JP2004183537A - 自己姿勢制御型サボニウス風車 - Google Patents
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Abstract
【課題】風向きが360度あらゆる方向に変わっても、常に自動的に風向きに対する位置および向きが一定となるように案内羽根の自己姿勢制御ができる自己姿勢制御型サボニウス風車を提供する。
【解決手段】第1の支持体14に、半円筒状の2つのブレード16を凹部側を互いに対向させて、かつ正対位置からずらして支持した風車ロータ12を備えるサボニウス型の風車において、風車ロータ12の軸線を中心として回転自在に設けられた第2の支持体30に支持されて、風車ロータ12の周りに配置され、風車ロータ12へ風を送り込むように案内する案内羽根26、28と、第2の支持体30上に設けられ、風向きに基づいて受ける力により、風車ロータ12に向かう風向きがあらゆる方向に変わっても、案内羽根26、28を、風車ロータ12へ風を送り込める姿勢位置まで、第2の支持体30を介して回転、復帰させる方向制御羽根34を具備することを特徴としている。
【選択図】 図1
【解決手段】第1の支持体14に、半円筒状の2つのブレード16を凹部側を互いに対向させて、かつ正対位置からずらして支持した風車ロータ12を備えるサボニウス型の風車において、風車ロータ12の軸線を中心として回転自在に設けられた第2の支持体30に支持されて、風車ロータ12の周りに配置され、風車ロータ12へ風を送り込むように案内する案内羽根26、28と、第2の支持体30上に設けられ、風向きに基づいて受ける力により、風車ロータ12に向かう風向きがあらゆる方向に変わっても、案内羽根26、28を、風車ロータ12へ風を送り込める姿勢位置まで、第2の支持体30を介して回転、復帰させる方向制御羽根34を具備することを特徴としている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自己姿勢制御型サボニウス風車およびこれを用いた発電装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
風力は古くから利用されてきた自然エネルギーであるが、近年になってクリーンエネルギーとしてその利用が注目されるようになった。
発明者等は既に、簡易な構成のサボニウス型風車を考案した。
この風車は、風車ロータの外方に配置され、ロータの軸線を中心とする円周上で移動可能、かつロータの軸線と平行な自身の軸線を中心として回転可能であって、ブレードへの風の流れを調整可能な1または複数個の案内羽根と、
該案内羽根を、前記円周上の所定位置に移動させる移動手段と、
前記案内羽根の自身の軸線を中心として所定角度位置に回転させる回転手段と、
風向検出部と
該風向検出部により検出された風向のデータが入力され、該風向データに基づき、風向が変わった際、前記案内羽根が、あらかじめ入力されている風向に対する前記円周上の設定位置、およびあらかじめ入力されている風向に対する設定角度位置となるように、前記移動手段および前記回転手段を駆動制御する制御部と
から成る(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−289150号公報(特許請求の範囲)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記サボニウス型風車によれば、案内羽根によりブレードに流れ込む風の風量を増大させることができ、出力を向上させることができる。しかも風向きが変わった場合でも、案内羽根の位置および向きを風向きに合わせて変更できる利点がある。
しかしながら、案内羽根の位置および向きを変更するのに動力を要するという課題がある。
この種のサボニウス型風車は、ある程度大きな規模の型では有効利用しうるものであるが、別途動力を要するというのは、エネルギーロスを伴うと共に、簡易化、小型化に逆行する。
【0005】
そこで、本発明は上記課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、風向きが360度あらゆる方向に変わっても、自然の風力により常に自動的に風向きに対する位置および向きが一定となるように案内羽根の自己姿勢制御ができるため、方向制御のため外部から特別に動力を供給する必要がなく、簡易化が図れる自己姿勢制御型サボニウス風車およびこれを用いた発電装置を提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するため次の構成を備える。
