JP2004184872A - フォトマスクとその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】立体構造を有する物体の表面に微細な電気配線のパターンを形成するフォトマスクを提供する。
【解決手段】型である立体成形品1c上に熱可塑性合成樹脂から成るシート1dを、予熱した状態で配置し、上下の金型1a,1bを近接し、負圧源8によって空気を吸引し、真空成形法でフォトマスク本体4を作成する。フォトマスク本体4の外面にCrなどの遮光性材料から成る金属膜15を形成し、フォトリソグラフィ法によって微細な開口を形成してエッチングし、パターン層5を形成してフォトマスク3を製造する。フォトマスク3を、成形品などの物体6に密着して被せ、露光を行って、物体6上の感光レジスト層を選択的に露光する。
【選択図】 図1
【解決手段】型である立体成形品1c上に熱可塑性合成樹脂から成るシート1dを、予熱した状態で配置し、上下の金型1a,1bを近接し、負圧源8によって空気を吸引し、真空成形法でフォトマスク本体4を作成する。フォトマスク本体4の外面にCrなどの遮光性材料から成る金属膜15を形成し、フォトリソグラフィ法によって微細な開口を形成してエッチングし、パターン層5を形成してフォトマスク3を製造する。フォトマスク3を、成形品などの物体6に密着して被せ、露光を行って、物体6上の感光レジスト層を選択的に露光する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フォトマスクおよびその製造方法に関するものであり、さらに詳しくは立体形状の合成樹脂製成形体などの立体構造を有する物体の表面上に立体的な電気配線を形成するためのフォトマスク及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、表面に立体配線回路を形成した合成樹脂製の立体成形体が、電気回路の小型化要求に沿うものとして注目されている。
【0003】
合成樹脂製立体成形体の表面に立体的な電気配線を形成する第1の先行技術(特許文献1参照)は、易めっき性樹脂と難めっき性樹脂とを用いて2回の射出成形をすることにより、電気配線を施すべき部分にのみ易めっき性樹脂を露出したパターンを形成後、めっき処理を行う金属パターンをもつ合成樹脂製物品の形成方法を開示する。しかしながら、この方法では微細配線の形成が難しいという問題がある。
【0004】
微細な配線を形成する他の先行技術(特許文献2参照)は、露光を必要とする立体成形品表面の展開図形状の金属板等にエッチング等により所要のパターンの開口部を形成し、立体成形品の表面に密着する形状に成形することでフォトマスクを製造し、写真蝕刻法により立体配線を形成するフォトマスクおよびその製造方法を開示する。この先行技術における立体的なフォトマスクの成形は、プレス成形、もしくは、展開図形状の金属板の隣接する縁を溶接等で接合する方法、もしくは、金属箔を有する感光性フィルムを立体的に折り曲げ成形し必要な部分を接合する等の方法で行われている。しかしながら、プレス成形による立体フォトマスク成形では、プラスチック成形体に正確に全面にわたって密着するフォトマスク製造が困難であるという問題がある。また、展開図形状の金属板の隣接する縁を溶接等で接合する方法では、溶接部の平坦化処理が必要であり、さらには、溶接部においてプラスチック成形体との間に隙間ができるおそれがあり、密着できないという問題がある。さらに、感光性フィルムを立体的に折り曲げ成形し必要な部分を接合する方法においては、折り曲げの際にフィルムの白化が生じたり、接合部においてプラスチック成形体との間に隙間ができ、密着できないという問題がある。すなわち、この先行技術によるフォトマスク製造は事実上困難である。
【0005】
以上のように、従来の写真蝕刻法を用いた方法では、立体成形体などの物体の表面に安価な方法で微細な配線を形成することが困難という問題がある。
【0006】
【特許文献1】
特開昭63−50482
【特許文献2】
特開平5−323570
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、立体成形体などの立体構造を有する物体の表面に微細な電気配線を形成するフォトマスクを提供し、さらに、そのフォトマスクの製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、厚みが一様な透光性合成樹脂から成り、継ぎ目なしに構成され、立体的な内面が、電気配線が施されるべき立体構造を有する物体の立体的な外面に密着して嵌合することができるフォトマスク本体と、
フォトマスク本体の表面に形成され、電気配線に対応する遮光性材料から成るパターン層とを含むことを特徴とするフォトマスクである。
【0009】
本発明に従えば、フォトマスクは、厚みが一様な透光性合成樹脂、たとえば合成樹脂製フィルムが、たとえば真空成形または真空空圧成形などの手法で成形されたフォトマスク本体と、そのフォトマスク本体の内面または外面である表面に形成された遮光性材料、たとえば金属などから成るパターン層とを含んで、フォトマスクが構成される。フォトマスク本体は、たとえば前述のように成形によって得られ、これによって継ぎ目なしに構成され、溶着などの接合部分が存在せず、そのためフォトマスク本体の立体的な内面は、電気配線が形成される立体構造を有する物体の立体的な外面に、すなわち物体の少なくとも凹凸のある構造を有する外面に、密着して、取外し可能に嵌合することができる。パターン層は、フォトマスク本体の表面、すなわち内面または外面に、たとえばフォトリソグラフィの手法で形成される。こうして物体の外面に形成される電気配線に対応して、パターン層の開口部が形成され、またはその電気配線に対応して電気配線の形状を有する遮光性材料の部分を有する。
【0010】
フォトマスク本体は継ぎ目がなく、したがって物体の外面に、フォトマスク本体の内面がほぼぴったりと密着することができる。したがってパターン層の形状が、物体の表面に正確に露光されることができる。これによって物体の表面に形成された金属薄膜上の感光レジスト層の露光を正確に行うことができ、物体の外面に正確な立体的な電気配線を形成することができる。
