,0]、rz [8,0]、rz [0,8]、rz [8,8]の値をこの計算前のrz [0,0]、rz [8,0]、rz [0,8]、rz [8,8]の値に加算する。以上で得られた値を補正に使用する。
Figure 0004787673
複数の長方形領域を使用する方法に拡張するには、以上の計算を複数の長方形領域に適用すればよい。この方法を図161の4つの長方形領域
(Ps [0,0],Ps [8,0],Ps [16,0],Ps [0,8],Ps [8,8],Ps [16,8],Ps [0,16],Ps [8,16],Ps [16,16]
を使用する場合を例に説明する
まず、前式を単純化して表現する。
Figure 0004787673
ここで以下の記号を使用した。
Figure 0004787673
ここで添え字00はΣ[0,0]の添え字を意味している。
4つの長方形領域のデータについての誤差の自乗和Eは下記で計算される。
Figure 0004787673
これらの式から
Figure 0004787673
Figure 0004787673
Figure 0004787673
を得る。以上の連立一次式を解けば解が得られる。
次に、代表歪ベクトルの近傍のデータである(xi,yi,zi)からX方向とY方向の検査対象パターン画像の倍率の変化を求める。ここではX方向の倍率の変化率amagの求め方を示す。倍率の変化率amagが1を持つ部分は非線形画像歪のない中心部分と同じ倍率で観察され、倍率の変化率amagが1より大きい値を持つ部分は非線形画像歪のない中心部分より高い倍率で観察されている。ziを歪ベクトルd(x,y)のX成分、シフト量をScとすると下記の式が成り立つ。
Figure 0004787673
データ数が3以上の場合は、最小自乗法で解かれる。誤差の自乗和Eは
Figure 0004787673
である。ここで、Σはすべてのデータ(xi,yi,zi)に対する総和を意味する。最小自乗法は次の式を要求する。
Figure 0004787673
以上の式を解くと以下を得る。
Figure 0004787673
Figure 0004787673
以上から次の式を得る。
Figure 0004787673
ここでNはデータ数を表す。得られた倍率の変化率amagは代表歪ベクトルに乗ぜられて倍率の変化を補正する。
図162(a)および図162(b)は歪補正ベクトル計算回路414が歪補正ベクトルを偏向電圧に変換する方法を示している。図162(a)および図162(b)では、縦軸は電子線が走査されるX方向の位置を表している。縦軸の原点は検査対象パターン画像の中心を表している。縦軸の上部は検査対象パターン画像の周辺部を表している。また、横軸はX偏向発生回路が作る電圧を表している。横軸の目盛りが走査点に与える電圧を意味している。目盛りの間隔は非線形画像歪のない部分での一走査点だけ移動するのに必要なステップ電圧Esである。
図162(a)の点線で示される階段状の波形は理想的な走査波形を意味し、実線で示される階段状の波形は非線形画像歪のある場合の走査波形を意味している。代表歪ベクトルRd [8,0]のX成分rz [8,0]の値は、以下の始点終点間の距離である。この始点は、走査点に対応する理想的な走査波形(点線で示される階段状の波形)上の点である。この終点は、前記走査点上に対応する非線形画像歪のある場合の走査波形(実線で示される階段状の波形)上の点である。図示の簡素化のために原点位置での代表歪ベクトルRd [0,0]は0にしてある。
非線形画像歪を補正するために走査点に与えるステップ電圧Esの倍数である電圧に増分電圧EdX [8,0]を加える。増分電圧EdX [8,0]は以下の式で求められる。
Figure 0004787673
ここで、係数amagは前述の倍率の変化率amagである。
以上では、X方向の非線形画像歪補正方法を説明したが、ziを歪ベクトルd(xi,yi)のY成分として、xiの代わりにyiを使用すれば、Y方向の非線形画像歪補正方法も同様に実施される。
本実施例は画像生成装置7に歪補正回路を付加する方法であったが、検査対象パターン画像を変換して非線形画像歪を消去する方法に変えても良い。
本実施例では間隔として8を使用した。この間隔は小さいほど歪補正ベクトルの精度は向上するが、代表歪ベクトルの精度は悪くなる。このように間隔は経験により決められるべき値である。
本方法を用いれば、広視野の画像生成装置7の非線形画像歪補正が自動的に高精度に短時間で実施できる。よって、この補正方法によって効率的に補正可能な部分まで視野を拡張することが可能になる。
7.5 検査対象パターン画像の位置に依存する線幅変化の補正方法
他の最も重要な検査対象パターン画像の歪の一つに検査対象パターン画像の位置に依存する線幅の変化量がある。この線幅の変化量は検査対象パターン画像の位置によって電子線のビーム径が異なることが原因で引き起こされる。この線幅の変化量を補正するために、検査対象パターン画像の位置に依存する線幅変化の補正方法が使用できる。この方法では、予め検査対象パターン画像から線幅の変化量の分布を求め、得られた線幅の変化量の分布を使って検査時の検査対象パターン画像の線幅を補正する。
図163は、本方法を模式的に示す図である。図163の丸で示されるように電子線のビーム径は画像の周辺では中心部分より太くなる。この結果、周辺部分では観察される線幅が中心部分より太くなる。もし、電子線のビーム径が副検査単位領域でほぼ均一ならば以下の方法でパターン画像の位置に依存する線幅変化を補正する。この実施例では、パターン画像の位置として副検査単位領域の位置を使用する。
(1)予め、線幅が同じで均一なパターン密度を持つ基準パターンを含む検査領域に対応する検査対象パターン画像を取得する。この検査領域として、メモリの部分などの周期的なパターンを持った領域が適している。
(2)各副検査単位領域に関する線幅の変化量を基準パターンと検査対象パターン画像のエッジから計算する。副検査単位領域ごとの線幅の変化量の分布が得られる。
(3)検査時に各副検査単位領域にある線幅を、前述の(2)で得られた副検査単位領域ごとの線幅の変化量の分布を使って補正する。補正されるべき線幅が属する副検査単位領域は、使用される線幅の変化量が属する副検査単位領域に対応している。
上記(2)と(3)の計算方法と補正方法は5.11 パターン変形量の大域的変形量と局所的変形量への分離方法で記述した方法と同じである。
以上の補正方法を、同一の線幅を持つ各グループに適用するようにしても良い。また、副検査単位領域を分割した領域に対して上記の補正方法を適用するようにしても良い。
本実施例によれば、広視野の画像生成装置7の画像位置に依存する線幅の変化が自動的に高精度に短時間で実施できる。よって、この補正方法を用いて効率的に補正可能な部分まで視野を拡張することが可能になる。
8.その他の方法
8.1 自動画像調整に適した領域の抽出方法
長期検査においては、自動コントラスト・ブライトネス調整、自動フォーカス調整、自動非点収差調整などの自動画像調整が必要になる。自動コントラスト・ブライトネス調整、自動フォーカス調整に適した領域は、横方向縦方向の線分や終端が豊富に存在している領域である。設計データからこの要件を満たす領域を求めて、その領域を自動コントラスト・ブライトネス調整、自動フォーカス調整に使用すれば、効率的に自動コントラスト・ブライトネス調整、自動フォーカス調整が可能になる。ゆえに、自動コントラスト・ブライトネス調整、自動フォーカス調整に適した領域を自動的に決める方法が必要とされる。
設計データを成す線分の幾何学情報または近接線分との関係をもとに自動コントラスト・ブライトネス調整、自動フォーカス調整に適した領域を抽出する方法は以下の手順で行われる。
図164はこの方法を説明する図である。
(1)自動コントラスト・ブライトネス調整、自動フォーカス調整で使用される長方形の領域Rの大きさを決める。この領域Rの大きさは経験により決められる。
(2)自動コントラスト・ブライトネス調整、自動フォーカス調整で使用する領域Aを決める。この領域は検査領域の近くが望ましい。領域Aは領域Rよりも大きい。
(3)領域Aに対して領域Rを移動しながら、領域Rに対応する設計データの縦方向の線分の長さの合計をもとめる。同様に、横方向の線分の長さの合計値をもとめる。この得られた合計値でより小さい値をもつ縦方向か横方向の合計値を評価値とする。ここでは、幾何学情報として線分の長さの合計値を使用している。
(4)前述の(3)で得られた評価値の中で最も大きい評価値を持つ領域Rを最適な領域(縦線も横線も多い領域)として得る。
以上の手順で得られた長方形R(縦線も横線も多い領域)を、前述の3.3 レシピデータ「(11)自動コントラスト・ブライトネス調整、自動フォーカス調整に適した領域」に登録しておき、検査時の適切なタイミングで自動コントラスト・ブライトネス調整、自動フォーカス調整を実施することが可能になる。