すなわち、本発明に係る自己姿勢制御型サボニウス風車は、第1の支持体に、半円筒状の2つのブレードを凹部側を互いに対向させて、かつ正対位置からずらして支持した風車ロータを備えるサボニウス型の風車において、前記風車ロータの軸線を中心として風車ロータとは独立して回転自在に設けられた第2の支持体に支持されて、前記風車ロータの周りに配置され、風車ロータへ風を送り込むように案内する案内羽根と、前記第2の支持体上に設けられ、風向きに基づいて受ける力により、前記風車ロータに向かう風向きが360°あらゆる方向に変わっても、前記案内羽根を、前記風車ロータへ風を送り込める姿勢位置まで、前記第2の支持体を介して回転、復帰させる方向制御羽根を具備していることを特徴とする。
【0007】
また、前記案内羽根を、進みブレードに対する風の流れ込みを増大させる案内羽根(以下第1のベーンという)と、戻りブレードに対する風の流れ込みを抑制する案内羽根(以下第2のベーンという)とにより構成すると好適である。
前記方向制御羽根を前記風車ロータに流れ込む風の流路から外れる位置に配置するようにする。
また、前記方向制御羽根を、風向きに対する角度を可変に前記第2の支持体に着脱可能に取り付けると好適である。
また、前記風車ロータおよび前記第2の支持体を回転自在に支持する共通の固定軸を設けると強度を高めることができて好適である。
前記案内羽根および前記方向制御羽根が、風車ロータの回転中心からの半径が、風車ロータの半径の3倍の半径となる仮想円筒より外方に突出しない大きさに設定すると設置スペースを小さくすることができ、好適である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1にサボニウス型風車10の概略図を、図2に方向制御の原理図を示す。
風車ロータ12は、上下に配した、円板状の第1の支持体14、14に、半円筒状の2つのブレード16a、16bを凹部側を互いに対向させて、かつ正対位置からずらして支持させてある。
風車ロータ12は、両第1の支持体14、14を貫通する固定軸18に、ベアリング19、19を介して回転自在に取り付けられている。
20は固定軸18が挿通する中空状の出力軸であり、取付板21を介して下側の第1の支持体14に固定され、風車ロータ12と共に回転する。出力軸20は、基台22に固定された軸受け23を回転自在に挿通している。24はベアリングである。
【0009】
固定軸18の下端は支持ブロック25に固定され、上端は図示しない外枠によって支持される両持ち構造となっている。
上記のように、風車ロータ12は、鉛直に配設された固定軸18を中心として、水平面内で回転するように設けられている。
27は発電機であり、基台22に固定されていて、出力軸20にギア群29を介して連繋されている。
【0010】
26は第1のベーン、28は第2のベーンである。
両ベーン26、28は、風車ロータ12の周りに配置され、風車ロータ12への風の流入を制御する。
両ベーン26、28は第2の支持体30a、30bに固定されている。
第2の支持体30a、30bは板状に形成されており、ベアリング32a、32bを介して、固定軸18、および基台22に対して回転自在に設けられている。したがって、両ベーン26、28は、第2の支持体32a、32bと共に風車ロータ12の周りで風車ロータ12とは独立して回転することが可能となっている。
【0011】
第1のベーン26は、図3に示すように、進み状態のブレード16aの前方に、風向き(矢印方向)に対して角度φ1だけ傾斜して配設され、進み状態のブレード16aに対する風の流れ込みを増大させるように機能する。角度φ1は150°前後が好適である。また第2のベーン28は、戻り状態のブレード16bの前方に配設され、戻りブレード16bに対する風の流れ込みを抑制するように機能する。風向きに対する角度φ2は90°前後が好適である。
【0012】
第1のベーン26の取り付け方向を示す角度をθ1を60°、中心からの距離を0.72D(Dは風車ロータ12の直径)、第2のベーン28の取り付け方向角θ2を−30°、中心からの距離を0.72D、第1、第2のベーン26、28の幅を0.5D、φ1を150°、φ2を90°とした場合の、周速比λに対する出力特性(出力係数Cp)を図4に示す。ベーン26、28を設けた場合、設けない場合に比して出力が最大30%程度向上する。
ベーン26、28の位置、大きさ、取り付け角度等の上記諸条件は図3に示す場合が好適であったが、必ずしも上記数値に限定されるものではない。案内羽根の数は2枚が好適であるが、必ずしもこれに限定されない。
【0013】
次に図1、図2において、34は方向制御羽根である。
方向制御羽根34は、上側に位置する第2の支持体30aの上面に固定されている。したがって、方向制御羽根34は、風車ロータ12に流れ込む風の流路外に位置し、風車ロータ12への風の流入の障害となることはない。