【0011】
好ましくは、前記合成樹脂は、
前記物体上に形成された感光レジスト層を露光するための露光光の光量を、30〜100%透過し、
軟化温度60〜300℃であり、
熱可塑性合成樹脂から成る。
【0012】
この構成に従えば、合成樹脂は、物体上の感光レジスト層を露光するために、透光性であり、露光光の光量の30〜100%を透過し、これによって物体上の感光レジスト層の露光を確実に行うことができる。このフォトマスク本体を構成する合成樹脂の軟化温度は、60〜300℃であって、熱可塑性合成樹脂から成る。フォトマスク本体の成形時、軟化温度に予熱することによって、フォトマスク本体の折曲げ部が白化することはない。軟化温度が60℃未満では、成形時、白化を生じやすい。300℃を超えると、成形装置が大掛かりになるばかりでなく、立体成形品である物体が、熱変形してしまうおそれがある。
【0013】
また好ましくは、フォトマスク本体の厚みは、10〜500μmである。
この構成に従えば、フォトマスク本体の厚みを10〜500μmに選び、これによって物体をフォトマスク作成型に密着して成形することができる。10μm未満では、フォトマスク本体の強度が、使用上、不充分である。500μmを超えると、物体の外面に密着したフォトマスク本体の製造が困難になる。
【0014】
また本発明は、電気配線が施されるべき立体構造を有する物体を、フォトマスク作成型の少なくも一部として、合成樹脂製フィルムによって、真空成形して、物体を密着して覆うフォトマスク本体を形成し、
フォトマスク本体の表面に、電気配線に対応する開口部を有する遮光性材料から成るパターン層を形成することを特徴とするフォトマスクの製造方法である。
【0015】
本発明に従えば、たとえば熱可塑性などの合成樹脂性フィルムを真空成形して、電気配線が施されるべき物体をフォトマスク作成型の少なくとも一部として密着して覆うフォトマスク本体を形成することができる。このフォトマスク本体の表面、すなわち内面または外面に、金属などの遮光性材料から成るパターン層を形成し、こうしてフォトマスクを製造する。このようなフォトマスク本体は、継ぎ目がなく、物体の外面に、フォトマスク本体の内面を立体的に密着して取外し可能に嵌合することが容易である。
【0016】
好ましくは、前記真空成形は、
真空源によって負圧とされる複数の吸引孔を有する型の前記吸引孔が臨む表面に、前記物体を配置し、
物体と、その物体の周辺で前記吸引孔が物体から露出して臨む真空成形型の表面とにわたって、合成樹脂製フィルムによって覆う。
【0017】
この構成に従えば、たとえば多数の吸引孔を有する型の上に、物体を乗せ、その物体と、物体の周辺で前記型の表面とにわたって、合成樹脂性フィルムによって覆い、この状態で真空成形を行う。こうして物体の外面に密着するフォトマスク本体を製造することができる。
【0018】
また好ましくは、真空成形に先立って、フィルムは、予熱されて軟化されている。
【0019】
この構成に従えば、フィルムは真空成形時、予熱されて軟化されており、これによって折曲げ部が白化するおそれはなく、露光光の透過率を、フォトマスク本体の全体にわたって均一とし、その透過率を向上することができる。
【0020】
また本発明は、前記遮光性材料は、金属の物理蒸着によって形成されることを特徴とする。
【0021】
本発明に従えば、遮光性材料は、たとえば銅、クロムなどの金属から成り、物理蒸着、たとえばスパッタなどの手法によって形成される。このような蒸着の手法によれば、フォトマスク本体の内面または外面に均一な厚みで金属層を緻密に形成することが容易に可能である。
【0022】
好ましくは、パターン層の形状は、フォトリソグラフィ法によって形成される。
【0023】
この構成に従えば、物体の外面に形成される電気配線に対応したパターン層の形状を、すなわちパターン層の開口部の形状または電気配線と同一形状の金属材料から成る部分は、微細な配線を形成することが可能な写真蝕刻法であるフォトリソグラフィ法によって形成され、これによって高精度の微細なパターン層の形状を容易に得ることができる。
【0024】
また本発明は、表面に厚み10〜100μmの薄膜から成る被覆層を形成した前記物体を、前記フォトマスク作成用型の少なくとも一部とすることを特徴とする。
【0025】
本発明に従えば、電気配線が形成されるべき物体の表面に、厚み10〜100μmの薄膜を形成し、こうして薄膜を形成した物体を、真空成形などのフォトマスク作成用型として用い、これによって製造されたフォトマスク本体は、物体に嵌合し、また取外すことが容易であり、物体の表面を露光する作業を容易に行うことができ、作業性が向上する。
【0026】
好ましくは、真空成形時、フィルムに、物体とは反対側から物体に向けて流体圧を採用する。
【0027】
この構成に従えば、真空成形時にさらに流体圧、たとえば空気圧を用いてフィルムを物体にさらにぴったりと密着させることができるようになる。流体圧は、たとえば圧縮空気を使用する空気圧であってもよく、このような成形の手法は、真空空圧成形法と呼ぶことができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態のフォトマスク3の断面図である。フォトマスク3は基本的に、フォトマスク本体4とそのフォトマスク本体4の表面、たとえばこの実施の形態では外面に形成されるパターン層5とを含む。
【0029】
本発明は、電気配線のパターンを形成する立体成形品1cに嵌合する製造方法にてフォトマスク3を作製することで、前記立体成形品の外面に、内面が密着したフォトマスク3を得ることができるという原理に基づく。立体成形品1cに嵌合する立体的なフォトマスク3を得るには、真空成形法又は真空空圧成形法を選ぶことができる。
【0030】