自動非点収差調整に適した領域は、線分が多くあり、X方向、Y方向、45度方向、135度方向の線分の長さの合計値がそれぞれ同程度である領域である。この場合は、前述と同様の手順で実行されるが、X方向とY方向に加えて45度方向と135度方向の線分の長さの合計を用いることが異なる。この条件を満たさないときは設計データの終端やコーナーに対応する部分領域を使用して以下の手順で自動非点収差調整を行う。
まず、自動非点収差調整に適した領域を得る。この領域の例は、図165のように左側右側の終端を含む部分領域を含む領域である。他の例は、図165のように左上、左下、右上、右下のコーナーを含む部分領域を含む領域である。これらの領域は上側下側の終端を含む部分領域を含む領域でも良い。このような領域が得られれば、全方向の傾きのエッジが存在するので自動非点収差調整に適する。
前述の自動コントラスト・ブライトネス調整、自動フォーカス調整に適した領域を得る手順と同様な以下の手順を実施する。ここでは、図166を使って左上、左下、右上、右下のコーナーを使用する場合の手順を説明する。
(1’)自動非点収差調整で使用する長方形の領域R’の大きさを決める。この領域R’の大きさは経験により決められる。
(2’)自動非点収差調整で使用する領域A’を決める。領域A’は領域R’より大きい。
(3’)領域A’に対して領域R’を移動しながら、領域R’に対応する設計データの左上のコーナーの数をもとめる。同様に、左下のコーナーの数、右上のコーナーの数、右下のコーナーの数をもとめる。左上のコーナーの数、左下のコーナーの数、右上のコーナーの数、右下のコーナーの数のなかで最も小さい数を評価値とする。ここでは、幾何学情報としてコーナーの数を使用している。
(4’)前述の(3’)で得られた評価値の中で最も大きい評価値を持つ領域R’を最適な領域(左上、左下、右上、右下の4つのコーナーのいずれもが多い領域)として得る。
(5’)左上、左下、右上、右下のコーナーの数がほぼ同じになるように、いくつかのコーナーを間引く。
以上で得られたコーナーの近傍が部分領域Pとして使用される。
以上の手順で得られた長方形の領域を前述の3.3 レシピデータ「(11)自動コントラスト・ブライトネス調整、自動フォーカス調整に適した領域」に登録しておき、検査時の適切なタイミングで自動非点収差調整を実施することが可能になる。この自動非点収差調整は以下の手順で実施する。
(1)自動フォーカス調整を実施する。
(2)検査対象パターン画像と自動非点収差調整に適した領域R’に対応する基準パターンとをマッチングする。
(3)領域R’に含まれる部分領域Pに対応する検査対象パターン画像の部分画像から非点評価値を求める。
(4)非点の値を変えながら前記(2)(3)を実行する。
(5)前記(4)で得られ最適な非点評価値に対応する非点の値を最適非点値として求める。
本実施例によれば、自動画像調整に適した領域を自動的に最適に抽出することが可能になる。また、この抽出すべき領域として検査対象パターン画像の部分領域を使用する場合は、検査対象パターン画像全体を使用する場合より自動画像調整が高精度に実施される。
8.2 第2のエッジ検出方法を使った自動フォーカス調整方法
従来のCD−SEMの自動フォーカス調整は次の手順で実施される。
(1)あるフォーカス値で検査対象パターン画像を取得する。取得した検査対象パターン画像の1次微分値の自乗和であるフォーカス評価値を計算する。他のフォーカス評価値を使用しても良い。
(2)最適フォーカス値が存在する範囲内で、フォーカス値を変えて(1)と同じ処理を繰り返し実施する。
(3)得られたフォーカス評価値から最も大きなフォーカス評価値を求めて、得られた最も大きなフォーカス評価値に対応するフォーカス値を最適フォーカス値として得る。
以上の従来のCD−SEMの自動フォーカス調整を、広視野の画像生成装置7で実施すると検査対象パターン画像の取得に時間がかかる。また、広いエリアを繰り返し走査するので電子線の走査による試料のダメージが大きい。これらの問題を解決するために、第2のエッジ検出を使った自動フォーカス調整方法を実行する。この方法では、検査対象パターン画像の第2のエッジのみを選択的に使用する。
図167は、第2のエッジ検出方法を使った自動フォーカス調整方法を示す図である。図167の左上側に、対物レンズ315の励磁電流をY偏向器314の偏向電圧に同期しながら変化させて生成された検査対象パターン画像が示されている。励磁電流がフォーカス値を意味する。励磁電流の変化の範囲は、最適フォーカス値が存在する範囲である。図167の右側に、この検査対象パターン画像を使った第2のエッジ検出から得られるフォーカス評価値が示されている。
第2のエッジ検出を使った自動フォーカス調整方法は、検査単位領域の処理の終了後(ステップS340)であってフォーカス調整が必要な場合に実施する。第2のエッジ検出を使った自動フォーカス調整方法の手順は、以下の2点を除いて、図25または図26のステップS308(検査単位領域ごとに、検査対象パターン画像および画像の中心位置を検査部12に出力する)から、S334(第2のエッジ)の処理と同じである。ステップS308の検査単位領域として、前述の3.3 レシピデータ「(11)自動フォーカス調整に適した領域」に登録された領域を使用する。また、ステップS308の検査対象パターン画像として、図167の左側に示された検査対象パターン画像を使用する。次に以下の手順で自動フォーカス調整を実施する。自動フォーカス調整の終了後に、次の検査単位領域の処理としてステップS308以降の処理をする。
前述の4.11 第2のエッジ検出で説明したように第2のエッジは理想的に検出されるべき位置とは異なった位置に検出される。例えば、図76に示す係数kとして0.5を使用すれば、エッジは、理想的なエッジ位置から検査対象パターンの外側方向に電子線のビーム径の半分の量だけ移動した位置になる。4.11 第2のエッジ検出を使えば、以下の2つのフォーカス評価値が使用できる。
(1)同じ方向の同じ線幅の長い検査対象パターンが検査対象パターン画像をほぼ埋めている場合は、これらの検査対象パターンの線幅を第1のフォーカス評価値として使用する。図167の下側に、検査対象パターンの線幅W1と、検査対象パターンの線幅W2が示されている。検査対象パターンの線幅W1は、最適フォーカス値に近いフォーカス値をもつ部分に存在する。検査対象パターンの線幅W2は、最適フォーカス値から離れたフォーカス値をもつ部分に存在する。両者に対応する基準パターンの線幅は等しい。
最適フォーカス値の場合に、電子線のビーム径が最小になる。この場合に、線幅が最小になる。従って、より小さい値を取る第1のフォーカス評価値に対応するフォーカス値がより最適なフォーカス値となる。本実施例によれば、図167の検査対象パターンの線幅W1に対応するフォーカス値が検査対象パターンの線幅W2に対応するフォーカス値より最適であり、図167の説明と一致する。
太い線幅の検査対象パターンと細い線幅の検査対象パターンとでは検査対象パターンのエッジのスロープの異なることがあるので、線幅が等しい基準パターンを使って、第1のフォーカス評価値を得るのが望ましい。もし、違う線幅の検査対象パターンを使う場合は、線幅ではなく線幅の変形量を第1のフォーカス評価値として使用する。
(2)図168は、第2のエッジ検出方法を使った別の自動フォーカス調整方法を示す図である。図168の左上側の検査対象パターン画像は、図167と同じ方法で取得されている。図167と、図168の検査対象パターン画像の場合は、第2のフォーカス評価値としてプロファイルのピーク位置とボトム位置の間の距離V1とV2を使用しても良い。この場合も、第1のフォーカス評価値と同様に、線幅が可能な限り等しい基準パターンを使って、第2のフォーカス評価値を得るのが望ましい。また、より小さい値を取る第2のフォーカス評価値に対応するフォーカス値がより最適なフォーカス値となる。
図167と図168の検査対象パターン画像の場合は、検査対象パターンの縦方向のエッジを使用して自動フォーカス調整を実施している。従って、横方向のエッジの自動フォーカス調整の精度はやや下がる。しかし、短時間の自動フォーカスには、一方向のエッジを使用する自動フォーカス調整が実用的に十分である。図168の場合に、45度方向の走査を行えば、縦横両方向のエッジについての自動フォーカス調整の精度がよくなる。また、この場合は、自動非点収差調整が実施できる。
もし、図167のλや、図168のλの近傍のような、近傍にフォーカス評価値が十分に存在していない部分に、最小のフォーカス評価値がある場合は、再度検査対象パターン画像を取り直す。このとき、最小のフォーカス評価値がλ以外の部分になるように、フォーカス値の変化範囲を調整する。
本実施例によれば、1枚か2枚の検査対象パターン画像を取得すれば自動フォーカス調整が実施できる。よって、自動フォーカス調整が高速に実施できるだけでなく、電子線の走査による試料のダメージも少ない。従来のフォーカス評価値は検査対象パターン画像全体から得ている。一方、本実施例は、同じ線幅を持つ検査対象パターンのエッジ部分のみを選択的に使ってフォーカス評価値を求めている。従って、これらのエッジが存在しない場所の影響を受けないので、自動フォーカス調整でのエラー発生率を低減できる。