方向制御羽根34は、流れ込む風から力を受けることにより、風車ロータ12への風向きが360°あらゆる方向に変わっても、ベーン26、28を、風向きに対して常に図3に示す一定の位置(風車ロータへ風を送り込むように案内する前記位置:以下初期位置ということがある)まで回転、復帰させるように、第2の支持体30a、30bを介して回転させるよう機能する。
【0014】
図2の平面図において、風向き方向をX軸、風車ロータ12の中心を通ってX軸に直交する方向をY軸とした場合、第1のベーン26は第2象限、第2のベーン28は第3象限に位置する。
方向制御羽根34が、風車ロータ12に流れ込む風の向きが360°あらゆる方向に変わっても、ベーン26、28を風向きに対して常に図3に示す一定の位置に復帰させるように回転させるというのは、図2の状態の停止位置において、第1のベーン26、方向制御羽根34に加わる時針回転方向の回転モーメントと、第2のベーン28に加わる反時針回転方向の回転モーメントが釣り合うことを意味する。
したがって、方向制御羽根34は図2において第1象限に位置するとき、良好な釣り合い状態を実現できることが期待できる。
しかし、方向制御羽根34の大きさや風向きに対する角度によっては、360°あらゆる方向に風向きが変わった場合に、ベーン26、28を図2に示す位置に常に回転、復帰させることができるわけではない。
したがって、360°あらゆる方向に風向きが変わった場合にも、ベーン26、28を、図2に示す位置に常に回転、復帰させる条件を見出す必要がある。
また、風向きの変化に追従してできるだけ速やかにベーン26、28が回転復帰することが好ましい。
【0015】
方向制御羽根34の機能を調べるため、図3に示した案内羽根(ベーン)条件の風車について実験を行った。
図5に示すように、方向制御羽根34を取り付け角度を種々に変更して取り付けられるようにした。具体的には、方向制御羽根34を取り付け板35に固定し、取り付け板35には2箇所にピンを設け、第2の支持体30aに、中心からの角度を10°づつ変位させた位置(11段階)にピン挿通孔を設けて、ピンをピン挿通孔に挿通して支持することで、方向制御羽根34を風向きに対して種々の角度で取り付けられるようにした。また、方向制御羽根34の大きさ、a(縦)×b(横)も種々に変化させて実験を行った。
釣り合い状態にある初期位置から角度βだけ時針回転方向にベーン26、28をずらした位置で解放し、ベーン26、28が初期位置まで戻る時間(Ts)を計測した。なお、ベーン26、28が初期位置付近にまで回転復帰しても、しばらくは初期位置を中心に振り子状に振れるので、振り子の振幅が角度10°以内になった時点を戻り時間(Ts)とした。風速は4m/sと、10m/sの2段階で計測した。
【0016】
図6は、a×b=60×200(単位:mm)の大きさの方向制御羽根34を、1(H1:外側)と2(H2:内側)の位置のピン挿通孔を用いて取り付けた状態を示す。
角度βだけずらした位置からのベーン26、28の戻り時間を計測した結果を図7に示す。
図7で、データのプロットが無い箇所(β=90°、135°)では、ベーン26、28が初期位置まで戻り得なかったことを示す。すなわち、図6に示す方向制御羽根34の条件下では、360°あらゆる方向への風向き変化に対して、ベーン26、28が常に初期位置に回転、復帰するとは言い得ない。
【0017】
図8は、a×b=110×200の方向制御羽根34を、4(H1:外側)と5(H2:内側)の位置のピン挿通孔を用いて取り付けた状態を示す。
同様に角度βだけずらした位置からのベーン26、28の戻り時間を計測した結果を図9に示す。
このように、方向制御羽根34の寸法を大きくし、取り付け位置を適切に選定した結果、必要な回転モーメントが得られ、図9に示すように、360°あらゆる方向への風向き変化に対して、ベーン26、28を初期位置に回転復帰させることができた。
【0018】
図10は、360°あらゆる方向への風向き変化に対してもベーン26、28が初期位置にまで、図9に示すものより短持間で回転、復帰した風車のスペックの一例を示す。
この図では、方向制御羽根34の取り付け状態が明確になるように、羽根内側縁位置をyとθ3で、取り付け方向をφ3で示している。
図11は、方向制御羽根34の内側縁までの風車中心からの距離y=45mm、該内側縁と風車中心とのなす角度θ3=60°、方向制御羽根34の風向きに対する角度φ3=155°、方向制御羽根34の大きさa×b=110×200(mm)の場合の測定結果である。
【0019】
上記実施の形態に示されるように、ベーン26、28、および方向制御羽根34を、風車ロータ12の回転中心からの半径が、風車ロータ12の半径の3倍の半径となる仮想円筒より外方に突出しない大きさに設計でき、小型化できて好適である。