フォトマスク本体4用の材質としては、合成樹脂、特に熱可塑性樹脂であることが好ましい。また、その軟化温度は、300℃以下が好ましい。軟化温度が300℃以上の場合は、本件成形装置が大掛かりになるばかりでなく、立体成形品1cが熱変形してしまうという問題がある。また、フォトマスクとして用いるためには、フォトリソグラフィである写真蝕刻法で用いる露光光が透過する必要がある。写真蝕刻法では、露光光源として高圧水銀ランプが広く用いられている。フォトレジストである感光レジスト層16(図7参照)の露光で用いられる高圧水銀ランプの主波長は365nmであるから、フォトマスク本体4用の材質としては365nmの波長の光を透過必要がある。これら軟化温度及び露光光透過率の観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリプロピレン、αオレフィン−環状オレフィン付加重合体またはαオレフィン−開環重合体に代表される環状オレフィンコポリマー等が好ましく用いられる。本発明で用いられる立体フォトマスク本体4用樹脂は、ここで例示した樹脂に限定されるものではなく、軟化温度及び露光光透過率を満足するものであればよい。
【0031】
フォトマスク本体4の外面に形成されるパターン層5の材料は、スパッタ成膜法などによって成膜する金属は光を透過しなければ何でもよいが、プラスチック成形体であるフォトマスク本体4への密着性および耐腐食性さらには耐磨耗性の点からCrが好ましく用いられる。
【0032】
図2は、本発明の実施の一形態のフォトマスク3を製造する方法を説明するためのフローチャートである。フォトマスク本体4を製造するために、真空成形法が採用される。
【0033】
図3は、真空成形法を説明するための断面図である。図2のステップs1では、フォトマスク本体4の材料となる熱可塑性樹脂から成るシート1dを予熱した後、金型1a及び1bの間へ引き込み、ステップs3で真空成形を行う。
【0034】
図4は、金型1a,1bを用いてシート1dを真空成形している状態を示す断面図である。金型1a,1bを閉じて内部の空気を、真空ポンプなどの負圧源8によって、図中1eで示しているように排気することにより、成形品であるフォトマスク本体4を得ることができる。排気口1gのある下金型1a上へ立体成形品1cを配置し、予熱処理した熱可塑性樹脂から成るシート1dを型である立体成形品1cの上部へ配置することで、立体成形品1cの形状を転写した嵌合型の立体フォトマスク本体4を作製することができる。
【0035】
真空成形法で嵌合型の成形体4を得る場合には、形状を転写する立体成形体1cの表面に10μm〜100μmの厚みで薄膜の被覆層1jを形成するとよい。このように転写する立体成形体1cに被覆層1jを形成しておけば、嵌合型の成形体4は転写する立体成形体1cより被覆層1jの厚み分だけ大きくなり、嵌合型成形体4をフォトマスクとして用いる場合に、電気配線のパターンを形成する立体成形体である物体6(図1参照)へ容易に嵌め込むことができる。
【0036】
図5は、真空成形法によって製造されたフォトマスク本体4を示す断面図である。型である成形品1cが、たとえば直方体である場合、平板状の頂部11と、その頂部11に連なる4つの平板状側壁12と、側壁12に連なって外方に延びるフランジ部13とを含み、このフォトマスク本体4は、その厚みが一様であり、継ぎ目なしに構成される。フォトマスク本体4の立体的な内面は、電気配線に施されるべき立体構造を有する物体6の立体的な外面に取外し可能に密着して嵌合することができる。型となる成形品1cと、電気配線が施されるべき物体6とは、同一の外形を有し、物体6は、たとえば熱可塑性合成樹脂などの合成樹脂製であってもよい。
【0037】
こうして得られるフォトマスク本体4には、図2のステップs4〜s9の各工程を実行して、パターン層5を形成する。立体成形体の嵌合型成形体であるフォトマスク本体4にパターン層5を形成するには以下のような手段を選ぶことができる。
【0038】
図6は、上述のようにして成形されたフォトマスク本体4の外面にパターン層のための金属膜15を形成した状態を示す断面図である。このようにして先ず、嵌合型成形体であるフォトマスク本体4の外面に金属膜15を成膜する。金属膜15の成膜は、蒸着、スパッタ、CVD等の真空成膜法、めっき等湿式成膜法により行うことができる。このうち、スパッタ成膜法は緻密な金属膜15を薄く均一に成膜できることから好ましく用いられる。フォトマスク本体4の厚みは、たとえば10〜500μmであり、10μm未満では、強度が低く、不消耗に変形しやすく、500μmを超えると、真空成形が困難になる。金属膜15、したがってパターン層5の厚みは、10nm〜100μmであり、10nm未満では、遮光性が不充分となり、100μmを超えても、遮光性が充分であるにもかかわらず、図2のステップs8で示される後述のエッチングに時間がかかり不経済である。
【0039】
次に嵌合型成形体であるフォトマスク本体4の外面へ成膜した金属膜15のパターンニングは通常用いられる写真蝕刻法を用いることで行うことができる。
【0040】
図7は、写真蝕刻法において金属膜15の上に、感光レジスト層16を電着法によって塗布して形成した状態を示す断面図である。この写真蝕刻法のうち、電着レジストを塗布する。
【0041】
図8は、図2のステップs6においてレジスト層16を露光する工程を示す簡略化した斜視図である。光源17からの光18は、感光レジスト層16の露光のためのフォトマスク19によって図2のステップs6で露光を行う。フォトマスク19は、所望のパターンを有し、このフォトマスク19を用いて、レジスト層16の露光を行う。その後、図2のステップs7ではさらに現像を行い、ステップs8ではエッチングを行い、ステップs9では、不要レジスト剥離を行う。こうしてフォトマスク4の外面にパターン層5が形成された本発明のフォトマスク3が、ステップs10で得られ、一連の製造工程s1〜s10を完了する。
【0042】
図9は、本発明の実施の他の形態の真空空圧成形法を説明するための断面図である。図9に示される真空空圧成形装置の構成は、図3に示される真空成形の装置に類似し、対応する部分には同一のアルファベットの添え字を付し、数字1を2に代えて示す。特に注目すべきは、真空空圧成形の場合には、上金型2bに圧縮ガスを送り込むガス導入口2hを設けてあり、内部の空気を排気すると同時にガス導入口2hより圧縮ガス、たとえば圧縮空気を、圧縮ガス源21から参照符2fで示すように送り込むことにより、予熱処理した熱可塑性樹脂から成るシート2dが立体成形品2cへより密着させることができる。そのほかの構成と各工程は、前述の図1〜図8の実施の形態と同様である。
