JP2004183135A - パルプモールド成形体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スタック用段差22を介して肉薄部23から肉厚部24に厚みが変化するとともに、肉薄部23における段差22の近傍部23aの密度が、肉薄部23における近傍部23aの他の部分の密度よりも高く且つ肉厚部24の密度以上である。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パルプモールド成形体の製造方法及びパルプモールド成形容器に係わり、特に、段差を介して肉薄部から肉厚部に厚みが変化するとともに、該肉薄部における該段差の近傍部の密度が、該肉薄部における該近傍部の他の部分の密度よりも高く且つ該肉厚部の密度以上であるパルプモールド成形体の製造方法及びパルプモールド成形容器に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
インスタントカップ麺等の食品容器に環境に配慮して板紙製のものが主にもちいられるようになっている。このような食品容器は、内表面にスタック用の段差やお湯の入れ目線などが必要となる場合がある。このため、胴部には、段差を介して薄肉部から肉厚部に厚みが変化する部分を設ける必要がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
実用新案登録第3065471号公報
【0004】
本発明者らは、板紙を用いず、パルプモールドによって上述のように胴部の厚みが段差を介して薄肉部から肉厚部に変化する容器の製造技術について、既に特許出願している(例えば、特願2001−128387号)。
【0005】
ところで、容器の廃棄性や生産性を考慮すると、より少ない構成部材で容器を構成し、軽量で成形性及び断熱性に優れ且つ高い強度を有する容器が望まれている。
【0006】
従って、本発明の目的は、軽量で成形性及び断熱性に優れ且つ高い強度を有し、廃棄性にも優れるパルプモールド成形体の製造方法及びパルプモールド成形容器を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、下記本発明により、パルプ繊維を主体とする単一の層において、段差を介して肉薄部から肉厚部に厚みが変化し、上記目的を達成し得るパルプモールド成形体を製造できることを知見した。
【0008】
本発明は、段差を介して肉薄部から肉厚部に厚みが変化するとともに、該肉薄部における該段差の近傍部の密度が、該肉薄部における該近傍部の他の部分の密度よりも高く且つ該肉厚部の密度以上であるパルプモールド成形体の製造方法であって、前記肉薄部における前記段差の近傍部及び前記肉厚部に対応する部分の坪量が前記肉薄部の前記他の部分に対応する部分の坪量より高くなるように抄造体を脱水成形し、該抄造体を前記段差に対応するキャビティを有する成形型内で押圧しながら乾燥成形するパルプモールド成形体の製造方法を提供するものである。
【0009】
また、本発明は、スタック用段差を介して肉薄部から肉厚部に厚みが変化するとともに、該肉薄部における該段差の近傍部の密度が、該肉薄部における該近傍部の他の部分の密度よりも高く且つ該肉厚部の密度以上であるパルプモールド成形容器を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、本発明のパルプモールド成形容器を、インスタントカップ麺等の食品容器の内層容器に適用した一実施形態を模式的に示すものである。図1において、符号1は食品容器、2は内層容器、3は外層容器を示している。
【0012】
図1に示すように、食品容器1は、フランジ部20を有する内層容器2の外側にフランジ部30を有する外層容器3が合体された二層構造を有する有底筒状の容器である。
【0013】
内層容器2は、胴部21にスタック用段差22を有している。胴部21は、このスタック用段差22を介して肉薄部23から肉厚部24に厚みが変化し且つ肉薄部23におけるスタック用段差22の近傍部23aの密度ρ23aが肉薄部23の他の部分23bの密度ρ23b及び肉厚部24の密度ρ24以上になるように設けられている。ここで、肉薄部23とは胴部21におけるスタック用段差22からフランジ部までの部分をいい、肉厚部24とは胴部21におけるスタック用段差22から底面部25までの部分をいう。なお、本明細書において、密度というときは、嵩密度を意味する。
【0014】
本実施形態の食品容器1においては、前記近傍部23aの密度ρ23aと前記他の部分23bの密度ρ23bとの差は、0.1〜0.4g/cm3、特に0.15〜0.3g/cm3であることが好ましい。該密度の差が小さすぎると密度が高い場合は断熱性や軽量性が損なわれ、密度が低い場合には強度が損なわれることとなり、密度の差が大きすぎると肉厚部の断熱性や肉薄部の強度が損なわれることとなる。ここで近傍部23aとは、前記スタック用段差22から0〜10mmまでの部分をいい、その密度とは当該部分の密度をいう。また、前記他の部分23bとは、前記スタック用段差22から10mmを超えて離れた部分をいい、その密度とは、当該部分の密度をいう。