なお、ベーン26、28を、360°あらゆる方向への風向き変化に対して常に初期位置まで回転、復帰させるための、方向制御羽根34の大きさ、取り付け角度、取り付け位置等の条件は、ベーン26、28の大きさ、取り付け角度、取り付け位置との相対的な関係に影響されるものであり、上記数値には限定されない。
【0020】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、風向きが360度あらゆる方向に変わっても、常に自動的に風向きに対する位置および向きが一定となるように案内羽根の自己姿勢制御ができ、方向制御のための特別な動力を必要とせず、簡易化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】風車の概略を示す説明図である。
【図2】案内羽根(ベーン)と方向制御羽根の位置関係を示す説明図である。
【図3】案内羽根の取り付け位置を示す説明図である。
【図4】図3に示す風車の出力特性を示すグラフである。
【図5】方向制御羽根の取り付け角度を変更する方法の説明図である。
【図6】大きさ60×200(mm)の方向制御羽根の取り付け状態を示す説明図である。
【図7】図6の風車の案内羽根の戻り時間を示すグラフである。
【図8】大きさ110×200(mm)の方向制御羽根の取り付け状態を示す説明図である。
【図9】図8の風車の案内羽根の戻り時間を示すグラフである。
【図10】案内羽根の戻り時間の短い風車のスペックの一例を示す説明図である。
【図11】図10の風車の案内羽根の戻り時間を示すグラフである。
【符号の説明】
10 風車
12 風車ロータ
14 第1の支持体
16a、16b ブレード
18 固定軸
20 出力軸
22 基台
26、28 案内羽根(ベーン)
27 発電機
30a、30b 第2の支持体
34 方向制御羽根
【発明の属する技術分野】
本発明は自己姿勢制御型サボニウス風車およびこれを用いた発電装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
風力は古くから利用されてきた自然エネルギーであるが、近年になってクリーンエネルギーとしてその利用が注目されるようになった。
発明者等は既に、簡易な構成のサボニウス型風車を考案した。
この風車は、風車ロータの外方に配置され、ロータの軸線を中心とする円周上で移動可能、かつロータの軸線と平行な自身の軸線を中心として回転可能であって、ブレードへの風の流れを調整可能な1または複数個の案内羽根と、
該案内羽根を、前記円周上の所定位置に移動させる移動手段と、
前記案内羽根の自身の軸線を中心として所定角度位置に回転させる回転手段と、
風向検出部と
該風向検出部により検出された風向のデータが入力され、該風向データに基づき、風向が変わった際、前記案内羽根が、あらかじめ入力されている風向に対する前記円周上の設定位置、およびあらかじめ入力されている風向に対する設定角度位置となるように、前記移動手段および前記回転手段を駆動制御する制御部と
から成る(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−289150号公報(特許請求の範囲)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記サボニウス型風車によれば、案内羽根によりブレードに流れ込む風の風量を増大させることができ、出力を向上させることができる。しかも風向きが変わった場合でも、案内羽根の位置および向きを風向きに合わせて変更できる利点がある。
しかしながら、案内羽根の位置および向きを変更するのに動力を要するという課題がある。
この種のサボニウス型風車は、ある程度大きな規模の型では有効利用しうるものであるが、別途動力を要するというのは、エネルギーロスを伴うと共に、簡易化、小型化に逆行する。
【0005】
そこで、本発明は上記課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、風向きが360度あらゆる方向に変わっても、自然の風力により常に自動的に風向きに対する位置および向きが一定となるように案内羽根の自己姿勢制御ができるため、方向制御のため外部から特別に動力を供給する必要がなく、簡易化が図れる自己姿勢制御型サボニウス風車およびこれを用いた発電装置を提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するため次の構成を備える。