なお、マッチングができないほどフォーカス値が最適フォーカス値からずれている場合は、本実施例のみでは、第2のエッジ検出ができない。このような場合は、前処理として以下の手順で、粗い自動フォーカス調整を実施してから、本実施例を実施する。
従来のフォーカス評価値をフォーカス評価値として本実施例を実施する。例えば、フォーカス評価値としてピクセルの輝度値の1次微分値の自乗和をとり、−1を乗じた値をフォーカス評価値として使用する。
8.3 最もマッチングに適した副検査単位領域の選択方法
図147を使って説明したように、検査単位領域が非常に大きい場合は、検査単位領域を複数の副検査単位領域に分割して、得られた副検査単位領域のうちの1つを使ってマッチングを実行する。したがって、最もマッチングに適した副検査単位領域の選択方法が必要とされる。
最もマッチングに適した副検査単位領域とは、すべての副検査単位領域に対して以下の計算をして得られた評価値の中で最も大きな評価値をもつ副検査単位領域である。
(1)図51(a)および図51(b)において示された方法でユニークパターンを得る。
(2)ユニークパターンを構成する線分を横、縦、45度方向、135度方向の4方向ごとに分類して4方向の線分長の総和を求める。
(3)4方向の線分長の総和のなかで2番目に大きい線分長の総和を評価値とする。2番目に大きい線分長の総和を使用する理由は、同じ方向を持つ十分な数の線分の組が少なくとも2組存在することが必要であるからである。
図169には、2つの副検査単位領域が示されている。図169において、点線が基準パターンを、実線がユニークパターンを表している。図169の左側の副検査単位領域は縦線が多いが横線が少ない。一方、図169の右側の副検査単位領域は横線が多く縦線も比較的多い。図169の左側の副検査単位領域中のユニークパターンを成す線分の長さの総和は、図169の右側の副検査単位領域中のユニークパターンを成す線分の長さの総和より長いが、右側の副検査単位領域の評価値が左側の副検査単位領域の評価値より大きくなる。
以上は、2次元としてユニークパターンを求めて計算していた。しかしこの方法は多くの計算量を必要とする欠点がある。そこで正確さは劣るが少ない計算量ですむ方法を使用する。図170を用いて、この方法を説明する。
最もマッチングに適した副検査単位領域とは、すべての副検査単位領域に対して以下の計算をして得られた評価値の中で最も大きな評価値をもつ副検査単位領域である。
(1)基準パターンを構成する線分を横、縦、45度方向、135度方向の4方向に分類して、1次元データにする。
(2)これらの1次元データに対して図51(a)および図51(b)において示された方法に準じた方法でユニークパターンを求める。図170の横方向線分の1次元データと縦方向線分の1次元データの中の実線がこれにあたる。
(3)横方向の線分の1次元データに存在するユニークパターンの線分長の総和を求める。同様に、縦、45度方向、135度方向の線分の各1次元データに存在するユニークパターンの線分長の総和を求める。
(4)4方向の線分長の総和のなかで2番目に大きい線分長の総和を評価値とする。
本実施例によれば、検査単位領域が複数の副検査単位領域に分割されているときに、最もマッチングに適した副検査単位領域を用いてマッチングを行うことができる。これによって検査単位領域全体を使用するマッチングより高速に実行可能になる。
8.4 高倍画像および低倍画像を用いた検査方法
低倍の検査対象パターン画像の一部分を電磁的に高倍画像で観察できる機能をもったSEMの場合は、高倍画像では入りきらない検査対象パターンも検査可能である。この場合は、高倍の検査対象パターン画像で得たエッジ位置を低倍の検査対象パターン画像でのエッジ位置に正確に変換できる。高精度ステージを使用して前述の変換を行っても良い。例えば、図171において、検査対象パターン181の画像のエッジ位置182、183を、それぞれ高倍の検査対象パターン181の画像184、185から検出する。検出されたエッジ位置を低倍の検査対象パターン画像187上の位置に変換する。変換されたエッジ位置から検査対象パターン181の幅186を求める。得られた幅186は、低倍画像187で求めたときよりも、精度よく検査できる。
8.5 欠陥情報とその欠陥に対応する情報の上書き表示方法
欠陥情報である欠陥形状もしくは欠陥画像と、欠陥情報に対応する、設計データ、マスクデータ(設計データにOPCパターンを付加して生成したデータ)、設計データを使ったリソグラフィ・シミュレータで得られた形状、または、設計データに関連する別の情報のいずれか1つ以上を並列表示もしくは上書き表示を実現すると欠陥が発生する傾向が理解しやすくなる。この要求にかなう表示方法が必要とされる。
以下は欠陥が発生する傾向の例である。
(1)設計データの込み入っているところでは欠陥が多く検出される。
(2)特定のOPCパターンが付いている所に欠陥が多く検出される。
(3)リソグラフィ・シミュレータで得られたシミュレーションパターンで細くなっている所に欠陥が多く検出される。
また、ウェーハ検査の場合は、欠陥に対応するホトマスクの画像を使うことも有用である。欠陥画像をホトマスクの画像と比べれば、欠陥がホトマスク起因かそうでないかが判断できる。
これらの表示を実現するために、前述の設計データに関連する情報と検出された欠陥を対応づける。この対応づけは次の手順で実施する。
(1)基準パターンのエッジに設計データの情報を付加する。付加する情報としてエッジが属する設計データの多角形のセル名、エッジが属する多角形の線分番号、および、エッジが属する線分の始点終点の座標、エッジの座標を使用する。
(2)欠陥を検出したときに、検出に使用された基準パターンのエッジに付加された設計データの情報を検査結果に付加する。
(3)付加された設計データの情報を使って前述の設計データに関連する情報を検索する。前述の設計データに関連する情報が、設計データと異なる座標系で記述されていても、設計データを構成する多角形のセル名、線分番号により対応づけが可能である。
図172は、設計データ、マスクデータと欠陥画像を上書き表示する例を示している。また、図173(a)、図173(b)、図173(c)および図173(d)は、認識された欠陥を図形として表示する方法の例を示している。これらの例では、以下の方法が使われている。
(1)図173(a)で示すように、欠陥の輪郭である多角形を表示する方法。
(2)図173(b)で示すように、凹み欠陥、凸欠陥(コブ欠陥)の場合は、その欠陥の最外枠を表現する長方形を表示する方法。凸欠陥(コブ欠陥)の長方形の角に短い線分を入れて凹み欠陥と区別しても良い。
(3)図173(c)(d)で示すように、線幅異常の欠陥の場合は、検出された線幅を表現する辺を持つ長方形を表示する方法。
以上の方法では、検査結果を直接使用して表示している。しかし、図174で示すように欠陥を設計データの付加情報に変換してから表示する方法が使用できる。この方法は以下の手順で実行される。
(1)図173(a)、(b)、(c)、(d)で得られた欠陥を表現する多角形を設計データの付加情報に変換して設計データに保存する。
(2)設計データが、実際に存在するパターンを記述するレイアと存在しないパターンを記述するレイアとを備えている場合は、存在しないパターンを記述するレイアに図173(a)、(b)、(c)、(d)で得られた多角形を保存する。
(3)存在しないパターンを記述するレイアが複数使用できる場合は、凹み欠陥、凸欠陥(コブ欠陥)、線幅異常の欠陥ごとにそれぞれ別のレイアに保存しても良い。図174では、設計データがレイア1に、凹み欠陥、凸欠陥(コブ欠陥)がレイア12に、線幅異常の欠陥がレイア13に保存されている。
この方法によれば、設計データを扱う装置で検査結果が閲覧できるので設計変更などに都合がよい。
以上の方法で、説明した上書き表示を、並列表示に代えて同様の処理にしても良い。
本実施例によれは、欠陥が発生する傾向が理解しやすくなり、欠陥の発生原因の特定が容易に把握できるので、設計変更が容易になる。
8.6 FEMウェーハの測定方法
正常に半導体デバイスが製造できるステッパーのフォーカス(Focus)条件、照射線量(Exposure Dose)条件の領域は、プロセスウインドと呼ばれる。プロセスウインドを得るために、FEM(Focus Exposure Matrix)ウェーハが使用される。FEMウェーハとは、横方向にフォーカス条件を連続的に変化させ、縦方向に照射線量条件を連続的に変化させた露光によって製造された半導体デバイスがマトリックス状になったウェーハである。縦方向にフォーカス条件を連続的に変化させ、横方向に照射線量条件を連続的に変化させる方法を使っても良い。図175にFEMウェーハの例が模式的に示されている。図175に示された正方形は異なったフォーカス条件と照射線量条件の組の露光によって製造された半導体デバイスである。