【0015】
肉厚部24の密度ρ24は、強度を高くする点から肉薄部23の他の部分23bの密度ρ23b以上であることが好ましい。なお、開口部のフランジ部は、当該部分から除く。
【0016】
本実施形態の食品容器1においては、前記近傍部23aの密度ρ23aと前記肉厚部24の密度ρ24との差は、0.1〜0.4g/cm3、特に0.15〜0.3g/cm3であることが好ましい。該密度の差が小さすぎると密度が高い場合は断熱性や軽量性が損なわれ、密度が低い場合には強度が損なわれることとなり、密度の差が大きすぎると肉厚部の断熱性や肉薄部の強度が損なわれることとなる。
【0017】
本実施形態の食品容器1においては、前記近傍部23aの密度ρ23aは、0.15〜0.7g/cm3、特に0.25〜0.5g/cm3であることが好ましい。
【0018】
本実施形態の食品容器1においては、前記他の部分23bの密度ρ23bは、0.05〜0.5g/cm3、特に0.1〜0.4g/cm3であることが好ましい。
【0019】
本実施形態の食品容器1においては、肉厚部24の密度ρ24は、0.05〜0.5g/cm3、特に0.15〜0.4g/cm3であることが好ましい。
【0020】
本実施形態の食品容器1においては、前記内層容器2の胴部21全体の密度は、0.1〜0.6g/cm3、特に0.15〜0.45g/cm3であることが好ましい。
【0021】
本実施形態の食品容器1においては、前記フランジ部の密度は、0.1〜1.2g/cm3、特に0.2〜0.8g/cm3であることが好ましい。
また、底部の密度は、0.1〜1.2g/cm3、特に0.2〜0.8g/cm3であることが好ましい。
【0022】
本実施形態の食品容器1においては、前記肉薄部23と前記肉厚部24の厚みの差は、0.5〜4mm、特に0.7〜3mmであることがより好ましい。厚みの差が小さすぎるとスタック用段差のスタック機能が得られない。厚みの差が大きすぎると不必要に容器重量が重くなったり、スタック用段差の乾燥に時間がかかって製造サイクルが長くなる。
【0023】
本実施形態の食品容器1においては、前記肉薄部23の厚みは、0.5〜4mm、特に0.7〜3mmであることが好ましい。
【0024】
本実施形態の食品容器1においては、前記肉厚部24の厚みは、1〜6mm、特に1.4〜4.5mmであることが好ましい。
【0025】
本実施形態の食品容器1においては、前記フランジ部の厚みは、1〜5mm、特に2〜4mmであることが好ましい。
また、底部の厚みは、0.5〜4mm、特に0.7〜3mmであることが好ましい。
【0026】
本実施形態の食品容器1においては、内層容器2は、パルプ成分に嵩高処理パルプを含んでいることが好ましい。内層容器2に含まれる嵩高処理パルプの量は、内層容器2を構成するパルプ成分中10〜90wt%が好ましく、20〜70wt%がより好ましい。該パルプ成分中の嵩高処理パルプの配合量が10wt%未満であると嵩高性が低下し、断熱性が低下したり形状の転写性が不十分となり、表面性が劣ったり所望の段差が形成できなくなるおそれがあ。90wt%を越えると容器の把持強度や座屈強度が低下したり、内層のスタック強度が低下したり、内面に真空成形によってフィルム層を設ける場合に、容器が潰れたり破損するおそれがある。
ここで、内層容器2に用いられる嵩高処理パルプとは、架橋処理、マーセル化処理等の嵩高処理によってパルプ繊維をカールさせたり、疎水化させたり、繊維自体の剛性を向上させたものをいう。架橋処理パルプとしては、市販のカールドファイバー(例えば米国ウェアハウザー社製「HBA」)、マーセル化処理パルプとしては、市販のマーセル化処理パルプ(例えばレヨンニア社製「POROSAUIE」、同「ULTRANIER、同「SULFATATE」)が挙げられる。
【0027】
前記架橋処理パルプ及び前記マーセル化処理パルプは、単独で又は二種以上のものを混合して用いることができる。
例えば、前記マーセル化処理パルプは、前記架橋処理パルプに混合して用いることができる。この場合には、架橋処理パルプに対し、重量比で20〜500%、特に50〜300%加えることが好ましい。架橋処理パルプに対するマーセル化処理パルプの割合が多すぎるとマーセル化処理パルプが架橋処理パルプと比較して嵩高性が劣ることから、内層容器の強度や内層容器の内面の成形性(転写性)が低下する場合があり、逆に少なすぎるとパルプ繊維のフロックが多くなり、抄造ムラが発生し易くなる。
【0028】
前記嵩高処理パルプのうち前記架橋処理パルプを用いる場合には、その湿潤カールドファクタが0.1〜1.0、特に0.2〜0.6であるものが好ましい。湿潤カールドファクタが低すぎると所望の嵩高性が得られない場合がある。湿潤カールドファクタが高すぎると、原料スラリー中の分散性が悪くなり、抄造ムラが起こって得られる成形体に偏肉が生じ、成形体の強度や表面性が低下する場合がある。ここで、湿潤カールドファクタとは、パルプ繊維を室温で純水に浸漬した後FQA(Fiber Quality Analyzer)を用い、測定本数1000本以上、測定範囲0.5〜10mmにおいて、((LA/LB)−1)の算術平均により求められる値であり、繊維の曲線化の度合いを示す数値である。ただし、LAは実際のパルプ繊維の長さ、LBは曲がった状態のパルプ繊維を囲む長方形の最大寸法である。