【0043】
本発明の実施の他の形態では、フォトマスク本体4の内面に、パターン層5を形成するように構成してもよい。
【0044】
本発明によって製造されたフォトマスク3を用いて、物体の外面に、微細な電気配線のパターンを形成することができる。そのために先ず、物体の外表面に金属膜をスパッタなどの手法で形成し、その金属膜の上に、感光レジスト層を塗布し、こうして金属膜および感光レジスト層が積層された物体6に、本発明のフォトマスク3を密着して被せ、フォトリソグラフィによる露光を行う。こうして露光された感光レジスト層を現像し、金属膜をエッチングして選択的に除去し、物体6の外面に、微細な電気配線の導体のパターンを形成することができる。したがって本発明によれば、電子素子を外部回路と繋ぐための電気配線のパターンを形成することができる。近年、機器の小型化に伴いプリント配線板などの平面回路では対応しきれなくなってきており、MID(Molded Intcrconnect Device、射出成形回路部品)と呼ばれる立体回路部品が注目されている。本発明は、これらMIDを製造するために必要な立体フォトマスクを実現する。
【0045】
以下、嵌合型フォトマスク3の優れた効果を実施例により説明するが、本発明における嵌合型フォトマスクは実施例に限定されるものではない。図1〜図8に示される実施の形態において、本件発明者は、次の実験を行った。
【0046】
(実施例1)
厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム1cを100℃で予熱し、立体成形品1cを挿入した金型1a,1bで挟み、さらに、約5MPaの空気を用いた真空空圧成形を行い、嵌合型成形体であるフォトマスク本体4を作製した。
【0047】
得られた嵌合型成形体であるフォトマスク本体4は立体成形体1cに密着して嵌め合わせることができた。また、得られた成形体であるフォトマスク本体4の365nmでの透過率は70%でありフォトマスクとして使用できることが確認された。
【0048】
次に、このようにして得た嵌合型成形体であるフォトマスク本体4の外面上にスパッタにてCrを約500nmの被膜層15を成膜した。さらに、スパッタCu膜上にネガ型電着レジスト(シプレー社製商品名イーグル2100ED)層16を約10μm塗布した。さらに、立体配線パターンを平面状に投影したフォトマスク19を用いる図8の露光法にてパターン露光を行い、続いて、現像、エッチングを行い所望の立体フォトマスク3を得た。
【0049】
このように作製した立体フォトマスク3を用いることで、本フォトマスク3と嵌合する立体成形体へのパターン露光を容易に行うことができた。
【0050】
(実施例2)
厚み25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムのシート1dを用いた以外は実施例1と同様の方法で嵌合型成形体であるフォトマスク本体4を作製し、さらに、立体フォトマスクを作製した。
【0051】
得られた立体フォトマスクを用いることで、本フォトマスクと嵌合する立体成形体である物体6へのパターン露光を容易に行うことができた。
【0052】
(実施例3)
厚み100μmのαオレフィン−環状オレフィン付加重合体フィルムを用いた以外は実施例1と同様の方法で嵌合型成形体であるフォトマスク本体4を作製し、さらに、立体フォトマスクを作製した。
【0053】
得られた立体フォトマスクを用いることで、本フォトマスクと嵌合する立体成形体である物体6へのパターン露光を容易に行うことができた。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、立体的な物体の外面である表面に、微細な電気配線を高精度で形成するフォトマスクが実現され、そのフォトマスクの製造が容易である。こうして本発明において、写真蝕刻法を用いた方法により立体成形体表面に微細な配線を形成するための立体フォトマスクが提供される。さらに、立体フォトマスクを用いることによって、立体成形体である物体の表面に、安価な方法で微細な配線を形成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態のフォトマスク3の断面図である。
【図2】本発明の実施の一形態のフォトマスク3を製造する方法を説明するためのフローチャートである。
【図3】真空成形法を説明するための断面図である。
【図4】金型1a,1bを用いてシート1dを真空成形している状態を示す断面図である。
【図5】真空成形法によって製造されたフォトマスク本体4を示す断面図である。
【図6】上述のようにして成形されたフォトマスク本体4の外面にパターン層のための金属膜15を形成した状態を示す断面図である。
【図7】写真蝕刻法において金属膜15の上に、感光レジスト層16を電着法によって塗布して形成した状態を示す断面図である。
【図8】図2のステップs6においてレジスト層16を露光する工程を示す簡略化した斜視図である。
【図9】本発明の実施の他の形態の真空空圧成形法を説明するための断面図である。
【符号の説明】
1a,2a 下金型
1b,2b 上金型
1c,2c 立体成形体
1d,2d 樹脂フィルム
1e,2e 空気の排気
2f 圧縮空気
1g,2g 排気口
2h ガス導入口
3 フォトマスク
4 フォトマスク本体
5 パターン層
6 物体
8 負圧源
15 金属膜
16 感光レジスト層
17 光源
21 圧縮ガス源
【発明の属する技術分野】
本発明は、フォトマスクおよびその製造方法に関するものであり、さらに詳しくは立体形状の合成樹脂製成形体などの立体構造を有する物体の表面上に立体的な電気配線を形成するためのフォトマスク及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、表面に立体配線回路を形成した合成樹脂製の立体成形体が、電気回路の小型化要求に沿うものとして注目されている。