従来は、FEMウェーハを測定するために、CD−SEMを用いて、FEMウェーハ上のすべての半導体デバイスの数箇所が測定されていた。測定箇所は、検査対象パターンの直線部分の線幅測定に適した箇所である。得られた測定値からパターン変形量の傾向が得られる。また、直線部分の線幅の許容パターン変形量以下のパターン変形量をもつ半導体デバイスに対応するフォーカス条件、照射線量条件の領域がプロセスウインドとして得られる。
しかしながら、検査対象パターンの直線部分の線幅のパターン変形量の傾向と、検査対象パターンの直線部分のスペース幅のパターン変形量の傾向、もしくは、検査対象パターンの終端のエッジプレイスメントエラーの傾向が異なる場合がある。このような場合に、検査対象パターンの直線部分の線幅の測定結果からプロセスウインドを得ると、プロセスウインド内の条件の露光によって製造された半導体デバイスに、欠陥が発生することがある。
この問題を解決するために、検査対象パターンの直線部分の線幅のパターン変形量、直線部分のスペース幅のパターン変形量と終端のエッジプレイスメントエラーを使用してプロセスウインドを得る。この方法は以下の手順で実施される。
(1)横方向にフォーカス条件を変化させ、縦方向に照射線量条件を変化させた露光によって半導体デバイスを製造する。最適なフォーカス条件、照射線量条件がFEMウェーハの中心の位置付近の半導体デバイスの製造に使われるようにする。フォーカス条件、照射線量条件の領域では、パターン変形量が許容パターン変形を超えるが、大部分の検査対象パターンが形成されるようにする。
(2)直線部分の線幅が検査できる検査対象パターンが豊富に存在する領域を検査領域として求める。この検査領域は測定時間を短縮するために狭い領域にする。FEMウェーハ上の各半導体デバイスの検査領域内に存在する全ての検査対象パターンの直線部分の線幅を得る。各半導体デバイスごとに得られた線幅の平均値を得る。
(3)得られた直線部分の平均線幅が直線部分の平均線幅の許容パターン変形量以下の半導体デバイスに対応するフォーカス条件、照射線量条件の領域を直線部分の平均線幅のプロセスウインドとして求める。図175に示された格子で塗られた正方形(半導体デバイス)の領域に対応するフォーカス条件、照射線量条件の領域が直線部分の平均線幅のプロセスウインドである。得られた直線部分の平均線幅のプロセスウインドは、従来の方法で得られたプロセスウインドに対応する。
(4)得られた直線部分の平均線幅のプロセスウインドの境界に存在する半導体デバイスを検査対象半導体デバイスとして求める。図175でΩが書かれた正方形は、検査対象半導体デバイスの例である。
(5)得られた検査対象半導体デバイスに存在する全ての検査対象パターンの直線部分の線幅、直線部分のスペース幅と終端のエッジプレイスメントエラーを検査して、欠陥の分布を得る。得られた欠陥の分布を重ね合わせて、図176に示すような重ね合わされた欠陥の分布図を得る。得られた重ね合わされた欠陥の分布図から、欠陥が豊富に含まれる領域を求めて検査領域にする。得られた検査領域は危険領域と呼ばれる。危険領域に、検査対象パターンの直線部分の線幅、直線部分のスペース幅と終端のエッジプレイスメントエラーから得られた欠陥がほぼ等しく存在することが望ましい。危険領域は測定時間を短縮するために狭い領域とする。図176の長方形は危険領域の例である。
(6)ウェーハ上の全ての半導体デバイスの危険領域を検査する。図177にFEMウェーハの測定結果の例が模式的に示されている。図177は、図175と同じであるが、危険領域の測定結果が示されていることが異なる。図177に示された小さい正方形、十字もしくは三角が含まれた正方形は、それぞれ、許容パターン変形量を越えた、検査対象パターンの直線部分の線幅、直線部分のスペース幅、もしくは、終端のエッジプレイスメントエラーから検出された欠陥が存在しない半導体デバイスを示している。本実施例では、検査対象パターンの直線部分の線幅のパターン変形量、直線部分のスペース幅のパターン変形量と終端のエッジプレイスメントエラーを使用してプロセスウインドを得る。従って、図177に示された格子で塗られた正方形(半導体デバイス)の領域に対応するフォーカス条件、照射線量条件の領域がプロセスウインドである。
従来は、検査対象パターンの直線部分の線幅の測定結果でプロセスウインドが決められていた。図175の格子で塗られた正方形で示される部分が、従来の方法で得られるプロセスウインドである。しかし、本実施例を用いれば、図177の格子で塗られた正方形で示される部分、すなわち、検査対象パターンの直線部分の線幅、直線部分のスペース幅と終端のエッジプレイスメントエラーの測定結果も考慮される。従って、本実施例で得られたプロセスウインドは、従来の方法で得られたプロセスウインドより狭くなっている。図175の格子で塗られた正方形で示される部分に対応し、図177の格子で塗られた正方形で示される部分に対応しない半導体デバイスは、欠陥を持つ可能性がある半導体デバイスを意味している。
リソグラフィ・シミュレータなど他の方法で危険領域が既知である場合は、前記の(6)を既知の危険領域に対して実施する。
本実施例では、検査対象パターンの直線部分の線幅のパターン変形量、直線部分のスペース幅のパターン変形量と終端のエッジプレイスメントエラーを使用してプロセスウインドを得る。しかし、他の欠陥の検出で使うパタ−ン変形量を使用しても良い。他の欠陥の例として以下のものが使用できる。
直線部分、コーナー、もしくは終端のプレイスメントエラーを持った欠陥、
孤立パターンのプレイスメントエラーを持った欠陥
コーナーの曲率異常欠陥
ウェーハに形成されてはならない補正パターンの検査により検出される欠陥
直線形状パターンの平均線幅もしくは平均スペース幅の検査により検出される欠陥
曲線形状パターンの線幅、平均線幅、スペース幅もしくは平均スペース幅の検査により検出される欠陥
ゲート線幅検査により検出される欠陥
本実施例によれば、検査対象パターンの直線部分の線幅のパタ−ン変形量以外にも各種のパタ−ン変形量を使用してプロセスウインドが得られるので、より最適なプロセスウインドが得られる。また、実際にFEMウェーハに形成された検査対象パターンの検査から危険領域が得られるので、リソグラフィ・シミュレータにより得られた危険領域よりも最適な危険領域が得られる。
9.設定値
9.1 画像生成装置のパラメータの設定値
本実施例の画像生成装置7の主な画像取得方法には以下の高速画像取得方法と高精度画像取得方法がある。
(1)高速画像取得方法
高速画像取得方法とはエッジ検出精度より高速性を重要視する方法である。この方法はダイ全面を検査する場合などに使用する場合に使用される。この場合は、十分な2次電子を一度の走査で得るために、ウェーハWの表面に照射する1次電子の電流を、高精度画像取得方法を使用する場合より高くする。その結果、電子線のビーム径がより太くなるので、ピクセル間隔を、高精度画像取得方法を使用する場合より広くする必要がある。
第2のエッジ検出の観点から、検査対象パターンの最小線幅を5ピクセル間隔以上で覆う必要がある。以上の条件を満足する以下の設定値が使用できる。設定値の右側の()内の数値は、検査対象パターンの最小線幅が90nmの場合の推奨値である。
1次電子電流値 : 1nAから10nA (3nA)
ランディングエネルギー : 1500eVから2800eV(2000eV)
2次電子サンプリングレート: 50MHzから200MHz (100MHz)
画像加算回数 : 1から4回 (1回)
ピクセル間隔 : 3nmから25nm (12nm)
視野 : 20μmから300μm (200μm)
1次電子電流値とランディングエネルギーとは、ウェーハWの表面に照射される1次電子の電流値とエネルギーである。1次電子は、2.1 画像生成装置の基本構成で説明している。1次電子電流値はプローブカレントともよばれる。2次電子サンプリングレートとは、1秒間に2次電子検出器330で2次電子強度を取得する回数を意味する。6.5 連続ステージを使ったインターレース走査もしくは画像加算走査方法で説明したように、画像加算走査とは、同じ走査線を2回以上走査して加算画像を得る走査を意味する。画像加算回数とは、前記の2回以上の回数を意味する。
帯電現象の影響が無視できる場合は、ランディングエネルギーをより大きくすることにより2次電子強度を高めることができる。CD−SEMでは、ランディングエネルギーとして800eVがよく使われる。この場合は、画像加算中の帯電によるコントラスト像を取得している。一方、高速画像取得方法では、画像加算回数として1回が多く用いられるので帯電によるコントラスト像が取得できない。従って、ランディングエネルギーをより大きくして2次電子強度を高めている。