【0029】
内層容器2は、前記パルプ成分として前記嵩高処理パルプの他に、嵩高処理を行っていないパルプ繊維を含ませることができる。該パルプ繊維は、パルプ成分中に10〜90wt%、特に30〜80wt%含んでいることが好ましい。該パルプ繊維が10wt%未満であるとフランジ部や容器の強度が低下して紙粉も多く発生するほか、強度を得るためや紙粉防止のためにバインダーの添加量が多くなる、該パルプ繊維が90wt%を越えると前記嵩高処理パルプの割合が少なくなり、嵩高性が低下してフランジ部のクッション性や容器の断熱性が低下する場合がある。該パルプ繊維としては、針葉樹若しくは広葉樹の未晒又は晒クラフトパルプ、サルファイトパルプ、アルカリパルプ、グランドパルプ、又はサーモメカニカルパルプが挙げられる。これらのパルプ繊維は、単独で又は二種以上を適宜の割合で混合して用いることができる。特に二種以上を混合することで、様々な繊維長分布を有するパルプ繊維を調製することができる。
【0030】
前記パルプ繊維は、CSF(Canadian Standard Freeness)が200〜700ml、特に300〜600mlであることが好ましい。CSFが低すぎると濾水性が低下し、抄造時間や乾燥時間が長くなる場合があり、CSFが高すぎると抄造ムラが顕著となり、得られる成形体に偏肉が生じたり、成形体の表面性が低下する場合がある。
【0031】
嵩高処理を行っていない前記パルプ繊維の平均繊維長は、0.4〜5mm、特に、0.5〜3mmであることが好ましい。該パルプ繊維の平均繊維長が短すぎると前記嵩高処理パルプとのからみが少なくなるため、得られる成形体の強度が低下するとともに、紙粉も多く発生し易くなる。逆に、平均繊維長が長すぎると嵩高処理パルプとのからみが大きくなりすぎるため、フロックが大きくなって抄造ムラが生じ易くなり、得られる成形体に偏肉が生じたり、表面性も低下する場合がある。
【0032】
内層容器2のパルプ成分として用いられる前記嵩高処理パルプ、前記パルプ繊維には、木材パルプ、非木材パルプの何れのパルプ繊維をも用いることができる。また、バージンパルプ、古紙パルプの何れのパルプ繊維をも用いることができる。これらのパルプ繊維は、単独で又は二種以上を適宜の割合で混合して用いることができる。
【0033】
内層容器2は、嵩高剤を0.2〜10wt%含んでいてもよい。これらの範囲内で嵩高剤を含ませることで、嵩高性がより安定的に得られる。
前記嵩高剤としては、花王(株)製「KB115」、同「KB85」等が挙げられ、これらの中でも、サイズ効果の低下を抑えて嵩高性を得ることができる点から同「KB115」が好ましい。
【0034】
内層容器2には、必要に応じ、分散剤、顔料、防かび剤、サイズ剤、紙力増強剤、耐水化剤、接着剤等の内層用添加剤を適宜の割合で含めることができる。
【0035】
本実施形態の食品容器1においては、前記外層容器3は、胴部31が略均一な厚みを有し且つ略均一の密度を有している。
【0036】
本実施形態の食品容器1においては、前記外層容器3の胴部31の厚みは0.2〜1.0mm、特に0.3〜0.8mmであることが好ましい。
【0037】
本実施形態の食品容器1においては、前記外層容器3における胴部31全体の密度は、0.5〜1.5g/cm3、特に0.6〜1.2g/cm3であることが好ましい。密度が高すぎると重量が不必要に重くなるほか、乾燥時のパルプ繊維への圧力が過大となり、パルプ繊維が変色したり、パルプ繊維自体の強度が低下する場合があり、密度が低すぎると所望の強度が得られなかったり、表面の平滑性が低下する場合がある。
【0038】
前記外層容器3の材質は、パルプ繊維であれば特に制限はなく、木材パルプ、非木材パルプ若しくはこれらの再生品又はこれらを所定の割合で混合した混合品であってもよい。外層容器5を構成するパルプ繊維には、針葉樹若しくは広葉樹の未晒又は晒クラフトパルプ、サルファイトパルプ、アルカリパルプ、グランドパルプ、サーモメカニカルパルプ等が挙げられる。これらの中でも、成形性、白色性、成形体の表面性、強度の点から、特に針葉樹や広葉樹の晒クラフトパルプが好ましい。これらの繊維は、単独で又は二種以上を適宜の割合で混合して用いることができる。
【0039】
外層容器3には、必要に応じ、分散剤、顔料、定着剤、防かび剤、サイズ剤、接着剤、紙力強化剤等の外層用添加剤を適宜の割合で含めることができる。
【0040】
次に、本発明のパルプモールド成形体の製造方法を、前記食品容器1の製造に適用した一実施形態に基づき説明する。
【0041】
本実施形態の食品容器1の製造方法においては、前記内層容器2及び外層容器3用の容器形状の抄造体2’及び抄造体3’を個別に湿式抄造し、これら抄造体を合体させて乾燥成形して一体化し、内層容器2及び外層容器3を有する二層構造の容器を成形する。