すなわち、本発明に係る自己姿勢制御型サボニウス風車は、第1の支持体に、半円筒状の2つのブレードを凹部側を互いに対向させて、かつ正対位置からずらして支持した風車ロータを備えるサボニウス型の風車において、前記風車ロータの軸線を中心として風車ロータとは独立して回転自在に設けられた第2の支持体に支持されて、前記風車ロータの周りに配置され、風車ロータへ風を送り込むように案内する案内羽根と、前記第2の支持体上に設けられ、風向きに基づいて受ける力により、前記風車ロータに向かう風向きが360°あらゆる方向に変わっても、前記案内羽根を、前記風車ロータへ風を送り込める姿勢位置まで、前記第2の支持体を介して回転、復帰させる方向制御羽根を具備していることを特徴とする。
【0007】
また、前記案内羽根を、進みブレードに対する風の流れ込みを増大させる案内羽根(以下第1のベーンという)と、戻りブレードに対する風の流れ込みを抑制する案内羽根(以下第2のベーンという)とにより構成すると好適である。
前記方向制御羽根を前記風車ロータに流れ込む風の流路から外れる位置に配置するようにする。
また、前記方向制御羽根を、風向きに対する角度を可変に前記第2の支持体に着脱可能に取り付けると好適である。
また、前記風車ロータおよび前記第2の支持体を回転自在に支持する共通の固定軸を設けると強度を高めることができて好適である。
前記案内羽根および前記方向制御羽根が、風車ロータの回転中心からの半径が、風車ロータの半径の3倍の半径となる仮想円筒より外方に突出しない大きさに設定すると設置スペースを小さくすることができ、好適である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1にサボニウス型風車10の概略図を、図2に方向制御の原理図を示す。
風車ロータ12は、上下に配した、円板状の第1の支持体14、14に、半円筒状の2つのブレード16a、16bを凹部側を互いに対向させて、かつ正対位置からずらして支持させてある。
風車ロータ12は、両第1の支持体14、14を貫通する固定軸18に、ベアリング19、19を介して回転自在に取り付けられている。
20は固定軸18が挿通する中空状の出力軸であり、取付板21を介して下側の第1の支持体14に固定され、風車ロータ12と共に回転する。出力軸20は、基台22に固定された軸受け23を回転自在に挿通している。24はベアリングである。
【0009】
固定軸18の下端は支持ブロック25に固定され、上端は図示しない外枠によって支持される両持ち構造となっている。
上記のように、風車ロータ12は、鉛直に配設された固定軸18を中心として、水平面内で回転するように設けられている。
27は発電機であり、基台22に固定されていて、出力軸20にギア群29を介して連繋されている。
【0010】
26は第1のベーン、28は第2のベーンである。
両ベーン26、28は、風車ロータ12の周りに配置され、風車ロータ12への風の流入を制御する。
両ベーン26、28は第2の支持体30a、30bに固定されている。
第2の支持体30a、30bは板状に形成されており、ベアリング32a、32bを介して、固定軸18、および基台22に対して回転自在に設けられている。したがって、両ベーン26、28は、第2の支持体32a、32bと共に風車ロータ12の周りで風車ロータ12とは独立して回転することが可能となっている。
【0011】
第1のベーン26は、図3に示すように、進み状態のブレード16aの前方に、風向き(矢印方向)に対して角度φ1だけ傾斜して配設され、進み状態のブレード16aに対する風の流れ込みを増大させるように機能する。角度φ1は150°前後が好適である。また第2のベーン28は、戻り状態のブレード16bの前方に配設され、戻りブレード16bに対する風の流れ込みを抑制するように機能する。風向きに対する角度φ2は90°前後が好適である。
【0012】
第1のベーン26の取り付け方向を示す角度をθ1を60°、中心からの距離を0.72D(Dは風車ロータ12の直径)、第2のベーン28の取り付け方向角θ2を−30°、中心からの距離を0.72D、第1、第2のベーン26、28の幅を0.5D、φ1を150°、φ2を90°とした場合の、周速比λに対する出力特性(出力係数Cp)を図4に示す。ベーン26、28を設けた場合、設けない場合に比して出力が最大30%程度向上する。
ベーン26、28の位置、大きさ、取り付け角度等の上記諸条件は図3に示す場合が好適であったが、必ずしも上記数値に限定されるものではない。案内羽根の数は2枚が好適であるが、必ずしもこれに限定されない。
【0013】
次に図1、図2において、34は方向制御羽根である。
方向制御羽根34は、上側に位置する第2の支持体30aの上面に固定されている。したがって、方向制御羽根34は、風車ロータ12に流れ込む風の流路外に位置し、風車ロータ12への風の流入の障害となることはない。