一般に、2次電子サンプリングレートをより高く場合は、画像加算回数を増やして加算された2次電子強度が2次電子サンプリングレートを高くする前の値と同じにする必要がある。例えば、2次電子サンプリングレートが100MHzのとき画像加算回数が1回で十分な場合が多い。(この例は、他の条件や試料の材質の2次電子発生効率に依存する。)2次電子サンプリングレートを200MHzする以外は同じパラメータの設定値を使用する場合は、画像加算回数を2回にする。
3.3 レシピデータで説明したように、視野は、ピクセル間隔×ピクセル数である。2次電子をサンプリングする時間に対するステージの移動時間と走査の開始点での待ち時間の比を減らすためには、視野は広いほどよい。しかし、偏向制御装置318のDAコンバーターの精度などに制限されるので、ピクセル数の最大値は16384や32768程度が限界である。また、視野は対物レンズ315の収差により制限される。高速画像取得方法では、次に説明する高精度画像取得方法よりピクセル間隔が広いので、高速画像取得方法での視野の制限は、高精度画像取得方法での視野の制限より緩い。
(2)高精度画像取得方法
高速画像取得方法とは高速性よりエッジ検出精度を重要視する方法である。この場合は、検査対象パターン画像の分解能をより高めるために、ピクセル間隔をより狭くしなければならない。すなわち、電子線のビーム径がより細くなるようにする。従って、画像加算回数を増やす必要がある。以上の条件を満足する以下の設定値が使用できる。設定値の右側の()内の数値は、検査対象パターンの最小線幅が90nmの場合の推奨値である。
1次電子電流値 : 100pAから2nA (1nA)
ランディングエネルギー : 500eVから2800eV (1000eV)
2次電子サンプリングレート: 50MHzから200MHz (100MHz)
画像加算回数 : 2から32回 (4回)
ピクセル間隔 : 2nmから6nm (3nm)
視野 : 12μmから100μm (20μm)
帯電現象の影響を考慮してランディングエネルギーを決定する。ランディングエネルギーとして1000eVを設定すれば、エッジが明るくパターン内部と下地との間にコントラストがない検査対象パターン画像が得られる。得られた検査対象パターン画像はCD−SEMで得られた画像に類似している。(図30参照)ランディングエネルギー1000eVは、CD−SEMでよく使われるランディングエネルギー800eVに近い値である。ランディングエネルギー1000eVは、最適な設定値の一つである。ランディングエネルギー1000eVでは2次電子強度が弱い場合は、他の最適な設定値として、2300eVが使用できる。この場合は、高速画像取得方法で説明したように、ランディングエネルギーをより大きくして2次電子強度をより高めている。
(3)帯電対策
帯電現象が発生する場合は、インターレース走査が有効である。インターレース走査では、2本から128本が走査線から次の走査線の間の走査線の本数として使うのが適当である。なお、インターレース走査で帯電現象の効果を無視できない場合は、白金パラジウム、金、タングステンなどの金属コートやカーボンコートを施す必要がある。
9.2 ピクセル間隔の設定値
検出可能なエッジプレイスメントエラーもしくは線幅の変形量と9.1 画像生成装置のパラメータの設定値で説明したピクセル間隔には以下の関係がある。
直線部分のエッジプレイスメントエラーの場合は、ピクセル間隔の1.5倍程度の移動量が検出できる。直線部分の線幅の変形量の場合は、ピクセル間隔の0.5倍程度の変形量が検出できる。
これらの関係と前述の3.3 レシピデータ「(2)許容パターン変形量の−側の限界値および+側の限界値」を考慮してピクセル間隔を決定する必要がある。
10.本発明の変種
以上、本発明の一例を説明したが、他にも各種の変形が可能である。たとえば、電子線(荷電粒子線)を検査対象パターンに走査して検査対象パターンの画像を得る画像生成装置7として走査型電子顕微鏡を用いたが、走査型フォーカスイオンビーム顕微鏡、走査型レーザー顕微鏡や走査型プローブ顕微鏡などの各種の走査型顕微鏡に応用することができる。また、走査方向は0度、90度に限られず、例えば5度や95度など任意の微小角度を付加しても良い。
検査対象パターン画像を磁気光学ディスクや磁気テープなどの外部入力デバイスを介して、またはイーサーネットなどのLAN(Local Area Network)を経由した、オフライン入力処理式に変形しても良い。
画像生成法は他の方法でも良いし、基準パターンは他のデータから変換したものでも良い。基準パターンをレシピデータベース22に登録せずに、検査時に生成しても良い。
また、本実施形態においては、検査結果等を表示装置5および印刷装置6に出力しているが、画像データベース、シミュレータ、記録媒体などに出力するようにしても良いし、ネットワークを介して他のコンピュータに送信(出力)するようにしても良い。
またさらに、本発明の方法でウェーハ中の代表的なダイと呼ばれる半導体デバイスを検査したのち、他のダイはダイ・ツー・ダイ比較により検査するような混成方法とすることも可能である。
本発明の実施形態におけるパターン検査装置の画像生成装置の基本構成を示す概略図である。 設計データから得られた基準パターンの例を示す図である。 設計データに基づいて製造された検査対象パターンの画像の例を示す図である。 本発明の実施形態におけるパターン検査装置が行う検査処理の概要を示す図である。 図1で示す画像生成装置の2次電子検出器で検出した2次電子の強度を示す模式図である。 図5に示すパターンを90度回転させ、このパターンのプロファイルを取得した場合の2次電子の強度を示す模式図である。 本発明の実施形態におけるパターン検査装置によりパターン検査を行う場合の走査エリアを示す模式図である。 検査対象パターンについて、横方向(X方向)の走査を行った場合のエッジ検出精度を説明するための模式図である。 検査対象パターンについて、上方向に向かって縦方向(Y方向)の走査を行った場合のエッジ検出精度を説明するための図である。 検査対象パターンについて、双方向の走査を行う場合の模式図である。 45度、もしくは−45度方向の走査方法を示す模式図である。 0度方向の走査で得られた検査対象パターン画像もしくは90度方向の走査で得られた検査対象パターン画像を用いて検査されるべき線分の例を示す模式図である。 ピクセルの位置を置き換えることによって回転された検査対象パターン画像を得る方法を示す模式図である。 ピクセルの位置を置き換えることによって回転された検査対象パターン画像を得る別の方法を示す模式図である。 本発明の実施形態におけるパターン検査装置の基本構成例を示す図である。 本発明の実施形態におけるパターン検査装置の機能ブロック図を示す図である。 本発明の別の実施形態におけるパターン検査装置の機能ブロック図である。 基準パターンの補正例を示す図である。 基準パターンの例を示す図である。 図19の基準パターンをピクセルごとのエッジに変換した例を示す図である。 曲線を含む基準パターンをエッジベクトルに変換した例を示す図である。 本発明の実施形態におけるレシピ登録処理の例を示すフローチャートである。 逐次検査を説明するための図である。 ランダム検査を説明するための図である。 本発明の実施形態における基本検査処理の例を示すフローチャートである。 繰り返し発生する欠陥を認識する場合の検査処理の例を示すフローチャートのサブブロックである。 繰り返し発生する欠陥を認識する場合の検査処理の例を示すフローチャートのメインブロックである。 パターン内部と下地との間にコントラストがある検査対象パターン画像の例を示す図である。 図28の画像から検出したエッジを示す図である。 エッジが明るくパターン内部と下地との間にコントラストがない検査対象パターン画像の例を示す図である。 図30の画像から検出したエッジを示す図である。 1次元の検査対象パターン画像のエッジの強度の例を示す図である。 図32のエッジを膨張させた例を示す図である。 1次元の基準パターンのエッジの例を示す図である。 図32のエッジを膨張させた別の例を示す図である。 1次元の基準パターンのエッジの別の例を示す図である。 図32のエッジを膨張させた別の例を示す図である。 スムージングフィルタの例を示す図である。 2次元の検査対象パターン画像のエッジの強度の例を示す図である。 図39のエッジを膨張させた例を示す図である。 図39のエッジを膨張させた別の例を示す図である。 2次元の検査対象パターン画像のエッジベクトルの例を示す図である。 図42のエッジベクトルを膨張させた例を示す図である。 図42のエッジベクトルを膨張させた別の例を示す図である。 図19の基準パターンをピクセル単位のエッジベクトルで表した図であり、図20の別の図である。 マッチングを説明するための図である。 図43と図45とを重ね合わせた図である。 図43と図45とを重ね合わせた別の図である。 (a)は基準パターンの例を示す図であり、(b)は検査対象パターン画像の例を示す図である。 