【0003】
合成樹脂製立体成形体の表面に立体的な電気配線を形成する第1の先行技術(特許文献1参照)は、易めっき性樹脂と難めっき性樹脂とを用いて2回の射出成形をすることにより、電気配線を施すべき部分にのみ易めっき性樹脂を露出したパターンを形成後、めっき処理を行う金属パターンをもつ合成樹脂製物品の形成方法を開示する。しかしながら、この方法では微細配線の形成が難しいという問題がある。
【0004】
微細な配線を形成する他の先行技術(特許文献2参照)は、露光を必要とする立体成形品表面の展開図形状の金属板等にエッチング等により所要のパターンの開口部を形成し、立体成形品の表面に密着する形状に成形することでフォトマスクを製造し、写真蝕刻法により立体配線を形成するフォトマスクおよびその製造方法を開示する。この先行技術における立体的なフォトマスクの成形は、プレス成形、もしくは、展開図形状の金属板の隣接する縁を溶接等で接合する方法、もしくは、金属箔を有する感光性フィルムを立体的に折り曲げ成形し必要な部分を接合する等の方法で行われている。しかしながら、プレス成形による立体フォトマスク成形では、プラスチック成形体に正確に全面にわたって密着するフォトマスク製造が困難であるという問題がある。また、展開図形状の金属板の隣接する縁を溶接等で接合する方法では、溶接部の平坦化処理が必要であり、さらには、溶接部においてプラスチック成形体との間に隙間ができるおそれがあり、密着できないという問題がある。さらに、感光性フィルムを立体的に折り曲げ成形し必要な部分を接合する方法においては、折り曲げの際にフィルムの白化が生じたり、接合部においてプラスチック成形体との間に隙間ができ、密着できないという問題がある。すなわち、この先行技術によるフォトマスク製造は事実上困難である。
【0005】
以上のように、従来の写真蝕刻法を用いた方法では、立体成形体などの物体の表面に安価な方法で微細な配線を形成することが困難という問題がある。
【0006】
【特許文献1】
特開昭63−50482
【特許文献2】
特開平5−323570
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、立体成形体などの立体構造を有する物体の表面に微細な電気配線を形成するフォトマスクを提供し、さらに、そのフォトマスクの製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、厚みが一様な透光性合成樹脂から成り、継ぎ目なしに構成され、立体的な内面が、電気配線が施されるべき立体構造を有する物体の立体的な外面に密着して嵌合することができるフォトマスク本体と、
フォトマスク本体の表面に形成され、電気配線に対応する遮光性材料から成るパターン層とを含むことを特徴とするフォトマスクである。
【0009】
本発明に従えば、フォトマスクは、厚みが一様な透光性合成樹脂、たとえば合成樹脂製フィルムが、たとえば真空成形または真空空圧成形などの手法で成形されたフォトマスク本体と、そのフォトマスク本体の内面または外面である表面に形成された遮光性材料、たとえば金属などから成るパターン層とを含んで、フォトマスクが構成される。フォトマスク本体は、たとえば前述のように成形によって得られ、これによって継ぎ目なしに構成され、溶着などの接合部分が存在せず、そのためフォトマスク本体の立体的な内面は、電気配線が形成される立体構造を有する物体の立体的な外面に、すなわち物体の少なくとも凹凸のある構造を有する外面に、密着して、取外し可能に嵌合することができる。パターン層は、フォトマスク本体の表面、すなわち内面または外面に、たとえばフォトリソグラフィの手法で形成される。こうして物体の外面に形成される電気配線に対応して、パターン層の開口部が形成され、またはその電気配線に対応して電気配線の形状を有する遮光性材料の部分を有する。
【0010】
フォトマスク本体は継ぎ目がなく、したがって物体の外面に、フォトマスク本体の内面がほぼぴったりと密着することができる。したがってパターン層の形状が、物体の表面に正確に露光されることができる。これによって物体の表面に形成された金属薄膜上の感光レジスト層の露光を正確に行うことができ、物体の外面に正確な立体的な電気配線を形成することができる。
【0011】
好ましくは、前記合成樹脂は、
前記物体上に形成された感光レジスト層を露光するための露光光の光量を、30〜100%透過し、
軟化温度60〜300℃であり、
熱可塑性合成樹脂から成る。
【0012】
この構成に従えば、合成樹脂は、物体上の感光レジスト層を露光するために、透光性であり、露光光の光量の30〜100%を透過し、これによって物体上の感光レジスト層の露光を確実に行うことができる。このフォトマスク本体を構成する合成樹脂の軟化温度は、60〜300℃であって、熱可塑性合成樹脂から成る。フォトマスク本体の成形時、軟化温度に予熱することによって、フォトマスク本体の折曲げ部が白化することはない。軟化温度が60℃未満では、成形時、白化を生じやすい。300℃を超えると、成形装置が大掛かりになるばかりでなく、立体成形品である物体が、熱変形してしまうおそれがある。
【0013】
また好ましくは、フォトマスク本体の厚みは、10〜500μmである。
この構成に従えば、フォトマスク本体の厚みを10〜500μmに選び、これによって物体をフォトマスク作成型に密着して成形することができる。10μm未満では、フォトマスク本体の強度が、使用上、不充分である。500μmを超えると、物体の外面に密着したフォトマスク本体の製造が困難になる。
【0014】
また本発明は、電気配線が施されるべき立体構造を有する物体を、フォトマスク作成型の少なくも一部として、合成樹脂製フィルムによって、真空成形して、物体を密着して覆うフォトマスク本体を形成し、
フォトマスク本体の表面に、電気配線に対応する開口部を有する遮光性材料から成るパターン層を形成することを特徴とするフォトマスクの製造方法である。
【0015】