方向制御羽根34は、流れ込む風から力を受けることにより、風車ロータ12への風向きが360°あらゆる方向に変わっても、ベーン26、28を、風向きに対して常に図3に示す一定の位置(風車ロータへ風を送り込むように案内する前記位置:以下初期位置ということがある)まで回転、復帰させるように、第2の支持体30a、30bを介して回転させるよう機能する。
【0014】
図2の平面図において、風向き方向をX軸、風車ロータ12の中心を通ってX軸に直交する方向をY軸とした場合、第1のベーン26は第2象限、第2のベーン28は第3象限に位置する。
方向制御羽根34が、風車ロータ12に流れ込む風の向きが360°あらゆる方向に変わっても、ベーン26、28を風向きに対して常に図3に示す一定の位置に復帰させるように回転させるというのは、図2の状態の停止位置において、第1のベーン26、方向制御羽根34に加わる時針回転方向の回転モーメントと、第2のベーン28に加わる反時針回転方向の回転モーメントが釣り合うことを意味する。
したがって、方向制御羽根34は図2において第1象限に位置するとき、良好な釣り合い状態を実現できることが期待できる。
しかし、方向制御羽根34の大きさや風向きに対する角度によっては、360°あらゆる方向に風向きが変わった場合に、ベーン26、28を図2に示す位置に常に回転、復帰させることができるわけではない。
したがって、360°あらゆる方向に風向きが変わった場合にも、ベーン26、28を、図2に示す位置に常に回転、復帰させる条件を見出す必要がある。
また、風向きの変化に追従してできるだけ速やかにベーン26、28が回転復帰することが好ましい。
【0015】
方向制御羽根34の機能を調べるため、図3に示した案内羽根(ベーン)条件の風車について実験を行った。
図5に示すように、方向制御羽根34を取り付け角度を種々に変更して取り付けられるようにした。具体的には、方向制御羽根34を取り付け板35に固定し、取り付け板35には2箇所にピンを設け、第2の支持体30aに、中心からの角度を10°づつ変位させた位置(11段階)にピン挿通孔を設けて、ピンをピン挿通孔に挿通して支持することで、方向制御羽根34を風向きに対して種々の角度で取り付けられるようにした。また、方向制御羽根34の大きさ、a(縦)×b(横)も種々に変化させて実験を行った。
釣り合い状態にある初期位置から角度βだけ時針回転方向にベーン26、28をずらした位置で解放し、ベーン26、28が初期位置まで戻る時間(Ts)を計測した。なお、ベーン26、28が初期位置付近にまで回転復帰しても、しばらくは初期位置を中心に振り子状に振れるので、振り子の振幅が角度10°以内になった時点を戻り時間(Ts)とした。風速は4m/sと、10m/sの2段階で計測した。
【0016】
図6は、a×b=60×200(単位:mm)の大きさの方向制御羽根34を、1(H1:外側)と2(H2:内側)の位置のピン挿通孔を用いて取り付けた状態を示す。
角度βだけずらした位置からのベーン26、28の戻り時間を計測した結果を図7に示す。
図7で、データのプロットが無い箇所(β=90°、135°)では、ベーン26、28が初期位置まで戻り得なかったことを示す。すなわち、図6に示す方向制御羽根34の条件下では、360°あらゆる方向への風向き変化に対して、ベーン26、28が常に初期位置に回転、復帰するとは言い得ない。
【0017】
図8は、a×b=110×200の方向制御羽根34を、4(H1:外側)と5(H2:内側)の位置のピン挿通孔を用いて取り付けた状態を示す。
同様に角度βだけずらした位置からのベーン26、28の戻り時間を計測した結果を図9に示す。
このように、方向制御羽根34の寸法を大きくし、取り付け位置を適切に選定した結果、必要な回転モーメントが得られ、図9に示すように、360°あらゆる方向への風向き変化に対して、ベーン26、28を初期位置に回転復帰させることができた。
【0018】
図10は、360°あらゆる方向への風向き変化に対してもベーン26、28が初期位置にまで、図9に示すものより短持間で回転、復帰した風車のスペックの一例を示す。
この図では、方向制御羽根34の取り付け状態が明確になるように、羽根内側縁位置をyとθ3で、取り付け方向をφ3で示している。
図11は、方向制御羽根34の内側縁までの風車中心からの距離y=45mm、該内側縁と風車中心とのなす角度θ3=60°、方向制御羽根34の風向きに対する角度φ3=155°、方向制御羽根34の大きさa×b=110×200(mm)の場合の測定結果である。
【0019】
上記実施の形態に示されるように、ベーン26、28、および方向制御羽根34を、風車ロータ12の回転中心からの半径が、風車ロータ12の半径の3倍の半径となる仮想円筒より外方に突出しない大きさに設計でき、小型化できて好適である。