線幅とスペース幅が同じ場合の例を示す図である。 (a)は基準パターンの例を示す図であり、(b)は(a)の基準パターンと検査対象パターン画像との関係の例を示す図である。 長方形が周期的に並んだパターンのマッチング評価値の計算方法を模式的に示す図である。 ユニークパターンの対であるネガティブパターンを使ってマッチング評価値を計算する方法を模式的に示す図である。 第1のエッジ検出で検出されたエッジの水平軸垂直軸への射影データを使ったマッチング方法を示す図である。 マッチング誤差値Epmの計算結果を示す図である。 マッチング誤差値Epmの中から選ばれたマッチングに適したシフト量を示す模式図である。 マッチング誤差値Epmを計算する方法を模式的に示す図である。 ホールパターンのマッチングの第1の方法を説明する模式的な図である。 ホールパターンのマッチングの第2の方法を説明する模式的な図である。 検査対象パターン画像のエッジと基準パターンのエッジとの対応づけの例を示す図である。 (a)は基準パターンのエッジの例を示す図であり、(b)は検査対象パターン画像のエッジの例を示す図である。 基準パターンのエッジの別の例を示す図である。 異常パターン変形量を持った欠陥を認識する方法を模式的に示す図である。 ピクセルの輝度分布を使う欠陥の認識方法を模式的に示す図である。 輝度値に対する頻度の分布の例を示す図である。 (a)は基準パターンのエッジ、および検査対象パターン画像のエッジの例を示す図であり、(b)は(a)に示すエッジ間のy=y0におけるベクトルd(x,y0)のX成分を回帰直線D(x)で近似した例を示す図である。 (a)は基準パターンのエッジ、および検査対象パターン画像のエッジの別の例を示す図であり、(b)は(a)に示すエッジ間のy=y0におけるベクトルd(x,y0)のX成分を回帰直線D(x)で近似した例を示す図である。 基準パターンの属性の例を示す図である。 終端のエッジプレイスメントエラーを示す図である。 孤立パターンのプレイスメントエラーを示す図である。 (a)は基準パターンのコーナーのエッジの例を示す図であり、(b)は検査対象パターン画像のコーナーのエッジの例を示す図である。 プロファイル取得区間の例を示す図である。 リソグラフィ・シミュレータで得られたシミュレーションパターンの外形を示す図である。 図72の一部(Bの部分)を拡大した図である。 図74の一部(Cの部分)を拡大した図である。 プロファイルの例を示す図である。 検出された第2のエッジを使って曲線近似(多角形近似を含む)を行い、検出された第2のエッジを連結した例を示す図である。 (a)はプロファイル取得区間の別の例を示す図であり、(b)は検査対象パターン画像の第1のエッジと第2の基準パターンとの関係の例を示す図である。 検査領域が4つの検査単位領域に分割されている場合を模式的に示す図である。 第1の半導体デバイスから得られた欠陥情報と第2の半導体デバイスから得られた欠陥情報を模式的に示す図である。 第1の半導体デバイスから得られた欠陥情報と第2の半導体デバイスの限定された部分から得られた欠陥情報を模式的に示す図である。 設計データの形状は同じパターンだが、異なったOPCパターンを持っているパターンの例を模式的に示す図である。 設計データに基づいて製造されたホトマスクパターンを複数もつホトマスクから製造された半導体デバイスの例を示す図である。 線幅検査用に適した基準パターンを設計データから自動的に抽出する規則を模式的に示す図である。 コーナーを持つ直線形状パターンを、コーナー部分で二つの長方形に分離する方法を模式的に示す図である。 スペース幅検査用に適した基準パターンを設計データから自動的に抽出する規則を模式的に示す図である。 線幅検査に適した基準パターンとスペース幅検査に適した基準パターンを使う検査方法を模式的に示す図である。 設計データのコーナー部分から線幅検査に適した基準パターンを得る手順を模式的に示す図である。 設計データのコーナー部分である曲線形状パターンの最小線幅検査の手順を模式的に示す図である。 Erosion演算を使用して設計データのコーナー部分である曲線形状パターンの最小線幅検査の手順を模式的に示す図である。 切断もしくは短絡しやすい部分の抽出方法を模式的に示す図である。 切断もしくは短絡しやすい部分の検査を行う手順を模式的に示す図である。 検査時の工程に関する基準パターンとその前後する工程に関する基準パターンとの論理積演算で得られた基準パターンを使用する検査方法を示す図である。 コンタクトホール/ビアホールに接する配線パターンの終端に対する許容パターン変形量の適応設定方法を模式的に示す図である。 接触面積を検査する方法を模式的に示す図である。 (a)は、ウェーハに形成されてはならない補正パターンの例を示す図であり、(b)は、ウェーハに形成されてはならない補正パターンの検査方法を模式的に示す図である。 許容パターン変形量以上の終端の収縮があるが欠陥として認識する必要がない終端の例を示す模式図である。 最適な許容パターン変形量の取得方法を示す模式図である。 基準パターンから近接線分を抽出する方法を模式的に示す図である。 基準パターンから離隔線分を抽出する方法を模式的に示す図である。 前工程のパターンが下地として観察される例を模式的に示す図である。 検査対象パターン画像、検査時の工程に関する基準パターン、および、検査時の工程の前工程に関する基準パターンの例を示す図である。 外形を使ったダイ・ツー・ダイ比較方法を示すフローチャートである。 外形を使ったダイ・ツー・ダイ比較方法を示す模式図である。 外形と第2のエッジとの比較方法を示す模式図である。 外形と第2のエッジとの比較方法を示す別の図である。 外形の補正方法を示す図である。 外形のスパイクノイズの除去方法を示す図である。 第2のエッジとこれに前後する第2のエッジである3点のエッジの平均位置を使って外形のノイズを除去する方法を模式的に示す図である。 第2の基準パターンのエッジと対応する検査対象パターン画像の第2のエッジ間の距離の平均値を使って外形のノイズを除去する方法を模式的に示す図である。 外部検査装置への外形の出力方法を示す図である。 パターン形成の条件の違いなどにより半導体デバイス全体に設計データの線幅と違う線幅で検査対象パターンが形成されている例を示す模式図である。 線幅の大域的な平均線幅変形量を検査済みの検査単位領域を使用して求める第1の方法の例を示す図である。 図113で示された第1の方法によって得られた大域的な平均線幅の変形量を設計データの線幅の補正に使用する第2の方法の例を示す図である。 30度方向の線幅の変形量を計算する方法の例を示す図である。 図23を簡略にしたものに電子線のビーム径の変化を模式的に示す図である。 2回検査される検査単位領域を決める方法を模式的に示す図である。 検査単位領域を2回検査する方法を模式的に示す図である。 メモリのパターンなどの周期的パターンの場合に線分ごとに分類される欠陥種の細分化項目を模式的に示す図である。 組み合わせて使用する欠陥種の細分化項目を模式的に示す図である。 欠陥位置、外接長方形、切り出された基準パターンを模式的に示す図である。 特徴量空間の例を示す模式図である。 図122の特徴量空間で使用する特徴量の別の例を示す模式図である。 検査単位領域全体から得られるパターン変形量の一つである線幅の変形量を濃淡表示用の情報に変換して欠陥を上書きして得られる分布図の例である。 ゲート長を使ってゲート線幅を分類する方法を模式的に示す図である。 描画装置で使われるホトマスクパターンを分割した得られた長方形を模式的に示す図である。 描画装置で使われる長方形に対応する検査対象パターンの第2のエッジを模式的に示す図である。 連続する4つの円弧を模式的に示す図である。 電子線の走査方向を18度とした場合を模式的に示す図である。 六角形領域の走査方法を模式的に示す図である。 基準パターンに基づく走査条件の自動設定方法を示す模式図である。 電子線の走査経路を説明する模式図である。 電子線の別の走査経路を説明する模式図である。 垂直方向の走査に対してフィルタをかけた場合を説明する模式図である。 検査対象パターンのエッジの近傍のみの走査方法を示す模式図である。 検査対象パターンのエッジの近傍のみの走査方法の手順を示すフローチャートである。 検査対象パターンのエッジの近傍のみを走査する場合のサンプリングデータの取得順序付けの方法を示す図である。 線幅検査の対象になる領域の近傍部分を得る方法を模式的に示す図である。 ステージ位置を偏向器にフィードバックすることにより、連続ステージを使ったインターレース走査、および、走査画像加算走査方法を示す模式図である。 図139の構成を使用して45度左下方向のインターレース走査を示す模式図である。 図140で示されるインターレース走査を実施する場合に、XYステージが試料を下方向に連続移動しながら、X偏向器とY偏向器が出力する走査波形を示す図である。 2次電子検出器で検出した2次電子の強度が格納されるメモリであるフレームバッファを示す図である。 