【0042】
抄造体2’及び抄造体3’の抄造には、図2(a)及び(b)に示すように、抄造部120、130が凸状形態の弾性体で形成され、これらの抄造部が所定の目開き及び線径を有する合成樹脂製のネット(図示せず)で被覆された抄造型12、13をそれぞれ用いる。
【0043】
図2(a)に示すように、抄造型12の抄造部120は、フランジ部121を有し且つ所定のテーパー角度を有して先端部に進むにつれて先細る形態を有している。抄造部120の先端部には、段差122を介してさらに先細る細抄造部123が設けられている。この細抄造部123を含めた抄造部120の寸法形状は、当該抄造型12で抄造された抄造体2’を、後述するように合体成形用の雄型15(図2(e)参照)内に配して乾燥したときに、雄型15の成形部150の寸法形状に略等しくなるように設計されている。
【0044】
細抄造部123の長さは、弾性変形前の状態において、雄型15の細成形部151(図2(e)参照)の長さ以上に設けられている。本実施形態においては、細成形部151の長さ及び抄造体2’の脱水成形の際における細抄造部123の弾性変形量を考慮すると、細抄造部123の長さL123は、21〜30mm、特に22〜28mmであることが好ましい。
【0045】
抄造型12は、後述する雌型16(図2(d)参照)と組み合わせたときに、弾性変形前の状態において、抄造部120の凸状部分の外周面と、抄造体3’の内周面との間に所望の隙間が形成されるように設けられているとともに、該凸状部分の長さが、雌型16の凹部160の深さより長く設けられている。これにより、後述するように抄造型12を雌型16と組み合わせ(図2(d)参照)、抄造体2’を雌型16内に配するときに、抄造部120を弾性変形させつつ抄造体2’を雌型16の凹部160の内面に押圧して抄造体2’を所望の形状で脱水成形できるとともに、抄造体2’を抄造体3’と合体させた後、合体物を雌型16内に残して抄造型12から抄造体2’を離型することができるようになっている。
【0046】
前記抄造部120の内部には、外面において開口する多数の気液流通路124が設けられている。これらの気液流通路124は細抄造部123に密に(多く)配設されている。本実施形態では、細抄造部123には抄造部120の他の部分の約2倍の気液流通路が開口している。これにより、前記ネットにおける当該細抄造部123を被覆する部分にスラリー中の固形分が多く堆積し、抄造体2’を雌型16内に配して脱水成形したときに(図2(d)参照)、抄造体2’の胴部21’に所望の坪量の差が得られるようになっている。また、細抄造部123を設けてスラリー中の固形分の堆積量を増やしているので、雌型16の凹部160への挿入するときに抄造体2’が損傷するおそれがない。
【0047】
図2(b)に示すように、抄造型13の抄造部130は、フランジ部131を有し且つ所定のテーパー角度を有して先端部に進むにつれて先細る形態を有している。抄造部130の内部には、外面において開口する多数の気液流通路132が設けられている。抄造部130における抄造体3’の胴部31’に対応する部分には、スラリー中の固形分が略均一に堆積するように、気液流通路132が略均一に配設されている。これにより、後述するように抄造体3’を脱水成形し、さらに乾燥成形したときに、抄造体3’の胴部31’が略均一の坪量で脱水成形されるようになっている。
【0048】
抄造型13は、雌型14(図2(c)参照)と組み合わせたときに、弾性変形前の状態において、抄造部130の凸状部分の外周面と、雌型14の凹部140の内周面との間に所望の隙間が形成されるように設けられているとともに、該凸状部分の長さが、雌型14の凹部140の深さより長く設けられている。これにより、抄造型13を雌型14と組み合わせ、前記抄造部130を弾性変形させつつ該抄造体3’を雌型14との間で押圧して抄造体3’を所望の形状で乾燥成形できるようになっている。
【0049】
各抄造型12、13における抄造部120、130の材質には、耐熱・耐食性の観点からシリコーンゴム等の弾性体を用いることが好ましい。
【0050】
本実施形態においては、抄造体2’と抄造体3’を合体させる前に、抄造体3’を脱水成形しさらに乾燥成形する。この抄造体3’の脱水成形及び乾燥成形には、雌型14(図2(c)参照)を用いる。
【0051】
雌型14は、剛性を有するアルミニウム等の金属製で、外層容器3(食品容器1)の外形に対応した凹部140を有している。雌型14の外周にはバンドヒーター141が配されている。雌型14は、食品容器1の外表面に後を残さないように、凹部140の内面で開口する排気孔を有していないものを用いることが好ましいが、乾燥成形時間の短縮を望む場合には排気孔を有するものを用いることもできる。
【0052】
抄造体2’及び抄造体3’を一体化させて乾燥成形する型には、図2(e)に示すように、合体成形用の雄型15及び雌型16を具備する成形型を用いる。雄型15及び雌型16は、剛性を有するアルミニウム等の金属製の型を用いる。