本発明に従えば、たとえば熱可塑性などの合成樹脂性フィルムを真空成形して、電気配線が施されるべき物体をフォトマスク作成型の少なくとも一部として密着して覆うフォトマスク本体を形成することができる。このフォトマスク本体の表面、すなわち内面または外面に、金属などの遮光性材料から成るパターン層を形成し、こうしてフォトマスクを製造する。このようなフォトマスク本体は、継ぎ目がなく、物体の外面に、フォトマスク本体の内面を立体的に密着して取外し可能に嵌合することが容易である。
【0016】
好ましくは、前記真空成形は、
真空源によって負圧とされる複数の吸引孔を有する型の前記吸引孔が臨む表面に、前記物体を配置し、
物体と、その物体の周辺で前記吸引孔が物体から露出して臨む真空成形型の表面とにわたって、合成樹脂製フィルムによって覆う。
【0017】
この構成に従えば、たとえば多数の吸引孔を有する型の上に、物体を乗せ、その物体と、物体の周辺で前記型の表面とにわたって、合成樹脂性フィルムによって覆い、この状態で真空成形を行う。こうして物体の外面に密着するフォトマスク本体を製造することができる。
【0018】
また好ましくは、真空成形に先立って、フィルムは、予熱されて軟化されている。
【0019】
この構成に従えば、フィルムは真空成形時、予熱されて軟化されており、これによって折曲げ部が白化するおそれはなく、露光光の透過率を、フォトマスク本体の全体にわたって均一とし、その透過率を向上することができる。
【0020】
また本発明は、前記遮光性材料は、金属の物理蒸着によって形成されることを特徴とする。
【0021】
本発明に従えば、遮光性材料は、たとえば銅、クロムなどの金属から成り、物理蒸着、たとえばスパッタなどの手法によって形成される。このような蒸着の手法によれば、フォトマスク本体の内面または外面に均一な厚みで金属層を緻密に形成することが容易に可能である。
【0022】
好ましくは、パターン層の形状は、フォトリソグラフィ法によって形成される。
【0023】
この構成に従えば、物体の外面に形成される電気配線に対応したパターン層の形状を、すなわちパターン層の開口部の形状または電気配線と同一形状の金属材料から成る部分は、微細な配線を形成することが可能な写真蝕刻法であるフォトリソグラフィ法によって形成され、これによって高精度の微細なパターン層の形状を容易に得ることができる。
【0024】
また本発明は、表面に厚み10〜100μmの薄膜から成る被覆層を形成した前記物体を、前記フォトマスク作成用型の少なくとも一部とすることを特徴とする。
【0025】
本発明に従えば、電気配線が形成されるべき物体の表面に、厚み10〜100μmの薄膜を形成し、こうして薄膜を形成した物体を、真空成形などのフォトマスク作成用型として用い、これによって製造されたフォトマスク本体は、物体に嵌合し、また取外すことが容易であり、物体の表面を露光する作業を容易に行うことができ、作業性が向上する。
【0026】
好ましくは、真空成形時、フィルムに、物体とは反対側から物体に向けて流体圧を採用する。
【0027】
この構成に従えば、真空成形時にさらに流体圧、たとえば空気圧を用いてフィルムを物体にさらにぴったりと密着させることができるようになる。流体圧は、たとえば圧縮空気を使用する空気圧であってもよく、このような成形の手法は、真空空圧成形法と呼ぶことができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態のフォトマスク3の断面図である。フォトマスク3は基本的に、フォトマスク本体4とそのフォトマスク本体4の表面、たとえばこの実施の形態では外面に形成されるパターン層5とを含む。
【0029】
本発明は、電気配線のパターンを形成する立体成形品1cに嵌合する製造方法にてフォトマスク3を作製することで、前記立体成形品の外面に、内面が密着したフォトマスク3を得ることができるという原理に基づく。立体成形品1cに嵌合する立体的なフォトマスク3を得るには、真空成形法又は真空空圧成形法を選ぶことができる。
【0030】
フォトマスク本体4用の材質としては、合成樹脂、特に熱可塑性樹脂であることが好ましい。また、その軟化温度は、300℃以下が好ましい。軟化温度が300℃以上の場合は、本件成形装置が大掛かりになるばかりでなく、立体成形品1cが熱変形してしまうという問題がある。また、フォトマスクとして用いるためには、フォトリソグラフィである写真蝕刻法で用いる露光光が透過する必要がある。写真蝕刻法では、露光光源として高圧水銀ランプが広く用いられている。フォトレジストである感光レジスト層16(図7参照)の露光で用いられる高圧水銀ランプの主波長は365nmであるから、フォトマスク本体4用の材質としては365nmの波長の光を透過必要がある。これら軟化温度及び露光光透過率の観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリプロピレン、αオレフィン−環状オレフィン付加重合体またはαオレフィン−開環重合体に代表される環状オレフィンコポリマー等が好ましく用いられる。本発明で用いられる立体フォトマスク本体4用樹脂は、ここで例示した樹脂に限定されるものではなく、軟化温度及び露光光透過率を満足するものであればよい。
【0031】
フォトマスク本体4の外面に形成されるパターン層5の材料は、スパッタ成膜法などによって成膜する金属は光を透過しなければ何でもよいが、プラスチック成形体であるフォトマスク本体4への密着性および耐腐食性さらには耐磨耗性の点からCrが好ましく用いられる。
【0032】
図2は、本発明の実施の一形態のフォトマスク3を製造する方法を説明するためのフローチャートである。フォトマスク本体4を製造するために、真空成形法が採用される。
【0033】
図3は、真空成形法を説明するための断面図である。図2のステップs1では、フォトマスク本体4の材料となる熱可塑性樹脂から成るシート1dを予熱した後、金型1a及び1bの間へ引き込み、ステップs3で真空成形を行う。
【0034】