図139の構成を使用して45度左下方向の画像加算走査を示す模式図である。 図143で示される画像加算走査を実施する場合に、XYステージが試料を下方向に連続移動しながら、X偏向器とY偏向器が出力する走査波形を示す図である。 2次電子検出器で検出した2次電子の強度が加算され格納されるメモリであるフレームバッファを示す図である。 歪を持った検査対象パターン画像を模式的に示す図である。 副検査単位領域を用いてマッチングを実施する方法を模式的に示す図である。 検査対象パターン画像の歪量を補正する補正方法を模式的に示す図である。 検査対象パターン画像の補正方法を使用した画像加算方法を模式的に示した図である。 検査対象パターン画像の歪量が大きい場合を模式的に示した図である。 正規分布の中心を得る方法を模式的に示した図である。 画像回転角度θx、θyを示す図である。 検査対象パターン画像の第1のエッジの分布を使った検査対象パターン画像の歪量の取得方法を模式的に示す図である。 検査対象パターンのコーナー部分の画像のエッジの分布が非対称な例を模式的に示す図である。 検査対象パターンのコーナー部分の画像に存在する第1のエッジを認識する方法を模式的に示す図である。 検査対象パターンの直線部分の画像に存在する第1のエッジを認識する方法を模式的に示す図である。 非線形検査対象パターン画像の歪量の例を模式的に示す図である。 偏向制御装置の構成例を模式的に示す図である。 歪補正ベクトル計算回路が代表歪ベクトルを使って歪補正ベクトルを計算する方法を模式的に示す図である。 (a)は長方形領域の歪ベクトルから代表歪ベクトルを計算する方法を模式的に示す図であり、(b)は合成歪ベクトルの例を模式的に示す図である。 複数の長方形領域の歪ベクトルから代表歪ベクトルを計算する方法を模式的に示す図である。 歪補正ベクトル計算回路が歪補正ベクトルを偏向電圧に変換する方法を模式的に示す図である。 検査対象パターン画像の位置に依存する線幅変化の補正方法を模式的に示す図である。 自動コントラスト・ブライトネス調整、自動フォーカス調整に適した領域を得るための手順を模式的に示す図である。 自動非点収差調整に適した領域の例を示す図である。 自動非点収差調整に適した領域を得るための手順を模式的に示す図である。 第2のエッジ検出方法を使った自動フォーカス調整方法を示す図である。 第2のエッジ検出方法を使った別の自動フォーカス調整方法を示す図である。 2つの副検査単位領域を示す図である。 最もマッチングに適した副検査単位領域の選択方法を模式的に示す図である。 高倍画像および低倍画像を用いて測長を行う例を示す図である。 設計データ、マスクデータと欠陥画像を上書き表示する例を模式的に示す図である。 認識された欠陥を図形として表示する方法の例を模式的に示す図である。 欠陥を設計データに変換してから表示する方法を模式的に示す図である。 FEMウェーハの例を模式的に示す図である。 危険領域の例を模式的に示す図である。 本発明の実施例によって得られたプロセスウインドの例を模式的に示す図である。
符号の説明
1 主制御部
2 記憶装置
3 入出力制御部
4 入力装置
5 表示装置
6 印刷装置
7 画像生成装置
11 基準パターン生成部
12 検査部
13 出力部
14 欠陥種認識部
21 基幹データベース
22 レシピデータベース
23 欠陥種参照データベース
24 欠陥情報記憶部
25 欠陥認識部
33A、33B、41、42 外接長方形
34 外接長方形
35、43 共通外接長方形
61〜70、75、81〜84 エッジ
101〜103 部分
111、113 線幅
112、114 スペース幅
121〜126 直線形状パターン
157 区間
159、163、165 検査対象パターン画像のエッジ
160、166 基準パターンのエッジ
164 基準パターンの終端を構成するエッジ
161 検査対象パターン画像のエッジの重心
162 基準パターンのエッジの重心
171 直線部分
172 コーナー
173 終端
174 孤立パターン
181 検査対象パターン画像のパターン
182、183 位置
184、185 高倍画像
186 検査対象パターン画像のパターンの幅
187 低倍画像
201 破線
202、203 実線
204 下地
205 パターン内部
206、207 ピクセルの固まり
251〜255 ピクセル
261 ピクセルの中心
262 ピクセルの中心に最も近い基準パターン上の点
263 接線
301〜304 検査単位領域
310 照射系装置
311 電子銃
312 集束レンズ
313 X偏向器
314 Y偏向器
315 対物レンズ
316 レンズ制御装置
317 画像取得装置
318 偏向制御装置
320 試料室
321 XYステージ
322 XYステージ制御装置
330 2次電子検出器
340 ウェーハ搬送装置
350 制御コンピュータ
360 操作コンピュータ
400 真円の領域
401 四角形領域
402 六角形領域
410 発振器
411 カウンター
412 X偏向発生回路
413 Y偏向発生回路
414 歪補正ベクトル計算回路
450 副偏向発生回路
452 X主偏向発生回路
453 Y主偏向発生回路

Claims (16)

  1. 検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用する設計データを用いて検査するパターン検査装置であって、
    前記設計データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成する生成手段と、
    前記検査対象パターン画像を生成する生成手段と、
    前記検査対象パターン画像のエッジを検出する手段と、
    前記検査対象パターン画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査して欠陥を検出する検査手段とを備え、
    前記設計データは、同じOPCパターンを持ったパターンに同一のセル名を持たせた設計データであり、
    前記検査手段は、欠陥情報に対応する前記設計データのセル名を取得し、前記欠陥情報を取得された前記セル名によって分類し、同一の前記セル名に属する欠陥の数が複数の場合にOPCパターンに起因して繰り返し発生する欠陥として認識することを特徴とするパターン検査装置。
  2. 前記設計データに代えて、前記設計データに対応するマスクデータを使用することを特徴とする請求項1記載のパターン検査装置。
  3. 検査時の工程で製造された検査対象パターンと前記検査時の工程の前工程で製造された検査対象パターンとを含む検査対象パターン画像と、前記検査時の工程で製造される検査対象パターンに関するデータと、前記検査時の工程の前工程で製造される検査対象パターンに関するデータを用いて検査するパターン検査装置であって、
    前記検査時の工程で製造される検査対象パターンに関するデータから線分もしくは曲線で表現された前記検査時の工程に関する基準パターンを生成する生成手段と、
    前記検査時の工程の前の工程で製造される検査対象パターンに関するデータから線分もしくは曲線で表現された前記検査時の工程の前の工程に関する基準パターンを生成する生成手段と、
    前記検査対象パターン画像を生成する生成手段と、
    前記検査対象パターン画像のエッジを検出する手段と、
    前記検査対象パターン画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査する検査手段とを備え、
    前記検査手段は、前記検査対象パターン画像と前記検査時の工程に関する基準パターンとをマッチングしてシフト量を求め、前記検査対象パターン画像と前記検査時の工程の前工程に関する基準パターンとをマッチングしてシフト量を求め前記2つのシフト量から前記検査時の工程で製造されたパターンと前記検査時の工程の前工程で製造されたパターンとのオーバーレイエラーを検査することを特徴とするパターン検査装置。
  4. 基準となるパターン画像と検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いて検査するパターン検査装置であって、
    前記データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成する生成手段と、
    前記基準となるパターン画像と前記検査対象パターン画像を生成する生成手段と、
    前記基準パターンを用いて前記基準となるパターン画像のエッジを検出し、得られたエッジをつなげて基準となる外形を取得する手段と、
    前記基準パターンを用いて前記検査対象パターン画像のエッジを検出する手段と、
    前記検査対象パターン画像のエッジと前記基準となる外形とを比較することにより、前記検査対象パターンの変形量を検査する検査手段を備えたことを特徴とするパターン検査装置。