なお、ベーン26、28を、360°あらゆる方向への風向き変化に対して常に初期位置まで回転、復帰させるための、方向制御羽根34の大きさ、取り付け角度、取り付け位置等の条件は、ベーン26、28の大きさ、取り付け角度、取り付け位置との相対的な関係に影響されるものであり、上記数値には限定されない。
【0020】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、風向きが360度あらゆる方向に変わっても、常に自動的に風向きに対する位置および向きが一定となるように案内羽根の自己姿勢制御ができ、方向制御のための特別な動力を必要とせず、簡易化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】風車の概略を示す説明図である。
【図2】案内羽根(ベーン)と方向制御羽根の位置関係を示す説明図である。
【図3】案内羽根の取り付け位置を示す説明図である。
【図4】図3に示す風車の出力特性を示すグラフである。
【図5】方向制御羽根の取り付け角度を変更する方法の説明図である。
【図6】大きさ60×200(mm)の方向制御羽根の取り付け状態を示す説明図である。
【図7】図6の風車の案内羽根の戻り時間を示すグラフである。
【図8】大きさ110×200(mm)の方向制御羽根の取り付け状態を示す説明図である。
【図9】図8の風車の案内羽根の戻り時間を示すグラフである。
【図10】案内羽根の戻り時間の短い風車のスペックの一例を示す説明図である。
【図11】図10の風車の案内羽根の戻り時間を示すグラフである。
【符号の説明】
10 風車
12 風車ロータ
14 第1の支持体
16a、16b ブレード
18 固定軸
20 出力軸
22 基台
26、28 案内羽根(ベーン)
27 発電機
30a、30b 第2の支持体
34 方向制御羽根
Claims (7)
- 第1の支持体に、半円筒状の2つのブレードを凹部側を互いに対向させて、かつ正対位置からずらして支持した風車ロータを備えるサボニウス型の風車において、
前記風車ロータの軸線を中心として風車ロータとは独立して回転自在に設けられた第2の支持体に支持されて、前記風車ロータの周りに配置され、風車ロータへ風を送り込むように案内する案内羽根と、
前記第2の支持体上に設けられ、風向きに基づいて受ける力により、前記風車ロータに向かう風向きが360°あらゆる方向に変わっても、前記案内羽根を、前記風車ロータへ風を送り込める姿勢位置まで、前記第2の支持体を介して回転、復帰させる方向制御羽根を具備していることを特徴とする自己姿勢制御型サボニウス風車。 - 前記案内羽根は、進みブレードに対する風の流れ込みを増大させる第1のベーンと、戻りブレードに対する風の流れ込みを抑制する第2のベーンとを具備することを特徴とする請求項1記載の自己姿勢制御型サボニウス風車。
- 前記方向制御羽根が前記風車ロータに流れ込む風の流路から外れる位置に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の自己姿勢制御型サボニウス風車。
- 前記方向制御羽根が、風向きに対する角度を可変に前記第2の支持体に取り付けられていることを特徴とする請求項1、2または3記載の自己姿勢制御型サボニウス風車。
- 前記風車ロータおよび前記第2の支持体を回転自在に支持する共通の固定軸を有することを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の自己姿勢制御型サボニウス風車。
- 前記案内羽根および前記方向制御羽根が、風車ロータの回転中心からの半径が、風車ロータの半径の3倍の半径となる仮想円筒より外方に突出しない大きさに設定されていることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載の自己姿勢制御型サボニウス風車。
- 請求項1〜6いずれか1項記載の自己姿勢制御型サボニウス風車の出力軸に発電機が連繋されたことを特徴とする発電装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2010056094A2 (en) * | 2008-11-12 | 2010-05-20 | Uab "Žalia Rūta" | Wind turbine |
KR100960680B1 (ko) | 2007-04-06 | 2010-05-31 | 김영기 | 풍력발전 장치 |
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-
2002
- 2002-12-02 JP JP2002350295A patent/JP2004183537A/ja active Pending
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