【0053】
前記雄型15は、前記内層容器2の内面形状に対応する凸状の成形部150を有している。成形部150の先端部には、内層容器2のスタック用段差22に対応して縮径する細成形部151が設けられている。細成形部151の長さL151は、前記抄造型12の細抄造部123の長さL123以下となるように設けられている。細成形部151の長さL151は、容器1の胴部の厚み及び胴部の角度に応じてその最小値が設定される。
【0054】
本実施形態においては、細成形部151の長さと細抄造部123の長さの差は、9mm以下、特に1〜7mmであることが好ましい。該差が小さすぎると細抄造部123による段差形成位置が低すぎて細成形部151で十分なスタック用段差の形成が困難となり、大きすぎると密度の高い部分が肉薄部に不必要に多くなる。
【0055】
成形部150の内部には、外周面においてスリット状に開口する気液流通路(図示せず)が複数設けられており、これらの気液流通路を通じて抄造体2’、3’を合体するときの脱水、排気が行えるようになっている。また、成形部150の内部には、カートリッジヒーター(図示せず)が配されており、成形部150の外表面からも加熱ができるようになっている。
【0056】
雌型16は、剛性を有するアルミニウム等の金属製で、外層容器3(食品容器1)の外形に対応した凹部160を有している。雌型16の外周にはバンドヒーター161が配されている。また、雌型16は、前記雄型15と組み合わせたときに成形部150の凸状部分と凹部160の間に前記段部22に対応した所定のクリアランス(キャビティ)が形成されるように設けられている。雌型16は、食品容器1の外表面に後を残さないように、凹部160の内面で開口する排気孔を有していないものを用いることが好ましいが、乾燥成形時間の短縮を望む場合には排気孔を有するものを用いることもできる。
【0057】
前記抄造体2’及び抄造体3’を抄造する場合には、図2(a)及び(b)に示すように、抄造部120、130を上方に向けた状態で前記抄造型12、13を配し、当該抄造部を囲繞するように外枠125、133を組み合わせる。そして、外枠125、133に付設された注入ノズル126、134を通じて所定量の原料スラリーを注入し、前記気液流通路124、132を通じてスラリーを吸引して前記ネット上に原料スラリー中の固形分を堆積させる。
【0058】
前記抄造体2’の抄造に用いられる原料スラリーには、前記パルプ繊維の濃度が0.1〜2wt%のスラリーを用いることが好ましい。分散媒に特に制限はないが、取り扱い性、生産コストの点から水や白水を分散媒とすることが好ましい。また、スラリーには、必要に応じ、前記内層用添加剤を適宜の割合で含ませることができる。
【0059】
前記抄造体3’の抄造に用いられる原料スラリーには、前記パルプ繊維の濃度が0.1〜2wt%のスラリーを用いることが好ましい。分散媒に特に制限はないが、取り扱い性、生産コストの点から水や白水を分散媒とすることが好ましい。また、該原料スラリーには、必要に応じ、前記外層用添加剤を適宜の割合で含ませることができる。
【0060】
抄造された抄造体3’は、外表面を良好に仕上げるとともに、強度を高くするために、抄造体2’と重ね合わせる前に予め脱水し、乾燥させて高密度化させる。具体的には、抄造後、抄造型13から外枠133を退避させ、図2(c)に示すように、抄造体3’とともに前記雌型14に突き合わせる。そして、抄造型13の抄造部130で湿潤状態の抄造体3’を押圧して脱水成形する。抄造体3’の脱水時には、抄造型13の気液通路132を通じて抄造体3’の液体分を吸引し、外部に排出する。
【0061】
抄造体3’を所定の含水率まで脱水した後、雌型14をバンドヒーター141で所定温度に加熱し、抄造型13の抄造部130で抄造体3’を凹部140に押圧しながら乾燥成形する。そして、抄造体3’を乾燥して高密度化させる。抄造体3’の乾燥時には、抄造型13の前記気液通路132を通じて抄造体3’の液体分(蒸気)を吸引し、外部に排出する。
【0062】
抄造体3’の乾燥時における金型温度(雌型14の温度)は、乾燥による焦げ防止、乾燥効率等の点において、110〜250℃、特に120〜230℃であることが好ましい。乾燥終了後、抄造型13は退避させる。このとき、抄造部130内の気液流通路132を通じて圧縮空気をパージし速やかに離間させることもできる。抄造型13から離型後、抄造体3’は、合体成形用の雌型16に移動する。
【0063】
次に、図2(d)に示すように、雌型16内に配置された脱水・乾燥後の抄造体3’の下方より、抄造体2’を重ね合わせる。この際、抄造体2’は抄造型12からは脱型せず、抄造型12をそのまま雌型16に突き合わせる。そして、抄造型12の抄造部120で湿潤状態の抄造体2’を凹部160に向けて押圧し、抄造部120を弾性変形させつつ脱水を行い、抄造体2’を脱水成形しながら抄造体3’と密着させる。このときの金型温度(雌型16の温度)は、乾燥効率及び焦げ付き防止の点から、150から250℃、特に170〜230℃であることが好ましい。