  5. 前記外形を取得する手段は、前記基準となるパターン画像のエッジを検出して得られたエッジをつなげて基準となる外形を取得する代わりに、シミュレータを使って基準となる外形を取得することを特徴とする請求項4記載のパターン検査装置。
  6. 検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いて検査するパターン検査装置であって、
    前記データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成する生成手段と、
    前記検査対象パターン画像を生成する生成手段と、
    前記検査対象パターン画像のエッジを検出する手段と、
    前記検出されたエッジと基準パターン間のベクトルを取得し、前記取得されたベクトルから前記検査対象パターン画像の歪量を得て、前記検査対象パターン画像の歪量を補正する手段と、
    前記検査対象パターンから生成された複数の画像を補正してから加算する手段と、
    前記加算手段で得られた画像のエッジを検出する手段と、
    前記加算手段で得られた画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査することを特徴とするパターン検査装置。
  7. 記検査対象パターン画像の部分ごとに画像の評価値を得て、前記評価値から最適な前記評価値を得て、前記最適な前記評価値が得られた前記検査対象パターン画像の部分を得て、前記得られた検査対象パターン画像の部分を生成するために使用された前記検査対象パターン画像を生成する条件を最適な前記検査対象パターン画像を生成する条件として得ることを特徴とする請求項6記載のパターン検査装置。
  8. 検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するホトマスクパターンを露光するときに使われる成形ビームに対応するデータを用いて検査するパターン検査装置であって、
    前記成形ビームに対応するデータから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成する生成手段と、
    前記検査対象パターン画像を生成する生成手段と、
    前記検査対象パターン画像のエッジを検出する手段と、
    前記検査対象パターン画像のエッジと前記基準パターンの組とを比較することにより、前記検査対象パターンを検査する検査手段とを備え、
    前記検査手段は、前記基準パターンごとに検査対象パターンの変形量を得て、前記検査対象パターンの変形量から前記ホトマスクパターンを露光している間の前記成形ビームの変形の有無を検査することを特徴とするパターン検査装置。
  9. 検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用する設計データを用いて検査するパターン検査方法であって、
    前記設計データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成し、
    前記検査対象パターン画像を生成し、
    前記検査対象パターン画像のエッジを検出し、
    前記検査対象パターン画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査して欠陥を検出し、
    前記設計データは、同じOPCパターンを持ったパターンに同一のセル名を持たせた設計データであり、
    前記検査により検出された欠陥情報に対応する前記設計データのセル名を取得し、前記欠陥情報を取得された前記セル名によって分類し、同一の前記セル名に属する欠陥の数が複数の場合にOPCパターンに起因して繰り返し発生する欠陥として認識することを特徴とするパターン検査方法。
  10. 前記設計データに代えて、前記設計データに対応するマスクデータを使用することを特徴とする請求項9記載のパターン検査方法。
  11. 検査時の工程で製造された検査対象パターンと前記検査時の工程の前工程で製造された検査対象パターンとを含む検査対象パターン画像と、前記検査時の工程で製造される検査対象パターンに関するデータと、前記検査時の工程の前工程で製造される検査対象パターンに関するデータを用いて検査するパターン検査方法であって、
    前記検査時の工程で製造される検査対象パターンに関するデータから線分もしくは曲線で表現された前記検査時の工程に関する基準パターンを生成し、
    前記検査時の工程の前の工程で製造される検査対象パターンに関するデータから線分もしくは曲線で表現された前記検査時の工程の前の工程に関する基準パターンを生成し、
    前記検査対象パターン画像を生成し、
    前記検査対象パターン画像のエッジを検出し、
    前記検査対象パターン画像のエッジ前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査し、
    前記検査対象パターン画像と前記検査時の工程に関する基準パターンとをマッチングしてシフト量を求め、前記検査対象パターン画像と前記検査時の工程の前工程に関する基準パターンとをマッチングしてシフト量を求め、前記2つのシフト量から前記検査時の工程で製造されたパターンと前記検査時の工程の前工程で製造されたパターンとのオーバーレイエラーを検査することを特徴とするパターン検査方法。
  12. 基準となるパターン画像と検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いて検査するパターン検査方法であって、
    前記データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成し、
    前記基準となるパターン画像と前記検査対象パターン画像を生成し、
    前記基準パターンを用いて前記基準となるパターン画像のエッジを検出し、得られたエッジをつなげて基準となる外形を取得し、
    前記基準パターンを用いて前記検査対象パターン画像のエッジを検出し、
    前記検査対象パターン画像のエッジと前記基準となる外形とを比較することにより、前記検査対象パターンの変形量を検査することを特徴とするパターン検査方法。
  13. 前記基準となるパターン画像のエッジを検出して得られたエッジをつなげて基準となる外形を取得する代わりに、シミュレータを使って基準となる外形を取得することを特徴とする請求項12記載のパターン検査方法。
  14. 検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いて検査するパターン検査方法であって、
    前記データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成し、
    前記検査対象パターン画像を生成し、
    前記検査対象パターン画像のエッジを検出し、
    前記検出されたエッジと基準パターン間のベクトルを取得し、前記取得されたベクトルから前記検査対象パターン画像の歪量を得て、前記検査対象パターン画像の歪量を補正し、
    前記検査対象パターンから生成された複数の画像を補正してから加算し、
    前記加算で得られた画像のエッジを検出し、
    前記加算で得られた画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査することを特徴とするパターン検査方法。
  15. 前記検査対象パターン画像の部分ごとに画像の評価値を得て、前記評価値から最適な前記評価値を得て、前記最適な前記評価値が得られた前記検査対象パターン画像の部分を得て、前記得られた検査対象パターン画像の部分を生成するために使用された前記検査対象パターン画像を生成する条件を最適な前記検査対象パターン画像を生成する条件として得ることを特徴とする請求項14記載のパターン検査方法。
  16. 検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するホトマスクパターンを露光するときに使われる成形ビームに対応するデータを用いて検査するパターン検査方法であって、
    前記成形ビームに対応するデータから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成し、
    前記検査対象パターン画像を生成し、
    前記検査対象パターン画像のエッジを検出し、
    前記検査対象パターン画像のエッジと前記基準パターンの組とを比較することにより、前記検査対象パターンを検査し、
    前記基準パターンごとに検査対象パターンの変形量を得て、前記検査対象パターンの変形量から前記ホトマスクパターンを露光している間の前記成形ビームの変形の有無を検査することを特徴とするパターン検査方法。
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