図4は、金型1a,1bを用いてシート1dを真空成形している状態を示す断面図である。金型1a,1bを閉じて内部の空気を、真空ポンプなどの負圧源8によって、図中1eで示しているように排気することにより、成形品であるフォトマスク本体4を得ることができる。排気口1gのある下金型1a上へ立体成形品1cを配置し、予熱処理した熱可塑性樹脂から成るシート1dを型である立体成形品1cの上部へ配置することで、立体成形品1cの形状を転写した嵌合型の立体フォトマスク本体4を作製することができる。
【0035】
真空成形法で嵌合型の成形体4を得る場合には、形状を転写する立体成形体1cの表面に10μm〜100μmの厚みで薄膜の被覆層1jを形成するとよい。このように転写する立体成形体1cに被覆層1jを形成しておけば、嵌合型の成形体4は転写する立体成形体1cより被覆層1jの厚み分だけ大きくなり、嵌合型成形体4をフォトマスクとして用いる場合に、電気配線のパターンを形成する立体成形体である物体6(図1参照)へ容易に嵌め込むことができる。
【0036】
図5は、真空成形法によって製造されたフォトマスク本体4を示す断面図である。型である成形品1cが、たとえば直方体である場合、平板状の頂部11と、その頂部11に連なる4つの平板状側壁12と、側壁12に連なって外方に延びるフランジ部13とを含み、このフォトマスク本体4は、その厚みが一様であり、継ぎ目なしに構成される。フォトマスク本体4の立体的な内面は、電気配線に施されるべき立体構造を有する物体6の立体的な外面に取外し可能に密着して嵌合することができる。型となる成形品1cと、電気配線が施されるべき物体6とは、同一の外形を有し、物体6は、たとえば熱可塑性合成樹脂などの合成樹脂製であってもよい。
【0037】
こうして得られるフォトマスク本体4には、図2のステップs4〜s9の各工程を実行して、パターン層5を形成する。立体成形体の嵌合型成形体であるフォトマスク本体4にパターン層5を形成するには以下のような手段を選ぶことができる。
【0038】
図6は、上述のようにして成形されたフォトマスク本体4の外面にパターン層のための金属膜15を形成した状態を示す断面図である。このようにして先ず、嵌合型成形体であるフォトマスク本体4の外面に金属膜15を成膜する。金属膜15の成膜は、蒸着、スパッタ、CVD等の真空成膜法、めっき等湿式成膜法により行うことができる。このうち、スパッタ成膜法は緻密な金属膜15を薄く均一に成膜できることから好ましく用いられる。フォトマスク本体4の厚みは、たとえば10〜500μmであり、10μm未満では、強度が低く、不消耗に変形しやすく、500μmを超えると、真空成形が困難になる。金属膜15、したがってパターン層5の厚みは、10nm〜100μmであり、10nm未満では、遮光性が不充分となり、100μmを超えても、遮光性が充分であるにもかかわらず、図2のステップs8で示される後述のエッチングに時間がかかり不経済である。
【0039】
次に嵌合型成形体であるフォトマスク本体4の外面へ成膜した金属膜15のパターンニングは通常用いられる写真蝕刻法を用いることで行うことができる。
【0040】
図7は、写真蝕刻法において金属膜15の上に、感光レジスト層16を電着法によって塗布して形成した状態を示す断面図である。この写真蝕刻法のうち、電着レジストを塗布する。
【0041】
図8は、図2のステップs6においてレジスト層16を露光する工程を示す簡略化した斜視図である。光源17からの光18は、感光レジスト層16の露光のためのフォトマスク19によって図2のステップs6で露光を行う。フォトマスク19は、所望のパターンを有し、このフォトマスク19を用いて、レジスト層16の露光を行う。その後、図2のステップs7ではさらに現像を行い、ステップs8ではエッチングを行い、ステップs9では、不要レジスト剥離を行う。こうしてフォトマスク4の外面にパターン層5が形成された本発明のフォトマスク3が、ステップs10で得られ、一連の製造工程s1〜s10を完了する。
【0042】
図9は、本発明の実施の他の形態の真空空圧成形法を説明するための断面図である。図9に示される真空空圧成形装置の構成は、図3に示される真空成形の装置に類似し、対応する部分には同一のアルファベットの添え字を付し、数字1を2に代えて示す。特に注目すべきは、真空空圧成形の場合には、上金型2bに圧縮ガスを送り込むガス導入口2hを設けてあり、内部の空気を排気すると同時にガス導入口2hより圧縮ガス、たとえば圧縮空気を、圧縮ガス源21から参照符2fで示すように送り込むことにより、予熱処理した熱可塑性樹脂から成るシート2dが立体成形品2cへより密着させることができる。そのほかの構成と各工程は、前述の図1〜図8の実施の形態と同様である。
【0043】
本発明の実施の他の形態では、フォトマスク本体4の内面に、パターン層5を形成するように構成してもよい。
【0044】
本発明によって製造されたフォトマスク3を用いて、物体の外面に、微細な電気配線のパターンを形成することができる。そのために先ず、物体の外表面に金属膜をスパッタなどの手法で形成し、その金属膜の上に、感光レジスト層を塗布し、こうして金属膜および感光レジスト層が積層された物体6に、本発明のフォトマスク3を密着して被せ、フォトリソグラフィによる露光を行う。こうして露光された感光レジスト層を現像し、金属膜をエッチングして選択的に除去し、物体6の外面に、微細な電気配線の導体のパターンを形成することができる。したがって本発明によれば、電子素子を外部回路と繋ぐための電気配線のパターンを形成することができる。近年、機器の小型化に伴いプリント配線板などの平面回路では対応しきれなくなってきており、MID(Molded Intcrconnect Device、射出成形回路部品)と呼ばれる立体回路部品が注目されている。本発明は、これらMIDを製造するために必要な立体フォトマスクを実現する。
【0045】
以下、嵌合型フォトマスク3の優れた効果を実施例により説明するが、本発明における嵌合型フォトマスクは実施例に限定されるものではない。図1〜図8に示される実施の形態において、本件発明者は、次の実験を行った。
【0046】
(実施例1)
厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム1cを100℃で予熱し、立体成形品1cを挿入した金型1a,1bで挟み、さらに、約5MPaの空気を用いた真空空圧成形を行い、嵌合型成形体であるフォトマスク本体4を作製した。
【0047】
得られた嵌合型成形体であるフォトマスク本体4は立体成形体1cに密着して嵌め合わせることができた。また、得られた成形体であるフォトマスク本体4の365nmでの透過率は70%でありフォトマスクとして使用できることが確認された。
【0048】
次に、このようにして得た嵌合型成形体であるフォトマスク本体4の外面上にスパッタにてCrを約500nmの被膜層15を成膜した。さらに、スパッタCu膜上にネガ型電着レジスト(シプレー社製商品名イーグル2100ED)層16を約10μm塗布した。さらに、立体配線パターンを平面状に投影したフォトマスク19を用いる図8の露光法にてパターン露光を行い、続いて、現像、エッチングを行い所望の立体フォトマスク3を得た。
【0049】
このように作製した立体フォトマスク3を用いることで、本フォトマスク3と嵌合する立体成形体へのパターン露光を容易に行うことができた。
【0050】
(実施例2)
厚み25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムのシート1dを用いた以外は実施例1と同様の方法で嵌合型成形体であるフォトマスク本体4を作製し、さらに、立体フォトマスクを作製した。
【0051】
得られた立体フォトマスクを用いることで、本フォトマスクと嵌合する立体成形体である物体6へのパターン露光を容易に行うことができた。
【0052】
(実施例3)
厚み100μmのαオレフィン−環状オレフィン付加重合体フィルムを用いた以外は実施例1と同様の方法で嵌合型成形体であるフォトマスク本体4を作製し、さらに、立体フォトマスクを作製した。
【0053】
得られた立体フォトマスクを用いることで、本フォトマスクと嵌合する立体成形体である物体6へのパターン露光を容易に行うことができた。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、立体的な物体の外面である表面に、微細な電気配線を高精度で形成するフォトマスクが実現され、そのフォトマスクの製造が容易である。こうして本発明において、写真蝕刻法を用いた方法により立体成形体表面に微細な配線を形成するための立体フォトマスクが提供される。さらに、立体フォトマスクを用いることによって、立体成形体である物体の表面に、安価な方法で微細な配線を形成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態のフォトマスク3の断面図である。
【図2】本発明の実施の一形態のフォトマスク3を製造する方法を説明するためのフローチャートである。
【図3】真空成形法を説明するための断面図である。
【図4】金型1a,1bを用いてシート1dを真空成形している状態を示す断面図である。
【図5】真空成形法によって製造されたフォトマスク本体4を示す断面図である。
【図6】上述のようにして成形されたフォトマスク本体4の外面にパターン層のための金属膜15を形成した状態を示す断面図である。
【図7】写真蝕刻法において金属膜15の上に、感光レジスト層16を電着法によって塗布して形成した状態を示す断面図である。
【図8】図2のステップs6においてレジスト層16を露光する工程を示す簡略化した斜視図である。
【図9】本発明の実施の他の形態の真空空圧成形法を説明するための断面図である。
【符号の説明】
1a,2a 下金型
1b,2b 上金型
1c,2c 立体成形体
1d,2d 樹脂フィルム
1e,2e 空気の排気
2f 圧縮空気
1g,2g 排気口
2h ガス導入口
3 フォトマスク
4 フォトマスク本体
5 パターン層
6 物体
8 負圧源
15 金属膜
16 感光レジスト層
17 光源
21 圧縮ガス源
Claims (4)
- 厚みが一様な透光性合成樹脂から成り、継ぎ目なしに構成され、立体的な内面が、電気配線が施されるべき立体構造を有する物体の立体的な外面に密着して嵌合することができるフォトマスク本体と、
フォトマスク本体の表面に形成され、電気配線に対応する遮光性材料から成るパターン層とを含むことを特徴とするフォトマスク。 - 電気配線が施されるべき立体構造を有する物体を、フォトマスク作成型の少なくも一部として、合成樹脂製フィルムによって、真空成形して、物体を密着して覆うフォトマスク本体を形成し、
フォトマスク本体の表面に、電気配線に対応する開口部を有する遮光性材料から成るパターン層を形成することを特徴とするフォトマスクの製造方法。 - 前記遮光性材料は、金属の物理蒸着によって形成されることを特徴とする請求項2記載のフォトマスクの製造方法。
- 表面に厚み10〜100μmの薄膜から成る被覆層を形成した前記物体を、前記フォトマスク作成用型の少なくとも一部とすることを特徴とする請求項2または3記載のフォトマスクの製造方法。
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JP2002354118A JP2004184872A (ja) | 2002-12-05 | 2002-12-05 | フォトマスクとその製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2010082686A1 (ja) * | 2009-01-19 | 2010-07-22 | 新日本製鐵株式会社 | 真空圧空成形露光装置及び露光方法 |
JP2016090795A (ja) * | 2014-11-04 | 2016-05-23 | 株式会社豊光社 | 回路パターンの形成方法、フォトマスク、フォトマスクの製造方法、及び電気電子機器の製造方法 |
-
2002
- 2002-12-05 JP JP2002354118A patent/JP2004184872A/ja active Pending
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