【0064】
このとき、凹部160から段差22’までの高さL22’が、凹部160から段差22までの高さL22(図2(e)参照)よりも高くなるように抄造型12に荷重を加えて抄造部120を弾性変形させることが好ましい。これにより、前記抄造体2’(図1(b)参照)における前記近傍部23aに対応する部分の坪量w23a及び前記肉厚部24に対応する部分の坪量w24が、前記他の部分23bに対応する部分の坪量w23bよりも大きくなるように当該抄造体2が脱水成形される。このように、坪量w23a及び坪量w24がそれぞれ坪量w23bよりも大きくなるように脱水成形することで、雄型15及び雌型16による乾燥成形において胴部に所定の密度を有する成形体を得ることができる。ここで、各部分の坪量は、所定の部位から切り出したパルプの重さと切り出した面積とから求められる。
【0065】
前記抄造体2’における前記近傍部23aに対応する部分の坪量w23aは、75〜2800g/m2、特に175〜1500g/m2であることが好ましい。
【0066】
前記抄造体2’における前記他の部分23bに対応する部分の坪量w23bは、25〜2000g/m2、特に70〜1200g/m2であることが好ましい。
【0067】
前記抄造体2’における前記肉厚部24に対応する部分の坪量w24は、50〜3000g/m2であることが好ましく、210〜1800g/m2であることがより好ましい。
【0068】
抄造体2’及び抄造体3’が十分に密着された後、抄造型12を上昇させて抄造体2’を抄造型から離間させる。このとき、抄造部120内の気液流通路124を通じて圧縮空気をパージし速やかに離間させることもできる。抄造体2’が離間された抄造型12は退避させる。
【0069】
次に、図2(e)に示すように、前記雄型15を雌型16に突き合わせ、合体された抄造体2’及び抄造体3’を乾燥成形する。
【0070】
乾燥成形は、雄型15及び雌型16をそれぞれのヒーターで所定温度に加熱しておき、抄造体2’と抄造体3’を所定の押圧力で押圧した状態で一体化させる。また、乾燥成形時には、雄型15の前記気液流通路を通じて抄造体2’の水分を水蒸気として外部に排出する。
【0071】
また、乾燥成形時における押圧力により各抄造体2’、3’のフランジ部20’、30’を接合して一体化する。フランジ部20’、30’の接合には、接着強度を高める点において、接着剤を用いることもできる。この場合には、特に食品容器としてデンプン等の接着剤を用いることが好ましい。
【0072】
乾燥成形時の金型温度(雄型15及び雌型16の温度)は、各抄造体2’、3’に焦げが生じないようにすると共に、乾燥効率を高く維持する観点から、150〜250℃、特に170〜230℃であることが好ましい。
【0073】
抄造体2’、3’が所定の含水率まで乾燥され、抄造体2’及び抄造体3’が密着一体化されたところで乾燥成形を終了する。そして、雄型15及び雌型16を離間させて成形体を脱型する。そして、必要に応じ、得られた成形体にトリミング等の処理を施して成形体の製造を完了する。
【0074】
以上説明したように、本実施形態の食品容器1は、内層容器2の胴部における肉薄部23の近傍部23aの密度が、他の部分23b及び肉厚部24の密度よりも高く、スタック用段差で密度の低い部分が形成されないため、スタック用段差に十分な強度を持たせることができる。また、スタック用段差の近傍部も密度が高いため、容器を積み重ねるときに底部の角が下側の容器の内周に接触した場合の耐摩耗性も優れている。また、軽量性(肉薄、低密度)、成形性(特にスタック用段差の転写性や内外表面の平滑性)、断熱性及び強度を兼ね備え、内層外層共にパルプを主体として構成されているため、廃棄性にも優れている。なお、段差とは、テーパーによって厚みが連続的に変化し、厚みが変化する場合も含まれる(変化する厚みの何れかの箇所でスタックされることになる。)
【0075】
また、本実施形態の食品容器の製造方法によれば、上記効果を奏する食品容器1を好適に製造することができる。
【0076】
本発明は、前記実施形態に制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。
【0077】
例えば、前記実施形態の食品容器1における内層容器2の内側又は前記外層容器3の外側に、樹脂フィルムで被覆層(図示せず)を設けることもできる。
該被覆層に用いられる樹脂フィルムには、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル等のポリビニル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂等の熱可塑性樹脂フィルム、変性ポリエチレンテレフタレート、脂肪族ポリエステル等の生分解性樹脂フィルムが挙げられ、製造コスト、成形性等の点においては、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、環境に配慮した廃棄性の点からは、生分解性樹脂フィルムが好ましい。被覆層には、これらの樹脂フィルムを、単独で又は二種以上を積層させて用いることもできる。該被覆層は、前記樹脂成分を含む塗料を塗工することによって設けることもできる。
【0078】
前記各抄造体の抄造方法に特に制限はないが、例えば、前記抄造型を所定の原料スラリー内を湛えたプール内に浸漬し、吸引抄造することもできる。また、抄造体3’の乾燥は、抄造体2’、3’を合体させる際に用いられる雌型16で行うこともできる。また、成形時の各型の向きは、前記実施形態のものに制限されるものではなく、例えば、上下を反転させてもよい。
【0079】
本発明は、前記実施形態のように、スタック用段差を介して胴部の肉薄部から肉厚部に厚みが変化し、且つ肉薄部におけるスタック用段差近傍の密度が肉薄部の他の部分及び肉厚部よりも高い食品容器の製造に好適であるが、これ以外のパルプモールド成形体にも適用することができる。例えば、入れ目線の段差、刻印若しくは模様のための段差を有するパルプモールド容器等の製造にも適用することができる。
【0080】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
下記の実施例のように、図1に示す二層構造の食品容器(フランジ付き容器)を作製した。なお、作製途中において、脱水成形後の内層容器の坪量を下記のように測定するとともに、乾燥成形後の内層容器の肉薄部におけるスタック用段差の近傍部、その他の部分、肉厚部のそれぞれの密度を測定した。また、得られた容器の成形性、強度、断熱性を調べて下記のように評価した。それらの結果を表1に示す。
【0081】
〔実施例1〕
<内層容器寸法形状>
高さH:110mm
開口部内径φ1:90mm
底部外径φ2:70mm
胴部上部厚みT1:1.5mm
胴部中央部(薄肉部)厚みT2:1.7mm
胴部下部(肉厚部)厚みT3:2.7mm
底部厚みT4:1.7mm
フランジ部厚みT5:3mm
スタック用段差:1mm
【0082】
<内層容器用の抄造体の抄造>
下記形状のシリコーンゴム製の抄造部及び該抄造部を覆うナイロン製のネット(50メッシュ、線径100μm)を備えた抄造型に外枠を組み合わせ、下記組成の内層用スラリー(原料スラリー)を注入し、内層容器用の抄造体を作製した。
内層用抄造型の抄造部の寸法形状;
細抄造部の長さL123:27mm
抄造部の凸状部分の高さL12:125mm
段差:1mm
テーパー角度:10.5度
内層用スラリー;
パルプ繊維:嵩高処理パルプ(米国ウェアハウザ社製架橋処理パルプ「HBAFF」)50重量%+セニブラ(LBKP)とヒントン(NBKB)とを重量比70:30で混合してフリーネス400mlに調整したもの50重量%
バインダー:PVA、対パルプ繊維1重量%
サイズ剤:日本PMC製「AS262」、対パルプ繊維2重量%
分散剤:PEO、対パルプ繊維0.1重量%
パルプ繊維濃度:0.25重量%
【0083】
<外層容器用の抄造体の抄造>
下記形状のシリコーンゴム製の抄造部及び該抄造部を覆うナイロン製のネット(50メッシュ、線径100μm)を備えた抄造型に外枠を組み合わせ、下記組成の外層用スラリー(原料スラリー)をノズルから注入し、外層容器用の抄造体を作製した。
外層用抄造型の抄造部の寸法形状;
抄造部の凸状部分の高さL13:125mm
テーパー角度:10.9度
外層用スラリー;
パルプ繊維:セニブラ(LBKP):ヒントン(NBKB)=70:30(重量比)で混合したものをフリーネス400mlに調整したもの
サイズ剤:日本PMC製「AS262」、対パルプ繊維1重量%
パルプ繊維濃度:0.25重量%
【0084】
<外層容器用の抄造体の脱水、乾燥成形等>
また、食品容器の外形に略対応した凹部を有する乾燥成形用の雌型内に外層容器用の抄造体を配し、下記条件で脱水し、引き続き乾燥成形した。
金型温度:120℃
押圧荷重:6000N(120秒間)
【0085】
<各抄造体の合体>
各抄造体を食品容器の外形に略対応した凹部を有する合体成形用の雌型内で重ね合わせた後に、両抄造体を下記条件で一体化させた。
押圧荷重:6000N(1秒間)
【0086】
<合体された抄造体の乾燥成形>
下記形状の雄型と、上記雌型とで構成される合体成形用の成形型を用い、下記条件で両抄造体を一体化させた。
成形型(雄型)の成形部の寸法形状;
成形部の長さL15:108.3mm
細成形部の長さL151:21mm
段差:1mm
成形部テーパー角度:7度
金型温度:200℃
押圧荷重:9800N(成形体のフランジ部を介して雌型の開口周縁部に雄型のフランジ部を突き合わせた状態で90秒間)
【0087】
〔比較例1〕
細抄造部を有しておらずそのまま先細る形態を有する以外は実施例1で用いた前記内層用抄造型と同様の抄造型を用い、実施例1と同様にして作製した。
【0088】
〔比較例2〕
内層用の抄造成形体をその段差部近傍部以外の肉薄部の坪量が大きくなるように脱水成形し、成形型でスタック用段差を介して肉薄部及び肉厚部を形成した以外は、実施例と同様にして作製した。
【0089】
〔内層容器の坪量の測定〕
所定の部位より切り出した内層容器の重さ、面積から算定した。
【0090】
〔成形性の評価〕
作製した容器の内面を肉眼で観察し、しわ及び破断の状態を調べて下記の3段階で評価した。
○:しわ、破断なし
×:スタック用段差部分に破断あり
【0091】
〔強度の評価〕
作製した容器を4kgfの荷重で重ね、スタック用段差の状態を調べて下記の3段階で評価した。
○:容器の食い込みが少ない。重ねた後の切り離しも問題なく、スタックのつぶれも発生なし。
×:容器の食い込みが大きい。重ねた後の切り離しが容易でなく、スタックにつぶれも発生。
【0092】
〔断熱性の評価〕
作製した容器内に100℃の熱湯を入れ目先まで注ぎ入れ、3分後に胴部を素手で把持できるかどうか調べて下記の3段階で評価した。
○:手で持つことができる程度の厚さ。
×:手で持てない程度に熱い又は手で持つにはかなりがまんが必要なくらい熱い。
【0093】
【表1】
【0094】
表1に示すように、実施例1の容器は、成形性、断熱性、強度の何れにも優れているのに対し、比較例1では、内層の抄造後に抄造型を合体成型用の雌型に突き合わせるときに、抄造体の先端部分のパルプの盛り上がりが雌型の内面と接触することとなり、内層に破断が生じるため、成形性が悪く、強度も測定できなかった。また、段差近傍部の密度及び肉厚部の密度及び肉厚部の密度を他の部位より小さくしたものは、スタックしたときにブロッキングが発生した。また、真空成形にしてフィルムをラミネートした場合、スタック部に割れが発生した。
【0095】
【発明の効果】
本発明によれば、軽量で成形性及び断熱性に優れ且つ高い強度を有し、廃棄性にも優れるパルプモールド成形体の製造方法及びパルプモールド成形容器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のパルプモールド成形容器を食品容器に適用した一実施形態を模式的に示した図であり、(a)は半断面図、(b)は(a)の要部拡大図である。
【図2】本発明のパルプモールド成形体の製造方法を食品容器の製造に適用した一実施形態の工程を模式的に示す図であり、(a)は内層容器用抄造体の抄造工程を示す図、(b)は、外層容器用抄造体の抄造工程を示す図、(c)は外層容器用抄造体の脱水・乾燥成形工程を示す図、(d)内層容器用抄造体と外層容器用抄造体の合体工程を示す図、(e)は食品容器の乾燥成形工程を示す図である。
【符号の説明】
1 食品容器
2 内層容器(パルプモールド成形容器)
20 フランジ部
21 胴部
22 スタック用段差(段差)
23 肉薄部
23a 近傍部
24b 他の部分
24 肉厚部
3 外層容器
30 フランジ部
31 胴部
2’、3’ 抄造体
12、13 抄造型
120、130 抄造部
123 細抄造部
14 雌型
140 凹部
15 雄型
150 成形部
151 細成形部
16 雌型
160 凹部
Claims (7)
- 段差を介して肉薄部から肉厚部に厚みが変化するとともに、該肉薄部における該段差の近傍部の密度が、該肉薄部における該近傍部の他の部分の密度よりも高く且つ該肉厚部の密度以上であるパルプモールド成形体の製造方法であって、
前記肉薄部における前記段差の近傍部及び前記肉厚部に対応する部分の坪量が前記肉薄部の前記他の部分に対応する部分の坪量より高くなるように抄造体を脱水成形し、該抄造体を前記段差に対応するキャビティを有する成形型内で押圧しながら乾燥成形するパルプモールド成形体の製造方法。 - 嵩高処理パルプを含むスラリーから前記抄造体を抄造する請求項1記載のパルプモールド成形体の製造方法。
- 嵩高剤を含むスラリーから前記抄造体を抄造する請求項1記載のパルプモールド成形体の製造方法。
- 前記抄造体を容器形状に抄造するように前記抄造型の抄造部を凸状の弾性体で形成するとともに該抄造部の外周面に前記坪量の差に対応して細くなる細抄造部を設け、
前記成形型を、前記段差に対応して細くなる細成形部を先端に有する剛性の雄型及び該雄型との間にクリアランスを有して組み合わされる剛性の雌型で構成するとともに、該細成形部を前記細抄造部の長さよりも短く設けておき、
前記抄造体を前記成形型内に配するときに、前記抄造部を弾性変形させつつ該抄造体を前記雌型の内面に押圧して該抄造体を脱水成形した後に、該抄造体を該雌型内において前記剛性の雄型で押圧して乾燥成形する請求項1〜3の何れかに記載のパルプモールド成形体の製造方法。 - 前記抄造体を前記成形型内に配する前に、該抄造体とは別の抄造体を該成形型内に配しておく請求項1〜4の何れかに記載のパルプモールド成形体の製造方法。
- 前記別の抄造体を前記成形型内に配する前に予め乾燥させておく請求項5記載のパルプモールド成形体の製造方法。
- スタック用段差を介して肉薄部から肉厚部に厚みが変化するとともに、該肉薄部における該段差の近傍部の密度が、該肉薄部における該近傍部の他の部分の密度よりも高く且つ該肉厚部の密度以上であるパルプモールド成形容器。
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